(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-29
(45)【発行日】2024-03-08
(54)【発明の名称】大きいサイズのイソキサゾリン粒子の調製方法
(51)【国際特許分類】
C07D 261/04 20060101AFI20240301BHJP
A61K 31/42 20060101ALN20240301BHJP
A61P 33/00 20060101ALN20240301BHJP
【FI】
C07D261/04
A61K31/42
A61P33/00
(21)【出願番号】P 2020524272
(86)(22)【出願日】2018-11-06
(86)【国際出願番号】 EP2018080230
(87)【国際公開番号】W WO2019091940
(87)【国際公開日】2019-05-16
【審査請求日】2021-11-01
(32)【優先日】2017-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-11-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510000976
【氏名又は名称】インターベット インターナショナル ベー. フェー.
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100203035
【氏名又は名称】五味渕 琢也
(74)【代理人】
【識別番号】100185959
【氏名又は名称】今藤 敏和
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100202267
【氏名又は名称】森山 正浩
(74)【代理人】
【識別番号】100182132
【氏名又は名称】河野 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】ジョウ,ゲオルグ・エックス
(72)【発明者】
【氏名】コート,アーロン
(72)【発明者】
【氏名】シェンク,ルーク・ライアン
(72)【発明者】
【氏名】コイノフ,アサーナス
【審査官】土橋 敬介
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2010/005048(WO,A1)
【文献】特表2013-528177(JP,A)
【文献】国際公開第2014/126208(WO,A1)
【文献】特開2015-028006(JP,A)
【文献】特開2014-111578(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 261/04
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イソキサゾリン化合物粒子の製造方法であって、
ここで、イソキサゾリン化合物は、フルララネルであるか、その塩又は溶媒和物であり、
該方法は、
a) イソキサゾリン化合物を、晶析容器内でイソキサゾリン化合物の温度依存性溶解度を有する溶媒で溶解させて、イソキサゾリン化合物溶液のバッチを生成し;
b) 次の方法で結晶化を開始し;
晶析容器を過飽和に冷却し、次いで
i)晶析容器を振動する、および/又は
ii)晶析容器にイソキサゾリン化合物の結晶種を添加してもよく;
c) バッチの一部を除去し、除去した部分を加熱してイソキサゾリン化合物粒子を溶媒に完全に溶解し、溶解したイソキサゾリン化合物溶液を晶析容器に戻し;ここで、返還速度は、除去速度に等しく、毎時0.25~0.75バッチ体積であり、そしてここで、バッチ体積は、工程a)で生成されたイソキサゾリン化合物溶液の体積であり;そして
d) 所望の寸法のイソキサゾリン化合物粒子を得るために晶析容器を冷却する;工程を含み、
ここで、前記所望の
寸法の粒子は、光散乱装置で測定して50μmと150μmの間の体積加重粒子サイズ分布(d50)、及び、走査型電子顕微鏡で測定して10μmより大きく、好ましくは20μmより大きい平均粒子厚を有する粒子である、製造方法。
【請求項2】
イソキサゾリン化合物粒子の製造方法であって、
ここで、イソキサゾリン化合物は、フルララネルであるか、その塩又は溶媒和物であり、
該方法は、
a) 晶析容器中で、イソキサゾリン化合物とイソキサゾリン化合物の温度依存性溶解度を有する溶媒とを組み合わせ;
b) イソキサゾリン化合物が溶媒に溶解するまで晶析容器を加熱し;
c) 晶析容器を48~55℃に冷却して、溶媒中に過飽和のイソキサゾリン化合物のバッチを形成し;
i) イソキサゾリン化合物の結晶種を晶析容器に添加し、結晶化及び粒子の成長を開始させ;
ii) 晶析容器内でイソキサゾリン化合物粒子及び溶媒のスラリーを形成させ;
d) 晶析容器の温度を48~55℃に維持し;
e) バッチの一部を除去し、除去された部分を加熱して、イソキサゾリン化合物粒子を溶媒に完全に溶解させ;ここで、除去速度は、毎時0.25~0.75バッチ体積の速度であり;そしてここで、バッチ体積は、工程c)で生成された過飽和イソキサゾリン化合物溶液の体積であり;
f) 溶解したイソキサゾリン化合物溶液を晶析容器に戻し;ここで、返還速度は、工程e)の除去速度に等しく;そして
g) 所望の寸法のイソキサゾリン化合物粒子を得るために晶析容器を冷却する、工程を含み;
ここで、前記所望の
寸法の粒子は、静的光散乱装置で測定して50μmと150μmの間の体積加重粒子サイズ分布(d50)、及び、走査型電子顕微鏡(SEM)で測定して10μmより大きく、好ましくは20μmより大きい平均粒子厚を有する粒子である、製造方法。
【請求項3】
溶媒が、イソプロパノールであるか、または、トルエンと酢酸エチルの混合物である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
溶媒がイソプロパノールである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
溶媒が、トルエンと酢酸エチルの混合物である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項6】
工程bの晶析容器が、60℃を超える温度、好ましくは65℃に加熱される、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
除去された部分が、60℃を超える温度、好ましくは65℃に加熱される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
除去された部分が、熱交換器を介して又は第2の容器内で加熱される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
工程e)における除去速度が、毎時0.40~0.46バッチ体積である、請求項2に記載の方法。
【請求項10】
除去速度が4~24時間、好ましくは6時間維持される、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
工程g)の晶析容器が、0℃以下、好ましくは-10℃の温度に冷却される、請求項2に記載の方法。
【請求項12】
晶析容器を10~48時間、好ましくは12~20時間にわたって冷却する、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
工程g)のイソキサゾリン化合物粒子を濾過する工程をさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項14】
濾過の温度が0℃以下、好ましくは-10℃に維持される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
濾過されたイソキサゾリン粒子が乾燥される、請求項13~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
静的光散乱装置で測定して50μmと150μmの間の体積加重粒子サイズ分布(d50)、及び、走査型電子顕微鏡(SEM)で測定して10μmより大きく、好ましくは20μmより大きい平均粒子厚を有する粒子を含む、イソキサゾリン化合物粒子組成物であって、
イソキサゾリン化合物がフルララネルである、組成物。
【請求項17】
圧力滴定で測定した機械的弾性率が1から3バールの分散圧力に増加したとき、粒子の静的光散乱装置で測定した体積加重粒子サイズ分布(d50)が40%を超えては減少しない、請求項16に記載のイソキサゾリン化合物粒子組成物。
【請求項18】
粒子の粒子サイズ分布(d50)が、1~3バールの分散圧力から35%を超えて減少しない、請求項16~17のいずれか一項に記載のイソキサゾリン化合物粒子組成物。
【請求項19】
工程c)における除去速度が、毎時0.40~0.46バッチ体積である、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
工程d)の晶析容器が、0℃以下、好ましくは-10℃の温度に冷却される、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
工程d)のイソキサゾリン化合物粒子を濾過する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
濾過の温度が0℃以下、好ましくは-10℃に維持される、請求項
21に記載の方法。
【請求項23】
濾過されたイソキサゾリン粒子が乾燥される、請求項
21に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
イソキサゾリン化合物は当技術分野で公知であり、これらの化合物及びそれらの抗寄生虫としての使用が、例えば、米国特許の出願US2007/0066617、及び国際特許出願WO2005/085216、WO2007/079162、WO2009/002809、WO2009/024541、WO2009/003075、WO2010/070068、及びWO2010/079077に記載されており、これらの開示並びに本明細書に引用された参考文献は、参照により組み込まれる。この種の化合物は外部寄生生物、すなわちノミやダニのような寄生昆虫や、ダニ、線虫のような内部寄生生物に対して優れた活性を有することが知られている。
【0002】
イソキサゾリン化合物の例はカルバモイルベンズアミドフェニルイソキサゾリン(CBPI)化合物である。CBPI化合物の具体例は、4-[5-(3、5-ジクロロフェニル)-5-トリフルオロメチル-4、5-ジヒドロイソオキサゾール-3-イル]-2-メチル-N-[(2、2、2-トリフルオロ-エチルカルバモイル)-メチル]-ベンズアミド(CAS RN[864731-61-3])-USANフルララネルである。
【化1】
【0003】
CBPI化合物フルララネルは、特許出願WO2005/085216に開示されている。ブラベクト(登録商標)は、イヌに発生するノミの治療と予防、ダニの治療と抑制に認可されたフルララネルを含むチュアブル錠である(NADA 141-426、2014年5月15日参照)。
【0004】
結晶化は、化学物質及び医薬物質の精製のために一般的に使用される技術である。溶液から固体を分離するのは、分離技術である。固体(溶質)を液体溶媒と混合して攪拌すると、溶質は溶媒に溶解して溶液となる。より多くの溶質が溶媒に加えられると、それ以上は溶質が溶媒に溶けない点に到達する。この点は飽和点として知られており、溶液を飽和溶液という。ほとんどの物質では、溶媒に溶ける溶質の量は温度の関数である。溶媒の温度が上昇すると、溶解できる溶質の量が増加する。加熱した飽和溶液を冷却すると、溶解した溶質の一部が溶液から出て溶質の結晶が形成され始める。この過程で形成される結晶の大きさは冷却速度に依存する。溶液が速い速度で冷却される場合、多数の小さな結晶を形成する。遅い冷却速度では大きな結晶が形成される。(「結晶化:物質の分離」、2017年10月31日アクセス、https://byjus.com/chemistry/crystallization/)。
【0005】
結晶形成の温度依存の理論的説明を以下に示し、
図1に図示する。
【0006】
「図の点Aから始めて、飽和状態になっているとしよう。この領域の溶液に添加されたいずれの結晶も溶解する。もしAとBの間の点まで冷やせば、既存の結晶は成長するが、新しい結晶は生成しない準安定領域に入る。さらに冷却すると、点Bで不安定な溶液が得られ、そこでは新しい結晶の自発的形成、すなわち核形成が起こる。これにより、濃度が劇的に減少し、点Cに到達する。さらに冷却すると、BとCの間で形成された結晶が成長し、冷却によって生じた過飽和度を消費する。したがって、D点で結晶化の終わりに到達するまで、準安定領域にとどまる」
出典: 「Practica in Process Engineering II結晶化」 Spring 2014 https://www.ethz.ch/content/dam/ethz/special-interest/mavt/process-engineering/separation-processes-laboratory-dam/documents/practica%20in%20process%20engineering%202/crystallization.pdf, 2017年12月19日アクセス。
【0007】
これらの文献のいずれにも、イソキサゾリン化合物結晶の粒子サイズを制御する方法の開示はない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】US2007/0066617号
【文献】国際特許公開WO2005/085216号
【文献】国際特許公開WO2007/079162号
【文献】国際特許公開WO2009/002809号
【文献】国際特許公開WO2009/024541号
【文献】国際特許公開WO2009/003075号
【文献】国際特許公開WO2010/070068号
【文献】国際特許公開WO2010/079077号
【発明の概要】
【0009】
イソキサゾリン化合物粒子の製造方法であって、
ここで、イソキサゾリン化合物は式(I)
【化2】
【0010】
ここで、
R
1は、ハロゲン、CF
3、OCF
3又はCNであり;
nは、0から3までの整数であり;
mは、1又は2であり;
R
2は、C
1-C
3ハロアルキルであり;
Tは、環構造:5又は6員環、又は二環であり、これは、任意に1以上の基Yで置換されており;
Yは、メチル、ハロメチル、ハロゲン、CN、NO
2、NH
2-C=Sであるか、又は隣接する2つの基Yが一緒になって鎖を形成し;
Qは、X-NR
3R
4、NR
5-NR
6-X-R
3、X-R
3又は5員N-ヘテロアリール環であり、これは、1以上の基によって任意に置換されており;
Xは、CH
2,CH(CH
3),CH(CN),CO,CSであり;
R
3は、水素、メチル、ハロエチル、ハロプロピル、ハロブチル、メトキシメチル、メトキシエチル、ハロメトキシメチル、エトキシメチル、ハロエトキシメチル、プロポキシメチル、エチルアミノカルボニルメチル、エチルアミノカルボニルエチル、ジメトキシエチル、プロピニルアミノカルボニルメチル、N-フェニル-N-メチル-アミノ、ハロエチルアミノカルボニルメチル、ハロエチルアミノカルボニルエチル、テトラヒドロフリル、メチルアミノカルボニルメチル、(N,N-ジメチルアミノ)-カルボニルメチル、プロピルアミノカルボニルメチル、シクロプロピルアミノカルボニルメチル、プロペニルアミノカルボニルメチル、ハロエチルアミノカルボニルシクロプロピル、アルキルスルファニルアルキル、アルキルスルフィニルアルキル、アルキルスルホニルアルキル、シクロアルキル、
【化3】
であり、ここで、Z
Aは、水素、ハロゲン、シアノ又はハロメチル(CF
3)であり;
R
4は、水素、エチル、メトキシメチル、ハロメトキシメチル、エトキシメチル、ハロエトキシメチル、プロポキシメチル、メチルカルボニル、エチルカルボニル、プロピルカルボニル、シクロプロピルカルボニル、メトキシカルボニル、メトキシメチルカルボニル、アミノカルボニル、エチルアミノカルボニルメチル、エチルアミノカルボニルエチル、ジメトキシエチル、プロピニルアミノカルボニルメチル、ハロエチルアミノカルボニルメチル、シアノメチルアミノカルボニルメチル又はハロエチルアミノカルボニルエチルであり;
R
5は、H、アルキル又はハロアルキルであり;
R
6は、H、アルキル又はハロアルキルであり;
又は、R
3及びR
4は一緒になって、
【化4】
よりなる群から選択される置換基を形成する、
の化合物であるか、その塩又は溶媒和物であって、該方法は、
a) イソキサゾリン化合物を、晶析容器内でイソキサゾリン化合物の温度依存性溶解度を有する溶媒で溶解させて、イソキサゾリン化合物溶液のバッチを生成し;
b) 次の方法で結晶化を開始し;
i)晶析容器を過飽和に冷却する、又は
ii)晶析容器を振動する、又は
iii)晶析容器にイソキサゾリン化合物の結晶種を添加する、又は
iv)上記の1以上の組み合わせ;
c) バッチの一部を除去し、除去した部分を加熱してイソキサゾリン化合物粒子を溶媒に完全に溶解し、溶解したイソキサゾリン化合物溶液を晶析容器に戻し;ここで、返還速度は、除去速度に等しく、毎時約0.25~0.75バッチ体積であり;そしてここで、バッチ体積は、工程a)で生成されたイソキサゾリン化合物溶液の体積であり;そして
d) 所望の寸法のイソキサゾリン化合物粒子を得るために晶析容器を冷却する;工程を含み、
ここで、前記所望の粒子の寸法は、光散乱装置で測定して75μmと120μmの間の体積加重粒子サイズ分布(d50)、及び、走査型電子顕微鏡で測定して10μmより大きく、好ましくは20μmより大きい平均粒子厚を有する粒子である、方法である。
【0011】
走査型電子顕微鏡(SEM)で測定して10μmより大きく、好ましくは20μmより大きい厚さ、及び、Sympatec HELOSを用いた圧力滴定で測定して機械的弾性を有する粒子を含むイソキサゾリン化合物粒子組成物は、粒子の粒子サイズ分布(d50)は、1ないし3バールの分散圧力からは、40%を超えては減少しない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2】
図2は、イソプロパノール(IPA)中のフルララネルの溶解度の温度依存性を示す。
【
図3】
図3は、晶析容器とシステムの他の構成の概略図を示す。
【
図4】
図4は、(3A)本発明の方法によって製造されなかったフルララネル結晶の粒子サイズ分布;及び(3B)同じ結晶のSEM画像を示す。
【
図5】
図5は、本発明の方法によっては製造されないフルララネル結晶の圧力滴定を示す。シンパテック圧力滴定:圧力が1~3バール増加するにつれて、粒子サイズ(d50)は50μmから25μmに減少する。最適化されていない再循環プロセスから作られた材料である。この場合、結晶は薄く、圧力滴定実験から分かるように、機械的に強固ではなく、この実験では、1バールで分散した圧力と3バールで分散した圧力との間で、x50が1バールで110μmから、2バールで80μmに減少し、3バールで60μmに減少し、或いは1バールから3バールまでサイズが46%減少している。
【
図6】
図6は、本発明の方法により製造されたフルララネル結晶の粒子サイズ分布及び圧力滴定を示す。シンパテック圧力滴定:圧力が1~3バールから増加すると、粒子サイズ(d50)が100μmから73μmに減少する。
【
図7】
図7は、本発明の方法により製造されたフルララネル結晶の粒子サイズ分布及び圧力滴定を示す。
【
図8】
図8は、本発明のプロセスではないプロセスによって生成されたフルララネル結晶のSEM画像を示す。
【
図9】
図9は、本発明のプロセスによって生成されたフルララネル結晶のSEM画像を示す。
【
図10】
図10は、実施例3で作成した材料の粒子サイズ分布を示す。得られた材料は、108のx50を有し、圧力滴定により1バールから3バールにx50が約24%減少した。
【
図12】
図12は、実施例4で使用したパイロットスケール機器の概略図を示す。
【
図13】
図13は、実施例4から作製された材料の粒子サイズ分布を示す。得られた材料は、103μmのd50及び47.3μmのd10及び158.8μmのd90を有していた。このサンプルの粒子サイズ測定は、Microtrac静的光散乱システムを使用した湿式法で行った。
【
図14】
図14は、実施例4から作製された材料のSEMを示す。
【
図15】
図15は、実施例5で作成した材料の粒子サイズ分布を示す。得られた材料の平均d50は99μmであり、圧力滴定により1バールから3バールにd50が約20%減少した。
【
図16】
図16は、実施例5から作製された材料のSEMを示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
大きなイソキサゾリン化合物粒子を製造する改良された方法であって、結晶化を開始し、次いで、溶媒の一部を除去し、再加熱し、再循環することによって準安定領域における結晶化の温度を維持し、それによって、既存の結晶をより大きく成長させながら、より新しい小型の結晶の形成を最小限に抑えることを含む方法である。
【0014】
結晶化は核形成によって開始され、これは自発的に起こるか、又は、振動又は種粒子によって誘起される。核結晶は、飽和溶液の温度が低下したときに形成される小さな結晶である。核形成があまりにも早く起こると、より小さな結晶がより多く成長する。
【0015】
イソキサゾリン化合物、特にフルララネルの場合、種結晶は典型的には10μm長未満である。
【0016】
結晶化のプロセスは、イソキサゾリン化合物の溶液に、溶液中、核形成物質(種結晶)を添加し、成長しやすい出発結晶の表面特性を達成することから始まる。結晶化が開始されると、溶液中でイソキサゾリン化合物粒子のスラリーが形成される。この初期スラリーは、合理的な成長速度を促進し、さらなる核形成を回避するために、比較的高温(52~54℃)に維持される。低温では、成長速度は著しく遅く、核形成のリスクはより大きい。イソキサゾリン化合物粒子スラリーのバッチの一部を除去し、加熱し、形成された任意の結晶を溶解し、晶析容器に戻して連続的な過飽和を与え、結晶成長を起こす。このような成長条件下では薄い板が優先的に形成され、これは、破損に影響されやすいので、このリサイクル速度はあまり遅くはなり得ない。これらの条件下では核形成又は凝集のいずれかが起こり得るので、再循環速度は高すぎてはならない。出発スラリーが十分な点まで成長すると、スラリーは、所望の結晶寸法が達成される温度まで核形成を回避する速度で冷却される。溶解したイソキサゾリン化合物溶液の晶析容器への戻しは、イソキサゾリン化合物粒子の連続的な結晶成長を達成するために、毎時約0.25から0.75バッチ体積の速度で行われる。
【0017】
スラリー材料を繰り返し除去し、溶解したイソキサゾリンを晶析容器に戻すことによって十分な粒子サイズ成長が達成された後、晶析容器を10~48時間、好ましくは12~20時間かけて、約0℃、好ましくは約-10℃に冷却して過飽和をさらに緩和し、所望の寸法に成長させる。
【0018】
本発明の方法によって製造された規定された粒子サイズを有するイソキサゾリン化合物の粒子を含む注射可能な組成物は、望ましい生物学的利用能と有効期間を示し、一方で、注射部位での最小限の刺激を引き起こすことが見出されている。このような組成物はまた、温血動物及び鳥動物レシピエントに対して望ましい安全プロフィールを提供する。加えて、このような組成物の単回投与は、一般に、一つ以上の寄生虫(例えば、外部寄生者、例えばノミ、ダニ又はダニ)に対して強力な活性を提供することが発見されており、一方、活性の迅速な開始、活性の長時間、及び/又は望ましい安全プロフィールをも提供する傾向がある。
【0019】
定義
走査型電子顕微鏡(SEM)は、高エネルギー電子の集束ビームを用いて固体試料表面に種々の信号を発生させる分析装置である。信号は、外部形態(集合組織)、化学組成及び試料を構成する材料の結晶構造と方位を含む試料に関する情報を明らかにする。
【0020】
溶質の温度依存性溶解度を有する溶媒は、溶媒中で溶質の溶解度が温度によって変化することを意味する。一般に、これは溶解度が温度の上昇と共に増加することを意味する。
【0021】
イソプロパノール(IPA)に対するフルララネルの溶解度の温度感受性を
図1に示し、x軸は温度を示し、y軸はmg/mLで表されるフルララネルの溶解度を示す。
【0022】
溶解度温度曲線の準安定領域は、既存の結晶が成長するが、新しい結晶が形成されない領域である。
【0023】
晶析容器は、結晶化が起こる容器である。
【0024】
飽和は、所定の温度で溶解物質の最大平衡量を保持するときの溶液の状態である。
【0025】
過飽和は、溶液が平衡状態で飽和溶液よりも多くの溶質を含むときである。
【0026】
スラリーは薄い懸濁液である。
【0027】
バッチは、溶媒+溶質である。
【0028】
バッチボリュームは、バッチの体積(volume)である。
【0029】
本明細書で使用される場合、報告される粒子サイズデータは、静的光散乱(レーザー回折とも呼ばれる)、画像分析又は篩分けのような当業者に周知の従来の粒子技術によって測定されるように、体積加重(volume weighted)である。粒子サイズ測定の議論については、以下に示す。
【0030】
機械的弾性とは、圧力又は他の原因からのストレスにさらされたときに、結晶又は粒子がより小さな結晶又は粒子に破壊される抵抗である。機械的弾性は、Sympatec HELOSを用いた圧力滴定により測定できる。この装置は、粒子サイズ分布を同時に測定できる。この実験では、結晶を互いに分散又は分離するために圧力を適用する。結晶への圧力を1バールから3バールに増加させたときのd50の粒子サイズ分布測定の変化を監視した。好ましくは、本発明のイソキサゾリン化合物の粒子は、分散圧力が1から3バールに増加したとき、d50の粒子サイズ分布測定値を30~40%を超えては減少しない。
【0031】
本発明で使用するためのイソキサゾリンの実施形態において、Tは、以下から選択され
【化5】
ここで、T-1、T-3及びT-4において、基Yは、水素、ハロゲン、メチル、ハロメチル、エチル又はハロエチルである。
【0032】
本発明で使用するためのイソキサゾリンの実施形態において、Qは以下から選択され、
【化6】
ここで、R
3、R
4、X及びZ
Aは上記で定義されたとおりであり、Z
Bは、
【化7】
であり、Z
Dは、
【化8】
である。
【0033】
一実施形態において、本発明で使用するためのイソキサゾリンは、表1に示すとおりである。
【0034】
【0035】
一実施形態において、本発明で使用するためのイソキサゾリンは、表2に示すとおりである。
【0036】
【0037】
一実施形態において、本発明で使用するためのイソキサゾリンは、化合物:
【化9】
であり、
ここで、R
1a、R
1b、R
1cは、互いに独立して:水素、Cl又はCF
3である。好ましくは、R
1a及びR
1cは、Cl又はCF
3であり、R
1bは水素であり、Tは、
【0038】
【化10】
であり、ここで、Yはメチル、臭素、Cl、F、CN又はC(S)NH
2であり、n=1又は2であり;Qは上記の通りである。
【0039】
本明細書中で定義されるイソキサゾリンの実施形態において、R3はHであり、そしてR4は:-CH2-C(O)-NH-CH2-CF3、-CH2-C(O)-NH-CH2-CH3、-CH2-CH2-CF3又は-CH2-CF3である。
【0040】
本発明で使用するためのイソキサゾリンはまた、その薬学的に許容される塩、エステル及び/又はN-オキシドを含む。加えて、イソキサゾリン化合物への言及は、その多形形態又は立体異性体のいずれも等しく指す。
【0041】
立体特異的形態に関して、本発明による医薬組成物は、本発明で使用するためのイソキサゾリンのラセミ混合物を使用することができ、上記のようなイソキサゾリン化合物のエナンチオマーの等量を含有する。或いは、医薬組成物は、本明細書中で定義されるイソキサゾリンのエナンチオマーの1つにおいてラセミ混合物と比較して濃縮された立体異性体を含有するイソキサゾリン化合物を使用してもよい。また、医薬組成物は、そのようなイソキサゾリン化合物の本質的に純粋な立体異性体を使用してもよい。本発明で使用するためのイソキサゾリンのそのような富化又は精製された立体異性体調製物は、当技術分野で公知の方法によって調製することができる。例としては、触媒的不斉合成を利用する化学プロセス、又はジアステレオマー塩の分離である(例えば、WO2009/063910及びJP2011/051977をそれぞれ参照されたい。)。
【0042】
本発明に係る医薬組成物の一実施形態において、イソキサゾリンは、フルララネル、アフォキソラネル、ロチラネル又はサロラネルからなる群より選択される1種以上である。
【0043】
一実施形態において、式(I)の化合物は、4-[5-(3,5-ジクロロフェニル)-5-トリフルオロメチル-4、5-ジヒドロイソオキサゾール-3-イル]-2-メチル-N-[(2,2,2-トリフルオロ-エチルカルバモイル)-メチル]-ベンズアミド(CAS RN864731-61-3-USANフルララネル)である。
【0044】
一実施形態において、フルララネルはS-フルララネルである。
【0045】
別の実施形態において、式(I)の化合物は、WO2007/079162に開示された4-[5-[3-クロロ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-4,5-ジヒドロ-5-(トリフルオロメチル)-3-イソオキサゾリル]-N-[2-オキソ-2-[(2,2,2-トリフルオロエチル)アミノ]エチル]-1-ナフタレンカルボキサミド(CAS RN1093861-60-9、USAN-アフォキソラネル)である。
【0046】
本発明による医薬組成物の一実施形態において、イソキサゾリンはロチラネル(CAS RN:1369852-71-0;3-メチル-N-[2-オキソ-2-(2,2,2-トリフルオロエチルアミノ)エチル]-5-[(5S)-5-(3,4,5-トリクロロフェニル)-5-(トリフルオロメチル)-4H-1,2-オキサゾール-3-イル]チオフェン-2-カルボキサミド)である。
【0047】
本発明による医薬組成物の一実施形態において、イソキサゾリンは、サロラネル(CAS RN:1398609-39-6;1-(5’-((5S)-5-(3,5-ジクロロ-4-フルオロフェニル)-5-(トリフルオロメチル)-4,5-ジヒドロイソオキサゾール-3-イル)-3’ -H-スピロ(アゼチジン-3,1’-(2)ベンゾフラン)-1-イル)-2-(メチルスルホニル)エタノン)である。
【0048】
別の実施形態において、式(I)の化合物は、(Z)-4-[5-(3,5-ジクロロフェニル)-5-トリフルオロメチル-4,5-ジヒドロイソオキサゾール-3-イル]-N-[(メトキシイミノ)メチル]-2-メチルベンズアミド(CAS RN 928789-76-8)である。
【0049】
別の実施形態において、式(I)の化合物は、WO2009/0080250に開示された4-[5-(3,5-ジクロロフェニル)-5-(トリフルオロメチル)-4H-イソキサゾール-3-イル]-2-メチル-N-(チエタン-3-イル)ベンズアミド(CAS RN1164267-94-0)である。
【0050】
一実施形態において、本発明の化合物は、WO2010/070068に開示された5-[5-(3,5-ジクロロフェニル)-4、5-ジヒドロ-5-(トリフルオロメチル)-3-イソオキサゾリル]-3-メチル-N-[2-オキソ-2-[(2,2,2-トリフルオロエチル)アミノ]エチル]-2-チオフェンカルボキサミド(CAS RN:1231754-09-8)である。
【0051】
本発明の一実施形態は、イソキサゾリン化合物粒子を調製する方法であり、ここで、イソキサゾリン化合物は、式(I)の化合物であり、該方法は;
a) イソキサゾリン化合物を、晶析容器中でイソキサゾリン化合物の温度依存性溶解度を有する溶媒と組み合わせ;
b) イソキサゾリン化合物が溶媒に溶解するまで晶析容器を加熱し;
c) 晶析容器を48~55℃に冷却して、溶媒中に過飽和のイソキサゾリン化合物のバッチを形成し;
i)イソキサゾリン化合物の結晶種を晶析容器に添加し、結晶化及び粒子の成長を開始させ;
ii)晶析容器内でのイソキサゾリン化合物粒子及び溶媒のスラリーを形成させ;
d) 晶析容器の温度を48~55℃に維持し;
e) バッチの一部を除去し、除去された部分を加熱して、イソキサゾリン化合物粒子を溶媒に完全に溶解させ;ここで、除去速度は、毎時約0.25~0.75バッチ体積の速度であり;そしてここで、バッチ体積は、工程c)で生成された過飽和のイソキサゾリン化合物溶液の体積であり;
f) 溶解したイソキサゾリン化合物溶液を晶析容器に戻し;ここで、返還速度は、工程e)の除去速度に等しく;そして
g) 所望の寸法のイソキサゾリン化合物粒子を得るために晶析容器を冷却する、工程を含み;
ここで、前記所望の粒子サイズは、光散乱装置で測定して75μmと120μmの間の体積加重粒子サイズ分布(d50)、及び、10μmより大きく、好ましくは20μmより大きい平均粒子厚を有する粒子である。
【0052】
一実施形態において、イソキサゾリン化合物はフルララネルである。
【0053】
一実施形態において、溶媒はメタノール又はアセトンである。さらに別の態様において、溶媒は、アセテート又はアセトニトリルである。一実施形態において、溶媒は、ジメチルアセトアミド(DMA)、N-メチルピロリドン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N、N-ジエチルエーテル-m-トルアミド(DEET)、2-ピロリドン、アセトン、g-ヘキサラクトン、グリコフロール(テトラグリコール)、メチルエチルケトン、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(Transcutol登録商標)、乳酸エチル、ジメチルイソソルビド、酢酸エチル、マクロゴールグリセロールカプリルカプラート(Labrasol登録商標)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(ダウアノール商標DPM)、グリセロールホルマール、ベンジルアルコール、メタノール、ポリエチレングリコール200、プロピレンカーボネート、1-メトキシ-2-プロピルアセテート(ドワノール商標PMA)、イソプロピリデングリセロール(ソルケトール)、エチルアルコール、グリセロールトリアセテート(トリアセチン)、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、トリグリセリド中鎖(ミグリオール登録商標812)、オレイン酸エチル、トルエン、酢酸エチル又はこれらの混合物の群から選択される。
【0054】
一実施形態において、溶媒はイソプロパノールである。
【0055】
一実施形態において、溶媒はトルエンと酢酸エチルの混合物である。
【0056】
一実施形態において、工程bの晶析容器は、60℃を超える温度、好ましくは約65℃に加熱される。
【0057】
一実施形態において、ステップc)においては、晶析容器は、過飽和を達成するよう冷却され、好ましくは約48~55℃の温度、より好ましくは約52~54℃の温度に冷却される。
【0058】
一実施形態において、除去された部分は、60℃を超える温度、好ましくは約65℃に加熱される。
【0059】
一実施形態において、除去された部分は、熱交換器を介して又は第2の容器内で加熱される。
【0060】
一実施形態において、工程e)における除去速度は、毎時0.40から0.46バッチボリュームである。
【0061】
一実施形態において、除去速度は約4~24時間、好ましくは約6時間維持される。
【0062】
一実施形態において、工程g)の晶析容器は、約0℃以下、好ましくは約-10℃の温度に冷却される。
【0063】
上記方法のいずれかの追加の態様では、工程g)のイソキサゾリン化合物粒子を濾過する工程をさらに含む。
【0064】
一実施形態において、濾過の温度は、0℃以下、好ましくは-10℃に維持される。
【0065】
一実施形態において、濾過されたイソキサゾリン粒子は乾燥される。
【0066】
本発明の実施形態は、本明細書に開示される任意の方法によって製造されるイソキサゾリン化合物粒子である。
【0067】
本発明の一実施形態は、走査型電子顕微鏡(SEM)によって測定して10μmよりも大きい、好ましくは20μmよりも大きい厚さの粒子、及びSympatec HELOSを用いた圧力滴定によって測定して機械的弾性を有する粒子を含むイソキサゾリン化合物粒子組成物であり、ここで、粒子の粒子サイズ分布(d50)は、1~3バール分散圧力から40%よりも大きくは減少しない。
【0068】
一実施形態において、粒子の粒子サイズ分布(d50)は、1~3バールの分散圧力から35%よりも大きくは減少しない。
【0069】
一実施形態において、粒子の粒子サイズ分布(d50)は、1~3バールの分散圧力から30%よりも大きくは減少しない。
【0070】
一実施形態において、イソキサゾリン化合物粒子組成物は、走査型電子顕微鏡(SEM)で測定して、10μm超100μm未満、好ましくは20μm超90μm未満、好ましくは30μm超80μm未満の厚さを有する粒子を含む。
【0071】
一実施形態において、イソキサゾリン化合物粒子組成物は、10μmより大きく、好ましくは20μmより大きい厚さの粒子を含む。
【0072】
一実施形態において、イソキサゾリン化合物は、約25ミクロンから約250ミクロンの静的光散乱器具によって測定されるD50の粒子サイズ分布、約11ミクロンから約250ミクロンの粒子サイズ、約50ミクロンから約150ミクロンの粒子サイズ、約75ミクロンから約125ミクロンの粒子サイズ、約75ミクロンから約150ミクロンの粒子サイズ、約90ミクロンから約110ミクロンの粒子サイズ、又は約30ミクロンから約100ミクロンの粒子サイズを有する。
【0073】
粒子サイズ分布は、サイズに従って存在する粒子の相対量を表す。D10は、粒子の10%がより小さいサイズを表す粒子サイズ分布である。D50は、粒子の50%がより小さいサイズを表す粒子サイズ測定分布である。D90は、粒子の90%がより小さいサイズを表す粒子サイズ測定分布である。
【0074】
特定の実施形態において、粒子サイズのD10は、約10μm、約20μm、約30μm、約40μm、約50μm、約60μm又は約80μmである。
【0075】
特定の実施形態において、粒子サイズのD50は、約50μm、約75μm、約80μm、約90μm、約100μm、約110μm、約120μm、約130μm、約140μm又は約150μmである。
【0076】
特定の実施形態において、粒子サイズのD90は、約100μm、約130μm、約150μm、約175μm、約200μm又は約250μmである。
【0077】
特定の実施形態において、粒子サイズのD10は約20から35μmであり、粒子サイズのD50は約90から105μmであり、そして、粒子サイズのD90は約155から175μmである。
【0078】
特定の実施形態において、粒子サイズのD10は約25から30μmであり、粒子サイズのD50は約95から100μmであり、そして、粒子サイズのD90は約160から170μmである。
【0079】
特定の実施形態において、粒子サイズのD10は約10から20μmであり、粒子サイズのD50は約85から110μmであり、そして、粒子サイズのD90は約170から185μmである。
【0080】
特定の実施形態において、粒子サイズのD10は約10から15μmであり、粒子サイズのD50は約95から105μmであり、そして、粒子サイズのD90は約175から180μmである。
【0081】
特定の実施形態において、粒子サイズのD10は約10から25μmであり、粒子サイズのD50は約40から60μmであり、そして、粒子サイズのD90は約95から100μmである。
【0082】
特定の実施形態において、粒子サイズのD10は約15から20μmであり、粒子サイズのD50は約45から55μmであり、そして、粒子サイズのD90は約90から95μmである。
【0083】
特定の実施形態において、粒子サイズのD10は約30から50μmであり、そして、粒子サイズのD50は約70から130μmである。
【0084】
特定の実施形態において、粒子サイズのD10は約35から45μmであり、そして、粒子サイズのD50は約90から110μmである。
【0085】
特定の実施形態において、粒子サイズのD10は約40μmであり、そして、粒子サイズのD50は約100μmである。
【0086】
体積加重粒子サイズは、篩分け、顕微鏡観察又はレーザー回折(マルバーン又は症状)によって測定することができる。体積加重粒子サイズ測定は、Hydro 2000 G測定セルを備えたMalvern Mastersizer 2000又はHoriba LA-910レーザー散乱粒子サイズ分布アナライザーを用いて行うことができる。体積加重粒子サイズは、Sympatec Helos装置によって測定することができる。
【0087】
一実施形態において、イソキサゾン化合物はフルララネルである。
【実施例】
【0088】
実施例1-大きな粒子サイズのフルララネルを形成する工程
フルララネルをIPA中100mg/mLの濃度で添加し、60gを600mLのイソプロパノールに添加した。この組成物を1時間かけて65℃に加熱し、1時間熟成して完全に溶解させた。この溶液を20分間かけて50℃に冷却し、0.6gの結晶性フルララネル種を播種した。バッチをさらに2時間かけて20℃まで冷却して、出発粒子を確立した。バッチを54℃に加熱し、その時点でバッチのストリームを除去し、完全に溶解するまで高温に加熱した(>65℃)。除去速度及び晶析容器への戻り速度を約4.4~4.8mL/分に設定した。リサイクルループは6時間続き、その時点でx50粒子サイズ寸法は約40μmである。バッチを54℃で6時間熟成して過飽和をさらに軽減し、次いで6時間かけて45℃に冷却し、さらに16時間かけて0℃に冷却した。プロセス装置の概略図は
図3を参照のこと。得られたスラリーをろ過し、乾燥してフルララネル粒子を得た。乾燥フルララネル粒子を測定し、粒子寸法と機械的弾性を決定した。
【0089】
実施例2-フルララネル粒子の粒子サイズ及び機械的弾性の測定
フルララネル結晶の体積加重粒子サイズをレーザー回折(Sympatec Helos)により測定し、粒子サイズ分布を決定した。機械的弾性も圧力滴定実験中に測定した。
図4は、本発明の方法によっては製造されない粒子サイズ分布フルララネル結晶を示す図である。この場合、この物質は、酢酸エチル、トルエン溶媒系からの播種されていない分離した結晶化法を使用する、従前の商業的方法の生成物である。注目すべきは、粒子サイズが小さく、粒子サイズの分布が一般的に広いことである。
【0090】
本発明の方法を代表しない粒子の脆弱な性質は、圧力滴定実験の結果を示す
図5に示されている。この実験では、粒子が1バールから3バールに増大する圧力に曝露されるので、粒子サイズ分布を監視した。
図5は、圧力が増大するにつれて、粒子サイズ中央値(d50)が110μmから60μmに減少し、約45%の損失を示す。さらに、粒子サイズ分布曲線は広がり、より小さい粒子サイズに向かってシフトした。これは、これらの粒子が増大した圧力の下で破壊されている証拠であり、粒子が非常に薄かったことを示す。
【0091】
対照的に、
図10は、本発明の方法によって製造されるフルララネル結晶の粒子サイズ分布を示す。これらの粒子は、
図5の粒子よりも大きなd50を有する。さらに、圧力滴定試験では、本発明の方法により製造された粒子について、d50は元の値の約25%しか減少しなかった。これは、これらの粒子の機械的弾性が増大していることを示している。また、上昇した圧力下では、分布は、
図5に示される最適化されていないプロセスからの粒子と同じ様式では広がらないという事実も注目される。
図7は、本発明の方法によって生成されたフルララネル粒子の追加バッチの粒子サイズ分布及び圧力滴定を示す。この場合、約103μmの元のd50は約67μmに減少し、約35%の損失となった。
図8は、本発明の方法では製造されなかったフルララネル粒子の走査型電子顕微鏡画像である。注目すべきは、これらの結晶がかなり薄いことである。
図9は、本発明の方法によって生成されたフルララネル粒子の走査型電子顕微鏡像である。
図8に示した粒子とは対照的に、これらの粒子は大きく(約100μm)、厚い(約10~20μm)。
【0092】
実施例3-6Lスケールでの大きな粒子サイズのフルララネルを形成するプロセス
フルララネルを、イソプロパノール(IPA)中100mg/mLの濃度で加え、600gをイソプロパノール6Lに加えた。この組成物を1時間かけて65℃に加熱し、1時間熟成して完全に溶解させた。この溶液を20分間かけて50℃に冷却し、6gの結晶性フルララネル種を播種し、この例では約10μmのd50を有する粉砕していない種を播種した。バッチをさらに2時間かけて20℃まで冷却して、出発粒子を確立した。バッチを54℃に加熱し、その時点でバッチの1.2Lを除去し、全ての固体が完全に溶解するまで高温に加熱した(>65℃)。次いで、再循環ループを開始し、除去速度及び晶析容器への返還速度を約44~48mL/分に設定した。リサイクルループは3時間続き、その時点でd50粒子サイズ寸法は約45μmである。バッチを54℃で6時間熟成し、過飽和をさらに軽減し、その後、6時間かけて45℃に冷却し、さらに16時間かけて0℃に冷却した。得られたスラリーをろ過し、乾燥してフルララネル粒子を得た。乾燥したフルララネル粒子を測定して粒子の寸法を決定し、粒子の機械的弾性を告知し、
図10に示した。得られた粒子のSEM画像については
図11を参照のこと。
【0093】
実施例4-パイロットスケールで大きな粒子サイズのフルララネルを形成するプロセス:
フルララネルをIPA中100mg/mLの濃度で添加し、60kgを600Lのイソプロパノールに添加した。この組成物を1時間かけて65℃に加熱し、1時間熟成して完全に溶解させた。この溶液を20分間かけて50℃に冷却し、600gの結晶性フルララネル種を、再び約10μmのd50を有する粉砕していない種で播種した。バッチをさらに2時間かけて20℃まで冷却して、出発粒子を確立した。バッチを54℃に加熱し、その時点でバッチの120Lを除去し、完全に溶解するまで高温に加熱した(>65℃)。除去速度及び晶析容器への返還速度は約4.4~4.8L/minに設定した。リサイクルループは2.75時間続き、その時点でd50粒子サイズ寸法は約40μmである。バッチを54℃で6時間熟成して過飽和をさらに軽減し、次いで6時間かけて45℃に冷却し、さらに16時間かけて0℃に冷却した。プロセス装置の概略図は
図12を参照のこと。得られたスラリーをろ過し、乾燥してフルララネル粒子を得た。濾過及び乾燥中、攪拌は制限された。材料を円錐ミル中で低速で溶融した。乾燥フルララネル粒子を測定し、粒子寸法と機械的弾性を決定した。粒子サイズ分布及び機械的弾性については
図13を参照のこと。得られた粒子のSEM画像については
図14を参照のこと。
【0094】
実施例5-代替溶媒系から大きな粒子サイズのフルララネルを形成する工程:
フルララネルを、トルエン:酢酸エチルの5:3(体積基準)中、100mg/mLの濃度で添加し、60gを溶媒600mLに添加した。この組成物を1時間かけて65℃に加熱し、1時間熟成して完全に溶解させた。この溶液を20分間かけて50℃に冷却し、0.6gのフルララネル結晶種を播種し、再び約10μmのd50を有する粉砕していない結晶種を播種した。バッチをさらに2時間かけて20℃まで冷却して、出発粒子を確立した。バッチを54℃に加熱し、その時点でバッチ120mLを除去し、完全に溶解するまで高温に加熱した(>65℃)。除去速度及び晶析容器への返還速度を約4.3mL/分に設定した。リサイクルループは2.2時間続き、その時点でx50粒子サイズ寸法は約50μmであった。バッチを54℃で5時間熟成して過飽和をさらに軽減し、次いで6時間かけて45℃に冷却し、さらに16時間かけて0℃に冷却した。乾燥フルララネル粒子を測定し、粒子寸法と機械的弾性を決定した。Sympatec静的光散乱システムを用いた圧力滴定で測定した粒子サイズ分布及び機械的弾性については
図15を参照のこと。得られた粒子のSEM画像については
図16を参照のこと。これらの結果は、再循環プロセスを用いて、目標粒子サイズと機械的弾性を達成できることを示す。
図16で観察されるように、溶媒は形態に影響を与え、結晶の表面はイソプロパノールから成長させた結晶の表面からはわずかに修飾されることに留意されたい。