(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-29
(45)【発行日】2024-03-08
(54)【発明の名称】自動車内での暗号通貨コンピュータネットワーク上の処理による支払い方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 20/38 20120101AFI20240301BHJP
G06Q 20/40 20120101ALI20240301BHJP
G06Q 20/32 20120101ALI20240301BHJP
【FI】
G06Q20/38 310
G06Q20/40
G06Q20/32
(21)【出願番号】P 2021526480
(86)(22)【出願日】2019-11-05
(86)【国際出願番号】 EP2019080213
(87)【国際公開番号】W WO2020104184
(87)【国際公開日】2020-05-28
【審査請求日】2021-05-25
(31)【優先権主張番号】102018009168.7
(32)【優先日】2018-11-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】598051819
【氏名又は名称】メルセデス・ベンツ グループ アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Mercedes-Benz Group AG
【住所又は居所原語表記】Mercedesstrasse 120,70372 Stuttgart,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100090583
【氏名又は名称】田中 清
(74)【代理人】
【識別番号】100098110
【氏名又は名称】村山 みどり
(72)【発明者】
【氏名】フーベルト・レーボルン
(72)【発明者】
【氏名】フランク・シュタールマン
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャ・コラー
【審査官】野元 久道
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-094926(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車支払いシステム(100)における自動車(1)内での暗号通貨コンピュータネットワーク(12)上の処理による支払い方法であって、前記自動車支払いシステム(100)が、前記暗号通貨コンピュータネットワーク(12)と通信する、支払い受取人のデバイス(8)に含まれている支払い受取人の近距離評価ユニットと、入力された受取人アドレスを認証するための支払い受取人の中央評価ユニット(10)と、前記受取人アドレスを含む支払いに関連する処理データが入力される前記自動車(1)内にある処理デバイス(2)と、を備え、前記受取人アドレスは、モバイルインターネット接続によって前記支払い受取人の前記中央評価ユニット(10)に送信され、又は近距離無線によって前記支払い受取人の前記近距離評価ユニットに送信される、前記方法において、
前記支払い受取人に送信された前記受取人アドレスを、前記支払い受取人の前記中央評価ユニット(10)又は前記支払い受取人の前記近距離評価ユニットによって、認証するステップa)と、
ステップa)で認証される前記受取人アドレスが前記支払い受取人によって、すなわち前記支払い受取人の前記中央評価ユニット(10)又は前記支払い受取人の前記近距離評価ユニットによって、真正と分類された場合にのみ以下のステップb)を実行するステップと、
を含むものであり、
ステップb)は、前記支払い受取人のデバイス(8)に含まれている信号伝達デバイス(11)によって、前記自動車(1)内にいる支払い送信者に前記受取人アドレスの認証成功を表示するステップであり、及び
以下の追加のステップc)を含むものであり、
ステップc)は、前記支払いを実施するために、前記処理データを前記処理デバイス(2)から前記暗号通貨コンピュータネットワーク(12)に送信するステップであり、
それにより、支払い額が、前記暗号通貨コンピュータネットワーク(12)によって使用されている通貨で、送信者アドレスに紐付いたアカウント残高から前記受取人アドレスに紐付いたアカウント残高に送金される、方法。
【請求項2】
前記受取人アドレスの前記認証成功が、前記自動車(1)内に配置された表示デバイスによって、光学的及び/又は音響的に、前記自動車(1)内にいる前記支払い送信者に表示されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記方法が、ステップa)の前に実施される以下の追加のステップa1)を含むものであり、
ステップa1)は、前記受取人アドレスを含む支払いに関連する処理データを前記自動車(1)内にいる前記支払い送信者に提供するステップであること、
を特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
ステップa1)で提供される前記処理データが追加的に、支払い額、及び/又は、送信者アドレス及び前記送信者アドレスに関連する秘密鍵を含むことを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記方法が、ステップa)の前に実施される以下の追加のステップa2)を含むものであり、
ステップa2)は、ステップa1)で提供される前記処理データを前記自動車(1)内にある処理デバイス(2)に少なくとも部分的に入力するステップであることを特徴とする、請求項3又は4に記載の方法。
【請求項6】
ステップa2)で、前記処理データが、少なくとも部分的に自動で、前記支払い送信者の要求なく、入力されること、及び/又は
ステップa2)で、前記処理データが、前記処理デバイス(2)と接続された前記自動車の入力デバイス(3)を用いて、少なくとも部分的に前記支払い送信者によって入力されること、及び/又は
ステップa2)で、前記処理データが、前記処理デバイス(2)と接続された画像捕捉装置(4)を介してQRコード表示をスキャンすることによって少なくとも部分的に入力され、前記画像捕捉装置(4)は、前記自動車(1)に配置されていること、及び/又は前記画像捕捉装置(4)と接続されたモバイル機器に配置されていること、
を特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
ステップa2)で入力された前記処理データが、前記処理デバイス(2)と接続されたデータベース(5)に少なくとも部分的に保存されること、及び/又は
ステップa2)で入力された前記処理データが、前記処理デバイス(2)と接続されたリムーバブルメディア(6)に少なくとも部分的に保存されること、及び/又は
ステップa2)で入力された前記処理データが、前記処理デバイス(2)と接続された少なくとも1つのバックエンドサーバ(7)に少なくとも部分的に保存されること、
を特徴とする、請求項5又は6に記載の方法。
【請求項8】
前記秘密鍵が、前記支払い送信者だけが見られるように、保護して保存されることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項9】
ステップc)で、ステップa2)で入力された前記処理データが、少なくとも部分的に、前記データベース(5)から読み出されて前記暗号通貨コンピュー
タネットワーク(12)に送信されること、及び/又は
ステップc)で、ステップa2)で入力された前記処理データが、少なくとも部分的に、前記リムーバブルメディア(6)から読み出されて前記暗号通貨コンピュータネットワーク(12)に送信されること、及び/又は
ステップc)で、ステップa2)で入力された前記処理データが、少なくとも部分的に、前記少なくとも1つのバックエンドサーバ(7)から読み出されて前記暗号通貨コンピュー
タネットワーク(12)に送信されること、
を特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記方法が、以下の追加のステップd)を含むものであり、
ステップd)は、前記処理データから生成された処理が、前記暗号通貨コンピュータネットワーク(12)の少なくとも1つの台帳にエントリされるステップであることを特徴とする、請求項3~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記方法が、以下の追加のステップe)を含むものであり、
ステップe)は、前記処理の前記エントリに関連する処理状況を前記自動車内にいる前記支払い送信者に送信するステップであることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
ステップe)で、前記処理の前記エントリの前記処理状況が、前記暗号通貨コンピュータネットワーク(12)の1回の承認完了後に、
又は3回の承認完了後に、
又は6回の承認完了後に、前記支払い送信者に支払い完了として送信されること、及び/又は
ステップe)で、前記処理の前記エントリの前記処理状況が、前記暗号通貨コンピュータネットワークへの前記処理データ
の伝送の開始後、最短1秒、
又は最短1分、
又は最短10分で、前記支払い送信者に支払い完了として送信されること、
を特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
自動車(1)であって、
処理デバイス(2)を有し、
前記自動車(1)及び/又は前記処理デバイス(2)が、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法を実施するように設定されている、自動車(1)。
【請求項14】
前記自動車(1)が、処理データを保存するためのデータベース(2)、及び/又は処理データを入力するための入力デバイス(3)、及び/又は処理データを入力するための前記自動車に配置された画像捕捉装置(4)を備える、請求項13に記載の自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車内での暗号通貨コンピュータネットワーク上の処理による支払い方法に関する。更に、本発明は、この方法を実施するように構成された自動車に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車内での支払い方法は、特許文献1及び特許文献2から公知である。ここでは、自動車内で保存された支払い情報が変更され、又は識別情報が伝送される。
【0003】
しかしながら、自動車内での従来の支払い方法では、通常、支払いプロセスの完了若しくは承認まで、又は支払い済みの商品若しくは役務の受け取りまで、長い待機時間がある。その際、実際の支払いは、事後的に初めて、特に複数の支払いプロセスについて一括的に処理されることが多いため、流動性が十分でない場合、支払いを行うことができない場合がある。加えて、偽の身元の詐称によって、又は不正な読み取りによって、又は支払い情報の改ざんによってもまた、詐欺事件が起こる可能性がある。
【0004】
更に、自動車内での従来の支払い方法には、支払いプロセスの前にすでに、例えば、商品又は役務の提供者と契約を締結することが必要になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】独国特許出願公開第102012206770(A1)号
【文献】独国特許出願公開第102013114935(A1)号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の課題は、上記の欠点が、少なくとも部分的に、理想的には完全に排除された、自動車内での支払いのための代替的な又は改善された方法を確立することである。特に、自動車内での、ユーザによる、より高速で、より信頼性が高く、より快適で、かつより安全な支払いを実現する方法を確立するべきである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、この課題は、独立請求項の主題によって解決される。有利な実施形態は、従属請求項の主題である。
【0008】
したがって、本発明の基本概念は、自動車内で暗号通貨コンピュータネットワーク上の処理によって支払うことである。その際、その真正性を確認するために、支払い受取人に受取人アドレスが送信される。受取人アドレスが真正であれば、認証成功が自動車内にいる支払い送信者に表示される。
【0009】
本明細書において提案される本発明の方法によって、自動車内で、特に安全、高速、かつ快適にキャッシュレス支払いを行うことが可能である。特に、支払いプロセスのために自動車から離れる必要はない。また、有料サービスを提供する商品提供者又は役務提供者における事前登録も必要ない。本明細書において提示された方法が特に有利であることが実証されている一般的な支払いプロセスは、特に、自動車の有料駐車、洗車、又は給油、並びに遮断機などのゲートの有料通行に関連する。
【0010】
本発明の方法は、自動車内での暗号通貨コンピュータネットワーク上の処理による支払いに用いられる。本方法によれば、支払い受取人に送信された受取人アドレスが認証される。認証される受取人アドレスが支払い受取人によって真正と分類された場合にのみ、以下のステップが実行される。即ち、自動車内にいる支払い送信者に受取人アドレスの認証成功を表示するステップが実行される。
【0011】
受取人アドレスの認証成功は、特に自動車内に配置された表示デバイスによって、光学的に、かつ代替的又は追加的には音響的に、自動車内にいる支払い送信者に表示されることが好ましい。
【0012】
特に好ましい実施形態によれば、本方法は、以下のステップを含む:
【0013】
受取人アドレスを含む支払いに関連する処理データは、第1のプロセスステップで、自動車内にいる支払い送信者に提供される。続いて、第2のプロセスステップで、支払い受取人に送信された受取人アドレスが認証される。認証される受取人アドレスが支払い受取人によって真正と分類された場合にのみ、以下の2つのステップが実行される。第3のプロセスステップで、受取人アドレスの認証成功が、自動車内にいる支払い送信者に表示され、第4のプロセスステップで、処理データが、暗号通貨コンピュータネットワークに送信されて支払いが実施される。先に説明した実施形態は、それ自体が発明性を有する。
【0014】
好ましい実施形態によれば、提供される処理データは追加的に、支払い額、及び代替的又は追加的に送信者アドレス及び送信者アドレスに関連する秘密鍵を含む。
【0015】
本方法は、提供された処理データを自動車内にある処理デバイスに少なくとも部分的に入力する更なるステップを追加的に含むことが実用的である。
【0016】
処理データは、少なくとも部分的に自動で、すなわち、支払い送信者の要求なく、特にワイヤレスで入力されることが有利である。代替的又は追加的に、処理データは、処理デバイスと接続された自動車の入力デバイスを用いて、少なくとも部分的に支払い送信者によって入力される。代替的又は追加的に、処理データは、処理デバイスと接続された画像捕捉装置を介してQRコード(登録商標)表示をスキャンすることによって少なくとも部分的に入力され、画像捕捉装置は、自動車に配置されており、代替的又は追加的に、画像捕捉装置と接続されたモバイル機器に配置されている。これらの実施形態によって、その都度、自動車内にいるユーザによる特に高速かつ特に快適な支払いが可能になる。
【0017】
入力された処理データは、処理デバイスと接続されたデータベースに少なくとも部分的に保存されることが特に有利である。代替的又は追加的に、入力された処理データは、処理デバイスと接続されたリムーバブルメディア、特にハードウェアウォレットに少なくとも部分的に保存される。代替的又は追加的に、入力された処理データは、処理デバイスと接続された少なくとも1つのバックエンドサーバに少なくとも部分的に保存される。これらの実施形態によって、提供された処理データの入力を、その都度少なくとも部分的に不要にすることができ、自動車内で、特に高速かつ特に快適な支払いを達成することができる。
【0018】
秘密鍵は、支払い送信者だけが見られるように、保護して保存されることが適切である。このようにして、支払い送信者だけが、支払いプロセスを実際に実行することが可能である。このようにして、認証されていない第三者による処理が防止される。
【0019】
入力された処理データは、少なくとも部分的に、データベースから読み出されて暗号通貨コンピュータネットワークに送信されることが特に適切である。代替的又は追加的に、入力された処理データは、少なくとも部分的に、リムーバブルメディア、特にハードウェアウォレットから読み出されて暗号通貨コンピュータネットワークに送信される。代替的又は追加的に、入力された処理データは、少なくとも部分的に、少なくとも1つのバックエンドサーバから読み出されて暗号通貨コンピュータネットワークに送信される。また、これらの実施形態によっても、提供された処理データの入力を、少なくとも部分的に不要にすることができ、自動車内で、特に高速、安全、かつ快適な支払いを達成することができる。更に、すでに認証された受取人アドレスを支払いに使用することができる。
【0020】
本方法は、更なるステップ、すなわち、処理データから生成された処理を暗号通貨コンピュータネットワークの少なくとも1つの台帳にエントリすることを追加的に含むことが適切である。
【0021】
本方法は、処理のエントリに関連する処理状況を自動車内にいる支払い送信者に送信するもう1つの追加のプロセスステップを追加的に含むことが特に有利である。
【0022】
暗号通貨コンピュータネットワークの少なくとも1回の承認、好ましくは少なくとも3回の承認、最も好ましくは少なくとも6回の承認が得られたらすぐに、処理のエントリの処理状況として、支払いを完了したことが支払い送信者に送信されることが好ましい。
【0023】
代替的又は追加的に、処理のエントリの処理状況は、暗号通貨コンピュータネットワークへの処理データ伝送の開始後、最短1秒、好ましくは最短1分、最も好ましくは最短10分で、支払い送信者に支払い完了として送信される。
【0024】
更に、本発明は、自動車に関する。自動車は、処理デバイスを含み、自動車又は処理デバイスは、前述の請求項のいずれか一項に記載の方法を実施するように設定/プログラムされている。したがって、本発明の方法の先に説明した利点は、本発明による自動車にも該当する。
【0025】
自動車の好ましい発展形態によれば、自動車は、処理データを保存するためのデータベースと、代替的又は追加的に、処理データを入力するための入力デバイスと、代替的又は追加的に、処理データを入力するための、自動車に配置された画像捕捉装置と、を備える。そのような自動車は、暗号通貨コンピュータネットワーク上の処理による高速かつ快適な支払いに特に適していることが実証されている。
【0026】
本発明の更なる重要な特徴及び利点は、従属請求項、図面、及び図面を参照した関連する図面の説明から明らかになる。
【0027】
本発明の好ましい実施例は、図面に図示されており、以下の説明でより詳細に記述する。
【0028】
当然のことながら、本発明の範囲を逸脱することなく、上記の特徴及び以下で更に説明することとなる特徴は、その都度記載される組み合わせのみならず、他の組み合わせ又は単独でも使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】唯一の
図1は、本発明による自動車1のための自動車支払いシステム100の例を図示している。
【発明を実施するための形態】
【0030】
自動車1は、この目的のために、処理デバイス2を備える。処理デバイス2は、本発明の方法を実施するように設定又はプログラムされている。更に、処理デバイス2と接続された入力デバイス3が、自動車1の内部に配置されており、その入力デバイス3によって、通常は自動車1の運転者である支払い送信者は、支払いに関連する処理データを処理デバイス2に入力することができる。その場合、入力デバイス3は、例えば、自動車内に標準的に搭載されているタッチセンシティブスクリーン又はキーボードを含み得る。また、例えば、認証若しくは保存される受取人アドレス又は受取人アドレスに関連する識別子を表示するための表示デバイス(
図1には図示せず)が、自動車1の内部に配置されることも考えられる。また、表示デバイスは、例えば、ナビゲーションシステムの一部として、すでに標準的に自動車1に搭載されていてもよい。
【0031】
図1の例では、処理デバイス2と接続された画像捕捉装置4もまた自動車1に配置されており、その画像捕捉装置4によって、処理データの少なくとも一部を、QRコード表示9をスキャンすることによって捕捉して、処理デバイス2に伝送することができる。自動車1に搭載されている画像捕捉装置4の代わりに、携帯電話に内蔵された画像捕捉装置の使用も考えられる。画像捕捉装置4は、従来のカメラとして形成することができる。自動車1は、処理デバイス2と接続された受信デバイス及び送信デバイス(
図1には図示せず)も備えていてもよく、それらの受信デバイス及び送信デバイスによって、処理データを、自動で、支払い送信者による要求なく、特にワイヤレスで、処理デバイス2に提供することができる。
【0032】
図1の例に図示されているように、自動車1は、入力された処理データを保存するために、処理デバイス2と接続されたデータベース5を更に有する。また、この処理データ、特に送信者アドレスに関連する秘密鍵は、処理デバイス2と接続されたリムーバブルメディア6に、例えば、暗号通貨のためのいわゆる「ハードウェアウォレット」に、又は処理デバイス2と接続されたバックエンドサーバ7に保存されることが考えられる。その場合、そのようなバックエンドサーバは、本発明の方法の実施に関する情報及び処理データを保存し、かつ評価するように設定されている必要がある。自動車支払いシステム100は、支払い受取人のデバイス8を更に含む。
【0033】
図1の例では、支払い受取人のデバイス8上には、受取人アドレスのいわゆるQRコード表示9がある。更に、自動車支払いシステム100は、入力された受取人アドレスを認証のためにモバイルインターネット接続によって送信することが可能な、支払い受取人の中央評価ユニット10を含む。一変形形態では、入力された受取人アドレスは、近距離無線によって、支払い受取人のデバイス8に含まれている支払い受取人の近距離評価ユニット(
図1には図示せず)に送信され得る。
図1の例では、中央評価ユニット10は、近距離評価ユニット及び処理デバイス2と通信接続している。
【0034】
支払い受取人のデバイス8は、信号伝達デバイス11を更に含み、この信号伝達デバイス11によって、支払い受取人は、受取人アドレスの真正性を自動車1内にいる支払い送信者に表示することができる。信号伝達デバイス11は、例えば、光学的、音響的、又は触覚的な信号を生成することができる。自動車支払いシステム100は、複数のコンピュータを有し得る暗号通貨コンピュータネットワーク12を更に含み、これらの複数のコンピュータに、入力された処理データを送信することができる。
図1の例示的なケースでは、明確化のために、暗号通貨コンピュータネットワーク12の互いに通信する3つのコンピュータが示されている。支払い受取人のデバイス8の近距離評価ユニット、中央評価ユニット10、処理デバイス2、及び1つのバックエンドサーバ7は、暗号通貨コンピュータネットワーク12と通信している。
図1の例では、中央評価ユニット10及びバックエンドサーバ7のどちらも、暗号通貨コンピュータネットワーク12と直接接続されている。
【0035】
以下で、本発明の方法を例示的に説明する。
【0036】
本方法によれば、処理データは、自動車1内にいる自動車の運転者に提供される。処理データは、自動車1が今まさに有料で給油されたところの給油所運営者の受取人アドレスを含む。給油プロセスの支払いに必要な処理データは、燃料の給油に対して給油所運営者が請求する購入価格に相当する支払い額、運転者の送信者アドレス、及び送信者アドレスに関連する運転者の秘密鍵を含む。その際、受取人アドレス及び支払い額は、給油所運営者によって提供され、また受取人アドレスは、暗号通貨コンピュータネットワークによって給油所運営者に提供される。運転者の送信者アドレス及び関連する鍵も同様に、暗号通貨コンピュータネットワークによって運転者に提供される。
【0037】
その際、この処理データは、例えば、音響的若しくは光学的な情報として、テキスト、一連の数字、QRコード表示として、デジタル保存された形式で、又はデジタル信号として提供され得る。この例の一変形形態では、複数の受取人アドレス、送信者アドレス、支払い額、又は秘密鍵もそれに加えて提供されると考えられる。また、受取人アドレス、送信者アドレス、及び秘密鍵が、複数の暗号通貨コンピュータネットワークによって提供されることも考えられる。
【0038】
提供された処理データは、本発明の方法の過程で、処理デバイス2に入力される。この目的のために、支払い額は、運転者によって入力デバイス3で入力され、これによって処理デバイス2に提供され得る。受取人アドレスは、例えば、画像捕捉装置4によってQRコード表示9をスキャンすることによって、処理デバイス2に提供され得る。カメラの形態の画像捕捉装置4は、自動車1自体に配置されていても、また代替的には、処理デバイス2と接続された携帯電話に配置されていてもよい。この例の一変形形態では、受取人アドレス及び支払い額は、自動で、すなわち、運転者による手動の入力又は要求なく、かつワイヤレスで、例えば、Bluetoothで、給油所運営者から自動車1の処理デバイス2に送信され得る。
【0039】
続いて、受取人アドレスが、処理デバイス2と接続されたデータベース5に保存される。その際、秘密鍵は、リムーバブルメディア6に保存される。これについての代替的な変形形態では、秘密鍵をバックエンドサーバ7に保存することもできる。その際、前述の両方の変形形態において、秘密鍵は、支払い送信者だけが見られるように保護して保存される。
【0040】
続いて、入力された受取人アドレスは、モバイルインターネット接続によって、認証のために給油所運営者の中央評価ユニット10に送信される。これについての代替的な変形形態では、入力された受取人アドレスは、近距離無線によって、給油所運営者の近距離評価ユニットに送信される。
【0041】
保存された受取人アドレスがすでに認証されている場合、これを再認証なしで暗号通貨コンピュータネットワーク12に直接送信することもできる。例えば、保存されている受取人アドレスを、自動車1の表示デバイスにおいて運転者に表示し、これを運転者が入力デバイス3を用いて選択することができ、その後、受取人アドレスは、認証を繰り返すことなく、暗号通貨コンピュータネットワーク12に直接送信される。
【0042】
受取人アドレスが真正と分類されない場合、運転者には認証が失敗したと表示され、支払いプロセスは中止される。
【0043】
認証される受取人アドレスが真正と分類された場合にのみ、本方法又は支払いプロセスが続行される。この場合、給油所運営者は、自動車1内にいる運転者に、受取人アドレスの認証チェックが成功したことを表示する。受取人アドレスの認証チェックが成功したことは、例えば、自動車内に配置された表示デバイスによって、支払い送信者に表示され得る。続いて、入力された処理データが、暗号通貨コンピュータネットワーク12に送信される。その際、支払い額、受取人アドレス、及び給油所運営者の送信者アドレスが、処理デバイス2から読み出されて暗号通貨コンピュータネットワーク12に送信される。
【0044】
その後、処理データから生成された処理が、暗号通貨コンピュータネットワーク12の少なくとも1つの台帳にエントリされる。その際、処理を、非対称暗号化方式によって支払い送信者の秘密鍵を用いてデジタル署名することができる。その際、リムーバブルメディア6、特にハードウェアウォレット又はバックエンドサーバ7に保存されている支払い送信者の秘密鍵が、リムーバブルメディア6又はバックエンドサーバ7から送信される。支払い額は、暗号通貨コンピュータネットワークによって使用されている通貨で、送信者アドレスに紐付いたアカウント残高から受取人アドレスに紐付いたアカウント残高に送金される。
【0045】
暗号通貨コンピュータネットワーク12によって使用されている台帳は、例えば、ビットコインネットワークのいわゆる「ブロックチェーン」であり得る。次いで、処理は、ブロックチェーンのいわゆる「ブロック」にエントリされ、このようにして生成されたブロックは、ビットコインネットワークの他のアカウントポイント(いわゆる「ノード」)に送信される。また、暗号通貨コンピュータネットワーク12の少なくとも1つの台帳は、いわゆる「有向非巡回グラフ(Directed Acyclic Graphs)」、例えば、いわゆるNanoネットワークの「ブロックラティス」又はIOTAネットワークの「タングル」などであるとも考えられる。Nanoネットワークの場合、処理は、その都度、運転者又は給油所運営者のブロックチェーンのブロックにエントリされ、各アカウント残高は、ブロックラティスに保存される。
【0046】
最後に、本方法の過程で、暗号通貨ネットワーク12において完了した承認のこれまでに特定された数を含む、処理のエントリに関連する処理状況が、自動車内にいる運転者に送信される。
【0047】
その際、エントリが完了したことが、例えば、いわゆる「フラッディング(flooding)」アルゴリズムによって、暗号通貨ネットワーク12のある「ノード」から他の「ノード」に送信される。暗号通貨ネットワーク12のこれらの他のノードのうちの1つがこのエントリを引き継ぎしない場合、処理は、このノードによって更に拡張される台帳中に存在しないため、承認されない。それに対して、暗号通貨ネットワーク12のノードがこのエントリを引き継ぐ場合、処理は、このノードによって更に拡張される台帳中に存在する。
【0048】
処理のエントリを引き継ぐ台帳が最大のエントリ数、例えば、最長の「ブロックチェーン」又は「ブロックラティス」を有する場合、この台帳は、暗号通貨ネットワーク12のノードクライアントによって優先と分類され、更に拡張される。エントリの完了は分散承認され、いわゆる「コンセンサス」に至る。エントリを引き継ぐ台帳が新しいエントリ又はブロックで継続され、再び「コンセンサス」が得られる場合、以前に行われたエントリが、繰り返し承認されたものと見なされる。それに対して、Nanoネットワークの場合、コンセンサスは、「デリゲート・ポイント・オブ・ステーク」によって、すなわち、Nano通貨所有者により選ばれた委任者によって投票で達成される。
【0049】
すなわち、運転者には、エントリの処理状況として、完了した承認の数が通知される。したがって、支払いプロセスは、例えば、1回、3回、又は6回の暗号通貨ネットワーク12の承認以降、完了と通知され得る。他の変形形態では、処理のエントリの処理状況は、暗号通貨コンピュータネットワークへの処理データ伝送の開始後、最短1秒、好ましくは最短1分で、支払い送信者に支払い完了として送信される。
【0050】
承認の数が多いほど、暗号通貨ネットワーク12の少なくとも1つのノードによってエントリがキャンセル又は変更される可能性が低くなる。そのようにエントリに影響を与えることは、例えば、ビットコインネットワークの計算能力の割合を同様に増加させることを必要とする恐れがあるか、又はNanoネットワークの委任者の少なくとも51%によって実施されなくてはならないだろう。
【0051】
処理のエントリの処理状況、ここで認証されていること、又はここで認証されていないことが、本方法の実施の過程で、信号伝達デバイス11によって、又は自動車内にある表示デバイスを用いて、運転者に通知される。その際、給油所運営者の識別子も送信することができる。
【0052】
例えば、ナンバープレートなどの、自動車1又は自動車内にいる運転者を識別するための情報及び関連する送信者アドレスは、支払いを自動車1に割り当てるために、給油所の中央処理デバイス10又は近距離評価デバイスに保存され得る。支払いプロセスが送信者アドレスによって完了すると、自動車1は、給油所から出ることができる。
【0053】
バックエンドサーバ7は、本方法を実施する過程で、本方法の実施に関する情報及び処理データを保存して、必要に応じてこれらを評価することができる。