(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-29
(45)【発行日】2024-03-08
(54)【発明の名称】パネルの四周フレームの組立方法
(51)【国際特許分類】
E06B 3/968 20060101AFI20240301BHJP
E06B 3/988 20060101ALI20240301BHJP
E06B 3/96 20060101ALI20240301BHJP
【FI】
E06B3/968 A
E06B3/988 A
E06B3/96 A
(21)【出願番号】P 2020079299
(22)【出願日】2020-04-28
【審査請求日】2023-03-29
(73)【特許権者】
【識別番号】307038540
【氏名又は名称】三和シヤッター工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103137
【氏名又は名称】稲葉 滋
(74)【代理人】
【識別番号】100145838
【氏名又は名称】畑添 隆人
(72)【発明者】
【氏名】宮田 勇優
(72)【発明者】
【氏名】阿部 能啓
【審査官】櫻井 茂樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-193759(JP,A)
【文献】実開昭58-057487(JP,U)
【文献】実開昭58-044387(JP,U)
【文献】実公昭48-041139(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B3/96-3/99
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下の横枠と左右の縦枠からなる四周フレームの組立方法であって、
前記横枠と前記縦枠のいずれか一方を第1枠材、他方を第2枠材とし、
第1枠材の長さ方向端部には、第1突起、第2突起が幅方向に突成されており、
第2枠材の長さ方向端部には、前記第1突起が係止する第1係止受部と、前記第2突起が係止する第2係止受部が、対向して形成されており、
前記第1枠材の前記第1突起を前記第2枠材の前記第1係止受部に差し込んで係止させ、
前記第1枠材を、前記第1突起が前記第1係止受部に係止した状態で、前記第1係止受部を基点として回動させながら、前記第2突起を前記第2係止受部に係止させる、
パネルの四周フレームの組立方法。
【請求項2】
前記第2係止受部
とガイド部から溝部が形成されており、
前記第1枠材の前記第1突起を前記第2枠材の前記第1係止受部に差し込んで係止させ、この時、前記第1枠材は、前記第2突起が前記溝部の開口の外側に位置した姿勢にあり、
前記第1枠材を、前記第1突起が前記第1係止受部に係止した状態で、前記第1係止受部を基点として回動させながら、前記第2突起を、前記溝部の前記ガイド部に沿って移動させて前記第2係止受部に係止させる、
請求項1に記載のパネルの四周フレームの組立方法。
【請求項3】
前記溝部において、前記第2係止受部の幅寸法は、前記ガイド部の奥側の幅寸法よりも大きい、
請求項2に記載のパネルの四周フレームの組立方法。
【請求項4】
前記第2突起の幅寸法は、先端から離間する方向に大きくなっている、請求項1~3いずれか1項に記載のパネルの四周フレームの組立方法。
【請求項5】
前記第1突起は、前記第1係止受部との係止状態において、前記第1係止受部に対する差し込み深さが調整可能である、請求項1~4いずれか1項に記載のパネルの四周フレームの組立方法。
【請求項6】
前記第2枠材に対する前記第1枠材の回動時には、前記第2突起の先端が前記ガイド部に浅く入り込んだ状態として、前記溝部の内縁における前記第2突起の幅寸法を前記ガイド部の奥側の幅寸法よりも小さく、もしくは同一として、前記第2突起が前記ガイド部を通過することを許容し、
前記第2突起が前記ガイド部を通って前記第2係止受部に係止した後で、前記第2突起を前記第2係止受部に深く入り込んだ状態として、前記溝部の内縁における前記第2突起の幅寸法を前記ガイド部の奥側の幅寸法よりも大きくして、前記第1枠材が、前記第2突起が前記第2係止受部から外れる方向に回動することを規制する、
請求項5(
請求項2又は請求項3を従属するものに限る)に記載のパネルの四周フレームの組立方法。
【請求項7】
前記第1枠材は、面部と、面部の幅方向両側から立ち上がる第1側面部、第2側面部と、を備え、
前記第2枠材は、面部と、面部の幅方向両側から立ち上がる第1側面部、第2側面部と、を備え、
前記第1枠材の面部の長さ方向端部は、第1側面部及び第2側面部の長さ方向端縁を越
えて突出する延出部を備えており、前記延出部の幅方向両側には、前記第1突起、前記第2突起がそれぞれ形成されており、
前記第2枠材の第1側面部の長さ方向端部には前記第1突起が係止する前記第1係止受部が、第2側面部の長さ方向端部には前記第2突起が係止する前記第2係止受部が、対向して形成されている、
請求項1~6いずれか1項に記載のパネルの四周フレームの組立方法。
【請求項8】
前記第1突起と前記第1枠材の前記第1側面部の長さ方向端部の端縁との間には第1凹溝が形成されており、
前記第1突起を前記第1係止受部に差し入れる時に、前記第2枠材の前記第1側面部における前記第1係止受部と側縁との間の部位が、前記第1凹溝内に入り込むようになっており、
前記第2突起と前記第1枠材の前記第2側面部の長さ方向端部の端縁との間には第2凹溝が形成されており、
前記第2突起が前記溝部の前記ガイド部を移動する時に、前記第2枠材の前記第2側面部における前記ガイド部と側縁との間の部位が、前記第2凹溝内を移動するようになっている、
請求項7
(請求項2を従属するものに限る)に記載のパネルの四周フレームの組立方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パネルの四周フレームの組立方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
鋼製扉は、四周フレームと、四周フレームに貼り付けた表面材と、からなり、内部に四周フレームを設けることで、扉体の強度を確保している。一般に、四周フレームは、長尺状の枠材の端部同士を溶接することで四周状に組み立てられているが、溶接作業には熟練の技術が必要となることや安全性の観点から課題がある。
【0003】
溶接を用いずに、扉体の四周フレームを組み立てようという試みは色々提案されている(特許文献1~特許文献5)。
【0004】
本発明は、溶接を用いない従来の手法とは異なる手法で、溶接を用いずに四周フレームを組み立てようとするものである。
【文献】実開昭58-44387
【文献】実開昭61-3890
【文献】特開2000-73669
【文献】特開2003-193759
【文献】特開2015-209745
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、四周フレームの各枠材の端部の連結の作業性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる課題を解決するべく本発明が採用した技術手段は、
上下の横枠と左右の縦枠からなる四周フレームの組立方法であって、
前記横枠と前記縦枠のいずれか一方を第1枠材、他方を第2枠材とし、
第1枠材の長さ方向端部には、第1突起、第2突起が幅方向に突成されており、
第2枠材の長さ方向端部には、前記第1突起が係止する第1係止受部と、前記第2突起が係止する第2係止受部が、対向して形成されており、
前記第1枠材の前記第1突起を前記第2枠材の前記第1係止受部に差し込んで係止させ、
前記第1枠材を、前記第1突起が前記第1係止受部に係止した状態で、前記第1係止受部を基点として回動させながら、前記第2突起を前記第2係止受部に係止させる、
パネルの四周フレームの組立方法、である。
1つの態様では、前記第1係止受部は孔部である。
1つの態様では、前記第2係止受部は、当該第2係止受部とガイド部からなる溝部として形成されている。
1つの態様では、前記第2係止受部は孔部である。
【0007】
1つの態様では、前記第2係止受部は、当該第2係止受部とガイド部からなる溝部として形成されており、
前記第1枠材の前記第1突起を前記第2枠材の前記第1係止受部に差し込んで係止させ、この時、前記第1枠材は、前記第2突起が前記溝部の開口の外側に位置した姿勢にあり、
前記第1枠材を、前記第1突起が前記第1係止受部に係止した状態で、前記第1係止受部を基点として回動させながら、前記第2突起を、前記溝部の前記ガイド部に沿って移動させて前記第2係止受部に係止させる。
1つの態様では、前記第1突起を前記第2枠材の前記第1係止受部に差し込む時に、前記第1枠材の長さ方向を前記第2枠材の長さ方向に対して垂直姿勢とする。
1つの態様では、前記第1枠材を概ね上下方向に延びるような姿勢として、前記第1枠材の上端に前記第2枠材の端部を係止させる場合において、
前記第1突起を前記第2枠材の前記第1係止受部に差し込む時に、前記第1枠材は、前記第1突起に対して前記第2突起が持ち上がった姿勢(傾斜姿勢)にあり、
前記第1枠材を、前記第1突起が前記第1係止受部に係止した状態で、前記第1係止受部を基点として前記第2突起を下げるように回動させながら、前記第2突起を、前記溝部の前記ガイド部に沿って移動させて前記第2係止受部に係止させる。
【0008】
1つの態様では、前記溝部において、前記第2係止受部の幅寸法は、前記ガイド部の奥側の幅寸法よりも大きい。
1つの態様では、前記第2突起の幅寸法は、先端から離間する方向に大きくなっている。
1つの態様では、前記第1突起は、前記第1係止受部との係止状態において、前記第1係止受部に対する差し込み深さが調整可能である。
1つの態様では、前記第2枠材に対する前記第1枠材の回動時には、前記第2突起の先端が前記ガイド部に浅く入り込んだ状態として、前記溝部の内縁における前記第2突起の幅寸法を前記ガイド部の奥側の幅寸法よりも小さく、もしくは同一として、前記第2突起が前記ガイド部を通過することを許容し、
前記第2突起が前記ガイド部を通って前記第2係止受部に係止した後で、前記第2突起を前記第2係止受部に深く入り込んだ状態として、前記溝部の内縁における前記第2突起の幅寸法を前記ガイド部の奥側の幅寸法よりも大きくして、前記第1枠材が、前記第2突起が前記第2係止受部から外れる方向に回動することを規制する。
【0009】
1つの態様では、前記第2突起は、先端の突出端縁と、第1側縁と、第2側縁と、を備え、
前記第2突起の第1側縁と第2側縁との間の寸法は、前記突出端縁から離間する方向に大きくなっている。
1つの態様では、前記第1側縁と前記第2側縁の少なくとも一方は傾斜縁である。
1つの態様では、前記第1突起の幅寸法は、先端から離間する方向に大きくなっている。
1つの態様では、前記第1突起は、先端の突出端縁と、第1側縁と、第2側縁と、を備え、
前記第1突起の第1側縁と第2側縁との間の寸法は、前記突出端縁から離間する方向に大きくなっている。
1つの態様では、前記第1側縁と前記第2側縁の少なくとも一方は傾斜縁である。
実施形態では、前記第1突起と前記第2突起は、対称状の同一形状である。
【0010】
1つの態様では、前記第1枠材は、面部と、面部の幅方向両側から立ち上がる第1側面部、第2側面部と、を備え、
前記第2枠材は、面部と、面部の幅方向両側から立ち上がる第1側面部、第2側面部と、を備え、
前記第1枠材の面部の長さ方向端部は、第1側面部及び第2側面部の長さ方向端縁を越えて突出する延出部を備えており、前記延出部の幅方向両側には、前記第1突起、前記第2突起がそれぞれ形成されており、
前記第2枠材の第1側面部の長さ方向端部には前記第1突起が係止する前記第1係止受部が、第2側面部の長さ方向端部には前記第2突起が係止する前記第2係止受部が、対向して形成されている。
前記第2係止受部が溝部に形成されている場合に、前記溝部の前記ガイド部は前記第2枠材の前記第2側面部の縁部において開口している。
【0011】
1つの態様では、前記第2枠材の前記第2側面部の縁部は、長さ方向端部の端縁と、幅方向端部の側縁と、を含み、
前記溝部の前記ガイド部の開口は、前記長さ方向端部の端縁に形成されている。
この場合、前記ガイド部は、前記第2枠材(第2側面部)の長さ方向に延びている。
1つの態様では、前記第2枠材の前記第2側面部の縁部は、長さ方向端部の端縁と、幅方向端部の側縁と、を含み、
前記溝部の前記ガイド部の開口は、前記側縁に形成されている。
この場合、前記ガイド部は、前記第2枠材(第2側面部)の幅方向に延びる第1部分と、長さ方向に延びる第2部分と、からなる。
【0012】
1つの態様では、前記第1突起と前記第1枠材の前記第1側面部の長さ方向端部の端縁との間には第1凹溝が形成されており、
前記第1突起を前記第1係止受部に差し入れる時に、前記第2枠材の前記第1側面部における前記第1係止受部と側縁との間の部位が、前記第1凹溝内に入り込むようになっており、
前記第2突起と前記第1枠材の前記第2側面部の長さ方向端部の端縁との間には第2凹溝が形成されており、
前記第2突起が前記溝部の前記ガイド部を移動する時に、前記第2枠材の前記第2側面部における前記ガイド部と側縁との間の部位が、前記第2凹溝内を移動するようになっている。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、第1枠材を、第1突起を第2枠材の第1係止受部に差し入れて係止させ、第1係止受部を基点として回動させて他方の第2突起を第2係止受部に係止させるという回動動作で第1枠材の端部と第2枠材の端部を連結するものであり、作業性が良い。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本実施形態に係る鋼製扉の正面図、上面図、戸先側から見た側面図である。
【
図2】本実施形態に係る鋼製扉の四周フレーム、第1表面材、第2表面材を示す分解斜視図である。
【
図5】本実施形態に係る四周フレームの上面図、正面図である。
【
図6】本実施形態に係る四周フレームを戸先側から見た側面図である。
【
図7】本実施形態に係る横枠(上枠、下枠)を示す図である。
【
図13】本実施形態に係る横枠と縦枠の連結方法を説明する図である。
【
図14】
図2に示す四周フレームの角部の部分拡大図である。
【
図15】本実施形態に係る横枠と縦枠の連結工程を示す詳細図である(第1突起の孔部への差し込み)。
【
図16】本実施形態に係る横枠と縦枠の連結工程を示す詳細図である(第2突起の溝部のガイド部への入れ込み)。
【
図17】本実施形態に係る横枠と縦枠の連結工程を示す詳細図である(第2突起の溝部の係止受部への入れ込み)。
【
図18】本実施形態に係る横枠と縦枠の連結工程を示す詳細図である(第2突起の溝部の係止受部に対する押し込み)。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[A]鋼製扉
図1~
図4を参照しつつ、本実施形態に係る鋼製扉(鋼製ドアパネル)Pについて説明する。
図1に示すように、鋼製扉Pは、開き戸に用いられる扉体であり、幅方向の一方が戸先側、他方が戸尻側であり、戸先側部位には、高さ方向中間部位に位置して錠装置Jが内蔵されており、戸尻側部位には、高さ方向に間隔を存して複数の丁番Hが設けてある。
【0016】
図2に示すように、鋼製扉Pは、扉体の骨材である四周状の枠体すなわち四周フレーム1に、薄肉の鋼板からなる第1表面材10、第2表面材11を貼り付けることで構成される。
図2~
図4に示すように、第1表面材10は、鋼製扉Pの一方の見付面を形成する面部10aと、面部10aの四周に折り曲げ形成された上片10b、下片10c、一方(戸先側)の側片10d、他方(戸尻側)の側片10eと、からなる。
図2~
図4に示すように、第2表面材11は、鋼製扉Pの他方の見付面を形成する面部11aと、面部11aの四周に折り曲げ形成された上片11b、下片11c、一方(戸先側)の側片11d、他方(戸尻側)の側片11eと、からなる。
【0017】
鋼製扉Pの中空部には、芯材(例えば、ペーパコアC)が設けられる。また、鋼製扉Pは、四周フレーム1に加えて、高さ方向に延びる1本あるいは複数本の中骨を備えていてもよい。本実施形態では、鋼製扉Pは開き戸に用いられるが、鋼製扉Pは開き戸に限定されるものではなく、引き戸等の他の扉装置に用いられるものでもよく、また、本実施形態に係る鋼製扉Pの構造は、扉装置以外の建築用パネル(例えば、間仕切り用パネル)に採用することもできる。
【0018】
[B]四周フレーム
図5、
図6に示すように、四周フレーム1は、第1の方向に延びる上枠2、下枠3と、第1の方向に垂直の第2の方向に延びる左右の縦枠4、5と、から組み立てられる。具体的には、上枠2の長さ方向の一方の端部と一方の縦枠4の高さ方向の上端部、上枠2の長さ方向の他方の端部と他方の縦枠5の高さ方向の上端部、下枠3の長さ方向の一方の端部と一方の縦枠4の高さ方向の下端部、下枠3の長さ方向の他方の端部と他方の縦枠5の高さ方向の下端部を、それぞれ嵌め合わせることで、四周フレーム1が形成される。各枠材2、3、4、5の端部同士の連結は、溶接や螺子止めを行うことなく、互いの枠材2、3、4、5の嵌め合いのみで行われる。
【0019】
本実施形態では、上枠2と下枠3は同じ部材であり、
図7、
図8は、上枠2、下枠3の両方の説明に用いることができる。本明細書において、上枠2と下枠3と総称して横枠と称し、上枠2、下枠3についての説明は、横枠の説明として援用することができる。左右の縦枠4、5は同じ部材であり、
図10、
図11は、左右の縦枠4、5の両方の説明に用いることができる。本実施形態において、一方の縦枠4が戸先側の縦枠であり、他方の縦枠5が戸尻側の縦枠である。上枠2、下枠3、左右の縦枠4、5は、所定厚の鋼板を折り曲げて形成されている。以下に、上枠2、下枠3、左右の縦枠4、5について具体的に説明する。
【0020】
[B-1]上枠
図7に示すように、上枠2は、所定の長さ寸法と幅寸法を備えた面部20と、面部20の幅方向両端部から対向状に立ち上がる第1側面部21、第2側面部22と、から断面視コ字形状を備えた長尺部材である。本実施形態に係る四周フレーム1において、上枠2は、面部20が上面となり、第1側面部21、第2側面部22が面部20から垂下した姿勢となっている(
図3、
図5、
図6参照)。すなわち、四周フレーム1においては、
図7に示す上枠2は、180度回転した姿勢となっている。四周フレーム1において、上枠2の第1側面部21の外面、第2側面部22の外面が見付面となる。鋼製扉Pにおいては、上枠2の面部20の幅方向は、鋼製扉Pの見込方向ないし厚さ方向となり、面部20の長さ方向は、鋼製扉Pの幅方向となる。
【0021】
本実施形態に係る上枠2において、面部20の長さ方向の一方の端縁200と、第1側面部21の長さ方向の一方の端縁210、第2側面部22の長さ方向の一方の端縁220は一致しており、面部20の長さ方向の他方の端縁201と、第1側面部21の長さ方向の他方の端縁211、第2側面部22の長さ方向の他方の端縁221は一致している。すなわち、第1側面部21、第2側面部22の長さ寸法と面部20の長さ寸法は一致している。第1側面部21の幅寸法(立ち上がり寸法)と第2側面部22の幅寸法(立ち上がり寸法)は同じであり、第1側面部21の第1側面部21の側縁212と第2側面部22の側縁222は、面部20に平行する仮想平面上にある。
【0022】
上枠2において、第1側面部21と第2側面部22は離間対向している。本実施形態では、上枠2の第1側面部21の長さ方向一端側には、孔部6が形成され、長さ方向他端側には孔部6が形成されている。第2側面部22の長さ方向一端側には、溝部7が形成され、長さ方向他端側には溝部7が形成されている。第1側面部21の長さ方向端部に形成された孔部6と、第2側面部22の長さ方向端部に形成された溝部7(係止受部70)は対向している。なお、第1側面部21の長さ方向一端側に孔部6を形成し、長さ方向他端側に溝部7を形成し、第2側面部22の長さ方向一端側に溝部7を形成し、長さ方向他端側に孔部6を形成するようにしてもよい。また、第1側面部21と第2側面部22は、上枠2の2つの対向する側面部を識別したものに過ぎず、戸先側、戸尻側に対して、第1側面部21と第2側面部22が入れ替わってもよく、また、長さ方向の「一方の端縁200、210、220」、「他方の端縁201、211、221」が入れ替わってもよい。
【0023】
[B-2]下枠
図7に示すように、下枠3は、所定の長さ寸法と幅寸法を備えた面部30と、面部30の幅方向両端部から対向状に立ち上がる第1側面部31、第2側面部32と、から断面視コ字形状を備えた長尺部材である。本実施形態に係る四周フレーム1において、下枠3は、面部30が下面となり、第1側面部31、第2側面部32が面部30から垂直に立ち上がった姿勢となっている(
図3、
図5、
図6参照)。四周フレーム1において、下枠3の第1側面部31の外面、第2側面部32の外面が見付面となる。鋼製扉Pにおいては、下枠3の面部30の幅方向は、鋼製扉Pの見込方向ないし厚さ方向となり、面部20の長さ方向は、鋼製扉Pの幅方向となる。
【0024】
本実施形態に係る下枠3において、面部30の長さ方向の一方の端縁300と、第1側面部31の長さ方向の一方の端縁310、第2側面部32の長さ方向の一方の端縁320は一致しており、面部30の長さ方向の他方の端縁301と、第1側面部31の長さ方向の他方の端縁311、第2側面部32の長さ方向の他方の端縁321は一致している。すなわち、第1側面部31、第2側面部32の長さ寸法と面部30の長さ寸法は一致している。第1側面部31の幅寸法(立ち上がり寸法)と第2側面部32の幅寸法(立ち上がり寸法)は同じであり、第1側面部31の第1側面部31の側縁312と第2側面部32の側縁322は、面部30に平行する仮想平面上にある。
【0025】
下枠3において、第1側面部31と第2側面部32は離間対向している。本実施形態では、下枠3の第1側面部31の長さ方向一端側には、孔部6が形成され、長さ方向他端側には孔部6が形成されている。第2側面部32の長さ方向一端側には、溝部7が形成され、長さ方向他端側には溝部7が形成されている。第1側面部31の長さ方向端部に形成された孔部6と、第2側面部32の長さ方向端部に形成された溝部7(係止受部70)は対向している。なお、第1側面部31の長さ方向一端側に孔部6を形成し、長さ方向他端側に溝部7を形成し、第2側面部32の長さ方向一端側に溝部7を形成し、長さ方向他端側に孔部6を形成するようにしてもよい。また、第1側面部31と第2側面部32は、下枠3の2つの対向する側面部を識別したものに過ぎず、戸先側、戸尻側に対して、第1側面部31と第2側面部32が入れ替わってもよく、また、長さ方向の「一方の端縁300、310、320」、「他方の端縁301、311、321」が入れ替わってもよい。
【0026】
[B-3]戸先側縦枠
図10に示すように、縦枠4は、所定の長さ寸法(高さ寸法)と幅寸法を備えた面部40と、面部40の幅方向両端部から対向状に立ち上がる第1側面部41、第2側面部42と、から断面視コ字形状を備えた長尺部材である。本実施形態に係る四周フレーム1において、縦枠4は、面部40が戸先側の垂直面となり、第1側面部41、第2側面部42が面部40から戸先側に向かって延びた姿勢となっている(
図4参照)。四周フレーム1において、縦枠4の第1側面部41の外面、第2側面部42の外面が見付面となる。鋼製扉Pにおいては、縦枠4の面部40の幅方向は、鋼製扉Pの見込方向ないし厚さ方向となり、面部40の長さ方向は、鋼製扉Pの高さ方向となる。
【0027】
本実施形態に係る縦枠4において、面部40の長さ方向(高さ方向)の一方の端部(上端部)は、第1側面部41の長さ方向(高さ方向)の一方の端縁(上端縁)410及び第2側面部42の長さ方向(高さ方向)の一方の端部(上端縁)420よりも突出しており、延出部40´が一体形成されている。面部40の長さ方向(高さ方向)の他方の端部(下端部)は、第1側面部41の長さ方向(高さ方向)の他方の端縁(下端縁)411及び第2側面部42の長さ方向(高さ方向)の他方の端部(下端縁)421よりも突出しており、延出部40´が一体形成されている。延出部40´の幅方向両端には突起8が形成されている。突起8の後側に隣接して、凹溝9が形成されている。
【0028】
[B-4]戸尻側縦枠
縦枠5は、所定の長さ寸法(高さ寸法)と幅寸法を備えた面部50と、面部50の幅方向両端部から対向状に立ち上がる第1側面部51、第2側面部52と、から断面視コ字形状を備えた長尺部材である。本実施形態に係る四周フレーム1において、縦枠5は、面部50が戸尻側の垂直面となり、第1側面部51、第2側面部52が面部50から戸先側に向かって延びた姿勢となっている(
図4参照)。四周フレーム1において、縦枠5の第1側面部51の外面、第2側面部52の外面が見付面となる。鋼製扉Pにおいては、縦枠5の面部50の幅方向は、鋼製扉Pの見込方向ないし厚さ方向となり、面部50の長さ方向は、鋼製扉Pの高さ方向となる。
【0029】
本実施形態に係る縦枠5において、面部50の長さ方向(高さ方向)の一方の端部(上端部)は、第1側面部51の長さ方向(高さ方向)の一方の端縁(上端縁)510及び第2側面部52の長さ方向(高さ方向)の一方の端部(上端縁)520よりも突出しており、延出部50´が一体形成されている。面部50の長さ方向(高さ方向)の他方の端部(下端部)は、第1側面部51の長さ方向(高さ方向)の他方の端縁(下端縁)511及び第2側面部52の長さ方向(高さ方向)の他方の端部(下端縁521)よりも突出しており、延出部50´が一体形成されている。延出部50´の幅方向両端には突起8が形成されている。突起8の後側に隣接して、凹溝9が形成されている。
【0030】
[B-5]各枠材の断面形状、寸法
本実施形態では、横枠(上枠2、下枠3)と縦枠4、5の断面形状及び寸法は同じである。すなわち、上枠2の面部20、下枠3の面部30、縦枠4の面部40、縦枠5の面部50の幅寸法は同じであり、厚さも同じである。上枠2の第1側面部21、第2側面部22、下枠3の第1側面部31、第2側面部32、縦枠4の第1側面部41、第2側面部42、縦枠5の第1側面部51、第2側面部52の幅寸法(立ち上がり寸法)は同じであり、板厚も同じである。本明細書において、上枠2、下枠3、縦枠4、5の板厚をdとする。縦枠4、5に形成された突起8の厚さもdである。四周フレーム1の組立状態では、上枠2の第1側面部21、下枠3の第1側面部31、縦枠4の第1側面部41、縦枠5の第1側面部51は面一となって、四周フレーム1の第1見付面を形成し、上枠2の第2側面部22、下枠3の第2側面部32、縦枠4の第2側面部42、縦枠5の第2側面部52が面一となって、四周フレーム1の第2見付面を形成する。
【0031】
[C]横枠に形成した係止受部
横枠(上枠2、下枠3)の長さ方向端部と、縦枠4、5の長さ方向端部は、縦枠4、5の面部40、50の長さ方向端部に延出形成した延出部40´、50´の幅方向両側に突成した各突起8が、上枠2の第1側面部21と第2側面部22、下枠3の第1側面部31と第2側面部32、の長さ方向端部に対向状に形成した孔部6、溝部7にそれぞれ係止することで連結される。すなわち、孔部6、溝部7は、突起8が係止する係止受部である。本明細書において、孔部6に係止する突起8を第1突起8、溝部7に係止する突起8を第2突起8と表現し、また、第1突起8に隣接する凹溝9を第1凹溝9、第2突起8に隣接凹溝9を第2凹溝9と表現する場合がある点に留意されたい。
【0032】
[C-1]孔部
本実施形態では、上枠2の第1側面部21、下枠3の第1側面部31の長さ方向両端部に形成された孔部6は正円の丸孔である。
図8に示すように、孔部6の幅方向の寸法(丸孔においては直径)をL1とする。孔部6の幅方向に直交する方向の寸法D1(=L1)は、突起8の板厚dよりも大きい。上枠2の第1側面部21において、孔部6が形成される位置は、第1側面部21の幅方向の中央に対して、上枠2の面部20から離間する側(第1側面部21の側縁212に近い側)に少し偏倚した位置である。下枠3の第1側面部31において、孔部6が形成される位置は、第1側面部31の幅方向の中央に対して、下枠3の面部30から離間する側(第1側面部31の側縁312に近い側)に少し偏倚した位置である。上枠2の第1側面部21、下枠3の第1側面部31において、孔部6と側縁212、312との間の部位21A、31Aの幅方向の寸法をL2とする。本実施形態に係る孔部6は丸孔であるが、孔部6の形状は、突起8が係止可能な形状であれば、丸孔に限定されるものではなく、例えば、楕円形、方形であってもよく、あるいは、係止受部は溝部であってもよい。
【0033】
[C-2]溝部
本実施形態では、上枠2、下枠3の第2側面部22、32の長さ方向両端部に形成された溝部7の開口は、第2側面部22の長さ方向端縁220、221、第2側面部32の長さ方向端縁320、321に形成されている。
図9に、上枠2、下枠3の第2側面部22、32の長さ方向の一側に形成された溝部7の拡大図を示す。溝部7は、第1側面部21、31に形成された孔部6に対向して位置する係止受部70と、係止受部70から第2側面部22、32の端縁220、321に向かって形成されたガイド部71と、からなり、溝部7の開口は第2側面部22、32の端縁220、321に形成されている。
【0034】
係止受部70は、溝部7の開口から最も離れて位置する底縁700と、面部20、30に近い側の第1側縁701と、側縁222、322に近い側の第2側縁702と、を備え、平面視略長方形状であり、ガイド部71と連通する部位には、幅方向の両端部に位置して角部703が形成されている。係止受部70の幅方向の寸法をL3とする。寸法L3は、係止受部70の第1側縁701と第2側縁702との間の寸法である。係止受部70の深さ寸法D2は、突起8の板厚dよりも大きい。係止受部70の幅方向の寸法L3は、深さ寸法D2よりも大きい。
【0035】
ガイド部71は、上枠2、下枠3の面部20、30に近い側の第1側縁と、第2側面部22、第2側面部32の側縁222、322に近い側の第2側縁と、を備えている。第1側縁は、第2側面部22、32の端縁220、321から係止受部70に向かって、第2側面部22、32の側縁222、322に平行に、上枠2、下枠3の長さ方向に延びる縁部72である。縁部72の奥側の端部に、係止受部70の一方の角部703が形成されている。第2側縁は、第2側面部22、32の端縁220、321から第2側面部22、32の側縁222、322に平行に延びる第1部分73と、第1部分73の奥側の端部からさらに奥側に向かって縁部72に近づくように傾斜状に延びる第2部分74と、第2部分74の奥側の端部から縁部72に平行に延びる第3部分75と、からなる。第2側縁の第3部分75の奥側の端部に、係止受部70の他方の角部703が形成されている。
【0036】
ガイド部71は、開口側の第1部分71Aと奥側(係止受部70に近い側)の第2部分71Bとからなり、ガイド部71の幅寸法は、開口側が広く、奥側が狭くなっている。ガイド部71の第1部分71Aの幅寸法は、第2側縁の傾斜状の第2部分74によって、奥に向かって狭くなっている。ガイド部71の第2部分71Bは係止受部70と隣接しており、第2部分71Bの奥側の端部に角部703が形成されている。溝部7のガイド部71の開口の幅寸法をL4とする。寸法L4は、第1側縁(縁部72)と第2側縁の第1部分73との間の寸法である。溝部7のガイド部71の第2部分71Bの幅寸法をL5とする。寸法L5は第1側縁(縁部72)と第2側縁の第3部分75との間の寸法である。本実施形態では、寸法L3、寸法L4は、寸法L5よりも大きく、寸法L3と寸法L4は略同じである。
【0037】
上枠2の第2側面部22において、溝部7が形成される位置は、第2側面部22の幅方向の中央に対して、上枠2の面部20から離間する側(第2側面部22の側縁222に近い側)に少し偏倚した位置である。下枠3の第2側面部32において、溝部7が形成される位置は、第2側面部32の幅方向の中央に対して、下枠3の面部30から離間する側(第2側面部32の側縁322に近い側)に少し偏倚した位置である。上枠2の第2側面部22、下枠3の第2側面部32において、溝部7の係止受部70の第2側縁702と側縁222、322との間の部位の幅方向の寸法をL6とする。上枠2の第2側面部22、下枠3の第2側面部32において、溝部7のガイド部71の第2側縁の第3部分75と側縁222、322との間の部位の幅方向の寸法をL7とする。寸法L7は、寸法L6よりも大きい。すなわち、上枠2の第2側面部22、下枠3の第2側面部32において、溝部7(係止受部70の第2側縁702、ガイド部71の第2側縁)と側縁222、322との間の部位22A、32Aの最大幅寸法は、L7である。
【0038】
[D]縦枠に形成した突起、凹溝
図11に示すように、縦枠4の延出部40´の幅方向両端に形成された突起8は、縦枠4の幅方向に突成されている。突起8は、平面視台形状であり、縦枠4の長さ方向に延びる突出端縁80と、突出端縁80の後端から突出端縁80に対して垂直に縦枠4の幅方向に延びる第1側縁81と、突出端縁80の前端から縦枠4の長さ方向端縁(延出部40´の先端側)に向かって傾斜状に延びる第2側縁82と、を備えている。突起8の後側に隣接して凹溝9が形成されており、凹溝9の底縁90は、縦枠4の長さ方向に延びている。延出部40´の幅方向両端の各突起8の傾斜状の第2側縁82の先端間を接続するように、延出部40´の先端縁400´が縦枠4の幅方向に延びており、先端縁400´は、縦枠4の長さ方向に対して垂直(直角)に延びている。先端縁400´は、縦枠4の長さ方向の端縁を形成している。延出部40´は、幅方向両側の突出端縁80、80、第1側縁81、81、第2側縁82、82、底縁90、90、及び、先端縁400´を備えている。
【0039】
凹溝9は突起8の後側に隣接して形成されており、凹溝9の底縁90の前端から立ち上がる第1側縁は、突起8の第1側縁81である。縦枠4の面部40の長さ方向(高さ方向)の端部において、幅方向両端には、第1側面部41の端縁410、411、第2側面部42の端縁420、421と一致する端縁92が形成されており、縦枠4に形成された凹溝9において、凹溝9の底縁90の後端から立ち上がる第2側縁91は、第1側面部41の端縁410、411、第2側面部42の端縁420、421のそれぞれと、面部40の端縁92とから一体形成されている。
【0040】
第1凹溝9の底縁90と第2凹溝9の底縁90間の寸法W1(延出部40´の基端側の幅寸法)は、縦枠4の幅寸法W2よりも小さい(
図10参照)。具体的には、第1凹溝9の第2側縁91の高さ寸法+第2凹溝9の第2側縁91の高さ寸法だけ小さい。第1突起8の突出端縁80と第2突起8の突出端縁80との間の寸法W3(延出部40´の最大幅寸法)は、縦枠4の幅寸法W2と略同じであり、本実施形態では、縦枠4(すなわち、上枠2、下枠3)の幅寸法よりも僅かに小さい(
図11)。
【0041】
縦枠5の延出部50´の幅方向両端に形成された突起8は、縦枠5の幅方向に突成されている。突起8は、平面視台形状であり、縦枠5の長さ方向に延びる突出端縁80と、突出端縁80の後端から突出端縁80に対して垂直に縦枠5の幅方向に延びる第1側縁81と、突出端縁80の前端から縦枠5の長さ方向端縁(延出部50´の先端側)に向かって傾斜状に延びる第2側縁82と、を備えている。突起8の後側に隣接して凹溝9が形成されており、凹溝9の底縁90は、縦枠5の長さ方向に延びている。延出部50´の幅方向両端の各突起8の傾斜状の第2側縁82の先端間を接続するように、延出部50´の先端縁500´が縦枠5の幅方向に延びており、先端縁500´は、縦枠5の長さ方向に対して垂直(直角)に延びている。先端縁500´は、縦枠5の長さ方向の端縁を形成している。延出部50´は、幅方向両側の突出端縁80、80、第1側縁81、81、第2側縁82、82、底縁90、90、及び、先端縁500´を備えている。
【0042】
凹溝9は突起8の後側に隣接して形成されており、凹溝9の底縁90の前端から立ち上がる第1側縁は、突起8の第1側縁81である。縦枠5の面部50の長さ方向(高さ方向)の端部において、幅方向両端には、第1側面部51の端縁510、511、第2側面部52の端縁520、521と一致する端縁92が形成されており、縦枠5に形成された凹溝9において、凹溝9の底縁90の後端から立ち上がる第2側縁91は、第1側面部51の端縁510、511、第2側面部52の端縁520、521のそれぞれと、面部50の端縁92とから一体形成されている。
【0043】
第1凹溝9の底縁90と第2凹溝9の底縁90間の寸法W1(延出部50´の基端側の幅寸法)は、縦枠5の幅寸法W2より小さい(
図10参照)。具体的には、第1凹溝9の第2側縁91の高さ寸法+第2凹溝9の第2側縁91の高さ寸法だけ小さい。第1突起8の突出端縁80と第2突起8の突出端縁80との間の寸法W3(延出部50´の最大幅寸法)は、縦枠5の幅寸法W2と略同じであり、本実施形態では、縦枠5(すなわち、上枠2、下枠3)の幅寸法よりも僅かに小さい(
図11、
図18参照)。
【0044】
突起8は、先端の突出端縁80と、第1側縁81と、第2側縁82と、第1面部83(延出部40´、延出部50´の内面の一部)、第2面部84(延出部40´、延出部50´の外面の一部)と、を備えている。
図12に示すように、突起8の突出端縁80の幅寸法をL8とする。突起8の突出端縁80は、L8×板厚dの面積を備えた長方形の形状である。突起8の第1側縁81と第2側縁82との間の寸法をL9とする。L9は、突起8の幅寸法であり、突起8の幅寸法L9は、傾斜縁である第2側縁82の位置によって変化する。すなわち、突起8の幅寸法L9は、突出端縁80から離れるにしたがって大きくなる。突起8の断面は、L9×板厚dの面積を備えた長方形の形状である。突起8の断面は、突出端縁80から離れるにしたがって大きくなる。突起8の立ち上がり寸法をL10とする。寸法L10は、垂直縁である第1側縁81の高さ寸法であり、また、凹溝9の底縁90と突起8の突出端縁80との間の距離である。凹溝9の幅寸法をL11とする。寸法L11は、突起8の第1側縁81と凹溝9の第2側縁91との間の寸法である。突起8の立ち上がり寸法L10(凹溝9の深さ寸法)は、板厚dよりも大きい。
【0045】
[E]突起と係止受部の寸法の関係
[E-1]突起と孔部の寸法の関係
孔部6の幅方向の寸法L1は、第1突起8を孔部6に差し入れることで孔部6に係止可能な寸法となっており、突起8の突出端縁80の幅寸法L8よりも大きい寸法となっている。孔部6は、突起8の突出端縁80の長方形状の領域(L8×板厚d)よりも大きい。さらに、孔部6の幅方向の寸法L1は、突起8の突出端縁80から板厚d(dは孔部6の深さ寸法でもある)だけ離れた部位の幅寸法L9よりも大きく、孔部6は、突起8の断面(上記幅寸法L9×板厚d)よりも大きい。こうすることで、突起8は、先端の突出端縁80が少なくとも孔部6の外縁(第1側面部21の外面、第1側面部31の外面)に達するまで差し込み可能となっており、本実施形態では、突起8の突出端縁80は、第1側面部21の外面、第1側面部31の外面を越えて突出可能となっている(
図15参照)。
【0046】
上枠2の第1側面部21、下枠3の第1側面部31において、孔部6と側縁212、312との間の部位21A、31Aの幅方向の寸法L2は、凹溝9の幅寸法L11よりも小さく、突起8を孔部6に差し入れた時に、部位21A、31Aが凹溝9内に収まるようになっている。本実施形態では、突起8を孔部6に差し込んだ時に、部位21A、31Aが凹溝9の底縁90に当接することで、孔部6に対する突起8のさらなる差し込みが規制される(
図15参照)。
【0047】
本実施形態では、突起8を孔部6に最も深く差し入れた状態では、突起8の先端の突出端縁80が第1側面部21、31の外面から突出し、突起8の第1側縁81及び第2側縁82が孔部6の周縁に近接ないし接触するようになっている。この状態において、突起8の幅寸法L9は、孔部6の内縁(内面側)において、孔部6の幅寸法L1と略同じであるか、あるいは、僅かに小さい。
【0048】
縦枠4ないし5の突起8を上枠2ないし下枠3の孔部6に差し入れて係止させた状態において、突起8と孔部6にはクリアランスがあり、孔部6(第1突起8)を基点として、縦枠4、5が、上枠2ないし下枠3に対して、回動可能となっている。縦枠4、5は、孔部6の幅方向に延びる仮想軸A(
図15参照。
図13、
図15のY軸に沿った軸)を中心として、上枠2ないし下枠3に対して回動可能である。
【0049】
[E-2]突起と溝部の寸法の関係
第1突起8を孔部6に深く差し入れた状態で縦枠4、5を回動させて、第2突起8を溝部7のガイド部71に沿って移動させる時に、ガイド部71の第2部分71Bの寸法L5は、第2突起8の通過を許容する寸法となっている。すなわち、第1突起8を孔部6に深く差し入れた状態において、溝部7の内縁(内面側)における第2突起8の幅寸法L9は、ガイド部71の第2部分71Bの寸法L5よりも小さい(
図16参照)。
【0050】
上枠2の第2側面部22、下枠3の第2側面部32において、溝部7のガイド部71の第2側縁の第3部分75と側縁222、322との間の寸法L7(溝部7の第2側縁と側縁222、322との間の部位22A、32Aの最大幅寸法)は、第2凹溝9の幅寸法L11よりも小さく、第2突起8が溝部7のガイド部71に案内される時に、部位22A、32Aが第2凹溝9内を移動することを許容している(
図16参照)。
【0051】
第2突起8を、溝部7のガイド部71に沿って係止受部70まで移動させた状態(
図17参照)で、第2突起8を、係止受部70に対して少し押し込む(
図18参照)。この時、孔部6に対する第1突起8の差し込み量も少し浅くなるが、第1突起8と孔部6の係止状態は維持されている。この状態において、溝部7の内縁における他方の第2突起8の幅寸法L9は、ガイド部71の第2部分71Bの寸法L5よりも大きくなる。上枠2、下枠3に対する縦枠4、5の孔部6(第1突起8)を基点とする回動は、第2突起8が係止受部70の角部703の一方あるいは両方に当接することで規制される。すなわち、係止受部70の角部703が被係止部として機能する。
【0052】
上枠2、下枠3に対する縦枠4、5の縦枠4、5の長さ方向の移動は、第1突起8が孔部6の周縁に当接し、第2突起8が係止受部70の第1側縁701あるいは第2側縁702に当接することで規制される。なお、孔部6に対する第1突起8の係止状態は、第1突起8を孔部6から引き抜かない限り維持されるが、第2突起8が溝部7の係止受部70に係止した状態において、第1突起8を孔部6から引き抜く方向の移動は、部位22A、32Aが第2凹溝9の底縁90に当接すること、あるいは/および、第2突起8が溝部7の開口の内縁(内面側)に当接することで、規制される。本実施形態では、第1突起8が孔部6に係止し、第2突起8が溝部7の係止受部70に係止した状態において、縦枠4ないし5は、上枠2ないし下枠3に対して見込方向に僅かに移動可能な遊びがあり、本実施形態では、第2突起8の先端の突出端縁80が、第2側面部22、第2側面部32の外面から少し突出する程度まで移動可能であるが、この時、第1突起8と孔部6の係止状態は維持されている。
【0053】
[E-3]その他の寸法の関係
縦枠4の延出部40´の突出寸法、縦枠5の延出部50´の突出寸法は、上枠2の第1側面部21、第2側面部22、下枠3の第1側面部31、第2側面部32、縦枠4の第1側面部41、第2側面部42、縦枠5の第1側面部51、第2側面部52の幅寸法(立ち上がり寸法)と略同じであり、第1突起8を孔部6に係止させ、第2突起8を溝部7の係止受部70に係止させた状態において、延出部40´の先端縁400´、延出部50´の先端縁500´が、上枠2の面部20の内面、下枠3の面部30の内面に近接している(
図6、
図18参照)。
【0054】
縦枠4の延出部40´及び縦枠5の延出部50´の最大幅寸法(突起8の突出端縁80間の寸法W3)は、上枠2、下枠3の幅寸法(第1側面部21と第2側面部22の外面間の寸法、第1側面部31と第2側面部32の外面間の寸法)と略同じであり、本実施形態では、上枠2、下枠3の幅寸法よりも僅かに小さい(
図18参照)。すなわち、上枠2、下枠3、縦枠4、5から四周フレーム1を組んで、上枠2の第1側面部21、下枠3の第1側面部31、縦枠4の第1側面部41、縦枠5の第1側面部51の外面、上枠2の第2側面部22、下枠3の第2側面部32、縦枠4の第2側面部42、縦枠5の第2側面部52の外面をそれぞれ面一とした時に、第1突起8の突出端縁80は孔部6内に位置しており、上枠2の第1側面部21、下枠3の第1側面部31、縦枠4の第1側面部41、縦枠5の第1側面部51の外面から突出することがなく、第2突起8の突出端縁80は溝部7の係止受部70内に位置しており、上枠2の第2側面部22、下枠3の第2側面部32、縦枠4の第2側面部42、縦枠5の第2側面部52の外面から突出することがない。
【0055】
[F]四周フレームの組立方法及び構造
[F-1]横枠と縦枠の連結方法
図13~
図18を参照しつつ、横枠(上枠2、下枠3)と縦枠4、5の端部同士の連結方法について説明する。ここで、横枠(上枠2、下枠3)の長さ方向をX方向、横枠(上枠2、下枠3)の幅方向をZ方向、X方向及びZ方向に直交する方向をY方向とし、縦枠4、5の長さ方向をy方向、縦枠4、5の幅方向をz方向、y方向及びz方向に直交する方向をx方向とする。横枠(上枠2、下枠3)と縦枠4、5の端部が連結された状態では、横枠(上枠2、下枠3)のX方向と縦枠4、5のy方向が直交しており、横枠(上枠2、下枠3)のZ方向と縦枠4、5のz方向が一致している。すなわち、四周フレーム1において、横枠(上枠2、3)はX方向に延び、縦枠4、5はY方向に延び、横枠(上枠2、下枠3)及び縦枠4、5の幅方向はZ方向であり、Z方向は、四周フレーム1の見込方向である。
【0056】
先ず、上枠2ないし下枠3の孔部6に、縦枠4ないし5の第1突起8を差し込み、差し込み時には縦枠4ないし5を傾斜姿勢(第1突起8に対して第2突起8が持ち上がった姿勢)とする(
図13上図)。縦枠4ないし5の傾斜姿勢において、第2突起8は、少なくとも、上枠2ないし下枠3の溝部7の開口の上方に位置している(
図13中図)。
図13上図、中図において、上枠2ないし下枠3の長さ方向(X方向)と縦枠4、5の長さ方向(y方向)は直交しているが、縦枠4、5のz方向は、上枠2ないし下枠3のZ方向に対して傾斜している。
【0057】
傾斜姿勢にある縦枠4ないし5を、第1突起8が孔部6に差し入られた係止状態を維持しながら、孔部6(第1突起8)を基点として下方に回動させることによって、縦枠4ないし5の第2突起8を上枠2ないし下枠3の溝部7の開口からガイド部71に挿入させ、ガイド部71に沿って係止受部70まで移動させることで(縦枠4ないし5のz方向を上枠2ないし下枠3のZ方向に一致させるように回動させることで)、第2突起8を溝部7の係止受部70に係止させる(
図13下図)。
【0058】
この連結工程は、例えば、作業員が左手で上枠2ないし下枠3を持って、上枠2ないし下枠3の長さ方向端部を上方に向け、縦枠4ないし5を右手で持って、縦枠4ないし5の第1突起8を上枠2ないし下枠3の孔部6に差し入れ、第1突起8と孔部6の係止状態を維持しながら、孔部6(第1突起8)を基点として縦枠4ないし5を下方に回動させて、縦枠4ないし5の第2突起8を上枠2ないし下枠3の溝部7の開口からガイド部71に挿入させ、ガイド部71に沿って係止受部70まで移動させるようにして実行される。
【0059】
図14に、
図13の工程で得られた上枠2の端部と縦枠5の端部の連結構造を90度回転させたものを示す(
図13のXYZ座標系と
図14のXYZ座標系を参照)。
図14は、
図2の四周フレーム1の角部の部分拡大図である。
【0060】
【0061】
図15において、上枠2の第1側面部21の孔部6に、縦枠5の第1突起8が差し込まれており、第1突起8の先端の突出端縁80は、上枠2の第1側面部21の外面を越えて突出している。上枠2は、孔部6(第1突起8)を基点として、第2突起8が持ち上がった傾斜姿勢となっており、第2突起8の先端側が上枠2の溝部7の開口の上方に位置している。
図15において、上枠2の長さ方向(X方向)と縦枠5の長さ方向(y方向)は直交しているが、縦枠5のz方向は、上枠2のZ方向に対して傾斜している。
【0062】
図15は、第1突起8が孔部6に対して最も深く差し入れた状態を例示しており、第1側面部21の部位21Aが凹溝9の底縁90に当接している。第1側面部21の側縁212と凹溝9の第2側縁91は離間している。第1突起8の第1側縁81が孔部6の周縁に近接ないし当接しており、第2側縁82が孔部6の内縁に近接ないし当接している。第1突起8を孔部6に差し入れて係止させた状態において、第1突起8と孔部6にはクリアランスがあり、孔部6(第1突起8)を基点として、縦枠5が上枠2に対して回動可能となっている。縦枠5は、第1側面部21(孔部6)の幅方向(Y方向)に延びる仮想軸Aを中心として、上枠2に対して回動可能である。
図15では(
図16、
図17も同様)、上枠2の第1側面部21の外面と縦枠5の第1側面部51の外面は一致しておらず、ずれており、上枠2の第2側面部22の外面と縦枠5の第2側面部52の外面は一致しておらず、ずれている。
【0063】
図16は、
図15の状態から、縦枠5を回動させて、第2突起8を溝部7の開口からガイド部71の第2部分71Bまで移動させた状態を示す。
図16において、縦枠5のz方向は、上枠2のZ方向に対して傾斜しているが、
図15の状態に比べて、傾斜は緩くなっている。孔部6に対する第1突起8の差し入れの深さは、
図15の状態と同じである。第2突起8の先端のごく一部がガイド部71の第2部分71B内に位置している。すなわち、第2突起8の第2側面部22の内面に沿った幅寸法L9は、第2部分71Bの幅寸法L5よりも小さいかもしくは同一である。第2側面部22の部位22Aが凹溝9内に位置しており、第2側面部22の側縁222と凹溝9の第2側縁91は離間している。
【0064】
図17は、
図16の状態から、縦枠5を回動させて、第2突起8を溝部7のガイド部71の第2部分71Bから係止受部70まで移動させた状態を示す。
図17において、縦枠5のz方向は、上枠2のZ方向と一致している。孔部6に対する第1突起8の差し入れの深さは、
図15の状態と同じである。
図17の状態では、第2突起8の先端のごく一部が係止受部70内に位置している。第2突起8の第2側面部22の内面に沿った幅寸法L9は、
図16の状態と同じである。第2側面部22の部位22Aが凹溝9内に位置しており、第2側面部22の側縁222と凹溝9の第2側縁91は離間している。
【0065】
図18は、
図17の状態から、第2突起8を溝部7の係止受部70に押し込んだ状態を示す。すなわち、
図17の状態から、上枠2に対して縦枠5を第2側面部22側に移動させて、上枠2の第1側面部21の外面と縦枠5の第1側面部51の外面を面一とし、上枠2の第2側面部22の外面と縦枠5の第2側面部52の外面を面一とした状態を示す。
【0066】
図17の状態に比べて、第2突起8の先端は係止受部70内により深く位置しており、第2突起8の第2側面部22の内面に沿った幅寸法L9は、
図17の状態に比べて大きく、第2部分71Bの幅寸法L5よりも大きい。孔部6に対する第1突起8の差し入れの深さは、
図17の状態に比べて浅くなっているが、第1突起8と孔部6の係止状態は維持されている。
【0067】
図18の状態において、第2突起8の第2側面部22の内面に沿った幅寸法L9は、第2部分71Bの幅寸法L5よりも大きいので、上枠2に対する縦枠5の孔部6(第1突起8)を基点とする縦枠5の回動は、第2突起8が係止受部70の角部703の一方あるいは両方に当接することで規制される。また、
図18の状態において、上枠2に対する縦枠5の当該縦枠5の長さ方向の移動(上下方向の移動)は、第2突起8が係止受部70の角部703の一方あるいは両方に当接することで規制される。
【0068】
第1突起8が孔部6に係止し、第2突起8が溝部7の係止受部70に係止した状態において、上枠2と縦枠5は見込方向に僅かに移動可能な遊びがある。端部同士が係止された上枠2と縦枠5は、第1状態(
図17)と、第2状態(18)と、をとることが可能となっている。
図17に示すように、第1状態では、第1突起8が孔部6に深く差し入れられ、第2突起8が係止受部70に浅く差し入れられており、上枠2の見付面(第1側面部21の外面、第2側面部22の外面)と縦枠5の見付面(第1側面部51の外面、第2側面部52の外面)がずれている。
図18に示すように、第2状態では、第1突起8、第2突起8がそれぞれ孔部6、係止受部70に略均等の深さで差し入れられており(第2突起8は、第1状態に比べて、係止受部70に深く差し入れられている)、上枠2の見付面と縦枠5の見付面が面一である。
【0069】
第2状態では、上枠2に対する縦枠5の孔部6(第1突起8)を基点とする縦枠5の回動は、第2突起8が係止受部70の角部703の一方あるいは両方に当接することで規制される。上枠2の溝部7の係止受部70に対する縦枠5の第2突起8の係止状態を解除するためには、上枠2に対して縦枠5を見込方向に移動させることで第2状態から第1状態に戻し、次いで、第1状態において、縦枠5を、孔部6(第1突起8)を基点として上方に回動させる、という2ステップが必要となることから、上枠2と縦枠5の連結状態は、簡単には外れないようになっている。
【0070】
[F-2]四周フレームの組立構造
上枠2の戸先側端部と戸先側縦枠4の上端部、上枠2の戸尻側端部と戸尻側縦枠5の上端部、下枠3の戸先側端部と戸先側縦枠4の下端部、下枠3の戸尻側端部と戸尻側縦枠5の下端部を、それぞれ嵌め合わせることで、
図5、
図6に示す四周フレーム1が形成される。四周フレーム1の組立状態では、上枠2と縦枠4、5、下枠3と縦枠4、5の係止状態は上記第2状態にあり、上枠2の第1側面部21、下枠3の第1側面部31、縦枠4の第1側面部41、縦枠5の第1側面部51の外面は面一となって、四周フレーム1の第1見付面を形成し、上枠2の第2側面部22、下枠3の第2側面部32、縦枠4の第2側面部42、縦枠5の第2側面部52の外面が面一となって、四周フレーム1の第2見付面を形成する。
【0071】
本実施形態では、上枠2の面部20が四周フレーム1の上端面であり、下枠3の面部が四周フレーム1の下端面である。四周フレーム1の戸先側部位において、戸先側縦枠4の第1側面部41の側縁412、第2側面部42の側縁422は、上枠2の戸先側端縁、下枠3の戸先側端縁よりも突出している。四周フレーム1の戸尻側部位において、戸尻側縦枠5の面部50の外面は、上枠2の戸尻側端縁、下枠3の戸尻側端縁よりも突出していない。四周フレーム1において、
図5、
図6に示す各枠2、3、4、5の向きは例示であって、例えば、戸先側縦枠4の向きが逆であってもよく、あるいは、下枠3の向きが逆であってもよい。
【0072】
本実施形態における四周フレーム1は、上枠2、下枠3、縦枠4、5の端部同士の嵌め合いのみで組み立てることができ、溶接や螺子を用いる必要が無い。上枠2ないし下枠3と縦枠4ないし5の連結は、縦枠4ないし5の第1突起8を上枠2ないし下枠3の孔部6に差し入れ、縦枠4ないし5を、孔部6(第1突起8)を基点として回動させることで、第2突起8を上枠2ないし下枠3の溝部7の開口からガイド部71を通って係止受部70に入れ込み、縦枠4ないし5を見込方向に僅かにずらすという一連の作業で行うことができ、溶接による組み立てや螺子による組み立てに比べて作業性が良く、工場での製造効率も向上する。
【0073】
四周フレーム1が組まれた第2状態では、各連結部位には若干の遊びがあるが、第2突起8と溝部7の係止受部70との係止状態が簡単に外れることがなく、また、第2突起8と係止受部70との係止状態が維持されている限り、第1突起8と孔部6の係止状態が解除されることはないため、例えば、四周フレーム1の上枠2、下枠3、縦枠4、5のいずれかの枠を持って四周フレーム1を持ち上げた時に、四周フレーム1の四周状に組まれた状態は保持され、四周フレーム1は可搬性があることから、四周フレーム1を用いた鋼製扉製造の作業性が良く、また、四周フレーム1の保管もやり易い。
【0074】
[F-3]鋼製扉の製造
図2~
図4に示すように、四周フレーム1に対して、第1表面材10、第2表面材11を貼り付けることで、四周フレーム1を構成する上枠2、下枠3、縦枠4、5の位置を固定して、鋼製扉Pを得る。四周フレーム1が組まれた第2状態では、各連結部位には若干の遊びがあるが、第1表面材10、第2表面材11を貼り付けることで、上枠2の第1側面部21、下枠3の第1側面部31、縦枠4の第1側面部41、縦枠5の第1側面部51の外面の面一状態、及び、上枠2の第2側面部22、下枠3の第2側面部32、縦枠4の第2側面部42、縦枠5の第2側面部52の外面の面一状態が固定される。
【0075】
より具体的には、第2表面材11の面部11aを、上枠2の第2側面部22の外面、下枠3の第2側面部32の外面、戸先側縦枠4の第2側面部42の外面、戸尻側縦枠5の第2側面部52の外面に接着し、第2表面材11の上片11bを上枠2の面部20の外面に当接させ、第2表面材11の下片11cを下枠3の面部30の外面に当接させる。第1表面材10の面部10aを、上枠2の第1側面部21の外面、下枠3の第1側面部31の外面、戸先側縦枠4の第1側面部41の外面、戸尻側縦枠5の第1側面部51の外面に接着し、第1表面材10の上片10bを上枠2の面部20の外面に当接した第2表面材11の上片11bに重ねて、幅方向に亘って複数の固定具Sで固定し、第1表面材10の下片10cを下枠3の面部30の外面に当接した第2表面材10の下片11cに重ねて、幅方向に亘って複数の固定具Sで固定する。第1表面材10の戸先側の側片10dの先端の折曲片と第2表面材11の戸先側の側片11dの先端の折曲片を当接させて接着し、第1表面材10の戸尻側の側片10eの先端の折曲片と第2表面材11の戸尻側の側片11eの先端の折曲片を当接させて接着する。
【0076】
[G]溝部の他の実施例の説明
図19を参照しつつ、上枠2ないし下枠3の第2側面部22ないし第2側面部32に形成される溝部7の他の実施形態を説明する。
図19では、上枠2の第2側面部22の一方の端部に形成された溝部7´を代表して示すが、
図19に基づく記載は、上枠2の第2側面部22の他方の端部に形成された溝部7及び下枠3の第2側面部32の長さ方向端部にそれぞれ形成された溝部の説明に援用することができる。溝部7´には、既述の第2突起8が係止可能となっている。
【0077】
図19(A)に示す溝部7´は、第2側面部22の側縁222の長さ方向の一方の端部に開口が形成されており、ガイド部は、開口から第2側面部22の幅方向に延びる第1部分71A´と、長さ方向に延びる第2部分71B´と、からなる。第2部分71B´は第1部分71A´に対して鋭角で延びており、「レ」状の形状を備えている。第2部分71B´の奥側が係止受部70´となっており、第2部分71B´と係止受部70´は同じ幅寸法となっている。縦枠5を、第1突起8が第1側面部21の孔部6に係止した状態で、孔部6(第1突起8)を基点として回動させながら、第2突起8を、溝部7´のガイド部(第1部分71A´、第2部分71B´)に沿って移動させて係止受部70´に係止させることで、上枠2の端部と縦枠5の端部を連結する。
【0078】
図19(B)に示す溝部7´は、第2側面部22の側縁222の長さ方向の一方の端部に開口が形成されており、ガイド部は、開口から第2側面部22の幅方向に延びる第1部分71A´と、長さ方向に延びる第2部分71B´と、からなる。第2部分71B´は第1部分71A´に対して直角に延びており、第2部分71B´の奥側に隣接して係止受部70´が形成されている。係止受部70´の幅寸法は、第2部分71B´の奥側の幅寸法よりも大きい。縦枠5を、第1突起8が第1側面部21の孔部6に係止した状態で、孔部6(第1突起8)を基点として回動させながら、第2突起8を、溝部7´のガイド部(第1部分71A´、第2部分71B´)に沿って移動させて係止受部70´に係止させることで、上枠2の端部と縦枠5の端部を連結する。
【0079】
図19(C)に示す溝部7´は、第2側面部22の長さ方向端縁220に開口が形成されており、ガイド部71´は、開口から第2側面部22の長さ方向に延びており、ガイド部71´の奥側に隣接して係止受部70´が形成されている。ガイド部71´は開口から奥側に向かって漸次幅が狭くなっている。係止受部70´の幅寸法は、ガイド部71´の奥側の幅寸法よりも大きい。縦枠5を、第1突起8が第1側面部21の孔部6に係止した状態で、孔部6(第1突起8)を基点として回動させながら、第2突起8を、溝部7のガイド部71´に沿って移動させて係止受部70´に係止させることで、上枠2の端部と縦枠5の端部を連結する。
【符号の説明】
【0080】
1 四周フレーム
2 上枠(横枠)
20 面部
21 第1側面部
22 第2側面部
222 側縁
22A 溝部と第2側面部の側縁との間の部位
3 下枠(横枠)
30 面部
31 第1側面部
32 第2側面部
322 側縁
32A 溝部と第2側面部の側縁との間の部位
4 縦枠
40 面部
40´ 延出部
41 第1側面部
42 第2側面部
410、411、420、421 端縁
5 縦枠
50 面部
50´ 延出部
51 第1側面部
52 第2側面部
510、511、520、521 端縁
6 孔部(第1係止受部)
7 溝部
70 係止受部(第2係止受部)
71 ガイド部
8 突起
9 凹溝
L3 係止受部の幅寸法
L5 溝部7の奥側の幅寸法
L7 溝部と第2側面部の側縁との間の部位の最大幅寸法
L9 突起の幅寸法
L11 凹溝の幅寸法