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特許7446258リモート医事サービス提供方法、医事支援用プログラム、および医事支援システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-29
(45)【発行日】2024-03-08
(54)【発明の名称】リモート医事サービス提供方法、医事支援用プログラム、および医事支援システム
(51)【国際特許分類】
   G16H 40/00 20180101AFI20240301BHJP
【FI】
G16H40/00
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021076198
(22)【出願日】2021-04-28
(65)【公開番号】P2022170215
(43)【公開日】2022-11-10
【審査請求日】2022-06-21
(73)【特許権者】
【識別番号】399035043
【氏名又は名称】株式会社ソラスト
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(72)【発明者】
【氏名】林 英樹
(72)【発明者】
【氏名】大島 健太郎
【審査官】原 秀人
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-018606(JP,A)
【文献】特開2016-191987(JP,A)
【文献】特開2017-120586(JP,A)
【文献】特開2016-218643(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
G06Q 50/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クラウドストレージと一つ又は複数の医事情報システムと複数の医療施設側端末とリモートオペレータ端末とがネットワークで接続されたウェブサーバを含むシステムでリモート医事サービスを提供するリモート医事サービス提供方法であって、
前記クラウドストレージが、セキュア通信環境下において前記医療施設側端末から来院者の医事情報が入力されることに応答して前記医事情報を所定記憶領域へ格納するとともに、前記リモートオペレータ端末の操作に応答して前記所定記憶領域に格納された前記医事情報を前記リモートオペレータ端末へ出力するステップを、備えるリモート医事サービス提供方法であって、
前記医事情報は、保険証の画像データとテキストデータとのうち少なくとも一方を含む保険証デジタルデータを含み、
前記医事情報システムは、医事会計システムを含み、
前記医事会計システムがセキュア通信環境下において前記リモートオペレータ端末の操作に応答して前記リモートオペレータ端末または前記クラウドストレージから前記保険証デジタルデータを受け取るとともに、保険証照会処理を実行し、照会結果を出力するステップを、備えるリモート医事サービス提供方法であり、更に、
ェブサーバが出力するステップは、
前記リモートオペレータ端末の操作に応答して前記複数の医療施設側端末のインターフェイス画面を前記リモートオペレータ端末の画面上で切り替えるステップと、
前記複数の医療施設側端末それぞれのインターフェイス画面の表示項目を共通インターフェイス画面に当てはめて、当該共通インターフェイス画面を前記リモートオペレータ端末に表示するステップと、
のうち少なくとも一方のステップを含む、
リモート医事サービス提供方法。
【請求項2】
前記リモートオペレータ端末は、医事センター管理者端末からのアサインに応じて、アサインを受けたものである、
請求項1に記載のリモート医事サービス提供方法。
【請求項3】
前記医事情報は、所定期間の来院者数、又は、来院者一人当たりの診療報酬、を含む、
請求項1又は2に記載のリモート医事サービス提供方法。
【請求項4】
前記リモートオペレータ端末は、作業負荷の少ないリモートオペレータに対して自動アサイン処理された端末である、
請求項1に記載のリモート医事サービス提供方法。
【請求項5】
前記リモートオペレータ端末は、医事センター管理者からのアサインに応じて、アサインを受けたものであって、前記保険証デジタルデータに係る二重登録の確認に利用されるものである、
請求項1に記載のリモート医事サービス提供方法。
【請求項6】
前記ウェブサーバは、演算機能を有する、
請求項1乃至5のいずれか一項に記載のリモート医事サービス提供方法。
【請求項7】
クラウドストレージと一つ又は複数の医事情報システムと複数の医療施設側端末と複数のリモートオペレータ端末とがネットワークで接続されたウェブサーバを含む医事支援システムであって、
前記クラウドストレージが、セキュア通信環境下において前記医療施設側端末から来院者の医事情報が入力されることに応答して前記医事情報を所定記憶領域へ格納するとともに、前記リモートオペレータ端末の操作に応答して前記所定記憶領域に格納された前記医事情報を前記リモートオペレータ端末へ出力する出力部を備え、
前記医事情報は、保険証の画像データとテキストデータとのうち少なくとも一方を含む保険証デジタルデータを含み、
前記医事情報システムは、医事会計システムを含み、
前記医事会計システムがセキュア通信環境下において前記リモートオペレータ端末の操作に応答して前記リモートオペレータ端末または前記クラウドストレージから前記保険証デジタルデータを受け取るとともに、保険証照会処理を実行し、照会結果を出力する出力部を備え、
前記ウェブサーバが、
前記リモートオペレータ端末の操作に応答して前記複数の医療施設側端末のインターフェイス画面を前記リモートオペレータ端末の画面上で切り替える切替部と、
前記複数の医療施設側端末それぞれのインターフェイス画面の表示項目を共通インターフェイス画面に当てはめて、当該共通インターフェイス画面を前記リモートオペレータ端末に表示する表示処理部と、
のうち少なくとも一方を含む、
医事支援システム。
【請求項8】
前記ウェブサーバは、演算機能を有する、
請求項7に記載の医事支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、リモート医事サービス提供方法、医事支援用プログラム、および医事支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特開2021-18812号公報に記載されているように、医事情報を取り扱う各種システムが知られている。医事情報は、機密性確保などの点で慎重な取り扱いが求められる。業務の専門性等に鑑みて、医事情報がオンプレミスサーバを前提として管理され、かつ医事サービスを提供する医事スタッフが個々の医療機関に常駐するという運用が常識的であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2021-18812公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
リモート運用は、ネットワークを介して遠隔地からサービスを提供できる利点がある。しかしながら、医事サービスのリモート運用にあたっては、特殊な事情がある。特殊な事情とは、一定の安全管理ガイドラインを遵守する必要があるということである。安全管理ガイドラインを遵守したリモート運用を構築することは様々な困難を伴うので、現実的には、依然としてオンプレミス運用に頼らざるを得ない実情があった。
【0005】
本開示は、安全管理ガイドラインに沿う実用的なリモート運用を実施できるリモート医事サービス提供方法、医事支援用プログラム、および医事支援システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
リモート医事サービス提供方法の一態様は、クラウドストレージと一つ又は複数の医事情報システムと医療施設側端末とリモートオペレータ端末とがネットワークで接続されたシステムでリモート医事サービスを提供するリモート医事サービス提供方法であって、前記クラウドストレージが、セキュア通信環境下において前記医療施設側端末から来院者の医事情報が入力されることに応答して前記医事情報を所定記憶領域へ格納するとともに、前記リモートオペレータ端末の操作に応答して前記所定記憶領域に格納された前記医事情報を前記リモートオペレータ端末へ出力するステップを、備える。
【0007】
医事支援用プログラムの一態様は、ウェブサーバが提供するクラウドコンピューティングによる医事支援を行うための医事支援用プログラムであって、前記ウェブサーバに、複数の医療機関とセキュア通信環境で接続した状態で、前記複数の医療機関それぞれから医事情報を収集し、前記複数の医療機関ごとに区別した状態で前記医事情報をクラウドストレージに格納する収集格納ステップと、外部端末の操作に応答して、前記クラウドストレージに格納した前記医事情報を、セキュア通信環境下で前記外部端末に出力する出力ステップと、を実行させるためのものである。
【0008】
医事支援システムの一態様は、ウェブサーバにおけるクラウドコンピューティングによる医事支援を行うための医事支援システムであって、前記ウェブサーバは、複数の医療機関とセキュア通信環境で接続した状態で、前記複数の医療機関それぞれから医事情報を収集し、前記複数の医療機関ごとに区別した状態で前記医事情報をクラウドストレージに格納し、外部端末の操作に応答して、前記クラウドストレージに格納した前記医事情報を、セキュア通信環境下で前記端末に出力する、ように構築される。
【発明の効果】
【0009】
安全管理ガイドラインに沿う実用的なリモート運用を実施できるリモート医事サービス提供方法、医事支援用プログラム、および医事支援システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】医事支援システムの構成を表す図である。
図2】医事支援システムの構成を表す図である。
図3】医事支援システムの構成を表す図である。
図4】医事支援システムの機能を説明するための図である。
図5】医事支援システムの機能を説明するための図である。
図6】リモート医事サービス提供方法(初診フローの一例)を表すフロー図である。
図7】リモート医事サービス提供方法(初診フローの他の例)を表すフロー図である。
図8】リモート医事サービス提供方法(初診フローの他の例)を表すフロー図である。
図9】リモート医事サービス提供方法(再診フローの例)を表すフロー図である。
図10】リモート医事サービス提供方法(再診フローの例)表すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示の「医療機関」とは、医療を提供する施設を示す。具体的には、医療機関は、病院、診療所、介護老人保健施設または調剤を実施する薬局その他の医療を提供する施設(在宅専門施設等)のうち任意の一つであってもよい。医療機関の規模にも限定はなく、小規模、中規模、大規模の各種施設のうち任意の一つでもよく、診療科や病床の数にも限定はなく、例えばクリニックであってもよい。
【0012】
本開示の「医事情報」とは、診察・治療・医学に関する事柄とともに、これに加えて医療機関が取り扱う患者情報、経営に関連する情報、および医療機関での医療サービス提供に密接に関わる情報を含む広い概念である。医療機関には様々な規模のものが含まれ、対象となる患者には年齢性別国籍などを問わずあらゆる者が含まれる。医事情報には、一例として、診療報酬関連情報と予約情報と診察情報と検査情報と電子カルテデータと処方箋とのうち任意の一つ以上の情報が含まれてもよい。診療報酬関連情報とは、診療報酬の算定に使用される各種情報である。具体例を挙げると、診療報酬関連情報は、レセプトデータ(電子レセプトデータ)と、提供された保険医療行為と、DPC(診断した疾患と処置の組み合わせ)とのうち少なくとも一つを含んでもよい。本開示の「診療報酬」は、「医科診療報酬」、「歯科診療報酬」または「調剤報酬」であってもよい。上記の「処方箋」は紙を用いた既存のものを指しているが、変形例として、全く紙を必要としない「電子処方箋」が医事情報に含まれてもよい。
【0013】
本開示の「ネットワーク」は、任意の通信回線を含む。本開示の「ネットワーク」は、有線と無線のいずれの回線でもよく、それらを組み合わせた回線でもよい。本開示の「ネットワーク」は、クラウドストレージ1sとの接続が得られればよく、オープンネットワークとクローズドネットワークとのうちいずれでもよい。本開示の「ネットワーク」は、閉域IP網や、広域イーサネットや、インターネット回線上に構築された仮想プライベートネットワーク(VPN)などを含んでもよい。
【0014】
本開示の「セキュア通信環境」は、第三者の情報読み取りを抑制できる仕組みを持つ通信環境である。セキュア通信環境は、例えば、下記のうち任意の一つ以上の仕組みを用いるものでもよい。セキュア通信環境の一例は、ネットワーク自体がセキュア通信可能なものであってもよく、具体的には例えばクローズドネットワークの通信環境であったり、仮想プライベートネットワーク(VPN)であったりしてもよい。セキュア通信環境の他の例は、データに可読制限を持たせることでセキュア通信を構築したものでもよく、具体的には例えばデータを暗号化して授受する暗号化通信環境であってもよい。「暗号化通信環境」は、任意の暗号化手段を用いたセキュアな通信環境を含んでもよく、例えばSSL(Secure Sockets Layer)によるものでもよい。セキュア通信環境の他の例は、専用アプリケーションでのみ読み込める形態のデータを授受するものでもよい。この専用アプリケーションは、ローカル端末上で動くチャットツールやモバイルメッセンジャーアプリケーションでもよく、あるいはSNS等に類似する形態のウェブアプリケーションであってログインメンバーのみが情報を取得できる形態のものでもよい。
【0015】
本開示の「クラウドストレージ」は、例えば「ドロップボックス」(登録商標)などに代表されるような、オンラインストレージサービスとして提供されてもよい。この種のオンラインストレージサービスは、オンラインストレージとローカルにある複数のコンピュータ間でデータの共有や同期を可能とするものである。所定ローカルフォルダに任意のファイルを追加したり削除したりすることで、ウェブサーバ上のデータがリアルタイムで同期される利点がある。
【0016】
本開示の「医事情報システム」は、医事情報を取り扱う各種システムを幅広く包括する概念である。「医事情報システム」は、電子カルテシステムとレセプトコンピュータシステムと医事会計システムとのうち任意の一種を含んでもよい。以下の説明では、医事会計システムを単に「医事システム」と呼称することがある。一つのシステムが複数の医事情報取扱機能を持つものも本開示の医事情報システムに含まれるものとし、例えば本開示において医事会計処理機能と電子カルテ処理機能とを具備する医事情報システムが使用されてもよい。
【0017】
<<医事支援システムおよびスマート医療パッケージ>>
本開示の主題の一つである医事支援システムについて説明する。図1~3は、実施の形態の医事支援システム1の構成を表す図である。図1に示すように、医事支援システム1はウェブサーバ1aを備える。実施の形態の医事支援システム1は、クラウドコンピューティングシステムを用いたインターネット上のアプリケーションウェブサービスプログラムの形態で提供される。ウェブサーバ1aの演算処理によって医事支援システム1が提供される。
【0018】
医事支援システム1は、一例として、「アマゾン ウェブ サービス」(登録商標)や「AZURE POWER」(登録商標)等に代表されるクラウドコンピューティングサービスを用いて構築されてもよい。クラウドコンピューティングサービスによれば、一つまたは複数のウェブサーバおよび一つまたは複数のデータベース等のコンピュータ資源が、インターネット経由でユーザに提供される。医事支援システム1はこれらのウェブサーバ等のコンピュータ資源上で提供される。当該ウェブサーバが図1のウェブサーバ1aで模式的に表されている。
【0019】
図1に示すように、実施の形態のウェブサーバ1aは、クラウドストレージ1sを備えるとともに、ヘルスケアプラットフォーム1bを提供するように構築されている。
【0020】
ウェブサーバ1aは、セキュア通信環境であるセキュアネットワーク2を介して複数の医療機関10(例として病院10a~10c)と接続されている。ウェブサーバ1aは、複数の医療機関10に設けられたオンプレミスサーバ等の既存システムとの間で、レセプトデータ、予約情報、電子カルテデータなどを送受信する。
【0021】
ヘルスケアプラットフォーム1bは、ウェブサーバ1aに実装された複数のアプリケーションプログラムを含む。ヘルスケアプラットフォーム1bは、一例として、クラウド型医事システム部1b1と、振り分け/切り替え機能部1b2と、電子カルテインターフェイス部1b3と、コミュニケーションツール部1b4と、を持つ。これらの機能部1b1~1b4は、ウェブサーバ1aが各々の専用アプリケーションプログラムを実行することで提供される。なお、ヘルスケアプラットフォーム1bは後述する図3でも更に他の機能部1b5~1b8を提供するが、この点は後述する。振り分け/切り替え機能部1b2は、振り分け処理と振替処理とを実行する。振り分け処理は、複数の医療機関10の医事コンから入力される各タスクをリモート医事センターの担当者へと割り振る処理でもよく、あるいはその各タスクを各担当者に認識させて各担当者に自発的に実施させる処理でもよい。切り替え処理は、上記の振り分け処理を踏まえて、リモート医事センター職員が担当医療機関毎に各担当のレセコンを切り替えることを支援する処理である。この切り替え処理に関連する技術の一例は、後ほど図4および図5を用いて説明される。
【0022】
ウェブサーバ1aは、外部アプリケーション3(例えば患者アプリケーション3aや問診ツール3b)と通信することで、これらと連携する。外部アプリケーション3は、外部端末で実行される。外部端末は、医療機関10の内部スタッフ(例えば受付スタッフや医療スタッフなど)が操作する各種の端末、あるいは患者が持つ各種の端末などである。外部端末のハードウェアに限定はなく、パーソナルコンピュータ、タブレット端末、スマートフォン等の携帯端末、あるいはスマートウォッチ等のウェアラブル端末などであってもよい。
【0023】
ウェブサーバ1aは、予約処理、受付処理、計算処理、会計処理、およびレセプト処理のうち少なくとも1つの処理を含むリモート医事サービスを提供するとともに、これに加えて経営分析や経営支援も提供してもよい。ウェブサーバ1aは、セキュアネットワーク2を介して、少なくとも1つのリモートセンター13と通信するとともに、多数のリモート医事スタッフ14とも通信する。
【0024】
図2を用いて、本開示の主題の一つであるスマート医療パッケージにおけるシステム・ネットワークの概要を述べる。スマート医療パッケージサービスは、医事支援システム1を活用して、「現地での業務委託+ITサポート」と「リモートセンター業務」とを有機的且つ効果的に組み合わせることによって提供される。既存の医事サービスビジネスモデルは、数万人規模の医事スタッフを、主に大規模病院や中規模病院などに常駐させるものが主流であり、小規模病院やクリニックへのサービス提供は手薄となりやすかった。
一方、スマート医療パッケージは、医事スタッフとICTとの組み合わせによって提供されるサービスであり、大規模病院や中規模病院と同様に小規模病院やクリニックへの手厚いサービス提供を可能とするものである。ICTは、例えば、端末用アプリケーション、医事システム、これらとのリモート接続による遠隔サービス、あるいはロボティクスプロセスオートメーション(RPA)といった各種技術のうち任意の一つ以上を含んでもよい。
【0025】
実施の形態では、システム構築において幾つかの要点(ポイント)がある。第一のポイントは、リモート業務フロー実現のためのクラウドシステムを提供するウェブサーバ1aである。第二のポイントは、ウェブサーバ1a(つまりクラウドシステム・データセンター)と医療機関10とをつなぐセキュアネットワーク2である。第三のポイントは、リモートセンター13の高度なセキュリティである。第四のポイントは、円滑なサポートのためのコミュニケーションツール13aである。
【0026】
図2に示すように、クラウドシステム(あるいはデータセンター)としてのウェブサーバ1aは、医療機関10とセキュアネットワークで通信し、リモートセンター13ともセキュアネットワークで通信する。
【0027】
ウェブサーバ1aは、リモート業務フロー実現のためのクラウドシステムである。システムの初期導入コスト低減とサポート品質の均質化のため、クラウドシステム提供が原則とされる。リモートセンター13では、ロボティクスプロセスオートメーション(RPA)等の技術を活用し、業務効率化・スピードUPが徹底されてもよい。ウェブサーバ1aは、セキュアネットワーク2を介して、複数の医療機関10それぞれから医事情報を収集する。収集される医事情報は、医療機関10に登録された患者アカウントに紐付けられている。ウェブサーバ1aは、収集した医事情報を、複数の医療機関10ごとに区別した状態でクラウドストレージ1sに格納する。ウェブサーバ1aは、外部端末の操作に応答して、クラウドストレージ1sに格納した医事情報を、セキュアネットワーク2を介してこの外部端末に出力する。「外部端末」は、具体例としては、医療施設10に設けられた医療施設側端末や、リモートセンター13に所属するスタッフ(例えば管理スタッフや作業スタッフ等)の端末、あるいはリモート医事スタッフ14の端末などである。「操作」は、既に述べたように手動操作と自動操作とを問わない。
【0028】
医療機関10には、オンプレミスサーバで構築された既存システム12や医療機器12aが備え付けられている。医療機関10には、各種システム15が設けられている。各種システム15は、医事サービス、オーダー、電子カルテについての処理機能を持つ基幹システムや、AI問診、オンライン診療などの機能を持つ医療システムを含んでいる。これらは医療機関10のクローズドネットワーク11で相互接続されている。クラウドシステムとオンプレミスシステムとの連携を行うに当たり、医療機関10の内外がセキュアネットワーク2で接続される。
【0029】
ウェブサーバ1a(クラウド環境)と院内外をつなぐセキュアネットワーク2が提供される。SaaS利用に際し、安全にクラウド利用するためのネットワーク(専用線・VPN・TLS通信等)が整備されることが望ましい。
【0030】
医療機関10の院内にオンプレミスシステムが残ることを前提とし、院内外でのシステム連携を行ってもよい。医療機関ごとの従来の独自オンプレミス運用のすべてを完全にクラウド移行することは必ずしも容易ではないし、その必要性も必ずしも高くない。導入時期、完全クラウド化への遷移期間、コストその他の事情によっては、クラウドシステムとオンプレミスシステムの連携のほうが良いケースも多いからである。
【0031】
リモートセンター13におけるシステム構築のポイントは、セキュアな環境の構築と、円滑なサポートを行うためのリモートアクセス可能なコミュニケーションツール13aを整備することである。
【0032】
3省2ガイドラインの要請に耐えうるリモートセンター13のセキュリティ管理が重要である。入退室管理・利用者認証・アクセスログ管理・不正動作抑止・監視等、万全の対策を取ってもよい。
【0033】
現地スタッフ15aとリモートセンタースタッフ13bとの間のコミュニケーションを円滑にするため、電話・チャット等の連絡手段を用意してもよい。リモートデスクトップによるオンラインサポート等、現地サポート以上の手厚いサポートを実施してもよい。ただし、現地スタッフ15aはこのシステムを熟知した自社サポート社員であることを前提としてもよい。
【0034】
図3を用いて、実施の形態のスマート医療パッケージの概要を説明する。図3の上段には、患者Cが受けるスマート医療パッケージサービスの様子が模式的に示されている。図3の中段の「患者」の段には、患者アプリケーション3aにおける情報処理が記載されている。患者アプリケーション3aは、患者Cが携帯するスマートフォン等の患者携帯端末で実行されてもよく、医療機関10で一時的に貸与される何らかの端末で実行されてもよい。図3の中段には、医療機関10におけるフローの一例が記載されている。
【0035】
患者アプリケーション3aは、医療機関10の医療サービス(下記のステップS1~S8)に同期して下記に述べる各種の処理のうち任意の一つを実行してもよい。予約ステップS1において、患者アプリケーション3aは、病院検索処理と、初診、再診、または検査の予約をするための予約処理と、を実行してもよい。受付ステップS2において、患者アプリケーション3aは、初診、再診、または検査の受付をするための受付処理を実行してもよい。問診ステップS3において、患者アプリケーション3aは、AI問診処理を実行してもよい。診察ステップS4において、患者アプリケーション3aは、診察の順番を表示する順番表示処理と、診察室までのルート案内を表示する案内処理と、を実行してもよい。検査ステップS5において、患者アプリケーション3aは、検査結果を表示する処理と、検査結果の推移を表示する処理と、を実行してもよい。なお、入院ステップS6において、ベッドサイドタブレットやウェアラブル端末が患者Cに貸与されてもよい。会計ステップS7において、患者アプリケーション3aは、後払い会計機能等を提供する会計処理を実行する。処方ステップS8において、患者アプリケーション3aは、処方箋情報の送受信を担う送信処理を実行する。
【0036】
患者アプリケーション3aに蓄積される情報は、ウェブサーバ1aに伝達され、クラウドストレージ1sでデータベース管理されてもよい。
【0037】
患者携帯端末で患者アプリケーション3aの各々の処理が実行する仕組みに限定はない。例えば、ウェブサーバ1aのサーバサイドプログラムによって各々の処理が実行され、その処理結果が患者携帯端末に逐次提供されてもよい。
あるいは、患者アプリケーション3aが患者携帯端末にインストールされる専用アプリケーションプログラムの形態で提供されてもよく、各々の処理が患者形態端末の内部で実行されてもよく、その処理結果が必要に応じてウェブサーバ1aのクラウドストレージ1sに送信、格納されてもよい。
【0038】
患者アプリケーション3aの各種情報処理によって、患者Cは、診察で待たなくともよく、診察サポートによる充実した医療体制を受けることができ、会計で待たなくともよいという利点がある。これにより医師、患者ともにストレスフリーな環境で快適な医療サービスが提供される利点がある。
【0039】
図3の下段に示すように、スマート医療パッケージの提供に寄与するヘルスケアプラットフォーム1bは、医療事務機能部1b5と、診察サポート機能部1b6と、経営支援機能部1b7と、IT保守機能部1b8とを提供する。ウェブサーバ1aは、これらの機能部1b5~1b8を提供するための各々の専用アプリケーションプログラムを実行するように構築される。
【0040】
医療事務機能部1b5は、例えば、医療事務のリモート化を支援したり、現場患者対応や問い合わせ対応をしたりする。診察サポート機能部1b6は、例えば、各種医事業務の自動化支援(RPA・画像診断AIの活用など)や、医師事務作業補助や、看護補助などを行う。経営支援機能部1b7は、例えば、病院BIツール(ビジネス・インテリジェンス・ツール)を活用した増収、増患支援や、病診・病病・医療・介護連携のサポート業務を支援するものである。IT保守機能部1b8は、例えば、システムヘルプデスク業務のAIチャットボットや、システムの保守管理・障害対応を支援する各種アプリケーションを含む。
【0041】
患者携帯端末で実行される患者アプリケーション3aには各種情報が蓄積される。蓄積された情報は、ウェブサーバ1aに伝達され、クラウドストレージ1sでデータベース管理されてもよい。例えば診療サポート機能部1b6は、ウェブサーバ1aから個々の患者Cの情報を得て、診療に関連する情報にスピーディかつリアルタイムで利用してもよい。例えば経営支援機能部1b7は、ウェブサーバ1aに蓄積された多数の患者Cの情報に基づいて病院BIツールによる各種経営支援を提供してもよい。
【0042】
図4および図5は、実施の形態の医事支援システム1の機能を説明するための図である。図4および図5には、複数の医事コンベンダーa,bの医事コンに対応するための複数医事コン対応機能部1cが、リモート医事スタッフ14の端末上で実行される様子を示している。
【0043】
図4は、複数医事コン対応機能部1cの一例を表す。図4上段の比較例に示すように、医療機関10d、10eでは、複数の異なる医事コンベンダーa,bから提供される異なる医事システムが使用されている。そこで、実施の形態では、医事コン対応機能部1cの一例として、リモート医事スタッフ14の端末に、医事コン切り替え手段1c1が搭載されてもよい。切り替えタイミングは、個々の患者情報に紐付けられた医療機関情報(診療を受ける医療機関)に応答して当該医療機関で使用される医事コンベンダーa用の画面に自動的に切り替わってもよく、あるいはインターフェイスの所定医事コン切替ボタンを押すことで切り替わってもよい。これにより、リモート医事スタッフ14の端末上で医事コンベンダーa、bのいずれにも容易に対応できる。具体的には、ウェブサーバ1aは、複数の医療機関10d、10eそれぞれで使用される複数種類の医事コン(医療事務コンピュータ)それぞれから医事情報を取得してもよい。さらに、ウェブサーバ1aは、端末の操作に応答して、複数種類の医療事務コンピュータそれぞれのインターフェイス画面をリモート医事スタッフ14の端末の画面上で切り替えてもよい。
【0044】
図5は、複数医事コン対応機能部1cの他の例である。医事コン対応機能部1cの他の例として、ウェブサーバ1aは、共有インターフェイスを提供するためのインターフェイス用プログラム1c2を実行するように構築されてもよい。具体的には、ウェブサーバ1aは、複数種類の医療事務コンピュータa、bそれぞれのインターフェイス画面10d1、10e1の表示項目を共通インターフェイスの画面に当てはめて、当該共通インターフェイス画面を端末画面に表示してもよい。
【0045】
<<リモート医事サービス提供方法>>
次に、図6図10を参照して、本開示の主題の他の一つであるリモート医事サービス提供方法を説明する。図6図10は、実施の形態のリモート医事サービス提供方法のフローを例示している。
【0046】
前提事項として、以下の説明では、医療機関10の受付と、医事センターに所属するオペレータ(例えばリモート医事スタッフ14)と、医事センター管理者(例えばリモートセンター本部13の管理者)と、が登場する。これら三者が自己の端末を操作することで、互いに情報通信が行われる。他の前提事項として、クラウドストレージ1sと「医事情報システム」と「電子カルテシステム」とが、上記三者それぞれの端末の操作に応答して協働することで、リモート医事サービスが提供される。
【0047】
他の前提事項として、実施の形態では、医療施設側端末(受付スタッフの端末)で行われる「操作」や、リモートオペレータ端末(医事センターオペレータつまりリモート医事スタッフの端末)で行われる「操作」は、各スタッフの手動操作を含む。しかしながら、本開示の各ステップにおける「操作」は、「人による手動操作」であってもよいが、これに限定されず、少なくとも一部が自動化されてもよく、「予め設定された自動的な操作(つまり自動操作)」が含まれてもよい。任意の一つ以上のステップが、各種自動化技術によって部分的または完全な自動操作として構築されてもよい。使用される各種自動化技術に限定はない。各種自動化技術は、任意のプログラムでもよく、いわゆるマクロでもよく、RPA(ロボティクスプロセスオートメーション)などの業務自動化ツールでもよく、あらゆる自動化技術を含むものとする。以下はまず手動操作での説明を原則とし、自動操作を適用する例は変形例として後ほど説明する。
【0048】
注意点として、実施の形態のリモート医事サービスは、前述した実施の形態にかかる医事支援システム1とスマート医療パッケージとを前提とするものでもよいが、これに限定されない。つまり「実施の形態にかかる医事支援システム1とスマート医療パッケージ」と「実施の形態のリモート医事サービス」とは、組み合わせて実施してもよいが、互いに切り離して各々を単独に実施してもよいものである。このため、図6図10のフローにおいては、「医事情報システム」は、例えば図1のウェブサーバ1aが提供するクラウド型医事システム部1b1でもよく、あるいはウェブサーバ1aとは独立して提供される他のクラウド型医事システムであってもよい。同様に、「電子カルテシステム」は、例えばウェブサーバ1aが電子カルテインターフェイス部1b3を介して提供する電子カルテシステムでもよいが、これに限定されずに、ウェブサーバ1aとは独立して提供される他のクラウド型電子カルテシステムであってもよい。
【0049】
他の前提事項として、各端末とクラウドストレージ1sと各システムとを結ぶ「ネットワーク」の構成は、実施の形態の冒頭で述べた構成が同様に適用される。また、リモート医事サービス提供方法では、原則として前述した「セキュア通信環境」で医事情報の通信が行われるものとする。図1図2で述べたセキュアネットワーク2が利用されてもよい。
【0050】
図6は、リモート医事サービス提供方法(初診フローの一例)を表すフロー図である。図6のフローでは、まず、患者は、診察申込書に記入し(ステップS10)、これを受付に提出する(ステップS11)。受付スタッフが医療機関内に設置されたスキャナで診察申込書および保険証などをスキャンすると、それらのスキャンデータがクラウドストレージ1sに送信される(ステップS12)。なお、「スキャンデータ」は、スキャンされた画像データそのものでもよいが、これに限定されず、OCRで読み取られたテキスト情報が埋め込まれたPDFデータ等でもよく、OCRで読み取られたテキスト情報のみでもよい。クラウドストレージ1sは、医療機関内のスキャナからスキャンデータを受取り、自己の記憶領域に格納する(ステップS13)。
【0051】
次に、医事センター管理者は、自己の端末で、クラウドストレージ1sに保険証データが存在することを確認したりその保険証データを取り出したりすることができる(ステップS14)。その医事センター管理者によるアサイン(ステップS15)に応じて、アサインを受けた医事センターオペレータは、自己のリモート端末を手動操作して、クラウドストレージ1sに格納されたスキャンデータにアクセスする。クラウドストレージ1sは、医事センターオペレータによるリモート端末の手動操作に応答して、診察受付書および保険証のスキャンデータを、リモート端末に送信する。これによりリモート端末がスキャンデータを受領する(ステップS16)。
【0052】
次に、医事センターオペレータは、保険証確認を実施する(ステップS17)。保険証確認は、医事センターオペレータによるリモート端末の手動操作により、保険証のスキャンデータに基づく情報が医事システムへと入力されることで、医事システムが患者の保険証照会処理の結果を出力するものである。保険証照会処理の結果が医事センターオペレータのリモート端末で受信されると、医事センターオペレータは、二重登録の有無を確認する(ステップS18)。二重登録有りの場合にはチャットツールを使用して受付の端末と確認がされ(ステップS19)、二重登録の解消がされた後に(ステップS20)、新規登録/受付処理(ステップS21)に進む。二重登録無しの場合には、そのまま新規登録/受付処理(ステップS21)に進む。
【0053】
新規登録/受付処理(ステップS21)では、医事センターオペレータが自己の端末(リモート端末)を手動操作することにより、診療申込書に記載された情報が医事システムへと送信される(ステップS22)。次に、初診テンプレートの入力が行われる(ステップS23)。このステップでは、医事センターオペレータの手動操作により、予め項目が定められた初診テンプレートの情報がリモート端末から電子カルテシステムに入力される(ステップS24)。次に、受付一覧ラベルの設定が行われる(ステップS25)。このステップでは、医事センターオペレータの手動操作により、受付一覧ラベルの設定情報がリモート端末から電子カルテシステムに入力される(ステップS26)。次に、医事センターオペレータは、自己のリモート端末から処理終了連絡を送信する(ステップS27)。医事センター管理者は医事センターオペレータからの処理終了連絡を受信する(ステップS28)。以上により図6の初診フローが完了する。
【0054】
図7および図8は、リモート医事サービス提供方法(初診フローの他の例)を表すフロー図である。図7のフローでは、まず、患者が医療機関に来院する(ステップS30)。受付スタッフは、患者の各種医事情報を来院患者から受け取る(ステップS31)。患者の各種医事情報は、保険証、紹介状、診療データや検査データなどである。
医事情報の提供形態は、例えばこれらのうち幾つかの情報が記憶されたCD-Rなどの記憶媒体であってもよく、あるいは紙書類でもよい。受付スタッフは、患者の保険証のスキャンと(ステップS32)、スキャン済みの保険証返却と(ステップS33)、診療申込書の記入依頼および紹介状等のスキャンと(ステップS34)、記入済の診療申込書のスキャンおよびそれらのスキャンデータを新患フォルダへ格納する手動操作と(ステップS35)を行う。ステップS35において新患フォルダにスキャンデータが格納されることに応答して、クラウドストレージ1sはそのスキャンデータを受け取り自己の記憶領域へ格納する。
【0055】
クラウドストレージ1sは、ステップS32、S34、S35でスキャンされたデータを医療機関に設置された機器から受け取る。医事センターに所属するリモート医事スタッフは、自己のリモート端末で、クラウドストレージ1sにデータが格納されたことを確認したりそのデータを取り出したりすることができる(ステップS36)。医事センターに所属するリモート医事スタッフは自己のリモート端末で新患登録手続に関する手動操作を行うとともに、この手動操作に応答して医事システムが新患登録処理を実行する(ステップS37)。新患登録は、患者情報および保険証のみに基づいて行われてもよい。登録後、患者IDがチャットツール等を用いて受付スタッフの端末に報知され(ステップS38)、医事システムにおける受付処理が完了する(ステップS39)。
【0056】
ステップS36~S39と並行して、受付スタッフは、患者に問診票の記入を依頼し(ステップS40)、診察券を作成する(ステップS41)。診察券は、カルテのステータスで確認されてもよい。受付スタッフが記入済の問診票をスキャンすることでスキャンデータが新患フォルダへ格納され(ステップS42)、このスキャンデータはクラウドストレージ1sにも同期される。
【0057】
その後、受付スタッフは患者を待合室へ案内し(ステップS43)、患者は待合室で待機する(ステップS44)。このとき、電子カルテシステムを手動操作することでステータス確認処理が実施され、患者はその際に必要書類の入ったファイルを受け取る。本ステップでは、一例として、図3の診察ステップS4で患者アプリケーション3aが提供する「順番表示」および「診察室までのルート案内」が利用されてもよい。
【0058】
医事センターに所属するリモート医事スタッフは、自己のリモート端末で、クラウドストレージ1sに問診票のスキャンデータが格納されたことを確認したりそのデータを取り出したりすることができる(ステップS45)。医事センターのリモート医事スタッフは、初診カルテ記事の作成、ステータス変更、ラベル操作、およびスキャンデータのカルテ貼り付け、住所・連絡先の追加などをリモート端末で行う(ステップS46)。電子カルテシステムは、このステップS46で入力された情報を記憶する。続いて、医事センターのリモート医事スタッフは、自己のリモート端末を手動操作して、電子カルテシステムに問診票登録およびバイタル登録を行う(ステップS47)。
【0059】
図7のステップS44の次に、図8のフローに進み、患者が診察を受ける(ステップS48)。診察の後、受付は患者からファイルを受け取る(ステップS49)。
【0060】
医事センターでは会計可能患者の確認がされ(ステップS50)、電子カルテシステムで予約票の発行処理が実施され(ステップS51)、医事センターのリモート医事スタッフがカルテ内容を確認する(ステップS52)。ここで、紹介状がある場合や処方箋をFAXする場合には、チャットツールで受付スタッフへ医事センター側から報知がなされる(ステップS53)。続いてリモート医事スタッフは自己のリモート端末を手動操作して医事システムでオーダー取り込み(ステップS54)およびオーダー内容の確認をする(ステップS55)。この過程で、レセプトコンピュータとしての医事システムが、セキュア通信環境下において医事センタースタッフの端末の手動操作に応答して、オーダーを受け取るとともに、会計書類の発行に必要な情報を出力する。
【0061】
さらに、修正要否の確認をし(ステップS56)、要修正であればオーダー内容の修正をする(ステップS57)。修正なしであれば、内容に疑義が有るか無いかを確認し(ステップS58)、疑義があれば、チャットツールその他のコミュニケーションツールでドクター等に連絡し、疑義内容の確認・回答を得るとともに(ステップS59)、必要に応じて修正を加える(ステップS60)。疑義無しとなったら登録処理が行われ(ステップS61)、領収書、明細書、処方箋の発行処理が実施される(ステップS62)。この過程で、電子カルテシステムが、セキュア通信環境下において医事センタースタッフの端末の手動操作に応答して、処方箋の発行に必要な情報を出力する。
【0062】
このとき、リモート医事スタッフが、医師からの連絡を必要に応じて受け付けてもよい(ステップS63)。その場合、例えば予約票発行や処方箋発行などの対応をしてもよい(ステップS64)。
【0063】
ステップS62で領収書等の書類の発行処理がされると、そのデジタルデータが例えばクラウドストレージ1sあるいはチャットツール等を介して受付スタッフの端末に送信される。受付スタッフは、それらの書類の押印を行うとともに予約票を確認し(ステップS65)、患者の呼び出しを行い(ステップS66)、会計決済の処理を行う(ステップS67)。以上で図7および図8の初診フローが終了する。
【0064】
図9および図10は、リモート医事サービス提供方法(再診フローの他の例)を表すフロー図である。図9のフローでは、まず、再診のために患者が来院する(ステップS70)。受付スタッフは、必要物品(診察券、保険証、検体など)を患者から受領するとともに、血糖測定器などの準備をする(ステップS71)。受付スタッフが診察券と保険証とをスキャンするとともに血糖測定器の測定データを読み取り、そのスキャンデータと測定データとがクラウドストレージ1sに格納される(ステップS72)。
【0065】
医事センターのリモート医事スタッフは、クラウドストレージ1sにアクセスすることで、スキャンデータと血糖測定器の測定データとを確認したり取り出したりすることができる(ステップS73)。リモート医事スタッフによるリモート端末の手動操作に応答して、医事システムが保険証確認処理を実施し(ステップS74)、電子カルテシステムが受付処理および検査オーダー入力(ステップS75)とカルテ記事コピー(ステップS76)とを実施する。次に、血糖測定器の測定データ等がカルテに貼り付けられ(ステップS77)、バイタルが登録される(ステップS78)。なお、図9では受付で血糖測定器による測定を行っているが、これは一例であり、血糖測定器による測定が省略されてもよい。
【0066】
受付スタッフは、保険証を患者へ返却し(ステップS79)、患者を検査室と診察待合室へ案内する(ステップS80)。このとき、患者には必要書類のファイルが渡される。本ステップでは、一例として、図3の診察ステップS4で患者アプリケーション3aが提供する「順番表示」および「診察室までのルート案内」が利用されてもよい。
【0067】
その後、患者は検査(ステップS81)および診察(ステップS82)を受ける。その後、受付スタッフは、患者からファイルを受け取る(ステップS83)。
【0068】
その後、図9の後段および図10にわたって、図8のフローと同様のステップS50~S67が実施される。以上で図9および図10の再診フローが終了する。
【0069】
医療機関10には、出力機器が設置される。出力機器とは、プリンタや複合機などを含む、様々な情報出力機器である。出力機器が、所定フォルダに電子ファイルが新規に格納されたときに当該電子ファイルを自動的に印刷するように構築されてもよい。一例として、任意に設定した処理の完了に応答して、クラウドストレージ1sの所定フォルダ(例えば共有フォルダ)に格納された電子ファイルを自動的に印刷するように出力機器が構築されてもよい。任意に設定した処理は、例えば保険証照会処理(ステップS17など)およびカルテ照会処理(ステップS52)などでもよい。これにより、後続のステップで必要となる各種書類が自動的に印刷されるようにしてもよい。
【0070】
図6図10のフローにおいて、医療施設側端末(受付スタッフの端末)やリモートオペレータ端末(リモート医事スタッフの端末)で行われる「操作」は、各スタッフの手動操作であってもよく、あるいはその少なくとも一部が自動化された自動操作であってもよい。クラウドストレージ1sや医事システムに対する各端末の情報入出力についても、手動操作でもよく、あるいはその少なくとも一部が自動化された自動操作であってもよい。
【0071】
以下、自動操作あるいは自動情報入出力に関する変形例を説明する。
【0072】
実施の形態の幾つかのステップ(S13、S35、S42、S72)において、クラウドストレージ1sが、セキュア通信環境下において受付スタッフの端末から来院者の医事情報が入力されることに応答して医事情報を所定記憶領域へ格納する。この情報入力を自動化する一例として、患者アプリケーション3aに保険証データや紹介状データや診療申込書データなどが入力されていて、それらの各データを受付に設置した端末で取得するかあるいは事前にウェブアプリケーションを介して取得してもよく、取得データがクラウドストレージ1sへ自動転送されてもよく、これらによりステップS31、S32、S34、S35の一連の処理が自動化されてもよい。このとき、予め設定された患者識別情報が読み取りデータのファイル名等に埋め込まれてもよい。患者識別情報は、例えば患者氏名、生年月日、顔画像、マイナンバー(登録商標)などでもよい。一例として、クラウドストレージ1sの共有フォルダに上記取得データが患者識別情報付きで格納されることに応答して、ステップS37、S39の処理を自動化するように、クラウドストレージ1sから医事システムへ自動で情報入出力が行われてもよい。一例として、ステップS47のバイタル登録は、患者に貸与した計測機器やウェアラブル端末から送信されるバイタルデータが自動的に取り込まれ、これがクラウドストレージ1sを介してまたはこれを介さずに直接に電子カルテ47に入力されてもよい。
【0073】
一例として、受付案内ロボット(例えば会話ロボットやアバターロボット等)により受付を無人化してもよく、これに伴って、図6図10における受付業務を自動化してもよい。この場合の自動化は、例えば、ステップS31~S35において受付案内ロボットが必要データの受領をし、その情報を自動的にクラウドストレージ1sに格納するものでもよい。他の例として、問診票記入(ステップS40)が、受付案内ロボットが患者と対話したりあるいは患者の顔面を画像認識することで体温計測等の健康情報を読み取るような形式で行われてもよく、その読み取り情報が自動的にクラウドストレージ1sに転送されてもよい。その後のステップS41では、診察カードの形態あるいは患者アプリケーション3aへのデジタル診察券発行の形態などで、診察券の自動発行処理を行ってもよい。受付案内ロボットは、医事支援システム1にネットワークを介してセキュア通信環境で連携されてもよい。
【0074】
実施の形態では、幾つかのステップ(S16、S36、S45、S73)において、リモート医事スタッフ14の端末(リモートオペレータ端末)の手動操作に応答して、クラウドストレージ1sが自己の所定記憶領域に格納された医事情報をリモート医事スタッフ14の端末へ出力する。これらのステップの手動操作に代えて自動操作が適用されてもよい。一例として、ステップS16の前後の一連のステップを自動化するために、ステップS15が、クラウドストレージ1sへの保険証スキャンデータの入力(ステップS14)に応答して作業負荷の少ないスタッフへ自動的にアサインをする自動アサイン処理とされてもよい。あるいは、ステップS16~S18を代替する自動操作が、アサインを受けたスタッフのオペレータ端末を介して保険証データが医事システムに対して自動的に照会されるように構築されてもよい。あるいは、ステップS16~S18を代替する自動操作が、オペレータ端末を介さずに、クラウドストレージ1sから保険証データが医事システムに対して自動的に照会され、アサインされたスタッフのオペレータ端末にその照会結果が自動出力されるように構築されてもよい。他の例として、ステップS36、S45、S73を代替する自動操作が、クラウドストレージ1sへの各種データの入力に応答してリモートオペレータ端末がその各種データを自動取得および自動判別するとともに、その各種データに基づいて医事システムや電子カルテシステムに対して登録、照会、更新または削除などの処理をおこなわせるように構築されてもよい。
【0075】
実施の形態では、幾つかのステップ(S18、S22、S24、S26、S37、S39、S46、S47、S50~S55、S74、S75)において、医事システムが、セキュア通信環境下においてリモート医事スタッフ14の端末の手動操作に応答して、リモート医事スタッフ14の端末との間で医事情報の送受信をする(送受信ステップ)。これらのステップの手動操作に代えて自動操作が適用されてもよい。一例として、ステップS22、S23、S25を代替する自動操作が、直前のステップで二重登録無しの確認または二重登録の解消をされたことを作動条件として、保険証や診療申込書等に基づく各種データを医事システムや電子カルテシステムへと自動的に登録・設定するように構築されてもよい。この「送受信ステップ」は、来院予約と外来受付と会計処理とレセプト処理と処方箋照会処理とのうち任意の一つの処理に必要な情報を送受信するものでもよい。
【0076】
一例として、ステップS50~S67などにかかる会計処理でも、その少なくとも一部に自動操作が適用されてもよい。例えば、ステップS50の会計可能患者の確認は、患者が診察(ステップS48)を終了したことが確認された場合に、患者の今回の受付番号または患者識別情報などが自動で医事センター側のシステムに送信されてもよい。診察終了の確認は、一例として、診察を担当したドクターからの報知あるいは患者が診察室を出て受付などに戻ったことなどを、任意の確認手段で特定してもよい。任意の確認手段は、一例として、患者が所持するファイル内のコード(バーコードやQRコード(登録商標)でもよい)を、受付のコード読取機(受付案内ロボットに設けてもよい)で読み取るものでもよい。他の例として、任意の確認手段は、患者アプリケーション3aによる非接触位置情報読み取り手段で医療機関10の院内の位置情報を確認することで、診察完了後に受付に戻ったことを自動判定するものでもよい。これらの機能は、医事支援システム1の一機能として提供されてもよい。上記の処理で会計可能患者が確認されたら、ステップS51~S62の一連の処理を、プログラム、マクロ、またはRPA等を用いて人手を介さずに自動化してもよい。ステップS52、S55、S56、S58における確認・判定の処理は、予め設定した基準データとの照合処理を実施することで自動化されてもよい。ステップS56で要修正があったり、ステップS58で疑義があったりした場合に限り、医事センターオペレータの端末あるいはドクターの端末にメッセージが報知されるようにしてもよい。ステップS65、S66では、受付に設置した呼び出し用電子掲示板に患者の受付番号を表示したり、受付案内ロボットによって例えば音声案内等で患者の呼び出しを行ったり、患者アプリケーション3aで振動またはアラーム等の報知を行ったりするなどの処理で、自動化されてもよい。あるいは、患者アプリケーション3aに電子マネー、クレジットカード、あるいは自動口座引落等による支払い機能を付与してもよく、これにより自動会計が行われてもよい。
【0077】
上記ステップS12~S21の一連の処理について、送信側ハードウェアの入力操作に応答した受信側ハードウェアの処理動作が完全に自動化されていてもよい。ステップS12~S21それぞれの間の情報伝達処理において、送信側ハードウェアの入力操作に応答した受信側ハードウェアの処理動作が自動化されていてもよい。例えば、ステップS16の処理に応答して、フォルダに保険証に係るPDFファイルが入ったら随時患者の2重登録有無の確認、新患登録をする処理が実行されてもよく、これによりステップS16とステップS21との間が自動化されてもよい。上述した自動操作を構築する手段は、RPA(ロボティクスプロセスオートメーション)による自動化ロボットが担ってもよい。
【0078】
以上説明した実施の形態によれば、様々な利点や様々な特徴的構成が提供される。この点について以下説明する。
【0079】
以上説明した実施の形態およびその変形例によれば、「医事支援システム1」とこれを提供するためにウェブサーバ1aで実行される「医事支援用プログラム」、および「リモート医事サービス提供方法」が提供され、安全管理ガイドラインの各種要求事項に適合させつつ実用的で効果的なリモート運用を実施することができる。安全管理ガイドラインの代表的なものは、「3省2ガイドライン」である。3省2ガイドラインとは、厚生労働省の「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」と、総務省・経済産業省の「医療情報を取り扱う情報システム・サービスの提供事業者における安全管理ガイドライン」とである。リモート運用はネットワークを介して遠隔地からサービスを提供できる。既存の医事サービスと比較すると、リモート運用によって物理的距離の制限を受けず人的資源配分などの自由度を飛躍的に向上できる利点がある。
【0080】
実施の形態の利点の一例として、医事支援システム1によれば、情報通信技術(ICT)を活用して、好適化された処理手順で、安全管理ガイドラインを満たすセキュリティレベルで、医事支援サービスを提供することができる。
【0081】
具体的には、図1図2の医事支援システム1では、ウェブサーバ1aが、様々な医事情報をクラウドストレージ1sに格納することができる(収集格納ステップ)。ウェブサーバ1aは、複数の医療機関10ごとに区別しつつ医事情報を収集し、クラウドストレージ1sに格納する。さらに、ウェブサーバ1aは、外部端末の操作に応答して、格納された医事情報を外部端末に出力できる(出力ステップ)。これらの情報入出力は、複数の医療機関10とクラウドストレージ1sと外部端末とがセキュアネットワーク2で接続した状態で実施される。
【0082】
ウェブサーバ1aによる収集対象となる医事情報は、来院予約データとレセプトデータとの少なくとも一方を含んでもよい。これにより医療事務を支援するプラットフォーム(医療事務機能部1b5)が提供される利点がある。
【0083】
ウェブサーバ1aによる収集対象となる医事情報は、電子カルテデータと処方箋との少なくとも一方を含んでもよい。これにより診療サポートのためのプラットフォーム(診療サポート機能部1b6)が提供される利点がある。
【0084】
実施の形態の特徴の一つとして、ウェブサーバ1aが、医事情報に基づいて複数の医療機関10ごとの経営支援情報を計算してもよい点が挙げられる。つまり、収集対象となる医事情報は、経営支援情報を含んでもよい。「経営支援情報」は、一例として、各種の来院統計情報を含んでもよい。来院統計情報は、累積来院者数や所定期間の来院者数などであってもよい。「経営支援情報」は、一例として、来院者一人あたりの診療報酬や、来院者ごとの診療内容の傾向、分布、偏りなどを含んでもよい。これにより経営支援のためのプラットフォーム(経営支援機能部1b7)が提供される利点がある。
【0085】
実施の形態の特徴の他の一つとして、ウェブサーバ1aが、複数の医療機関10のIT保守情報を収集し、複数の医療機関10ごとに区別した状態でIT保守情報をクラウドストレージ1sに格納してもよい点が挙げられる。これによりIT保守プラットフォーム(IT保守機能部1b8)が提供される利点がある。IT保守情報は、一例として、医療機関10のネットワーク通信環境の不調や、医療機関10に設置された機器の動作不調、医療機関10で新規導入したオンライン診療アプリケーションの不調など、であってもよい。インターネット経由あるいは電話自動受付サービスなどから収集した情報を、クラウドストレージ1sで一元管理してもよい。
【0086】
実施の形態の利点の他の一つとして、図4および図5で説明した複数医事コン対応機能部1cによれば、様々な医療機関10の様々な医事コンピュータが混在していたとしても、リモート医事スタッフ14が正確かつ容易に手動操作を行うことができる。これによりリモート医事スタッフ14に高い熟練度を要求しなくてもよくなる等の利点がある。
【0087】
実施の形態の特徴の他の一つとして、図6図10で説明したリモート医事サービスによれば、クラウドストレージ1sと一つ又は複数の医事システムと医療施設側端末(受付スタッフの端末)とリモートオペレータ端末(リモート医事スタッフ14の端末、またはリモートセンター13の医事スタッフ若しくは管理者の端末)とがネットワークで接続されたシステムでリモート医事サービスを提供することができる。
【0088】
しかも、リモート且つセキュアな環境で、端末の操作(つまり実施の形態の手動操作または変形例の自動操作)によって、クラウドストレージ1sと医事システムと端末との間での情報伝達、各種照会、各種登録設定あるいは会計などの任意の作業を安全に行うことができる。これにより、情報通信技術(ICT)を活用して、好適化された処理手順で、医事情報の安全な取り扱いの要求基準を満たすセキュリティレベルで、リモート医事サービスを提供することができる。さらに、手動操作の少なくとも一部を自動操作に代替した場合には、スタッフの作業負担が飛躍的に減少し、患者へのサービス提供効率も向上する利点がある。
【0089】
ここで、もし仮に暗号化圧縮ファイルを電子メール等で逐一やりとりする方法で医事情報を取り扱うとするならば、多数の来院患者それぞれの受付データを、少ない人員で効率よく且つ正確に取り扱うことは難しい。この点、クラウドストレージ1sは、そのデータ授受の過程で自動的に暗号化/復号化がされるという特徴を持つ。クラウドストレージ1sが介在することで、ストレージ領域に電子ファイルが格納されたことに応じて作業者のデータ授受をスムース且つ正確に遂行することができる。公的ガイドラインとの関係では、厚生労働省ガイドラインによれば、ネットワークを利用して外部と医療情報を交換する場合、送信元から送信先に確実に情報を送り届ける必要があり、「送付すべき相手に」、「正しい内容を」、「内容を覗き見されない方法で」送付しなければならない(「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」全ての医療機関等の管理者向け読本の第15ページ参照)。クラウドストレージ1sは、アクセスできる者も容易に限定でき、セキュアな環境が確保されている。このため、作業効率の向上という利点とともに、上記ガイドライン要求を満たしやすい利点がある。
【0090】
実施の形態の特徴の一つとして、図6図10におけるリモート医事サービス提供方法において、クラウドストレージ1sと医事システムと複数の外部端末とが全体として「セキュアで且つ高い作業効率を持つ実用的なリモート運用」という課題を解決するための技術的手段を構成している。
【符号の説明】
【0091】
1 医事支援システム、1a ウェブサーバ、1b ヘルスケアプラットフォーム、1b1 機能部(クラウド型医事システム部)、1b2 機能部(振り分け/切り替え機能部)、1b3 機能部(電子カルテインターフェイス部)、1b4 機能部(コミュニケーションツール部)、1b5 機能部(医療事務機能部)、1b6 機能部(診察サポート機能部)、1b7 機能部(経営支援機能部)、1b8 機能部(IT保守機能部)、1c 複数医事コン対応機能部、1c1 医事コン切り替え手段、1c2 インターフェイス用プログラム、1s クラウドストレージ、2 セキュアネットワーク、3 外部アプリケーション、3a 患者アプリケーション、3b 問診ツール、10、10a~10e 医療機関、10d1、10e1 インターフェイス画面、11 クローズドネットワーク、12 既存システム、12a 医療機器、13 リモートセンター(リモートセンター本部)、13a コミュニケーションツール、13b リモートセンタースタッフ(リモート医事スタッフ))、14 リモート医事スタッフ、15 各種システム、15a 現地スタッフ、C 患者
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10