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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-29
(45)【発行日】2024-03-08
(54)【発明の名称】半導体装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/336 20060101AFI20240301BHJP
   H01L 29/78 20060101ALI20240301BHJP
【FI】
H01L29/78 301H
H01L29/78 301B
H01L29/78 301G
H01L29/78 301V
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2020208394
(22)【出願日】2020-12-16
(65)【公開番号】P2022095207
(43)【公開日】2022-06-28
【審査請求日】2023-03-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】スミス マシュー デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】大野 浩志
(72)【発明者】
【氏名】梶原 瑛祐
(72)【発明者】
【氏名】向井 章
(72)【発明者】
【氏名】蔵口 雅彦
【審査官】田付 徳雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-210836(JP,A)
【文献】特開2020-126892(JP,A)
【文献】特開2014-183080(JP,A)
【文献】特開2016-028445(JP,A)
【文献】特開平09-326489(JP,A)
【文献】特開2018-101667(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0114567(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2009-0029897(KR,A)
【文献】中国特許出願公開第112614889(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/336
H01L 29/786
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極と、
第2電極と、
第3電極であって、前記第1電極から前記第2電極への第1方向における前記第3電極の位置は、前記第1方向における前記第1電極の位置と、前記第1方向における前記第2電極の位置と、の間にある、前記第3電極と、
第1半導体領域及び第2半導体領域を含む半導体部材であって、
前記第1半導体領域は、Alx1Ga1-x1N(0≦x1<1)を含み、前記第1半導体領域は、第1部分領域、第2部分領域、第3部分領域、第4部分領域及び第5部分領域を含み、前記第1部分領域から前記第1電極への第2方向は、前記第1方向と交差し、前記第2部分領域から前記第2電極への方向は、前記第2方向に沿い、前記第3部分領域から前記第3電極への方向は、前記第2方向に沿い、前記第4部分領域の前記第1方向における位置は、前記第1部分領域の前記第1方向における位置と前記第3部分領域の前記第1方向における位置との間にあり、前記第5部分領域の前記第1方向における位置は、前記第3部分領域の前記第1方向における前記位置と前記第2部分領域の前記第1方向における位置との間にあり、
前記第2半導体領域は、Alx2Ga1-x2N(0<x2≦1、x1<x2)を含み、前記第2半導体領域は、第1半導体部分及び第2半導体部分を含み、前記第4部分領域から前記第1半導体部分への方向は前記第2方向に沿い、前記第5部分領域から前記第2半導体部分への方向は前記第2方向に沿う、前記半導体部材と、
アルミニウム、シリコン及び酸素を含む第1化合物部材であって、前記第1化合物部材は、第1化合物領域、第2化合物領域及び第3化合物域を含み、前記第1化合物領域は、前記第1方向において前記第4部分領域と前記第3電極の少なくとも一部との間にあり、前記第2化合物領域は、前記第1方向において前記第3電極の前記少なくとも一部と前記第5部分領域との間にあり、前記第3化合物領域は、前記第2方向において前記第3部分領域と前記第3電極との間にあり、前記第1化合物領域は、前記第3部分領域と対向する第1面と、前記第4部分領域と対向する第1側面と、を含み、前記第1面と前記第1側面との間の第1角度は90度よりも小さい、前記第1化合物部材と、
を備え
前記第1化合物領域は、第2側面を含み、
前記第2側面は、前記第1方向において前記第3電極の前記少なくとも一部と対向し、
前記第2側面と前記第1面との間の第2角度は、90度よりも大きい、半導体装置。
【請求項2】
前記第1角度は、85度以下である、請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第2角度は、95度以上である、請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1化合物領域は、第1部分及び第2部分を含み、
前記第2部分の前記第2方向における位置は、前記第3化合物領域の前記第2方向における位置と、前記第1部分の前記第2方向における位置と、の間にあり、
前記第1部分の前記第1方向に沿う第1厚さは、前記第2部分の前記第1方向に沿う第2厚さよりも薄い、請求項1~のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項5】
第1電極と、
第2電極と、
第3電極であって、前記第1電極から前記第2電極への第1方向における前記第3電極の位置は、前記第1方向における前記第1電極の位置と、前記第1方向における前記第2電極の位置と、の間にある、前記第3電極と、
第1半導体領域及び第2半導体領域を含む半導体部材であって、
前記第1半導体領域は、Alx1Ga1-x1N(0≦x1<1)を含み、前記第1半導体領域は、第1部分領域、第2部分領域、第3部分領域、第4部分領域及び第5部分領域を含み、前記第1部分領域から前記第1電極への第2方向は、前記第1方向と交差し、前記第2部分領域から前記第2電極への方向は、前記第2方向に沿い、前記第3部分領域から前記第3電極への方向は、前記第2方向に沿い、前記第4部分領域の前記第1方向における位置は、前記第1部分領域の前記第1方向における位置と前記第3部分領域の前記第1方向における位置との間にあり、前記第5部分領域の前記第1方向における位置は、前記第3部分領域の前記第1方向における前記位置と前記第2部分領域の前記第1方向における位置との間にあり、
前記第2半導体領域は、Alx2Ga1-x2N(0<x2≦1、x1<x2)を含み、前記第2半導体領域は、第1半導体部分及び第2半導体部分を含み、前記第4部分領域から前記第1半導体部分への方向は前記第2方向に沿い、前記第5部分領域から前記第2半導体部分への方向は前記第2方向に沿う、前記半導体部材と、
アルミニウム、シリコン及び酸素を含む第1化合物部材であって、前記第1化合物部材は、第1化合物領域、第2化合物領域及び第3化合物域を含み、前記第1化合物領域は、前記第1方向において前記第4部分領域と前記第3電極の少なくとも一部との間にあり、前記第2化合物領域は、前記第1方向において前記第3電極の前記少なくとも一部と前記第5部分領域との間にあり、前記第3化合物領域は、前記第2方向において前記第3部分領域と前記第3電極との間にあり、前記第1化合物領域は、前記第3部分領域と対向する第1面と、前記第4部分領域と対向する第1側面と、を含み、前記第1面と前記第1側面との間の第1角度は90度よりも小さい、前記第1化合物部材と、
を備え
前記第1化合物領域は、第1部分及び第2部分を含み、
前記第2部分の前記第2方向における位置は、前記第3化合物領域の前記第2方向における位置と、前記第1部分の前記第2方向における位置と、の間にあり、
前記第1部分の前記第1方向に沿う第1厚さは、前記第2部分の前記第1方向に沿う第2厚さよりも薄い、半導体装置。
【請求項6】
前記第3化合物領域の前記第2方向に沿う第3厚さは、前記第2厚さとは異なる、請求項4または記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第2厚さは、前記第3厚さよりも厚い、請求項記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第2部分は、前記第3化合物領域と接する、請求項5~7のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第1化合物部材は、Al1-z2Siz2O(0.2≦z2≦0.8)を含む、請求項1~8のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項10】
前記第1化合物領域は、前記第4部分領域、及び、前記第3電極の前記少なくとも一部と接する、請求項1~9のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項11】
ガリウム及び酸素を含む第2化合物部材をさらに備え、
前記第2化合物部材は、前記第2方向において前記第3部分領域と前記第3化合物領域との間に設けられる、請求項1~10のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項12】
前記第3化合物領域は、前記第2化合物部材と接する、請求項11記載の半導体装置。
【請求項13】
シリコンと窒素とを含む第3化合物部材をさらに備え、
前記第3化合物部材は、第1絶縁部分及び第2絶縁部分を含み、
前記第1半導体部分は、前記第2方向において、前記第4部分領域と前記第1絶縁部分との間にあり、
前記第2半導体部分は、前記第2方向において、前記第5部分領域と前記第2絶縁部分との間にある、請求項1~12のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項14】
第1電極と、
第2電極と、
第3電極であって、前記第1電極から前記第2電極への第1方向における前記第3電極の位置は、前記第1方向における前記第1電極の位置と、前記第1方向における前記第2電極の位置と、の間にある、前記第3電極と、
第1半導体領域及び第2半導体領域を含む半導体部材であって、
前記第1半導体領域は、Alx1Ga1-x1N(0≦x1<1)を含み、前記第1半導体領域は、第1部分領域、第2部分領域、第3部分領域、第4部分領域及び第5部分領域を含み、前記第1部分領域から前記第1電極への第2方向は、前記第1方向と交差し、前記第2部分領域から前記第2電極への方向は、前記第2方向に沿い、前記第3部分領域から前記第3電極への方向は、前記第2方向に沿い、前記第4部分領域の前記第1方向における位置は、前記第1部分領域の前記第1方向における位置と前記第3部分領域の前記第1方向における位置との間にあり、前記第5部分領域の前記第1方向における位置は、前記第3部分領域の前記第1方向における前記位置と前記第2部分領域の前記第1方向における位置との間にあり、
前記第2半導体領域は、Alx2Ga1-x2N(0<x2≦1、x1<x2)を含み、前記第2半導体領域は、第1半導体部分及び第2半導体部分を含み、前記第4部分領域から前記第1半導体部分への方向は前記第2方向に沿い、前記第5部分領域から前記第2半導体部分への方向は前記第2方向に沿う、前記半導体部材と、
アルミニウム、シリコン及び酸素を含む第1化合物部材であって、前記第1化合物部材は、第1化合物領域、第2化合物領域及び第3化合物域を含み、前記第1化合物領域は、前記第1方向において前記第4部分領域と前記第3電極の少なくとも一部との間にあり、前記第2化合物領域は、前記第1方向において前記第3電極の前記少なくとも一部と前記第5部分領域との間にあり、前記第3化合物領域は、前記第2方向において前記第3部分領域と前記第3電極との間にあり、前記第1化合物領域は、前記第3部分領域と対向する第1面と、前記第4部分領域と対向する第1側面と、を含み、前記第1面と前記第1側面との間の第1角度は90度よりも小さい、前記第1化合物部材と、
前記第3部分領域と前記第3化合物領域との間の中間領域であって、前記中間領域は、第1中間位置と、第2中間位置と、を含み、前記第2中間位置は、前記第2方向において前記第1中間位置と前記第3化合物領域との間にあり、前記第1中間位置は、Ga、N、O及びAlを含み、前記第2中間位置は、Ga、N、O、Al及びSiを含み、前記第1中間位置は、Siを含まない、または、前記第1中間位置におけるSiの濃度は、前記第2中間位置におけるSiの濃度よりも低い、前記中間領域と、
を備えた半導体装置。
【請求項15】
第1構造体を準備し、前記第1構造体は、半導体部材の一部であり上面を含むベース半導体層と、前記上面に設けられた第1化合物部材と、を含み、前記ベース半導体層はAlx3Ga1-x3N(0≦x3<1)を含み、前記第1化合物部材は、アルミニウムとシリコンと酸素とを含み、
前記第1化合物部材の一部を除去して、前記ベース半導体層の一部を露出させ、
前記露出させた前記ベース半導体層の前記一部から前記半導体部材の他部を成長させ、前記半導体部材は、前記ベース半導体層の前記一部の上に設けられたAlx1Ga1-x1N(0≦x1<1)を含む第1半導体領域と、前記第1半導体領域の上に設けられ、Alx2Ga1-x2N(0<x2<1、x1<x2、x3<x2)含む第2半導体領域と、を含み、
前記半導体部材の前記他部の前記成長の後に、前記第1化合物部材に穴を形成し、
前記穴に導電部材を埋め、
前記第1化合物部材の前記一部の前記除去により形成された、前記第1化合物部材の第1側面は、前記上面に対して順テーパ状に傾斜している、半導体装置の製造方法。
【請求項16】
前記半導体部材の前記他部の側面は、前記第1側面と対向し、
前記半導体部材の前記他部の前記側面は、逆テーパ状である、請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項17】
前記穴の側面は、順テーパ状に傾斜している、請求項15または16に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項18】
前記第1構造体は、前記上面と前記第1化合物部材との間に設けられた第2化合物部材を含み、
前記第2化合物材は、ガリウムと酸素とを含み、
前記ベース半導体層の前記一部の前記露出は、前記第2化合物部材の一部を除去して前記ベース半導体層の前記一部を露出させることを含む、請求項15~1のいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法。
【請求項19】
前記半導体部材の前記他部の前記成長の後で前記穴の前記形成の前に、前記半導体部材の前記他部の上に、シリコンと窒素とを含む第3化合物部材をさらに形成する、請求項15~1のいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば窒化物半導体を用いたトランジスタなどの半導体装置がある。半導体装置において、特性の向上が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-021753号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態は、特性を向上できる半導体装置及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態によれば、半導体装置は、第1電極、第2電極、第3電極、半導体部材、及び、第1化合物部材を含む。前記第1電極から前記第2電極への第1方向における前記第3電極の位置は、前記第1方向における前記第1電極の位置と、前記第1方向における前記第2電極の位置と、の間にある。前記半導体部材は、第1半導体領域及び第2半導体領域を含む。前記第1半導体領域は、Alx1Ga1-x1N(0≦x1<1)を含む。前記第1半導体領域は、第1部分領域、第2部分領域、第3部分領域、第4部分領域及び第5部分領域を含む。前記第1部分領域から前記第1電極への第2方向は、前記第1方向と交差する。前記第2部分領域から前記第2電極への方向は、前記第2方向に沿う。前記第3部分領域から前記第3電極への方向は、前記第2方向に沿う。前記第4部分領域の前記第1方向における位置は、前記第1部分領域の前記第1方向における位置と前記第3部分領域の前記第1方向における位置との間にある。前記第5部分領域の前記第1方向における位置は、前記第3部分領域の前記第1方向における前記位置と前記第2部分領域の前記第1方向における位置との間にある。前記第2半導体領域は、Alx2Ga1-x2N(0<x2≦1、x1<x2)を含む。前記第2半導体領域は、第1半導体部分及び第2半導体部分を含む。前記第4部分領域から前記第1半導体部分への方向は前記第2方向に沿う。前記第5部分領域から前記第2半導体部分への方向は前記第2方向に沿う。前記第1化合物部材は、アルミニウム、シリコン及び酸素を含む。前記第1化合物部材は、第1化合物領域、第2化合物領域及び第3化合物域を含む。前記第1化合物領域は、前記第1方向において前記第4部分領域と前記第3電極の少なくとも一部との間にある。前記第2化合物領域は、前記第1方向において前記第3電極の前記少なくとも一部と前記第5部分領域との間にある。前記第3化合物領域は、前記第2方向において前記第3部分領域と前記第3電極との間にある。前記第1化合物領域は、前記第3部分領域と対向する第1面と、前記第4部分領域と対向する第1側面と、を含む。前記第1面と前記第1側面との間の第1角度は90度よりも小さい。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図2図2は、半導体装置の特性を例示するグラフ図である。
図3図3は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図4図4(a)~図4(c)は、半導体装置の特性を例示するグラフ図である。
図5図5は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図6図6は、第1実施形態に係る半導体装置を例示するグラフ図である。
図7図7は、第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を例示するフローチャートである。
図8図8(a)~図8(c)は、第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を例示する模式的断面図である。
図9図9(a)~図9(c)は、第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を例示する模式的断面図である。
図10図10(a)及び図10(b)は、第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を例示する模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚さと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図1に示すように、実施形態に係る半導体装置110は、第1電極51、第2電極52、第3電極53、半導体部材10M、及び、第1化合物部材41を含む。この例では、半導体装置110は、第2化合物部材42を含む。第2化合物部材42は、必要に応じて設けられ、省略されても良い。
【0009】
第1電極51から第2電極52への方向を第1方向とする。第1方向は、例えば、X軸方向である。X軸方向に対して垂直な1つの方向をZ軸方向とする。X軸方向及びZ軸方向に対して垂直な方向をY軸方向とする。
【0010】
第1方向(X軸方向)における第3電極53の位置は、第1方向における第1電極51の位置と、第1方向における第2電極52の位置と、の間にある。例えば、第3電極53の少なくとも一部は、第1方向において、第1電極51と第2電極52との間にある。
【0011】
半導体部材10Mは、第1半導体領域10及び第2半導体領域20を含む。
【0012】
第1半導体領域10は、Alx1Ga1-x1N(0≦x1<1)を含む。第1半導体領域10は、例えばGaNを含む。第1半導体領域10におけるAlの組成比は、例えば、0以上0.05以下である。
【0013】
第1半導体領域10は、第1部分領域11、第2部分領域12、第3部分領域13、第4部分領域14及び第5部分領域15を含む。第1部分領域11から第1電極51への第2方向は、第1方向(X軸方向)と交差する。第2方向は、例えば、Z軸方向である。
【0014】
第2部分領域12から第2電極52への方向は、第2方向に沿う。第3部分領域13から第3電極53への方向は、第2方向に沿う。
【0015】
第4部分領域14の第1方向(X軸方向)における位置は、第1部分領域11の第1方向における位置と、第3部分領域13の第1方向における位置との間にある。第5部分領域15の第1方向における位置は、第3部分領域13の第1方向における位置と、第2部分領域12の第1方向における位置との間にある。上記の部分領域は、例えば、連続している。
【0016】
第2半導体領域20は、Alx2Ga1-x2N(0<x2≦1、x1<x2)を含む。第2半導体領域20は、例えばAlGaNを含む。第2半導体領域20におけるAlの組成比は、例えば、0.05よりも高く1以下である。
【0017】
第2半導体領域20は、第1半導体部分21及び第2半導体部分22を含む。第4部分領域14から第1半導体部分21への方向は、第2方向(例えばZ軸方向)に沿う。第5部分領域15から第2半導体部分22への方向は、第2方向に沿う。
【0018】
第1化合物部材41は、アルミニウム、シリコン及び酸素を含む。第1化合物部材41は、例えば、AlSiOを含む。例えば、第1化合物部材41は、Al1-z2Siz2O(0<z2<1)を含む。後述するように、第1化合物部材41におけるSiの組成比z2は、0.2以上0.8以下でも良い。
【0019】
第1化合物部材41は、第1化合物領域41a、第2化合物領域41b及び第3化合物領域41cを含む。第1化合物領域41aは、第1方向(X軸方向)において、第4部分領域14と第3電極53の少なくとも一部との間にある。第2化合物領域41bは、第1方向において、第3電極53の上記の少なくとも一部と、第5部分領域15と、の間にある。第3化合物領域41cは、第2方向(Z軸方向)において、第3部分領域13と第3電極53との間にある。これらの化合物領域は、互いに連続して良い。
【0020】
第2化合物部材42が設けられる場合、第2化合物部材42は、第2方向(Z軸方向)において第3部分領域13と第3化合物領域41cとの間に設けられる。第2化合物部材42は、ガリウム及び酸素を含む。第2化合物部材42は、例えば、GaOを含む。第2化合物部材42は、例えば、GaOを含んでも良い。
【0021】
第1電極51と第2電極52との間に流れる電流は、第3電極53の電位により制御される。第3電極53の電位は、例えば、第1電極51の電位を基準とした電位である。第1電極51及び第2電極52の一方は、例えば、ソース電極である。第1電極51及び第2電極52の他方は、例えば、ドレイン電極である。第3電極53は、例えば、ゲート電極である。第2化合物部材42は、例えば、ゲート絶縁膜の一部となる。第1化合物部材41は、例えば、ゲート絶縁膜の別の一部となる。半導体装置110は、例えばトランジスタである。例えば、第1半導体領域10は、第2半導体領域20と対向する部分を含む。この部分に、キャリア領域(例えば2次元電子ガス)が生じる。半導体装置110は、例えば、HEMT(High Electron. Mobility Transistor)である。
【0022】
例えば、半導体部材10Mのc軸方向は、第2方向(Z軸方向)に沿う。c軸方向とZ軸方向との間の角度は、10度以下である。第1半導体領域10と第2半導体領域20とにおける組成の差により、上記のキャリア領域が形成される。
【0023】
第1電極51は、例えば、第1半導体部分21と電気的に接続される。第2電極52は、例えば、第2半導体部分22と電気的に接続される。
【0024】
図1に示すように、実施形態において、第1化合物領域41aの外側の側面は、逆テーパ状である。この例では、第2化合物領域41bの外側の側面も、逆テーパ状である。
【0025】
例えば、第1化合物領域41aは、第1面F1及び第1側面SF1を含む。第1面F1は、第3部分領域13と対向する。第2化合物部材42が設けられる場合、第1面F1は、第2化合物部材42と対向する。第1側面SF1は、第4部分領域14と対向する。第1面F1と第1側面SF1との間の角度を第1角度θ1とする。第1角度θ1は、90度よりも小さい。第1角度θ1は、例えば88度以下でも良い。第1角度θ1は、例えば85度以下でも良い。
【0026】
このように、第1化合物部材41の外側の側面が逆テーパであることで、例えば、高いしきい値が得られることが分かった。実施形態によれば、例えば、特性を向上できる半導体装置を提供できる。
【0027】
図2は、半導体装置の特性を例示するグラフ図である。
図2の横軸は、第3電極53に印加されるバイアス電圧Vbである。バイアス電圧Vbは、第1電極51の電位を規準にした電圧である。図2の縦軸は、第1電極51と第2電極52との間に流れる電流I1である。図2には、第1試料SP1及び第2試料SP2についての測定結果が例示されている。第1試料SP1においては、上記の第1角度θ1は、90度よりも小さい。第1試料SP1において、第1角度θ1は、85度である。第2試料SP2においては、上記の第1角度θ1は、90度よりも大きい。第2試料SP2において、第1角度θ1は、150度である。
【0028】
図2に示す通り、第1試料SP1においけるしきい値電圧は、第2試料SP2におけるしきい値電圧よりも大きい。このように、ゲート絶縁膜の側面(例えば、第1化合物領域41aの第1側面SF1)が逆テーパ状であると、高いしきい値が得られる。
【0029】
例えば、ゲート絶縁膜の側面(例えば、第1化合物領域41aの第1側面SF1)が逆テーパ状であると、例えば、第4部分領域14の、第3電極53と対向する部分においては、局所的ポテンシャルが上昇し、その結果、電流が流れ難くなる。
【0030】
例えば、第1半導体領域10から第2半導体領域20への向きは、半導体部材10Mの+c軸方向に沿う。これにより、第1半導体領域10の第2半導体領域20と対向する部分にキャリア領域が形成される。例えば、第4部分領域14の上面の近傍にキャリア領域が形成される。第1側面SF1が逆テーパ状であると、第4部分領域14の、第3電極53と対向する部分において、+c軸方向とは逆向きの分極が生じると考えられる。これにより、ゲート領域においてソースとドレインとの間の電流経路が壊れるため、第4部分領域14の、第3電極53と対向する部分において、電流が流れ難くなると考えられる。
【0031】
図1に示すように、第1化合物領域41aは、第1部分p1及び第2部分p2を含む。第2部分p2の第2方向(Z軸方向)における位置は、第3化合物領域41cの第2方向における位置と、第1部分p1の第2方向における位置と、の間にある。第1部分p1は、例えば、頂部である。第2部分p2は、例えば、底部である。
【0032】
第1部分p1の第1方向(X軸方向)に沿う厚さ(長さ)を第1厚さt1とする。第2部分p2の第1方向に沿う厚さ(長さ)を第2厚さt2とする。第1厚さt1は、第2厚さt2よりも薄い。第2厚さt2が厚いことで、しきい値電圧がより安定して高くできる。
【0033】
例えば、第3化合物領域41cの第2方向(例えばZ軸方向))に沿う厚さ(長さ)を第3厚さt3とする。第3厚さt3は、第2厚さt2とは異なる。例えば、第2厚さt2は、第3厚さt3よりも厚い。
【0034】
第1厚さt1は、例えば、2nm以上30nm以下である。第2厚さt2は、例えば、5nm以上100nm以下である。第3厚さt3は、例えば、5nm以上100nm以下である。例えば、第2部分p2は、第3化合物領域41cと接する。例えば、第2化合物領域41bの外側の別の側面は、第5部分領域15と対向する。この別の側面と、第1面F1と、間の角度は、第1角度θ1と実質的に同じでも良い。
【0035】
図1に示すように、例えば、第3化合物領域41cは、第2化合物部材42と接する。第1化合物領域41aは、第4部分領域14、及び、第3電極53の上記の少なくとも一部と接する。第2化合物領域41bは、第5部分領域15、及び、第3電極53の上記の少なくとも一部と接する。
【0036】
実施形態において、第2化合物部材42の第2方向(Z軸方向)に沿う厚さt4は、例えば、0.1nm以上30nm以下である。第2化合物部材42の厚さt4が0.5nm以上であることで、例えば、低い界面準位密度が得られる。第2化合物部材42の厚さt4が30nm以下であることで、例えば、高いスイッチング特性(例えば、高いトランスコンダクタンス)が得られる。厚さt4は、例えば、0.1nm以上0.5nm以下でも良い。薄い第2化合物部材42においても、例えば、第2化合物部材42と第3部分領域13との間の界面の近傍の準位密度が減少する。例えば、しきい値電圧を安定化できる。
【0037】
図1に示すように、半導体装置110は、第3化合物部材43を含んでも良い。第3化合物部材43は、シリコンと窒素とを含む。第3化合物部材43は、例えば、窒化シリコンを含む。第3化合物部材43の少なくとも一部は、例えば、Siを含む。第3化合物部材43は、第1絶縁部分43a及び第2絶縁部分43bを含む。第1半導体部分21は、第2方向(Z軸方向)において、第4部分領域14と第1絶縁部分43aとの間にある。第2半導体部分22は、第2方向において、第5部分領域15と第2絶縁部分43bとの間にある。第3化合物部材43により、例えば、半導体部材10Mが保護される。より高い安定が得られる。
【0038】
図1に示すように、半導体部材10Mは、基体10s及びバッファ層18を含んでも良い。基体10sは、例えば、シリコン、炭化シリコン、サファイア、窒化アルミニウム及び窒化ガリウムよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。基体10sの上にバッファ層18が設けられる。バッファ層18は、例えば、窒化物半導体を含む。バッファ層18の上に第1半導体領域10が設けられる。第1半導体領域10の上に第2半導体領域20が設けられる。
【0039】
図3は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図3に示すように、実施形態に係る半導体装置111においては、第1化合物部材41の側面の形状が、半導体装置110における第1化合物部材41の側面の形状とは異なる。これを除く半導体装置111の構成は、半導体装置110の構成と同様で良い。
【0040】
半導体装置111において、第1化合物領域41aは、第2側面SF2を含む。第2側面SF2は、第1方向(X軸方向)において、第3電極53の上記の少なくとも一部と対向する。
【0041】
第2側面SF2と第1面F1との間の角度を第2角度θ2とする。第2角度θ2は、90度よりも大きい。第2側面SF2は、例えば、順テーパ状である。
【0042】
このような第2側面SF2により、第1厚さt1は、第2厚さt2よりも薄い。第2厚さt2が厚いことで、しきい値電圧がより安定して高くできる。第2角度θ2は、例えば、92度以上である。第2角度θ2は、例えば、95度以上でも良い。
【0043】
半導体装置111において、高いしきい値がより安定して得られる。半導体装置111によれば、特性を向上できる半導体装置が提供できる。
【0044】
図4(a)~図4(c)は、半導体装置の特性を例示するグラフ図である。
これらの図は、第1化合物部材41におけるSiの組成比を変えたときの特性の実験結果を例示している。これらの図において、第1化合物部材41の形成後の熱処理の温度Tmが変更される。図4(a)において、温度Tmは900℃である。図4(b)において、温度Tmは、800℃である。図4(c)において、温度Tmは、700℃である。第1化合物部材41は、Al1-z2Siz2Oを含む。横軸は、Siの組成比z2である。Siの組成比z2が1のとき、第1化合物部材41は、SiOを含む。Siの組成比z2が0のとき、第1化合物部材41は、Alを含む。縦軸は、ヒステリシスHr(相対値)である。ヒステリシスHrは、バイアス電圧Vbを上昇させたときの半導体部材10Mと第3電極53との間の電気容量の特性と、バイアス電圧Vbを低下させたときの半導体部材10Mと第3電極53との間の電気容量の特性と、の差に対応する。
【0045】
図4(a)~図4(c)からわかるように、Siの組成比z2が0.2以上0.8以下のときに、小さいヒステリシスHrが得られる。例えば、Siの組成比z2が0.22以上0.77以下のときに、小さいヒステリシスHrが得られる。実施形態において、Siの組成比z2が0.2以上0.8以下であることが好ましい。実施形態において、Siの組成比z2は0.22以上0.77以下でも良い。例えば、小さいヒステリシスが得られる。Siの組成比z2は0.23以上でも良い。Siの組成比z2が0.2以上おいて、熱処理の温度Tmに関係なく、小さいヒステリシスHrが得られる。高い耐熱性が得られる。
【0046】
実施形態においては、上記の第1化合物部材41が設けられる。このような構成により、より安定した特性が得られる。第2化合物部材42が設けられることで、より安定した特性が得られる。
【0047】
図5は、第1実施形態に係る半導体装置を例示する模式的断面図である。
図5に示すように、実施形態に係る半導体装置112においては、第2化合物部材42が省略される。半導体装置112におけるこれ以外の構成は、半導体装置110と同様で良い。半導体装置112においても、特性を向上できる。図3に例示した半導体装置111において、第2化合物部材42が省略されても良い。
【0048】
実施形態において、第1電極51及び第2電極52は、例えば、Ti、Al、Ni、Au、Mo、Pt、Pd、W、Cu及びCrよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。第3電極53は、例えば、TiN、Ni、Pt、Au、Cr、Al、Mo、W及びCuよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。
【0049】
図6は、第1実施形態に係る半導体装置を例示するグラフ図である。
図6は、実施形態に係る半導体装置113における元素のプロファイルの例を示している。半導体装置113は、上記の半導体装置110~112のいずれかの構成を有して良い。半導体装置113において、第3部分領域13を含む第1半導体領域10と、第3化合物領域41cを含む第1化合物部材41と、が設けられる(図1図3及び図5などを参照)。半導体装置113において、第2化合物部材42が設けられても良い。半導体装置113において、第1電極51、第2電極52、第3電極53、半導体部材10M、及び、第1化合物部材41の構成は、半導体装置110~112のいずれかの構成と同様で良い。
【0050】
図6は、第3部分領域13及び第3化合物領域41cを含む領域のXPS(X-ray Photoelectron Spectroscopy)分析結果を示す。図6の横軸は、Z軸方向に沿う位置pZである。縦軸は、元素の濃度Cxである。図6には、Ga、Al、N、Si及びOの濃度Cxが示されている。
【0051】
図6に示すように、半導体装置113は、中間領域IRを含んでも良い。中間領域IRは、第3部分領域13と第3化合物領域41cとの間にある。中間領域IRの少なくとも一部は、第2化合物部材42の少なくとも一部でも良い。
【0052】
中間領域IRは、第1中間位置pR1と、第2中間位置pR2と、を含む。第2中間位置pR2は、第2方向(Z軸方向)において、第1中間位置pR1と第3化合物領域41cとの間にある。
【0053】
図6に示すように、第1中間位置pR1と第2中間位置pR2とで、組成が異なっても良い。例えば、第1中間位置pR1と第2中間位置pR2とで、Alの濃度が異なっても良い。例えば、例えば、第1中間位置pR1と第2中間位置pR2とで、Siの濃度が異なっても良い。
【0054】
例えば、第1中間位置pR1は、Ga、N、O及びAlを含む。第2中間位置pR2は、Ga、N、O、Al及びSiを含む。例えば、第1中間位置pR1は、Siを含まない。または、第1中間位置pR1におけるSiの濃度は、第2中間位置pR2におけるSiの濃度よりも低い。
【0055】
例えば、第3部分領域13に近い第1中間位置pR1において、Siの濃度が低いことで、第3部分領域13における結晶の品質が高く維持できる。例えば、より低いオン抵抗が得易くなる。特性をより向上できる。
【0056】
(第2実施形態)
第2実施形態は、半導体装置の製造方法に係る。
図7は、第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を例示するフローチャートである。 図8(a)~図8(c)、図9(a)~図9(c)、図10(a)及び図10(b)は、第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を例示する模式的断面図である。
【0057】
図7に示すように、実施形態に係る半導体装置の製造方法は、ステップS110~S150を含む。ステップS110では、第1構造体が準備される。第1構造体は、半導体部材10Mの一部を含むベース半導体層を含む。ステップS120では、ベース半導体層の一部が露出される。ステップS130では、半導体部材10Mの他部が成長される。ステップS140では、穴が形成される。ステップS150では、導電部材が埋め込まれる。
【0058】
例えば、図8(a)に示すように、この例では、ベース半導体層10aの上面10uに第2化合物部材42が形成される。ベース半導体層10aは、例えば、Alx3Ga1-x3N(0≦x3<1)を含む。第2化合物部材42は、ガリウムと酸素とを含む。第2化合物部材42は、例えば、スパッタ、CVD(chemical vapour deposition)、または、原子堆積法などにより形成される。
【0059】
例えば、図8(b)に示すように、第2化合物部材42の上に、第1化合物部材41が形成される。第1化合物部材41は、アルミニウムとシリコンと酸素とを含む。第1化合物部材41は、例えば、スパッタ、CVD、または、原子堆積法などにより形成される。
【0060】
これにより、第1構造体SB1が形成される。第1構造体SB1は、Alx3Ga1-x3N(0≦x3<1)を含み上面10uを含むベース半導体層10aを含む。第1構造体SB1は、例えば、上面10uに設けられた第1化合物部材41を含む。第1化合物部材41は、アルミニウムとシリコンと酸素とを含む。第1構造体SB1は、第2化合物部材42を含んでも良い。第2化合物部材42は、上面10uと第1化合物部材41との間に設けられる。第2化合物部材42は、ガリウムと酸素とを含む第2化合物部材42を含む。
【0061】
このように、第1構造体SB1の準備は、ベース半導体層10aの上に第2化合物部材42を形成することを含んでも良い。第1構造体SB1の準備は、第2化合物部材42の上に第1化合物部材41を形成することを含んでも良い。
【0062】
図8(c)に示すように、第1化合物部材41の一部を除去する。残った第1化合物部材41の側面は、順テーパ状である。このように、第1化合物部材41の一部の除去により形成された、第1化合物部材41の第1側面SF1は、上面10uに対して順テーパ状に傾斜している。
【0063】
図9(a)に示すように、第2化合物部材42の一部を除去して、ベース半導体層10aの一部10pを露出させる。
【0064】
図9(b)に示すように、露出させたベース半導体層10aの一部10pから半導体部材10Mの他部を成長させる。半導体部材10Mの他部は、ベース半導体層10aの一部10pの上に設けられたAlx1Ga1-x1N(0≦x1<1)を含む第1半導体領域10を含む。半導体部材10Mの他部は、第1半導体領域10の上に設けられた第2半導体領域20を含む。第2半導体領域20は、Alx2Ga1-x2N(0<x2<1、x1<x2、x3<x2)含む。
【0065】
図9(b)に示すように、半導体部材10Mの他部の側面10SFは、第1側面SF1と対向する。半導体部材10Mの他部の側面10SFは、逆テーパ状である。
【0066】
図9(c)に示すように、シリコンと窒素とを含む第3化合物部材43がさらに形成される。
【0067】
図10(a)に示すように、半導体部材10Mの他部の成長の後に、第1化合物部材41に穴41hを形成する。例えば、穴41hの側面41sfは、順テーパ状に傾斜している。
【0068】
このように、この例では、半導体装置の製造方法は、半導体部材10Mの他部の成長の後で、穴41hの形成の前に、半導体部材10Mの他部の上に第3化合物部材43を形成することを含んでも良い。
【0069】
図10(b)に示すように、穴41hに導電部材53Mを埋める。これにより、第3電極53が形成される。例えば、第3化合物部材43の一部を除去して、第1電極51及び第2電極52を形成する。これにより、例えば、半導体装置111が得られる。
【0070】
実施形態に係る半導体装置の製造方法によれば、特性を向上できる半導体装置の製造方法が提供できる。
【0071】
上記の製造方法において、第2化合物部材42は、スパッタ、CVD、または、原子堆積法などにより形成されなくても良い。ベース半導体層10aの上に第1化合物部材41が形成され、熱処理などにより、第2化合物部材42が形成されても良い。この場合、第2化合物部材42の厚さ(例えば厚さt4)は、0.1nm以上0.8nm以下(または、0.1nm以上0.5nm以下)で良い。
【0072】
実施形態において、例えば、第1化合物部材41の厚さ(例えば第3厚さt3)及び第2化合物部材42の厚さ(例えば厚さt4)などは、電子顕微鏡観察により得られても良い。第1化合物部材41の厚さ(例えば第3厚さt3)及び第2化合物部材42の厚さ(例えば厚さt4)などは、XPSから得られる強度プロファイルにより得られても良い。
【0073】
実施形態によれば、特性を向上できる半導体装置及びその製造方法が提供できる。
【0074】
本願明細書において、「垂直」及び「平行」は、厳密な垂直及び厳密な平行だけではなく、例えば製造工程におけるばらつきなどを含むものであり、実質的に垂直及び実質的に平行であれば良い。
【0075】
なお、本明細書において「窒化物半導体」とは、BInAlGa1-x-y-zN(0≦x≦1,0≦y≦1,0≦z≦1,x+y+z≦1)なる化学式において組成比x、y及びzをそれぞれの範囲内で変化させた全ての組成の半導体を含むものとする。またさらに、上記化学式において、N(窒素)以外のV族元素もさらに含むもの、導電形などの各種の物性を制御するために添加される各種の元素をさらに含むもの、及び、意図せずに含まれる各種の元素をさらに含むものも、「窒化物半導体」に含まれるものとする。
【0076】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、半導体装置に含まれる半導体部材、電極、窒化物部材及び絶縁部材などの各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
【0077】
また、各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
【0078】
その他、本発明の実施の形態として上述した半導体装置を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての半導体装置も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0079】
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【0080】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0081】
10…第1半導体領域、 10M…半導体部材、 10SF…側面、 10a…ベース半導体層、 10p…一部、 10s…基体、 10u…上面、 11~15…第1~第5部分領域、 18…バッファ層、 20…第2半導体領域、 21、22…第1、第2半導体部分、 41~43…第1~第3化合物部材、 41a~41c…第1~第3化合物領域、 41h…穴、 41sf…側面、 43a、43b…第1、第2絶縁部分、 51~53…第1~第3電極、 53M…導電部材、 θ1、θ2…第1、第2角度、 110、111、112…半導体装置、 F1…第1面、 Hr…ヒステリシス、 I1…電流、 IR…中間領域、 SB1…第1構造体、 SF1、SF2…第1、第2側面、 SP1、SP2…第1、第2試料、 Tm…温度、 Vb…バイアス電圧、 p1、p2…第1、第2部分、 pR1、pR2…第1、第2中間位置、 t1~t3…第1~第3厚さ、 t4…厚さ、 z2…組成比
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10