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特許7446196シャフトに対する要素の取付構造及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-29
(45)【発行日】2024-03-08
(54)【発明の名称】シャフトに対する要素の取付構造及び方法
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/17 20060101AFI20240301BHJP
【FI】
E06B9/17 W
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020164138
(22)【出願日】2020-09-29
(65)【公開番号】P2022056231
(43)【公開日】2022-04-08
【審査請求日】2023-08-29
(73)【特許権者】
【識別番号】307038540
【氏名又は名称】三和シヤッター工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103137
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 滋
(74)【代理人】
【識別番号】100145838
【弁理士】
【氏名又は名称】畑添 隆人
(72)【発明者】
【氏名】山藤 義広
【審査官】秋山 斉昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-176200(JP,A)
【文献】特開2006-200144(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/17
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
挿通部を備えたブラケットと、
前記ブラケットに前記挿通部に位置して設けたベアリングと、
前記挿通部を挿通し、前記ベアリングによって前記ブラケットに回転自在に支持されており、前記ブラケットの外側に位置する延出部を備えているシャフトと、
前記シャフトの前記延出部を挿通させた状態で前記延出部の軸方向の所定位置に固定される要素の取付構造であって、
前記シャフトの外周面には、所定長で断面視弧状の周面部からなるスペーサが装着されており、
前記スペーサの長さ方向の第1端縁は、前記ベアリングの側面部に当接しており、
前記要素は、当該要素のブラケット側の側面部を前記スペーサの長さ方向の第2端縁に当接させた状態で前記延出部に固定されている、
シャフトに対する要素の取付構造。
【請求項2】
前記ベアリングは、前記ブラケットの裏面に設けてあり、
前記シャフトの外周面に装着された前記周面部は、前記シャフトの前記延出部の外周面から前記挿通部を通って前記ブラケットの裏面側へ延びている、
請求項1に記載のシャフトに対する要素の取付構造。
【請求項3】
前記スペーサの長さ方向の第1端縁は、前記ベアリングの内輪の側面部に当接している、
請求項1、2いずれか1項に記載のシャフトに対する要素の取付構造。
【請求項4】
前記スペーサは、前記断面視弧状の周面部の開口を前記延出部の外周面に外嵌するようにして、延出部の軸方向に対して垂直方向から当該延出部の外周面に装着可能となっている、
請求項1~3いずれか1項に記載のシャフトに対する要素の取付構造。
【請求項5】
前記シャフトの前記延出部の外周面には、前記要素を前記延出部に固定するためのキーの部分が突出しており、
前記キーの部分は、前記延出部に装着された前記スペーサの前記周面部の開口に位置している、
請求項1~4いずれか1項に記載のシャフトに対する要素の取付構造。
【請求項6】
前記スペーサは、前記シャフトの外周面に装着した状態で、当該シャフトの軸方向に移動可能である、
請求項1~5いずれか1項に記載のシャフトに対する要素の取付構造。
【請求項7】
前記要素は、スプロケットである、請求項1~6いずれか1項に記載のシャフトに対する要素の取付構造。
【請求項8】
前記要素は、面部に渦巻き状のカム溝を備えたカム板である、請求項1~6いずれか1項に記載のシャフトに対する要素の取付構造。
【請求項9】
シャフトに対する要素の取付方法であって、
前記シャフトはブラケットの挿通部を挿通し、ブラケットに設けたベアリングによって回転自在に支持されており、前記シャフトは前記ブラケットの外側に位置する延出部を備えており、
前記要素は、前記シャフトの前記延出部を挿通させた状態で前記延出部の軸方向の所定位置に取り付けられるようになっており、
所定長で断面視弧状の周面部からなり、前記周面部には開口が形成されているスペーサを用意し、
前記スペーサを、前記周面部の開口から前記延出部を受け入れるように、前記延出部の軸方向に対して垂直方向から当該延出部の外周面に外嵌すること、
前記スペーサの長さ方向の第1端縁を、前記ベアリングの側面部に当接させること、
前記要素のブラケット側の側面部を前記スペーサの長さ方向の第2端縁に当接させること、
前記スペーサの長さ方向の第1端縁が前記ベアリングの側面部に当接し、長さ方向の第2端縁が前記要素のブラケット側の側面部に当接した状態で、前記要素と前記延出部を固定すること、
を含む、シャフトに対する要素の取付方法。
【請求項10】
前記要素は、キーを用いて前記延出部に固定され、前記シャフトの前記延出部の外周面には、前記要素を前記延出部に固定するためのキーの部分が突出するようになっており、
前記スペーサは、前記延出部に装着された前記スペーサの前記周面部の開口に前記キーの部分が位置するように、前記延出部の外周面に外嵌する、
請求項9に記載のシャフトに対する要素の取付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャフトに対する要素の取付構造及び方法に係り、具体的な態様例では、シャフトに対するスプロケットの取付構造及び方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
シャッター装置では、ローラチェーンによって開閉機側のスプロケットの回転を巻取体のシャフト側のスプロケットに伝達することで当該巻取体を回転させてシャッターカーテンを昇降させて開口部を開閉する。開閉機による駆動力を良好に巻取シャフトに伝達させるためには、ローラチェーンが適切なテンションで張られた状態で開閉機スプロケット、シャフトスプロケット間に巻き掛けされている必要がある。そのためには、開閉機スプロケットの芯とシャフトスプロケットの芯が一致している必要がある。本明細書において、スプロケットの芯とは、スプロケットの厚さ方向の中心を意味する。
【0003】
駆動スプロケットの芯と従動スプロケットの芯を一致させることが重要であるが、従来は、シャフトスプロケットと開閉機スプロケットの芯調整を現場の施工技術者の経験や熟練技能に依存して行っているため、施工上の取付誤差が生じるおそれがある(図10参照)。特許文献1には、シャッター装置のメンテナンス時や初期設置時に、スプロケットの位置ずれを検査するためのスプロケットの位置ずれ検査装置が開示されている。
【0004】
上述のように、シャフトスプロケットは開閉機スプロケットに対して芯出しして固定する必要があることから、シャフトスプロケットは、シャッターカーテンを巻き取る巻取体のシャフトに取り付けられる要素においてシャフトの軸方向に正確に位置決めして固定する要素の代表例である。シャフトスプロケットの他にも、シャフトの軸方向に正確に位置決めして固定する必要がある要素は存在する。例えば、特許文献2に開示されているカム板は、面部に渦巻き状のカム溝を備えており、ガイド突子がカム溝に沿って相対的に移動する必要があることから、ガイド突子に対するカム板のカム溝の正確な位置決め(シャフトの軸方向におけるカム板の取付位置で決定される)が必要となる。
【文献】特開2018-87421
【文献】特開2018-44383
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、シャフトの軸方向の所定位置に取り付けられる要素の位置決めを容易に決定することを可能とする取付構造及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明が採用した技術手段は、
挿通部を備えたブラケットと、
前記ブラケットに前記挿通部に位置して設けたベアリングと、
前記挿通部を挿通し、前記ベアリングによって前記ブラケットに回転自在に支持されており、前記ブラケットの外側に位置する延出部を備えているシャフトと、
前記シャフトの前記延出部を挿通させた状態で前記延出部の軸方向の所定位置に固定される要素の取付構造であって、
前記シャフトの外周面には、所定長で断面視弧状の周面部からなるスペーサが装着されており、
前記スペーサの長さ方向の第1端縁は、前記ベアリングの側面部に当接しており、
前記要素は、当該要素のブラケット側の側面部を前記スペーサの長さ方向の第2端縁に当接させた状態で前記延出部に固定されている、
シャフトに対する要素の取付構造、である。
【0007】
1つの態様では、前記ベアリングは、前記ブラケットの裏面に設けてあり、
前記シャフトの外周面に装着された前記周面部は、前記シャフトの前記延出部の外周面から前記挿通部を通って前記ブラケットの裏面側へ延びている。
1つの態様では、前記スペーサの長さ方向の第1端縁は、前記ベアリングの内輪の側面部に当接している。
1つの態様では、前記スペーサは、前記断面視弧状の周面部の開口を前記延出部の外周面に外嵌するようにして、延出部の軸方向に対して垂直方向から当該延出部の外周面に装着可能となっている。
1つの態様では、前記スペーサは、前記シャフトの外周面に装着した状態で、当該シャフトの軸方向に移動可能である。
【0008】
1つの態様では、前記シャフトの前記延出部の外周面には、前記要素を前記延出部に固定するためのキーの部分が突出しており、
前記キーの部分は、前記延出部に装着された前記スペーサの前記周面部の開口に位置している。
【0009】
1つの態様では、前記要素は、スプロケットであり、シャフトに対するスプロケットの取付構造である。
より具体的には、スペーサの長さ方向の第1端縁は、ブラケット裏面に設けたベアリングの内輪の側面部に当接しており、
スプロケットは、ブラケット側の側面部を前記スペーサの長さ方向の第2端縁に当接させた状態でシャフトの延出部に固定されている。
スペーサを用いてシャフトに取り付けられたスプロケットの芯は、開閉機スプロケットの芯と一致している。
【0010】
1つの態様では、前記要素は、面部に渦巻き状のカム溝を備えたカム板であり、シャフトに対するカム板の取付構造である。
より具体的には、スペーサの長さ方向の第1端縁は、可動ブラケットの裏面に設けたベアリングの内輪の側面部に当接しており、
カム板は、ブラケット側の側面部を前記スペーサの長さ方向の第2端縁に当接させた状態でシャフトの延出部に固定されている。
スペーサを用いてシャフトに取り付けられたカム板のカム溝は、固定ブラケットに設けたアームの先端のガイド突子を適切な深さ位置で受け入れている。
【0011】
本発明が採用したシャフトに対する要素の取付方法において、
前記シャフトはブラケットの挿通部を挿通し、ブラケットに設けたベアリングによって回転自在に支持されており、前記シャフトは前記ブラケットの外側に位置する延出部を備えており、
前記要素は、前記シャフトの前記延出部を挿通させた状態で前記延出部の軸方向の所定位置に取り付けられるようになっており、
所定長で断面視弧状の周面部からなり、前記周面部には開口が形成されているスペーサを用意し、
前記スペーサを、前記周面部の開口から前記延出部を受け入れるように、前記延出部の軸方向に対して垂直方向から当該延出部の外周面に外嵌すること、
前記スペーサの長さ方向の第1端縁を、前記ベアリングの側面部に当接させること、
前記要素のブラケット側の側面部を前記スペーサの長さ方向の第2端縁に当接させること、
前記スペーサの長さ方向の第1端縁が前記ベアリングの側面部に当接し、長さ方向の第2端縁が前記要素のブラケット側の側面部に当接した状態で、前記要素と前記延出部を固定すること、
を含む。
【0012】
1つの態様では、前記要素は、キーを用いて前記延出部に固定され、前記シャフトの前記延出部の外周面には、前記要素を前記延出部に固定するためのキーの部分が突出するようになっており、
前記スペーサは、前記延出部に装着された前記スペーサの前記周面部の開口に前記キーの部分が位置するように、前記延出部の外周面に外嵌する。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、シャフトの軸方向の所定位置に取り付けられる要素を、所定長さを備えたスペーサを用いて取付位置を決定するようにしたので、取付誤差の発生を防止し、施工技術者の経験や熟練技能に依存することなく、取付作業を容易に行うことを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】シャッター装置の上廻り部分の部分正面図である。
図2】シャッター装置の上廻り部分の平面図である。
図3図2における部分拡大図であり、シャフトスプロケットと開閉機スプロケットの位置関係を示している。
図4】位置決め用のスペーサを示す図である。
図5】シャフト端部に装着されたスペーサを示す図である。
図6図3と類似の図であり、シャフト端部には片ボス型のシャフトスプロケットが固定されている。
図7】(A)は、図6においてA方向から見た図、(B)は、図6においてB方向から見た図である、(C)は、図3に示す態様を(B)に沿って示したものである。
図8】可動式巻取機構の従動側の平面図である。
図9】可動式巻取機構の従動側の正面図である。
図10】シャフトスプロケットと開閉機スプロケットの芯同士がずれている状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、シャッター装置の上廻り部分の正面図であり、シャッター装置は、建物開口部を開閉するシャッターカーテン1と、シャッターカーテン1を巻き取り・繰り出すための巻取体2と、巻取体2の長さ方向両端を回転自在に支持する左右のブラケット3、4と、巻取体2の回転駆動源である開閉機5と、巻取体2及び巻取体2に巻装されたシャッターカーテン1を収容するシャッターケース6と、建物開口部の幅方向両端に立設され、開口部開閉時にシャッターカーテン1の幅方向両端部を高さ方向に案内する左右のガイドレール7と、を備えている。
【0016】
図2に示すように、巻取体2は左右端部のシャフト20、20が左右のブラケット3、4にそれぞれ回転自在に支持されており、シャフト20、20と一体で回転する巻胴21にシャッターカーテン1が巻き取られるようになっている。
【0017】
図1図2図7に示すように、ブラケット3は、方形で板状の面部30を備えており、面部30の上縁に上辺31が折曲形成され、面部30の下縁に下辺32が折曲形成され、前端の前端縁33、後端の基端縁34を備え、ブラケット3は、面部30の基端側部が断面視L形状の固定片34´によって壁体に固定されており、面部30は躯体から持ち出し状に垂直姿勢で延びている。
【0018】
ブラケット3の面部30には、前端縁33の高さ方向中央部位から面部の中央部位に向かって水平状に延びる溝部300が形成されており、溝部30の底部は一方のシャフト20を挿通する挿通部300a(図3参照)となっている。ブラケット3の面部30の裏面には、挿通部300aに位置してベアリング8が取り付けてあり、挿通部300aを挿通するシャフト20を回転自在に支持している。
【0019】
図1図2に示すように、ブラケット4は、方形で板状の面部40を備え、面部40の上縁に上辺41が折曲形成され、面部40の下縁に下辺42が折曲形成され、前端の前端縁43、後端の基端縁44を備え、ブラケット4は、面部40の基端側部が断面視L形状の固定片44´によって壁体に固定されており、面部40は躯体から持ち出し状に垂直姿勢で延びている。ブラケット4の面部40には、シャフト20を挿通する挿通部が形成されている。ブラケット4の面部40の裏面には、挿通部に位置してベアリング8が取り付けてあり、挿通部を挿通するシャフト20を回転自在に支持している。
【0020】
ベアリング8は、内輪80と、外輪81と、内輪80と外の間で回転自在に保持された転動体82と、これらを収納するハウジング83と、からなり、ハウジング83がブラケット3の面部30の内面、ブラケット4の面部40の内面に固定されている。ベアリング8のハウジング83、外輪81は不動部であり、内輪80が外輪81に対して回転自在の可動部となっており、内輪80に受け入れられたシャフト20、20が内輪80と一体で回転するようになっている。
【0021】
シャフト20は、ブラケット3の面部30の挿通部300aを挿通しており、ベアリング8によってブラケット3に回転自在に支持されており、ブラケット3の面部30の挿通部300aを通ってブラケット3の外側に延びる延出部20Aを備えており、延出部20Aの軸方向の所定位置にスプロケット9が固定されている。
【0022】
スプロケット9は、シャフト20の延出部20Aの外周面に固定される筒状部ないしボス90と、周縁の周方向に歯車が連続形成された円板状部91と、からなる。ボス90の内周面にはキー溝が形成されており、シャフト20の延出部20Aの外周面にはキー溝200が形成されており、ボス90に延出部20Aを挿通させた状態で、延出部20Aの軸方向における所定位置にスプロケット9を位置決めし、キー溝にキー201を挿入させて、延出部20Aに対するボス90の回転を規制し、ボルト202でキー201を固定することで、スプロケット9を延出部20Aの軸方向の所定位置に取り付ける。
【0023】
図2図3に示すスプロケット9は、ボス90の外周面から円板状部91が延びており、いわゆる両ボス型であり、両ボス型のスプロケット9がシャフト20の延出部20Aに固定された状態において、ボス90の一方の端面900が、スプロケット9のブラケット3の面部30に近い側の側面部となっている(図7(C)参照)。
【0024】
図6に示すスプロケット9は、いわゆる片ボス型であり、片ボス型のスプロケット9がシャフト20の延出部20Aに固定された状態において、円板状部91の一方の面部910の中央部位が、スプロケット9のブラケット3の面部30に近い側の側面部となっている(図7(B)参照)。
【0025】
ブラケット3の面部30の前端側部位には、開閉機用ブラケット3´が固定されている。開閉機用ブラケット3´は、方形状の面部30´と、面部30´の上縁に折曲形成された上辺31´と、下縁に折曲形成された下辺32´と、を有しており、面部30´の基端側をブラケット3の面部30の前端側部位に重ねてボルトで固定されている。なお、ブラケット3と開閉機用ブラケット3´を同一部材から一体形成してもよい。開閉機用ブラケット3´の面部30´の内側には開閉機5が取り付けられており、面部30´の外側には、開閉機5の軸部50が突出しており、軸部50には軸部50と一体で回転する開閉機スプロケット51が設けてある。
【0026】
図2に示すように、巻取体2は、一端側のシャフト20が駆動側端部としてブラケット3の面部30にベアリング8を介して回転自在に支持されており、他端側のシャフト20が従動側端部としてブラケット4の面部40にベアリング8を介して回転自在に支持されている。巻取体2のシャフト20の延出部20Aにはスプロケット9が設けてあり、スプロケット9は、ローラチェーンによって開閉機5の開閉機スプロケット51と伝動連結されている。スプロケット9は、その芯が開閉機用スプロケット51の芯と一致するように位置決めしてシャフト20の延出部20Aに固定されている。本実施形態では、位置決め用のスペーサ10を用いて、スプロケット9を位置決めしてシャフト20の延出部20Aに固定するようになっている。
【0027】
図4に示すように、スペーサ10は、断面視弧状の周面部100を備え、周面部100は、周面部100の長さ方向の第1端縁101と、周面部100の長さ方向の第2端縁102と、周方向の第1端縁103、第2端縁104と、を備え、周方向の第1端縁103と第2端縁104との間には切り欠き部ないし開口105が形成されている。
【0028】
スペーサ10は金属製部材であり、周面部100の開口105の寸法は、正面(シャフト20の長さ方向ないし軸方向に対して垂直方向)からシャフト20の延出部20Aの外周面にスペーサ10を嵌め込むことが可能で(開口105から延出部20Aを受け入れることができる程度に拡開可能な弾性を備えている)、かつ、延出部20Aの外周面に装着した状態が保持できる程度の幅寸法となっている。スペーサ10の周面部100は、少なくとも、延出部20Aの外周の半周部よりも大きい部位を覆うように装着されている。スペーサ10が延出部20Aの外周面に正面から装着された時に、スプロケット9を延出部20Aに固定するキー201と干渉しないようになっている。
【0029】
スペーサ10は、延出部20Aの外周面に装着された状態で、シャフト20の軸方向にスライド移動可能となっており、シャフト20に対する固定位置が調整可能となっている。本実施形態に係るスペーサ10の周面部100の断面形状は正円を切り欠いた円弧状ではなく、延出部20Aの外周面に下方から装着した時に、両側から挟むように嵌め込まれ、周面部100の内周面全体が延出部20Aの外周面に接触するわけでなく、延出部20Aの外周面の下端部位とスペーサ10の周面部100との間には隙間が形成されている。
【0030】
延出部20Aの外周面に装着された状態においてスペーサ10の外形は挿通部300aよりも小さく、シャフト20の外周面に装着された周面部100の長さ方向の第1端部側は、シャフト20の延出部20Aの外周面から挿通部300aを通ってブラケット3の面部30の裏面側へ延びている。すなわち、スペーサ10の周面部の第1端縁101は、ブラケット3の面部30の裏面側に位置している。
【0031】
スペーサ10は、長さ方向の第1端縁101を、ベアリング8の内輪80の側面部800に当接させた状態でシャフト20の外周面に装着され、長さ方向の第2端縁102の位置によって、シャフト20の延出部20Aの長さ方向におけるスプロケット9の取付位置を決定するようになっている。スペーサ10の長さ方向の第2端縁102にスプロケット9のブラケット3側の側面部(図3の態様における端面900、図6の態様における面部910の中央部位)を当接させた時に、スプロケット9の芯が開閉機スプロケット51の芯と一致するようになっている。
【0032】
スペーサ10の長さ寸法L、すなわち、第1端縁101と第2端縁102間の距離は、第1端縁101をベアリング8の内輪80の側面部800に当接させた状態において、第2端縁102にスプロケット9のブラケット3側の側面部(図3の態様における端面900、図6の態様における面部910の中央部位)を当接させた時に、スプロケット9の芯が開閉機スプロケット51の芯と一致するような寸法に設定されている。
【0033】
本実施形態において、ベアリング8は、ブラケット3の面部30の裏面に固定されており、開閉機5(開閉機スプロケット51)が取り付けられた開閉機ブラケット3´の面部30´はブラケット3の面部30に固定されており、開閉機スプロケット51の芯の位置は、ベアリング8の内輪80の側面部800を基準として決定され、よって、スペーサ10の長さ寸法Lを決定することができる。
【0034】
スプロケット9は、スペーサ10の長さ方向の第1端縁101をベアリング8の内輪80の側面部800に当接させ、スプロケット9のブラケット3側の側面部(図3の態様における端面900、図6の態様における面部910の中央部位)を、スペーサ10の長さ方向の第2端縁102に当接させることで自動的に位置決めされ、位置決めされた状態でキー201をキー溝に挿し込み、ボルト202でキー201を固定することで、シャフト20の延出部20Aに固定されている。この時、スプロケット9の芯は、開閉機スプロケット51の芯と一致している。
【0035】
本実施形態に係るシャフト20に対するスプロケット9の取付工程について説明する。左右のブラケット3、4を躯体に対して持ち出し状に固定し、左右のブラケット3、4の面部30、40間に巻取体2の長さ方向両端部位を支持させる。この時、巻取体2の長さ方向両端のシャフト20、20は面部30、40の裏面に設けたベアリング8によって回転自在に支持されている。所定の長さ寸法Lを備えたスペーサ10を用意し、シャフト20の延出部20Aの外周面に、延出部20Aの軸方向に対して垂直の方向からスペーサ10を嵌め込む。延出部20Aの外周面に装着されたスペーサ10をブラケット3側へスライド移動させ、スペーサ10の周面部100の第1端縁101を、ブラケット3の面部30の裏面に固定したベアリング8の内輪80の側面部800に当接させる。第1端縁101がベアリング8の内輪80の側面部800に当接した状態のスペーサ10の第2端縁102に、スプロケット9のブラケット3側の側面部(図3の態様における端面900、図6の態様における面部910の中央部位)を当接させ、その位置で、キー201をキー溝200に挿入して、ボルト202でキー201を固定する。
【0036】
スプロケット9は、スペーサ10を延出部20Aに装着する前に、延出部20Aに仮取付されていてもよく、あるいは、スペーサ10を延出部20Aに装着した後に、延出部20Aに取り付けてもよい。また、スペーサ10の長さ寸法Lは、スペーサ10を用いて取り付けられたスプロケット9の芯が、用いられる開閉機スプロケット51の芯に一致するように決定されているので、ブラケット3に開閉機5が取り付けられるタイミングは限定されず、スプロケット9を取り付ける前でも、取り付けた後でもよい。
【0037】
スペーサ9を用いたシャフト20に対するスプロケット9の取付について説明したが、開閉機スプロケット51と芯出ししてシャフト20に取り付けられるスプロケット9の他にも、シャフトの軸方向に正確に位置決めして固定する必要がある要素は存在する。図8図9を参照しつつ、本発明の他の実施形態について説明する。他の実施形態は、可動式巻取機構に係り、可動式巻取機構は、 シャッターカーテンを巻き取り・繰り出す巻取体と、巻取体の長さ方向両端のシャフトを回転可能に支持する左右の可動ブラケットと、 左右の可動ブラケットを往復動可能に支持する左右の固定ブラケットと、を備えている。可動式巻取機構の詳細については、特許文献2を参照することができる。
【0038】
巻取体の長さ方向両端のシャフトの一方は、駆動側であり、一方のシャフトは開閉機によって回転駆動されるようになっている。一方のシャフトには、開閉機スプロケットと芯が一致するようにシャフトスプロケットが固定されており、シャフトスプロケットの取付構造については、既述の実施形態の構成を採用することができる。
【0039】
図8図9は、可動式巻取機構の従動側を示している。可動ブラケット4´の面部40´にはシャフト20´が挿通しており、面部40´の裏面には挿通部に位置してベアリング8が設けてあり、シャフト20´はブラケット4´に回転自在に支持されている。シャフト20´は、ブラケット4の面部40´の外側に延びる延出部20A´を備えている。
【0040】
巻取体の長さ方向の一方のブラケットの内側、他方のブラケット4´の外側にそれぞれ位置して、カム板11が固定されている。カム板11は円板状の外形を有しており、中央部には円形の開口が形成されており、シャフト20´を挿通させると共に、シャフト20´の延出部20A´の外面に固定されており、シャフト20´と一体で回転するようになっている。カム板11の中心とシャフト20´の中心は一致している。円板状のカム板11の一方の面部には内方(シャフト20´に近い側)から周縁へ向かって渦巻状に延びるガイド溝(カム溝)110が形成されている。カム板11の中心(シャフト20´の回転中心)とガイド溝110との径方向の距離は、内方から周縁に向かって漸次大きくなっている。
【0041】
固定ブラケット12には、カム板11のガイド溝110内に位置して、ガイド溝110に沿って相対的に移動可能なガイド突子(カムフォロワ)13が設けてあり、カム板11が回転しながらガイド突子13に案内されて前後方向に移動するようになっている。ガイド突子13は、カム板11のガイド溝110が形成された面と平行状に延びるアーム130の先端側に固定されており、アーム130の基端側は固定ブラケット12に固定されている。ガイド突子13は不動であり、不動のガイド突子13に対してカム板11が回転しながら前後方向に移動することで、巻取機構が前後方向に移動するようになっている。巻取機構が円滑に前後方向に移動するためには、カム板11のガイド溝110とガイド突子13の位置合わせが重要である。
【0042】
カム板11は、シャフト20´の外周面に装着されたスペーサ10を用いて位置決めされて、延出部20A´に固定される。スペーサ10の周面部100の第1端縁101は、ブラケット4´の面部40´の裏面側に位置しており、長さ方向の第1端縁101を、ベアリング8の内輪80の側面部800(図7(A)参照)に当接させた状態でシャフト20´の外周面に装着されており、長さ方向の第2端縁102に、カム板11のブラケット4側の面部の中央部位111を当接させることで、シャフト20´の延出部20A´の長さ方向におけるカム板11の取付位置を決定して、カム板11を延出部20A´に固定している。
【符号の説明】
【0043】
2 巻取体
20 シャフト
20´ シャフト
20A 延出部
20A´ 延出部
3 ブラケット
30 面部
4 ブラケット
40 面部
5 開閉機
51 開閉機スプロケット
8 ベアリング
80 内輪
800 内輪の側面部
9 スプロケット
90 ボス
900 端面(要素のブラケット側の側面部)
91 円板状部
910 面部(要素のブラケット側の側面部)
10 スペーサ
100 周面部
101 第1端縁
102 第2端縁
105 開口
11 カム板
110 カム溝
111 カム板11のブラケット側の面部の中央部位(要素のブラケット側の側面部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10