(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-29
(45)【発行日】2024-03-08
(54)【発明の名称】カーテンウォールのインナー構造、カーテンウォールのインナー構造の施工方法及びカーテンウォール
(51)【国際特許分類】
E06B 1/36 20060101AFI20240301BHJP
E04B 2/96 20060101ALI20240301BHJP
E06B 1/12 20060101ALI20240301BHJP
E06B 3/54 20060101ALI20240301BHJP
【FI】
E06B1/36 Z
E04B2/96
E06B1/12 A
E06B1/12 B
E06B3/54 A
(21)【出願番号】P 2020053031
(22)【出願日】2020-03-24
【審査請求日】2023-01-06
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】長澤 広章
【審査官】家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】韓国特許第10-1321740(KR,B1)
【文献】特開2007-126913(JP,A)
【文献】特開2015-045217(JP,A)
【文献】特開2002-242540(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 1/00-1/70
E04B 2/96
E06B 3/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
方立及び無目によって四方枠状に形成された支持体の内部の屋内側に配置されるカーテンウォールのインナー構造であって、
前記支持体の屋内側に固定されるアングル材と、
該アングル材の屋内側に配置され、該アングル材に固定される四方枠状をなす枠体と、
該枠体の内部に配置されたインナーガラス体と、を備え
、
前記アングル材は、前記支持体における見付け方向の内側を向く見込み面に固定され、
前記枠体は、前記アングル材における屋内側を向く面に固定され、
前記枠体と前記アングル材とは、螺子で固定され、
前記枠体は、
前記螺子の頭部側が挿通される第一取付孔が形成された第一壁部と、
前記螺子の先端側が挿通される第二取付孔が形成された第二壁部と、を有し、
前記第一取付孔と前記第二取付孔とを結ぶ線は、屋外側に向かうにしたがって次第に前記見込み面に近接するように傾斜しているカーテンウォールのインナー構造。
【請求項2】
前記アングル材は、
前記第二壁部の屋外側に沿って配置され、前記螺子が螺合される取付壁部を有し、
前記取付壁部における屋内側を向く面には、V溝が見付け方向に連続して形成されている請求項
1に記載のカーテンウォールのインナー構造。
【請求項3】
前記枠体の屋内側に設けられ、前記インナーガラス体を保持する押縁を備え、
前記枠体を前記支持体に固定する螺子の頭部は、前記枠体と前記押縁との間に配置さている請求項
1または2記載のカーテンウォールのインナー構造。
【請求項4】
方立及び無目によって四方枠状に形成された支持体の内部の屋内側に、カーテンウォールのインナー構造を施工するカーテンウォールのインナー構造の施工方法であって、
前記支持体の屋内側にアングル材を固定するアングル材固定工程と、
該アングル材の屋内側に四方枠状をなす枠体を固定する枠体固定工程と、
該枠体の内部に配置されたインナーガラス体を設置するインナーガラス体設置工程と、を備え
、
前記アングル材は、前記支持体における見付け方向の内側を向く見込み面に固定され、
前記枠体は、前記アングル材における屋内側を向く面に固定され、
前記枠体と前記アングル材とは、螺子で固定され、
前記枠体は、
前記螺子の頭部側が挿通される第一取付孔が形成された第一壁部と、
前記螺子の先端側が挿通される第二取付孔が形成された第二壁部と、を有し、
前記第一取付孔と前記第二取付孔とを結ぶ線は、屋外側に向かうにしたがって次第に前記見込み面に近接するように傾斜しているカーテンウォールのインナー構造の施工方法。
【請求項5】
方立及び無目によって四方枠状に形成された支持体と、
該支持体の内部に配置されたアウターガラス体と、
前記支持体の屋内側に固定されるアングル材と、
該アングル材の屋内側に配置され、該アングル材に固定される四方枠状をなす枠体と、
該枠体の内部に配置されたインナーガラス体と、を備え
、
前記アングル材は、前記支持体における見付け方向の内側を向く見込み面に固定され、
前記枠体は、前記アングル材における屋内側を向く面に固定され、
前記枠体と前記アングル材とは、螺子で固定され、
前記枠体は、
前記螺子の頭部側が挿通される第一取付孔が形成された第一壁部と、
前記螺子の先端側が挿通される第二取付孔が形成された第二壁部と、を有し、
前記第一取付孔と前記第二取付孔とを結ぶ線は、屋外側に向かうにしたがって次第に前記見込み面に近接するように傾斜しているカーテンウォール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、カーテンウォールのインナー構造、カーテンウォールのインナー構造の施工方法及びカーテンウォールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、中高層ビル等の建築物において、屋内外方向に離間して2枚のガラス板が配置されたカーテンウォールが採用されている(下記の特許文献1参照)。無目及び方立によって構成される支持体に四方枠状に形成された枠体が固定され、屋内側のガラス板が枠体の内部に嵌め込まれたカーテンウォールもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
四方枠状に形成された枠体を支持体に固定して、枠体の内部にガラス板を嵌め込む構成では、枠体を所定の位置に建て込む際に位置決めが難しく施工性が悪いという問題点がある。
【0005】
そこで、本開示は、上記事情に鑑みてなされたものであり施工性が良いカーテンウォールのインナー構造、カーテンウォールのインナー構造の施工方法及びカーテンウォールを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係るカーテンウォールのインナー構造は、方立及び無目によって四方枠状に形成された支持体の内部の屋内側に配置されるカーテンウォールのインナー構造であって、前記支持体の屋内側に固定されるアングル材と、該アングル材の屋内側に配置され、該アングル材に固定される四方枠状をなす枠体と、該枠体の内部に配置されたインナーガラス体と、を備え、前記アングル材は、前記支持体における見付け方向の内側を向く見込み面に固定され、前記枠体は、前記アングル材における屋内側を向く面に固定され、前記枠体と前記アングル材とは、螺子で固定され、前記枠体は、前記螺子の頭部側が挿通される第一取付孔が形成された第一壁部と、前記螺子の先端側が挿通される第二取付孔が形成された第二壁部と、を有し、前記第一取付孔と前記第二取付孔とを結ぶ線は、屋外側に向かうにしたがって次第に前記見込み面に近接するように傾斜している。
【0008】
本開示の一態様に係るカーテンウォールのインナー構造の施工方法は、方立及び無目によって四方枠状に形成された支持体の内部の屋内側に、カーテンウォールのインナー構造を施工するカーテンウォールのインナー構造の施工方法であって、前記支持体の屋内側にアングル材を固定するアングル材固定工程と、該アングル材の屋内側に四方枠状をなす枠体を固定する枠体固定工程と、該枠体の内部に配置されたインナーガラス体を設置するインナーガラス体設置工程と、を備え、前記アングル材は、前記支持体における見付け方向の内側を向く見込み面に固定され、前記枠体は、前記アングル材における屋内側を向く面に固定され、前記枠体と前記アングル材とは、螺子で固定され、前記枠体は、前記螺子の頭部側が挿通される第一取付孔が形成された第一壁部と、前記螺子の先端側が挿通される第二取付孔が形成された第二壁部と、を有し、前記第一取付孔と前記第二取付孔とを結ぶ線は、屋外側に向かうにしたがって次第に前記見込み面に近接するように傾斜している。
【0009】
本開示の一態様に係るカーテンウォールは、方立及び無目によって四方枠状に形成された支持体と、該支持体の内部に配置されたアウターガラス体と、前記支持体の屋内側に固定されるアングル材と、該アングル材の屋内側に配置され、該アングル材に固定される四方枠状をなす枠体と、該枠体の内部に配置されたインナーガラス体と、を備え、前記アングル材は、前記支持体における見付け方向の内側を向く見込み面に固定され、前記枠体は、前記アングル材における屋内側を向く面に固定され、前記枠体と前記アングル材とは、螺子で固定され、前記枠体は、前記螺子の頭部側が挿通される第一取付孔が形成された第一壁部と、前記螺子の先端側が挿通される第二取付孔が形成された第二壁部と、を有し、前記第一取付孔と前記第二取付孔とを結ぶ線は、屋外側に向かうにしたがって次第に前記見込み面に近接するように傾斜している。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】一実施形態に係るカーテンウォールの鉛直断面図。
【
図2】一実施形態に係るカーテンウォールの水平断面図。
【
図3】一実施形態に係るカーテンウォールの鉛直断面図の要部を示す図。
【
図4】一実施形態に係るカーテンウォールの施工方法を示す図。
【
図5】一実施形態に係るカーテンウォールの施工方法で
図4の後工程を示す図。
【
図7】一実施形態に係るカーテンウォールの施工方法で
図5の後工程を示す図。
【
図8】一実施形態に係るカーテンウォールの施工方法で
図7の後工程を示す図。
【
図9】一実施形態の変形例に係るカーテンウォールの鉛直断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、一実施形態に係るカーテンウォールについて、図面に基づいて説明する。
図1及び
図2に示すように、カーテンウォール100は、無目11(
図1参照。以下同じ。)と、方立12(
図2参照。以下同じ。)とアウターガラス(アウターガラス体)13と、インナー構造2(サッシ枠)と、を備えている。
【0012】
以下の説明において、屋内側と屋外側とを結ぶ方向を屋内外方向と称する。屋内外方向と直交する方向(見付け方向)のうち、水平方向に沿う方向を幅方向と称し、もう一方の方向を鉛直方向と称する。幅方向において、カーテンウォール100の中央側に向かう方向を内側と称し、カーテンウォール100の中央側と反対側に向かう方向を外側と称する。
【0013】
図1に示すように、無目11は、幅方向に延びている。無目11は鉛直方向に間隔を有して複数配置されている。無目11は、建築物の構造体に固定されている。
【0014】
図2に示すように、方立12は、鉛直方向に延びている。方立12は、幅方向に間隔を有して複数配置されている。方立12は、建築物の構造体に固定されている。
【0015】
隣り合う無目11及び隣り合う方立12によって、四方枠状をなす支持体10が構成されている。
【0016】
アウターガラス13は、支持体10の内部に嵌め込まれている。アウターガラス13は、後述するインナーガラス51よりも屋外側に配置されている。
【0017】
インナー構造2は、支持体10の内部に配置されている。インナー構造2は、上部アングル(アングル材)21(
図1参照。以下同じ。)と、側部アングル(アングル材)22(
図2参照。以下同じ。)と、上部アングルカバー31と、側部アングルカバー32と、枠体40と、インナーガラス(インナーガラス体、ガラス体)51と、を有している。
【0018】
図1に示すように、上部アングル21は、幅方向に延びている。上部アングル21の長手方向の長さは、後述する枠体40の上枠41の長手方向の長さと略同一である。上部アングル21は、支持体10の上側の無目11Aの下面(見込み面)11dに固定されている。上部アングル21を介して、上枠41は上側の無目11Aに固定されている。
【0019】
図2に示すように、側部アングル22は、鉛直方向に延びている。側部アングル22の長手方向の長さは、後述する枠体40の縦枠43の長手方向の長さと略同一である。側部アングル22は、方立12における支持体10の内側を向く側面12aに固定されている。側部アングル22を介して、縦枠43は方立12に固定されている。
【0020】
上部アングル21及び側部アングル22は、アルミニウムやスチール等の金属材料で構成されている。上部アングル21と側部アングル22とは、同一の断面形状をしている。以下では、上部アングル21の構成について説明するが、側部アングル22は上部アングル21と配置される向きが異なるものである。
【0021】
図3に示すように、上部アングル21は、第一固定壁部210と、第二固定壁部(取付壁部)220と、カバー係止壁部230と、を有している。
【0022】
第一固定壁部210は、無目11Aの下面11dに沿って配置されている。第一固定壁部210は、板状に形成されている。第一固定壁部210の板面は、鉛直方向を向いている。
【0023】
第一固定壁部210には、上方に向かって突出する上向き片211が設けられている。上向き片211は、屋内外方向に離間して2箇所に設けられている。上向き片211の上端部は、無目11の下面11dに当接している。
【0024】
第一固定壁部210には、鉛直方向に貫通する取付孔212が形成されている。取付孔212には、螺子213が挿通されている。螺子213は、無目11の下面11dに螺合されている。
【0025】
第二固定壁部220は、第一固定壁部210の屋内側の端部から下方に延びている。第二固定壁部220は、板状に形成されている。第二固定壁部220の板面は、屋内外方向を向いている。
【0026】
第二固定壁部220には、屋内側に向かって突出する当接片221が設けられている。当接片221は、鉛直方向に離間して2箇所に設けられている。
【0027】
第二固定壁部220の屋内側の向く面220aには、2箇所の当接片221の間に、溝部222が形成されている。溝部222は、鉛直方向及び幅方向に沿う断面がV字状をなすV溝が鉛直方向に連続して形成されたものである。
【0028】
第二固定壁部220における溝部222が形成されている中間には、第二固定壁部220を貫通するように取付孔223が形成されている。第二固定壁部220の下端部には、屋外側に向かって凹む係止凹部224が形成されている。
【0029】
第二固定壁部220の上部は、後述する上枠41の上部板部410と上側の無目11Aの下面11dとの間の隙間s1の屋外側に配置されている。火災時に、第二固定壁部220の上部によって火炎の屋内外方向の貫通を抑制される。
【0030】
カバー係止壁部230は、第一固定壁部210の屋外側の端部から下方に延びている。230は、板状に形成されている。カバー係止壁部230の板面は、屋内外方向を向いている。カバー係止壁部230の下端部には、屋外側に向かって突出するカバー係止片231が設けられている。
【0031】
図2に示すように、側部アングル22は、上部アングル21の第一固定壁部210が方立12の側面12aに沿うように配置されている。螺子213が方立12の側面12aに固定されている。
【0032】
図1に示すように、上部アングルカバー31は、幅方向に延びている。上部アングルカバー31は、上部アングル21の下部且つ屋外側に配置されている。
【0033】
図2に示すように、側部アングルカバー32は、鉛直方向に延びている。側部アングルカバー32は、側部アングル22の幅方向の内側且つ屋外側に配置されている。
【0034】
上部アングルカバー31と側部アングルカバー32とは、同一の断面形状をしている。以下では、上部アングルカバー31の構成について説明するが、側部アングルカバー32は上部アングルカバー31と配置される向きが異なるものである。
【0035】
図3に示すように、上部アングルカバー31は、第一カバー壁部310と、上部係止壁部320と、第二カバー壁部330と、下部係止壁部340と、を有している。
【0036】
第一カバー壁部310は、上部アングル21の第二固定壁部220の屋外側に、第二固定壁部220と対向するように配置されている。第一カバー壁部310は、板状に形成されている。第一カバー壁部310の板面は、屋内外方向を向いている。
【0037】
上部係止壁部320は、第一カバー壁部310の上端部から屋内側に延びている。上部係止壁部320の屋内側の端部には、上方に向かって突出する上向き片321が設けられている。上向き片321の上端部は、無目11の下面11dに当接している。
【0038】
上部係止壁部320の屋内側の端部には、下方に向かって突出する係止凸部322が設けられている。係止凸部322は、屋内側に膨らむ形状をしている。係止凸部322は、上部アングル21のカバー係止片231に係止されている。
【0039】
第二カバー壁部330は、第一カバー壁部310の下端部から屋内側に延びている。第二カバー壁部330は、上部アングル21の第一固定壁部210の下方に、第一固定壁部210と対向するように配置されている。第二カバー壁部330は、板状に形成されている。第二カバー壁部330の板面は、鉛直方向を向いている。
【0040】
下部係止壁部340は、第二カバー壁部330の屋内側の端部から上方に延びている。下部係止壁部340の上端部には、屋外側に向かって突出する係止凸部341が設けられている。係止凸部341は、上部アングル21の係止凹部224に係止されている。
【0041】
図2に示すように、側部アングルカバー32は、上部アングルカバー31の第二カバー壁部330が側部アングル22の第一固定壁部210の幅方向の内側に、第一固定壁部210と対向するように配置されている。
【0042】
図1及び
図2に示すように、枠体40は、四方枠状に形成されている。枠体40は、上枠41(
図1参照。以下同じ。)と、下枠42(
図1参照。以下同じ。)と、一対の縦枠43(
図2参照。以下同じ。)と、を有している。枠体40は、アルミニウム製の部材(アルミニウム形材)で構成されている。
【0043】
上枠41及び下枠42は、幅方向に延びている。縦枠43は、鉛直方向に延びている。各縦枠43は、上枠41の端部と下枠42の端部とを連結している。
【0044】
上枠41と縦枠43とは、同一の断面形状をしている。以下では、上枠41の構成について説明するが、縦枠43は上枠41と配置される向きが異なるものである。
【0045】
図3に示すように、上枠41は、上部板部410と、第一固定板部(第一壁部)420と、第二固定板部(第二壁部)430と、下部板部440と、中間板部450と、を有している。
【0046】
上部板部410は、無目11Aの下面11dの下方に、下面11dと僅かに隙間s1を有して配置されている。上部板部410は、板状に形成されている。上部板部410の板面は、鉛直方向を向いている。
【0047】
上部板部410の屋内側の端部には、上方に向かって突出する上向き片411が設けられている。上部板部410の屋内側の端部には、下方に向かって突出する下向き片412が設けられている。
【0048】
上部板部410と無目11Aの下面11dとの間には、スペーサー46が設けられている。スペーサー46は、例えばアルミニウム等の金属性の板材が積層されて構成されている。上枠41の上向き片411の上端部は、スペーサー46の下面に当接している。スペーサー46の屋内側には、シーリング材47が設けられている。
【0049】
螺子413が、上部板部410の下方から上部板部410を貫通して、スペーサー46及び無目11の下面11dに螺合されている。
【0050】
第一固定板部420は、上部板部410の屋内外方向の中間から下方に延びている。第一固定板部420は、板状に形成されている。第一固定板部420の板面は、屋内外方向を向いている。
【0051】
第一固定板部420には、第一固定板部420を貫通するように取付孔(第一取付孔)421が形成されている。
【0052】
第二固定板部430は、上部板部410の屋外側の端部から下方に延びている。第二固定板部430は、第一固定板部420の屋外側に、第一固定板部420と対向するように配置されている。第二固定板部430は、上部アングル21の第二固定壁部220の屋内側に沿って配置されている。
【0053】
第二固定板部430は、板状に形成されている。第二固定板部430の板面は、屋内外方向を向いている。
【0054】
第二固定板部430の屋外側を向く面430aには、上部アングル21の当接片221が当接している。
【0055】
第二固定板部430には、第二固定板部430を貫通するように取付孔(第二取付孔)431が形成されている。第一固定板部420の取付孔421と第二固定板部430の取付孔431とを結ぶ方向(以下、「取付孔方向」と称することがある)d1は、屋外側に向かうにしたがって次第に僅かに上方に向かう(上側の無目11Aの下面11dに近接する)方向である。
【0056】
螺子422は、第一固定板部420の屋内側から、取付孔421及び取付孔431に挿通されている。螺子422の頭部423側が第一固定板部420に配置され、先端424側が第二固定板部430に配置されている。螺子422は、上部アングル21の第二固定壁部220の取付孔223に螺合されている。このように、上枠41は、上部アングル21のおける屋内側を向く面(第一固定板部420)に固定されている。
【0057】
第二固定板部430の取付孔431の上端部には、屋内側に向かって突出するガイドリブ432が設けられている。
【0058】
下部板部440は、第一固定板部420の下端部と第二固定板部430の下端部とを連結している。下部板部440は、板状に形成されている。下部板部440の板面は、鉛直方向を向いている。
【0059】
中間板部450は、第一固定板部420の鉛直方向の中間と、第二固定板部430の鉛直方向の中間とを連結している。
【0060】
中間板部450の屋内側の端部は、第一固定板部420における取付孔421よりも下方に接続されている。中間板部450の屋外側の端部は、第二固定板部430における取付孔431よりも下方に接続されている。
【0061】
中間板部450は、板状に形成されている。中間板部450は、屋内側に向かうにしたがって僅かに上方に向かうように配置されている。中間板部450は、取付孔方向d1と平行に配置されている。
【0062】
上部板部410、第一固定板部420、第二固定板部430及び中間板部450によって、中空をなす上部ホロー460が形成されている。
【0063】
図2に示すように、縦枠43は、上枠41の上部板部410が方立12の側面12aの幅方向の内側に沿うように配置されている。螺子413は、方立12の側面12aに螺合されている。螺子422によって、縦枠43は側部アングル22に固定されている。縦枠43と方立12の側面12aとの間には、スペーサー46は配置されていない。
【0064】
図1に示すように、下枠42には、下方に凹むガラス溝42aが形成されている。下枠42は、下側の無目11Bに当接して配置されている。螺子42bによって、下枠42は、下側の無目11Bに固定されている。
【0065】
インナーガラス51は、アウターガラス13よりも屋内側に配置されている。インナーガラス51は、所望の防火性(耐熱性)を有する透明の耐熱強化ガラスまたは耐熱結晶化ガラスで構成されている。
【0066】
インナーガラス51の上端部51uは、上枠41の第一固定板部420よりも屋内側且つ上部板部410よりも下方に位置されている。インナーガラス51の下端部51bは、ガラス溝42aの内部に配置されている。
【0067】
図2に示すように、インナーガラス51の幅方向の端部51aは、縦枠43の第一固定板部420よりも屋内側且つ上部板部410よりも幅方向の内側に位置されている。
【0068】
上枠41及び縦枠43の屋内側には、押縁48が係合されている。
図1に示すように、上枠41では、上枠41の下向き片412(
図3参照)に押縁48の上部係合部48uが係合されている。押縁48は、インナーガラス51の端部51u,51aよりも屋内側に配置され、インナーガラス51の端部51u,51aを保持している。
【0069】
上枠41を無目11に固定する螺子413の頭部413aは、上枠41と押縁48の上部48aとの間に配置されている。
【0070】
インナーガラスの端部51u,51b,51a屋外側には、シール材(先付けビート等)49aが設けられている。インナーガラスの端部51u,51b,51aの屋内側には、シール材(後付けビート等)49bが設けられている。
【0071】
次に、上記のカーテンウォール100のインナー構造2の施工方法について説明する。
【0072】
アングル材固定工程を行う。
図4に示すように、上部アングル21の上向き片211が
無目11Aの下面11dに当接するように、上部アングル21を所定の位置に配置する。上部アングル21の取付孔212に螺子213を挿通して、無目11Aの下面11dに螺合する。同様に、側部アングル22も方立12の側面12aに固定する。上部アングル21及び側部アングル22を枠体40よりも先に設置することで、枠体40の位置決めが容易になる。
【0073】
予め、工場や施工現場で、上枠41、下枠42及び一対の縦枠43を四方枠状にして、枠体40を組み立てておく。枠体40を、支持体10の内部に建て込む。
図3に示すように、上枠41と無目11Aの下面11dとの間に、スペーサー46を挿入する。上枠41を螺子413でスペーサー46を貫通させて、無目11Aの下面11dに固定する。
図1に示すように、下枠42を螺子42bで無目11Bに固定する。
図2に示すように、縦枠43を螺子413で方立12の側面12aに固定する。
【0074】
枠体固定工程を行う。
図5(
図5以降の図面では、スペーサー46及び螺子413の図示を省略している)に示すように、上枠41に対して屋内側から、第一固定板部420の取付孔421及び第二固定板部430の取付孔431にドリルドライバー90のドリル部91を通す。この際に、ドリル部91は、上枠41の中間板部450の上面450uに案内されて、上部ホロー460内を屋外側に進む。ドリル部91の先端91fは、第二固定板部430のガイドリブ432に案内されて取付孔431内に入る。取付孔421と取付孔431とを結ぶ取付孔方向d1が屋外側に向かうにしたがって次第に僅かに上方に向かう方向であるため、ドリルドライバー90が無目11A等と干渉することがない。
【0075】
図6に示すように、ドリル部91の先端91fを、上部アングル21の第二固定壁部220の溝部222に到達させる。溝部222は鉛直方向に連続するV溝であるため、ドリル部91の先端91fが第二固定壁部220で滑ったり、位置ずれしたりことがなく、ドリル部91が取付孔方向d1と平行な方向となる。ドリル部91の先端91fをさらに屋外側に進めることによって、第二固定壁部220には取付孔223が形成される(
図7参照)。側部アングルカバー32の第二固定壁部220にも、同様にして取付孔223を形成する。
図2に示すように、取付孔421と取付孔431とを結ぶ方向d2が屋外側に向かうにしたがって次第に僅かに幅方向の外側に向かう方向であるため、ドリルドライバー90が無目11Aと干渉することがない。
【0076】
図7に示すように、螺子422の先端を上枠41の第一固定板部420の取付孔421に挿入させる。
【0077】
図8に示すように、インパクトドライバー96で、螺子422を屋外側に進めて、第二固定板部430の取付孔431に挿入させて、上部アングル21の取付孔223に螺合させる。これによって、上枠41が上部アングル21に固定される。取付孔421と取付孔431とを結ぶ取付孔方向d1が屋外側に向かうにしたがって次第に僅かに上方に向かう方向であるため、インパクトドライバー96が無目11Aと干渉することがない。
【0078】
縦枠43も同様にして、側部アングル22に固定する。
図2に示すように、取付孔421と取付孔431とを結ぶ方向d2が屋外側に向かうにしたがって次第に僅かに幅方向の外側に向かう方向であるため、インパクトドライバー96が無目11Aと干渉することがない。下枠42を螺子42bで無目11Bに固定する。
【0079】
図8に示すように、上部アングルカバー31の係止凸部322を、上部アングル21のカバー係止片231に係止させる。上部アングルカバー31の係止凸部341を、上部アングル21の係止凹部224に係止させる。これによって、上部アングル21の屋外側が上部アングルカバー31で覆われて、螺子422が見えることがない。側部アングルカバー32も同様にして、縦枠43に取り付ける。
【0080】
インナーガラス体設置工程を行う。枠体40の内部に、シール材49aを設置して、インナーガラス51を設置して、シール材49bを設置する。
【0081】
このように構成されたカーテンウォール100では、支持体10に、上部アングル21及び側部アングル22を固定する。その後に、上部アングル21及び側部アングル22の第二固定壁部220の当接片221に当接するように、四方枠状に形成された枠体40を建て込めば、枠体40の屋内外方向の位置が決まるため、枠体40の位置決めがしやすく、施工性が良い。
【0082】
上部アングル21を無目11Aの下面11dに向かって下方から螺子213で固定すればよいため、上部アングル21を無目11Aに容易に固定することができる。側部アングル22を方立12の側面12aに向かって幅方向の内側から螺子213で固定すればよいため、側部アングル22を方立12に容易に固定することができる。
【0083】
上枠41を上部アングル21に対して屋内側から螺子422で固定さればよいため、上枠41を上部アングル21に容易に固定することができる。縦枠43を側部アングル22に対して屋内側から螺子422で固定さればよいため、縦枠43を側部アングル22に容易に固定することができる。
【0084】
上枠41を上部アングル21に螺子422で固定する際には、ドリルドライバー90及びインパクトドライバー96を第一固定板部420の取付孔421から第二固定板部430の取付孔431に挿入する。取付孔421と取付孔431とを結ぶ取付孔方向d1は、屋外側に向かうにしたがって次第に僅かに上方に向かうように傾斜している。よって、ドリルドライバー90及びインパクトドライバー96が無目11A等と干渉することがない。
【0085】
上部アングル21の第二固定壁部220の溝部222は鉛直方向に連続するV溝であるため、ドリルドライバー90で上部アングル21に取付孔223を形成する際に、ドリル部91の先端91fが第二固定壁部220で滑ったり、位置ずれしたりことがない。これによって、ドリル部91が取付孔方向d1と平行な方向となり、適切な位置に取付孔223を形成することができる。
【0086】
上枠41を無目11に固定する螺子413の頭部413aは、上枠41と押縁48の上部48aとの間に配置されている。これによって、螺子413の露出が抑制され、外観を向上させることができる。
【0087】
(変形例)
上記に示す実施形態の変形例に係るカーテンウォールについて、主に
図9を用いて説明する。下記に示す変形例の説明において、前述した部材と同一の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0088】
本変形例では、上枠41の上部板部410の上面には、加熱発泡材71が設けられている。加熱発泡材71は、上枠41の長手方向の略全長にわたって設けられている。
【0089】
このように構成されたカーテンウォール100Aでは、枠体40はアルミニウム形材で構成され、インナーガラス51は耐熱強化ガラスまたは耐熱結晶化ガラスで構成されているため、防火性能を有する。インナーガラス51は透明であるため、網入りガラスのように屋内側から見て網で屋外の景色が遮られることがなく、美観が良い。
【0090】
火災時に、加熱発泡材71が発泡して、無目11Aの下面11dと上枠41との間の隙間s1が塞がれるため、防火性能を高めることができる。
【0091】
なお、上述した実施の形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本開示の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0092】
例えば、上記に示す実施形態では、上枠41を上部アングル21の第二固定壁部220に螺子422で固定する構成であるが、本発明はこれに限られない。枠体をアングル材における屋内側を向く面以外の面に固定する構成であってもよい。
【0093】
上枠41の第一固定板部420の取付孔421と第二固定板部430の取付孔431とを結ぶ取付孔方向d1は、屋外側に向かうにしたがって次第に僅かに上方に向かうように傾斜しているが、これに限られない。第一取付孔と第二取付孔とを結ぶ線は、屋内外方向の沿う方法であってもよい。
【0094】
上部アングル21の第二固定壁部220の溝部222は、鉛直方向に連続するV溝であるが、これに限られない。第二固定壁部220には、V溝が形成されていなくてもよい。
【0095】
上記に示す実施形態では、サッシ枠としてカーテンウォールのインナー構造2を例に挙げて説明したが、これに限られない。サッシ枠が設置されるのはカーテンウォールに限られず、戸建てや集合住宅等の開口部にも設置可能である。あるいは、サッシ枠は、アウターガラス13が設置される箇所にも設置可能である。
【0096】
上記に示す実施形態では、支持体10の屋内側に上部アングル21及び側部アングル22が配置され、上部アングル21及び側部アングル22の屋内側に枠体40が配置されているがこれに限られない。上部アングル21及び側部アングル22が枠体40の屋内側に配置されていてもよい。
【0097】
上記に示す実施形態では、溝部222が設けられる第二固定壁部220の面220aと取付孔方向d1(螺子422の方向)との交差角度は、直角よりもずれている。これに限られず、螺子が螺合される壁部に対して直交配置されていてもよい。もしくは、第二固定壁部220にV溝が形成されていない場合、第二固定壁部220の面220aに、取付孔方向d1(螺子422の方向)との交差角度が直角となる面を形成してもよい。
【符号の説明】
【0098】
2…インナー構造、10…支持体、11,11A,11B…無目、11d…無目11Aの下面(見込み面)、12…方立、13…アウターガラス(アウターガラス体)、21…上部アングル(アングル材)、22…側部アングル(アングル材)、40…枠体、41…上枠、42…下枠、43…縦枠、48…押縁、51…インナーガラス(インナーガラス体、ガラス体)、100…カーテンウォール、220…第二固定壁部(取付壁部)、420…第一固定板部(第一壁部)、421…取付孔(第一取付孔)、422…螺子、423…螺子の頭部、424…螺子の先端、430…第二固定板部(第二壁部)、431…取付孔(第二取付孔)