(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-29
(45)【発行日】2024-03-08
(54)【発明の名称】コーティングされた粒子並びにその作製方法及び使用方法
(51)【国際特許分類】
C09K 3/00 20060101AFI20240301BHJP
C09D 7/42 20180101ALI20240301BHJP
C09D 7/62 20180101ALI20240301BHJP
C09D 5/00 20060101ALI20240301BHJP
C09D 109/00 20060101ALI20240301BHJP
B05D 7/06 20060101ALI20240301BHJP
B05D 7/24 20060101ALI20240301BHJP
【FI】
C09K3/00 R
C09D7/42
C09D7/62
C09D5/00 Z
C09D109/00
B05D7/06 Z
B05D7/24 303Z
(21)【出願番号】P 2019566675
(86)(22)【出願日】2018-06-01
(86)【国際出願番号】 US2018035546
(87)【国際公開番号】W WO2018222960
(87)【国際公開日】2018-12-06
【審査請求日】2021-05-11
(32)【優先日】2017-06-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】590001706
【氏名又は名称】ダブリュー・アール・グレース・アンド・カンパニー-コーン
【氏名又は名称原語表記】W R GRACE & CO-CONN
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100104374
【氏名又は名称】野矢 宏彰
(72)【発明者】
【氏名】グ,フオン
【審査官】林 建二
(56)【参考文献】
【文献】特表2006-521411(JP,A)
【文献】特開2014-177598(JP,A)
【文献】特開2014-189687(JP,A)
【文献】特表2010-521539(JP,A)
【文献】米国特許第05221337(US,A)
【文献】特表2005-509072(JP,A)
【文献】特表平11-504354(JP,A)
【文献】特開2004-167779(JP,A)
【文献】特表2006-510560(JP,A)
【文献】特開2006-199787(JP,A)
【文献】特開2005-345793(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K 3/00
C09C 1/00-3/12
C09D 1/00-10/00
C09D 11/00-13/00
C09D 101/00-201/10
B05D 1/00-7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
つや消し剤であって、
粒子表面を有するシリカ粒子と、
前記シリカ粒子の総重量に基づき、
31.0~50重量パーセント(重量%)の、前記粒子表面上にコーティングされた、
1つ以上のポリマー
を含む、つや消し剤であって、
ここで前記1つ以上のポリマーは、
ポリイソプレン、加硫したポリイソプレン、又はこれらの組合せを含む、
つや消し剤。
【請求項2】
前記シリカ粒子が、前記シリカ粒子の総重量に基づき、前記粒子表面上に、40.0重量%~50.0重量%の前記1つ以上のポリマーを含む、請求項1に記載のつや消し剤。
【請求項3】
前記シリカ粒子が、シリカゲル、沈降シリカ又はヒュームドシリカ粒子を含む、請求項1に記載のつや消し剤。
【請求項4】
前記シリカ粒子が、Barrett-Joyner-Halenda(BJH)法により測定して、0.30cc/gm~2.20cc/gmの総細孔容積を有する、請求項1のつや消し剤。
【請求項5】
前記シリカ粒子が、少なくとも100m
2/g~最大1500m
2/g、又はそれより大きいBET粒子表面積を有する、請求項1に記載のつや消し剤。
【請求項6】
前記コーティングされたシリカ粒子が、1.0μm~50μmの平均粒子サイズを有する、請求項1に記載のつや消し剤。
【請求項7】
請求項1に記載のつや消し剤を調製する方法であって、前記方法は、
コーティングされたシリカ粒子を形成するように、前記シリカ粒子と前記1つ以上のポリマーとを接触させる
接触工程を含む、方法。
【請求項8】
前記接触工程が、
前記1つ以上のポリマーを、溶媒中で溶解させ、懸濁液又は分散液を形成することと、
前記シリカ粒子を、前記懸濁液又は分散液へと組み込むことと、
前記懸濁液又は分散液から、前記溶媒を除去し、コーティングされたシリカ粒子を形成することと、を含むか、または
前記接触工程が、
前記1つ以上のポリマーを溶融し、液状コーティングを形成することと、
前記シリカ粒子を前記液状コーティングに組み込み、コーティングされたシリカ粒子を形成することと、を含むか、または
前記接触工程が、
(a)前記1つ以上のポリマー及び(b)前記シリカ粒子を加熱しながら同時に混合又は粉砕し、コーティングされたシリカ粒子を形成することを含む、請求項
7に記載の方法。
【請求項9】
硫黄元素、加硫促進剤又は両方を、前記1つ以上のポリマーに対して添加することを更に含む、請求項
8に記載の方法。
【請求項10】
前記コーティングされたシリカ粒子の前記粒子サイズを減少させ、100μm未満の最終粒子サイズを有する粒子を得ることを更に含む、請求項
8または9に記載の方法。
【請求項11】
請求項1
または3に記載のつや消し剤を4.30重量%~6.00重量%の濃度で含む、コーティング組成物。
【請求項12】
請求項
11に記載のコーティング組成物でコーティングされている基材。
【請求項13】
木製基材に塗布される水性組成物の化学耐性、熱応力耐性、耐候性、塗膜の透明度又はこれらのいずれかの組合せを改善する方法であって、
前記方法が、
請求項
11に記載のコーティング組成物を、木製基材の少なくとも片面に塗布し、コーティングを形成することと、
前記コーティングを乾燥させ、前記木製基材の少なくとも片面に塗膜を形成することと、を含む、方法。
【請求項14】
前記シリカ粒子が、0.40cc/gm~2.20cc/gmの総細孔容積を有する、請求項4に記載のつや消し剤。
【請求項15】
前記シリカ粒子が、1.8cc/gm~2.0cc/gmの総細孔容積を有する、請求項4に記載のつや消し剤。
【請求項16】
前記シリカ粒子が、200m
2/g~900m
2/gのBET粒子表面積を有する、請求項5に記載のつや消し剤。
【請求項17】
前記コーティングされた粒子が、1つ以上のポリマーを含み、前記1つ以上のポリマーが、加硫された
ポリイソプレンを含む、請求項
1に記載のつや消し剤。
【請求項18】
前記加硫促進剤が、硫黄元素及び/又はブチルジメートを含む、請求項
9に記載の方法。
【請求項19】
500μm未満の第1の粒子サイズを有するコーティングされたシリカ粒子を形成することと、熱処理時間の間高温で前記コーティングされた粒子を熱処理することと、前記熱処理されたコーティングされた粒子を冷却させることと、100μm未満の最終粒子サイズを生じるように前記熱処理されたコーティングされた粒子を粉砕することと、を含み、
前記コーティングされた粒子が、90℃~140℃の範囲である高温で熱処理され、前記熱処理時間が1.0時間~4.0時間の範囲である、請求項
10に記載の方法。
【請求項20】
1つ以上のポリマーが存在し、前記高温が90℃~100℃の範囲であり、前記熱処理時間が2.5時間~3.5時間の範囲である、請求項
19に記載の方法。
【請求項21】
前記組成物が水性組成物を含む、請求項
11に記載の、つや消し剤を含むコーティング組成物。
【請求項22】
請求項
12に記載のコーティング組成物でコーティングされた
、木製基材を含む基材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改善されたシリカ系つや消し剤に関する。一態様では、本発明は、水性コーティング系用である、改善されたシリカつや消し剤に関する。別の態様では、本発明は、ワックス又は有機ポリマーでコーティングされた微粒子シリカを含むシリカつや消し剤、つや消し剤を含有する水性コーティング組成物、並びに組成物を作製及び使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シリカ系つや消し剤は、コーティングされた塗膜の光沢を低減するために、コーティング製剤及び塗装用製剤に広く使用されている。溶剤系コーティング又は100%固体UV硬化型製剤においては、効果的に光沢を低減し、つや消しをするために多量のシリカが必要とされる。一方で高濃度の親水性シリカは、溶剤系ラッカーのレオロジー特性に関して変化を引き起こす可能性があり、かつ多くの場合、分散性及び沈降性において問題を有し得る。こうした問題を解決するため、通常、先行技術は、微粒子シリカの表面処理を行い、その表面を疎水性とし、これにより溶剤系及び製剤内の有機物との相溶性を高めている。この目的のため、多くの場合ワックス及び/又はポリマーでコーティングされたシリカが使用されてきている。
【0003】
米国特許第6039798号は、ワックスでコーティングされたシリカつや消し剤を開示しており、シリカは少なくとも1.5cm3/gの細孔体積、好ましくは少なくとも1.8cm3/gの細孔体積を有する非晶質シリカである。ワックスコーティングは、つや消し剤の6重量%~15重量%の範囲で存在し、かつ合成ポリエチレンワックスを含む。
【0004】
欧州特許第0759959号は、シリカが、90%の細孔が15ナノメートル超の径を有し、20%未満の細孔体積が10~30ナノメートルの細孔径を有する細孔中にある細孔サイズ分布を有する非晶質シリカであることを特徴とする、ワックスでコーティングされたシリカつや消し剤を開示しており、ワックスコーティングは、つや消し剤の約2重量%~約15重量%の範囲で存在し、硬質微結晶性ワックス、可塑化微結晶性ワックス、合成ポリエチレンワックス、又はその混合物を含む。
【0005】
米国特許出願公開第20050065268号は、シリカつや消し剤中のシリカ粒子が親水性ポリオレフィンワックスで処理された、微粒子非晶質シリカを含むことを開示している。
【0006】
米国特許第6921781号は、少なくとも1種のシリカ粒子表面の少なくとも一部分を、少なくとも1種のワックスでコーティングすることを開示しており、コーティングはワックスの融点より高く、かつワックスの分解温度より低い温度である、少なくとも1種の気体中で実施される。ワックス含有量は、シリカ含有量の2~15重量%として規定される。
【0007】
米国特許第7303624号は、構造的にコーティングされたシリカが、発熱性シリカと水及びコーティング剤とを好適な混合容器中で吹き付けかつ混合し、その後、粉砕して更に製品を調整することで調製され得ることを開示している。
【0008】
米国特許第8926748号は、無機酸化物微粒子及び無機酸化物微粒子上にコーティングされたワックスを含むつや消しされたコーティングの調製に有用であるつや消し剤を開示しており、ワックスは、約50%以上の結晶化度を有し、当該ワックスは、当該つや消し剤の総重量に基づき15重量%~30重量%の範囲の量で存在する。
【0009】
国際公開第1999051692号は、二酸化ケイ素に基づくつや消し剤に関する発明を開示しており、二酸化ケイ素粒子は、2.5~20μmの粒子サイズ及びつや消し剤に基づく、0~65重量%の含水率を有し、0.2~10重量%の尿素ウレタン誘導体又は尿素ウレタン誘導体の混合物でコーティングされる。
【0010】
現在、溶剤系コーティング組成物は環境問題並びに安全及び健康問題という理由から望ましくない。政府規制により、塗料又はコーティング製剤中の揮発性有機化合物(VOC)の低減及び排除が推し進められており、おおむねより水性であるコーティングの使用が奨励されている。
【0011】
様々な種類のつや消し剤が水性製剤で使用されており、これはシリカつや消し剤、有機つや消し剤、及び2つのブレンドを含む。
【0012】
Acematt(登録商標)TS100、Syloid(登録商標)C807などのシリカ系つや消し剤は、非常に高いつや消し効果及び水性製剤内の塗膜の透明度を有するが、化学耐性や耐候性は通常より乏しい傾向があり、化学物質に暴露されるか又は天候条件が変化する場合、多くの場合白濁又は曇った状態に変わってしまう。シリカ系つや消し剤は、また、急激な温度変化にさらされた場合に熱応力耐性が乏しい傾向がある。塗膜が濡れて乾燥する間に、塗膜が膨張(その後収縮)することを理由とする応力によって生じる接着破壊同様、光の散乱に効果があり、また乾燥中につや消し剤の粒子収縮によって大きくなるものであり、亀裂を生じさせる、つや消し剤とラテックスの界面における接着破壊は、水性コーティング製剤中のシリカつや消し剤に関する欠点の原因となり得る。こうした欠点全てが、木製基材へのコーティング用途において望ましくない。
【0013】
純粋有機系有機つや消し剤もまた使用されている。例えば、Deuteron(登録商標)MK及びCeraflour(登録商標)920などの尿素ホルムアルデヒド樹脂系つや消し剤が知られている。しかしながら、いずれのつや消し剤も有毒なホルムアルデヒドといった残留出発物質を潜在的に放出し得るため、環境問題を有している。変性され、超微粉砕されたポリエチレン系つや消し剤であるCeraflour(登録商標)929もまた利用可能である。しかしながら、コーティング製剤中のシリカ系つや消し剤と比較した場合、この製品はつや消し効果に乏しい。有機つや消し剤は、純粋シリカ系つや消し剤と比較した場合、塗膜の透明度に乏しいこともまた知られている。これは恐らく、シリカ系つや消し剤は、コーティングされた塗膜中の他成分(例えばバインダ)の反射率に近い反射率を有する一方、有機系つや消し剤とかかる成分の反射率の差が大きいことが理由である。加えて、有機つや消し剤は通常製造が困難であり、その上、より高価である。
【0014】
シリカ系つや消し剤と有機つや消し剤のブレンドもまた、水性系で使用されており、必要とされるコーティング塗膜特性とのバランスをとっている。しかしながら、このブレンドは既に複雑である塗料又はコーティング配合系にて、追加の複雑さを作り出す。
【0015】
したがって、(i)水性コーティング系で使用するのに好適であり、かつ(ii)1つ以上の望ましい特性を提供する、つや消し剤を開発するための単純な解決策が依然として必要とされている。この特性は最終コーティングにおいて、良好なつや消し効果と組み合わせられる、例えば、改善された化学耐性、改善された熱応力耐性、改善された耐候性、及び/又は改善された塗膜の透明度などといったものである。
【発明の概要】
【0016】
本発明は、水性コーティング組成物中で有用である改善されたシリカ系つや消し剤、並びに組成物の作製方法及び組成物の使用方法を発見することで、本技術分野における上記の必要性に応えるものである。本発明の水性組成物は、木系基材のコーティングされた表面に対し、一際優れた特性を提供する。例えば、予想外であったが、本発明によるコーティング組成物を使用することで、木製基材表面に対し、改善された化学耐性、改善された熱応力耐性、改善された耐候性、及び/又は改善された塗膜の透明度を有するコーティングされた塗膜を提供することができる。
【0017】
それゆえ、本発明は、(i)1つ以上のワックス、(ii)1つ以上のポリマー、又は(iii)当該粒子表面上の(i)及び(ii)のいずれかの組合せから選択される、特定量の、少なくとも1種類の成分を有するシリカ粒子を含む、改善されたシリカ系つや消し剤を提供する。
【0018】
予想外であったが、(i)又は(ii)又は(iii)の量を増加し、シリカ粒子をコーティングするために使用される場合、特定の特性(例えば化学耐性)が増加されることが見出された。望ましい実施形態では、改善されたシリカ系つや消し剤は、30重量パーセント(重量%)超の、(i)~(iii)の少なくとも1種類の成分を含む。本発明の別の実施形態では、シリカ系つや消し剤は、少なくとも40重量パーセント(重量%)の、(i)~(iii)の少なくとも1種類の成分を含む。
【0019】
いくつかの代表的な実施形態では、水性コーティング組成物は粒子表面を有するコーティングされたシリカ粒子を含む。これは、コーティングされた粒子の総重量に基づき、粒子表面上の1つ以上のワックス(例えばポリエチレンワックス)の約40.0重量%~約50.0重量%(以上)である。他の例示的な実施形態では、本発明の水性組成物は、粒子表面を有する多孔質シリカ粒子を含む。これは、コーティングされた粒子の総重量に基づき、粒子表面上の1つ以上のポリマー(例えばポリジエン又は加硫ポリジエンなど)の約45.0重量%~約50.0重量%(以上)である。
【0020】
本発明はまた、本発明の改善されたシリカ系つや消し剤を含む水性コーティング組成物及び製剤を提供する。いくつかの代表的な実施形態では、本発明によるコーティングされたシリカ粒子を含むコーティング組成物は、(a)7.0ユニット未満の、塗膜の透明度のΔL*、(b)5.0ユニット未満の、水による損傷(24hr)のΔL*、(c)8.0ユニット未満の、50/50である水/エタノールによる損傷(1hr)のΔL*、(d)16.0ユニット未満の、50/50である水/エタノールによる損傷(4hr)のΔL*のうち、少なくとも1つを示す。これらは全て、携帯型Spectro-Guide 45/0測色計を用い、本明細書に記載の方法を利用して測定されるものである。いくつかの望ましい実施形態では、水性コーティング組成物によりコーティング組成物は、(a)7.0ユニット未満の、塗膜の透明度のΔL*、(b)5.0ユニット未満の、水による損傷(24hr)のΔL*、(c)8.0ユニット未満の、50/50である水/エタノールによる損傷(1hr)のΔL*、(d)16.0ユニット未満の、50/50である水/エタノールによる損傷(4hr)のΔL*の全てを示すことが可能となる。これらは全て、携帯型Spectro-Guide 45/0測色計を用い、本明細書に記載の方法を利用して測定されるものである。
【0021】
本発明は、更にコーティングされたシリカ系つや消し剤を作製する方法及び本発明のつや消し剤を含む水性コーティング組成物を調製する方法に関する。例示的な一実施形態では、本発明はまた、言及される水性コーティング組成物で基材をコーティングする方法に関する。好ましい実施形態では、基材は木製基材である。
【0022】
他の実施形態では、本明細書に記載のコーティングされた粒子を使用する方法は、木製基材(例えば木製基材)上へと塗布されるコーティング組成物の化学耐性、熱応力耐性、耐候性、塗膜の透明度、又はこれらのいずれかの組合せを改善する方法を含む。方法は、本明細書で記載のコーティングされた粒子を、コーティング組成物を基材上へと塗布する前にコーティング組成物中へと組み込むことを含む。予想外なことであったが、測色計(例えば、携帯型Spectro-Guide 45/0測色計)を使用して測定して、周知の液状コーティング組成物と比較した場合、本明細書に記載のコーティング組成物は所与の木製基材に対する防護性を改善する。
【0023】
本発明はより更に、(i)本明細書に記載のコーティングされた粒子、又は(ii)本明細書に記載のコーティングされた粒子を含有する液状組成物でコーティングされた基材に関する。いくつかの例示的な実施形態では、基材は、(i)本明細書に記載のコーティングされた粒子、又は(ii)本明細書に記載のコーティングされた粒子を含有する液状組成物でコーティングされた木製基材を含む。
【0024】
本発明のこれら及び他の特徴及び利点は、以下の開示された実施形態の詳細な説明及び添付の「特許請求の範囲」の考察後に明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の原理の理解を促すため、本発明の特定の実施形態の説明が続き、特定の原語を用いてその特定の実施形態を説明する。とはいえ、特定の原語の使用による本発明の範囲の制限を意図していないことを理解されたい。変更、更なる修正、及び考察されるそのような本発明の原理の更なる用途は、通常、本発明が関係する当業者が想到し得るものとして企図される。
【0026】
本明細書及び添付の請求項に使用される場合、単数形の「a」、「and」、及び「the」は、文脈が別途明らかに指示しない限り、複数の指示対象を含むことに留意されたい。このため、例えば、「ある酸化物」への言及は、複数のそのような酸化物を含み、「酸化物」への言及は、1つ以上の酸化物及び当業者に既知であるその同等物などへの言及を含む。
【0027】
例えば、本開示の実施形態を説明する際に用いられる、コーティングされた粒子及び/又は組成物中の成分の量、濃度、容積、プロセス温度、プロセス時間、回収率又は収率、流量、並びにそれらの同様の値及び範囲を修飾する「約」は、例えば、典型的な測定及び取り扱い手順を通じて、これらの手順における不慮のエラーを通じて、これらの方法を実行するために使用される成分の差を通じて、かつ近似を考慮するように、起こり得る数量のばらつきを指す。「約」という用語はまた、特定の初期濃度又は混合物を有する製剤の経時変化によって異なる量、並びに特定の初期濃度又は混合物を有する製剤の混合又は処理によって異なる量も包含する。「約」という用語で修飾されているかどうかに関わらず、添付の特許請求の範囲は、その量の同等量を含む。
【0028】
本発明は、粒子表面を有するシリカ粒子、並びにコーティングされた粒子の総重量に基づき、30.0重量パーセント(重量%)超の、粒子表面上にコーティングされた(i)1つ以上のワックス、(ii)1つ以上のポリマー、又は(iii)(i)及び(ii)のいずれかの組合せを含む、シリカ系つや消し剤を改善することに関する。典型的には、(i)1つ以上のワックス、(ii)1つ以上のポリマー又は(iii)(i)及び(ii)のいずれかの組合せは、コーティングされた粒子の総重量に基づき、最大で約40.0重量%の量で粒子表面上に存在するが、本発明のコーティングされた粒子は、コーティングされた粒子の総重量に基づき、いずれかの量の(i)1つ以上のワックス、(ii)1つ以上のポリマー又は(iii)(i)及び(ii)のいずれかいずれかの組合せを、最大で約50.0重量%(以上)で含み得る。いくつかの例示的な実施形態では、コーティングされた粒子は、コーティングされた粒子の総重量に基づき、30.0重量%超~約50.0重量%(又は30.0重量%超で、50.0重量%以下の、0.1重量%単位であるいずれかの値(例えば約35.1重量%)、又は、30.0~50.0重量%の、0.1重量%単位であるいずれかの範囲の値(例えば、約30.3~約37.8重量))の、(i)1つ以上のワックス、(ii)1つ以上のポリマー又は(iii)粒子表面上の(i)及び(ii)のいずれかの組合せを含む。いくつかの例示的な実施形態では、コーティングされた粒子は、コーティングされた粒子の総重量に基づき、約40.0重量%超~約50.0重量%(又は40.0~50.0重量%の、0.1重量%単位であるいずれかの値(例えば約40.1重量%)、又は、40.0~50.0重量%の、0.1重量%単位であるいずれかの範囲の値(例えば、約40.3~約47.8重量%))の、(i)1つ以上のワックス、(ii)1つ以上のポリマー又は(iii)粒子表面上の(i)及び(ii)のいずれかの組合せを含む。
【0029】
本発明のつや消し剤を調製するために有用である、好適な微粒子シリカは、シリカゲル、沈降シリカ、ヒュームドシリカ、コロイドシリカを含むが、これらに限定されない。好適なシリカはまた、シリカ粒子の形成中に有機テンプレート(例えば界面活性剤)を介して調製され、その後高温での熱分解により有機物が焼いて除去される、規則メソポーラスシリカを含むが、これに限定されない。特に好ましいシリカ粒子は、シリカゲル又は沈降シリカ粒子を含む。
【0030】
本発明で使用するために好適である市販されている多孔質シリカ粒子は、SYLOID(登録商標)の商品名でW.R.Grace(Columbia,MD)から入手可能であり、SYLOID(登録商標)C807シリカゲル粒子及びSYLOID(登録商標)MX106沈降シリカ粒子などといった、多孔質無機粒子を含むが、これに限定されない。
【0031】
好ましい実施形態では、シリカ粒子は粒子の総重量に基づき、少なくとも約93.0重量%のSiO2、又は少なくとも約93.5重量%のSiO2、少なくとも約94.0重量%のSiO2、少なくとも約95.0重量%のSiO2、少なくとも約96.0重量%のSiO2、少なくとも約97.0重量%のSiO2、又は少なくとも約98.0重量%のSiO2、最大100重量%のSiO2の純度を有するシリカを含む。
【0032】
シリカ粒子は、鎖状、棒状又は拍子木状の形状を含む、様々に異なる対称形、非対称形又は不規則な形状を有し得る。粒子は、非晶質又は結晶体などを含む異なる構造を有し得る。好ましい実施形態では、シリカ粒子は非晶質である。粒子は、異なる組成物、大きさ、形状、若しくは物理構造を含むか、又は異なる表面処理以外は同じものであり得る粒子の混合物を含み得る。より小さい粒子が凝集し、より大きい粒子を形成する場合、粒子の有孔率は粒子内又は粒子間であり得る。
【0033】
本明細書で使用するとき、用語「結晶質」は、構成要素である原子、分子、又はイオンが、全三方向に延在する秩序あるパターンで配列した固体材料を意味し、X線回折又は示差走査熱量測定によって測定できる。本明細書で使用するとき、用語「非晶質」は、構成要素である原子、分子、又はイオンが、全三方向に延在するランダムで秩序がないパターンで配列した固体材料を意味し、X線回折又は示差走査熱量測定によって測定できる。
【0034】
本明細書で用いられる用語「BET粒子表面積」は、Brunauer Emmet Teller(BET)窒素吸着法により測定された粒子表面積を意味するものとして定義される。
【0035】
本明細書で用いられる語句「総細孔容積」はDIN66134に記載されるBarrett-Joyner-Halenda(BJH)窒素ポロシメトリーを使用して測定される、複数の粒子の平均細孔容積を指すものである。
【0036】
本明細書で用いられる語句「粒子サイズ」は、粒子が水中又はアセトン若しくはエタノールなどの有機溶媒で懸濁液にされる場合、動的光散乱法により測定される、メジアン粒子サイズ(D50、この数より小さい粒子の50体積パーセントと、この数より大きい粒子の50体積パーセントとの体積分布である)を指す。
【0037】
本発明のつや消し剤を形成するために使用される多孔質シリカ粒子は、BJH法で測定してして、少なくとも0.30cc/g、約0.30cc/gm~約2.20cc/gm(又は、0.01cc/gm単位で0.40cc/gm超であり、最大で2.20cc/gm(この値を含む)のいずれかの値(例えば0.62cc/gm)、又は、0.01cc/gm単位で0.40cc/gm超~最大2.20cc/gm(この値を含む)であるいずれかの範囲の値(例えば約1.50cc/gm~約2.20cc/gm))の総細孔体積を有し得る。典型的には、本発明のつや消し剤を形成するために使用される多孔質シリカ粒子は、BJH法で測定してして、約1.8cc/gm~約2.00cc/gmの総細孔体積を有する。
【0038】
本発明のつや消し剤を形成するのに使用される多孔質シリカ粒子は、少なくとも約100m2/g~最大1500m2/g(若しくは、1.0m2/g単位で100m2/g超であり、最大で1500m2/g(この値を含む)のいずれかの値(例えば453m2/g)、若しくは、1.0m2/g単位で100m2/g超~最大1500m2/g(この値を含む)であるいずれかの範囲の値(例えば約400m2/g~約444m2/g))、又はそれより大きいBET粒子表面積もまた有する。典型的には、多孔質シリカ粒子は、少なくとも約100m2/g~最大900m2/gのBET粒子表面積を有する。
【0039】
本発明のコーティングされていないシリカ粒子は、典型的には、約1.0ミクロン(μm)~約50μm(又は、0.1μm単位で1.0μm(この値を含む)~最大約50μmのいずれかの値(例えば45.0μm)、又は、0.1μm単位で1.0μm(この値を含む)~最大約50μmであるいずれかの範囲の値(例えば約3.2μm~約50.1μm))の平均粒子サイズを有する。しかしながら、本発明のコーティングされた粒子は、コーティングされた粒子の使用に応じていずれかの平均粒子サイズを有し得ることを理解されたい。いくつかの実施形態では、本発明のコーティングされた粒子は、約3.0μm~約12.0μmの平均粒子サイズを有する。
【0040】
本発明のつや消し剤は、粒子表面及び多孔質シリカ粒子の細孔内にコーティングされる1つ以上のワックスを含み得る。ワックスが存在する場合、1つ以上のワックスは、炭化水素ワックス(すなわち、例えば20個以上の炭素原子を中に有するアルキル鎖などの比較的長いアルキル鎖を含み、脂肪酸、第一級及び第二級長鎖アルコール、不飽和結合、芳香族炭化水素、アミド、ケトン及びアルデヒドなど1つ以上の様々な官能基を有するか若しくは有さないもの)、パラフィンワックス(すなわち、追加の官能基を有さない20~40個の炭素原子由来であるもの)、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、カルナウバワックス(すなわち、ブラジルワックス)などの植物ワックス、蜜蝋などの動物ワックス、又はこれらのいずれかの組合せを含み得るが、これに限定されない。
【0041】
本発明における使用に対し好適である、市販されているワックスは、Hi-WAX(商標)又はEXCEREX(商標)ワックスの商品名でMitsui Chemicals,LLC(Osaka,Japan)から入手可能であるワックス、RHEOLUB(登録商標)ワックスの商品名でHoneywell Performance Additives(Morristown,NJ)から入手可能であるワックス、及びPolarwachs(登録商標)ワックスの商品名でTH.C.TROMM GmbH(Cologne,Germany)から入手可能であるワックスを含むが、これに限定されない。
【0042】
いくつかの実施形態では、つや消し剤は、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、又はこれらの組合せでコーティングされたシリカ粒子を含む。いくつかの望ましい実施形態では、シリカ粒子上のコーティングは、少なくとも2000の平均分子量を有するポリエチレンワックスを含む。このような比較的高分子量であるポリエチレンワックスは、Polarwachs(登録商標)ワックスの商品名でTH.C.TROMM GmbH(Cologne,Germany)から市販されている。
【0043】
ワックスが存在する場合、1つ以上のワックスが、典型的には、つや消し剤の総重量に基づき30重量%超の量で存在する。好ましくは、1つ以上のワックスが、つや消し剤の総重量に基づき、約31.0重量%~約50.0重量%(又は、0.1重量%単位で31.0重量%~50.0重量%のいずれかの値(例えば約35.1重量%)、又は、0.1重量%単位で31.0重量%~50.0重量%であるいずれかの範囲の値(例えば約31.3重量%~約37.8重量%))の範囲の量で存在する。いくつかの実施形態では、1つ以上のワックスが、当該つや消し剤の総重量に基づき、約40.0重量%~約50.0重量%(又は、0.1重量%単位で40.0重量%~50.0重量%のいずれかの値(例えば約45.1重量%)、又は、0.1重量%で40.0重量%~50.0重量%であるいずれかの範囲の値(例えば約40.3重量%~約47.8重量%))の範囲の量で存在する。
【0044】
本発明の別の実施形態では、本発明のつや消し剤は、粒子表面上で及び多孔質シリカ粒子の細孔内において、単独又は上記の1つ以上のワックスとの組合せで1つ以上のポリマーを含み得る。ポリマーが存在する場合、1つ以上のポリマーが、ポリジエン(例えば、ポリイソプレン、ポリブタジエン若しくはこれらの組合せ)加硫ポリジエン、ポリアクリルアミド、ポリビニルポリピロリドン、酢酸酪酸セルロース又はこれらのいずれかの組合せを含む1つ以上のポリマーを含み得るが、これに限定されない。いくつかの望ましい実施形態では、1つ以上のポリマーは、ポリジエン、加硫ポリジエン又はこれらのいずれかの組合せを含む。
【0045】
本発明における使用に対し好適である市販されているポリマーは、KL-10液状ゴムポリマー(すなわち、ポリイソプレン)の商品名でKuraray Co.,LTDから入手可能であるポリマーを含むが、これに限定されない。
【0046】
ポリマーが存在する場合、1つ以上のポリマーは、典型的には、つや消し剤の総重量に基づき、30重量%超の量で存在する。好ましくは、1つ以上のポリマーの量は、コーティングされた粒子の総重量に基づき、約31.0重量%~約50.0重量%(又は、0.1重量%単位で31.0重量%~50.0重量%のいずれかの値(例えば約35.1重量%)、又は、0.1重量%で31.0重量%~50.0重量%であるいずれかの範囲の値(例えば約31.3重量%~約37.8重量%))の範囲である。いくつかの実施形態では、1つ以上のポリマーは、約31.0重量%~約40.0重量%(又は、0.1重量%単位で31.0重量%~40.0重量%のいずれかの値(例えば約31.0重量%)、又は、0.1重量%で31.0重量%~40.0重量%であるいずれかの範囲の値(例えば約31.3重量%~約31.8重量%))の範囲の量で存在する。
【0047】
調製方法
本発明のつや消し剤は、粒子表面を有するコーティングされた多孔質シリカ粒子が生じるように、多孔質シリカ粒子と(i)1つ以上のワックス、(ii)1つ以上のポリマー又は(iii)(i)と(ii)のいずれかの組合せとを接触することで調製され得、かつコーティングされた粒子の総重量に基づき、粒子表面上の(i)1つ以上のワックス、(ii)1つ以上のポリマー又は(iii)(i)と(ii)のいずれかの組合せの30.0重量%超であってよい。いずれかの従来の方法を使用して、コーティングされた多孔質シリカ粒子が生じるよう、多孔質シリカ粒子と、(i)1つ以上のワックス、(ii)1つ以上のポリマー又は(iii)(i)と(ii)のいずれかの組合せと、を接触させ得る。
【0048】
いくつかの実施形態では、接触工程は湿式法であってよい。湿式接触法工程は、(i)1つ以上のワックス、(ii)1つ以上のポリマー又は(iii)(i)と(ii)のいずれかの組合せを溶媒中に溶解させて、溶媒混合物を形成する工程と、多孔質シリカ粒子を溶媒混合物中へと組み込む工程と、溶媒混合物から溶媒を除去又は蒸発させて、コーティングされたシリカ粒子を形成する工程と、を含み得る。
【0049】
コーティングされたシリカ粒子を、後でサイズの減少に供してもよい。いずれかの周知である粒子サイズ減少方法が使用され得、この方法としてボールミル又は乳棒と乳鉢で摩砕する工程などの粉砕工程が挙げられるが、これに限定されない。一実施形態では、コーティングされた粒子はサイズ減少工程に供されるが、コーティングされた粒子の平均粒子サイズは約500ミクロン(μm)未満の第1平均粒子サイズまで減少される。
【0050】
サイズを減少すると、次に、コーティングされたシリカ粒子は望ましくは、熱処理時間の間高温で熱処理される。典型的には、高温は約90℃~約140℃(又は、1.0℃単位で90℃~最大140℃(この値を含む)のいずれかの値(例えば約100℃)、又は、1.0℃単位で90℃~最大140℃(この値を含む)であるいずれかの範囲の値(例えば約91.0℃~約102.0℃))である。典型的には、熱処理時間は約1.0時間(hr)~約4.0hr(又は、1.0分単位で1.0hr~最大4.0hr(この値を含む)のいずれかの値(例えば約1.0hr及び9分)、又は、1.0分単位で1.0hr~最大4.0hr(この値を含む)であるいずれかの範囲の値(例えば約1.0hr及び9分~約2.0hr及び5分の間))の範囲である。
【0051】
1つ以上のワックスコーティングが存在する例示的な一実施形態では、熱処理工程の高温は、約100℃~約130℃の範囲であり、熱処理時間は、約1.0hr~約1.5hrの範囲である。1つ以上のポリマーが存在する別の例示的な実施形態では、熱処理工程の高温は、約90℃~約100℃の範囲であり、熱処理時間は、約2.5hr~約3.5hrの範囲である。
【0052】
いずれかの熱処理工程に続き、熱処理された、コーティングされたシリカ粒子は、冷却することができる。冷却された後、次に、熱処理された粒子は、所望により、約100μm未満(又は、1.0μm単位で約100μm未満のいずれかの値(例えば約45.0μm)、又は、1.0μm単位で、約1.0μm~最大100μm(この値を含む)であるいずれかの範囲の値(例えば約4.0μm~約6.7μm))の最終粒子サイズを生じるように、更にサイズを減少することができる。上記のように、いずれかの周知である粒子サイズを減少する方法が使用され得る。例示的な一実施形態では、約45.0μm未満の最終粒子サイズを有するコーティングされた粒子を生じるように、粉砕工程が使用され得る。
【0053】
別の例示的な実施形態では、接触工程はいずれかの溶媒を含まなくてよく、したがって乾式法であってもよい。一実施形態では、乾式法は、(i)1つ以上のワックス、(ii)1つ以上のポリマー又は(iii)(i)と(ii)のいずれかの組合せを溶融させて液状コーティングを形成することと、多孔質シリカ粒子を液状コーティング中へと組み込むことと、を含み得る。更に別の実施形態では、乾式法は、(a)(i)1つ以上のワックス、(ii)1つ以上のポリマー又は(iii)(i)と(ii)のいずれかの組合せと、(b)多孔質シリカ粒子とを、従来型のミキサ内で高温(すなわち、必要に応じてワックス及び/又はポリマーのいずれかが溶融する温度)で、同時に接触かつ混合することを含み得る。従来型のミキサは、リボンブレンダ、ヘンシェルミキサ、流体エネルギーミル(FEM)又は微粉化ジェットミルなどである。これらの実施形態において、加熱工程及び粒子サイズ減少工程は組み合わされる。また、追加の粒子サイズ減少は、必要であっても必要でなくてもよい。
【0054】
いくつかの例示的な実施形態では、ポリマーでコーティングされたシリカ粒子の架橋は、更に優れた安定性及び特性にとって望ましい。別の例示的な実施形態では、架橋は加硫工程を含む。加硫工程を含む方法において、硫黄元素、加硫促進剤又はその両方が、接触工程中に1つ以上のポリマーへと添加され得る。本発明で使用するのに好適な加硫促進剤としては、硫黄元素、及びブチルジメートが挙げられるが、これらに限定されない。
【0055】
コーティング組成物
本発明のつや消し剤は、本明細書に記載のつや消し剤の水性懸濁液又は分散液を含むコーティング組成物を調製するのに有用である。好ましい実施形態では、コーティング組成物は、水性コーティング組成物である。
【0056】
コーティング組成物は、コーティング組成物に使用される様々な他の成分に加えて、開示されるコーティングされたシリカ生成物を含む。組成物中に存在し得る他の成分の例としては、自己架橋変性アクリルコポリマーエマルション又はLATEXアクリルバインダであるNeocryl(登録商標)KX12などの水性バインダ樹脂、ジプロピレングリコールn-ブチルエーテル(DOWANOL(商標)PDnB)などの凝集溶媒を含む。組成物は、有機顔料などの着色顔料を含有しても含有しなくてもよい。組成物が着色顔料を含有する場合、分散剤が製剤中に含まれてもよい。組成物が着色顔料を含有しない場合、組成物はクリアコートと呼ばれる。チーク、サクラ、オーク、クルミ、マホガニー及びローズウッドなどの木材の、自然な色及び自然な木目構造は、家具や木彫りなどの用途で高く評価されるため、木材コーティングではクリアコートが好ましい。
【0057】
組成物の残部は、典型的には水である。脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、アルコール、ケトン、揮発油、石油蒸留物、エステル、グリコールエーテル、低分子量合成樹脂及び同等物などの他の希釈剤が、水の他に含まれ得る。水などといった、環境に優しい希釈剤が好ましい。
【0058】
その他の添加剤は、表面張力を調整し、流動性を向上させ、仕上がり外観を向上させ、濡れた状態の端部を増大させ、顔料安定性を向上させ、凍結防止特性を追加し、発泡性を制御し、スキンニングを制御するなどのための添加物を含むが、これらに限定されない組成物中に含まれ得る。組成物中に含まれ得る更なる添加剤は、触媒、増粘剤、安定剤、乳化剤、テクスチャ化剤、接着促進剤、UV安定剤、脱光沢剤、細菌増殖に対抗する殺生剤などを含むが、これらに限定されない。油は、ともすれば、コーティングされる材料の供給環境下において形成過程及び劣化成分から発生することがある、コーティングに対する損傷を低減するレオロジー剤、光沢改質剤及び保護剤として含まれ得る。
【0059】
本発明のコーティング組成物は、典型的には、(I)つや消し剤の約1.0重量%~最大約99.0重量%(又は、0.1重量%単位で1.0重量%~最大99.0重量%のいずれかの値(例えば約5.1重量%)、又は、0.1重量%単位で1.0重量%~最大99.0重量%であるいずれかの範囲の値(例えば約1.3~約4.8重量%))及び(II)1つ以上の追加成分の約99.0重量%~約1.0重量%(又は、0.1重量%単位で99.0重量%~1.0重量%(この値を含む)のいずれかの値(例えば約95.1重量%)、又は、0.1重量%単位で99.0重量%~1.0重量%(この値を含む)であるいずれかの範囲の値(例えば約98.3重量%~約94.8重量%))、コーティング組成物の総重量に基づいている両方の成分(I)及び(II)を含む。
【0060】
使用
本発明は、より更には、様々なコーティング用途/過程におけるつや消し剤の使用に関する。コーティング組成物中につや消し剤として使用される場合、本明細書に記載のコーティングされたシリカ粒子は最終コーティングにおいて、改善された化学耐性、改善された熱応力耐性、改善された耐候性、改善された塗膜の透明度又はこれらのいずれかの組合せなどの、1つ以上の改善された特性を提供する。
【0061】
好ましい実施形態では、本発明のつや消し剤は、基材へと塗布されたコーティング組成物の化学耐性、熱応力耐性、耐候性及び/又は塗膜の透明度を改善する方法において有用である。特に好ましい実施形態では、基材は木製基材である。好ましい一実施形態では、木製基材はこの水性コーティング組成物で処理され、コーティング組成物は木製基材の表面に本発明のつや消し剤を含む。本発明によるコーティング組成物でコーティングされ得る他の基材は、皮革、プラスチック(例えばビニル)、金属(例えばコイル)若しくは合金、セメント又はコンクリート又は他の産業用最終仕上げを含むが、これらに限定されない。
【0062】
一般的に、本発明によるコーティング組成物中のつや消し剤の使用方法は、基材へコーティング組成物を塗布する前に、好ましくは水性コーティング組成物であるコーティング組成物中へと、進歩性のあるつや消し剤を組み込むことを含む。典型的な組込み工程には、製剤中へのつや消し剤の混合又は分散が挙げられる。コーティング組成物を基材へと塗布する方法には、ブラッシング、圧延、吹き付け、ドローダウン又は他の可能な方法が挙げられる。以下の実施例にて更に論じられるように、コーティング組成物(例えば木製基材コーティング組成物)中への、本発明のつや消し剤の組込み及びその後のコーティング組成物の塗布により、本発明のつや消し剤を含有しない周知のコーティング/塗膜と比較し、改善された化学耐性、改善された熱応力耐性、改善された耐候性及び/又は改善された塗膜の透明度を有するコーティングされた塗膜が提供される。例えばいくつかの実施形態では、つや消し剤を含むコーティング組成物は基材上にクリアコート塗膜を生じ、塗膜は、携帯型Spectro-Guide 45/0測色計及び以下の実施例で記載される方法を用いて測定してして、7.0ユニット未満の塗膜の透明度ΔL*(又は、0.1ユニット単位で7.0ユニット未満のいずれかの値(例えば2.4ユニット)、又は、0.1ユニット単位で、7.0ユニット未満であるいずれかの範囲の値(例えば約1.2ユニット~約2.4ユニット))を示す。
【0063】
いくつかの実施形態では、本発明のつや消し剤を含むコーティング組成物は基材上にコーティングされた塗膜を生じ、塗膜は、携帯型Spectro-Guide 45/0測色計及び以下の実施例で記載される方法を用いて測定してして、5.0ユニット未満の水による損傷(24hr)ΔL*(又は、0.1ユニット単位で5.0ユニット未満のいずれかの値(例えば2.4ユニット)、又は、0.1ユニット単位で、5.0ユニット未満であるいずれかの範囲の値(例えば約1.2ユニット~約2.4ユニット))を示す。
【0064】
いくつかの実施形態では、進歩性のあるつや消し剤を含むコーティング組成物は基材上にコーティングされた塗膜を生じ、塗膜は、携帯型Spectro-Guide 45/0測色計及び以下の実施例で記載される方法を用いて測定してして、8.0ユニット未満の、50/50である水/エタノールによる損傷(1hr)ΔL*(又は、0.1ユニット単位で5.0ユニット未満のいずれかの値(例えば2.4ユニット)、又は、0.1ユニット単位で、5.0ユニット未満であるいずれかの範囲の値(例えば約1.2ユニット~約2.4ユニット))を示す。
【0065】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のコーティングされた粒子を含むコーティング組成物は基材上にコーティングされた塗膜を生じ、塗膜は、携帯型Spectro-Guide 45/0測色計及び以下の実施例で記載される方法を用いて測定して、16.0ユニット未満の、50/50である水/エタノールによる損傷(4hr)ΔL*(又は、0.1ユニット単位で16.0ユニット未満のいずれかの値(例えば12.4ユニット)、又は、0.1ユニット単位で、16.0ユニット未満であるいずれかの範囲の値(例えば約10.2ユニット~約12.4ユニット))を示す。
【0066】
いくつかの望ましい実施形態では、本明細書に記載のコーティング粒子を含むコーティング組成物は、基材上にコーティングされた塗膜を生じ、塗膜は、携帯型Spectro-Guide 45/0測色計及び以下の実施例で記載される方法を用いて測定して、(i)7.0ユニット未満の塗膜の透明度ΔL*(又は、0.1ユニット単位で7.0ユニット未満のいずれかの値(例えば2.4ユニット)、又は、0.1ユニット単位で、7.0ユニット未満であるいずれかの範囲の値(例えば約1.2ユニット~約2.4ユニット))、(ii)4.0ユニット未満の水による損傷(24hr)ΔL*(又は、0.1ユニット単位で4.0ユニット未満のいずれかの値(例えば2.4ユニット)、又は、0.1ユニット単位で、4.0ユニット未満であるいずれかの範囲の値(例えば約1.2ユニット~約2.4ユニット))、(iii)8.0ユニット未満の、50/50である水/エタノールによる損傷(1hr)ΔL*(又は、0.1ユニット単位で5.0ユニット未満のいずれかの値(例えば2.4ユニット)、又は、0.1ユニット単位で、5.0ユニット未満であるいずれかの範囲の値(例えば約1.2ユニット~約2.4ユニット))、(iv)10.0ユニット未満の、50/50である水/エタノールによる損傷(4hr)ΔL*(又は、0.1ユニット単位で10.0ユニット未満のいずれかの値(例えば8.4ユニット)、又は、0.1ユニット単位で、10.0ユニット未満であるいずれかの範囲の値(例えば約7.2ユニット~約7.4ユニット))を示す。
【0067】
いかなる特定の理論に拘束されることを望むものではないが、改善されたつや消し剤、及び塗膜の発生により示される化学耐性/熱応力耐性の改善された特性は、1)乾燥中の粒子収縮の低減、2)つや消し粒子とラテックスとの間の改善された接着性、3)形成するにつれて、より良好に流動しかつ亀裂を充填するワックス/有機コーティングのための能力、4)粒子を取り囲む領域のラテックスを軟化させることによる、ラテックス粒子界面上の低減された応力、並びに5)塗膜細孔内へのラテックスの拡散、それによる、塗膜中への水及びエタノールの浸透を低減する、という要因の1つ以上に基づき得ると仮定される。
【0068】
上記のコーティングされた粒子、方法及び使用は、1つ以上の成分又は工程を「含む(comprising)」と記載されるが、上記のコーティングされた粒子、方法及び使用は、コーティングされた粒子の、いずれかの記載の成分又は工程、方法及び使用を「含む(comprise)」、「~からなる(consists of)」又は「~から本質的になる(consist essentially of)」ことができると理解されたい。その結果として、本発明又はその一部分が「含む」などのオープンエンドな用語で記載された場合、本発明の記載又はその一部分はまた(別段の指定がない限り)、用語「~から本質的になる(consisting essentially)」若しくは「~からなる(consisting of)」、又は以下で考察されるようなこれらの変化形を使用して、本発明又はその一部分を記載すると解釈されるべきであることが容易に理解されるべきである。
【0069】
本明細書で使用されるとき、用語「備える」、「備えること」、「含む」、「含むこと」、「有する」、「有すること」、「含有する」、「含有すること」、「~を特徴とする」、又はこれらのいずれかの他の変化形は、そうではないと明示的に指し示されたあらゆる限定を条件として、列挙された成分の非排他的包含を含むことが意図される。例えば、一連の要素(例えば構成要素若しくは工程)を「含む(comprises)」コーティングされる粒子、方法及び/又は使用は、必ずしもこれらの要素(又は構成要素又は工程)のみに限定されないが、明示的に列挙されないか、又は粒子、方法及び/若しくは使用について固有ではない他の要素(又は構成要素又は工程)を含み得る。
【0070】
本明細書で使用されるとき、移行句「~からなる(consists of)」及び「~からなる(consisting of)」は、指定されないいかなる要素、工程、又は成分も除外する。例えば、請求項で使用される「~からなる(consists of)」及び「~からなる(consisting of)」は、それと通常関連する不純物(すなわち、所与の成分内の不純物)を除いて、その請求項を、その請求項に具体的に列挙される成分、材料、又は工程に制限する。語句「~からなる(consists of)」又は「~からなる(consisting of)」が、プリアンブルの直後というよりもむしろ請求項要部の節内に見られる場合、語句「~からなる(consists of)」又は「~からなる(consisting of)」は、その節内に記載される要素(又は構成要素、又は工程)のみを制限し、他の要素(又は構成要素)は、その請求項全体からは除外されない。
【0071】
本明細書で使用するとき、移行句「~から本質的になる(consists essentially of)」及び「~から本質的になる(consisting essentially of)」は、文字どおり開示されたものに加えて、材料、工程、特徴、成分、又は要素を含む、コーティングされた粒子、方法及び/又は使用を定義するために使用されるが、ただし、これらの追加の材料、工程、特徴、成分、又は要素が、請求される本発明の基本的な、かつ新規の特徴(複数可)に実質的に影響を及ぼさないことを条件とする。用語「~から本質的になる」は、「含む」と「~からなる」との間の中間領域にある。
【0072】
本発明は、以下の実施例によって更に説明されるが、これらはいかなる方法においても、その範囲に制限を課するものとして解釈されるものではない。反対に、様々な他の実施形態、修正、及びそれらの同等物に依ることができることは明らかに理解されるものであり、これは本明細書の説明を読めば、本発明の趣旨及び/又は添付の「特許請求の範囲」から逸脱することなく、それら自体が当業者に示唆され得る。
【実施例】
【0073】
以下の実施例は、(i)コーティングされた粒子を調製するための、本発明による過程及び(ii)コーティング組成物中のコーティングされた粒子の評価を記載する。
【0074】
実施例1-ワックスでコーティングされたシリカ粒子の形成(湿式法):
2.5~10グラムのワックスを、加熱しながら60~100mLのトルエンに溶解させた。10gのSYLOID(登録商標)C807シリカ粒子を、ワックス溶液と混合させた。よく換気されたドラフトチャンバ内で、混合物を一晩、結晶皿に放置し、全ての溶媒を蒸発させた。「乾燥した」残留物を乳鉢乳棒に供し、全ての粒子が500μmスクリーンを通過できるようにした。続いて、ふるいにかけた粒子を130℃で1時間加熱した。乾燥後、粒子を冷却させ、分析ミルを用いて粒子サイズを更に減少させ、粒子が45μmスクリーンを通過できるようにした。ふるいにかけられた粒子は、そのままの状態で直接、例えば塗装用製剤で使用するのに好適であった。
【0075】
実施例2-加硫工程を使用し、ポリイソプレンでコーティングされたシリカ粒子の形成(湿式法):
4.3グラムのポリイソプレン(Kurarayから市販されている、10kDMW、大半がトランス型であるKL-10)を60mLのトルエンに溶解した。0.24gの硫黄元素及び0.12gのブチルジメート(Vanderbilt Chemicals,LLCから市販されている)を溶液に添加し、十分に混合した。10gのSYLOID(登録商標)C807シリカ粒子を溶液と混合させた。よく換気されたドラフトチャンバ内で、混合物を一晩、結晶皿に放置し、全ての溶媒を蒸発させた。次いで、「乾燥した」残留物を乳鉢乳棒に供し、全ての粒子が500μmスクリーンを通過できるようにした。続いて、ふるいにかけた粒子を95℃で3時間加熱した。その後、粒子を冷却させ、分析ミルを用いて粒子サイズを更に減少させ、大半の粒子が45μmスクリーンを通過できるようにした。ふるいにかけられた粒子は、そのままの状態で直接、例えば塗装用製剤で使用するのに好適であった。
【0076】
実施例3-加硫工程を使用しない、ポリイソプレンでコーティングされたシリカ粒子の形成(湿式法):
7.0グラムのポリイソプレン(Kurarayから市販されている、10kD MW、大半がトランス型であるKL-10)を60mLのトルエンに溶解した。10gのSYLOID(登録商標)C807シリカ粒子を溶液と混合させた。よく換気されたドラフトチャンバ内で、混合物を一晩、結晶皿に放置し、全ての溶媒を蒸発させた。次いで、「乾燥した」残留物を乳鉢乳棒に供し、全ての粒子が500μmスクリーンを通過できるようにした。続いて、ふるいにかけた粒子を70℃で3時間加熱した。その後、粒子を冷却させ、分析ミルを用いて粒子サイズを更に減少させ、大半の粒子が45μmスクリーンを通過できるようにした。ふるいにかけられた粒子は、そのままの状態で直接、例えば塗装用製剤で使用するのに好適であった。
【0077】
実施例4-溶融及び混合したワックスでコーティングされたシリカ粒子の形成(乾式法):
4kgのSYLOID(登録商標)C807シリカ粒子と4kgのPOLARWACHS(登録商標)N481ポリエチレンワックスとを、10Lのヘンシェルミキサで窒素下にて混合した。ミキサは120℃で2時間加熱した。ミキサは3000rpmで2時間混合した。次いで、サンプルを室温にまで冷却した。
【0078】
実施例5-溶融及び粉砕したワックスでコーティングされたシリカ粒子の形成(乾式法):
4kgのシリカゲル(~30μm粒子サイズであり、細孔容積が2cc/g)と4kgのPOLAR WACHS(登録商標)N481ポリエチレンワックスとを、10Lのヘンシェルミキサで窒素下にて混合した。ミキサは120℃で2時間加熱した。ミキサは3000rpmで2時間混合した。サンプルを室温まで冷却して化合物を流体エネルギーミルに窒素下で供し、結果、粒子サイズを9μm(メジアン粒子サイズ)とした。
【0079】
実施例6-コーティング組成物の試験用原液の形成
以下の表1に列挙される成分を以下に記載のとおり組み合わせ、以下で論じられるコーティング組成物の試験用原液を形成した。
【0080】
【0081】
77.43グラム(g)のNEOCRYL(登録商標)KX12と、5.53gの脱イオン水とを、第1の容器内で混合した。8.85gのDOWANOL(商標)PDnBと、5.54gの脱イオン水とを、第2の容器内で混合した。次いで、第2の容器内の内容物を第1の容器へとゆっくり注いだ。30mmワイドブレードを備えたGardner Company(Pompano Beach,FL)製のDISPERMAT(登録商標)分散機を用い、混合物を1500rpmで15分間分散させた。
【0082】
0.55gのBYK(登録商標)024、1.11gのSURFYNOL(登録商標)104E及び0.22gのRHEOLATE(登録商標)299を第1の容器内の混合物に添加した。次いで、混合物をDISPERMAT(登録商標)分散機を用いて2500rpmで10分間分散させた。
【0083】
0.77gのBYK(登録商標)346を第1の容器内の混合物に添加した。次いで、混合物をDISPERMAT(登録商標)分散機を用いて1000rpmで5分間分散させた。次いで得られた混合物を、最大1か月間保管可能である原液として使用した。
【0084】
実施例7-つや消し剤及び原液を含むコーティング組成物の形成
つや消し剤及び実施例6の原液を含むコーティング組成物を以下のとおり調製した。所与の量のつや消し剤を、上記実施例3で形成された所与の量の原液に添加した後、得られた混合物を、DISPERMAT(登録商標)分散機を用いて2500rpmで30分間分散させた。その後、室温で一晩放置した。
【0085】
各コーティング組成物を試験するため、以下に記載のドローダウン手順を用い、ドローダウンが2日目(すなわち、所与のコーティング組成物を作製した翌日)に実施された。
【0086】
ドローダウン手順及びドローダウンカード
40のワイヤサイズを有し、Gardner Company製である巻線付きラボロッドを使用して、ドローダウンが実施された。このサイズを用いると、湿潤塗膜の厚さは約100μmであった。使用されるドローダウンプレートは、Leneta Company,Inc.(Mahwah,NJ)製である、219×286mm2の平坦な黒色チャートであった。各ドローダウンの手順は以下のとおりであった。
1.塵埃を含まないクリーンルームにて、ブランクドローダウンプレートを真空ホルダに設置した。
2.ピペットを用い、約2~5mLの十分に混合されたコーティング組成物サンプルを、サンプルシート上及びサンプルシート近くに配置した。
3.ドローダウンロッドの端部を速やかに把持した。サンプルから離れてロッドが折れたり曲がったりしないように両手の親指を使用し、液体プールを介してドローダウンロッドを引き下ろし、サンプルシートの端から端まで流体を展着及び計測した。所与のドローダウンを行った後、ドローダウンロッドを使用後洗浄トレイに浸漬した。
4.ドローダウン後、ドローダウンサンプルを少なくとも4日間室温に放置し、コーティング層を完全に乾燥させた。
5.コーティングされたドローダウンプレートを乾燥させた後、以下の手順を使用して、化学耐性、塗膜の透明度、つや消し効果及び低温確認の試験を実施した。
【0087】
光沢(つや消し効果)、塗膜の透明度及び化学耐性測定並びに試験方法:
携帯型Micro-TRI-Glossメータ(BYK-Gardner(USA,Columbia,MD)製)を、塗膜光沢の測定のために使用した。60°光沢値を測定し、報告した。
【0088】
塗膜の透明度及び化学的な損傷を確認するため、携帯型Spectro-Guide 45/0測色計(BYK-Gardner製)を使用した。所与のコーティングされた塗膜のL*値を、測色計の測定により得た。黒色背景のカードでは、つや消しされていない原液(実施例6による)から約7.9のL*値を得た。原液中へのつや消し剤(例えばシリカ)の添加により、塗膜はより白色となり(すなわち、より高いL*値が得られる)、かつ塗膜をつや消しした塗膜の透明度は、新規L*値とつや消し剤を含有しない原液から形成された塗膜由来のL*値との差であると定義された。
【0089】
使用される化学耐性試験方法は、欧州標準規格であるEN 12720/DIN 68861-1と同様のものであった。脱イオン水及び水中での50/50エタノールに対する耐性を試験した。試験は以下のように実施した。
1.円(直径1インチ)をFisherbrandろ紙から切り取った。
2.水又は50/50エタノール/水のいずれかに、円を30秒間浸漬させた。
3.浸漬させた円のそれぞれを、乾燥させたドローダウンカード上に配置し、次いで秤量皿で覆い蒸発を防いだ。
4.一定時間(すなわち、水の試験に対しては24時間、並びに水中の50/50エタノールに対しては1時間及び4時間)の後、秤量皿及び紙を取り除いた。
5.接触領域内に白色マークを設け、一晩の後に、Spectro-Guide 45/0測色計を用いてL*値を測定した。
6.化学的な損傷(化学耐性に反比例する)は、白色マークのL*値(すなわち、少なくとも3つの測定値のうち最大の測定値)と塗膜地との差であるように定義された。変化率もまた計算した。
【0090】
低温確認試験
この試験は、所与のコーティングの耐水性及び水の浸透に影響を与える、天候変化及び相対湿度の変化をシミュレートするように設計された。乾燥させたドローダウンカードを、5サイクル(5サイクルは、相対湿度=95%で第1段階が-20℃で1時間、第2段階が50℃で1時間である)で以下の環境を経るようにすることで試験を実施した。次いで合計5サイクル繰り返した。これらのサイクル後、Spectro-Guide 45/0測色計を用いてL*値を測定し、これらのサイクル前の値との比較を行った。
【0091】
実施例8-本発明のコーティングされた粒子の形成
サンプルのコーティングされた粒子は、以下の表2で示す材料を用いて調製した。最初の9つのサンプルは、上記の実施例1に概説した手順を用いて調製した。サンプル10は実施例4に概説した手順を使用して調製し、サンプル11は実施例5に概説した手順を使用して調製した。
【0092】
【0093】
実施例9-比較粒子
以下の表3に示される比較粒子は、更なる修飾なしに手に入れたものとして使用された。
【0094】
【0095】
表3において、比較例4では、使用される有機物はCERAFLOUR(登録商標)920であって、これは尿素-ホルムアルデヒド系有機つや消し剤であり、比較例5で使用されるワックスは、CERAFLOUR(登録商標)929であって、これは微粉化ポリエチレンワックス系有機つや消し剤である。これらは両方とも、BYK-Chemie GmbH(Wesen,Germany)から市販されている。比較例4及び5の両方において、純シリカと有機つや消し剤との混合物(2種類のつや消し剤の物理的ブレンド)が塗装用製剤に使用される。
【0096】
実施例10-特定のコーティング組成物の形成
つや消し剤含有コーティング組成物を、本発明の実施例8のコーティングされた粒子及び実施例9の比較サンプル粒子を使用して調製した。各つや消し剤含有コーティング組成物を、上記実施例7に記載された手順を用いて調製した。形成後、各つや消し剤含有コーティング組成物を、本明細書に記載されているドローダウン手順を使用してドローダウンした。乾燥後、得られた塗膜のそれぞれを、上記方法に従い、光沢、塗膜の透明度、化学耐性について評価した。以下の表4で結果をまとめる。
【0097】
【0098】
上記表4に示して、本発明の全てのワックスコーティングされたつや消し剤は、比較サンプルから得られたものと比較した場合に、改善された化学耐性を示した。サンプル1~4及び比較サンプル1において、ワックス量が増加するにつれて、より低いΔL*値によって表して化学耐性が増加した。
【0099】
またサンプル9及び比較サンプル4、5と比較した場合、ワックスコーティングは、単純にシリカと有機系つや消し剤とを物理ブレンドしたものよりもはるかに良好である化学耐性をもたらした。
【0100】
以下の表5は、本明細書に記載されている低温確認試験方法を使用し、本発明のコーティングされた粒子を用いて形成されたコーティングの低温確認性の向上を示す。
【0101】
【0102】
示されるように、ワックスコーティングに関して、「白色」の有意な減少(0%変化対41%変化)が得られた。
【0103】
実施例11-追加の特定コーティング組成物の形成
2つの追加のつや消し剤含有コーティング組成物は、(i)上記実施例2に記載の手順を用いて形成された、ポリイソプレンコーティングされたシリカ(4.3gのポリイソピレン及び10gの加硫されたSYLOID(登録商標)C807シリカゲル粒子)、(ii)上記実施例3に記載の手順を用いて形成されたポリイソプレンコーティングされたシリカ(7.0gのポリイソピレン及び10gの加硫されていないSYLOID(登録商標)C807シリカゲル粒子)並びに(iii)上記の比較例1で指定された比較粒子を用いて調製された。各つや消し剤含有コーティング組成物を、上記実施例7に記載された手順を用いて調製した。形成後、本明細書に記載されているドローダウン手順を使用して、各つや消し剤含有コーティング組成物を引き下ろした。乾燥後、得られた塗膜のそれぞれを、上記方法に従い、光沢、塗膜の透明度、化学耐性について評価した。以下の表6で結果をまとめる。
【0104】
【0105】
上記表6で示して、ポリイソプレンコーティングされたシリカ粒子(加硫あり又は加硫なし)は、未修飾シリカ粒子と比較して有意な化学耐性の改善を提供した。
【0106】
本発明は、限定数の実施形態を用いて説明されたが、これらの特定の実施形態は、本明細書の他の箇所で説明及び請求して、本発明の範囲を制限することを意図しない。更なる修正、同等物、及び変化形が可能であることは、本明細書における例示的な実施形態を検討するとき、当業者には明らかとなり得る。実施例並びに残りの本明細書における全ての部及び割合は、別途指定がない限り、重量で示される。更に、特性の特定のセット、計測の単位、条件、物理的状態、又はパーセンテージを表すような、明細書又は特許請求の範囲において引用される数字のいずれの範囲も、そのような範囲内に含まれる全ての数、並びにそのように示されている全ての範囲内の数の全ての部分集合を含めて、言及するか又は他の方法で示すことによって文字どおり明示的に含むものであると意図されている。例えば、下限RL及び上限RUを備えた数の範囲が開示されるときはいつでも、範囲内に当てはまる、いかなる数Rも具体的に開示されている。特に、範囲内の以下の数が具体的に開示される:R=RL+k(RU-RL)(式中、kは、1%単位で、1%~100%の範囲の変数であり、例えば、kは、1%、2%、3%、4%、5%....50%、51%、52%....95%、96%、97%、98%、99%、又は100%である。)更に上で計算されたように、Rのいずれかの2値によって表されるいずれの数値範囲も、具体的に開示されている。本明細書に図示及び説明されるものに加えて、本発明のいかなる修正も、前述の説明及び添付の図面から当業者には明らかとなるであろう。そのような修正は、添付の「特許請求の範囲」内に入ることが意図される。本明細書に引用される全ての刊行物は、参照によりそれら全体が組み込まれる。
[発明の態様]
[1]
つや消し剤であって、
粒子表面を有するシリカ粒子と、
前記シリカ粒子の総重量に基づき、30.0重量パーセント(重量%)超の、前記粒子表面上にコーティングされた、(i)1つ以上のワックス、(ii)1つ以上のポリマー又は(iii)(i)及び(ii)のいずれかの組合せと、を含む、つや消し剤。
[2]
前記シリカ粒子が、前記シリカ粒子の総重量に基づき、前記粒子表面上に、31.0重量%~約50.0重量%の、(i)前記1つ以上のワックス、(ii)前記1つ以上のポリマー又は(iii)(i)及び(ii)のいずれかの組合せを含む、1に記載のつや消し剤。
[3]
前記シリカ粒子が、前記シリカ粒子の総重量に基づき、前記粒子表面上に、約40.0重量%~約50.0重量%の(i)前記1つ以上のワックス、(ii)前記1つ以上のポリマー又は(iii)(i)及び(ii)のいずれかの組合せを含む、1に記載のつや消し剤。
[4]
前記シリカ粒子が、シリカゲル、沈降シリカ又はヒュームドシリカ粒子を含む、
1に記載のつや消し剤。
[5]
前記シリカ粒子が、Barrett-Joyner-Halenda(BJH)法により測定して、約0.30cc/gm~約2.20cc/gmの総細孔容積を有する、1に記載のつや消し剤。
[6]
前記シリカ粒子が、BJH法により測定して、約1.8cc/gm~約2.0cc/gmの総細孔容積を有する、5のつや消し剤。
[7]
前記シリカ粒子が、少なくとも約100m2/g~最大1500m2/g、又はそれより大きいBET粒子表面積を有する、1に記載のつや消し剤。
[8]
前記シリカ粒子が、少なくとも約200m2/g~最大900m2/gのBET粒子表面積を有する、7に記載のつや消し剤。
[9]
前記コーティングされたシリカ粒子が、約1.0ミクロン(μm)~約50μmの平均粒子サイズを有する、1に記載のつや消し剤。
[10]
前記シリカ粒子が、Barrett-Joyner-Halenda(BJH)法により測定して、約0.40cc/gm~約2.20cc/gmの総細孔容積を有する、1に記載のつや消し剤。
[11]
前記コーティングされた粒子が、前記1つ以上のワックスを含む、1に記載のつや消し剤。
[12]
前記1つ以上のワックスが、炭化水素ワックス、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、植物ワックス、動物ワックス又はこれらのいずれかの組合せを含む、11に記載のつや消し剤。
[13]
前記1つ以上のワックスが、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス又はこれらの組合せを含む、12に記載のつや消し剤。
[14]
前記1つ以上のワックスが、少なくとも2000の平均分子量を有するポリエチレンワックスを含む、13に記載のつや消し剤。
[15]
前記コーティングされた粒子が、1つ以上のポリマーを含む、1に記載のつや消し剤。
[16]
前記1つ以上のポリマーが、ポリジエン、加硫ポリジエン、ポリアクリルアミド、ポリビニルポリピロリドン、酢酸酪酸セルロース又はこれらのいずれかの組合せを含む、15に記載のつや消し剤。
[17]
前記1つ以上のポリマーが、ポリジエン、加硫ポリジエン又はこれらのいずれかの組合せを含む、16に記載のつや消し剤。
[18]
前記1つ以上のポリマーが、加硫ポリジエンを含む、17のいずれか一項に記載のつや消し剤。
[19]
前記コーティングされた粒子が、自由流動性粒子である、1に記載のつや消し剤。
[20]
コーティング組成物に組み込まれ、基材に塗布されたとき、携帯型Spectro-Guide 45/0測色計を使用して測定して、前記コーティング組成物が7.0ユニット未満の塗膜の透明度ΔL*を有する塗膜を形成することができる、1に記載のつや消し剤。
[21]
コーティング組成物に組み込まれ、基材に塗布される場合、携帯型Spectro-Guide 45/0測色計を使用して測定して、前記コーティング組成物が5.0ユニット未満の水による損傷(24hr)ΔL*を示すことができる、1に記載のつや消
し剤。
[22]
コーティング組成物に組み込まれ、基材に塗布される場合、携帯型Spectro-Guide 45/0測色計を使用して測定して、前記コーティング組成物が8.0ユニット未満の50/50の水/エタノールによる損傷(1hr)ΔL*を示すことができる、1に記載のつや消し剤。
[23]
コーティング組成物に組み込まれ、基材に塗布される場合、携帯型Spectro-Guide 45/0測色計を使用して測定して、前記コーティング組成物が16.0ユニット未満の50/50の水/エタノールによる損傷(4hr)ΔL*を示すことができる、1に記載のつや消し剤。
[24]
コーティング組成物に組み込まれ、基材に塗布される場合、携帯型Spectro-Guide 45/0測色計を使用して全て測定して、(i)7.0ユニット未満の塗膜の透明度ΔL*を示し、(ii)4.0ユニット未満の水による損傷(24hr)ΔL*、(iii)8.0ユニット未満の50/50の水/エタノールによる損傷(1hr)ΔL*及び(iv)10.0ユニット未満の50/50の水/エタノールによる損傷(4hr)ΔL*を示すことができる、1に記載のつや消し剤。
[25]
1に記載のつや消し剤を調製する方法であって、前記方法は、
コーティングされたシリカ粒子を形成するように、前記多孔質シリカ粒子と(i)前記1つ以上のワックス、(ii)前記1つ以上のポリマー又は(iii)(i)及び(ii)のいずれかの組合せとを接触させることを含む、方法。
[26]
前記接触工程が、
(i)前記1つ以上のワックス、(ii)前記1つ以上のポリマー又は(iii)(i)及び(ii)のいずれかの組合せを、溶媒中で溶解させ、懸濁液又は分散液を形成することと、
前記シリカ粒子を、前記懸濁液又は分散液へと組み込むことと、
前記懸濁液又は分散液から、前記溶媒を除去し、コーティングされたシリカ粒子を形成することと、を含む、25に記載の方法。
[27]
前記接触工程が、
(i)前記1つ以上のワックス、(ii)前記1つ以上のポリマー又は(iii)(i)及び(ii)のいずれかの組合せを溶融し、液状コーティングを形成することと、
前記シリカ粒子を前記液状コーティングに組み込み、コーティングされたシリカ粒子を形成することと、を含む、25に記載の方法。
[28]
前記接触工程が、
(a)(i)前記1つ以上のワックス、(ii)前記1つ以上のポリマー又は(iii)(i)及び(ii)のいずれかの組合せ及び(b)前記シリカ粒子を加熱しながら同時に混合又は粉砕し、コーティングされたシリカ粒子を形成することを含む、25に記載の方法。
[29]
硫黄元素、加硫促進剤又は両方を、前記1つ以上のポリマーに対して添加することを更に含む、26~28のいずれか一項に記載の方法。
[30]
前記加硫促進剤が、硫黄元素及び/又はブチルジメートを含む、29に記載の方法。
[31]
前記コーティングされたシリカ粒子の前記粒子サイズを減少させ、100ミクロン(μm)未満の最終粒子サイズを有する粒子を得ることを更に含む、26~30のいず
れか一項に記載の方法。
[32]
約500ミクロン(μm)未満の第1の粒子サイズを有するコーティングされたシリカ粒子を形成することと、熱処理時間の間高温で前記コーティングされた粒子を熱処理することと、前記熱処理されたコーティングされた粒子を冷却させることと、約100μm未の最終粒子サイズを生じるように前記熱処理されたコーティングされた粒子を粉砕することと、を含む、31に記載の方法。
[33]
前記コーティングされた粒子が、約90℃~約140℃の範囲である高温で熱処理され、前記熱処理時間が約1.0時間(hr)~約4.0hrの範囲である、32に記載の方法。
[34]
1つ以上のワックスが存在し、前記高温が約100℃~約130℃の範囲であり、前記熱処理時間が約1.0hr~約1.5hrの範囲である、33に記載の方法。
[35]
1つ以上のポリマーが存在し、前記高温が約90℃~約100℃の範囲であり、前記熱処理時間が約2.5hr~約3.5hrの範囲である、33に記載の方法。
[36]
前記粉砕工程が、約45μm未満の最終粒子サイズを有するコーティングされた粒子を生じる、31~32のいずれか一項に記載の方法。
[37]
1、4、12及び16のいずれか一項に記載のつや消し剤を含む、コーティング組成物。
[38]
前記組成物が水性組成物を含む、37に記載のコーティング組成物。
[39]
37又は38のいずれか一項に記載のコーティング組成物でコーティングされた、基材。
[40]
前記基材が木製基材を含む、39に記載の基材。
[41]
木製基材に塗布される水性組成物の化学耐性、熱応力耐性、耐候性、塗膜の透明度又はこれらのいずれかの組合せを改善する方法であって、
前記方法が、前記コーティング組成物中に1に記載のつや消し剤を組み込むことと、
前記コーティング組成物を、木製基材の少なくとも片面に塗布し、コーティングを形成することと、
前記コーティングを乾燥させ、前記木製基材の少なくとも片面に塗膜を形成することと、を含む、方法。
[42]
前記塗膜が、携帯型Spectro-Guide 45/0測色計を使用して測定して、7.0ユニット未満の塗膜の透明度ΔL*を示す、41に記載の方法。
[43]
塗膜が、携帯型Spectro-Guide 45/0測色計を使用して測定して、5.0ユニット未満の水による損傷(24hr)ΔL*を示す、41又は42に記載の方法。
[44]
塗膜が、携帯型Spectro-Guide 45/0測色計を使用して測定して、8.0ユニット未満の50/50の水/エタノールによる損傷(1hr)ΔL*を示す、41~43のいずれか一項に記載の方法。
[45]
前記塗膜が、携帯型Spectro-Guide 45/0測色計を使用して測定して、16.0ユニット未満の50/50の水/エタノールによる損傷(4hr)ΔL*を示す、41~44のいずれか一項に記載の方法。
[46]
前記塗膜が、携帯型Spectro-Guide 45/0測色計を使用して測定して
、(i)7.0ユニット未満の塗膜の透明度ΔL*を示し、(ii)4.0ユニット未満の水による損傷(24hr)ΔL*、(iii)8.0ユニット未満の50/50の水/エタノールによる損傷(1hr)ΔL*及び(iv)10.0ユニット未満の50/50の水/エタノールによる損傷(4hr)ΔL*を示す、41~45のいずれか一項に記載の方法。