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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-29
(45)【発行日】2024-03-08
(54)【発明の名称】可変ドラフト角を有するフレネルレンズ
(51)【国際特許分類】
   G02B 3/08 20060101AFI20240301BHJP
   G02B 5/04 20060101ALI20240301BHJP
   F21V 5/04 20060101ALI20240301BHJP
   F21S 41/275 20180101ALI20240301BHJP
   F21S 41/255 20180101ALI20240301BHJP
   F21S 41/148 20180101ALI20240301BHJP
【FI】
G02B3/08
G02B5/04 A
F21V5/04 650
F21S41/275
F21S41/255
F21S41/148
【請求項の数】 13
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018168923
(22)【出願日】2018-09-10
(65)【公開番号】P2019091010
(43)【公開日】2019-06-13
【審査請求日】2021-08-02
(31)【優先権主張番号】1758363
(32)【優先日】2017-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】391011607
【氏名又は名称】ヴァレオ ビジョン
【氏名又は名称原語表記】VALEO VISION
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100202429
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 信人
(72)【発明者】
【氏名】アントワーヌ、ド、ランベルトリー
(72)【発明者】
【氏名】サミラ、ムバタ
(72)【発明者】
【氏名】ニコラ、ルフォドゥー
(72)【発明者】
【氏名】トマ、キャノン
(72)【発明者】
【氏名】バン-タイ、ホアン
(72)【発明者】
【氏名】バンサン、デュボワ
(72)【発明者】
【氏名】フランソワ-グザビエ、アミエル
【審査官】川村 大輔
(56)【参考文献】
【文献】特開昭53-115587(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102540286(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第101750644(CN,A)
【文献】特開2006-317806(JP,A)
【文献】実開平06-050109(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2016/0356457(US,A1)
【文献】実開昭50-089177(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2005/0041307(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 1/00- 1/08
G02B 3/00-13/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光軸Xを有し、
複数の円環状のフレネルプリズムであって、各フレネルプリズムが、メインファセット(21)と呼ばれる第1ファセットと、ドラフトファセット(22)と呼ばれる第2ファセットと、を有し、前記ドラフトファセットは、前記光軸に対するドラフト角(δ)を形成する、フレネルプリズムを備えフレネルレンズであって、
前記フレネルプリズムの少なくとも一部のプリズムは、
1つのプリズム内において、当該フレネルレンズの第1サイド(11)側におけるドラフト角が、当該フレネルレンズの前記第1サイドとは逆側の第2サイド(12)側におけるドラフト角よりも大きいを有かつ、ドラフト角が当該1つのプリズムにおいて変化するドラフト角変化型フレネルプリズム(ei)であり、
複数又は少なくとも1つの前記ドラフト角変化型フレネルプリズム(ei)に沿って、かつ、前記第2サイド(12)から前記第1サイド(11)へと、対応する前記フレネルプリズムは、前記第1サイドから前記第2サイドへと延びる方向に対して横方向に位置する少なくとも1つの拡散セグメント(13’、14’)を備え、この拡散セグメントにおいて、
前記ドラフト角(δ)は、さらに変化し、及び/又は、
前記ドラフト角(δ)は、減少してから再び増加する、
フレネルレンズ。
【請求項2】
両の中で、前記第1サイド(11)が下部、前記第2サイド(12)が上部となるように、向けられる、請求項1に記載のフレネルレンズ。
【請求項3】
前記ドラフト角(δ)は、複数又は少なくとも1つの前記ドラフト角変化型フレネルプリズム(ei)に沿って、前記第2サイド(12)から前記第1サイド(11)へと徐々に増加する、請求項1又は請求項2に記載のフレネルレンズ。
【請求項4】
1以上の前記ドラフト角変化型フレネルプリズム(ei)の前記ドラフトファセット(22)の表面は、連続微分可能である、請求項1から請求項のいずれかに記載のフレネルレンズ。
【請求項5】
前記光軸(X)に垂直な所与の軸(Z,Y)に対して、前記光軸から前記フレネルレンズの周辺エッジに延びる方向に、この軸に沿って1つのフレネルプリズムから次のフレネルプリズムまで、前記ドラフト角(δ)が増加する、請求項1から請求項のいずれかに記載のフレネルレンズ。
【請求項6】
前記フレネルレンズ(1)の前記第2サイド(12)における前記フレネルプリズム(ei)の前記ドラフト角(δ)の最小値の前記ドラフト角と、前記フレネルレンズの前記第1サイド(11)における前記フレネルプリズム(ei)の前記ドラフト角の最大値の前記ドラフト角について、前記最小値のドラフト角及び前記最大値のドラフト角の角度の範囲は、前記フレネルレンズを照射することを意図した光束の存在する角度の範囲に等しい、請求項1から請求項5のいずれかに記載のフレネルレンズ。
【請求項7】
前記拡散セグメント(13’,14’)の始点と終点の間の角であって、頂点が前記光軸(X)上にある角(β’)は、15°から45°の間に含まれる値を有し、この角は、前記第1サイド(11)及び前記第2サイド(12)の間の中間に位置する点のいずれかに延びる、請求項1から請求項6のいずれかに記載のフレネルレンズ。
【請求項8】
少なくとも1つの前記ドラフト角変化型フレネルプリズム(ei)の前記メインファセット(21)は、厚さ変調を備える、請求項1から請求項7のいずれかに記載のフレネルレンズ。
【請求項9】
各前記フレネルプリズムは、リッジ(23)を有し、前記フレネルプリズムのうち少なくとも複数の前記フレネルプリズムの前記リッジは、同一平面上にある、請求項1から請求項8のいずれかに記載のフレネルレンズ。
【請求項10】
各前記フレネルプリズムは、リッジ(23)を有し、前記フレネルプリズムのうち少なくとも複数の前記フレネルプリズムの前記リッジは、同心円である、請求項1から請求項9のいずれかに記載のフレネルレンズ。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれかに記載のフレネルレンズ(1)と、
光源(2)を位置決めするエレメントであって、前記フレネルレンズに対して所与の位置に前記光源を保持するように意図されるエレメントと、
を備え、
少なくとも前記フレネルレンズの前記フレネルプリズムの前記第1ファセット(21)によって、光源が所与の位置(f)に位置する場合に、光束の光領域(Z1)を暗領域(Z2)から分離するカットオフライン(C)を有する光束を形成するように配置される、照明モジュール
【請求項12】
前記フレネルレンズ(1)は、前記第1サイド(11)が、前記光軸(X)に対して、光領域(Z1)である同じサイドに位置するように配置される、請求項11に記載の照明モジュール。
【請求項13】
請求項11又は請求項12に記載の照明モジュールを備える照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレネルレンズ及びそのようなレンズを備える照明装置の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
フレネルレンズは、凸レンズより非常に薄いが、生成する光線の偏向に関しては、同じ特性を有する。フレネルレンズは、連続したフレネルプリズムを含み、この連続は、レンズの中心からその一端に延びる方向に配置される。
【0003】
仏国特許出願公開2799153号明細書は、フレネルレンズを開示している。各フレネルレンズは、レンズの外側に向かっている第1ファセットとレンズの中心へと向かうドラフトファセットと呼ばれる第2ファセットとを有する。複数の第1ファセットの全体として形成される屈折面は、収束レンズの射出面の屈折面と等価である面を形成する。フレネルレンズでは、ドラフトファセットは、レンズの光軸に並行な方向にレンズの背面に向かって第1ファセットをシフトさせることにより、レンズの厚さを減少させることができる。
【0004】
第1ファセットは、本質的に光学的な有用性を有するとしても、ある種の光線は、ドラフトファセットに衝突し、そして、不適切に偏向する可能性がある。
【0005】
このリスクを低減させるため、仏国特許出願公開第2799153号明細書は、入射面による最初の屈折の後に、レンズの焦点から発せられた光線が、レンズ内でこれらのファセット面に並行に伝搬するように、ドラフトファセットを配置することを提案している。
【0006】
しかしながら、それらの数を削減するものの、このようなレンズで取得された光線の測光を劣化させやすい寄生光線が依然として発生することとなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明が解決しようとする技術的課題は、フレネルレンズで取得される光線を改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的のために、本発明の第1の主題は、複数のフレネルプリズムであって、各フレネルプリズムが、メインファセットと呼ばれる第1ファセットと、ドラフトファセットと呼ばれる第2ファセットと、を有し、ドラフトファセットは、光軸に対するドラフト角を形成する,フレネルプリズムを備えるフレネルレンズである。このレンズにおいて、少なくとも1つのフレネルプリズムに対して、ドラフト角がこのフレネルプリズムに沿って可変であり、レンズの第1面において、第1面と実質的に逆側のレンズの第2面においてよりもドラフト角が高い。
【0009】
したがって、第2面では、ドラフトファセットは、寄生光線を、第1面のドラフトファセットから生じる寄生光線を受ける領域に向かって曲げる。したがって、フレネルレンズは、寄生光線を、レンズの第1面から生じる寄生光線と、レンズの第2面から生じる寄生光線と、の両方を受ける領域に向け、この領域は、寄生光線の受信領域を形成する。
【0010】
本発明によるレンズは、この受信領域がより大きな照明を必要とする位置にあり、及び/又は、それほど煩わしくないように、車両の照明装置内に配置されてもよい。
【0011】
レンズの側では、光軸の側に位置し、したがって、光軸とレンズの周縁との間に延びる領域が意味される。
【0012】
本発明によるレンズは、任意に1又は複数の以下の特徴を備えてもよい。
【0013】
- ほとんどのフレネルプリズムは、可変ドラフト角フレネルプリズムであってもよく、したがって、レンズの全周にわたって、ドラフトファセットによって偏向されたより多くの寄生光線が受信領域に向けて導かれ、特に、フレネルプリズムの少なくとも75%、例えば、少なくとも90%、さらには、100%が可変ドラフト角フレネルプリズムである。
【0014】
- レンズは、車両の中で第1面が下部にあり、第2面が上部にあるように向けられており、したがって、寄生光線は、対向車の運転手や、追従車の運転手を眩惑させないように下方に導かれる。
【0015】
- 第2面から第1面に向かって、複数の又は少なくとも1つの可変ドラフト角フレネルプリズムに沿って、ドラフト角が徐々に増加し、したがって、レンズの製造が単純化される。
【0016】
- 1つ以上の可変ドラフト角フレネルプリズムのドラフトファセットの表面は、連続微分可能であり、これにより回避すべきステップなどの勾配の急激な変化が可能となり、寄生光線の危険性が減少し、さらに、生産は再び単純化される。
【0017】
光軸に垂直な所与の軸に対して、光軸からレンズの周辺エッジに延びる方向に、この軸に沿って1つのフレネルプリズムから次のフレネルプリズムまで、ドラフト角が増加し、この方向のレンズの範囲にわたり、より多くの寄生光線が受信領域に集約される。
【0018】
- レンズの第2面の様々なフレネルプリズムの全てのドラフト角の最小値のドラフト角と、レンズの第1面の様々なフレネルプリズムの全てのドラフト角の最大値のドラフト角が、考慮される場合、この最小値及びこの最大値の間の角度差は、実質的に、レンズを照射することを意図した光束の厚さに等しい。
【0019】
- 上記段落で言及された角度差は、10°と20°との間に含まれる値を有することができ、これらの値は良好な結果をもたらし、この場合、レンズを照らすように意図された光束は、10°と20°との間に含まれる厚さを有する。
【0020】
- 複数の又は少なくとも1つの可変ドラフト角フレネルプリズムに沿って、かつ、第2面から第1面に沿って、対応するフレネルプリズムは、第1面から第2面に伸びる方向に対して横方向に位置される、少なくとも1つの拡散セグメントを備え、この拡散セグメントは、ドラフト角がさらに変化する、及び/又は、ドラフト角が減少してから再び増加し、したがって、レンズの外側領域から放出された光線を暗領域に広げることが可能である。
【0021】
- 所与のフレネルプリズムに沿って、光軸に垂直な平面において、拡散セグメントの始点と終点との間の角度であって、頂点が実質的に光軸上にある角度は、15°から45°の間に含まれる値を有し、この角は、第1面と第2面の中間に位置するいずれかのサイドに延びる。
【0022】
1以上の可変ドラフト角フレネルプリズムのドラフトファセットの表面は、線織面であり、したがって、製造が簡単である。
【0023】
少なくとも1つのドラフト角フレネルプリズムのメインファセットは、レンズの色収差を低減するため、又は、ロービームのカットオフの鮮明度を減衰させるために配置される厚さ変調を備えていてもよい。
【0024】
各フレネルプリズムは、リッジを有し、ほとんどのサンプルのリッジは、同一平面上にあり、したがって、レンズは、厚さ方向において体積が小さく、大部分のフレネルプリズムによって、レンズが備えるフレネルプリズムの数の少なくとも半分が意味され、特に、少なくとも75%、例えば、少なくとも90%、又は少なくとも100%のこれらのフレネルプリズムのリッジは、同一平面上にある。
【0025】
各フレネルプリズムはリッジを有し、ほとんどのフレネルプリズムのリッジは、同心円、特に、光軸を中心とする同心円であり、これは、フレネルプリズムが光軸の周りに継続的にさらに製造が簡単であることを可能とし、特に、少なくとも75%、例えば、少なくとも90%、又は、100%でもあるフレネルプリズムのリッジは、同心円である。
【0026】
フレネルプリズムのファセットは、ともに、レンズの上流に焦点を有する、収束屈折面の等価物を形成する。
【0027】
本発明のもう1つの主題は、
本発明によるレンズと、
光源を位置決めするエレメントであって、レンズに対して所与の位置を保持するように意図されたエレメントと、
を備え、
レンズのフレネルプリズムの少なくとも第1ファセットにより、光束の暗領域から光領域を分離するカットオフラインを有する光束を、光源が所与の位置に位置する場合に、形成する、ように配置される、照明モジュールである。
【0028】
レンズは、したがって、カットオフを含む光束、例えば、ロービームを形成するように使用される。
【0029】
本発明による照明モジュールは、1又は複数の以下の特徴を任意で備えていてもよい。
【0030】
- レンズは、光軸に対して第1面が光領域と同じサイドに位置するように配置されてもよく、光線は、ドラフトファセットにより、暗領域ではなく、光領域に誘導され、その光度を増加させる。
【0031】
- レンズが拡散セグメントを備える場合において、後者は、これらの拡散セグメントにおいて、ドラフトファセットにより、光線が、暗領域に向けて誘導されるように配置されてもよい。
【0032】
- フレネルプリズムの第1ファセットはともに、レンズの上流に焦点を有する収束屈折面と同等物を形成し、照明モジュールは、レンズと光源の位置に対して、カットオフラインを形成するように配置されたシールドを備える。
【0033】
シールドは、レンズが垂直である場合には水平であり、第1面は、全体的にシールドの上面がある平面より実質的に下に位置するレベルに位置し、したがって、光線は、ドラフトファセットにより暗領域に向かってではなく、光領域に向かって誘導され、その光度を増加させ、シールドの上面は、反射性であってもよい。
【0034】
本発明のもう1つの主題は、本発明による照明モジュールを備える照明装置、特に、車両のヘッドランプである。
【0035】
本発明のもう1つの主題は、本発明による照明装置を備える自動車であり、装置は、特に、自動車の電力供給と接続されている。
【0036】
別に特に指示が無い限り、用語「前方(front)」「後方(behind)」「下方(lower)」「上方(upper)」「側部、面(side)」及び「横断方向(traverse)」は、レンズ及び照明モジュールが照明装置内に有することを意図する方向を示し、及び、照明装置からの光の放出方向に関する。
【0037】
用語「上流(upstream)」及び「下流(downstream)」は、光の伝搬方向を示す。
【0038】
本発明の他の特徴及び利点は、以下の非限定的な実施例の詳細な説明を読むことにより明らかになるであろう。その説明は、以下の添付の図面を参照してよりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】本発明の一実施形態によるレンズの正面図。
図2】軸Yに垂直な平面で切断した図1の断面図。
図3】軸Zに垂直な平面で切断した図1の断面図。
図4図1のレンズを備えた本発明による照明モジュールの概略図。
図5図4の照明モジュールにより得られる光束の概略図。
図6図2のゾーンVIの拡大図。
図7図2のゾーンVIIの拡大図。
図8】与えられたフレネルプリズムeiについての位置決め角θの関数としてのドラフト角のいくつかの値の表。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図1は、本発明によるフレネルレンズ1の正面図の一例を示す。
【0041】
レンズ1は、光軸Xを有する。
【0042】
本発明によれば、ここに示されるように、レンズ1は、車両に配置され、この光軸Xが車両の長軸と並行となるように意図されてもよい。
【0043】
軸Z及び軸Yは、ここで、鉛直及び水平方向にそれぞれ対応する。レンズ1は、ここでは、車両内に有することが意図された位置に向けられている。
【0044】
図2は、鉛直方向の平面で切り取ったレンズ1の断面図であり、そのため、X軸とZ軸を含む。図3は、水平方向の平面で切り取ったレンズ1の断面図であり、そのため、X軸とY軸を含む。
【0045】
レンズ1は、入射面20と、射出面10とを有する。入射面20は、この例において、間接的に光源から発する光線を受光するようになっている。続いて、光線は、レンズ1を射出面10へと伝搬し、射出面10から射出され、光束を形成する。
【0046】
レンズ1は、その表面が、射出面10のほとんどを形成する複数のフレネルプリズムeiを備える。この例において、フレネルプリズムeiは、光軸Xの周りに同心円状に、凸状の中心セグメントの周りに配置される。
【0047】
フレネルプリズムの数は、「n」である。第1フレネルプリズムは、e1で参照され、その一部がここでは光軸X上において中心となる凸状の中央セグメントの周りに配置される。
【0048】
最後のフレネルプリズムは、enで参照され、したがって、中心から最も離れたフレネルプリズムであり、すなわち、レンズ1の周縁部5に最も近い。
【0049】
フレネルプリズムの数は、可変であってもよい。レンズ1が凸状かつ薄くならなくてはならないほど、この数は高くならなくてはならない。この例において、フレネルプリズムの数は72であるが、この数は、非限定的である。
【0050】
レンズ1は、以下において下部11として参照する、下側に位置する第1サイドと、以下において上部12として参照する、上側に位置する第2サイドとを、有する。
【0051】
所与のフレネルプリズムeiの位置を特定するために、その角度座標、すなわち、レンズ1の中心と所与の位置を通過する方向が水平軸Yとなす角が、ここで使用される。この角は、以下において位置決め角θと呼ぶ。したがって、位置決め角θは、水平軸Y上において0°、鉛直軸Z上の水平軸Yよりも上において90°、鉛直軸Z上の水平軸Yよりも下において-90°の値を有する。位置決め角θは、したがって、水平軸Yの上方では正であり、下方では負である。
【0052】
レンズ1は、レンズの左側及び右側に位置する、したがって、図1の右及び左に位置する2つの特異セグメント13、14を有する。図1において、これらの特異セグメントのθ及びθに位置する破線によって示される、角度限界のみが示されている。
【0053】
この例において、これらの側方の特異セグメント13、14は、レンズ1の全てのフレネルプリズムを覆っているわけではなく、したがって、より明りょうにするために図3にのみ示されている半径方向の限界R13、R14も有する。
【0054】
これらの側方の特異セグメント13、14及び各フレネルプリズムの対応するセグメントは、いわゆる拡散セグメント13’、14’である。したがって、これらのフレネルプリズムの拡散セグメント13’、14’も、図1の破線直線の間において、水平軸Yの両側に配置される。これらの拡散セグメント13’、14’のそれぞれは、位置θにおける拡散セグメント13’、14’の開始部と、位置θにおける拡散セグメント13’の終了部と、の間に角度範囲β’を有する。これらの拡散セグメント13’、14’の詳細は、後述する。
【0055】
本発明によれば、レンズ1は、受け入れることを意図した照明モジュールにおいてレンズ1が正確に位置決めされ、方向付けされることを可能にするポカよけを有してもよいことに留意されたい。
【0056】
例えば、ポカよけは、レンズの下部に配置された平面16であり、その表面は、鉛直軸Zに垂直である。したがって、後者が水平であるとき、レンズ1は正確に方向付けられる。
【0057】
図6及び図7は、上部12及び下部11の側それぞれの拡大図を示す。
【0058】
これらの図に見られるように、各フレネルプリズムeiは、メインファセット21と呼ばれる第1ファセットと、ドラフトファセット22と呼ばれる第2ファセットと、を有する。ドラフトファセット22は、これらの図に見られるように、光軸Xに平行な方向D、D’と、ドラフトファセット22のベースとの角で示される、光軸に対するドラフト角δをなす。
【0059】
本発明によれば、可変ドラフト角フレネルプリズムeiとして参照される少なくとも1つのフレネルプリズムについて、ドラフト角δは、この可変ドラフト角フレネルプリズムeiに沿って変化し、ドラフト角δは、レンズの第1サイド、ここでは下部11、において、第1サイドと逆のレンズの第2サイド、ここでは上部12において、よりも高い。
【0060】
この変化は、可変ドラフト角フレネルプリズムである最後のフレネルプリズムenについて、図6及び図7に示されている。
【0061】
図7において、理論的な方向Dは、ドラフト角δが一定であれば、この最後のフレネルプリズムenのドラフトファセット22が図7の断面平面内にある方向(direction)、したがって方位(orientation)に対応する。方向Dは、図7の断面図におけるこの最後のフレネルプリズムのドラフトファセットenの実際の方向Dを示す。図7に示されるように、理論的な方向Dは、実方向Dよりも光軸Xから小さくオフセットされている。レンズ1の下部におけるドラフト角δの実際の値と、その値がレンズ1の上部におけるその値と同一である場合にこの角度が有する値との無視できない角度差Δは、図6に見られる。この例では、この角度差Δは、約18°である。以下に、光線r1、r2、r5、r6及び仮定の経路r’への効果について説明する。
【0062】
この例において、全てのフレネルプリズムeiは、可変ドラフト角のフレネルプリズムである。
【0063】
ドラフト角δは、上面12から下面11まで、各フレネルプリズムeiに沿って徐々に変化する。この変化を周方向の変動と呼ぶ。
【0064】
ここで、第1フレネルプリズムe1から各側面特異セグメント13、14の半径方向の限界R13、R14に隣接するフレネルプリズムまで拡がるセグメント内に位置する各フレネルプリズムeiのそれぞれについて、周方向の変動は、徐々に増加する。
【0065】
ここで、各側面特異セグメント13、14の半径方向の限界に隣接するフレネルプリズムから最後のフレネルプリズムenまで拡がるセグメント内に位置するフレネルプリズムeiのそれぞれについて、周方向の変動は、対応するフレネルプリズムに沿って、上面12から拡散セグメント13’、14’のスタートのθまで徐々に増加し、次に、値θまで、急激に増加し、次に、拡散セグメント13’、14’のエンドのθまで徐々に減少し、次に、下面11までフタタ気徐々に増加する。
【0066】
ここで、光軸Xに垂直な所与の軸、例えば、軸Y又は軸Zに対して、光軸Xからレンズ1の周辺エッジ15へと延びる方向において、ドラフト角δは、あるフレネルプリズムeiからこの軸に沿った次のフレネルプリズムに向かって増加することも見られるであろう。この変化を半径方向変化と呼ぶ。
【0067】
図8の表は、所与のフレネルプリズムに沿って連続的であるドラフト角δにおける、これらの円周方向変化と、ドラフト角δの半径方向変化と、を示す。この表は、第1行に示される所与の数iのフレネルプリズムeiに対する、第1列に示される位置決め角θによる所与の方向におけるドラフト角δを示す。
【0068】
この例において、フレネルプリズムeiのドラフトファセット22の表面は、連続微分可能であり、線織面である。
【0069】
フレネルプリズムの側面特異セグメント13、14、したがって、それを通過するフレネルプリズムの拡散セグメント13’、14’は、ここで、少なくとも約40°の値θの位置決め角度で開始し、約-5°の値θの位置決め角で終了する、約45°の角度範囲β’を有することに留意されたい。ドラフト角δは、15°の値θから減少する。したがって、周方向変化が減少するセグメントは、約20°の角度範囲βを有する。
【0070】
各フレネルプリズムeiは、リッジ23を有する。この例において、フレネルプリズムのリッジ23は、同一平面上、かつ、同心円状である。
【0071】
この例において、これらのリッジ23は、円形であり、光軸Xを中心とする。各リッジ23間のピッチは一定であり、ここでは、0.5ミリメートルである。各フレネルプリズムは、したがって、凹部により分離され、ドラフト角δの変化により、凹部の位置は、曲率半径が一定ではない曲線を形成する。
【0072】
図1のように、正面から見ると、同心円は、投影に見られるドラフトファセットに対応している。これらの線の間のメインファセット21が、したがって、本質的に観測される。これらのメインファセット21は、ともに、フレネルレンズ1のアクティブな屈折面を形成する。
【0073】
したがって、レンズ1は、焦点fの収束レンズを形成する。
【0074】
このレンズ1は、本発明による、照明モジュール5を形成するために、図4に示すように、楕円形のリフレクタ3に光学的に結合されることが意図されている。
【0075】
従来、リフレクタ3の第1焦点f1に、発光ダイオードなどの光源2が配置されていた。
【0076】
ここで、リフレクタ3のレンズ1の光軸Xは、同軸である。
【0077】
シールド4は、水平に、レンズの焦点fの後ろに配置されている。シールド4の前方の端は、レンズ1の焦点fに配置されている。このシールドは、レンズ1の焦点fの下を光線が通過することを防止する。
【0078】
ここで、シールド4の上面は、水平に延びており、レンズの光軸を含む。
【0079】
ここで、上面は、反射性であってもよい。
【0080】
レンズ1の焦点は、リフレクタ3の第2焦点f2上に位置する。したがって、光源2が発行し、リフレクタ3の第1焦点f1を視点とする光線r1、r2は、レンズ1の焦点fを通り、後者により偏向され、光軸に平行に射出する。
【0081】
光源2が数学的に点状ではないので、特定の光線r3、r4は、焦点f1からわずかに離れて放射される。
【0082】
焦点f1の後ろに放射された光線r3は、下向きに反射され、下方へと曲げるレンズ1の焦点f1の上を通過する。
【0083】
焦点f1の前方に放射された光線r4は、リフレクタによりリフレクタ3の第2焦点f2の下方及び後方に反射される。それらは、次に、シールド4により、レンズ1の頂部に向かって反射される。したがって、それらはまた、下方へと曲げるレンズ1の焦点f1の情報を通過する。
【0084】
より詳細には、図4、及び/又は、図6及び図7に見られるように、このフレネルレンズの文脈において、これらの光線r1、r2がリフレクタの第1焦点f1に由来するとき、主面21を通過する光線は、レンズ1の光軸Xに平行な方向に向けられているか、または、これらの光線r3、r4がリフレクタ3の第1焦点f1の前方又は後方にわずかに放射されたとき、下方に向けられる。
【0085】
したがって、照明モジュールを出る光線の最も高い方向は、レンズ1の焦点fを通過する光線r1、r2の方向である。
【0086】
したがって、光束Fの光領域Z1から暗領域Z2を描写する上部のカットオフCを有する図5に示される光束Fが、形成される。
【0087】
この例では、ロービームの問題であり、そのカットオフラインCは、対向トラフィック側の水平部分C1と、車両が走行している側の斜め部分C2とを有する。したがって、対向車、又は、追従車の運転者は、眩惑されずレンズ1を搭載した車両側の底面が点灯する。
【0088】
本発明によるドラフト角δの迂回変化は、ここで、光線r5、r6が暗領域Z2及び水平線Hに向けられて、他の運転者を眩惑させることを防止することを可能にする。
【0089】
具体的には、図6に見られるように、レンズ1の上側では、ドラフト角δは、所与のドラフトファセットに対して、対応するフレネルプリズム及びその下のフレネルプリズムの方向に放射された光線が、ドラフトファセットの上又は下を通過するように、配置されているので、このドラフトファセットには当たらない。図6において、光線r5は、このメインファセット21の上部においてフレネルプリズムen-1のメインファセット21に当たる限界光線である。ドラフト角δは、この光線r5の上方を通過する光線が、上方に位置するフレネルプリズムenのドラフトファセットの上方を通過し、したがって、後者のメインファセット21に当たる。光線は、したがって、メインファセット21により屈折されるより前にドラフトファセットに遭遇することはない。それらは、したがって、全て前方及び下方に屈折され、したがって屈折後にドラフトファセットに遭遇しない。したがって、光線のいずれもがドラフトファセットに遭遇しないので、したがって、レンズ1の上部で生成される寄生光線のリスクが大幅に低減される。
【0090】
レンズの下部において、メインファセット21、すなわち、2つのフレネルプリズム、ここでは、enとen-1を分離する溝に近いもの、により屈折された特定の光線r6は、下側に屈折された後にドラフトファセット22に遭遇する。それらは、入射角のため、ドラフトファセット22により反射される。しかしながら、これらの光線r6は、一定のドラフト角を有する場合よりも、光線Xに向かって曲がりにくい。具体的には、ドラフトファセット22により上向きに反射される代わりに、これらの光線r6は、光軸Xに対するドラフト角δがレンズの上部にある同じフレネルプリズムenに対するドラフト角に比べて大きいので、下向きのままである。ドラフト角δがもし一定であれば、光線r6が反射後にとる仮想経路r’が、図7に示される。この仮想経路は、上方に向けられているので、反射光線は、それに追随すると眩惑を引き起こす可能性がある。
【0091】
したがって、レンズの下部では、ドラフトファセット22に当たる光線であっても、光束Fの光領域Z1に向けられ、この領域においては、それらは眩惑を引き起こさないであろう。
【0092】
下部11は、光軸Xに対して、光束Fの光領域Z1と同じ側に配置されていることに留意されたい。
【0093】
拡散セグメント13’、14’において、ドラフト角δは、ドラフトファセットに当たる光線がカットオフラインCから上方に離れるように向け直され、特に、それらが眩惑を引き起こさないように暗領域Z2に偏向させる。さらに、これにより、ガントリー上の標識、特に、オーバーロードガントリーを含む傾向にあるガントリーポイントゾーンP1、P2と呼ばれる道路上の領域において、眩惑をさせることなく、光度を高めることが可能である。
【0094】
例えば、この偏差は、暗領域Z2の光度値が、ロービームのようなカットオフを含む光束の暗領域Z2に対する調整する最大光度よりも低いが、ガントリーポイントゾーンP1、P2における調整する最小光度よりも高くなるものであればよい。
【0095】
メインファセット21は、レンズの色収差を減少させるように配置された厚さ変調(図示しない)を備えていてもよい。これに代え、又は、これに加え、メインファセット21は、ロービームのカットオフの鮮明度を改善又は減衰させるように配置された厚さ変調(図示しない)を備えていてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8