(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-29
(45)【発行日】2024-03-08
(54)【発明の名称】生殖補助医療手法の転帰の予測方法およびキット
(51)【国際特許分類】
C12Q 1/06 20060101AFI20240301BHJP
C12Q 1/6851 20180101ALI20240301BHJP
C12Q 1/689 20180101ALI20240301BHJP
C12N 15/11 20060101ALI20240301BHJP
C12M 1/34 20060101ALN20240301BHJP
【FI】
C12Q1/06 ZNA
C12Q1/6851 Z
C12Q1/689 Z
C12N15/11 Z
C12M1/34 B
(21)【出願番号】P 2020565743
(86)(22)【出願日】2019-05-09
(86)【国際出願番号】 EP2019061967
(87)【国際公開番号】W WO2019224012
(87)【国際公開日】2019-11-28
【審査請求日】2022-02-22
(32)【優先日】2018-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】515208717
【氏名又は名称】アートプレッド ビー. ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】デヨング、ジョナサン デニス
(72)【発明者】
【氏名】バディング、ドリス
(72)【発明者】
【氏名】デモニンク、ユップ
【審査官】太田 雄三
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-522669(JP,A)
【文献】特開2017-209063(JP,A)
【文献】特表2010-524443(JP,A)
【文献】Human Reproduction,2016年02月23日,Vol. 31, No. 4,p. 795-803
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12Q 1/00
C12N 15/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生殖補助医療(ART)手法の結果が妊娠とならない可能性を予測する方法であって、
ART手法の前または最中に採取した雌の哺乳類対象由来の試料を、ガルドネラ・バギナリス(Gardnerella vaginalis)IST1の存在および以下のパラメータ:
a)ラクトバシラス種の相対存在量、
b)ラクトバシラス・イエンセン(Lactobacillus jensenii)の相対存在量、
c)プロテオバクテリアの相対存在量
について分析し
前記試料がガルドネラ・バギナリスIST1を含む場合、または以下のI、II、III:
I.前記ラクトバシラス種の相対存在量が、
20%の値未満である、
II.前記ラクトバシラス・イエンセンの相対存在量が、
35%の値を超えている、
III.前記プロテオバクテリアの相対存在量が、
28%の値を超えている、
の少なくとも1つに当てはまる場合、前記対象が前記ART手法の結果、妊娠していない可能性が高いと結論づけられることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記ガルドネラ・バギナリスIST1の存在は、定量的ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって決定される請求項
1に記載の方法。
【請求項3】
フォワードプライマーCTGGATCACCTCCTTTCTAWG(配列番号1)およびリバースプライマーAGGCATCCRCCATGCGCCCT(配列番号2)(WはAまたはTを示し、RはAまたはGを示す)を用いて前記PCRを実施し、428-430ヌクレオチドの長さの増幅産物を検出する請求項
2に記載の方法。
【請求項4】
前記試料が膣のスワブである請求項1~
3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記哺乳類対象がヒトである請求項1~
4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記ART手法が、卵細胞質内精子注入法(ICSI)などの体外受精(IVF)手法である請求項1~
5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記試料が、IVF手法の2ヶ月以内に提供されたものである請求項1~
6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
ガルドネラ・バギナリスIST1 DNAの増幅産物の検出のためのフォワードプライマーCTGGATCACCTCCTTTCTAWG(配列番号1)と、リバースプライマーAGGCATCCRCCATGCGCCCT(配列番号2)と、を含み、ガルドネラ・バギナリスIST1 DNA増幅産物の長さは428~430ヌクレオチドであり、WはAまたはTを示し、RはAまたはGを示すことを特徴とする請求項1~
7のいずれか1項に記載の方法を行うキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒト生殖分野、より詳細には、ヒト生殖が失敗する状況に関する。本発明は、体外受精法および卵細胞質内精子注入法(ICSI)などの生殖補助医療(ART)手法が成功した妊娠をもたらさない可能性を予測する確実かつ非常に正確な方法を提供する。また、本発明は、体外受精および卵細胞質内精子注入法(ICSI)などの生殖補助医療(ART)手法が妊娠成功をもたらす可能性を予測する手段および方法も提供する。
【背景技術】
【0002】
西欧諸国の男女のカップルの10~15%が低受胎の影響を受けている。この低受胎は、半分が女性の生殖システムに関連して引き起こされ得、20~26%が男性に起因し、25~30%が原因不明である(Evers,J.L.,2002,Lancet 360:151-159)。多くの男女のカップルが、子供を授かるために体外受精(IVF)または卵細胞質内精子注入法(ICSI)などの生殖補助医療(ART)手法に頼る。
【0003】
これらの技術の成功率は開始した周期当たり約25%である(Andersen,A.ら.2007,Hum.Reprod.22:1513-1525)。この成功率を改善できるのであれば、情緒面と経済面での大きな利益となる。
【0004】
また、ART手法の個人負担および社会的負担の観点から、手法での成功の可能性が低い男女のカップルを非常に早く同定して、子供の希望を叶えるために代替の手法を提案できることが望ましい。
【0005】
したがって、治療を改善し、かつ個別のケースにおいて進めるかどうかを決定するために、IVF/ICSI後に女性が妊娠せず、生児出生がないかどうかを正確に予測できるモデルが必要とされている。
【0006】
10年超にわたって、年齢、以前に失敗したIVFの試みの数および不妊の可能性の高い理由を含む臨床データに基づいて生児出生の可能性を予測するモデルが利用可能となっている(Templeton,W.ら.,1996,Lancet 348:1402-1406)。NelsonおよびLawlor(Nelson,S.M.and Lawlor D.A.2011,PLOS Medicine8:1-10)は、140.000人超の女性からのデータに基づいて、不妊の年齢および原因、使用(される)手法、卵の源および子供を望んでいる期間の階層化を用いてモデルを開発した。Selmanら(J.Assisted Reproduction and Genetics 24:395-399(2007))は、IVF/妊娠転帰と関連するラクトバシラスおよびスタフィロコッカスの検出を開示している。欧州特許第2742359号明細書には、尿または膣試料中のラクトバシラス科の群に属する細菌およびスタフィロコッカスの種に属する細菌の相対量に基づいて、対象の成功または失敗妊娠の可能性を予測する方法が記載されている。
【0007】
それにもかかわらず、不必要なART手法の数を制限し、ART手法の失敗の転帰の可能性を予測するより優れ、より確実な、簡便な方法が必要とされ続けている。これは、健康管理のコストを減少させる手助けとなる。また、子供を望む女性をより早く代替の解決法に向けることができる。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、生殖補助医療(ART)手法の結果が妊娠とならない可能性を予測する方法であって、ART手法の前または最中に採取した雌の哺乳類対象由来の試料を、ガルドネラ・バギナリス(Gardnerella vaginalis)IST1の存在および以下のパラメータ:
a)ラクトバシラス種の相対存在量
b)ラクトバシラス・イエンセン(Lactobacillus jensenii)の相対存在量、
c)プロテオバクテリアの相対存在量、
の少なくとも1つについて分析し、試料がガルドネラ・バギナリスIST1を含み、かつ
I.ラクトバシラス種の相対存在量が、15%~25%の間で選択される値未満である、または
II.ラクトバシラス・イエンセンの相対存在量が、25%~45%の間で選択される値を超えている、または
III.プロテオバクテリアの相対存在量が、18%~38%の間で選択される値を超えている、
の少なくとも1つに当てはまる場合、対象がART手法の結果、妊娠していない可能性が高いと結論付けられる方法に関する。
【0009】
本発明は、本発明に従う方法を行うキットにも関し、該キットは、ガルドネラ・バギナリスIST1 DNAの増幅産物の検出のためのフォワードプライマーCTGGATCACCTCCTTTCTAWG(配列番号1)およびリバースプライマーAGGCATCCRCCATGCGCCCT(配列番号2)を含み、ガルドネラ・バギナリスIST1 DNA増幅産物の長さは428~430ヌクレオチドであり、WはAまたはTを示し、RはAまたはGを示す。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本明細書に例示の方法のうちの1つで得られたデータのScatterプロットである。[LC]が60%未満である場合に妊娠の可能性が増加している。 [LC}<(a*[LI])+bおよび [LC}>(c*[LI])+dであり、 a=-0.62、 b=0.85、 c=-0.58および d=0.38である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書において、生殖補助医療(ART)手法の結果が妊娠とならない可能性を予測する方法であって、
ART手法の前または最中に採取した雌の哺乳類対象由来の試料を、ガルドネラ・バギナリスの存在および以下のパラメータ:
a)ラクトバシラス種の相対存在量
b)ラクトバシラス・イエンセンの相対存在量、
c)プロテオバクテリアの相対存在量、
の少なくとも1つについて分析し、
試料がガルドネラ・バギナリスIST1を含み、かつ
I.ラクトバシラス種の相対存在量が、15%~25%の間で選択される値未満である、または
II.ラクトバシラス・イエンセンの相対存在量が、25%~45%の間で選択される値を超えている、または
III.プロテオバクテリアの相対存在量が、18%~38%の間で選択される値を超えている、
の少なくとも1つに当てはまる場合、対象がART手法の結果、妊娠していない可能性が高いと結論づけられる方法が提供される。
【0012】
15%~25%の間で選択される値、25%および45%および18%および38%のそれぞれは、多くの場合カットオフ値または閾値とも称される。それは、方法が望ましい特異性および感度をもたらすように選択され得る。当業者であれば、適した値を決定する条件および境界をよく理解するものである。
【0013】
上記の本発明の好ましい実施形態では、ガルドネラ・バギナリスの存在に加えて、ラクトバシラス種の相対存在量、ラクトバシラス・イエンセンの相対存在量およびプロテオバクテリアの相対存在量が決定される。
【0014】
さらに好ましい実施形態では、本発明は、ガルドネラ・バギナリスがガルドネラ・バギナリスIST1である上記方法に関する。ガルドネラ・バギナリスIST1は、製造者(IS-pro technique,IS-Diagnostics,Amsterdam,Netherlands)によって提供されているプロトコルに従って、遺伝子間の空間(IS)の増幅を用いて、膣の微生物集団分析を行うことによって同定され得る特定のガルドネレラ属種と本明細書では定義される。IS-proは、16S~23S rRNA遺伝子IS領域の長さの検出およびカテゴリー化に基づく真正細菌技術である。このIS領域の長さは、微生物種それぞれに特異的である。これによって、ガルドネラ・バギナリスIST1は、配列番号1および配列番号2に従うプライマーを使用した際に、428、429または430ヌクレオチドの長さの特異的なIS-断片を生じるガルドネラ・バギナリスの種としてさらに定義される。
【0015】
本明細書で、ART手法は、人工生殖技術を示す。特に、この用語は、体外受精(IVF)、卵細胞質内精子注入法(ICSI)および人工授精(IUI)に関する。
【0016】
相対存在量は、試料中の細菌の合計量比または数を示す。比は、パーセンテージ(%)または0~1の数として表される。
【0017】
本明細書で、ART手法の可能性の予測に関する「高い可能性」は、予測された成功率または失敗率が、ART手法を受ける女性の一般の集団におけるものより高いことを示す。特に、妊娠していない可能性は、本明細書に記載の陰性の予測基準が満たされる場合にART手法の結果65%妊娠していない可能性などの、対象が妊娠していない可能性が60%より高い場合、「増加した」とされる。これに関する65%より高いは、例えば、88%以上または94%以上などの、77%より高いを含む。
【0018】
また、本明細書に記載の陽性の予測基準が満たされている場合にART手法の結果、対象が妊娠している可能性が35%より高い場合、妊娠している可能性が増加している。これに関する35%より高いは、41%、49%または50%以上を意味する。
【0019】
ガルドネレラは、グラム不定染色通性嫌気性細菌の属であり、ガルドネラ・バギナリスがその唯一の種である。細菌は小さく(直径1.0~1.5μM)、非胞子形成、非運動性の球桿菌である。一度ヘモフィルス・バギナリス(Haemophilus vaginalis)と分類され、その後、コリネバクテリウム・バギナリス(Corynebacterium vaginalis)と分類され、G.バギナリスは、チョコレート寒天上で小さい円形の凸状灰色コロニーとして増殖し、HBT寒天上でも増殖する。G.バギナリスに対する選択培地はコリスチン-オキソリン酸血液寒天である。ガルドネラ・バギナリスの存在の決定は、好ましくは定量的PCRなどのPCRで行われる。
【0020】
ラクトバシラスは、グラム陽性通性嫌気性細菌または微好気性非胞子形成桿菌の属である。それらは、乳酸細菌群(すなわち糖を乳酸へ転換する)の大部分である。ヒトでは、それらは、消化系、泌尿器系、生殖系などの多くの身体部位における微生物糞の重要な成分を構成している。ヨーロッパ系の女性では、ラクトバシラス種は通常、膣の微生物糞の大部分である。ラクトバシラスは、膣および消化管のフローラのバイオフィルムを形成し、厳しい環境条件の中で持続し、十分な集団を維持できるようにする。ラクトバシラスは、病原体による潜在的な侵入から宿主を守り、宿主は栄養素の源をもたらすことから、人体と共生関係を示す。
【0021】
本明細書でラクトバシラス種とは、すべてのラクトバシラス種をまとめて指す。
【0022】
ラクトバシラス・イエンセンは、健康な女性における再生力が低い管の常在菌である。正常な集団において、L.イエンセンは、自然発生の膣のマイクロフローラの約23%に入る。
【0023】
プロテオバクテリアは、細菌の主要な門である。それらはグラム陰性細菌である。これは、グラム染色プロトコルのバイオレット染料を保持しないことを意味する。グラム染色試験では、対比染色(一般にサフラニン)がクリスタルバイオレットの後に添加され、すべてのグラム陰性細菌をピンク色で染色する。試験それ自体は、それらの細胞壁の構造的な違いに基づいて細菌の2つの異なるタイプに分類するのに有用である。
【0024】
プロテオバクテリアは、大腸菌(Escherichia coli)、サルモネラ、ビブリオ、ヘリコバクター、および多くの他の注目すべき属などの幅広い多様な病原体を含む。他のものたちは自由生活性であり、窒素固定を担う細菌の多くを含む。群は、主としてリボソームRNA(rRNA)配列の観点から定められる。
【0025】
これらの微生物を決定する多くの方法があり、当業者であれば、試料中のガルドネレラ属、ラクトバシラス種、L.イエンセンおよびプロテオバクテリアの相対量を決定し、定量する方法についての技術をよく理解する。本明細書では192人のART手法を受ける女性の集団から得られた試料中のこれらの細菌の存在および相対量を決定する調査の結果を提供する。
【0026】
これらの微生物の存在および相対量を相互に関連付け、それらの存在および/または存在量がART手法の成功率または失敗率の指標であることを見出した。
【0027】
192人の女性のうち、125人が第1の試みの後に妊娠しなかった一方で、67人が妊娠した。これは65%のART手法の失敗率および35%の成功率である(表1および表2)。
【0028】
本発明に従う方法では、細菌の特定の種または属の相対存在量は、所定の参照値またはカットオフ値と比較する必要がある。所定の参照値はいずれの適したカットオフ値であり得る。適したカットオフ値を決定するこのプロセスは、当業者に周知であり、当業者によって実験的に容易に決定できる。
【0029】
好ましくは、参照値は試験集団と同等な集団から得られた試料の細菌組成から得られる値である。参照値は、参照集団でのART手法のいくつかの独立した実験の平均値から得られたものであることがさらにより好ましい。当業者であれば、細菌の相対存在量を測定し、決定するための参照値を決定する詳細を理解する。
【0030】
それ故に、方法の適切な特異性および/または感度を達成するために、所定の参照値は実験的に決定され得るか、または任意に選択され得る。当業者であれば、適切な参照値を選択する方法をよく理解する。当業者であれば、方法の望ましい特異性および感度を得るために、所定の参照値を変更する方法を知っている。
【0031】
例として、上記方法では、第1の所定の参照値は、20%などの15~25%であり得、第2の所定の参照値は、35%などの25~45%であり得、第3の所定の参照値は、28%などの18~38%であり得る。
【0032】
第1、第2および第3の参照値が、それぞれ20%、35%および28%と選択され、表1からのデータを、膣の細菌集団の微生物組成のデータと組み合わせた際に、125人のうち32人の失敗したART転帰が正確に予測され得、すなわち、ART手法が失敗した26%の事例が、正確に予測され得る(表2)ことが見られた。
【0033】
それ故に、上記に開示した本発明に従う方法は、信頼性の高い結果をもたらし、すなわち、2つの事例のみでART手法の失敗した転帰を予測するのを失敗した。これらの2つのケースでは、ART手法が望ましい結果と考えられる妊娠、すなわち成功した転帰をもたらした。したがって、上記の通り、対象が妊娠していないことを予測する方法の正確さは、32/34=94%である(表5)。
【表1】
【0034】
上記の本発明に従う方法がこの調査の除外基準として使用される場合、34人の女性がこの調査から除外され、192人ではなく158人の女性が手法への参入を許可され、そのうち65人が妊娠した。これは、その場合でのART手法の成功率が、67人/192人=35%から65/158=41%に増加したことを意味する。これは、ART手法の相対効率の6%の増加である。さらなる利点は、34人の女性が、代替のアプローチを提案される前に、1つまたは複数のART手法を受ける必要がないことである。
【0035】
本明細書に記載の調査における本集団に適用される場合、選択手法は、34/192人=18%のART手法の数の低下をもたらす。IVFまたはICSIなどのART手法の合計平均コストは5.000ユーロのオーダーである。合計で、本発明に従う方法を適用すると、IVF/ICSI患者当たり平均900ユーロの節約となり、言い換えると、手法のコストが18%減少する。
【0036】
また、G.バギナリスIST、特にG.バギナリスIST1単独などのガルドネラ・バギナリスの存在に基づく方法の予測値も決定した。ガルドネラ・バギナリスIST1を有する女性は、88%妊娠していない可能性があったことが見られた(表3、表5)。それ故に、ガルドネラ・バギナリスがG.バギナリスIST1である上記の方法によって、良好な結果を得た。
【表2】
【0037】
それ故に、本発明は、試料中のガルドネラ・バギナリス、好ましくはG.バギナリスIST1などのG.バギナリスISTの存在を決定し、試料がガルドネラ・バギナリス、好ましくはG.バギナリスIST1を含む場合、対象がART手法の結果妊娠していない可能性が高い上記の方法にも関する。
【0038】
この上記の方法の精度および他の特徴は、以下のパラメータ:
a)ラクトバシラス種の相対存在量
b)ラクトバシラス・イエンセンの相対存在量、
c)プロテオバクテリアの相対存在量、
の少なくとも1つを測定し、
試料がガルドネラ・バギナリスIST1を含み、かつ
I.ラクトバシラス種の相対存在量が、15%~25%の間で選択される値未満である、または
II.ラクトバシラス・イエンセンの相対存在量が、25%~45%の間で選択される値を超えている、または
III.プロテオバクテリアの相対存在量が、18%~38%の間で選択される値を超えている、
の少なくとも1つに当てはまる場合、対象がART手法の結果、妊娠していない可能性が高いと結論づけられる方法を適用することによって、さらに改善され得る。
【0039】
これらの基準が適用される場合、より多くの試料が正確に予測され得る。
【0040】
表1のデータから差し引くことができるように、合計192人の試料のうち34人が妊娠に成功していないと予測された。これらの34人の試料のうち32人が、本発明に従う方法によって正確に予測できた(表1、表2)。32の正確に予測された試料から、15人がG.バギナリスIST1の存在に起因していた(基準1)。この基準を15%未満であるラクトバシラス種の相対存在量の基準(基準2)と組み合わせた場合、これらの32人のうち追加の7人の試料が正確に予測できた。基準1を、25%超であるラクトバシラス・イエンセンの相対存在量の基準(基準3)と組み合わせた場合、これらの32人のうち追加の6人の試料が正確に予測できた。基準1を、18%超であるプロテオバクテリアの相対存在量の基準(基準4)と組み合わせた場合、これらの32人のうち追加の5人の試料が正確に予測できた。これらの基準の他の組み合わせも方法の改善をもたらした。以下の表7には、使用した基準に応じた正確な予測の数が記載されている。すべての4つの基準を使用した場合、32人すべての試料が検出された。
【表3】
【0041】
また、提供された試料中の2種のラクトバシラス種、L.クリスパタス(L.crispatus)およびL.イネルス(L.iners)の存在も、ISPRO技術(実施例4)を用いて決定した。結果を表4に示す。
【0042】
ラクトバシラス・クリスパタス(Lactobacillus crispatus)は、健康な女性の再生力が低い管の常在菌である。正常集団では、L.クリスパタスは、生殖年齢のすべての女性の30%超において優占種である。
【0043】
ラクトバシラス・イネルス(Lactobacillus iners)もラクトバシラス属の種である。それは、グラム陽性、カタラーゼ陰性、通性嫌気性桿菌である。ラクトバシラス・イネルスは、健康な女性の再生力が低い管の常在菌である。少なくとも15株のゲノムが配列決定されており、1,152~1,506のタンパク質をコードする。それと共に、この種は、L.クリスパタス(典型的には2倍を超える多くのタンパク質をコードする)などの他の種と比較して、最も小さいラクトバシラスゲノムの1つを有する。
【0044】
これらの微生物を決定する多くの方法があり、当業者であれば、試料中のラクトバシラス種、L.クリスパタスおよびL.イネルスの相対量を決定し、定量する技術をよく理解する。
【0045】
これらの2つの種(L.クリスパタスおよびL.イネルス)も、ART手法の失敗または成功の指標であることを見出した。
【0046】
特に、ラクトバシラス・クリスパタスの相対存在量が第4の所定の参照値を超える場合、ART手法の結果、対象が妊娠していない可能性が高いことを見出した。この第4の所定の参照値は好ましくは60%などの50~70%で選択された。60%を第4の参照値として採用した場合、65人の女性がこの基準を満たし、そのうち15人がART手法の結果妊娠した(表6)。これは77%の失敗率であり、すべての群の失敗率より高い(表5)。
【0047】
ラクトバシラス・クリスパタスの相対存在量が第5の所定の参照値未満である場合、対象が、ART手法の結果、妊娠している可能性が高いことも見出した。この第5の所定の参照値は、好ましくは60%などの50~70%で選択された。第5の参照値として60%を採用した場合、127人の女性がこの基準を満たし、そのうち52人がART手法の結果妊娠した(表6)。これは41%の成功率であり、すべての群の成功率より高い(表5)。これらの結果を表6および表5に示す。
【表4】
【0048】
また、ラクトバシラス・イネルスの相対存在量を決定し、ラクトバシラス・イネルスの相対存在量が第6の所定の参照値を超える場合、ART手法の結果、対象が妊娠する可能性が高いことを見出した。この第6の所定の参照値は、好ましくは60%などの50~70%で選択された。60%を第6の参照値として採用した場合、38人の女性がこの基準を満たし、そのうち19人がART手法の結果妊娠した(表5)。これは50%の成功率であり、すべての群の成功率より高い(表5)。
【0049】
それ故に、生殖補助医療(ART)手法の結果が妊娠とならない可能性を予測する方法であって、ART手法の前または最中に採取した雌の哺乳類対象由来の試料を、ラクトバシラス・クリスパタスの相対存在量について分析し、ラクトバシラス・クリスパタスの相対存在量が、第4の所定の参照値を超えている場合、対象がART手法の結果妊娠していない可能性が高い方法が記載されている。
【0050】
生殖補助医療(ART)手法の結果妊娠がもたらされる可能性を予測する方法であって、ART手法の前または最中に採取した雌の哺乳類対象由来の試料を、ラクトバシラス・クリスパタスの相対存在量について分析し、対象がART手法の結果妊娠する可能性が高い、ラクトバシラス・クリスパタスの相対存在量が、第5の所定の参照値未満である場合、も記載されている。
【0051】
生殖補助医療(ART)手法の結果妊娠がもたらされる可能性を予測する方法であって、ART手法の前または最中に採取した雌の哺乳類対象由来の試料を、ラクトバシラス・イネルスの相対存在量について分析し、ラクトバシラス・イネルスの相対存在量が、第6の所定の参照値未満である場合、対象がART手法の結果妊娠する可能性が高い方法も記載されている。
【0052】
本明細書には、生殖補助医療(ART)手法の結果妊娠がもたらされる可能性を予測する方法であって、ART手法の前または最中に採取した雌の哺乳類対象由来の試料を、について分析したラクトバシラス・クリスパタスおよびラクトバシラス・イネルスの存在について分析し、L.クリスパタスの相対量[LC]およびL.イネルスの相対量[LI]を決定し、妊娠の可能性が増加しているif[LC]が、第7の所定の参照値未満であり、
a.[LC}<(a*[LI])+bおよび
b.[LC}>(c*[LI])+dである
(式中、aは-0.55~-0.70の値であり、bは0.80~0.90の値であり、cは-0.50~-0.65の値であり、dは0.3~0.45の値である。)
方法も記載されている。
【0053】
好ましい実施形態では、a=-0.62、b=0.85、c=-0.58およびd=0.38である。この場合、本明細書に記載の192人の女性のうち77人が基準を満たしていることが見られ、そのうち38人(49%)がART手法の結果妊娠した(表5)。これらの結果を
図1に図示する。
【0054】
特に良好な結果が、第4、第5、第6および第7の所定の参照値が互いに独立に50%~70%、さらにより特に60%で選択される場合に得られた。
【表5】
【実施例】
【0055】
実施例1:調査集団
生殖年齢の低受精率の女性の膣のマイクロバイオームのこの有望な研究は、オランダ国の8つのIVFセンターで実施した。参加センターは、Erasmus Medical Centre(Rotterdam)、Radboud UMC(Nijmegen)、UMC Utrecht(Utrecht)、VU MC(Amsterdam)、Isala kliniek(Zwolle)、Sint Elisabeth Ziekenhuis(Tilburg)、MC Kinderwens(Leiderdorp)、MUMC+(Maastricht)である。調査は、ほぼ1年間(2015年1月1日~2016年3月31日)にわたって行われた。プロトコルは、Institutional Review Board of Erasmus University Medical Centreによって承認された。同意書はすべての参加者から得られた。
【0056】
生殖診療所の外来診察室を訪れ、最初のIVF(ICSIあり、またはなし)手法を2ヶ月以内に受けることが予想された女性に、この調査への参加を提案した。満たすべき基準は、男性パートナーを有する20~44歳の女性であった。癌または他の理由での緊急IVFの指示がある女性、子宮内膜症AFS III/IVの女性、ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)アナログで予め処置された女性、IVFまたはIVF-ICSIの開始3ヶ月前にホルモンの避妊具を使用した女性(周期の調節のための経口避妊薬の3週間の使用を除く)、医療病歴において以前に妊娠または流産した女性は調査から除外した。
【0057】
この調査では、301人の女性が最初に登録した。21人の患者が除外基準に基づいて除外され、別の86人が個人のまたは未知の理由で調査に残った。2つの試料がエラー処理によりなくなり、それ故に、192人の個体から試料を用いて、調査を最終的に行った。
【0058】
実施例2:材料
参加者は、IVFまたはIVF-ICSI手法の開始前にそれら自身の膣のスワブを得た。患者にとって最小限の侵襲であり、それ故に毎日実施するのに適していることから、自己収集方法が選択された。膣試料をFLOQswabs(商標)(Copan Italia S.p.A.,Italy)によって採取し、参加者はスワブを3~5cm膣に挿入し、その後、膣壁に沿って10~15秒間こするように指示された。この手順の後、輸送減少液体(RTF)緩衝液(IS-Diagnostics(IS-Diagnostics,Amsterdam,Netherlands)から入手)で満たしたエッペンドルフチューブ内にスワブをすぐに入れた。分析まで、試料を-20~-80℃で、フリーザー内で保存した。
【0059】
尿試料を、100mLの滅菌尿回収デバイスにて回収した。10mlの試料を10分間1500RCFで遠心した。上清をデカンテーションし、ペレットを3mlの尿に再懸濁した。さらなる処理のために、再懸濁した試料を-20℃で保存した。
【0060】
試料を8つの診療所からIS-Diagnosticsの微生物学研究室へドライアイス上で輸送し、解析を実施した。
【0061】
実施例3:DNA単離
Chemagen(Chemagen,Baesweiler,ドイツ)自動DNA抽出機で、製造者の説明書に従って口腔内スワブ抽出キットを用いて、膣のスワブからのDNA抽出を実施した。最初に、スワブを解凍し、ボルテックスした。200μlの試料を200μlのChemagen溶解バッファーおよび10μlプロテイナーゼK(Qiagen,Hilden,ドイツ)と、500rpmで振盪しながら56℃でインキュベートした。プロトコル口腔内スワブプレフィリングを用いて、DNAを抽出した。100μlのChemagen Elution緩衝液中でDNAを溶出した。
【0062】
濃縮尿懸濁液から、Chemagen(Perkin-Elmer、Baesweiler、ドイツ)自動化DNA抽出機で、製造者の説明書に従って口腔内スワブ抽出キットを用いて、DNAを抽出した。要すれば、尿試料を解凍し、ボルテックスした。200μLの試料を、200μLのChemagen溶解緩衝液および10μLプロテイナーゼKと、500rpmで振盪しながら56℃でインキュベートした。100μLのChemagen Elution緩衝液中でDNAを溶出した。
【0063】
実施例4:空間(IS)プロファイリング
遺伝子間の空間(IS)領域の増幅を、IS-proアッセイで、製造者(IS-Diagnostics,Amsterdam,Netherlands)によって提供されたプロトコルに従って実施した。IS-proは、16S~23SrRNA遺伝子IS領域の長さの検出およびカテゴリー化に基づく真正細菌技術である。このIS領域の長さは、微生物種それぞれに特異的である。門特異的な蛍光標識PCRプライマーが分類学上の分類に使用される。
【0064】
簡潔に言うと、手順は2つの別個の標準PCRからなり、第1のPCR混合物は、異なる細菌群を標的とする2つの異なる蛍光標識したフォワードプライマーと、それらの群のあらゆる範囲を取り上げる3つのリバースプライマーとを含有する。第1のフォワードプライマーは、ファーミキューテス門、アクチノバクテリア門、フクソバクテリウム門、およびベルコミクロビア門(FAFV)に特異的であり、第2の標識したフォワードプライマーは、バクテロイデス門に特異的である。7つリバースプライマーと組み合わせた標識したフォワードプライマーを用いる別々のPCRは、プロテオバクテリア門に特異的である[Budding,E,J.Clin.MicrobioL.(2016)54:934-943]。
【0065】
GeneAmp9700PCRシステム(Applied Biosystems,Foster City,CA)によって増幅が行われた。PCR後、5μLのPCR産物を、20μLのホルムアミドおよび0.2μLのカスタムサイズマーカー(IS-Diagnostics)と混合した。ABI Prism 3500 genetic analyzer(Applied Biosystems)でDNA断片分析を実施した。データをIS-pro専用ソフトウェア・スイート(IS-Diagnostics)で分析し、結果を微生物プロフィールとして示した。自動化した種callingofIS-proピークwasdonewith専用IS-proソフトウェア・スイート(IS-Diagnostics)で行い、ピークを、>500微生物種のIS-プロフィール情報を含むデータベースにつなげた。<128相対蛍光単位(RFU)のピークは、バックグランドノイズとみなし、さらなる分析から破棄した。DNA単離からデータ分析までの全手順を5時間以内に実施した。
【0066】
実施例5:転帰測定
第1の胚移植(ET)後の妊娠転帰を終点として使用した。妊娠継続は、妊娠の7~9週での超音波の使用によって確立した心臓活動を有する胎児と定義した。
【0067】
実施例6:ガルドネラ・バギナリスIST1の決定
ガルドネラ・バギナリスIST1を、IS-pro技術による膣の微生物集団分析によって同定した。G.バギナリスIST1は、428~430ヌクレオチドの長さの特異的なIS-断片の存在によって検出された。
【0068】
実施例7:マイクロバイオームの決定
マイクロバイオーム分析を、前述したIS-pro技術を用いて実施した[Automated Broad-Range Molecular Detection of Bacteria in Clinical Samples.Budding AE、Hoogewerf M、Vandenbroucke-Grauls CM,Savelkoul PH.J Clin MicrobioL.2016年4月;54(4):934-43.DOI:10.1128/JCM.02886-15.Epub2016年1月13日;IS-pro:high-throughut molecular fingerprinting of the intestinal microbiota.,Budding AE,Grasman ME,Lin F,Bogaards JA、Soeltan-Kaersenhout DJ,Vandenbroucke-Grauls CM,van Bodegraven AA,Savelkoul PH.]
【表6】
【表7】
【0069】
要約すると、本明細書にて提示したデータは、以下の結論または条項をもたらす。
【0070】
生殖補助医療(ART)手法の結果が妊娠とならない可能性を予測する方法であって、
ART手法の前または最中に採取した雌の哺乳類対象由来の試料を以下のパラメータ:
ガルドネラ・バギナリスの存在、
ラクトバシラス種の相対存在量、
ラクトバシラス・イエンセンの相対存在量、
プロテオバクテリアの相対存在量、
の少なくとも1つについて分析し、
試料がガルドネラ・バギナリスを含む場合、または
ラクトバシラス種の相対存在量が、第1の所定の参照値未満である場合、または
ラクトバシラス・イエンセンの相対存在量が、第2の所定の参照値を超えている場合、または
プロテオバクテリアの相対存在量が、第3の所定の参照値を超えている場合、対象がART手法の結果、妊娠していない可能性が高い方法。
【0071】
本明細書に記載の方法において、試料中のガルドネラ・バギナリスの存在を決定し、試料がガルドネラ・バギナリス、好ましくはガルドネラ・バギナリスIST1を含む場合、対象がART手法の結果、妊娠していない可能性が高い。
【0072】
本明細書に記載の方法において、以下のパラメータ:
ラクトバシラス種の相対存在量、
ラクトバシラス・イエンセンの相対存在量および
プロテオバクテリアの相対存在量、
について試料を分析し、
ラクトバシラス種の相対存在量が、第1の所定の参照値未満である場合、および/またはラクトバシラス・イエンセンの相対存在量が、第2の所定の参照値を超えている場合、および/またはプロテオバクテリアの存在量が、第3の所定の参照値を超えている場合、対象がART手法の結果、妊娠していない可能性が高い。
【0073】
本明細書に記載の方法において、第1の所定の参照値は15%~25%であり、第2の所定の参照値は25%~45%であり、第3の所定の参照値は18%~38%である。
【0074】
本明細書に記載の方法において、第1の所定の参照値は20%であり、第2の所定の参照値は35%であり、第3の所定の参照値は28%である。
【0075】
本明細書に記載の方法において、ガルドネラ・バギナリスの存在は定量的ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって決定される。
【0076】
本明細書に記載の方法において、PCRがフォワードプライマーCTGGATCACCTCCTTTCTAWGおよびリバースプライマーAGGCATCCRCCATGCGCCCTを用いて実施され、428~430ヌクレオチドの長さの増幅産物が検出され、ここで、WはAまたはTを示し、RはAまたはGを示す。
【0077】
生殖補助医療(ART)手法の結果が妊娠とならない可能性を予測する方法であって、ART手法の前または最中に採取した雌の哺乳類対象由来の試料中のラクトバシラス・クリスパタスの相対量を決定し、ラクトバシラス・クリスパタスの相対存在量が、第4の所定の参照値を超えている場合、ARTの結果妊娠していない可能性が増加している方法。
【0078】
生殖補助医療(ART)手法の結果妊娠がもたらされる可能性を予測する方法であって、ART手法の前または最中に採取した雌の哺乳類対象由来の試料中のラクトバシラス・クリスパタスの相対量を決定し、ラクトバシラス・クリスパタスの相対存在量が、第5の所定の参照値未満である場合、ARTの結果として妊娠する可能性が増加している方法。
【0079】
生殖補助医療(ART)手法の結果妊娠がもたらされる可能性を予測する方法であって、ART手法の前または最中に採取した雌の哺乳類対象由来の試料中のラクトバシラス・イネルスの相対量を決定し、ラクトバシラス・イネルスの相対存在量が、第6の所定の参照値を超えている場合、ARTの結果として妊娠する可能性が増加している方法。
【0080】
生殖補助医療(ART)手法の結果妊娠がもたらされる可能性を予測する方法であって、ART手法の前または最中に採取した雌の哺乳類対象由来の試料中のラクトバシラス・クリスパタスの相対量[LC](0~1の割合で表される)およびラクトバシラス・イネルスの相対量[LI](0~1の割合で表される)を決定し、
[LC]が、第7の所定の参照値未満であり、かつ
[LC}<(a*[LI])+b、かつ
[LC}>(c*[LI])+d
(式中、aは-0.55~-0.70の値であり、bは0.8~0.9のの値であり、cは-0.50~-0.65の値であり、dは0.30~0.45の値である。)
である場合、妊娠する可能性が増加している方法。
【0081】
本明細書に記載の方法において、a=-0.62、b=0.85、c=-0.58およびd=0.38である。
【0082】
本明細書に記載の方法において、第4、第5、第6または第7の所定の参照値は互いに独立に0.5~0.7である。
【0083】
本明細書に記載の方法において、第4の、第5、第6または第7の所定の参照値は0.6である。
【0084】
本明細書に記載の方法を行うキットは、ガルドネラ・バギナリスDNAの増幅産物の検出のための、フォワードプライマーCTGGATCACCTCCTTTCTAWGと、リバースプライマーAGGCATCCRCCATGCGCCCTと、を含み、ガルドネラ・バギナリスDNA増幅産物の長さは428~430ヌクレオチドであり、WはAまたはTを示し、RはAまたはGを示す。
【0085】
本明細書に記載の方法において、試料は膣のスワブであるか、かつ/または哺乳類対象はヒトである。
【0086】
本明細書に記載の方法において、ART手法は、卵細胞質内精子注入法(ICSI)などの体外受精(IVF)手法である。
【配列表】