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特許7446055切削工具を製造するための方法及び機械設備
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-29
(45)【発行日】2024-03-08
(54)【発明の名称】切削工具を製造するための方法及び機械設備
(51)【国際特許分類】
   B23P 15/28 20060101AFI20240301BHJP
   B23P 15/30 20060101ALI20240301BHJP
   B23P 15/32 20060101ALI20240301BHJP
   B23P 15/34 20060101ALI20240301BHJP
   B23Q 17/20 20060101ALI20240301BHJP
   B23Q 17/24 20060101ALI20240301BHJP
   B23K 26/36 20140101ALI20240301BHJP
   B24B 1/00 20060101ALI20240301BHJP
   B24B 3/36 20060101ALI20240301BHJP
   B24B 49/12 20060101ALI20240301BHJP
   B24B 49/10 20060101ALI20240301BHJP
   B23H 9/00 20060101ALI20240301BHJP
【FI】
B23P15/28 Z
B23P15/30
B23P15/32
B23P15/34
B23Q17/20 A
B23Q17/24 Z
B23K26/36
B24B1/00 Z
B24B3/36 Z
B24B49/12
B24B49/10
B23H9/00 Z
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018171118
(22)【出願日】2018-09-13
(65)【公開番号】P2019107763
(43)【公開日】2019-07-04
【審査請求日】2021-09-07
(31)【優先権主張番号】01147/17
(32)【優先日】2017-09-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CH
(73)【特許権者】
【識別番号】518144274
【氏名又は名称】アガトン・アクチエンゲゼルシャフト・マシーネンファブリーク
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(72)【発明者】
【氏名】ヨアヒム・ヴィルト
(72)【発明者】
【氏名】イュルク・マルティ
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン・ショルツェ
【審査官】山本 忠博
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-192503(JP,A)
【文献】特開2004-291197(JP,A)
【文献】特開2007-167960(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23P 15/28- 15/34,
B23Q 17/20, 17/24,
B23K 26/36,
B24B 1/00, 3/36, 49/10- 49/12,
B23H 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)切削工具の目標形状と、前記切削工具の材料のパラメータと、被加工物(14)を前記切削工具に切削加工するためのプロセス運転のパラメータとを含む前記切削工具のデータセット(12)を規定するステップと、

b)前記被加工物(14)を切削加工装置の装填プリズム又はクランプ手段内に位置決めするステップと、

c)当該位置決めされた被加工物(14)の別のデータセットを、当該位置決めされた切削加工されるべき被加工物(14)の形状データと位置データと方向データとから現時点の形状を具体化する測定方法と先にインスタンス化されたモデルとによって決定するステップと、

d)前記切削加工装置のための少なくとも1つの切削加工プログラムを、前記切削工具の当該規定されたデータセット(12)と、当該位置決めされた被加工物の先に決定された別のデータセットとを関連させることによって決定するステップと、

e)前記被加工物(14)を前記少なくとも1つの切削加工プログラムによって切削加工するステップと、

f)前記被加工物(14)の少なくとも現時点の形状構造を成す前記被加工物(14)の前記別のデータセットを決定するために測定手段によってこの被加工物(14)を測定するステップと、

g)前記被加工物(14)の形状の少なくとも現時点の形状を成す当該切削加工された前記被加工物(14)の現時点のモデルをインスタンス化するために前記被加工物(14)の前記別のデータセットを使用し、後続するステップのための切削加工プログラムを作成するため、前記被加工品の現時点のモデルを前記切削工具のデータセットに関連させてセットするステップと、

h)当該切削加工された被加工物(14)を別の切削加工装置に搬送し、前記被加工物(14)を前記別の切削加工装置でさらに加工するため、当該被加工物(14)の少なくとも現時点の形状構造から成る当該被加工物の現時点のモデルを使用するステップと、

i)前記被加工物(14)が、前記目標形状の形状になるまで、ステップb)~h)を繰り返すステップと、を含む前記切削工具を多段階式に切削加工するための方法
【請求項2】
前記方法は、少なくとも1つの粗切削加工ステップ(24)と少なくとも1つの微細切削加工ステップ(26)とを含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つの粗切削加工ステップ(24)は、レーザ加工、研磨及び放電切削加工のグループから選択される請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つの微細切削加工ステップ(26)は、レーザ加工、研磨及び放電切削加工のグループから選択される請求項2に記載の方法。
【請求項5】
切削加工されるべき前記被加工物(14)の前記別のデータセットを規定するための測定方法は、実行されるべき切削加工方法に依存する請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記測定方法は、機械的方法及び/又は光学的方法である請求項5に記載の方法。
【請求項7】
ステップc)で規定された前記被加工物(14)の前記別のデータセットは、この被加工物(14)内で決定された1つのプログラミング零点(28)に対する切削加工領域の位置座標を含む請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記被加工物(14)に対する少なくとも1つの基準点(30)の位置座標と、前記被加工物(14)の前記少なくとも1つの基準点(30)に対する前記プログラミング零点(28)の偏差とが算定される請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つの基準点(30)は、前記被加工物(14)の重心である請求項8に記載の方法。
【請求項10】
ステップd)の切削加工プログラムが、前記少なくとも1つの基準点(30)に対する前記プログラミング零点(28)の当該算定された偏差に応じて調整される請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
前記切削工具の目標形状は、一組のパラメータ化されたテンプレートから生成される請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
-被加工物(14)を粗切削加工するための少なくとも1つの第1切削加工手段と、
-前記被加工物(14)を仕上げるための少なくとも1つの第2切削加工手段と、
-前記被加工物(14)の形状を測定し、この被加工物(14)の位置及び方向のデータを決定するための測定手段と、
-前記第1切削加工手段及び/又は前記第2切削加工手段を、切削加工されるべき前記被加工物(14)の決定された別のデータセットと前記切削工具の規定されたデータセット(12)とに基づいて制御するための制御手段(10)と、を有する請求項1~11のいずれか1項に記載の切削工具を切削加工するための方法を実行するための切削加工装置。
【請求項13】
前記測定手段は、CCDカメラ、赤外線カメラ、近赤外線カメラ、レーザスキャナ、レーザ三角測量、マイクロスコープ及び干渉計を含む撮像手段から構成される請求項12に記載の切削加工装置。
【請求項14】
前記測定手段は、プローブ(34)を含む請求項12に記載の切削加工装置。
【請求項15】
切削加工されるべき前記被加工物(14)は、前記第1切削加工手段及び/又は前記第2切削加工手段によって切削加工されるように装填プリズム(32)内に位置決めされる請求項12~14のいずれか1項に記載の切削加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高硬度材料から成る切削工具(バイト)を製造するための方法及びこの方法を実行するための切削加工装置に関する。例えば正確に切削するための切削工具は、すくい面と、逃げ面と、これらの面が交わる位置にある稜線から形成された切れ刃とを有する。当該切削工具のこの部分は、切削するために使用される。この場合、少なくともこの部分が、高硬度材料から成る。当該方法は、粗切削加工と呼ばれる切削加工の外形を形成するための少なくとも1つの工程と、微細切削加工と呼ばれる仕上げを実行するための少なくとも1つの工程とを含む多段階方法である。
【背景技術】
【0002】
特に、切削体が、部分的に非常に硬い、例えば微細結晶ダイアモンド(MCD)、化学蒸着ダイアモンド(CVD-PCD)、多結晶ダイアモンド(PCD)、立方晶窒化ホウ素(CBN)、セラミック及びサーメットのような耐摩耗材料から成る場合、切削工具の正確な製造は困難である。これらの材料は、多くの切削加工工程で適用可能である。さらに、切削工具は、例えばカーバイドから成る本体を含むサンドイッチ要素として構成され得る。多結晶ダイアモンドから成る切削工具用チップが、この本体に接合されている。
【0003】
切削工具、例えば割り出し可能な切削インサートは、所定の形状を成し、被加工物を切削加工するための硬度を呈する切れ刃を少なくとも有する。割り出し可能な切削インサートは、大抵は、当該割り込み可能な切削インサートの外周の側面に沿った切れ刃を有する三角形、四角形、六角形又は十二辺形の切削インサートである。切れ刃が摩耗すると、当該割り出し可能な切削インサートは、新しい切れ刃を提供するために回転され得る。当該切れ刃は、切削加工工程中に、特に削り代の除去工程中に高負荷に曝される。この場合、全ての工程エネルギーが、当該切れ刃で変換され、例えば微細な裂け目(micro bursts)として損傷を引き起こす。
【0004】
当該切削工具の切れ刃の領域内の形状は、切削工程の効率が向上されるように設計され得る。性能が向上された切削工具を提供するためには、切れ刃及びチップブレーカの位置及び形並びに面粗度が重要である。精密工具の場合には、高精度のプロファイルが達成されることが重要である。数マイクロメートルの切削加工精度が、工具によって達成される必要があるので、製造が不正確に実行されると、許容できない誤差を引き起こし得る。精密切削加工用に少なくとも部分的に高硬度の材料から製造されたこのような切削工具は高価であり、仕上げには、時間がかかり、且つコストがかかる。
【0005】
材料を切削することによって切削工具を切削加工するための多段階方法が、従来の技術において周知である。従来から、切削加工工程の複雑さを軽減し、又は処理ステップの回数、投資額の総額及び切削加工時間を最小限にすることが試みられている。
【0006】
一般に、切削工具を製造するための工程は、被加工物又はブランクの粗切削加工のための操作と、微細切削加工のための操作とを少なくとも含む。粗切削加工のような粗く切削するためのそれぞれの操作ステップ中と、微細に切削するための又は微細切削加工のためのそれぞれの操作ステップ中とに、様々な切削加工方法が適用され得る。
【0007】
粗切削加工操作が、切削工具材料から成る被加工物又はブランクを所定の形にするために採用される。この場合、当該操作は、研削によって従来の方法によって実行される。しかし、研削ホイール又は研削ディスクのような工作機械は、切削加工工程中に切削加工されるべき被加工物に接触される必要があるので、当該工作機械は、激しいアブレシブ摩耗を受け、材料除去効率が低下する。このような工作機械の寿命が縮まる結果、製造コスト及び切削加工時間が増大する。レーザ切削加工のように粗く切削加工するための非接触式の切削加工操作を提供することが試みられている。希望した外形を大まかに形成して材料を大きく除去するため、特に、被加工物を粗く切削加工するためのレーザ切削加工が、高い前進速度のための操作パラメータを使用して実行される。
【0008】
使用されるレーザに応じて、レーザ切削加工は、被加工物中へのレーザビームの吸収に起因する発熱工程とみなされ得る。したがって、当該レーザ切削加工には、切削加工精度が不十分であり、特に切削加工された表面の平滑性が悪いという欠点がある。
【0009】
異なる複数のステップが、微細切削加工操作中に実行され得る。当該微細切削加工操作では、最初に、1つのステップが、重要な材料除去を実行し、形状及び表面構造を仕上げるためのさらなる複数のステップが、要求される表面特性を取得するために、例えば、様々な操作パラメータを用いたレーザアブレーションを使用して追従され得る。しかし、仕上げ操作のための研削又は放電切削加工による切削加工も周知である。これらの工具は、これらの工具が容易に操作できる被加工物の領域だけで適用され得る。
【0010】
一般に、工具又は工具インサートのような被加工物を形成するための方法は、先行する操作ステップを含む。当該加工順序は、異なる切削加工設備又は切削加工装置によって実行され得る。それぞれの設備が、互いに独立して設置されている。しかしながら、それぞれの切削加工装置が、少なくとも制御装置、移動機構、作業台等を必要とする結果、法外に高い経済コスト及び広いスペースを引き起こすので、独立した設備の実現は、実用的見地からみて現実的でない。さらに、複数の切削加工装置が独立して設置されているならば、単一の被加工物が、適合手続きを複数の切削加工装置の数と同じ回数で別々に要求する。したがって、当該被加工物が、1つのクランプに保持され、当該被加工物が、1つの切削加工装置から別の切削加工装置に搬送され得ることが知られている。
【0011】
さらに、多段階ステップの製造工程が公知である。この場合、粗切削加工と微細切削加工とが、1つのハイブリッド切削加工装置で実行される。さらに、粗切削加工品を被加工物から製造するためのハイブリッド切削加工方法が、被加工物を電磁波によって切削加工工程を実行し、さらに当該粗く切削加工された被加工物を研削工程のような切削工程によって切削することによって被加工物を粗く切削加工するための第1ステップを含む。この場合、当該被加工物の形が、複数のステップのうちの少なくとも1つのステップで測定される。しかし、このようなハイブリッド切削加工装置は、柔軟性が十分でなく且つ取り扱いが複雑である。
【0012】
米国特許出願公開第2015/025667号明細書は、微細加工物を製造する超精密複合加工装置に用いる加工用データを作成する方法を開示する。被加工材の元形状とこの被加工材から除去されるべき形状とに基づいて、電磁波加工後の立体形状モデルが作成される。当該立体形状モデルは、複数の部分にスライスされ、それぞれのスライス切取り部とこれらのスライス切取り部に隣接したそれぞれのスライス切取り部とにおける粗削り形状部分に基づいて、当該粗削り形状部分用の加工用データが作成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【文献】米国特許出願公開第2015/025667号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
したがって、本発明の課題は、これらの問題を解決することにある。1つの課題は、効率的な切削加工方法及び当該方法を実行するための装置を提供することにある。この場合、高コストの工具の消費を抑え、小さい公差を満たす形状及び寸法を成す被加工物を得るための切削加工時間を短縮するため、製造中の工程連鎖が最適化される。
【0015】
上記の問題を解決するため、本発明は、切削工具又は一般には形成された被加工物を製造するための方法を提供する。この場合、当該被加工物は、切削加工の工程連鎖によって切削加工される。この発明は、請求項1に規定されている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の切削工具を切削加工するための方法は、
a)切削工具の目標形状と、前記切削工具の材料のパラメータと、被加工物(14)を前記切削工具に切削加工するためのプロセス運転のパラメータとを含む前記切削工具のデータセット(12)を規定するステップと、

b)前記被加工物(14)を切削加工装置の装填プリズム又はクランプ手段内に位置決めするステップと、

c)当該位置決めされた被加工物(14)の別のデータセットを、当該位置決めされた切削加工されるべき被加工物(14)の形状データと位置データと方向データとから現時点の形状を具体化する測定方法と先にインスタンス化されたモデルとによって決定するステップと、

d)前記切削加工装置のための少なくとも1つの切削加工プログラムを、前記切削工具の当該規定されたデータセット(12)と、当該位置決めされた被加工物の先に決定された別のデータセットとを関連させることによって決定するステップと、

e)前記被加工物(14)を前記少なくとも1つの切削加工プログラムによって切削加工するステップと、

f)前記被加工物(14)の少なくとも現時点の形状構造を成す前記被加工物(14)の前記別のデータセットを決定するために測定手段によってこの被加工物(14)を測定するステップと、

g)前記被加工物(14)の形状の少なくとも現時点の形状を成す当該切削加工された前記被加工物(14)の現時点のモデルをインスタンス化するために前記被加工物(14)の前記別のデータセットを使用し、後続するステップのための切削加工プログラムを作成するため、前記被加工品の現時点のモデルを前記切削工具のデータセットに関連させてセットするステップと、

h)当該切削加工された被加工物(14)を別の切削加工装置に搬送し、前記被加工物(14)を前記別の切削加工装置でさらに加工するため、当該被加工物(14)の少なくとも現時点の形状構造から成る当該被加工物の現時点のモデルを使用するステップと、

i)前記被加工物(14)が、前記目標形状の形状になるまで、ステップb)~h)を繰り返すステップと、を含む前記切削工具を多段階式に切削加工するための方法である。
【0017】
当該切削工具は、割り出し可能な切削インサートのような一体型の工具として提供され得るか、又は切り刃及び/又は切削工具用チップを提供する本体に結合された切削インサートから成る複合型の工具でもよい。特に、当該切削工具は、少なくとも部分的に高硬度の材料から成る。このような切削工具は、旋盤バイト、穴あけ工具又はフライス工具として使用され得る。
【0018】
本発明の方法は、初期ステップを含む。この場合、データセットが、切削工具の標準の形又は外形によって特定される仕上がった切削工具の希望形状又は標準形状とも呼ばれる目標形状に基づいて規定される。当該データセット、特に目標形状は、例えば対象物の設計データに基づいて切削工具の3次元形状に関する形状の特徴を認識するための一組のパラメータ化されたテンプレート又はその他の方法を使用することによって生成される。例えばCADによって作成された設計データが、座標に関連して切削加工される被加工物の最終形状及び寸法を認識する形状データを含む。確認された形状の特徴に基づいて、本発明の方法が、例えば記憶された複数の処理手続きの中から適切な切削加工プログラムを選択するように適合される。当該切削加工プログラムは、被加工物の形の特徴に関するデータと、工具の種類及び切削加工の条件のような切削加工方法に関するデータとに基づいて生成される。さらに、当該切削工具のデータセットは、切削加工されるべき被加工物又はブランクの材料を特徴付けるパラメータを含む。当該切削工具のデータセットは、被加工物を希望した外形に徐々に形成するために当該被加工物で実行されるべき切削加工工程に関する情報をさらに含む。当該データセットは、例えば、切削加工方法又は切削方法、及び特徴、形、加工速度等に関する工具情報を含んでもよい。
【0019】
後続するステップでは、第1切削加工方法による切削加工操作が実行され得るように、切削加工されるべき被加工物又はブランクが、切削加工装置に位置決めされる。切削加工手段のための切削加工範囲又は切削加工領域に対する最適なアクセス性が達成されるように、当該被加工物が位置決めされ得る。当該ブランクは、当該切削加工装置の一部である形状基準に対して位置決めされ得る。さらに、クランプ手段が、当該被加工物を既定の位置に固定して十分なアクセスを可能にするために使用され得る。
【0020】
データセットが、当該位置決めされた被加工物に対して決定される。この場合、当該被加工物は、実行されるべき切削加工方法に適した測定方法及びコンピュータ処理を使用して、その形を確認し、位置座標を算出するために測定される。当該測定方法は、機械的手段及び/又は光学手段のような測定手段と位置決め手段とに応じて変わる。
【0021】
測定は、座標系のx軸、y軸及びz軸の交点又は原点を示すプログラミング零点28に関連する。当該プログラミング零点は、被加工物の体積内で又は被加工物の表面上で自由に決定される。当該構成された測定手段は、当該被加工物の位置情報、特に当該プログラミング零点に関連する当該切削加工方法によって切削加工されるべき当該被加工物の表面又は領域の対象となる特徴点の位置座標を生成するように適合される。さらに、当該被加工物の位置情報は、当該被加工物に事前に提供され得る仮想基準フレーム、例えば当該被加工物の重心位置の座標、対称基準、その他の形状基準又は光学基準を規定するように処理され得る。当該生成された位置情報に関連して、切削加工装置に位置決めされた被加工物の位置情報と、当該被加工物の少なくとも一部の形の情報とが算出され得る。
【0022】
被加工物のデータセットと切削工具のデータセットとを関連させることによって、切削加工プログラムが、当該切削加工装置で規定され実行され得る。当該切削加工プログラムは、当該位置決めされた被加工物を第1切削加工方法によって希望した形状又は先行する切削加工ステップにおけるブランクから仕上がった切削工具までの工程連鎖中の中間形状でもよい形状に切削加工するように適合される。
【0023】
被加工物が、当該作成された切削加工プログラムにしたがって当該切削加工装置で切削加工された後に、別の測定ステップが実行され得る。その結果、当該切削加工された被加工物の仕上がった形状の起こり得る測定の不一致に関する情報が、この処理ステージで生成され得る。当該情報は、当該被加工物の中間の形状又は外形を示す座標に関連し、当該被加工物を当該中間ステージで現時点のモデルをインスタンス化するように処理される。当該被加工物の現時点のモデルは、この切削加工装置の切削加工プログラムを調整するように適用され得る。その結果、閉ループ制御が可能である。好ましくは、全ての被加工物が、連続する切削加工のために搬送される前に、当該連続する複数の被加工物が、少なくとも1つの切削加工装置でまとめて切削加工されるように、本発明の方法は適合される。
【0024】
さらに、当該現時点の形状に関する情報が、仕上がりの切削工具の切削工具モデルと比較され得る。好ましくは、中間形状を成す被加工物のインスタンス化された現時点のモデルが、別の切削加工装置での当該被加工物のさらなる処理に対する基準になり得る。したがって、当該切削加工の工程連鎖は、決定されたデータセットに基づく本発明の方法によって自動的に且つ連続して生成される。
【0025】
当該切削加工プログラムが、仕上がりの切削工具を提供するために適合されていないならば、被加工物又は好ましくは一群の被加工物が、別の切削加工装置に搬送される。この場合、当該被加工物は、異なる切削加工方法によって切削加工される。当該被加工物の搬送は、手動で、半自動式に又は全自動式に実行され得る。当該搬送された被加工物は、さらなる切削加工ステップに移行される。この場合、当該被加工物の位置、方向及び形の情報に相当する新しいデータセットが、当該別の切削加工装置で決定される。そこでは、実行されるべき切削加工方法に適合する別の測定方法が使用され得る。
【0026】
本発明の方法は、多段階ステップの切削加工工程を含む。この場合、切削工具を要求される公差内で仕上げるのに最適な切削加工工程が可能であるように、使用される切削加工方法及び測定方法が選択される。
【0027】
本発明によれば、当該切削加工の工程連鎖は、粗切削加工ステップと呼ばれる粗く切削加工する少なくとも1つのステップを含む。この場合、当該被加工物又はブランクは、例えば全面の材料を除去することによって形成される。当該除去は、短期間に且つ高速度で実行され得る。当該切削加工ステップは、レーザ処理、好ましくは短パルスレーザ源を含む。高出力で高速の切削レーザが、被加工物を粗く形成された形に切削加工するために使用されるように、当該レーザ処理が実行され得る。さらに、当該被加工物の粗形成は、研削及び/又は放電切削加工も含み得る。
【0028】
切削工具の表面特性及び微細形成された形を取得するため、本発明の方法は、レーザ処理、好ましくはレーザアブレーション、研削及び/又は放電切削加工のような少なくとも1つの微細形成ステップを含む。この微細切削加工ステップは、先に切削加工した表面を滑らかにし、決定された表面形状、例えば切削工具用チップの希望した凹部及び真円度を形成し得る。
【0029】
本発明の1つの実施の形態によれば、切削工具を切削加工するための方法が、切削加工装置に位置決めされた被加工物の基準点、特に重心の位置座標を算定することを含む。これらの位置座標は、このプログラミング零点と被加工物の重心のようなこの基準点との偏差に関する情報を提供する座標系のプログラミング零点に関連する。偏差に関するこの情報は、実行されるべき切削加工プログラムを切削加工装置で調整するために使用され得る。
【0030】
したがって、被加工物の形、位置及び方向が、それぞれの切削加工装置でのそれぞれの切削加工ステップに対して確認され、当該生成されたデータセットが、切削加工装置に関連し且つ仕上がりの切削工具の規定されたデータセットに関連する測定手段によって測定されたデータセットに基づいて切削加工プログラムを規定するために及び/又は補正切削加工を実行するために使用される。
【0031】
本発明の方法は、切削工具を製造するための切削加工工程を生成するための可能性を提供する。この場合、オペレータが、被加工物の特徴に関するデータと、それぞれの切削加工ステップのための切削加工方法に関するデータとを入力する必要がない。したがって、これらのデータを入力するための長い期間が排除されるので、全体の切削加工工程が、短い期間で実行され得る。さらに、人為的な入力エラーが完全に回避される。この場合、被加工物に欠陥がある、及び/又は、切削工具が損傷を受けるといった問題が防止される。
【0032】
本発明は、
-被加工物を粗切削加工するための少なくとも1つの第1切削加工手段と、
-前記被加工物を仕上げるための少なくとも1つの第2切削加工手段と、
-前記被加工物の形を測定し、この被加工物の位置及び方向のデータを決定するための測定手段と、
-前記第1切削加工手段及び/又は前記第2切削加工手段を、切削加工されるべき前記被加工物の決定されたデータセットとこの切削工具の当該規定されたデータセットとに基づいて制御するための制御手段と、を有する、本発明の方法を実行するための切削加工装置を提供する。
【0033】
ブランク又は被加工物が、仕上がりの切削工具の目標形状の形に次第になるように、本発明の方法を実行するための切削加工装置が提供される。この場合、削り代が、被加工物上の何処に且つどのくらい依然として残っているかが常に知られている。当該切削加工工程連鎖は、ただ1つの粗切削加工ステップを含むのではなくて、幾つかの粗切削加工ステップを含み、同様にただ1つの微細切削加工ステップを含むのではなくて、幾つかの微細切削加工ステップを含む。この場合、それぞれのステップは、異なる又は同じ切削加工方法によって実行され得る。
【0034】
切削加工されるべき被加工物が、現時点の切削加工手段に依存して位置決めされる。この場合、当該被加工物は、1つの形状基準に対して位置決めされる。当該被加工物は、装填プリズム又はクランプ要素内に収容され得る。
【0035】
最初に、被加工物又はブランクが、切削工具、レーザビームインパルスを生成するレーザのような第1切削加工手段及び/又はワイヤ電極のような放電手段によって粗く形成される。好ましくは、当該第1切削加工手段は、レーザ切削加工によって実行される粗形成ステップを提供する。当該レーザ切削加工は、効率的で、材料を節約する方法であり、周知の研磨、特に研削に対してさらなる利点を有する。何故なら、冷却液及び潤滑剤が提供される必要がなく、材料の少ない除去だけで済むからである。レーザ粗加工工程による非接触式の切削加工は、あらゆる工具摩耗を完全に排除し、完全な自動化、要求される形状に対する柔軟な適合、低いエネルギー消費及びその他の切削加工装置との個別の組み合わせを提供する。幾つかの切削加工手段が、被加工物を粗く切削加工するために連続して又は並行して操作され得る。
【0036】
さらに、当該切削加工装置は、特に要求される表面特性及び/又は微細形成若しくは微細構造を達成するために操作される被加工物を微細形成する又は仕上げるための少なくとも1つの第2切削加工手段を有する。本発明によれば、これらの第2切削加工手段は、例えば、研削工具、レーザ及び/又は放電手段である。被加工物が、希望した形状に近いように、当該被加工物が、事前に形成されているならば、要求される表面特性を達成するためには、ほんの少しの材料が除去されるだけで済む。当該仕上げは、精密切削加工と解され得る。
【0037】
当該切削加工装置を用いた結合された切削加工工程が、最後の切削加工の労力を軽減し、例えば高コストの研削工具の消費を抑える。
【0038】
本発明によれば、当該切削加工装置は、測定手段を有する。当該測定手段は、プローブ又はセンサのような複数の機械的手段と画像装置のような光学手段との中から選択され得る。
【0039】
例えば、被加工物の形を測定するために操作されるプローブが、現時点の切削加工工程で使用される切削加工手段にほぼ一致する形及び形状を有してもよい。当該プローブは、切削加工されるべき被加工物の領域上の交点の方向に好ましくは自動的に移動され得る。この場合、当該プローブの変位の大きさ及び方向を示すデータが生成されるように、当該プローブの変位が変換される。当該データに基づいて、当該被加工物の寸法を示す座標が、1つのプログラミング零点に対して算定され得、当該被加工物のモデルがコンピュータ処理され得る。さらに、当該プローブを当該被加工物の真っ直ぐな輪郭線に沿って移動させることによって、当該被加工物の位置座標と方向に関する情報とを示すデータセットが生成され処理され得る。
【0040】
当該測定手段は、位置座標を撮像された投影画から推定するための画像処理技術を採用し得る。このため、被加工物の外形及び形が、画像データから算出される。当該外形の直線のような規定された基準特性の位置が、当該被加工物の位置及び方向をコンピュータ処理するために使用され得る。照明要素と組み合わせられた画像装置のような被加工物の形を測定するための光学手段が、当該被加工物の表面の対象となる特徴点の座標に関して評価され得る少なくとも1つの位置から撮像された画像を提供し得る。当該光学手段の例は、CCDカメラ、赤外線カメラ、近赤外線カメラ、レーザスキャナ、特にレーザスキャナと組み合わせたレーザ三角測量、顕微鏡、干渉計等である。
【0041】
本発明の切削加工装置は、切削工程を製造するための方法を実行するために適したデータセットを記憶し制御するための制御装置をさらに有する。この制御装置は、幾つかの個別制御装置を有し得る。この場合、幾つかの個別制御装置は、例えば個々の切削加工装置に関連され得る。この制御装置は、現時点の操作を制御するためだけに提供されるのではなくて、既に実行された操作に関連して当該現時点の操作を制御するために提供される。この制御装置は、切削加工プログラムを変更するように、特に切削加工の条件及び基準点又は零点のオフセットのようなプログラムパラメータを変更するように適合されている。この制御装置は、切削加工手段の希望した経路を生成するために要求される特定の機械の動きを測定するように、及び当該特定の切削加工装置上の希望した経路を実行するために必要とされる切削加工プログラムを規定された又は決定されたデータセットに関連して作成するように適合されている。
【0042】
以下に、本発明を添付図面を参照して例示によってさらに詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】本発明による方法のブロック図である。
図2】零点と別の基準点とを示す被加工物の概略図である。
図3】被加工物の形を測定するための工程を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0044】
切削工具を製造するための方法を、図1を参照して説明する。図1は、本発明の好適な実施の形態による方法の主な構成要素を示すブロック図である。図1では、制御装置10が、製造されるべき切削工具の目標形状を規定するデータセット12を受信するように適合されている。当該データセット12は、当該切削工具の最終形状及び寸法を示す設計データと、仕上がりの表面性状のデータとを含む。さらに、当該切削工具の材料の情報と、被加工物14を仕上がった切削工具の形にするためのプロセス運転のパラメータに関するさらなる情報とが記憶されている。当該データセット12は、データ記憶装置16内に記憶されている。この場合、形状データ、特性データ、切削加工データ、材料データ及びその他の関連データが、制御装置10内に含まれる独立したデータ記憶装置内に同様に記憶されてもよい。制御装置10は、目標とする切削工具と被加工物14とに関するデータを記憶するための機能装置である。データセット12が、オンライン処理によって又はその他の適切な方法で入力される。さらに、制御装置10は、分散した複数の制御装置のような個別の制御装置から構成されてもよい。
【0045】
被加工物14が、切削加工装置によって実行される切削加工方法の種類に応じた適切な方法で当該切削加工装置に位置決めされる。切削加工されるべき当該被加工物14は、ブランクと呼ばれる。当該切削加工装置で実行されるべき切削加工プログラムを作成するのに必要なデータを生成するため、当該ブランクは、ステップ18で測定方法によって測定される。当該データセットは、被加工物14の形状データを少なくとも含み、図1の矢印によって示されたように制御装置10に伝送される。ステップ24では、当該形状データに基づいて、制御装置10が、ステップ20で実行されるべき切削加工プログラムを作成する。本発明によれば、ステップ18における測定が、当該切削加工装置に位置決めされた被加工物14を用いて、特に最初に切削加工するステップでは粗切削加工用の切削加工装置で実行される。被加工物14の当該測定は、当該切削加工装置内の被加工物14の位置とこの被加工物14の向きとに関する情報をさらに与える。
【0046】
被加工物14が、特に粗切削加工ステップで切削加工された後に、被加工物14の中間形状のデータセットを生成するため、当該切削加工された被加工物14は、ステップ22で、例えばレーザ走査によってさらに測定される。当該データセットは、図1の矢印によって示されたように制御装置10に伝送される。当該取り出された形状データは、その処理工程中に被加工物14の現時点のモデルをインスタンス化するためにコンピュータ処理され得る。後続する処理ステップ26等のための切削加工プログラムを作成するため、当該現時点のモデルが、仕上がりの切削工具のデータセット12に関連させてセットされ得る。
【0047】
複数の接続線によって示されているように、ステップ20での被加工物14の切削加工の前後の決定された複数のデータセットがそれぞれ、ステップ20で使用さる切削加工プログラムを制御するために処理され得る。この場合、当該切削加工プログラムは、制御装置10の制御記憶装置16内に記憶された目標とする切削工具の所定のデータセット12によってさらに制御される。
【0048】
本発明による方法は、多段階処理であるので、被加工物14は、複数の切削加工処理によってさらに処理される。連続するそれぞれの切削加工工程が、上記の測定ステップ18によって開始し、切削加工ステップ20によって被加工物を切削加工し、別の測定ステップ22によって測定するプログラムにしたがって実行され得る。これらの工程ステップは、24によって示された少なくとも1つの粗切削加工工程と、26によって示された少なくとも1つの微細切削加工工程とを含む。当該プログラムは、制御装置10によって制御され、実行される切削加工工程のための閉ループ制御を提供する。当該工程連鎖は、図1にブロック24,26によって示されている。これらの連続する切削加工ステップは、別の切削加工装置で実行され得る。この場合、当該被加工物の搬送及び位置決めが含まれる。最後に、希望した形状及び品質を有する切削加工が製造される。
【0049】
図2は、被加工物14を概略的に示す。この被加工物14は、複数の側面14.1,14.2,14.3及び14.4を有する菱形の形状でもよい。図2は、被加工物14を平面図で示す。本発明の方法によれば、被加工物14の形及び寸法は、それぞれの切削加工ステップ20の前のステップ18で測定される。この場合、適切な測定方法が提供される。最初に、プログラミング零点28が、特にオペレータによって決定される。この場合、切削工具の目標形状が考慮される。このプログラミング零点28は、被加工物14の体積中又は被加工物14の表面上に設定される。本発明によれば、プログラミング零点28は、座標系の原点、複数の座標軸、特に3つの空間方向を示す3つの座標軸x、y及びzの交点とみなされ得る。図2で分かるように、プログラミング零点28は、基準点30と異なってもよい。図2に示された実施の形態では、基準点30は、被加工物14の重心を示すが、あらゆるその他の適切な基準点30でもよい。基準点30は、被加工物14の測定される形状座標に基づいて生成される。当該生成は、画像処理技術の光学手段による測定に基づいて実行され得る。この場合、4つの側面14.1,14.2,14.3,14.4の位置が測定される。
【0050】
図3に示された実施の形態によれば、被加工物14は、三角形を成し、切削加工装置に関連する装填プリズム32内に位置決めされている。見て取れるように、プログラミング零点28は、基準点30とは異なる。
【0051】
本発明の1つの実施の形態によれば、測定方法は、本発明の方法に適した被加工物14の直線のような形、寸法及び/又はその他のパラメータを測定し、さらに基準点30を算定するためのプローブ34に基づく。このプローブ34は、被加工物14に対して、特に被加工物14の表面36,38,40に対して自動的に変位され得る。この場合、プローブ34の方向及び変位が、プログラミング零点28に対する被加工物14の表面36,38,40の形状座標を生成するために処理され得る。プログラミング零点28に対する被加工物14の表面36,38,40の形状座標に基づいて、基準点30の座標が算出され得る。そして、偏差が、座標に基づいて算定され得る。基準点30に対するプログラミング零点28の偏差が、切削加工プログラムのために、特に、希望した切削加工経路を高い精度で作成するために要求される工具の当該経路を有効にするために使用される。
なお、本願は、特許請求の範囲に記載の発明に関するものであるが、他の態様として以下の構成も包含し得る:
1.
a)切削工具の目標形状、この切削工具の材料のパラメータ及び/又は被加工物(14)をこの切削工具に切削加工するためのプロセス運転のパラメータを含む切削工具データセット(12)を規定するステップと、
b)前記被加工物(14)を切削加工装置に位置決めするステップと、
c)切削加工されるべき当該位置決めされた被加工物(14)のデータセット(18)を、当該位置決めされた被加工物(14)の実際の形状、位置及び方向のデータを測定する測定方法によって決定するステップ(18)と、
d)前記切削加工装置のための少なくとも1つの切削加工プログラム(24)を、前記被加工物(14)の当該決定されたデータセット(18)に関連する前記切削工具の当該規定されたデータセット(12)に基づいて規定するステップ(24)と、
e)前記被加工物(14)を前記少なくとも1つの切削加工プログラム(24)によって切削加工し(20)、この被加工物(14)の中間形状を取得するステップ(20)と、f)前記被加工物(14)の第2データセット(22)を、この被加工物(14)の前記中間形状を成す測定手段によって決定するステップと、
g)当該切削加工された被加工物(14)を第2切削加工装置に搬送するステップと、
h)前記被加工物(14)が、前記目標形状の形になるまで、ステップb)~g)を繰り返すステップと、を有する切削工具を多段階式に切削加工するための方法。
2.
ステップf)で決定された少なくとも前記第2データセット(22)が、中間形状を成す前記被加工物(14)の実際のモデルをインスタンス化するために処理され、ステップe)で使用される切削加工プログラムを制御するために使用される上記1に記載の方法。
3.
前記方法は、少なくとも1つの粗切削加工ステップ(24)と少なくとも1つの微細切削加工ステップ(26)とを含む上記1又は2に記載の方法。
4.
前記少なくとも1つの粗切削加工ステップ(24)は、レーザ加工、研磨及び放電切削加工のグループから選択される上記3に記載の方法。
5.
前記少なくとも1つの微細切削加工ステップ(26)は、レーザ加工、研磨及び放電切削加工のグループから選択される上記3に記載の方法。
6.
切削加工されるべき前記被加工物(14)のデータセットを規定するための測定方法は、実行されるべき切削加工方法に依存する上記1~5のいずれか1つに記載の方法。
7.
前記測定方法は、機械的方法及び/又は光学的方法である上記6に記載の方法。
8.
ステップc)で規定された前記被加工物(14)の前記データセット(18)は、この被加工物(14)内で決定された1つのプログラミング零点(28)に対する切削加工領域の位置座標を含む上記1~7のいずれか1つに記載の方法。
9.
前記被加工物(14)に対する少なくとも1つの基準点(30)の位置座標と、前記被加工物(14)の前記少なくとも1つの基準点(30)に対する前記プログラミング零点(28)の偏差とが算定される上記8に記載の方法。
10.
前記少なくとも1つの基準点(30)は、前記被加工物(14)の重心である上記9に記載の方法。
11.
ステップd)の切削加工プログラムが、前記少なくとも1つの基準点(30)に対する前記プログラミング零点(28)の当該算定された偏差に応じて調整される上記9又は10に記載の方法。
12.
前記切削工具の目標形状は、一組のパラメータ化されたテンプレートから生成される上記1~11のいずれか1つに記載の方法。
13.
それぞれの切削加工ステップe)(20,24,26)の前及び/又は後に、前記被加工物(14)の少なくとも形が測定され、後続する切削加工プログラムを決定するために前記データセット(12)に含まれる前記切削工具の目標形状に相関される上記1~12のいずれか1つに記載の方法。
14.
-被加工物(14)を粗切削加工するための少なくとも1つの第1切削加工手段と、
-前記被加工物(14)を仕上げるための少なくとも1つの第2切削加工手段と、
-前記被加工物(14)の形を測定し、この被加工物(14)の位置及び方向のデータを決定するための測定手段と、
-前記第1切削加工手段及び/又は前記第2切削加工手段を、切削加工されるべき前記被加工物(14)の決定されたデータセット(12)とこの切削工具の当該規定されたデータセット(12)とに基づいて制御するための制御手段(10)と、を有する上記1~13のいずれか1つに記載の切削工具を切削加工するための方法を実行するための切削加工装置。
15.
前記測定手段は、CCDカメラ、赤外線カメラ、近赤外線カメラ、レーザスキャナ、レーザ三角測量、マイクロスコープ、干渉計等のような撮像手段を含む上記14に記載の切削加工装置。
16.
前記測定手段は、プローブ(34)を含む上記14に記載の切削加工装置。
17.
切削加工されるべき前記被加工物(14)は、前記第1切削加工手段及び/又は前記第2切削加工手段によって切削加工されるように装填プリズム(32)内に位置決めされる上記14~16のいずれか1つに記載の切削加工装置。
【符号の説明】
【0052】
10 制御装置
12 データセット
14 被加工物
14.1 側面
14.2 側面
14.3 側面
14.4 側面
16 データ記憶装置
18 測定ステップ
20 粗切削加工ステップ
22 別の測定ステップ
24 粗切削加工ステップ
26 微細切削加工ステップ
28 プログラミング零点
30 基準点
32 装填プリズム
34 プローブ
36 表面
38 表面
40 表面
図1
図2
図3