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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-29
(45)【発行日】2024-03-08
(54)【発明の名称】巻芯
(51)【国際特許分類】
   B65H 75/10 20060101AFI20240301BHJP
【FI】
B65H75/10
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2017199277
(22)【出願日】2017-10-13
(65)【公開番号】P2019073357
(43)【公開日】2019-05-16
【審査請求日】2020-09-28
【審判番号】
【審判請求日】2022-09-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000145987
【氏名又は名称】株式会社昭和丸筒
(74)【代理人】
【識別番号】100106091
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 直都
(74)【代理人】
【氏名又は名称】渡邉 彰
(74)【代理人】
【識別番号】100199369
【弁理士】
【氏名又は名称】玉井 尚之
(72)【発明者】
【氏名】香川 勝彦
(72)【発明者】
【氏名】桐村 苑実
【合議体】
【審判長】殿川 雅也
【審判官】藤本 義仁
【審判官】嵯峨根 多美
(56)【参考文献】
【文献】実開昭55-125265(JP,U)
【文献】特開2015-120595(JP,A)
【文献】特開2007-46341(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 75/00-75/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状物または糸状物の巻き取り可能な巻芯であって、
外筒と、
前記外筒の内部に前記外筒の軸と同軸に配置された内筒と、
少なくとも両筒が対向する両端の2箇所で、前記外筒と前記内筒の間に介在されて固定される平板状の環状プレートと、を有する巻芯であって、
各前記環状プレートの外周部は、前記外筒の内周面と接する少なくとも3つの外周側突出部が周方向に間隔をおいて設けられた輪郭形状を有しており、
各前記環状プレートの内周部は、前記内筒の外周面と接する少なくとも3つの内周側突出部が周方向に間隔をおいて設けられた輪郭形状を有しており、
前記外周部の全ての突出部と接する外接円の中心と、前記内周部の全ての突出部と接する内接円の中心とが一致している巻芯(但し、前記外周側突出部が前記内周面と接する外周側頂点の近傍において、当該外周側頂点が独立して、微分不可能な尖った点または変曲点を、前記外周側頂点を挟んで両側に有する場合、及び、前記内周側突出部が前記外周面と接する内周側頂点の近傍において、当該内周側頂点が独立して、微分不可能な尖った点または変曲点を、前記内周側頂点を挟んで両側に有する場合を除く)。
【請求項2】
前記外周部および前記内周部の少なくともいずれか1つが回転対称形の輪郭形状をして
いることを特徴とする請求項1に記載の巻芯。
【請求項3】
シート状物または糸状物の巻き取り可能な巻芯であって、
外筒と、
前記外筒の内部に前記外筒の軸と同軸に配置された内筒と、
少なくとも両筒が対向する両端の2箇所で、前記外筒と前記内筒の間に介在されて固定される平板状の環状プレートと、を有する巻芯であって、
各前記環状プレートの外周部は、前記外筒の内周面と接する少なくとも3つの外周側突出部が周方向に間隔をおいて設けられた輪郭形状を有しており、
各前記環状プレートの内周部は、前記内筒の外周面と接する少なくとも3つの内周側突出部が周方向に間隔をおいて設けられた輪郭形状を有しており、
前記外周部の全ての突出部と接する外接円の中心と、前記内周部の全ての突出部と接する内接円の中心とが一致しており、
前記外周側突出部の数は4以上の偶数であり、
前記内周側突出部の数は4以上の偶数であり、
前記内接円の中心と前記内周側突出部をつなぐ直線延長上には、前記外周側突出部が備えられていることを特徴とする巻芯。
【請求項4】
シート状物または糸状物の巻き取り可能な巻芯であって、
外筒と、
前記外筒の内部に前記外筒の軸と同軸に配置された内筒と、
少なくとも両筒が対向する両端の2箇所で、前記外筒と前記内筒の間に介在されて固定される平板状の環状プレートと、を有する巻芯であって、
各前記環状プレートの外周部は、前記外筒の内周面と接する少なくとも3つの外周側突出部が周方向に間隔をおいて設けられた輪郭形状を有しており、
各前記環状プレートの内周部は、前記内筒の外周面と接する円形の輪郭形状を有しており、
前記外周部の全ての外周側突出部と接する外接円の中心と、前記内周部の輪郭形状の中心とが一致している巻芯(但し、前記外周側突出部が前記内周面と接する外周側頂点の近傍において、当該外周側頂点が独立して、微分不可能な尖った点または変曲点を、前記外周側頂点を挟んで両側に有する場合を除く)。
【請求項5】
前記内筒、前記外筒および前記環状プレートが紙製であることを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の巻芯。
【請求項6】
前記内筒および前記外筒と、前記環状プレートとの間の隙間を塞ぐ封止部材が、前記巻芯の両端に設けられていることを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の巻芯。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルム等のシート状物や合成繊維などの糸条物を巻き取るための巻芯に関する。
【背景技術】
【0002】
一般の巻芯では、外径が小さいと巻き取ったフィルムに巻き癖(カール)が付くのを問題とされることがあり、大口径の巻芯が必要とされる場合がある。また、巻芯のチャック機構という機械的制約から、巻芯の内径を大きくできないという場合がある。巻芯の外径を大きくし、内径を小さくすると巻芯自体の重量が大きくなりすぎるので、大きな外径と小さな内径を要求するような仕様の場合には、複数の管を組合せたものが用いられることがある。
【0003】
複数の管を組み合わせる巻芯として、内筒、外筒およびこれら二筒の間に中筒を組み合わせたものがある。(特許文献1)。
【0004】
特許文献1に記載の巻芯は、内筒と、外筒と、内筒の外径にほぼ等しい内径を有するとともに、外筒の内径にほぼ等しい外径を有し、内筒と外筒の間に挿入される、中筒とを備えるものである。そして、この巻芯は、内筒の外周面、中筒の内周面および外周面、並びに外筒の内周面のうちの少なくとも一つに、複数枚のテープをこれらの縁部どうしがオーバーラップするように螺旋状に巻回してなる1つの層が形成され、複数枚のテープは、前記1つの層の中心軸に垂直な断面において円周をほぼ等分する複数の位置に前記複数枚のテープのオーバーラップ部に起因する凸条が配設されるような幅を有していることを特徴とする巻芯である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第4529026号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の発明では、内筒の外周面、中筒の内周面および外周面、並びに外筒の内周面のうちの少なくとも一つに、円周をほぼ等分する複数の位置に前記複数枚のテープのオーバーラップ部に起因する凸条が設けられているので、外筒と内筒とを同芯とすることに対する改善が行われている。
【0007】
しかしながら、内筒、外筒および中筒を紙製とした場合は、これらの筒は紙を芯金に巻いて製造されるため、内径側よりも外径側の方が真円度は悪くなり、中筒を外筒と内筒との間にはめ込む際に、その作業次第では、外筒と中筒との必要な同芯度を得るのに手間と熟練を要し、簡単に同芯度を得ることが難しい。そして、必要な同芯度が得られない場合には、これらの3筒のいずれかの外周を切削して真円度を出すという手間が必要になる場合がある。
【0008】
また、特許文献1に記載の中筒は内筒と外筒との間に挿入されるものであり、中筒自体の重量が重くなることによって、巻芯全体の重量が重くなってしまうという問題もある。
【0009】
本発明の目的は、内筒と外筒とを有する巻芯において、内筒と外筒との芯合わせが容易であり、巻芯自体が軽量である巻芯を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の課題解決手段による巻芯は、外筒と、前記外筒の内部に前記外筒の軸と同軸に配置された内筒と、少なくとも両筒が対向する両端の2箇所で、前記外筒と前記内筒の間に介在されて固定される環状プレートと、を有する巻芯であって、各前記環状プレートの外周部は、前記外筒の内周面と接する少なくとも3つの突出部が周方向に間隔をおいて設けられた輪郭形状を有しており、各前記環状プレートの内周部は、前記内筒の外周面と接する少なくとも3つの突出部が周方向に間隔をおいて設けられた輪郭形状を有しており、前記外周部の全ての突出部と接する外接円の中心と、前記内周部の全ての突出部と接する内接円の中心とが一致している巻芯である。
【0011】
外筒と内筒との間の環状空間に、両筒の軸に直交するように板状の環状プレートが介在し、この環状プレートは、両筒の間に押し込まれて固定される。環状プレートの外周部および内周部には少なくとも3つ以上の突出部が設けられ、外周部の突出部の外接円と内周部の突出部の内接円の中心が一致しているので、環状プレートに設けられた外周部の突出部と内周部の突出部とによって、外筒と内筒とは、同軸に軸合わせさせられることとなる。
【0012】
環状プレートの外周部および内周部に設けられる突出部は、尖った角を有するものや、突出部全体がカーブしたR形状であってもよい。外周部の突出部は、両筒の軸と直交する半径方向の外方向に突出しており、内周部の突出部は、両筒の軸と直交する半径方向の内方向に突出している。
【0013】
環状プレートは板状であるので、従来の中筒のように重くはなく、巻芯全体の軽量化も図ることができる。
【0014】
環状プレートは、巻芯の両端の2箇所に備えられているので、両端の2箇所で外筒と内筒との軸合わせを行うことによって、巻芯全体の軸合わせを容易に行うことができる。
【0015】
第2の課題解決手段による巻芯は、環状プレートの外周部および内周部の少なくともいずれか1つが回転対称形の輪郭形状をしていることを特徴とする第1の課題解決手段による巻芯である。
【0016】
環状プレートの外周部および内周部の少なくともいずれか1つが、回転対称形状をしているので、環状プレートの外周部の360度全体に渡って、環状プレートと外筒の内周面との接点および/または環状プレートと内筒の外周面との接点における押圧力のバランスをとることができる。このことにより、外筒と内筒との芯合わせを、回転対称形状を有していない環状プレートに比べてより容易に行うことができる。
【0017】
第3の課題解決手段による巻芯は、環状プレートの外周部に設けられた前記突出部の数が4以上の偶数であり、環状プレートの内周部に設けられた前記突出部の数が4以上の偶数であり、前記内接円の中心と前記内周部に設けられた突出部をつなぐ直線延長上には、前記外周部に設けられた突出部が備えられていることを特徴とする第1または第2の課題解決手段による巻芯である。
【0018】
環状プレートの外周部に設けられた突出部の数が4以上の偶数であり、環状プレートの内周部に設けられた突出部の数が4以上の偶数であり、内接円の中心と内周部に設けられた突出部をつなぐ直線延長上には、外周部に設けられた突出部が備えられている。このことによって、内周部の突出部と内筒の外周面との接点と、外周部の突出部と外筒の内周部との接点が、半径方向において同一直線上にあり、かつ、接点が周方向で180度対称位置にも存在するので、第1および第2の課題解決手段による巻芯と比べて、外筒と内筒との芯合わせを、より容易に行うことができる。
【0019】
第4の課題解決手段による巻芯は、外筒と、前記外筒の内部に前記外筒の軸と同軸に配置された内筒と、少なくとも両筒が対向する両端の2箇所で、前記外筒と前記内筒の間に介在されて固定される環状プレートと、を有する巻芯であって、各前記環状プレートの内周部は、前記内筒の外周面と接する少なくとも3つの突出部が周方向に間隔をおいて設けられた輪郭形状を有しており、各前記環状プレートの外周部は、前記外筒の内周面と接する円形の輪郭形状を有しており、前記内周部の全ての突出部と接する内接円の中心と、前記外周部の輪郭形状の中心とが一致している巻芯である。
【0020】
第4の課題解決手段による巻芯は、環状プレートの内周部が内筒の外周面と接する少なくとも3つの突出部が周方向に間隔をおいて設けられた輪郭形状を有しており、環状プレートの外周部が外筒の内周面と接する円形の輪郭形状を有しており、内周部の全ての突出部と接する内接円の中心と、外周部の輪郭形状の中心とが一致しているので、外筒と内筒との芯合わせを、容易に行うことができる。
【0021】
第5の課題解決手段による巻芯は、外筒と、前記外筒の内部に前記外筒の軸と同軸に配置された内筒と、少なくとも両筒が対向する両端の2箇所で、前記外筒と前記内筒の間に介在されて固定される環状プレートと、を有する巻芯であって、各前記環状プレートの外周部は、前記外筒の内周面と接する少なくとも3つの突出部が周方向に間隔をおいて設けられた輪郭形状を有しており、各前記環状プレートの内周部は、前記内筒の外周面と接する円形の輪郭形状を有しており、前記外周部の全ての突出部と接する外接円の中心と、前記内周部の輪郭形状の中心とが一致している巻芯である。
【0022】
第5の課題解決手段による巻芯は、環状プレートの外周部が外筒の内周面と接する少なくとも3つの突出部が周方向に間隔をおいて設けられた輪郭形状を有しており、環状プレートの内周部が内筒の外周面と接する円形の輪郭形状を有しており、外周部の全ての突出部と接する外接円の中心と、内周部の輪郭形状の中心とが一致しているので、外筒と内筒との芯合わせを、容易に行うことができる。
【0023】
第6の課題解決手段による巻芯は、前記内筒、前記外筒および前記環状プレートが紙製であることを特徴とする第1~第5の課題解決手段による巻芯のいずれか1つの巻芯である。
【0024】
第6の課題解決手段の巻芯は、内筒、外筒および環状プレートが解繊可能な紙製であることから、紙としてリサイクルできるという効果がある。
【0025】
第7の課題解決手段の巻芯は、内筒および前記外筒と、環状プレートとの間の隙間を塞ぐ封止部材が、前記巻芯の両端に設けられていることを特徴とする第1~第6の課題解決手段による巻芯のいずれか1つの巻芯である。
【0026】
第7の課題解決手段の巻芯には、内筒および外筒と、環状プレートとの間の隙間を塞ぐ封止部材が巻芯の両端に設けられているので、この封止部材によって、内筒および外筒と、環状プレートとの間の隙間を出入りする塵等を封止することができるので、巻芯に巻かれるフィルム等の塵等による汚染を防ぐことができる。
【発明の効果】
【0027】
この発明によると、内筒と外筒とを有する巻芯において、内筒と外筒との芯合わせが容易であり、巻芯自体が軽量である巻芯を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】この発明の巻芯の斜視図である。
図2】この発明の実施例1の環状プレートの平面図である。
図3】この発明の実施例2の環状プレートの平面図である。
図4】この発明の実施例3の環状プレートの平面図である。
図5】この発明の実施例4の環状プレートの平面図である。
図6】この発明の実施例4の環状プレートにおいて、内周部と外周部の接点の位置関係を示す図である。
図7】この発明の実施例5の巻芯の端部を示す図である。
図8】この発明の実施例6の巻芯の端部を示す図である。
図9】この発明の実施例7の巻芯の端部を示す図である。
図10】この発明の実施例8の巻芯の端部を示す図である。
図11】この発明の実施例9の巻芯の斜視図である。
図12】この発明の実施例10の巻芯の斜視透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の詳細を説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
【0030】
図1は、本発明の巻芯1を示すものであり、巻芯1は、外筒10と、外筒10の軸と同軸の軸を有する内筒20と、環状プレート30とを有している。環状プレート30の外周部は正八角形の形状で、各角が突出部となって外筒10の内周面11と接触している。また、環状プレート30の内周部は正八角形の辺が径方向内側にカーブした突出部を有しており、この突出部が内筒20の外周面21と接触している。外筒10の外径は254mmであり、内筒20の内径は76mmである。また、環状プレート30の厚みは15mmであるが、1mm~50mmが好ましい。環状プレート30の厚みが1mm未満であると巻芯1の強度が弱くなるおそれがあり、環状プレート30の厚みが50mm超であると環状プレート30の形成が難しくなるとともに巻芯1の重量が過大になるおそれがある。
【0031】
この環状プレート30の外周部の突出部の外接円の直径は、外筒10の内径と同径かわずかに大きく作られているので、環状プレート30を外筒10に挿入する際には押圧力を加えて行う。一方、環状プレート30の内周部の突出部の内接円の直径は、内筒20の外径と同径かわずかに小さく作られているので、環状プレート30を内筒10に挿入する際には押圧力を加えて行う。
【0032】
環状プレート30の外周部の外接円の中心と、環状プレート30の内周部の内接円の中心とが一致しているので、環状プレート30を外筒10の内周面11と、内筒20の外周面21とに擦り合わせるように押圧して挿入すると、外筒10と内筒20の軸を高精度で一致させることができる。
【0033】
環状プレート30は、板状材料からトムソン抜型による打ち抜き可能で製作することができ、トムソン抜型を装着する金型の精度を上げることによって、外接円と内接円の中心を高精度で一致させることが可能である。このような抜型で形成された環状プレート30を使って、外筒10と内筒20の同軸度を0.2mm以下とすることができ、0.05mm以下の同軸度とすることも可能である。
【0034】
環状プレート30の外周部は正八角形の形状であり、突出部の先端は尖った角形状であるが、先端にR形状を形成することもできる。
【0035】
環状プレート30は、1枚のプレートから製作することができ、一枚のプレートから環状プレート30を製作する場合においては、厚み方向の断面形状は必ずしも同一形状でなくともよい。
【0036】
複数枚のプレートを積層して製作することもできる。複数枚のプレートを積層する場合は、同一形状に成形された厚みの薄いプレートを、積層後の形状が厚みの薄いプレートの形状を保ったまま積層することができる。また、積層するプレートを積層されるプレートに対して一定角度回転して積層することもできる。一定角度回転して積層する場合において、例えば、環状プレート30の外周部が8個の突出部を有していると、2枚のプレートを積層後には環状プレート30の外周部は16個の突出部を有することとなり、外周部の突出部の数が16個の環状プレート30を製作することができる。さらに、積層されるプレートは必ずしも同一形状のプレートでなくてもよく、例えば、外周部が8個の突出部を有しているプレートと外周部が6個の突出部を有しているプレートの2枚のプレートを積層することによって外周部に14個の突出部を有している環状プレート30の製作が可能となる。
【0037】
図1には描かれていないが、外筒10と内筒20の右側端部にも左側端部と同形状の環状プレート30が挿入されている。
【0038】
図2は、実施例1の環状プレート30の平面図である。環状プレート30の外周部には、8つの突出部33があり、この8つの突出部33の外接円37が一点鎖線で描かれている。環状プレートの内周部にも、8つの突出部34があり、この8つの突出部34の内接円38が一点鎖線で描かれている。そして、外接円37と内接円38の中心は中心点30cで一致している。
【0039】
図2の環状プレート30の外周部の輪郭線と内周部の輪郭線は、特に正多角形ではなく、この2つの輪郭線で描かれた形状に規則性はない。唯一の規則性は、外接円37と内接円38の中心が、中心点30cで一致していることである。
【0040】
図3は、実施例2の環状プレート30の平面図である。環状プレート30の外周部には、32個の突出部33があり、この32個の突出部33の外接円37が一点鎖線で描かれている。環状プレートの内周部にも、32個の突出部34があり、この32個の突出部34の内接円38が一点鎖線で描かれている。そして、外接円37と内接円38の中心は中心点30cで一致している。
【0041】
外周部の回転対称単位35aが両端矢印で示されており、外周部の輪郭線は32回回転対称の形状となっている。同じく、内周部の回転対称単位36aが両端矢印で示されており、内周部の輪郭線も32回回転対称の形状となっている。外周部および内周部の輪郭線が回転対称の形状であることによって、それぞれにおいて一周全体にわたってバランスがとれている。
【0042】
図4は、実施例3の環状プレート30の平面図である。環状プレート30の外周部には、18個の突出部33があり、この18個の突出部33の外接円37が一点鎖線で描かれている。環状プレート30の内周部には、16個の突出部34があり、この16個の突出部34の内接円38が一点鎖線で描かれている。そして、外接円37と内接円38の中心は中心点30cで一致している。
【0043】
外周部の回転対称単位35aが両端矢印で示されており、外周部の輪郭線は6回回転対称の形状となっている。また、内周部の回転対称単位36aが両端矢印で示されており、内周部の輪郭線は8回回転対称の形状となっている。外周部および内周部の輪郭線が回転対称の形状であることによって、それぞれにおいて一周全体にわたってバランスがとれている。
【0044】
図5は、実施例4の環状プレート30の平面図である。環状プレート30の外周部には、12個の突出部33があり、この12個の突出部33の外接円37が一点鎖線で描かれている。環状プレート30の内周部には、8個の突出部34があり、この8個の突出部34の内接円38が一点鎖線で描かれている。そして、外接円37と内接円38の中心は中心点30cで一致している。
【0045】
外周部の回転対称単位35aが両端矢印で示されており、外周部の輪郭線は12回回転対称の形状となっている。また、内周部の回転対称単位36aが両端矢印で示されており、内周部の輪郭線は4回回転対称の形状となっている。外周部および内周部の輪郭線が回転対称の形状であることによって、それぞれにおいて一周全体にわたってバランスがとれている。
【0046】
図6は、実施例4の環状プレート30の平面図であり、環状プレート30と外筒10および内筒20との接触点の位置関係を示している。内周部の突出部34と内接円38との8個の接点をPi(iは1~8)の符号で示し、その位置を黒塗り星印で示している。中心点30cから半径方向に、接点Piを通って直線を引き(点線)、その線を順にLi(iは1~8)と符号をつけている。外周部の突出部33と外接円37との接点をQi(iは1~12)の符号で示し、その位置に白抜き星印で示している。
【0047】
内周部の接点Piにおいて、環状プレート30は、半径方向の外向きに内筒20の外周面21から力を受ける。その力を接点Piから外向きの矢印として表している。一方、外周部の接点Qiにおいて、環状プレート30は、半径方向の内向きに外筒10の内周面11から力を受ける。その力を接点Qiから内向きの矢印として表している。これらの外向きの力と内向きの力の均衡によって、環状プレート30の変形を少なくすることができる。また、これらの力は、180度対称位置に発生しているので、環状プレート30と外筒10および内筒20とのバランスをとることができ、外筒10と内筒20との同軸度の精度を上げることができる。
【0048】
図7は、実施例5の巻芯の端部を示す正面図である。巻芯1は、外筒10と内筒20と環状プレート30を有し、環状プレート30の外周部の外郭ライン31は正八角形の形状で、外筒内周面11と接触する個所には接着剤42が塗られており、この接着剤42によって外筒10と環状プレート30とは強固に接合される。同じく、環状プレート30の内周部の内郭ライン32は8個の突出部34を有する形状で、内筒外周面21と接触する個所には接着剤42が塗られており、この接着剤42によって内筒20と環状プレート30とは強固に接合される。接着剤としては、特に指定はないが、ホットメルトタイプの接着剤が好ましい。
【0049】
図8は、実施例6の巻芯の端部を示す正面図である。巻芯1は、外筒10と内筒20と環状プレート30を有し、環状プレート30の外周部の外郭ライン31は、実施例5の環状プレートの8個の突出部にV型の切り欠きが設けられた形状になっている。同じく、環状プレート30の内周部の内郭ライン32は、実施例5の環状プレートの8個の突出部にV型の切り欠きが設けられた形状になっている。このV型の切り欠きがあることによって、環状プレート30と外筒10および内筒20との接点の数は実施例5に比べて2倍となっている。接点の数を増やすことによって、環状プレート30と外筒10および内筒20との固定力を上げることができる。
【0050】
図9は、実施例7の巻芯の端部を示す正面図である。巻芯1の環状プレート30の外周部の外郭ライン31は正八角形の形状で、外筒内周面11と接触する個所には接着剤42が塗られており、この接着剤42によって外筒10と環状プレート30とは強固に接合される。一方、内周部の内郭ライン32は円形状であり、内筒20の外周面21とはめ合わされており、内筒20と環状プレート30とは、釘41または波釘41によって固定されている。釘41は図9に示すように境界線に打ち込まれてもよく、あるいは境界面に対して斜めに打ち込まれてもよい。
【0051】
図10は、実施例8の巻芯の端部を示す正面図である。実施例7とは逆に、外郭ライン31が円形状で、内郭ライン32は8箇所の突出部34を有する形状であり、内筒外周面21と接触する個所には接着剤42が塗られており、この接着剤42によって内筒20と環状プレート30とは強固に接合される。一方、外周部の外郭ライン31は円形状であり、外筒10の内周面11とはめ合わされており、外筒10と環状プレート30とは、釘41または波釘41によって固定されている。釘41は図10に示すように境界線に打ち込まれてもよく、あるいは境界面に対して斜めに打ち込まれてもよい。
【0052】
図11は、実施例9の巻芯の斜視図であり、巻芯の左右端には、外筒10と環状プレート30との隙間および内筒20と環状プレート30との隙間を塞ぐ封止部材50が備えられている。封止部材50には、貫通孔51が設けられており、この貫通孔51の直径は、内筒20の外径よりわずかに小さく、内筒20の内径よりもわずかに大きく形成されるのが好ましい。また、封止部材50の外径は、外筒10の外径と同寸かわずかに小さく形成されることが好ましい。
【0053】
外筒10、内筒20、環状プレート30および封止部材50は、紙製、木製、樹脂製、金属製のいずれを用いてもよいが、紙製であると紙としてリサイクルできるという効果がある。また、環状プレート30および封止部材50としては、中密度繊維板(MDF;medium density fiberboard)のような木質繊維を原料とする成型板も使用することができる。
【0054】
図12は、実施例10の巻芯の斜視透視図を示すもので、環状プレート30は、左右両端部以外に、巻芯の中央部にも1つ備えられている。環状プレート30の数をこのように増やし強度を上げることによって、巻芯のたわみ等を防止することができる。
【符号の説明】
【0055】
1・・・巻芯
10・・・外筒
11・・・外筒内周面
20・・・内筒
21・・・内筒外周面
30・・・環状プレート
30c・・中心点
31・・・外郭ライン
32・・・内郭ライン
33・・・外周部の突出部
34・・・内周部の突出部
35a・・外周部の回転対称単位
36a・・内周部の回転対称単位
37・・・外接円
38・・・内接円
41・・・釘
42・・・接着剤
50・・・封止部材
51・・・貫通孔
Pi・・・内周部の接点
Qi・・・外周部の接点

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12