(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-29
(45)【発行日】2024-03-08
(54)【発明の名称】深い分離を使用するFinFET技術
(51)【国際特許分類】
H01L 27/088 20060101AFI20240301BHJP
H01L 21/8238 20060101ALI20240301BHJP
H01L 27/092 20060101ALI20240301BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20240301BHJP
H01L 29/78 20060101ALI20240301BHJP
H01L 21/822 20060101ALI20240301BHJP
H01L 27/04 20060101ALI20240301BHJP
H01L 21/76 20060101ALI20240301BHJP
【FI】
H01L27/088 331A
H01L27/092 C
H01L27/088 331D
H01L29/78 301X
H01L29/78 301R
H01L27/04 H
H01L21/76 L
(21)【出願番号】P 2020546462
(86)(22)【出願日】2019-02-14
(86)【国際出願番号】 US2019018067
(87)【国際公開番号】W WO2019173033
(87)【国際公開日】2019-09-12
【審査請求日】2022-01-17
(32)【優先日】2018-03-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591025439
【氏名又は名称】ザイリンクス インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】XILINX INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】カープ, ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】ハート, マイケル ジェー.
【審査官】石塚 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2006/006438(WO,A1)
【文献】特開2011-009296(JP,A)
【文献】特表2011-528863(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/088
H01L 21/8238
H01L 29/78
H01L 21/336
H01L 27/04
H01L 21/822
H01L 21/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板(106)と、
前記基板(106)上に形成された第1のP型FinFETトランジスタ(104)と、
前記基板(106)上に形成され、前記第1のP型FinFETトランジスタ(104)に隣接して配設された第2のP型FinFETトランジスタ(104)と、
前記基板(106)上に形成され、前記第1のP型FinFETトランジスタ(104)に隣接して配設された第1のN型FinFETトランジスタ(102)と、
前記基板(106)上に形成された第2のN型FinFETトランジスタ(102)と、
前記基板(106)内の前記第1のN型FinFETトランジスタ(102)と前記第1のP型FinFETトランジスタ(104)の間に形成された第1のトレンチ(110)と、
前記基板(106)内の前記第1のP型FinFETトランジスタ(104)と前記第2のP型FinFETトランジスタ(104)の間に形成された第2のトレンチ(108)と、
前記基板(106)内の前記第1のP型FinFETトランジスタ(104)と前記第2のP型FinFETトランジスタ(104)の間に形成された第3のトレンチ(108)と、
前記第1のトレンチ(110)内に配設され、前記第1のN型FinFETトランジスタ(102)を隣接した前記第1のP型FinFETトランジスタ(104)から横方向に分離する、第1の酸化物分離層(114)と、
前記第2のトレンチ(108)内に配設され、前記第1のN型FinFETトランジスタ(102)を隣接した前記第2のN型FinFETトランジスタ(102)から横方向に分離する、第2の酸化物分離層(112)と、
前記第3のトレンチ(108)内に配設され、前記第1のP型FinFETトランジスタ(104)を隣接した前記第2のP型FinFETトランジスタ(104)から横方向に分離する、第3の酸化物分離層(112)と、を備えるP-N接合(150)であって、
前記第1のトレンチ(110)は前記基板(106)内で前記第2のトレンチ(108)および前記第3のトレンチ(108)よりも深く形成され、
前記第1の酸化物分離層(114)は、前記第1のトレンチ(110)内に配設された200nm超過の厚さを有し、
前記第2の酸化物分離層(112)は、前記第2のトレンチ(108)内に配設された80nm未満の厚さを有し、
前記第1の酸化物分離層(114)は、前記第1のN型FinFETトランジスタ(102)から隣接した前記第1のP型FinFETトランジスタ(104)まで延在する第1の幅(286)を有し、
前記第2の酸化物分離層(112)は、前記第1のN型FinFETトランジスタ(102)から隣接した前記第2のN型FinFETトランジスタ(102)まで延在し、前記第1の幅(286)よりも狭い第2の幅(282)を有し、
前記第3の酸化物分離層(112)は、厚さ、幅および材料において前記第2の酸化物分離層(112)と同じ特性を有することを特徴とする、P-N接合(150)。
【請求項2】
前記第1の酸化物分離層(114)の前記厚さが前記第2の酸化物分離層(112)の前記厚さの少なくとも3倍である、請求項1に記載のP-N接合(150)。
【請求項3】
前記第1の酸化物分離層(114)の前記厚さが200nmより大きく250nm未満である、請求項1に記載のP-N接合(150)。
【請求項4】
前記第2の幅(282)が少なくとも第1の幅(286)の半分である、請求項1に記載のP-N接合(150)。
【請求項5】
前記第2の幅(282)が少なくとも第1の幅(286)の4分の1である、請求項2に記載のP-N接合(150)。
【請求項6】
P-N接合(150)を形成する方法であって、
半導体基板(106)にエッチングを施して、複数
のフィン(202、252)を形成すること(410)であって、前記複数
のフィン(202、252)が、第1のN型FinFETトランジスタ(102)の一部となる第1
のフィン(202)、第2のN型FinFETトランジスタ(102)の一部となる第2
のフィン(202)、第1のP型FinFETトランジスタ(104)の一部となる第3
のフィン(252)および第2のP型FinFETトランジスタ(104)の一部となる第4
のフィン(252)を含み、前記第1および第2
のフィン(202)
はトレンチによって分離されて第2のトレンチ(108)となり、前記第1
のフィン(202)および前記第3
のフィン(252)
はトレンチによって分離されて第1のトレンチ(110)となり、前記第3および第4
のフィン(252)
はトレンチによって分離されて第3のトレンチ(108)となる、複数
のフィン(202、252)を形成することと、
前
記トレンチ(108、110)に酸化物材料を充填すること(412)と、
前
記トレンチ(108、110)を充填している前記酸化物材料の一部分を除去すること(416)と、
第1の酸化物分離層(114)および第2の酸化物分離層(112)を形成するために前記酸化物材料の前記除去を停止することであって、前記第1の酸化物分離層(114)は、第1の幅と前記第1のトレンチ(110)内に配設された200nm超過の第1の厚さ(284)を有し、前記第2の酸化物分離層(112)は、前記第2および第3のトレンチ(108)の各々の内に配設された80nm未満の第2の厚さ(280)を有する、前記酸化物材料の前記除去を停止することと、を含み、
前記半導体基板(106)にエッチングを施して、複数
のフィン(202、252)を形成することが、
前記第1および第2
のフィン(202)を前記半導体基板(106)のpドープ領域に形成することと、
前記第3および第4
のフィン(252)を前記半導体基板(106)のnドープ領域に形成することと、を更に含
み、
前記第1のトレンチ(110)は前記トレンチ(108)よりも2倍以上幅が広く、前記複数のフィンは前記トレンチ(108)よりも2倍以上高い、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、概して、FinFETトランジスタ、P-N接合、およびその形成方法に関する。より詳細には、本発明の実施形態は、深い酸化物分離層(oxide isolation layers)を有するFinFETトランジスタおよびP-N接合に関する。
【背景技術】
【0002】
FinFETトランジスタは、より小さいナノメートルノードにおけるトランジスタのソース領域とドレイン領域との間を流れる電流の制御を向上させることができるため、次世代の電子デバイスで従来の平面トランジスタに代わって用いられるようになってきた。FinFETトランジスタは使用電力が低く、トランジスタ密度を増加させつつデバイス性能を改善することができるので、メモリ構造などのデバイスも、FinFETトランジスタを使用することによる恩恵を受けている。
【0003】
FinFETトランジスタを使用するメモリ構造は、平面トランジスタと同じく、シングルイベントラッチアップ(SEL)の影響を依然として受けやすい。CMOS技術におけるラッチアップは、寄生p-n-p-n SCR(シリコン制御整流器)構造のトリガによって引き起こされる。SELは、入射荷電粒子の軌道に沿って発生する電荷から生じる過渡電流によって引き起こされる。地上用途では、中性子がSELの主な原因である。平面トランジスタの従来のSEL緩和技術は、寄生SCR構造の素子を切り離すまたは弱化するためのものである。かかる技術は、一般的に、所与の用途に対して許容することができるエリアペナルティと関連付けられる。近年まで、CMOSおよび下にあるSELデバイスの物理構造は、平面トランジスタでは共にスケーリングされて、所与の設計フローに対するSELの結果が予測可能になっていた。しかしながらこれは、FinFET技術が近年導入されたことによって変化しており、FinFETトランジスタにおけるSELイベントと関連付けられた故障率は、一般に、平面トランジスタの場合よりも高いことが観察されている。
【0004】
したがって、改善されたFinFETトランジスタが必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
FinFETトランジスタ、P-N接合、およびその形成方法について、本明細書に記載する。一例では、金属ゲートで包囲されたチャネル領域を有するフィンを含み、チャネル領域がフィンのソース領域およびドレイン領域を接続する、FinFETトランジスタについて記載する。第1の酸化物分離層はフィンの第1の側に配設され、第2の酸化物分離層は、フィンの第1の側の反対の第2の側に配設される。第2の酸化物分離層は、第1の酸化物分離層の厚さよりも厚い厚さを有する。
【0006】
別の例では、P-N接合について記載する。P-N接合は、第1のP型FinFETトランジスタと、第1のN型FinFETトランジスタと、第1の酸化物分離層とを含む。第1のN型FinFETトランジスタは第1のP型FinFETトランジスタに隣接して配設される。第1の酸化物分離層は、第1のN型FinFETトランジスタを隣接した第1のP型FinFETトランジスタから横方向に分離する。第1の酸化物分離層は少なくとも150nmの厚さを有する。
【0007】
更に別の例では、第1のP型FinFETトランジスタと、第1のN型FinFETトランジスタと、第1の酸化物分離層とを含む、P-N接合について記載する。第1のN型FinFETトランジスタは第1のP型FinFETトランジスタに隣接して配設される。第1の酸化物分離層は、第1のN型FinFETトランジスタを隣接した第1のP型FinFETトランジスタから横方向に分離する。P-N接合は、1未満の積βnpn・βpnpの利得を有する。
【0008】
更に別の例では、半導体基板にエッチングを施して、第1の高アスペクト比のトレンチによって分離された第1の高アスペクト比のフィンおよび第2の高アスペクト比のフィンを含む、複数の高アスペクト比のフィンを形成することと、第1の高アスペクト比のトレンチに酸化物材料を充填することと、第1の高アスペクト比のトレンチを充填している酸化物材料の一部分を除去することと、少なくとも150nmの厚さを有する酸化物分離層を形成するように、第1の高アスペクト比のトレンチを充填している酸化物材料の除去を停止することと、を含む、P-N接合を形成する方法について記載する。
【0009】
本発明の上記に列挙した特徴を詳細に理解することができるような形で、上記で簡潔に概要を述べた本発明のより詳細な説明を、実施形態を参照することによって行うことができ、それらの実施形態のいくつかを添付図面にて例証する。しかしながら、添付図面は本発明の典型的な実施形態のみを例証するものであり、したがって、本発明が他の等しく有効な実施形態を認めることが可能なその範囲を限定するものと見なされないことが留意されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】FinFETトランジスタを含むP-N接合を有する電子デバイスを示す概略断面図である。
【
図2】P型FinFETトランジスタとそれに隣接して配設されたN型FinFETトランジスタとを示す、
図1の電子デバイスの一部分の等角図である。
【
図3A-C】隣接したP型およびN型FinFETトランジスタを有する
図1の電子デバイスを形成するシーケンスの異なる段階における積層膜を示す断面図である。
【
図3D-F】隣接したP型およびN型FinFETトランジスタを有する
図1の電子デバイスを形成するシーケンスの異なる段階における積層膜を示す断面図である。
【
図3G-H】隣接したP型およびN型FinFETトランジスタを有する
図1の電子デバイスを形成するシーケンスの異なる段階における積層膜を示す断面図である。
【
図4】隣接したP型およびN型FinFETトランジスタを有する電子デバイスを形成する方法を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
理解を容易にするため、可能な場合は、図に共通している同一の要素を指定するのに同一の参照番号が使用されている。1つの実施形態の要素が、他の実施形態に有益に組み込まれてもよいことが想到される。
【0012】
FinFET技術は、CMOS性能を大幅に改善し、ムーアの法則による縮小を7nm以下の先端ノードにまで可能にしてきた。FinFETトランジスタの製造には、シャロートレンチアイソレーション(STI)の幾何学形状を大幅に変更する必要があった。STIの目的は、隣接したトランジスタを電気的に隔離することである。高度な平面CMOSトランジスタは、約200~約250nmの範囲のSTI深さを有する。FinFET技術の場合、露出したシリコンフィンはSTIをエッチバックすることによって形成され、STI深さは約70~約80nmとなる。FinFET設計は、CMOSスケーリングを継続しながら、STI深さのより一層の低減が期待できる。
【0013】
平面設計からFinFET設計へは、STI深さを約3分の1に低減することにより、隣接したpMOSおよびnMOSトランジスタのソース/ドレイン間の最小限の基板通路が大幅に低減されてきた。これは、全てのp-n接合が逆バイアスである場合、通常のCMOS動作中のp/nMOS絶縁を低下させるものではない。しかしながら、隣接した接合間の基板通路が低減されることにより、SEL遷移中にpMOSおよびnMOS両方のトランジスタの接合を順バイアスさせることができる場合、寄生SCRラッチアップをトリガし得ることが見出されている。
【0014】
上述したように、従来のFinFETトランジスタは、隣接した接合間の基板通路の低減により、SELイベントの影響を受けやすい。従来のFinFETトランジスタは、特に、従来の平面トランジスタよりも、高エネルギー粒子衝突によるSELイベントの影響を更に受けやすい。高エネルギー粒子は、中性子、熱中性子、α粒子などを含む。特に、本発明者らは、従来の平面トランジスタと比べて従来のFinFETトランジスタでは、高エネルギー粒子衝突によるSELイベントを引き起こすのに必要なエネルギーは10分の1であることを観察している。本発明者らは、N型およびP型FinFETトランジスタの間の酸化物分離厚さと、高エネルギー粒子衝突によるSELイベントの確率との間に強い依存関係があることを発見している。したがって、本開示は、本明細書において、酸化物分離厚さを従来のFinFETトランジスタの約2~3倍に選択的に増加させることによって、FinFETトランジスタを用いた電子デバイスのSELイベントに対する抵抗性を改善する技術について記載する。更に、N型およびP型FinFETトランジスタの間の酸化物分離厚さが増加する一方、同じタイプのFinFETトランジスタ間の浅い酸化物分離厚さを維持することができる。したがって、SELイベントに対する堅牢な抵抗性をもつ電子デバイスを、製造コストの増加を最小限に抑えて実現することができる。更に、本明細書に記載する新規なFinFETトランジスタは、従来のFinFETトランジスタの最大10倍、SELイベントの影響を受けにくく、望ましくは平面トランジスタの抵抗性に近く、更にはそれに等しくなる。
【0015】
図1は、N型FinFETトランジスタ102とそれに隣接したP型FinFETトランジスタ104との間に画定されるP-N接合150を有する、電子デバイス100の一例の概略図である。
図1の例では、電子デバイス100はCMOSデバイスとして構成されている。しかしながら、FinFETトランジスタ102、104は、N型およびP型両方のFinFETトランジスタ102、104を含む、他のタイプのデバイス向けに構成されてもよい。
【0016】
N型およびP型FinFETトランジスタ102、104は半導体基板106上に形成される。FinFETトランジスタ102、104は、現在知られている技法または将来的に開発される技法を含む、アディティブ法またはサブトラクティブ法によって形成されてもよい。
【0017】
基板106は、シリコン基板、または別の適切な材料から成る基板であってもよい。基板106はPウェル152とNウェル154とを含む。
図1に示される例では、Nウェル154はPウェル152上に形成されるものとして示されている。しかしながら、その代わりに、Pウェル152がNウェル154上に形成されてもよく、または例えばツインタブ構成の場合、Pウェル152がNウェル154から横方向に離隔されてもよい。Pウェル152およびNウェル154は、イオン注入、拡散、または他の適切な技術を使用して形成されてもよい。一例では、Pウェル152にはリンがドープされ、Nウェル154にはホウ素がドープされる。
【0018】
図1に示される例では、少なくとも2つのN型FinFETトランジスタ102がPウェル152上に形成される。また、少なくとも2つのP型FinFETトランジスタ104がNウェル154上に形成される。N型FinFETトランジスタ102のうち1つは、P型FinFETトランジスタ104のうち1つに隣接して配設される。酸化物分離層112は、隣接した同じタイプの各FinFETトランジスタの間に形成されたトレンチ108内に配設される。例えば、酸化物分離層112は、隣接したN型FinFETトランジスタ102の各対の間に配設される。酸化物分離層112はまた、隣接したP型FinFETトランジスタ104の各対の間に配設される。酸化物分離層114は、隣接した異なるタイプのFinFETトランジスタの間に形成されたトレンチ110内に配設される。例えば、酸化物分離層114は、N型FinFETトランジスタ102とそれに隣接したP型FinFETトランジスタ104との間に配設される。トレンチ110の酸化物材料を含有する部分の深さは、トレンチ108の酸化物材料を含有する部分の深さの少なくとも2倍であり、したがって、酸化物分離層114の厚さは酸化物分離層112の厚さの少なくとも2倍になっている。より深いトレンチ110とより厚い酸化物分離層114は、更に後述するように、P-N接合150全体にわたるSELイベントに対する優れた抵抗性を提供する。
【0019】
P-N接合150に関する更なる詳細が、
図2に示される、
図1の電子デバイス100の一部分の等角図に示されている。
図2に示されるように、N型FinFETトランジスタ102は、高アスペクト比のフィン202と金属ゲート208とを含み、それらは両方とも基板106から上向きに延在する。フィン202は、アディティブ法またはサブトラクティブ法によって形成されてもよい。一例では、フィン202は、シリコン、シリコンゲルマニウム、ゲルマニウム、またはIII-V族材料から形成されてもよい。フィン202は、任意に、薄い酸化物キャッピング層206で被覆されてもよい。
【0020】
酸化物分離層112は、N型FinFETトランジスタ102のフィン202の間で基板106上に形成される。一例では、酸化物分離層112は、フィン202の間に画定されるトレンチ108内に形成される。酸化物分離層112は、酸化シリコン、窒化シリコン、酸窒化シリコン、フッ化物ドープケイ酸塩ガラス(FSG)、低k誘電体、または他の適切な材料のうち1つもしくは複数から形成される。同様に、酸化物分離層114は、N型FinFETトランジスタ102のフィン202とP型FinFETトランジスタ104の高アスペクト比のフィン252との間に画定されるトレンチ110内など、基板106上に形成される。酸化物分離層114は、酸化物分離層112として使用するのに適した同じ材料から成ってもよい。
【0021】
金属ゲート208は、一般に、基板106の面に垂直であってフィン202の面にも垂直である、フィン形状を有する。金属ゲート208は、フィン202の一部分を取り囲み、フィン202のソース領域212をフィン202のドレイン領域210から分離する。ソースおよびドレイン領域212、210は、一般に、基板106の面に垂直に延在する共通の面内で位置合わせされる。ソースおよびドレイン領域212、210はまた、金属ゲート208の面に垂直に配向される。
【0022】
金属ゲート208は、ソースおよびドレイン領域212、210の間に画定されるチャネル領域214を包囲している。チャネル領域214はフィン202の一体部分なので、チャネル領域214は領域212、210と同じ材料から形成される。金属ゲート208がエネルギーを与えられると、電流がチャネル領域214を通ってソース領域212からドレイン領域210に流れる。
【0023】
金属ゲート208は、ゲート誘電体材料の上に配設されたゲート電極から形成される。ゲート誘電体材料は、ゲート電極をチャネル領域214から分離する。ゲート電極は、ポリシリコン、Ta、TiN、TiAlN、TiSiN、TaN、TaAlN、TaSiN、W、WN、Re、Ir、Ru、Mo、Al、Cu、CO、Ni、WN/RuO2、ZrSi2、MoSi2、TaSi2、NiSi2、または他の適切な材料であってもよい。
【0024】
ゲート誘電体材料は、ハフニウム系材料などの高k酸化物であってもよい。ゲート誘電体材料として使用するのに適しているハフニウム系材料の例としては、HfOx、HfSiOx、HfSiON、HfZrO、HfLaO、HfTaO、HfTiOなどが挙げられる。あるいは、ゲート誘電体材料は、LaO、AlO、ZrO、ZrO2、ZrSiO2、LaSiO、AlSiO、TiO、Ta2O5、Ta2O3、Y2O3、STO、BTO、BaZrO、または他の適切な材料であってもよい。一例では、金属ゲート208は、HfOxゲート誘電体材料の上に配設されたポリシリコンゲート電極から形成される。
【0025】
金属ゲート208はまた、キャッピング層および界面層などの追加層を含んでもよい。例えば、キャッピング層がゲート誘電体材料と金属ゲート材料との間に配設されてもよい。キャッピング層は、酸化ランタン、LaSiO、酸化マンガン、酸化アルミニウム、または他の適切な材料であってもよい。キャッピング層は、約3~約10オングストロームの厚さを有してもよい。別の例では、界面層がゲート誘電体材料とチャネル領域214との間に配設されてもよい。界面層は、約3~約10オングストロームの厚さを有してもよい。界面層は、酸化シリコンまたは酸窒化シリコンなどの酸化物であってもよい。あるいは、界面層は窒化シリコンまたは他の適切な材料であってもよい。
【0026】
P型FinFETトランジスタ104は、フィン252と金属ゲート258とを含み、それらは両方とも基板106から上向きに延在する。フィン202と同様に、フィン252は、アディティブ法またはサブトラクティブ法によって形成されてもよい。一例では、フィン252は、シリコン、シリコンゲルマニウム、ゲルマニウム、またはIII-V族材料から形成されてもよい。フィン252は、任意に、薄い酸化物キャッピング層256で被覆されてもよい。
【0027】
金属ゲート258は、一般に、基板106の面に垂直であってフィン252の面にも垂直である、フィン形状を有する。金属ゲート258は、フィン252の一部分を取り囲み、フィン252のソース領域262をフィン252のドレイン領域260から分離する。ソースおよびドレイン領域262、260は、一般に、基板106の面に垂直に延在する共通の面内で位置合わせされる。ソースおよびドレイン領域262、260はまた、金属ゲート258の面に垂直に配向される。
【0028】
金属ゲート258は、ソースおよびドレイン領域262、260の間に画定されるチャネル領域264を包囲している。チャネル領域264はフィン252の一体部分なので、チャネル領域264は領域262、260と同じ材料から形成される。金属ゲート258がエネルギーを与えられると、電流がチャネル領域264を通ってソース領域262からドレイン領域260に流れる。
【0029】
金属ゲート258は、ゲート誘電体材料の上に配設されたゲート電極から形成される。ゲート誘電体材料は、ゲート電極をチャネル領域264から分離する。金属ゲート258は、金属ゲート208に関して上述したのと同様に構築され、また、金属ゲート208に関して上述したように、キャッピング層および界面層などの追加層を含んでもよい。
【0030】
N型FinFETトランジスタ102は、あるピッチまたは距離282で分離される。一例では、距離282は約42nmである。N型FinFETトランジスタ102は、距離286でP型FinFETトランジスタ104から分離される。距離286は、一般に、より深い酸化物分離層114の作成に適応するように、距離282よりも長い。例えば、酸化物分離層114は、酸化物分離層112の厚さ280よりも厚い厚さ284を有する。一例では、厚さ284は酸化物分離層112の厚さ280の少なくとも約2倍である。別の例では、厚さ284は酸化物分離層112の厚さ280の少なくとも3倍である。トレンチ110および酸化物分離層112の幅を画定する距離286は、トレンチ110の底部の幅が、酸化物分離層112が基板106の反対側で露出するトレンチ110の部分の幅よりも大幅に狭くなるような、先細状または階段状であってもよいことが想到される。例えば、トレンチ110の底部の幅は距離282とほぼ同じであってもよい。
【0031】
図2に示される例では、酸化物分離層112の厚さ280は、70~80nmなど、約100nm未満である。対照的に、酸化物分離層114の厚さ284は、200~250nmなど、150nm超過である。言い換えると、酸化物分離層114の厚さ284は酸化物分離層112の厚さ280の少なくとも2倍である。一例では、酸化物分離層114の厚さ284は酸化物分離層112の厚さ280の少なくとも2.5倍である。更に別の例では、酸化物分離層114の厚さ284は酸化物分離層112の厚さ280の少なくとも3倍である。酸化物分離層114の深い厚さ284は、荷電粒子がウェル152、154の間を移動するのを防ぐ助けとなるため、SELイベントに対する抵抗性が増大する。一例では、P-N接合150全体にわたる、酸化物分離層114の厚さ284によるSEL抵抗性は、従来のFinFET設計の約10倍である。
【0032】
SELイベントに対する抵抗性を改善するように選択された酸化物分離層114の厚さは、P-N接合150を備えるFinFETの技術ノードおよび限界寸法、ならびにデバイス設計の対象である環境中に存在する粒子の予期されるエネルギーレベルに応じて、異なることがあることが認識されるべきである。例えば、地上用途では、地下または非地上用途で利用されるように設計された用途よりもエネルギーレベルがはるかに低い粒子に遭遇する。上述した酸化物分離層114の厚さ284は、16nmの技術ノードを用いて製造されたFinFETの地上用途に適していることが証明されている。(通常遭遇する地上粒子と比べて)高エネルギーの粒子に対抗する硬化を要する航空宇宙または他の用途などの非地上用途は、同じ技術ノードでは、一般に、酸化物分離層114がより厚くなる。
【0033】
本明細書に開示する技術を利用して達成されたSELイベントに対する抵抗性の改善は、FinFET技術を使用した従来の設計と比較して、寄生SCRの積βnpn・βpnpの利得を低減するものとしても特徴づけることができる。一般に、βnpnおよびβpnpは、寄生SCRのフィードバックループにおける2つのトランジスタの利得である。積βnpn・βpnpの利得を1未満に維持することによって、ラッチアップが防止される。寄生バイポーラのβ利得は、SCR電流通路における距離に強く関連する。この距離はSTIが深くなると増加するので、積βnpn・βpnpの利得が低減される。バイポーラトランジスタのβ利得は、寄生SCRのバイポーラトランジスタにおける電流にも依存する。電流が大きいほど、積βnpn・βpnpの利得が大きくなる。前記電流はイオン衝突による堆積電荷(deposited charge)に比例するので、酸化物分離層114の厚さ284は、積βnpn・βpnpの利得が、一般的な地上放射線環境の場合の1未満など、所定の設計および放射線環境閾値よりも少なくなるように選択されてもよい。宇宙放射線環境で遭遇する高エネルギーイオン衝突は、はるかに多くの電荷を堆積させ、寄生バイポーラトランジスタにより大きい電流を生じさせる。これにより、積βnpn・βpnpの利得が1を上回り、かかる宇宙放射線環境において、同じ厚さ284がSELを防ぐのに十分ではなくなることがある。かかる高エネルギー放射線環境では、SELを防ぐのに、より厚い厚さ284が必要になることがある。
【0034】
図3A~
図3Hは、隣接したN型およびP型FinFETトランジスタ102、104を有する
図1の電子デバイス100を形成するシーケンスの異なる段階における積層膜の断面図である。
図4は、
図3A~
図3Hに示されるシーケンスなどによって、隣接したN型およびP型FinFETトランジスタ102、104を有する電子デバイス100などの電子デバイスを形成する、方法400のブロック図である。方法400は、P-N接合150を有する他の電子デバイスを形成するのに利用されてもよいことが想到される。
【0035】
方法400は、
図3Aに示されるものなど、基板106などの基板上に第1のマスク層300をパターニングすることによる、工程402で始まる。図が乱雑になるのを避けるため、NウェルおよびPウェルは
図3A~
図3Hには示していない。第1のマスク層300は複数の開口部302を含み、開口部302を通して露出した基板106の領域304がエッチングを施されトレンチが形成される。第1のマスク層300は、フォトレジストマスク、ハードマスク、またはそれらの組み合わせであってもよい。
【0036】
工程404で、
図3Bに示されるように、基板106の露出した領域304にエッチングが施されてトレンチ108が形成される。基板106に形成されるトレンチ108は、乾式(例えば、プラズマ)エッチングによって作成される。適切なエッチング剤としては、ハロゲン、ならびに中でも特に、Cl
2、CF
4、SF
6、NF
3、およびCCl2F2などのハロゲン含有化合物が挙げられる。あるいは、湿式エッチングまたは他の適切な技術が利用されてもよい。適切な湿式エッチング剤としては、中でも特に、硝酸(HNO
3)およびフッ化水素酸(HF)、水酸化カリウム(KOH)、エチレンジアミンピロカテコール(EDP)、ならびに水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)が挙げられる。
【0037】
トレンチ108の間に残っている基板106の材料はフィン202、252を形成する。フィン202の間の距離282は、一対の隣接したフィン202、252の間の距離286よりも短い。距離282は、距離286の少なくとも4分の1など、距離286の少なくとも半分であってもよい。一対の隣接したフィン202、252の間の距離286が長くなると、トレンチ110をトレンチ108よりもはるかに深くすることが可能になり、それによって、後述する方法400の続きの工程で更に示されるように、トレンチ110内に配設される酸化物分離層114をトレンチ108内に配設された酸化物分離層112よりも厚くすることが容易になる。
【0038】
工程406で、
図3Cに示されるように、第1のマスク層300が除去される。一例では、第1のマスク層300は、酸素含有プラズマに暴露することなどによる灰化プロセス、または他の適切な方法によって除去される。
【0039】
工程408で、第2のマスク層320が、フィン202、252およびトレンチ108上に配設される。第2のマスク層320がパターニングされて開口部322が形成され、開口部322を通して、
図3Dに示されるように、基板106にエッチングが施されてもよい。第2のマスク層320は、第1のマスク層300を参照して記載したような材料および技術によって作成されパターニングされてもよい。
【0040】
工程410で、基板106に、第2のマスク層320の開口部322を通してエッチングが施されて、トレンチ110が形成される。
図3Eに示されるように、トレンチ110はトレンチ108よりも深い。一定の比率ではないが、トレンチ110はトレンチ108の少なくとも2倍の深さ、更にはトレンチ108の2.5倍以上もの深さである。それに加えて、トレンチ110は、トレンチ108の少なくとも3~4倍の幅など、トレンチ108の少なくとも約2倍の幅である。より幅広のトレンチ110により、より深いトレンチ110の形成が容易になるので、更なる酸化物分離層が、高エネルギー粒子衝突によるアップセット耐性を改善するのに利用されてもよい。エッチング後、例えば、酸素含有プラズマの存在下での灰化または他の適切な方法によって、第2のマスク層320が除去される。
【0041】
工程412で、
図3Fに示されるように、トレンチ108、110に酸化物材料が充填されて、酸化物分離層112および酸化物分離層114が形成される。酸化物分離層112、114は、スピンオン、化学蒸着、原子層堆積、または他の適切な技術を利用して堆積されてもよい。酸化物分離層112、114の上面は、例えば、エッチバックまたは化学機械研磨または他の適切な平面化技術を使用して、フィン202、252の上面と共面で作られてもよい。
【0042】
トレンチ108、110に酸化物材料が充填されると、第3のマスク層330が酸化物材料上に堆積されパターニングされて、開口部332が形成される。第3のマスク層330は、第1のマスク層300を参照して記載したような材料および技術によって作成されパターニングされてもよい。工程414で、酸化物分離層112および酸化物分離層114を形成している酸化物材料の一部分に、第3のマスク層330の開口部332を通してエッチングが施されて、
図3Gに示されるように、トレンチ108を充填している酸化物材料の厚さ280およびトレンチ110を充填している酸化物材料の厚さ284が設定される。
【0043】
工程416で、第3のマスク層330が除去される。第3のマスク層330は、酸素含有プラズマの存在下での灰化、または他の適切な方法によって除去されてもよい。工程416後、金属ゲート208、258がフィン202、252の上に形成されて、
図1および
図2に示されるようなトランジスタ102、104が形成される。
【0044】
したがって、本明細書に記載されるFinFETトランジスタ102、104および特にP-N接合150は、従来のFinFETトランジスタおよび従来のP-N接合と比較して、より優れたSEL抵抗性を有する。P-N接合150を含むFinFETトランジスタ102、104は、従来のFinFETトランジスタと比較して、高エネルギー粒子衝突によるSELイベントの確率が低減されているので、CMOSまたは他の電子デバイスなどの電子デバイス100は、従来の電子デバイスと比較して堅牢性が高い。N型FinFETトランジスタ102とP型FinFETトランジスタ104との間に配設される酸化物分離層114の厚さが増加することで、(トレンチ108よりも)深いトレンチ110内に配設された酸化物分離層114から成る比較的厚い材料によって、粒子の衝突による電荷のほとんどを、広い面積に拡散する前に基板内で散逸させることが可能になり、したがって、マルチビットアップセットに対する更なる保護が追加され、P-N接合150が利用される電子デバイス100における訂正不能なイベントの発生が最小限に抑えられる。有利には、P-N接合150を備えるFinFETトランジスタ102、104は、従来のFinFETトランジスタの最大10倍、SELイベントの影響を受けにくく、望ましくは平面FinFETトランジスタの抵抗性に近く、更にはそれに等しくなる。
【0045】
一例では、FinFETトランジスタ、P-N接合、およびその形成方法について、本明細書に記載する。かかるFinFETトランジスタは、金属ゲートと、ソース領域、ドレイン領域、および金属ゲートで包囲されたチャネル領域を備えるフィンであって、チャネル領域がソースおよびドレイン領域を接続する、フィンと、ソースフィンの第1の側に配設された第1の酸化物分離層と、ソースフィンの第1の側とは反対側の第2の側に配設された第2の酸化物分離層であって、第1の酸化物分離層の厚さよりも厚い厚さを有する、第2の酸化物分離層とを含んでもよい。
【0046】
そのようなFinFETトランジスタでは、第2の酸化物分離層の厚さは、第1の酸化物分離層の厚さの少なくとも2倍であってもよい。
【0047】
そのようなFinFETトランジスタでは、第2の酸化物分離層の厚さは200nm~250nmであってもよい。
【0048】
別の例では、P-N接合について記載する。かかるP-N接合は、第1のP型FinFETトランジスタと、第1のP型FinFETトランジスタに隣接して配設された第1のN型FinFETトランジスタと、第1のN型FinFETトランジスタを隣接した第1のP型FinFETトランジスタから横方向に分離する第1の酸化物分離層であって、150nm超過の厚さを有する、第1の酸化物分離層とを含んでもよい。
【0049】
そのようなP-N接合では、第1のP型FinFETトランジスタは、第1のP型FinFETトランジスタの第1の酸化物分離層とは反対側に配設された第2の酸化物分離層であって、第1の酸化物分離層の厚さの半分未満の厚さを有する、第2の酸化物分離層を含んでもよい。
【0050】
そのようなP-N接合では、第1の酸化物分離層の厚さは、第2の酸化物分離層の厚さの少なくとも3倍であってもよい。
【0051】
そのようなP-N接合では、P-N接合の積βηρη・βPηPの利得は1未満であってもよい。
【0052】
そのようなP-N接合は、第1のP型FinFETトランジスタに隣接して配設された第2のP型FinFETトランジスタと、第1のP型FinFETトランジスタを隣接した第2のP型FinFETトランジスタから横方向に分離する第2の酸化物分離層であって、第1の酸化物分離層の厚さの半分未満の厚さを有する、第2の酸化物分離層とを更に含んでもよい。
【0053】
そのようなP-N接合では、第2の酸化物分離層の厚さは80nm未満であり、第1の酸化物分離層の厚さは200nm超過であってもよい。
【0054】
そのようなP-N接合では、第1のP型FinFETトランジスタと隣接した第2のN型FinFETトランジスタとの間に画定される第1の酸化物分離層の幅は、第1のP型FinFETトランジスタと隣接した第2のP型FinFETトランジスタとの間に画定される第2の酸化物分離層の幅よりも広くてもよい。
【0055】
そのようなP-N接合は、第1のN型FinFETトランジスタに隣接して配設された第2のN型FinFETトランジスタと、第1のN型FinFETトランジスタを隣接した第2のN型FinFETトランジスタから横方向に分離する第2の酸化物分離層であって、第1の酸化物分離層の厚さよりも薄い厚さを有する、第2の酸化物分離層とを更に含んでもよい。そのようなP-N接合では、第2の酸化物分離層の厚さは80nm未満であってもよく、第1の酸化物分離層の厚さは200nm超過であってもよい。
【0056】
そのようなP-N接合では、第1の酸化物分離層の幅は、第2の酸化物分離層の幅よりも広くてもよい。
【0057】
そのようなP-N接合は、第1のP型FinFETトランジスタおよび第1のN型FinFETトランジスタの一方に隣接して配設された第2のFinFETトランジスタであって、第1のP型FinFETトランジスタおよび第1のN型FinFETトランジスタのうちより近くにある方と同じ型である、第2のFinFETトランジスタと、第2のFinFETトランジスタを第1のP型FinFETトランジスタおよび第1のN型FinFETトランジスタのうち隣接している方から横方向に分離する第2の酸化物分離層であって、第1の酸化物分離層の厚さに実質的に等しい厚さを有する、第2の酸化物分離層とを更に含んでもよい。
【0058】
更に別の例では、P-N接合を形成する方法について記載する。P-N接合を形成するかかる方法は、半導体基板にエッチングを施して、第1の高アスペクト比のトレンチによって分離された第1の高アスペクト比のフィンおよび第2の高アスペクト比のフィンを含む、複数の高アスペクト比のフィンを形成することと、第1の高アスペクト比のトレンチに酸化物材料を充填することと、第1の高アスペクト比のトレンチを充填している酸化物材料の一部分を除去することと、少なくとも150nmの厚さを有する第1の酸化物分離層を形成するように、第1の高アスペクト比のトレンチを充填している酸化物材料の除去を停止することと、を含んでもよい。
【0059】
そのような方法では、半導体基板にエッチングを施して複数の高アスペクト比のフィンを形成することは、第1の高アスペクト比のフィンを半導体基板のpドープ領域に形成することと、第2の高アスペクト比のフィンを半導体基板のnドープ領域に形成することと、を更に含んでもよく、第1および第2の高アスペクト比のフィンは第1の高アスペクト比のトレンチによって分離される。
【0060】
そのような方法は、複数の高アスペクト比のフィンのうち第3の高アスペクト比のフィンを、第1の高アスペクト比のフィンに隣接した半導体基板のpドープ領域に形成することと、100nm未満の厚さを有する第2の酸化物分離層を、第1および第3の高アスペクト比のフィンの間に形成することと、を更に含んでもよい。
【0061】
そのような方法では、第1の高アスペクト比のトレンチに酸化物材料を充填することは、第1の高アスペクト比のトレンチに、酸化シリコン、窒化シリコン、酸窒化シリコン、フッ化物ドープケイ酸塩ガラス(FSG)、および低k誘電体から成る群から選択された少なくとも1つの材料を充填することを含んでもよい。
【0062】
そのような方法では、第1の高アスペクト比のフィンは、シリコン、シリコンゲルマニウム、ゲルマニウム、またはIII-V族材料から形成されてもよい。
【0063】
そのような方法は、半導体基板にエッチングされた第2の高アスペクト比のトレンチに酸化物材料を充填することと、第2の高アスペクト比のトレンチを充填している酸化物材料の一部分を除去することと、第1の酸化物分離層の厚さの半分よりも薄い厚さを有する第2の酸化物分離層を形成するように、第2の高アスペクト比のトレンチを充填している酸化物材料の除去を停止することと、を更に含んでもよい。
【0064】
上記は本発明の実施形態を対象としているが、本発明の基本的範囲から逸脱することなく本発明の他の実施形態および更なる実施形態を考案することができ、それらの範囲は以下の特許請求の範囲によって決定される。