(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-29
(45)【発行日】2024-03-08
(54)【発明の名称】部品検査装置
(51)【国際特許分類】
G01L 1/22 20060101AFI20240301BHJP
H01L 21/67 20060101ALI20240301BHJP
H01L 21/677 20060101ALI20240301BHJP
【FI】
G01L1/22 Z
H01L21/68 E
H01L21/68 A
(21)【出願番号】P 2023117301
(22)【出願日】2023-07-19
【審査請求日】2023-07-19
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591048070
【氏名又は名称】上野精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100145012
【氏名又は名称】石坂 泰紀
(74)【代理人】
【識別番号】100212026
【氏名又は名称】中村 真生
(72)【発明者】
【氏名】南 日出夫
(72)【発明者】
【氏名】松吉 知樹
【審査官】松山 紗希
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-277912(JP,A)
【文献】特開2016-207884(JP,A)
【文献】国際公開第2023/042649(WO,A1)
【文献】特開2023-075867(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 1/22
H01L 21/50-68
B65B 15/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品を搬送しつつ検査し、良品と不良品とに分類したうえで、前記電子部品を収容部材に収容する部品検査装置であって、
表面と裏面とを有し、前記表面に前記電子部品が貼付されたシートを保持するシート保持部と、
複数の部品保持部であって、それぞれが、前記シート保持部に保持された前記シートの前記表面に対向し、前記電子部品を保持する、前記複数の部品保持部と、
前記シート保持部に保持された前記シートの前記裏面の突上げ位置に対向する突上げ部材と、
前記複数の部品保持部のいずれかに向かうように前記突上げ部材を所定方向に沿って移動させる駆動部と、
前記シート保持部に保持された前記シートの前記裏面における前記突上げ位置の周辺の領域を吸着するステージと、
前記突上げ部材に加わる荷重を検出する荷重検出部と、
前記所定方向における前記突上げ部材の位置を検出する位置検出部と、
前記シートから前記電子部品を受け取るための受渡領域を通る円軌道に位置するように前記複数の部品保持部を支持する支持部と、
前記円軌道に沿って前記複数の部品保持部を移動させるように前記支持部を回転させる回転駆動部と、
前記回転駆動部又は前記支持部に設けられ、前記円軌道の中心軸まわりの周方向における前記支持部の回転位置
であって、前記支持部の回転角度を表す情報を検出する回転位置検出部と、
を備え、
前記複数の部品保持部それぞれが、前記受渡領域において前記シートから前記電子部品を受け取るように構成されている
、部品検査装置。
【請求項2】
電子部品を搬送しつつ検査し、良品と不良品とに分類したうえで、前記電子部品を収容部材に収容する部品検査装置であって、
表面と裏面とを有し、前記表面に前記電子部品が貼付されたシートを保持するシート保持部と、
前記シート保持部に保持された前記シートの前記表面に対向し、前記電子部品を保持する部品保持部と、
前記シート保持部に保持された前記シートの前記裏面の突上げ位置に対向する突上げ部材と、
前記部品保持部に向かうように前記突上げ部材を所定方向に沿って移動させる駆動部と、
前記シート保持部に保持された前記シートの前記裏面における前記突上げ位置の周辺の領域を吸着し、前記所定方向において移動可能に設けられたステージと、
前記突上げ部材に加わる荷重を検出する荷重検出部と、
前記所定方向における前記突上げ部材の位置を検出する位置検出部と、
前記部品保持部に向かうように前記ステージを前記所定方向に沿って移動させる第2駆動部と、
前記所定方向における前記ステージの位置を検出する第2位置検出部と、
を備える
、部品検査装置。
【請求項3】
前記ステージに加わる荷重を検出する第2荷重検出部を更に備える、請求項
2に記載の部品検査装置。
【請求項4】
前記位置検出部による検出結果に基づいて、前記ステージに対する前記突上げ部材の位置を取得するコントローラを更に備える、請求項1~
3のいずれか一項に記載の部品検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、部品検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ウェハシートに貼り付けられた電子部品をコレットに吸着させる電子部品受渡し装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、電子部品に加わる荷重を荷重センサで計測する場合において、装置振動等に起因して真の荷重値以外に計測されてしまう外乱値を低減して電子部品に加わる荷重を高精度に計測することが可能な部品検査装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一側面に係る部品検査装置は、電子部品を搬送しつつ検査し、良品と不良品とに分類したうえで、電子部品を収容部材に収容する装置である。この部品検査装置は、表面と裏面とを有し、表面に電子部品が貼付されたシートを保持するシート保持部と、シート保持部に保持されたシートの表面に対向し、電子部品を保持する部品保持部と、シート保持部に保持されたシートの裏面の突上げ位置に対向する突上げ部材と、部品保持部に向かうように突上げ部材を所定方向に沿って移動させる駆動部と、シート保持部に保持されたシートの裏面における突上げ位置の周辺の領域を吸着するステージと、突上げ部材に加わる荷重を検出する荷重検出部と、所定方向における突上げ部材の位置を検出する位置検出部と、を備える。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、電子部品に加わる荷重を荷重センサで計測する場合において、装置振動等に起因して真の荷重値以外に計測されてしまう外乱値を低減して電子部品に加わる荷重を高精度に計測することが可能な部品検査装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、部品検査装置の一例を模式的に示す側面図である。
【
図2】
図2は、コントローラの機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、コントローラのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、コントローラが実行する一連の処理の一例を示すフローチャートである。
【
図5】
図5(a)及び
図5(b)は、突上げ時の動作の一例を示す模式図である。
【
図6】
図6(a)及び
図6(b)は、突上げ時の動作の一例を示す模式図である。
【
図7】
図7は、突上げ時の動作の一例を示す模式図である。
【
図8】
図8は、コントローラが実行する一連の処理の一例を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、コントローラが実行する一連の処理の一例を示すフローチャートである。
【
図11】
図11は、位置及び荷重それぞれの検出値の一例を示すグラフである。
【
図13】
図13は、コントローラが実行する一連の処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して一実施形態について説明する。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0009】
[部品検査装置]
図1は、一実施形態に係る部品検査装置を模式的に示す側面図である。
図1に示される部品検査装置1は、ダイソータであり、電子部品Wを搬送しつつ検査し、良品と不良品とに分類したうえで、電子部品Wを収容部材に収容する装置である。部品検査装置1は、検査により良品と判定された電子部品Wを収容部材に収容してもよい。部品検査装置1は、取り出し可能な状態で電子部品Wを収容部材に収容してもよい。例えば、部品検査装置1において収容部材に収容された後の電子部品Wは、部品検査装置1とは別の装置において、収容部材から取り出されて処理される。
【0010】
部品検査装置1が行う検査は、例えば、外観検査、又は電気特性検査等を含む。部品検査装置1は、電子部品Wの検査に加えて、マーキングを行ってもよい。部品検査装置1による検査後の電子部品Wを収容する収容部材は、例えば、キャリアテープ、トレイ、又はウェハシートである。部品検査装置1による検査対象の電子部品Wは、半導体製造の前工程で形成された後にダイシング等によって個片化された部品であってもよい。プリント基板に電子部品を実装するマウンター又はボンダーに比べて、ダイソータである部品検査装置1は高速で動作する。すなわち、マウンター又はボンダーに比べて、部品検査装置1において単位時間あたりに処理される部品の個数は多い。
【0011】
部品検査装置1は、例えば、検査ユニット10と、供給ユニット20と、コントローラ100と、を備える。検査ユニット10は、電子部品Wを搬送する機能と、電子部品Wを検査する機能と、電子部品Wの検査結果に基づき良品と判定された電子部品Wを収容部材に収容する機能と、を有してもよい。
【0012】
検査ユニット10は、供給ユニット20から電子部品Wを受け取って、所定の中心軸線まわりの円軌道に沿って電子部品Wを搬送する。検査ユニット10は、複数の電子部品Wを上記円軌道に沿って搬送する。上記円軌道の中心軸線は、鉛直な軸線であってもよい。
図1では、Z軸方向が鉛直方向に相当する。搬送対象の電子部品Wは、互いに逆向きの主面Wa及び主面Wbを含む。
【0013】
検査ユニット10は、支持部12と、複数の部品保持部14と、を有する。
図1では、1つの部品保持部14が示されている。支持部12は、複数の部品保持部14を上記円軌道に位置するように支持し、鉛直な軸線まわりに駆動部により回転する。複数の部品保持部14それぞれは、電子部品Wを保持する。支持部12は、回転と停止とを繰り返すように間欠的に回転してもよい。支持部12は、複数の部品保持部14が上記円軌道上の所定の停止位置にそれぞれ停止するように間欠的に回転する。これにより、複数の部品保持部14それぞれに保持された電子部品Wが、移動と停止とを繰り返しながら搬送される。
【0014】
円軌道上の1つの停止位置には、複数の部品保持部14それぞれが順に停止する。円軌道上の所定の停止位置に1つの部品保持部14が配置される度に、その部品保持部14が、供給ユニット20から電子部品Wを受け取る。以下、検査ユニット10が供給ユニット20から電子部品Wを受け取る停止位置を「供給位置」と称する。検査ユニット10は、円軌道上の供給位置よりも下流に位置する停止位置において、電子部品Wの検査を行ってもよい。検査ユニット10は、円軌道上の、電子部品Wの検査を行う停止位置よりも下流に位置する停止位置において、検査により良品と判定(分類)された電子部品Wを、収容部材に収容してもよい。
【0015】
(供給ユニット)
供給ユニット20は、複数の電子部品Wそれぞれを順に(異なるタイミングで)検査ユニット10に供給するユニットである。供給ユニット20は、例えば、支持部12の下方に配置されている。供給ユニット20は、ピックアップ部30と、部品供給部50と、を有してもよい。
【0016】
ピックアップ部30は、所謂ロータリピックアップである。ピックアップ部30は、検査ユニット10によって電子部品Wが搬送される上記円軌道とは別の円軌道(以下、「円軌道CR2」と表記する。)に沿って電子部品Wを搬送し、電子部品Wを検査ユニット10の部品保持部14に引き渡すように構成されている。ピックアップ部30は、例えば、支持部32と、複数の部品保持部34と、回転駆動部36と、回転位置検出部38と、を有する。
【0017】
支持部32は、円軌道CR2に位置するように複数の部品保持部34を支持する。支持部32によって支持された状態の複数の部品保持部34は、円軌道CR2上に位置する。支持部32は、円軌道CR2の中心軸線Ax2まわりに回転可能に設けられる。円軌道CR2の中心軸線Ax2は、水平な軸線であってもよい。
図1に示される例においては、円軌道CR2の中心軸線Ax2は、紙面に対して垂直な方向に延びている。複数の部品保持部34は、中心軸線Ax2まわりの円周に沿って等間隔に並ぶように、支持部32に固定されていてもよい(取り付けられてもよい)。
【0018】
複数の部品保持部34それぞれは、電子部品Wを保持する。複数の部品保持部34それぞれは、部品供給部50から電子部品Wを受け取って、受け取った電子部品Wを保持する。部品保持部34は、いかなる方式で電子部品Wを保持してもよい。電子部品Wを保持する方式の具体例としては、真空吸着、静電気式の吸着、及び、把持等が挙げられる。部品保持部34は、円軌道CR2の半径方向に沿って電子部品Wと対向した状態で、その電子部品Wを保持する。部品保持部34は、主面Wa及び主面Wbの一方を円軌道CR2の外に向けて、主面Wa及び主面Wbの他方を吸着により保持してもよい。
【0019】
部品保持部34は、例えば、吸着部42と、ホルダ44と、スプリング46と、を有する。吸着部42(部品保持部)は、電子部品Wの主面Wa及び主面Wbのいずれかを吸着することで、電子部品Wを保持する。吸着部42は、例えば、円軌道CR2の半径方向に沿って延びるように形成された吸着ロッドであり、円軌道CR2の外を向く端部において電子部品Wの主面Waを吸着する。吸着部42が主面Waを吸着により保持している状態では、電子部品Wの主面Waが円軌道CR2の内側(中心軸線Ax2)を向き、電子部品Wの主面Wbが円軌道CR2の外を向く。
【0020】
ホルダ44は、支持部32の外周部に固定されており、吸着部42を円軌道CR2の半径方向に沿って移動可能に保持する。スプリング46は、吸着部42の上記半径方向に沿った移動に抗するように構成されている。スプリング46は、コイルバネであってもよい。スプリング46は、吸着部42に対して円軌道CR2の内側に向かう力が加わったときに、円軌道CR2の外に向かう反力を吸着部42に加える。
【0021】
供給ユニット20は、電子部品Wを吸着するための吸引力を発生させる吸引部48を有してもよい。吸引部48は、例えば、吸着部42の内部に形成された空間と吸引ポンプ(真空ポンプ)とを接続する吸引路を含む。吸引部48は、例えば、電磁バルブ等の開閉部材によって、吸着部42による吸着状態をオン状態とオフ状態とに切り替える。吸引部48の開閉部材の開閉状態は、コントローラ100からの動作指示に応じて切り替わる。供給ユニット20は、複数の吸着部42それぞれに対応する複数の吸引部48を有してもよい。
図1では、1つの吸引部48が示されており、他の吸引部48は省略されている。
【0022】
回転駆動部36は、円軌道CR2に沿って複数の部品保持部34を移動させるように、円軌道CR2の中心軸線Ax2(中心軸)まわりに支持部32を回転させる。回転駆動部36は、例えば、電動モータ等の動力源を含む。回転駆動部36は、サーボモータ、ダイレクトドライブモータ(DDモータ)、又はインダクションモータを含んでもよい。回転駆動部36による支持部32の回転によって、複数の部品保持部34(複数の吸着部42)が円軌道CR2に沿って移動する。その結果、部品保持部34(吸着部42)によって保持されている電子部品Wが、円軌道CR2に沿って搬送される。
【0023】
回転駆動部36は、円軌道CR2において互いに隣り合う部品保持部34同士の角度ピッチ(中心軸線Ax2まわりの角度ピッチ)にて、支持部32の回転と停止とを繰り返すように制御される。以下、回転駆動部36が支持部32を停止させる際に複数の部品保持部34(より詳細には、複数の吸着部42)それぞれが配置される複数の位置を「複数の停止位置」という。
【0024】
複数の停止位置のうち、部品供給部50に最も近い停止位置に配置された部品保持部34(吸着部42)が、部品供給部50から電子部品Wを受け取る。ここで、部品供給部50に最も近い停止位置を含み、その停止位置に配置された部品保持部34が電子部品Wを受け取るための領域を「受渡領域TA」と定義する(
図5(a)参照)。円軌道CR2は、受渡領域TAを通るように設定されている。
【0025】
複数の部品保持部34それぞれは、受渡領域TAにおいて電子部品Wを受け取る(異なるタイミングで順に電子部品Wを受け取る)。受渡領域TAには、複数の吸着部42それぞれが順に配置される。受渡領域TAにいずれかの吸着部42が配置される度に、その吸着部42が、電子部品Wを受け取る。複数の停止位置のうち、支持部12に最も近い停止位置に配置された部品保持部34(吸着部42)が、検査ユニット10の部品保持部14に電子部品Wを引き渡す。
【0026】
回転位置検出部38は、円軌道CR2の中心軸線Ax2まわりの周方向(以下、単に「周方向」と称する。)における支持部32の回転位置を検出するセンサである。回転位置検出部38は、例えば、支持部32のうちの基準位置の周方向における位置を表す情報を、上記回転位置として検出する。回転位置検出部38は、支持部32を回転させる回転駆動部36の内部に設けられてもよい。回転位置検出部38は、回転位置を検出することが可能であれば、どのようなセンサであってもよいが、例えば、ロータリーエンコーダである。回転位置検出部38は、スリットセンサであってもよい。
【0027】
回転位置検出部38は、回転駆動部36の内部に代えて、支持部32(ピックアップ部30)のうちの中心軸線Ax2に沿って配置された軸部材の回転角度を検出するように設けられてもよい。回転位置検出部38は、上記軸部材に直接設けられてもよく、上記軸部材(中心軸線Ax2)から離れた位置に設けられてもよい。例えば、回転位置検出部38は、上記軸部材に対して連結され、ベルト及びプーリを含む伝達部材に設けられてもよい。
【0028】
部品供給部50は、ウェハシートWSに貼付された複数の電子部品Wを順に(異なるタイミングで)ピックアップ部30に供給する。部品供給部50は、ピックアップ部30と水平な一方向に沿って並ぶように配置されてもよい。ウェハシートWSの一方の面には、ダイシングにより複数の電子部品Wに切り分けられた状態の半導体ウェハが貼付されている。以下、ウェハシートWSにおいて複数の電子部品Wが貼付された面を「表面WSa」と称し、ウェハシートWSにおいて表面WSaとは反対側の面を「裏面WSb」と称する。すなわち、ウェハシートWSは、表面WSa及び裏面WSbを有し、表面WSaに1以上の電子部品Wが貼付されている。
【0029】
ウェハシートWSの表面WSaには、複数の電子部品Wそれぞれの主面Wbが貼付されていてもよい(
図1の拡大図参照)。ウェハシートWSの表面WSaを見たときに、複数の電子部品Wは、縦方向及び横方向のそれぞれに並ぶように行列状に配列されていてもよい。ウェハシートWSの表面WSa上において、互いに隣り合う電子部品Wの間の隙間は、数十μm~数百μmであってもよい。部品供給部50は、例えば、シート保持部52と、シート駆動部56と、突上げ部材60と、突上げ駆動部70と、ステージ80と、突上げ駆動部90と、を有する。
【0030】
シート保持部52は、ウェハシートWS(シート)を保持するように構成されている。シート保持部52は、複数の電子部品Wが貼付された表面WSaがピックアップ部30を向くようにウェハシートWSを保持する。シート保持部52は、上記受渡領域TAに配置された部品保持部34の吸着部42の吸着面に、複数の電子部品Wのうちの供給対象の電子部品Wの主面Waが対向するようにウェハシートWSを保持する。受渡領域TAに含まれる停止位置に停止した部品保持部34(吸着部42)は、シート保持部52によって保持されたウェハシートWSの表面WSaに対向する。
【0031】
シート保持部52は、ウェハシートWSを垂直な状態に保持してもよい。シート保持部52は、複数の電子部品Wが縦方向及び横方向に2次元配列されるようにウェハシートWSを保持してもよい。
図1に示される例では、受渡領域TAの吸着部42の吸着面と、供給対象の電子部品Wの主面WaとがX軸方向に沿って対向している。ウェハシートWSの周縁部は、リングホルダ54によって保持されていてもよい。リングホルダ54は、複数の電子部品Wの間隔を広げるようにウェハシートWSを伸ばした(エキスパンド)状態で、ウェハシートWSを保持してもよい。シート保持部52は、リングホルダ54を介して、ウェハシートWSを保持してもよい。
【0032】
シート駆動部56は、ウェハシートWSの表面WSaに沿う方向に、シート保持部52を移動させる。シート駆動部56がシート保持部52を移動させることで、シート保持部52によって保持された状態のウェハシートWSの位置が変化する。ウェハシートWSの位置の変化に伴って、ピックアップ部30(受渡領域TA)に対するウェハシートWS上の電子部品Wの位置が変化する。シート駆動部56は、ウェハシートWS上の複数の電子部品Wが並ぶ2方向それぞれに、シート保持部52を移動させる。
【0033】
シート駆動部56は、例えば、中心軸線Ax2と平行な方向にシート保持部52を移動させる駆動部と、Z軸方向(鉛直)にシート保持部52を移動させる駆動部と、を含む。シート駆動部56によるウェハシートWSの移動によって、ウェハシートWS上の複数の電子部品Wのうちのいずれか1つが、供給対象の電子部品Wとして、受渡領域TAに位置する吸着部42とX軸方向に沿って対向する位置に配置される。以下、供給対象の電子部品Wが配置され、受渡領域TAに位置する吸着部42とX軸方向に沿って対向する位置を「供給位置P1」と定義する。
【0034】
供給位置P1は、例えば、円軌道CR2を含む面において中心軸線Ax2及び受渡領域TAの中心を通る仮想線と、シート保持部52によって保持されたウェハシートWSの表面WSaとの交点に設定される。供給位置P1は、ウェハシートWSが移動しても変化しない。シート駆動部56は、ウェハシートWS上の複数の電子部品Wそれぞれが上記供給位置P1に順次配置されるようにシート保持部52を移動させる。シート駆動部56は、ウェハシートWS上の1列に並ぶ複数の電子部品Wそれぞれを順に供給位置P1に配置する際に、隣り合う電子部品Wの中心同士の間隔(ピッチ)だけ、シート保持部52を移動させてもよい。
【0035】
突上げ部材60は、シート保持部52に保持されたウェハシートWSの裏面WSbの突上げ位置P2に対向する。突上げ位置P2は、ある1つの電子部品Wが供給位置P1に配置されたときに、ウェハシートWSの裏面WSbにおいて供給位置P1(供給対象の電子部品W)に対応する位置である。突上げ位置P2は、ある1つの電子部品Wが供給位置P1に配置されたときに、ウェハシートWSに垂直な方向から見て、ウェハシートWSの裏面WSbのうちの供給位置P1(例えば、供給対象の電子部品Wの中心)と重なる箇所に相当する。ウェハシートWSが移動すると、ウェハシートWSの裏面WSbにおいて、突上げ位置P2は変化する。
【0036】
突上げ部材60は、受渡領域TAと供給位置P1とが並ぶX軸方向に沿って延びるように形成されている。突上げ部材60は、ピン部材(針状部材)であってもよい。突上げ部材60は、1以上の針によって構成されてもよい。突上げ部材60の先端部は、ウェハシートWSの裏面WSbの突上げ位置P2を、受渡領域TAに位置する吸着部42に向かって突き出すことが可能となるように形成されている。突上げ部材60がウェハシートWSを突き出す際に、突上げ部材60の先端がウェハシートWSに接触する面積は、主面Wbの面積よりも小さくてもよい。突上げ部材60は、ホルダ部材に保持されてもよい。突上げ部材60、ウェハシートWS、供給対象の電子部品W、及び、受渡領域TAに位置する吸着部42は、X軸方向に沿って、この順で並んで配置されている。
【0037】
突上げ駆動部70(駆動部)は、部品保持部34に向かうように所定方向に沿って突上げ部材60を移動させる。突上げ駆動部70は、受渡領域TAに配置された吸着部42に向かって突上げ部材60を移動させ、受渡領域TAに配置された吸着部42から離れるように突上げ部材60を移動させる。本開示において、受渡領域TA(受渡領域TAに配置された吸着部42)に向かう移動を「前進」と称し、受渡領域TA(受渡領域TAに配置された吸着部42)から離れる移動を「後退」と称する。また、前進と後退とを総称して「進退」と称する場合がある。
【0038】
突上げ駆動部70は、X軸方向(所定方向)に沿って、突上げ部材60を前進又は後退させる駆動部である。突上げ駆動部70が、突上げ部材60を前進させることで、突上げ部材60がウェハシートWSの裏面WSbの突上げ位置P2を吸着部42に向かって突き出すことが可能となる。突上げ駆動部70は、例えば、モータ72と、進退ロッド74と、を含む。モータ72は、突上げ部材60を駆動させるための駆動力を発生し、進退ロッド74に伝達する。進退ロッド74は、例えば、突上げ部材60を保持するホルダ部材に接続されている。モータ72による駆動力で進退ロッド74がX軸方向に沿って進退することで、突上げ部材60がX軸方向に沿って進退する。
【0039】
ステージ80は、シート保持部52に保持されたウェハシートWSの裏面WSbにおける突上げ位置P2の周辺の領域を吸着するように構成されている。ステージ80が吸着する領域は、供給位置P1に配置された供給対象の電子部品Wと、供給対象の電子部品Wの周辺に位置する1以上の電子部品Wそれぞれの少なくとも一部とに対応する領域である。供給対象の電子部品Wの周辺に位置する1以上の電子部品Wは、供給対象の電子部品Wに縦方向、横方向、又は、斜め方向で隣り合う電子部品Wを含む。
【0040】
ステージ80は、突上げ部材60の進退方向と平行に延びるように筒状(例えば、円筒状)に形成されてもよい。ステージ80は、突上げ部材60の進退方向に沿って移動可能に設けられてもよい。この場合、ステージ80は、ウェハシートWSの裏面WSbの突上げ位置P2の周辺の領域を吸着した状態で、その領域を受渡領域TAに位置する吸着部42に向かって突き出すことが可能となるように形成されている。ステージ80は、例えば、本体部82と、カバー部材84と、を含む。本体部82は、内部に空間を有する筒状の部材であり、上記進退方向におけるウェハシートWSに近い一端部が開口している。カバー部材84は、本体部82の開口した一端部に設けられており、本体部82と共に、ステージ80の内部空間を形成する。ステージ80の内部空間には、突上げ部材60が収容されている。
【0041】
カバー部材84は、ウェハシートWSの裏面WSbと面接触することが可能な先端面を含む。X軸方向から見て、カバー部材84の大きさは、1つの電子部品Wの大きさよりも大きい。カバー部材84には、ウェハシートWSの裏面WSbに吸引力を加えるための複数の吸引孔86が設けられている。複数の吸引孔86それぞれは、X軸方向に沿って、カバー部材84を貫通するように形成されている。X軸方向から見て、1つの吸引孔86は、突上げ部材60に対応する位置に設けられており、その吸引孔86は、突上げ部材60が通過可能な大きさを有する。突上げ部材60が通過する吸引孔86の周りに位置する他の吸引孔86の少なくとも一部は、X軸方向から見て、供給対象の電子部品Wの周辺に位置する電子部品Wと重なる位置に形成されている。
【0042】
部品供給部50は、吸引部88を有する。吸引部88は、ステージ80の内部空間を負圧にするように、ステージ80の内部のガスを吸引する。吸引部88は、例えば、ステージ80の内部空間と吸引ポンプ(真空ポンプ)とを接続する流路と、その流路を開閉する電磁バルブ等の開閉部材と、を含む。吸引部88は、例えば、電磁バルブ等の開閉部材によって、ステージ80による吸着状態をオン状態とオフ状態とに切り替える。吸引部88の開閉部材の開閉状態は、コントローラ100からの動作指示に応じて切り替わる。
【0043】
ステージ80は、ホルダ部材89によって保持されてもよい。ホルダ部材89と突上げ駆動部70の進退ロッド74は、互いに干渉しないように構成されている。突上げ部材60を駆動させる際に進退ロッド74が進退しても、ホルダ部材89は移動しない。
【0044】
突上げ駆動部90(第2駆動部)は、部品保持部34に向かうようにステージ80を上記所定方向(突上げ駆動部70が突上げ部材60を移動させる方向)に沿って移動させる。突上げ駆動部90は、受渡領域TAに配置された吸着部42に向かってステージ80を前進させ、受渡領域TAに配置された吸着部42から離れるように突上げ部材60を後退させる。突上げ駆動部90は、X軸方向に沿って、ステージ80を進退させる駆動部である。突上げ駆動部90によって、ステージ80が駆動されても、突上げ部材60は移動しない。以上のように、突上げ駆動部90は、突上げ駆動部70による駆動(突上げ部材60の駆動)とは独立して、ステージ80を移動させる。
【0045】
突上げ駆動部90が、ステージ80を前進させることで、ウェハシートWSの裏面WSbにおいてカバー部材84(カバー部材84の先端面)が面接触した領域を吸着部42に向かって突き出すことが可能となる。突上げ駆動部90は、例えば、モータ92と、進退ロッド94と、を含む。モータ92は、ステージ80を駆動させるための駆動力を発生し、進退ロッド94に伝達する。進退ロッド94は、例えば、ステージ80を保持するホルダ部材89に接続されている。モータ92による駆動力で進退ロッド94がX軸方向に沿って進退することで、ステージ80がX軸方向に沿って進退する。
【0046】
(荷重検出部)
部品検査装置1は、荷重検出部22を備える。荷重検出部22は、突上げ部材60に加わる荷重を検出するセンサである。荷重検出部22は、突上げ部材60が、ウェハシートWSの裏面WSbに接触して突上げ位置P2を吸着部42に向かって突き出しているときに、突上げ部材60に加わる荷重を検出可能である。荷重検出部22は、突上げ駆動部70(進退ロッド74)に設けられてもよい。荷重検出部22は、いかなる方式で荷重を検出してもよい。荷重検出部22は、ひずみゲージ等の電気抵抗値の変化を検出する力学的センサであってもよく、ロードセルであってもよい。
【0047】
突上げ部材60が突上げ位置P2を突き上げており、供給対象の電子部品Wと吸着部42とが接触しているときに、突上げ部材60には、ウェハシートWSから受ける反力と、電子部品Wが吸着部42から受ける反力とが作用する。荷重検出部22による検出値には、突上げ部材60による突上げ時に電子部品Wに加わる荷重が反映される。荷重検出部22は、所定のサンプリング周期で、突上げ部材60に作用する荷重の検出を繰り返してもよい。荷重検出部22は、突上げ部材60に加わる荷重を示す情報をコントローラ100に出力する。
【0048】
(進退位置検出部)
部品検査装置1は、進退位置検出部26(位置検出部)を備える。進退位置検出部26は、上記所定方向における突上げ部材60の位置を検出するセンサである。進退位置検出部26は、突上げ部材60、及び突上げ部材60に連結されて共に駆動される部分のうちの、どの箇所のX軸方向(所定方向)における位置を検出してもよい。進退位置検出部26は、例えば、突上げ部材60の先端のX軸方向における位置を検出する。突上げ部材60の先端以外の箇所の位置を検出しても、その箇所と突上げ部材60の先端との位置関係から、突上げ部材60の先端のX軸方向における位置を得ることができる。
【0049】
進退位置検出部26は、いかなる方式で突上げ部材60の位置を検出してもよい。進退位置検出部26は、例えば、突上げ駆動部70のモータ72(例えば、サーボモータ)内に設置されたエンコーダである。進退位置検出部26は、モータ72内に代えて、突上げ駆動部70のうちのいずれかの箇所に設置されたリニアエンコーダであってもよい。
【0050】
進退位置検出部26は、少なくとも、突上げ駆動部70により突上げ部材60が駆動されている期間において、X軸方向における突上げ部材60の位置を検出する。進退位置検出部26は、所定のサンプリング周期で、X軸方向における突上げ部材60の位置の検出を繰り返してもよい。進退位置検出部26は、X軸方向における突上げ部材60の位置を示す情報をコントローラ100に出力する。
【0051】
部品検査装置1は、進退位置検出部28(第2位置検出部)を備えてもよい。進退位置検出部28は、上記所定方向におけるステージ80の位置を検出するセンサである。進退位置検出部28は、ステージ80、及びステージ80に連結されて共に駆動される部分のうちの、どの箇所のX軸方向(所定方向)における位置を検出してもよい。進退位置検出部28は、例えば、ステージ80の先端のX軸方向における位置を検出する。ステージ80の先端は、カバー部材84のうちのウェハシートWSに接触する面に相当する。ステージ80の先端以外の箇所の位置を検出しても、その箇所とステージ80の先端との位置関係から、ステージ80の先端のX軸方向における位置を得ることができる。
【0052】
進退位置検出部28は、いかなる方式でステージ80の位置を検出してもよい。進退位置検出部28は、例えば、突上げ駆動部90のモータ92(例えば、サーボモータ)内に設置されたエンコーダである。進退位置検出部28は、モータ92内に代えて、突上げ駆動部90のうちのいずれかの箇所に設置されたリニアエンコーダであってもよい。
【0053】
進退位置検出部28は、少なくとも、突上げ駆動部90によりステージ80が駆動されている期間において、X軸方向におけるステージ80の位置を検出する。進退位置検出部28は、所定のサンプリング周期で、X軸方向におけるステージ80の位置の検出を繰り返してもよい。進退位置検出部28は、X軸方向におけるステージ80の位置を示す情報をコントローラ100に出力する。
【0054】
進退位置検出部26及び進退位置検出部28それぞれの検出結果が、コントローラ100に送信されることで、コントローラ100は、突上げ部材60及びステージ80の位置関係を把握することができる。詳細は後述するが、コントローラ100は、荷重検出部22、進退位置検出部26、及び進退位置検出部28それぞれの検出結果に基づいて、供給対象の電子部品Wに加わる荷重の異常を検知する。
【0055】
(コントローラ)
コントローラ100は、1以上の制御用コンピュータによって構成される。コントローラ100は、複数の電子部品Wに対して所定の処理が順に施されるように、予め定められた制御手順に従って、検査ユニット10、供給ユニット20、荷重検出部22、進退位置検出部26、及び進退位置検出部28を制御する。
【0056】
コントローラ100は、機能上の構成(以下、「機能モジュール」という。)として、例えば、
図2に示されるように、搬送制御部102と、保持制御部104と、シート位置制御部106と、第1突上げ制御部108と、第2突上げ制御部110と、荷重データ取得部112と、閾値設定部114と、異常検知部116と、を有する。これらの機能モジュールが実行する処理は、コントローラ100が実行する処理に相当する。
【0057】
搬送制御部102は、複数の吸着部42が円軌道CR2上の複数の停止位置に順次配置されるように、回転駆動部36により支持部32を間欠的に回転させる。これにより、支持部32は、回転と停止とを繰り返すように中心軸線Ax2まわりに回転する。搬送制御部102は、円軌道CR2において隣り合う吸着部42同士の角度ピッチと同じピッチで、回転駆動部36により支持部32を間欠的に回転させる。これにより、上記受渡領域TAには、いずれかの吸着部42が順に配置される。搬送制御部102は、回転位置検出部38から得られる支持部12の回転位置の検出結果に基づいて、回転駆動部36を制御してもよい。
【0058】
保持制御部104は、吸着部42が保持対象の電子部品Wを保持するように吸引部48を制御する。保持制御部104は、例えば、受渡領域TAに電子部品Wを保持していない吸着部42が配置された後、その吸着部42がウェハシートWSから供給対象の電子部品Wを受け取る際に、対応する吸引部48により上記吸着部42の吸着状態をオン状態に切り替える。保持制御部104は、回転位置検出部38から得られる支持部12の回転位置の検出結果に基づいて、受渡領域TAに配置された吸着部42の個体を特定してもよい。そして、保持制御部104は、特定された吸着部42に対応する吸引部48を制御してもよい。
【0059】
シート位置制御部106は、いずれかの吸着部42が受渡領域TAに配置される度に、ウェハシートWS上の1つの電子部品Wが供給位置P1に配置されるようにシート駆動部56を制御する。シート位置制御部106は、例えば、ウェハシートWS上で1列に並ぶ複数の電子部品Wが順にピックアップ部30に供給される間において、以下の制御を行う。シート位置制御部106は、1つの電子部品Wがピックアップ部30に供給された後に、次に供給予定の電子部品Wが供給位置P1に配置されるように、隣り合う電子部品Wの中心同士の間隔(ピッチ)だけ、シート駆動部56によりシート保持部52を移動させてもよい。
【0060】
第1突上げ制御部108は、X軸方向に沿って突上げ部材60を進退させて、突上げ部材60が受渡領域TAに配置された吸着部42に向かうように突上げ駆動部70を制御する。第1突上げ制御部108は、突上げ部材60が原点位置から、予め定められた変位量に達するまで突上げ部材60を前進させるように突上げ駆動部70を制御する。第1突上げ制御部108は、予め定められた変位量に達した前進位置から、原点位置まで後退するように突上げ駆動部70を制御する。
【0061】
突上げ部材60が上記前進位置に配置されているときには、突上げ部材60がウェハシートWSの裏面WSbの突上げ位置P2を吸着部42に向かって突き上げることが可能な状態となっている。突上げ部材60が原点位置に配置されているときには、突上げ部材60がウェハシートWSの裏面WSbの突上げ位置P2を突き上げ可能な状態となっていない。突上げ部材60の原点位置は、突上げ部材60の先端が、シート保持部52により保持されて、いずれの部材によっても突上げられていない状態のウェハシートWSと間隔を有するように設定されてもよい。
【0062】
第2突上げ制御部110は、X軸方向に沿ってステージ80を進退させて、ステージ80が受渡領域TAに配置された吸着部42に向かうように突上げ駆動部90を制御する。第2突上げ制御部110は、ステージ80が原点位置から、予め定められた変位量に達するまでステージ80を前進させるように突上げ駆動部90を制御する。第2突上げ制御部110は、予め定められた変位量に達した前進位置から、原点位置まで後退するように突上げ駆動部90を制御する。第2突上げ制御部110は、ステージ80による突上げ動作時に、ステージ80がウェハシートWSの裏面WSbの一部を吸着可能な状態となるように吸引部88を制御してもよい。
【0063】
ステージ80が上記前進位置に配置されているときには、ステージ80がウェハシートWSの裏面WSbの突上げ位置P2の周辺の領域を吸着部42に向かって突き上げることが可能な状態となっている。ステージ80が原点位置に配置されているときには、ステージ80がウェハシートWSの裏面WSbにおける突上げ位置P2の周辺の領域を突き上げ可能な状態となっていない。ステージ80の原点位置は、ステージ80の先端(カバー部材84の面接触する先端面)が、シート保持部52により保持されて、いずれの部材によっても突上げられていない状態のウェハシートWSに接触しないように設定されてもよい。
【0064】
荷重データ取得部112は、少なくとも突上げ部材60が突上げ動作を行っている期間において、突上げ部材60に作用する荷重を示す情報を荷重検出部22から取得する。荷重データ取得部112は、部品検査装置1が稼働している間において、荷重検出部22から荷重を示す情報を取得することを継続してもよい。
【0065】
閾値設定部114は、受渡領域TAに配置された吸着部42の個体に応じて、電子部品Wに加わる荷重の異常を検知するための閾値を設定(変更)する。吸着部42に反力を作用させるスプリング46にも個体差がある。そのため、供給対象の電子部品Wが、吸着部42と突上げ部材60との間に挟まれた状態で、突上げ部材60が当該電子部品Wを更に押し込んだ際に、吸着部42がスプリング46から受ける反力は、吸着部42及びスプリング46の個体によって変化し得る。
【0066】
以上の個体差の観点から、供給対象の電子部品Wに加わる荷重と閾値との比較によって、荷重の異常を検知する際に、同一の閾値で判定を行うと、許容すべき荷重値であっても異常と判定し、許容すべきでない荷重値であっても、異常ではないと判定してしまう可能性がある。特に小さい値での荷重管理を行う場合に、上記可能性が高くなる。閾値設定部114は、回転位置検出部38から得られる支持部12の回転位置の検出結果に基づいて、受渡領域TAに配置された吸着部42の個体を特定してもよい。そして、閾値設定部114は、特定された吸着部42に対応する閾値を設定してもよい。コントローラ100には、複数の吸着部42それぞれについて設定された閾値が予め記憶されていてもよい。
【0067】
また、吸着部42(部品保持部34)の個体差として、吸着部42の長さにも個体差がある。個体間で吸着部42の長さが異なると、突上げ部材60が突き出た際に、突上げ部材60と吸着部42との間に電子部品Wが挟み込まれた状態が開始されるタイミングが異なる。コントローラ100には、複数の吸着部42それぞれについて、吸着部42の長さを示す情報(例えば、基準からの補正値)が予め記憶されていてもよい。
【0068】
異常検知部116は、供給対象の電子部品Wに加わる荷重の異常を検知する。異常検知部116は、例えば、進退位置検出部26による検出結果に基づいて、ステージ80に対する突上げ部材60の位置(相対位置)を取得する。異常検知部116は、進退位置検出部26による検出結果と進退位置検出部28による検出結果とに基づいて、ステージ80に対する突上げ部材60の位置を算出することで、その位置を取得してもよい。異常検知部116は、突上げ部材60に作用する荷重を示す情報と、ステージ80に対する突上げ部材60の位置の取得結果とに基づいて、電子部品Wに加わる荷重の異常の有無を判定してもよい。
【0069】
異常検知部116は、ステージ80に対する突上げ部材60の位置の取得結果から、突上げ部材60の先端が、ステージ80の先端よりも突出している期間を評価対象とし、その期間以外を評価の対象外として、荷重検出部22の検出結果と閾値(例えば、閾値設定部114により設定された閾値)とを比較してもよい。異常検知部116は、突上げ部材60の先端が、ステージ80の先端よりも突出している評価対象の期間において、突上げ部材60に作用する荷重が閾値を超えた場合に、電子部品Wに加わる荷重が異常であると判定してもよい。異常検知部116は、上記評価対象の期間の始点を、吸着部42の個体ごとに記憶された長さを示す情報(例えば、上記補正値)と、ステージ80に対する突上げ部材60の位置の取得結果とから特定される、電子部品Wの挟み込みが開始された時点に設定してもよい。
【0070】
コントローラ100は、異常検知部116によって異常が検知された場合に、異常が検知された際に供給された電子部品Wを排除するための処理を行ってもよい。コントローラ100は、荷重検出部22による検出値に基づく異常の判定に加えて、又は、代えて、部品検査装置1が稼働している間に荷重検出部22が検出した検出値を記録してもよい。
【0071】
図3に示されるように、コントローラ100は、回路150を有する。回路150は、1以上のプロセッサ152と、メモリ154と、ストレージ156と、入出力ポート158と、タイマ159と、を含む。ストレージ156は、例えば不揮発性の半導体メモリ等、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体を有する。ストレージ156は、予め設定された制御手順で検査ユニット10、供給ユニット20、荷重検出部22、進退位置検出部26、及び進退位置検出部28を制御することをコントローラ100に実行させるためのプログラムを記憶している。例えばストレージ156は、上述した各機能モジュールを構成するためのプログラムを記憶している。
【0072】
メモリ154は、ストレージ156の記憶媒体からロードしたプログラム及びプロセッサ152による演算結果を一時的に記憶する。プロセッサ152は、メモリ154と協働して上記プログラムを実行することで、コントローラ100の各機能モジュールを構成する。入出力ポート158は、プロセッサ152からの指令に従って、回転駆動部36、シート駆動部56、突上げ駆動部70、突上げ駆動部90、荷重検出部22、吸引部48、進退位置検出部26、及び、進退位置検出部28等との間で電気信号の入出力を行う。タイマ159は、例えば一定周期の基準パルスをカウントすることで経過時間を計測する。なお、回路150は、必ずしもプログラムにより各機能を構成するものに限られない。例えば回路150は、専用の論理回路又はこれを集積したASIC(Application Specific Integrated Circuit)により少なくとも一部の機能を構成してもよい。
【0073】
[制御方法]
続いて、制御方法の一例として、コントローラ100が実行する一連の処理について説明する。
図4は、部品供給部50からピックアップ部30に1つの電子部品Wが供給される際にコントローラ100が実行する一連の処理を示すフローチャートである。この一連の処理が実行されている間において、荷重データ取得部112は、荷重検出部22から荷重値を取得することを継続し、コントローラ100は、進退位置検出部26及び進退位置検出部28からの位置の検出結果の取得を継続する。
【0074】
コントローラ100は、供給対象となる電子部品Wが供給位置P1に配置される前の状態において、ステップS11を実行する。ステップS11では、例えば、シート位置制御部106が、供給対象となる1つの電子部品Wが供給位置P1に配置されるように、シート駆動部56を制御する。ステップS11の実行に合わせて、搬送制御部102は、供給対象の電子部品Wを受け取る予定の1つの吸着部42が、受渡領域TAに配置されるように、回転駆動部36を制御する。保持制御部104は、受渡領域TAに吸着部42が配置された後に、その吸着部42が電子部品Wを吸着可能な状態となるように吸引部48を制御してもよい。
【0075】
図5(a)には、ステップS11が実行された後の様子が模式的に示されている。ステップS11が実行される際には、突上げ部材60及びステージ80それぞれは、原点位置に配置されている。原点位置に配置された突上げ部材60の先端は、原点位置に配置されたステージ80のカバー部材84の先端面(ウェハシートWSに接触する面)よりも突出していない。突上げ部材60の先端及びその近傍は、ステージ80のカバー部材84に形成された吸引孔86内に位置していてもよい。突上げ部材60及びステージ80それぞれが原点位置に配置されているときに、ウェハシートWSでは、いずれの箇所(領域)も突上げられておらず、このときにウェハシートWS全体が位置するX軸方向における位置が「xs」で示されている。
【0076】
次に、コントローラ100は、ステップS12を実行する。ステップS12では、例えば、第1突上げ制御部108が、突上げ部材60の前進を開始させるように突上げ駆動部70を制御する。また、第2突上げ制御部110が、ステージ80の前進を開始させるように突上げ駆動部90を制御する。第2突上げ制御部110は、ステージ80によりウェハシートWSの突上げ位置P2の周辺の領域を吸引させるように、吸引部88を制御した後に、突上げ駆動部90によりステージ80の前進を開始させてもよい。
【0077】
第1突上げ制御部108及び第2突上げ制御部110は、突上げ部材60の先端が、ステージ80のカバー部材84の先端面よりも突出しない状態が維持されるように、突上げ駆動部70及び突上げ駆動部90をそれぞれ制御する。ステップS12の実行により、突上げ部材60及びステージ80それぞれが、受渡領域TAに配置された吸着部42に向かって移動し始める。ステップS12の実行後において、ステージ80は、ウェハシートWSの突上げ位置P2の周辺の領域を吸引しつつ、その領域を吸着部42に向かって突き出すように前進する。
【0078】
次に、コントローラ100は、ステップS13,S14を実行する。ステップS13では、例えば、第2突上げ制御部110が、ステージ80が変位量の設定値だけ前進するまで待機する。ステップS14では、例えば、第2突上げ制御部110が、ステージ80を停止させるように突上げ駆動部90を制御する。ステップS13,S14の実行により、ステージ80が変位量の設定値だけ前進する。ステージ80に関する変位量の設定値は、供給対象の電子部品Wが受渡領域TAに配置された吸着部42に接触しない値に設定されている。すなわち、ステージ80を変位量の設定値だけ前進させた後の状態において、供給対象の電子部品Wは、受渡領域TAに配置された吸着部42には接触しない。
【0079】
図5(b)には、ステージ80の前進によるウェハシートWSの突上げが行われ、供給対象の電子部品Wが吸着部42に接触する前にステージ80が停止した様子が示されている。ステップS12~S14が実行されている間、突上げ部材60の先端は、ウェハシートWSの裏面WSbの突上げ位置P2には接触していない。さらに、供給対象の電子部品Wと吸着部42とが接触していないので、異常が発生しない限り、ウェハシートWSの突上げに起因して電子部品Wには荷重が加わらない。ステップS14が実行されても、突上げ部材60の前進は継続されている。ステージ80が停止して、突上げ部材60の前進が継続されることで、突上げ部材60の先端がステージ80の先端面よりも突出し、突上げ部材60の先端が、ウェハシートWSの裏面WSbの突上げ位置P2に接触する。
【0080】
次に、コントローラ100は、ステップS15,S16を実行する。ステップS15では、例えば、第1突上げ制御部108が、突上げ部材60が、変位量の設定値だけ前進するまで待機する。ステップS16では、例えば、第1突上げ制御部108が、突上げ部材60を停止させるように突上げ駆動部70を制御する。ステップS12~S16の実行により、突上げ部材60が変位量の設定値だけ前進する。
【0081】
図6(a)には、突上げ部材60の前進が継続されつつ、ステージ80が停止している様子が示されている。停止したステージ80の先端面よりも突上げ部材60が突出した状態となり、供給対象の電子部品Wが受渡領域TAに配置された吸着部42に接触する。突上げ部材60の変位量の設定値は、突上げ部材60の先端が突上げ位置P2に接触して、供給対象の電子部品Wが吸着部42及び突上げ部材60の双方から力(接触力)を受ける値に設定されている。また、突上げ部材60の変位量の設定値は、供給対象の電子部品Wに過度な荷重が作用せず、且つ、供給対象の電子部品Wの受け渡しに伴うトラブルが発生しない程度の荷重が作用するように設定されてもよい。
【0082】
ステップS16において、例えば、突上げ部材60の停止に合わせて、第1突上げ制御部108が、ステージ80が後退を開始するように突上げ駆動部90を制御する。突上げ部材60が突上げ位置P2に接触すると、荷重検出部22の検出値には、突上げ部材60の突上げに伴う、吸着部42から供給対象の電子部品Wに作用する反力が反映される。また、突上げ部材60が突上げ位置P2に接触した後、前進が継続されると、荷重検出部22の検出値には、受渡領域TAに配置された吸着部42がスプリング46から受ける反力も反映される。
【0083】
突上げ部材60が停止して、ウェハシートWSの突上げ位置P2を吸着部42に向かって突き上げている状態で、突上げ位置P2の周囲を吸引しているステージ80が後退することで、供給対象の電子部品Wの一部がウェハシートWSから剥がれ始める。突上げ位置P2が供給対象の電子部品Wの略中心に位置するように設定される場合、例えば、電子部品Wの主面Wbの周縁領域から剥がれ始める(ウェハシートWSに貼付された状態が解除される)。
図6(b)には、供給対象の電子部品Wの一部がウェハシートWSから剥がれている様子が例示されている。
【0084】
次に、コントローラ100は、ステップS17を実行する。ステップS17では、例えば、コントローラ100が、ステップS16の実行後から所定の待機時間が経過するまで待機する。待機時間は、オペレータ等により予め設定されており、例えば、後退中のステージ80が原点位置に達しない時間に設定されている。なお、
図6(b)では、ウェハシートWSから剥がれている様子を分かりやすく表すために、突上げ部材60が突上げている状態で停止し、ステージ80を原点位置まで後退させた状態が例示されている。
【0085】
次に、コントローラ100は、ステップS18を実行する。ステップS18では、例えば、第1突上げ制御部108が、突上げ部材60が後退を開始するように突上げ駆動部70を制御する。ステップS18の実行開始時点で、ステージ80は後退中である。ステップS18の実行により、位置xsよりも吸着部42に向かって突き上げられていたウェハシートWSの一部が、位置xsに戻り始める。吸着部42が供給対象の電子部品Wを吸着しているので、電子部品Wの主面Wbの全域がウェハシートWSの表面WSaから剥離する。ステップS18の実行前に、ステージ80の後退が開始され、継続されていることにより、供給対象の電子部品Wの主面Waにおける一部の領域はウェハシートWSの表面WSaから既に剥離しているので、電子部品Wの主面Wbの全域がウェハシートWSの表面WSaから剥離されやすい。
【0086】
次に、コントローラ100は、ステップS19を実行する。ステップS19では、例えば、第1突上げ制御部108が、突上げ部材60が原点位置に後退するまで待機する。第1突上げ制御部108は、突上げ部材60が原点位置まで達すると、突上げ部材60を停止させるように突上げ駆動部70を制御する。ステップS19において待機している間において、ステージ80が先に原点位置に到達し、第2突上げ制御部110が、ステージ80を停止させるように突上げ駆動部90を制御する。ステップS19の実行により、
図7に示されるように、突上げ部材60(ステージ80及び突上げ部材60)が原点位置まで移動し、ウェハシートWSが突上げられていない状態となり、吸着部42に電子部品Wが引き渡される。
【0087】
次に、コントローラ100は、ステップS20を実行する。ステップS20では、例えば、異常検知部116が、荷重検出部22の検出値が閾値を超えたか否かを判定する。異常検知部116は、進退位置検出部26及び進退位置検出部28の検出結果から、ステージ80に対する突上げ部材60の相対位置を算出(取得)し、ステップS11~S19の一連の処理を実行した期間のうち、突上げ部材60の先端がステージ80の先端よりも突出している対象期間を特定してもよい。異常検知部116は、対象期間以外の期間での荷重検出部22の検出値を考慮せずに、対象期間において、荷重検出部22の検出値が閾値を超えたか否かを判定してもよい。この際、判定に用いる閾値は、閾値設定部114によって、回転位置検出部38による検出結果に基づき特定された吸着部42に応じて設定されてもよい。
【0088】
以上により1つの電子部品Wをピックアップ部30に供給する際に実行される一連の処理が終了する。この一連の処理が終了した後に、コントローラ100は、異なる個体である別の電子部品Wを供給対象として、ステップS11~S20の一連の処理を継続して行ってもよい。コントローラ100は、ピックアップ部30に供給された電子部品Wが、ピックアップ部30から検査ユニット10に供給されるように、ピックアップ部30及び検査ユニット10を制御してもよい。コントローラ100は、検査ユニット10に供給された電子部品Wの搬送、検査、及び、収容部材への収容を実行するように、検査ユニット10を制御してもよい。これらの処理を実行する際に、コントローラ100は、検査結果に応じて電子部品Wを良品か否かを判定したうえで、検査ユニット10により、良品と判定された電子部品Wを収容部材に収容し、良品ではないと判定された電子部品Wを収容部材以外の部材に排出又は収容してもよい。
【0089】
[変形例]
図4に示される上述の一連の処理は一例であり、適宜変更可能である。上記一連の処理において、コントローラ100は、一のステップと次のステップとを並列に実行してもよく、上述した例とは異なる順序で各ステップを実行してもよい。コントローラ100は、いずれかのステップにおいて、上述した例とは異なる内容の処理を実行してもよい。コントローラ100は、ステップS17,S18において、ステージ80の後退が完了した後に、突上げ部材60の後退を開始するように突上げ駆動部70を制御してもよい。
【0090】
コントローラ100は、
図8及び
図9に示される一連の処理を実行してもよい。この一連の処理では、コントローラ100が、
図4に示されるステップS11,S12と同様に、ステップS31,S32を最初に実行する(
図8参照)。
【0091】
次に、コントローラ100は、ステップS33,S34を実行する。ステップS33では、例えば、第2突上げ制御部110が、突上げ部材60及びステージ80が原点位置から第1設定量だけ前進するまで待機する。第1設定量は、ステージ80がウェハシートWSを突き上げても、供給対象の電子部品Wが、吸着部42に接触しない値に予め設定されている。ステップS34では、例えば、第1突上げ制御部108が突上げ部材60を停止させるように突上げ駆動部70を制御し、第2突上げ制御部110がステージ80を停止させるように突上げ駆動部90を制御する。
【0092】
次に、コントローラ100は、ステップS35を実行する。ステップS35では、例えば、コントローラ100が、ステップS34の完了時点から、所定の設定時間が経過するまで待機する。この設定時間は、例えば、オペレータにより予め定められている。突上げ部材60の前進を開始するときの突上げ駆動部70の動作開始に伴って、突上げ駆動部70に含まれる種々の部材の影響により、荷重検出部22の検出値に外乱成分が発生し得る。上記設定時間は、突上げ駆動部70の動作開始に伴う外乱成分が低減できる程度に設定される。一例では、上記設定時間は、数ミリ秒~数十ミリ秒である。
【0093】
次に、コントローラ100は、ステップS36,S37を実行する。ステップS36では、例えば、第1突上げ制御部108が突上げ部材60の前進を再開するように突上げ駆動部70を制御し、第2突上げ制御部110がステージ80の前進を再開するように突上げ駆動部90を制御する。ステップS37では、例えば、第2突上げ制御部110が、ステージ80が原点位置から第2設定量だけ前進するまで待機する。また、第1突上げ制御部108が、突上げ部材60が上記第2設定量に対応する量だけ前進するまで待機してもよい。第2設定量は、供給対象の電子部品Wが吸着部42に接触する値に設定されている。
図10(a)には、ステージ80による突上げにより、供給対象の電子部品Wが、受渡領域TAに配置された吸着部42に接触した状態が模式的に示されている。
【0094】
次に、コントローラ100は、ステップS38,S39を実行する。ステップS38では、例えば、第1突上げ制御部108が、突上げ部材60を停止させるように突上げ駆動部70を制御し、第2突上げ制御部110が、ステージ80を停止させるように突上げ駆動部90を制御する。ステップS39では、例えば、コントローラ100が、ステップS38の完了時点から、所定の設定時間が経過するまで待機する。この設定時間は、例えば、オペレータにより予め定められており、一例では、数ミリ秒~数十ミリ秒である。
【0095】
次に、コントローラ100は、ステップS40を実行する。ステップS40では、例えば、第1突上げ制御部108が、突上げ部材60の前進を再開するように、突上げ駆動部70を制御する。ステップS40の実行時点において、ステージ80が停止した状態は継続されている。
【0096】
次に、
図9に示されるように、コントローラ100は、ステップS41,S42を実行する。ステップS41では、例えば、第1突上げ制御部108が、突上げ部材60が原点位置から第3設定量だけ前進するまで待機する。第3設定量は、例えば、その設定量だけ突上げ部材60が移動した際に、突上げ部材60がウェハシートWSの裏面WSb(突上げ位置P2)に接触するように設定されている。ステップS42では、例えば、第1突上げ制御部108が、突上げ部材60を停止させるように、突上げ駆動部70を制御する。ステップS42の実行時点において、ステージ80が停止した状態は継続されている。
【0097】
次に、コントローラ100は、ステップS43,S44を実行する。ステップS43では、例えば、コントローラ100が、ステップS42の完了時点から、所定の設定時間が経過するまで待機する。この設定時間は、例えば、オペレータにより予め定められており、一例では、数ミリ秒~数十ミリ秒である。ステップS44では、例えば、第2突上げ制御部110が、ステージ80の後退を開始するように突上げ駆動部90を制御する。ステップS44の実行時点において、突上げ部材60が停止した状態は継続されている。ステージ80の後退開始に伴い、
図10(b)に示されるように、突上げ部材60が、ステージ80よりも突出した状態に遷移する。
【0098】
次に、コントローラ100は、ステップS45を実行する。ステップS45では、例えば、コントローラ100が、ステップS44の完了時点から、所定の設定時間が経過するまで待機する。この設定時間は、例えば、オペレータにより予め定められており、一例では、数ミリ秒~数十ミリ秒である。この間、突上げ部材60が停止して、ステージ80が後退するので、電子部品Wの主面Wbの一部(例えば、周縁領域)がウェハシートWSから剥離する。
【0099】
次に、コントローラ100は、ステップS46を実行する。ステップS46では、例えば、第1突上げ制御部108が、突上げ部材60の後退を開始するように、突上げ駆動部70を制御する。ステップS46の実行時点において、ステージ80の後退は継続されている。そして、ステージ80が原点位置まで達すると、コントローラ100がステップS47を実行する。ステップS47では、例えば、第2突上げ制御部110が、ステージ80を停止させるように突上げ駆動部90を制御する。その後、突上げ部材60が原点位置まで達すると、コントローラ100がステップS48を実行する。ステップS48では、例えば、第1突上げ制御部108が、突上げ部材60を停止させるように突上げ駆動部70を制御する。
【0100】
次に、コントローラ100は、ステップS49を実行する。ステップS49では、例えば、異常検知部116が、対象期間において、荷重検出部22が検出した検出値が閾値を超えたか否かを判定する。異常検知部116は、例えば、進退位置検出部26及び進退位置検出部28それぞれの検出結果から、突上げ部材60がステージ80よりも突出し、突上げ部材60と吸着部42とが電子部品Wを挟みこんでいる期間を上記対象期間に設定する。
【0101】
図11には、コントローラ100によって、
図8及び
図9に示される一連の処理が行われている間での各部材の進退位置と荷重値との検出結果の一例が模式的に示されている。
図11の上半分には、突上げ部材60及びステージ80それぞれのX軸方向における位置の検出結果(エンコーダ値)の時間変化を表すグラフが示されている。
図11の下半分には、突上げ部材60に作用する荷重の検出結果(荷重検出部22による検出値)の時間変化を表すグラフが示されている。
【0102】
位置の検出結果を表すグラフの「a」で指す部分において、突上げ部材60及びステージ80それぞれが前進している。グラフの「b」で指す部分において、突上げ部材60及びステージ80が、供給対象の電子部品Wが吸着部42に接触する前に一旦停止している。突上げ部材60及びステージ80の一旦停止に伴って、これらの部材内の機構部品同士の接触に伴う振動等が静定される。グラフの「c」で指す部分において、供給対象の電子部品Wが吸着部42に接触し、ステージ80の前進が停止している。突上げ部材60の前進が継続されることにより、突上げ部材60の先端及びステージ80の先端のX軸方向における位置が互いに略一致し、突上げ部材60が停止する。
【0103】
位置の検出結果を表すグラフの「d」で指す部分において、ステージ80の後退開始に伴って、突上げ部材60の先端がステージ80の上面よりも突出して、突上げ部材60がウェハシートWSに接触して、突上げを行う。これにより、突上げ部材60と吸着部42との間で電子部品W(より詳細には、電子部品W及びウェハシートWS)が挟まれた状態となる。グラフの「e」で指す部分において、突上げ部材60及びステージ80がそれぞれ後退している。
【0104】
荷重値の時間変化を表すグラフの「A」で指す部分では、突上げ部材60の動作開始時の突上げ駆動部70内の機構部品同士の接触による影響により、振動するような荷重値の変化が観測されている。振動するような荷重値の変化は、「A」で指す部分よりも前の時間帯においても観測され得る。グラフの「C」で指す部分では、突上げ部材60を停止させた時の突上げ部材60又は突上げ駆動部70内の機構部品の振動による影響が観測されている。
【0105】
図11に示されるグラフにおいて、電子部品Wに加える荷重の異常の有無を判定する際の対象となる期間(対象期間)が「Te」で示されている。対象期間Teの開始時点は、例えば、ステージ80の後退開始に伴い、突上げ部材60の先端の位置が、ステージ80の先端よりも突出した時点(突出した状態が開始された時点)に設定される。対象期間Teの終了時点は、例えば、突上げ部材60の後退が開始されてから、電子部品Wが突上げ部材60により突上げられ、突上げ部材60がウェハシートWSに接触した状態が維持されていると想定される位置に、突上げ部材60の先端が達した時点に設定される。なお、対象期間Teの終了時点は、突上げ部材60の後退開始時点から所定時間経過後の時点に設定されてもよい。いずれの場合でも、対象期間Teは、突上げ部材60の先端の位置が、ステージ80の先端よりも突出した時点以降に設定される。
【0106】
荷重値のグラフにおいて、「Fth」は、異常の有無の判定に用いる閾値を表している。閾値Fthは、閾値設定部114によって、吸着部42の個体ごとに設定されてもよい。異常検知部116は、対象期間Teにおいて、荷重検出部22による検出値が、閾値Fthを超えるか否かを判定してもよい。異常検知部116は、対象期間Teにおいて、荷重検出部22による検出値が閾値Fthを超えた場合に、供給対象の電子部品Wに作用した荷重が異常であると判定し、荷重検出部22による検出値が閾値Fthを超えていない場合に、供給対象の電子部品Wに作用した荷重が異常ではないと判定してもよい。この場合、異常検知部116は、対象期間Te以外の期間において荷重検出部22による検出値が閾値Fthを超えていたとしても、対象期間Teのみでの荷重の検出値を用いて異常の有無を判定する。
図11に示される例では、「B」で指す部分において、荷重値が閾値Fthを超えていないので、異常ではないと判定される。
【0107】
コントローラ100は、
図8及び
図9に示される一連の処理において、ステップS33~S36を省略してもよい。すなわち、コントローラ100は、突上げ部材60及びステージ80の前進の途中で、供給対象の電子部品Wが吸着部42に接触する前に、突上げ部材60及びステージ80を一時的に停止させる制御を実行しなくてもよい。
【0108】
部品検査装置1は、荷重検出部22に加えて、荷重検出部24を備えてもよい(
図10(a)又は
図10(b)を参照)。荷重検出部24(第2荷重検出部)は、ステージ80に加わる荷重を検出するセンサである。荷重検出部24は、ステージ80が前進して、ウェハシートWSの裏面WSbの突上げ位置P2の周辺の領域を吸着部42に向かって突き出しているときに、ステージ80に加わる荷重を検出可能である。荷重検出部24は、突上げ駆動部90(進退ロッド94)に設けられてもよい。荷重検出部24は、いかなる方式で荷重を検出するセンサであってもよい。荷重検出部24は、ひずみゲージ等の電気抵抗値の変化を検出する力学的センサであってもよく、ロードセルであってもよい。荷重検出部24は、所定のサンプリング周期で、ステージ80に作用する荷重の検出を繰り返してもよい。荷重検出部24は、ステージ80に加わる荷重を示す情報をコントローラ100に出力する。
【0109】
荷重データ取得部112は、荷重検出部22に加えて、荷重検出部24から荷重値を取得することを継続する。荷重データ取得部112は、少なくともステージ80が突上げ動作を行っている期間において、ステージ80に作用する荷重を示す情報を荷重検出部24から取得する。荷重データ取得部112は、部品検査装置1が稼働している間において、荷重検出部24から荷重を示す情報を取得することを継続してもよい。
【0110】
荷重検出部24が備えられる部品検査装置1においても、コントローラ100は、上述のステップS11~S20の一連の処理を実行してもよく、上述のステップS31~S39の一連の処理を実行してもよい。異常検知部116は、ステージ80に作用する荷重を示す情報に基づいて、電子部品Wに加わる異常を検知してもよい。上述の一連の処理では、ステージ80がウェハシートWSを突き上げて、供給対象の電子部品Wが吸着部42に接触する前では、電子部品Wに加わる荷重は、荷重検出部24の検出値に反映されず、ウェハシートWSからステージ80に作用する反力が上記検出値に反映される。しかしながら、何らかの原因で、ステージ80がウェハシートWSを突き上げている際に、供給対象の電子部品Wが吸着部42に接触すると、その接触(異常接触)に伴う荷重が、荷重検出部24の検出値に反映され得る。
【0111】
異常検知部116は、ステージ80に作用する荷重が所定の閾値を超えた場合に、電子部品Wに加わる荷重が異常であると(電子部品Wが異常接触したと)判定してもよい。異常検知部116は、対象期間Teにおいて荷重検出部22の検出値が閾値Fthを超えた場合、又は、荷重検出部24の検出値が所定の閾値を超えた場合に、電子部品Wに異常な荷重が作用した可能性があると判定してもよい。荷重検出部22の検出値に基づく異常判定と、荷重検出部24の検出値に基づく異常判定とでは、互いに異なる閾値が用いられてもよい。
【0112】
荷重検出部24が設けられ、
図8及び
図9に示される一連の処理が実行される場合において、コントローラ100は、ステップS36の実行以降に得られた荷重検出部24の検出値を用いて異常の有無を判定してもよい。この場合、突上げ駆動部90の動作開始に伴い荷重検出部24の検出値に反映される外乱成分の影響を低減して、判定を行うことができる。そのため、異常の有無の判定精度を向上させることが可能である。荷重検出部24の検出値に含まれ得る外乱成分の発生要因としては、例えば、突上げ駆動部90に含まれる部材同士の接触、突上げ駆動部90に含まれる可動部分の摺動抵抗、及び、突上げ駆動部90に含まれるスプリング等の振動が挙げられる。
【0113】
上述の例では、ステージ80がX軸方向において移動可能に設けられるが、ステージ80は、所定位置に固定されていてもよい。例えば、
図12(a)に示されるように、部品供給部50は、シート保持部52と、シート駆動部56と、突上げ部材60と、突上げ駆動部70と、ステージ80と、を有し、突上げ駆動部90を有しなくてもよい。
図13には、ステージ80が移動可能に設けられない場合に、コントローラ100が実行する一連の処理の一例が示されている。この一連の処理では、コントローラ100が、
図4に示されるステップS11と同様に、ステップS51を最初に実行する。
【0114】
次に、コントローラ100は、ステップS52を実行する。ステップS52では、例えば、第1突上げ制御部108が、突上げ部材60の前進を開始させるように突上げ駆動部70を制御する。コントローラ100は、突上げ部材60の前進を開始させる際に、ステージ80によりウェハシートWSの突上げ位置P2の周辺の領域を吸引させた状態を開始させるように吸引部88を制御してもよい。ステップS52の実行後、ステージ80が上記周辺の領域を吸引した状態は継続される。
【0115】
次に、コントローラ100は、ステップS53,S54を実行する。ステップS53では、例えば、第1突上げ制御部108が、突上げ部材60が、変位量の設定値だけ前進するまで待機する。ステップS54では、例えば、第1突上げ制御部108が、突上げ部材60を停止させるように突上げ駆動部70を制御する。ステップS52~S54の実行により、突上げ部材60が変位量の設定値だけ前進する。
図12(b)には、突上げ部材60が設定値だけ前進した状態が例示されている。
【0116】
ステージ80が固定されているので、突上げ部材60の前進が継続している途中において、突上げ部材60の先端がステージ80の先端よりも突出し、突上げ部材60の先端が突上げ位置P2に接触する。突上げ部材60の先端が突上げ位置P2に接触した後も、突上げ部材60の前進が継続され、突上げ位置P2が、受渡領域TAに配置された吸着部42に向かって突き出される。この際、ステージ80による吸引が継続されているので、供給対象の電子部品Wの一部(例えば、主面Wbの周縁領域)がウェハシートWSから剥がれる。突上げ部材60の変位量の設定値は、突上げ部材60の先端が突上げ位置P2に接触して、供給対象の電子部品Wが吸着部42及び突上げ部材60の双方から力(接触力)を受ける値に設定されている。また、突上げ部材60の変位量の設定値は、供給対象の電子部品Wに過度な荷重が作用せず、且つ、供給対象の電子部品Wの受け渡しに伴うトラブルが発生しない程度の荷重が作用するように設定されてもよい。
【0117】
次に、コントローラ100は、ステップS55,S56を実行する。ステップS55では、例えば、コントローラ100が、ステップS54の実行後から所定の待機時間が経過するまで待機する。待機時間は、オペレータ等により予め設定されている。ステップS56では、例えば、第1突上げ制御部108が、突上げ部材60が後退を開始するように突上げ駆動部70を制御する。ステップS56の実行により、位置xsよりも吸着部42に向かって突き上げられていたウェハシートWSの一部が、位置xsに戻り始める。吸着部42が供給対象の電子部品Wを吸着しているので、電子部品Wの主面Wbの全域がウェハシートWSの表面WSaから剥離する。ステップS56の実行前に、供給対象の電子部品Wの主面Waにおける一部の領域はウェハシートWSの表面WSaから既に剥離しているので、電子部品Wの主面Wbの全域がウェハシートWSの表面WSaから剥離されやすい。
【0118】
次に、コントローラ100は、ステップS57,S58を実行する。ステップS57では、例えば、第1突上げ制御部108が、突上げ部材60が原点位置に後退するまで待機する。ステップS58では、例えば、第1突上げ制御部108が、突上げ部材60を停止させるように突上げ駆動部70を制御する。ステップS57,S58の実行により、
図12(c)に示されるように、突上げ部材60が原点位置まで移動し、ウェハシートWSが突上げられていない状態となり、吸着部42に電子部品Wが引き渡される。
【0119】
次に、コントローラ100は、ステップS59を実行する。ステップS59では、例えば、異常検知部116が、供給対象の電子部品Wに加わる荷重が異常か否かを判定する。一例では、異常検知部116は、進退位置検出部26による検出結果を取得することで、ステージ80に対する突上げ部材60の位置を取得する。この場合、異常検知部116は、ステージ80に対する突上げ部材60の相対位置を算出してもよく、ステージ80が固定されているので、進退位置検出部26による検出結果をそのまま、上記相対位置として取得してもよい。そして、異常検知部116は、ステージ80に対する突上げ部材60の相対位置の取得結果から、ステップS51~S58の一連の処理を実行した期間のうち、突上げ部材60の先端がステージ80の先端よりも突出している対象期間を特定してもよい。異常検知部116は、対象期間以外の期間での荷重検出部22の検出値を考慮せずに、対象期間において、荷重検出部22の検出値が閾値を超えたか否かを判定してもよい。この際、判定に用いる閾値は、閾値設定部114によって、回転位置検出部38による検出結果に基づき特定された吸着部42に応じて設定されてもよい。
【0120】
部品検査装置1は、ピックアップ部30(ロータリピックアップ)に代えて、1つの部品保持部を有し、その部品保持部により、供給ユニット20からの電子部品Wを受け取り、検査ユニット10の部品保持部14に引き渡すように構成されたピックアップ部を備えてもよい。以上に説明した種々の例において、1つの例で説明した事項の少なくとも一部が、他の例に適用されてもよい。
【0121】
[本開示のまとめ]
[1]電子部品Wを搬送しつつ検査し、良品と不良品とに分類したうえで、電子部品Wを収容部材に収容する部品検査装置1であって、表面WSaと裏面WSbとを有し、表面WSaに電子部品Wが貼付されたウェハシートWSを保持するシート保持部52と、シート保持部52に保持されたウェハシートWSの表面WSaに対向し、電子部品Wを保持する部品保持部34(吸着部42)と、シート保持部52に保持されたウェハシートWSの裏面WSbの突上げ位置P2に対向する突上げ部材60と、部品保持部34(吸着部42)に向かうように突上げ部材60を所定方向に沿って移動させる突上げ駆動部70と、シート保持部52に保持されたウェハシートWSの裏面WSbにおける突上げ位置P2の周辺の領域を吸着するステージ80と、突上げ部材60に加わる荷重を検出する荷重検出部22と、X軸方向における突上げ部材60の位置を検出する進退位置検出部26と、を備える、部品検査装置1。
この部品検査装置1では、荷重検出部22(荷重センサ)が設けられるので、突上げ部材60による突上げによって、電子部品Wに加わる荷重の異常を検知することができる。一方、上述したように、部品検査装置1は高速で動作するので、突上げ部材60は、短い周期で進退を繰り返すように突上げ駆動部70により駆動される。これにより、突上げ部材60の先端がステージ80よりも突出しておらず、突上げ部材60がウェハシートWSに接触していない時間帯であっても、突上げ部材60を駆動するための突上げ駆動部70内に生じる各種の振動等に起因して、荷重検出部22の検出値に外乱が生じ得る。そのため、荷重検出部22による検出値を用いて単に異常の有無を判定すると、上記外乱に起因して、誤判定が起きる可能性があるという知見が得られた。これに対して、上記部品検査装置1では、進退位置検出部26の検出結果によって、突上げ部材60の先端がステージ80よりも突出し、ウェハシートWSに接触している状態を特定でき、突上げ部材60と部品保持部34(吸着部42)との間に電子部品Wが挟まれている時間帯に着目して、荷重検出部22による検出値を用いて荷重の異常を判定できる。その結果、突上げ部材60が高速で周期的に動作していても、上記外乱に起因した誤判定を回避でき、精度良く異常を検知することができる。従って、上記部品検査装置1では、電子部品に加わる荷重を荷重センサで計測する場合において、装置振動等に起因して真の荷重値以外に計測されてしまう外乱値を低減して電子部品に加わる荷重を高精度に計測することが可能である。
【0122】
[2]部品保持部34(吸着部42)を含む複数の部品保持部34(複数の吸着部42)と、ウェハシートWSから電子部品Wを受け取るための受渡領域TAを通る円軌道CR2に位置するように複数の部品保持部34(複数の吸着部42)を支持する支持部12と、円軌道CR2に沿って複数の部品保持部34(複数の吸着部42)を移動させるように支持部32を回転させる回転駆動部36と、円軌道CR2の中心軸(中心軸線Ax2)まわりの周方向における支持部32の回転位置を検出する回転位置検出部38と、を更に備え、複数の部品保持部34(複数の吸着部42)それぞれが、受渡領域TAにおいてウェハシートWSから電子部品Wを受け取るように構成されている、上記[1]に記載の部品検査装置1。
この場合、より精度良く異常を検知することが可能である。なお、電子部品Wに加わる荷重をより厳密に管理する必要がある場合に、上記構成を採用することが更に有益である。例えば、上述したように、吸着部42及びスプリング46(部品保持部34)の個体の間で、突上げ部材60と吸着部42との間に電子部品Wが挟まれている間に、スプリング46から吸着部42に作用する反力に差が生じ得る。そして、スプリング46から吸着部42に作用する反力は、荷重検出部22による検出値に反映される。上記部品検査装置1では、回転位置検出部38による検出結果に基づいて、どの吸着部42が、受渡領域TAに配置されているかを特定することできる。そのため、特定された吸着部42に応じた条件で、荷重検出部22による検出値を用いて異常を判定することで、誤判定が起きる可能性を低減できる。また、吸着部42に作用する反力の個体差に加えて又は代えて、吸着部42の個体の間で、上述したように、その長さが異なり、突上げ部材60と吸着部42との間に電子部品Wが挟まれる状態が開始されるタイミング(以下、「開始タイミング」という。)が異なる。どの吸着部42が、受渡領域TAに配置されているかを特定することで、その吸着部42に応じた長さを示す情報と、進退位置検出部26の検出結果とによって、吸着部42ごとに、個体差があっても上記開始タイミングが明らかとなる。そして、開始タイミング以降に得られた荷重検出部22の検出値を用いて異常を判定することで、外乱の影響を受けずに精度良く判定することができる。
【0123】
[3]ステージ80は、X軸方向において移動可能に設けられており、部品検査装置1は、部品保持部34(吸着部42)に向かうようにステージ80をX軸方向に沿って移動させる突上げ駆動部90と、X軸方向におけるステージ80の位置を検出する進退位置検出部28と、を更に備える、上記[1]又は[2]に記載の部品検査装置1。
上記構成では、ステージ80の位置を検出する進退位置検出部28が備えられるので、ステージ80が移動可能であっても、突上げ部材60がステージ80よりも突出し、ウェハシートWSに接触している状態を特定できる。その結果、ステージ80を移動させて電子部品Wの受渡動作をより確実に行うようにしつつ、電子部品に加わる荷重を高精度に検出することが可能である。
【0124】
[4]ステージ80に加わる荷重を検出する荷重検出部24を更に備える、上記[1]~[3]のいずれか1つに記載の部品検査装置1。
この場合、ステージ80がウェハシートWSを突き上げている際に、電子部品Wが部品保持部34(吸着部42)に接触すると、荷重検出部24による検出値に電子部品Wに加わる荷重が反映される。これにより、突上げ部材60がウェハシートWSを突き上げている期間だけでなく、ステージ80がウェハシートWSを突き上げている期間においても、電子部品Wに加わる荷重を管理することができる。従って、電子部品Wの信頼性を向上させるのに有用である。
【0125】
なお、ステージ80がウェハシートWSを突き上げている期間においても、電子部品Wに加わる荷重を管理できるようにする観点から、本開示に係る部品検査装置が、以下のように構成されてもよい。
[4A]電子部品Wを搬送しつつ検査し、良品と不良品とに分類したうえで、電子部品Wを収容部材に収容する部品検査装置であって、表面WSaと裏面WSbとを有し、表面WSaに電子部品Wが貼付されたウェハシートWSを保持するシート保持部52と、シート保持部52に保持されたウェハシートWSの表面WSaに対向し、電子部品Wを保持する部品保持部34(吸着部42)と、シート保持部52に保持されたウェハシートWSの裏面WSbの突上げ位置P2に対向する突上げ部材60と、部品保持部34(吸着部42)に向かうように突上げ部材60を移動させる突上げ駆動部70と、シート保持部52に保持されたウェハシートWSの裏面WSbにおける突上げ位置P2の周辺の領域を吸着するステージ80と、部品保持部34(吸着部42)に向かうようにステージ80を移動させる突上げ駆動部90と、突上げ部材60に加わる荷重を検出する荷重検出部22と、ステージ80に加わる荷重を検出する荷重検出部24、を備える、部品検査装置。
【0126】
[5]進退位置検出部26による検出結果に基づいて、ステージ80に対する突上げ部材60の位置を取得するコントローラ100を更に備える、請求項[1]~[4]のいずれか1つに記載の部品検査装置1。
この場合、突上げ部材60の先端がステージ80よりも突出した状態を、位置の取得結果から特定することができる。そのため、突上げ部材60の先端がウェハシートWSに接触していない期間を排除して、電子部品Wに加わる荷重の異常の有無をコントローラ100によって判定することが可能である。
【符号の説明】
【0127】
1…部品検査装置、W…電子部品、10…検査ユニット、20…供給ユニット、30…ピックアップ部、34…部品保持部、42…吸着部、TA…受渡領域、CR2…円軌道、50…部品供給部、52…シート保持部、WS…ウェハシート、WSa…表面、WSb…裏面、60…突上げ部材、70…突上げ駆動部、80…ステージ、90…突上げ駆動部、P2…突上げ位置、22,24…荷重検出部、26,28…進退位置検出部、100…コントローラ。
【要約】
【課題】装置振動等に起因して真の荷重値以外に計測されてしまう外乱値を低減して電子部品に加わる荷重を高精度に計測する。
【解決手段】部品検査装置は、電子部品を搬送しつつ検査し、良品と不良品とに分類したうえで、電子部品を収容部材に収容する装置である。この部品検査装置は、表面と裏面とを有し、表面に電子部品が貼付されたシートを保持するシート保持部と、シート保持部に保持されたシートの表面に対向し、電子部品を保持する部品保持部と、シート保持部に保持されたシートの裏面の突上げ位置に対向する突上げ部材と、部品保持部に向かうように突上げ部材を所定方向に沿って移動させる駆動部と、シート保持部に保持されたシートの裏面における突上げ位置の周辺の領域を吸着するステージと、突上げ部材に加わる荷重を検出する荷重検出部と、所定方向における突上げ部材の位置を検出する位置検出部と、を備える。
【選択図】
図1