(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-29
(45)【発行日】2024-03-08
(54)【発明の名称】キャップ
(51)【国際特許分類】
B65D 51/22 20060101AFI20240301BHJP
B65D 47/08 20060101ALI20240301BHJP
【FI】
B65D51/22 120
B65D47/08 100
(21)【出願番号】P 2019227794
(22)【出願日】2019-12-18
【審査請求日】2022-12-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000175397
【氏名又は名称】三笠産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】弁理士法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮田 由弘
【審査官】長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-071762(JP,A)
【文献】特開2013-209106(JP,A)
【文献】特開2017-210297(JP,A)
【文献】特開2012-030849(JP,A)
【文献】特開2018-167848(JP,A)
【文献】特開2006-044752(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 51/22
B65D 47/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器に取り付けられるキャップ本体と、キャップ本体にヒンジを介して開閉自在に装着される蓋とを有し、
キャップ本体は周囲が破断可能な弱化部で囲まれた離脱部材を有し、
蓋を開くことにより、弱化部が破断して離脱部材がキャップ本体から離脱し、キャップ本体に注出孔が形成されるキャップであって、
離脱部材は離脱側筒を有し、
離脱側筒は内周側に屈曲した離脱側屈曲片を有し、
蓋は閉じた状態で離脱側筒内に挿入される蓋側挿入体を有し、
蓋側挿入体は外周側に屈曲した蓋側屈曲片を有し、
離脱側屈曲片と蓋側屈曲片とは離脱側筒の内周と蓋側挿入体の外周との間に位置し、
蓋を開く際、蓋側屈曲片が開方向において離脱側屈曲片に係合し、
蓋側屈曲片が離脱側屈曲片に係合した際、離脱側筒が径方向外側に変形するのを防止する変形防止部材が蓋に設けられて
おり、
蓋を開く際、離脱側屈曲片が屈曲方向とは反対の脱抜方向へ反転して離脱側筒の内周と蓋側挿入体の外周との間から抜け出すのを防止する第1脱抜防止部材が蓋側挿入体に設けられていることを特徴とするキャップ。
【請求項2】
容器に取り付けられるキャップ本体と、キャップ本体にヒンジを介して開閉自在に装着される蓋とを有し、
キャップ本体は周囲が破断可能な弱化部で囲まれた離脱部材を有し、
蓋を開くことにより、弱化部が破断して離脱部材がキャップ本体から離脱し、キャップ本体に注出孔が形成されるキャップであって、
離脱部材は離脱側筒を有し、
離脱側筒は内周側に屈曲した離脱側屈曲片を有し、
蓋は閉じた状態で離脱側筒内に挿入される蓋側挿入体を有し、
蓋側挿入体は外周側に屈曲した蓋側屈曲片を有し、
離脱側屈曲片と蓋側屈曲片とは離脱側筒の内周と蓋側挿入体の外周との間に位置し、
蓋を開く際、蓋側屈曲片が開方向において離脱側屈曲片に係合し、
蓋側屈曲片が離脱側屈曲片に係合した際、離脱側筒が径方向外側に変形するのを防止する変形防止部材が蓋に設けられており、
蓋を開く際、蓋側屈曲片が屈曲方向とは反対の脱抜方向へ反転して離脱側筒の内周と蓋側挿入体の外周との間から抜け出すのを防止する第2脱抜防止部材が離脱側筒に設けられていることを特徴とするキャップ。
【請求項3】
容器に取り付けられるキャップ本体と、キャップ本体にヒンジを介して開閉自在に装着される蓋とを有し、
キャップ本体は周囲が破断可能な弱化部で囲まれた離脱部材を有し、
蓋を開くことにより、弱化部が破断して離脱部材がキャップ本体から離脱し、キャップ本体に注出孔が形成されるキャップであって、
離脱部材は離脱側筒を有し、
離脱側筒は外周側に屈曲した離脱側屈曲片を有し、
蓋は閉じた状態で離脱側筒に外嵌される蓋側筒を有し、
蓋側筒は内周側に屈曲した蓋側屈曲片を有し、
離脱側屈曲片と蓋側屈曲片とは離脱側筒の外周と蓋側筒の内周との間に位置し、
蓋を開く際、蓋側屈曲片が開方向において離脱側屈曲片に係合し、
蓋側屈曲片が離脱側屈曲片に係合した際、離脱側筒が径方向内側に変形するのを防止する変形防止部材が蓋に設けられており、
蓋を開く際、離脱側屈曲片が屈曲方向とは反対の脱抜方向へ反転して離脱側筒の外周と蓋側筒の内周との間から抜け出すのを防止する第1脱抜防止部材が蓋側筒に設けられていることを特徴とするキャップ。
【請求項4】
容器に取り付けられるキャップ本体と、キャップ本体にヒンジを介して開閉自在に装着される蓋とを有し、
キャップ本体は周囲が破断可能な弱化部で囲まれた離脱部材を有し、
蓋を開くことにより、弱化部が破断して離脱部材がキャップ本体から離脱し、キャップ本体に注出孔が形成されるキャップであって、
離脱部材は離脱側筒を有し、
離脱側筒は外周側に屈曲した離脱側屈曲片を有し、
蓋は閉じた状態で離脱側筒に外嵌される蓋側筒を有し、
蓋側筒は内周側に屈曲した蓋側屈曲片を有し、
離脱側屈曲片と蓋側屈曲片とは離脱側筒の外周と蓋側筒の内周との間に位置し、
蓋を開く際、蓋側屈曲片が開方向において離脱側屈曲片に係合し、
蓋側屈曲片が離脱側屈曲片に係合した際、離脱側筒が径方向内側に変形するのを防止する変形防止部材が蓋に設けられて
おり、
蓋を開く際、蓋側屈曲片が屈曲方向とは反対の脱抜方向へ反転して離脱側筒の外周と蓋側筒の内周との間から抜け出すのを防止する第2脱抜防止部材が離脱側筒に設けられていることを特徴とするキャップ。
【請求項5】
キャップ本体は注出筒を有し、
弱化部と離脱部材とは注出筒内に設けられ、
弱化部は、離脱部材に対してヒンジとは反対側の箇所において、水平面に対し、注出筒の内周側から離脱部材の外周側に向かって斜め上向きに傾斜していることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のキャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弱化部が破断して離脱部材がキャップ本体から離脱することにより、キャップ本体に注出孔が形成されるキャップに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のキャップとしては、例えば
図12,
図13に示すように、容器101に固着される中栓102と、中栓102に取り付けられる外蓋103とを有するものがある。
【0003】
外蓋103は、中栓102に被嵌される静止部104と、静止部104にヒンジ105を介して開閉自在に接続された蓋本体106とを有している。
【0004】
中栓102は周囲が破断可能な弱化部107で囲まれた離脱部材108を有している。離脱部材108は上向きに延びた延出板109を有し、延出板109の上端には一対の中栓側フラップ110が設けられている。
【0005】
蓋本体106には、下方が開口した矩形筒片111が設けられている。矩形筒片111の下端には一対の蓋側フラップ112が設けられている。
【0006】
図12の実線および
図13に示すように、キャップ100が未開封な状態では、延出板109が下方から矩形筒片111内に挿入され、中栓側フラップ110は、矩形筒片111内で、先端部を斜め下向きにした姿勢で屈曲している。また、蓋側フラップ112は、矩形筒片111内で、先端部を斜め上向きにした姿勢で屈曲しており、中栓側フラップ110よりも下方に位置している。
【0007】
図12の仮想線で示すように未開封のキャップ100の蓋本体106を開いた際、
図14に示すように、蓋本体106と共に矩形筒片111が上方へ移動し、蓋側フラップ112が下方から中栓側フラップ110に係合するため、中栓側フラップ110に上向きの力が作用し、離脱部材108が上方に引っ張られて、弱化部107が破断し、
図15に示すように、離脱部材108が中栓102から離脱して、中栓102に注出孔113が形成される。
【0008】
尚、上記のようなキャップ100は例えば下記特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら上記の従来形式では、
図14に示すように、蓋本体106が開方向Oへ回動し、蓋側フラップ112が下方から中栓側フラップ110に係合して、中栓側フラップ110に上向きの力が作用した際、矩形筒片111の下部が中栓側フラップ110に押されて外側に変形し、蓋側フラップ112が中栓側フラップ110から外側へ逃げて、蓋側フラップ112と中栓側フラップ110との係合が不十分になり、上向きの力が十分に蓋本体106から離脱部材108に伝わらないといった問題がある。
【0011】
本発明は、未開封のキャップを開封する際、蓋側屈曲片と離脱側屈曲片とが十分に係合するキャップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本第1発明は、容器に取り付けられるキャップ本体と、キャップ本体にヒンジを介して開閉自在に装着される蓋とを有し、
キャップ本体は周囲が破断可能な弱化部で囲まれた離脱部材を有し、
蓋を開くことにより、弱化部が破断して離脱部材がキャップ本体から離脱し、キャップ本体に注出孔が形成されるキャップであって、
離脱部材は離脱側筒を有し、
離脱側筒は内周側に屈曲した離脱側屈曲片を有し、
蓋は閉じた状態で離脱側筒内に挿入される蓋側挿入体を有し、
蓋側挿入体は外周側に屈曲した蓋側屈曲片を有し、
離脱側屈曲片と蓋側屈曲片とは離脱側筒の内周と蓋側挿入体の外周との間に位置し、
蓋を開く際、蓋側屈曲片が開方向において離脱側屈曲片に係合し、
蓋側屈曲片が離脱側屈曲片に係合した際、離脱側筒が径方向外側に変形するのを防止する変形防止部材が蓋に設けられており、
蓋を開く際、離脱側屈曲片が屈曲方向とは反対の脱抜方向へ反転して離脱側筒の内周と蓋側挿入体の外周との間から抜け出すのを防止する第1脱抜防止部材が蓋側挿入体に設けられているものである。
【0013】
これによると、未開封のキャップを開封する際、蓋を開くことにより、蓋側屈曲片が開方向において離脱側屈曲片に係合し、蓋の開方向の力が離脱側屈曲片に作用し、離脱部材が蓋の開方向に引っ張られて、弱化部が破断し、離脱部材がキャップ本体から離脱して、キャップ本体に注出孔が形成される。
【0014】
変形防止部材が離脱側筒の径方向外側への変形を防止しているため、蓋側屈曲片が離脱側屈曲片に係合した際、離脱側筒が径方向外側に変形するのを防止することができる。これにより、離脱側屈曲片が蓋側屈曲片から外側へ逃げることはなく、蓋側屈曲片と離脱側屈曲片とが十分に係合し、開方向の力が十分に蓋から離脱部材に伝わる。
【0016】
また、蓋を開く際、第1脱抜防止部材は離脱側屈曲片が脱抜方向へ反転して離脱側筒の内周と蓋側挿入体の外周との間から抜け出すことを防止するため、蓋側屈曲片と離脱側屈曲片とが十分に係合する。
【0017】
本第2発明は、容器に取り付けられるキャップ本体と、キャップ本体にヒンジを介して開閉自在に装着される蓋とを有し、
キャップ本体は周囲が破断可能な弱化部で囲まれた離脱部材を有し、
蓋を開くことにより、弱化部が破断して離脱部材がキャップ本体から離脱し、キャップ本体に注出孔が形成されるキャップであって、
離脱部材は離脱側筒を有し、
離脱側筒は内周側に屈曲した離脱側屈曲片を有し、
蓋は閉じた状態で離脱側筒内に挿入される蓋側挿入体を有し、
蓋側挿入体は外周側に屈曲した蓋側屈曲片を有し、
離脱側屈曲片と蓋側屈曲片とは離脱側筒の内周と蓋側挿入体の外周との間に位置し、
蓋を開く際、蓋側屈曲片が開方向において離脱側屈曲片に係合し、
蓋側屈曲片が離脱側屈曲片に係合した際、離脱側筒が径方向外側に変形するのを防止する変形防止部材が蓋に設けられており、
蓋を開く際、蓋側屈曲片が屈曲方向とは反対の脱抜方向へ反転して離脱側筒の内周と蓋側挿入体の外周との間から抜け出すのを防止する第2脱抜防止部材が離脱側筒に設けられているものである。
【0018】
これによると、蓋を開く際、第2脱抜防止部材は蓋側屈曲片が脱抜方向へ反転して離脱側筒の内周と蓋側挿入体の外周との間から抜け出すことを防止するため、蓋側屈曲片と離脱側屈曲片とが十分に係合する。
【0019】
本第3発明は、容器に取り付けられるキャップ本体と、キャップ本体にヒンジを介して開閉自在に装着される蓋とを有し、
キャップ本体は周囲が破断可能な弱化部で囲まれた離脱部材を有し、
蓋を開くことにより、弱化部が破断して離脱部材がキャップ本体から離脱し、キャップ本体に注出孔が形成されるキャップであって、
離脱部材は離脱側筒を有し、
離脱側筒は外周側に屈曲した離脱側屈曲片を有し、
蓋は閉じた状態で離脱側筒に外嵌される蓋側筒を有し、
蓋側筒は内周側に屈曲した蓋側屈曲片を有し、
離脱側屈曲片と蓋側屈曲片とは離脱側筒の外周と蓋側筒の内周との間に位置し、
蓋を開く際、蓋側屈曲片が開方向において離脱側屈曲片に係合し、
蓋側屈曲片が離脱側屈曲片に係合した際、離脱側筒が径方向内側に変形するのを防止する変形防止部材が蓋に設けられており、
蓋を開く際、離脱側屈曲片が屈曲方向とは反対の脱抜方向へ反転して離脱側筒の外周と蓋側筒の内周との間から抜け出すのを防止する第1脱抜防止部材が蓋側筒に設けられているものである。
【0020】
これによると、未開封のキャップを開封する際、蓋を開くことにより、蓋側屈曲片が開方向において離脱側屈曲片に係合し、蓋の開方向の力が離脱側屈曲片に作用し、離脱部材が蓋の開方向に引っ張られて、弱化部が破断し、離脱部材がキャップ本体から離脱して、キャップ本体に注出孔が形成される。
【0021】
変形防止部材が離脱側筒の径方向内側への変形を防止しているため、蓋側屈曲片が離脱側屈曲片に係合した際、離脱側筒が径方向内側に変形するのを防止することができる。これにより、離脱側屈曲片が蓋側屈曲片から内側へ逃げることはなく、蓋側屈曲片と離脱側屈曲片とが十分に係合し、開方向の力が十分に蓋から離脱部材に伝わる。
【0023】
また、蓋を開く際、第1脱抜防止部材は離脱側屈曲片が脱抜方向へ反転して離脱側筒の外周と蓋側筒の内周との間から抜け出すことを防止するため、蓋側屈曲片と離脱側屈曲片とが十分に係合する。
【0024】
本第4発明は、容器に取り付けられるキャップ本体と、キャップ本体にヒンジを介して開閉自在に装着される蓋とを有し、
キャップ本体は周囲が破断可能な弱化部で囲まれた離脱部材を有し、
蓋を開くことにより、弱化部が破断して離脱部材がキャップ本体から離脱し、キャップ本体に注出孔が形成されるキャップであって、
離脱部材は離脱側筒を有し、
離脱側筒は外周側に屈曲した離脱側屈曲片を有し、
蓋は閉じた状態で離脱側筒に外嵌される蓋側筒を有し、
蓋側筒は内周側に屈曲した蓋側屈曲片を有し、
離脱側屈曲片と蓋側屈曲片とは離脱側筒の外周と蓋側筒の内周との間に位置し、
蓋を開く際、蓋側屈曲片が開方向において離脱側屈曲片に係合し、
蓋側屈曲片が離脱側屈曲片に係合した際、離脱側筒が径方向内側に変形するのを防止する変形防止部材が蓋に設けられており、
蓋を開く際、蓋側屈曲片が屈曲方向とは反対の脱抜方向へ反転して離脱側筒の外周と蓋側筒の内周との間から抜け出すのを防止する第2脱抜防止部材が離脱側筒に設けられているものである。
【0025】
これによると、蓋を開く際、第2脱抜防止部材は蓋側屈曲片が脱抜方向へ反転して離脱側筒の外周と蓋側筒の内周との間から抜け出すことを防止するため、蓋側屈曲片と離脱側屈曲片とが十分に係合する。
【0026】
本第5発明におけるキャップは、キャップ本体は注出筒を有し、
弱化部と離脱部材とは注出筒内に設けられ、
弱化部は、離脱部材に対してヒンジとは反対側の箇所において、水平面に対し、注出筒の内周側から離脱部材の外周側に向かって斜め上向きに傾斜しているものである。
【0027】
これによると、未開封のキャップの蓋を開いている際、弱化部は、ヒンジとは反対側の箇所が最初に破断し始め、その後、ヒンジに接近しながら連続的に破断していく。ここで、弱化部はヒンジとは反対側の箇所において斜め上向きに傾斜しているため、弱化部が最初に破断する際の抵抗が低減され、弱化部の破断がスムーズに行える。
【発明の効果】
【0028】
以上のように本発明によると、蓋側屈曲片が離脱側屈曲片に係合した際、離脱側筒が径方向外側又は内側に変形するのを防止することができるため、離脱側屈曲片が蓋側屈曲片から外側又は内側へ逃げることはなく、蓋側屈曲片と離脱側屈曲片とが十分に係合し、開方向の力が十分に蓋から離脱部材に伝わる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の第1の実施の形態におけるキャップの断面図であり、未開封の状態を示す。
【
図2】同、キャップのヒンジ反対側箇所における弱化部の拡大断面図である。
【
図3】同、キャップのヒンジ側箇所における弱化部の拡大断面図である。
【
図4】同、キャップの離脱側屈曲片と蓋側屈曲片の部分の拡大断面図である。
【
図5】同、キャップの断面図であり、蓋を閉じて容器に取り付ける前の開状態を示す。
【
図7】同、キャップの断面図であり、未開封の状態から蓋を僅かに開いた様子を示す。
【
図8】同、キャップの断面図であり、未開封の状態から蓋をさらに開いた様子を示す。
【
図9】同、キャップの断面図であり、未開封の状態から蓋を完全に開いた様子を示す。
【
図10】本発明の第2の実施の形態におけるキャップの断面図であり、未開封の状態を示す。
【
図11】同、キャップの離脱側屈曲片と蓋側屈曲片の部分の拡大断面図である。
【
図12】従来のキャップの断面図であり、未開封の状態を示す。
【
図14】同、キャップの断面図であり、未開封の状態から蓋を僅かに開いた様子を示す。
【
図15】同、キャップの断面図であり、未開封の状態から蓋をさらに開いた様子を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明における実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0031】
(第1の実施の形態)
第1の実施の形態では、
図1は未開封のキャップ1の断面を示しており、このキャップ1は、ペットボトル等の容器2に取り付けられるキャップ本体5と、キャップ本体5にヒンジ6を介して開閉自在に装着される蓋7とを有している。
【0032】
キャップ本体5は、円筒状の注出筒10と、注出筒10の下部外側を取り囲むように設けられた円筒状の胴部11と、胴部11の上端と注出筒10の外周との間に設けられた頂壁部12と、頂壁部12の下方で且つ注出筒10と胴部11との間に全周にわたり形成された取付溝13と、周囲が破断可能な弱化部15で囲まれた離脱部材16とを有している。
【0033】
容器2の口部3が下方から取付溝13に嵌め込まれることにより、キャップ本体5が容器2に取り付けられる。
【0034】
弱化部15と離脱部材16とは注出筒10内に設けられている。離脱部材16は円筒状の離脱側筒20と、離脱側筒20の底部に設けられた円盤状の底板部21とを有している。
【0035】
弱化部15は注出筒10の底部23と離脱部材16の下部外周との間に全周にわたり形成されており、弱化部15の厚さは注出筒10の底部23の厚さよりも薄い。また、
図1,
図2に示すように、弱化部15は、離脱部材16に対してヒンジ6とは反対側の箇所A(以下、ヒンジ反対側箇所Aという)において、水平面に対し、注出筒10の内周側から離脱部材16の外周側に向かって所定角度Bで斜め上向きに傾斜している。尚、所定角度Bは例えば約30°に設定されている。
【0036】
また、
図1,
図3に示すように、弱化部15は、離脱部材16に対してヒンジ6が設けられている側の箇所C(以下、ヒンジ側箇所Cという)において、傾斜せず、水平方向に設けられている。
【0037】
図1,
図4に示すように、離脱側筒20は、筒本体25と、筒本体25の先端部に全周にわたり形成された離脱側屈曲片26とを有している。
図5に示すように、離脱側屈曲片26は、斜め上向きの状態(仮想線参照)から斜め下向きに折り返されて(実線参照)、筒本体25の内周側に屈曲している。離脱側屈曲片26には、複数の切れ込み部27が周方向における複数箇所に形成されている。
【0038】
図1に示すように、蓋7は、円形の天板部28と、天板部28の外周縁から垂下された円筒状のスカート部29と、円筒状のシール部材30と、閉じた状態で離脱側筒20内に挿入される蓋側筒31(蓋側挿入体の一例)と、変形防止部材32とを有している。
【0039】
キャップ本体5の頂壁部12には、蓋7を閉じた状態で蓋7のスカート部29の内周に嵌め込まれて蓋7を係止する円形の係止環17が設けられている。係止環17は、先端部に、径方向外側へ突出する係止突部18を有している。
【0040】
蓋7のスカート部29の下端内周には、径方向内側へ突出する蓋側突部33が設けられている。
図1に示すように、蓋7を閉じた際、蓋側突部33が開方向O(下から上方向)において係止突部18に係合するとともに、シール部材30が注出筒10の先端内周に密接し、注出筒10の先端と蓋7との間が全周にわたりシールされる。
【0041】
図1,
図4に示すように、蓋側筒31は、天板部28に設けられた筒本体37と、筒本体37の先端部に全周にわたり形成された蓋側屈曲片38とを有している。蓋側屈曲片38は、
図5に示すように、蓋7を開いた状態において、斜め上向きの状態(仮想線参照)から斜め下向きに折り返されて(実線参照)、筒本体37の外周側に屈曲している。尚、折り返された蓋側屈曲片38の外周部には、複数の山谷からなる凹凸部39が形成されている。
【0042】
蓋7を開く際、蓋側屈曲片38が開方向O(下から上方向)において離脱側屈曲片26に係合する。また、
図1,
図4~
図6に示すように、変形防止部材32は、蓋側屈曲片38が離脱側屈曲片26に係合した際、離脱側筒20が径方向外側40に変形するのを防止するための部材であって、蓋側筒31よりも径方向外側に配置されて天板部28に設けられた円筒部41と、円筒部41の内周に設けられた複数の突部42とを有している。
【0043】
図1,
図4に示すように、円筒部41は離脱側筒20に外嵌されている。また、
図6に示すように、突部42は、円筒部41の内周面から径方向内側へ突出し、周方向における複数箇所に形成されている。
【0044】
図1,
図4に示すように、離脱側屈曲片26と蓋側屈曲片38とは離脱側筒20の内周と蓋側筒31の外周との間に位置する。
【0045】
蓋7を開く際、離脱側屈曲片26が屈曲方向とは反対の脱抜方向D(
図4参照)へ反転して離脱側筒20の内周と蓋側筒31の外周との間から抜け出すのを防止する複数の第1脱抜防止部材44が蓋側筒31の外周に設けられているとともに、蓋側屈曲片38が屈曲方向とは反対の脱抜方向E(
図4参照)へ反転して離脱側筒20の内周と蓋側筒31の外周との間から抜け出すのを防止する複数の第2脱抜防止部材45が離脱側筒20の内周に設けられている。
【0046】
図5,
図6に示すように、第1脱抜防止部材44は、蓋側筒31の周方向における複数箇所に設けられており、蓋側筒31の外周面から径方向外側へ突出している。
図4,
図5に示すように、第1脱抜防止部材44の下端(先端)には、蓋側筒31の外周面から蓋側筒31の径方向外側へ向けて上向きに傾斜した第1傾斜面47が形成されている。
【0047】
また、
図5,
図6に示すように、第2脱抜防止部材45は、離脱側筒20の周方向における複数箇所に設けられており、離脱側筒20の内周面から径方向内側へ突出している。
図4,
図5に示すように、第2脱抜防止部材45の上端(先端)には、離脱側筒20の内周面から離脱側筒20の径方向内側へ向けて下向きに傾斜した第2傾斜面48が形成されている。
【0048】
図1に示すように、離脱側筒20と蓋側筒31と変形防止部材32とは同一の第1中心軸51を有している。また、注出筒10と係止環17とスカート部29とシール部材30とは同一の第2中心軸52を有している。第1中心軸51は第2中心軸52に対してヒンジ反対側箇所A寄りに偏芯している。
【0049】
以下、上記構成における作用を説明する。
【0050】
図1に示した未開封のキャップ1を開封する際、蓋7を開くことにより、先ず、
図7に示すように、蓋側屈曲片38が下方から離脱側筒20の内周と離脱側屈曲片26との間に挿入されて離脱側屈曲片26に係合し、蓋7の開方向Oの力が離脱側屈曲片26に作用し、次に、
図8に示すように、離脱部材16が開方向Oに引っ張られて、弱化部15が破断し、離脱部材16がキャップ本体5から離脱し、その後、
図9に示すように、キャップ本体5の注出筒10の底部23に注出孔54が形成される。
【0051】
このとき、離脱側筒20の外周が変形防止部材32の突部42に当接することにより、蓋側屈曲片38が離脱側屈曲片26に係合した際、離脱側筒20が蓋側屈曲片38に押されて径方向外側40(
図4参照)に変形するのを防止することができる。これにより、離脱側屈曲片26が蓋側屈曲片38から外側へ逃げることはなく、蓋側屈曲片38と離脱側屈曲片26とが十分に係合し、開方向Oの力が十分に蓋7から離脱部材16に伝わる。
【0052】
また、上記のように蓋側屈曲片38が下方から離脱側屈曲片26に係合し、開方向Oの力が離脱側屈曲片26に作用した際、離脱側屈曲片26が第1脱抜防止部材44の第1傾斜面47に当接することにより、離脱側屈曲片26が脱抜方向D(
図4参照)へ反転して離脱側筒20の内周と蓋側筒31の外周との間から抜け出すのを防止することができるため、蓋側屈曲片38と離脱側屈曲片26とが十分に係合する。
【0053】
さらに、蓋側屈曲片38が第2脱抜防止部材45の第2傾斜面48に当接することにより、蓋側屈曲片38が脱抜方向E(
図4参照)へ反転して離脱側筒20の内周と蓋側筒31の外周との間から抜け出すのを防止することができるため、蓋側屈曲片38と離脱側屈曲片26とが十分に係合する。
【0054】
また、
図7に示すように、未開封のキャップ1の蓋7が僅かに開くと、ヒンジ反対側箇所Aにおいて、蓋側突部33が係止突部18から上方へ離間し、この時点で、弱化部15はヒンジ反対側箇所Aが最初に破断し始める。その後、
図8に示すように、蓋7がさらに開くと、弱化部15は、ヒンジ反対側箇所Aからヒンジ側箇所Cに向かって連続的に破断し、最終的にヒンジ側箇所Cが破断することにより、全周にわたって完全に破断する。これにより、
図9に示すように、離脱部材16がキャップ本体5から離脱する。ここで、
図2に示すように、弱化部15はヒンジ反対側箇所Aにおいて斜め上向きに所定角度Bで傾斜しているため、弱化部15が最初に破断する際の抵抗が低減され、弱化部15の破断がスムーズに行える。
【0055】
上記実施の形態では、蓋側挿入体の一例として、蓋側筒31を挙げたが、円筒構造の部材に限定されるものではなく、円柱構造の部材であってもよい。
【0056】
(第2の実施の形態)
以下に、第2の実施の形態を説明する。尚、先述した第1の実施の形態と同じ部材については同一の符号を付記して、詳細な説明を省略する。
【0057】
図10,
図11に示すように、離脱側筒20は、筒本体25と、筒本体25の先端部に全周にわたり形成された離脱側屈曲片26とを有している。離脱側屈曲片26は、斜め上向きから斜め下向きに折り返されて、筒本体25の外周側に屈曲している。
【0058】
蓋7は、円形の天板部28と、天板部28の外周縁から垂下された円筒状のスカート部29と、円筒状のシール部材30と、閉じた状態で離脱側筒20に外嵌される蓋側筒31と、変形防止部材32とを有している。
【0059】
蓋側筒31は、天板部28に設けられた筒本体37と、筒本体37の先端部に全周にわたり形成された蓋側屈曲片38とを有している。蓋側屈曲片38は、蓋7を閉じた状態において、斜め下向きから斜め上向きに折り返されて、筒本体37の内周側に屈曲している。
【0060】
蓋7を開く際、蓋側屈曲片38が開方向O(下から上方向)において離脱側屈曲片26に係合する。また、変形防止部材32は、蓋側屈曲片38が離脱側屈曲片26に係合した際、離脱側筒20が径方向内側55に変形するのを防止するための部材であって、蓋側筒31よりも径方向内側に配置されて天板部28に設けられた円筒部41と、円筒部41の外周に設けられた複数の突部42とを有している。
【0061】
円筒部41は離脱側筒20内に挿入されている。また、突部42は、円筒部41の外周面から径方向外側へ突出し、周方向における複数箇所に形成されている。
【0062】
離脱側屈曲片26と蓋側屈曲片38とは離脱側筒20の外周と蓋側筒31の内周との間に位置する。
【0063】
蓋7を開く際、離脱側屈曲片26が屈曲方向とは反対の脱抜方向Dへ反転して離脱側筒20の外周と蓋側筒31の内周との間から抜け出すのを防止する複数の第1脱抜防止部材44が蓋側筒31の内周に設けられているとともに、蓋側屈曲片38が屈曲方向とは反対の脱抜方向Eへ反転して離脱側筒20の外周と蓋側筒31の内周との間から抜け出すのを防止する複数の第2脱抜防止部材45が離脱側筒20の外周に設けられている。
【0064】
第1脱抜防止部材44は、蓋側筒31の周方向における複数箇所に設けられており、蓋側筒31の内周面から径方向内側へ突出している。また、第1脱抜防止部材44の下端(先端)には、蓋側筒31の内周面から蓋側筒31の径方向内側へ向けて上向きに傾斜した第1傾斜面47が形成されている。
【0065】
また、第2脱抜防止部材45は、離脱側筒20の周方向における複数箇所に設けられており、離脱側筒20の外周面から径方向外側へ突出している。また、第2脱抜防止部材45の上端(先端)には、離脱側筒20の外周面から離脱側筒20の径方向外側へ向けて下向きに傾斜した第2傾斜面48が形成されている。
【0066】
以下、上記構成における作用を説明する。
【0067】
未開封のキャップ1を開封する際、蓋7を開くことにより、蓋側屈曲片38が下方から離脱側筒20の外周と離脱側屈曲片26との間に挿入されて離脱側屈曲片26に係合し、蓋7の開方向Oの力が離脱側屈曲片26に作用し、離脱部材16が開方向Oに引っ張られて、弱化部15が破断し、離脱部材16がキャップ本体5から離脱して、キャップ本体5の注出筒10の底部23に注出孔54が形成される。
【0068】
このとき、離脱側筒20の内周が変形防止部材32の突部42に当接することにより、蓋側屈曲片38が離脱側屈曲片26に係合した際、離脱側筒20が蓋側屈曲片38に押されて径方向内側55(
図11参照)に変形するのを防止することができる。これにより、離脱側屈曲片26が蓋側屈曲片38から内側へ逃げることはなく、蓋側屈曲片38と離脱側屈曲片26とが十分に係合し、開方向Oの力が十分に蓋7から離脱部材16に伝わる。
【0069】
また、上記のように蓋側屈曲片38が下方から離脱側屈曲片26に係合し、開方向Oの力が離脱側屈曲片26に作用した際、離脱側屈曲片26が第1脱抜防止部材44の第1傾斜面47に当接することにより、離脱側屈曲片26が脱抜方向Dへ反転して離脱側筒20の外周と蓋側筒31の内周との間から抜け出すのを防止することができるため、蓋側屈曲片38と離脱側屈曲片26とが十分に係合する。
【0070】
さらに、蓋側屈曲片38が第2脱抜防止部材45の第2傾斜面48に当接することにより、蓋側屈曲片38が脱抜方向Eへ反転して離脱側筒20の外周と蓋側筒31の内周との間から抜け出すのを防止することができるため、蓋側屈曲片38と離脱側屈曲片26とが十分に係合する。
【符号の説明】
【0071】
1 キャップ
2 容器
5 キャップ本体
6 ヒンジ
7 蓋
10 注出筒
15 弱化部
16 離脱部材
20 離脱側筒
26 離脱側屈曲片
31 蓋側筒(蓋側挿入体)
32 変形防止部材
38 蓋側屈曲片
44 第1脱抜防止部材
45 第2脱抜防止部材
54 注出孔
A ヒンジ反対側箇所
D,E 脱抜方向
O 開方向