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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-29
(45)【発行日】2024-03-08
(54)【発明の名称】加熱調理器及び加熱調理システム
(51)【国際特許分類】
   F24C 3/12 20060101AFI20240301BHJP
   F24C 7/04 20210101ALI20240301BHJP
   H05B 6/12 20060101ALI20240301BHJP
【FI】
F24C3/12 E
F24C7/04 301A
H05B6/12 303
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019193660
(22)【出願日】2019-10-24
(65)【公開番号】P2021067411
(43)【公開日】2021-04-30
【審査請求日】2022-08-23
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】水野 達彦
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 裕康
(72)【発明者】
【氏名】柘植 真吾
【審査官】西村 賢
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-245728(JP,A)
【文献】特開2006-344453(JP,A)
【文献】特開2019-074252(JP,A)
【文献】特開2015-068542(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 3/00- 7/06
H05B 6/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方に載置される被調理物を加熱する複数の加熱部と、各加熱部の作動制御を行う制御装置であり、各加熱部の発熱量の経時変化を自動的に制御する自動調理運転を各加熱部毎に実行し得る制御装置とを備えており、
前記制御装置は、
前記複数の加熱部のうちのいずれかの加熱部である第1対象加熱部で前記自動調理運転を開始させたとき、該第1対象加熱部の上方に載置された被調理物の外形を示す情報を含む該被調理物の特徴情報を取得して記憶保持する第1処理と、
前記第1対象加熱部での自動調理運転の実行中に、前記被調理物の載置箇所が前記第1対象加熱部の上方から他の加熱部の上方に変更されることに起因して発生可能な事象の発生の有無を監視し、該事象の発生を検知したとき、前記第1対象加熱部での自動調理運転の進行状況を示す調理進行情報を記憶保持する第2処理と、
前記事象の発生の検知後、前記複数の加熱部のうちのいずれかの加熱部である第2対象加熱部の作動が開始されたとき、該第2対象加熱部の上方の被調理物に関して取得した特徴情報と、前記第1処理で記憶保持した特徴情報とに基づいて、該第2対象加熱部の上方の被調理物が前記第1処理で記憶保持した特徴情報に対応する被調理物と同一であるか否かを判断する第3処理と、
該第3処理の判断結果が肯定的である場合に、前記第2処理で記憶保持した調理進行情報に基づいて、前記第1対象加熱部で実行した自動調理運転に続く自動調理運転を、前記第2対象加熱部で続行させるように該第2対象加熱部の作動制御を行う第4処理とを実行する機能を有するように構成されていると共に、
前記第3処理の判断結果が否定的である場合には、自動調理運転を続行するか否かをユーザに問い合わせる処理を実行し、さらに、自動調理運転を続行するための所定の操作が、ユーザにより所定時間内になされたか否かを判断し、当該判断の結果が肯定的である場合に、前記第2処理で記憶保持した調理進行情報に基づいて、前記第1対象加熱部で実行した自動調理運転に続く自動調理運転を、前記第2対象加熱部で続行させるように該第2対象加熱部の作動制御を行う機能を有するように構成されていることを特徴とする加熱調理器。
【請求項2】
請求項1記載の加熱調理器において、
前記制御装置は、前記各加熱部の上方に載置される被調理物を撮影可能に設けられた撮影装置から撮影映像を取得可能であり、前記第1処理及び前記第4処理において、前記撮影装置から取得した撮影映像に基づいて、前記第1対象加熱部及び前記第2対象加熱部のそれぞれの上方に載置された被調理物の特徴情報を取得するように構成されていることを特徴とする加熱調理器。
【請求項3】
請求項1又は2記載の加熱調理器において、
前記制御装置は、前記各加熱部の上方に被調理物が載置されているか否かを検知する機能を有しており、前記第2処理で検知する前記事象は、前記第1対象加熱部の上方から被調理物が除去されたことが検知され、且つ、該第1対象加熱部以外の加熱部の上方に被調理物が新たに載置されたことが検知されるという事象を含むことを特徴とする加熱調理器。
【請求項4】
請求項1~のいずれか1項に記載の加熱調理器において、
前記各加熱部の上方に載置される被調理物の温度を検出可能な温度センサを備えており、
前記制御装置が前記第2処理で記憶保持する前記調理進行情報は、前記事象が検知されたときに前記第1対象加熱部の上方の被調理物に関して前記温度センサにより検出された温度の検出値を含み、
前記制御装置は、前記第4処理において、前記第2対象加熱部の発熱量を、前記記憶保持した調理進行情報に含まれる前記温度の検出値に応じて変化させるように、前記第1対象加熱部で実行した自動調理運転に続く自動調理運転を、前記第2対象加熱部で続行させるように構成されていることを特徴とする加熱調理器。
【請求項5】
請求項1~のいずれか1項に記載の加熱調理器において、
前記制御装置は、前記第1対象加熱部で開始した自動調理運転による全工程の調理が完了したとき、前記第1処理で記憶保持した前記被調理物の特徴情報と前記第4処理で記憶保持した調理進行情報とを消去するように構成されていることを特徴とする加熱調理器。
【請求項6】
請求項記載の加熱調理器と前記撮影装置とを備える加熱調理システムであって、
前記撮影装置は、前記加熱調理器の上方に設置されていることを特徴とする加熱調理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動調理運転を行い得る加熱調理器及び加熱調理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、被調理物を加熱する加熱部の発熱量の変化を所要のシーケンスで自動的に制御することで、様々なレシピの自動調理を行い得る加熱調理器が知られている(例えば特許文献1)。なお、本明細書では、「被調理物」は、調理容器とその内部に投入される調理具材とを含む物を意味する。
【0003】
また、特許文献2には、RFIDタグを搭載した調理容器を用いると共に、加熱調理器にRFIDタグのデータの読み書きを行い得るリーダ/ライタを備えたシステムが提案されている。このシステムでは、自動調理運転時に、調理の進行状況を示す情報(タイムスタンプ等)をRFIDタグに記録し、自動調理運転の途中で調理容器の載置箇所を移し替えても、自動調理運転を途中から続行できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-3244号公報
【文献】特表2006-517334号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
複数の加熱部を上面に有する加熱調理器(ガスコンロ、IHクッキングヒータ等)では、自動調理運転の実行途中で、調理作業のしやすさ等の観点に基づくユーザの希望により、使用する加熱部を必要に応じて変更できる(ひいては、被調理物の載置箇所を変更できる)と共に、その変更後に自動調理運転を途中から続行し得ることが望まれる。そして、かかる要望を実現し得る技術として、前記特許文献2に見られる技術が知られている。
【0006】
しかしながら、特許文献2に見られるシステムは、RFIDタグを搭載した調理容器と、RFIDタグのデータのリーダ/ライタを備えた加熱調理器とが必要になるため、高価なものとなりやすいと共に、利用し得る調理容器が限定されてしまうため、利便性が低下してしまう。
【0007】
本発明はかかる背景に鑑みてなされたものであり、自動調理運転の途中で被調理物を加熱する加熱部を変更することと該変更後に自動調理運転を続行させることとを、専用的な調理容器を必要とせずに適切に実現することができると共に利便性の高い加熱調理器及び加熱調理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の加熱調理器は、上記の目的を達成するために、上方に載置される被調理物を加熱する複数の加熱部と、各加熱部の作動制御を行う制御装置であり、各加熱部の発熱量の経時変化を自動的に制御する自動調理運転を各加熱部毎に実行し得る制御装置とを備えており、
前記制御装置は、
前記複数の加熱部のうちのいずれかの加熱部である第1対象加熱部で前記自動調理運転を開始させたとき、該第1対象加熱部の上方に載置された被調理物の外形を示す情報を含む該被調理物の特徴情報を取得して記憶保持する第1処理と、
前記第1対象加熱部での自動調理運転の実行中に、前記被調理物の載置箇所が前記第1対象加熱部の上方から他の加熱部の上方に変更されることに起因して発生可能な事象の発生の有無を監視し、該事象の発生を検知したとき、前記第1対象加熱部での自動調理運転の進行状況を示す調理進行情報を記憶保持する第2処理と、
前記事象の発生の検知後、前記複数の加熱部のうちのいずれかの加熱部である第2対象加熱部の作動が開始されたとき、該第2対象加熱部の上方の被調理物に関して取得した特徴情報と、前記第1処理で記憶保持した特徴情報とに基づいて、該第2対象加熱部の上方の被調理物が前記第1処理で記憶保持した特徴情報に対応する被調理物と同一であるか否かを判断する第3処理と、
該第3処理の判断結果が肯定的である場合に、前記第2処理で記憶保持した調理進行情報に基づいて、前記第1対象加熱部で実行した自動調理運転に続く自動調理運転を、前記第2対象加熱部で続行させるように該第2対象加熱部の作動制御を行う第4処理とを実行する機能を有するように構成されていることを基本構成とする
そして、本発明の第1の態様では、前記第2処理で検知する前記事象は、前記第1対象加熱部の作動を停止させる操作がユーザによりなされるという事象を含んでおり、
前記制御装置は、前記第1対象加熱部の作動を停止させる操作がユーザによりなされるという事象が前記第2処理で検知された後、前記第4処理を実行するとき、前記第1対象加熱部の作動停止後に作動が開始された前記第2対象加熱部が、前記第1対象加熱部と一致する場合と異なる場合とのいずれの場合でも、前記第2処理で記憶保持した調理進行情報に基づいて、前記第1対象加熱部で実行した自動調理運転に続く自動調理運転を、前記第2対象加熱部で続行させるように該第2対象加熱部の作動制御を行うように構成されていることを特徴とする(第1発明)。
また、本発明の第2の態様では、前記制御装置は、前記第3処理の判断結果が否定的である場合には、自動調理運転を続行するか否かをユーザに問い合わせる処理を実行し、さらに、自動調理運転を続行するための所定の操作が、ユーザにより所定時間内になされたか否かを判断し、当該判断の結果が肯定的である場合に、前記第2処理で記憶保持した調理進行情報に基づいて、前記第1対象加熱部で実行した自動調理運転に続く自動調理運転を、前記第2対象加熱部で続行させるように該第2対象加熱部の作動制御を行う機能を有するように構成されていることを特徴とする(第2発明)。
【0009】
かかる本発明によれば、第1対象加熱部での自動調理運転の実行中に、被調理物の載置箇所が第1対象加熱部の上方から他の加熱部としての第2対象加熱部の上方に変更され、さらに該第2対象加熱部の作動が開始された場合には、前記第3処理の判断結果が肯定的になることで、第1対象加熱部での自動調理運転に続いて、第2対象加熱部で自動調理運転が続行される。
【0010】
また、この場合、前記第3処理では、被調理物の外形を示す情報を含む該被調理物の特徴情報に基づいて、第2対象加熱部の上方の被調理物が前記第1処理で記憶保持した特徴情報に対応する被調理物(すなわち第1対象加熱部により加熱されていた被調理物)と同一であるか否かが判断されるので、被調理物の調理容器が専用的な調理容器でなくとも、様々な種類の調理容器に対して第3処理での判断を適切に行い得る。ひいては、第1対象加熱部で加熱した被調理物と異なる被調理物に対して自動調理運転が続行されてしまうのを防止できる。
【0011】
従って、前記基本構成を有する本発明によれば、自動調理運転の途中で被調理物を加熱する加熱部を変更することと該変更後に自動調理運転を続行させることとを、専用的な調理容器を必要とせずに適切に実現することができる
さらに、第1発明によれば、第1対象加熱部での自動調理運転の実行中に、被調理物の載置箇所が第1対象加熱部の上方から他の加熱部としての第2対象加熱部の上方に変更された場合だけでなく、第1対象加熱部の作動を一時的に中断し、その後、第1対象加熱部を第2対象加熱部として使用して、自動調理運転を続行することも可能となる。
【0012】
上記基本構成を有する本発明では、前記制御装置は、前記各加熱部の上方に載置される被調理物を撮影可能に設けられた撮影装置から撮影映像を取得可能であり、前記第1処理及び前記第4処理において、前記撮影装置から取得した撮影映像に基づいて、前記第1対象加熱部及び前記第2対象加熱部のそれぞれの上方に載置された被調理物の特徴情報を取得するように構成されていることが好ましい(第発明)。
【0013】
これによれば、撮影装置を使用した簡易な構成で、前記第3処理の判断を高い信頼性で行う上で適切な特徴情報(被調理物の特徴情報)を容易に取得することが可能となる。
【0016】
上記基本構成を有する本発明では、前記制御装置は、前記各加熱部の上方に被調理物が載置されているか否かを検知する機能を有しており、前記第2処理で検知する前記事象は、前記第1対象加熱部の上方から被調理物が除去されたことが検知され、且つ、該第1対象加熱部以外の加熱部の上方に被調理物が新たに載置されたことが検知されるという事象を含み得る(第4発明)。
【0017】
これによれば、第1対象加熱部での自動調理運転の実行中に、被調理物の載置箇所が第1対象加熱部の上方から他の加熱部としての第2対象加熱部の上方に変更された場合は、上記事象の発生が検知されるので、第1対象加熱部と異なる第2対象加熱部での自動調理運転を続行させることを高い信頼性で実現できる。
【0018】
上記基本構成を有する本発明では、前記各加熱部の上方に載置される被調理物の温度を検出可能な温度センサを備えており、前記制御装置が前記第2処理で記憶保持する前記調理進行情報は、前記事象が検知されたときに前記第1対象加熱部の上方の被調理物に関して前記温度センサにより検出された温度の検出値を含み、前記制御装置は、前記第4処理において、前記第2対象加熱部の発熱量を、前記記憶保持した調理進行情報に含まれる前記温度の検出値に応じて変化させるように、前記第1対象加熱部で実行した自動調理運転に続く自動調理運転を、前記第2対象加熱部で続行させるように構成されていることが好ましい(第5発明)。
【0019】
これによれば、第2対象加熱部での自動調理運転が続行されるときに、第1対象加熱部での自動調理運転で最終的に得られた被調理物の温度を反映させて、第2対象加熱部の発熱量を制御することができるので、自動調理運転を単一の加熱部を使用して連続的に実行した場合と同様の態様で、被調理物の自動調理を完遂することが可能となる。
【0020】
上記基本構成を有する本発明では、前記制御装置は、前記第1対象加熱部で開始した自動調理運転による全工程の調理が完了したとき、前記第1処理で記憶保持した前記被調理物の特徴情報と前記第4処理で記憶保持した調理進行情報とを消去するように構成されていることが好ましい(第6発明)。
【0021】
これによれば、第1処理で記憶保持した被調理物の特徴情報や、第4処理で記憶保持した調理進行情報が、次回の自動調理運転で誤って使用されるようなことが発生するのを防止できる。また、被調理物の特徴情報や、調理進行情報を記憶するためのメモリの記憶領域を必要最低限に留めることができる。
【0022】
また、本発明の加熱調理システムは、前記第発明の加熱調理器と、前記撮影装置とを備える加熱調理システムとして構成され得る。この場合、前記撮影装置は、前記加熱調理器の上方に設置されていることが好ましい(第7発明)。
【0023】
これによれば、単一の撮影装置を用いて、加熱調理器の複数の加熱部のそれぞれに関して、上方に載置される被調理物を撮影することが可能となる。このため、本発明の加熱調理器と同様の効果を奏し得る本発明の加熱調理システムを安価に構築できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の実施形態の加熱調理システムの全体構成を示す図。
図2図1に示す加熱調理器の制御処理に関する構成を示すブロック図。
図3図2に示す制御装置の処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の一実施形態を、図1図3を参照して以下に説明する。図1及び図2を参照して、本実施形態の加熱調理システム1は、加熱調理器2と、加熱調理器2をその上方から撮影する撮影装置としてのカメラ31とを備える。加熱調理器2は、本実施形態では、例えばガスコンロであり、被調理物(調理具材及び調理容器を含む)を加熱する燃焼式の加熱部として、加熱調理器2の上面の複数個所、例えば、左前部、右前部、及び後中央部にそれぞれ配置された3つのコンロバーナ5を備えると共に、各コンロバーナ5毎にその周囲を囲むように配置された五徳6を備える。また、加熱調理器2の前面で開閉可能に該加熱調理器2の筐体内に形成されたグリル庫7に、グリルバーナ8(図2に示す)が配置されている。
【0026】
各コンロバーナ5の中心部には、それぞれで加熱される被調理物の温度(詳しくは、調理容器の温度)を検出する温度センサ21が設けられている。該温度センサ21は、対応するコンロバーナ5の周囲の五徳6上に調理容器が載置された場合に、該調理容器の底面に接すると共に、押し下げられるように設けられている。また、図示は省略するが、グリル庫7には、庫内温度を検出する温度センサが設けられている。
【0027】
加熱調理器2の前面には、各コンロバーナ5の点火、消火及び火力調整を行うための操作ボタン11が各コンロバーナ5毎に設けられている共に、グリルバーナ8の点火、消火及び火力調整を行うための操作ボタン14が設けられている。
【0028】
この場合、例えば、各操作ボタン11の押し操作により、対応するコンロバーナ5の点火又は消火が行われ、各操作ボタン11の回転操作により、対応するコンロバーナ5の火力調整が行われる。同様に、操作ボタン14の押し操作により、グリルバーナ8の点火又は消火が行われ、操作ボタン14の回転操作により、グリルバーナ8の火力調整が行われる。なお、各コンロバーナ5及びグリルバーナ8のそれぞれの点火及び消火用の操作部と、火力調整用の操作部とは各別の操作部であってもよい。
【0029】
加熱調理器2の前面には、さらに、プッシュオープン式のコンロ操作部12とグリル操作部15とが設けられている。この場合、コンロ操作部12を押し操作すると該コンロ操作部12が開いてコンロ操作パネル13が操作可能に露出するようになっている。詳細な図示は省略するが、コンロ操作パネル13は、各コンロバーナ5を使用した様々な自動調理運転に関する操作スイッチ等の複数の操作スイッチを含むと共に、各コンロバーナ5の作動等に関する様々な情報を表示する表示器を含む。
【0030】
また、グリル操作部15を押し操作すると該グリル操作部15が開いてグリル操作パネル16が操作可能に露出するようになっている。詳細な図示は省略するが、グリル操作パネル16は、グリルバーナ8を使用した様々な自動調理運転に関する操作スイッチ等の複数の操作スイッチを含むと共に、グリルバーナ8の作動等に関する様々の情報を表示する表示器を含む。
【0031】
カメラ31は、本実施形態では、加熱調理器2の上方に設置されているレンジフード30に取付けられている。該カメラ31は、加熱調理器2の上面のほぼ全体を、上方から撮影し得るようにレンジフード30に取付けられている。そして、カメラ31は、撮影映像を無線通信で、加熱調理器2の後述の制御装置20に送信し得るように構成されている。
【0032】
なお、カメラ31の撮影映像は、静止画及び動画のいずれであってもよい。また、カメラ31は、加熱調理器2の側方の壁等に取付けられていてもよい。また、カメラ31は、撮影映像を加熱調理器2に有線で送信し得るように該加熱調理器2に接続されていてもよい。
【0033】
加熱調理器2は、さらに図2に示すように、加熱調理器2の全体の作動制御(各コンロバーナ5及びグリルバーナ8の作動制御を含む)を行う機能を有する制御装置20を備える。また、加熱調理器2は、前記温度センサ21の他、各コンロバーナ5の配置箇所に被調理物が有るか否かを検知する被調理物検知センサ22を含む複数のセンサが備えられている。被調理物検知センサ22は、例えば、各コンロバーナ5の配置箇所の温度センサ21の押し下げの有無を検知することで、被調理物の有無を検知するように構成され得る。
【0034】
ただし、被調理物検知センサ22は、各コンロバーナ5に対応する五徳6上に載置される被調理物の有無を検知し得るものであれば、他の方式のセンサであってもよい。また、制御装置20が、カメラ31の撮影映像に基づいて、各コンロバーナ5の配置箇所に被調理物が有るか否かを検知することも可能である。この場合には、被調理物検知センサ22を省略し得る。
【0035】
制御装置20は、例えばマイクロコンピュータ、メモリ(RAM、ROM等)、インターフェース回路等を含む電子回路ユニットにより構成される。この制御装置20には、加熱調理器2に備えられた複数のセンサ(前記温度センサ21及び被調理物検知センサ22を含む)の検出信号と操作ボタン11,14及び操作パネル13,16のそれぞれの操作信号とが入力される。また、制御装置20は、カメラ31との通信を行うことが可能であり、該カメラ31から適宜、撮影映像を取得することが可能である。
【0036】
そして、制御装置20は、実装されたハードウェア構成及びプログラム(ソフトウェア構成)の両方又は一方により実現される機能として、各コンロバーナ5及びグリルバーナ8のそれぞれの作動制御(詳しくは、点火、消火、火力調整に係る作動制御)を行う機能、操作パネル13,16の表示制御を行う機能等を有する。なお、各コンロバーナ5及びグリルバーナ8のそれぞれの作動制御(燃焼運転制御)は、より詳しくは、各コンロバーナ5及びグリルバーナ8のそれぞれに対応する図示しない燃料供給路に設けられた開閉弁及び火力調整弁、並びに、図示しない点火装置の作動制御を通じてなされる。
【0037】
また、制御装置20には、後述する被調理物情報及び調理進行情報を記憶保持する記憶部20aが備えられている。補足すると、制御装置20は、スマートフォン、タブレット端末、フィーチャーフォン等の通信端末と通信を行い得るように構成されていてもよい。この場合、操作パネル13,16で実行可能な操作と同様の操作を通信端末で行うことも可能である。
【0038】
次に、コンロバーナ5のいずれかを使用した自動調理を加熱調理器2で実行する場合の作動を説明する。この場合、制御装置20は、図3のフローチャートに示す処理を実行する。
【0039】
STEP1において、制御装置20は、自動調理運転の開始操作がなされたか否かの判断処理を、その判断結果が肯定的になるまで繰り返す。ここで、ユーザは、コンロバーナ5のいずれかを使用した自動調理運転を加熱調理器2に実行させようとするとき、その自動調理運転を開始するための所定の操作(メニューの選択操作、調理条件の設定操作等)をコンロ操作パネル13で実行し、あるいは、制御装置20と通信可能な通信端末(図示せず)で実行する。これに応じて、STEP1の判断結果が肯定的になる。
【0040】
STEP1の判断結果が肯定的になると、制御装置20は、次に、STEP2において、自動調理運転で使用するコンロバーナ5(以降、第1対象コンロバーナ5ということがある)の点火操作がなされたか否か(換言すれば、該第1対象コンロバーナ5の燃焼運転が開始したか否か)を判断する判断処理を、その判断結果が肯定的になるまで繰り返す。なお、第1対象コンロバーナ5は、本発明における第1対象加熱部に相当する。
【0041】
ここで、ユーザが第1対象コンロバーナ5に対応する操作ボタン11の押し操作を行うことで、制御装置20は点火制御処理(点火装置を作動させつつ、第1対象コンロバーナ5に燃料を供給する制御処理)を実行し、これにより、該第1対象コンロバーナ5を点火させる。これに応じて、STEP2の判断結果が肯定的になる。
【0042】
STEP2の判断結果が肯定的になると、制御装置20は、次に、STEP3において、カメラ31の撮影映像に基づいて、第1対象コンロバーナ5の箇所の五徳6上に載置された被調理物の特徴情報としての被調理物情報を取得する。より詳しくは、制御装置20は、カメラ31から撮影映像を取得し、この撮影映像から、第1対象コンロバーナ5の上方の被調理物の画像を特定する。そして、制御装置20は、被調理物の画像から、例えば被調理物の調理容器の外形状及びサイズを示す外形情報を、被調理物情報として取得する。
【0043】
なお、被調理物情報には、調理容器の取っ手、又は該調理容器の蓋の取っ手の形状やサイズを示す情報を含み得る。また、カメラ31の撮影映像がカラー映像である場合には、調理容器やその蓋の色情報が被調理物情報に含まれ得る。また、被調理物情報は、例えば被調理物の外形の輪郭画像であってもよい。
【0044】
次いで、STEP4において、制御装置20は、記憶部20aに既に記憶保持されている被調理物情報が有るか否かを判断する。ここで、自動調理運転の開始直後は、記憶部20aに被調理物情報はまだ記憶保持されておらず、STEP4の判断結果が否定的になる。この場合には、制御装置20は、次に、STEP5において、STEP3で取得した被調理物情報を記憶部20aに記憶保持させると共に、実質的な自動調理運転(第1対象コンロバーナ5の火力の経時変化を自動調理のメニューに応じた態様で自動制御する運転)を開始させる。
【0045】
次いで、STEP8において、制御装置20は、現在実行中の自動調理運転を強制的に終了させるための所定の操作(コンロ操作パネル13での操作、又は制御装置20と通信可能な通信端末での操作)がユーザによりなされたか否かを判断する。
【0046】
このSTEP8の判断結果が否定的である場合には、制御装置20は、STEP9において、第1対象コンロバーナ5の消火操作(第1対象コンロバーナ5に対応する操作ボタン11の押し操作)がなされたか否かを該操作ボタン11の操作信号に基づき判断する。そして、このSTEP9の判断結果が否定的である場合には、制御装置20はさらに、STEP10において、自動調理運転の対象の被調理物の載置箇所が、該被調理物を加熱する運転を行っていた第1対象コンロバーナ5上の箇所から、他のコンロバーナ5上の箇所に変更されたか否を、被調理物検知センサ22の検出信号に基づいて判断する。
【0047】
このSTEP10では、より詳しくは、制御装置20は、第1対象コンロバーナ5上の箇所から被調理物が除去され、且つ、他のコンロバーナ5上の箇所に被調理物が新たに載置されるという事象が発生したか否かを、被調理物検知センサ22の検出信号に基づき判断する。
【0048】
ここで、自動調理運転のために使用するコンロバーナ5を、現在使用中の第1対象コンロバーナ5から、調理作業をより行いやすいコンロバーナ5に変更したい、もしくは、最大火力がより大きいにコンロバーナ5に変更したい、あるいは、最大火力がより小さいコンロバーナ5に変更したい、あるいは、使用中の第1対象コンロバーナ5を別の調理に使用したい等のユーザの要求に起因して、自動調理運転の途中において、ユーザが被調理物の載置箇所を、現在使用中の第1対象コンロバーナ5上の箇所から、他のコンロバーナ5上の箇所に変更する(移し替える)場合がある。
【0049】
そして、この移し替えを行うときは、多くの場合、ユーザは、第1対象コンロバーナ5の消火操作を行った上で、他のコンロバーナ5上の箇所に、被調理物の載置箇所を移し替える。ただし、被調理物の載置箇所の移し替えを行った後に、自動調理運転で使用していた第1対象コンロバーナ5の消火操作を行ったり、あるいは、被調理物の載置箇所の移し替えを行った後に、自動調理運転で使用していた第1対象コンロバーナ5の燃焼運転を継続したままで、該第1対象コンロバーナ5上の箇所に他の被調理物を載置する場合もあり得る。
【0050】
従って、自動調理運転による調理対象の被調理物の載置箇所の移し替えを行った場合には、STEP9又はSTEP10の判断結果が肯定的になる。本実施形態では、STEP9又は10の判断結果が肯定的になるという事象が、被調理物の載置箇所の変更に起因して発生可能な事象に相当するものである。
【0051】
補足すると、ユーザは、自動調理運転の途中において、調理具材や調味料の準備不足、あるいは、電話や訪問者等の突発的な用件の発生等に起因して、自動調理運転での第1対象コンロバーナ5の燃焼運転を一時的に中断すべく、該第1対象コンロバーナ5を消火させる場合もある。このような場合には、被調理物の移し替えがなされなくても、STEP9の判断結果が肯定的になる。
【0052】
上記STEP9,10の両方の判断結果が否定的である場合には、第1対象コンロバーナ5の燃焼運転が継続中であり、且つ、被調理物の載置箇所の移し替えがなされていない状況である。この場合には、制御装置20は、STEP12において、自動調理運転を継続し、さらにSTEP13において、自動調理運転による調理が完了したか否かを判断する。そして、このSTEP13の判断結果が否定的である場合には、制御装置20は、STEP8からの処理を繰り返す。
【0053】
また、自動調理運転による調理が完了して、STEP13の判断結果が肯定的になった場合、あるいは、ユーザが自動調理運転を終了する操作をしたことによって前記STEP8の判断結果が肯定的になった場合には、制御装置20は、次にSTEP17において、記憶部20aに記憶保持されている被調理物情報と調理進行情報とを消去し、自動調理運転を終了する。なお、調理進行情報は、以下に説明するSTEP11において、記憶部20aに記憶保持される情報である。
【0054】
前記STEP9,10のいずれかの判断結果が肯定的になると、STEP11において、調理進行情報を記憶部20aに記憶保持する。該調理進行情報は、STEP9又は10の判断結果が肯定的になった時点で、自動調理運転がどの工程まで進行したかを示す情報(自動調理運転の進行状況を示す情報)である。例えば、該調理進行情報は、自動調理運転の全行程のうちの、煮込み工程を、何分間まで実行したというような情報である。また、本実施形態では、該調理進行情報には、STEP9又は10の判断結果が肯定的になった時点で温度センサ21(第1対象コンロバーナ5の箇所の温度センサ21)により検出された温度(調理容器の温度)示す温度情報が含まれる。
【0055】
次いで、制御装置20は、STEP2において、被調理物が載置されたコンロバーナ5(被調理物検知センサ22により被調理物が載置されていることが検知されたコンロバーナ5)で、点火操作がなされたか否かを判断する処理を、自動調理運転の開始直後でのSTEP2の判断処理の場合と同様に実行する。
【0056】
ここで、STEP9又は10の判断結果が肯定的になった時点では、自動調理運転による被調理物の調理が未だ完了していないので、ユーザは、その後、被調理物の調理を完了させるために、該被調理物の載置箇所のコンロバーナ5の点火操作を行う。このとき、STEP2の判断結果が肯定的になる。以降、STEP9又は10の判断結果が肯定的になった後に、新たに点火されたコンロバーナ5を第2対象コンロバーナ5と称する。該第2対象コンロバーナ5は、本発明における第2対象加熱部に相当する。
【0057】
なお、本実施形態では、前記STEP9の判断結果が肯定的になる状況では、前記したように、被調理物の移し替えがなされていない場合(第1対象コンロバーナ5の燃焼運転を一時的に停止させた場合)もある。従って、第2対象コンロバーナ5は、第1対象コンロバーナ5と異なるとは限らず、同じである場合もあり得る。
【0058】
第2対象コンロバーナ5が点火されることによって、STEP2の判断結果が肯定的になると、制御装置20は、次に、STEP3において、被調理物情報(第2対象コンロバーナ5上の被調理物に関する被調理物情報)を取得する処理を、自動調理運転の開始直後でのSTEP3の処理と同様に実行し、さらに、前記したSTEP4の判断処理を実行する。
【0059】
この場合、自動調理運転の開始直後のSTEP5において、既に記憶部20aに被調理物情報が記憶保持されているので、STEP4の判断結果が肯定的になる。この場合には、制御装置20は、次にSTEP6において、STEP3で新たに取得した被調理物情報が、記憶部20aに記憶保持されている被調理物情報に一致するか否かを判断する。この判断処理は、換言すれば、第1対象コンロバーナ5上で加熱した被調理物と、第2対象コンロバーナ5上で加熱される被調理物とが同一であるか否かを判断する処理である。
【0060】
このSTEP6の判断結果が肯定的になる場合には、STEP9又10の直前で第1対象コンロバーナ5を使用した自動調理運転によって調理を行っていた被調理物が、第2対象コンロバーナ5を使用した調理を開始した被調理物と同じであるとみなし得る。この場合には、制御装置20は、次にSTEP7において、記憶部20aに記憶されている調理進行情報(STEP11で記憶保持された調理進行情報)に基づいて、残りの自動調理運転(STEP9又は10の判断結果が肯定的になった時点以後に実行されるべき自動調理運転)を、第2対象コンロバーナ5で再開する。
【0061】
この場合、制御装置20は、調理進行情報のうちの温度情報により示される温度(STEP9又は10の判断結果が肯定的になった時点での検出温度)を反映させた態様で、第2対象コンロバーナ5の燃焼量(発熱量)の変化を制御する。具体的には、制御装置20は、第2対象コンロバーナ5の箇所の温度センサ21による検出温度を、調理進行情報のうちの温度情報により示される温度まで上昇させるように第2対象コンロバーナ5の燃焼運転を行わせた上で、残りの自動調理運転を第2対象コンロバーナ5により実行する。その後、制御装置20は、前記したSTEP8からの処理を再び実行する。
【0062】
一方、自動調理運転の開始後、STEP9又は10の判断結果が肯定的になるまでに被調理物の調理容器内に投入された調理具材の量の変化等に起因して、STEP9又は10の判断結果が肯定的になった後に、あるいは、被調理物の調理容器の載置箇所を変更する際に、ユーザが、調理具材を入れる調理容器を、元の調理容器(STEP9又は10の判断結果が肯定的になる直前の被調理物の調理容器)から他の調理容器に変更する場合がある。このような場合には、STEP6の判断結果が否定的になる。また、STEP9又は10の判断結果が肯定的になる直前の被調理物の調理容器と、第2対象コンロバーナ5による加熱を開始した被調理物の調理容器とが同じであっても、該調理容器の蓋のずれ等に起因して、STEP6の判断結果が否定的になる場合もある。
【0063】
このようにSTEP6の判断結果が否定的になった場合には、制御装置20は、次にSTEP14において、自動調理運転を続行するか否かを、コンロ操作パネル13の表示部での表示や、音声案内等により、ユーザに問合せる。さらに、制御装置20は、STEP15において、自動調理運転を続行するための所定の操作(コンロ操作パネル13での操作、あるいは、制御装置20と通信可能な通信端末での操作)が、ユーザにより所定時間内になされたか否かを判断する。
【0064】
そして、STEP15の判断結果が肯定的になった場合には、ユーザが自動調理運転の続行を望んでいる状況であるので、制御装置20は、STEP16において、新たに被調理物情報を記憶部20aに記憶し、さらに、前記したSTEP7からの処理を実行する。これにより、残りの自動調理運転が再開される。なお、この場合、調理容器が第1対象コンロバーナ5により加熱していた調理容器と異なっている場合があるため、調理進行情報の温度情報によらずに、自動調理運転を再開してもよい。
【0065】
また、STEP15の判断結果が否定的になった場合には、制御装置20は、前記したSTEP17において、記憶部20aに記憶保持されている被調理物情報と調理進行情報とを消去し、自動調理運転を終了する。
【0066】
本実施形態では、自動調理運転に係る制御装置20の制御処理が以上の如く実行される。補足すると、以上説明した実施形態では、STEP3,5の処理が本発明における第1処理に相当し、STEP9,10,11の処理が本発明における第2処理に相当し、STEP6の処理が本発明における第3処理に相当し、STEP7の処理が本発明における第4処理に相当する。
【0067】
以上説明した本実施形態によれば、自動調理運転の実行中に、使用するコンロバーナ5を変更すべく、被調理物の載置箇所を、第1対象コンロバーナ5上の箇所から第2対象コンロバーナ5上の箇所に移し替えても、自動調理運転を続行させることができる。この場合、STEP6において、第2対象コンロバーナ5上で加熱する被調理物が、第1対象コンロバーナ5上で加熱していた被調理物とが同一であると判断されることを必要条件として、自動調理運転を自動的に続行させるので、第1対象コンロバーナ5上で加熱していた被調理物と異なる被調理物に対して自動調理運転が続行されてしまうのを防止できる。
【0068】
また、STEP6の判断処理を、被調理物の外形情報を含む被調理物情報に基づいて行うので、汎用的な様々な調理容器を使用して、自動調理運転を上記の如く実行することができる。このため、利便性の高い加熱調理器2を提供できる。
【0069】
また、被調理物の特徴情報としての被調理物情報は、加熱調理器2の上方に設置した一台のカメラ31の撮影画像から容易に取得できるので、カメラ31を含めた加熱調理システム1を簡易で安価なものとすることができる。
【0070】
さらに、本実施形態では、被調理物の載置箇所を移し替えた場合に限らず、第1対象コンロバーナ5の燃焼運転を一時的に停止させた場合でも、該第1対象コンロバーナ5を再び点火させれば、自動調理運転を自動的に続行させることができる。さらに、自動調理運転の途中で、被調理物を入れる調理容器を変更した場合でも、ユーザが所定の自動調理続行操作を行うことで、自動調理運転を続行させることができる。従って、加熱調理器2の利便性を高めることができる。
【0071】
なお、以上説明した実施形態では、加熱調理器2として、ガスコンロを例示したが、本発明における加熱調理器は、例えばIHヒータや、電熱器を加熱部として有する加熱調理器であってもよい。また、前記実施形態では、被調理物の特徴情報を取得するために、カメラ31(撮影装置)の撮影映像を用いた、例えば、調理容器の外面の各所までの距離を計測な測距センサによる測距データを用いて被調理物の特徴情報を取得することも可能である。あるいは、該測距センサとカメラの撮影映像との両方を用いて、被調理物の特徴情報を取得してもよい。また、カメラを加熱部毎に備えてもよい。さらに、カメラは、可視光画像を取得し得るものに限らず、赤外線画像を取得し得るものであってもよい。
【0072】
また、前記実施形態では、STEP6の判断結果が否定的である場合に、STEP14,15の処理を実行したが、例えばSTEP14,15の処理を実行することなく、STEP17の処理を経て自動調理運転を終了するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0073】
1…加熱調理システム、2…加熱調理器、20…制御装置、31…カメラ(撮影装置)、21…温度センサ。
図1
図2
図3