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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-29
(45)【発行日】2024-03-08
(54)【発明の名称】オゾン水生成システム
(51)【国際特許分類】
   C25B 1/13 20060101AFI20240301BHJP
   C02F 1/461 20230101ALI20240301BHJP
   C25B 15/02 20210101ALI20240301BHJP
   G01N 21/05 20060101ALI20240301BHJP
   G01N 21/15 20060101ALI20240301BHJP
   G01N 21/59 20060101ALI20240301BHJP
【FI】
C25B1/13
C02F1/461 A
C25B15/02
G01N21/05
G01N21/15
G01N21/59 Z
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2020552387
(86)(22)【出願日】2019-03-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-12
(86)【国際出願番号】 US2019024818
(87)【国際公開番号】W WO2019191576
(87)【国際公開日】2019-10-03
【審査請求日】2022-01-21
(31)【優先権主張番号】62/649,928
(32)【優先日】2018-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516129585
【氏名又は名称】ノーススター メディカル ラジオアイソトープス リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(72)【発明者】
【氏名】ラスト ドリアン
【審査官】岡田 隆介
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-302887(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0070123(US,A1)
【文献】特開2002-005826(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25B 1/13
C25B 15/02
C02F 1/461
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オゾン水生成システムであって、
高分子膜によって分離された陽極及び陰極を有し、該陽極及び陰極が、前記膜全体に水が流れることを可能にする穴の配列をそれぞれが有するオゾン発生セルと、
前記膜によって分離された陰極ハウジング部分及び陽極ハウジング部分を有するハウジングであって、前記陰極ハウジング部分が、前記陰極を封入して前記陰極を横切る水の流れを可能にするように構成され、前記陽極ハウジング部分が、前記陽極を封入して前記陽極を横切る水の流れを可能にするように構成され、前記陽極ハウジング部分が、前記陽極から前記ハウジング内に統合された統合分光光度計を通して前記水流の少なくとも一部を導くように構成され、前記統合分光光度計が前記陽極からの前記水流中のオゾン濃度の信号を生成する、ハウジングと、
前記陰極からの水を受ける水素水リザーバと、
前記陽極から生成されたオゾン水流を受けるオゾン水リザーバと、
前記分光光度計信号を閉ループで利用して、前記陽極からの前記オゾン水流の選択されたオゾン濃度を提供するように前記オゾン発生セルを制御する制御回路と、
前記制御回路の制御下で、前記陰極及び陽極を通じて水を圧送するとともに、前記陽極から前記分光光度計を通して前記オゾン水リザーバにオゾン水の少なくとも一部を圧送するポンプシステムと、
前記オゾン水リザーバに結合され、オゾン水が外部使用のために前記システムから流出することを可能にする出力ポートと、を備えている、
ことを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記統合分光光度計は、前記ハウジング内で前記分光光度計と統合され、前記陽極からの前記オゾン水流が前記分光光度計に入る前に該オゾン水流から気泡を除去する気泡トラップを含み、
前記気泡トラップが、フローバッフルを含むチャンバを備え、前記フローバッフルが前記チャンバを通るオゾン水の流れを減速して幅を広げ、
前記気泡トラップが、下端と上端とを有するU字型チャネルを有し、前記オゾン水が前記陽極から前記U字型チャネルの第1の側の下端に流れ込み、前記上端の出口開口まで上昇し、該オゾン水の一部分が前記U字型チャネルの第2の側をオリフィスに流れ落ち、該オリフィスが前記オゾン水の一部分を前記分光光度計のキュベットに差し向ける、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記オゾン水リザーバに結合され、該オゾン水リザーバ内の前記オゾン水の温度を制御する冷水器をさらに備えている、
請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記制御回路は、前記分光光度計からの前記濃度信号を使用して閉ループ制御で所定のオゾン濃度を維持して、前記オゾン発生セルを流れる電流を制御する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記システムは、前記オゾン水リザーバからのオゾン水が前記水素水リザーバ内に圧送されるのを可能にするように構成されたクロスオーバー弁をさらに備える、
請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
両リザーバから水が送出されることを可能にするように構成された循環弁の組をさらに備える、
請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記分光光度計は、255nmの光の光源となるフォトダイオードを備え、該光源が前記オゾン水を収容した石英キュベットを通して、適合する光検出器に光を指し向け、該光検出器が前記キュベット内のオゾン水を通過した光を検出する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記オゾン水リザーバは、オゾン水温度のモニタリング及び制御を可能にする温度センサを含む、
請求項5に記載のシステム。
【請求項9】
前記水素水リザーバ及び前記オゾン水リザーバは、それぞれ少なくとも1つの水位センサを有する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記システムは、該システム内への水の入力を制御する入口弁をさらに備える、
請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記オゾン水リザーバは、該オゾン水リザーバの底で、前記生成されたオゾン水を受入れるように構成されている、
請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記出ポートが、前記生成されたオゾン水を外部システムに供給できるように、前記オゾン水リザーバの底に連結されている、
請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記オゾン水リザーバに連結された追加のリザーバと、前記オゾン水リザーバと追加のリザーバへの水の流入を制御するように前記追加のリザーバと前記オゾン水リザーバとの間に設けられた弁とを更に備えている、
請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記オゾン水リザーバからオーバーフローした水が前記水素水リザーバに流入するように、前記オゾン水リザーバと前記水素水リザーバを連結している、
請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記連結された前記オゾン水リザーバと前記水素水リザーバからの余剰ガスを排気する通気孔と、過剰オゾンを破壊するために前記通気孔に沿って設けられた脱オゾンフィルタとを、さらに、備えている、
請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
滅菌空気を引き抜くために、前記オゾン水リザーバの頂部に連結された通路を備えている、
請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
前記通路が出力ラインに連結された弁に連結されている、
請求項16に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願〕
本出願は、2018年3月29日に出願された米国本特許出願第62/649,928号に対する優先権を主張するものである。
【0002】
本分野は、液体オゾン生成システムに関し、具体的には、効率的な制御されたオゾン水生成のためのシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
水処理、設備滅菌及び食品滅菌を含むクリーニング及び滅菌には、オゾン水などの液体酸化剤(liquid oxidants)が広く使用されている。オゾンは、その3つ目の酸素原子が容易に脱離して汚染物質に結合(すなわち、酸化)できるため、強力な酸化剤である。最近の無菌医薬品加工標準(sterile drug processing standards)の変更により、このような液相オゾン滅菌剤を熱及び放射の代用として使用できるようになった。多くの場合、これらの浄化及び滅菌プロセスでは、制御されたオゾン濃度レベルが必要とされる。
【0004】
既知のオゾン水生成法は、供給水(feed water)を触媒電極の電解表面に直接接触させてオゾン水に電気分解する直接電気分解を使用する。触媒電極は、陽イオン交換膜と、陽イオン交換膜のそれぞれの表面上に圧力接触(in pressure contact)する陽極及び陰極とを含むことができる。供給水供給路から水が供給され、この水が陽極及び陽イオン交換膜に接触し、結果として得られたオゾン水がオゾン水吐出経路を通じて吐出される。多くの場合、これらの浄化及び滅菌プロセスでは、制御されたオゾン濃度レベルが必要とされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これらの既知のオゾン水生成装置は非効率的であり、性能及びオゾン濃度に一貫性がなく、しばしば漏れを生じ、製造及び維持に費用がかかる。従って、改善されたオゾン水生成システムが必要とされている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】ある実施形態例による水オゾン発生器セル例(example water ozonator cell)のブロック図である。
図2A】ある実施形態例によるオゾン発生器セル装置例の分解図である。
図2B図2Aのオゾン発生器セル例の側面図である。
図2C図2Aの例の断面図である。
図3】オゾン発生器セルを利用するシステム例の機能図である。
図4図3のシステムの制御回路の実施形態例の機能ブロック図である。
図5A】統合分光光度計及び気泡トラップを有するオゾン発生器セル例の分解図である。
図5B】統合分光光度計及び気泡トラップを有するオゾン発生器セル例の分解図である。
図5C図5Bの気泡トラップの実施形態の概略図である。
図6A図5A及び図5Bに示すような組み立てられたオゾン発生器セルの例の分解側面図である。
図6B図5A及び図5Bに示すような組み立てられたオゾン発生器セルの例の分解側面図である。
図7】統合分光光度計及び気泡トラップを有するオゾン発生器セルを利用するシステム例の機能図である。
図8A】統合分光光度計及び気泡トラップを有するオゾン発生器セルを利用するオゾン水生成システムの実施形態のフロープロセス例のフロー図である。
図8B】統合分光光度計及び気泡トラップを有するオゾン発生器セルを利用するオゾン水生成システムの実施形態のフロープロセス例のフロー図である。
図9】本明細書で説明する方法のうちのいずれか1つ又は2つ以上を機械に実行させる命令セットを実行又は記憶できるコンピュータシステム例のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本明細書では、制御された水のオゾン処理のための装置及び方法例について説明する。以下の本発明の実施形態例の詳細な説明では、本発明を実施できる具体的な実施形態例を例示として示す、本明細書の一部を成す添付図面を参照する。これらの実施形態については、当業者が本発明主題を実施できるほど十分に詳細に説明するが、他の実施形態を利用することも、本発明主題の範囲から逸脱することなく論理的、機械的、電気的及びその他の変更を行うこともできると理解されたい。
【0008】
以下の詳細な説明の一部は、コンピュータメモリ内のデータビットに対する演算のアルゴリズム及び記号的表現の観点から提示するものである。これらのアルゴリズム的な記述及び表現は、コンピュータ技術における当業者が自らの研究内容を他の当業者に最も効果的に伝えるために使用する方法である。ここでは、及び一般的に、アルゴリズムとは、望ましい結果をもたらす首尾一貫した一連のステップであると考えられる。これらのステップは、物理量の物理的操作を必要とするものである。これらの量は、必ずというわけではないが、通常は、記憶、転送、合成、比較及び他の形の操作が可能な電気又は磁気信号の形を取る。主に共通使用という理由で、時にはこれらの信号を、ビット、値、要素、記号、文字、用語又は番号などと呼ぶことが便利であると分かっている。しかしながら、これらの及び同様の用語は、全て適切な物理量に関連付けられるべきものであり、これらの量に与えられた便利な表記にすぎないことに留意されたい。以下の説明から明らかなように、特に別途述べていない限り、「処理する(processing)」、「算出する(computing)」、「計算する(calculating)」、「決定する(determining)」又は「表示する(displaying)」などの用語は、コンピュータシステムのレジスタ及びメモリ内の物理(例えば、電子)量として表されるデータを操作し、コンピュータシステムのメモリ、レジスタ、又は他のこのような情報記憶装置、送信又は表示装置内の物理量として同様に表される他のデータに変形させるコンピュータシステム又は同様のコンピュータ装置の動作及び処理を意味する。
【0009】
図では、複数の図に出現する同一のコンポーネントを参照するために同じ参照番号を使用することができる。信号及び接続は、同じ参照番号又はラベルによって参照することができ、実際の意味は、説明の文脈におけるその使用法から明らかになるであろう。
【0010】
様々な実施形態の説明は一例として解釈すべきであり、本発明主題の全ての考えられる例を説明するものではない。現在の又は将来の技術の組み合わせを使用して数多くの代替例を実施することもでき、これらも特許請求の範囲に含まれる。従って、以下の詳細な説明は限定的な意味で捉えるべきではなく、本発明主題の範囲は添付の特許請求の範囲のみによって定められる。
【0011】
図1は、水オゾン処理セルの例100のブロック図である。セル100は、図示のように高分子膜104(例えば、パーフルオロスルホン酸(PFSA)膜)によって陰極102(例えば、ステンレス鋼)を陽極106(例えば、ダイヤモンドめっきニオブ(diamond plated niobium))から分離した例である。動作中、セル100は、高分子膜104を使用した直接電気分解によって、水を水素(H2)とO2の形態の酸素及びオゾン(O3)とに分離する。このプロセスでは、水が分離されて、電解セルの陽極側及びセルの陰極側に個別に導入される。陽極側に導入された水は電気分解され、一部がオゾンに変換されて残りの水に混合されることにより、水中で陽極側に03集中を構築する。陰極側では、分離されて膜を通じて送られたH2が水中に放出される。
【0012】
このような電解システムを使用してオゾンを生成する利点は、1)固体水和イオン交換膜(solid hydrated ion exchange membrane)を使用して供給水が解離されているためイオン汚染が存在せず、2)消毒に使用されるプロセス水がオゾン生成用の酸素源であり、従って扱われるシステムに外部汚染物質が導入されず、3)オゾンが形成されると直ぐにプロセス水に溶解して残留汚染物質を生じない点である。
【0013】
図1の直接水電解セル(direct water electrolysis cell)100では、1.511Vよりも高い電圧でオゾンガスが発生して酸素の発生を伴う。電圧を2.075Vよりも高めることにより、02ガスが酸化して03を形成することも予想される。02発生は03発生よりも低い電位で生じるので、02発生の生成速度及び電力消費量は03発生のものよりもはるかに高い。従って、できるだけ多くのオゾンが生成されるのを確実にするために、陽極は、分解及びオゾン反応電位を上回る過電位を有するべきであり、触媒層は、二原子酸素の形成を抑制してオゾンの形成を助長すべきである。この電解セル設計は、適切な動作パラメータが満たされると、効率的な03発生法をもたらす。所与のセル100において適切なレベルのオゾンが生成されるのを確実にするために、パラメータフィードバックを利用することができる。定電流源で駆動されるセルでは、オゾン生成に直接関連する、従って一貫したオゾン濃度をもたらすように制御できるDC電圧が結果として生じるようになる。いくつかの実施形態では、16ppmという所望のオゾン濃度を達成することができる。
【0014】
オゾン生成に対するセルの電流密度関係は、表面積及び印加電流の倍数である。電流効率、従ってオゾン生成は、制御された水温で安定する。いくつかの実施形態では、約17℃~20℃の所望の温度で、崩壊率が発生率に一致する安定したオゾン濃度がもたらされる。セル100の例では、一定の水流量、最大水温及び発生時間が安定したオゾン発生濃度の一因になる。
【0015】
電流及び電圧と共に、オゾン発生に影響する要因は他にも複数存在する。これらの要因は、1)セルの流量、2)発生時間、3)水のpH及び浄化、4)総水量、及び5)水温である。セル100は、オゾン発生に対する可変的影響を大幅に低下させるように、上述した5つの要因を定常状態でモニタして調整することを可能にする。流量は、確実に一定の流量を維持するようにモニタして調整することができる。オゾンを発生させるためのセルの動作時間は、規定の継続時間に設定することができる。水入力は、pHを制御してあらゆる汚染物質を取り除くUSP滅菌水であることが好ましい。入力水量は、オゾン発生サイクル中に反復可能なレベルが確実に維持されるようにモニタして制御することができる。水温は、所定の閾値を超えないことを確実にするようにモニタして調整することができる。
【0016】
図2Aは、図1のセル100の具体的な実施形態例である新規のオゾン処理セル200の実施形態の分解図である。セル200は、膜206によって分離された陰極204に面する側面203上にダイヤモンドコーティングを有する陽極202を含む。図2Aに示す実施形態では、陽極202及び陰極204の両方が、電極202、204を貫通する小さな穴の配列201、205を有する。1つの実施形態では、陽極202を、例えばドープダイヤモンドの薄層でめっきされたニオブで構成することができ、陰極204を、例えば金でめっきされたステンレス鋼で構成することができる。
【0017】
陽極202は、いずれかの好適な導体とすることができ、ドープダイヤモンドの層でコーティングされたニオブ(又は他の何らかの好適な材料)であることが好ましい。1つの実施形態では、ニオブが約99%の純度であり、ダイヤモンド層が約2ミクロンの厚みである。陽極202の穴の配列201は、膜206の陽極側に水が接触することを可能にし、膜206の多孔性は、配列の穴の間に水が拡散して穴の間の膜206の表面を湿らせることを可能にする。1つの実施形態では、陽極202の穴の配列201が、水に曝される陽極の表面積(すなわち、Oリング214内の面積)の少なくとも75%を占める。1つの実施形態では、穴201の直径が約1/70000インチであり、水が膜206に十分に接触できるほど大きくすべきである。
【0018】
いくつかの実施形態では、最初にニオブ陽極の表面を陽極酸化して表面付着を促す細孔を形成し、その後にドープダイヤモンドのめっきを施す。他の実施形態では、最初にニオブ表面にビードブラスト加工を施し、その後にエッチングを行って、ダイヤモンドめっきの表面付着性を高めるのに最適な表面テクスチャを形成することができる。他の方法では、マスクを用いたベース材料上へのニオブのスパッタリングを使用して、付着性を高める表面テクスチャを形成することができる。さらに他の実施形態では、表面積を最大化する細いニオブのメッシュで陽極を形成し、その後にこのメッシュ陽極表面を上述したようないずれかの好適な方法によって調製した後でドープダイヤモンド層をコーティングすることができる。陽極のダイヤモンド層は、ダイヤモンド層が導電性になるほど十分な濃度までドープ(すなわち、ホウ素でドープされる)されることが好ましい。いくつかの実施形態では、ダイヤモンド層の厚みを約2ミクロンとすることができる。
【0019】
陰極204は、流体と過剰に相互作用しない好適な導体(例えば、ステンレス鋼、金、銀など)で構成され、表面を金で仕上げた電極(gold surfaced electrode)であることが好ましい。いくつかの実施形態では、陰極204を、水と鉄との相互作用を排除する金表面を形成するように両側を金でめっきされたステンレス鋼とすることができる。陰極204も、図示のような穴の配列205を含む。いくつかの実施形態では、配列205が、水に曝される陰極の表面積(すなわち、Oリング212内に封入された面積)の少なくとも75%を占める。これらの穴は、膜206の陰極側に水が接触することを可能にし、膜206の多孔性は、穴の間に水が拡散して穴の配列205によって覆われた穴の間の表面全体を湿らせることを可能にする。1つの実施形態では、穴205の直径が約1/70000インチである。
【0020】
図示の実施形態では、陰極204及び陽極202が、例えばパーフルオロスルホン酸(PFSA)膜などの高分子膜206によって分離される。この膜は、図示のようにディフューザ側208が陰極に面した状態で配向される導電性ディフューザ(conductive diffuser)を含むことができる。この膜は、陰極に面する側に白金触媒を含むこともできる。図示の実施形態では、陰極204と本体要素210との間にOリング212(例えば、シリコーン)が配置されて本体要素210との間にシールを形成し、陽極202と第2のセル本体要素216との間に第2のOリング214が配置されて、電極204及び206の縁部の周囲からの水の漏出を最小化するようにシールを形成する。1つの実施形態では、膜206の厚みが約1/10000インチである。膜206は水を吸収することができ、従って縁部の周囲の密封性を高めるために両面接着ボーダー(double sided adhesive border)209を膜206に接着することができる。各本体要素210、216には、Oリングを収容するための溝211を形成することができる。
【0021】
1つの実施形態では、本体要素210、216を、オゾン耐性高密度ポリエチレン(ozone resistant high density polyethylene)又はCPVCで構成することができる。4つのボルト220~223、並びにナット224~227及びワッシャ228、229は、本体要素210、216を一体に保持してエンクロージャを形成する一方で、陰極204、陽極202及び膜206をエンクロージャ内で適所に保持して正しく整列させる。水入口/出口ポート230、232は、セル200に対する水の出入りを可能にする。ポート230、232には、水管材(water tubing)の接続を可能にする水入口/出口アダプタ240、242が取り付けられる。各本体要素210、216の内面には、水がセルを通過する際に陽極203及び陰極204の表面全体にわたって比較的均一に通過するように水流パターンを強化するための隆起部(ridges)250を形成することができる。
【0022】
図2Bは、ボルト220~223及び入口/出口アダプタ240、242を含むオゾン処理セル200の端面図である。図2Cは、ボルト222、223によって一体に保持された本体要素210、216を示す、図2Bの線AAに沿ったセル200の断面図である。2つの本体要素210、216間には、Oリング212、214、膜206、陰極204及び陽極202を示す。いくつかの実施形態では、電極への圧力を制御するために、ボルト220~223に所望のレベルまでトルクが加えられる。1つの実施形態では、十分な気密性を与える一方で、パーフルオロスルホン酸(PFSA)膜206に接触する両側を水が流れて電流がセルを通過できるように、ボルトに約6ft-lbsまでのトルクが加えられる。
【0023】
セル200の動作中には、セルにDC電圧が付与されて、陰極に負電圧が、陽極に正電圧が付与される。水は、セル200を通じて圧送され、入口ポート232を通じて陰極側に入り込み、陰極204の表面全体を流れ、出口ポート230を通じてセル200から流出する。水は、出口アダプタ240に接続された管材を介して供給され、出口アダプタ242に接続された管材を介して流出する。同様に、水は、入口アダプタ243に接続された管材から入口ポート215を通じてセル200の陽極側に入り込み、陽極202の表面全体を流れ、出口ポート及び出口アダプタ241を介してセル200から流出する。両側を流れる水は、穴201、205を通じて膜206に接触する。この水流量、水温、セル電圧及び電流のモニタリング及び制御を行って、セル200内からのオゾン濃度を制御する。
【0024】
図3は、ある実施形態例による、水オゾン処理システム例300の実施形態の機能図である。図示のようなシステム300は、陰極側304、陽極側302及び膜206を有するオゾン処理セル200を含む。セル200は、図示のような一対の水リザーバ306、308に結合される。リザーバ306、308は、必要に応じたサイズとすることができ、例えば1つの実施形態では、それぞれ50ml及び200mlを保持することができる。流体は、陰極経路310及び陽極経路312を介してセル200を流れる。陰極経路310では、管材経路318を介して水素を含む流体を水素側リザーバ306に戻すポンプ314が、図示のような余剰流体を流すための余剰流体レセプタクル322に流体を導くことができる三方弁320を通じて流体を駆動する。陽極経路312では、ポンプ316が、やはり図示のように経路328を介してリザーバ306に流体を導くことができる三方弁326を通じて、管材経路324を介してオゾンリザーバ308に流体を圧送する。また、図示の実施形態では、リザーバ308の底部から経路330を介して、三方弁332を通じてリザーバ308の頂部に流体を導くこともできる。流体源は、リザーバ334から経路336を介してリザーバ308に提供される。リザーバ334は、例えば1つの実施形態では250mlの水である好適な量の流体を保持するようなサイズとすることができる。リザーバ306、308内の水位は、水位センサ340、342によってモニタされ、オゾンリザーバ308内の流体温度は、温度センサ344を使用してモニタされる。冷却器350(例えば、ペルチェ冷却器)は、リザーバ308内の流体温度の制御を可能にする。通気孔352は、リザーバ306、308から余剰ガスを排出するための経路を提供する。
【0025】
オゾンリザーバ308からの水は、引き抜かれて滅菌に使用されている間、循環して所望の水中オゾンレベルを維持する。オゾン濃度は、セル200の電圧及びセル200を通る電流を制御することによって制御される。制御盤400(図4を参照)は、セル200の電流及び電圧、並びに流体温度をモニタしてオゾンの発生を制御することができる。
【0026】
図4は、図3の例示的な実施形態を制御する制御回路400の例の機能ブロック図である。制御回路400は、メモリ402と、A/D変換器404と、制御ラッチ406と、WDT408と、弁制御部410と、冷却器電源412と、セル電源414と、ポンプ制御及び電源416とを含み、これらはバス420を介して通信する。図示のように、回路400は、リザーバ306、308(すなわち、センサ340、342、344)、冷却器350、及びセル200に結合される。制御回路400は、バス420を介して結合されたコントローラ430によって制御される。
【0027】
図5A及び図5Bは、図1のセル100の具体的な実施形態例に統合分光光度計(integrated spectrophotometer)及び気泡トラップを追加した新規のオゾン処理セル500の実施形態の分解図である。セル500は、2つの本体要素510及び516を含む。セル500は、図2A及び図2Bのものと同様のオゾン処理セルを含み、膜506によって分離された陰極504に面する側面503上にダイヤモンドコーティングを有する陽極502を含む。図5A及び図5Bに示す実施形態では、陽極502及び陰極504の両方が、電極502、504を貫通する小さな穴の配列501、505を有する。1つの実施形態では、陽極502を、例えばドープダイヤモンドの薄層でめっきされたニオブで構成することができ、陰極504を、例えば金でめっきされたステンレス鋼で構成することができる。
【0028】
陽極502は、いずれかの好適な導体とすることができ、ドープダイヤモンドの層でコーティングされたニオブ(又は他の何らかの好適な材料)であることが好ましい。1つの実施形態では、ニオブが約99%の純度であり、ダイヤモンド層が約2ミクロンの厚みである。陽極502の穴の配列501は、膜506の陽極側に水が接触することを可能にし、膜506の多孔性は、配列の穴の間に水が拡散して穴の間の膜506の表面を湿らせることを可能にする。1つの実施形態では、陽極502の穴の配列501が、水に曝される陽極の表面積(すなわち、Oリング214内の面積)の少なくとも75%を占める。1つの実施形態では、穴501の直径が約1/70000インチであり、水が膜506に十分に接触できるほど大きくすべきである。
【0029】
いくつかの実施形態では、最初にニオブ陽極の表面を陽極酸化して表面付着を促す細孔を形成し、その後にドープダイヤモンドのめっきを適用する。他の実施形態では、最初にニオブ表面にビードブラスト加工を施し、その後にエッチングを行って、ダイヤモンドめっきの表面付着性を高めるのに最適な表面テクスチャを形成することができる。他の方法では、マスクを用いたベース材料上へのニオブのスパッタリングを使用して、付着性を高める表面テクスチャを形成することができる。さらに他の実施形態では、表面積を最大化する細いニオブのメッシュで陽極を形成し、その後にこのメッシュ陽極表面を上述したようないずれかの好適な方法によって調製した後でドープダイヤモンド層をコーティングすることができる。陽極のダイヤモンド層は、ダイヤモンド層が導電性になるほど十分な濃度までドープ(すなわち、ホウ素でドープされる)されることが好ましい。いくつかの実施形態では、ダイヤモンド層の厚みを約2ミクロンとすることができる。
【0030】
陰極504は、流体と過剰に相互作用しない好適な導体(例えば、ステンレス鋼、金、銀など)で構成され、表面を金で仕上げた電極であることが好ましい。いくつかの実施形態では、陰極504を、水と鉄との相互作用を排除する金表面を形成するように両側を金でめっきされたステンレス鋼とすることができる。陰極504も、図示のような穴の配列505を含む。いくつかの実施形態では、配列505が、水に曝される陰極の表面積(すなわち、Oリング512内に封入された面積)の少なくとも75%を占める。これらの穴は、膜506の陰極側に水が接触することを可能にし、膜506の多孔性は、穴の間に水が拡散して穴の配列505によって覆われた穴の間の表面全体を湿らせることを可能にする。1つの実施形態では、穴505の直径が約1/70000インチである。
【0031】
図示の実施形態では、陰極504及び陽極502が、例えばパーフルオロスルホン酸(PFSA)膜などの高分子膜506によって分離される。この膜は、図示のようにディフューザ側508が陰極に面した状態で配向される導電性ディフューザを含むことができる。この膜は、陰極に面する側に白金触媒を含むこともできる。図示の実施形態では、陰極504と本体要素510との間にOリング512(例えば、シリコーン)が配置されて本体要素510との間にシールを形成し、陽極502と第2のセル本体要素516との間に第2のOリング514が配置されて、電極504及び506の縁部の周囲からの水の漏出を最小化するようにシールを形成する。1つの実施形態では、膜506の厚みが約1/10000インチである。膜506は水を吸収することができ、従って縁部の周囲の密封性を高めるために両面接着ボーダー509を膜506に接着することができる。図示のように、各本体要素510、516には、Oリングを収容するための溝511a、511bを形成することができる。
【0032】
1つの実施形態では、本体要素510、516を、オゾン耐性高密度ポリエチレン又はCPVCで構成することができる。図6Aに示すように、ボルト520、521、並びにナット524、525及びワッシャ528、529は、本体要素510、516を一体に保持してエンクロージャを形成する一方で、陰極504、陽極502及び膜506をエンクロージャ内で適所に保持して正しく整列させる。このエンクロージャは、エンクロージャ内で統合された分光光度計560及び気泡トラップ562を収容することもできる。水入口/出口ポート530、532、並びにポート541及び543は、セル500に対する水の出入りを可能にする。各本体要素510、516の内面には、水がセルを通過する際に陽極503及び陰極504の表面全体にわたって比較的均一に通過するように水流パターンを強化するための隆起部550を形成することができる。
【0033】
図5A図5Bに示す実施形態は、統合分光光度計560及び統合気泡トラップ562を含む。分光光度計560は、プレート564及び透明なキュベット本体565によって形成されたキュベット(cuvette)566を含む。キュベット本体565は、分光光度計560内で使用される光に対して透明である。1つの実施形態では、キュベット本体565が石英で形成される。気泡トラップ562は、プレート564によって覆われたU字型チャネル568を有する本体516によって形成される。プレート564は、1組のねじ572によってチャネル568を覆って本体要素516に取り付けられる。Oリング574は、気泡トラップチャネル568及びプレート564の周囲にシールを形成する。別のOリング576は、プレート564の中央開口部578と本体要素516を貫通する開口部580との周囲にシールを提供する。本体要素516には、Oリング574を収容して漏れを最小化するための溝561を形成することができる。
【0034】
図5A及び図5Cを参照しながら、気泡トラップ562の機能について説明する。統合セル500の動作中には、オゾン水が陽極から開口部581を介して本体要素516のチャネル(図示せず)を流れ、開口部592から気泡トラップ562のチャネル568の下端部582に流入し、ここで気泡が分光光度計560の機能を妨げるのを防ぐようにオゾン水から気泡を除去する。図5A及び図5B図6A及び図6Bに示す実施形態は、典型的には図6A及び図6Bに示すように垂直姿勢で取り付けられる。この結果、気泡トラップは、チャネルの下端部582及び上端部593を伴って垂直に配向されるようになる。オゾン水は、チャネル568の最上部593付近の開口部587に向かってチャネル568を流れて一部がチャネル568の他端584に流れ、その後にオリフィス598及び開口部591を通じてキュベット566に流入し、キュベット566内から開口部587を通じて本体要素516内のチャネル(図示せず)に流れて出口530に至る。オゾン水がキュベット564を流れている間に、穴578、580を通じてフォトダイオード594からの光が当てられ、この光がキュベット564内の水を通じて、穴590の外側に取り付けられた光検出器592上に至る。フォトダイオード594は、オゾン水によって吸収される周波数の光を発生させる。1つの実施形態では、255pmの波長を放出する狭帯域LEDが、適合する光検出器592と共にフォトダイオード594として使用される。この光検出器592によって、キュベットを流れる水のオゾン濃度を検出する。
【0035】
分光光度計は、UV光が通過する既知の液体の体積に依拠するので、気泡トラップは、分光光度計760が効果的に機能するために望ましい。液体内の気泡は体積変動を引き起こし、結果として得られる信号にノイズをもたらす。気泡トラップ562は、図5Cの矢印597によって示すような大部分の水流がチャネル582を出口ポート530まで真っ直ぐに上り詰めて気泡をオゾンリザーバの外に運び出し、ここで気泡が表面及び大気中に上昇することを可能にする。トラップは、液体を低速にするオリフィス598及びフローバッフル588、589を含む狭い側流を使用する。1つの実施形態では、この側流が流体の約15%であり、約1.5インチ/秒~0.3インチ/秒遅くなる。これにより、気泡が重力に逆らって底部のオリフィス598へと下方に流れるのではなく、トラップの最上部593に上昇して留まるようになる。バッフル588、589は、流れの幅を広げて均一にして、気泡を引き下ろす高速領域を減少させ、バッフル588は、トラップの最上部にわたって、気泡を開口部587内及び出口ポート530に運ぶのに役立つ若干の逆流を形成する。気泡を含まない水の部分は、オリフィス598を通過して開口部591からキュベット566に流入し、ここで水中に通されたUV光を光検出器592が検出してオゾン濃度を測定する。気泡トラップから出る液体が、キュベット566から液体を真空吸引(vacuum)するのに役立つベンチュリを形成すると、水が最上部に引っ張られ、従って図5Cの矢印599によって示すように水がキュベット566を通過して開口部587に至り、ここで残りの流体に加わって出口530に進み、オゾンリザーバ上に至る。
【0036】
図6Aは、ハウジング要素510、516の組み立て方法を示す、ボルト520、521を用いたオゾン処理セル500の部分的組み立て端面図である。図6Bは、ボルト520、521によって一体に保持された本体要素510、516を示す、セル500の組み立て図である。この図では、セル500及びシステムの動作を制御する、回路基板522及び回路基板523を含む制御回路が、2つの本体要素510、516に取り付けられる。回路基板523は、図示のように本体要素516に取り付けられ、キュベット566を通じてUV光を導く穴580と整列するLED594を含む。回路基板522は、本体要素510に取り付けられ、キュベット及びその内部のオゾン水を通過するUV光を検出する穴590と整列してキュベット566内の水のオゾン濃度を測定する光検出器592を含む。オゾンの濃度が高ければ高いほど多くのUV光が吸収されるので、オゾン濃度は、オゾン水を通過するUV光の量によって求められる。回路基板コネクタ端子526、527は、回路基板523を陰極504及び陽極502に接続する。1つの実施形態では、十分な気密性を与える一方で、パーフルオロスルホン酸(PFSA)膜206に接触する両側を水が流れて電流がセルを通過できるように、ボルト520、521に約6ft-lbsまでのトルクが加えられる。
【0037】
セル500の動作中には、セルにDC電圧が付与されて、陰極に負電圧が、陽極に正電圧が付与される。図2Aのセル200と同様に、水はセル500を通じて圧送され、入口ポート532を通じて陰極側に入り込み、陰極504の表面全体を流れ、出口ポート530を通じてセル500から流出する。同様に、水は、入口ポート541を通じてセル500の陽極側に入り込み、陽極502の表面全体を流れ、出口ポート543を介してセル500から流出する。両側を流れる水は、穴501、505を通じて膜506に接触する。この水流量、水温、セル電圧及び電流のモニタリング及び制御を行って、セル500内からのオゾン濃度を制御する。
【0038】
図7は、水オゾン処理システム700の実施形態例の機能図である。図示のシステム700は、陰極側704、陽極側702及び膜706を有する(図5A図6Bに示すような)オゾン処理セル500を含む。セル500は、図示のような一対の水リザーバ706、708に結合される。流体は、陰極経路710及び陽極経路712を介してセル500を流れる。陰極経路710では、管材経路718を介して水素を含む流体を水素側リザーバ706に戻すポンプ714が、図示のような余剰流体を流すための余剰流体レセプタクル722に流体を導くことができる三方弁720を通じて流体を駆動する。陽極経路712では、ポンプ716が管材経路724を介して気泡トラップ762に流体を圧送し、分光光度計760のキュベット764を通じてオゾン濃度検出が行われた後に、やはり図示のように経路728を介して水素リザーバ706に流体を導くことができる三方弁726を通じてオゾンリザーバ708に圧送する。溶存オゾンを含む流体は、外部システムで使用されるように、オゾンリザーバ708の底部から経路730を介して、三方弁732を通じて経路731上で外部に供給される。出力として無菌空気が必要な場合には、オゾンリザーバ708の最上部から上部経路707を介して、三方弁732を通じて経路731上で外部に引き出すことができる。流体源は、リザーバ734から経路736を介してリザーバ708に提供される。リザーバ734は、例えば1つの実施形態では250mlの水である好適な量の流体を保持するようなサイズとすることができる。リザーバ706、708内の水位は、水位センサ740、742によってモニタされ、オゾンリザーバ708内の流体温度は、温度センサ744を使用してモニタされる。冷却器750(例えば、ペルチェ冷却器)は、リザーバ708内の流体温度の制御を可能にする。通気孔752は、リザーバ706、708から余剰ガスを排出するための経路を提供する。
【0039】
オゾンリザーバ708からの水は、引き抜かれて滅菌に使用されている間、循環して所望の水中オゾンレベルを維持する。オゾン濃度は、分光光度計760によるオゾン濃度の検出に応答して、セル700の電圧及びセル700を通る電流を制御することによって制御される。制御盤400(図4を参照)は、セル500の電流及び電圧、並びに流体温度を制御してオゾンの発生を制御することができる。
【0040】
図8A及び図8Bは、図4及び図9に示すような制御回路によって制御される、図6Bに示すような回路基板522及び523上に含まれる図7のオゾン発生システムの実施形態の一定量のオゾン水発生の1つの複合サイクルのプロセス例のフロー図である。このプロセスはブロック802から開始して、ブロック804に示すようにシステムのパージを開始し、この期間中に循環弁720、726が開き、所定の期間(例えば、75秒)にわたってポンプが稼動して既存の流体をシステムから流し出す。次に、ブロック806において、タンク温度センサ744及び基板温度センサ(図示せず)の機能チェックを実行して、センサが許容可能な温度差(例えば、±12℃)の範囲内で正しく動作しているかどうかを判定し、次にブロック808に示すように、水なしでタンク温度をチェックして、所望の閾値(例えば、27℃)を上回っているかどうかを判定する。いずれかの試験に合格しなかった場合には、ブロック807、809に示すように異常メッセージを生成することができる。ブロック810に示すように、冷水器750を起動して目標温度(例えば、17.5℃)を設定する。その後、弁736を開くことによって水源734からシステム700内に水を導入してリザーバ706、708を満たし始める。水がオゾン濃度センサ742まで上昇するのを待った後に、ブロック812に示すように循環ポンプ714及び716を起動し、所定の時間(例えば、75秒)にわたって稼動させる。その後に水温をチェックして所望の最大値(例えば、20℃)を下回っていることを確認し、最大値を上回っている場合には、ブロック814、815に示すように異常メッセージを生成することができる。水温がOKであれば、ブロック816に示すように所望の最短時間(例えば、3分)にわたって膜703を水和させ、水位センサをチェックして漏れが存在しないことを確実にする。漏れが検出された場合、又は流体が検出されない場合には、ブロック817に示すようにデフォルトメッセージが生成される。
【0041】
その後、セル500を起動し、電流の閉ループ制御を使用して、分光光度計760によって測定される所定のオゾン濃度(例えば、20.5ppm)を目標とすることによって、ブロック820に示すようにオゾンを発生させる。次に、ブロック822に示すように全てのパラメータをチェックして、全てのパラメータが許容可能な限度内であるかどうかを判定し、そうでない場合にはブロック823において異常メッセージを生成する。1つの実施形態では、臨界パラメータの許容可能なパラメータ範囲を、13~24℃の流体温度、13~40℃の周囲温度、1~1.5Ampのセル電流、30~80Vのセル電圧、16~24のセルppm、200~500rpmのポンプrpm、及び0.03~0.25ampのポンプ電流とすることができる。その後、分光光度計760のオゾン濃度測定値出力を使用して、セル電流の閉ループ制御を用いて20.5ppmのオゾン濃度を目標とすることによって、ブロック824に示すようにオゾン発生を維持することができる。この時間中に弁732を開いてオゾン水を出力ライン731に引き込むことにより、医療設備の滅菌などのオゾン水の外部使用を可能にすることができる。上述したシステムの進行中の臨界パラメータのモニタリングは、ブロック826に示すように動作中にも継続し、ブロック827においていずれかのパラメータが所望の範囲(例えば、13~24℃の流体温度、1~1.5ampのセル電流、3.0~8.0vのセル電圧、16~24のセルppm、200~500rpmのポンプrpm、0.03~0.25ampのポンプ電流)から外れた場合には異常メッセージが生成される。ブロック828に示すように、下側オゾンタンク液体水位センサ743をチェックして、もはやタンク内に液体が存在しないことを確認することによってサイクルの正常な終了(すなわち、例えば250mlの所望の量のオゾン水が引き出されたこと)を検証し、正しい量の流体が引き出されていなければ、ブロック829に示すように異常メッセージが生成されてサイクルの失敗にフラグが立てられる。サイクルが完了すると、ブロック830に示すように、水素タンクをクリーニングするために所定の時間(例えば、30秒)にわたってクロスオーバー弁726が作動してオゾン水が水素タンク内に圧送され、その後にシステムをパージするために、所定の時間(例えば、30秒)にわたってクロスオーバー弁726がシステム内で水を循環させるように切り換わる。その後、システムはブロック802のスタンバイに戻る。
【0042】
図9は、本明細書で説明した方法、プロセス、動作又は方法論のうちのいずれか1つ又は2つ以上をシステムに実行させる命令セットを実行できるコンピュータシステム900の形態の機械の実施形態例のブロック図である。例えば、コントローラ430は、1又は2以上のコンピュータシステム900の機能を含むことができる。
【0043】
図9の説明は、本発明の態様を実装できる好適なコンピュータハードウェア及び好適なコンピュータ環境の簡単な概要を示すように意図するものである。いくつかの実施形態では、本発明主題の態様を、コンピュータによって実行されるコンピュータ実行可能命令という一般的文脈で示す。
【0044】
当業者であれば、本開示の態様は、ハンドヘルド装置、マルチプロセッサシステム、マイクロプロセッサベースの又はプログラム可能な消費者向け電子機器、スマートフォン、ネットワークPC、ミニコンピュータ及びメインフレームコンピュータなどを含む他のコンピュータシステム構成と共に実施することもできると理解するであろう。本開示の態様は、通信ネットワークを通じて結合されたI/O遠隔処理装置によってタスクが実行される分散コンピュータ環境において実施することもできる。分散コンピュータ環境では、局所及び遠隔メモリ記憶装置の両方にプログラムモジュールを配置することができる。
【0045】
ある実施形態例では、機械がスタンドアロン型装置として動作し、又は他の機械に接続(例えば、ネットワーク接続)することができる。ネットワーク展開では、機械が、サーバ-クライアントネットワーク環境においてサーバ又はクライアント機械という資格で、又はピアツーピア(又は分散)ネットワーク環境におけるピアマシンとして動作することができる。この機械は、サーバコンピュータ、クライアントコンピュータ、パーソナルコンピュータ(PC)、タブレットPC、埋め込みコントローラ、携帯電話機、ネットワークルータ、又はその機械が取るべき行動を指定する(順次又はその他の)命令セットを実行できるいずれかの機械とすることができる。さらに、単一の機械しか図示していないが、「機械」という用語は、本明細書で説明した方法のうちのいずれか1つ又は2つ以上を実行するための命令セット(又は複数の命令セット)を個別に又は協働で実行するいずれかの一群の機械も含むと解釈されたい。
【0046】
コンピュータシステム例900は、プロセッサ902(例えば、中央処理装置(CPU)、グラフィックプロセッシングユニット(GPU)又はこれらの両方)と、メインメモリ904と、スタティックメモリ906とを含むことができ、これらはバス908を介して互いに通信する。コンピュータシステム900は、ビデオディスプレイユニット910(例えば、液晶ディスプレイ(LCD)プラズマ又はブラウン管(CRT))をさらに含む。コンピュータシステム900は、英数字入力装置912(例えば、キーボード)、カーソル制御装置914(例えば、マウス)、ドライブユニット916、信号発生装置918(例えば、スピーカ)、及びネットワークインターフェイス装置920も含む。
【0047】
ディスクドライブユニット916は、本明細書で説明した方法又は機能のうちのいずれか1つ又は2つ以上を具体化する1又は2以上の命令セット(例えば、ソフトウェア924)を記憶したコンピュータ可読媒体922を含む。メインメモリ904及び/又はプロセッサ902内には、コンピュータシステム900による実行中に完全に又は少なくとも部分的にソフトウェア924が存在することもでき、メインメモリ904及びプロセッサ902もコンピュータ可読媒体を構成する。さらに、ソフトウェア924は、ネットワークインターフェイス装置920を通じてネットワーク926を介して送受信することもできる。
【0048】
実施形態例には、コンピュータ可読媒体922を単一の媒体として示しているが、「コンピュータ可読媒体」という用語は、1又は2以上の命令セットを記憶する単一の媒体又は複数の媒体(例えば、集中又は分散データベース及び/又は関連するキャッシュ及びサーバ)を含むと解釈されたい。また、「コンピュータ可読媒体」という用語は、機械によって実行される命令セットを記憶又は符号化できるとともに、本発明の方法のうちのいずれか1つ又は2つ以上を機械に実行させるいずれかの媒体も含むと解釈されたい。従って、「コンピュータ可読媒体」という用語は、限定するわけではないが、一時的及び非一時的媒体を含むと解釈されたい。非一時的媒体の例としては、以下に限定するわけではないが、ソリッドステートメモリ、光学媒体及び磁気媒体が挙げられる。いくつかの実施形態では、コンピュータ可読媒体が非一時的コンピュータ可読媒体である。
【0049】
本明細書で使用する「~に基づいて」又は「~を使用して」という用語は、明確に列挙するものを上回る他の要素を反映することができる制約のない(open-ended)用語を反映するものである。
【0050】
本明細書では、いくつかのシステム、装置、アプリケーション又はプロセスを、複数のモジュールを含むものとして説明した。モジュールは、ソフトウェア、ハードウェア又はこれらの組み合わせで示すことができる異なる機能の単位とすることができる。モジュールの機能のいずれかの部分がソフトウェアを通じて実行される場合、このモジュールはコンピュータ可読媒体を含む。モジュールは、通信可能に結合されたものとみなすことができる。
【0051】
本発明主題は、多くの置換が考えられる様々な異なる実施形態で表すことができる。具体的な実施形態例を参照しながら本発明の実施形態を説明したが、本発明の実施形態の幅広い趣旨及び範囲から逸脱することなくこれらの実施形態に様々な修正及び変更を行えることが明らかであろう。従って、本明細書及び図面は、限定的な意味ではなく例示的な意味で捉えるべきである。
【0052】
本明細書では、このような発明主題の実施形態を実際に1つよりも多く開示している場合、これらの実施形態を、本出願の範囲をあらゆる単一の発明又は発明概念に自発的に限定することを意図せずに、単に便宜上「発明」という用語によって個別に又はまとめて参照することができる。
【0053】
上記の説明から明らかなように、本発明主題のいくつかの態様は、本明細書に示す実施例の特定の詳細によって限定されるものではなく、従って当業者には他の修正及び用途又はその同等物が思い浮かぶと考えられる。従って、特許請求の範囲は、本発明主題の趣旨及び範囲から逸脱しない全てのこのような修正及び用途を対象にすべきであることが意図される。従って、本発明主題は、以下の特許請求の範囲及びその同等物のみによって限定されるべきであることが明白に意図される。
【0054】
本明細書で説明した方法は、説明した順序又はいずれかの特定の順序で実行する必要はない。さらに、本明細書で明らかにした方法に関して説明した様々な動作は、連続して又は同時に実行することができる。
【0055】
本開示の要約書は、技術的開示の性質を読者が素早く確認できるようにする要約書を必要とする米国特許法施行規則第1.72条(b)に準拠するように提供するものである。この要約書は、特許請求の範囲又はその意味を解釈又は限定するために使用されるものではないという了解の下で提出するものでもある。また、上記の詳細な説明では、本開示を簡素化する目的で様々な特徴を単一の実施形態にまとめていることが分かる。本開示の方法は、請求項に記載する実施形態が、各請求項に明示的に記載する特徴よりも多くの特徴を必要とするという意図を反映したものであると解釈すべきではない。むしろ、以下の特許請求の範囲に反映されるように、発明主題は、開示した単一の実施形態の全ての特徴よりも少ないもので成立することができる。従って、以下の特許請求の範囲は、各請求項が単独の実施形態として自立した状態で詳細な説明に組み込まれる。
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図7
図8A
図8B
図9