(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-29
(45)【発行日】2024-03-08
(54)【発明の名称】加熱装置及び蓄電装置
(51)【国際特許分類】
H05B 3/20 20060101AFI20240301BHJP
H01M 10/615 20140101ALI20240301BHJP
H01M 10/623 20140101ALI20240301BHJP
H01M 10/6571 20140101ALI20240301BHJP
H05B 3/00 20060101ALI20240301BHJP
H05B 3/06 20060101ALI20240301BHJP
【FI】
H05B3/20 340
H01M10/615
H01M10/623
H01M10/6571
H05B3/00 370
H05B3/06 B
(21)【出願番号】P 2020149851
(22)【出願日】2020-09-07
【審査請求日】2023-08-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】赤坂 俊輔
(72)【発明者】
【氏名】天本 百合奈
(72)【発明者】
【氏名】中原 健
【審査官】柳本 幸雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-3020(JP,A)
【文献】特開2010-278142(JP,A)
【文献】特開2005-114534(JP,A)
【文献】特開2010-230385(JP,A)
【文献】特開2016-138797(JP,A)
【文献】特開2007-149598(JP,A)
【文献】特開2010-67584(JP,A)
【文献】特表2014-511553(JP,A)
【文献】特開2012-243535(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 3/20
H01M 50/20
H01M 10/615
H01M 10/623
H01M 10/657-10/6571
H05B 3/00
H05B 3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に配置され、かつ前記基板に電気的に接続されている複数のマイクロヒータとを備え、
前記複数のマイクロヒータは、アレイ状に配置されており、
前記複数のマイクロヒータの各々は、第1シリコン基板と、絶縁膜と、ヒータとを有しており、
前記第1シリコン基板には、前記第1シリコン基板を厚さ方向に沿って貫通している第1開口部が形成されており、
前記絶縁膜は、前記ヒータが配置されている中央部と、前記第1シリコン基板上に配置されている周辺部と、前記中央部及び前記周辺部を接続し、前記中央部を前記第1開口部上において支持している接続部とを含む、加熱装置。
【請求項2】
複数の第2シリコン基板をさらに備え、
前記複数の第2シリコン基板の各々は、前記複数のマイクロヒータの各々と前記基板との間に配置されている、請求項1に記載の加熱装置。
【請求項3】
前記複数の第2シリコン基板の各々には、前記複数の第2シリコン基板の各々を厚さ方向に沿って貫通しているビアホールが形成されており、
前記複数の第2シリコン基板の各々は、前記ビアホール内に配置され、かつ前記複数のマイクロヒータの各々と前記基板とを電気的に接続している導体を有する、請求項2に記載の加熱装置。
【請求項4】
前記複数の第2シリコン基板の各々には、前記複数の第2シリコン基板の各々を厚さ方向に沿って貫通している第2開口部が形成されており、
前記複数の第2シリコン基板の各々は、前記第2開口部が前記第1開口部と重なるように配置されている、請求項2又は請求項3に記載の加熱装置。
【請求項5】
前記基板には、前記基板を厚さ方向に沿って貫通している複数の第3開口部が形成されており、
前記基板は、前記複数の第3開口部の各々が前記複数のマイクロヒータの各々の前記第1開口部及び前記複数の第2シリコン基板の各々の前記第2開口部と重なるように配置されている、請求項4に記載の加熱装置。
【請求項6】
前記基板は、フレキシブルプリント基板である、請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の加熱装置。
【請求項7】
コントローラをさらに備え、
前記コントローラは、前記複数のマイクロヒータに接続され、かつ前記複数のマイクロヒータの各々の前記ヒータの動作を個別に制御可能に構成されている、請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の加熱装置。
【請求項8】
電池パックと、
請求項1~請求項7のいずれか1項に記載の前記加熱装置とを備え、
前記基板は、前記電池パック上に配置されている、蓄電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、加熱装置及び蓄電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2006-286508号公報(特許文献1)には、充電装置が記載されている。特許文献1に記載の充電装置は、電池パックと、温度調整用ヒータとを有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の充電装置においては、温度調整用ヒータの熱容量が大きい。そのため、特許文献1に記載の充電装置においては、加熱効率が低く、加熱に時間がかかる。
【0005】
本開示は、上記のような従来技術の問題点に鑑みたものである。より具体的には、本開示は、効率的に被加熱体に対する加熱が可能な加熱装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の加熱装置は、基板と、基板上に配置され、かつ基板に電気的に接続されている複数のマイクロヒータとを備えている。複数のマイクロヒータは、アレイ状に配置されている。複数のマイクロヒータの各々は、第1シリコン基板と、絶縁膜と、ヒータとを有している。第1シリコン基板には、第1シリコン基板を厚さ方向に沿って貫通している第1開口部が形成されている。絶縁膜は、ヒータが配置されている中央部と、第1シリコン基板上に配置されている周辺部と、中央部及び周辺部を接続し、中央部を第1開口部上において支持している接続部とを含む。
【0007】
上記の加熱装置は、さらに、複数の第2シリコン基板を備えていてもよい。複数の第2シリコン基板の各々は、複数のマイクロヒータの各々と基板との間に配置されていてもよい。
【0008】
上記の加熱装置では、複数の第2シリコン基板の各々に、複数の第2シリコン基板の各々を厚さ方向に沿って貫通しているビアホールが形成されていてもよい。複数の第2シリコン基板の各々は、ビアホール内に配置され、かつ複数のマイクロヒータの各々と基板とを電気的に接続している導体を有していてもよい。
【0009】
上記の加熱装置では、複数の第2シリコン基板の各々に、複数の第2シリコン基板の各々を厚さ方向に沿って貫通している第2開口部が形成されていてもよい。複数の第2シリコン基板の各々は、第2開口部が第1開口部と重なるように配置されていてもよい。
【0010】
上記の加熱装置では、基板に、基板を厚さ方向に沿って貫通している複数の第3開口部が形成されていてもよい。基板は、複数の第3開口部の各々が複数のマイクロヒータの各々の第1開口部及び複数の第2シリコン基板の各々の第2開口部と重なるように配置されていてもよい。
【0011】
上記の加熱装置では、基板が、フレキシブルプリント基板であってもよい。上記の加熱装置は、さらに、コントローラを備えていてもよい。コントローラは、複数のマイクロヒータに接続され、かつ複数のマイクロヒータの各々のヒータの動作を個別に制御可能に構成されていてもよい。
【0012】
本開示の蓄電装置は、電池パックと、上記の加熱装置とを備えている。基板は、電池パック上に配置されている。
【発明の効果】
【0013】
本開示の加熱装置によると、被加熱体に対する加熱を効率的に行うことができる。本開示の蓄電装置によると、電池パックに対する加熱を効率的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本開示の実施形態の詳細を、図面を参照しながら説明する。以下の図面においては、同一又は相当する部分に同一の参照符号を付し、重複する説明は繰り返さないものとする。
【0016】
(実施形態に係る加熱装置の構成)
以下に、実施形態に係る加熱装置(以下においては、「加熱装置100」とする)の構成を説明する。
【0017】
図1は、加熱装置100の断面図である。
図1に示されるように、加熱装置100は、基板10と、複数のマイクロヒータ20と、複数のシリコン基板30とを有している。
【0018】
基板10は、主面10aと、主面10bとを有している。主面10bは、主面10aの反対面である。主面10a及び主面10bは、基板10の厚さ方向における端面を構成している。基板10は、好ましくは、可撓性のある材料で形成されている。基板10は、例えば、ポリイミド等で形成されている。すなわち、基板10は、フレキシブルプリント基板である。但し、基板10は、フレキシブルプリント基板でなくてもよい。基板10は、例えば、強化繊維を含有する樹脂材料で形成されたリジッド基板であってもよい。
【0019】
基板10には、複数の開口部10cが形成されている。開口部10cは、基板10を厚さ方向(主面10aから主面10bに向かう方向)に沿って貫通している。図示されていないが、開口部10cは、平面視において、例えば矩形形状を有している。基板10は、パッド11及びパッド12を有している。パッド11及びパッド12は、導電性の材料により形成されている。導電性の材料は、例えば、銅(Cu)である。パッド11及びパッド12は、主面10a上に配置されている。
【0020】
マイクロヒータ20は、基板10上に配置されている。
図2は、マイクロヒータ20の断面図である。
図3は、マイクロヒータ20の平面図である。
図2及び
図3に示されるように、マイクロヒータ20は、シリコン基板21と、絶縁膜22と、パッド23及びパッド24と、配線25とを有している。
【0021】
シリコン基板21は、シリコン(Si)により形成されている基板である。シリコン基板21は、主面21aと、主面21bとを有している。主面21bは、主面21aの反対面である。主面21a及び主面21bは、シリコン基板21の厚さ方向における端面を構成している。マイクロヒータ20は、例えば、主面21bが基板10側を向くように配置されている(
図1参照)。
【0022】
シリコン基板21には、開口部21cが形成されている。開口部21cは、シリコン基板21を厚さ方向(主面21aから主面21bに向かう方向)に沿って貫通している。マイクロヒータ20は、開口部21cが開口部10cと重なるように配置されている(
図1参照)。開口部21cは、平面視において、例えば矩形形状を有している(
図3参照)。
【0023】
絶縁膜22は、周辺部22aと、中央部22bと、接続部22cとを有している。周辺部22aは、シリコン基板21上(主面21b上)に配置されている。中央部22bは、開口部21c上に配置されている。中央部22bは、平面視において、矩形形状を有している。接続部22cは、中央部22bの平面視における各辺から周辺部22aに向かって延在することにより、周辺部22aと中央部22bとを接続している。これにより、中央部22bは、開口部21c上において支持されている。
【0024】
絶縁膜22は、絶縁性の材料で形成されている。絶縁膜22は、例えば、シリコン酸化物の膜とシリコン窒化物の膜とを積層することにより形成されている。
【0025】
パッド23及びパッド24は、絶縁膜22上に配置されている。より具体的には、パッド23及びパッド24は、周辺部22a上に配置されている。配線25は、ヒータ部25aと、接続部25bと、接続部25cとを有している。
【0026】
ヒータ部25aは、中央部22b上に配置されている。配線25は、ヒータ部25aにおいて、蛇行している。接続部25bは、接続部22c上を通り、パッド23とヒータ部25aとを接続している。接続部25cは、接続部22c上を通り、パッド24とヒータ部25aとを接続している。パッド23とパッド24との間に電圧が印加されてヒータ部25aに電流が流れることにより、ヒータ部25aが発熱する。すなわち、ヒータ部25aは、マイクロヒータ20のヒータとなっている。
【0027】
パッド23、パッド24及び配線25は、導電性の材料により形成されている。パッド23、パッド24及び配線25は、一体的に形成されている。導電性の材料は、例えば、白金(Pt)である。
【0028】
マイクロヒータ20は、以下の方法により形成される。第1に、シリコン基板21が準備される。第2に、シリコン基板21上(主面21b上)に絶縁膜22が形成される。絶縁膜22の形成は、例えばCVD(chemical Vapor Deposition)等により絶縁膜22を構成している材料を成膜するとともに、成膜された当該材料をフォトリソグラフィ及びエッチングでパターンニングすることにより形成される。
【0029】
第3に、パッド23、パッド24及び配線25が形成される。パッド23、パッド24及び配線25の形成は、パッド23、パッド24及び配線25を構成している材料をスパッタリング等で成膜するとともに、成膜された当該材料をフォトリソグラフィ及びエッチングでパターンニングすることにより行われる。
【0030】
第4に、開口部21cの形成が行われる。開口部21cは、シリコン基板21をエッチングすることにより形成される。このように、マイクロヒータ20は、半導体製造プロセスを用いて形成することができる。
【0031】
図4は、加熱装置100の平面図である。
図4に示されるように、複数のマイクロヒータ20は、アレイ状(行列状)に配置されている。複数のマイクロヒータ20は、例えば正方格子状に配置されている。但し、複数のマイクロヒータ20のアレイ状の配置は、これに限られるものではない。複数のマイクロヒータ20は、例えば、千鳥格子状に配置されていてもよい。
【0032】
シリコン基板30は、シリコンにより形成されている基板である。
図1に示されるように、シリコン基板30は、基板10とマイクロヒータ20との間に配置されている。シリコン基板30は、主面30aと、主面30bとを有している。主面30bは、主面30aの反対面である。主面30a及び主面30bは、厚さ方向におけるシリコン基板30の端面を構成している。シリコン基板30は、主面30aが主面21bと対向するとともに、主面30bが主面10aと対向するように配置されている。
【0033】
シリコン基板30には、開口部30cが形成されている。開口部30cは、シリコン基板30を厚さ方向(主面30aから主面30bに向かう方向)に沿って貫通している。シリコン基板30は、開口部30cが開口部10c及び開口部21cと重なるように配置されている。図示されていないが、開口部30cは、平面視において、例えば矩形形状を有している。
【0034】
シリコン基板30には、ビアホール30d及びビアホール30eが形成されている。ビアホール30d及びビアホール30eは、シリコン基板30を厚さ方向に沿って貫通している。シリコン基板30は、導体31及び導体32を有している。導体31及び導体32は、それぞれ、ビアホール30d及びビアホール30e中に配置(充填)されている。導体31は、パッド11及びパッド23に接続されている。導体32は、パッド12及びパッド24に接続されている。このように、導体31及び導体32は、基板10とマイクロヒータ20とを電気的に接続している。
【0035】
図5は、加熱装置100の機能ブロック図である。
図5に示されるように、加熱装置100は、コントローラ40と、複数の温度センサ50とをさらに有している。
【0036】
コントローラ40は、例えば、マイクロコントローラである。
図1中には図示されていないが、コントローラ40は、基板10上に配置されていてもよく、基板10上に配置されていなくてもよい。
【0037】
複数のマイクロヒータ20の各々は、コントローラ40に接続されている。複数のマイクロヒータ20とコントローラ40との接続の各々は、互いに独立している。複数の温度センサ50の各々は、コントローラ40に接続されている。
【0038】
図1中に図示されていないが、複数の温度センサ50の各々は、複数のマイクロヒータ20の近傍に位置するように、基板10(主面10a)上に配置されている。複数の温度センサ50とコントローラ40との接続の各々は、互いに独立している。コントローラ40は、複数の温度センサ50の出力信号の各々に基づき、複数のマイクロヒータ20の各々の加熱動作を個別に制御する。
【0039】
複数のマイクロヒータ20は、基板10の領域ごとに、複数の群に分けられていてもよい。この場合、ある群に属しているマイクロヒータ20とコントローラ40との接続は、別の群に属しているマイクロヒータ20とコントローラ40との接続と独立している。また、この場合、複数の温度センサ50の各々は、基板10の領域ごとに配置されており、当該領域ごとにコントローラ40に接続されている。これにより、コントローラ40は、基板10の領域ごとに、複数のマイクロヒータ20の加熱動作を制御できる。
【0040】
(実施形態に係る蓄電装置の構成)
以下に、実施形態に係る蓄電装置(以下においては、「蓄電装置300」とする)の構成を説明する。
【0041】
図6は、蓄電装置300の断面図である。
図6に示されるように、蓄電装置300は、加熱装置100と、電池パック200とを有している。電池パック200は、例えば、リチウム(Li)イオン二次電池の電池パックである。図示されていないが、電池パック200は、例えば、寒冷地で用いられる可能性のある機器(例えば、スマートフォン、電動工具等)に搭載されている。加熱装置100は、電池パック200上に配置されている。より具体的には、加熱装置100は、主面10bが電池パック200と対向するように配置されている。
【0042】
上記においては、加熱装置100が電池パック200を加熱する例を示したが、加熱装置100より加熱される対象は、電池パック200に限られない。すなわち、加熱装置100は、蓄電装置300以外にも適用することが可能である。
【0043】
(実施形態に係る加熱装置の効果)
以下に、加熱装置100の効果を説明する。
【0044】
電池パック200の温度が低い場合、電池パック200の充放電を効率的に行うことができない。また、電池パック200の温度が低いにもかかわらず電池パック200の充放電を行うと、電池パック200の劣化の原因となることがある。そのため、電池パック200に対しては、迅速かつ効率的な加熱が行われることが好ましい。
【0045】
マイクロヒータ20においては、中央部22bが接続部22cで支持されることにより開口部21c上に配置されており、中央部22b上にヒータ部25aが配置されている。このことを別の観点から言えば、マイクロヒータ20においては、ヒータ部25aが宙吊りにされている。そのため、ヒータ部25aの近傍における熱容量が小さく、ヒータ部25aが高温になるまでの時間が短い。そのため、加熱装置100によると、電池パック200に対する加熱を迅速に開始することができる。
【0046】
マイクロヒータ20においては、ヒータ部25aからの伝熱経路が限局的である。そのため、加熱装置100によると、ヒータ部25aにおいて発生した熱により電池パック200を効率的に加熱することができる。
【0047】
さらに、マイクロヒータ20においては、ヒータ部25aからの伝熱経路が限局的である結果、ヒータ部25aの周辺構造(マイクロヒータ20の残部、シリコン基板30及び基板10等)の温度が上昇しにくい。そのため、加熱装置100には、周辺構造を冷却するための装置や断熱材が不要であるため、蓄電装置300を小型化することができる。
【0048】
加熱装置100においては、マイクロヒータ20の機械的強度をシリコン基板30により補強することができるため、加熱装置100の耐久性を改善することができる。また、シリコン基板30の導体31及び導体32を用いてマイクロヒータ20と基板10とを電気的に接続することにより、マイクロヒータ20を基板10上に実装する際に必要なフットプリントを縮小することができる。その結果、隣り合うマイクロヒータ20の間隔を狭め、被加加熱体に対する加熱効率を改善することができる。
【0049】
加熱装置100においては、シリコン基板30に開口部30cが形成されているとともに、基板10に開口部10cが形成されている。そのため、ヒータ部25aからの熱が開口部30c及び開口部10cを通って電池パック200に伝わりやすくなり、加熱効率をさらに改善することができる。また、電池パック200は、充放電が行われている際に、発熱する。電池パック200からの発熱は、開口部30c、開口部10c及び開口部21cを通って放散されるため、加熱装置100が電池パック200からの熱の放散を妨げることを抑制できる。
【0050】
加熱装置100においては、基板10がフレキシブルプリント基板であるため、その可撓性により、基板10が電池パック200の表面に沿いやすい。その結果、マイクロヒータ20と電池パック200との間の距離を縮めることができ、加熱効率をさらに改善することができる。
【0051】
電池パック200の部分ごとに温度が異なることは、電池パック200の劣化の原因となる場合がある。加熱装置100においては、コントローラ40により、複数のマイクロヒータ20の加熱動作の各々を独立して制御する又は複数のマイクロヒータ20の加熱動作を基板10の領域ごとに制御することができる。そのため、加熱装置100によると、電池パック200の温度が局所的に異なることにより電池パック200が劣化することを抑制できる。
【0052】
以上のように本開示の実施形態について説明を行ったが、上述の実施形態を様々に変形することも可能である。また、本発明の範囲は、上述の実施形態に限定されるものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含むことが意図される。
【符号の説明】
【0053】
100 加熱装置、10 基板、10a,10b 主面、10c 開口部、11,12 パッド、20 マイクロヒータ、21 シリコン基板、21a,21b 主面、21c 開口部、22 絶縁膜、22a 周辺部、22b 中央部、22c 接続部、23,24 パッド、25 配線、25a ヒータ部、25b 接続部、25c 接続部、30 シリコン基板、30a,30b 主面、30c 開口部、30d,30e ビアホール、31,32 導体、40 コントローラ、50 温度センサ、200 電池パック、300 蓄電装置。