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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-29
(45)【発行日】2024-03-08
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/78 20060101AFI20240301BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20240301BHJP
【FI】
H01L29/78 652K
H01L29/78 652Q
H01L29/78 652F
H01L29/78 652S
H01L29/78 652M
H01L29/78 653C
H01L29/78 658F
H01L29/78 658G
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2020020083
(22)【出願日】2020-02-07
(65)【公開番号】P2021125649
(43)【公開日】2021-08-30
【審査請求日】2022-12-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長田 賢樹
【審査官】杉山 芳弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-167542(JP,A)
【文献】特開2013-214551(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0140696(US,A1)
【文献】特開2002-083963(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0140695(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0264567(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0043192(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/06
H01L 29/78
H01L 21/336
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主面を有する半導体チップと、
前記主面に形成されたゲートトレンチと、
前記ゲートトレンチの上壁面を被覆する第1絶縁膜と、
前記ゲートトレンチの下壁面を被覆し、前記第1絶縁膜よりも厚い第2絶縁膜と、
前記ゲートトレンチから間隔を空けて前記主面に形成され、前記ゲートトレンチ側の対向壁および前記対向壁の反対側の非対向壁を有するフィールドトレンチと、
前記フィールドトレンチの前記対向壁側の上壁面を被覆し、前記第2絶縁膜よりも薄い第3絶縁膜と、
前記フィールドトレンチの前記対向壁側の下壁面および前記非対向壁を被覆し、前記第3絶縁膜よりも厚い第4絶縁膜と、
前記第1絶縁膜を挟んで前記ゲートトレンチの上側に埋設された第1電極と、
前記第2絶縁膜を挟んで前記ゲートトレンチの下側に埋設された第2電極と、
前記第3絶縁膜を挟んで前記フィールドトレンチの前記対向壁側に埋設された第3電極と、
前記第4絶縁膜を挟んで前記フィールドトレンチの前記非対向壁側に埋設された第4電極であって、前記フィールドトレンチの上側に埋設された上電極部と、前記フィールドトレンチの下側に埋設され、前記第3電極の底部に対して下方側に位置する下電極部とを有する第4電極と、を含み、
前記第3電極は、前記第1電極よりも幅狭に形成されており、
前記第4電極の前記下電極部は、前記第2電極よりも幅広に形成されている、半導体装置。
【請求項2】
前記第4電極の前記下電極部は、前記第1電極よりも幅広に形成されている、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第4電極の前記上電極部は、前記第3電極よりも幅広に形成されている、請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記半導体チップは、活性領域、および、前記活性領域外の非活性領域を含み、
前記ゲートトレンチは、前記活性領域の前記主面に形成され、
前記フィールドトレンチは、前記非活性領域の前記主面に形成され、前記非活性領域から前記活性領域を区画している、請求項1~3のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第3絶縁膜は、前記半導体チップの一部を挟んで前記第1絶縁膜に対向し、
前記第4絶縁膜は、前記半導体チップの一部を挟んで前記第2絶縁膜に対向している、請求項1~4のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第4絶縁膜は、前記非対向壁側の上壁面を被覆し、前記フィールドトレンチ内において前記対向壁側の前記第3絶縁膜に対向している、請求項1~のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第3電極は、前記フィールドトレンチの上側に埋設されている、請求項1~6のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第4電極は、前記フィールドトレンチの深さ方向に前記第3電極の底部を横切っている、請求項1~7のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第1電極および前記第2電極の間に介在する第1中間絶縁膜と、
前記第3電極および前記第4電極の間に介在する第2中間絶縁膜と、をさらに含む、請求項~8のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記第1電極に制御電位が印加され、
前記第2電極に基準電位または前記制御電位が印加され、
前記第3電極に前記制御電位または前記基準電位が印加され、
前記第4電極に前記基準電位が印加される、請求項~9のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記第2電極に前記基準電位が印加される、請求項10に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記第3電極に前記制御電位が印加される、請求項10または11に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記主面の表層部に形成されたボディ領域をさらに含み、
前記ゲートトレンチは、前記ボディ領域を貫通して形成され、
前記第1絶縁膜は、前記ボディ領域に接している、請求項1~12のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記フィールドトレンチは、前記ボディ領域を貫通して形成され、
前記第3絶縁膜は、前記ボディ領域に接している、請求項13に記載の半導体装置。
【請求項15】
前記ボディ領域の表層部において前記ゲートトレンチに沿う領域に形成されたソース領域をさらに含む、請求項13または14に記載の半導体装置。
【請求項16】
前記ゲートトレンチは、平面視において帯状に形成され、
前記フィールドトレンチは、平面視において前記ゲートトレンチに平行に延びる帯状に形成されている、請求項1~15のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項17】
前記フィールドトレンチは、前記ゲートトレンチよりも幅広に形成されている、請求項1~16のいずれか一項に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、半導体チップ、ゲートトレンチ構造およびフィールドトレンチ構造を含む半導体装置を開示している。ゲートトレンチ構造は、ゲートトレンチ、第1絶縁膜および第2絶縁膜を含む。ゲートトレンチは、半導体チップの主面に形成されている。第1絶縁膜は、ゲートトレンチの上壁面を被覆している。第2絶縁膜は、ゲートトレンチの下壁面を被覆し、第1絶縁膜よりも厚く形成されている。フィールドトレンチ構造は、フィールドトレンチおよび第3絶縁膜を含む。フィールドトレンチは、ゲートトレンチから間隔を空けて半導体チップの主面に形成されている。第3絶縁膜は、フィールドトレンチの壁面を被覆し、第1絶縁膜よりも厚く形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-508980号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ゲートトレンチ内の構造およびフィールドトレンチ内の構造が異なる場合、半導体チップにおけるゲートトレンチおよびフィールドトレンチの間の領域に応力が生じ、結晶欠陥が形成される虞がある。
本発明の一実施形態は、ゲートトレンチおよびフィールドトレンチの間の領域に生じる応力を緩和できる半導体装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施形態は、主面を有する半導体チップと、前記主面に形成されたゲートトレンチと、前記ゲートトレンチの上壁面を被覆する第1絶縁膜と、前記ゲートトレンチの下壁面を被覆し、前記第1絶縁膜よりも厚い第2絶縁膜と、前記ゲートトレンチから間隔を空けて前記主面に形成され、前記ゲートトレンチ側の対向壁および前記対向壁の反対側の非対向壁を有するフィールドトレンチと、前記フィールドトレンチの前記対向壁側の上壁面を被覆し、前記第2絶縁膜よりも薄い第3絶縁膜と、前記フィールドトレンチの前記対向壁側の下壁面および前記非対向壁を被覆し、前記第3絶縁膜よりも厚い第4絶縁膜と、を含む、半導体装置を提供する。
【0006】
この半導体装置によれば、ゲートトレンチおよびフィールドトレンチの間の領域に生じる応力を緩和できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、本発明の第1実施形態に係る半導体装置を示す平面図である。
図2図2は、図1に示す半導体チップの第1主面の構造を示す平面図である。
図3図3は、図2に示す領域IIIの拡大図である。
図4図4は、図3に示すIV-IV線に沿う断面図である。
図5図5は、図3に示すV-V線に沿う断面図である。
図6図6は、図3に示すVI-VI線に沿う断面図である。
図7図7は、図2に示す領域VIIの拡大図である。
図8A図8Aは、図1に示す半導体装置の製造方法の一例を説明するための断面図である。
図8B図8Bは、図8Aの後の工程を示す断面図である。
図8C図8Cは、図8Bの後の工程を示す断面図である。
図8D図8Dは、図8Cの後の工程を示す断面図である。
図8E図8Eは、図8Dの後の工程を示す断面図である。
図8F図8Fは、図8Eの後の工程を示す断面図である。
図8G図8Gは、図8Fの後の工程を示す断面図である。
図8H図8Hは、図8Gの後の工程を示す断面図である。
図8I図8Iは、図8Hの後の工程を示す断面図である。
図8J図8Jは、図8Iの後の工程を示す断面図である。
図8K図8Kは、図8Jの後の工程を示す断面図である。
図8L図8Lは、図8Kの後の工程を示す断面図である。
図8M図8Mは、図8Lの後の工程を示す断面図である。
図8N図8Nは、図8Mの後の工程を示す断面図である。
図8O図8Oは、図8Nの後の工程を示す断面図である。
図8P図8Pは、図8Oの後の工程を示す断面図である。
図8Q図8Qは、図8Pの後の工程を示す断面図である。
図8R図8Rは、図8Qの後の工程を示す断面図である。
図8S図8Sは、図8Rの後の工程を示す断面図である。
図8T図8Tは、図8Sの後の工程を示す断面図である。
図8U図8Uは、図8Tの後の工程を示す断面図である。
図9図9は、図4の対応図であって、比較例に係るフィールドトレンチ構造を説明するための断面図である。
図10図10は、図3の対応図であって、本発明の第2実施形態に係る半導体装置の半導体チップの第1主面の構造を示す平面図である。
図11図11は、図10に示すXI-XI線に沿う断面図である。
図12図12は、図4の対応図であって、本発明の第3実施形態に係る半導体装置の一部の領域を示す断面図である。
図13図13は、図4の対応図であって、本発明の第4実施形態に係る半導体装置の一部の領域を示す断面図である。
図14図14は、図4の対応図であって、本発明の第5実施形態に係る半導体装置の一部の領域を示す断面図である。
図15図15は、図4の対応図であって、本発明の第6実施形態に係る半導体装置の一部の領域を示す断面図である。
図16図16は、図4の対応図であって、本発明の第7実施形態に係る半導体装置の一部の領域を示す断面図である。
図17図17は、図4の対応図であって、変形例に係るフィールドトレンチ構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下では、添付図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る半導体装置1を示す平面図である。図2は、図1に示す半導体チップ2の第1主面3の構造を示す平面図である。図3は、図2に示す領域IIIの拡大図である。図4は、図3に示すIV-IV線に沿う断面図である。図5は、図3に示すV-V線に沿う断面図である。図6は、図3に示すVI-VI線に沿う断面図である。図7は、図2に示す領域VIIの拡大図である。
【0009】
図1図7を参照して、半導体装置1は、直方体形状に形成されたシリコン製の半導体チップ2を含む。半導体チップ2は、一方側の第1主面3、他方側の第2主面4、ならびに、第1主面3および第2主面4を接続する側面5A、5B、5C、5Dを含む。第1主面3および第2主面4は、それらの法線方向Zから見た平面視(以下、単に「平面視」という。)において四角形状(具体的には長方形状)に形成されている。
【0010】
側面5A~5Dは、第1側面5A、第2側面5B、第3側面5Cおよび第4側面5Dを含む。第1側面5Aおよび第2側面5Bは、第1方向Xに延び、第1方向Xに交差する第2方向Yに対向している。第2方向Yは、具体的には、第1方向Xに直交している。第1側面5Aおよび第2側面5Bは、半導体チップ2の短辺を形成している。第3側面5Cおよび第4側面5Dは、第2方向Yに延び、第1方向Xに対向している。第3側面5Cおよび第4側面5Dは、半導体チップ2の長辺を形成している。
【0011】
半導体チップ2は、n型のドレイン領域6およびn型のドリフト領域7を含む。ドレイン領域6は、第2主面4の表層部に形成されている。ドレイン領域6は、第2主面4の表層部の全域に形成されていることが好ましい。ドレイン領域6のn型不純物濃度は、1×1018cm-3以上1×1021cm-3以下であってもよい。ドレイン領域6は、この形態(this embodiment)では、半導体基板によって形成されている。
【0012】
ドレイン領域6の厚さは、50μm以上400μm以下であってもよい。ドレイン領域6の厚さは、50μm以上100μm以下、100μm以上200μm以下、200μm以上300μm以下、または、300μm以上400μm以下であってもよい。ドレイン領域6の厚さは、50μm以上150μm以下であることが好ましい。
ドリフト領域7は、第1主面3の表層部に形成されている。ドリフト領域7は、第1主面3の表層部の全域に形成されていることが好ましい。ドリフト領域7は、第1主面3およびドレイン領域6の間の領域に形成され、ドレイン領域6に電気的に接続されている。ドリフト領域7は、ドレイン領域6のn型不純物濃度未満のn型不純物濃度を有している。ドリフト領域7のn型不純物濃度は、1×1015cm-3以上1×1018cm-3以下であってもよい。ドリフト領域7は、この形態では、エピタキシャル層によって形成されている。
【0013】
ドリフト領域7は、ドレイン領域6の厚さ未満の厚さを有している。ドリフト領域7の厚さは、5μm以上30μm以下であってもよい。ドリフト領域7の厚さは、5μm以上10μm以下、10μm以上15μm以下、15μm以上20μm以下、20μm以上25μm以下、または、25μm以上30μm以下であってもよい。ドリフト領域7の厚さは、5μm以上15μm以下であることが好ましい。
【0014】
図2を参照して、半導体装置1は、側面5A~5Dから内方に間隔を空けて第1主面3に形成された活性領域10を含む。活性領域10は、機能デバイスとしてのMISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)が形成される領域である。活性領域10は、具体的には、第1活性領域11、第2活性領域12および第3活性領域13を含む。第1活性領域11は、第1主面3の中央部に形成されている。第1活性領域11は、平面視において四角形状(第2方向Yに延びる長方形状)に形成されている。
【0015】
第2活性領域12は、第1側面5Aおよび第1活性領域11の間の領域に形成されている。第2活性領域12は、第1主面3の中央部を第2方向Yに横切る中央ラインを設定した時、当該中央ラインから第1方向Xの一方側(第3側面5C側)に間隔を空けて形成されている。第2活性領域12は、平面視において四角形状(第1方向Xに延びる長方形状)に形成されている。第2活性領域12は、第2方向Yに第1活性領域11に対向している。
【0016】
第3活性領域13は、第1側面5Aおよび第1活性領域11の間の領域に形成されている。第3活性領域13は、第1主面3の中央部を第2方向Yに横切る中央ラインを設定した時、当該中央ラインから第1方向Xの他方側(第4側面5D側)に間隔を空けて形成されている。第3活性領域13は、平面視において四角形状(第1方向Xに延びる長方形状)に形成されている。第3活性領域13は、第2方向Yに第1活性領域11に対向し、第1方向Xに第2活性領域12に対向している。
【0017】
半導体装置1は、第1主面3に形成された非活性領域14を含む。非活性領域14は、活性領域10外に形成され、機能デバイス(MISFET)が形成されない領域である。非活性領域14は、具体的には、外周領域15およびパッド領域16を含む。外周領域15は、平面視において活性領域10を取り囲む環状に形成されている。外周領域15は、具体的には、平面視において側面5A~5Dに沿って帯状に延び、第1活性領域11、第2活性領域12および第3活性領域13を一括して取り囲んでいる。パッド領域16は、平面視において第2活性領域12および第3活性領域13の間の領域に四角形状に形成されている。
【0018】
図3図6を参照して、半導体装置1は、活性領域10において第1主面3の表層部に形成されたp型のボディ領域20を含む。ボディ領域20は、活性領域10の全域に一様に形成されている。ボディ領域20は、ドリフト領域7の底部から第1主面3側に間隔を空けて形成されている。ボディ領域20のp型不純物濃度は、1×1016cm-3以上1×1018cm-3以下であってもよい。
【0019】
図2図7を参照して、半導体装置1は、活性領域10において第1主面3に形成された複数のトレンチゲート構造21を含む。複数のトレンチゲート構造21は、複数の第1トレンチゲート構造21A、複数の第2トレンチゲート構造21Bおよび複数の第3トレンチゲート構造21Cを含む。
複数の第1トレンチゲート構造21Aは、互いに間隔を空けて第1活性領域11に形成されている。複数の第1トレンチゲート構造21Aは、第1方向Xに延びる帯状にそれぞれ形成され、第2方向Yに間隔を空けて形成されている。複数の第1トレンチゲート構造21Aは、第1方向Xに延びるストライプ状に形成されている。
【0020】
複数の第1トレンチゲート構造21Aは、第1間隔P1を空けて形成されている。第1間隔P1は、0.1μm以上2μm以下であってもよい。第1間隔P1は、0.1μm以上0.5μm以下、0.5μm以上1μm以下、1μm以上1.5μm以下、または、1.5μm以上2μm以下であってもよい。第1間隔P1は、0.5μm以上1.5μm以下であることが好ましい。
【0021】
複数の第1トレンチゲート構造21Aは、ゲートトレンチ22、第1絶縁膜23、第2絶縁膜24、第1電極25、第2電極26および第1中間絶縁膜27をそれぞれ含む。複数の第1トレンチゲート構造21Aは、第1電極25および第2電極26がゲートトレンチ22の深さ方向に分離配置された縦型スプリット電極構造をそれぞれ有している。ゲートトレンチ22は、第1主面3を第2主面4に向けて掘り下げることによって形成されている。ゲートトレンチ22は、ボディ領域20を貫通し、ドリフト領域7の底部から第1主面3側に間隔を空けて形成されている。
【0022】
ゲートトレンチ22の側壁が半導体チップ2内において第1主面3との間で成す角度は、90°以上92°以下であってもよい。ゲートトレンチ22は、開口から底壁に向けて開口幅が狭まる先細り形状に形成されていてもよい。ゲートトレンチ22の底壁は、第2主面4に向かう湾曲形状に形成されていることが好ましい。
ゲートトレンチ22は、第1幅W1を有している。第1幅W1は、ゲートトレンチ22が延びる方向に直交する方向(つまり第2方向Y)の幅である。第1幅W1は、0.5μm以上3μm以下であってもよい。第1幅W1は、0.5μm以上1μm以下、1μm以上1.5μm以下、1.5μm以上2μm以下、2μm以上2.5μm以下、または、2.5μm以上3μm以下であってもよい。第1幅W1は、0.5μm以上2μm以下であることが好ましい。
【0023】
ゲートトレンチ22は、第1深さD1を有している。第1深さD1は、1μm以上10μm以下であってもよい。第1深さD1は、1μm以上2μm以下、2μm以上4μm以下、4μm以上6μm以下、6μm以上8μm以下、または、8μm以上10μm以下であってもよい。第1深さD1は、1μm以上5μm以下であることが好ましい。
ゲートトレンチ22は、第1アスペクト比D1/W1を有している。第1アスペクト比D1/W1は、第1幅W1に対する第1深さD1の比である。第1アスペクト比D1/W1は、1を超えて5以下であることが好ましい。第1アスペクト比D1/W1は、3以上5以下であることが特に好ましい。
【0024】
第1絶縁膜23は、ゲートトレンチ22の上壁面を被覆している。第1絶縁膜23は、具体的には、ボディ領域20の底部に対してゲートトレンチ22の開口側の領域に位置する上壁面を被覆している。第1絶縁膜23は、ボディ領域20に接している。第1絶縁膜23は、ボディ領域20外の領域においてドリフト領域7に接していてもよい。第1絶縁膜23は、この形態では、酸化シリコンを含む。第1絶縁膜23は、ゲート絶縁膜として形成されている。
【0025】
第1絶縁膜23は、第1厚さT1を有している。第1厚さT1は、ゲートトレンチ22の壁面の法線方向に沿う第1絶縁膜23の厚さである。第1厚さT1は、0.01μm以上0.2μm以下であってもよい。第1厚さT1は、0.01μm以上0.05μm以下、0.05μm以上0.1μm以下、0.1μm以上0.15μm以下、または、0.15μm以上0.2μm以下であってもよい。第1厚さT1は、0.05μm以上0.1μm以下であることが好ましい。
【0026】
第2絶縁膜24は、ゲートトレンチ22の下壁面を被覆している。第2絶縁膜24は、具体的には、ボディ領域20の底部に対してゲートトレンチ22の底壁側の領域に位置する下壁面を被覆している。第2絶縁膜24は、ゲートトレンチ22の底壁側の領域においてU字状のリセス空間を区画している。第2絶縁膜24は、ドリフト領域7に接している。第2絶縁膜24は、この形態では、酸化シリコンを含む。
【0027】
第2絶縁膜24は、第1絶縁膜23の第1厚さT1よりも厚い第2厚さT2を有している。第2厚さT2は、ゲートトレンチ22の壁面の法線方向に沿う第2絶縁膜24の厚さである。第2厚さT2は、0.1μm以上1μm以下であってもよい。第2厚さT2は、0.1μm以上0.25μm以下、0.25μm以上0.5μm以下、0.5μm以上0.75μm以下、または、0.75μm以上1μm以下であってもよい。第2厚さT2は、0.15μm以上0.65μm以下であることが好ましい。
【0028】
第1電極25は、第1絶縁膜23を挟んでゲートトレンチ22内の上側(開口側)に埋設されている。第1電極25は、第1絶縁膜23を挟んでボディ領域20に対向している。第1電極25の底部は、ボディ領域20の底部の深さ位置に対してゲートトレンチ22の底壁側に位置している。第1電極25の底部は、第1絶縁膜23を挟んでドリフト領域7に対向している。ボディ領域20に対する第1電極25の対向面積は、ドリフト領域7に対する第1電極25の対向面積よりも大きい。第1電極25は、この形態では、導電性ポリシリコンを含む。第1電極25は、ゲート電極として形成されている。第1電極25には、制御電位としてのゲート電位が印加される。
【0029】
第1電極25は、平面視において第1方向Xに延びる帯状に形成されている。第1電極25は、第2方向Yに関して第1電極幅WE1を有している。第1電極幅WE1は、ゲートトレンチ22の第1幅W1から第1絶縁膜23の第1厚さT1分を差し引いた値である。
第2電極26は、第2絶縁膜24を挟んでゲートトレンチ22内の下側(底壁側)に埋設されている。第2電極26は、第2絶縁膜24を挟んでドリフト領域7に対向している。第2電極26は、この形態では、導電性ポリシリコンを含む。第2電極26は、フィールド電極として形成されている。第2電極26には、基準電位としてのソース電位(たとえばグランド電位)が印加される。
【0030】
第2電極26は、第2絶縁膜24を挟んでゲートトレンチ22の開口側に引き出された1つまたは複数(この形態では3つ)の引き出し電極26Aを含む。複数の引き出し電極26Aは、この形態では、ゲートトレンチ22の一方側(第3側面5C側)の一端部、他方側(第4側面5D側)の他端部、および、中央部に形成されている。中央部の引き出し電極26Aは、第1電極25をゲートトレンチ22の一方側(第3側面5C側)の部分および他方側(第4側面5D側)の部分に2分割している。
【0031】
複数の第1トレンチゲート構造21Aについて見ると、複数の引き出し電極26Aは、平面視において第2方向Yに一列に配列され、互いに対向している。引き出し電極26Aの配置および個数は任意であり、ゲートトレンチ22の長さや配線レイアウトに応じて適宜調整される。
第1中間絶縁膜27は、第1電極25および第2電極26の間に介在し、第1電極25および第2電極26を電気的に絶縁させている。第1中間絶縁膜27は、第1絶縁膜23および第2絶縁膜24に連なっている。第1中間絶縁膜27は、この形態では、酸化シリコンを含む。
【0032】
第1中間絶縁膜27は、具体的には、第1中間部分27Aおよび第2中間部分27Bを含む。第1中間部分27Aは、第1電極25の直下に位置し、ゲートトレンチ22の深さ方向に第1電極25および第2電極26を電気的に絶縁させている。第1中間部分27Aは、法線方向Zに関して第1絶縁膜23の第1厚さT1よりも厚い第1中間厚さTM1を有している。
【0033】
第1中間厚さTM1は、0.05μm以上1μm以下であってもよい。第1中間厚さTM1は、0.05μm以上1μm以下、0.1μm以上0.25μm以下、0.25μm以上0.5μm以下、0.5μm以上0.75μm以下、または、0.75μm以上1μm以下であってもよい。第1中間厚さTM1は、0.2μm以上0.5μm以下であることが好ましい。
【0034】
第2中間部分27Bは、平面視において第1電極25の周縁を被覆し、第1主面3に平行な横方向に第1電極25および第2電極26(引き出し電極26A)を電気的に絶縁させている。第2中間部分27Bは、第1主面3に平行な横方向に関して第2中間厚さTM2を有している。第2中間厚さTM2は任意であり、第1中間厚さTM1よりも厚くてもよいし、第1中間厚さTM1よりも薄くてもよい。
【0035】
第2中間厚さTM2は、0.05μm以上15μm以下であってもよい。第2中間厚さTM2は、0.05μm以上1μm以下、1μm以上5μm以下、5μm以上10μm以下、または、10μm以上15μm以下であってもよい。第2中間厚さTM2は、3μm以上5μm以下であることが好ましい。
図7を参照して、複数の第2トレンチゲート構造21Bは、第2活性領域12に形成されている。複数の第2トレンチゲート構造21Bは、第1方向Xに延びる帯状にそれぞれ形成され、第2方向Yに第1間隔P1を空けて形成されている。複数の第2トレンチゲート構造21Bは、第1方向Xに延びるストライプ状に形成されている。
【0036】
複数の第2トレンチゲート構造21Bは、第1トレンチゲート構造21Aと同様に、ゲートトレンチ22、第1絶縁膜23、第2絶縁膜24、第1電極25、第2電極26および第1中間絶縁膜27を含む縦型スプリット電極構造をそれぞれ有している。第2トレンチゲート構造21Bは、ゲートトレンチ22の長さおよび引き出し電極26A(第2電極26)のレイアウトが異なる点を除いて第1トレンチゲート構造21Aと同様の構造を有している。第2トレンチゲート構造21Bについての具体的な説明は省略される。
【0037】
図7を参照して、複数の第3トレンチゲート構造21Cは、第3活性領域13に形成されている。複数の第3トレンチゲート構造21Cは、第1方向Xに延びる帯状にそれぞれ形成され、第2方向Yに第1間隔P1を空けて形成されている。複数の第3トレンチゲート構造21Cは、第1方向Xに延びるストライプ状に形成されている。
複数の第3トレンチゲート構造21Cは、複数の第1トレンチゲート構造21Aと同様に、ゲートトレンチ22、第1絶縁膜23、第2絶縁膜24、第1電極25、第2電極26および第1中間絶縁膜27を含む縦型スプリット電極構造をそれぞれ有している。第3トレンチゲート構造21Cは、ゲートトレンチ22の長さおよび引き出し電極26A(第2電極26)のレイアウトが異なる点を除いて第1トレンチゲート構造21Aと同様の構造を有している。第3トレンチゲート構造21Cについての具体的な説明は省略される。
【0038】
図2図7を参照して、半導体装置1は、非活性領域14において第1主面3に形成された複数のフィールドトレンチ構造31を含む。複数のフィールドトレンチ構造31は、1つの第1フィールドトレンチ構造31A、1つの第2フィールドトレンチ構造31Bおよび1つの第3フィールドトレンチ構造31Cを含む。
第1フィールドトレンチ構造31Aは、第1トレンチゲート構造21Aから間隔を空けて非活性領域14に形成され、第1トレンチゲート構造21Aに隣り合っている。第1フィールドトレンチ構造31Aは、第1方向Xに延びる帯状に形成されている。つまり、第1フィールドトレンチ構造31Aは、第1トレンチゲート構造21Aに対して平行に延びている。第1フィールドトレンチ構造31Aは、第1主面3の一方側(第1側面5A側)の領域に第1活性領域11を区画し、第1主面3の他方側(第2側面5B側)の領域に非活性領域14を区画している。
【0039】
第1フィールドトレンチ構造31Aは、第1トレンチゲート構造21Aから第2間隔P2を空けて形成されている。第2間隔P2は、0.1μm以上2μm以下であってもよい。第2間隔P2は、0.1μm以上0.5μm以下、0.5μm以上1μm以下、1μm以上1.5μm以下、または、1.5μm以上2μm以下であってもよい。第2間隔P2は、0.5μm以上1.5μm以下であることが好ましい。
【0040】
第2間隔P2は、トレンチゲート構造21の第1間隔P1と等しいことが好ましい。第2間隔P2が第1間隔P1と等しいとは、第2間隔P2の値が、第1間隔P1の値の±10%以内の範囲に位置していることを意味する。
第1フィールドトレンチ構造31Aは、フィールドトレンチ32、第3絶縁膜33、第4絶縁膜34、第3電極35、第4電極36および第2中間絶縁膜37を含む。第1フィールドトレンチ構造31Aは、第3電極35および第4電極36がフィールドトレンチ32の幅方向に分離配置された横型スプリット電極構造を有している。フィールドトレンチ32は、第1主面3を第2主面4に向けて掘り下げることによって形成されている。フィールドトレンチ32は、ボディ領域20を貫通し、ドリフト領域7の底部から第1主面3側に間隔を空けて形成されている。
【0041】
フィールドトレンチ32は、対向壁32Aおよび非対向壁32Bを有している。対向壁32Aは、半導体チップ2の一部を挟んでゲートトレンチ22に対向している。非対向壁32Bは、対向壁32Aの反対側に位置し、ゲートトレンチ22に対向していない。
フィールドトレンチ32の対向壁32A(非対向壁32B)が半導体チップ2内において第1主面3との間で成す角度は、90°以上92°以下であってもよい。フィールドトレンチ32は、開口から底壁に向けて開口幅が狭まる先細り形状に形成されていてもよい。フィールドトレンチ32の底壁は、第2主面4に向かう湾曲形状に形成されていることが好ましい。
【0042】
フィールドトレンチ32は、第2幅W2を有している。第2幅W2は、フィールドトレンチ32が延びる方向に直交する方向(つまり第2方向Y)の幅である。第2幅W2は、0.5μm以上4μm以下であってもよい。第2幅W2は、0.5μm以上1μm以下、1μm以上2μm以下、2μm以上3μm以下、または、3μm以上4μm以下であってもよい。第2幅W2は、1μm以上2.5μm以下であることが好ましい。
【0043】
フィールドトレンチ32は、第2深さD2を有している。第2深さD2は、1μm以上10μm以下であってもよい。第2深さD2は、1μm以上2μm以下、2μm以上4μm以下、4μm以上6μm以下、6μm以上8μm以下、または、8μm以上10μm以下であってもよい。第2深さD2は、1μm以上5μm以下であることが好ましい。
第2幅W2は、この形態では、ゲートトレンチ22の第1幅W1を超えている。第2幅W2は、第1幅W1と等しくてもよい。第2幅W2が第1幅W1と等しいとは、第2幅W2の値が第1幅W1の値の±10%以内の範囲に位置していることを意味する。第2深さD2は、ゲートトレンチ22の第1深さD1と等しいことが好ましい。第2深さD2が第1深さD1と等しいとは、第2深さD2の値が第1深さD1の値の±10%以内の範囲に位置していることを意味する。
【0044】
フィールドトレンチ32は、第2アスペクト比D2/W2を有している。第2アスペクト比D2/W2は、第2幅W2に対する第2深さD2の比である。第2アスペクト比D2/W2は、1を超えて5以下であることが好ましい。第2アスペクト比D2/W2は、3以上5以下であることが特に好ましい。第2アスペクト比D2/W2は、この形態では、ゲートトレンチ22の第1アスペクト比D1/W1未満である。
【0045】
第3絶縁膜33は、フィールドトレンチ32の対向壁32A側の上壁面を被覆している。第3絶縁膜33は、具体的には、ボディ領域20の底部に対してフィールドトレンチ32の開口側の領域に位置する上壁面を被覆している。第3絶縁膜33は、ボディ領域20に接している。第3絶縁膜33は、半導体チップ2の一部を挟んでトレンチゲート構造21の第1絶縁膜23に対向している。第3絶縁膜33は、この形態では、酸化シリコンを含む。
【0046】
第3絶縁膜33は、トレンチゲート構造21の第2絶縁膜24の第2厚さT2よりも薄い第3厚さT3を有している。第3厚さT3は、フィールドトレンチ32の壁面の法線方向に沿う第3絶縁膜33の厚さである。第3厚さT3は、0.01μm以上0.2μm以下であってもよい。第3厚さT3は、0.01μm以上0.05μm以下、0.05μm以上0.1μm以下、0.1μm以上0.15μm以下、または、0.15μm以上0.2μm以下であってもよい。第3厚さT3は、0.05μm以上0.1μm以下であることが好ましい。
【0047】
第3厚さT3は、トレンチゲート構造21の第1絶縁膜23の第1厚さT1と等しいことが好ましい。第3厚さT3が第1厚さT1と等しいとは、第3厚さT3の値が第1厚さT1の値の±10%以内の範囲に位置していることを意味する。
第4絶縁膜34は、フィールドトレンチ32の底壁を介してフィールドトレンチ32の対向壁32A側の下壁面および非対向壁32Bを被覆している。第4絶縁膜34は、具体的には、対向壁32A側においてボディ領域20の底部に対して底壁側の下壁面を被覆し、第3絶縁膜33に連なっている。第4絶縁膜34は、対向壁32A側からフィールドトレンチ32の底壁を介して非対向壁32Bの下壁面を被覆している。第4絶縁膜34は、非対向壁32Bの上壁面をさらに被覆している。第4絶縁膜34は、フィールドトレンチ32の底壁側の領域においてU字状のリセス空間を区画している。第4絶縁膜34は、ドリフト領域7に接している。
【0048】
第4絶縁膜34において対向壁32Aを被覆する部分は、半導体チップ2の一部を挟んでトレンチゲート構造21の第2絶縁膜24に対向している。第4絶縁膜34において非対向壁32Bを被覆する部分は、フィールドトレンチ32の内部空間を挟んで第3絶縁膜33に対向している。第4絶縁膜34は、この形態では、酸化シリコンを含む。
第4絶縁膜34は、第3絶縁膜33の第3厚さT3よりも厚い第4厚さT4を有している。第4厚さT4は、フィールドトレンチ32の壁面の法線方向に沿う第4絶縁膜34の厚さである。第4厚さT4は、0.1μm以上1μm以下であってもよい。第4厚さT4は、0.1μm以上0.25μm以下、0.25μm以上0.5μm以下、0.5μm以上0.75μm以下、または、0.75μm以上1μm以下であってもよい。第4厚さT4は、0.15μm以上0.65μm以下であることが好ましい。
【0049】
第4絶縁膜34は、トレンチゲート構造21の第2絶縁膜24の第2厚さT2と等しいことが好ましい。第4厚さT4が第2厚さT2と等しいとは、第4厚さT4の値が第2厚さT2の値の±10%以内の範囲に位置していることを意味する。
第3電極35は、フィールドトレンチ32の対向壁32A側において第3絶縁膜33を挟んでフィールドトレンチ32内の上側に埋設されている。第3電極35は、第3絶縁膜33を挟んでボディ領域20に対向している。第3電極35の底部は、ボディ領域20の底部の深さ位置に対してフィールドトレンチ32の底壁側に位置している。第3電極35の底部は、第3絶縁膜33を挟んでドリフト領域7に対向している。ボディ領域20に対する第3電極35の対向面積は、ドリフト領域7に対する第3電極35の対向面積よりも大きい。
【0050】
第3電極35は、半導体チップ2の一部を挟んでトレンチゲート構造21の第1電極25に対向している。第3電極35は、この形態では、導電性ポリシリコンを含む。第3電極35は、ゲート電極として形成されていてもよい。この場合、制御電位としてのゲート電位が第3電極35に印加されてもよい。
第3電極35は、平面視において第1方向Xに延びる帯状に形成されている。第3電極35は、この形態では、第2方向Yに関して第1電極25の第1電極幅WE1未満の第2電極幅WE2を有している。これにより、フィールドトレンチ構造31を幅狭化できる。むろん、第1電極幅WE1と等しい第2電極幅WE2を有する第3電極35が形成されてもよい。
【0051】
第4電極36は、フィールドトレンチ32の非対向壁32B側において第4絶縁膜34を挟んでフィールドトレンチ32内の下側および上側に埋設されている。第4電極36は、フィールドトレンチ32の深さ方向に第3電極35の底部を横切っている。第4電極36は、第4絶縁膜34を挟んでドリフト領域7に対向している。第4電極36は、半導体チップ2の一部を挟んでトレンチゲート構造21の第2電極26に対向している。
【0052】
第4電極36は、具体的には、フィールドトレンチ32の深さ方向に関して下電極部36Aおよび上電極部36Bを含む。下電極部36Aは、第3電極35の底部に対してフィールドトレンチ32の底壁側に位置している。下電極部36Aは、第1主面3に平行な横方向に第3電極35に対向せず、第4絶縁膜34のみに接している。
下電極部36Aは、第3電極35の直下の領域においてフィールドトレンチ32の深さ方向に第3電極35に対向する部分を含む。下電極部36Aは、半導体チップ2の一部を挟んでトレンチゲート構造21の第2電極26に対向している。一方、上電極部36Bは、第3電極35の底部に対してフィールドトレンチ32の開口側に位置している。上電極部36Bは、第1主面3に平行な横方向に第3電極35に対向している。
【0053】
第4電極36は、第4絶縁膜34を挟んでフィールドトレンチ32の非対向壁32B側から対向壁32A側に引き出された1つまたは複数(この形態では3つ)の引き出し電極36Cを含む。複数の引き出し電極36Cは、第4電極36の下電極部36Aおよび上電極部36Bによってそれぞれ形成されている。複数の引き出し電極36Cは、この形態では、フィールドトレンチ32の一方側(第3側面5C側)の一端部、他方側(第4側面5D側)の他端部、および、中央部に形成されている。中央部の引き出し電極36Cは、第3電極35をフィールドトレンチ32の一方側(第3側面5C側)の部分および他方側(第4側面5D側)の部分に2分割している。
【0054】
複数の引き出し電極36Cは、第1方向Xに第3電極35に対向している。複数の引き出し電極36Cは、複数のトレンチゲート構造21の複数の引き出し電極26Aを第2方向Yにそれぞれ横切る複数のラインを設定した時、当該複数のライン上に位置している。これにより、複数の引き出し電極36Cは、半導体チップ2の一部を挟んで複数の引き出し電極26Aに1対1対応の関係で対向している。引き出し電極36Cの配置および個数は任意であり、引き出し電極26A(第2電極26)のレイアウトに応じて適宜調整される。
【0055】
第4電極36は、この形態では、導電性ポリシリコンを含む。第4電極36は、フィールド電極として形成されている。第4電極36には、基準電位としてのソース電位(たとえばグランド電位)が印加される。
第2中間絶縁膜37は、第3電極35および第4電極36の間に介在し、第3電極35および第4電極36を絶縁分離させている。第2中間絶縁膜37は、第3絶縁膜33および第4絶縁膜34に連なっている。第2中間絶縁膜37は、半導体チップ2の一部を挟んでトレンチゲート構造21の第1中間絶縁膜27に対向している。第2中間絶縁膜37は、この形態では、酸化シリコンを含む。
【0056】
第2中間絶縁膜37は、具体的には、第3中間部分37Aおよび第4中間部分37Bを含む。第3中間部分37Aは、第3電極35の直下に位置し、フィールドトレンチ32の深さ方向に第3電極35および第4電極36(下電極部36A)を電気的に絶縁させている。第3中間部分37Aは、半導体チップ2の一部を挟んで第1中間絶縁膜27の第1中間部分27Aに対向している。
【0057】
第3中間部分37Aは、法線方向Zに関して第3絶縁膜33の第3厚さT3よりも厚い第3中間厚さTM3を有している。第3中間厚さTM3は、0.05μm以上1μm以下であってもよい。第3中間厚さTM3は、0.05μm以上1μm以下、0.1μm以上0.25μm以下、0.25μm以上0.5μm以下、0.5μm以上0.75μm以下、または、0.75μm以上1μm以下であってもよい。第3中間厚さTM3は、0.2μm以上0.5μm以下であることが好ましい。
【0058】
第3中間厚さTM3は、第1中間絶縁膜27の第1中間厚さTM1と等しいことが好ましい。第3中間厚さTM3が第1中間厚さTM1と等しいとは、第3中間厚さTM3の値が第1中間厚さTM1の値の±10%以内の範囲に位置していることを意味する。
第4中間部分37Bは、平面視において第3電極35の周縁を被覆し、第1主面3に平行な横方向に第3電極35および第4電極36(上電極部36B)を電気的に絶縁させている。第4中間部分37Bは、第1主面3に平行な横方向に関して第4中間厚さTM4を有している。第4中間厚さTM4は任意であり、第3中間厚さTM3よりも厚くてもよいし、第3中間厚さTM3よりも薄くてもよい。
【0059】
第4中間厚さTM4は、0.05μm以上15μm以下であってもよい。第4中間厚さTM4は、0.05μm以上1μm以下、1μm以上5μm以下、5μm以上10μm以下、または、10μm以上15μm以下であってもよい。第4中間厚さTM4は、3μm以上5μm以下であることが好ましい。
第4中間厚さTM4は、第1中間絶縁膜27の第2中間厚さTM2と等しいことが好ましい。第4中間厚さTM4が第2中間厚さTM2と等しいとは、第4中間厚さTM4の値が第2中間厚さTM2の値の±10%以内の範囲に位置していることを意味する。
【0060】
図7を参照して、第2フィールドトレンチ構造31Bは、第2トレンチゲート構造21Bに隣り合うように、第2トレンチゲート構造21Bから第2間隔P2を空けて非活性領域14に形成されている。第2フィールドトレンチ構造31Bは、第1方向Xに延びる帯状に形成されている。つまり、第2フィールドトレンチ構造31Bは、第2トレンチゲート構造21Bに対して平行に延びている。第2フィールドトレンチ構造31Bは、第1主面3の他方側(第2側面5B側)の領域に第2活性領域12を区画し、第1主面3の一方側(第1側面5A側)の領域に非活性領域14を区画している。
【0061】
第2フィールドトレンチ構造31Bは、第1フィールドトレンチ構造31Aと同様に、フィールドトレンチ32、第3絶縁膜33、第4絶縁膜34、第3電極35、第4電極36および第2中間絶縁膜37を含む横型スプリット電極構造を有している。第2フィールドトレンチ構造31Bは、フィールドトレンチ32の長さおよび引き出し電極36C(第4電極36)のレイアウトが異なる点を除いて第1フィールドトレンチ構造31Aと同様の構造を有している。第2フィールドトレンチ構造31Bについての具体的な説明は省略される。
【0062】
図7を参照して、第3フィールドトレンチ構造31Cは、第3トレンチゲート構造21Cに隣り合うように、第3トレンチゲート構造21Cから第2間隔P2を空けて非活性領域14に形成されている。第3フィールドトレンチ構造31Cは、第1方向Xに延びる帯状に形成されている。つまり、第3フィールドトレンチ構造31Cは、第3トレンチゲート構造21Cに対して平行に延びている。第3フィールドトレンチ構造31Cは、第1主面3の他方側(第2側面5B側)の領域に第3活性領域13を区画し、第1主面3の一方側(第1側面5A側)の領域に非活性領域14を区画している。
【0063】
第3フィールドトレンチ構造31Cは、第1フィールドトレンチ構造31Aと同様に、フィールドトレンチ32、第3絶縁膜33、第4絶縁膜34、第3電極35、第4電極36および第2中間絶縁膜37を含む横型スプリット電極構造を有している。第3フィールドトレンチ構造31Cは、フィールドトレンチ32の長さおよび引き出し電極36C(第4電極36)のレイアウトが異なる点を除いて第1フィールドトレンチ構造31Aと同様の構造を有している。第3フィールドトレンチ構造31Cについての具体的な説明は省略される。
【0064】
図3および図4を参照して、半導体装置1は、ボディ領域20の表層部において複数のゲートトレンチ22(トレンチゲート構造21)に沿う領域にそれぞれ形成されたn型の複数のソース領域41を含む。各ソース領域41は、ドリフト領域7のn型不純物濃度を超えるn型不純物濃度を有している。各ソース領域41のn型不純物濃度は、1×1018cm-3以上1×1021cm-3以下であってもよい。
【0065】
複数のソース領域41は、平面視において複数のゲートトレンチ22に沿って延びる帯状にそれぞれ形成されている。各ソース領域41は、対応するゲートトレンチ22から露出する第1絶縁膜23を被覆している。つまり、各ソース領域41は、第1絶縁膜23を挟んで第1電極25に対向している。各ソース領域41の底部は、ボディ領域20の底部から間隔を空けて第1主面3側の領域に位置している。各ソース領域41は、ドリフト領域7との間でMISFETのチャネルを画定している。
【0066】
半導体装置1は、活性領域10において複数のゲートトレンチ22(トレンチゲート構造21)の間の領域にそれぞれ形成された複数のソースコンタクト孔42を含む。複数のソースコンタクト孔42は、平面視において第1方向Xに延びる帯状にそれぞれ形成されている。複数のソースコンタクト孔42は、平面視において第1方向Xに延びるストライプ状に形成されている。
【0067】
複数のソースコンタクト孔42は、1つのゲートトレンチ22を挟み込む態様で、第2方向Yに沿って複数のゲートトレンチ22と交互に形成されている。第1方向Xに関して、各ソースコンタクト孔42の長さは、各ゲートトレンチ22の長さ未満であることが好ましい。各ソースコンタクト孔42は、平面視においてゲートトレンチ22から間隔を空けて形成されている。各ソースコンタクト孔42は、ソース領域41を横切る深さに形成されている。各ソースコンタクト孔42の底壁は、ボディ領域20の底部およびソース領域41の底部の間の領域に位置している。各ソースコンタクト孔42は、両サイドからソース領域41を露出させている。
【0068】
半導体装置1は、ボディ領域20内において複数のソースコンタクト孔42に沿う領域にそれぞれ形成されたp型の複数のコンタクト領域43を含む。各コンタクト領域43は、ボディ領域20のp型不純物濃度を超えるp型不純物濃度を有している。各コンタクト領域43のp型不純物濃度は、1×1018cm-3以上1×1021cm-3以下であってもよい。
【0069】
各コンタクト領域43は、ボディ領域20において各ソースコンタクト孔42の底壁に沿う領域に形成されている。各コンタクト領域43は、ボディ領域20の底部から各ソースコンタクト孔42の底壁側に間隔を空けて形成されている。各コンタクト領域43は、各ソースコンタクト孔42の底壁の全域を被覆している。各コンタクト領域43は、各ソースコンタクト孔42の側壁を被覆していてもよい。各コンタクト領域43は、複数のソース領域41に電気的に接続されている。
【0070】
図4図6を参照して、半導体装置1は、第1主面3を被覆する主面絶縁膜50を含む。主面絶縁膜50は、複数のフィールドトレンチ構造31および複数のトレンチゲート構造21を選択的に被覆している。主面絶縁膜50は、この形態では、第1主面3側からこの順に積層された第1主面絶縁膜51および第2主面絶縁膜52を含む積層構造を有している。
【0071】
第1主面絶縁膜51は、この形態では、酸化シリコンを含む。第1主面絶縁膜51は、第1主面3を被覆し、第1絶縁膜23、第2絶縁膜24、第3絶縁膜33および第4絶縁膜34に連なっている。第2主面絶縁膜52は、この形態では、酸化シリコンを含む。第2主面絶縁膜52は、複数のフィールドトレンチ構造31および複数のトレンチゲート構造21を選択的に被覆している。第2主面絶縁膜52は、第1主面絶縁膜51の厚さを超える厚さを有している。
【0072】
主面絶縁膜50は、複数のゲート開口53、複数のソース開口54および複数のソースコンタクト開口55を有している。複数のゲート開口53は、主面絶縁膜50において複数のトレンチゲート構造21を被覆する部分、および、複数のフィールドトレンチ構造31を被覆する部分にそれぞれ形成されている。複数のゲート開口53は、複数の第1電極25および複数の第3電極35をそれぞれ露出させている。複数のゲート開口53は、複数のトレンチゲート構造21の一端部および/または他端部をそれぞれ露出させていてもよい。複数のゲート開口53は、第2方向Yに間隔を空けて一列に配列されていることが好ましい。
【0073】
複数のソース開口54は、主面絶縁膜50において複数のトレンチゲート構造21を被覆する部分、および、複数のフィールドトレンチ構造31を被覆する部分にそれぞれ形成されている。複数のソース開口54は、複数のトレンチゲート構造21の第2電極26(引き出し電極26A)および複数のフィールドトレンチ構造31の第4電極36(引き出し電極36C)をそれぞれ露出させている。
【0074】
複数のソース開口54は、引き出し電極26Aの配置および引き出し電極36Cの配置に応じて、第2方向Yに間隔を空けて一列に配列されている。複数のソース開口54は、この形態では、中央部に位置する複数の引き出し電極26Aおよび引き出し電極36Cを露出させ、両端に位置する複数の引き出し電極26Aおよび複数の引き出し電極36Cを露出させていない。つまり、両端に位置する複数の引き出し電極26Aおよび複数の引き出し電極36Cは、主面絶縁膜50によって被覆されている。
【0075】
複数のソースコンタクト開口55は、主面絶縁膜50において複数のトレンチゲート構造21の間の領域を被覆する部分にそれぞれ形成されている。複数のソースコンタクト開口55は、複数のソースコンタクト孔42を1対1対応の関係でそれぞれ露出させている。複数のソースコンタクト開口55は、複数のソースコンタクト孔42に整合する平面形状を有し、複数のソースコンタクト孔42にそれぞれ連通している。
【0076】
半導体装置1は、主面絶縁膜50に埋設された複数のゲートプラグ電極56および複数のソースプラグ電極57を含む。複数のゲートプラグ電極56は、複数のゲート開口53にそれぞれ埋設されている。複数のゲートプラグ電極56は、対応するゲート開口53内においてトレンチゲート構造21の第1電極25およびフィールドトレンチ構造31の第3電極35にそれぞれ電気的に接続されている。
【0077】
複数のソースプラグ電極57は、複数のソース開口54および複数のソースコンタクト開口55にそれぞれ埋設されている。複数のソースプラグ電極57は、対応するソース開口54内においてトレンチゲート構造21の引き出し電極26A(第2電極26)およびフィールドトレンチ構造31の引き出し電極36C(第4電極36)にそれぞれ電気的に接続されている。また、複数のソースプラグ電極57は、対応するソースコンタクト開口55からソースコンタクト孔42内に入り込み、ソース領域41およびコンタクト領域43にそれぞれ電気的に接続されている。
【0078】
ゲートプラグ電極56およびソースプラグ電極57は、主面絶縁膜50側からこの順に積層されたバリア電極58および主電極59を含む積層構造を有している。バリア電極58は、主面絶縁膜50に沿って膜状に形成され、リセス空間を区画している。バリア電極58は、Ti層およびTiN層のうちの少なくとも1つを含む。主電極59は、バリア電極58を挟んで主面絶縁膜50に埋設されている。主電極59は、タングステンを含む。
【0079】
図1および図2を参照して、半導体装置1は、主面絶縁膜50の上に形成されたゲート主面電極61を含む。ゲート主面電極61は、複数のゲートプラグ電極56を介して複数のトレンチゲート構造21の第1電極25および複数のフィールドトレンチ構造31の第3電極35に電気的に接続されている。図1図2図3および図7では、第1電極25および第3電極35に対するゲート主面電極61の接続部が、×印によって示されている。
【0080】
ゲート主面電極61は、具体的には、ゲートパッド電極62およびゲートフィンガー電極63を一体的に含む。ゲートパッド電極62は、導線(たとえばボンディングワイヤ)等に外部接続される外部端子部である。ゲートパッド電極62は、主面絶縁膜50において第1主面3のパッド領域16を被覆する部分の上に形成されている。したがって、ゲートパッド電極62は、平面視においてトレンチゲート構造21およびフィールドトレンチ構造31に重ならない領域に形成されている。ゲートパッド電極62は、平面視において四角形状に形成されている。
【0081】
ゲートフィンガー電極63は、ゲートパッド電極62から主面絶縁膜50の上にライン状に引き出され、平面視において第1主面3の内方領域を複数方向から区画している。ゲートフィンガー電極63は、この形態では、平面視において第1主面3の内方領域を3方向から区画するように第1側面5A、第3側面5Cおよび第4側面5Dに沿って延びるC字形状に形成され、第2側面5B側の領域を開放させている。
【0082】
ゲートフィンガー電極63は、複数のゲートプラグ電極56に電気的に接続されている。ゲートフィンガー電極63は、複数のゲートプラグ電極56を介して複数のトレンチゲート構造21の第1電極25およびフィールドトレンチ構造31の第3電極35に電気的に接続されている。
半導体装置1は、ゲート主面電極61から間隔を空けて主面絶縁膜50の上に形成されたソース主面電極64を含む。ソース主面電極64は、複数のソースプラグ電極57を介して、複数のトレンチゲート構造21の第2電極26(引き出し電極26A)、複数のフィールドトレンチ構造31の第4電極36(引き出し電極36C)、ソース領域41およびコンタクト領域43に電気的に接続されている。図1図2図3および図7では、第2電極26および第4電極36に対するソース主面電極64の接続部が、×印によって示されている。
【0083】
ソース主面電極64は、具体的には、ソースパッド電極65を含む。ソースパッド電極65は、導線(たとえばボンディングワイヤ)等に外部接続される外部端子部である。ソースパッド電極65は、主面絶縁膜50において活性領域10を被覆する部分の上に形成されている。ソースパッド電極65は、平面視においてゲート主面電極61の内周縁によって区画された領域に多角形状に形成されている。
【0084】
ソースパッド電極65は、複数のソースプラグ電極57に電気的に接続されている。ソースパッド電極65は、複数のソースプラグ電極57を介して複数のトレンチゲート構造21の第2電極26(引き出し電極26A)および複数のフィールドトレンチ構造31の第4電極36(引き出し電極36C)に電気的に接続されている。また、ソースパッド電極65は、複数のソースプラグ電極57を介してソース領域41およびコンタクト領域43に電気的に接続されている。
【0085】
ゲート主面電極61およびソース主面電極64は、主面絶縁膜50側からこの順に積層されたバリア電極68および主電極69をそれぞれ含む。バリア電極68は、主面絶縁膜50の上に膜状に形成されている。バリア電極68は、Ti層およびTiN層のうちの少なくとも1つを含む。主電極69は、バリア電極68の上に膜状に形成されている。主電極69は、純Cu層(純度が99%以上のCu層)、純Al層(純度が99%以上のAl層)、AlSi合金層、AlCu合金層およびAlSiCu合金層のうちの少なくとも1つを含む。
【0086】
半導体装置1は、第2主面4の上に形成されたドレイン電極70を含む。ドレイン電極70は、第2主面4の全域を被覆している。ドレイン電極70は、第2主面4(ドレイン領域6)との間でオーミック接触を形成している。
ドレイン電極70は、Ti層、Ni層、Pd層、Au層およびAg層のうちの少なくとも1つを含む。ドレイン電極70は、Ti層、Ni層、Pd層、Au層およびAg層のうちの少なくとも2つを任意の順序で積層した積層構造を有していてもよい。ドレイン電極70は、Ti層、Ni層、Pd層、Au層またはAg層からなる単層構造を有していてもよい。ドレイン電極70は、オーミック電極としてのTi層を含むことが好ましい。ドレイン電極70は、この形態では、第2主面4側からこの順に積層されたTi層、Ni層、Pd層、Au層およびAg層を含む積層構造を有している。
【0087】
図8A図8Uは、図1に示す半導体装置1の製造方法の一例を説明するための断面図である。図8A図8Uは、図4に対応する部分の断面図である。
図8Aを参照して、半導体チップ2のベースとなるエピタキシャルウエハ81が用意される。エピタキシャルウエハ81は、一方側の第1ウエハ主面82および他方側の第2ウエハ主面83を有している。第1ウエハ主面82および第2ウエハ主面83は、半導体チップ2の第1主面3および第2主面4にそれぞれ対応している。
【0088】
エピタキシャルウエハ81は、n型の半導体ウエハ84およびn型のエピタキシャル層85を含む積層構造を有している。エピタキシャル層85は、半導体ウエハ84の主面からシリコンをエピタキシャル成長させることによって形成されている。半導体ウエハ84はドレイン領域6のベースとなり、エピタキシャル層85はドリフト領域7のベースとなる。
【0089】
次に、図8Bを参照して、所定パターンを有するハードマスク86が、第1ウエハ主面82の上に形成される。ハードマスク86は、第1ウエハ主面82において複数のゲートトレンチ22および複数のフィールドトレンチ32を形成すべき領域を露出させ、それら以外の領域を被覆している。ハードマスク86は、CVD(Chemical Vapor Deposition)法または酸化処理法(たとえば熱酸化処理法)によって形成されてもよい。ハードマスク86は、レジストマスク(図示せず)を介するエッチング法によってパターニングされてもよい。
【0090】
次に、第1ウエハ主面82の不要な部分が、ハードマスク86を介するエッチング法によって除去される。エッチング法は、ウエットエッチング法および/またはドライエッチング法であってもよい。これにより、複数のゲートトレンチ22および複数のフィールドトレンチ32が、第1ウエハ主面82に形成される。ハードマスク86は、その後、除去される。
【0091】
次に、図8Cを参照して、第1ベース絶縁膜87が、第1ウエハ主面82の上に形成される。第1ベース絶縁膜87は、第2絶縁膜24および第4絶縁膜34のベースとなる。第1ベース絶縁膜87は、第1ウエハ主面82、複数のゲートトレンチ22の壁面および複数のフィールドトレンチ32の壁面に沿って膜状に形成される。第1ベース絶縁膜87は、CVD法および/または酸化処理法(たとえば熱酸化処理法)によって形成されてもよい。
【0092】
次に、図8Dを参照して、第1ベース電極層88が、第1ベース絶縁膜87の上に形成される。第1ベース電極層88は、導電性ポリシリコンを含み、第2電極26および第4電極36のベースとなる。第1ベース電極層88は、第1ベース絶縁膜87を挟んで複数のゲートトレンチ22および複数のフィールドトレンチ32を埋めて、第1ウエハ主面82を被覆する。第1ベース電極層88は、CVD法によって形成されてもよい。
【0093】
次に、図8Eを参照して、第1ベース電極層88の不要な部分が、エッチング法によって第1ベース絶縁膜87が露出するまで除去される。エッチング法は、ウエットエッチング法および/またはドライエッチング法であってもよい。
次に、図8Fを参照して、所定パターンを有するレジストマスク89が第1ウエハ主面82の上に形成される。レジストマスク89は、複数のゲートトレンチ22を露出させ、かつ、複数のフィールドトレンチ32を部分的に露出させている。次に、第1ベース電極層88の不要な部分が、レジストマスク89を介するエッチング法によって除去される。エッチング法は、ウエットエッチング法および/またはドライエッチング法であってもよい。これにより、第2電極26および第4電極36が形成される。
【0094】
次に、図8Gを参照して、第1ベース絶縁膜87の不要な部分が、レジストマスク89を介するエッチング法によって除去される。エッチング法は、ウエットエッチング法および/またはドライエッチング法であってもよい。これにより、第2絶縁膜24および第4絶縁膜34が形成される。レジストマスク89は、その後、除去される。
次に、図8Hを参照して、第2ベース絶縁膜90が、第1ウエハ主面82の上に形成される。第2ベース絶縁膜90は、酸化シリコンを含み、第1中間絶縁膜27の第1中間部分27Aおよび第2中間絶縁膜37の第3中間部分37Aのベースとなる。第2ベース絶縁膜90は、複数のゲートトレンチ22および複数のフィールドトレンチ32を埋めて、第1ウエハ主面82を被覆する。第2ベース絶縁膜90は、CVD法によって形成されてもよい。
【0095】
次に、図8Iを参照して、第2ベース絶縁膜90の不要な部分が、エッチング法によって第1ウエハ主面82が露出するまで除去される。エッチング法は、ウエットエッチング法および/またはドライエッチング法であってもよい。
次に、図8Jを参照して、所定パターンを有するレジストマスク91が第1ウエハ主面82の上に形成される。レジストマスク91は、複数のゲートトレンチ22を露出させ、かつ、複数のフィールドトレンチ32を部分的に露出させている。次に、第2ベース絶縁膜90の不要な部分が、レジストマスク91を介するエッチング法によって除去される。エッチング法は、ウエットエッチング法および/またはドライエッチング法であってもよい。
【0096】
これにより、第1中間絶縁膜27(第1中間部分27Aおよび第2中間部分27B)および第2中間絶縁膜37(第3中間部分37Aおよび第4中間部分37B)が形成される。レジストマスク91は、その後、除去される。第2中間部分27Bの第2中間厚さTM2および第4中間部分37Bの第4中間厚さTM4は、レジストマスク91のレイアウトによって任意の値に調整される。
【0097】
次に、図8Kを参照して、第3ベース絶縁膜92が、第1ウエハ主面82、複数のゲートトレンチ22の壁面および複数のフィールドトレンチ32の壁面に沿って膜状に形成される。第3ベース絶縁膜92は、第1絶縁膜23、第3絶縁膜33、第1中間絶縁膜27の第2中間部分27B、第2中間絶縁膜37の第4中間部分37Bおよび第1主面絶縁膜51となる。第3ベース絶縁膜92は、CVD法および/または酸化処理法(たとえば熱酸化処理法)によって形成されてもよい。
【0098】
次に、図8Lを参照して、第2ベース電極層93が、第3ベース絶縁膜92の上に形成される。第2ベース電極層93は、導電性ポリシリコンを含み、第1電極25および第3電極35のベースとなる。第2ベース電極層93は、第3ベース絶縁膜92を挟んで複数のゲートトレンチ22および複数のフィールドトレンチ32を埋めて、第1ウエハ主面82を被覆する。第2ベース電極層93は、CVD法によって形成されてもよい。
【0099】
次に、図8Mを参照して、第2ベース電極層93の不要な部分が、エッチング法によって第1主面絶縁膜51が露出するまで除去される。エッチング法は、ウエットエッチング法および/またはドライエッチング法であってもよい。これにより、第1電極25および第3電極35が形成される。また、複数のトレンチゲート構造21および複数のフィールドトレンチ構造31が形成される。
【0100】
次に、図8Nを参照して、ボディ領域20が、第1ウエハ主面82の表層部に形成される。ボディ領域20は、イオン注入マスク(図示せず)を介するイオン注入法によって第1ウエハ主面82の表層部にp型不純物を導入することによって形成される。ボディ領域20のp型不純物は、具体的には、第1ウエハ主面82およびゲートトレンチ22の側壁から第1ウエハ主面82の表層部に導入される。
【0101】
また、ソース領域41が、第1ウエハ主面82の表層部に形成される。ソース領域41は、イオン注入マスク(図示せず)を介するイオン注入法によって第1ウエハ主面82の表層部にn型不純物を導入することによって形成される。ソース領域41のn型不純物は、具体的には、第1ウエハ主面82およびゲートトレンチ22の側壁から第1ウエハ主面82の表層部に導入される。ソース領域41は、ボディ領域20の形成工程後に形成されてもよいし、ボディ領域20の形成工程に先立って形成されてもよい。
【0102】
次に、図8Oを参照して、第2主面絶縁膜52が、第1主面絶縁膜51の上に形成される。第2主面絶縁膜52は、複数のトレンチゲート構造21および複数のフィールドトレンチ構造31を一括して被覆する。第2主面絶縁膜52は、酸化シリコンを含む。第2主面絶縁膜52は、CVD法によって形成されてもよい。これにより、第1主面絶縁膜51および第2主面絶縁膜52を含む主面絶縁膜50が形成される。
【0103】
次に、図8Pを参照して、所定パターンを有するレジストマスク94が、主面絶縁膜50の上に形成される。レジストマスク94は、主面絶縁膜50において複数のゲート開口53、複数のソース開口54および複数のソースコンタクト開口55を形成すべき領域を露出させ、それら以外の領域を被覆している。
次に、主面絶縁膜50の不要な部分が、レジストマスク94を介するエッチング法によって除去される。エッチング法は、ウエットエッチング法および/またはドライエッチング法であってもよい。これにより、複数のゲート開口53、複数のソース開口54および複数のソースコンタクト開口55が主面絶縁膜50に形成される。
【0104】
次に、第1ウエハ主面82において複数のソースコンタクト開口55から露出する部分が、複数のソースコンタクト開口55を介するエッチング法によって除去される。エッチング法は、ウエットエッチング法および/またはドライエッチング法であってもよい。これにより、複数のソースコンタクト開口55に連通する複数のソースコンタクト孔42が、第1ウエハ主面82に形成される。レジストマスク94は、ソースコンタクト孔42の形成後に除去されてもよいし、ソースコンタクト開口55の形成後に除去されてもよい。
【0105】
次に、コンタクト領域43が、ボディ領域20の表層部においてソースコンタクト孔42の底壁に沿う領域に形成される。コンタクト領域43は、イオン注入マスク(図示せず)を介するイオン注入法によってソースコンタクト孔42の底壁にp型不純物を導入することによって形成される。
次に、図8Qを参照して、第3ベース電極層95が、主面絶縁膜50の上に形成される。第3ベース電極層95は、複数のゲートプラグ電極56および複数のソースプラグ電極57のベースとなる。第3ベース電極層95は、主面絶縁膜50側からこの順に積層されたバリア電極58および主電極59を含む。バリア電極58は、Ti層およびTiN層のうちの少なくとも1つを含む。主電極59は、タングステンを含む。バリア電極58および主電極59は、スパッタ法および/または蒸着法によってそれぞれ形成されてもよい。
【0106】
次に、図8Rを参照して、第3ベース電極層95の不要な部分が、エッチング法によって主面絶縁膜50が露出するまで除去される。エッチング法は、ウエットエッチング法および/またはドライエッチング法であってもよい。これにより、複数のゲートプラグ電極56および複数のソースプラグ電極57が形成される。
次に、図8Sを参照して、第4ベース電極層96が、主面絶縁膜50の上に形成される。第4ベース電極層96は、ゲート主面電極61およびソース主面電極64のベースとなる。第4ベース電極層96は、主面絶縁膜50側からこの順に積層されたバリア電極68および主電極69を含む。バリア電極68は、Ti層およびTiN層のうちの少なくとも1つを含む。主電極69は、純Cu層、純Al層、AlSi合金層、AlCu合金層およびAlSiCu合金層のうちの少なくとも1つを含む。バリア電極68および主電極69は、スパッタ法および/または蒸着法によってそれぞれ形成されてもよい。
【0107】
次に、図8Tを参照して、所定パターンを有するレジストマスク97が、第4ベース電極層96の上に形成される。レジストマスク97は、第4ベース電極層96においてゲート主面電極61およびソース主面電極64を形成すべき領域を被覆し、それら以外の領域を露出させている。次に、第4ベース電極層96の不要な部分が、レジストマスク97を介するエッチング法によって除去される。エッチング法は、ウエットエッチング法および/またはドライエッチング法であってもよい。これにより、ゲート主面電極61およびソース主面電極64が形成される。
【0108】
次に、図8Uを参照して、ドレイン電極70が、第2ウエハ主面83の上に形成される。ドレイン電極70は、Ti層、Ni層、Pd層、Au層およびAg層のうちの少なくとも1つを含む。ドレイン電極70は、スパッタ法および/または蒸着法によって形成されてもよい。その後、エピタキシャルウエハ81が選択的に切断されて、複数の半導体装置1が切り出される。以上を含む工程を経て、半導体装置1が製造される。
【0109】
図9は、図4の対応図であって、比較例に係るフィールドトレンチ構造98を説明するための断面図である。
図9を参照して、比較例に係るフィールドトレンチ構造98は、フィールドトレンチ構造31とは異なり、シングル電極構造を有している。フィールドトレンチ構造98は、具体的には、第3絶縁膜33を含まず、フィールドトレンチ32、第4絶縁膜34および第4電極36を含む。フィールドトレンチ32は、ゲートトレンチ22の第1幅W1と同一の幅、および、ゲートトレンチ22の第1深さD1と同一の深さを有している。第4絶縁膜34は、フィールドトレンチ32の壁面に一様に形成されている。第4電極36は、第4絶縁膜34を挟んでフィールドトレンチ32に一体物として埋設されている。
【0110】
フィールドトレンチ構造98は、相異なる内部構造を有するトレンチゲート構造21に隣り合って形成されている。この場合、半導体チップ2においてトレンチゲート構造21およびフィールドトレンチ構造98の間の領域に応力が生じる。この応力は、ゲートトレンチ22内の第1絶縁膜23(第2絶縁膜24)の厚さ、および、フィールドトレンチ32内の第4絶縁膜34の厚さの違いに起因して生じる。
【0111】
この応力は、フィールドトレンチ32をゲートトレンチ22側に引き寄せる方向に生じる。つまり、この応力は、フィールドトレンチ32側の引っ張り応力、および、ゲートトレンチ22側の圧縮応力を含む。この種の応力は、ゲートトレンチ22およびフィールドトレンチ32の間の領域における結晶欠陥の原因となる。
そこで、半導体装置1では、前記応力の問題を回避すべく、比較例に係るフィールドトレンチ構造98に代えて、トレンチゲート構造21に対応した構造を有するフィールドトレンチ構造31を形成した(図4等も併せて参照)。
【0112】
トレンチゲート構造21は、ゲートトレンチ22、第1絶縁膜23および第2絶縁膜24を含む。第1絶縁膜23は、第1厚さT1を有し、ゲートトレンチ22の上壁面に形成されている。第2絶縁膜24は、第1厚さT1よりも厚い第2厚さT2を有し、ゲートトレンチ22の下壁面に形成されている。
トレンチゲート構造21は、さらに、第1電極25、第2電極26および第1中間絶縁膜27を含む縦型スプリット電極構造を有している。第1電極25は、第1絶縁膜23を挟んでゲートトレンチ22内の上側に埋設されている。第2電極26は、第2絶縁膜24を挟んでゲートトレンチ22内の下側に埋設されている。第1中間絶縁膜27は、第1電極25および第2電極26の間に介在し、第1電極25および第2電極26を絶縁させている。
【0113】
一方、フィールドトレンチ構造31は、フィールドトレンチ32、第3絶縁膜33および第4絶縁膜34を含む。第3絶縁膜33は、第2絶縁膜24の第2厚さT2よりも薄い第3厚さT3を有し、フィールドトレンチ32の対向壁32A側の上壁面を被覆している。第4絶縁膜34は、第3絶縁膜33の第3厚さT3よりも厚い第4厚さT4を有し、フィールドトレンチ32の対向壁32A側の下壁面および非対向壁32Bを被覆している。
【0114】
フィールドトレンチ構造31は、さらに、第3電極35、第4電極36および第2中間絶縁膜37を含む横型スプリット電極構造を有している。第3電極35は、フィールドトレンチ32の対向壁32A側において第3絶縁膜33を挟んでフィールドトレンチ32内の上側に埋設されている。第3電極35は、半導体チップ2の一部を挟んで第1電極25に対向している。
【0115】
第4電極36は、フィールドトレンチ32の非対向壁32B側において第4絶縁膜34を挟んでフィールドトレンチ32内の下側および上側に埋設されている。第4電極36は、半導体チップ2の一部を挟んで第2電極26に対向している。第2中間絶縁膜37は、第3電極35および第4電極36の間に介在し、第3電極35および第4電極36を絶縁させている。
【0116】
このように、フィールドトレンチ構造31は、対向壁32A側の領域においてトレンチゲート構造21の第1絶縁膜23および第2絶縁膜24に対応した第3絶縁膜33および第4絶縁膜34を有している。これにより、絶縁膜の厚さに起因する応力が、ゲートトレンチ22およびフィールドトレンチ32の間の領域に生じることを抑制できる。その結果、ゲートトレンチ22およびフィールドトレンチ32の間の応力を緩和できるから、当該応力に起因する結晶欠陥を抑制できる。
【0117】
図10は、図3の対応図であって、本発明の第2実施形態に係る半導体装置101の半導体チップ2の第1主面3の構造を示す平面図である。図11は、図10に示すXI-XI線に沿う断面図である。以下、半導体装置1に対して述べた構造に対応する構造については、同一の参照符号を付して説明を省略する。
半導体装置101は、トレンチゲート構造21およびフィールドトレンチ構造31の間の領域に形成されたソース領域41、ソースコンタクト孔42およびコンタクト領域43を含む。トレンチゲート構造21側の構造は、第1実施形態の場合と同様である。以下では、トレンチゲート構造21およびフィールドトレンチ構造31の間の領域の構造についてのみ説明する。
【0118】
ソース領域41は、平面視においてフィールドトレンチ32の対向壁32Aに沿って延びる帯状に形成されている。ソース領域41は、フィールドトレンチ32の対向壁32Aから露出する第3絶縁膜33を被覆している。つまり、ソース領域41は、第3絶縁膜33を挟んで第3電極35に対向している。ソース領域41は、フィールドトレンチ32の対向壁32Aに沿う領域においてボディ領域20の底部(ドリフト領域7)との間でMISFETのチャネルを画定している。
【0119】
ソースコンタクト孔42は、ゲートトレンチ22およびフィールドトレンチ32から間隔を空けて第1主面3に形成されている。ソースコンタクト孔42は、フィールドトレンチ32に沿って延びる帯状に形成されている。第1方向Xに関して、ソースコンタクト孔42の長さは、フィールドトレンチ32の長さ未満であることが好ましい。ソースコンタクト孔42は、断面視において両サイドからソース領域41を露出させている。
【0120】
コンタクト領域43は、ボディ領域20におけるゲートトレンチ22およびフィールドトレンチ32の間の領域においてソースコンタクト孔42の底壁に沿う領域に形成されている。
前述の主面絶縁膜50は、ゲートトレンチ22およびフィールドトレンチ32の間のソースコンタクト孔42に連通するソースコンタクト開口55を含む。前述のソースプラグ電極57は、ゲートトレンチ22およびフィールドトレンチ32の間のソースコンタクト孔42にも埋設され、ソース領域41およびコンタクト領域43に電気的に接続されている。前述のソース主面電極64(ソースパッド電極65)は、ソースプラグ電極57を介してゲートトレンチ22およびフィールドトレンチ32の間のソース領域41およびコンタクト領域43に電気的に接続されている。
【0121】
以上、半導体装置101によっても、半導体装置1に対して述べた効果と同様の効果を奏することができる。
図12は、図4の対応図であって、本発明の第3実施形態に係る半導体装置111の一部の領域を示す断面図である。以下、半導体装置1に対して述べた構造に対応する構造については、同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0122】
図12を参照して、半導体装置111は、非活性領域14においてフィールドトレンチ構造31から間隔を空けて第1主面3に形成された外側フィールドトレンチ構造112を含む。図12では、第1フィールドトレンチ構造31Aに隣り合って外側フィールドトレンチ構造112が形成された例が示されている。前述の第1実施形態の場合と同様に、外側フィールドトレンチ構造112は、第2フィールドトレンチ構造31Bに隣り合って形成されていてもよい。また、外側フィールドトレンチ構造112は、第3フィールドトレンチ構造31Cに隣り合って形成されていてもよい。
【0123】
活性領域10および非活性領域14は、フィールドトレンチ構造31および外側フィールドトレンチ構造112を含むマルチトレンチ構造によって区画されている。フィールドトレンチ構造31および外側フィールドトレンチ構造112は、この形態では、ボディ領域20を貫通して形成されている。非活性領域14におけるボディ領域20の有無は、任意である。
【0124】
外側フィールドトレンチ構造112は、第1方向Xに延びる帯状に形成されている。つまり、外側フィールドトレンチ構造112は、フィールドトレンチ構造31に対して平行に延びている。外側フィールドトレンチ構造112は、フィールドトレンチ構造31から第3間隔P3を空けて形成されている。第3間隔P3は、0.1μm以上2μm以下であってもよい。第3間隔P3は、0.1μm以上0.5μm以下、0.5μm以上1μm以下、1μm以上1.5μm以下、または、1.5μm以上2μm以下であってもよい。第3間隔P3は、0.5μm以上1.5μm以下であることが好ましい。
【0125】
第3間隔P3は、トレンチゲート構造21の第1間隔P1と等しいことが好ましい。第3間隔P3が第1間隔P1と等しいとは、第3間隔P3の値が、第1間隔P1の値の±10%以内の範囲に位置していることを意味する。第3間隔P3は、フィールドトレンチ構造31の第2間隔P2と等しいことが好ましい。第3間隔P3が第2間隔P2と等しいとは、第3間隔P3の値が、第2間隔P2の値の±10%以内の範囲に位置していることを意味する。
【0126】
外側フィールドトレンチ構造112は、外側フィールドトレンチ113、第5絶縁膜114および第5電極115を含むシングル電極構造を有している。外側フィールドトレンチ113は、第1主面3を第2主面4に向けて掘り下げることによって形成されている。外側フィールドトレンチ113は、ボディ領域20を貫通し、ドリフト領域7の底部から第1主面3側に間隔を空けて形成されている。
【0127】
外側フィールドトレンチ113の側壁が半導体チップ2内において第1主面3との間で成す角度は、90°以上92°以下であってもよい。外側フィールドトレンチ113は、開口から底壁に向けて開口幅が狭まる先細り形状に形成されていてもよい。外側フィールドトレンチ113の底壁は、第2主面4に向かう湾曲形状に形成されていることが好ましい。
【0128】
外側フィールドトレンチ113は、第3幅W3を有している。第3幅W3は、外側フィールドトレンチ113が延びる方向に直交する方向(つまり第2方向Y)の幅である。第3幅W3は、0.5μm以上4μm以下であってもよい。第3幅W3は、0.5μm以上1μm以下、1μm以上2μm以下、2μm以上3μm以下、または、3μm以上4μm以下であってもよい。第3幅W3は、1μm以上2.5μm以下であることが好ましい。
【0129】
第3幅W3は、フィールドトレンチ32の第2幅W2未満であってもよい。第3幅W3は、ゲートトレンチ22の第1幅W1と等しくてもよい。第3幅W3が第1幅W1と等しいとは、第3幅W3の値が第1幅W1の値の±10%以内の範囲に位置していることを意味する。
外側フィールドトレンチ113は、第3深さD3を有している。第3深さD3は、1μm以上10μm以下であってもよい。第3深さD3は、1μm以上2μm以下、2μm以上4μm以下、4μm以上6μm以下、6μm以上8μm以下、または、8μm以上10μm以下であってもよい。第3深さD3は、1μm以上5μm以下であることが好ましい。
【0130】
第3深さD3は、フィールドトレンチ32の第2深さD2と等しいことが好ましい。第3深さD3は、ゲートトレンチ22の第1深さD1と等しいことが好ましい。第3深さD3が第2深さD2(第1深さD1)と等しいとは、第3深さD3の値が第2深さD2(第1深さD1)の値の±10%以内の範囲に位置していることを意味する。
外側フィールドトレンチ113は、第3アスペクト比D3/W3を有している。第3アスペクト比D3/W3は、第3幅W3に対する第3深さD3の比である。第3アスペクト比D3/W3は、1を超えて5以下であることが好ましい。第3アスペクト比D3/W3は、3以上5以下であることが特に好ましい。第3アスペクト比D3/W3は、ゲートトレンチ22の第1アスペクト比D1/W1と等しいことが好ましい。
【0131】
第5絶縁膜114は、外側フィールドトレンチ113の壁面に沿って形成されている。第5絶縁膜114は、具体的には、外側フィールドトレンチ113の壁面の全域に膜状に形成され、外側フィールドトレンチ113内においてU字状のリセス空間を区画している。第5絶縁膜114は、外側フィールドトレンチ113の深さ方向全域に亘って、半導体チップ2の一部を挟んでフィールドトレンチ構造31の第4絶縁膜34に対向している。第5絶縁膜114は、この形態では、酸化シリコンを含む。
【0132】
第5絶縁膜114は、フィールドトレンチ構造31の第3絶縁膜33の第3厚さT3よりも厚い第5厚さT5を有している。第5厚さT5は、外側フィールドトレンチ113の壁面の法線方向に沿う第5絶縁膜114の厚さである。第5厚さT5は、0.1μm以上1μm以下であってもよい。第5厚さT5は、0.1μm以上0.25μm以下、0.25μm以上0.5μm以下、0.5μm以上0.75μm以下、または、0.75μm以上1μm以下であってもよい。第5厚さT5は、0.15μm以上0.65μm以下であることが好ましい。
【0133】
第5厚さT5は、フィールドトレンチ構造31の第4絶縁膜34の第4厚さT4と等しいことが好ましい。第5厚さT5が第4厚さT4と等しいとは、第5厚さT5の値が第4厚さT4の値の±10%以内の範囲に位置していることを意味する。
第5電極115は、第5絶縁膜114を挟んで外側フィールドトレンチ113に埋設されている。第5電極115は、外側フィールドトレンチ113の深さ方向全域に亘って、第1主面3に平行な横方向(第2方向Y)にフィールドトレンチ構造31の第4電極36に対向している。第5電極115は、この形態では、導電性ポリシリコンを含む。
【0134】
第5電極115は、電気的にフローティング状態に形成されていてもよい。この場合、外側フィールドトレンチ構造112の全域が、前述の主面絶縁膜50によって被覆され、外部から電気的に絶縁される。第5電極115には、基準電位としてのソース電位(たとえばグランド電位)が印加されてもよい。この場合、第5電極115は、前述のソースプラグ電極57を介してソース主面電極64に電気的に接続される。
【0135】
以上のように、フィールドトレンチ構造31は、対向壁32A側においてトレンチゲート構造21に対応した構造を有している。また、フィールドトレンチ構造31は、非対向壁32B側において外側フィールドトレンチ構造112に対応した構造を有している。これにより、半導体チップ2においてトレンチゲート構造21およびフィールドトレンチ構造31の間の領域に生じる応力を緩和できる。また、半導体チップ2においてフィールドトレンチ構造31および外側フィールドトレンチ構造112の間の領域に生じる応力を緩和できる。よって、半導体装置111によっても半導体装置1に対して述べた効果と同様の効果を奏することができる。
【0136】
半導体装置111は、半導体装置1の製造方法においてレジストマスク等のレイアウトを変更するだけで製造できる。半導体装置111に係る外側フィールドトレンチ構造112は、前述の第2実施形態に適用されてもよい。この形態では、1つの外側フィールドトレンチ構造112が形成された例について説明した。しかし、複数(2つ以上)の外側フィールドトレンチ構造112が第2方向Yに間隔を空けて形成されていてもよい。
【0137】
図13は、図4の対応図であって、本発明の第4実施形態に係る半導体装置121の一部の領域を示す断面図である。以下、半導体装置1および半導体装置111に対して述べた構造に対応する構造については、同一の参照符号を付して説明を省略する。
図13を参照して、半導体装置121は、非活性領域14においてトレンチゲート構造21およびフィールドトレンチ構造31の間に介在するように第1主面3に形成された外側フィールドトレンチ構造112を含む。つまり、半導体装置121は、第3実施形態に係る半導体装置111においてフィールドトレンチ構造31および外側フィールドトレンチ構造112の配置が入れ代えられた構造を有している。活性領域10および非活性領域14は、フィールドトレンチ構造31および外側フィールドトレンチ構造112を含むマルチトレンチ構造によって区画されている。
【0138】
フィールドトレンチ構造31は、外側フィールドトレンチ構造112から前述の第2間隔P2を空けて非活性領域14に形成されている。外側フィールドトレンチ構造112は、トレンチゲート構造21から前述の第3間隔P3を空けて非活性領域14に形成されている。フィールドトレンチ構造31および外側フィールドトレンチ構造112は、この形態では、ボディ領域20を貫通して形成されている。非活性領域14におけるボディ領域20の有無は、任意である。
【0139】
半導体チップ2において外側フィールドトレンチ構造112の両サイドに位置する部分には、第1応力および第2応力が生じる。第1応力は、トレンチゲート構造21および外側フィールドトレンチ構造112の間の領域において、外側フィールドトレンチ構造112をトレンチゲート構造21側に引き寄せる方向に生じる。第2応力は、外側フィールドトレンチ構造112およびフィールドトレンチ構造31の間の領域において、外側フィールドトレンチ構造112をフィールドトレンチ構造31側に引き寄せる方向に生じる。
【0140】
つまり、第2応力は、第1応力を相殺する方向に生じる。したがって、半導体装置121によれば、トレンチゲート構造21およびフィールドトレンチ構造31の間の領域に生じる応力をフィールドトレンチ構造31内の構造によって緩和できる。また、フィールドトレンチ構造31および外側フィールドトレンチ構造112の間の領域に生じる応力をトレンチゲート構造21内の構造によって緩和できる。よって、半導体装置121によっても、半導体装置1に対して述べた効果と同様の効果を奏することができる。
【0141】
半導体装置121は、半導体装置1の製造方法においてレジストマスク等のレイアウトを変更するだけで製造できる。半導体装置121に係る外側フィールドトレンチ構造112は、前述の第2実施形態に適用されてもよい。
この形態では、1つの外側フィールドトレンチ構造112が形成された例について説明した。しかし、複数(2つ以上)の外側フィールドトレンチ構造112が、トレンチゲート構造21およびフィールドトレンチ構造31の間の領域に第2方向Yに間隔を空けて形成されていてもよい。ただし、応力を緩和する上では、1つの外側フィールドトレンチ構造112のみが形成されていることが好ましい。
【0142】
図14は、図4の対応図であって、本発明の第5実施形態に係る半導体装置131の一部の領域を示す断面図である。以下、半導体装置1および半導体装置121に対して述べた構造に対応する構造については、同一の参照符号を付して説明を省略する。
図14を参照して、半導体装置131は、トレンチゲート構造21から間隔を空けて形成された複数(この形態では2つ)の外側フィールドトレンチ構造112を含む。また、半導体装置131は、互いに隣り合う複数の外側フィールドトレンチ構造112の間の領域に形成されたフィールドトレンチ構造31を含む。つまり、半導体装置131は、第4実施形態に係る半導体装置121の構造に第3実施形態に係る半導体装置111の構造を組み合わせた構造を有している。活性領域10および非活性領域14は、フィールドトレンチ構造31および複数の外側フィールドトレンチ構造112を含むマルチトレンチ構造によって区画されている。
【0143】
以上、半導体装置131によれば、半導体装置111および半導体装置121に対して述べた効果と同様の効果を奏することができる。半導体装置131は、半導体装置1の製造方法においてレジストマスク等のレイアウトを変更するだけで製造できる。
図15は、図4の対応図であって、本発明の第6実施形態に係る半導体装置141の一部の領域を示す断面図である。以下、半導体装置1に対して述べた構造に対応する構造については、同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0144】
図15を参照して、半導体装置141は、非活性領域14においてトレンチゲート構造21から間隔を空けて形成された複数(この形態では2つ)のフィールドトレンチ構造31を含む。図15では、第1トレンチゲート構造21Aから間隔を空けて複数のフィールドトレンチ構造31が形成された例が示されている。複数のフィールドトレンチ構造31は、第2フィールドトレンチ構造31Bから間隔を空けて形成されていてもよい。また、複数のフィールドトレンチ構造31は、第3フィールドトレンチ構造31Cから間隔を空けて形成されていてもよい。
【0145】
活性領域10および非活性領域14は、複数のフィールドトレンチ構造31を含むマルチトレンチ構造によって区画されている。フィールドトレンチ構造31の個数は任意であり、3つ以上のフィールドトレンチ構造31が互いに間隔を空けて形成されていてもよい。複数のフィールドトレンチ構造31は、この形態では、ボディ領域20を貫通して形成されている。非活性領域14におけるボディ領域20の有無は、任意である。
【0146】
複数のフィールドトレンチ構造31は、平面視において第1方向Xに延びる帯状にそれぞれ形成され、第2方向Yに間隔を空けて形成されている。つまり、複数のフィールドトレンチ構造31は、平面視においてストライプ状に形成されている。複数のフィールドトレンチ構造31は、対向壁32Aをトレンチゲート構造21側に向けた姿勢でそれぞれ形成されている。複数のフィールドトレンチ構造31は、前述の第2間隔P2を空けて形成されていてもよい。
【0147】
以上、半導体装置141によっても、半導体装置1に対して述べた効果と同様の効果を奏することができる。半導体装置141は、半導体装置1の製造方法においてレジストマスク等のレイアウトを変更するだけで製造できる。半導体装置141の構造は、前述の第2~第5実施形態にも適用できる。
図16は、図4の対応図であって、本発明の第7実施形態に係る半導体装置151の一部の領域を示す断面図である。以下、半導体装置1に対して述べた構造に対応する構造については、同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0148】
図16を参照して、半導体装置151は、非活性領域14においてトレンチゲート構造21から間隔を空けて形成された複数(この形態では3つ)のフィールドトレンチ構造31を含む。図16では、第1トレンチゲート構造21Aから間隔を空けて複数のフィールドトレンチ構造31が形成された例が示されている。複数のフィールドトレンチ構造31は、第2フィールドトレンチ構造31Bから間隔を空けて形成されていてもよい。また、複数のフィールドトレンチ構造31は、第3フィールドトレンチ構造31Cから間隔を空けて形成されていてもよい。
【0149】
活性領域10および非活性領域14は、複数のフィールドトレンチ構造31を含むマルチトレンチ構造によって区画されている。フィールドトレンチ構造31の個数は任意であり、3つ以上のフィールドトレンチ構造31が互いに間隔を空けて形成されていてもよい。複数のフィールドトレンチ構造31は、この形態では、ボディ領域20を貫通して形成されている。非活性領域14におけるボディ領域20の有無は、任意である。
【0150】
複数のフィールドトレンチ構造31は、平面視において第1方向Xに延びる帯状にそれぞれ形成され、第2方向Yに間隔を空けて形成されている。つまり、複数のフィールドトレンチ構造31は、平面視においてストライプ状に形成されている。複数のフィールドトレンチ構造31は、対向壁32A同士が互いに対向し、かつ、非対向壁32B同士が互いに対向した姿勢でそれぞれ形成されている。複数のフィールドトレンチ構造31は、前述の第2間隔P2を空けて形成されていてもよい。
【0151】
以上、半導体装置151によっても、半導体装置1に対して述べた効果と同様の効果を奏することができる。半導体装置151は、半導体装置1の製造方法においてレジストマスク等のレイアウトを変更するだけで製造できる。半導体装置151の構造は、前述の第2~第6実施形態にも適用できる。
本発明の実施形態は、さらに他の形態で実施できる。
【0152】
前述の各実施形態において、図17に示されるフィールドトレンチ構造31が採用されてもよい。図17は、図4の対応図であって、変形例に係るフィールドトレンチ構造31を示す断面図である。以下、半導体装置1に対して述べた構造に対応する構造については、同一の参照符号を付して説明を省略する。
変形例に係るフィールドトレンチ構造31では、第4電極36の下電極部36Aが第3電極35の直下の領域に位置する部分を有していない。つまり、第4電極36は、第3電極35の直下の領域に第4絶縁膜34のみが存在するように第3電極35からフィールドトレンチ32の非対向壁32B側に間隔を空けて形成されている。第2中間絶縁膜37は、第3中間部分37Aを含まず、第4中間部分37Bのみを含む。
【0153】
以上、変形例に係るフィールドトレンチ構造31が形成された場合であっても、半導体装置1に対して述べた効果と同様の効果を奏することができる。このようなフィールドトレンチ構造31は、半導体装置1の製造方法においてレジストマスク等のレイアウトを変更するだけで形成できる。
前述の各実施形態では、トレンチゲート構造21の第2電極26がフィールド電極として形成され、基準電位としてのソース電位(たとえばグランド電位)が第2電極26に印加される例について説明した。しかし、第2電極26がゲート電極として形成され、制御電位としてのゲート電位が第2電極26に印加されてもよい。
【0154】
前述の各実施形態では、フィールドトレンチ構造31の第3電極35がゲート電極として形成され、制御電位としてのゲート電位が第3電極35に印加される例について説明した。しかし、第3電極35がフィールド電極として形成され、基準電位としてのソース電位(たとえばグランド電位)が第3電極35に印加されてもよい。また、フィールドトレンチ構造31の第3電極35は、電気的に開放され、電気的に浮遊状態となったダミー電極として形成されてもよい。
【0155】
前述の各実施形態では、第1主面3の表層部においてトレンチゲート構造21およびフィールドトレンチ構造31の間の領域にボディ領域20が形成された例について説明した。しかし、第1主面3の表層部においてトレンチゲート構造21およびフィールドトレンチ構造31の間の領域にボディ領域20が存在しない構造が採用されてもよい。この場合、ドリフト領域7が、第1主面3においてトレンチゲート構造21およびフィールドトレンチ構造31の間の領域から露出する。
【0156】
前述の各実施形態では、ソース主面電極64が両端に位置する複数の引き出し電極26Aおよび複数の引き出し電極36Cに接続されていない例について説明した。しかし、ソース主面電極64は、複数のソースプラグ電極57を介して両端に位置する複数の引き出し電極26Aおよび複数の引き出し電極36Cに接続されていてもよい。この場合、ソース主面電極64は、両端に位置する複数の引き出し電極26Aおよび複数の引き出し電極36Cに接続されるようにソースパッド電極65からライン状に引き出されたソースフィンガー電極を含んでいてもよい。
【0157】
前述の各実施形態において、各半導体部分の導電型が反転された構造が採用されてもよい。つまり、p型の部分がn型とされ、n型の部分がp型とされてもよい。
本発明の実施形態について詳細に説明してきたが、これらは本発明の技術的内容を明らかにするために用いられた具体例に過ぎず、本発明はこれらの具体例に限定して解釈されるべきではなく、本発明の範囲は添付の請求の範囲によって限定される。
【符号の説明】
【0158】
1 半導体装置
2 半導体チップ
3 第1主面
10 活性領域
14 非活性領域
20 ボディ領域
22 ゲートトレンチ
23 第1絶縁膜
24 第2絶縁膜
25 第1電極
26 第2電極
27 第1中間絶縁膜
32 フィールドトレンチ
32A 対向壁
32B 非対向壁
33 第3絶縁膜
34 第4絶縁膜
35 第3電極
36 第4電極
37 第2中間絶縁膜
41 ソース領域
101 半導体装置
111 半導体装置
121 半導体装置
131 半導体装置
141 半導体装置
151 半導体装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図8F
図8G
図8H
図8I
図8J
図8K
図8L
図8M
図8N
図8O
図8P
図8Q
図8R
図8S
図8T
図8U
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17