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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-29
(45)【発行日】2024-03-08
(54)【発明の名称】断熱容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/38 20060101AFI20240301BHJP
【FI】
B65D81/38 N
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019180265
(22)【出願日】2019-09-30
(65)【公開番号】P2021054493
(43)【公開日】2021-04-08
【審査請求日】2022-06-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000000033
【氏名又は名称】旭化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】植木 美賀
(72)【発明者】
【氏名】船越 俊洋
(72)【発明者】
【氏名】上山 健治
【審査官】家城 雅美
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-080638(JP,A)
【文献】特開平09-066935(JP,A)
【文献】特開2002-037250(JP,A)
【文献】米国特許第06041958(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
断熱材パネルからなる前板、後板、左右一対の側板、底板及び天板を備える略直方体状の断熱容器であって、
剛性を有する材料で構成された平板状の第一支持部と、剛性を有する材料で構成された平板状の第二支持部と、を有する断面略L字状の支持部材を備え、
前記第一支持部は、前記底板を兼ねるものであり、
前記前板、前記側板及び前記天板は、相互に分離した状態又は連結された状態で、前記底板の上に積層されて積層体を構成し、
前記第二支持部は、前記後板の近傍に配置されるとともに、前記底板の上に配置された前記積層体の高さと略同じ高さまで鉛直上方に立ち上がるように構成されており
記後板は、前記底板に対して略垂直に配置され前記第二支持部と略同じ高さまで鉛直上方に立ち上がるように構成された第一後板部と、前記第一後板部の前記底板と反対側の縁部に連結され前記第一後板部に対して容器内側方向へと折曲自在とされた第二後板部と、を有する、断熱容器。
【請求項2】
前記第二後板部は、前記底板と略同一の面積を有し、
前記後板は、前記第二後板部の前記第一後板部と反対側の縁部に連結され前記第二後板部に対して容器内側方向へと折曲自在とされた第三後板部をさらに有する、請求項に記載の断熱容器。
【請求項3】
断熱材パネルからなる前板、後板、左右一対の側板、底板及び天板を備える略直方体状の断熱容器であって、
剛性を有する材料で構成された平板状の第一支持部と、剛性を有する材料で構成された平板状の第二支持部と、を有する断面略L字状の支持部材を備え、
前記第一支持部は、前記底板の少なくとも一部を兼ねるものであるか、又は、前記底板に略平行に重ねられて配置されるものであり、
前記第二支持部は、前記後板の少なくとも一部を兼ねるものであるか、又は、前記後板の近傍に配置されるものであり、
前記支持部材は、剛性を有する材料で構成された平板状の第三支持部をさらに有し、
前記第三支持部は、前記側板の少なくとも一部を兼ねるものであるか、又は、前記側板の近傍に配置されるものである、断熱容器。
【請求項4】
前記第一支持部は、前記底板の上に略水平に配置され、
前記前板、前記側板及び前記天板は、相互に分離した状態又は連結された状態で、前記第一支持部の上に積層されて積層体を構成し、
前記第二支持部は、前記後板の近傍に配置されるとともに、前記第一支持部の上に配置された前記積層体の高さと略同じ高さまで鉛直上方に立ち上がるように構成されている、請求項に記載の断熱容器。
【請求項5】
前記第一支持部は、前記底板の下に略水平に配置され、
前記前板、前記側板及び前記天板は、相互に分離した状態又は連結された状態で、前記底板の上に積層されて所定高さの積層体を構成し、
前記第二支持部は、前記後板の近傍に配置されるとともに、前記底板の上に配置された前記積層体の高さと略同じ高さまで鉛直上方に立ち上がるように構成されている、請求項に記載の断熱容器。
【請求項6】
前記第三支持部は、700N/mm以上の曲げ剛性を有する、請求項3から5の何れか一項に記載の断熱容器。
【請求項7】
前記第一支持部及び前記第二支持部は、700N/mm以上の曲げ剛性を有する、請求項1から6の何れか一項に記載の断熱容器。
【請求項8】
前記前板、前記後板、前記側板及び前記天板は、面ファスナを介して縁部同士が相互に連結されており、
前記各縁部に沿った前記面ファスナの幅は、前記各縁部の長さの2%以上に設定されている、請求項1からの何れか一項に記載の断熱容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、断熱容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、青果物等の荷物を出荷拠点から目的地へと冷蔵輸送車で輸送することが行われている。冷蔵輸送車を使用した冷蔵輸送では、車内に積載される位置によって荷物の冷蔵温度にムラが生じることに加え、満載・混載や荷降ろしに起因して冷蔵効果が低減されてしまう。また、冷蔵輸送車を使用すると、途中で荷物の積替作業が発生したり、到着時等に荷物が常温のまま放置されたりする場合がある。このため、たとえ荷物を予冷したとしても目的地まで低温状態を維持することは困難であった。
【0003】
そこで、現在においては、荷物を収納するための断熱容器に、ドライアイスや蓄冷材等の冷媒を収納する冷媒収納空間を設け、冷媒収納空間に収納した冷媒から荷物へと冷気を供給する技術が提案されている(例えば、特許文献1及び2参照)。かかる技術を採用すると、冷媒から供給される冷気により荷物の低温を維持することができる、とされている。また、近年においては、荷物輸送後における容器の占有空間を縮小する目的で、分解・組立可能な断熱容器が種々提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2004-43020号公報
【文献】特許第6436822号公報
【文献】特許第4657046号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、冷蔵輸送車を使用した冷蔵輸送では、予冷庫にて荷物に予冷用の風を供給して通風予冷を行うのが一般的であるが、特許文献1及び2に記載されたような断熱容器は側板が底板と一体的に構成されていることから、当該断熱容器内に荷物を収納した状態で通風予冷を行うと、予冷用の風が側板によって遮られて冷却効率が低下するという問題がある。一方、特許文献3に記載の断熱容器は側板が床板から分離可能とされているが、側板が無い状態で床板上に荷物を積載すると荷物の位置ずれが生じてしまい、積載作業が滞ってしまうという問題が生じ得る。
【0006】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、積載時における荷物の位置ずれを抑制して積載作業の効率化をもたらすことができ、かつ、通風予冷の冷却効率を向上させることができる断熱容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明に係る断熱容器は、断熱材パネルからなる前板、後板、左右一対の側板、底板及び天板を備える略直方体状の断熱容器であって、剛性を有する材料で構成された平板状の第一支持部と、剛性を有する材料で構成された平板状の第二支持部と、からなる断面略L字状の支持部材を備え、支持部材の第一支持部は、底板の少なくとも一部を兼ねるものであるか、又は、底板に略平行に重ねられて配置されるものであり、支持部材の第二支持部は、後板の少なくとも一部を兼ねるものであるか、又は、後板の近傍に配置されるものである。
【0008】
かかる構成を採用すると、断面略L字状の支持部材の第一支持部を、底板の少なくとも一部として、又は、底板に略平行に重ねて配置(例えば略水平に配置)して、積載される荷物を支持することができる。この際、第一支持部から略垂直に立ち上がる第二支持部をガイドとして(すなわち第二支持部に荷物の縁部を当接させながら)荷物を積載することができる。従って、積載時における荷物の位置ずれを抑制することができるので、積載作業の効率化をもたらすことができる。また、断面略L字状の支持部材に荷物を載せたまま予冷庫で通風予冷を行うことができる。この際、他の側面を断熱材パネルで覆う必要がないため、予冷用の風が遮られることがなく、冷却効率を向上させることができる。さらに、荷物をフォークリフト等で移動させる際に断面略L字状の支持部材で荷物を支持することができるので、荷崩れを防止することができ、安全性の向上に寄与することができるとともに、フォークリフトのフォークを支持部材で受けることができるため、荷物や容器の破損を防ぐことができる。
【0009】
本発明に係る断熱容器において、第一支持部及び第二支持部は、700N/mm以上の曲げ剛性を有することができる。
【0010】
かかる構成を採用すると、支持部材を構成する第一支持部及び第二支持部の曲げ剛性を特定の値(700N/mm以上)に設定するため、積載時における支持部材の変形や破損を抑制することができ、断熱容器が破損して容器内部の熱やガスが漏れることを抑制することができる。
【0011】
本発明に係る断熱容器において、支持部材の第一支持部は、底板を兼ねることができる。かかる場合において、前板、側板及び天板は、相互に分離した状態又は連結された状態で、底板の上に積層されて積層体を構成することができる。この際、支持部材の第二支持部を、後板の近傍に配置するとともに、底板の上に配置された積層体の高さと略同じ高さまで鉛直上方に立ち上がるように構成することができる。
【0012】
かかる構成を採用すると、支持部材の第二支持部を、後板の近傍に配置するとともに、第一支持部(底板)の上に積層された積層体(前板、側板、天板)の高さと略同じ高さまで鉛直上方に立ち上がるように構成することができる。従って、断熱容器を分解し、前板、側板及び天板からなる積層体を第一支持部(底板)の上に配置して小容積化する際に、積層体の縁部を第二支持部に当接させながら配置することができる。この結果、積層体の位置ずれを抑制することができ、小容積化作業の効率化に寄与することができる。また、第二支持部の高さを、第一支持部(底板)の上に配置した積層体の高さに略一致させているため、積層体を構成する板の不足を目視で容易に認識することができる。従って、パーツの紛失防止に寄与することができる。
【0013】
本発明に係る断熱容器において、支持部材の第一支持部を、底板の上に略水平に配置することができる。かかる場合において、前板、側板及び天板は、相互に分離した状態又は連結された状態で、第一支持部の上に積層されて積層体を構成することができる。この際、支持部材の第二支持部を、後板の近傍に配置するとともに、第一支持部の上に配置された積層体の高さと略同じ高さまで鉛直上方に立ち上がるように構成することができる。
【0014】
かかる構成を採用すると、支持部材の第二支持部を、後板の近傍に配置するとともに、第一支持部の上に積層された積層体(前板、側板、天板)の高さと略同じ高さまで鉛直上方に立ち上がるように構成することができる。従って、断熱容器を分解し、前板、側板及び天板からなる積層体を第一支持部の上に配置して小容積化する際に、積層体の縁部を第二支持部に当接させながら配置することができる。この結果、積層体の位置ずれを抑制することができ、小容積化作業の効率化に寄与することができる。また、第二支持部の高さを、第一支持部の上に配置した積層体の高さに略一致させているため、積層体を構成する板の不足を目視で容易に認識することができる。従って、パーツの紛失防止に寄与することができる。
【0015】
本発明に係る断熱容器において、支持部材の第一支持部を、底板の下に略水平に配置することができる。かかる場合において、前板、側板及び天板は、相互に分離した状態又は連結された状態で、底板の上に積層されて所定高さの積層体を構成することができる。この際、支持部材の第二支持部を、後板の近傍に配置するとともに、底板の上に配置された積層体の高さと略同じ高さまで鉛直上方に立ち上がるように構成することができる。
【0016】
かかる構成を採用すると、支持部材の第二支持部を、後板の近傍に配置するとともに、底板の上に積層された積層体(前板、側板、天板)の高さと略同じ高さまで鉛直上方に立ち上がるように構成することができる。従って、断熱容器を分解し、前板、側板及び天板からなる積層体を底板の上に配置して小容積化する際に、積層体の縁部を第二支持部に当接させながら配置することができる。従って、積層体の位置ずれを抑制することができ、小容積化作業の効率化に寄与することができる。また、第二支持部の高さを、底板の上に配置した積層体の高さに略一致させているため、積層体を構成する板の不足を目視で容易に認識することができる。従って、パーツの紛失防止に寄与することができる。
【0017】
本発明に係る断熱容器において、後板は、底板に対して略垂直に配置され第二支持部と略同じ高さまで鉛直上方に立ち上がるように構成された第一後板部と、第一後板部の底板と反対側の縁部に連結され第一後板部に対して容器内側方向へと折曲自在とされた第二後板部と、を有することができる。
【0018】
かかる構成を採用すると、前板、側板及び天板からなる積層体を第一支持部や底板の上に配置した後に、後板の第二後板部を第一後板部に対して容器内側方向へと折り曲げて積層体の上方を覆うことができる。従って、積層体(前板、側板、天板)を保護することができる。
【0019】
本発明に係る断熱容器において、第二後板部は、底板と略同一の面積を有することができる。かかる場合において、後板は、第二後板部の第一後板部と反対側の縁部に連結され第二後板部に対して容器内側方向へと折曲自在とされた第三後板部をさらに有することができる。
【0020】
かかる構成を採用すると、前板、側板及び天板からなる積層体を第一支持部や底板の上に配置し、後板の第二後板部を第一後板部に対して容器内側方向へと折り曲げて積層体の上方を覆った後、後板の第三後板部を第二後板部に対して容器内側方向へと折り曲げて積層体の前方を覆うことができる。従って、積層体(前板、側板、天板)をさらに確実に保護することができる。
【0021】
本発明に係る断熱容器において、支持部材は、剛性を有する材料で構成された平板状の第三支持部をさらに備えることができる。第三支持部は、側板の少なくとも一部を兼ねるか、又は、側板の近傍に配置されることができる。
【0022】
かかる構成を採用すると、側板の少なくとも一部を兼ねる(又は側板の近傍に配置される)第三支持部をガイドとして(すなわち第三支持部に荷物の縁部を当接させながら)荷物を積載することができる。従って、積載時における荷物の位置ずれをさらに効果的に抑制することができるので、積載作業の一層の効率化をもたらすことができる。
【0023】
本発明に係る断熱容器において、第三支持部は、700N/mm以上の曲げ剛性を有することができる。
【0024】
かかる構成を採用すると、支持部材を構成する第三支持部の曲げ剛性を特定の値(700N/mm以上)に設定するため、積載時における支持部材の変形や破損を抑制することができ、断熱容器が破損して容器内部の熱やガスが漏れることを抑制することができる。
【0025】
本発明に係る断熱容器において、面ファスナを介して、前板、後板、側板及び天板の縁部同士を相互に連結することができる。かかる場合において、各縁部に沿った面ファスナの幅を、各縁部の長さの2%以上に設定することができる。
【0026】
かかる構成を採用すると、前板、後板、側板及び天板の縁部同士を連結する面ファスナの幅を、特定の値(各縁部の長さの2%以上)に設定しているため、断熱容器の断熱機能や気密性を維持することができ、断熱容器から熱やガスが漏れることを抑制することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、積載時における荷物の位置ずれを抑制して積載作業の効率化をもたらすことができ、かつ、通風予冷の冷却効率を向上させることができる断熱容器を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の第一実施形態に係る断熱容器を分解した状態の斜視図である。
図2】本発明の第一実施形態に係る断熱容器を組み立てた状態の斜視図である。
図3】本発明の第一実施形態に係る断熱容器の台座上に支持部材を配置した状態を示す平面図である。
図4】本発明の第一実施形態に係る断熱容器の各パーツを積層して小容積化した状態を示す説明図である。
図5】本発明の第二実施形態に係る断熱容器を分解した状態の斜視図である。
図6】本発明の第二実施形態に係る断熱容器の各パーツを積層して小容積化した状態を示す説明図である。
図7A】本発明の実施形態に係る断熱容器の支持部材の変形例を説明するための説明図である。
図7B】同上。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照して、本発明の各実施形態について説明する。なお、以下の各実施形態はあくまでも好適な適用例であって、本発明の適用範囲がこれらに限定されるものではない。
【0030】
<第一実施形態>
まず、図1図4を用いて、本発明の第一実施形態に係る断熱容器1の構成について説明する。本実施形態における断熱容器1は、図1及び図2に示すように、断熱材パネルからなる前板10、後板20、左右一対の側板30、底板40及び天板50を備える略直方体状の断熱容器である。断熱容器1は、所定の場所に設置される台座60をも備えている。台座60は、例えば合成樹脂等で構成されており、フォークリフトによって持ち上げられるようにフォーク挿入用の孔を有している。
【0031】
前板10は、図1及び図2に示すように、所定厚さを有する平面視略矩形状の平板である。本実施形態においては、前板10として、断熱容器1の上方に配置される上方前板11と、断熱容器1の下方に配置される下方前板12と、を採用している。下方前板12は、図3に示すように、台座60の上面に形成された溝61に嵌合されて鉛直上方に立ち上がるように構成されており、上方前板11は、下方前板12の上方に配置されて鉛直上方に立ち上がるように構成されている。上方前板11と下方前板12は、後述する面ファスナ70を介して縁部同士が相互に連結されている。
【0032】
上方前板11と下方前板12の高さは略同一であるが、上方前板11の横幅の方が下方前板12の横幅よりも若干(側板30の厚さの2倍分だけ)大きく設定されている。前板10の高さ、厚さ、横幅は、断熱容器1のサイズ、断熱容器1に収納される荷物の種類、前板10を構成する断熱材パネルの強度等に応じて適宜設定することができる。例えば、前板10の高さを500~2200mm程度に設定し、前板10の厚さを10~100mm程度に設定し、上方前板11の横幅を900~1500mm程度に設定することができる。
【0033】
後板20は、図1に示すように、所定厚さを有し折畳可能に構成された平面視略矩形状の平板である。本実施形態においては、底板40に対して略垂直に配置された第一後板部21と、第一後板部21の底板40と反対側の縁部21aにフィルム24を介して連結され第一後板部21に対して容器内側方向へと折曲自在とされた第二後板部22と、第二後板部22の第一後板部21と反対側の縁部22aにフィルム25を介して連結され第二後板部22に対して容器内側方向へと折曲自在とされた第三後板部23と、を有している。フィルム24は、第一後板部21に対する第二後板部22の容器内側方向への折曲を可能とするように、第一後板部21及び第二後板部22の各縁部の内側面に貼り付けられている。フィルム25は、第二後板部22に対する第三後板部23の容器内側方向への折曲を可能とするように、第二後板部22及び第三後板部23の各縁部の内側面に貼り付けられている。
【0034】
第一後板部21は、図1及び図3に示すように、台座60の上面に形成された溝62に嵌合されて、後述する支持部材80の第二支持部82と略同じ高さまで鉛直上方に立ち上がるように構成されている。第二後板部22は、図4に示すように、前板10、側板30及び天板50からなる積層体Pの上方を覆うように機能するものであり、底板40と略同一の面積を有している。第三後板部23は、図4に示すように、前板10、側板30及び天板50からなる積層体Pの前方を覆うように機能するものであり、第一後板部21よりも若干小さい面積を有している。後板20全体の高さ、厚さ、横幅は、断熱容器1のサイズ、断熱容器1に収納される荷物の種類、後板20を構成する断熱材パネルの強度等に応じて適宜設定することができる。例えば、後板20全体の高さを500~2200mm程度に設定し、後板20の厚さを10~100mm程度に設定し、後板20の横幅を900~1500mm程度に設定することができる。なお、後板20の横幅を、上方前板11の横幅と一致させることができる。
【0035】
側板30は、図1及び図2に示すように、所定厚さを有する平面視略矩形状の平板である。本実施形態においては、側板30として、断熱容器1の上方に配置される上方側板31と、断熱容器1の下方に配置される下方側板32と、を採用している。下方側板32は、図3に示すように、台座60の上面に形成された溝63に嵌合されて鉛直上方に立ち上がるように構成されており、上方側板31は、下方側板32の上方に配置されて鉛直上方に立ち上がるように構成されている。上方側板31と下方側板32は、後述する面ファスナ70を介して縁部同士が相互に連結されている。
【0036】
上方側板31と下方側板32の高さは略同一であるが、下方側板32の横幅の方が上方側板31の横幅よりも若干(前板10の厚さの分だけ)大きく設定されている。側板30の高さ、厚さ、横幅は、断熱容器1のサイズ、断熱容器1に収納される荷物の種類、側板30を構成する断熱材パネルの強度等に応じて適宜設定することができる。例えば、側板30の高さを500~2200mm程度に設定し、側板30の厚さを10~100mm程度に設定し、下方側板32の横幅を900~1500mm程度に設定することができる。
【0037】
底板40は、図1に示すように、所定厚さを有する平面視略矩形状の平板であり、台座60の上面の溝61・62・63によって囲まれた略矩形状の領域(図3参照)に配置された状態で固定されている。底板40の厚さ及び各辺の長さは、断熱容器1のサイズ、断熱容器1に収納される荷物の種類、底板40を構成する断熱材パネルの強度等に応じて適宜設定することができる。例えば、底板40の厚さを10~200mm程度に設定し、底板40の各辺の長さを700~1500mm程度に設定することができる。
【0038】
天板50は、図1及び図2に示すように、所定厚さを有する平面視略矩形状の平板であり、前板10、後板20及び側板30の上方に配置される。天板50の厚さ及び各辺の長さは、断熱容器1のサイズ、断熱容器1に収納される荷物の種類、天板50を構成する断熱材パネルの強度等に応じて適宜設定することができる。例えば、天板50の厚さを10~200mm程度に設定し、天板50の各辺の長さを900~1500mm程度に設定することができる。
【0039】
前板10、後板20、側板30及び天板50は、面ファスナ70(図2の斜線領域)を介して縁部同士が相互に連結されている。各縁部に沿った面ファスナ70の幅Wは、各縁部の長さLの2%以上(4%以上が好ましい)に設定されている。このように面ファスナ70の幅を特定の値(各縁部の長さの2%以上)に設定しているため、断熱容器1の断熱機能や気密性を維持することができ、断熱容器1から熱やガスが漏れることを抑制することができる。また、前板10、側板30及び天板50は、図4に示すように、相互に分離した状態で、後述する支持部材80の第一支持部81の上に積層されて積層体Pを構成するようになっている。
【0040】
前板10、後板20、側板30、底板40及び天板50を構成する断熱材パネルとしては、例えば、50m2・K/W以下の熱抵抗を有する断熱材で構成した断熱材パネルを採用することが好ましい。このように特定の熱抵抗を有する断熱材で構成した断熱材パネルで荷物を包囲することにより、断熱効果を効果的に維持することができる。また、0.15N/mm2以上の曲げ強度を有する断熱材で構成した断熱材パネルを採用することが好ましい。このように特定の曲げ強度を有する断熱材で構成した断熱材パネルで荷物を包囲することにより、輸送時における断熱材パネルの変形を抑制するとともに振動・衝撃を吸収して圧潰を抑制することができ、荷物を確実に保護して断熱効果を効果的に維持することができる。
【0041】
本実施形態に係る断熱容器1は、図1図3図4に示すように、容器に収納される荷物を積載する際のガイド等として機能する支持部材80を備えている。支持部材80は、剛性を有する材料で構成された平板状の第一支持部81と、剛性を有する材料で構成された平板状の第二支持部82と、が断面L字状に剛接合されて構成されている。本実施形態における支持部材80の第一支持部81は、図1及び図3に示すように、底板40の上に略平行に(略水平に)重ねられて配置された状態で、底板40に固定されている。支持部材80の第二支持部82は、図1に示すように、後板20の第一後板部21の近傍に配置されており、図4に示すように、第一支持部81の上に配置された(全てパーツが揃っている場合の)積層体Pの高さと略同じ高さまで鉛直上方に立ち上がるように構成されている。
【0042】
支持部材80の第一支持部81及び第二支持部82は、700N/mm以上の曲げ剛性を有している。このように第一支持部81及び第二支持部82の曲げ剛性を特定の値(700N/mm以上)に設定するため、積載時における支持部材80の変形や破損を抑制することができ、断熱容器1が破損して容器内部の熱やガスが漏れることを抑制することができる。第一支持部81及び第二支持部82の曲げ剛性は、2500N/mm以上であることが好ましい。支持部材80の材料は、上記曲げ強度を実現させるものであればよく、例えば金属材料、木材、プラスチック、石、ゴム等を採用することができる。支持部材80は、多孔質構造を有してもよい。
【0043】
なお、断熱容器1は、ガス交換速度1回/時以下の気密性を有することが好ましい。このように特定の気密性を有する断熱容器1で荷物を包囲することにより、容器内のガス濃度(例えばCO2濃度)を制御することができる。従って、例えば荷物が青果物である場合には、青果物の呼吸を抑制して鮮度を維持することができる。
【0044】
次に、本実施形態に係る断熱容器1の使用方法について説明する。
【0045】
<輸送時>
本実施形態に係る断熱容器1を用いて荷物を所定の目的地に輸送する際には、まず、図1に示すように、所定の場所に配置した台座60の上に、断熱容器1を構成する底板40を配置して固定し、底板40の上に支持部材80の第一支持部81を配置して固定する。次いで、支持部材80の第一支持部81の上に、第二支持部82をガイドとして用いて荷物を積載し、その状態で、予冷庫で通風予冷を行う。
【0046】
次いで、断熱容器1を構成する下方前板12、後板20の第一後板部21及び下方側板32を、台座60の溝61・62・63に各々嵌合させて鉛直上方に立ち上げた後、上方前板11及び上方側板31を各々下方前板12及び下方側板32の上方に配置して荷物を四方から覆うようにし、面ファスナ70を用いて前板10、後板20及び側板30の縁部同士を相互に連結する。続いて、図2に示すように、前板10、後板20及び側板30の上方に天板50を配置し、面ファスナ70を用いて天板50を前板10、後板20及び側板30に連結して断熱容器1を密閉する。この後、冷蔵輸送車等を用いて、荷物を収納した断熱容器1を所定の目的地に輸送する。
【0047】
<保管時>
本実施形態に係る断熱容器1を用いて荷物を所定の目的地に輸送したら、まず断熱容器1の天板50を取り外し、その後、前板10及び側板30を台座60の溝61・63から各々取り外し、図4に示すように、前板10、側板30及び天板50からなる積層体Pを形成する。次いで、支持部材80の第一支持部81の上に、第二支持部82をガイドとして用いて積層体Pを積載する。このとき、支持部材80の第二支持部82の高さを、全てパーツが揃っている場合の積層体Pの高さに略一致させているため、積層体Pを構成する板の不足を目視で容易に認識することができる。
【0048】
続いて、図4に示すように、後板20の第二後板部22を第一後板部21に対して容器内側方向へと折り曲げて積層体Pの上方を覆い、さらに、後板20の第三後板部23を第二後板部22に対して容器内側方向へと折り曲げて積層体Pの前方を覆う。これにより、積層体(前板10、側板30、天板50)Pを確実に保護することができ、この状態で所定の場所で断熱容器1を保管するようにする。
【0049】
以上説明した実施形態に係る断熱容器1においては、断面略L字状の支持部材80の第一支持部81を、底板40に略平行に(略水平に)重ねて配置して、積載される荷物を支持することができる。この際、第一支持部81から略垂直に立ち上がる第二支持部82をガイドとして(すなわち第二支持部82に荷物の縁部を当接させながら)荷物を積載することができる。従って、積載時における荷物の位置ずれを抑制することができるので、積載作業の効率化をもたらすことができる。また、断面略L字状の支持部材80に荷物を載せたまま予冷庫で通風予冷を行うことができる。この際、他の側面を断熱材パネルで覆う必要がないため、予冷用の風が遮られることがなく、冷却効率を向上させることができる。さらに、荷物をフォークリフト等で移動させる際に、断面略L字状の支持部材80で荷物を支持することができるので、荷崩れを防止することができ、安全性の向上に寄与することができるとともに、フォークリフトのフォークを支持部材80で受けることができるため、荷物や容器の破損を防ぐことができる。
【0050】
また、以上説明した実施形態に係る断熱容器1においては、支持部材80を構成する第一支持部81及び第二支持部82の曲げ剛性を特定の値(700N/mm以上)に設定するため、積載時における支持部材80の変形や破損を抑制することができ、断熱容器1が破損して容器内部の熱やガスが漏れることを抑制することができる。
【0051】
また、以上説明した実施形態に係る断熱容器1においては、支持部材80の第二支持部82を、後板20の近傍に配置するとともに、第一支持部81の上に積層された積層体(前板10、側板30、天板50)Pの高さと略同じ高さまで鉛直上方に立ち上がるように構成することができる。従って、断熱容器1を分解し、前板10、側板30及び天板50からなる積層体Pを第一支持部81の上に配置して小容積化する際に、積層体Pの縁部を第二支持部82に当接させながら配置することができる。この結果、積層体Pの位置ずれを抑制することができ、小容積化作業の効率化に寄与することができる。また、第二支持部82の高さを、第一支持部81の上に配置した積層体Pの高さに略一致させているため、積層体Pを構成する板の不足を目視で容易に認識することができる。従って、パーツの紛失防止に寄与することができる。
【0052】
また、以上説明した実施形態に係る断熱容器1においては、前板10、側板30及び天板50からなる積層体Pを第一支持部81の上に配置した後に、後板20の第二後板部22を第一後板部21に対して容器内側方向へと折り曲げて積層体Pの上方を覆うことができ、さらに、後板20の第三後板部23を第二後板部22に対して容器内側方向へと折り曲げて積層体Pの前方を覆うことができる。従って、積層体(前板10、側板30、天板50)Pを確実に保護することができる。
【0053】
また、以上説明した実施形態に係る断熱容器1においては、前板10、後板20、側板30及び天板50の縁部同士を連結する面ファスナ70の幅を、特定の値(各縁部の長さの2%以上)に設定しているため、断熱容器1の断熱機能や気密性を維持することができ、断熱容器1から熱やガスが漏れることを抑制することができる。
【0054】
<第二実施形態>
次に、図5及び図6を用いて、本発明の第二実施形態に係る断熱容器1Aの構成について説明する。本実施形態における断熱容器1Aは、第一実施形態における後板20及び支持部材80の構成を変更したものであり、その他の構成については第一実施形態と実質的に同一である。このため、第一実施形態と異なる構成について主に説明することとし、第一実施形態と共通する構成については同一の符号を付して詳細な説明を省略することとする。
【0055】
本実施形態に係る断熱容器1Aは、図5に示すように、断熱材パネルからなる前板10、後板20A、左右一対の側板30、底板40及び天板50を備える略直方体状の断熱容器である。前板10、側板30、底板40及び天板50については、第一実施形態と実質的に同一であるので、詳細な説明を省略する。また、台座60についても詳細な説明を省略することとする。
【0056】
本実施形態における後板20Aは、図5に示すように、底板40に対して略垂直に配置された第一後板部21Aと、第一後板部21Aの底板40と反対側の縁部21Aaにフィルム24を介して連結され第一後板部21Aに対して容器内側方向へと折曲自在とされた第二後板部22Aと、を有している。第一後板部21Aは、台座60の上面に形成された溝62に嵌合されて、後述する支持部材80Aの第二支持部82Aと略同じ高さまで鉛直上方に立ち上がるように構成されている。第二後板部22Aは、第一後板部21Aと略同一の面積を有している。
【0057】
本実施形態における支持部材80Aは、剛性を有する材料で構成された平板状の第一支持部81Aと、剛性を有する材料で構成された平板状の第二支持部82Aと、が断面L字状に剛接合されて構成されている。本実施形態における支持部材80Aの第一支持部81Aは、図5及び図6に示すように、底板40の上に略平行に(略水平に)重ねられて配置された状態で、底板40に固定されている。支持部材80Aの第二支持部82Aは、図6に示すように、第一支持部81Aの上に配置された(全てパーツが揃っている場合の)積層体PAの高さと略同じ高さまで鉛直上方に立ち上がるように構成されている。本実施形態における積層体PAは、図6に示すように、前板10、側板30、天板50及び後板20Aからなるものであり、第一実施形態における積層体Pよりも高いものとなっている。支持部材80Aの第一支持部81A及び第二支持部82Aの曲げ強度は、第一実施形態と同様であるので、詳細な説明を省略する。
【0058】
次に、本実施形態に係る断熱容器1Aの使用方法について説明する。
【0059】
<輸送時>
本実施形態に係る断熱容器1Aを用いて荷物を所定の目的地に輸送する際には、まず、図1に示すように、所定の場所に配置した台座60の上に、断熱容器1Aを構成する底板40を配置して固定し、底板40の上に支持部材80Aの第一支持部81Aを配置して固定する。次いで、支持部材80Aの第一支持部81Aの上に、第二支持部82Aをガイドとして用いて荷物を積載し、その状態で、予冷庫で通風予冷を行う。
【0060】
次いで、断熱容器1Aを構成する下方前板12、後板20Aの第一後板部21A及び下方側板32を、台座60の溝61・62・63に各々嵌合させて鉛直上方に立ち上げた後、上方前板11及び上方側板31を各々下方前板12及び下方側板32の上方に配置して荷物を四方から覆うようにし、第一実施形態と同様の面ファスナ70(図2参照)を用いて前板10、後板20A及び側板30の縁部同士を相互に連結する。続いて、前板10、後板20A及び側板30の上方に天板50を配置し、面ファスナ70を用いて天板50を前板10、後板20A及び側板30に連結して断熱容器1Aを密閉する。この後、冷蔵輸送車等を用いて、荷物を収納した断熱容器1Aを所定の目的地に輸送する。
【0061】
<保管時>
本実施形態に係る断熱容器1Aを用いて荷物を所定の目的地に輸送したら、まず断熱容器1Aの天板50を取り外し、その後、前板10、後板20A及び側板30を台座60の溝61・62・63から各々取り外し、図6に示すように、前板10、後板20A、側板30及び天板50からなる積層体PAを形成する。次いで、支持部材80Aの第一支持部81Aの上に、第二支持部82Aをガイドとして用いて積層体PAを積載する。このとき、支持部材80Aの第二支持部82Aの高さを、全てパーツが揃っている場合の積層体PAの高さに略一致させているため、積層体PAを構成する板の不足を目視で容易に認識することができる。この状態で所定の場所で断熱容器1Aを保管するようにする。
【0062】
以上説明した実施形態に係る断熱容器1Aにおいては、断面略L字状の支持部材80Aの第一支持部81Aを、底板40に略平行に(略水平に)重ねて配置して、積載される荷物を支持することができる。この際、第一支持部81Aから略垂直に立ち上がる第二支持部82Aをガイドとして(すなわち第二支持部82Aに荷物の縁部を当接させながら)荷物を積載することができる。従って、積載時における荷物の位置ずれを抑制することができるので、積載作業の効率化をもたらすことができる。また、断面略L字状の支持部材80Aに荷物を載せたまま予冷庫で通風予冷を行うことができる。この際、他の側面を断熱材パネルで覆う必要がないため、予冷用の風が遮られることがなく、冷却効率を向上させることができる。さらに、荷物をフォークリフト等で移動させる際に、断面略L字状の支持部材80Aで荷物を支持することができるので、荷崩れを防止することができ、安全性の向上に寄与することができるとともに、フォークリフトのフォークを支持部材80Aで受けることができるため、荷物や容器の破損を防ぐことができる。
【0063】
また、以上説明した実施形態に係る断熱容器1Aにおいては、支持部材80Aを構成する第一支持部81A及び第二支持部82Aの曲げ剛性を特定の値(700N/mm以上)に設定するため、積載時における支持部材80の変形や破損を抑制することができ、断熱容器1が破損して容器内部の熱やガスが漏れることを抑制することができる。
【0064】
また、以上説明した実施形態に係る断熱容器1Aにおいては、支持部材80Aの第二支持部82Aを、後板20Aの近傍に配置するとともに、第一支持部81Aの上に積層された積層体(前板10、後板20A、側板30、天板50)PAの高さと略同じ高さまで鉛直上方に立ち上がるように構成することができる。従って、断熱容器1Aを分解し、前板10、後板20A、側板30及び天板50からなる積層体PAを第一支持部81Aの上に配置して小容積化する際に、積層体PAの縁部を第二支持部82Aに当接させながら配置することができる。この結果、積層体PAの位置ずれを抑制することができ、小容積化作業の効率化に寄与することができる。また、第二支持部82Aの高さを、第一支持部81Aの上に配置した積層体PAの高さに略一致させているため、積層体PAを構成する板の不足を目視で容易に認識することができる。従って、パーツの紛失防止に寄与することができる。
【0065】
また、以上説明した実施形態に係る断熱容器1Aにおいては、前板10、後板20A、側板30及び天板50の縁部同士を連結する面ファスナ70の幅を、特定の値(各縁部の長さの2%以上)に設定しているため、断熱容器1Aの断熱機能や気密性を維持することができ、断熱容器1Aから熱やガスが漏れることを抑制することができる。
【0066】
なお、以上の各実施形態においては、平板状の第一支持部81・81Aと第二支持部82・82Aとを断面L字状に剛接合することにより支持部材80・80Aを構成した例を示したが、例えば一枚の板状部材を折曲して断面L字状の支持部材を構成することもできる。また、第一支持部と第二支持部は必ずしも接合されていなくてもよく、例えば第一支持部となる一方の板部材と、第二支持部となる他方の板部材と、を接触させることにより断面L字状の支持部材を構成してもよい。
【0067】
また、以上の各実施形態においては、前板10、側板30及び天板50を相互に分離させた状態で、支持部材80・80Aの第一支持部81A・81Aの上に積層して積層体P・PAを構成した例を示したが、前板10と側板30(上方前板11と上方側板31、下方前板12と下方側板32)をヒンジ等で連結した状態で折り畳んで積層体を構成してもよい。
【0068】
また、以上の各実施形態においては、支持部材80・80Aの第一支持部81・81Aを底板40の上に配置した例を示したが、第一支持部81・81Aを底板40の下に配置してもよい。かかる場合には、底板40の上に積層体P・PAが配置されることとなるため、第二支持部82・82Aを、底板40の上に配置された積層体P・PAの高さと略同じ高さまで鉛直上方に立ち上がるように構成する。また、第一支持部81・81Aで底板の少なくとも一部を兼ねるようにすることもできる。
【0069】
また、以上の各実施形態においては、支持部材80・80Aの第二支持部82・82Aを後板20・20Aの近傍に配置した例を示したが、第二支持部82・82Aで後板の少なくとも一部(例えば第一後板部)を兼ねるようにすることもできる。
【0070】
また、以上の各実施形態においては、平板状の第一支持部と第二支持部とを有する支持部材を採用した例を示したが、図7A及び図7Bに示すように、底板40に平行に配置される第一支持部81及び後板20の近傍に配置される第二支持部82に加えて、一方の側板30の近傍に配置される平板状の第三支持部83を有する支持部材80Bを採用することもできる。第三支持部83は、第一支持部81及び第二支持部82と同様に剛性を有する(例えば700N/mm以上の曲げ剛性を有する)材料で構成することができる。また、第三支持部83を側板30の近傍に配置する代わりに、第三支持部83で側板30の少なくとも一部(例えば下方側板32)を兼ねるようにすることもできる。
【0071】
かかる構成を採用すると、側板30の近傍に配置される(又は側板30の少なくとも一部を兼ねる)第三支持部83をガイドとして(すなわち第三支持部83に荷物の縁部を当接させながら)荷物を積載することができる。従って、積載時における荷物の位置ずれをさらに効果的に抑制することができるので、積載作業の一層の効率化をもたらすことができる。また、支持部材80Bを構成する第三支持部83の曲げ剛性を特定の値(700N/mm以上)に設定することにより、積載時における支持部材80Bの変形や破損を抑制することができ、断熱容器が破損して容器内部の熱やガスが漏れることを抑制することができる。
【0072】
本発明は、以上の各実施形態に限定されるものではなく、これら実施形態に当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。すなわち、前記各実施形態が備える各要素及びその配置、材料、条件、形状、サイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、前記各実施形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0073】
1・1A…断熱容器
10…前板
20・20A…後板
21・21A…第一後板部
22・22A…第二後板部
23…第三後板部
30…側板
40…底板
50…天板
70…面ファスナ
80・80A・80B…支持部材
81・81A…第一支持部
82・82A…第二支持部
83…第三支持部
P・PA…積層体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B