IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシーの特許一覧

特許7446229継続的高温耐性を向上させたエチレン/アルファオレフィンインターポリマー組成物
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-29
(45)【発行日】2024-03-08
(54)【発明の名称】継続的高温耐性を向上させたエチレン/アルファオレフィンインターポリマー組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 23/16 20060101AFI20240301BHJP
   C08K 3/22 20060101ALI20240301BHJP
【FI】
C08L23/16
C08K3/22
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020543313
(86)(22)【出願日】2019-02-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-05-27
(86)【国際出願番号】 US2019017943
(87)【国際公開番号】W WO2019161013
(87)【国際公開日】2019-08-22
【審査請求日】2022-02-01
(31)【優先権主張番号】62/630,452
(32)【優先日】2018-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】リ、グァン ミン
(72)【発明者】
【氏名】ラクソー、ジュニア、レイモンド エル.
(72)【発明者】
【氏名】ライ、ユーミン
(72)【発明者】
【氏名】ウ、シャオソン
【審査官】武貞 亜弓
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-065446(JP,A)
【文献】国際公開第2015/146441(WO,A1)
【文献】特開2018-141554(JP,A)
【文献】国際公開第2008/078700(WO,A1)
【文献】特開平05-078530(JP,A)
【文献】特開2018-154679(JP,A)
【文献】特表2005-523947(JP,A)
【文献】国際公開第2015/122495(WO,A1)
【文献】特開2001-247731(JP,A)
【文献】特表2015-522089(JP,A)
【文献】特開2017-165926(JP,A)
【文献】特開2005-350571(JP,A)
【文献】特表2016-503095(JP,A)
【文献】特表2015-510532(JP,A)
【文献】特開2017-015123(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08K 3/00- 13/08
C08L 1/00-101/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも以下の成分:
A)1つ以上のエチレン/アルファオレフィンインターポリマーであって、エチレン/アルファオレフィン/ジエンインターポリマーを含み、前記1つ以上のエチレン/アルファオレフィンインターポリマーの重量に基づいて2.0重量%以下の非共役ジエンを含む、1つ以上のエチレン/アルファオレフィンインターポリマー、
B)MgO、ZnO、またはそれらの組み合わせから選択される、酸受容体、
を含む、組成物であって、
前記組成物が、以下の関係:{[-10×(重量%)-1×(成分Aの重量に基づく前記ジエンの重量%-0.9重量%)]+[3×(phr)-1×(成分Aの重量に基づく前記酸受容体のphr値-9phr)]}>0を満たし、
前記成分Aの密度が0.850~0.910g/ccの範囲である、組成物。
【請求項2】
成分Aと成分Bとの重量比が、2.0~25である、請求項に記載の組成物。
【請求項3】
前記組成物が、以下の関係:{[-10×(重量%)-1×(成分Aの重量に基づく前記ジエンの重量%-0.9重量%)]+[3×(phr)-1×(成分Aの重量に基づく前記酸受容体のphr値-9phr)]}≦40を満たす、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
成分Aのムーニー粘度(ML 1+4、125℃)が、10MU~150MUの範囲である、請求項1~のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
成分Aが、前記組成物の重量に基づいて、20重量%~55重量%の量で存在する、請求項1~のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記エチレン/アルファオレフィン/ジエンインターポリマーがEPDMである、請求項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は、2018年2月14日出願の米国仮出願第62/630,452号の優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
熱硬化性ゴム物品に対する自動車用および産業上の要件は、過去10年間で劇的な変化を遂げた。フードコンパートメントの下(例えば、フード冷却液ホース、ならびに配線およびケーブルコンパートメントの下)のコンパクトかつ精緻な設計に起因して、温度環境および耐久性の要件が高まっている。これらのより厳しい設計基準により、熱硬化性ゴムの継続的上限温度耐性を改善することは難題である。産業用途は、より高い使用温度および長い耐用年数を含む同様の傾向に倣っている。その結果、多くの自動車および産業用途において、現在、高温性能および長期の耐熱性および耐候性を有するゴム配合物が必要とされている。
【0003】
EPDM系配合物は、以下の参考文献中で説明されている:WO2000/043445、WO2008/091847、EP101175B1、EP1433812A1、EP1676879A2、EP2308725、US3817952、CA1334694C、D.P.Sinha et al,“Cure,antidegradant use better hose,belt compounds”,Rubber News(June,2001)、K.Dominic et al,“Overview of Automotive Wire and Cable and Recent Advances,”ACS Rubber Division Spring Technical Meeting,,1998,Paper No.32、“Rubber Technology:Compounding and Testing for Performance「John Dickによる「Rubber Technology:Compounding and Testing for Performance」の第6章「Elastomer Selection」(2009,hanser)」、Anthony G.Ferradino,Rubber Chemistry and Technology,Vol.76,pp 704(2003)、P.Arjunan et al,“Compatibilzation of CR/EPM blends for power transmission belt application”Rubber World,(February,1997)、Z.Tao,et al,“Heat Resistant Elastomers”,Rubber Chemistry and Technology(2005,V 78,pp 489)、R.Ohm,et al.,“Optimizing the Heat Resistance of EPDM and NBR,”ACS Rubber Division Fall technical meeting,2000,Paper No.99。さらなる配合物は、以下の参考文献に開示されている:US5023006、US5700871、US5821284、US9096740、US9096741、EP1756217A1、EP2011823A1、およびWO2017/019235。
【0004】
典型的なEPDMベースの配合物には、EPDMゴム(複数可)、充填剤、可塑剤、ゴム添加剤、および硬化パッケージが含まれる。適切な硬化システムおよび他の成分(すなわち、酸化防止剤、充填剤、および可塑剤の種類および量)の選択により、EPDMベースの配合物の最大125℃の高温耐性を実現することが可能となる。しかしながら、150℃でのより高温に対する耐性は、多くのEPDMゴム製造業者にとって未だ大きな課題となっている。このため、例えば150℃以上でのより高い高温耐熱性を有するEPDMベースの配合物および他のエラストマー配合物が依然として必要とされている。長期の高温耐熱性が必須である用途に使用するためのそのような配合物がさらに必要とされている。これらの必要性が以下の発明によって満たされた。
【発明の概要】
【0005】
少なくとも以下の成分:
A)1つ以上のエチレン/アルファオレフィンインターポリマーであって、1つ以上のエチレン/アルファオレフィンインターポリマーの重量に基づいて、3.5重量%以下の非共役ジエンを含む、1つ以上のエチレン/アルファオレフィンインターポリマー、
B)MgO、ZnO、またはそれらの組み合わせから選択される、酸受容体、を含む、組成物。
【発明を実施するための形態】
【0006】
少なくとも以下の成分:
A)1つ以上のエチレン/アルファオレフィンインターポリマーであって、1つ以上のエチレン/アルファオレフィンインターポリマーの重量に基づいて(または成分Aの重量に基づいて)、3.5重量%、または3.4重量%以下、または3.2重量%以下、または3.0重量%以下、または2.8重量%以下、または2.6重量%以下、または2.4重量%以下、または2.2重量%以下の非共役ジエンを含む、1つ以上のエチレン/アルファオレフィンインターポリマー、
B)MgO、ZnO、またはそれらの組み合わせから選択される、酸受容体、を含む、組成物。
【0007】
本発明の組成物は、本明細書に記載の2つ以上の実施形態の組み合わせを含んでもよい。成分Aは、本明細書に記載の2つ以上の実施形態の組み合わせを含んでもよい。成分Bは、本明細書に記載の2つ以上の実施形態の組み合わせを含んでもよい。
【0008】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、成分Aと成分Bとの重量比は、2.0~25、または3.0~20、または4.0~15、または5.0~10である。
【0009】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、1つ以上のエチレン/アルファオレフィンインターポリマーは、1つ以上のエチレン/アルファオレフィンインターポリマーの重量に基づいて(または成分Aの重量に基づいて)、2.0重量%以下、または1.8重量%以下、または1.6重量%以下、または1.4重量%以下、または1.2重量%以下、または1.0重量%以下の非共役ジエンを含む。本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、1つ以上のエチレン/アルファオレフィンインターポリマーは、1つ以上のエチレン/アルファオレフィンインターポリマーの重量に基づいて(または成分Aの重量に基づいて)、0.9重量%以下、または0.8重量%以下、または0.7重量%以下、または0.6重量%以下、または0.5重量%以下、または0.4重量%以下、0.3重量%以下の非共役ジエンを含む。
【0010】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、1つ以上のエチレン/アルファオレフィンインターポリマーは、1つ以上のエチレン/アルファオレフィンインターポリマーの重量に基づいて(または成分Aの重量に基づいて)、0重量%超、または0.05重量%以上、または0.1重量%以上の非共役ジエンを含む。
【0011】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせでは、組成物は、
以下の関係:{[-10(重量%)-1*(重量%でのジエン(成分Aの重量に基づく)-0.9重量%)]+[3(phr)-1*(phrでの酸受容体-9phr)]}>0、または≧1.0、または≧2.0、または≧3.0、または≧4.0、または≧5.0、または≧6.0、または≧7.0、または≧8.0、または≧9.0、または≧10を満たし、式中、各重量%は成分Aの重量に基づき、各phrは100重量部の成分Aに基づく。さらなる実施形態において、酸受容体はMgOである。さらなる実施形態において、ジエンは、ENBである。本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、組成物は、以下の関係:{[-10(重量%)-1*(重量%でのジエン(成分Aの重量に基づく)-0.9重量%)]+[3(phr)-1*(phrでの酸受容体-9phr)]}≦40、または≦35、または≦30を満たし、式中、各重量%は成分Aの重量に基づき、各phrは100重量部の成分Aに基づく。さらなる実施形態において、酸受容体はMgOである。さらなる実施形態において、ジエンは、ENBである。
【0012】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、成分Aは、0.850g/cc~0.910g/cc、または0.855g/cc~0.900g/cc、または0.860g/cc~0.890g/cc、または0.860g/cc~0.880g/cc(1g/cc=1g/cm)の密度を有する。
【0013】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、成分Aは、5~100、または10~95、または15~90のムーニー粘度(ML1+4、125℃)を有する。本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、成分Aは、20~100、または30~95、または40~90のムーニー粘度(ML1+4、125℃)を有する。
【0014】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、成分Aは、組成物の重量に基づいて、20重量%~55重量%、または25重量%~50重量%、または30重量%~45重量%、または32重量%~42重量%で存在する。
【0015】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、成分Aは、エチレン/アルファオレフィン/ジエンインターポリマーを含む。さらなる実施形態において、エチレン/アルファオレフィン/ジエンインターポリマーはEPDMであり、さらにジエンはENBである。本明細書に記載される一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、エチレン/アルファオレフィン/ジエンインターポリマーは、成分Aの重量に基づいて、95重量%以上、または98重量%以上、または99重量%以上の量で存在する。本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、エチレン/アルファオレフィン/ジエンインターポリマーは、本明細書に記載のように、13C NMR(プロピレンの立体規則性マーカー)によって決定して、3.0%以上、または4.0%以上、または5.0%以上、または6.0%以上、または7.0%以上、または8.0%以上、または9.0%以上、または10%以上、または11%以上、または12%超、または13%以上、または14%以上、または15%以上、または16%以上、または17%以上、または18%以上、または19%以上、または20%以上の「ピーク面積%(21.3~22.0ppm)」を有する。本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、エチレン/アルファオレフィン/ジエンインターポリマーは、本明細書に記載のように、13C NMRによって決定して、40%以下、または35%以下、または30%以下の「ピーク面積%(21.3ppm~22.0ppm)」を有する。
【0016】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、成分Aは、エチレン/アルファオレフィン/ジエンインターポリマー、およびエチレン/アルファオレフィンコポリマー、さらにはエチレン/C3~C8アルファオレフィンコポリマーを含む。さらなる実施形態において、エチレン/アルファオレフィン/ジエンインターポリマーはEPDMであり、さらにジエンはENBである。本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、エチレン/アルファオレフィン/ジエンインターポリマーおよびエチレン/アルファオレフィンコポリマーの合計重量は、成分Aの重量に基づいて、95重量%以上、または98重量%以上、または99重量%以上である。本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、エチレン/アルファオレフィン/ジエンインターポリマーとエチレン/アルファオレフィンコポリマーとの重量比は、1.0~5.0、または1.0~4.0、または1.0~3.0、または1.0~2.0、または1.0~1.5である。本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、エチレン/アルファオレフィン/ジエンインターポリマーは、13C NMR(プロピレンの立体規則性マーカー)によって決定して、3.0%以上、または4.0%以上、または5.0%以上、または6.0%以上、または7.0%以上、または8.0%以上、または9.0%以上、または10%以上、または11%以上、または12%以上、または13%以上、または14%以上、または15%以上、または16%以上、または17%以上、または18%以上、または19%以上、または20%以上の「ピーク面積%(21.3~22.0ppm)」を有する。本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、エチレン/アルファオレフィン/ジエンインターポリマーは、本明細書に記載のように、13C NMR(プロピレンの立体規則性マーカー)によって決定して、40%以下、または35%以下、または30%以下の「ピーク面積%(21.3ppm~22.0ppm)」を有する。本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、エチレン/アルファオレフィンコポリマーは、4.0以上、または5.0以上、または6.0以上、または7.0以上、または8.0以上、または9.0以上、または10.0以上のPRR値を有し、ここで、PRR=RR+[3.82-インターポリマームーニー粘度(125℃でML1+4)]×0.3であり、RR(レオロジー比)=V0.1/V100であり、V0.1は、0.1ラジアン/秒および190℃での粘度であり、V100は、100ラジアン/秒および190℃での粘度である。本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、エチレン/アルファオレフィンコポリマーは、80以下、または70以下、または60以下、または50以下、または40以下、または30以下のPRR値を有する。国際公開第WO00/26268号を参照されたい。
【0017】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、成分Aは、エチレン/アルファオレフィン/ジエンインターポリマーと、以下の特性:ジエンの重量%(インターポリマーの重量に基づく)、エチレンの重量%(インターポリマーの重量に基づく)、および/またはムーニー粘度(ML1+4、125℃)のうちの1つ以上が異なる第2のエチレン/アルファオレフィン/ジエンインターポリマーと、を含む。さらなる実施形態において、各エチレン/アルファオレフィン/ジエンインターポリマーは、独立して、EPDMであり、さらに、各ジエンはENBである。本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、2つのエチレン/アルファオレフィン/ジエンインターポリマーの合計重量は、成分Aの重量に基づいて、95重量%以上、または98重量%以上、または99重量%以上である。本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、エチレン/アルファオレフィン/ジエンインターポリマーと第2のエチレン/アルファオレフィンコポリマーとの重量比は、1.0~5.0、または1.0~4.0、または1,0~3.0、または1,0~2.0、または1.0~1.5である。本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、各エチレン/アルファオレフィン/ジエンインターポリマーは、独立して、本明細書に記載のように、13C NMR(プロピレンの立体規則性マーカー)によって決定して、3.0%以上、または4.0%以上、または5.0%以上、または6.0%以上、または7.0%以上、または8.0%以上、または9.0%以上、または10%以上、または11%以上、または12%以上、または13%以上、または14%以上、または15%以上、または16%以上、または17%以上、または18%以上、または19%以上、または20%以上の「ピーク面積%(21.3~22.0ppm)」を有する。本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、各エチレン/アルファオレフィン/ジエンインターポリマーは、独立して、本明細書に記載のように、13C NMRによって決定して、40%以下、または35%以下、または30%以下の「ピーク面積%(21.3ppm~22.0ppm)」を有する。
【0018】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、成分Aは、エチレン/アルファオレフィンコポリマーを含み、さらにエチレン/アルファオレフィンコポリマーのアルファオレフィンは、C3~C10、またはC4~C8アルファオレフィンである。本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、エチレン/アルファオレフィンコポリマーは、成分Aの重量に基づいて、95重量%以上、または98重量%以上、または99重量%以上の量で存在する。本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、エチレン/アルファオレフィンコポリマーは、4.0以上、または5.0以上、または6.0以上、または7.0以上、または8.0以上、または9.0以上、または10.0以上のPRR値を有し、ここで、PRR=RR+[3.82-インターポリマームーニー粘度(125℃でML1+4)]×0.3であり、RR(レオロジー比)=V0.1/V100であり、V0.1は、0.1ラジアン/秒および190℃での粘度であり、V100は、100ラジアン/秒および190℃での粘度である。本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、エチレン/アルファオレフィンコポリマーは、80以下、または70以下、または60以下、または50以下、または40以下、または30以下のPRR値を有する。国際公開第WO00/26268号を参照されたい。
【0019】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、成分Bの酸受容体はMgOである。本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、成分Bの酸受容体はZnOである。本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、成分Bの酸受容体はMgOおよびZnOである。
【0020】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、成分Bは、100部の成分Aに基づいて、1~50phr、または2~45phr、または4~40phr、または6~30phr、または8~25phr、または10~20phrの量で存在する。
【0021】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、成分Bは、組成物の重量に基づいて、2.0~10.0重量%、または2.2~9.5重量%、2.4~9.0重量%、2.6~8.5重量%、2.8~8.0重量%、3.0~7.5重量%、3.2~7.0重量%の量で存在する。
【0022】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、組成物は、組成物の重量に基づいて、3.0重量%以上、または3.5重量%以上の2つの酸化防止剤である第1の酸化防止剤および第2の酸化防止剤をさらに含む。本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、組成物は、組成物の重量に基づいて、6.0重量%以下、または5.5重量%以下の2つの抗酸化剤をさらに含む。さらなる実施形態において、第1の酸化防止剤と第2の酸化防止剤との重量比は、0.20~0.80、または0.30~0.70、または0.40~0.60である。本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、第1の酸化防止剤は、キノロン重合した1,2-ジヒドロ-2,2,4-トリメチルキノリン、アミン(p-p-ジクミル-ジフェニルアミン)、ヒンダードフェノール(テトラキス(メチレン(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシヒドロ-シンナメート))メタン、またはジチオカルバメート(ニッケルジメチル-ジチオカルバメート)から選択される。本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、第2の酸化防止剤は、メルカプトトルイミダゾール、または亜鉛-2-メルカプトトルイミダゾールから選択される。
【0023】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、組成物は、組成物の重量に基づいて、2.0重量%以上、または2.5重量%以上の硬化剤をさらに含む。本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、組成物は、組成物の重量に基づいて、6.0重量%以下、または5.5重量%以下の硬化剤をさらに含む。さらなる実施形態において、硬化剤は過酸化物である。
【0024】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、本組成物は、例えば、カーボンブラックなどの充填剤をさらに含む。さらなる実施形態において、組成物は、組成物の重量に基づいて、20重量%~50重量%、または25重量%~45重量%のカーボンブラックなどの充填剤を含む。他の充填剤としては、炭酸カルシウム、粘土、タルク、シリカ、二酸化チタン、珪藻土の充填剤が挙げられる。
【0025】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、本組成物は、例えば、パラフィン油またはナフテン油などの油をさらに含む。さらなる実施形態において、油は、組成物の重量に基づいて、8.0重量%~32重量%、または10重量%~30重量%、または12重量%~28重量%の量で存在する。
【0026】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせでは、組成物は、
組成物の重量に基づいて、30重量%~50重量%、または32重量%~48重量%、または35重量%~46重量%の合計重量の成分Aおよび成分Bを含む。さらなる実施形態において、成分A対成分Bの重量比は、3.0~30、または4.0~15、または5.0~10である。
【0027】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせでは、組成物は、
1.00重量%以下、または0.50重量%以下、または0.10重量%以下、または0.05重量%以下のスチレン系ポリマーを含む(ポリマーの重量に基づいて、過半量の重合スチレンを含む)。さらなる実施形態において、組成物は、スチレン系ポリマーを含まない。本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、組成物は、1.00重量%以下、または0.50重量%以下、または0.10重量%以下、または0.05重量%以下のスチレンブロックコポリマーゴムを含む。さらなる実施形態において、組成物は、スチレンブロックコポリマーゴムを含まない。本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、組成物は、1.00重量%以下、または0.50重量%以下、または0.10重量%以下、または0.05重量%以下のスチレンブタジエンゴムを含む。さらなる実施形態において、組成物は、スチレンブタジエンゴムを含まない。
【0028】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、組成物は、1.00重量%以下、または0.50重量%以下、または0.10重量%以下、または0.05重量%以下のポリブタジエンを含む。さらなる実施形態において、組成物は、ポリブタジエンを含まない。本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、組成物は、1.00重量%以下、または0.50重量%以下、または0.10重量%以下、または0.05重量%以下のポリイソプレンを含む。さらなる実施形態において、組成物は、ポリイソプレンを含まない。
【0029】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、組成物は、1.00重量%以下、または0.50重量%以下、または0.10重量%以下、または0.05重量%以下のポリプロピレンホモポリマーを含む。さらなる実施形態において、組成物は、ポリプロピレンホモポリマーを含まない。本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、組成物は、1.00重量%以下、または0.50重量%以下、または0.10重量%以下、または0.05重量%以下のプロピレン/エチレンコポリマーを含み、ポリマーの重量に基づいて過半量の重合プロピレン、および唯一のモノマータイプとしてエチレンを含む。さらなる実施形態において、組成物は、そのようなプロピレン/エチレンコポリマーを含まない。本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、組成物は、1.00重量%、または0.50重量%、または0.10重量%、または0.05重量%のプロピレン/アルファオレフィンコポリマーを含み、ポリマーの重量に基づいて過半量の重合プロピレン、および唯一のモノマータイプとしてアルファオレフィンを含む。さらなる実施形態において、組成物は、そのようなプロピレン/アルファオレフィンコポリマーを含まない。
【0030】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、組成物は、1.00重量%以下、または0.50重量%以下、または0.10重量%以下、または0.05重量%以下のペルフルオロアルキル化合物(少なくとも1つのペルフルオロアルキル基を含む化合物)を含む。さらなる実施形態において、組成物は、ペルフルオロアルキル化合物を含まない。本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、組成物は、1.00重量%以下、または0.50重量%以下、または0.10重量%以下、または0.05重量%以下の酸化アンチモンを含む。さらなる実施形態において、組成物は、酸化アンチモンを含まない。本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、組成物は、1.00重量%以下、または0.50重量%以下、または0.10重量%以下、または0.05重量%以下の硫酸アンモニウムを含む。さらなる実施形態において、組成物は、硫酸アンモニウムを含まない。
【0031】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、組成物は、6.0MPa以上、または6.5MPa以上、または7.0MPa以上、7.5MPa以上、または8.0MPa以上、または8.5MPa以上、または9.0MPa以上の引張り強度(老化前)を有する。本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、組成物は、250%以上、または300%以上、または350%以上、または400%以上、または450%以上、または500%以上の破断点伸び(老化前)を有する。
【0032】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、組成物は、空気中、150℃で、504時間(3週間)経過した後、その元の引張り強度の60%以上、または65%以上、または70%以上、または75%以上、または80%以上、または85%以上を保持し、元の破断点伸びの60%以上、または66%以上、または70%以上、または75%以上、または80%以上、または85%以上、または90%以上を保持する。元の引張り強度は、試料が150℃での熱老化に供される前に室温で得られた値である。元の破断点伸びは、試料が150℃での熱老化に供される前に室温で得られた値である。
【0033】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、組成物は、空気中、150℃で、1008時間(6週間)経過した後、その元の引張り強度の40%以上、または45%以上、または50%以上、または55%以上、または60%以上、または65%以上を保持し、その元の破断点伸びの25%以上、または30%以上、または35%以上、または40%以上、または45%以上、または50%以上、または55%以上を保持する。元の引張り強度は、試料が150℃での熱老化に供される前に室温で得られた値である。元の破断点伸びは、試料が150℃での熱老化に供される前に室温で得られた値である。
【0034】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、組成物は、空気中、150℃で、1008時間(6週間)経過した後、その元の引張り強度の35%~95%、または40%~95%、または42%~88%を保持し、その元の破断点伸びの25%~90%、または30%~85%、または35%~80%、または40%~75%を保持する。
【0035】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、本組成物は、ショア硬度が、55から80、または60から75、または65から70に増加する。本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、組成物は、空気中、150℃で、1008時間(6週間)経過した後、ショアA硬度が、5.0%~24%、または6.0%~23%、または7.0%~22%増加する。
【0036】
本明細書に記載の1つ以上の実施形態の組成物を含む架橋組成物も提供される。
【0037】
本明細書に記載の1つ以上の実施形態の組成物から形成された少なくとも1つの構成要素を含む物品も提供される。本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、物品は、射出成形部品、発泡体、自動車部品、建築および建設材料、建築および建設材料、および靴の構成要素からなる群から選択される。本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、物品は、ホース、ベルト、およびガスケットからなる群から選択される。本発明の物品は、本明細書に記載の2つ以上の実施形態の組み合わせを含み得る。
【0038】
成分A
成分Aは、少なくとも1つのエチレン/アルファオレフィンインターポリマーを含む組成物である。成分Aは、2つのエチレン/アルファオレフィンインターポリマーを含んでもよい。
【0039】
本明細書に記載の実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、成分Aは、成分Aの重量に基づいて、50~90重量%、または50~80重量%、または50~70重量%の量のエチレンを含む。本明細書に記載の実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、成分Aは、成分Aの重量に基づいて、ゼロ超~1.0重量%、または0.05~1.0重量%、または0.10~1.0重量%の量のジエンを含む。
【0040】
本明細書に記載の1つの実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、成分Aは、150,000以上、または160,000以上、または170,000以上、または180,000以上、または190,000以上、または200,000以上、または210,000以上、または220,000以上、または230,000g/mol以上の重量平均分子量(Mw(変換))を有する。本明細書に記載の1つの実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、成分Aの少なくとも1つのエチレン/アルファオレフィンインターポリマーは、600,000以下、または500,000以下、または400,000以下、または350,000以下、または300,000g/mol以下の重量平均分子量(Mw)を有する。
【0041】
本明細書に記載の実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、成分Aは、3.50以上、または3.70以上、または3.90以上、または4.00以上、または4.20以上、または4.40以上、または4.50の分子量分布(Mw(変換)/Mn(変換))を有する。本明細書に記載の1つの実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、成分Aの少なくとも1つのエチレン/アルファオレフィンインターポリマーは、6.50以下、または6.20以下、または6.10以下、または6.00以下の分子量分布(Mw(変換)/Mn(変換))を有する。
【0042】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、成分Aは、本明細書に記載のように、13C NMR(プロピレンの立体規則性マーカー)によって決定して、3.0%以上、または4.0%以上、または5.0%以上、または6.0%以上、または7.0%以上、または8.0%以上、または9.0%以上、または10%以上、または11%以上、または12%以上、または13%以上、または14%以上、または15%以上、または16%以上、または17%以上、または18%以上、または19%以上、または20%以上の「ピーク面積%(21.3~22.0ppm)」を有する。本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、成分Aは、本明細書に記載のように、13C NMRによって決定して、40%以下、または35%以下、または30%以下の「ピーク面積%(21.3ppm~22.0ppm)」を有する。
【0043】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、成分Aは、10以上、または15以上、または20以上、または25以上、または30以上、または35以上のムーニー粘度(125℃でML(1+4))を有する。本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、成分Aの少なくとも1つのエチレン/アルファオレフィンインターポリマーは、100以下、または90以下、または80以下、または70以下のムーニー粘度(125℃でML(1+4))を有する。ムーニー粘度は、特に明記しない限り、充填剤を含まず、かつ油を含まないインターポリマーの粘度である。
【0044】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、成分Aは、1.5以下、または1.25以下、または1.00以下、および0超、または0.20以上、または0.50以上、または0.70以上、または0.90以上のタンデルタ(0.1ラジアン/秒、190℃)値を有する。本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、成分Aの少なくとも1つのエチレン/アルファオレフィンインターポリマーは、0.50以上、または0.60以上、または0.70以上、または0.80以上のタンデルタ(0.1ラジアン/秒、190℃)値を有する。
【0045】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、成分Aは、50,000以上、または60,000以上、または70,000以上、または80,000以上、または90,000以上、または150,000以上、または175,000以上、または200,000以上の粘度(V0.1ラジアン/秒、190℃)を有する。本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、成分Aの少なくとも1つのエチレン/アルファオレフィンインターポリマーは、500,000以下、または450,000以下、または400,000以下、または350,000以下、または300,000以下、または200,000以下、または150,000以下、または120,000以下、または110,000以下の粘度(V0.1ラジアン/秒、190℃)を有する。さらなる実施形態において、成分Aは、1つのインターポリマー、およびさらにEPDMを含む。
【0046】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、成分Aは、20~115、または25~110、または30~105、または35~100、または40~95の粘度比(V0.1ラジアン/秒、190℃/V100ラジアン/秒、190℃)を有する。
【0047】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、成分Aは、
0.910以下、または0.905以下、または0.900以下、または0.895以下、または0.890以下、または0.885以下、または0.880以下、または0.875以下、または0.870g/cc以下の密度を有する。本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、成分Aの少なくとも1つのエチレン/アルファオレフィンインターポリマーは、0.850g/cc以上、または0.855以上、または0.860g/cc以上(1cc=1cm)の密度を有する。
【0048】
成分Aは、本明細書に記載の2つ以上の実施形態の組み合わせを含んでもよい。の少なくとも1つのエチレン/アルファオレフィンインターポリマーは、本明細書に記載の2つ以上の実施形態の組み合わせを含んでもよい。
【0049】
エチレン/α-オレフィン/ジエンインターポリマー
成分Aの各エチレン/α-オレフィン/ジエンインターポリマーは、独立して、重合形態で、エチレン、α-オレフィン、およびジエンを含む。α-オレフィンは、脂肪族化合物または芳香族化合物のいずれであってもよい。一実施形態において、α-オレフィンは、 C~C20脂肪族化合物、好ましくは、C~C16脂肪族化合物、およびより好ましくは、C~C10脂肪族化合物である。好適なC~C10脂肪族α-オレフィンは、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、および1-オクテンからなる群から選択され、より好ましくは、プロピレンである。
【0050】
ジエンの好適な例としては、C~C40非共役ジエンが挙げられる。例示的な非共役ジエンとしては、1,4-ヘキサジエンおよび1,5-ヘプタジエンなどの直鎖非環式ジエン;5-メチル-1,4-ヘキサジエン、2-メチル-1,5-ヘキサジエン、6-メチル-1,5-ヘプタジエン、7-メチル-1,6-オクタジエン、3,7-ジメチル-1,6-オクタジエン、3,7-ジメチル-1,7-オクタジエン、5,7-ジメチル-1,7-オクタジエン、1,9-デカジエン、およびジヒドロミルセンの混合異性体などの分岐鎖非環式ジエン;1,4-シクロヘキサジエン、1,5-シクロオクタジエン、および1,5-シクロドデカジエンなどの単環脂環式ジエン;テトラ-ヒドロインデン、メチルテトラヒドロインデンなどの多環脂環式縮合および架橋環ジエン;5-メチレン-2-ノルボルネン(MNB)、5-エチリデン-2-ノルボルネン(ENB)、5-ビニル-2-ノルボルネン、5-プロペニル-2-ノルボルネン、5-イソプロピリデン-2-ノルボルネン、5-(4-シクロペンテニル)-2-ノルボルネン、および5-シクロヘキシリデン-2-ノルボルネンなどのアルケニル、アルキリデン、シクロアルケニル、およびシクロアルキリデンノルボルネンが挙げられる。一実施形態において、ジエンは、ENB、ジシクロペンタジエン、1,4-ヘキサジエン、7-メチル-1,6-オクタジエンからなる群から選択される非共役ジエンである。実施形態において、ジエンはENBである。
【0051】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、各エチレン/α-オレフィン/ジエンインターポリマーは、独立して、インターポリマーの重量に基づいて、過半量の重合エチレンを含む。
【0052】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、各エチレン/α-オレフィン/ジエンインターポリマーは、エチレン/α-オレフィン/ジエンターポリマー(EAODM)である。さらなる実施形態において、インターポリマーは、エチレン/プロピレン/ジエンターポリマー(EPDM)ターポリマーである。さらなる実施形態において、ジエンは5-エチリデン-2-ノルボルネン(ENB)である。
【0053】
エチレン/α-オレフィン/非共役ジエンインターポリマーは、本明細書に記載の2つ以上の実施形態の組み合わせを含んでもよい。EPDMターポリマーは、本明細書に記載の2つ以上の実施形態の組み合わせを含んでもよい。
【0054】
添加剤および用途
組成物は、とりわけ、油、架橋(または加硫)剤、充填剤、酸化防止剤、難燃剤、発泡剤、着色剤または色素、および熱可塑性ポリマーなどの1つ以上の添加剤を含んでもよい。一実施形態において、油は、非芳香族油、パラフィン油、ナフテン油、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。好適な油としては、SUNPAR 2280、PARALUX 6001、HYDROBRITE 550、およびCALSOL 5550が挙げられるが、これらに限定されない。油は、本明細書に記載の2つ以上の実施形態の組み合わせを含んでもよい。
【0055】
例示的な架橋剤/加硫剤としては、とりわけ、元素イオウ、4,4’-ジチオジモルホリン、チウラムジ-およびポリスルフィド、アルキルフェノールジスルフィド、および2-モルホリノ-ジチオベンゾチアゾールなどの硫黄含有化合物;過酸化ジ-tertブチル、過酸化tertブチルクミル、過酸化ジクミル、2,5-ジメチル-2,5-ジ-(tertブチルペルオキシ)ヘキサン、ジ-(tertブチル-ペルオキシイソプロピル)ベンゼン、tertブチルペルオキシベンゾエート、および1,1-ジ-(tertブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサンなどの過酸化物;アゾ化合物;ビニルトリ-エトキシシランまたはビニルトリ-メトキシシランなどのシラン;p-キノン-ジオキシムおよびp,p’-ジベンゾイルキノン-ジオキシムなどのジニトロソ化合物;ヒドロキシメチル官能基またはハロメチル官能基を含有するフェノール-ホルムアルデヒド樹脂;ならびに他のタイプのラジカル発生剤(例えば、N-O破断タイプおよびC-C破断タイプ)などが挙げられるが、これらに限定されない。本発明における使用のためのこれらの架橋剤/加硫剤のいずれかの適合性は、配合技術分野の当業者には周知である。一実施形態において、架橋剤/加硫剤は、イオウ含有化合物を含む。
【0056】
さらなる添加剤としては、充填剤、難燃剤、着色剤または色素、熱可塑性ポリマー、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。このような添加剤は、それらの所望の効果を達成するために所望の量で用いることができる。好適な充填剤としては、粘土、タルク、またはカーボンブラックが挙げられるが、これらに限定されない。本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、本発明の組成物は、少なくとも1つの酸化防止剤をさらに含む。例示的な抗酸化剤としては、ペルオキシおよびアルコキシラジカルトラップ(アミンおよびヒンダードフェノール)、ヒドロペルオキシド分解剤、および相乗剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0057】
本明細書に記載の一実施形態または実施形態の組み合わせにおいて、本発明の組成物は、熱可塑性ポリマーをさらに含む。例示的なポリマーとしては、プロピレン系ポリマー、エチレン系ポリマー、およびオレフィンマルチブロックインターポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。好適なエチレン系ポリマーとしては、高密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、超低密度ポリエチレン(ULDPE)、均質に分岐した直鎖状エチレンポリマー、および均質に分岐した実質的直鎖状エチレレンポリマー(すなわち、均質に分岐した長鎖分岐状エチレンポリマーである)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0058】
本発明の組成物は、様々な物品、またはそれらの構成要素部品もしくは部分を調製するために使用されてもよい。本発明の組成物は、いくつかの従来のプロセスおよび装置のうちのいずれか1つによって完成品に変換されてもよい。例示的なプロセスとしては、押出、カレンダー加工、圧縮成形、および他の典型的な熱硬化性材料形成プロセスが挙げられるが、これらに限定されない。物品としては、シート、発泡体、成形品、および押出部品が挙げられるが、これらに限定されない。追加の物品としては、自動車部品、ウェザーストリップ、ベルト、ホース、建築異形材、電線およびケーブル外被、床材、ガスケット、タイヤおよびタイヤ部品、コンピュータ部品、建築材料、ならびに履物構成要素が挙げられる。当業者であれば、このリストを容易に増補することができる。本組成物は、エンジン冷却液ホースにおける使用に特に好適である。
【0059】
定義
相反する記載、文脈から暗示的、または当該技術分野において慣習的でない限り、全ての部およびパーセントは重量に基づくものであり、全ての試験方法は本開示の出願日現在のものである。本明細書で使用する場合、「組成物」という用語および同様の用語は、組成物を含む2つ以上の材料の混合物またはブレンド、ならびに組成物の材料から形成される反応生成物および分解生成物を意味する。
【0060】
「含む(comprising)」、「含む(including)」、「有する(having)」という移行句、およびそれらの派生語は、同じものが具体的に開示されているかどうかに関わらず、任意の追加の構成要素、ステップ、または手順の存在を除外することを意図しない。疑義が生じないようにするために、「含む」という用語の使用を通じて主張される全ての組成物は、相反する記載がない限り、ポリマーであるか、ポリマーでないかに関わらない、任意の追加の添加剤、アジュバント、または化合物を含むことができる。対照的に、「から本質的になる(consisting essentially of)」という用語は、操作性に必須ではないものを除いて、あらゆる後続の記載の範囲から、任意の他の成分、ステップ、または手順を排除する。「からなる」という用語は、具体的に描写または列挙されていない任意の成分、ステップ、または手順を排除する。
【0061】
本明細書で使用する場合、「ポリマー」という用語は、同じ種類のものかまたは異なる種類のものかにかかわらず、モノマーを重合することによって調製されるポリマー化合物を指す。したがって、ポリマーという一般的な用語は、ホモポリマーという用語(微量の不純物がポリマー構造に組み込まれ得ることを理解の上で、1種類のモノマーのみから調製されるポリマーを指す)および以下で定義するインターポリマーという用語を含む。触媒残渣などの微量の不純物をポリマー中および/またはポリマー内に取り込むことができる。本明細書で使用する場合、「インターポリマー」という用語は、少なくとも2種類の異なるモノマーの重合によって調製されるポリマーを指す。したがって、インターポリマーという一般的な用語は、コポリマー(2つの異なる種類のモノマーから調製されたポリマーを指すために用いられる)、および3つ以上の異なる種類のモノマーから調製されたポリマーを含む(例えば、ターポリマー(3つの異なるモノマーの種類)およびテトラポリマー(4つの異なるモノマーの種類))。
【0062】
本明細書で使用する場合、「エチレン系ポリマー」という用語および同様の用語は、重合形態で、50重量%または大部分の重量パーセントのエチレンモノマー(ポリマーの重量に基づく)を含み、任意選択で1つ以上のコモノマーを含むことができる)ポリマーを指す。
【0063】
本明細書で使用する場合、「エチレン/α-オレフィン/ジエンインターポリマー」および同様の用語は、重合形態で、エチレン、α-オレフィン、およびジエン(例えば、非共役ジエン)を含むポリマーを指す。一実施形態において、「エチレン/α-オレフィン/ジエンインターポリマー」は、過半重量パーセントのエチレンを含む(インターポリマーの重量に基づく)。
【0064】
本明細書で使用する場合、「エチレン/α-オレフィンインターポリマー」および同様の用語は、重合形態で、エチレンおよびα-オレフィンを含むポリマーを指す。インターポリマーは、任意選択で非共役ジエンを含んでもよい。一実施形態において、「エチレン/α-オレフィンインターポリマー」は、(インターポリマーの重量に基づいて)過半重量パーセントのエチレンを含む。
【0065】
本明細書で使用する場合、「エチレン/α-オレフィンコポリマー」および同様の用語は、重合形態で、コポリマーの重量に基づいて、50重量%または大部分のエチレンと、唯一のモノマー型としてα-オレフィンとを含むコポリマーを指す。
【0066】
試験方法
ムーニー粘度
インターポリマー(例えば、エチレン/α-オレフィン/ジエンインターポリマーまたはポリマーブレンド)のムーニー粘度(ML1+4、125℃)を、ASTM 1646-04に従って、1分の予熱時間および4分のローター操作時間で大型ローターを使用して測定した。この器具は、Alpha Technologies Mooney Viscometer 2000である。
【0067】
組成物(配合物)のムーニー粘度(100℃でML1+4)を、ASTM 1646-04に従って、1分の予熱時間および4分のローター操作時間で大型ローターを使用して測定した。この器具は、Alpha Technologies Mooney Viscometer 2000である。
【0068】
ゲル浸透クロマトグラフィー
クロマトグラフィーシステムは、Polymer LaboratoriesモデルPL-210またはPolymer LaboratoriesモデルPL-220で構成した。カラムおよびカルーセルコンパートメントは140℃で動作させた。カラムは、3つのPolymer Laboratories、10ミクロンのMixed-Bカラムであった。使用した溶媒は、1,2,4トリクロロベンゼンであった。「50ミリリットルの溶媒中に0.1グラムのポリマー」の濃度で試料を調製した。試料の調製に使用した溶媒には、「200ppmのブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)」が含まれていた。試料は、160℃で2時間軽く撹拌して調製した。注入量は100マイクロリットルであり、流速は、1.0ミリリットル/分であった。
【0069】
GPCカラムセットのキャリブレーションは、21の「狭い分子量分布ポリスチレン標準液」により、6つの「カクテル」混合物に配置した580~8,400,000g/モルの範囲の分子量を、個々の分子量間で少なくとも10(a decade)離して用いた。標準は、Polymer Laboratories(英国シュロップシャー州)から購入した。ポリスチレン標準液は、分子量が1,000kg/mol以上の場合は「50ミリリットルの溶媒に0.025グラム」、分子量が1,000kg/mol未満の場合は「50ミリリットルの溶媒に0.05グラム」で調製した。ポリスチレン標準駅を、穏やかに撹拌しながら、摂氏80度で30分間溶解した。狭い標準混合物を最初に流し、そして劣化を最小限に抑えるよう「最高分子量」成分を減少させる順で分析した。ポリスチレン標準液のピーク分子量は、次の式、Mポリエチレン=A×(Mポリスチレン)B(式中、Mは、分子量、Aは、0.431の値、Bは、1.0に等しい)(Williams and Ward,J.Polym.Sc.、Polym.Let.、6、621(1968年)に記載されているように)を使用してポリエチレン分子量に変換した。ポリエチレン等価分子量計算は、Viscotek TriSECソフトウェアバージョン3.0を使用して行った。
【0070】
EPDM組成分析のためのFTIR法
エチレン、プロピレン、および5-エチリデン-2-ノルボルネンを含有するターポリマーは、そのエチレン含有量にはASTM D3900を、かつ、そのエチリデン-ノルボルネンまたはジシクロペンタジエン含有量にはASTM D6047を使用して分析された。
【0071】
EPDM組成物の分析および立体規則性(%mm)のための13C NMR方法
クロムアセチルアセトネート(緩和剤)中「0.025M」である「テトラクロロエタン-d2/オルトジクロロベンゼンの50/50混合物」約「2.6g」を、10mmのNMR管内の「試料0.2g」に添加することによって、試料を調製した。チューブとその内容物を150℃に加熱することにより、試料を溶解し、均質化した。データは、Bruker Dual DUL高温CryoProbeを備えた、Bruker400MHz分光計を使用して収集した。データは、「データファイルごとに160回のスキャン」、試料温度120℃で6秒のパルス繰り返し遅延を使用して取得した。回収は、25,000Hzのスペクトル幅および32Kデータポイントのファイルサイズを使用して実行した。実施例の各組成のNMRスペクトル分析は、以下の分析方法を用いて行った。EPDM中に存在するモノマーの定量は、以下の式(1~9)を使用して計算することができる。エチレンのモルの計算は、スペクトル領域を55.0~5.0ppmから1000の積分単位に正規化する。正規化された積分面積の下の寄与は、ENB炭素のうちの7つのみを占める。二重結合が高温で反応する可能性があるため、111および147ppmのENBジエンピークを計算から除外する。
【数1】
【0072】
プロピレンタクティシティ%mm面積13C NMR
EPDM試料の13C NMRスペクトル分析を使用して、立体規則性レベル%mmを定量化した。NMRを、上記の「テトラクロロエタン-d2/オルトジクロロベンゼンの50/50混合物」で行った。本発明のEPDMのNMRスペクトル分析(上記を参照)は、「21.3ppm~22.0ppmのピーク面積%[rmmr、mmmr、mmmm]」を示し、典型的には、19.5ppm~22.0ppmの総積分面積の3.5%を超える。この領域におけるピーク応答は、典型的には、EPDMに取り込まれた鎖末端の差異に関連する。同様の分析を、別の種類のエチレン/α-オレフィン/ジエンインターポリマーで行うことができる。スペクトルデータは、30ppmのEEE骨格(重合エチレンの3つ以上の繰り返し単位)を参照した。このため、「ピーク面積%(21.3ppm~22.0ppm)」={[(21.3ppm~22.0ppmの面積)/(19.5ppm~22.0ppmの総積分面積)]×100}である。
【0073】
動的機械的分光法(DMS)
小角振動せん断(溶融DMS)を、窒素パージ下で、「25mm平行板」を備えたTA Instruments ARESを使用して行った。試料の装填から試験の開始までの時間は、全ての試料について5分に設定した。実験を、0.1~100ラジアン/秒の周波数範囲で、190℃で実行した。歪み振幅は、試料の応答に基づいて、1~3%に調整した。応力応答を、振幅および位相の観点から分析し、その分析から、貯蔵弾性率(G’)、損失弾性率(G”)、動的粘度η*、およびタンデルタを計算した。動的機械分光法用の試料は、「直径25mm×厚さ3.3mm」の圧縮成形ディスクで、180℃、10MPaの成形圧力で5分間形成し、その後、冷却プラテン(15~20℃)間で2分間急冷した。100ラジアン/秒での粘度に対する0.1ラジアン/秒での粘度(190℃でのV0.1/V100;「RR」とも称される)のレオロジー比を記録した。線形分子(検出可能な長鎖分岐はない)のRRは通常8以下である。ポリマー中の油の存在は、観察されるRRを減少させる可能性があることが認められているので、ポリマー含有油(RROE_ポリマ)のRR値からポリマー(RRポリマー)のRRを推定するために以下の式を用いた:RRポリマー=RROE_ポリマー/(重量%油*(-0.01988)+1.0321)。
【0074】
圧縮永久歪み
圧縮永久歪みは、23℃および100℃でASTM D395に準拠して測定した。直径が「29mm(±0.5mm)」、厚さが「12.7(±0.5mm)」のディスクを、圧縮成形の項で説明したように調製した圧縮成形プラークから打ち抜いた(実験の項を参照)。各ボタン試料は、ノッチ、不均一な厚さおよび不均一性について検査され、選定したボタン(これらの欠陥なし)を試験した。指定された温度で、各試料について2つの試験片において圧縮永久歪みを行い、2つの試験片の平均結果を報告した。ボタン試料を、一緒に押圧することができる2つの金属板を有する圧縮装置に入れ、ボタン試料の元の高さの75%の所定位置に固定した。次に、圧縮した試料を含む圧縮装置をオーブンに入れ、試験温度で指定された時間(23℃または100℃で22時間)平衡化した。この試験において、応力を試験温度で解放し、試料の厚さを30分の平衡期間後に室温で測定した。圧縮永久歪みは、圧縮後の試料の回復度の測定値であり、式CS=(H-H)/(H-H)(式中、Hは、試料の元の厚さ、Hは使用するスペーサバーの厚さ、Hは圧縮力を除去した後の試料の最終厚さである)に従って計算する。
【0075】
引張り応力-歪み特性
引張り特性を、ASTM D-1708に記載されている寸法を有する打ち抜きされた小さなドッグボーン形状のマイクロ引張り試験標本を使用して測定した。打ち抜き試験片を、圧縮成形プラークから切り出し、これらを圧縮成形の項に記載されているように調製した(実験の項を参照されたい)。引張り特性(引張り強度および伸び)を、INSTRU-METによって作製されたINSTRON MODEL 1122の機械方向において、方法ASTM D-412に従って室温で測定した。
【0076】
本開示のいくつかの非限定的な実施形態は、以下のとおりである。
1.少なくとも以下の成分:
A)1つ以上のエチレン/アルファオレフィンインターポリマーであって、1つ以上のエチレン/アルファオレフィンインターポリマーの重量に基づいて、3.5重量%以下の非共役ジエンを含む、1つ以上のエチレン/アルファオレフィンインターポリマー、
B)MgO、ZnO、またはそれらの組み合わせから選択される、酸受容体、を含む、組成物。
【0077】
2.1つ以上のエチレン/アルファオレフィンインターポリマーが、1つ以上のエチレン/アルファオレフィンインターポリマーの重量に基づいて、2.0重量%以下、または1.8重量%以下、または1.6重量%以下、または1.4重量%以下、または1.2重量%以下、または1.0重量%以下の非共役ジエンを含む、実施形態1に記載の組成物。
【0078】
3.成分Aと成分Bとの重量比が、2.0~25、または2.5~20、または3~17、または4~12.5、または5~10である、実施形態1または実施形態2に記載の組成物。
【0079】
4.組成物が、以下の関係:{[-10(重量%)-1*(重量%(成分Aの重量に基づく)でのジエン-0.9重量%)]+[3(phr)-1*(phrでの酸受容体-9phr)]}>0を満たす、実施形態1~3のいずれか1つに記載の組成物。
【0080】
5.組成物が、以下の関係:{[-10(重量%)-1*(重量%(成分Aの重量に基づく)でのジエン-0.9重量%)]+[3(phr)-1*(phrでの酸受容体-9phr)]}≦40を満たす、実施形態1~4のいずれか1つに記載の組成物。
【0081】
6.成分Aの密度が、0.850~0.910g/ccの範囲である、実施形態1~5のいずれか1つに記載の組成物。
【0082】
7.成分Aのムーニー粘度(ML 1+4、125℃)が、_10M_~_150MU、または20MU~130MU、または30MU~110MU、または40MU~90MUの範囲である、実施形態1~6のいずれか1つに記載の組成物。
【0083】
8.成分Aが、組成物の重量に基づいて、20重量%~55重量%の量で存在する、実施形態1~7のいずれか1つに記載の組成物。
【0084】
9.成分Aが、エチレン/アルファオレフィン/ジエンインターポリマーを含む、実施形態1~8のいずれか1つに記載の組成物。
【0085】
10.エチレン/アルファオレフィン/ジエンインターポリマーがEPDMである、実施形態9に記載の組成物。
【0086】
11.エチレン/アルファオレフィン/ジエンインターポリマーが、成分Aの重量に基づいて、95重量%以上、または98重量%以上、または99重量%以上の量で存在する、実施形態9または実施形態10に記載の組成物。
【0087】
12.成分Aが、エチレン/アルファオレフィン/ジエンインターポリマーおよびエチレン/アルファオレフィンコポリマーを含む、実施形態1~8のいずれか1つに記載の組成物。
【0088】
13.エチレン/アルファオレフィン/ジエンインターポリマーとエチレン/アルファオレフィンコポリマーとの重量比が、1.0~5.0、または1.0~4.0、または1,0~3.0、または1,0~2.0、または1.0~1.5である、実施形態12に記載の組成物。
【0089】
14.エチレン/アルファオレフィン/ジエンインターポリマーがEPDMである、実施形態12または実施形態13に記載の組成物。
【0090】
15.前記エチレン/アルファオレフィン/ジエンインターポリマーおよび前記エチレン/アルファオレフィンコポリマーの合計重量が、成分Aの重量に基づいて、95重量%以上、または98重量%以上、または99重量%以上である、実施形態12~14のいずれか1つに記載の組成物。
【0091】
16.成分Aが、エチレン/アルファオレフィン/ジエンインターポリマーと、以下の特性:ジエンの重量%(前記インターポリマーの重量に基づく)、エチレンの重量%(前記インターポリマーの重量に基づく)、および/またはムーニー粘度(ML 1+4、125℃)のうちの1つ以上が異なる第2のエチレン/アルファオレフィン/ジエンインターポリマーと、を含む、実施形態1~8のいずれか1つに記載の組成物。
【0092】
17.前記エチレン/アルファオレフィン/ジエンインターポリマーと前記第2のエチレン/アルファオレフィン/ジエンターポリマーとの重量比が、1.0~5.0、または1.0~4.0、または1,0~3.0、または1,0~2.0、または1.0~1.5である、実施形態16に記載の組成物。
【0093】
18.各エチレン/アルファオレフィン/ジエンインターポリマーが、独立して、EPDMである、実施形態16または実施形態17に記載の組成物。
【0094】
19.2つのエチレン/アルファオレフィン/ジエンインターポリマーの合計重量が、成分Aの重量に基づいて、95重量%以上、または98重量%以上、または99重量%以上である、実施形態16~18のいずれか1つに記載の組成物。
【0095】
20.成分Aがエチレン/アルファオレフィンコポリマーを含む、実施形態1~8のいずれか1つに記載の組成物。
【0096】
21.エチレン/アルファオレフィンコポリマーのアルファオレフィンが、C3~C10アルファオレフィンである、実施形態20に記載の組成物。
【0097】
22.エチレン/アルファオレフィンコポリマーが、成分Aの重量に基づいて、95重量%以上、または98重量%以上、または99重量%以上の量で存在する、実施形態20または実施形態21に記載の組成物。
【0098】
23.酸受容体が、組成物の重量に基づいて、2.0~10.0重量%の量で存在する、実施形態1~22のいずれか1つに記載の組成物。
【0099】
24.成分Bの酸受容体が、MgOまたはZnO、さらにはMgOである、実施形態1~23のいずれか1つに記載の組成物。
【0100】
25.組成物が、組成物の重量に基づいて、3.0重量%以上のアミンタイプの酸化防止剤および相乗的酸化防止剤を含み、アミンタイプの酸化防止剤が4,4’-ビス(アルファ,アルファ-ジメチル-ベンジル)ジフェニルアミンであり、相乗的抗酸化剤が2-メルカプトトルイミダゾールまたは亜鉛2-メルカプトトルイミダゾールである、実施形態1~24のいずれか1つに記載の組成物。
【0101】
26.組成物が、組成物の重量に基づいて、2.0重量%以上の過酸化物硬化剤を含む、実施形態1~25のいずれか1つに記載の組成物。
【0102】
27.組成物がカーボンブラックを含む、実施形態1~26のいずれか1つに記載の組成物。
【0103】
28.カーボンブラックが、組成物の重量に基づいて、20重量%~50重量%の量で存在する、実施形態27に記載の組成物。
【0104】
29.組成物が油をさらに含む、実施形態1~28のいずれか1つに記載の組成物。
【0105】
30.油が、組成物の重量に基づいて、8.0重量%~40重量%の量で存在する、実施形態29に記載の組成物。
【0106】
31.組成物が、組成物の重量に基づいて、30重量%~50重量%の合計重量の成分Aおよび成分Bを含む、実施形態1~30のいずれか1つに記載の組成物。
【0107】
32.組成物が、5MPa以上の引張り強度を有する、実施形態1~31のいずれか1つに記載の組成物。
【0108】
33.組成物が、250%以上の破断点伸びを有する、実施形態1~32のいずれか1つに記載の組成物。
【0109】
34.組成物が、空気中150℃で1008時間(6週間)経過した後、元の引張り強度の35%以上を保持し、元の伸びの25%以上を保持する、実施形態1~33のいずれか1つに記載の組成物。
【0110】
35.組成物が、空気中150℃で1008時間(6週間)経過した後、元の引張り強度の35%~95%を保持し、元の伸びの25%~90%を保持する、実施形態1~34のいずれか1つに記載の組成物。
【0111】
36.実施形態1~35のいずれか1つに記載の組成物を含む、架橋組成物。
【0112】
37.実施形態1~36のいずれか1つに記載の組成物から形成された少なくとも1つの成分を含む、物品。
【0113】
実験
第1の組成物の代表的な合成-連続重合
重合反応は、定常状態条件、すなわち溶媒、モノマー、および触媒の一定の反応物濃度および連続的な投入、ならびに未反応モノマー、溶媒、およびポリマーの一定の回収のもと行った。反応器系を冷却し、加圧して蒸気相の形成を防止した。モノマー:エチレン(CAS74-85-1);プロピレン(CAS115-07-1);5-エチリデン-2-ノルボルネン、ENB(CAS16219-75-3)。
【0114】
ポリマー組成物は、連続撹拌タンク型反応器、続いてループ型反応器を使用する溶液重合プロセスで製造した。エチレンをISOPAR E(ExxonMobilから入手可能)の溶媒の混合物に導入し、プロピレンを導入し、5-エチリデン-2-ノルボルネン(ENB)を導入し、それぞれ反応器原料流を形成した。触媒を別々に各反応器に供給し、共触媒1および助触媒2を使用してその場で活性化した。その結果、各反応器の出口は、ポリマー、溶媒、および低下したレベルの初期モノマーの混合物であった。第1の反応器の出口は、第2の反応器に直接供給された(サンプリングされない限り)。ポリマーの分子量は、各反応器の温度、モノマー変換、および/または水素などの連鎖停止剤の添加を調節することによって制御した。
【0115】
重合後、少量の水を触媒失活剤として反応器出口流に導入し、反応器出口流を、固形分濃度が少なくとも100%増加したフラッシュ容器に導入した。次いで、未反応モノマーの一部分、すなわちENB、エチレン、およびプロピレン、ならびに未使用の希釈剤を回収し、必要に応じて反応器供給量に再循環させた。重合反応器のさらなる説明については、米国特許第5,977,251号および同第6,545,088号も参照されたい。重合条件を表1および2に示す。
【表1】
【表2】
触媒1は、[[6’,6’’’-((2R,4S)-ペンタン-2,4-ジイルビス(オキシ))ビス(3-(3,6-ジ-tert-ブチル-9H-カルバゾール-9-イル)-3’-フルオロ-5-(2,4,4-トリメチルペンタン-2-イル)-[1,1’-ビフェニル]-2-オール)]](2-)]-ジルコニウムジメチルである。触媒2は、[[2’、2’’’-[1,3-プロパンジイルビス(オキシ-kO)]ビス[3-[3,6-ビス(1,1-ジメチルエチル)-9H-カルバゾール-9-イル]-5’-フルオロ-5-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)[1,1’-ビフェニル]-2-オラト-kO]](2-)]-ハフニウムジメチルである。共触媒-1は、実質的にUSP5,919,988(実施例2)に開示されている、長鎖トリアルキルアミン(ARMEEN M2HT、Akzo-Nobel、Inc.から入手可能)、HClおよびLi[B(C6F5)4]の反応により調製した、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのメチルジ(C14~18アルキル)アンモニウム塩の混合物であった。共触媒-2(変性メチルアルモキサン(MMAO))はAkzo Nobelから購入し、さらに精製することなく使用した。
【0116】
配合(発明および比較)
配合に使用した材料を表3および4に列記する。配合(発明および比較)を表5~8に列記する。これらの表に見られるように、異なる種類のカーボンブラック(N660およびSPHERON 6000)を含む配合が4セットある。
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
【表8】
【0117】
調合および使用
各配合物(組成物)を、ASTM D 3182に従って、ゴム内部混合器、すなわち、Banburyラボ混合器BR 1600(バッチ混合器)中で混合した。混合器には、一対の2翼ローターを備え付けた。バッチ重量は、混合器ボウル内で75体積%の充填率に合わせて調整した。ローター速度を、混合サイクル(合計混合時間約5分)の間、50rpmで一定に保った。熱電対を使用して、混合物の溶融温度を測定した。標準の「転倒」混合手順を使用し、カーボンブラック、CaCO、Maglite D、PEG 3350、ステアリン酸、VANOX CDPA、およびVANOX MTIを最初にボウルに加えた後、油(SUNPAR 2280)を加え、最後にポリマー(複数可)を追加した。混合物の温度が85℃に達したら、過酸化物硬化システム(VULCUP 40KE、SARET SR 517 HP)を混合物に加えた。溶融温度が105℃に達したら、最終調合混合物をキャッチパンに落とした。混合物を、信頼性の高い6インチの2本ロールミルに移した。化合物バッチを、2本ロールミルを5回通してシガーローリングすることにより、混合を周囲条件で2本ロールミル上で完了させて、化合物のシート(シート(未硬化)の厚さ約0.09インチ)を形成した。
【0118】
配合物の特性(レオロジーおよび機械的)
ムーニー粘度
各配合組成物のムーニー粘度は、未硬化の組成物の粘度を調べることができるように、未硬化の化合物シートから取った試料を使用して測定した。ムーニー粘度(100℃でML1+4)は、ASTM 1646に従って、1分間の予熱時間および4分間のローター動作時間で測定した。この器具は、Alpha Technologies Mooney Viscometer 2000である。
【0119】
MDR分析
ASTM D5289に従って、Alpha Technology Moving Die Rheometer(MDR)を使用して、180℃での各配合物(組成物)の硬化速度プロファイルを測定した。MDR試験は、180℃で30分間にわたって実施した。各配合組成物についての時間の関数としてのレオロジーまたはトルク曲線を、未硬化シートの試料から180℃の温度で測定した(時間の関数としての硬化プロファイル(180℃にて))。最小S’トルク(ML)、最大S’トルク(MH、または100%硬化)、および硬化状態の一定割合に達するまでの時間(例えば、95%硬化状態に達するまでの時間(分)に対応するt95)などの粘弾性特性を、硬化サイクル中に測定した。結果を表9~12に示す。
【表9】
【表10】
【表11】
【表12】
【0120】
圧縮成形プラーク-各プラーク(6インチ×6インチ×0.077インチ)
各配合物の機械的特性を、圧縮成形機で硬化された加硫シートから測定した(引張り特性およびショアA硬度について)。未硬化の複合シートからの試料を、シートの厚さに応じて、各々6×6インチよりわずかに小さく切断した。試料の重量は、化合物の比重によって異なることになる。ミル方向の印を付け、試料にラベルを付した。型を、Camie-CampbellからのCAMIE 999 Dry Silicone Sprayでスプレーブラッシングした。型(6インチ×6インチ×0.077インチ)をプラテンに置き、180℃に予熱した。試料を予熱した型に慎重に入れた。プラテンを閉じた。試料を加硫するために、試料を、各プラークについて「t95データ+3分」を使用して、180℃で3.5MPa(500psi)の最小圧縮圧力下に置いた。硬化時間が終了すると(t95データ+3分)、底部プラテンが自動的に開いた。型内の試料を取り出し、直ちに水(室温)に入れて硬化を止めた。各硬化試料を、試験前に、空気中、室温で、少なくとも18時間調整した。
【0121】
加硫物の物理的特性(元の特性および老化後の特性)
硬化後、硬化した標本/加硫物各々を、試験前に周囲条件で少なくとも18時間調整した。フィルム特性を以下の表13~20に列記する。
【0122】
引張り応力-歪み特性およびショアA硬度特性
元の引張り特性を、ASTM D-412に記載されている寸法を有する「ダンベル」形状の引張りダイを使用して、上記のように硬化プラークから打ち抜きされた標本を使用して測定した。1つのプラークから3つのダイカット標本を切り出した。
【0123】
熱老化引張り特性測定のために、試験標本を、まず、「ダンベル」形状の引張りダイを使用して上記のように硬化プラークからダイカットした。次に、これらの作製した試験標本を、150℃の換気オーブン中、所望の老化時間で老化させた。次に、これらの熱老化試験標本を使用して、熱老化引張り特性を測定した。引張り特性(引張り強度および伸び)を、ASTM D-412およびASTM D-573法に従って、室温で測定した。
【0124】
各々ASTM D-412に記載されている寸法を有する3つのダイカットした試験標本(ダンベル)の積重を使用して、ショアA硬度特性を測定した。3つのダイカットした試験標本を、上記のように調製した圧縮成形プラークから切り出した。ショアA硬度特性を、ASTM D-2240法に従って室温で測定した。
【0125】
本発明の配合物(組成物)は、長期熱老化特性が改善されていることが分かった。組成物中のポリマー成分のENB含有量を下げることで、老化プロセス中のゴム化合物の熱分解の速度が低下したことが分かった。組成物に酸化マグネシウムまたは酸化亜鉛を加えることも、長期熱老化の改善に寄与することが分かった。本発明の組成物により、優れた長期熱老化特性を達成することができる。
【表13】
【表14】
【表15】
【表16】
【表17】
【表18-1】
【表18-2】
【表19-1】
【表19-2】
【表20】
【表21-1】
【表21-2】
【表22】