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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-29
(45)【発行日】2024-03-08
(54)【発明の名称】充電コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/633 20060101AFI20240301BHJP
   H01R 13/639 20060101ALI20240301BHJP
   B60L 53/16 20190101ALI20240301BHJP
【FI】
H01R13/633
H01R13/639 Z
B60L53/16
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020144551
(22)【出願日】2020-08-28
(65)【公開番号】P2022039492
(43)【公開日】2022-03-10
【審査請求日】2023-07-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000231073
【氏名又は名称】日本航空電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117341
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 拓哉
(72)【発明者】
【氏名】久郷 和輝
【審査官】松原 陽介
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-22055(JP,A)
【文献】特開2013-8466(JP,A)
【文献】特開2020-92056(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/633
H01R 13/639
B60L 53/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被ロック部を有するインレットと前後方向に沿って嵌合可能な充電コネクタであって、
前記充電コネクタは、ロックレバーと、第1軸部と、解除阻害部と、キャップと、それらを保持するシェルを備えており、
前記シェルには解除治具を挿入可能な挿入孔が設けられており、
前記ロックレバーは、ロック部と、被当接部とを有し、
前記ロックレバーは、前記第1軸部のまわりにシーソー運動可能であり、
前記ロック部は、前記ロックレバーの前記シーソー運動に応じて、前記前後方向と直交する上下方向においてロック位置とアンロック位置との間で移動可能であり、
前記充電コネクタが前記インレットに嵌合した嵌合状態において、前記ロック部が前記ロック位置にあるとき、前記ロック部と前記被ロック部とは、前記嵌合状態をロックしており、
前記嵌合状態において、前記ロック部が前記アンロック位置にあるとき、前記充電コネクタは前記インレットから抜去可能であり、
前記上下方向において前記ロックレバーの前記被当接部の下側には、治具挿入スペースが設けられており、
前記キャップは、前記シェルの外部に部分的に露出した状態で前記シェルに取り付けられており、
前記キャップは、前記前後方向及び前記上下方向の双方と直交する横方向において収容位置と引き出し位置との間で移動可能であると共に、前記横方向に延びる軸のまわりにおいて第1回転位置と第2回転位置との間で回転可能であり、
前記解除阻害部は、少なくとも上下方向において阻害位置と前記阻害位置より下側の許容位置との間で移動可能であり、
前記キャップが前記収容位置且つ前記第1回転位置にあるとき、前記キャップは前記解除阻害部を支えており、前記解除阻害部は前記阻害位置に位置しており、
前記解除阻害部が前記阻害位置にあるとき、前記治具挿入スペースを前記解除阻害部が部分的に占めており、前記挿入孔を通して前記治具挿入スペースに解除治具を挿入することができず、
前記キャップが前記引き出し位置且つ前記第1回転位置にあるとき、前記キャップは前記解除阻害部を支えておらず、前記解除阻害部は前記許容位置まで移動することができる一方、前記キャップは前記引き出し位置から前記収容位置に移動することができず、
前記解除阻害部が前記許容位置にあるとき、前記ロック部を前記アンロック位置まで移動させるために、前記挿入孔を通して前記治具挿入スペースに解除治具を挿入して前記被当接部を持ち上げることが許容されており、
前記キャップが前記引き出し位置且つ前記第2回転位置にあるとき、前記キャップは前記収容位置まで移動可能であり、
前記キャップが前記収容位置且つ前記第2回転位置にあるとき、前記第2回転位置から前記第1回転位置まで移動させると、前記キャップが前記解除阻害部を持ち上げ、前記解除阻害部が前記阻害位置に移動する
充電コネクタ。
【請求項2】
請求項1記載の充電コネクタであって、
前記キャップは、前記横方向において第1端と第2端とを有しており、
前記第1端は、前記シェルの外側に露出する一方、前記第2端は前記シェルの内側に位置しており、
前記キャップの前記第2端には、長端部と短端部とが設けられており、
前記横方向において、前記長端部は、前記短端部より前記第1端から遠い位置まで延びており、
前記解除阻害部は、上端部と下端部とを有しており、
前記キャップが前記収容位置且つ前記第1回転位置にあるとき、前記長端部は前記解除阻害部の前記下端部を支えており、
前記キャップが前記引き出し位置且つ前記第1回転位置にあるとき、前記長端部は前記横方向において前記解除阻害部の前記下端部から離れた位置に位置しており、前記解除阻害部は前記許容位置まで移動することができる一方、前記上下方向において前記長端部の位置は前記解除阻害部の位置と部分的に重複していることから前記キャップは前記引き出し位置から前記収容位置に移動することができず、
前記キャップが前記引き出し位置且つ前記第2回転位置にあるとき、前記長端部は前記横方向に沿ってみると前記解除阻害部と重なっておらず、前記短端部は前記横方向に沿ってみると前記解除阻害部と重なっていると共に前記横方向において前記解除阻害部から離れて位置しているため、前記キャップは前記収容位置まで移動可能であり、
前記キャップが前記収容位置且つ前記第2回転位置にあるとき、前記第2回転位置から前記第1回転位置まで移動させると、前記長端部が前記解除阻害部の前記下端部を持ち上げ、前記解除阻害部が前記阻害位置に移動する
充電コネクタ。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の充電コネクタであって、
前記キャップには、主部と突部とが設けられており、
前記主部は、前記第1端を有しており、
前記突部は、前記横方向と直交する面内において前記主部から外側に突出しており、
前記シェルには、収容孔と受け部とが設けられており、
前記収容孔は、前記横方向において前記シェルを貫通していると共に、前記主部を部分的に収容しており、
前記受け部は、前記シェルの内側であって前記収容孔の周囲に位置しており、
前記引き出し位置を越えて前記キャップを前記横方向の外側に引き出そうとしても、前記突部が前記受け部に突き当たって前記引き出し位置を越える引き出しを防止している
充電コネクタ。
【請求項4】
請求項3記載の充電コネクタであって、
前記シェルには、前記キャップの回転を前記第1回転位置と前記第2回転位置との間だけに規制する回転規制部が設けられている
充電コネクタ。
【請求項5】
請求項3又は請求項4記載の充電コネクタであって、
前記収容孔は、前記横方向と直交する面内において円形形状を有しており、
前記主部は、前記横方向と直交する面内において円形の外形を有している
充電コネクタ。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれかに記載の充電コネクタであって、
前記解除阻害部の前記上端部は、露出部を有しており、
前記露出部は、前記解除阻害部が前記阻害位置にあるとき、前記ロックレバーの前記被当接部よりも後方において露出している
充電コネクタ。
【請求項7】
請求項1から請求項6までのいずれかに記載の充電コネクタであって、
前記第1軸部は、前記被当接部と前記ロック部との間に位置している
充電コネクタ。
【請求項8】
請求項1から請求項7までのいずれかに記載の充電コネクタであって、
前記充電コネクタは、前記ロック部の位置を検出する検知スイッチと、前記検知スイッチを支持するスイッチプレートとを備えており、
前記スイッチプレートは、移動可能であり、
前記スイッチプレートの一部は前記解除阻害部として機能しており、
前記スイッチプレートの移動の結果、前記解除阻害部が前記許容位置にあるとき、前記検知スイッチは前記ロック部が前記アンロック位置にあるものとして検知する
充電コネクタ。
【請求項9】
請求項8記載の充電コネクタであって、
前記充電コネクタは、第2軸部を有しており、
前記スイッチプレートは、前記第2軸部のまわりに回動可能である
充電コネクタ。
【請求項10】
請求項1から請求項9までのいずれかに記載の充電コネクタであって、
前記充電コネクタは、第3軸部と操作部材とを更に備えており、
前記操作部材は、操作部と、前端部とを有しており、
前記第3軸部は、前記操作部と前記前端部との間に位置しており、
前記操作部材は、前記第3軸部のまわりにシーソー運動可能であり、
前記前端部は、前記ロックレバーの前記被当接部の下側に位置しており、
前記操作部を押下すると、前記前端部が前記ロックレバーの前記被当接部を押し上げて、ロックを解除する
充電コネクタ。
【請求項11】
請求項1から請求項10までのいずれかに記載の充電コネクタであって、
前記充電コネクタは、前記解除阻害部を前記許容位置に向けて移動させようとする機構を更に備えている
充電コネクタ。
【請求項12】
請求項1から請求項11までのいずれかに記載の充電コネクタであって、
前記充電コネクタは、雌ネジが形成されたネジ受け部と、雄ネジとを更に備えており、
前記キャップには、前記横方向において前記ネジ受け部を受容する受容部と、前記横方向と交差する方向において前記受容部と前記キャップの外側とを連通する孔であって前記雄ネジを通す孔とが形成されており、
通常状態において、前記雄ネジは、前記孔を通して前記ネジ受け部の前記雌ネジに螺合している
充電コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、緊急離脱機構を有する充電コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1は、この種の緊急離脱機構を有する充電コネクタを開示している。図27から図31に示されるように、特許文献1の充電コネクタ900は、相手側ロック部982を有するインレット980と嵌合可能なものである。充電コネクタ900は、ロックレバー910と、操作部材920と、スイッチ930と、シェル950とを備えている。シェル950には、開口942及び孔955を夫々塞ぐようにカバー940及びキャップ960が取り付けられている。充電コネクタ900とインレット980との嵌合状態は、ロックレバー910のロック部912と相手側ロック部982によりロックされる。スイッチ930は、ロックレバー910の状態からロック状態を検知するために用いられる。作業者の感電防止のため、充電コネクタ900がインレット980に嵌合し、且つ、嵌合状態がロックされたことをスイッチ930で検知しなければ、充電コネクタ900からインレット980に電流が供給されないように制御されている。
【0003】
通常のロック解除は、操作部材920を操作してロックレバー910の後端914を押し上げ、それにより、ロック部912を下方に移動させて行う。これに対して、操作部材920の破損やシェル950内への異物の侵入などにより、操作部材920を操作してロック解除をできない場合、特許文献1の充電コネクタ900では、次のような緊急離脱操作を行う。まず、図28に示されるように、カバー940を取り外す。次に、図29に示されるように、開口942を通してシェル950内に解除治具945を挿入し、解除治具945を用いてロックレバー910の後端914を押し上げてロック部912を下げ、ロックを解除する。これにより、充電コネクタ900をインレット980から抜去することができる。
【0004】
このとき、スイッチ930は、ロックレバー910が動いたとしても解除作業中に誤って通電しないように移動させられている。そのため、緊急離脱後の充電コネクタ900を使用可能な状態にするためには、スイッチ930を元の状態に戻す必要がある。具体的には、図30及び図31から理解されるように、シェル950からキャップ960を取り外し、孔955から復帰治具965を挿入して、挿入後に復帰治具965を回す。これにより復帰治具965の先端のキー967でスイッチ930を元の状態に戻す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-22055号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、特許文献1の充電コネクタ1では、緊急離脱操作を行う際にカバー940をシェル950から取り外し、その後の復帰操作の際にシェル950からキャップ960を取り外す必要がある。この構造の場合、取り外したカバー940やキャップ960を紛失してしまうといった問題がある。
【0007】
そこで、本発明は、緊急離脱操作や復帰操作に伴う部品の紛失を避けることのできる構造を有する充電コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、第1の充電コネクタとして、
被ロック部を有するインレットと前後方向に沿って嵌合可能な充電コネクタであって、
前記充電コネクタは、ロックレバーと、第1軸部と、解除阻害部と、キャップと、それらを保持するシェルを備えており、
前記シェルには解除治具を挿入可能な挿入孔が設けられており、
前記ロックレバーは、ロック部と、被当接部とを有し、
前記ロックレバーは、前記第1軸部のまわりにシーソー運動可能であり、
前記ロック部は、前記ロックレバーの前記シーソー運動に応じて、前記前後方向と直交する上下方向においてロック位置とアンロック位置との間で移動可能であり、
前記充電コネクタが前記インレットに嵌合した嵌合状態において、前記ロック部が前記ロック位置にあるとき、前記ロック部と前記被ロック部とは、前記嵌合状態をロックしており、
前記嵌合状態において、前記ロック部が前記アンロック位置にあるとき、前記充電コネクタは前記インレットから抜去可能であり、
前記上下方向において前記ロックレバーの前記被当接部の下側には、治具挿入スペースが設けられており、
前記キャップは、前記シェルの外部に部分的に露出した状態で前記シェルに取り付けられており、
前記キャップは、前記前後方向及び前記上下方向の双方と直交する横方向において収容位置と引き出し位置との間で移動可能であると共に、前記横方向に延びる軸のまわりにおいて第1回転位置と第2回転位置との間で回転可能であり、
前記解除阻害部は、少なくとも上下方向において阻害位置と前記阻害位置より下側の許容位置との間で移動可能であり、
前記キャップが前記収容位置且つ前記第1回転位置にあるとき、前記キャップは前記解除阻害部を支えており、前記解除阻害部は前記阻害位置に位置しており、
前記解除阻害部が前記阻害位置にあるとき、前記治具挿入スペースを前記解除阻害部が部分的に占めており、前記挿入孔を通して前記治具挿入スペースに解除治具を挿入することができず、
前記キャップが前記引き出し位置且つ前記第1回転位置にあるとき、前記キャップは前記解除阻害部を支えておらず、前記解除阻害部は前記許容位置まで移動することができる一方、前記キャップは前記引き出し位置から前記収容位置に移動することができず、
前記解除阻害部が前記許容位置にあるとき、前記ロック部を前記アンロック位置まで移動させるために、前記挿入孔を通して前記治具挿入スペースに解除治具を挿入して前記被当接部を持ち上げることが許容されており、
前記キャップが前記引き出し位置且つ前記第2回転位置にあるとき、前記キャップは前記収容位置まで移動可能であり、
前記キャップが前記収容位置且つ前記第2回転位置にあるとき、前記第2回転位置から前記第1回転位置まで移動させると、前記キャップが前記解除阻害部を持ち上げ、前記解除阻害部が前記阻害位置に移動する
充電コネクタを提供する。
【0009】
また、本発明は、第2の充電コネクタとして、第1の充電コネクタであって、
前記キャップは、前記横方向において第1端と第2端とを有しており、
前記第1端は、前記シェルの外側に露出する一方、前記第2端は前記シェルの内側に位置しており、
前記キャップの前記第2端には、長端部と短端部とが設けられており、
前記横方向において、前記長端部は、前記短端部より前記第1端から遠い位置まで延びており、
前記解除阻害部は、上端部と下端部とを有しており、
前記キャップが前記収容位置且つ前記第1回転位置にあるとき、前記長端部は前記解除阻害部の前記下端部を支えており、
前記キャップが前記引き出し位置且つ前記第1回転位置にあるとき、前記長端部は前記横方向において前記解除阻害部の前記下端部から離れて位置に位置しており、前記解除阻害部は前記許容位置まで移動することができる一方、前記上下方向において前記長端部の位置は前記解除阻害部の位置と部分的に重複していることから前記キャップは前記引き出し位置から前記収容位置に移動することができず、
前記キャップが前記引き出し位置且つ前記第2回転位置にあるとき、前記長端部は前記横方向に沿ってみると前記解除阻害部と重なっておらず、前記短端部は前記横方向に沿ってみると前記解除阻害部と重なっていると共に前記横方向において前記解除阻害部から離れて位置しているため、前記キャップは前記収容位置まで移動可能であり、
前記キャップが前記収容位置且つ前記第2回転位置にあるとき、前記第2回転位置から前記第1回転位置まで移動させると、前記長端部が前記解除阻害部の前記下端部を持ち上げ、前記解除阻害部が前記阻害位置に移動する
充電コネクタを提供する。
【0010】
また、本発明は、第3の充電コネクタとして、第1又は第2の充電コネクタであって、
前記第1軸部は、前記被当接部と前記ロック部との間に位置している
充電コネクタを提供する。
【0011】
また、本発明は、第4の充電コネクタとして、第1から第3までのいずれかの充電コネクタであって、
前記キャップには、主部と突部とが設けられており、
前記主部は、前記第1端を有しており、
前記突部は、前記横方向と直交する面内において前記主部から外側に突出しており、
前記シェルには、収容孔と受け部とが設けられており、
前記収容孔は、前記横方向において前記シェルを貫通していると共に、前記主部を部分的に収容しており、
前記受け部は、前記シェルの内側であって前記収容孔の周囲に位置しており、
前記引き出し位置を越えて前記キャップを前記横方向の外側に引き出そうとしても、前記突部が前記受け部に突き当たって前記引き出し位置を越える引き出しを防止している
充電コネクタを提供する。
【0012】
また、本発明は、第5の充電コネクタとして、第4の充電コネクタであって、
前記シェルには、前記キャップの回転を前記第1回転位置と前記第2回転位置との間だけに規制する回転規制部が設けられている
充電コネクタを提供する。
【0013】
また、本発明は、第6の充電コネクタとして、第4又は第5の充電コネクタであって、
前記収容孔は、前記横方向と直交する面内において円形形状を有しており、
前記主部は、前記横方向と直交する面内において円形の外形を有している
充電コネクタを提供する。
【0014】
また、本発明は、第7の充電コネクタとして、第1から第6までのいずれかの充電コネクタであって、
前記充電コネクタは、前記ロック部の位置を検出する検知スイッチと、前記検知スイッチを支持するスイッチプレートとを備えており、
前記スイッチプレートは、移動可能であり、
前記スイッチプレートの一部は前記解除阻害部として機能しており、
前記スイッチプレートの移動の結果、前記解除阻害部が前記許容位置にあるとき、前記検知スイッチは前記ロック部が前記アンロック位置にあるものとして検知する
充電コネクタを提供する。
【0015】
また、本発明は、第8の充電コネクタとして、第7の充電コネクタであって、
前記充電コネクタは、第2軸部を有しており、
前記スイッチプレートは、前記第2軸部のまわりに回動可能である
充電コネクタを提供する。
【0016】
また、本発明は、第9の充電コネクタとして、第1から第8までのいずれかの充電コネクタであって、
前記解除阻害部の前記上端部は、露出部を有しており、
前記露出部は、前記解除阻害部が前記阻害位置にあるとき、前記ロックレバーの前記被当接部よりも後方において露出している
充電コネクタを提供する。
【0017】
また、本発明は、第10の充電コネクタとして、第9の充電コネクタであって、
前記充電コネクタは、第3軸部と操作部材とを更に備えており、
前記操作部材は、操作部と、前端部とを有しており、
前記第3軸部は、前記操作部と前記前端部との間に位置しており、
前記操作部材は、前記第3軸部のまわりにシーソー運動可能であり、
前記前端部は、前記ロックレバーの前記被当接部の下側に位置しており、
前記操作部を押下すると、前記前端部が前記ロックレバーの前記被当接部を押し上げて、ロックを解除する
充電コネクタを提供する。
【0018】
また、本発明は、第11の充電コネクタとして、第1から第10までのいずれかの充電コネクタであって、
前記充電コネクタは、前記解除阻害部を前記許容位置に向けて移動させようとする機構を更に備えている
充電コネクタを提供する。
【0019】
また、本発明は、第12の充電コネクタとして、第1から第11までのいずれかの充電コネクタであって、
前記充電コネクタは、雌ネジが形成されたネジ受け部と、雄ネジとを更に備えており、
前記キャップには、前記横方向において前記ネジ受け部を受容する受容部と、前記横方向と交差する方向において前記受容部と前記キャップの外側とを連通する孔であって前記雄ネジを通す孔とが形成されており、
通常状態において、前記雄ネジは、前記孔を通して前記ネジ受け部の前記雌ネジに螺合している
充電コネクタを提供する。
【発明の効果】
【0020】
本発明による緊急離脱操作の際には、シェルに取り付けられているキャップを引き出し位置まで引き出すことで解除阻害部をシェル内において阻害位置から許容位置まで移動させて、治具挿入スペースに解除治具を挿入可能な状態としている。これにより、解除治具によりロックレバーの被当接部を移動させて、ロックを解除することができる。一方、本発明による復帰操作の際には、引き出し位置にあるキャップを第1回転位置から第2回転位置まで回転させた後、引き出し位置から収容位置まで移動させ、その後、第2回転位置から第1回転位置まで回転させることとしている。これにより、キャップにより解除阻害部を持ち上げて解除阻害部を阻害位置まで移動させることができる。このように、本発明によれば、シェル内の部位又は部材の移動により緊急離脱操作及び復帰操作を実現している。従って、本発明は、緊急離脱操作や復帰操作に伴う部品の紛失を避けることのできる充電コネクタを提供できる
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施の形態による充電コネクタを示す斜視図である。キャップは、収容位置にある。
図2図1の充電コネクタの内部構造を概略的に示す斜視図である。
図3図1の充電コネクタに含まれる内部ユニットを示す斜視図である。
図4図3の内部ユニットを示す左側面図である。
図5図3の内部ユニットを示す背面図である。
図6図3の内部ユニットを示す右側面図である。
図7図3の内部ユニットを示す他の斜視図である。キャップが支持部から外されている。
図8図3の内部ユニットに含まれるロックレバーを示す斜視図である。
図9図3の内部ユニットに含まれるスイッチ及びスイッチプレートを示す斜視図である。
図10図1の充電コネクタに含まれるシェルを示す側面図である。
図11図10のシェルを示す斜視図である。
図12図3の内部ユニットに含まれるキャップを示す斜視図である。
図13図12のキャップを示す他の斜視図である。
図14図10のシェルと図13のキャップとの組み合わせを示す側面図である。
図15図1の充電コネクタの内部構造を示す側面図である。解除阻害部は阻害位置にあり、解除治具を治具挿入スペースに挿入できない。
図16図1の充電コネクタを示す他の斜視図である。キャップは引き出し位置にある。
図17図16の充電コネクタに含まれる内部ユニットを示す斜視図である。解除阻害部は許容位置にあり、治具挿入スペースが空いている。
図18図16の充電コネクタの内部構造を示す側面図である。挿入孔から治具挿入スペースまで通じる通路ができている。
図19図18の充電コネクタの内部構造を示す他の側面図である。通路を通して解除治具がシェル内に挿入されている。
図20図16の充電コネクタを示す他の斜視図である。キャップは、復帰治具を用いて第2回転位置まで回転させられている。
図21図20の充電コネクタに含まれる内部ユニットを示す斜視図である。
図22図20の充電コネクタを示す他の斜視図である。キャップは、復帰治具を用いて収容位置まで移動させられている。
図23図22の充電コネクタに含まれる内部ユニットを示す斜視図である。
図24図23の内部ユニットを図5のA-A線に沿って示す断面図である。
図25図22の充電コネクタを示す他の斜視図である。キャップは、復帰治具を用いて第1回転位置まで回転させられている。
図26図5の内部ユニットをA-A線に沿って示す断面図である。
図27】特許文献1の充電コネクタ及びインレットの内部構造を示す側面図である。
図28図27の内部構造を示す他の側面図である。カバーが外されている。
図29図28の内部構造を示す他の側面図である。開口を通して解除治具が挿入されている。
図30図27の充電コネクタを示す斜視図である。
図31図30の充電コネクタを示す他の斜視図である。キャップが取り外されている。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1及び図2を参照して、本発明の実施の形態による充電コネクタ1は、例えば、電気自動車に設けられたインレット(図示せず)と前後方向に沿って嵌合可能なものである。ここで、インレットは特許文献1に示されるように被ロック部を有している。本実施の形態において、前後方向はX方向である。また、前方は-X方向であり、後方は+X方向である。
【0023】
充電コネクタ1は、シェル10と、シェル10内に収容され保持された内部ユニット30とを備えている。
【0024】
図10及び図11を参照すると、シェル10には、挿入孔12と、収容孔16と、受け部18と、第1回転規制部20と、第2回転規制部22とが設けられている。
【0025】
図1及び図2に示されるように、本実施の形態の挿入孔12は常時後方に開口している。図15図18及び図19を参照して、挿入孔12は緊急離脱操作を行う際に解除治具800を挿入するために用いられる(後述)。但し、本発明はこれに限定されるわけではなく、シェル10に挿入孔12を開閉するシャッターを設けて、挿入孔12を必要に応じて開口させる構造としてもよい。
【0026】
図10及び図11から理解されるように、収容孔16は、横方向においてシェル10を貫通していると共に、横方向と直交する面内において円形形状を有している。本実施の形態において、横方向はY方向である。右方は+Y方向であり、左方は-Y方向である。また、横方向と直交する平面はXZ平面である。
【0027】
受け部18は、シェル10の内側であって収容孔16の周囲に位置している。本実施の形態の受け部18は約1/4円の円弧状形状を有している。第1回転規制部20と第2回転規制部22は、円弧状形状の受け部18の両端に設けられている。第1回転規制部20と第2回転規制部22は、受け部18よりも横方向において内側に張り出している。図示された第1回転規制部20と第2回転規制部22は、受け部18よりも左方に張り出している。換言すると、受け部18は、第1回転規制部20及び第2回転規制部22よりも横方向において外側に凹んでいる。図示された受け部18は、右方に凹んでいる。
【0028】
図3から図7を参照して、内部ユニット30は、ロックレバー100と、第1軸部150と、検知スイッチ300と、スイッチプレート400と、ばね430と、第2軸部450と、ネジ受け部500と、雄ネジ550と、支持部570と、操作部材700と、第3軸部750とを備えている。
【0029】
図8に示されるように、ロックレバー100は、ロック部110と、被当接部120と、第1軸受部130とを有している。本実施の形態のロック部110は、ロックレバー100の前端に設けられている。また、本実施の形態のロックレバー100において、第1軸受部130は、ロック部110と被当接部120との間に位置している。即ち、本実施の形態の被当接部120は、ロックレバー100の後端に設けられている。但し、本発明はこれに限定されない。被当接部120は、ロック部110と第1軸受部130との間に位置していてもよい。
【0030】
図3及び図8から理解されるように、第1軸部150は、第1軸受部130に軸支されており、ロックレバー100は、第1軸部150のまわりにシーソー運動可能である。但し、本発明はこれに限定されるわけではなく、例えば、第1軸部150をロックレバー100と一体に形成してもよい。その場合、内部ユニット30又はシェル10に第1軸受部130を設けることとしてもよい。
【0031】
ロック部110は、ロックレバー100のシーソー運動に応じて、前後方向と直交する上下方向においてロック位置とアンロック位置との間で移動可能である。本実施の形態において、上下方向はZ方向である。また、上方は+Z方向であり、下方は-Z方向である。このことから理解されるように、本実施の形態においては、ロック位置はアンロック位置より上側に位置している。但し、本発明はこれに限定されるわけではなく、アンロック位置がロック位置より上側に位置していてもよい。
【0032】
充電コネクタ1がインレット(図示せず)に嵌合した嵌合状態において、ロック部110がロック位置にあるとき、ロック部110とインレットの被ロック部とは、嵌合状態をロックしている。嵌合状態において、ロック部110がアンロック位置にあるとき、充電コネクタ1はインレットから抜去可能である。
【0033】
図15及び図18に示されるように、上下方向においてロックレバー100の被当接部120の下側には、治具挿入スペース14が設けられている。図18に示される状態下においては、挿入孔12と治具挿入スペース14とが連通する。具体的な状態については、後述する。
【0034】
図6を参照して、検知スイッチ300は、ロックレバー100の姿勢又はロック部110の位置を検出するためのものである。図9に示されるように、検知スイッチ300は、スイッチボタン310を有している。図6及び図9を参照して、ロック部110がロック位置にあるとき、被当接部120がスイッチボタン310を押下して検知スイッチ300がオンになり、ロック部110がアンロック位置にあるとき、検知スイッチ300はオフになる。検知スイッチ300により検知したロックレバー100の状態に基づいて充電コネクタ1は通電状態又は電流遮断状態をとる。
【0035】
図9に示されるように、スイッチプレート400は、検知スイッチ300を支持している。図示されたスイッチプレート400は、第2軸受部410と、解除阻害部420とを有している。即ち、本実施の形態において、スイッチプレート400の一部が解除阻害部420として機能している。
【0036】
図3図8及び図17から理解されるように、第2軸受部410は、第2軸部450を軸支している。これにより、スイッチプレート400は、第2軸部450のまわりに回動可能である。但し、本発明はこれに限定されるわけではなく、例えば、第2軸部450をスイッチプレート400と一体に形成してもよい。その場合、内部ユニット30又はシェル10に第2軸受部410を設けることとしてもよい。
【0037】
具体的には、本実施の形態のスイッチプレート400は、図3の通常位置と図17の退避位置との間で移動可能である。スイッチプレート400が通常位置にあるとき、検知スイッチ300は、ロック部110がロック位置にあるときオンになり、ロック部110がアンロック位置にあるときオフになる。これに対して、スイッチプレート400が退避位置にあるとき、検知スイッチ300は、ロック部110の位置にかかわらず、オフになる。即ち、スイッチプレート400が退避位置にあるとき、検知スイッチ300は、ロック部110が疑似的にアンロック位置にあるものとして検知する。
【0038】
なお、図3から理解されるように、本実施の形態において、第1軸部150と第2軸部450とは一つの部材で構成されている。但し、本発明はこれに限定されるわけではなく、第1軸部150と第2軸部450とを別体として構成してもよい。
【0039】
図9に示されるように、解除阻害部420は、断面コの字状の形状を有しており、上端部422と下端部426とを有している。本実施の形態の解除阻害部420は、検知スイッチ300の近くであって後側に位置している。上述したように、本実施の形態の解除阻害部420は、スイッチプレート400の一部として形成されている。そのため、スイッチプレート400の移動に伴って、解除阻害部420も移動する。具体的には、解除阻害部420は、図3の阻害位置と図17の許容位置との間で移動可能である。即ち、本実施の形態において、スイッチプレート400が通常位置にあるとき、解除阻害部420は阻害位置にあり、スイッチプレート400が退避位置にあるとき、解除阻害部420は許容位置にある。スイッチプレート400の移動の結果、解除阻害部420が許容位置にあるとき、検知スイッチ300はロック部110が疑似的にアンロック位置にあるものとして検知する。
【0040】
図3及び図17から理解されるように、上下方向において、許容位置は阻害位置より下側である。図3及び図9から理解されるように、解除阻害部420が阻害位置にあるとき、解除阻害部420の上端部422はロックレバー100の被当接部120に近く、その間には治具を挿入できない。これに対して、図9及び図17から理解されるように、解除阻害部420が許容位置にあるとき、解除阻害部420の上端部422はロックレバー100の被当接部120から離れており、解除阻害部420の上端部422とロックレバー100の被当接部120の間に治具を挿入可能である。
【0041】
図9に示されるように、解除阻害部420の上端部422は、露出部424を有している。換言すると、上端部422の後側の一部は露出部424として機能している。図6及び図15に示されるように、露出部424は、解除阻害部420が阻害位置にあるとき、ロックレバー100の被当接部120よりも後方において露出している。露出部424があると、後述するように、緊急離脱操作時に有利である。
【0042】
ばね430は、スイッチプレート400の一部に引っ掛けられており、スイッチプレート400を常に退避位置に移動させようとスイッチプレート400に力を加えている。上述したように、スイッチプレート400の退避位置と解除阻害部420の許容位置とは対応している。このことから理解されるように本実施の形態のばね430は、解除阻害部420を常に許容位置に向けて移動させようとしている。換言すると、本実施の形態の充電コネクタ1の内部ユニット30は、解除阻害部420を許容位置に向けて移動させようとする機構を備えている。但し、本発明はこれに限定されるわけではなく、ばね430のような機構を供えていなくてもよい。当該機構を備えていない場合には、必要に応じて、解除阻害部420を直接又は間接的に操作して許容位置に移動させる。
【0043】
図7に示されるように、ネジ受け部500は、内部ユニット30に含まれる金属部材の一部であり、支持部570は、内部ユニット30に含まれる樹脂部材の一部である。ネジ受け部500には雌ネジ510が切られている。雌ネジ510は、後述するように、図3に示される雄ネジ550と対応している。図7に示されるように、支持部570は、円柱の一部のような形状を有しており、ネジ受け部500を支持している。本実施の形態のネジ受け部500は支持部570より横方向において外側に突出しており、そこに雌ネジ510が形成されている。後述するように、ネジ受け部500と支持部570を受容するように、キャップ600が取り付けられている。
【0044】
図4に示されるように、操作部材700は、操作部710と、前端部720とを有している。第3軸部750は、操作部710と前端部720との間に位置しており、操作部材700は、第3軸部750のまわりにシーソー運動可能である。前端部720は、ロックレバー100の被当接部120の下側に位置している。操作部710を押下すると、前端部720がロックレバー100の被当接部120を押し上げて、ロック部110をロック位置からアンロック位置に移動させる。即ち、操作部710を押下すると、ロック部110によるロックを解除することができる。内部ユニット30は、操作部材700の下側にプランジャなどを含む操作規制機構(詳細は図示せず)を備えている。これは充電コネクタ1を用いた充電中に操作部710を誤って押下してしまうことのないように、操作部材700の操作を規制する機構である。
【0045】
図12及び図13に示されるように、キャップ600は、主部610と突部650とを有している。主部610は、横方向と直交する面内において円形の外形を有している。主部610は、横方向において第1端620と第2端630とを有している。本実施の形態において、第1端620は右端であり、第2端630は左端である。第1端620は基本的に閉じており、第2端630は開いている。第1端620には、治具嵌合部622が設けられている。本実施の形態の治具嵌合部622は、2か所の凹部である。図20に示されるように、治具嵌合部622には、後述する復帰治具850が嵌められる。再び、図12及び図13を参照して、突部650は、横方向と直交する面内において主部610の第2端630近傍から外側に突出している。主部610の第2端630には、長端部632と短端部634とが設けられている。横方向において、長端部632は、短端部634より第1端620から遠い位置まで延びている。本実施の形態において、長端部632は、短端部634より左側まで延びている。図7及び図13に示されるように、主部610には、受容部640と孔642とが設けられている。受容部640は、略円柱状に凹んでおり、ネジ受け部500と支持部570とを受容する。換言すると、主部610は第1端620において底のある略円筒形状を有している。孔642は、横方向と交差する方向において受容部640(即ち、キャップ600の内側)とキャップ600の外側とを連通している。図7及び図16から理解されるように、孔642は、キャップ600に受容されたネジ受け部500の雌ネジ510に雄ネジ550を螺合するために使用される。
【0046】
図2図3及び図11から理解されるように、キャップ600は内部ユニット30の一部としてシェル10に組み込まれる。このとき、キャップ600の主部610がシェル10の収容孔16に部分的に収容される。詳しくは、キャップ600の第1端620はシェル10の外側に露出する一方、第2端630はシェル10の内側に位置している。通常状態において、雄ネジ550は、孔642を通してネジ受け部500の雌ネジ510に螺合している。そのため、キャップ600は固定されており移動できない。
【0047】
一方、雄ネジ550を外せば、キャップ600は移動可能となる。例えば、キャップ600の受容部640は、支持部570の形状を収容可能な略円筒状の凹みであるので。雄ネジ550で固定されていなければ、キャップ600は、横方向にも移動可能であり、また横方向に延びる軸のまわりに回転させることもできる。但し、以下に説明するように、シェル10の構造によりキャップ600の移動は制限されており、シェル10外に分離されてしまうことはない。
【0048】
図7並びに図10から図14から理解されるように、雄ネジ550を外すと、キャップ600は横方向に移動可能であるが、キャップ600をシェル10の外側に引き出そうとすると、突部650が受け部18に突き当たる。このときのキャップ600の横方向における位置を「引き出し位置」という。一方、キャップ600の通常の位置(例えば、雄ネジ550が示されているときのキャップ600の横方向における位置)を「収容位置」という。即ち、本実施の形態のキャップ600は、雄ネジ550を外せば、横方向において収容位置と引き出し位置との間で移動可能であるが、引き出し位置を越えてキャップ600を横方向の外側に引き出そうとしても、突部650が受け部18に突き当たって引き出し位置を越えるキャップ600の引き出しが防止されている。このように、本実施の形態において、突部650と受け部18とは、キャップ600の抜け止め機構として機能している。但し、本発明はこれに限定されるわけではなく、抜け止め機構は他の構造を有していてもよい。
【0049】
また、雄ネジ550を外すと、キャップ600は横方向に延びる軸のまわりに回転可能であるが、突部650の横方向の位置によっては、キャップ600を回転させようとしても第1回転規制部20や第2回転規制部22に突き当たる。突部650が第1回転規制部20に突き当たったときのキャップ600の位置を「第1回転位置」という。一方、突部650が第2回転規制部22に突き当たったときのキャップ600の位置を「第2回転位置」という。即ち、本実施の形態のキャップ600は、雄ネジ550を外せば、横方向に延びる軸のまわりにおいて第1回転位置と第2回転位置との間で回転可能である。一方、第1回転位置を越えて回転させようとしても、突部650が第1回転規制部20に突き当たり、そのような回転はできない。同様に、第2回転位置を越えて回転させようとしても、突部650が第2回転規制部22に突き当たり、そのような回転はできない。即ち、第1回転規制部20と第2回転規制部22は、キャップ600の回転を第1回転位置と第2回転位置との間だけに規制する回転規制部として機能する。
【0050】
このように、本実施の形態のキャップ600は、横方向において収容位置と引き出し位置との間で移動可能であると共に、横方向に延びる軸のまわりにおいて第1回転位置と第2回転位置との間で回転可能である。上述した長端部632と短端部634は、収容位置、引き出し位置、第1回転位置及び第2回転位置の組み合わせにより、以下に説明するような動きを実現するようなサイズを有している。以下、キャップ600の位置と緊急離脱操作及び復帰操作について図面を用いて説明する。
【0051】
図1図3図15及び図26に示されるように、キャップ600が収容位置且つ第1回転位置にあるとき、長端部632は解除阻害部420の下端部426を支えており、解除阻害部420は阻害位置に位置している。前述のように、図6のばね430は常に解除阻害部420を許容位置に移動させる力を加えているが、キャップ600の長端部632が解除阻害部420の下端部426を支えていることから、解除阻害部420は阻害位置から許容位置に移動することができない。
【0052】
図15に示されるように、解除阻害部420が阻害位置にあるとき、治具挿入スペース14を解除阻害部420が部分的に占めている。従って、挿入孔12を通して治具挿入スペース14に解除治具800を挿入することができない。通常使用時の充電コネクタ1の状態はこのようになっている。この状態において例えば図1の操作部材700の操作部710を押してロック状態を解除できなくなった場合、次の緊急離脱操作を行う。
【0053】
図16から図18に示されるように、雄ネジ550を外して、キャップ600を移動可能とし、キャップ600を収容位置から引き出し位置まで移動させる。キャップ600が引き出し位置且つ第1回転位置にあるとき、長端部632は横方向において解除阻害部420の下端部426から離れた位置に位置している。即ち、キャップ600は解除阻害部420を支えていない。そのため、解除阻害部420は許容位置まで移動することができる。特に、本実施の形態の内部ユニット30はばね430を有しているので、キャップ600が解除阻害部420を支えなくなった時点で、解除阻害部420はばね430により許容位置に移動させられる。一方、図17及び図18から理解されるように、上下方向において長端部632の位置は解除阻害部420の位置と部分的に重複している(即ち、横方向に沿ってみた場合に、長端部632と解除阻害部420とが部分的に重なっている)ことからキャップ600は引き出し位置から収容位置に移動することができない。つまり、本実施の形態のキャップ600は、引き出し位置に移動させた後は、後述する復帰操作を行わなければ、収容位置に戻すことができない。
【0054】
本実施の形態の解除阻害部420はスイッチプレート400の一部として設けられている。そのため、解除阻害部420が許容位置に移動すると、スイッチプレート400が退避位置に移動する。従って、充電コネクタ1は、電流遮断状態となり、緊急離脱操作中に作業者が誤って感電することを防止することができる。
【0055】
図18及び図19を参照して、解除阻害部420が許容位置にあるとき、挿入孔12を通して治具挿入スペース14に解除治具800を挿入することができる。また、それにより、解除治具800でロックレバー100の被当接部120を持ち上げて、ロック部110をアンロック位置まで移動させ、ロックを解除することができる。
【0056】
ここで、本実施の形態の解除阻害部420は、露出部424を有している。そのため、挿入孔12を通して解除治具800を挿入する際に、解除治具800の先端が露出部424に突き当たりやすくなる。そのため、例えば、挿入孔12から充電コネクタ1の内側が見えにくいような場合であっても、解除治具800の先端を被当接部120の下側に容易に位置させることができる。
【0057】
次に、キャップ600を収容位置に戻すと共に解除阻害部420を阻害位置に戻すための復帰操作について説明する。
【0058】
図20及び図21に示されるように、復帰治具850を治具嵌合部622に嵌め、キャップ600を第1回転位置から第2回転位置まで回転移動させる。図17図20及び図21から理解されるように、キャップ600が引き出し位置且つ第2回転位置にあるとき、長端部632は横方向に沿ってみると解除阻害部420と重なっていない。一方、短端部634は横方向に沿ってみると解除阻害部420と重なっているが、横方向において解除阻害部420から離れて位置している。従って、キャップ600は収容位置まで移動可能である。即ち、図22に示されるように、復帰治具850を用いてシェル10内に向けて(即ち、実施の形態においては左方に)キャップ600を押すことができる。これにより、図22から図24に示されるように、キャップ600は、収容位置且つ第2回転位置に位置する。
【0059】
キャップ600が収容位置且つ第2回転位置にあるとき、長端部632は、横方向において解除阻害部420の下端部426と重なっているが、上下方向において解除阻害部420の下端部426よりも下側に位置している。この状態において、図25に示されるようにキャップ600を第2回転位置から第1回転位置まで移動させる。すると、図26に示されるように、キャップ600の長端部632が解除阻害部420の下端部426を持ち上げ、解除阻害部420が阻害位置に移動する。これにより、スイッチプレート400も通常位置に戻り、充電コネクタ1は、図1に示される通常の状態に戻る。
【0060】
以上、本発明について、実施の形態を掲げて具体的に説明してきたが、本発明はこれに限定されるわけではなく、種々の変形が可能である。
【0061】
上述した本実施の形態において、解除阻害部420はスイッチプレート400の一部として形成されているが、本発明はこれに限定されるわけではない。解除阻害部420は、阻害位置と許容位置との間で移動可能である限り、スイッチプレート400とは別個に設けられていてもよい。また、本実施の形態の解除阻害部420は、断面コの字状の形状を有していたが、本発明はこれに限定されるわけではない。解除阻害部420は、上端部422及び下端部426を有している限り、例えばブロック状であってもよい。
【0062】
上述した本実施の形態において、ロックレバー100の操作は、ロックレバー100とは別体の操作部材700を用いて行っていたが、本発明はこれに限定されるわけではない。例えば、ロックレバー100と操作部材700を概念的に一体化したり、ロックレバー100を直接操作することとしてもよい。
【0063】
上述した実施の形態において、キャップ600の主部610及びシェル10の収容孔16は、横方向と直交する面内において円形を有していたが、本発明はこれに限定されるわけではない。例えば、キャップ600は回転と横方向への移動ができるのであれば、どのような形状であってもよい。また、収容孔16は回転や移動を阻害しないのであれば、どのような形状であってもよい。但し、シェル10内に異物が入り込まないようにするためには、キャップ600の主部610及びシェル10の収容孔16は横方向と直交する面内において円形を有している方が好ましい。
【0064】
上述した実施の形態において、キャップ600は雄ネジ550を外した後に手動で横方向外側に引き出すこととしていたが、本発明はこれに限定されるわけではない。例えば、雄ネジ550を外すと、キャップ600が収容位置から引き出し位置に自動的に移動するよう構成してもよい。
【0065】
上述した実施の形態において、雄ネジ550は完全に外せるものであったが、雄ネジ550は完全に抜けるものではないように構成してもよい。例えば、雄ネジ550に抜け止めを設けてもよく、それに伴い、キャップ600の形状を変更してもよい。
【符号の説明】
【0066】
1 充電コネクタ
10 シェル
12 挿入孔
14 治具挿入スペース
16 収容孔
18 受け部
20 第1回転規制部
22 第2回転規制部
30 内部ユニット
100 ロックレバー
110 ロック部
120 被当接部
130 第1軸受部
150 第1軸部
300 検知スイッチ
310 スイッチボタン
400 スイッチプレート
410 第2軸受部
420 解除阻害部
422 上端部
424 露出部
426 下端部
430 ばね
450 第2軸部
500 ネジ受け部
510 雌ネジ
550 雄ネジ
570 支持部
600 キャップ
610 主部
620 第1端
622 治具嵌合部
630 第2端
632 長端部
634 短端部
640 受容部
642 孔
650 突部
700 操作部材
710 操作部
720 前端部
750 第3軸部
800 解除治具
850 復帰治具
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31