(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-29
(45)【発行日】2024-03-08
(54)【発明の名称】情報処理装置、音声チャット制御方法および音声チャット制御プログラム
(51)【国際特許分類】
G10L 13/10 20130101AFI20240301BHJP
G06F 3/16 20060101ALI20240301BHJP
G10L 15/10 20060101ALI20240301BHJP
G10L 13/00 20060101ALI20240301BHJP
【FI】
G10L13/10 114
G06F3/16 650
G06F3/16 690
G06F3/16 540
G10L15/10 500Z
G10L13/00 100M
(21)【出願番号】P 2019202516
(22)【出願日】2019-11-07
【審査請求日】2022-10-31
(73)【特許権者】
【識別番号】598057291
【氏名又は名称】株式会社富士通エフサス
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】塩川 順
(72)【発明者】
【氏名】山野 大偉治
【審査官】冨澤 直樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-206197(JP,A)
【文献】国際公開第2018/030149(WO,A1)
【文献】特開2013-037097(JP,A)
【文献】特開2005-173636(JP,A)
【文献】特開2016-081079(JP,A)
【文献】特開2004-361766(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10L 13/00-13/10
G06F 3/16
G10L 15/00-15/34
B60K 25/00-28/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが顧客に対してメールによる返信を行う際に、前記ユーザとの間で音声チャットにより
チェックリストの質問のシナリオに従い前記質問を行って回答を受け付けるチャットボットと、前記ユーザとの対話に関する情報に基づいて、
前記質問ごとに前記ユーザについて眠気があるか否かを判定する判定部と、
前記ユーザについて眠気があると判定された場合、前記チャットボットの音声の特性を変更する変更部と、
を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記判定部は、前記チャットボットの質問終了時刻と、前記ユーザの回答終了時刻とに基づいて算出される回答時間の平均値と、閾値とを質問ごとに対応付けて記憶する記憶部を参照し、算出された前記回答時間が、前記平均値と前記閾値とに基づく第1の時間よりも長い場合、前記ユーザについて眠気があると判定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記音声の特性は、音の高さ、速度および音量のうち、1つまたは複数の特性である、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記変更部は、前記ユーザについて眠気があると判定された場合、前記音声の特性を、次の前記質問から、または、前記質問の途中で変更する、
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記変更部は、前記ユーザについて眠気があると判定された場合、複数の前記質問の間に、他の音声または音楽を挿入する、
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記判定部は、前記対話に関する情報として現在時刻を取得し、前記現在時刻が予め設定された深夜時間帯、もしくは、眠気発生時間帯である場合、前記ユーザについて眠気があると判定し、
前記変更部は、前記ユーザについて眠気があると判定された場合、前記チャットボットの音声について、前記深夜時間帯と異なる時間帯よりも音の高さを高く変更する、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
ユーザが顧客に対してメールによる返信を行う際に、前記ユーザとの間で音声チャットにより
チェックリストの質問のシナリオに従い前記質問を行って回答を受け付けるチャットボットと、前記ユーザとの対話に関する情報に基づいて、
前記質問ごとに前記ユーザについて眠気があるか否かを判定し、
前記ユーザについて眠気があると判定された場合、前記チャットボットの音声の特性を変更する、
処理をコンピュータが実行することを特徴とする音声チャット制御方法。
【請求項8】
ユーザが顧客に対してメールによる返信を行う際に、前記ユーザとの間で音声チャットにより
チェックリストの質問のシナリオに従い前記質問を行って回答を受け付けるチャットボットと、前記ユーザとの対話に関する情報に基づいて、
前記質問ごとに前記ユーザについて眠気があるか否かを判定し、
前記ユーザについて眠気があると判定された場合、前記チャットボットの音声の特性を変更する、
処理をコンピュータに実行させることを特徴とする音声チャット制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、音声チャット制御方法および音声チャット制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
サポートセンタ等におけるサポート業務では、顧客に対してメール等による返信を行うことが行われている。メール等の返信では、メールの内容的な問題、誤配信や添付資料の誤添付といったミスを防止するために、担当者がペアになってチェックを行っている。この様なチェック処理では、二交代制による深夜の作業や徹夜での作業において、集中力の低下や疲労などによって、チェックミスが発生する可能性がある。また、眠気が検出された場合に、誤操作を防止することができる電子機器が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
メール等の返信の際に、担当者がペアになってチェックを行うことに対して、ペアの一人をチャットボットに代替し、音声チャットによるチェックを行うことが考えられる。しかしながら、チャットボットは、例えば担当者が眠い場合に、質問に対して適当に対応したとしても、回答があればチェックが完了したものと扱ってしまう。このため、担当者が眠いままチェックを行ってしまい、ケアレスミスが発生する場合がある。
【0005】
一つの側面では、眠気によるケアレスミスを抑制することができる情報処理装置、音声チャット制御方法および音声チャット制御プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一つの態様では、情報処理装置は、判定部と、変更部とを有する。判定部は、ユーザとの間で音声チャットにより質問を行って回答を受け付けるチャットボットと、前記ユーザとの対話に関する情報に基づいて、前記ユーザについて眠気があるか否かを判定する。変更部は、前記ユーザについて眠気があると判定された場合、前記チャットボットの音声の特性を変更する。
【発明の効果】
【0007】
眠気によるケアレスミスを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施例の情報処理装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、チェック項目記憶部の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、回答時間テーブル記憶部の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、実施例の音声チャット制御処理の一例を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、音声チャット制御プログラムを実行するコンピュータの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面に基づいて、本願の開示する情報処理装置、音声チャット制御方法および音声チャット制御プログラムの実施例を詳細に説明する。なお、以下の実施例により、開示技術が限定されるものではない。また、以下の実施例は、矛盾しない範囲で適宜組みあわせてもよい。
【実施例】
【0010】
図1は、実施例の情報処理装置の構成の一例を示すブロック図である。情報処理装置100では、例えばサポートセンタの担当者であるユーザとの間で音声チャットを行うチャットボットが動作しており、チャットボットがユーザとの間で音声チャットにより質問を行って回答を受け付ける。情報処理装置100は、チャットボットと、ユーザとの対話に関する情報に基づいて、ユーザについて眠気があるか否かを判定する。情報処理装置100は、ユーザについて眠気があると判定した場合、チャットボットの音声の特性を変更する。これにより、情報処理装置100は、眠気によるケアレスミスを抑制することができる。
【0011】
図1に示すように、情報処理装置100は、通信部110と、表示部111と、操作部112と、入出力部113と、記憶部120と、制御部130とを有する。なお、情報処理装置100は、
図1に示す機能部以外にも既知のコンピュータが有する各種の機能部、例えば各種の入力デバイスや音声出力デバイス等の機能部を有することとしてもかまわない。
【0012】
通信部110は、例えば、NIC(Network Interface Card)等によって実現される。通信部110は、図示しないネットワークを介して、他の情報処理装置と有線または無線で接続され、他の情報処理装置との間で情報の通信を司る通信インタフェースである。通信部110は、例えば、他の情報処理装置からチェック項目データを受信する。通信部110は、受信したチェック項目データを制御部130に出力する。
【0013】
表示部111は、各種情報を表示するための表示デバイスである。表示部111は、例えば、表示デバイスとして液晶ディスプレイ等によって実現される。表示部111は、制御部130から入力された表示画面等の各種画面を表示する。
【0014】
操作部112は、情報処理装置100のユーザから各種操作を受け付ける入力デバイスである。操作部112は、例えば、入力デバイスとして、キーボードやマウス等によって実現される。操作部112は、ユーザによって入力された操作を操作情報として制御部130に出力する。なお、操作部112は、入力デバイスとして、タッチパネル等によって実現されるようにしてもよく、表示部111の表示デバイスと、操作部112の入力デバイスとは、一体化されるようにしてもよい。
【0015】
入出力部113は、マイク端子およびヘッドホン端子を有し、情報処理装置100のユーザが装着するヘッドセットが接続される。入出力部113は、ユーザのヘッドセットから入力される音声信号を音声データに変換して制御部130に出力する。また、入出力部113は、制御部130から入力される音声データを音声信号に変換してユーザのヘッドセットに出力する。
【0016】
記憶部120は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスクや光ディスク等の記憶装置によって実現される。記憶部120は、チェック項目記憶部121と、回答時間テーブル記憶部122とを有する。また、記憶部120は、制御部130での処理に用いる情報を記憶する。
【0017】
チェック項目記憶部121は、例えば、メール送信時のチェックリストにおけるチェック項目を記憶する。
図2は、チェック項目記憶部の一例を示す図である。
図2に示すように、チェック項目記憶部121は、「質問No.」、「チェック項目」、「回答」といった項目を有する。また、「回答」は、さらに「Yes」、「No」といった項目を有する。
【0018】
「質問No.」は、チェックリストの質問、つまりチェック項目を識別する識別子である。「チェック項目」は、チェックリストの質問の内容を示す情報である。「回答」欄の「Yes」は、当該チェック項目に対するユーザの回答がYesである場合における、次の質問No.を示す情報である。「回答」欄の「No」は、当該チェック項目に対するユーザの回答がNoである場合における、次の質問No.を示す情報である。例えば、質問No.「2」のチェック項目「ドメインとお客様名が一致するか?」というチャットボットの質問に対し、ユーザが「Yes」と回答した場合、質問No.「3」に移行する。一方、当該質問に対し、ユーザが「No」と回答した場合、質問No.「2-1」に移行する。つまり、「回答」欄の「Yes」、「No」は、ユーザに回答に応じた次の質問を示す情報である。また、「回答」欄は、質問に対して該当なしの場合の項目を有してもよい。
【0019】
図1の説明に戻って、回答時間テーブル記憶部122は、質問ごとの回答時間の平均値と、閾値とを対応付けて記憶する。
図3は、回答時間テーブル記憶部の一例を示す図である。
図3に示すように、回答時間テーブル記憶部122は、「質問No.」、「回答時間の平均値」、「閾値」といった項目を有する。
【0020】
「質問No.」は、チェックリストの質問、つまりチェック項目を識別する識別子である。「回答時間の平均値」は、質問ごとの過去の回答時間の平均値を秒単位で表す情報である。「閾値」は、チャットボットの質問に対して、ユーザの回答時間が長い場合を検出するための閾値であり、回答時間の平均値に対するオフセット値を秒単位で表す情報である。例えば、質問No.「1」では、ユーザの回答時間が長い場合の検出基準である第1の時間を、回答時間の平均値+閾値=5秒+1秒=6秒とする。なお、「閾値」は、第1の時間を閾値として記憶するようにしてもよい。また、第1の時間は、ユーザの個人ごとの差を表す補正値αを用いて補正するようにしてもよい。
【0021】
図1の説明に戻って、制御部130は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等によって、内部の記憶装置に記憶されているプログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部130は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現されるようにしてもよい。
【0022】
制御部130は、チャットボット131と、算出部132と、判定部133と、変更部134と、生成部135とを有し、以下に説明する情報処理の機能や作用を実現または実行する。なお、制御部130の内部構成は、
図1に示した構成に限られず、後述する情報処理を行う構成であれば他の構成であってもよい。
【0023】
チャットボット131は、ユーザとの間で音声チャットを行い、チャットボットの質問に対して、ユーザが回答を行う形式でチェックリストをチェックするものである。チャットボット131は、チェック項目記憶部121を参照し、質問のシナリオに従って、質問No.「1」から順番に質問を行い、ユーザの回答に応じて次の質問に移行する。チャットボット131は、音声チャットの音声データを算出部132および生成部135に出力する。また、チャットボット131は、変更部134から音声の特性を変更する指示が入力されると、当該指示に従って音声の特性を変更する。
【0024】
算出部132は、チャットボット131から入力された音声データに基づいて、チャットボット131の質問終了時刻と、ユーザの回答終了時刻とを検出する。算出部132は、チャットボット131の質問終了時刻と、ユーザの回答終了時刻との差分を算出することで、回答時間を算出する。算出部132は、算出した回答時間を判定部133に出力する。また、算出部132は、算出した回答時間を履歴として記憶部120に記憶する。
【0025】
判定部133は、例えば、情報処理装置100のRTC(Real Time Clock)またはHPET(High Precision Event Timer)を参照し、現在時刻を取得する。判定部133は、取得した現在時刻が予め設定された深夜時間帯であるか否かを判定する。深夜時間帯は、例えば22時から翌日の5時までとすることができる。判定部133は、深夜時間帯であると判定した場合、ユーザについて眠気があると判定する。判定部133は、ユーザについて眠気があると判定すると、変更部134に対して第1の変更指示を出力し、回答時間の判定に進む。一方、判定部133は、深夜時間帯でないと判定した場合(ただし、昼間でも昼食後に眠気が出る場合があるので、眠気発生の時間帯はユーザにより設定・変更・追加ができる。)、ユーザについて眠気がないと判定する。判定部133は、ユーザについて眠気がないと判定すると、変更部134に対して第1の変更指示を出力せずに、回答時間の判定に進む。
【0026】
判定部133は、質問ごとに回答時間テーブル記憶部122を参照し、回答時間の平均値および閾値に基づいて、回答時間が長い場合の検出基準である第1の時間を算出する。判定部133は、算出部132から回答時間が入力されると、入力された回答時間、つまり今回の回答時間が第1の時間よりも長いか否かを判定する。判定部133は、今回の回答時間が第1の時間以下であると判定した場合、記憶部120に記憶された図示しない過去の回答時間を参照し、質問ごとの回答時間の平均値を算出する。判定部133は、回答時間テーブル記憶部122の対応する質問No.における回答時間の平均値を、算出した平均値で更新し、変更部134に対して音声の特性を変更しない旨の不変更指示を出力する。一方、判定部133は、今回の回答時間が第1の時間よりも長いと判定した場合、変更部134に対して音声の特性を変更する旨の第2の変更指示を出力する。
【0027】
変更部134は、判定部133から第1の変更指示が入力されると、チャットボット131に対して、通常時間帯、つまり深夜時間帯と異なる時間帯よりも、音声の音の高さを高く変更するように指示する。変更部134は、例えば、深夜時間帯は通常時間帯よりも音階を全音上げるようにチャットボット131に指示する。
【0028】
変更部134は、判定部133から第2の変更指示が入力されると、チャットボット131に対して、音声の特性を変更するように指示する。変更部134は、例えば、音声の特性として、音の高さ、速度および音量のうち、1つまたは複数の特性を変更するように指示する。変更部134は、例えば、チャットボット131に対して、男性の声から女性の声に変更するように指示したり、音声の再生速度を速くするように指示したり、音量を大きくするように指示したりする。
【0029】
また、変更部134は、例えば、チャットボット131に対して、音声の特性を変更するタイミングとして、次の質問から音声の特性を変更する。なお、変更部134は、質問の途中で音声の特性を変更するようにしてもよい。さらに、変更部134は、複数の質問の間、つまり質問と質問の間に、他の音声や音楽を挿入するようにしてもよい。他の音声や音楽としては、例えば、ユーザに目を覚ますように促す言葉や、テンポの速い音楽を1フレーズ流すといったことが挙げられる。
【0030】
変更部134は、判定部133から不変更指示が入力されると、チャットボット131に対して、音声の特性を変更する指示を行わない。変更部134は、判定部133から第2の変更指示または不変更指示が入力され、これらの指示に対する動作の後に、全問のチェックが完了したか否かを判定する。変更部134は、全問のチェックが完了していないと判定した場合、判定部133に対して、引き続き深夜時間帯および回答時間の判定を行うように指示する。変更部134は、全問のチェックが完了したと判定した場合、音声チャット制御処理を終了する。
【0031】
生成部135は、チャットボット131から音声データが入力されると、音声データから文字起こしを行って、チェック内容が反映されたチェック済チェックシートを生成する。生成部135は、生成したチェック済チェックシートを記憶部120に記憶する。なお、生成部135は、チェック項目の内容について、チェック項目記憶部121を参照して取得するようにしてもよい。また、生成部135は、チェック済チェックシートを図示しない印刷装置を用いて印刷するようにしてもよい。
【0032】
次に、実施例の情報処理装置の動作について説明する。
図4は、実施例の音声チャット制御処理の一例を示すフローチャートである。
【0033】
チャットボット131が、ユーザとの間で音声チャットによるチェックを開始すると、判定部133は、RTCまたはHPETを参照し、現在時刻を取得する(ステップS1)。
【0034】
判定部133は、取得した現在時刻が深夜時間帯であるか否かを判定する(ステップS2)。判定部133は、深夜時間帯であると判定した場合(ステップS2:Yes)、ユーザについて眠気があると判定し、変更部134に対して第1の変更指示を出力する。変更部134は、判定部133から第1の変更指示が入力されると、チャットボット131に対して、通常時間帯よりも、音声の音の高さを高く変更するように指示し(ステップS3)、ステップS4に進む。このとき、チャットボット131は、変更部134から入力された音声の特性を変更する指示に従って音声の特性を変更する。一方、判定部133は、深夜時間帯でないと判定した場合(ステップS2:No)、第1の変更指示を出力せずにステップS4に進む。
【0035】
チャットボット131は、チェック項目記憶部121を参照し、音声チャットにより質問を行い、ユーザから質問に対する回答を受け付ける。チャットボット131は、音声チャットの音声データを算出部132に出力する。算出部132は、チャットボット131から入力された音声データに基づいて、チャットボット131の質問終了時刻と、ユーザの回答終了時刻とを検出する(ステップS4)。
【0036】
算出部132は、チャットボット131の質問終了時刻と、ユーザの回答終了時刻とに基づいて、回答時間を算出する(ステップS5)。算出部132は、算出した回答時間を判定部133に出力する。
【0037】
判定部133は、算出部132から回答時間が入力されると、入力された今回の回答時間が第1の時間よりも長いか否かを判定する(ステップS6)。判定部133は、今回の回答時間が第1の時間以下であると判定した場合(ステップS6:No)、質問ごとの回答時間の平均値を算出して回答時間テーブル記憶部122の対応する回答時間の平均値を更新する。また、判定部133は、変更部134に対して音声の特性を変更しない旨の不変更指示を出力する。変更部134は、判定部133から不変更指示が入力されると、チャットボット131に対して、音声の特性を変更する指示を行わず、ステップS8に進む。
【0038】
一方、判定部133は、今回の回答時間が第1の時間よりも長いと判定した場合(ステップS6:Yes)、変更部134に対して音声の特性を変更する旨の第2の変更指示を出力する。変更部134は、判定部133から第2の変更指示が入力されると、チャットボット131に対して、音声の特性を変更するように指示し(ステップS7)、ステップS8に進む。このとき、チャットボット131は、変更部134から入力された音声の特性を変更する指示に従って音声の特性を変更する。
【0039】
変更部134は、全問のチェックが完了したか否かを判定する(ステップS8)。変更部134は、全問のチェックが完了していないと判定した場合(ステップS8:No)、ステップS1に戻る。変更部134は、全問のチェックが完了したと判定した場合(ステップS8:Yes)、チェック処理を終了する。これにより、情報処理装置100は、眠気によるケアレスミスを抑制することができる。
【0040】
このように、情報処理装置100は、ユーザとの間で音声チャットにより質問を行って回答を受け付けるチャットボット131と、ユーザとの対話に関する情報に基づいて、ユーザについて眠気があるか否かを判定する。また、情報処理装置100は、ユーザについて眠気があると判定した場合、チャットボット131の音声の特性を変更する。その結果、眠気によるケアレスミスを抑制することができる。すなわち、ユーザが眠い状態で回答している場合に目が覚めるように促すことができる。
【0041】
また、情報処理装置100は、チャットボット131の質問終了時刻と、ユーザの回答終了時刻とに基づいて算出される回答時間の平均値と、閾値とを質問ごとに対応付けて記憶する回答時間テーブル記憶部122を参照し、算出された回答時間が、平均値と閾値とに基づく第1の時間よりも長い場合、ユーザについて眠気があると判定する、その結果、質問に対するユーザの反応時間が長い場合に、眠気があると判定することができる。
【0042】
また、音声の特性は、音の高さ、速度および音量のうち、1つまたは複数の特性である。その結果、ユーザに対して目が覚めるように促すことができる。
【0043】
また、情報処理装置100は、ユーザについて眠気があると判定した場合、音声の特性を、次の質問から、または、質問の途中で変更する。その結果、ユーザに対して目が覚めるように促すことができる。
【0044】
また、情報処理装置100は、ユーザについて眠気があると判定した場合、複数の質問の間に、他の音声または音楽を挿入する。その結果、ユーザに対して目が覚めるように促すことができる。
【0045】
また、情報処理装置100は、対話に関する情報として現在時刻を取得し、現在時刻が予め設定された深夜時間帯、もしくは、眠気発生時間帯である場合、ユーザについて眠気があると判定する。また、情報処理装置100は、ユーザについて眠気があると判定した場合、チャットボット131の音声について、深夜時間帯と異なる時間帯よりも音の高さを高く変更する。
【0046】
なお、上記実施例では、音声チャットを用いてチェック処理を行ったが、これに限定されない。例えば、表示画面に質問を表示し、キーボードからの「Y」、「N」といった入力や、マウスやタッチパネルによる選択を受け付けるチェック処理においても適用することができる。この場合、回答時間が第1の時間よりも長いときに表示画面に解除ボタンを表示させることでチェック処理を妨害し、解除ボタンへの操作を受け付けることでチェック処理を再開するといった方法で、ユーザの五感が働いていることをチェックするようにしてもよい。
【0047】
また、上記実施例では、情報処理装置100がチャットボットの動作および音声チャット制御処理を行ったが、これに限定されない。例えば、サーバでチャットボットの動作および音声チャット制御処理を行い、ユーザがサーバに対して電話を掛けて音声チャットを行うようにしてもよい。さらに、チャットボットを他のサーバで動作させてもよい。
【0048】
また、図示した各部の各構成要素は、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各部の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。例えば、情報処理装置100の判定部133と変更部134とを統合してもよい。また、図示した各処理は、上記の順番に限定されるものでなく、処理内容を矛盾させない範囲において、同時に実施してもよく、順序を入れ替えて実施してもよい。
【0049】
さらに、各装置で行われる各種処理機能は、CPU(またはMPU、MCU(Micro Controller Unit)等のマイクロ・コンピュータ)上で、その全部または任意の一部を実行するようにしてもよい。また、各種処理機能は、CPU(またはMPU、MCU等のマイクロ・コンピュータ)で解析実行されるプログラム上、またはワイヤードロジックによるハードウェア上で、その全部または任意の一部を実行するようにしてもよいことは言うまでもない。
【0050】
ところで、上記の各実施例で説明した各種の処理は、予め用意されたプログラムをコンピュータで実行することで実現できる。そこで、以下では、上記の各実施例と同様の機能を有するプログラムを実行するコンピュータの一例を説明する。
図5は、音声チャット制御プログラムを実行するコンピュータの一例を示す図である。
【0051】
図5に示すように、コンピュータ200は、各種演算処理を実行するCPU201と、データ入力を受け付ける入力装置202と、モニタ203とを有する。また、コンピュータ200は、記憶媒体からプログラム等を読み取る媒体読取装置204と、各種装置と接続するためのインタフェース装置205と、他の情報処理装置等と有線または無線により接続するための通信装置206とを有する。また、コンピュータ200は、各種情報を一時記憶するRAM207と、ハードディスク装置208とを有する。また、各装置201~208は、バス209に接続される。
【0052】
ハードディスク装置208には、
図1に示したチャットボット131、算出部132、判定部133、変更部134および生成部135の各処理部と同様の機能を有する音声チャット制御プログラムが記憶される。また、ハードディスク装置208には、チェック項目記憶部121および回答時間テーブル記憶部122が記憶される。入力装置202は、例えば、コンピュータ200のユーザから操作情報等の各種情報の入力を受け付ける。モニタ203は、例えば、コンピュータ200のユーザに対して表示画面等の各種画面を表示する。インタフェース装置205は、例えばヘッドセットや印刷装置等が接続される。通信装置206は、例えば、
図1に示した通信部110と同様の機能を有し図示しないネットワークと接続され、他の情報処理装置と各種情報をやりとりする。
【0053】
CPU201は、ハードディスク装置208に記憶された各プログラムを読み出して、RAM207に展開して実行することで、各種の処理を行う。また、これらのプログラムは、コンピュータ200を
図1に示したチャットボット131、算出部132、判定部133、変更部134および生成部135として機能させることができる。
【0054】
なお、上記の音声チャット制御プログラムは、必ずしもハードディスク装置208に記憶されている必要はない。例えば、コンピュータ200が読み取り可能な記憶媒体に記憶されたプログラムを、コンピュータ200が読み出して実行するようにしてもよい。コンピュータ200が読み取り可能な記憶媒体は、例えば、CD-ROMやDVD(Digital Versatile Disc)、USB(Universal Serial Bus)メモリ等の可搬型記録媒体、フラッシュメモリ等の半導体メモリ、ハードディスクドライブ等が対応する。また、公衆回線、インターネット、LAN等に接続された装置にこの音声チャット制御プログラムを記憶させておき、コンピュータ200がこれらから音声チャット制御プログラムを読み出して実行するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0055】
100 情報処理装置
110 通信部
111 表示部
112 操作部
113 入出力部
120 記憶部
121 チェック項目記憶部
122 回答時間テーブル記憶部
130 制御部
131 チャットボット
132 算出部
133 判定部
134 変更部
135 生成部