(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-29
(45)【発行日】2024-03-08
(54)【発明の名称】診察券又は受診受付票を発行するシステム
(51)【国際特許分類】
G16H 10/00 20180101AFI20240301BHJP
G06Q 50/22 20240101ALI20240301BHJP
【FI】
G16H10/00
G06Q50/22
(21)【出願番号】P 2023131473
(22)【出願日】2023-08-10
【審査請求日】2023-08-10
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】512235518
【氏名又は名称】江川 寛
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】弁理士法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】江川 寛
【審査官】原 秀人
(56)【参考文献】
【文献】特許第7226875(JP,B1)
【文献】特開2013-077208(JP,A)
【文献】特開2022-128443(JP,A)
【文献】特開平08-101869(JP,A)
【文献】特開2022-142732(JP,A)
【文献】特開2020-086551(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
G06Q 50/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
健康保険証を撮影した画像を取得する画像取得部と、
前記画像取得部が取得した画像から文字群を認識する文字認識部と、
マイナンバーカードからマイナンバーを読み取る読取部と、
健康保険証の記号番号又はマイナンバーの送信元に対し当該記号番号又は当該マイナンバーに対応する資格情報を送信する外部システムに、前記文字認識部が認識した文字群に含まれる記号番号、又は、前記読取部が読み取ったマイナンバーを送信する送信部と、
前記送信部による記号番号又はマイナンバーの送信に対する応答として前記外部システムから送信されてくる資格情報を受信する受信部と、
前記文字認識部が認識した文字群に含まれる資格情報と、前記受信部が前記外部システムから受信した資格情報とを記憶する記憶部と、
前記文字認識部が認識した文字群に含まれる資格情報と同一の患者の資格情報を前記記憶部に記憶されている資格情報から検索する検索部と、
所定の条件が満たされたタイミングにおいて前記受信部による前記外部システムからの資格情報の受信が完了している場合、前記文字認識部が認識した文字群に含まれる資格情報と、前記受信部が前記外部システムから受信した資格情報とを照合
し、前記検索部による検索が成功した場合、前記文字認識部が認識した文字群に含まれる資格情報と、前記検索部が前記記憶部に記憶されている資格情報から検索した資格情報とを照合する照合部と
、
前記所定の条件が満たされたタイミングにおいて前記受信部による前記外部システムからの資格情報の受信が完了しており、かつ、前記照合部による
前記文字認識部が認識した文字群に含まれる資格情報と前記受信部が前記外部システムから受信した資格情報との照合が成功した場合、
当該照合が成功した資格情報に従い、診察券又は受診受付票を発行
し、前記検索部による検索が成功し、かつ、前記照合部による前記文字認識部が認識した文字群に含まれる資格情報と前記検索部が前記記憶部に記憶されている資格情報から検索した資格情報との照合が成功した場合、当該照合が成功した資格情報に従い、受診受付票の発行を行う発行部と、
前記照合部による前記文字認識部が認識した文字群に含まれる資格情報と前記受信部が前記外部システムから受信した資格情報との照合が失敗した場合、ユーザに対する通知のための処理を行う通知処理部と
を備えるシステム。
【請求項2】
前記照合部による前記文字認識部が認識した文字群に含まれる資格情報と前記受信部が前記外部システムから受信した資格情報との照合が成功した場合、前記照合部による前記文字認識部が認識した文字群に含まれる資格情報と前記検索部が前記記憶部に記憶されている資格情報から検索した資格情報との照合が成功したか否かにかかわらず、前記発行部は、前記文字認識部が認識した文字群に含まれる資格情報又は前記受信部が前記外部システムから受信した資格情報に従い受診受付票を発行する
請求項
1に記載のシステム。
【請求項3】
健康保険証を撮影した画像を取得する画像取得部と、
前記画像取得部が取得した画像から文字群を認識する文字認識部と、
マイナンバーカードからマイナンバーを読み取る読取部と、
健康保険証の記号番号又はマイナンバーの送信元に対し当該記号番号又は当該マイナンバーに対応する資格情報を送信する外部システムに、前記文字認識部が認識した文字群に含まれる記号番号、又は、前記読取部が読み取ったマイナンバーを送信する送信部と、
前記送信部による記号番号又はマイナンバーの送信に対する応答として前記外部システムから送信されてくる資格情報を受信する受信部と、
診察券又は受診受付票を発行する発行部と、
所定の条件が満たされたタイミングにおいて前記受信部による前記外部システムからの資格情報の受信が完了している場合、前記文字認識部が認識した文字群に含まれる資格情報と、前記受信部が前記外部システムから受信した資格情報とを照合する照合部と、
前記照合部による照合が失敗した場合、ユーザに対する通知のための処理を行う通知処理部と
前記文字認識部が認識した文字群に含まれる情報、又は、前記受信部が前記外部システムから受信した資格情報に含まれる情報、の入力された診療申込書を表示し、患者による当該診療申込書に対する情報の入力を受け付ける受付部
と
を備え
、
前記所定の条件が満たされたタイミングにおいて前記受信部による前記外部システムからの資格情報の受信が完了していない場合、前記発行部は、前記文字認識部が認識した文字群に含まれる資格情報に従い、診察券又は受診受付票を発行し、
前記所定の条件が満たされたタイミングにおいて前記受信部による前記外部システムからの資格情報の受信が完了しており、かつ、前記照合部による照合が成功した場合、前記発行部は、前記照合部による照合が成功した資格情報に従い、診察券又は受診受付票を発行する
システム。
【請求項4】
健康保険証を撮影した画像を取得する画像取得部と、
前記画像取得部が取得した画像から文字群を認識する文字認識部と、
マイナンバーカードからマイナンバーを読み取る読取部と、
健康保険証の記号番号又はマイナンバーの送信元に対し当該記号番号又は当該マイナンバーに対応する資格情報を送信する外部システムに、前記文字認識部が認識した文字群に含まれる記号番号、又は、前記読取部が読み取ったマイナンバーを送信する送信部と、
前記送信部による記号番号又はマイナンバーの送信に対する応答として前記外部システムから送信されてくる資格情報を受信する受信部と、
診察券又は受診受付票を発行する発行部と、
所定の条件が満たされたタイミングにおいて前記受信部による前記外部システムからの資格情報の受信が完了している場合、前記文字認識部が認識した文字群に含まれる資格情報と、前記受信部が前記外部システムから受信した資格情報とを照合する照合部と、
前記照合部による照合が失敗した場合、ユーザに対する通知のための処理を行う通知処理部と
を備え、
前記所定の条件が満たされたタイミングにおいて前記受信部による前記外部システムからの資格情報の受信が完了していない場合、前記発行部は、前記文字認識部が認識した文字群に含まれる資格情報に従い、診察券又は受診受付票を発行し、
前記所定の条件が満たされたタイミングにおいて前記受信部による前記外部システムからの資格情報の受信が完了しており、かつ、前記照合部による照合が成功した場合、前記発行部は、前記照合部による照合が成功した資格情報に従い、診察券又は受診受付票を発行し、
前記外部システムは、医療証の受給者を識別する受給者識別情報の送信元に対し当該受給者識別情報に対応する資格情報を送信し、
前記画像取得部は、医療証を撮影した画像を取得し、
前記文字認識部は、前記画像取得部が取得した医療証の画像から文字群を認識し、
前記送信部は、前記文字認識部が認識した文字群に含まれる受給者識別情報を前記外部システムに送信し、
前記受信部は、前記送信部による受給者識別情報の送信に対する応答として前記外部システムから送信されてくる資格情報を受信し、
前記照合部は、前記文字認識部が医療証の画像から認識した文字群に含まれる資格情報と、前記送信部による受給者識別情報の送信に対する応答として前記外部システムから送信され前記受信部が受信した資格情報とを照合す
る
システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療機関における初診患者に関する診察券の発行と、初診患者及び再診患者に関する受診受付票の発行とを支援する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
患者が医療機関から受けた医療サービスに対する費用(医療費)のうち、その患者が負担すべき金額は、その患者が加入している健康保険による主保険に加えて、国の法律による公費負担医療制度、都道府県又は市町村独自による医療費助成制度等の適用の有無により変化する。
【0003】
患者が加入している健康保険による医療費の負担率等の情報と、その患者に対し発行されている公費負担医療制度等による医療費の負担率等の情報は、資格情報と呼ばれる。
【0004】
医療機関は、患者に対し医療サービスを提供する際、正しい資格情報を知らなければ、その患者に対する正しい医療費の請求を行うことができない。そのため、医療機関は、来院する患者に健康保険証及び公費負担医療制度等の適用患者に対し発行される医療券に記載されている資格情報を確認する必要がある。
【0005】
上記の資格情報の確認作業を効率化するために、日本国政府は、マイナンバーカードを健康保険証として利用可能とする「オンライン資格確認」と呼ばれるシステム(以下、「オンライン資格確認システム」という)の運用を既に開始している。また、日本国政府は、将来、オンライン資格確認システムによって、マイナンバーカードを、公費負担医療制度の適用患者に発行される医療券である受給者証のうち、乳幼児医療費助成制度(マル乳)等の特定の制度に応じた受給者証である医療証としても利用可能とすることを予定している。
【0006】
オンライン資格確認システムに関する記載を含む特許文献として、例えば特許文献1がある。特許文献1には、患者が来院時に健康保険証及び医療証を持参した場合と、マイナンバーカードを持参した場合のいずれにおいても、資格情報の確認を支援するシステムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本願の出願時点において、オンライン資格確認システムの応答速度が遅い、という問題がある。具体的には、医療機関において、マイナンバーカードからマイナンバーが読み取られた後、又は、健康保険証に記載の記号番号が入力された後、医療機関がそれらの情報に応じた資格情報を取得できるまでに数十秒から数分の時間を要することがある。その結果、来院した患者に対する診察券又は受診受付票の発行に時間を要する、という問題がある。
【0009】
上記の事情に鑑み、本発明は、患者に対し、速やかな診察券又は受診受付票の発行を可能とする手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するため、本発明は、健康保険証を撮影した画像を取得する画像取得部と、前記画像取得部が取得した画像から文字群を認識する文字認識部と、マイナンバーカードからマイナンバーを読み取る読取部と、健康保険証の記号番号又はマイナンバーの送信元に対し当該記号番号又は当該マイナンバーに対応する資格情報を送信する外部システムに、前記文字認識部が認識した文字群に含まれる記号番号、又は、前記読取部が読み取ったマイナンバーを送信する送信部と、前記送信部による記号番号又はマイナンバーの送信に対する応答として前記外部システムから送信されてくる資格情報を受信する受信部と、前記文字認識部が認識した文字群に含まれる資格情報と、前記受信部が前記外部システムから受信した資格情報とを記憶する記憶部と、前記文字認識部が認識した文字群に含まれる資格情報と同一の患者の資格情報を前記記憶部に記憶されている資格情報から検索する検索部と、所定の条件が満たされたタイミングにおいて前記受信部による前記外部システムからの資格情報の受信が完了している場合、前記文字認識部が認識した文字群に含まれる資格情報と、前記受信部が前記外部システムから受信した資格情報とを照合し、前記検索部による検索が成功した場合、前記文字認識部が認識した文字群に含まれる資格情報と、前記検索部が前記記憶部に記憶されている資格情報から検索した資格情報とを照合する照合部と、前記所定の条件が満たされたタイミングにおいて前記受信部による前記外部システムからの資格情報の受信が完了しており、かつ、前記照合部による前記文字認識部が認識した文字群に含まれる資格情報と前記受信部が前記外部システムから受信した資格情報との照合が成功した場合、当該照合が成功した資格情報に従い、診察券又は受診受付票を発行し、前記検索部による検索が成功し、かつ、前記照合部による前記文字認識部が認識した文字群に含まれる資格情報と前記検索部が前記記憶部に記憶されている資格情報から検索した資格情報との照合が成功した場合、当該照合が成功した資格情報に従い、受診受付票の発行を行う発行部と、前記照合部による前記文字認識部が認識した文字群に含まれる資格情報と前記受信部が前記外部システムから受信した資格情報との照合が失敗した場合、ユーザに対する通知のための処理を行う通知処理部とを備えるシステムを提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、患者に対し、速やかに診察券又は受診受付票が発行される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態にかかるシステムの構成を示した図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[実施形態]
図1は本発明の一実施形態にかかるシステム1の構成を示した図である。以下に
図1に示すシステム1の構成部の各々を説明する。
【0014】
管理サーバ11(照合部の一例)は、システム1の中核を担うサーバであり、診察券及び受診受付票の発行の可否の判定、資格情報の不整合の有無の判定、資格情報に不整合が有ると判定した場合に医療機関のスタッフ(ユーザの一例)及び患者(ユーザの一例)に所定の通知を行うための処理、等を行う。
【0015】
なお、管理サーバ11は1つの装置で構成されてもよいし、互いに連係動作する複数の装置で構成されてもよい。
【0016】
医事管理サーバ12は、医療機関Xの医事管理業務に関する情報を管理する情報処理装置である。電子カルテ管理サーバ13は、医療機関Xの電子カルテに関する情報を管理する情報処理装置である。
【0017】
受付端末14は、医療機関Xの受付に配置され、受付のスタッフにより使用される情報処理装置である。
【0018】
診療申込受付端末15は、医療機関Xの受付に配置され、患者に対し診療申込書のフォームを表示し、そのフォームに対する患者の情報入力を受け付ける情報処理装置である。
【0019】
診療科端末16は、医療機関Xの診療科の設備内に配置され、診療科のスタッフにより使用される情報処理装置である。従って、診療科端末16は医療機関Xが備える診療科の数に応じて複数ある。また、1つの診療科に、例えば医師が使用する診療科端末16と、看護師が使用する診療科端末16のように、複数の診療科端末16があってもよい。
【0020】
受付端末14、診療申込受付端末15、及び、診療科端末16の各々は、ユーザに対し情報を表示する表示装置と、ユーザによる情報の入力を受け付ける入力装置(キーボード、マウス、タッチスクリーンに内蔵されるタッチパネル等)を備える。なお、それらの装置が備える表示装置と入力装置は、本体に内蔵されていてもよいし、本体に対し有線又は無線で接続されていてもよい。
【0021】
タッチ端末17は、患者が非接触ICカードの機能を備える診察券Qを近接(以下、タッチ)した場合に、診察券Qから診察券番号を読み取って管理サーバ11に送信し、その応答として管理サーバ11から送信されてくる患者に関する情報である患者情報を診察券Qに書き込み、その患者情報を表示する装置である。そのため、タッチ端末17は、タッチされた診察券Qから近距離無線通信規格に従い情報を読み取るリーダと、タッチされた診察券Qに近距離無線通信規格に従い情報を書き込むライタと、診察券Qのタッチに応じて情報を表示する表示装置とを有する。なお、タッチ端末17が備えるリーダ、ライタ、及び、表示装置は、本体に内蔵されていてもよいし、本体に対し有線又は無線で接続されていてもよい。
【0022】
タッチ端末17は、医療機関Xの設備内の患者が自由に行ける様々な場所に配置されている。すなわち、タッチ端末17の数は通常、複数である。タッチ端末17はそのタッチ端末17が有するリーダを識別するリーダ識別情報により識別される。管理サーバ11は、リーダ識別情報に対応付けて、そのリーダ識別情報により識別されるタッチ端末17に関する情報であるタッチ端末情報を記憶している。タッチ端末情報には、例えば、タッチ端末17が配置されている診療科の名称、タッチ端末17が配置されている位置等が含まれる。
【0023】
タッチ端末17には、診療科やレントゲン撮影室等の受付の近くのように、特定の位置に配置されたものと、通路の脇などのように、任意の位置に配置されたものがある。特定の位置に配置されたタッチ端末17は、診察券Qをタッチした患者がその位置に来たことをスタッフに通知する役割を果たす点で、任意の位置に配置されたタッチ端末17と異なる。
【0024】
スキャナ18(画像取得部及び文字認識部の一例)は、患者が持参した健康保険証及び医療証を光学的に読み取る装置である。より具体的には、スキャナ18は、健康保険証又は医療証を光学的に撮影し、撮影した画像から文字認識し、撮影した画像と認識した文字情報を出力する。
【0025】
なお、医療証とは、公費負担医療制度の適用患者に対し発行される医療券である。医療証には、公費負担者番号、受給者番号、有効期間等が記載されている。本実施形態においては、例として、以下の公費負担医療制度に応じた医療証がスキャナ18により読み取り可能であるものとするが、スキャナ18が読み取り可能な医療証の種類は以下に限られない。
【0026】
乳幼児医療費助成制度(マル乳)
義務教育就学児医療費助成制度(マル子)
ひとり親家庭等医療費助成制度(マル親)
心身障害者医療費助成制度(マル障)
【0027】
カード発行機19は、初診の患者に対し診察券Qを発行する装置である。
【0028】
資格情報管理サーバ20は、スキャナ18により読み取られた健康保険証及び医療証の画像を表す画像データと、それらの画像から認識した文字情報(保険証資格情報及び医療証資格情報)を、それらの健康保険証又は医療証の所持者である患者を識別する診察券番号に対応付けて記憶するデータベースサーバである。
【0029】
顔認証機能付リーダ21(読取部の一例)は、患者が持参したマイナンバーカードからマイナンバーを読み取る装置である。顔認証機能付リーダ21はカメラを有し、マイナンバーカードに顔画像が記憶されている場合、患者の顔を撮影し、撮影した顔画像とマイナンバーカードから読み取った顔画像とを照合して、マイナンバーカードの所持者の本人確認を行う。また、顔認証機能付リーダ21はタッチスクリーンを有し、マイナンバーカードに顔画像が記憶されていない場合、患者に暗証番号の入力を促し、入力された暗証番号とマイナンバーカードから読み取った暗証番号とを照合して、マイナンバーカードの所持者の本人確認を行う。顔認証機能付リーダ21は、マイナンバーカードの所持者の本人確認に成功した場合に限り、マイナンバーカードから読み取ったマイナンバーを、資格情報取得端末22経由で後述する資格情報提供サーバR(外部システムの一例)に送信する。
【0030】
資格情報取得端末22は、顔認証機能付リーダ21が読み取ったマイナンバーを資格情報提供サーバRに送信する。そのため、顔認証機能付リーダ21と資格情報取得端末22、及び、資格情報取得端末22と資格情報提供サーバRは、有線又は無線で接続されている。なお、マイナンバー等の個人情報の外部への漏洩を防ぐため、顔認証機能付リーダ21と資格情報取得端末22の間のデータ通信と、資格情報取得端末22と資格情報提供サーバRとの間のデータ通信は、医療機関Xのスタッフにも知らされない暗号鍵により暗号化されている。
【0031】
診察券リーダ23は、患者が持参した診察券Qから、近距離無線通信規格に従い、診察券番号を読み取る装置である。
【0032】
受診受付票発行機24(発行部の一例)は、患者に対し受診受付票を発行する装置である。本実施形態においては、例として、受診受付票は紙片に情報を印刷したものとする。受診受付票に記載される情報には、少なくとも以下が含まれる。
・受付番号
・患者氏名
・診療科名
【0033】
なお、受診受付票は、外来受診票、診察受付票、受付番号票等の呼ばれ方をする場合もある。
【0034】
スキャナ18、カード発行機19、及び、受診受付票発行機24は、受付端末14に有線又は無線で接続されている。
【0035】
医事管理サーバ12、電子カルテ管理サーバ13、受付端末14、診療申込受付端末15、診療科端末16、タッチ端末17、資格情報管理サーバ20、及び、資格情報取得端末22の各々は、管理サーバ11との間で、有線又は無線により通信を行う。
【0036】
なお、受付端末14、診療申込受付端末15、スキャナ18、カード発行機19、顔認証機能付リーダ21、受診受付票発行機24は医療機関Xの受付に配置されている。
【0037】
以上が、システム1が備える構成部の説明である。
【0038】
資格情報取得端末22(送信部及び受信部の一例)は、既述のように、システム1の外部の装置である資格情報提供サーバRとの間で通信を行う。
【0039】
資格情報提供サーバRは、資格情報取得端末22から、患者の健康保険証に関する資格情報(患者の氏名、記号番号、医療費負担率等)(以下、「保険証資格情報」という)、又は、患者の医療証に関する資格情報(患者の氏名、負担者番号、受給者番号、医療費負担率等)(以下、「医療証資格情報」という。なお、医療証資格情報に含まれる患者の氏名、負担者番号、及び、受給者番号は、受給者識別情報の一例。)を受信すると、受信した資格情報の有効性を確認し、有効であればその資格情報を資格情報取得端末22に送信し、無効であればその患者の現在有効な資格情報を資格情報取得端末22に送信する。
【0040】
また、資格情報提供サーバRは、資格情報取得端末22から、患者のマイナンバーを受信すると、受信したマイナンバーに対応する資格情報を資格情報取得端末22に送信する。
【0041】
資格情報取得端末22は、スキャナ18により健康保険証から読み取られた保険証資格情報、スキャナ18により医療証から読み取られた医療証資格情報、又は、顔認証機能付リーダ21によりマイナンバーカードから読み取られたマイナンバーを資格情報提供サーバRに送信する。資格情報提供サーバRは、管理サーバ11から送信されてくる情報に応じた資格情報を資格情報取得端末22に送信する。資格情報取得端末22は、そのように取得した資格情報を管理サーバ11に送信する。
【0042】
以下に、システム1の動作を説明する。医療機関Xの初診の患者(以下、患者A)は、医療機関Xの受付に行き、例えば受付のスタッフに促されて、健康保険証をスキャナ18に読み取らせるか、マイナンバーカードを顔認証機能付リーダ21にタッチする。
【0043】
患者Aが健康保険証をスキャナ18に読み取らせた場合、スキャナ18は健康保険証の画像データとその画像データから認識した保険証資格情報を受付端末14に引き渡す。受付端末14は、スキャナ18から受け取った健康保険証の画像データが表す画像と、当該画像から認識された保険証資格情報とを、受付のスタッフに対し表示する。受付のスタッフは、受付端末14に表示される画像に含まれる情報と保険証資格情報とを目視で照合し、保険証資格情報に誤認識による誤りがあれば、受付端末14に対し操作を行い、その誤りを訂正する。その後、受付のスタッフによる所定の操作に従い、受付端末14は、スキャナ18から受け取った画像データと、必要に応じて訂正が行われた保険証資格情報を管理サーバ11に送信する。
【0044】
管理サーバ11は、受付端末14から受信した保険証資格情報を資格情報取得端末22に送信する。資格情報取得端末22は、管理サーバ11から受信した保険証資格情報を資格情報提供サーバRに送信し、その応答として資格情報提供サーバRから送信されてくる保険証資格情報を受信する。資格情報取得端末22は、資格情報提供サーバRから受信した保険証資格情報を管理サーバ11に送信する。
【0045】
上述した、管理サーバ11が保険証資格情報を資格情報取得端末22経由で資格情報取得端末22に送信してから、その応答として資格情報提供サーバRから送信されてくる保険証資格情報を資格情報取得端末22経由で受信するまでの処理を以下、「資格情報取得処理」と呼ぶ。
【0046】
管理サーバ11は、資格情報取得処理と並行して、受付端末14から受信した健康保険証の画像データと保険証資格情報を資格情報管理サーバ20に送信する。資格情報管理サーバ20(記憶部、検索部の一例)は、管理サーバ11から健康保険証の画像データと保険証資格情報を受信すると、自装置が記憶しているデータベースから、管理サーバ11から受信した保険証資格情報と同一の患者の保険証資格情報を検索する。ここで、同一の患者とは、保険証資格情報に含まれる患者を識別する患者識別情報が一致する患者を意味する。また、保険証資格情報に含まれる患者識別情報とは、例えば、患者の氏名、生年月日、性別の組み合わせである。
【0047】
この場合、患者Aは医療機関Xの初診患者であるので、資格情報管理サーバ20は上記の検索に失敗する。この検索の失敗に応じて、資格情報管理サーバ20は、管理サーバ11に対し、管理サーバ11から受信した保険証資格情報の患者が初診患者であることの通知(以下、「初診患者通知」という)を送信する。管理サーバ11は、資格情報管理サーバ20に対する健康保険証の画像データと保険証資格情報の送信に対する応答として、資格情報管理サーバ20から初診患者通知を受信する。
【0048】
管理サーバ11が資格情報管理サーバ20から初診患者通知を受信した時点(所定の条件が満たされたタイミングの一例)で、資格情報取得処理が完了している場合と、資格情報取得処理が完了していない場合がある。
【0049】
初診患者通知を受信した時点で資格情報取得処理が完了している場合、管理サーバ11は、資格情報取得処理において資格情報取得端末22から受信した保険証資格情報と、受付端末14から受信した保険証資格情報を照合する。この照合の処理を以下、「資格情報照合処理」という。
【0050】
資格情報照合処理において照合が成功した場合、管理サーバ11は照合に成功した保険証資格情報を診療申込受付端末15(受付部の一例)に送信する。診療申込受付端末15は、管理サーバ11から受信した保険証資格情報を用いて患者A用の診療申込書を生成し、生成した診療申込書を表示する。
【0051】
診療申込受付端末15が表示する診療申込書には、患者Aの氏名、性別、年齢等(以下、患者基本情報)が既に入力されている。患者Aは、例えば受付のスタッフに促されて、診療申込受付端末15に表示される診療申込書に対し、不足している情報(連絡先の電話番号、受診する診療科の診療科名等、以下、患者付加情報)を入力する。診療申込受付端末15は、患者基本情報と患者Aにより入力された患者付加情報を、診療申込情報として管理サーバ11に送信する。管理サーバ11は、診療申込受付端末15から受信した診療申込情報を医事管理サーバ12に送信する。
【0052】
上述した、管理サーバ11が保険証資格情報を診療申込受付端末15に送信してから、診療申込情報を医事管理サーバ12に送信するまでの処理を以下、「診療申込書受付処理」という。
【0053】
医事管理サーバ12は、管理サーバ11から診療申込情報を受信すると、新たにユニークな診察券番号を生成し、自装置のデータベースに、その新たな診察券番号に応じた新たなデータレコードを追加する。そして、医事管理サーバ12は、そのデータレコードに、診療申込情報に含まれる患者基本情報と患者付加情報を格納する。以下、診察券番号に対応付けて記憶される患者基本情報と患者付加情報を「患者情報」という。
【0054】
続いて、医事管理サーバ12は、新たに生成した診察券番号を管理サーバ11に送信する。管理サーバ11は、医事管理サーバ12に対する診療申込情報の送信に対する応答として、医事管理サーバ12から診察券番号を受信する。
【0055】
管理サーバ11は、医事管理サーバ12から診察券番号を受信すると、受付端末14から受信した健康保険証の画像データ及び保険証資格情報と、医事管理サーバ12から受信した診察券番号とを、資格情報管理サーバ20に送信する。資格情報管理サーバ20は、自装置のデータベースに、管理サーバ11から受信した診察券番号に応じた新たなデータレコードを追加し、追加したデータレコードに、管理サーバ11から受信した画像データ及び保険証資格情報と、現在時刻を示す時刻データを格納する。
【0056】
また、管理サーバ11は、医事管理サーバ12から診察券番号を受信すると、医事管理サーバ12から受信した診察券番号と、受付端末14から受信した保険証資格情報に含まれる患者の氏名とを受付端末14に送信する。受付端末14は、管理サーバ11から受信した診察券番号と患者の氏名とを記憶した診察券Qの発行をカード発行機19に指示する。この指示に応じて、カード発行機19は診察券Qを発行する。患者Aは、カード発行機19から発行された診察券Qを受け取る。
【0057】
上述した、管理サーバ11が診察券番号を受付端末14に送信してから、カード発行機19が診察券Qを発行するまでの処理を以下、「診察券発行処理」という。
【0058】
また、管理サーバ11は、医事管理サーバ12から診察券番号を受信すると、新たにユニークな受付番号を生成し、生成した受付番号と、受付端末14から受信した保険証資格情報に含まれる患者氏名と、診療申込受付端末15から受信した診療申込情報に含まれる診療科名を受付端末14に送信する。受付端末14は、管理サーバ11から受信した受付番号、患者氏名、及び、診療科名を印刷した受診受付票Pの発行を受診受付票発行機24に指示する。この指示に応じて、受診受付票発行機24は受診受付票Pを発行する。患者Aは、受診受付票発行機24から発行された受診受付票Pを受け取る。
【0059】
上述した、管理サーバ11が受付番号を生成してから、受診受付票発行機24が受診受付票Pを発行するまでの処理を以下、「受診受付票発行処理」という。
【0060】
資格情報照合処理において照合が失敗した場合、管理サーバ11(通知処理部の一例)は保険証資格情報の照合に失敗したことの通知(以下、「資格情報照合失敗通知」という)を受付端末14に送信する。資格情報照合失敗通知には、照合に失敗した2つの保険証資格情報が含まれている。受付端末14は、管理サーバ11から資格情報照合失敗通知を受信すると、保険証資格情報の照合に失敗したことを示すエラー通知と、資格情報照合失敗通知に含まれる2つの保険証資格情報を表示する。受付のスタッフは、受付端末14に表示されるエラー通知に応じて、患者Aからのヒアリングや、健康保険証の発行元への電話による問い合わせ等により、いずれの保険証資格情報が正しいかを特定し、受付端末14に対し、表示されている2つの保険証資格情報のうち正しい方を選択する操作を行う。
【0061】
受付端末14は、受付のスタッフにより選択された正しい保険証資格情報を管理サーバ11に送信する。管理サーバ11は、受付端末14から受信した保険証資格情報を資格情報管理サーバ20に送信する。
【0062】
資格情報管理サーバ20は、管理サーバ11から受信した保険証資格情報と現在時刻を示す時刻データを、データベースの対応するデータレコードに追加する。このように、資格情報管理サーバ20は、新たに受信した情報をデータベースに登録する際、過去の情報をログデータとして維持する。そのようにデータベースに蓄積されるログデータは、資格情報の不整合等が発生した場合、医療機関Xのスタッフがその原因等を特定するために利用される。
【0063】
上述した、管理サーバ11が資格情報照合失敗通知を受付端末14に送信してから、資格情報管理サーバ20が正しい保険証資格情報をデータベースに追加するまでの処理を以下、「資格情報確認処理」という。
【0064】
資格情報確認処理が完了すると、システム1は、正しい保険証資格情報を用いて、上述した診療申込書受付処理、診察券発行処理、及び、受診受付票発行処理を実行する。
【0065】
管理サーバ11が資格情報管理サーバ20から初診患者通知を受信した時点で、資格情報取得処理が完了していない場合、システム1は、管理サーバ11が受付端末14から受信した保険証資格情報を用いて、上述した診療申込書受付処理、診察券発行処理、及び、受診受付票発行処理を実行する。その後、資格情報取得処理が完了すると、システム1は、上述した資格情報照合処理を実行する。
【0066】
この場合、資格情報照合処理において保険証資格情報の照合が成功した場合は問題ないが、照合が失敗した場合、システム1は、上述した資格情報確認処理を実行する必要がある。しかしながら、その時点で、患者Aは既に診察券Qと受診受付票Pを受け取り、受付を立ち去っている。従って、システム1は、タッチ端末17によって患者Aに対し、受付へ行くことを求める通知を行う。なお、システム1がタッチ端末17によって患者Aに対する通知を行う方法については後述する。タッチ端末17から通知を受けた患者Aが受付に到着すると、システム1は、資格情報確認処理を実行する。その結果、資格情報管理サーバ20のデータベースに正しい資格情報が追加され、医事管理サーバ12のデータベースの資格情報が正しい資格情報によって更新される。
【0067】
患者Aが医療証を持っている場合、患者Aは、例えば受付のスタッフに促されて、健康保険証に加えて、医療証をスキャナ18に読み取らせる。スキャナ18は医療証の画像データとその画像データから認識した医療証資格情報を受付端末14に引き渡す。受付端末14は、スキャナ18から受け取った医療証の画像データと医療証資格情報を管理サーバ11に送信する。
【0068】
続いて、システム1は、健康保険証に関し上述した資格情報取得処理、資格情報照合処理と同様の処理を、医療証に関し実行する。その際、保険証資格情報に代えて、医療証資格情報が用いられる。そして、医療証に関する資格情報照合処理において、資格情報の照合が失敗した場合、システム1は、健康保険証に関し上述した資格情報確認処理と同様の処理を、医療証に関し実行する。
【0069】
患者Aが受付において、健康保険証をスキャナ18に読み取らせる代わりに、マイナンバーカードを顔認証機能付リーダ21にタッチした場合、顔認証機能付リーダ21は本人確認の処理を行った後、マイナンバーカードから読み取ったマイナンバーを資格情報取得端末22に引き渡す。資格情報取得端末22はそのマイナンバーを資格情報提供サーバRに送信し、その応答として資格情報提供サーバRから送信されてくる資格情報を受信する。
【0070】
患者Aが医療証を持っていない場合、資格情報提供サーバRから送信されてくる資格情報には保険証資格情報のみが含まれる。一方、患者Aが医療証を持っている場合、資格情報提供サーバRから送信されてくる資格情報には保険証資格情報と医療証資格情報が含まれる。
【0071】
システム1は、資格情報提供サーバRから受信した資格情報を用いて、上述した診療申込書受付処理、診察券発行処理、及び、受診受付票発行処理を実行する。
【0072】
以上により、患者Aの初診受付が完了する。
【0073】
患者Aの初診受付が完了した時点で、管理サーバ11は、患者Aのステイタス情報として、例えば、「受付番号230:内科(受付前)」といった情報を記憶している、
【0074】
患者Aは、初診受付を終えると、例えば受付のスタッフから自分が受診する診療科の場所を聞いて、その場所に行き、診察券Qをその診療科の受付近くのタッチ端末17にタッチする。タッチ端末17は診察券Qから診察券番号を読み取り、読み取った診察券番号と自装置のリーダ識別情報を管理サーバ11に送信する。管理サーバ11は、タッチ端末17から受信した診察券番号とリーダ識別情報に基づき、記憶している患者Aのステイタス情報を、例えば「受付番号230:内科(受付済)」のように更新する。このように、患者Aは、診療科の受付近くのタッチ端末17に診察券Qをタッチすることで、その診療科の受付を済ませることができる。
【0075】
また、管理サーバ11は、タッチ端末17から受信した診察券番号とリーダ識別情報に基づき、患者Aに提供すべき情報を生成し、生成した情報をタッチ端末17に送信する。この場合、患者Aに提供すべき情報とは、例えば「内科:受付完了、待ち人数5人、推定待ち時間1時間15分」のような情報である。タッチ端末17は、管理サーバ11から受信した情報を表示する。患者Aは、タッチ端末17に表示される情報を見て、例えば、待ち時間を有効に使うことができる。
【0076】
また、資格情報の照合が失敗し、資格情報確認処理がまだ行われていない場合、タッチ端末17は、診察券Qのタッチに応じて、例えば「健康保険証の情報について確認が必要です。受付までお越し下さい。」といった患者Aに対するメッセージを表示する。患者Aがタッチ端末17から通知されるメッセージに応じて受付に行くと、システム1は資格情報確認処理を実行する。
【0077】
患者Aが、自分の受診する診療科の受付近くのタッチ端末17以外のタッチ端末17(例えば、通路の脇等に配置されているタッチ端末17)に診察券Qをタッチした場合も、そのタッチ端末17はその時点において患者Aに提供すべき情報(待ち人数、推定待ち時間、受付に行くことを求めるメッセージ等)の情報を表示する。この場合、タッチ端末17が、患者Aの受診する診療科の位置を示す地図や、その位置までの道順等を表示してもよい。
【0078】
診療科端末16は、継続的に管理サーバ11から、自装置が配置されている診療科の診察待ちの患者の氏名等の情報を受信し、待ちリストを表示する。診療科のスタッフは、その待ちリストを見ながら、診察の順番が回ってきた患者の呼び出しを行う。
【0079】
患者Aに診察の順番が回ってきて、診療科のスタッフが患者Aを呼び出すと、患者Aはその呼び出しに応じて診察室に入る。その際、スタッフは診療科端末16を操作して、患者Aの診察開始を入力する。その入力に応じて、管理サーバ11は患者Aのステイタス情報を、例えば「受付番号230:内科(受診中)」のように更新する。
【0080】
その後、患者Aの診察が終わると、医師は診療科端末16を操作して、診察内容等の情報を入力する。医師により入力された情報は患者Aの診察券番号とともに管理サーバ11に送信される。管理サーバ11は、診療科端末16から、医師により入力された情報を受信すると、患者Aのステイタス情報を、例えば「受付番号230:会計処理中」のように更新する。また、管理サーバ11は、医師により入力された情報のうちカルテ情報を、患者Aの診察券番号とともに電子カルテ管理サーバ13に送信する。電子カルテ管理サーバ13は、管理サーバ11から受診したカルテ情報を、患者Aの診察券番号に対応付けてデータベースに格納する。また、管理サーバ11は、医師により入力された情報のうち診療報酬点数等の事務情報を、患者Aの診察券番号とともに医事管理サーバ12に送信する。医事管理サーバ12は、管理サーバ11から受診した事務情報を、患者Aの診察券番号に対応付けてデータベースに格納する。
【0081】
診察を終えた患者Aは、会計窓口近くのタッチ端末17に診察券Qをタッチする。会計処理がまだ終わっていない場合、タッチ端末17は「会計処理中です。推定待ち時間は15分です。」のようなメッセージを表示する。一方、会計処理が終わっている場合、タッチ端末17は「会計窓口にお越し下さい。本日のお支払料金は3,150円です。」のようなメッセージを表示する。なお、このような情報をタッチ端末17に表示させるために、管理サーバ11は医事管理サーバ12から必要な情報を取得する。
【0082】
その後、患者Aは会計窓口で料金の支払いを終え、帰宅等する。
【0083】
患者Aが再診患者として医療機関Xを訪れる場合、患者Aは受付に行き、例えば受付のスタッフに促されて、診察券Qを診察券リーダ23にタッチした後、健康保険証(及び医療証)をスキャナ18に読み取らせるか、マイナンバーカードを顔認証機能付リーダ21にタッチする。
【0084】
患者Aが再診患者である場合、既に診察券Qは発行されているため、診察券発行処理は行われず、資格情報取得処理、資格情報照合処理、資格情報確認処理、及び、受診受付票発行処理が行われる。ただし、これらの処理のうち不要なものがあれば、それら不要な処理は実行されなくてよい。
【0085】
また、患者Aが再診患者である場合、資格情報管理サーバ20のデータベースには、既に患者Aの資格情報が格納されている。そこで、システム1は、患者Aが初診患者である場合に実行する資格情報照合処理に代えて、資格情報管理サーバ20が記憶している患者Aの最新の資格情報を用いる資格情報照合処理を実行する。以下にその資格情報照合処理を説明する。
【0086】
患者Aが健康保険証をスキャナ18に読み取らせた場合、管理サーバ11はスキャナ18が読み取った保険証資格情報と、資格情報管理サーバ20が記憶している患者Aの最新の保険証資格情報を照合する。その照合に失敗した場合、システム1は、照合に失敗した2つの保険証資格情報に関する資格情報確認処理を実行する。
【0087】
スキャナ18が読み取った保険証資格情報と、資格情報管理サーバ20が記憶している患者Aの最新の保険証資格情報との照合に成功した場合、システム1は、資格情報提供サーバRから送信されてくる保険証資格情報の資格情報取得端末22による受信を待たずに、受診受付票発行処理を実行する。
【0088】
その後、管理サーバ11が資格情報提供サーバRから資格情報取得端末22経由で保険証資格情報を受信すると、管理サーバ11は、資格情報取得端末22から受信した保険証資格情報と、資格情報管理サーバ20が記憶している患者Aの最新の保険証資格情報を照合する。その照合に失敗した場合、システム1は、照合に失敗した2つの保険証資格情報に関する資格情報確認処理を実行する。
【0089】
患者Aが医療証をスキャナ18に読み取らせた場合、管理サーバ11はスキャナ18が読み取った医療証資格情報と、資格情報管理サーバ20が記憶している患者Aの最新の医療証資格情報を照合する。その照合に失敗した場合、システム1は、照合に失敗した2つの医療証資格情報に関する資格情報確認処理を実行する。
【0090】
スキャナ18が読み取った医療証資格情報と、資格情報管理サーバ20が記憶している患者Aの最新の医療証資格情報との照合に成功した場合、システム1は、資格情報提供サーバRから送信されてくる医療証資格情報の資格情報取得端末22による受信を待たずに、受診受付票発行処理を実行する。
【0091】
その後、管理サーバ11が資格情報提供サーバRから資格情報取得端末22経由で医療証資格情報を受信すると、管理サーバ11は、資格情報取得端末22から受信した医療証資格情報と、資格情報管理サーバ20が記憶している患者Aの最新の医療証資格情報を照合する。その照合に失敗した場合、システム1は、照合に失敗した2つの医療証資格情報に関する資格情報確認処理を実行する。
【0092】
患者Aがマイナンバーカードを顔認証機能付リーダ21に読み取らせた場合、管理サーバ11は顔認証機能付リーダ21がマイナンバーカードから読み取ったマイナンバーに基づき資格情報提供サーバRから送られてきた資格情報と、資格情報管理サーバ20が記憶している患者Aの最新の資格情報を照合する。その照合に失敗した場合、システム1は、照合に失敗した2つの資格情報に関する資格情報確認処理を実行する。
【0093】
システム1は、例えば、資格情報取得端末22がマイナンバーを資格情報提供サーバRに送信した後、所定時間(例えば、5秒)が経過した時点で資格情報取得端末22が資格情報提供サーバRから資格情報を受信していなければ、その資格情報の受信を待たずに、資格情報管理サーバ20が記憶している患者Aの最新の資格情報を用いて、受診受付票発行処理を実行する。
【0094】
以上が、システム1の説明である。上述したシステム1によれば、資格情報取得端末22から保険証資格情報、医療証資格情報、又は、マイナンバーが資格情報提供サーバRに送信された後、その応答として資格情報提供サーバRから資格情報が送信されるまでに時間を要しても、初診受付時には、スキャナ18から読み取られ、必要に応じて受付のスタッフに訂正された資格情報を用いて診察券Q及び受診受付票Pの発行が行われ、再診受付時には、資格情報管理サーバ20に記憶されている最新の資格情報を用いて受診受付票Pの発行が行われる。その結果、資格情報提供サーバRからの資格情報の取得を待って診察券Q又は受診受付票Pの発行を行う場合と比較し、患者の受付が速やかに行われる。
【0095】
[変形例]
上述の実施形態は本発明の一具体例であって、本発明の技術的思想の範囲内において様々に変形可能である。以下にそれらの変形の例を示す。なお、以下に示す2以上の変形例が適宜組み合わされてもよい。
【0096】
(1)上述した実施形態においては、受診受付票Pは紙片に受付番号等を印刷したものとしたが、受診受付票Pの形態はそれに限られない。例えば、受診受付票Pが、患者Aが携帯する端末装置に対し電子的に発行されてもよい。例えば、患者AがNFC(Near Field Communication、近距離無線通信)機能を備えるスマートフォンを携帯しており、そのスマートフォンにシステム1に応じたアプリケーションプログラム(以下、「アプリ」という)をインストールして実行している場合、患者Aがライタ機能付きの診察券リーダ23にスマートフォンをタッチすると、スマートフォンに受診受付票Pを示すデータが書き込まれ、アプリの画面において受診受付票Pが表示されるようにしてもよい。
【0097】
(2)上述した実施形態においては、管理サーバ11が他の装置から独立した装置として構成されるものとしたが、管理サーバ11が他の装置と統合されていてもよい。例えば、医事管理サーバ12、電子カルテ管理サーバ13、又は、資格情報管理サーバ20が、管理サーバ11の役割を兼ねてもよい。
【0098】
(3)上述した実施形態においては、保険証からの保険証資格情報の認識、及び、医療証からの医療証資格情報の認識は、スキャナ18により行われるものとしたが、それらの文字認識がスキャナ18以外の装置により行われてもよい。例えば、スキャナ18により光学的に撮影された画像から、受付端末14又は資格情報管理サーバ20が文字情報を認識してもよい。
【0099】
(4)上述した実施形態においては、システム1は、管理サーバ11が資格情報管理サーバ20から初診患者通知を受信した時点で資格情報取得処理が完了している場合は、スキャナ18が健康保険証から認識した資格情報と、資格情報取得端末22が資格情報提供サーバRから取得した資格情報の照合を行う一方で、管理サーバ11が資格情報管理サーバ20から初診患者通知を受信した時点で資格情報取得処理が完了していない場合は、スキャナ18が健康保険証から認識した資格情報に従い、診療申込書受付処理、診察券発行処理、及び、受診受付票発行処理を行う。
【0100】
システム1が、上記のような異なる処理のいずれを実行するか、を判定するタイミングは、所定の条件が満たされるタイミングである限り、管理サーバ11が資格情報管理サーバ20から初診患者通知を受信した時点に限られない。例えば、システム1が、資格情報取得端末22が資格情報提供サーバRにマイナンバー又は保険証資格情報を送信した後、所定時間が経過したタイミングにおいて資格情報取得処理が完了しているか否かによって、その後の処理を異ならせてもよい。この場合、所定の条件とは「資格情報取得端末22が資格情報提供サーバRにマイナンバー又は保険証資格情報を送信した後、所定時間が経過した」という条件である。
【0101】
(5)上述した実施形態において、患者Aが再診患者として医療機関Xを訪れた場合、システム1は、スキャナ18が読み取った資格情報と、資格情報管理サーバ20が記憶している患者Aの最新の資格情報とを照合し、その照合が失敗した場合、照合に失敗した2つの資格情報に関する資格情報確認処理を実行し、診療申込書受付処理、診察券発行処理、及び、受診受付票発行処理は実行しない。
【0102】
これに代えて、システム1は、スキャナ18が読み取った資格情報と、資格情報管理サーバ20が記憶している患者Aの最新の資格情報との照合が成功したか失敗したかにかかわらず、スキャナ18が読み取った資格情報と、この資格情報の送信に対する応答として資格情報提供サーバRから送信され資格情報取得端末22が受信した資格情報との照合が成功した場合、照合が成功した資格情報に従い、診療申込書受付処理、診察券発行処理、及び、受診受付票発行処理を実行してもよい。
【符号の説明】
【0103】
1…システム、11…管理サーバ、12…医事管理サーバ、13…電子カルテ管理サーバ、14…受付端末、15…診療申込受付端末、16…診療科端末、17…タッチ端末、18…スキャナ、19…カード発行機、20…資格情報管理サーバ、21…顔認証機能付リーダ、22…資格情報取得端末、23…診察券リーダ、24…受診受付票発行機。
【要約】
【課題】患者に対し速やかな診察券又は受診受付票の発行を可能とする手段を提供する。
【解決手段】システム1は、スキャナ18により患者の健康保険証から資格情報を認識する。資格情報取得端末22は、スキャナ18が認識した資格情報を資格情報提供サーバRに送信し、その応答として資格情報提供サーバRから送信されてくる資格情報を受信する。システム1は、資格情報提供サーバRからの資格情報の受信を待たずに、スキャナ18が認識した資格情報を用いてカード発行機19による診察券Qの発行と、受診受付票発行機24による受診受付票Pの発行を行う。その後、管理サーバ11は、資格情報提供サーバRから受信した資格情報と、スキャナ18が認識した資格情報とを照合する。その照合が失敗した場合、患者が診察券Qをタッチ端末17にタッチした際に、タッチ端末17が健康保険証の確認のために受付に行くよう促すメッセージを表示する。
【選択図】
図1