(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-29
(45)【発行日】2024-03-08
(54)【発明の名称】再生可能エネルギー変換装置
(51)【国際特許分類】
F03B 13/14 20060101AFI20240301BHJP
F03D 1/00 20060101ALI20240301BHJP
【FI】
F03B13/14
F03D1/00
(21)【出願番号】P 2020567005
(86)(22)【出願日】2019-05-31
(86)【国際出願番号】 GB2019051522
(87)【国際公開番号】W WO2019229476
(87)【国際公開日】2019-12-05
【審査請求日】2022-05-16
(32)【優先日】2018-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2019-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】514114529
【氏名又は名称】マリン パワー システムズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100196221
【氏名又は名称】上潟口 雅裕
(72)【発明者】
【氏名】フォスター グラハム
【審査官】所村 陽一
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-515446(JP,A)
【文献】特表2014-532839(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0230965(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0129953(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0264658(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03B 13/14
F03D 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
再生可能エネルギー源から取得したエネルギーを有用エネルギーに変換する浮体式エネルギー変換装置であって、
風力エネルギーを前記有用エネルギーに変換するように構成された風力エネルギー変換装置
であって、前記風力エネルギー変換装置は、風力エネルギーを捕捉するように構成された風力タービンを含み、前記風力タービンは、風力エネルギー変換部に結合された、前記風力エネルギー変換装置と、
前記風力
タービンを、表面及び海底を有する水域内で支持するように配置された浮体式プラットフォームと、
前記風力
タービンと前記浮体式プラットフォームとの間に配置される連結部材と、
を備え、
前記浮体式プラットフォームは、前記浮体式プラットフォームが前記水域の中に沈む使用時構成を含み、前記使用時構成において、前記連結部材は、前記風力
タービンが前記水域より実質的に上方に位置するように前記水域の前記表面を通って突出し、
前記装置は、前記浮体式プラットフォームと通信する波エネルギー変換装置をさらに含み、前記波エネルギー変換装置は、前記水域からの波エネルギーを前記有用エネルギーに変換するように構成され
、
前記波エネルギー変換装置は、波エネルギー変換部に結合された波エネルギー捕捉部を含み、前記装置は、暴風時構成をさらに含み、前記暴風時構成において、前記波エネルギー捕捉部は、非作動であり、かつ、前記浮体式プラットフォームにより近接して固定又は合体され、
前記装置は、前記使用時構成において前記水域より実質的に上方に位置するように配置されたハウジングをさらに含み、
前記ハウジングは、
前記風力エネルギー変換部及び前記波エネルギー変換部を収容する、及び/又は
エネルギー結合部を収容し、前記エネルギー結合部は、出力エネルギーを前記風力エネルギー変換装置から受け取るとともに出力エネルギーを前記波エネルギー変換装置から受け取るように構成され、かつ、これらの出力エネルギーを結合するように構成される、
浮体式エネルギー変換装置。
【請求項2】
前記装置は、サービス時構成をさらに含み、前記サービス時構成において、前記浮体式プラットフォームは、実質的に前記水域の前記表面上にあり、前記装置の全てのサービス可能な要素は、前記水域より上方にあり、前記装置は、係留手段に結合される、請求項1に記載の浮体式エネルギー変換装置。
【請求項3】
前記サービス時構成において、前記風力エネルギー変換装置は、風力エネルギーを前記有用エネルギーに変換するように構成される、請求項2に記載の浮体式エネルギー変換装置。
【請求項4】
前記装置は、輸送構成をさらに含み、前記輸送構成において、前記浮体式プラットフォームは、実質的に前記水域の前記表面上にあり、前記装置は、係留手段に結合されず、さらに、前記装置は、前記水域の前記表面上に安定して自由に浮くことができる、請求項1、2又は3に記載の浮体式エネルギー変換装置。
【請求項5】
前記波エネルギー変換装置は、前記波エネルギー変換装置が最適なエネルギー変換をもたらす作動深さを含み、さらに、前記使用時構成での浮体式プラットフォームは、浮体式プラットフォーム深さを含み、前記浮体式プラットフォーム深さは、前記作動深さと実質的に同じである、請求項1から
4のいずれか一項に記載の浮体式エネルギー変換装置。
【請求項6】
前記風力エネルギー変換装置及び波エネルギー変換装置は、風力エネルギー及び波エネルギーの各々をそれぞれの中間形態のエネルギーに変換するように構成され、前記それぞれの中間形態のエネルギーは、共通の2次エネルギー変換装置に伝達され、前記2次エネルギー変換装置は、前記中間形態のエネルギーを結合して、前記結合された中間形態のエネルギーを単一の形態の所望の出力エネルギーとして送出するように構成される、請求項1から
5のいずれか一項に記載の浮体式エネルギー変換装置。
【請求項7】
前記装置は、前記風力エネルギー又は前記波エネルギーを1又は2以上のプーリー及び歯車を使用して機械エネルギーに変換するように構成され、さらに、前記機械エネルギーを前記共通の2次エネルギー変換装置に伝達するように構成され、前記2次エネルギー変換装置は、前記機械エネルギーを異なる形態のエネルギーに、前記異なる形態のエネルギーを前記装置から送出する前に、変換するように構成される、請求項
6に記載の浮体式エネルギー変換装置。
【請求項8】
前記装置は、前記風力エネルギー又は前記波エネルギーのいずれかを1又は2以上の液圧アクチュエータを使用して液圧エネルギーに変換するように構成され、さらに、前記液圧エネルギーを前記共通の2次エネルギー変換装置に伝達するように構成され、前記2次エネルギー変換装置は、前記
液圧エネルギーを異なる形態のエネルギーに、前記異なる形態のエネルギーを前記装置から送出する前に、変換するように構成される、請求項
6に記載の浮体式エネルギー変換装置。
【請求項9】
前記装置は、前記風力エネルギー又は前記波エネルギーのいずれかを第1の形態のエネルギーに変換するように構成され、さらに、前記第1の形態のエネルギーを共通の2次エネルギー変換装置に伝達するように構成され、前記2次エネルギー変換装置は、前記第1の形態のエネルギーを第2の形態のエネルギーに、前記第2の形態のエネルギーを前記装置から送出する前に、変換するように構成される、請求項1から
8のいずれか一項に記載の浮体式エネルギー変換装置。
【請求項10】
前記風力エネルギー変換装置は、風力エネルギー1次変換装置及び風力エネルギー伝達手段を含む、請求項1から
9のいずれか一項に記載の浮体式エネルギー変換装置。
【請求項11】
前記波エネルギー変換装置は、波エネルギー1次変換装置と、波エネルギー伝達手段と、波エネルギー2次変換装置とを含む、請求項1から
10のいずれか一項に記載の浮体式エネルギー変換装置。
【請求項12】
前記浮体式プラットフォームは、前記浮体式プラットフォームが前記水域の中に沈む使用時構成を含み、前記使用時構成において、前記連結部材は、前記風力エネルギー変換装置が前記水域より実質的に上方に位置するように前記水域の前記表面を通って突出する、請求項1から
11のいずれか一項に記載の浮体式エネルギー変換装置。
【請求項13】
前記使用時構成において、前記波エネルギー捕捉部は、前記水域の前記表面に又はそれに近接して配置される、請求項
12に記載の浮体式エネルギー変換装置。
【請求項14】
前記波エネルギー捕捉部は、前記波エネルギー捕捉部と前記波エネルギー変換部との間の距離を規定する適応可能な結合部材によって前記波エネルギー変換部に結合される、請求項1から
13のいずれか一項に記載の浮体式エネルギー変換装置。
【請求項15】
前記波エネルギー変換装置は、前記
波エネルギー変換部と前記波エネルギー捕捉部との間の相対運動を前記有用エネルギーに変換するように構成される、請求項1から
14のいずれか一項に記載の浮体式エネルギー変換装置。
【請求項16】
前記波エネルギー捕捉部は、フロートを含む、請求項1から
15のいずれか一項に記載の浮体式エネルギー変換装置。
【請求項17】
前記使用時構成において、前記装置は、波エネルギー及び風力エネルギーを前記有用エネルギーに変換するように構成される、請求項
12から
16のいずれか一項に記載の浮体式エネルギー変換装置。
【請求項18】
前記浮体式プラットフォームは、前記浮体式プラットフォームの最上面と前記水域の前記表面との間の深さを、所定の範囲にわたって規定するように構成された適応可能な深さ設定手段を含む、請求項1から
17のいずれか一項に記載の浮体式エネルギー変換装置。
【請求項19】
前記適応可能な深さ設定手段は、前記浮体式プラットフォームを前記水域の前記海底に係留するロープを含み、前記浮体式プラットフォームの浮力は、前記ロープに適当な張力をもたらすように構成され、前記適当な張力は、前記使用時構成の場合に前記浮体式プラットフォームに安定性を提供する、請求項
18に記載の浮体式エネルギー変換装置。
【請求項20】
前記ロープにおける前記安定性及び張力は、前記浮体式プラットフォームの移動を実質的に阻止するように構成される、請求項
19に記載の浮体式エネルギー変換装置。
【請求項21】
前記ロープは、実質的に非弾性材料で構成される、請求項19
又は2
0に記載の浮体式エネルギー変換装置。
【請求項22】
前記連結部材の少なくとも一部は、前記連結部材を実質的に貫通する水通路を可能にするように構成された剛性開放フレーム枠を含む、請求項1から
21のいずれか一項に記載の浮体式エネルギー変換装置。
【請求項23】
前記ハウジングは、プラント、モーター、発電手段などの設備を格納するように構成された格納キャビティを
さらに含む、請求項1から
22のいずれか一項に記載の浮体式エネルギー変換装置。
【請求項24】
a.前記浮体式プラットフォーム長さ、
b.前記浮体式プラットフォーム幅、
c.前記浮体式プラットフォーム直径、
のうちの少なくとも1つは、20~200メートルの範囲から選択される、請求項1から
23のいずれか一項に記載の浮体式エネルギー変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、再生可能エネルギーシステムに関し、詳細には、波エネルギーシステム及び浮体式風力システムに関する。
【背景技術】
【0002】
波エネルギー及び浮体式洋上風力エネルギーの双方は、地球規模のエネルギーシステムを脱炭素化する主要な技術オプションと見なされてきた。これらの技術の多くの現場は重なり合い、例えば、ヨーロッパの大西洋岸は、優れた風力資源と優れた波資源の双方を有する。さらに、双方の技術は、エネルギーを陸地に送給するための方法、海に機械を運んで維持する方法、及び暴風に耐える方法などの共通の課題を共有する。
【0003】
この2つの技術を単一の装置内で組み合わせると多くの利点があり、例えば、2つの発生源は、共通の構造体及びエネルギー移動システムを共有することができ、資本コストが軽減され、輸送、設置、及び保守を共用することもできコストがさらに軽減され、2つの独立したエネルギー源によって、機械は、強風であるが波が弱い時に又はその逆の場合にエネルギーを発生し続けることができ、海底の単位面積あたりのエネルギーを最大にすることができる。
【0004】
潮流からのエネルギーを最も一般的には電気に変換する水力発電の1つの形態である潮力発電は、広く採用はされていないが将来的には大きな可能性がある発電であり、共通の構造体内で風力エネルギー発生装置と組み合わせる可能性があると見ることもできる。以下の説明において、用語「海洋エネルギー」は、エネルギーをそれぞれ波又は潮流から電気に変換する水力発電の形態の波エネルギーシステム及び潮力システムを説明するために使用する。また、「海洋エネルギー」は、洋上風力エネルギーシステムを含むものとして非常に広く解釈されている。
【0005】
一部の現在提案されている装置、例えば、英国特許第1808933.4号に開示されている装置において、風力エネルギー変換装置は、タービンマスト頂部のナセル内に収納され、波エネルギー変換装置は、別個の筐体内で水中にある。これらの2つの別個のエネルギー変換装置の電気出力は、次に、機械全体の共通の電気出力をもたらすために結合される。これらのシステムを組み合わせるか又は部分的に組み合わせて単一システムにすると、複雑性及びコスト、アクセス可能性及び保守性、及び安定性向上につながる重量分散配置に関して利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、風力エネルギー及び波エネルギーなどの2つのエネルギー利用システムを組み合わせて1つのエネルギー変換装置にする現行の試行によって提示される問題を解決するための採用された既存の方法に対する代替案を提供することが望ましい。
【0008】
悪天候に耐えて風力及び波エネルギーを取り入れるように配置された装置を提供することが望ましい。
【0009】
風力及び波エネルギー変換装置のエネルギー変換システムは、完全に又は部分的に組み合わされ、機械内で完全に又は部分的に共同設置される装置を提供することも望ましい。組み合わされた/共同設置されたエネルギー変換装置を、保守のためのアクセスが容易で質量によって機械が安定にならない機械内の特定の場所に配置することも望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の態様によれば、再生可能エネルギー源から取得されたエネルギーを有用エネルギーに変換する浮体式エネルギー変換装置が提供され、装置は、風力エネルギー変換装置と、風力エネルギー変換装置を表面及び海底を有する水域内で支持するように配置された浮体式プラットフォームと、風力エネルギー変換装置と浮体式プラットフォームとの間に配置され、風力エネルギー変換装置と浮体式プラットフォームとの間の間隙をもたらすように配置される連結部材とを備え、浮体式プラットフォームは、浮体式プラットフォームが水域の中に沈む使用時構成を含み、使用時構成において、連結部材は、風力エネルギー変換装置が水域より実質的に上方に位置するように水域の表面を通って突出し、装置は、浮体式プラットフォームとつながる波エネルギー変換装置をさらに備え、波エネルギー変換装置は、水域からの波エネルギーを有用エネルギーに変換するように構成される。
【0011】
好ましくは、波エネルギー変換装置は、波エネルギー変換部に結合された波エネルギー捕捉部を備える。好ましくは、風力エネルギー変換装置は、風力エネルギー変換部に結合された風力エネルギー捕捉タービンを備える。好ましくは、装置は、ハウジングをさらに備え、ハウジングは、一部の実施形態において、機械室とすることができる。ハウジング及び/又はハウジングを装置に結合する何らかの取付具又は固定具は、好都合には、天気の影響に対して剛性とすることができ、ハウジング及び/又は取付具又は固定具は、一部の実施形態において、全天候型、耐候性、耐錆性、水密性、及び/又は、耐水性とすることができる。好ましくは、ハウジングは、使用時構成において、ハウジングが水域より実質的に上方に位置するように風力エネルギー変換装置に近接する。ハウジングは、風力エネルギー変換部及び/又は波エネルギー変換部を収容するように構成することができる。一部の好適な実施形態において、ハウジングは、出力エネルギーを風力エネルギー変換装置から及び出力エネルギーを波エネルギー変換装置から受け取るように構成され、さらに、この出力エネルギーを結合するように構成されたエネルギー結合部を備えることができる。このような実施形態において、エネルギー結合部は、結合エネルギーを出力するように構成することができる。
【0012】
本発明の特徴部は、添付の特許請求の範囲に記載されている。以下の特徴部は、適切な場合、第1又は第2の態様に適用可能であると理解することができる。
【0013】
本明細書で説明される本発明は、風力エネルギー及び波エネルギーを回収する装置を提供する。好適な実施形態において、風力エネルギー及び波エネルギー変換部のエネルギー変換システムは、完全に又は部分的に組み合わせることができ、機械内に完全に又は部分的に共同設置することができる。好ましくは、風力エネルギー及び波エネルギー変換部は、ハウジング内で共同設置され、好ましくは組み合わされ、ハウジングは、好適な実施形態において、機械室である。このような実施形態において、保守のためにアクセスが容易でありかつ質量によって機械を不安定にしない機械内の所定の場所で組み合わせられる/共同設置されるエネルギー変換部の位置は、同様に有益である。本発明の文脈において、当業者は「機械」という用語を「浮体式エネルギー変換装置」を意味するように理解することができる。
【0014】
現在利用可能な技術と比較すると、暴風状態での不安定性は、好ましくは、本発明によって提供される解決策で低減される。加えて、風力エネルギー変換部及び風力エネルギー変換部を収容するハウジングを備える実施形態は、これらの特徴部の保護及び安全性、及び高い保守容易性をもたらす。電力変換システムの組み合わせる別の利点は、さらなるコスト低減、スケール効率の向上である。ハウジングは、プラント室、機械室、機関室などの機械及びエネルギー変換設備を収容するためのいくつかの記述のうちの1つを使用して命名することができる。
【0015】
説明したエネルギー変換装置は、好ましくは、風力タービン用ナセルが、マストの頂部ではアクセスが難しく不安定な位置で大きな質量増となること、波エネルギー変換装置が、海の下にあり、機械を保守のために海面に戻す必要があり、高度の封止及び防水を必要とすることなどの課題を解消する。
【0016】
電気エネルギーへの最終的な変換の前に風力エネルギー及び波エネルギーコンバータからの電力出力を結合することは、好適な実施形態において、エネルギー変換システムの一部の重複を排除することができる。この結合は、風力エネルギー及び波エネルギーコンバータ用の結合エネルギー変換部の共同設置も可能にし、保守のためのより容易なアクセスがもたらされる。この結合によって、エネルギー変換システムの重量部品を安定性の向上をもたらす位置に配置することもできる。
【0017】
使用時構成での装置の安定性は、水中のプラットフォームの浮力によってもたらされ、浮力は、好ましくは、例えば、水域の海底に至る1又は2以上の係留索又はロープに対して作用する。この安定性は、風、波及び潮流から装置に伝えられる負荷に抗することができる安定した力の釣合いを引き起こす。
【0018】
本発明の第1の態様は、装置の浮体式プラットフォームが少なくとも部分的に水域の表面上にあるサービス時構成をさらに備えることができる。このサービス時構成において、装置は、例えば、水域の海底に至る1又は2以上の係留索又はロープに取り付けられる。この構成において、装置は、浮体式プラットフォームを部分的にある程度没水させことができ、その間、保守が必要な装置の全ての部品及びシステムへのアクセスを可能にしながら高度な安定性が達成される。この構成において、風力エネルギー変換装置(好ましくは風力タービンを備える)は、1又は2以上の波エネルギー変換装置が保守を受ける間に作動し続けることができる。
【0019】
本発明の第1の態様は、自由浮遊輸送構成をさらに備えることができ、この構成において、機械全体は、水域の表面上に浮遊しており、係留索又はロープに接続されていない。機械は、この構成において海面を横切って曳航するために安定しているが、安定性は、使用中サービス時構成よりも低いことになる。
【0020】
本発明の第1の態様は、一部の実施形態において、緊急時構成又は暴風時構成を備えることもできる。緊急時構成又は暴風時構成は、使用時構成に類似するが、少なくとも、波エネルギー変換装置のエネルギー捕捉部は非作動である、及び/又は浮体式プラットフォームにより近接又は隣接して固定又は合体される。随意的に、浮体式プラットフォームの深さは、緊急時構成において増やすことができる。この深さは、係留索又はロープの長さを短くすることによって増やすことができ、ウインチ又はプーリーなどの適応可能な深さ設定手段を使用することができる。緊急時構成は、波から機械に伝達される負荷を低減し、安定性を増大させ、波エネルギー変換装置の機械を大きな力及び大きな動作ストロークから保護する。
【0021】
好ましくは、波エネルギー変換装置は、波エネルギー変換装置が最適エネルギー変換を行う動作深さを備え、さらに、使用時構成での浮体式プラットフォームは、浮体式プラットフォーム深さを備え、この浮体式プラットフォーム深さは、上記動作深さと実質的に同じである。動作深さ及び浮体式プラットフォーム深さは、使用される波エネルギー変換装置の形式に左右される場合があり、典型的には、5m~50mの範囲から選択することができる。さらに好ましくは、浮体式プラットフォーム深さ及び/又は動作深さは、10m~40mの範囲から選択することができる。波エネルギー変換装置は、浮体式プラットフォームから1又は2以上の結合部材を用いて浮遊されたエネルギー捕捉フロートを備える実施例において、浮体式プラットフォーム深さ及び/又は動作深さは、15m~40mの範囲から選択することができる。波エネルギー変換装置が、エネルギー捕捉パドルなどのヒンジに往復様式で取り付けられたエネルギー捕捉部を備える実施例において、浮体式プラットフォーム深さ及び/又は動作深さは、5m~20mの範囲から選択することができる。波エネルギー変換装置が差圧から成るエネルギー捕捉部を備える実施例において、浮体式プラットフォーム深さ及び/又は動作深さは、5m~20mの範囲から選択することができる。
【0022】
使用時構成において、浮体式プラットフォームの深さは、特に暴風状態において波からの浮体式プラットフォーム上への力を低減するために、好ましくは波の影響の大部分を下回る深さで水域の表面下にある。さらに、プラットフォームの水中の深さは、好ましくは波エネルギー変換装置の作動のために最適化される、すなわち、波エネルギー変換装置の動作ストロークのための十分な深さが及び/又は波エネルギー変換装置の効率的な作動のための所要の幾何的関係が存在する。
【0023】
浮体式プラットフォームと風力エネルギー変換装置との間の間隙は、好ましくは剛性開放フレーム枠構造体を有する連結部材によって橋渡しされる。この剛性開放フレーム枠構造体は、構造体を通過する波、潮流及び比較的程度が低い風に対してこの構造体が与える抵抗を最小限に抑えることが意図されており、装置上への力が低減され、安定性が向上する。
【0024】
この間隙は、好ましくは、浮体式プラットフォームと直通つながる、風力タービンなどの風力エネルギー変換装置を有する技術の形態に反すると理解されよう。上記のような現在利用可能な技術の形態において、上述したように、現在利用可能な技術が受ける媒体(水又は空気など)の移動に対する抵抗レベルは、特に暴風状態において、この技術での移動、高い張力、及び不安定性も引き起こす。
【0025】
「剛性開放フレーム枠」という用語は、当業者によって、媒体の移動に対する抵抗が最小限に抑えられるように(すなわち、開放フレーム枠が好ましくは設けられる)、支持のために構成され、媒体が通り抜け可能である構造構成要素を意味すると理解されよう。連結部材の剛性開放フレーム枠は、風力エネルギー変換装置と浮体式プラットフォームとの間の間隙をもたらすように構成される。好ましくは、この間隙は、本発明の第1の態様の装置が使用中である場合に空気又は水の移動に対する最小限の抵抗を引き起こし、このようにして、媒体の移動及びその移動速度の程度、従って、生成される抵抗のレベルはより大きいことが予想されるであろう暴風状態において、装置の最大の安定性を提供する。最大の安定性は、好ましくは浮体式プラットフォーム及び風力エネルギー変換装置の移動の低減によってもたらされる。実施形態において、浮体式プラットフォームは、水域の海底に係留されているか又はそうでない場合は水域の海底と繋がり、最大の安定性は、好ましくは、係留部材の張力の低減によってももたらされ、係留部材は、好ましくは、深さ設定部材とすることができる。
【0026】
「開放フレーム枠」は、好ましくは、水又は空気などの媒体の移動に対する抵抗が最小限に抑えられることを条件として、いくつかの可能性のある形態を取ることができる。このようなフレーム枠の実施例としては、例えば、格子フレーム、網状フレーム、有孔フレーム、多孔フレーム、多孔質フレーム、貫通可能フレーム、及び/又は骨格フレームを挙げることができる。
【0027】
本発明の一態様の文脈において、使用時構成において、連結部材は、水域の表面を通って突出し、この点を踏まえると、連結部材を通過する媒体は、好ましくは、(水域の表面下の)水及び(水域の表面より上方の)空気である。サービス時構成及び/又は輸送構成を備える実施形態において、浮体式プラットフォームは、好ましくは、このような構成において水域の表面に実質的に浮遊しており、この点を踏まえると、上記構成において、媒体は、好ましくは、空気である。媒体の移動に対する抵抗を最小限に抑えることは、好ましくは、通常使用において、及び例えば、暴風状態、荒海状態、大波、及び/又は強風において装置に対する安定性を助長する。
【0028】
好ましくは、風力エネルギー変換装置及びエネルギー変換装置は、風力エネルギー及び波エネルギーの各々をそれぞれの中間形態のエネルギーに変換するように構成され、これは、例えば、機械エネルギー、液圧エネルギー、又はDC電気エネルギーを含むことができ、中間形態のエネルギーは、(随意的にハウジング内に備えることができる)共通の2次エネルギー変換装置に伝達することができる。このような実施形態において、2次エネルギー変換装置は、中間形態のエネルギーを結合して結合中間形態のエネルギーを単一の形態の所望の出力エネルギーとして送出するように構成することができ、例えば、AC電気エネルギーとすることができる。
【0029】
好ましくは、装置は、風力エネルギー又は波エネルギーを1又は2以上のプーリー及び歯車を使用して機械エネルギーに変換するように構成され、さらに、機械エネルギーを共通の2次エネルギー変換装置に伝達するように構成され、2次エネルギー変換装置は、機械エネルギーを異なる形態のエネルギーに、異なる形態のエネルギーを装置から送出する前に、変換するように構成される。
【0030】
好ましくは、装置は、風力エネルギー又は波エネルギーを1又は2以上の液圧アクチュエータを使用して液圧エネルギーに変換するように構成され、さらに、液圧エネルギーを共通の2次エネルギー変換装置に伝達するように構成され、2次エネルギー変換装置は、機械エネルギーを異なる形態のエネルギーに、異なる形態のエネルギーを装置から送出する前に、変換するように構成される。液圧アクチュエータは、液圧発電機又は液圧ラム又は当業者によって認識できる別の形態の適切な液圧アクチュエータとすることができる。
【0031】
好ましくは、装置は、風力エネルギー又は波エネルギーを第1の形態のエネルギーに変換するように構成され、さらに、第1の形態のエネルギーを共通の2次エネルギー変換装置に伝達するように構成され、2次エネルギー変換装置は、第1の形態のエネルギーを第2の形態のエネルギーに、第2の形態のエネルギーを装置から送出する前に、変換するように構成される。第1の形態のエネルギーは、例えば、DC電気エネルギーなどの認識できるような何らかの適切な形態のエネルギーを含むことができる。第2の形態のエネルギーは、例えば、AC電気エネルギーなどの認識できるような何らかの適切な形態のエネルギーを含むことができる。第1の形態のエネルギー及び第2の形態のエネルギーは、異なる形態のエネルギーを含むことを理解されたい。第1の形態のエネルギー及び第2の形態のエネルギーは、一部の実施形態において、異なる形態のエネルギーで構成することができる。2次エネルギー変換装置を備える全ての実施形態において、この2次エネルギー変換装置はハウジング内に備えることができることを理解されたい。
【0032】
「風力エネルギー変換装置を水域内で支持するように配置される」という用語は、当業者によって、使用時に、浮体式プラットフォームが水域内に位置する場合に風力エネルギー変換装置が最適に配向されるように、風力エネルギー変換装置の質量を支持するように配置されることを意味することが理解されるであろう。この用語は、水域内の風力エネルギー変換装置の場所を意味するために使用されるのではなく、特に本発明において、風力エネルギー変換装置は、好ましくは、使用時構成において水域より実質的に上方に支持される。
【0033】
好ましくは、間隙は、暴風時の間隙距離を画定し、暴風時の間隙距離は、このような構成を備える実施形態において、風力エネルギー変換装置が、使用時構成及び/又は暴風時構成において水域の表面より上方に残るのに十分に長い距離である。
【0034】
好ましくは、水域は、海又は海洋である。
【0035】
「使用時構成」という用語は、本発明では、エネルギーを再生可能エネルギー源から有用エネルギーに変換する基本用途を実行する場合に本発明の必須の構成を意味するために使用される。
【0036】
「沈む」という用語は、水域の表面より下方に完全に位置することを意味することを理解されたい。「水域より実質的に上方に」という用語は、当業者によって風力エネルギー変換装置が使用時構成において水域と接触していないことを意味すると理解されるであろう。
【0037】
一部の好適な実施形態において、波エネルギー変換装置は、エネルギー変換部(「エネルギー変換手段(energy converting means)」及び「エネルギー変換手段(energy conversion means)」とも記載される)を介して浮体式プラットフォームに結合された、波によって動かされるエネルギー捕捉部を備える。本発明の文脈において、エネルギー変換「部(member)」を参照して使用されるいずれの用語も、例えば、エネルギー変換装置などの何らかの適切な多部品エネルギー変換装置を含むことが当業者によって理解されるであろう。「部(member)」という用語は、部分又は単一装置に限定されることが意図されておらず、このような装置をその意味において含むことができることが認識できる。エネルギー変換手段は、好ましくは、浮体式プラットフォーム上に又はそれに近接して配置されるが、装置の別の部分上に又はエネルギー捕捉部上に配置することができる。従って、これらの実施形態において、エネルギーは、エネルギー捕捉部と装置の浮体式プラットフォームとの間の相対運動によって生成される。一部の実施形態において、エネルギー捕捉部は、1又は2以上のエネルギー変換部に結合することができる。
【0038】
本発明の一部の好適な実施形態において、波エネルギー捕捉部は、1又は2以上のロープによってエネルギー変換手段に結合された浮体式フロートを備える。フロートは、通常使用において、水域の表面上に又はその近くに配置されるが、フロートの深さは、ロープの長さを調整することによって調整することができるので、エネルギー捕捉は、フロートの深さを増やすことによって大波の場合に低減すること、及び暴風状態においてフロートを浮体式プラットフォームに完全に隣接して又はその中にあるように格納することによって完全に中断することができる。
【0039】
フロートが浮遊してフロートとエネルギー変換部又はエネルギー変換部手段との間の距離がロープの長さによって制御される場合、フロートは、機械が使用時構成とされると自己展開することができ、同様に、フロートは、機械が使用時構成から表面ベースの構成の1つとされると自己回復することができる。
【0040】
好ましくは、ロープの長さは、エネルギー変換手段の統合機能として調整される。エネルギー変換手段は、好ましくは、ライン又はロープ保管ドラムを備え、ロープは、フロートが波によって動く際にドラム上に巻き取られる又はそこから繰り出される。この巻取り及び繰出しは、有用エネルギーを生成するために発電機の機能を果たすウインチを作動させ、好ましくは、制御システムの入力によるライン長又はロープ長調整の同時に行われる機能を実行することもできる。ウインチ/発電機は、電動機/発電機、又は液圧モーター/発電機とすることができる。
【0041】
適切な波エネルギー変換装置の例は、Marine Power Systems社製WxaveSub(RTM)であろう。
【0042】
暴風時構成又は緊急時構成を備える実施形態において、ウインチは、好ましくは、エネルギー捕捉部が浮体式プラットフォーム上に、その中に、又はそれに近接するようにエネルギー捕捉部とエネルギー変換部との間の距離を低減するために使用される。好ましくは、装置は、暴風の特徴を示す1又は2以上のパラメータを検出するように構成されたセンサーを有する制御システムを備える。好ましくは、制御システムは、さらに、暴風の特徴を示すパラメータが検出された際に装置を暴風時構成に構成するように配置され、制御システムによるこの構成は、好ましくは、ウインチの作動を含み、これは、エネルギー捕捉と同時に行うことができる。
【0043】
他の好適な実施形態において、波エネルギー変換装置は、波の動きで前後にヒンジ上で往復様式で回転することができるヒンジ式フラップであるエネルギー捕捉部を備える。このようなエネルギー変換手段は、フラップの往復動に抗する適切な機構を備えることができ、適切な機構は、ヒンジ周りの液圧ラム、リニア発電機、又は直接駆動式発電機である。
【0044】
フラップは、上述の実施形態のフロートと同様に浮力で自己展開及び自己回復するように構成することができる。このような実施形態において、このフラップは、浮体部分を備えることができる。このような実施形態において暴風時構成を達成するために、エネルギー変換手段は、荒れた海の動きに対する抵抗を最小限に抑えるために浮体式プラットフォームに対してフラップを平らに引き寄せるために使用することができる。
【0045】
さらなる好適な実施形態において、波エネルギー変換装置は、エネルギーを生成するために機械を横切る波の圧力の変化を利用する水中差圧波エネルギー変換装置を備える。圧縮ガス室は、波が圧縮ガス室を横切るときに、ガス室上の圧力の変化によってさらに圧縮されるか又は膨張することができる(波の山は、水深の増大、従って、対応する水圧の増大に相当し、一方、波の谷は、水深の減少、従って、対応する水圧の減少に相当する)。圧縮ガス室は、上昇及び下降する原動機に機械的に結合することができ、エネルギー変換手段、例えば、液圧ラム、リニア発電機、又は歯車駆動回転式発電機が抵抗することができる。
【0046】
水中差圧波エネルギー変換装置を備える機械の他の実施形態において、圧縮空気室は、装置上で相隔たることができ、通り越える波によって、空気が圧縮空気室の間を又は圧縮空気室を通る循環経路内で前後に流れるように構成することができる。この場合、エネルギー抽出手段は、典型的に、直接的に又はダクトによって、圧縮空気室の間で、その周りで、又はそれを通って流れる空気によって付勢される配置された空気タービンを備える。
【0047】
好ましくは、浮体式プラットフォームは、浮体式プラットフォームの最上面と水域の表面との間の深さを所定の範囲で定めるように配置された適応可能な深さ設定手段を備える。
【0048】
適応可能な深さ設定部材(そうでない場合は本明細書では「深さ設定手段」と呼ぶ)は、好ましくは、浮体式プラットフォームを水域の海底に係留するように構成された少なくとも1つの係留索又はロープ、及び深さを規定するために少なくとも1つの係留索又はロープの長さを調整する手段(例えば、ウインチ)を備える。
【0049】
好ましくは、暴風時構成又は緊急時構成を備える実施形態において、暴風時構成は、暴風間隙深さを備え、暴風間隙深さは、好ましくは、20m以上である。好ましくは、適応可能な深さ設定部材は、深さを暴風状態において暴風間隙深さに調整するように構成されている。好ましくは、暴風の特徴を示すパラメータを検出するように構成された制御システムを備える実施形態において、制御システムは、暴風の特徴を示すパラメータが検出された際に暴風間隙深さを達成するために適応可能な深さ設定部材を作動させるように構成されている。
【0050】
好ましくは、浮体式プラットフォームの浮力は、適当な張力を深さ設定手段にもたらすようになっており、適当な張力は、使用時構成、サービス時構成、緊急時構成、又は暴風時構成にある場合に浮体式プラットフォームに安定性をもたらす。好ましくは、浮体式プラットフォームは、正の浮力を有する。
【0051】
好ましくは、安定性及び深さ設定手段の張力は、浮体式プラットフォームの移動を実質的に抑制するように構成される。
【0052】
本発明の文脈において、安定性は、装置の不必要な移動がないこと及び/又は上記装置の不必要な張力がないことを意味すると理解されたい。この不必要な移動は、典型的には、水域内の水の移動又は水域より上方の空気の移動によって引き起こされる場合がある。好ましくは、浮体式プラットフォーム上の深さ設定部材の位置調整及び浮体式プラットフォームの正の浮力によって引き起こされる深さ設定部材の張力は、水域内の装置の移動を制限するのに十分である。
【0053】
好ましくは、深さ設定部材(係留ロープを含むことができる)は、実質的に非弾性の材料又は制限されるが既知の弾性の材料を備える。好ましくは、実質的に非弾性の又は制限された弾性の材料は、鋼製チェーン、鋼索、ナイロンロープ、ダイニーマ(RTM)ロープの範囲から選択された材料を備える。係留ロープのある程度制限された弾性は、一部の実施形態において、特定の状況においてシステム内の突然の不意の(snatch)負荷を回避するために有益である場合がある。
【0054】
エネルギー変換部に関して上述したように、本発明の文脈において、エネルギー変換「部」を指す使用されるいずれの用語も、例えば、エネルギー変換装置などの何らかの適切な多部品エネルギー変換装置を含むと当業者によって理解されよう。「部(member)」という用語は、部分又は単一部分装置に限定されることが意図されておらず、何らかの形式の装置をその意味において含むことができることが認識できる。
【0055】
好ましくは、連結部材は、浮体式プラットフォームと風力エネルギー変換装置との間の間隙を定め、使用時構成において、連結距離は、深さよりも大きい。好適な実施形態によれば、連結部材によって定められる連結距離は、使用時構成において浮体式プラットフォームの深さよりも大きい。
【0056】
好ましくは、風力エネルギー変換装置は、風力タービンを備える。好ましくは、風力タービンは、水平軸風力タービンである。好ましくは、風力タービンは、塔、ナセル、及び複数のブレードを備え、使用時構成において、風力タービンの塔は、水域の表面より実質的に上方にある。風力エネルギー変換装置が垂直軸風力タービン又は凧型風力エネルギー変換装置を備えることができる、種々の実施形態が認識できる。
【0057】
風力エネルギー変換装置と浮体式プラットフォームとの間の間隙をもたらす連結部材は、好ましくは、設備を収容するように配置された、間隙内の空間、キャビティ、又はハウジングを備える。好ましくは、設備は、エネルギー変換装置、及び、装置の設置、保守、及び補修を促進する何らかの別の設備を含む。一部の実施形態において、この設備が実質的に乾燥したままであることは有益であろう。この点を踏まえて、一部の好適な実施形態において、設備は、使用時構成において、水域の表面より実質的に上方に、好ましくは、連結部材の頂部上に位置する場所に格納することができる。
【0058】
好ましくは、浮体式プラットフォームの少なくとも一部は、浮体式プラットフォームを実質的に通る水の通路を可能にするように配置された網状フレームを備える。
【0059】
好ましくは、浮体式プラットフォームは、媒体の流れに対する抵抗を最小限に抑えるように構成されたフレームを備え、従って、装置の移動の可能性及び/又は装置にかかる力を制限する。移動及び/又は力の低減は、好ましくは、装置の安定性の増大をもたらし、何らかの深さ設定部材の張力を低減することができる。
【0060】
好ましくは、
浮体式プラットフォーム長さ、
浮体式プラットフォーム幅、
浮体式プラットフォーム直径、
の少なくとも1つは、20~200メートルの範囲から選択される。
【0061】
輸送構成を備える実施形態に関して、輸送構成において、浮体式プラットフォームは、水域の表面上に浮遊するように構成されている。好ましくは、輸送構成において、風力エネルギー変換装置は、風力エネルギーを有用エネルギーに変換するように構成されている。好ましくは、輸送構成は、浮体式プラットフォームと水面の関係を説明する。水域内の浮体式プラットフォームの深さを設定する前に、浮体式プラットフォームが水域の海底に固定されることが必要である深さ設定部材を備える実施形態において、深さ設定部材は、随意的に、装置が輸送構成である間に、水域の海底とつながることができる又はつながることができない種々の実施形態が考えられる。このような深さ設定部材を備える実施形態において、装置がこの構成で輸送されている間、深さ設定部材は水域の海底とつながることはできない。
【0062】
好ましくは、輸送構成において、波エネルギー変換装置は、水域の表面より上方にある。
【0063】
輸送構成は、好ましくは、本発明の装置が現場で保守又は補修を受けているか又は装置が設置されることになる所望の現場に輸送されている場合に使用されるように構成されている。好ましくは、浮体式プラットフォームのこの浮遊は、装置の簡単な輸送を可能にし、装置が輸送構成である間に曳航することができる。好ましくは、装置が輸送、保守、又は補修されている間、この保守又は補修は、風力エネルギー変換装置以外の要素に行われ、風力エネルギー変換装置は、好ましくは、風力エネルギーを有用エネルギーに変換するように構成されている。波エネルギー変換装置を備える実施形態において、風力エネルギー変換装置は、好ましくは、波エネルギー変換装置の保守及び修理の間に機能し続けるように構成される。
【0064】
好ましくは、輸送構成において、全ての作動部分は、水域の表面より上方にある。好ましくは、全ての作動部分を輸送構成において水域の表面より上方とすることによって、装置の保守及び輸送を容易にすることができる。
【0065】
好ましくは、装置は、エネルギーをエネルギーグリッド及び/又はエネルギー貯蔵装置に伝送するように構成された電力供給パイプラインを備える。
【0066】
好ましくは、浮体式プラットフォームは、適応可能な浮力を備える。浮体式プラットフォームの浮力は、浮体式プラットフォームを水域内の所望の深さに位置決めするように調整することができる。好ましくは、適応可能な浮力は、浮体式プラットフォームの深さを調整するために及び/又は対応する係留索又はロープの張力を調整するために、適応可能な深さ設定手段と共に使用することができる。好ましくは、浮体式プラットフォームの浮力は、浮体式プラットフォームの浮体式部分の中に含まれる空気:液体の比率を変えることによって適合させることができる。
【0067】
本発明の第2の態様によれば、再生可能エネルギー源から取得したエネルギーを有用エネルギーに変換する浮体式エネルギー変換装置を提供し、この装置は、
風力エネルギー変換部に結合された風力エネルギー捕捉タービンを備える風力エネルギー変換装置と、風力エネルギー変換部を収容するように構成されて風力エネルギー捕捉タービンに近接して位置するハウジングとを備え、
装置は、表面及び海底を有する水域において風力エネルギー変換装置及びハウジングを支持するように構成された浮体式プラットフォームと、剛性開放フレーム枠を備え、ハウジングと浮体式プラットフォームとの間に配置され、風力エネルギー変換装置と浮体式プラットフォームとの間の間隙をもたらすように構成された連結部材とをさらに備え、
装置は、浮体式プラットフォームとつながる波エネルギー変換装置をさらに備え、波エネルギー変換装置は、水域からの波エネルギーを有用エネルギーに変換するように構成され、波エネルギー変換装置は、波エネルギー変換部に結合された波エネルギー捕捉部を備え、波エネルギー変換部は、ハウジング内に位置する。
【0068】
以下に記載する特徴部は、本発明の第1又は第2の態様による装置に適用可能であると理解されよう。
【0069】
好ましくは、装置は、浮体式風力装置である。さらに好ましくは、装置は、張力係留浮体式風力装置である。
【0070】
風力タービンによって捕捉された風力エネルギーは、1次風力エネルギー変換装置によって回転エネルギー又は液圧エネルギーなどのより有用な形態のエネルギーに変換され、より有用な形態のエネルギーは、その後、回転式駆動軸、駆動ベルト、又は液圧管路などのエネルギー伝達手段によって、風力タービンマストを降下して機械室に伝達することができる。
【0071】
エネルギー伝達手段が回転式駆動軸又は駆動ベルトである場合、1次エネルギー変換装置は、機械式歯車システムとすることができる。エネルギー伝達手段が液圧管路である場合、1次エネルギー変換装置は、液圧モーターとすることができる。
【0072】
波エネルギー捕捉フロートによって捕捉された波エネルギーは、メカニカルラインによって又は液圧管路によって機械室に伝達することができる。エネルギー伝達手段がメカニカルラインである場合、1次エネルギー変換装置は、プーリーホイール又は車輪と組み合わせて作用するメカニカルラインとすることができる。エネルギー伝達手段が液圧管路である場合、1次エネルギー変換装置は、液圧モーターとすることができる。
【0073】
機械室は、2次エネルギー変換装置を収容し、これは風力エネルギー伝達手段及び波エネルギー伝達手段によって機械室に供給されたエネルギーを電気に変換する。
【0074】
機械室は、風力エネルギー又は波エネルギーのいずれかの1次エネルギー変換装置よりもアクセスが容易な装置上の位置で連結部材の頂部に置かれ、1次風力エネルギー変換装置は風力タービンマストの頂部にあり、1次波エネルギー変換装置は水中にある。
【0075】
連結部材の頂部での機械室の位置は、高さに起因して不安定な位置である風力タービンマストの頂部から質量を除去することによって安定性を高める。
【0076】
2次エネルギー変換装置は、風力及び波エネルギー伝達手段からのエネルギーを電気に変換する。風力又は波エネルギー伝達手段のいずれかからのエネルギー供給が機械式である場合、2次エネルギー変換装置は、適切な歯車装置を有する発電機とすることができる。風力又は波エネルギー伝達手段のいずれかからのエネルギーの供給が液圧式である場合、2次エネルギー変換装置は、液圧発電機に結合された液圧モーターとすることができる。
【0077】
2次エネルギー変換装置は、単一システムに結合することができる。例えば、機械エネルギーが波及び風力エネルギー伝達手段の両方から供給される場合、両方のエネルギー伝達手段は、適切な連結具及び歯車装置を介して共通のシャフト又はフライホイールに結合することができる。両方のエネルギー伝達手段は、液圧式である場合、適切な液圧回路及びアキュームレータを介して共通の液圧モーターに接続することができる。
【0078】
好ましくは、第2の態様の装置は、第1の態様の何らかの適切な特徴部を備えることができる。
【0079】
特定の実施形態は、以下に単に例示的に添付図面を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【
図1】本発明による浮体式エネルギー変換装置の第1の例示的な実施形態の等角図を示す。
【
図2a】
図1の浮体式エネルギー変換装置の第1の例示的な実施形態の詳細等角図を示す。
【
図2b】
図2aに示す第1の実施例の別の詳細等角図を示す。
【
図3】サービス時構成での
図1の浮体式エネルギー変換装置の第1の例示的な実施形態の側面図を示す。
【
図4】使用時構成での
図1の浮体式エネルギー変換装置の第1の例示的な実施形態の側面図を示す。
【
図5】緊急時構成又は暴風時構成での
図1の浮体式エネルギー変換装置の第1の例示的な実施形態の側面図を示す。
【
図6】本発明による浮体式エネルギー変換装置の第2の例示的な実施形態の等角図を示す。
【
図7】本発明による浮体式エネルギー変換装置の第3の例示的な実施形態の等角図を示す。
【
図8】本発明による浮体式エネルギー変換装置の第4の例示的な実施形態の等角図を示す。
【
図9】緊急時構成又は暴風時構成での
図8の浮体式エネルギー変換装置の第4の例示的な実施形態の側面図を示す。
【
図10a】
図1の浮体式エネルギー変換装置の別の例示的な実施形態の拡大等角部分断面図を示す。
【
図11】
図10a及び
図10bの浮体式エネルギー変換装置の別の例示的な実施形態の拡大等角部分断面図を示す。
【
図12】
図11に示す例示的な実施形態のさらなる拡大等角部分断面図を示す。
【
図13】本発明による浮体式エネルギー変換装置の第5の例示的な実施形態の等角図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0081】
図1を参照すると、本発明の第1の態様に係る浮体式エネルギー変換装置100の例示的な実施形態の等角図が示されており、水面(図示せず)及び水底を有する水域(図示せず)の中に配置されている。装置は、風力タービン3、浮体式プラットフォーム7、及びそれらの間の連結部材9を備える。風力タービン3は、細長い塔6を備え、塔6は、その長手方向軸線に対して垂直に配置された長手方向軸線を有するナセル5に連結された第1の端部を有し、ナセル5は、回転式発電機(図示せず)を収容する。塔6の長手方向軸線と実質的に平行の平面に配置された複数のブレード4は、発電機に結合され発電機から延在する。塔6は、連結部材9の第1の端部に連結された第2の端部をさらに備える。
【0082】
連結部材9は、実質的に矩形の錐台を形成する格子フレーム枠を備え、その第1の端部は、第1の端部アスペクト比を有し、第2の端部は、第2の端部アスペクト比を有し、第1の端部アスペクト比は、第2の端部アスペクト比よりも小さい。連結部材9の第2の端部は、浮体式プラットフォーム7の最上面の中央領域に結合されている。
【0083】
浮体式プラットフォーム7は、実質的に矩形の格子フレーム枠21を備える平面構造体を備え、フロート(浮力室)22は、
図2からより詳細に分かるように、ほぼ格子フレーム枠21の4つの隅部の各々に配置されている。浮体式プラットフォーム7の長手方向軸線は、連結部材9及び風力タービン3の長手方向軸線に対して実質的に垂直に配向されている。
【0084】
図1~
図5は、第1の例示的な実施形態による複合式の結合式風力エネルギー及び波エネルギー変換装置を示す。
【0085】
図1~
図5において、装置100は、海面1及び海底2を有する水域に位置するように示されており、装置は、タービンブレード4、ナセル5、及びマスト6を含む風力タービン3を備える。装置は、浮体式プラットフォーム7をさらに備え、その上には、複数の波エネルギー変換装置8及び連結部材9があり、その上には風力タービン3が取り付けられている。
【0086】
装置は、連結部材9の頂部に配置された機械室10をさらに備え、機械室10は、波エネルギー変換装置及び風力タービンによって捕捉したエネルギーを機械室から送出するのに適した形式の電力に、例えばグリッド準拠電力に変換する電力変換装置を収容する。
【0087】
また、装置は、係留装置11を備え、係留装置11は、海底2に配置されたアンカー12、係留索13、及び深さ設定手段14をさらに備える。係留索13は、典型的には、ロープ又は鎖又はこれらの組み合わせとすることができる撓み線である。深さ設定手段は、典型的にはウインチ又はチェーンプラーとすることができる。
【0088】
複数の波エネルギー変換装置8は、典型的には浮体式プラットフォーム7の最上面上に配置され、各々は、エネルギー捕捉フロート15、複数の結合部材16、及び結合部材16を案内してエネルギー捕捉を最適化するためのフロート15との幾何的関係を設定する複数のプーリー17を備える。
図4に示す使用時構成において、装置100のエネルギー捕捉フロート15は、浮体式プラットフォーム7の上面に対して最適な高さH’に位置し、結合部材16と浮体式プラットフォーム7の上面との間で角度Aが生じるようになっており、この角度は、最適なエネルギー捕捉に必要である。典型的な最適な角度の例は、45°とすることができ、適切な角度の範囲は、15~75°である。最適な高さH’は、浮体式プラットフォーム7の上面とフロート15の下面との間に十分な間隙を提供する。この間隙は、エネルギー捕捉フロート15による最適な波エネルギー捕捉をもたらす距離である。最適な距離は、15m~50mの範囲から選択することができる。
【0089】
各結合部材16は、撓み線の形を取り、エネルギー変換装置18に結合されている。
【0090】
典型的には、各エネルギー変換装置18は、結合部材16が巻回されているドラムを備えることができ、ドラムは、回転式発電機につながれる。各ドラム17の端部上に一例として示されている回転式発電機は、結合部材16の長さ、従って、フロート15の深さを調整するのを可能にするウインチの機能を果たすこともできる。また、ドラムは、結合部材16の長さを回転式発電機と関係なく調整するのを可能にするために、別個のウインチ又は他の調節装置(図示せず)によって駆動することもできる。
【0091】
風力タービン3のナセル5は、典型的には回転式発電機となるエネルギー変換装置(図示せず)を収容する。
【0092】
風力タービン及び波エネルギー変換装置18のための回転式ジェネレータは、何らかの形式のジェネレータとすることができるが、典型的には発電機とすることができる。各発電機は、装置が単一の電力出力ケーブル23を通じて電力を所要の形式で送出するのを可能にするために、各発電機からの電気出力を最終電力変換ステージに接続することになる共用電気システム(図示せず)の一部とすることができる。最終電力変換ステージは、直交変換装置及び変圧器などの構成要素を備えることができ、保守のための簡単なアクセスを可能にするために機械室10に収納される。機械室10は、制御通信システム(図示せず)を収容する場合もある。
【0093】
図4を参照すると、
図1の浮体式エネルギー変換装置100の例示的な実施形態は、穏やかな海面状態での使用時構成で示されている。図示の使用時構成において、浮体式プラットフォーム7は、水域150の表面1の下に沈んでおり、深さ設定部材14の係留索13は、水域150の海底2上のそれぞれの固定部材12に固定されている。図示する使用時構成において、連結部材9は、水域150の表面1を通って突出して示されており、風力タービン3は、水域150の表面1より上方にあり、水域150と接触していないようになっている。連結部材9は、キャビティ10(この場合、機械室10)を有するように示されており、キャビティ10は、水域150の表面1より実質的に上方にとどまり、設備(図示せず)を収容するように配置されている。図示する使用時構成において、波エネルギー変換装置のフロート15は、波の動きを捕らえるために、水域150の表面1に接近して配置されている。
【0094】
図5を参照すると、
図1の浮体式エネルギー変換装置100の例示的な実施形態は、実施形態において大波によって示される、暴風時の暴風時構成又は緊急時構成に示す。図示の暴風時構成において、浮体式プラットフォーム7は、実質的に使用時構成と同じように水域150の表面1下に位置し、深さ設定部材14の係留索13は、水域150の海底2上のそれぞれの固定部材12に固定されている。
図4の使用時構成の場合と同様に、
図5に示す暴風時構成において、連結部材9は、水域150内の浮体式プラットフォーム7の深さによって定められるように(係留索13の長さによって決まる)、水域150の表面1を通って突出して示されている。従って、連結部材9は、ハウジング10が平均海面Lに対してハウジング高さH’に位置するように配置され、ハウジング高さH’は、ハウジングが水域150の表面1より上方にとどまるのを保証する。従って、風力タービン3は、同様に常に水域150の表面1より上方に位置し、水域150と接触しない。暴風時構成において、波エネルギー変換装置8のフロート15は、浮体式プラットフォーム7に位置付けられ、従って、フロートは、大波に対する装置100の最小抵抗力(装置100上への力及び深さ設定部材1の係留索13の張力を最小限に抑える)及び装置100の最大安定性を得られるように最適化される。
【0095】
図12は波エネルギー変換装置8の実施例を示し、波エネルギー変換装置8は、エネルギー捕捉フロート15、エネルギー変換手段17、及びフロート15をエネルギー変換手段17に結合する結合部材16を備える。結合部材16は、エネルギー変換手段17内のドラムに巻回された撓み線で構成され、ドラムは、フロート15と浮体式プラットフォーム7との間の距離を調整するように構成されたウインチによって駆動される。各フロート15は、波で動かされる際に、それぞれの結合部材16を交互に伸長及び縮小させてそれぞれのエネルギー変換手段17を作動させ、装置が電力を生成するのを可能にする。この形式の波エネルギー変換装置は、例示的であり、装置上で他の形式の波エネルギー変換装置を使用することができる。また、
図12には係留ウインチ14が示されており、ウインチ14は、1本の垂直係留索13(図示される)と二つ一組で配置され、1本の傾斜係留索(図示せず)を浮体式プラットフォーム7の隅部上に提供するようにも配置されるが、他のウインチ位置も可能である。
【0096】
説明されている実施形態の波エネルギー変換装置は、単なる例示目的であることを考慮されたい。例示目的で、Marine Power Systems WaveSub(RTM)に類似する波エネルギー変換装置が説明されている。異なる波エネルギー変換装置を備える別の実施形態を企図することができ、その一部の実施例を以下に詳細に説明する。
【0097】
図6を参照すると、本発明の第2の実施形態51が想定されており、全体的には第1の実施形態に類似しているが、波エネルギー変換装置のエネルギー捕捉部は、マスト53に摺動可能に取り付けられ、波の動きに合わせてマスト53を自由に上下動するするように構成された浮遊ディスク52を備える。代わりに、浮遊ディスクが、差圧によってエネルギーの捕捉及び変換を可能にするために同じように構成された摺動可能なマストの上部に移動不能に固定される実施形態を認識することができる。必要に応じて、
図1~
図5の実施形態の付番と同等の付番を用いることができる。第2の実施形態51において、浮遊ディスク52の各々は、液圧ラム及びエネルギー伝送ライン(図示せず)を含むことができる対応する結合部材(図示せず)とつながり、液圧ラム及びエネルギー伝送ラインは、対応する捕捉及び/又は変換されたエネルギーを伝送し、エネルギーの捕捉を最適化するために浮遊ディスク52との幾何的関係を設定する。図示の実施形態において、装置51は、マスト53の上面が海面1から最適な間隙距離であるような深さに位置する浮体式プラットフォーム7を備える。この間隙距離は、エネルギー捕捉ディスク52による最適な波エネルギー捕捉を可能にする。このマスト53の最適間隙距離は、10m~50mの範囲から選択することができる。
【0098】
図7には第2の実施形態51と類似する第3の実施形態54が示されており、特徴部は、実質的に同じであり、同等の付番が用いられている。
図7の第4の実施形態54において、浮遊ディスク52は、細長いフロート55に交換されている。装置54は、フローと55の上面が海面1から最適な間隙距離である深さに位置する浮体式プラットフォーム7を備える。この間隙距離は、エネルギー捕捉フロート55による最適な波エネルギー捕捉を可能にする。このフロート55の最適間隙距離は、15m~40mの範囲から選択することができる。
【0099】
図6及び
図7の実施形態における各波エネルギー変換装置は、差圧式波エネルギー変換装置の形を取り、例えば、波エネルギー捕捉ディスク52又はフロート54から波エネルギーを捕捉するために使用される液圧ラムを備えることができる。このような液圧機構であれば、液圧エネルギーをエネルギー伝達ラインによってハウジング10内のエネルギー変換装置に伝達する。代替的に、結合部材を使用することができ、結合部材は、撓み線の形を取り、機械室10内に位置するエネルギー変換装置18にプーリーを介して案内される。機械室10は、常に海面より上にあるので、エネルギー変換装置18は、乾燥した環境内に設けることができる。各エネルギー変換装置は、結合部材が巻回されるドラムを備えることができ、結合部材は、回転式発電機につながる。回転式発電機(図示せず)は、結合部材の長さ、従って、浮遊ディスク52又は細長いフロート55の深さを調整するのを可能にするウインチの機能を果たすこともできる。また、ドラムは、結合部材の長さを回転式発電機と関係なく調整するのを可能にするために、別個のウインチ又は他の調節装置(図示せず)によって駆動することもできる。
図12には1つの実施例が示されている。差圧装置を使用する、エネルギー捕捉、伝達、及び変換の他の実施形態を認識することができ、例えば、潜在的に上述のような差圧の結果としての液圧エネルギー伝達機構を利用して、機械又は運動エネルギーを伝達するように構成された膜を備えることができる。
【0100】
図8を参照すると、本発明の第2の実施形態の等角図に類似した第4の実施形態56の等角図が示されており、必要に応じて同等の付番が用いられている。
図8の第4の実施形態56において、波エネルギー変換装置57はパドル58を備え、このパドル58は、パドル58の第1の主面で浮体式プラットフォーム7に隣接する第1の位置と、パドル58の第2の主面で浮体式プラットフォーム7に隣接する第2の位置との間で往復様式でヒンジの周りを回転するように配置され、第1の主面は、第2の主面の反対側である。このように、パドル58は、波の流れでヒンジの周りで往復様式で回転し、結果として回転式発電機(図示せず)を駆動することができる。回転式発電機が連結部材上に位置する機械室10内に収容されることになる実施形態を認識することができる。
図9は、暴風時構成での
図8の第3の実施形態を示し、パドル58は、浮体式プラットフォーム7に隣接して配置される。
【0101】
別の実施形態において(図示せず)、エネルギー変換装置は、固定すること又は風力エネルギー変換システム及び潮力発電システムの組み合わせに適した構造を有することができる。
【0102】
説明されている実施形態は、典型的な水平軸風力タービンを示すが、別の実施形態を認識することができ、例えば、垂直軸風力タービン又は凧型発電機システムなどの他の形式の風力エネルギー捕捉装置は、風力エネルギー変換装置として、その一部として、及び/又はその内部で使用される。
【0103】
装置の構造体は、装置が使用時構成である場合に、比較的薄いフレーム枠のみが波領域に入るように設計され、装置上への波浪荷重が低減する。
【0104】
暴風に耐えるために、波エネルギー変換装置のフロートは、浮体式プラットフォームの主要構造に接して格納することができ、フロート/プラットフォームと風力タービン塔との間に大きな間隙が残り、大きな押し寄せる高潮は、装置上への負荷が最小の状態でここを通過することができる。
【0105】
説明されている実施形態に示す深さ設定部材は、高い安定性をバージプラットフォームにもたらすために4本の垂直係留索及び4本の傾斜係留索を備える。追加の実施形態を認識することができ、他の係留レイアウトも可能である。
【0106】
図示の実施形態のエネルギー伝送手段は、電力を装置から水中エネルギー貯蔵部材に送出する電力供給パイプラインの形を取り、図示する実施形態において水中エネルギー貯蔵部材は接続箱である。さらなるケーブル(図示せず)は、エネルギーを接続箱から陸地に送給する。
【0107】
図3に示す輸送構成において、装置の全ての可動部及び連結部材は、水域の表面より上にあり保守のためにアクセス可能である。浮体式プラットフォーム上のフロートは、図示の実施形態において浮力タンクであり、装置全体を浮かせるのに必要な浮力をもたらし、固定浮力式である。別の実施形態を認識することができ、浮体式プラットフォームの浮体式部分は、固定浮力式又は可変浮力式である。
【0108】
輸送構成の間、装置が所望の場所にあり、電力供給パイプラインが接続されている場合、風力タービンは、波エネルギー変換装置の非作動時に作動し続けることができる。これによって、例えば、風力タービンが依然として発電している間に波エネルギー変換装置の保守を行うことができる。
【0109】
図4で説明及び図示した使用時構成において、浮体式プラットフォームは、波エネルギー変換装置が機能してエネルギーを生成するのを可能にする高さに沈んでいる。波エネルギー変換装置は、水域の表面上又はその近くとすることができ、波によって動かすことができる。風力タービンは、この構成では海水から離れており、波エネルギー変換装置が電力を生成し続けている間に保守のためにアクセス可能である
【0110】
種々の実施形態を認識することができ、深さ設定部材又は深さ設定部材の部品は、装置を現場へ輸送する前に所望の場所に事前に設置されている。このような例示的な状況において、装置を輸送構成から使用時構成に展開するために、装置は、それぞれの固定部材によって水域の海底に取り付けされている事前に設置された係留索に接続される。係留索は、深さ設定部材上のウインチによって長さが調整される。ウインチは、浮体式プラットフォームを所要の深さに配置するために、浮体式プラットフォームの浮体式部分の浮力に打ち勝って、浮体式プラットフォームを水域の海面下に引き込むために係留索を巻き取る。
【0111】
暴風時構成において、波エネルギー変換装置のフロートは、さらに水中に引き込まれ、好ましくは浮体式プラットフォームに接してしっかり固定される。暴風時構成での水中のフロートの深さは、そうでなければ高潮で海面上で又はその近くに生じる可能性がある大きな力からフロートを保護するようになっている。連結部材は、水域の表面を通って突出し、連結部材は、表面よりも上方に十分に高いので、高潮は、風力タービン塔に到達することができない。従って、高潮に晒されることがある装置の唯一の部分は、連結部材のフレーム枠であり、これは、格子構造体で作製され、波が高い力を生じることなく構造体を自由に通過するのを可能にする薄肉断面のビームを備える。
【0112】
図1~
図5に示す実施形態の別の実施形態を
図10a及び
図10bに示す。
図10aにおいて、風力タービン3のナセル5は、機械室10内のエネルギー変換装置18までマスト6を降下する駆動軸20を回転させる歯車装置19を収容する。エネルギー変換装置18は、典型的には回転式発電機とすることができる。
【0113】
図10bにおいて、風力エネルギー変換装置及び波エネルギー変換装置15、16、17は、風力エネルギー及び波エネルギーを液圧エネルギー又は機械エネルギーなどの中間形態のエネルギーにそれぞれ変換し、次に、中間形態のエネルギーは、液圧手段又は機械的手段によって機械室10に伝達され、機械室10内に収納されたエネルギー発生装置18に伝達される。これは、作業が容易で(例えば、海中ではない)、保守のためにアクセスが容易な(例えば、海中ではなく、風力タービンマストの頂部でもない)1つの場所に多くの複雑な機械が収容されるという利点をもたらう。
【0114】
浮体式プラットフォーム7及び連結部材9は、実質的に矩形の格子フレーム枠21を備え、浮力室22は、ほぼ格子フレーム枠21の隅部の各々に配置されている。浮力室22は、装置が正味正浮力を有することを保証する。装置の例示的な実施形態は、実質的に矩形のプラットフォーム7で示されるが、三角形又は円形などの他の形状が可能であることを認識することができる。
【0115】
装置は、装置によって生成されたエネルギーを海中コネクタ24に伝送するように構成された電力送出ケーブル23をさらに備える。海中コネクタ24は、典型的には固定海底ケーブル(図示せず)又はエネルギー貯蔵手段(図示せず)にさらに接続される。
【0116】
図11を参照すると、本発明の別の実施形態が示されている。別の実施形態は、風力タービン3から機械室10へのエネルギー伝達機構を除き、全体的に
図10a及び
図10bに示す実施形態と類似している。
【0117】
本発明の別の実施形態は、第1の実施形態の駆動軸20の代わりにタービンマスト6の内部を降下する駆動ベルト25を使用する。駆動ベルト25は、タービンのナセル5内のプーリー26によって駆動され、機械室10内の別のプーリー27に接続され、別のプーリー27は、回転式エネルギー変換装置18を回転させる。
【0118】
ベルト駆動装置は、チェーン駆動装置の代わりに使用することができ、非常に類似の方法で作動することを認識することができる。
【0119】
風力タービン3及び波エネルギー変換装置8から機械室10へのエネルギー伝達機構は、液圧式である実施形態を認識することができる。液圧シスムは、風力タービン3の回転エネルギーを液圧エネルギーに変換するナセル5内の液圧発生機を使用することができ、この液圧エネルギーは、マスト6の内部を降下する液圧管路によって機械室10のエネルギー変換装置18に伝達される。
【0120】
波エネルギー変換装置8は、結合部材16を液圧発生機(図示せず)に直接案内する隅部プーリー17を備える。液圧発生機は、機械室10の2次エネルギー変換装置に液圧管路で接続される。
【0121】
図10bに示す別の実施形態は、風力タービン3及び波エネルギー変換装置8からの液圧エネルギーを電気に変換する共通の2次エネルギー変換装置を利用することができる。
【0122】
上述の実施形態において、風力エネルギー変換装置は水平軸風力タービンを備える。
図13に示す実施形態などの別の例示的な実施形態を認識することができ、風力エネルギー変換装置は、垂直軸風力タービンを備える。
【0123】
上述の実施形態は、単なる例示として示されており、様々な修正を、特許請求の範囲に定義される本発明の範囲から逸脱することなく行うことができることを認識されたい。記載されているハウジングは、風力エネルギー変換部又は波エネルギー変換部の一方、又は両方の全て又はその一部を収容することができる。波エネルギー変換部は、場合によっては、保守要件によってハウジング内に位置する最重要構成要素とすることができる。
【符号の説明】
【0124】
3 風力タービン
4 ブレード
5 ナセル
6 マスト
7 浮体式プラットフォーム
8 波エネルギー変換装置
9 連結部材
10 ハウジング
11 係留装置
12 固定部材
13 係留索
14 深さ設定手段
15 フロート
16 結合部材
17 プーリー
21 格子フレーム枠
22 浮力室
23 電力送出ケーブル
24 海中コネクタ
100 浮体式エネルギー変換装置