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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-29
(45)【発行日】2024-03-08
(54)【発明の名称】音波デバイス及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H03H 9/17 20060101AFI20240301BHJP
   H03H 3/02 20060101ALI20240301BHJP
【FI】
H03H9/17 F
H03H3/02 B
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019569965
(86)(22)【出願日】2019-06-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-12
(86)【国際出願番号】 CN2019093405
(87)【国際公開番号】W WO2020087957
(87)【国際公開日】2020-05-07
【審査請求日】2019-12-17
【審判番号】
【審判請求日】2022-12-21
(31)【優先権主張番号】201811291555.0
(32)【優先日】2018-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】519340020
【氏名又は名称】ウーハン イエンシー マイクロ コンポーネンツ カンパニーリミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リン リー-チン
(72)【発明者】
【氏名】リアオ ペイ-チュン
【合議体】
【審判長】高野 洋
【審判官】千葉 輝久
【審判官】土居 仁士
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-198233(JP,A)
【文献】特開2005-94728(JP,A)
【文献】特開2004-17171(JP,A)
【文献】特表2015-502074(JP,A)
【文献】特開2006-326806(JP,A)
【文献】国際公開第2012/127979(WO,A1)
【文献】特開2006-101005(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03H3/007-3/10
H03H9/00-9/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
音波デバイスであって、
ベース基板、並びに前記ベース基板に順に設置される第1電極層、圧電層及び第2電極層を備え、更に保護層を備え、
前記保護層が、少なくとも前記第2電極層における前記ベース基板から離れる面の上の第1位置に設置され、
前記第1位置が前記第2電極層上の第1重畳領域に対応する位置であり、前記第1重畳領域が、前記第1電極層、前記第2電極層及び前記圧電層の重畳領域における前記音波デバイスのアクティブエリアの所在する領域であり、
前記音波デバイスは、更に前記第1電極層における前記ベース基板から離れる面の上及び前記第2電極層における前記ベース基板から離れる面の上に設置される導電層を備え、前記保護層が、前記導電層と重畳しないように前記導電層を覆わない位置に設置され、
前記保護層は第1サブ保護層と第2サブ保護層を含み、
前記第1サブ保護層が、前記音波デバイスにおける前記ベース基板から離れる側の最外層の、前記第2電極層の前記ベース基板から離れる面の上の第2位置、及び前記圧電層における前記ベース基板から離れる面に設置され、前記第2位置が前記第2電極層上の第2重畳領域に対応し、且つ前記導電層を覆わない位置であり、前記第2重畳領域が前記第2電極層と前記圧電層との重畳領域を含み、前記第1サブ保護層が前記導電層と重畳することがなく、
前記第2サブ保護層が、前記第2電極層における前記ベース基板から離れる面の上の前記第1位置に設置され、前記第2サブ保護層が更に前記第1サブ保護層における前記ベース基板から離れる面の上に設置され、前記第1サブ保護層と前記第2サブ保護層とが一体に接続される
波デバイス。
【請求項2】
前記第2電極層における前記第1重畳領域に対応する部分と前記保護層との間の領域が中空である
請求項1に記載の音波デバイス。
【請求項3】
前記第2サブ保護層と前記第2電極層との間の領域が中空である
請求項に記載の音波デバイス。
【請求項4】
前記第1サブ保護層の所在する位置と前記第1重畳領域の所在する位置との間は、所定距離を有する
請求項に記載の音波デバイス。
【請求項5】
前記音波デバイスは更に、前記第2電極層、前記圧電層及び前記第1電極層を貫通する第1スルーホールと、前記第2サブ保護層を貫通する第2スルーホールとを備え、前記第2スルーホールが前記第1スルーホールと連通している
請求項に記載の音波デバイス。
【請求項6】
前記所定距離が0.001umより大きい、
請求項に記載の音波デバイス。
【請求項7】
前記第1サブ保護層の厚さ範囲が0.001um~200umであり、
前記第2サブ保護層の厚さ範囲が1um~200umである
請求項に記載の音波デバイス。
【請求項8】
音波デバイスの製造方法であって、
ベース基板を形成して、順に前記ベース基板に第1電極層、圧電層及び第2電極層を形成することと、
保護層を形成し、前記保護層が少なくとも前記第2電極層における前記ベース基板から離れる面の上の第1位置に形成されることと、を含み、
前記第1位置が前記第2電極層上の第1重畳領域に対応する位置であり、前記第1重畳領域が、前記第1電極層、前記第2電極層及び前記圧電層の重畳領域における前記音波デバイスのアクティブエリアの所在する領域であり、
前記製造方法は、更に、
前記第1電極層における前記ベース基板から離れる面の上、及び前記第2電極層における前記ベース基板から離れる面の上に導電層を形成することと、
前記保護層が、前記導電層と重畳しないように前記導電層を覆わない位置に形成されることと、を含み、
前記保護層は第1サブ保護層と第2サブ保護層を含み、保護層を形成することは、
前記音波デバイスにおける前記ベース基板から離れる側の最外層の、前記第2電極層の前記ベース基板から離れる面の上の第2位置、及び前記圧電層における前記ベース基板から離れる面に且つ前記導電層を覆わない位置に、前記第1サブ保護層を形成することであって、前記第1サブ保護層が前記導電層と重畳することがなく、前記第2位置が前記第2電極層上の第2重畳領域に対応し、且つ前記導電層を覆わない位置であり、前記第2重畳領域が前記第2電極層と前記圧電層との重畳領域を含むことと、
前記第2電極層における前記ベース基板から離れる面の上の前記第1位置及び前記第1サブ保護層における前記ベース基板から離れる面の上に、前記第2サブ保護層を形成することと、を含み、
前記第1サブ保護層と前記第2サブ保護層とが一体に接続される
波デバイスの製造方法。
【請求項9】
ベース基板を形成して、順に前記ベース基板に第1電極層、圧電層及び第2電極層を形成することは、
ベース基板を形成して、順に前記ベース基板に犠牲層、第1電極層、圧電層及び第2電極層を形成することを含む
請求項に記載の製造方法。
【請求項10】
ベース基板を形成して、順に前記ベース基板に犠牲層、第1電極層、圧電層及び第2電極層を形成した後、更に、
前記第2電極層、前記圧電層及び前記第1電極層を貫通する第1スルーホールを形成することを含み、
それに対応して、前記第2サブ保護層を形成した後、更に、
前記第2サブ保護層を貫通する、前記第1スルーホールと連通している第2スルーホールを形成することと、
前記第2スルーホール及び前記第1スルーホールによって、前記第1電極層と前記ベース基板との間の前記犠牲層を除去することと、を含む
請求項に記載の製造方法。
【請求項11】
ベース基板を形成して、順に前記ベース基板に犠牲層、第1電極層、圧電層及び第2電極層を形成した後、更に、
前記第2電極層、前記圧電層及び前記第1電極層を貫通する第1スルーホールを形成することを含み、
それに対応して、前記第2サブ保護層を形成する前に、更に、
前記第1スルーホールによって前記第1電極層と前記ベース基板との間の前記犠牲層を除去することを含む
請求項に記載の製造方法。
【請求項12】
前記第1スルーホールによって前記第1電極層と前記ベース基板との間の前記犠牲層を除去した後、更に、
前記音波デバイスの第1周波数を測定することと、
所定周波数に基づいて前記第1周波数を第2周波数に調整することと、を含み、前記第2周波数が前記所定周波数にマッチングする
請求項11に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2018年10月31日に提出した中国特許出願第201811291555.0号の優先権を主張し、ここで、該中国特許出願の全内容が本願の一部として援用される。
【0002】
本願は半導体分野における音波デバイスに関し、特に音波デバイス及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
近年、携帯電話等の通信装置が広く使用され、そして音波を用いた音波デバイスが通信装置及びデュプレクサ等のフィルタとして使用される場合もある。音波デバイスの例として、弾性表面波(SAW:Surface Acoustic Wave)を用いたデバイス、バルク音波(BAW:Bulk Acoustic Wave)を用いたデバイス等がある。圧電薄膜共振器はBAWを用いたデバイスであって、膜バルク音響共振器(FBAR:Film Bulk Acoustic Resonator)及びソリッドマウント共振器(SMR:Solidly Mounted Resonator)等を含む。膜バルク音響共振器はバルク音波フィルタを構成するコアデバイスであり、その性能の優劣はバルク音波フィルタの性能の優劣を決定する。
【0004】
しかしながら、音波デバイスの製造過程において、バンプ(Bump)の製造、ベース基板の薄化及び音波デバイスの切断等のプロセスが音波デバイスの共振領域に形成された「エアブリッジ」構造に影響し、更に共振領域に影響し、音波デバイスの性能も低下してしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記技術的問題を解決するために、本願の実施例は音波デバイス及びその製造方法を提供することを期待する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願の実施例は音波デバイスを提供し、前記デバイスはベース基板、並びに前記ベース基板に順に設置される第1電極層、圧電層及び第2電極層を備え、前記デバイスは更に保護層を備え、
前記保護層が少なくとも前記第2電極層における前記ベース基板から離れる面の上の第1位置に設置され、
前記第1位置が前記第2電極層上の第1重畳領域に対応する位置であり、前記第1重畳領域が前記第1電極層、前記第2電極層及び前記圧電層の重畳領域における前記音波デバイスのアクティブエリアの所在する領域である。
【0007】
本願の好適な実施例では、前記デバイスは、更に、前記第1電極層における前記ベース基板から離れる面の上及び前記第2電極層における前記ベース基板から離れる面の上に設置される導電層を備え、
前記保護層が前記導電層を覆わない位置に設置される。
【0008】
本願の好適な実施例では、前記第2電極層における前記第1重畳領域に対応する部分と前記保護層との間の領域が中空である。
【0009】
本願の好適な実施例では、前記保護層は第1サブ保護層と第2サブ保護層を含み、
前記第1サブ保護層が前記音波デバイスにおける前記ベース基板から離れる側の最外層の階層の面の上の、前記導電層を覆わない位置に設置され、
前記第2サブ保護層が前記第2電極層における前記ベース基板から離れる面の上の前記第1位置に設置され、
前記第2サブ保護層が更に前記第1サブ保護層における前記ベース基板から離れる面の上に設置され、
前記第1サブ保護層と前記第2サブ保護層とが一体に接続される。
【0010】
本願の好適な実施例では、前記第2サブ保護層と前記第2電極層との間の領域が中空である。
【0011】
本願の好適な実施例では、前記第1サブ保護層の所在する位置と前記第1重畳領域の所在する位置との間は、所定距離を有する。
【0012】
本願の好適な実施例では、前記デバイスは、更に、前記第2電極層、前記圧電層及び前記第1電極層を貫通する第1スルーホールと、前記第2サブ保護層を貫通する第2スルーホールと、を備え、前記第2スルーホールが前記第1スルーホールと連通している。
【0013】
本願の好適な実施例では、前記所定距離が0.001umより大きい。
【0014】
本願の好適な実施例では、前記第1サブ保護層の厚さ範囲が0.001um~200umであり、
前記第2サブ保護層の厚さ範囲が1um~200umである。
【0015】
本願の実施例は更に音波デバイスの製造方法を提供し、前記方法は、
ベース基板を形成して、順に前記ベース基板に第1電極層、圧電層及び第2電極層を形成することと、
保護層を形成し、前記保護層が少なくとも前記第2電極層における前記ベース基板から離れる面の上の第1位置に形成されることと、を含み、
前記第1位置が前記第2電極層上の第1重畳領域に対応する位置であり、前記第1重畳領域が前記第1電極層、前記第2電極層及び前記圧電層の重畳領域における前記音波デバイスのアクティブエリアの所在する領域である。
【0016】
本願の好適な実施例では、前記方法は、更に、
前記第1電極層における前記ベース基板から離れる面の上、及び前記第2電極層における前記ベース基板から離れる面の上に導電層を形成することと、
前記保護層が前記導電層を覆わない位置に形成されることと、を含む。
【0017】
本願の好適な実施例では、前記保護層は第1サブ保護層と第2サブ保護層を含み、保護層を形成することは、
前記音波デバイスにおける前記ベース基板から離れる側の最外層の階層の面の上の、前記導電層を覆わない位置に、前記第1サブ保護層を形成することと、
前記第2電極層における前記ベース基板から離れる面の上の前記第1位置及び前記第1サブ保護層における前記ベース基板から離れる面の上に、前記第2サブ保護層を形成することと、を含み、
前記第1サブ保護層と前記第2サブ保護層とが一体に接続される。
【0018】
本願の好適な実施例では、ベース基板を形成して、順に前記ベース基板に第1電極層、圧電層及び第2電極層を形成することは、
ベース基板を形成して、順に前記ベース基板に犠牲層、第1電極層、圧電層及び第2電極層を形成することを含む。
【0019】
本願の好適な実施例では、ベース基板を形成して、順に前記ベース基板に犠牲層、第1電極層、圧電層及び第2電極層を形成した後、更に、
前記第2電極層、前記圧電層及び前記第1電極層を貫通する第1スルーホールを形成することを含み、
それに対応して、前記第2サブ保護層を形成した後、更に、
前記第2サブ保護層を貫通する、前記第1スルーホールと連通している第2スルーホールを形成することと、
前記第2スルーホール及び前記第1スルーホールによって前記第1電極層と前記ベース基板との間の前記犠牲層を除去することと、を含む。
【0020】
本願の好適な実施例では、ベース基板を形成して、順に前記ベース基板に犠牲層、第1電極層、圧電層及び第2電極層を形成した後、更に、
前記第2電極層、前記圧電層及び前記第1電極層を貫通する第1スルーホールを形成することを含み、
それに対応して、前記第2サブ保護層を形成する前に、更に、
前記第1スルーホールによって前記第1電極層と前記ベース基板との間の前記犠牲層を除去することを含む。
【0021】
本願の好適な実施例では、前記第1スルーホールによって前記第1電極層と前記ベース基板との間の前記犠牲層を除去した後、更に、
前記音波デバイスの第1周波数を測定することと、
所定周波数に基づいて前記第1周波数を第2周波数に調整することと、を含み、前記第2周波数が前記所定周波数にマッチングする。
【発明の効果】
【0022】
本願の実施例に係る音波デバイス及びその製造方法において、該音波デバイスはベース基板、並びに順にベース基板に設置される第1電極層、圧電層及び第2電極層を備え、該音波デバイスは更に少なくとも第2電極層におけるベース基板から離れる面の上の第1位置に設置される保護層を備え、第1位置が第2電極層上の第1重畳領域に対応する位置であり、第1重畳領域が第1電極層、第2電極層及び圧電層の重畳領域における音波デバイスのアクティブエリアの所在する領域であり、このように、音波デバイスの第2電極層におけるベース基板から離れる面の上の第1位置に設置される保護層は音波デバイスの共振領域に形成される「エアブリッジ」構造を遮蔽・保護することができ、それにより音波デバイスの製造過程における製造プロセスが音波デバイスに形成される「エアブリッジ」構造に影響するという問題を解決し、音波デバイスの共振領域への影響を避け、更に音波デバイスの性能を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は本願の実施例に係る音波デバイスの構造模式図である。
図2図2は本願の実施例に係る他の音波デバイスの構造模式図である。
図3図3は本願の実施例に係る音波デバイスの製造方法のフローチャートである。
図4図4は本願の実施例に係る他の音波デバイスの製造方法のフローチャートである。
図5図5は本願の実施例に係る別の音波デバイスの製造方法のフローチャートである。
図6図6は本願の実施例に係る音波デバイスの製造過程における構造模式図である。
図7図7は本願の実施例に係る他の音波デバイスの製造過程における構造模式図である。
図8図8は本願の実施例に係る別の音波デバイスの製造過程における構造模式図である。
図9図9は本願の他の実施例に係る音波デバイスの製造方法のフローチャートである。
図10図10は本願の他の実施例に係る音波デバイスの製造過程における構造模式図である。
図11図11は本願の他の実施例に係る他の音波デバイスの製造過程における構造模式図である。
図12図12は本願の実施例に係る別の音波デバイスの構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本願の実施例の図面を参照しながら、本願の実施例の技術案を明確且つ完全に説明する。
【0025】
本願の実施例は音波デバイスを提供し、該音波デバイスはベース基板1、並びに順にベース基板1に設置される第1電極層2、圧電層3及び第2電極層4を備え、該音波デバイスは更に保護層5を備え、
保護層5が少なくとも第2電極層4におけるベース基板1から離れる面の上の第1位置に設置される。
【0026】
第1位置が第2電極層4上の第1重畳領域に対応する位置であり、第1重畳領域が第1電極層2、第2電極層4及び圧電層3の重畳領域における音波デバイスのアクティブエリアの所在する領域である。
【0027】
説明すべきことは、本実施例における保護される音波デバイスの構造において、保護層5が少なくとも第2電極層4におけるベース基板1から離れる面の上の第1位置に対応する部分に設置されることを例示するが、保護層5が該部分に設置しかできないことを制限しない。なお、本実施例において、保護層5が音波デバイスに形成された「エアブリッジ」構造における第2電極層4に接触しない。
【0028】
第1重畳領域は音波デバイスにおけるベース基板1に接近する方向に沿って順に第2電極層4、圧電層3及び第1電極層2を有する領域における音波デバイスのアクティブエリアの所在する領域を指してもよく、本願の実施例において、ベース基板1に接近する前記方向は、具体的に、ベース基板1から遠く離れる位置からベース基板1に接近する位置までの方向を指し、例えば図1における上から下までの方向(図1ではベース基板1が最下方に位置する)に対応すると理解される。
【0029】
具体的な実施例では、前記ベース基板1の上表面と前記第1電極層2の下表面との間に中空領域がある。前記第2電極層4、圧電層3及び第1電極層2との間の重畳した中空領域に位置する重畳部分は音波デバイスの「エアブリッジ」構造を構成することができ、該「エアブリッジ」構造の位置する領域が前記音波デバイスのアクティブエリアであり、本願の実施例において、保護層を設置する目的は主に音波デバイスの共振領域に形成された「エアブリッジ」構造を遮蔽・保護することであり、従って、前記保護層が少なくともアクティブエリアの上方に設置されると理解される。
【0030】
本願の他の実施例では、該音波デバイスは、更に、第1電極層2におけるベース基板1から離れる面の上及び第2電極層4におけるベース基板1から離れる面の上に設置される導電層6を備えてもよく、
保護層5が前記導電層6を覆わない位置に設置される。
【0031】
説明すべきことは、後続に導電層によって音波デバイスの周波数の測定及び校正を行うために、本願の実施例における保護層が導電層を覆うことがない。
【0032】
本願の他の実施例では、第2電極層4における第1重畳領域に対応する部分と保護層5との間の領域が中空である。
【0033】
つまり、本願の実施例において、保護層が音波デバイスに形成された「エアブリッジ」構造における第2電極層に直接接触せず、このように、保護層の音波デバイスの周波数への影響を避けることができる。
【0034】
本願の実施例に係る音波デバイスにおいて、該音波デバイスはベース基板、並びに順にベース基板に設置される第1電極層、圧電層及び第2電極層を備え、該音波デバイスは更に少なくとも第2電極層におけるベース基板から離れる面の上の第1位置に設置される保護層を備え、第1位置が第2電極層上の第1重畳領域に対応する位置であり、第1重畳領域が第1電極層、第2電極層及び圧電層の重畳領域であり、このように、該音波デバイスの第2電極層におけるベース基板から離れる面の上の第1位置に設置される保護層は音波デバイスの共振領域に形成された「エアブリッジ」構造を遮蔽・保護することができ、それにより音波デバイスの製造過程における製造プロセスが音波デバイスに形成された「エアブリッジ」構造に影響するという問題を解決し、音波デバイスの共振領域への影響を避け、更に音波デバイスの性能を向上させる。
【0035】
上記実施例に基づき、本願の実施例は音波デバイスを提供し、図1に示すように、該音波デバイスはベース基板1、順にベース基板1に設置される第1電極層2、圧電層3及び第2電極層4、並びに第1電極層2におけるベース基板1から離れる面の上及び第2電極層4におけるベース基板1から離れる面の上に設置される導電層6を備え、該音波デバイスは更に保護層5を備え、
保護層5は第1サブ保護層51及び第2サブ保護層52を含み、
第1サブ保護層51が音波デバイスにおけるベース基板1から離れる側の最外層の階層の面の上の、導電層6を覆わない位置に設置される。
【0036】
第2サブ保護層52が第2電極層4におけるベース基板1から離れる面の上の第1位置に設置される。
【0037】
第1位置が第2電極層4上の第1重畳領域に対応する位置であり、第1重畳領域が第1電極層2、第2電極層4及び圧電層3の重畳領域における音波デバイスのアクティブエリアの所在する領域である。
【0038】
ここで、前記音波デバイスにおけるベース基板1から離れる側の最外層の階層は前記保護層5を設置する際のデバイス構造の最外層を指し、例えば、具体的なプロセスを実行する際に、第1サブ保護層51がデバイス構造における露出している上層の表面に設置される。前記保護層5が少なくとも前記第1位置に設置される(具体的な実施例では、前記第1位置と前記第2電極層4との間の領域が中空である)が、前記保護層5が更に音波デバイスにおける他の構造と一体に接続され、例えばデバイス構造における最外層と一体に接続されるべきであり、同時に更に前記導電層6の外表面(図中の上表面)を覆わない条件を満たすべきであると理解される。
【0039】
本願の他の実施例では、第1サブ保護層51が第1重畳エリア及び周辺における導電層6に接触しない位置に設置されてもよく、図1では第1サブ保護層51が第2電極層4におけるベース基板1から離れる面の上の第2位置、及び圧電層3におけるベース基板1から離れる面の上の導電層6を覆わない位置に設置される場合を例とし、第2位置が第2電極層4上の第2重畳領域に対応するが導電層6を覆わない位置であり、第2重畳領域が第2電極層4と圧電層3との重畳領域を含む。
【0040】
説明すべきことは、本実施例における第1位置、第2位置、第1重畳領域及び第2重畳領域は上記実施例と同様であり、従って、第1位置、第2位置、第1重畳領域及び第2重畳領域の説明は上記実施例における説明を参照してもよく、ここで詳細な説明は省略する。
【0041】
第2サブ保護層52が更に第1サブ保護層51におけるベース基板1から離れる面に設置される。
【0042】
第1サブ保護層51と第2サブ保護層52とが一体に接続される。
【0043】
本願の他の実施例では、第2サブ保護層52と第2電極層4との間の領域が中空である。
【0044】
説明すべきことは、本実施例において、図1に示すように、第1サブ保護層及び第2サブ保護層は図1に示される第2サブ保護層が第1サブ保護層を跨って設置される構造を形成することができ、同時に、第1サブ保護層、第2サブ保護層及び第1サブ保護層に接触する層の部分の間に図1に示される中空構造を形成することができる。且つ、第2サブ保護層と第2電極層との間の領域が中空であり、第2サブ保護層が音波デバイスに形成された「エアブリッジ」構造における第2電極層に接触しないように確保することができ、更に第2サブ保護層の音波デバイスの周波数への影響を避け、最終的に生成された音波デバイスの周波数が正確ではない状況の発生を避ける。
【0045】
第1サブ保護層の材料が第2サブ保護層の材料と同じであってもよいし、異なってもよく、且つ、第1サブ保護層の材料は金属、セラミック、有機物等の材料を含んでもよく、第2サブ保護層の材料は金属、セラミック、有機物等の材料を含んでもよく、当然ながら、可能な実現方式では、第1サブ保護層及び第2サブ保護層の材料が感光性ドライフィルムフォトレジストであってもよい。
【0046】
第1サブ保護層の厚さ範囲が0.001um~200umである。
【0047】
第2サブ保護層の厚さ範囲が1um~200umである。
【0048】
ここで、第1サブ保護層の厚さ、第2サブ保護層の厚さはそれぞれデバイス構造の表面に第1サブ保護層、第2サブ保護層を形成する高さを指してもよい。
【0049】
説明すべきことは、第1サブ保護層の厚さ範囲を0.001um~200um、第2サブ保護層の厚さ範囲を1um~200umに設定し、保護層の厚さが形成された「エアブリッジ」構造を保護することができるだけでなく、最終的に形成された音波デバイスの厚さが大きすぎることを避けることもでき、更に最終的に形成された音波デバイスの体積が大きすぎるという問題を避ける。
【0050】
本願の他の実施例では、第1サブ保護層51の所在する位置と第1重畳領域の所在する位置との間は、所定距離を有する。
【0051】
ここで、前記所定距離が前記音波デバイスの水平方向、すなわち前記ベース基板に平行する方向に沿う距離である。
【0052】
所定距離が0.001umより大きくてもよい。
【0053】
説明すべきことは、第1サブ保護層の所在する位置と第1重畳領域の所在する位置との間の間隔が0.001umより大きく、該音波デバイスの周波数への影響を避けることができる。
【0054】
本願の他の実施例では、図2に示すように、該音波デバイスは更に前記第2電極層4、前記圧電層3及び前記第1電極層2を貫通する第1スルーホール7と、前記第2サブ保護層52を貫通する第2スルーホール8とを備え、前記第2スルーホール8が前記第1スルーホール7と連通している。
【0055】
図示のように、前記第1スルーホール7がベース基板1、圧電層3、第1電極層2及び第2電極層4と連通している。前記第1スルーホール7が前記第2電極層4に形成される。前記第2スルーホール8が第2サブ保護層52に設置される。
【0056】
本願の他の実施例では、第2スルーホールの特徴サイズの範囲が0.01um~100umであってもよい。
【0057】
第2スルーホールが第1スルーホールと連通した後、該第1スルーホール及び第2スルーホールによって第1電極層とベース基板との間の犠牲層を除去することができる理由は、犠牲層が第1電極層に接触するので、犠牲層を除去した後、第1電極層とベース基板との間が中空になるためであり、更に、犠牲層の該音波デバイスの周波数への影響を避けることができる。
【0058】
説明すべきことは、本願の実施例における音波デバイスの保護層は該音波デバイスの「エアブリッジ」構造を保護・安定化する役割を果たし、従って、該音波デバイスに対してバンプ(Bump)の製造、ベース基板の薄化及び音波デバイスの切断等のプロセスを行う際に、該「エアブリッジ」構造の厚さが数マイクロメートルであってもよく、保護層があるため、該「エアブリッジ」構造を更に安定化することもでき、更に該「エアブリッジ」構造に影響せず、音波デバイスの性能の低下を避ける。
【0059】
本願の実施例に係る音波デバイスにおいて、該音波デバイスの第2電極層におけるベース基板から離れる面の上の第1位置に設置される保護層は音波デバイスの共振領域に形成された「エアブリッジ」構造を遮蔽・保護することができ、それにより音波デバイスの製造過程における製造プロセスが音波デバイスに形成される「エアブリッジ」構造に影響するという問題を解決し、音波デバイスの共振領域への影響を避け、更に音波デバイスの性能を向上させる。
【0060】
上記実施例に基づき、本願の実施例は音波デバイスの製造方法を提供し、図3に示すように、該方法は以下のステップを含む。
【0061】
ステップ101、ベース基板を形成して、順にベース基板に第1電極層、圧電層及び第2電極層を形成する。
【0062】
本実施例において、ベース基板、並びにベース基板における第1電極層、圧電層及び第2電極層を形成するプロセスを具体的に制限せず、関連技術において導電層の機能を実現できる材料及びプロセスはいずれも利用可能である。
【0063】
ステップ102、保護層を形成し、前記保護層が少なくとも第2電極層におけるベース基板から離れる面の上の第1位置に形成される。
【0064】
第1位置が第2電極層上の第1重畳領域に対応する位置であり、第1重畳領域が第1電極層、第2電極層及び圧電層の重畳領域における音波デバイスのアクティブエリアの所在する領域である。
【0065】
説明すべきことは、保護層を形成する際に塗布又は展着プロセスを用いて実現してもよく、保護層の材料がドライフィルムフォトレジストの材料である場合、展着プロセスを用いてドライフィルムフォトレジストの材料を第2電極層におけるベース基板から離れる面の上の第1位置に展着して、更に保護層を形成することができる。
【0066】
本願の実施例に係る音波デバイスの製造方法において、該音波デバイスを製造する際に、該音波デバイスの第2電極層におけるベース基板から離れる面の上の第1位置に保護層を形成し、該保護層は音波デバイスの共振領域に形成された「エアブリッジ」構造を遮蔽・保護することができ、それにより音波デバイスの製造過程における製造プロセスが音波デバイスに形成された「エアブリッジ」構造に影響するという問題を解決し、音波デバイスの共振領域への影響を避け、更に音波デバイスの性能を向上させる。
【0067】
上記実施例に基づき、本願の実施例は音波デバイスの製造方法を提供し、図4に示すように、該方法は以下のステップを含む。
【0068】
ステップ201、ベース基板を形成して、順にベース基板に第1電極層、圧電層及び第2電極層を形成する。
【0069】
ステップ202、第1電極層におけるベース基板から離れる面の上、及び第2電極層におけるベース基板から離れる面の上に導電層を形成する。
【0070】
本実施例において、導電層の形成プロセス及び導電層の形成材料を具体的に制限せず、関連技術において導電層の機能を実現できる材料及びプロセスがいずれも利用可能である。
【0071】
ステップ203、音波デバイスにおけるベース基板から離れる側の最外層の階層の面の上の、導電層を覆わない位置に、第1サブ保護層を形成する。
【0072】
ステップ204、第2電極層におけるベース基板から離れる面の上の第1位置に第2サブ保護層を形成する。
【0073】
第1位置が第2電極層上の第1重畳領域に対応する位置であり、第1重畳領域が第1電極層、第2電極層及び圧電層の重畳領域における前記音波デバイスのアクティブエリアの所在する領域である。説明すべきことは、本実施例における他の実施例と同じ又は対応するステップ及び概念の説明は他の実施例における説明を参照してもよく、ここで詳細な説明は省略する。
【0074】
本願の実施例に係る音波デバイスの製造方法において、該音波デバイスを製造する際に、該音波デバイスの第2電極層におけるベース基板から離れる面の上の第1位置に保護層を形成し、該保護層は音波デバイスの共振領域に形成された「エアブリッジ」構造を遮蔽・保護することができ、それにより音波デバイスの製造過程における製造プロセスが音波デバイスに形成された「エアブリッジ」構造に影響するという問題を解決し、音波デバイスの共振領域への影響を避け、更に音波デバイスの性能を向上させる。
【0075】
上記実施例に基づき、本願の実施例は音波デバイスの製造方法を提供し、図5に示すように、該方法は以下のステップを含む。
【0076】
ステップ301、ベース基板を形成して、順にベース基板に犠牲層、第1電極層、圧電層及び第2電極層を形成する。
【0077】
ステップ302、第1電極層におけるベース基板から離れる面の上、及び第2電極層におけるベース基板から離れる面の上に導電層を形成する。
【0078】
ステップ303、第2電極層、圧電層及び第1電極層を貫通する第1スルーホールを形成する。
【0079】
第1スルーホールがエッチングプロセスを用いて形成したものであってもよく、無論、本実施例では第1スルーホールの形成プロセスを具体的に制限せず、関連技術における実現できるプロセスがいずれも利用可能である。
【0080】
ステップ304、音波デバイスにおけるベース基板から離れる側の最外層の階層の面の上の、導電層を覆わない位置に、第1サブ保護層を形成する。
【0081】
第1サブ保護層が第1重畳エリア及び周辺における導電層に接触しない位置に設置されてもよく、可能な実現方式では、第1サブ保護層を第2電極層におけるベース基板から離れる面の上の第2位置、及び圧電層におけるベース基板から離れる面の上の導電層を覆わない位置に設置してもよく、第2位置が第2電極層上の第2重畳領域に対応するが導電層を覆わない位置であり、第2重畳領域が第2電極層と圧電層との重畳領域を含む。
【0082】
第1サブ保護層が金属、セラミック、有機物等の材料を第2電極層におけるベース基板から離れる面の上の第2位置、及び圧電層におけるベース基板から離れる面の上に塗布又は展着して得たものであってもよく、可能な実現方式では、第1サブ保護層の材料がドライフィルムフォトレジストの材料である場合、展着プロセスを用いて第2電極層におけるベース基板から離れる面の上の第2位置に0.001um~200um厚さの一層のドライフィルムフォトレジストの材料を展着し、その後、他の位置に展着したドライフィルムフォトレジスト材料をエッチングすることにより、第1サブ保護層を形成してもよい。第1サブ保護層を形成した後、図6に示される構造を得ることができ、この時、該構造における犠牲層9が依然として存在する。
【0083】
ステップ305、第2電極層におけるベース基板から離れる面の上の第1位置及び第1サブ保護層におけるベース基板から離れる面の上に、第2サブ保護層を形成する。
【0084】
第1位置が第2電極層上の第1重畳領域に対応する位置であり、第1重畳領域が第1電極層、第2電極層及び圧電層の重畳領域における音波デバイスのアクティブエリアの所在する領域である。
【0085】
第1サブ保護層と第2サブ保護層とが一体に接続される。
【0086】
第2サブ保護層が金属、セラミック、有機物等の材料を第2電極層におけるベース基板から離れる面の上の第1位置、及び第1サブ保護層におけるベース基板から離れる面の上に展着して得たものであってもよく、可能な実現方式では、第2サブ保護層の材料がドライフィルムフォトレジストの材料である場合、展着プロセスを用いて第1サブ保護層におけるベース基板から離れる面の上に一層のドライフィルムフォトレジストの材料を展着し、その後、感光及び現像プロセスによって必要な位置以外の他の位置のドライフィルムフォトレジスト材料を除去することにより、第2サブ保護層を形成して、図7に示される構造を得ることができ、この時、該構造における犠牲層9が依然として存在する。
【0087】
ステップ306、第2サブ保護層を貫通する、しかも第1スルーホールと連通している第2スルーホールを形成する。つまり、第2サブ保護層に第1スルーホールと連通している第2スルーホールを形成する。
【0088】
フォトリソグラフィプロセスによって第2サブ保護層に第1スルーホールと連通している1つの穴を開け、更に第2スルーホールを形成して、図8に示される構造を得ることができる。
【0089】
ステップ307、第2スルーホール及び第1スルーホールによって第1電極層とベース基板との間の犠牲層を除去する。
【0090】
ここで、エッチングプロセスを用いて第1スルーホール及び第2スルーホールによって第1電極層とベース基板との間の犠牲層をエッチングする。
【0091】
説明すべきことは、ウェットエッチング又はガスエッチング方式で第1スルーホール及び第2スルーホールによって犠牲層をエッチングして、図2に示される構造を得ることができる。
【0092】
なお、本願の実施例において、第1サブ保護層及び第2サブ保護層はドライフィルムフォトレジストの材料を用いた後、更に形成された保護層の耐久性を確保することができる。
【0093】
本願の実施例に係る音波デバイスの製造方法において、該音波デバイスを製造する際に、該音波デバイスの第2電極層におけるベース基板から離れる面の上の第1位置に保護層を形成し、該保護層は音波デバイスの共振領域に形成された「エアブリッジ」構造を遮蔽・保護することができ、それにより音波デバイスの製造過程における製造プロセスが音波デバイスに形成された「エアブリッジ」構造に影響するという問題を解決し、音波デバイスの共振領域への影響を避け、更に音波デバイスの性能を向上させる。
【0094】
上記実施例に基づき、本願の実施例は音波デバイスの製造方法を提供し、図9に示すように、該方法は以下のステップを含む。
【0095】
ステップ401、ベース基板を形成して、順にベース基板に犠牲層、第1電極層、圧電層及び第2電極層を形成する。
【0096】
ステップ402、第1電極層におけるベース基板から離れる面の上、及び第2電極層におけるベース基板から離れる面の上に導電層を形成する。
【0097】
ステップ403、第2電極層、圧電層及び第1電極層を貫通する第1スルーホールを形成する。
【0098】
ここで、第2電極層に、ベース基板、圧電層、第1電極層及び第2電極層を連通する第1スルーホールを形成する。
【0099】
ステップ404、音波デバイスにおけるベース基板から離れる側の最外層の階層の面の上の、導電層を覆わない位置に、第1サブ保護層を形成する。
【0100】
第1サブ保護層を形成した後、図6に示される構造を得ることができ、該構造における犠牲層9が見える。
【0101】
ステップ405、第1スルーホールによって第1電極層とベース基板との間の犠牲層を除去する。
【0102】
エッチングプロセスを用いて第1スルーホールによって第1電極層とベース基板との間の犠牲層をエッチングする。
【0103】
説明すべきことは、本願の実施例において、第1スルーホールによって犠牲層をエッチングして、図10に示される構造を得ることができ、この時、該構造における犠牲層が既にエッチングされた。
【0104】
ステップ406、音波デバイスの第1周波数を測定する。
【0105】
ステップ407、所定周波数に基づいて第1周波数を第2周波数に調整する。
【0106】
第2周波数が所定周波数にマッチングする。
【0107】
説明すべきことは、本実施例において、まず形成された犠牲層をエッチングしてもよく、この時、第1電極層及び第2電極層が他の追加層に干渉されず、従って、図11に示すように、犠牲層をエッチングした後に図11における矢印で示すイオンビーム又はレーザーによって音波デバイスの周波数の測定及び調整を行ってもよく、更に、最終的に形成された音波デバイスの周波数の精度を確保し、製品の合格率を向上させる。
【0108】
且つ、音波デバイスがいくつかの層の薄膜を積み重ねてなるものであるため、各層の小さな厚さの違いが音波デバイスの周波数を1~3MHzずらすが、音波デバイスの各層が製造時に厚さの精度を確保しにくく、従って、音波デバイスの製造を完了した後、ウエハーにおける各領域のデバイスの周波数分布を測定し、次にウエハーにおける周波数の結果を検出装置に入力して、検出装置の測定データに基づいてウエハー表面のデバイスの周波数調整を行う必要がある。
【0109】
ステップ408、第2電極層におけるベース基板から離れる面の上の第1位置及び第1サブ保護層におけるベース基板から離れる面の上に、第2サブ保護層を形成する。
【0110】
第1位置が第2電極層上の第1重畳領域に対応する位置であり、第1重畳領域が第1電極層、第2電極層及び圧電層の重畳領域における音波デバイスのアクティブエリアの所在する領域である。
【0111】
第1サブ保護層と第2サブ保護層とが一体に接続され、それにより図12に示される構造を形成する。
【0112】
本願の実施例に係る音波デバイスの製造方法において、該音波デバイスを製造する際に、該音波デバイスの第2電極層におけるベース基板から離れる面の上の第1位置に保護層を形成し、該保護層は音波デバイスの共振領域に形成された「エアブリッジ」構造を遮蔽・保護することができ、それにより音波デバイスの製造過程における製造プロセスが音波デバイスに形成された「エアブリッジ」構造に影響するという問題を解決し、音波デバイスの共振領域への影響を避け、更に音波デバイスの性能を向上させる。
【0113】
以上の説明は本願の好適な実施例であって、本願の保護範囲を制限するためのものではない。
【符号の説明】
【0114】
1 ベース基板
2 第1電極層
3 圧電層
4 第2電極層
5 保護層
51 第1サブ保護層
52 第2サブ保護層
6 導電層
7 第1スルーホール
8 第2スルーホール
9 犠牲層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12