(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-29
(45)【発行日】2024-03-08
(54)【発明の名称】注出キャップ
(51)【国際特許分類】
B65D 47/08 20060101AFI20240301BHJP
B65D 47/36 20060101ALI20240301BHJP
B65D 51/22 20060101ALI20240301BHJP
【FI】
B65D47/08 130
B65D47/36 100
B65D51/22 120
(21)【出願番号】P 2020095051
(22)【出願日】2020-05-29
【審査請求日】2022-12-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】山本 学
【審査官】田中 一正
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-051616(JP,A)
【文献】特許第6166948(JP,B2)
【文献】特開平08-121442(JP,A)
【文献】特開2016-043953(JP,A)
【文献】特開平05-016961(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 47/08
B65D 47/36
B65D 51/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が収容される容器本体の口部に装着され、内容物を注出する注出口が形成されたキャップ本体と、
前記キャップ本体に離脱可能に組み合わされ、前記注出口を開閉可能に覆う蓋体と、
前記注出口の開口縁部に破断可能な弱化部を介して連結されることで、前記注出口を閉塞する閉塞板と、を備え、
前記閉塞板には、上方に向けて突出すると共に、固着層を介して前記蓋体の頂壁に接合された連結突部が一体に形成され、
前記頂壁及び前記連結突部のうちの一方の部材には、該一方の部材を上下方向に貫通する挿入孔と、前記挿入孔よりも径方向の外側に配置され、且つ前記挿入孔の内周面に開口した接合用凹部と、が形成され、
前記固着層は、前記挿入孔内及び前記接合用凹部内に入り込んだ状態で、前記頂壁と前記連結突部とを接合していることを特徴とする注出キャップ。
【請求項2】
請求項1に記載の注出キャップにおいて、
前記接合用凹部は、キャップ軸方向から見た平面視で、前記挿入孔を径方向の外側から囲む環状に形成されている、注出キャップ。
【請求項3】
請求項1に記載の注出キャップにおいて、
前記接合用凹部は、
前記挿入孔よりも径方向の外側に配置され、且つ前記挿入孔の内周面に開口した内側凹部と、
前記内側凹部よりも径方向の外側に配置されると共に、前記内側凹部よりも深く形成され、且つ前記内側凹部内に連通した外側凹部とを備えている、注出キャップ。
【請求項4】
請求項3に記載の注出キャップにおいて、
前記内側凹部及び前記外側凹部は、キャップ軸方向から見た平面視で、前記挿入孔を径方向の外側から囲む環状に形成されている、注出キャップ。
【請求項5】
請求項3に記載の注出キャップにおいて、
前記内側凹部は、キャップ軸方向から見た平面視で、前記挿入孔を径方向の外側から囲む環状に形成され、
前記外側凹部は、前記挿入孔を周回する周方向に間隔をあけて複数形成されている、注出キャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、注出キャップに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、容器本体の口部に装着されるキャップとして、例えば下記特許文献1に示されるように、内容物が収容される容器本体の口部に装着されると共に、内容物を注出する注出口が形成されたキャップ本体と、キャップ本体にヒンジ回りに回動可能に連結され、注出口を開閉可能に覆う蓋体と、注出口の開口縁部に弱化部(薄肉部)を介して連結されて注出口を閉塞するシール板部と、を備える注出キャップが知られている。
【0003】
シール板部は、頂部と、頂部の外周縁部から垂下された筒状の周壁部と、を備えた有頂筒状に形成されている。頂部は、蓋体における天板部の下面に対して面接触した状態で接着されている。これにより、シール板部は、蓋体に対して一体に接合されている。また、周壁部の下端部が、弱化部を介して注出口の開口縁部に連結されている。
【0004】
このように構成された注出キャップでは、蓋体とシール板部とが一体に接合されているので、蓋体を開操作することで、蓋体と共にシール板部を上方に向けて引き上げることができる。そのため、蓋体の開操作によって、弱化部を破断させながらシール板部を引き上げることができ、注出口を開放することが可能とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の注出キャップでは、シール板部の頂部と蓋体の天板部とが、単に面接触した状態で接着されているだけであるので、十分な接合強度(接着強度)を確保することが難しい。そのため、蓋体を開操作したときに、シール板部の頂部と蓋体の天板部との接合が部分的に剥れる等して、蓋体からシール板部に外力(引上げ力)を効率良く伝えることが難しい場合がある。これにより、蓋体の開操作に伴って、シール板部を適切に引き上げながら弱化部を破断することが難しい場合があり、開封時の操作性について改善の余地があった。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、開封時の操作性を向上することができる注出キャップを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明に係る注出キャップは、内容物が収容される容器本体の口部に装着され、内容物を注出する注出口が形成されたキャップ本体と、前記キャップ本体に離脱可能に組み合わされ、前記注出口を開閉可能に覆う蓋体と、前記注出口の開口縁部に破断可能な弱化部を介して連結されることで、前記注出口を閉塞する閉塞板と、を備え、前記閉塞板には、上方に向けて突出すると共に、固着層を介して前記蓋体の頂壁に接合された連結突部が一体に形成され、前記頂壁及び前記連結突部のうちの一方の部材には、該一方の部材を上下方向に貫通する挿入孔と、前記挿入孔よりも径方向の外側に配置され、且つ前記挿入孔の内周面に開口した接合用凹部と、が形成され、前記固着層は、前記挿入孔内及び前記接合用凹部内に入り込んだ状態で、前記頂壁と前記連結突部とを接合している。
【0009】
本発明に係る注出キャップによれば、注出口を閉塞している閉塞板に形成された連結突部が、固着層を介して蓋体の頂壁に接合されているので、蓋体をキャップ本体から離脱させることで、蓋体と共に閉塞板を引き上げることができる。そのため、蓋体の離脱操作に伴って閉塞板に外力を加えることができ、弱化部を破断しながら閉塞板を引き上げて注出口から徐々に離脱させることができる。これにより、蓋体の離脱操作を終えた段階で、注出口を開放することができる。このように、蓋体の離脱操作と同時に注出口の開放操作を行うことができるので、開封時の操作性を向上することができる。
【0010】
特に、固着層は、挿入孔内だけでなく、接合用凹部内にも入り込んでいるので、接合用凹部の内側に食い込ませることができるうえ、挿入孔内及び接合用凹部内に固着層を留まらせることができる。従って、固着層を介して頂壁と連結突部とを十分な接合力で接合することができる。これにより、固着層を介して頂壁と連結突部とを強固に接合することが可能である。そのため、例えば蓋体の開封トルクが高い場合であっても、蓋体から閉塞板が剥れるような不都合を生じさせることなく、蓋体と共に閉塞板を安定して引き上げることができ、弱化部に対して確実に外力を伝えることができる。従って、弱化部を容易且つスムーズに破断することができ、開封操作を容易に行うことができる。
【0011】
なお、一方の部材に挿入孔が形成されているので、注出キャップの製造時、挿入孔内に例えば接合用工具等を挿入することが可能である。そのため、例えば超音波振動等を利用して注出キャップの一部を溶融させることができ、溶融樹脂を利用して固着層を形成することが可能である。つまり、超音波溶着によって、頂壁と連結突部とを接合することが可能となる。特に、接合用凹部を有しているので、溶融樹脂が例えば周囲に拡散するように拡がり難く、接合用凹部によって溶融樹脂を受け止めることができる。これにより、挿入孔内及び接合用凹部内に留まらせた状態で固着層を形成することができ、先に述べたように固着層を介して頂壁と連結突部とを十分な接合力で接合することができる。
しかも、固着層を挿入孔内及び接合用凹部内に留めておくことができるので、固着層を外部から視認し難くすることができる。従って、見栄えが良く、外観性に優れた注出キャップとすることができる。
【0012】
(2)前記接合用凹部は、キャップ軸方向から見た平面視で、前記挿入孔を径方向の外側から囲む環状に形成されても良い。
【0013】
この場合には、接合用凹部が環状に形成されているので、固着層を介した頂壁と連結突部との固着面積を十分に確保することができ、固着層を介して頂壁と連結突部とをより一層強固に接合することが可能である。
【0014】
(3)前記接合用凹部は、前記挿入孔よりも径方向の外側に配置され、且つ前記挿入孔の内周面に開口した内側凹部と、前記内側凹部よりも径方向の外側に配置されると共に、前記内側凹部よりも深く形成され、且つ前記内側凹部内に連通した外側凹部とを備えていても良い。
【0015】
この場合には、外側凹部が内側凹部よりも深く形成されているため、接合用凹部の内側全体にさらに強固に食い込むように固着層を形成することができる。そのため、固着層を介して頂壁と連結突部とをさらに強固に接合することが可能である。
【0016】
(4)前記内側凹部及び前記外側凹部は、キャップ軸方向から見た平面視で、前記挿入孔を径方向の外側から囲む環状に形成されも良い。
【0017】
この場合には、内側凹部及び外側凹部がともに環状に形成されているので、固着層を介した頂壁と連結突部との固着面積を十分に確保することができる。従って、固着層を介して頂壁と連結突部とをより一層強固に接合することが可能である。
【0018】
(5)前記内側凹部は、キャップ軸方向から見た平面視で、前記挿入孔を径方向の外側から囲む環状に形成され、前記外側凹部は、前記挿入孔を周回する周方向に間隔をあけて複数形成されても良い。
【0019】
この場合には、内側凹部が環状に形成されているうえ、外側凹部が周方向に間隔をあけて複数形成されているので、固着層を介して頂壁と連結突部とをより一層強固に接合することが可能である。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る注出キャップによれば、開封時の操作性を向上することができる。従って、非常に使い易く、特に内容物が高温充填された容器本体に対して好適に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明に係る注出キャップの第1実施形態を示す縦断面図である。
【
図2】
図1に示す膨出部を下方から見た下面図である。
【
図3】
図1に示す固着層を形成するための突出部を具備している状態の注出キャップの縦断面図である。
【
図4】
図1に示す状態から蓋体を開操作して、閉塞板を注出口から引き上げている状態を示す縦断面図である。
【
図5】開封後、蓋体をキャップ本体に対して閉めた状態を示す縦断面図である。
【
図6】
図1に示す注出キャップの変形例を示す縦断面図である。
【
図7】
図6に示す膨出部を下方から見た下面図である。
【
図8】
図7に示す接合用凹部の変形例を示す膨出部の下面図である。
【
図9】本発明に係る注出キャップの第2実施形態を示す縦断面図である。
【
図10】
図9に示す連結突部を上方から見た上面図である。
【
図11】
図10に示す注出キャップの変形例を示す縦断面図である。
【
図13】
図12に示す接合用凹部の変形例を示す連結突部の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(第1実施形態)
本発明に係る注出キャップの第1実施形態について、図面を参照して説明する。
図1に示すように、本実施形態の注出キャップ1は、内容物が収容される有底筒状の容器本体2の口部2aに装着され、内容物を注出する注出口11が形成された筒状のキャップ本体10と、キャップ本体10に対して離脱可能に組み合わされ、注出口11を開閉可能に覆う有頂筒状の蓋体13と、注出口11の開口縁部に弱化部14を介して連結されることで、注出口11を閉塞する閉塞板15と、を備えている。なお、キャップ本体10、蓋体13及び閉塞板15は、一体に形成されている。
【0023】
キャップ本体10及び容器本体2は、それぞれの中心軸線が共通軸上に位置された状態で配設されている。本実施形態では、この共通軸をキャップ軸O1といい、キャップ軸O1に沿った蓋体13側を上側といい、容器本体2側を下側という。また、キャップ軸O1方向から見た平面視において、キャップ軸O1に交差する方向を径方向といい、キャップ軸O1回りに周回する方向を周方向という。
さらに径方向のうち互いに直交し合う一方向を前後方向L1といい、他方向を左右方向L2という。さらには前後方向L1のうち後述するヒンジ部12側を後方とし、その反対側を前方とする。
【0024】
容器本体2の口部2aの外周面には、径方向の外側に向けて突出した第1係合突起3が形成されている。なお、第1係合突起3は、環状に形成されていても構わないし、周方向に間隔をあけて複数形成されていても構わない。
なお、第1係合突起3を形成する場合に限定されるものではなく、例えば容器本体2の口部2aの外周面に第1係合突起3に代えて雄ねじ部を形成しても構わない。
【0025】
容器本体2内に収容される内容物は、特に限定されるものではないが、例えば、液体食品や液体調味料等の流動性を有する内容物等を好適に利用することができる。さらには、内容物として、例えば塩や紛体食品調味料、小麦粉等の紛体状の内容物や、肥料、除草剤等の粒体状の内容物等を用いることも可能である。
【0026】
キャップ本体10は、容器本体2の口部2aの内側を閉塞する有頂筒状の中栓20と、口部2aの内側に嵌合されるシール筒21と、口部2aを径方向の外側から囲む装着筒22と、を備えている。
【0027】
中栓20は、注出口11が形成された円板状の天壁部20aと、天壁部20aの外周縁部に全周に亘って連設され、外周縁部から下方に向かって延びた周壁部20bと、で有頂筒状に形成されている。
図示の例では、中栓20は、容器本体2の口部2aよりも上方側に配置されている。ただし、容器本体2の口部2aに対する中栓20の位置は、この場合に限定されるものではなく、例えば容器本体2の口部2aの内側に位置するように配置されていても構わない。
【0028】
周壁部20bの下端部には、径方向の外側に向けて延びると共に、容器本体2の口部2aの上端開口端上に配置される環状のフランジ部23が形成されている。このフランジ部23には、シール筒21の上端部及び装着筒22の上端部がそれぞれ一体に形成されている。これにより、シール筒21及び装着筒22は、フランジ部23を介して中栓20に一体に連結されている。
【0029】
なお、フランジ部23には、上方に向けて突出すると共に蓋体13を下方から支持する環状の支持筒24が形成されている。さらに装着筒22の上端部には、上方に向けて開口した環状溝22aが形成されている。ただし、この環状溝22aは必須なものではなく、具備しなくても構わない。
また、図示しないが、注出キャップ1を容器本体2の口部2aから分別できる構造を設けてもよい。この場合には、例えば装着筒22の後述するヒンジ部12の近傍位置に縦弱化部を設けると共に、該縦弱化部(始点)から環状溝22aの底面内に沿って周方向弱化部を約270°(終点)に亘って形成する。なお、周方向弱化部の終点位置には環状溝22aを設けておらず、破断不能な肉厚部となっている。このような構造において分別する際は、縦弱化部(始点)から周方向弱化部(終点)まで弱化部を破断し、蓋体13を引き上げることで、破断不能な肉厚部を介して容器本体2の口部2aからキャップ本体10を取り外すことができ、注出キャップ1の全体を取り外すことができる。
【0030】
シール筒21及び装着筒22は、例えば打栓によって、シール筒21と装着筒22との間に形成された装着溝25内に口部2aが入り込むことで、口部2aに対して嵌合固定されている。この際、シール筒21及び装着筒22は、口部2aを内外から挟み込んでいるので、強固な嵌合力で口部2aに装着されている。なお、シール筒21は、容器本体2の口部2aの内側に例えば気密に嵌合され、容器本体2内を適切に密封している。
【0031】
図示の例では、装着筒22は、容器本体2の口部2aに対してアンダーカット嵌合されている。具体的には、装着筒22の下端部における内周面には、口部2aの外周面に形成された第1係合突起3に係合する第2係合突起26が径方向の内側に向けて突出しており、第2係合突起26が第1係合突起3に対してアンダーカット嵌合されている。
なお、第2係合突起26は、第1係合突起3に対してアンダーカット嵌合可能とされていれば、環状に形成されていても構わないし、周方向に間隔をあけて複数形成されていても構わない。
【0032】
ただし、容器本体2の口部2aに対する装着筒22の装着方法は、打栓等によるアンダーカット嵌合に限定されるものではない。例えば先に述べたように、容器本体2の口部2aの外周面に雄ねじ部を形成した場合には、装着筒22の内周面に雄ねじ部に螺合する雌ねじ部を形成することで、螺着によって容器本体2の口部2aに対して装着筒22を装着しても構わない。
【0033】
中栓20における天壁部20aの外周縁部には、上方に向けて突出する注出筒27が形成されている。注出筒27は、注出口11を通じて容器本体2内に連通している。よって、注出筒27の内側を通じて内容物を外部に吐出することが可能とされている。
注出筒27は、キャップ軸O1と同軸に配置され、上端部側の内径が上方に向かうにしたがって漸次拡径するように形成されている。そのため、注出筒27を通じて内容物を注出することが可能とされている。
【0034】
図示の例では、注出筒27の突出高さは、全周に亘って同一ではなく、周方向に沿って変化している。具体的には、注出筒27は、突出高さが最も高い頂上部27aが前方側に位置し、突出高さが最も低い低位置部27bが後方側に位置するように形成されている。これにより、注出筒27は、頂上部27a及び低位置部27bがキャップ軸O1を挟んで径方向に向かい合うように形成されている。
このように注出筒27が形成されているため、頂上部27aが下向きとなるように容器本体2を前方に向けて傾けることで、内容物を容易に注出することが可能とされている。
【0035】
蓋体13は、周壁30及び頂壁31を備えた有頂筒状に形成され、ヒンジ部12を介してキャップ本体10に連結されている。蓋体13は、キャップ本体10における天壁部20a及び注出筒27の全体を上側から覆っていると共に、ヒンジ部12回りに回動可能とされている。これにより、蓋体13は、ヒンジ部12回りに回動することで、キャップ本体10に対して離脱可能に組み合わされていると共に、注出口11を開閉することが可能とされている。
【0036】
周壁30は、下端部側がキャップ本体10における支持筒24に対して着脱可能に嵌合されている。これにより、蓋体13は支持筒24によって位置決めされた状態で支持されている。ヒンジ部12は、蓋体13における周壁30の下端部とキャップ本体10における装着筒22の上端部とを一体に連結している。
【0037】
ヒンジ部12は、周壁30及び装着筒22における後方部分に形成され、注出筒27における低位置部27bに対して周方向位置が同じ位置となるように配置されている。これにより、注出筒27における頂上部27aとは径方向の反対側に向けて、すなわち後方側に向けて蓋体13を開操作することが可能となる。
【0038】
なお、蓋体13の周壁30のうち、キャップ軸O1を挟んでヒンジ部12とは反対側に位置する前方部分には、径方向の外側に向けて突出した摘み片32が形成されている。この摘み片32を利用することで、ヒンジ部12回りに蓋体13を容易に開閉操作することが可能とされている。
【0039】
蓋体13における頂壁31には、下方に向けて突出すると共に、注出筒27の内側に着脱可能に嵌合する閉塞筒33がキャップ軸O1と同軸に形成されている。閉塞筒33が注出筒27の内側に嵌合することで、注出筒27の内側をシールすることが可能とされている。
【0040】
さらに頂壁31のうちキャップ軸O1よりも前方に位置する部分には、該頂壁31を上下方向に貫通する挿入孔34が形成されている。挿入孔34は、挿入軸O2を中心とした平面視円形状に形成され、閉塞板15の上方に位置するように配置されている。
なお、挿入軸O2方向から見た平面視において、挿入軸O2に交差する方向を径方向といい、挿入軸O2回りに周回する方向を周方向という。
【0041】
なお、頂壁31の下面には、
図1及び
図2に示すように、挿入孔34の開口を径方向の外側から囲むように、下方に向けて膨出した環状の膨出部35が形成されている。これにより、挿入孔34は、膨出部35の下端面に開口している。
【0042】
膨出部35の下端面は、後述する連結突部40の上端面が下方から接触する第1接触面35aとされている。これに対して、連結突部40の上端面は、第1接触面35aに対して接触する第2接触面40aとされている。
【0043】
さらに膨出部35の第1接触面35aには、該第1接触面35aから上方に向けて凹むと共に、挿入孔34内に連通する接合用凹部36が形成されている。
本実施形態の接合用凹部36は、挿入孔34よりも径方向の外側に配置され、且つ挿入孔34の内周面に開口するように形成されている。具体的には、接合用凹部36は、平面視で挿入孔34を径方向の外側から囲む環状に形成されている。そのため、接合用凹部36は、膨出部35を径方向に貫通することなく形成されている。
【0044】
図1に示すように、閉塞板15は、キャップ軸O1と同軸に配設された状態で、注出口11の内側に配置されている。閉塞板15は、先に述べたように弱化部14を介して注出口11における開口縁部に連結されている。また、閉塞板15は、後述する連結突部40を介して蓋体13に一体に接合されており、ヒンジ部12回りの蓋体13の開操作に伴って弱化部14を破断しながら注出口11から離脱可能とされている。
【0045】
閉塞板15は、キャップ軸O1方向から見た平面視で、例えば前後方向L1に沿った長さが左右方向L2に沿った長さよりも長い概略楕円形状に形成されている。
具体的には、閉塞板15のうち前方側に位置する部分は、蓋体13の開操作に伴って、上方に向けて最初に引き上げられることで弱化部14を最初に破断させる破断開始端部15aとされている。これに対して閉塞板15のうち、後方側(ヒンジ部12側)に位置する部分は、蓋体13の開操作に伴って、上方に向けて最後に引き上げられることで弱化部14の破断を終了させる破断終了端部15bとされている。
【0046】
なお、破断開始端部15a及び破断終了端部15bは、前後方向L1に沿って配置されていると共に、キャップ軸O1を挟んで径方向の反対側に位置するように配置されている。
【0047】
閉塞板15の下面には、下方に向けて突出した環状のシール片16が形成されている。シール片16は、閉塞板15の外周縁部に沿うように該閉塞板15の全周に亘って形成されていると共に、下方に向かうにしたがって径方向の外側に向けて延びるように形成されている。従って、シール片16は、径方向の外側に向けて斜め下向きに突出するように形成されている。この際、シール片16の下端部は、弱化部14を超えて、キャップ本体10における天壁部20aの下方に入り込む程度、突出している。
【0048】
このように構成されたシール片16は、開封後、蓋体13をヒンジ部12回りに閉操作したときに、注出口11の開口縁部に対して上方から接触すると共に、上端部を基点として上下反転するように弾性変形することで注出口11の開口縁部をシールすることが可能とされている(
図5参照)。
【0049】
キャップ本体10の天壁部20aに形成された注出口11は、閉塞板15の外形形状に対応して開口するように形成されていると共に、閉塞板15の外形サイズよりも僅かに大きい開口サイズとなるように形成されている。
さらに弱化部14は、閉塞板15の外形形状に対応した環状に形成され、閉塞板15の外周縁部と注出口11の開口縁部とを全周に亘って連結している。弱化部14は、天壁部20a及び閉塞板15の厚みよりも薄肉に形成されることで破断容易とされ、全周に亘って均一な厚みで連続して延在している。
【0050】
ところで閉塞板15には、上方に向けて突出すると共に、固着層50を介して蓋体13の頂壁31に接合された連結突部40が一体に形成されている。
連結突部40は、閉塞板15のうち破断開始端部15a付近から上方に向けて突出するように形成され、挿入軸O2と同軸に配置されている。連結突部40の上端面は、先に述べたように頂壁31に形成された膨出部35の下端面である第1接触面35aに対して下方から接触した第2接触面40aとされている。
【0051】
なお、連結突部40の下端部には、上方に向けて凹む肉抜き凹部41が形成されている。ただし、この肉抜き凹部41は、必須なものではなく、具備しなくても構わない。
【0052】
連結突部40のうち後方に位置する部分には、補強リブ42が一体に形成されている。補強リブ42は、下端部が閉塞板15の上面に一体に形成されている。図示の例では、補強リブ42は、後端縁が下端部から上端部に向かうにしたがって前方に向けて傾斜した側面視三角形状に形成されている。
【0053】
固着層50は、挿入孔34内及び接合用凹部36内に入り込んだ状態で、第2接触面40a上に形成されている。これにより、連結突部40及び膨出部35は、固着層50を介して一体に接合されている。従って、連結突部40が形成された閉塞板15と、膨出部35が形成された蓋体13の頂壁31とは、固着層50を介して互いに一体に接合されている。そのため、蓋体13に追従して連結突部40を移動させることができ、閉塞板15を蓋体13と共にヒンジ部12回りに移動させることが可能とされている。
【0054】
なお、固着層50は、注出キャップ1の製造時、
図3に示すように連結突部40から上方に向けて突設された突出部51を溶融することによって形成された溶融樹脂層とされている。
図1では、突出部51を二点鎖線で図示している。
詳細に説明する。
注出キャップ1の製造時、射出成形等によって連結突部40には突出部51が一体に形成されている。突出部51は、頂壁31に形成された挿入孔34内に下方から挿入可能な例えば円柱状に形成され、キャップ本体10と蓋体13との組み合わせによって挿入孔34内に配置される。
【0055】
そして、キャップ本体10と蓋体13とを組み合わせた後、例えば挿入孔34内に上方から超音波溶着機の図示しないホーンを挿入し、ホーンの先端を突出部51に接触させる。そしてホーンを利用して、突出部51に所定の超音波振動を加えながら所定の圧力を付与することで、突出部51を瞬時に溶融させることができる。これにより、突出部51が溶融した溶融樹脂を、接合用凹部36内に入り込ませることができると共に、挿入孔34内に留まらせることができる。
その結果、挿入孔34内及び接合用凹部36内に入り込んだ溶融樹脂層、すなわち固着層50を得ることができ、固着層50を利用した超音波溶着によって連結突部40と膨出部35とを一体に接合することが可能とされている。
【0056】
なお、上述のように製造した注出キャップ1は、容器本体2内に内容物を例えば高温充填した後に、図示しない打栓機等を使用して容器本体2の口部2aに装着される。その後、注出キャップ1が装着された容器本体2の全体は、例えば加熱殺菌された後に冷却水等によって冷却される。
【0057】
(注出キャップの作用)
上述のように構成された注出キャップ1の作用について説明する。
製品輸送時や製品流通時等の未開封時では、
図1に示すように、注出口11の開口縁部に弱化部14を介して連結された閉塞板15が注出口11を閉塞している。これにより、容器本体2内を密封することができ、外部への内容物の漏出を適切に防止することができる。
【0058】
次に、内容物の注出を行う場合には、摘み片32等を利用してヒンジ部12回りに蓋体13の開操作を行う。このとき、閉塞板15に形成された連結突部40が固着層50を介して、蓋体13の頂壁31に形成された膨出部35に接合されているので、閉塞板15を蓋体13と共にヒンジ部12回りに回動させることができる。
これにより、蓋体13の開操作に伴って閉塞板15に外力を加えることができ、
図4に示すように弱化部14を破断しながら閉塞板15を上方に引き上げて、注出口11から徐々に離脱させることができる。これにより、蓋体13の開操作を終えた段階で、注出口11を開放することができる。このように、蓋体13の開操作と同時に注出口11の開放操作を行うことができるので、開封時の操作性を向上することができる。
【0059】
特に、溶融樹脂層である固着層50は、
図1に示すように、挿入孔34内だけでなく接合用凹部36内にも入り込んだ状態で第2接触面40a上に形成されている。そのため、接合用凹部36の内側に食い込むように固着層50を形成することができると共に、挿入孔内34及び接合用凹部36内に固着層50を留まらせることができる。従って、固着層50を介して頂壁31に形成された膨出部35と連結突部40とを十分な接合力(溶着力)で接合することができる。これにより、固着層50を介して頂壁31と連結突部40とを強固に接合することが可能である。
【0060】
そのため、例えば蓋体13の開封トルクが高い場合であっても、蓋体13から閉塞板15が剥れるような不都合を生じさせることなく、蓋体13と共に閉塞板15を安定して引き上げることができ、弱化部14に対して確実に外力を伝えることができる。
従って、弱化部14を容易且つスムーズに破断することができ、開封操作を容易に行うことができる。
【0061】
さらに、接合用凹部36は、挿入孔34よりも径方向の外側に配置され、且つ挿入孔34の内周面に開口している。そのため、突出部51を超音波振動等によって溶融させた際に、接合用凹部36内に溶融樹脂をスムーズに入り込ませることができる。従って、固着層50を安定且つ容易に形成することができ、固着層50を介して頂壁31と連結突部40とをさらに安定して接合することが可能である。
【0062】
特に、接合用凹部36を有しているので、溶融樹脂が例えば第2接触面40a上を拡散するように拡がることがなく、接合用凹部36によって溶融樹脂を受け止めることができる。これにより、挿入孔34内及び接合用凹部36内に留まらせた状態で固着層50を形成することができる。従って、先に述べたように固着層50を介して頂壁31と連結突部40とを十分な接合力で接合することができる。
それに加えて、接合用凹部36は環状に形成されているので、固着層50を介した頂壁31と連結突部40との固着面積を十分に確保することができ、固着層50を介して頂壁31と連結突部40とをより一層強固に接合することが可能である。
【0063】
さらには、固着層50を挿入孔34内及び接合用凹部36内に留めておくことができるので、固着層50を外部から視認し難くすることができる。従って、見栄えが良く、外観性に優れた注出キャップ1とすることができる。
【0064】
なお、開封後、容器本体2を前方に向けて傾けることで、注出筒27における頂上部27aを下向きにすることができる。これにより、容器本体2内の内容物を注出筒27の頂上部27aから外部に注出することが可能である。
【0065】
さらに内容物の注出後、蓋体13をヒンジ部12回りに閉操作することで、
図5に示すように、シール片16を上下反転させるように弾性変形させることができ、該シール片16を利用して注出口11の開口縁部をシールしながら蓋体13を閉めることができる。
これにより、容器本体2内を適切に密閉した状態で容器本体2の保管等を行うことができると共に、蓋体13の頂壁31、キャップ本体10の閉塞板15、閉塞筒33及び連結突部40で囲まれた空間内に内容物が侵入せず汚れを防止することが可能である。
【0066】
以上説明したように、本実施形態の注出キャップ1によれば、開封時の操作性を向上することができる。従って、非常に使い易く、特に内容物が高温充填された容器本体2に対して好適に利用することができる。
【0067】
(第1実施形態の変形例)
上記第1実施形態において、突出部51の形状は円柱状に限定されるものではなく、例えば超音波溶着時における振動性の向上化や、ホーンとの接触性の向上化等を図るために、例えば上下方向に径が変化する多段軸状等、種々の形状に形成しても構わない。
さらに、上記第1実施形態では、接合用凹部36を環状に形成したが、この場合に限定されるものではなく、例えば周方向に間隔をあけて複数配置されるように、間欠的に形成しても構わない。
【0068】
(第1実施形態の別の変形例)
さらに
図6及び
図7に示すように、内側凹部61及び外側凹部62を有する接合用凹部63を具備する注出キャップ60としても構わない。
【0069】
内側凹部61は、挿入孔34よりも径方向の外側に配置され、且つ挿入孔34の内周面に開口するように形成されている。さらに内側凹部61は、平面視で挿入孔34を径方向の外側から囲む環状に形成されている。
外側凹部62は、内側凹部61よりも径方向の外側に配置されると共に、内側凹部61よりも深く形成され、且つ内側凹部61内に連通するように形成されている。さらに外側凹部62は、平面視で内側凹部61を径方向の外側から囲む環状に形成されている。
【0070】
このように構成された注出キャップ60によれば、外側凹部62が内側凹部61よりも深く形成されているため、接合用凹部63の内側全体により強固に食い込むように固着層50を形成することができる。そのため、固着層50を介して頂壁31と連結突部40とをさらに強固に接合することが可能である。さらに、内側凹部61及び外側凹部62がともに環状に形成されているので、固着層50を介した頂壁31と連結突部40との接合面積を十分に確保することができる。従って、固着層50を介して頂壁31と連結突部40とをより一層強固に接合することが可能である。
【0071】
なお、外側凹部62は環状に形成されている場合に限定されるものではなく、例えば
図8に示すように、外側凹部62を周方向に間隔をあけて複数形成しても構わない。この場合であっても同様の作用効果を奏功することができる。
【0072】
(第2実施形態)
次に、本発明に係る注出キャップの第2実施形態について図面を参照して説明する。なお、この第2実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については、同一の符号を付しその説明を省略する。
第1実施形態では、蓋体13の頂壁31側に挿入孔34及び接合用凹部36を形成したが、第2実施形態では、閉塞板15の連結突部40側に挿入孔及び接合用凹部が形成されている。
【0073】
図9及び
図10に示すように、本実施形態の注出キャップ70は、連結突部40を上下方向に貫通するように挿入孔71が形成されている。これにより、本実施形態の連結突部40は、挿入軸O2を中心とした円筒状に形成されている。
【0074】
さらに連結突部40の上端面である第2接触面40aには、該第2接触面40aから下方に向けて凹むと共に、挿入孔71内に連通する接合用凹部72が形成されている。
本実施形態の接合用凹部72は、挿入孔71よりも径方向の外側に配置され、且つ挿入孔71の内周面に開口するように形成されている。具体的には、接合用凹部72は、平面視で挿入孔71を径方向の外側から囲む環状に形成されている。そのため、接合用凹部72は、連結突部40を径方向に貫通することなく形成されている。
【0075】
本実施形態では、蓋体13の頂壁31の下面が、連結突部40の第2接触面40aが接触する第1接触面31aとされている。
固着層50は、挿入孔71内及び接合用凹部72内に入り込んだ状態で、第1接触面31a上に形成されている。これにより、連結突部40が形成された閉塞板15と、蓋体13の頂壁31とは、固着層50を介して互いに一体に接合されている。そのため、蓋体13に追従して連結突部40を移動させることができ、閉塞板15を蓋体13と共にヒンジ部12回りに移動させることが可能とされている。
【0076】
なお、固着層50は、注出キャップ70の製造時、蓋体13の頂壁31から下方に向けて突設された突出部51を溶融することによって形成された溶融樹脂層とされている。
詳細に説明する。
注出キャップ70の製造時、射出成形等によって蓋体13の頂壁31には突出部51が一体に形成されている。突出部51は、連結突部40に形成された挿入孔71内に上方から挿入可能な例えば円柱状に形成され、キャップ本体10と蓋体13との組み合わせによって挿入孔71内に配置される。
そして、キャップ本体10と蓋体13とを組み合わせた後、例えば挿入孔71内に下方から超音波溶着機の図示しないホーンを挿入し、ホーンの先端を突出部51に接触させる。そしてホーンを利用して、突出部51に所定の超音波振動を加えながら所定の圧力を付与することで、突出部51を瞬時に溶融させることができる。これにより、突出部51が溶融した溶融樹脂を、接合用凹部72内に入り込ませることができると共に、挿入孔71内に留まらせることができる。
その結果、挿入孔71内及び接合用凹部72内に入り込んだ溶融樹脂層、すなわち固着層50を得ることができ、固着層50を利用した超音波溶着によって連結突部40と蓋体13とを一体に接合することが可能とされている。
【0077】
特に、本実施形態の場合であっても、接合用凹部72を有しているので、溶融樹脂が例えば第1接触面31a上を拡散するように拡がることがなく、接合用凹部72によって溶融樹脂を受け止めることができる。これにより、挿入孔71内及び接合用凹部72内に留まらせた状態で固着層50を形成することができる。従って、固着層50を介して頂壁31と連結突部40とを十分な接合力で接合することができる。
【0078】
上述のように構成された本実施形態の注出キャップ70であっても、第1実施形態と同様の作用効果を奏功することができる。
それに加えて、本実施形態の場合には、蓋体13に挿入孔71が形成されていないので、蓋体13における頂壁31の上面を平坦面に仕上げることができる。そのため、固着層50を隠すことができると共に、外観性にさらに優れた注出キャップ70とすることができる。
【0079】
(第2実施形態の変形例)
本実施形態の場合であっても、
図11及び
図12に示すように、内側凹部81及び外側凹部82を有する接合用凹部83を具備する注出キャップ80としても構わない。
内側凹部81は、挿入孔71よりも径方向の外側に配置され、且つ挿入孔71の内周面に開口するように形成されている。さらに内側凹部81は、平面視で挿入孔71を径方向の外側から囲む環状に形成されている。
外側凹部82は、内側凹部81よりも径方向の外側に配置されると共に、内側凹部81よりも深く形成され、且つ内側凹部81内に連通するように形成されている。さらに外側凹部82は、平面視で内側凹部81を径方向の外側から囲む環状に形成されている。
【0080】
このように構成された注出キャップ80によれば、外側凹部82が内側凹部81よりも深く形成されているため、接合用凹部83の内側全体により強固に食い込むように固着層50を形成することができる。そのため、固着層50を介して頂壁31と連結突部40とをさらに強固に接合することが可能である。さらに、内側凹部81及び外側凹部82がともに環状に形成されているので、固着層50を介した頂壁31と連結突部40との接合面積を十分に確保することができる。従って、固着層50を介して頂壁31と連結突部40とをより一層強固に接合することが可能である。
【0081】
さらに、外側凹部82は環状に形成されている場合に限定されるものではなく、例えば
図13に示すように、外側凹部82を周方向に間隔をあけて複数形成しても構わない。この場合であっても同様の作用効果を奏功することができる。
【0082】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。実施形態は、その他様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。実施形態やその変形例には、例えば当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、均等の範囲のものなどが含まれる。
【0083】
例えば、上記各実施形態では、キャップ本体10が注出筒27を具備していたが、注出筒27は必須なものではなく、具備しなくても構わない。
また、上記各実施形態では、全周に亘って均一な厚みで弱化部14を形成したが、この場合に限定されるものではなく、例えば厚みを変化させても構わない。例えば閉塞板15における破断開始端部15a側の厚みを薄肉とし、その他の部分が厚肉となるように弱化部14を形成しても構わない。
さらに、上記各実施形態では、キャップ本体10と蓋体13とをヒンジ部12を介して連結し、ヒンジ部12回りに蓋体13を開閉することで、注出口11を開閉可能に覆う構成としたが、ヒンジ部12は必須なものではなく、具備しなくても構わない。
【0084】
さらに、上記各実施形態では、超音波振動によって突出部51を溶融させ、溶融樹脂層を固着層50として利用することで、蓋体13の頂壁31と連結突部40とを接合(超音波溶着)した場合を例に挙げて説明したが、この場合に限定されるものではない。
固着層50としては、頂壁31と連結突部40とを固着できれば良く、例えば接着剤等を利用した接着層としても構わない。
【0085】
さらに、上記各実施形態では、蓋体の頂壁と連結突部とを固着層を介して一体に接合するにあたり、頂壁側の第1接触面(例えば第1実施形態における膨出部の下端面が相当し、第2実施形態における頂壁の下面が相当)と、連結突部の上端面である第2接触面とを互いに接触させた状態で接合させた場合を例に挙げて説明したが、この場合に限定されるものではない。
接合用凹部を利用して、突出部が溶融した溶融樹脂の流れを受け止め、これによって挿入孔内及び接合用凹部内に留まらせた状態で形成した固着層を利用して、蓋体の頂壁及び連結突部同士が接合されていれば良く、例えば、頂壁と連結突部とが直接的或いは固着層を挟んで間接的に、面接触、線接触、点接触等していても構わない。
【符号の説明】
【0086】
O1…キャップ軸
1、60、70、80…注出キャップ
2…容器本体
2a…容器本体の口部
10…キャップ本体
11…注出口
13…蓋体
14…弱化部
15…閉塞板
31…蓋体の頂壁
34、71…挿入孔
36、63、72、83…接合用凹部
40…連結突部
50…固着層
61、81…内側凹部
62、82…外側凹部