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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-29
(45)【発行日】2024-03-08
(54)【発明の名称】野菜収穫機
(51)【国際特許分類】
   A01B 63/10 20060101AFI20240301BHJP
   A01D 25/04 20060101ALI20240301BHJP
【FI】
A01B63/10 C
A01D25/04
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020201963
(22)【出願日】2020-12-04
(65)【公開番号】P2022089518
(43)【公開日】2022-06-16
【審査請求日】2022-12-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】井上 大嗣
(72)【発明者】
【氏名】池田 圭
(72)【発明者】
【氏名】村上 健太
【審査官】田辺 義拓
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-270643(JP,A)
【文献】特開2018-174899(JP,A)
【文献】特開2003-052227(JP,A)
【文献】特開2010-233527(JP,A)
【文献】特開2016-123394(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01B 63/10
A01D 25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行機体と、前記走行機体における左右一方側に偏倚した位置に設けられている運転部と、前記走行機体における左右他方側に偏倚した位置に設けられ、かつ、昇降可能に構成され、圃場から作物を引き抜いて機体後方に向けて搬送する搬送部と、を備えている野菜収穫機であって、
前記運転部の後方に設けられ、収穫された作物を回収する回収部と、
前記搬送部からの作物を前記回収部に向けて搬送する後搬送部と、
制御装置と、を備え、
前記制御装置は、記憶部を備え、
前記記憶部は、前記搬送部が上昇可能な所定の高さに設定されている上昇位置と、前記搬送部の前端部が圃場に接地する手前の高さ位置に設定されている下降位置と、圃場面よりも深い位置に設定されている作業位置と、を記憶しており、
前記制御装置は、前記搬送部が前記上昇位置まで上昇すると、前記搬送部の搬送駆動を停止し、
前記後搬送部は、前記搬送部の後部の下方に設けられ
前記制御装置は、前記搬送部が前記上昇位置から前記下降位置まで下降すると、前記搬送部を搬送駆動し、かつ、前記走行機体が前進走行すると、前記搬送部を前記下降位置から前記作業位置まで下降させる野菜収穫機。
【請求項2】
前記制御装置は、前記搬送部が前記上昇位置まで上昇しても、前記後搬送部の搬送駆動を停止しない請求項1に記載の野菜収穫機。
【請求項3】
前記制御装置は、前記搬送部が前記上昇位置まで上昇した後、前記走行機体が旋回すると、前記後搬送部の搬送駆動を停止する請求項2に記載の野菜収穫機。
【請求項4】
前記搬送部と前記後搬送部との間に設けられ、作物を主部とその他の部分とに切断するカッタを備え、
前記制御装置は、前記搬送部が前記上昇位置まで上昇しても、前記カッタの切断駆動を停止しない請求項2又は3に記載の野菜収穫機。
【請求項5】
前記搬送部を下降操作するための下降操作具を備え、
前記制御装置は、前記下降操作具による下降操作に基づいて前記搬送部が前記上昇位置から下降すると、前記搬送部を搬送駆動する請求項からの何れか一項に記載の野菜収穫機。
【請求項6】
前記搬送部を前記上昇位置まで上昇操作するための上昇操作具を備え、
前記制御装置は、前記上昇操作具による上昇操作が行われると、前記搬送部を前記上昇位置まで上昇させると共に、前記搬送部が前記上昇位置まで上昇すると、前記搬送部の搬送駆動を停止する請求項1からの何れか一項に記載の野菜収穫機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、野菜収穫機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、野菜収穫機として、例えば、特許文献1に記載の野菜収穫機が知られている。特許文献1に記載には、昇降可能に構成され、圃場から作物を引き抜いて機体後方に向けて搬送する搬送部(文献では「搬送装置〔4〕」)が備えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-141569号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の野菜収穫機では、運転者が搬送部を上昇させる操作と搬送部の搬送駆動を停止する操作とを別々に行わなければならない。したがって、例えば、走行機体を旋回させる際に、運転者が搬送部を上昇させる操作を行うと共に搬送部の搬送駆動を停止する操作を行わなければならず煩わしい。すなわち、特許文献1に記載の野菜収穫機には、搬送部を上昇させる際に、搬送部の搬送駆動を容易に停止する点で改善の余地がある。
【0005】
上記状況に鑑み、搬送部を上昇させる際に、搬送部の搬送駆動を容易に停止することが可能な野菜収穫機が要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の特徴は、走行機体と、前記走行機体における左右一方側に偏倚した位置に設けられている運転部と、前記走行機体における左右他方側に偏倚した位置に設けられ、かつ、昇降可能に構成され、圃場から作物を引き抜いて機体後方に向けて搬送する搬送部と、を備えている野菜収穫機であって、前記運転部の後方に設けられ、収穫された作物を回収する回収部と、前記搬送部からの作物を前記回収部に向けて搬送する後搬送部と、
制御装置と、を備え、前記制御装置は、記憶部を備え、前記記憶部は、前記搬送部が上昇可能な所定の高さに設定されている上昇位置と、前記搬送部の前端部が圃場に接地する手前の高さ位置に設定されている下降位置と、圃場面よりも深い位置に設定されている作業位置と、を記憶しており、前記制御装置は、前記搬送部が前記上昇位置まで上昇すると、前記搬送部の搬送駆動を停止し、前記後搬送部は、前記搬送部の後部の下方に設けられ、前記制御装置は、前記搬送部が前記上昇位置から前記下降位置まで下降すると、前記搬送部を搬送駆動し、かつ、前記走行機体が前進走行すると、前記搬送部を前記下降位置から前記作業位置まで下降させることにある。
【0007】
本特徴構成によれば、搬送部が上昇位置まで上昇すると、搬送部の搬送駆動が自動的に停止されることになる。これにより、搬送部を上昇させる際に、運転者が搬送部の搬送駆動を停止する操作を行う手間を省くことができる。すなわち、搬送部を上昇させる際に、搬送部の搬送駆動を容易に停止することが可能な野菜収穫機を実現することができる。
また、搬送部が上昇位置から下降しても下降位置まで下降しなければ、搬送部が自動的に搬送駆動されないことになる。これにより、搬送部が上昇位置に位置している状態において、走行時の振動等によって搬送部が上昇位置を跨いで上下動することに起因して、搬送部が搬送駆動とその停止とを頻繁に繰り返す事態を回避することができる。
さらに、搬送部が上昇位置から下降すると、搬送部の前端部が圃場に接地する手前で、搬送部が自動的に搬送駆動されることになる。これにより、搬送部の前端部を接地させて収穫作業を開始するまでに、搬送部を確実に搬送駆動することができる。
【0008】
さらに、本発明において、前記制御装置は、前記搬送部が前記上昇位置まで上昇しても、前記後搬送部の搬送駆動を停止しないと好適である。
【0009】
本特徴構成によれば、搬送部が上昇位置まで上昇しても、後搬送部が搬送駆動していることになる。これにより、作物を後搬送部上に残すことなく、回収部に回収することができる。
【0010】
さらに、本発明において、前記制御装置は、前記搬送部が前記上昇位置まで上昇した後、走行機体が旋回すると、前記後搬送部の搬送駆動を停止すると好適である。
【0011】
本特徴構成によれば、走行機体が旋回すると、後搬送部の搬送駆動が自動的に停止されることになる。これにより、走行機体を旋回させる際に、運転者が後搬送部の搬送駆動を停止する操作を行う手間を省くことができる。
【0012】
さらに、本発明において、前記搬送部と前記後搬送部との間に設けられ、作物を主部とその他の部分とに切断するカッタを備え、前記制御装置は、前記搬送部が前記上昇位置まで上昇しても、前記カッタの切断駆動を停止しないと好適である。
【0013】
本特徴構成によれば、搬送部が上昇位置まで上昇しても、カッタが切断駆動していることになる。これにより、圃場から引き抜き済みの作物が切断されずに残ることがない。
【0014】
【0015】
本特徴構成によれば、搬送部が上昇位置から下降すると、搬送部が自動的に搬送駆動されることになる。これにより、搬送部を下降させる際に、運転者が搬送部を搬送駆動する操作を行う手間を省くことができる。
【0016】
【0017】
【0018】
【0019】
【0020】
さらに、本発明において、前記搬送部を下降操作するための下降操作具を備え、前記制御装置は、前記下降操作具による下降操作に基づいて前記搬送部が前記上昇位置から下降すると、前記搬送部を搬送駆動すると好適である。
【0021】
本特徴構成によれば、運転者が下降操作具による下降操作が行わなければ、搬送部が上昇位置から下降しても搬送部が自動的に搬送駆動されないことになる。これにより、運転者の意図しない事情(例えば、走行時の振動等)によって搬送部が上昇位置から下降したとしても、運転者の意図に反して搬送部が自動的に搬送駆動されることがない。
【0022】
さらに、本発明において、前記搬送部を前記上昇位置まで上昇操作するための上昇操作具を備え、前記制御装置は、前記上昇操作具による上昇操作が行われると、前記搬送部を前記上昇位置まで上昇させると共に、前記搬送部が前記上昇位置まで上昇すると、前記搬送部の搬送駆動を停止すると好適である。
【0023】
本特徴構成によれば、運転者が上昇操作具による上昇操作を行うと、搬送部が上昇位置まで自動的に上昇すると共に、搬送部が上昇位置まで上昇すると、搬送部の搬送駆動が自動的に停止されることになる。これにより、運転者が上昇操作具による上昇操作を行うだけで、搬送部を上昇位置まで上昇させると共に、搬送部の搬送駆動を停止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】人参収穫機を示す左側面図である。
図2】運転部を示す平面図である。
図3】本収穫機の制御構成を示す図である。
図4】土解し刃の高さ位置と走行機体の前進走行距離との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明を実施するための形態について、図面に基づき説明する。なお、以下の説明では、矢印Fの方向を「機体の前方」、矢印Bの方向を「機体の後方」、矢印Lの方向を「機体の左方」、矢印Rの方向を「機体の右方」とする。
【0026】
〔人参収穫機の全体構成〕
図1には、人参収穫機(本発明に係る「野菜収穫機」に相当)を示している。本収穫機には、走行機体1と、エンジンEと、運転者が搭乗する運転部2と、圃場から作物を引き抜いて機体後方に向けて搬送する搬送部3と、収穫された作物を回収する回収部4と、搬送部3からの作物を回収部4に向けて搬送する後搬送部5と、作物を主部(収穫対象部)とその他の部分(葉部等)とに切断するカッタ6と、が備えられている。
【0027】
走行機体1には、クローラ走行装置7と、クローラ走行装置7に支持される機体フレーム8と、が備えられている。走行機体1上には、支持フレーム9が設けられている。支持フレーム9には、搬送部3等が支持されている。
【0028】
運転部2は、走行機体1における右側に偏倚した位置に設けられている。エンジンEは、運転部2の下方に設けられている。搬送部3は、走行機体1における左側に偏倚した位置に設けられている。回収部4は、運転部2の後方に設けられている。後搬送部5は、搬送部3の後部の下方(カッタ6の下方)から回収部4まで設けられている。カッタ6は、搬送部3の後部と後搬送部5との間に設けられている。
【0029】
搬送部3は、前下がりに傾斜する状態で設けられている。搬送部3は、機体左右方向に沿って延びる揺動軸心X1周りで揺動して昇降可能に構成されている。搬送部3には、搬送部3の前端部に設けられ、圃場の作物の周囲の土を解す土解し刃10と、圃場から作物を引き抜いて機体後方に向けて搬送する搬送ベルト11と、が備えられている。
【0030】
このような構成によれば、走行機体1が前進走行するのに伴って、土解し刃10が圃場に潜り込んだ状態で振動して土解し刃10によって作物の周囲の土が解されながら、搬送ベルト11によって圃場から作物が引き抜かれて機体後方に向けて搬送されることになる。そして、作物がカッタ6によって収穫対象部と葉部等とに切断された後、収穫対象部が後搬送部5に供給されると共に、葉部等が搬送部3の後端部から排出されて圃場に落下することになる。そして、後搬送部5において、収穫対象部が回収部4まで搬送されながら、補助者によって選別されることになる。最終的には、回収部4において、収穫対象部が図示しない回収袋(フレキシブルコンテナバッグ)に回収されることになる。
【0031】
搬送部3を昇降駆動するアクチュエータとして、油圧シリンダ12が設けられている。油圧シリンダ12は、機体フレーム8と搬送部3とに亘って設けられている。油圧シリンダ12が伸縮することにより、搬送部3が揺動軸心X1周りで揺動して昇降することになる。
【0032】
エンジンEから作業装置(搬送部3、後搬送部5、カッタ6等)への動力伝達経路には、作業クラッチ(図示省略)が設けられている。前記作業クラッチは、エンジンEからの動力を前記作業装置に伝達する入り状態と、エンジンEからの動力を前記作業装置に伝達しない切り状態とに切り替え可能に構成されている。
【0033】
〔運転部〕
図2に示すように、運転部2には、運転座席13と、フロントパネル14と、サイドパネル15と、が備えられている。フロントパネル14には、メータパネル16及び操作レバー17(本発明に係る「下降操作具」に相当)が設けられている。メータパネル16は、エンジン回転数や車速、燃料の残量等が表示するように構成されている。操作レバー17は、走行機体1を操向操作及び搬送部3を昇降操作するためのものである。操作レバー17は、フロントパネル14の右端部に配置されている。すなわち、操作レバー17は、運転座席13に対して右側に配置されている。
【0034】
サイドパネル15には、主変速レバー18及び作業クラッチレバー19が設けられている。主変速レバー18は、エンジンEからの動力を変速する主変速装置(図示省略)としての静油圧式無段変速装置を変速操作するためのものである。主変速レバー18によって前記主変速装置を変速操作することにより、走行機体1の前進、後進及び停止を切り替え、かつ、無段階で変速することができる。作業クラッチレバー19は、前記作業クラッチを前記入り状態と前記切り状態とに切り替え操作するためのものである。主変速レバー18及び作業クラッチレバー19は、運転座席13に対して左側に配置されている。
【0035】
主変速レバー18には、副変速スイッチ20及び昇降スイッチ21が設けられている。副変速スイッチ20は、前記主変速装置からの動力を変速する副変速装置(図示省略)としてのギヤ式変速装置を変速操作するためのものである。昇降スイッチ21は、搬送部3を昇降操作するためのものである。昇降スイッチ21には、上昇スイッチ21A(本発明に係る「上昇操作具」に相当)と、下降スイッチ21Bと、が備えられている。上昇スイッチ21Aは、搬送部3を上昇位置(詳しくは後述する上昇位置H1)まで上昇操作するためのものである。下降スイッチ21Bは、搬送部3を下降位置(詳しくは後述する下降位置H2)まで下降操作するためのものである。
【0036】
〔制御構成〕
図3には、本収穫機の制御構成を示している。本収穫機の制御構成には、制御装置22や昇降スイッチ21、操作レバーセンサ23、作業クラッチレバーセンサ24、走行距離センサ25、高さ位置センサ26、第一油圧制御弁27、第二油圧制御弁28、第三油圧制御弁29が備えられている。昇降スイッチ21、操作レバーセンサ23、作業クラッチレバーセンサ24、走行距離センサ25及び高さ位置センサ26は、夫々の電気信号が制御装置22に入力されるように、制御装置22と電気的に接続されている。
【0037】
操作レバーセンサ23は、操作レバー17の昇降操作量を検出する。作業クラッチレバーセンサ24は、作業クラッチレバー19が前記作業クラッチを前記入り状態とする入り位置に位置しているか、作業クラッチレバー19が前記作業クラッチを前記切り状態とする切り位置に位置しているかを検出する。走行距離センサ25は、走行機体1の走行距離を検出する。
【0038】
高さ位置センサ26は、搬送部3の高さ位置を検出する。具体的には、高さ位置センサ26は、揺動軸心X1周りにおける搬送部3の揺動角度を検出する。本実施形態では、高さ位置センサ26は、ポテンショメータである。
【0039】
第一油圧制御弁27、第二油圧制御弁28及び第三油圧制御弁29は、油圧ポンプ(図示省略)からの作動油を制御する。
【0040】
搬送部3を搬送駆動するアクチュエータとして、第一油圧モータ30が設けられている。第一油圧制御弁27は、第一油圧モータ30に供給される作動油を制御する。第一油圧制御弁27が作動油を制御することにより、第一油圧モータ30が駆動又は停止されることになる。
【0041】
後搬送部5を搬送駆動し、かつ、カッタ6を切断駆動するアクチュエータとして、第二油圧モータ31が設けられている。第二油圧制御弁28は、第二油圧モータ31に供給される作動油を制御する。第二油圧制御弁28が作動油を制御することにより、第二油圧モータ31が駆動又は停止されることになる。
【0042】
第三油圧制御弁29は、油圧シリンダ12に供給される作動油を制御する。第三油圧制御弁29が作動油を制御することにより、油圧シリンダ12が伸長、縮長又は停止されることになる。
【0043】
〔制御装置〕
制御装置22には、上昇制御部32と、下降制御部33と、第一搬送駆動制御部34と、第二搬送駆動制御部35と、切断駆動制御部36と、記憶部37と、が備えられている。
【0044】
上昇制御部32は、搬送部3の上昇駆動に関する制御を行う。具体的には、上昇制御部32は、第三油圧制御弁29を介して油圧シリンダ12を伸長する制御を行う。上昇制御部32が第三油圧制御弁29を切り替えて油圧シリンダ12が伸長されることにより、搬送部3が上昇駆動されることになる。
【0045】
下降制御部33は、搬送部3の下降駆動に関する制御を行う。具体的には、下降制御部33は、第三油圧制御弁29を介して油圧シリンダ12を縮長する制御を行う。下降制御部33が第三油圧制御弁29を切り替えて油圧シリンダ12が縮長されることにより、搬送部3が下降駆動されることになる。
【0046】
第一搬送駆動制御部34は、搬送部3の搬送駆動に関する制御を行う。具体的には、第一搬送駆動制御部34は、第一油圧制御弁27を介して第一油圧モータ30を駆動する制御を行う。第一搬送駆動制御部34が第一油圧制御弁27を切り替えて第一油圧モータ30が駆動されることにより、搬送部3が搬送駆動されることになる。
【0047】
第二搬送駆動制御部35は、後搬送部5の搬送駆動に関する制御を行う。具体的には、第二搬送駆動制御部35は、第二油圧制御弁28を介して第二油圧モータ31を駆動する制御を行う。第二搬送駆動制御部35が第二油圧制御弁28を切り替えて第二油圧モータ31が駆動されることにより、後搬送部5が搬送駆動されることになる。
【0048】
切断駆動制御部36は、カッタ6の切断駆動に関する制御を行う。具体的には、切断駆動制御部36は、第二油圧制御弁28を介して第二油圧モータ31を駆動する制御を行う。切断駆動制御部36が第二油圧制御弁28を切り替えて第二油圧モータ31が駆動されることにより、カッタ6が切断駆動されることになる。
【0049】
記憶部37には、第一搬送駆動制御部34や第二搬送駆動制御部35、切断駆動制御部36、下降制御部33、上昇制御部32の各機能を実現するためのプログラムの他、詳しくは後述する、上昇位置H1や下降位置H2、作業位置H3等が記憶されている。
【0050】
上昇位置H1は、搬送部3が上昇限界に達する手前の高さ位置に設定されている。具体的には、上昇位置H1は、油圧シリンダ12がストロークエンドの手前まで伸びた時の搬送部3の高さ位置に設定されている。
【0051】
下降位置H2は、搬送部3の前端部が圃場に接地する手前の高さ位置に設定されている。具体的には、下降位置H2は、土解し刃10が圃場に接地する手前の高さ位置に設定されている。
【0052】
作業位置H3は、圃場面よりも深い位置に設定されている。具体的には、作業位置H3は、土解し刃10が圃場に潜り込む状態の高さ位置であって、土解し刃10によって作物の周囲の土を解すのに適した高さ位置に設定されている。
【0053】
上昇制御部32は、操作レバー17による上昇操作が行われると、操作レバー17の上昇操作量に応じて搬送部3を上昇させる。上昇制御部32は、上昇スイッチ21Aによる上昇操作が行われると、搬送部3を上昇位置H1まで上昇させる。具体的には、作業クラッチレバー19が前記入り位置の状態において、上昇スイッチ21Aによる上昇操作が行われると、上昇制御部32は、搬送部3を上昇位置H1まで上昇させる。上昇スイッチ21Aを一回押し操作(押して離す操作)すると、搬送部3が上昇位置H1まで上昇することになる。
【0054】
下降制御部33は、操作レバー17による下降操作が行われると、操作レバー17の下降操作量に応じて搬送部3を下降させる。下降制御部33は、下降スイッチ21Bによる下降操作が行われると、搬送部3を下降位置H2まで下降させる。具体的には、作業クラッチレバー19が前記入り位置の状態において、下降スイッチ21Bによる下降操作が行われると、下降制御部33は、搬送部3を下降位置H2まで下降させる。下降スイッチ21Bを一回押し操作(押して離す操作)すると、搬送部3が下降位置H2まで下降することになる。
【0055】
下降制御部33は、下降スイッチ21Bによる下降操作が行われると、搬送部3を下降位置H2まで下降させる第一下降制御を実行し、前記第一下降制御によって搬送部3が下降位置H2まで下降した後、走行機体1が前進走行すると、搬送部3を下降位置H2から下降させる第二下降制御を実行する。本実施形態では、下降制御部33は、前記第二下降制御において、走行機体1の前進走行距離に応じて搬送部3を下降位置H2から下降させると共に、搬送部3が下降位置H2から作業位置H3まで下降すると、搬送部3の下降を停止する。具体的には、下降制御部33は、前記第二下降制御において、土解し刃10が作業位置H3に達すると、搬送部3の下降を停止する。
【0056】
ここで、図3には、土解し刃10の高さ位置と走行機体1の前進走行距離との関係を示している。図3において、土解し刃10が下降位置H2に位置している状態の走行機体1の位置(走行開始位置)をP1、土解し刃10が作業位置H3に位置している状態の走行機体1の位置(作業開始位置)をP2で示している。
【0057】
図3に示すように、下降制御部33は、前記第一下降制御において、土解し刃10が下降位置H2に達するまで搬送部3を下降させる。そして、土解し刃10が下降位置H2に達するまで搬送部3が下降した後、下降制御部33は、前記第二下降制御において、走行機体1の前進走行距離に応じて土解し刃10が作業位置H3に達するまで搬送部3を下降させる。このように、走行機体1が走行開始位置P1から前進走行すると、土解し刃10が作業位置H3に達するまで、走行機体1の前進走行距離が増加するのに応じて搬送部3が下降することになる。
【0058】
ここで、下降制御部33は、前記第一下降制御又は前記第二下降制御を実行中に、操作レバー17による昇降操作が行われると、操作レバー17による昇降操作に基づいて搬送部3を昇降させることを優先する。すなわち、下降制御部33は、操作レバー17からの指令を下降スイッチ21Bからの指令に優先する。
【0059】
第一搬送駆動制御部34は、搬送部3が上昇位置H1まで上昇すると、搬送部3の搬送駆動を停止する。具体的には、作業クラッチレバー19が前記入り位置の状態であって搬送部3が搬送駆動している状態において、操作レバー17による上昇操作が行われることにより、又は、上昇スイッチ21Aによる上昇操作が行われることにより、上昇制御部32によって搬送部3が上昇位置H1まで上昇されると、第一搬送駆動制御部34は、搬送部3の搬送駆動を停止する。すなわち、制御装置22は、上昇スイッチ21Aによる上昇操作が行われると、搬送部3を上昇位置H1まで上昇させると共に、搬送部3が上昇位置H1まで上昇すると、搬送部3の搬送駆動を停止する。
【0060】
そして、搬送部3が上昇位置H1まで上昇した後、搬送部3が上昇位置H1から下降位置H2まで下降すると、第一搬送駆動制御部34は、搬送部3を搬送駆動する。具体的には、作業クラッチレバー19が前記入り位置の状態であって搬送部3が搬送駆動していない状態において、操作レバー17による下降操作が行われることにより、又は、下降スイッチ21Bによる下降操作が行われることにより、下降制御部33によって搬送部3が上昇位置H1から下降位置H2まで下降されると、第一搬送駆動制御部34は、搬送部3を搬送駆動する。
【0061】
ここで、第一搬送駆動制御部34は、操作レバー17による下降操作及び下降スイッチ21Bによる下降操作の何れかに基づいて搬送部3が上昇位置H1から下降位置H2まで下降すると、搬送部3を搬送駆動する。言い換えると、運転者の意図しない事情(例えば、走行時の振動等)によって搬送部3が上昇位置H1から下降位置H2まで下降したとしても、第一搬送駆動制御部34は、搬送部3を搬送駆動しない。
【0062】
ここで、上述のように、第一搬送駆動制御部34は、搬送部3が上昇位置H1まで上昇すると、搬送部3の搬送駆動を停止する。しかし、第二搬送駆動制御部35は、搬送部3が上昇位置H1まで上昇しても、後搬送部5の搬送駆動を停止しない。同様に、切断駆動制御部36は、搬送部3が上昇位置H1まで上昇しても、カッタ6の切断駆動を停止しない。
【0063】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、第二搬送駆動制御部35は、搬送部3が上昇位置H1まで上昇しても、後搬送部5の搬送駆動を停止しない。しかし、第二搬送駆動制御部35は、搬送部3が上昇位置H1まで上昇すると、後搬送部5の搬送駆動を停止してもよい。この場合、第二搬送駆動制御部35は、搬送部3が上昇位置H1まで上昇した後、走行機体1が旋回すると、後搬送部5の搬送駆動を停止してもよい。
【0064】
(2)上記実施形態では、切断駆動制御部36は、搬送部3が上昇位置H1まで上昇しても、カッタ6の切断駆動を停止しない。しかし、切断駆動制御部36は、搬送部3が上昇位置H1まで上昇すると、カッタ6の切断駆動を停止してもよい。この場合、切断駆動制御部36は、搬送部3が上昇位置H1まで上昇した後、走行機体1が旋回すると、カッタ6の切断駆動を停止してもよい。
【0065】
(3)上記実施形態では、第一搬送駆動制御部34は、搬送部3が上昇位置H1から下降位置H2まで下降すると、搬送部3を搬送駆動する。しかし、第一搬送駆動制御部34は、搬送部3が上昇位置H1から下降すると(すなわち、搬送部3が上昇位置H1から下降し始めると同時に)、搬送部3を搬送駆動してもよい。
【0066】
(4)上記実施形態では、下降位置H2は、土解し刃10が圃場に接地する手前の高さ位置に設定されている。しかし、下降位置H2は、土解し刃10が圃場に接地する高さ位置に設定されていてもよい。
【0067】
(5)上記実施形態では、上昇位置H1は、油圧シリンダ12がストロークエンドの手前まで伸びた時の搬送部3の高さ位置に設定されている。しかし、上昇位置H1は、油圧シリンダ12がストロークエンドまで伸びた時の搬送部3の高さ位置に設定されていてもよい。
【0068】
(6)上記実施形態では、下降制御部33は、前記第一下降制御又は前記第二下降制御を実行中に、操作レバー17による昇降操作が行われると、操作レバー17による昇降操作に基づいて搬送部3を昇降させることを優先する。しかし、下降制御部33は、前記第一下降制御又は前記第二下降制御を実行中に、操作レバー17による昇降操作が行われても、前記第一下降制御又は前記第二下降制御を優先してもよい。
【0069】
(7)上記実施形態では、第一搬送駆動制御部34は、搬送部3が上昇位置H1まで上昇すると、搬送部3の搬送駆動を停止する。しかし、第一搬送駆動制御部34がこのような制御を実行するか否かを切り替えるスイッチが設けられていてもよい。
【0070】
(8)上記実施形態では、回収部4は、回収袋に回収するように構成されている。しかし、回収部4は、回収容器(コンテナ)に回収するように構成されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明は、人参収穫機の他、大根収穫機やキャベツ収穫機にも利用可能である。
【符号の説明】
【0072】
3 搬送部
4 回収部
5 後搬送部
6 カッタ
17 操作レバー(下降操作具)
21A 上昇スイッチ(上昇操作具)
22 制御装置
H1 上昇位置
H2 下降位置
H3 作業位置
図1
図2
図3
図4