(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-29
(45)【発行日】2024-03-08
(54)【発明の名称】電動式の円弧状ドア装置
(51)【国際特許分類】
E05F 15/643 20150101AFI20240301BHJP
E05D 13/00 20060101ALI20240301BHJP
E05D 15/06 20060101ALI20240301BHJP
【FI】
E05F15/643
E05D13/00 K
E05D15/06 119
E05D15/06 125A
(21)【出願番号】P 2020128044
(22)【出願日】2020-07-29
【審査請求日】2023-05-29
(73)【特許権者】
【識別番号】307038540
【氏名又は名称】三和シヤッター工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085394
【氏名又は名称】廣瀬 哲夫
(74)【代理人】
【識別番号】100165456
【氏名又は名称】鈴木 佑子
(72)【発明者】
【氏名】森藤 広喜
(72)【発明者】
【氏名】遊佐 辰徳
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-148138(JP,A)
【文献】特開2006-118240(JP,A)
【文献】特開平9-112120(JP,A)
【文献】特開2021-127588(JP,A)
【文献】特開平6-193339(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 15/00-15/79
E05D 13/00-15/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
出入り口部の上方に設けられ、円弧軌跡に沿った移動案内をするガイドレールと、該ガイドレールに案内されて左右方向に移動することで出入り口部を開閉する円弧形状をしたハンガー式のドア体と、前記円弧軌跡に沿う状態でドア体に設けられるガイド部材と、該ガイド部材の外周面に沿う状態で左右両端縁部をガイド部材に連結した長尺状の伝動体と、該伝動体を左右移動させてドア体の開閉を行うための駆動輪体が設けられた電動式の開閉機とを備えて構成される電動式の円弧状ドア装置において、
駆動輪体を、ドア体が閉鎖姿勢になったときの戸尻側端縁部位置と開放姿勢になったときの戸先側端縁部位置とのあいだの領域に配したことを特徴とする電動式の円弧状ドア装置。
【請求項2】
ドア体の下端縁部に係合してドア体の振れ止めをする振れ止め体を、ドア体が閉鎖姿勢になったときの戸尻側端縁部位置と開放姿勢になったときの戸先側端縁部位置とのあいだの領域に配したことを特徴とする請求項1記載の電動式の円弧状ドア装置。
【請求項3】
駆動輪体を、振れ止め体の直上部位に配したことを特徴とする請求項2記載の電動式の円弧状ドア装置。
【請求項4】
出入り口部は、戸先側、戸尻側の左右前面パネル体と、該前面パネル体に対して直角状に設けられる側面パネル体とにより囲繞形成されるブースの左右前面パネル体間に形成される出入り口部であり、駆動輪体は、戸尻側前面パネルの戸先側端縁部に対向し、かつ側面パネルの前側端縁部に対向する部位に配されることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1記載の電動式の円弧状ドア装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トイレブースやシャワーブース等のブース(部屋)の出入り口部、さらにはビル等の建物の出入り口部等の出入り口部に建て付けられる電動式の円弧状ドア装置の技術分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
今日、トイレブース等の出入り口部に建て付けられるドア装置として、平面視で円弧状のドア体(戸体、扉体)を、出入り口部の上方に設けた円弧状のガイドレールに吊持状に支持されるハンガー式とし、そして該ドア体を左右にスライド移動させることで出入り口部の開閉をするようにした所謂円弧状のドア装置が知られている。
そしてこのような円弧状ドア装置においても、ドア体が平板状になった通常のドア装置の場合と同様、電動式の開閉機を用いてドア体の開閉を自動で行うよう構成することが要求されることがある。ところがドア体は、直線状ではなく円弧状のガイドレールに案内されるものであるため、ドア体を開閉移動するため電動式の開閉機とのあいだで連動連結される伝動体(例えば伝動ベルト)についても、単純に直線状ではなく、ガイドレールに沿うよう円弧状に配設する必要がある。このためドア体に、円弧状のガイド部材をドア体と共に一体移動するように設け、伝動体を、該ガイド部材の外周面に沿う(当接する)よう配した構成にし、そして該伝動体を開閉機の正逆駆動に連動して左右方向に移動(相対移動)させることで、ドア体をガイド部材と共に左右方向に移動させる構成にして、ドア体の円弧状の開閉移動ができるようにしたものが提唱されている(例えば特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで前記従来の円弧状ドア装置のものは、ガイド部材に沿うよう設けた伝動体を、一対の中間輪体(例えば中間スプロケットや中間プーリ)を介して引き出し、該引き出した伝動体を、中間輪体よりも左右方向外側に配した駆動輪体(例えば駆動スプロケットや駆動プーリ)と従動輪体とに懸回するよう構成する必要があり、この結果、駆動輪体だけでなく従動輪体、中間輪体も必要になって部品点数が多くなるだけでなく、駆動輪体が、閉鎖したドア体の戸尻側端縁部よりも戸尻側に配した構成にしなければならないため装置全体が幅方向に大型化することになり、この大型化した装置の配設スペースを開口部上方に確保する必要があって、このような配設スペースが確保できないものでは電動化することが難しい等の問題があり、これらに本発明の解決すべき課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、出入り口部の上方に設けられ、円弧軌跡に沿った移動案内をするガイドレールと、該ガイドレールに案内されて左右方向に移動することで出入り口部を開閉する円弧形状をしたハンガー式のドア体と、前記円弧軌跡に沿う状態でドア体に設けられるガイド部材と、該ガイド部材の外周面に沿う状態で左右両端縁部をガイド部材に連結した長尺状の伝動体と、該伝動体を左右移動させてドア体の開閉を行うための駆動輪体が設けられた電動式の開閉機とを備えて構成される電動式の円弧状ドア装置において、駆動輪体を、ドア体が閉鎖姿勢になったときの戸尻側端縁部位置と開放姿勢になったときの戸先側端縁部位置とのあいだの領域に配したことを特徴とする電動式の円弧状ドア装置である。
請求項2の発明は、ドア体の下端縁部に係合してドア体の振れ止めをする振れ止め体を、ドア体が閉鎖姿勢になったときの戸尻側端縁部位置と開放姿勢になったときの戸先側端縁部位置とのあいだの領域に配したことを特徴とする請求項1記載の電動式の円弧状ドア装置である。
請求項3の発明は、駆動輪体を、振れ止め体の直上部位に配したことを特徴とする請求項2記載の電動式の円弧状ドア装置である。
請求項4の発明は、出入り口部は、戸先側、戸尻側の左右前面パネル体と、該前面パネル体に対して直角状に設けられる側面パネル体とにより囲繞形成されるブースの左右前面パネル体間に形成される出入り口部であり、駆動輪体は、戸尻側前面パネルの戸先側端縁部に対向し、かつ側面パネルの前側端縁部に対向する部位に配されることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1記載の電動式の円弧状ドア装置である。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明とすることにより、円弧状ドア装置を電動式の開閉機を用いて自動開閉する構成とする場合に、開閉機に設けられる駆動輪体を、ドア体が閉鎖姿勢になったときの戸尻側端縁部位置と開放姿勢になったときの戸先側端縁部位置とのあいだの領域に配されたものとなって、部品点数が減少したコンパクト化したものとなり、狭いスペースを利用して電動化することができる。
請求項2の発明とすることにより、ドア体下端部の振れ止めをする振れ止め体についても、ドア体が閉鎖姿勢になったときの戸尻側端縁部位置と開放姿勢になったときの戸先側端縁部位置とのあいだであって駆動輪体が配されるのと同じ領域に配されることになる結果、ドア体は上下同じ領域で移動案内されることになってより安定化した状態での開閉移動をすることができる。
請求項3の発明とすることにより、駆動輪体が、さらに振れ止め体の直上位置に配されることにより、ドア体の駆動位置と振れ止め位置が上下同一位置となってより安定化した状態で開閉移動することができる。
請求項4の発明とすることにより、出入り口部が、トイレブースのようなブースの出入り口である場合に、駆動輪体が戸尻側前面パネルの戸先側端縁部に対向し、かつ側面パネルの前側端縁部に対向する部位に配されることとなって、開閉機の配設を、前面パネル体と側面パネル体とのコーナー部を利用して配することができ、コンパクト化に寄与できることになる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】ドア体が閉鎖姿勢になった状態のトイレブースの平面図である。
【
図3】ドア体が開放姿勢になった状態のトイレブースの平面図である。
【
図5】ドア体が閉鎖姿勢になった状態の開閉機配設部位の平面図である。
【
図6】ドア体が開放姿勢になった状態の開閉機配設部位の平面図である。
【
図9】(A)(B)(C)はドア体が閉鎖姿勢、中途開姿勢、開放姿勢の状態を示す概略平面図である。
【
図10】駆動スプロケットと振れ止め体との配置状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図面において、1はトイレブースであって、該トイレブース1は、左右に複数が隣接する状態で設けられたものであり、出入り口部(開口部)Eを構成すべく前面(正面)に出入り口部Eとしての左右間隙を存する状態で床面Fから立設される戸先側、戸尻側の前面パネル体2、3と、これら前面パネル体2、3に先端部(前端部)に突き当たるように設けられていてこれら前面パネル体2、3とトイレブース奥端の壁面等の躯体側面Wとのあいだを仕切る側面(奥行き)パネル体4とを備えることで区画形成されていること等は何れも従来通りである。因みにこのようなブースとしては、側面パネルの一方または両方を壁等の躯体面として構成する場合もあり、これらは必要において適宜実施されるものである。尚、Tはトイレブース1内に設けられる便器、Pは出入り口部Eの正面上側部位のパネル体である。
【0009】
5は平面視で円弧形状をしたハンガー式のドア体(戸体、扉体)であって、該ドア体5の左右上端縁部には、連結金具6aを介して上方に突出する状態でハンガーローラ(吊りローラ)6が設けられるが、該ハンガーローラ6が、トイレブース1の上方部位に設けたガイドレール(ハンガーレール、案内レール)7に転動案内されることでドア体5はハンガー式のものとなっている。
前記ガイドレール7は、前記ドア体5の円弧形状に合わせて移動軌跡を円弧軌跡とし、出入り口部Eの上方において、該出入り口部Eの戸先側端縁部に配される戸先側前面パネル体2部位から戸尻側端縁部に配した戸尻側前面パネル体3部位を越えて戸尻側の側面パネル体4に沿う状態でトイレブース1内に入り込むよう円弧形状をしたものであり、そして該ガイドレール7は、本実施の形態では左右の前面パネル体2、3および戸尻側の側面パネル体4の上端部に都合四本の第一~第四の支持ブラケット(本発明の「支持部材」に相当する。)7a、7b、7c、7dを介して連結されることで躯体側に設けられた構成になっている。
【0010】
そしてこのように構成されることにより、ドア体5は、ハンガーローラ6がガイドレール7を左右水平方向に転動することにより、円弧軌跡に沿って左右方向にスライド移動して前記出入り口部Eを閉鎖する閉鎖姿勢と、戸尻側のトイレブース1内に入り込んで出入り口部Eを開放(開口)する開放姿勢とに変姿するようになっている。
この場合にドア体5は、閉鎖姿勢になった場合の戸尻側端縁部5aと、開放姿勢になった場合の戸先側端縁部5bとの各端縁部が、何れも戸尻側前面パネル体3に近接する部位に位置するよう設定される。
さらに具体的には、ドア体5が閉鎖姿勢になった場合のドア体5の戸尻側端縁部5aと、開放姿勢となった場合のドア体5の戸先側端縁部5bとは、何れも戸尻側前面パネル体3の戸先側端縁部に対向し、かつ戸尻側の側面パネル体4の前端縁部に対向するように設定されるが、前記閉鎖姿勢になった場合の戸尻側端縁部5aは、開放姿勢となった場合の戸先側端縁部5bに対して戸尻側に位置する構成になっている。そしてこのように構成することにより、
図9、10に示すように、ドア体5が閉鎖姿勢になった場合の戸尻側端縁部5a位置と開放姿勢となった場合の戸先側端縁部5b位置とのあいだの領域Xは、ドア体5の開閉移動(移動軌跡)上の領域であって、ドア体5の開閉作動に拘わらず、常にドア体5が位置する(存在する)ことになっており、該ドア体5によって常時閉鎖された閉鎖領域(オーバーラップ領域)Xを構成している。
【0011】
そしてこのものでは、ガイドレール7と天井面Hとのあいだに間隙Sがあり、この間隙Sを利用してドア体5を電動で開閉するための部材装置が配されたものになっており、以下、これらについて詳述する。尚、ガイドレール7を含む前記部材装置のうち出入り口部Eの上方に配設されるものは、前記パネル体Pによって覆蓋されていて正面からは視認できない構成になっている。
【0012】
8はドア体5に設けられるガイド部材であって、該ガイド部材8は、ガイドレール7の円弧軌跡に沿うよう円弧状に湾曲した板状体を用いて構成されたものであって、第一連結部材9を介してドア体5の上端部に連結される。
具体的には、第一連結部材9は、ガイドレール7に対し円弧内周側において前後方向に間隙を存した状態で、該ガイドレール7よりも上下に延出して配されたものであって、第一連結部材9の下端部は、ドア体5の円弧内周側面5cの上端部にビス9aを介して取り付けられ、上端部には、ガイド部材8がビス9bを介して取り付けられており、このように第一連結部材9を介してガイドレール7の円弧内周側に取り付けられたガイド部材8は、ガイドレール7よりも上方、かつ円弧内周側に偏倚する(ドア体5の厚さ中心(またはガイドレール7の前後幅中心)に対して円弧内周側に偏倚する)位置に配されるよう設定されている。
【0013】
さらにガイド部材8は、戸先側端縁部がドア体5の戸先側端縁部5bまでには至らないが、戸尻側端縁部についてはドア体5の戸尻側端縁部5aよりも戸尻側に向けて円弧状に延出する長さに設定されている。
そしてガイド部材8の左右両端縁部には、本発明の「伝動体」に相当する伝動ベルト(歯付きベルト)10がガイド部材8の外周面8aに沿う(対向する)状態で配され、その左右両端縁部がホルダー11を介してガイド部材8の左右両端縁部に取り付けられている。この場合に伝動ベルト10は、歯部10aが設けられた歯付きのものであって、歯部10aがガイド部材8の外周面8aに対向する状態で、外周面8aに対して緊張状態ではなく、後述するように駆動輪体13に懸回されるべく弛みのある弛緩状態で取り付けられている。尚、図中、11bはホルダー11をガイド部材8に取り付けるためのビスである。
【0014】
一方、12は電動式の開閉機であって、該開閉機12は、ガイド部材8よりも上方位置において、ガイドレール7の上方に位置するよう前後(戸先側、戸尻側)一対の第二の連結部材13、14を介してガイドレール7に取り付けられており、これによって開閉機12とガイドレール7とのあいだに、開閉機12から下方に突出するよう設けられた歯部15aが設けられた歯付きの駆動スプロケット(本発明の「駆動輪体」に相当する。)15の配設スペースが確保されている。
【0015】
次に、前記第二の連結部材13、14を用いて開閉機12を取り付ける構成について具体的に説明するが、戸先側の第二の連結部材13にいて着目すると、該第二連結部材13はL字形をしたものであって、下片部13aがボルト13bを介してガイドレール7の上面部(具体的にはガイドレール7の幅方向中央部位)に固定され、縦片部13cがガイドレール7の円弧外側(外周側)に起立状に配されており、そして該縦片部13cに、開閉機12に設けた取り付けブラケット12aがビス12dを介して固定されており、このように構成することにより、開閉機12の戸先側端縁部は、第二連結部材13を介してガイドレール7の円弧外周側で該ガイドレール7に取り付けられることになる。
【0016】
一方、戸尻側の第二連結部材14についても、戸先側の第二連結部材13と同様の連結構造(形状は連結部位に対応して異なっている。)を採用しているが、前記戸先側の第二連結部材13については、該第二連結部材下片部13aとガイドレール7とのあいだに、ガイドレール7を戸尻側前面パネル体3に支持するための第二支持ブラケット7bが挟持される状態で固定されたものとなっており、このようにすることで開閉機12は、躯体側部材である戸尻側前パネル体3に対しても支持ブラケット7bを介して固定支持される構成になっている。
これに対して戸尻側の第二連結部材14は、ガイドレール7にのみ取り付けられ、支持ブラケットには支持されない構成になっており、この点が戸先側の第二連結部材13とは異なった開閉機12の取付け構成になっている。勿論、戸尻側の第二連結部材14についても、側面パネル体4にガイドレール7を取り付けるための第三支持ブラケット7cに取り付ける構成にしてもよい。
【0017】
開閉機12が、このようにして取り付けられることで、戸尻側の前面パネル体3と側面パネル体4とのコーナー部において、ガイドレール7の上方(直上)に位置し、かつブース1内に傾斜状に配された状態で取り付けられている。
そして開閉機12から下方に突出するよう設けた駆動スプロケット15は、上側の開閉機12と下側のガイドレール7とのあいだのコーナー状のスペースに配されることになるが、該駆動スプロケット15の配設位置は、前述したドア体5が閉鎖姿勢になった場合の戸尻側端縁部5a位置と開放姿勢となった場合の戸先側端縁部5b位置とのあいだの前記領域Xの範囲となるように構成されている。
【0018】
また前記開閉機12に設けた駆動スプロケット15には前記伝動ベルト10が懸回されることになるが、この場合に伝動ベルト10は、駆動スプロケット15のガイド部材8とは反対側部位、つまりガイドレール7の円弧外周側部位において、歯部10a、15a同士が噛合する状態で、伝動ベルト10が左右両側に向けて接線状態で懸回されている。
そして開閉機12が駆動して駆動スプロケット15が正逆回転をした場合に、伝動ベルト10は、前記接線状態を維持した懸回状態で左右方向に移動することになり、これによってドア体5は、該ドア体5に対する駆動スプロケット15の位置が左右に相対移動することになって左右開閉移動がなされるように構成されている。
【0019】
さらにこのものでは、ドア体5の下端縁部に冂字形をした凹溝5dが形成されるが、該凹溝5dには、戸尻側前面パネル体3の下端部に取り付けブラケット16aを介して取り付けられた振れ止め体16が遊嵌しており、これによってドア体5の下端部の振れ止めをするように構成されているが、該振れ止め体16は、前記駆動スプロケット15と同様、ドア体5が閉鎖姿勢になった場合の戸尻側端縁部5a位置と開放姿勢となった場合の戸先側端縁部5b位置とのあいだの領域Xに配されているが、特に本実施の形態においては、駆動スプロケット15の配設位置を、振れ止め体16の配設位置の直上位置となるよう設定されている。
【0020】
さらにこのものには、前記開閉機12の開閉駆動制御を実行するための制御部17が設けられるが、該制御部17は、本実施の形態では、戸尻側の側面パネル体4にガイドレール7を支持するための第三、第四の支持ブラケット7c、7dの上面に載置される状態で該支持ブラケット7c、7dに取り付けられる構成になっており、このようにすることで、制御部17は、側面パネル4とガイドレール7とのあいだのスペースを有効に利用して取り付けられる構成になっている。
【0021】
叙述の如く構成された本実施の形態において、電動式の円弧状ドア装置としては、出入り口部Eの上方に設けられ、円弧軌跡に沿った移動案内をするガイドレール7と、該ガイドレール7に案内されて左右方向に移動することで出入り口部Eを開閉する円弧形状をしたハンガー式のドア体5と、前記円弧軌跡に沿う状態でドア体5に設けられるガイド部材8と、該ガイド部材8の外周面に沿う状態で左右両端縁部をガイド部材8に連結した長尺状の伝動ベルト10と、該伝動ベルト10を左右移動させてドア体5の開閉を行うための駆動スプロケット15が設けられた電動式の開閉機12とを備えて構成されるものであるが、この場合に、駆動スプロケット15は、ドア体5が閉鎖姿勢になったときの戸尻側端縁部5a位置と開放姿勢になったときの戸先側端縁部5b位置とのあいだの領域Xに配することでできることになって、部品点数が減少したコンパクト化したものとなり、狭いスペースであっても電動化することができる。
しかもこのものでは、開閉機12に設けられ、伝動ベルト10の左右移動を行うべく該伝動ベルト10が直接的に懸回された駆動スプロケット15は、ドア体5が閉鎖姿勢になったときの戸尻側端縁部5a位置と開放姿勢になったときの戸先側端縁部5b位置とのあいだのガイドレール7の直上領域Xに配されたものとなっている結果、該駆動スプロケット15は、ドア体5が閉鎖姿勢から開放姿勢に移動する全ての行程でドア体5の直上に位置する、というガイドレール7の中間部位置に配されることになり、この結果、ドア体5を開閉移動する際の牽引力が均等化されることになって円滑なドア体5の開閉移動を行うことができる。
【0022】
しかもこの場合に、ドア体5の下端縁部に設けた凹溝5dに係合してドア体5の下側部位において振れ止めをする振れ止め体16が、ドア体5が閉鎖姿勢になったときの戸尻側端縁部5a位置と開放姿勢になったときの戸先側端縁部5b位置とのあいだの前記領域Xに配されたものとなっているため、ドア体5は、駆動スプロケット15と上下同じ領域Xで開閉移動の牽引(駆動)と振れ止めとがなされることになってドア体5のより安定化した開閉移動することができる。
そのうえこのものでは、駆動スプロケット15が振れ止め体16の直上部位に配されていて、上下一致した配置構成になっている結果、ドア体5の牽引(駆動)位置と振れ止め位置が上下同一位置となってさらに一段と安定化した状態で開閉移動することができる。
【0023】
またこのものでは、出入り口部Eは、戸先側、戸尻側の左右前面パネル体2、3と側面パネル体4とにより四角形状に囲繞形成されるトイレブース1の左右前面パネル体間に形成されるものであり、そして駆動スプロケット15は、戸尻側前面パネル3の戸先側端縁部に対向し、かつ側面パネル4の前側端縁部に対向する部位に配されることとなって、駆動スプロケット15が設けられる開閉機12の配設を、該前面パネル体3と側面パネル体4とのコーナー部を利用して配することができ、コンパクト化に寄与できることになる。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明は、トイレブースやシャワーブース等のブース(部屋)の出入り口、さらにはビル等の建物の出入り口等の出入り口部に建て付けられる電動式の円弧状ドア装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0025】
1 トイレブース
5 ドア体
5a 戸尻側端縁部
5b 戸先側端縁部
7 ガイドレール
8 ガイド部材
10 伝動ベルト
12 開閉機
15 駆動スプロケット
16 振れ止め体
17 制御部
E 出入り口部
X 領域