(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-29
(45)【発行日】2024-03-08
(54)【発明の名称】成形装置
(51)【国際特許分類】
B21D 26/033 20110101AFI20240301BHJP
【FI】
B21D26/033
(21)【出願番号】P 2021176384
(22)【出願日】2021-10-28
(62)【分割の表示】P 2019205663の分割
【原出願日】2015-03-31
【審査請求日】2021-11-08
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162640
【氏名又は名称】柳 康樹
(74)【代理人】
【識別番号】100223424
【氏名又は名称】和田 雄二
(74)【代理人】
【識別番号】100165526
【氏名又は名称】阿部 寛
(72)【発明者】
【氏名】雑賀 雅之
(72)【発明者】
【氏名】石塚 正之
(72)【発明者】
【氏名】上野 紀条
【審査官】永井 友子
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-000654(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2010-0071555(KR,A)
【文献】特開2005-324209(JP,A)
【文献】特表2011-523375(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 26/033
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属パイプ材料を成形するための金型と、
金属パイプ材料を加熱する加熱部と、
前記加熱部で加熱した前記金属パイプ材料に気体を供給して膨張させる気体供給部と、
前記金型に設けられ、
加熱膨張した前記金属パイプ材料を
金型に水を循環させることによって焼き入れする
焼き入れ機構と、
前記金型に設けられ、金型温度を検出するための温度検出部と、を備える成形装置。
【請求項2】
前記金型は少なくとも上型及び下型を有し、
前記
焼き入れ機構は、前記上型に設けられた上型冷却水通路と、前記下型に設けられた下型冷却水通路と、を有し、
前記上型及び前記下型には、それぞれの金型温度を検出する前記温度検出部がそれぞれ設けられる、請求項1に記載の成形装置。
【請求項3】
前記温度検出部は、前記金型の内部に設けられる、請求項1又は2に記載の成形装置。
【請求項4】
前記温度検出部の先端は、金型断面視において、前記金型の中央に位置するように設けられる、請求項1~3の何れか一項に記載の成形装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、金属パイプを金型により型閉してブロー成形する成形装置が知られている。例えば、特許文献1に開示された成形装置は、金型と、金属パイプ材料内に気体を供給する気体供給部と、を備えている。この成形装置では、金属パイプ材料内を金型内に配置し、金型を型閉した状態で金属パイプ材料に気体供給部から気体を供給して膨張させることによって、金属パイプ材料を金型の形状に対応する形状に成形する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の成形装置は、金属パイプ材料を加熱する際に、当該金属パイプ材料の温度を検出する温度検出部を備える。当該温度検出部は、金属パイプ材料と直接接触して温度を検出する。しかしながら、温度検出部が金属パイプ材料と直接接触する場合、接触部分に跡が付く事により外観に影響が及ぼされる可能性があった。従って、成形品の外観上の品質を向上することが求められていた。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、成形品の外観上の品質を向上させることができる成形装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る成形装置は、金属パイプをブロー成形する成形装置であって、金属パイプ材料を加熱する加熱部と、金属パイプ材料に気体を供給して膨張させる気体供給部と、膨張した金属パイプ材料を接触させて金属パイプを成形する金型が取り付けられる金型取付部と、加熱部によって加熱される金属パイプ材料の温度を間接的に検出する温度検出部と、温度検出部の検出結果に基づいて、加熱部を制御する制御部と、を備える。
【0007】
本発明に係る成形装置は、加熱部によって加熱される金属パイプ材料の温度を間接的に検出する温度検出部と、温度検出部の検出結果に基づいて、加熱部を制御する制御部とを備える。制御部が温度検出部の検出結果に基づいて加熱部を制御するため、例えば、金属パイプ材料が異常に加熱されること等を防止できる。ここで、温度検出部は、金属パイプ材料の温度を間接的に検出することができる。従って、温度検出部は、加熱される金属パイプ材料と直接接触することなく温度を検出できるため、金属パイプ材料の表面に跡が付くこと等を防止できる。以上より、成形品の外観上の品質を向上させることができる。
【0008】
本発明に係る成形装置において、金属パイプ材料を保持する保持部を更に備え、温度検出部は、保持部の温度を検出することによって、金属パイプ材料の温度を間接的に検出してよい。保持部は、加熱時の金属パイプ材料と直接接触するため、温度検出部は、実際の金属パイプ材料の温度をより反映した温度を検出することができる。
【0009】
また、本発明に係る成形装置において、金型取付部に取り付けられる金型の分割面を覆うシールド部材を更に備えてよい。このようなシールド部材が設けられる場合、外部から金属パイプ材料の温度を検出することが困難となる。従って、温度検出部によって金属パイプ材料の温度を間接的に検出することの効果が一層顕著となる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、成形品の外観上の品質を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る成形装置を示す概略構成図である。
【
図2】
図1のII-II線に沿うブロー成形金型及び上型、下型保持部の横断面図である。
【
図3】
図1のII-II線に沿うブロー成形金型及び上型、下型保持部の横断面図であって、
図2とは測定位置が異なる温度検出部を示すものである。
【
図4】電極周辺の拡大図であって、(a)は電極が金属パイプ材料を保持した状態を示す図、(b)は電極にシール部材が当接した状態を示す図、(c)は電極の正面図である。
【
図5】電極周辺の拡大図であって、温度検出部の測定位置の一例を示す図である。
【
図6】変形例に係る電極周辺の拡大図であって、温度検出部の測定位置の一例を示す図である。
【
図7】成形装置による製造工程を示す図であって、(a)は金型内に金属パイプ材料がセットされた状態を示す図、(b)は金属パイプ材料が電極に保持された状態を示す図である。
【
図9】ブロー成形金型及び上型ホルダの動作と金属パイプ材料の形状の変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明による成形装置の好適な実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、各図において同一部分又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0013】
〈成形装置の構成〉
図1は、成形装置の概略構成図、
図2は、
図1のII-II線に沿うブロー成形金型及び上型、下型保持部の横断面図である。
図1に示されるように、金属パイプ100(
図8参照)を成形する成形装置10は、互いに対となる下型11及び上型12からなるブロー成形金型13と、下型11を保持するための下型保持部(金型取付部)91及び上型12を保持するための上型保持部(金型取付部)92と、下型11を保持した下型保持部91及び上型12を保持した上型保持部92の少なくとも一方(ここでは、上型保持部92)を移動させる駆動機構80と、下型11と上型12との間で仮想線で示す金属パイプ材料14を保持するパイプ保持機構30と、パイプ保持機構30で保持されている金属パイプ材料14に通電して加熱する加熱機構(加熱部)50と、下型11及び上型12の間に保持され加熱された金属パイプ材料14内に高圧ガス(気体)を供給するための気体供給部60と、パイプ保持機構30で保持された金属パイプ材料14内に気体供給部60からの気体を供給するための一対の気体供給機構40,40と、ブロー成形金型13を強制的に水冷する水循環機構72と、加熱機構50によって加熱される金属パイプ材料14の温度を間接的に検出する温度検出部110と、を備えると共に、上記駆動機構80の駆動、上記パイプ保持機構30の駆動、上記加熱機構50の駆動、及び上記気体供給部60の気体供給をそれぞれ制御する制御部70と、を備えて構成されている。
【0014】
下型11は、下型保持部91を介して大きな基台15に固定されている。下型11は、大きな鋼鉄製ブロックで構成され、その上面(上型12との分割面)に凹部16を備える。
図1及び
図2に示されるように、下型11を保持する下型保持部91は、上から順に、下型11を保持する下型ホルダ93、下型ホルダ93を保持する下ダイホルダ94、下ダイホルダ94を保持する下ダイベースプレート95を重ねて備え、この下ダイベースプレート95が基台15に固定される。
【0015】
さらに、下型11の左右端(
図1における左右端)近傍には電極収納スペース11aが設けられ、当該電極収納スペース11a内に、アクチュエータ(図示しない)によって上下に進退動可能に構成された第1電極17及び第2電極18を備えている。これら第1電極17、第2電極18の上面には、金属パイプ材料14の下側外周面に対応した半円弧状の凹溝17a,18aが形成されていて(
図4(c)参照)、当該凹溝17a,18aの部分に丁度金属パイプ材料14が嵌り込むように載置可能とされている。また、第1,第2電極17,18の正面(金型の外側方向の面)は凹溝17a,18aに向って周囲がテーパー状に傾斜して窪んだテーパー凹面17b,18bが形成されている。また、下型11には冷却水通路19が形成され、略中央に下から差し込まれた熱電対21を備えている。この熱電対21はスプリング22により上下移動自在に支持されている。
【0016】
上型12は、その下面(下型11との分割面)に凹部24を備え、冷却水通路25を内蔵した大きな鋼鉄製ブロックである。
図1及び
図2に示されるように、上型12を保持する上型保持部92は、下から順に、上型12を保持する上型ホルダ96、上型ホルダ96を保持する上ダイホルダ97、上ダイホルダ97を保持する上ダイベースプレート98を重ねて備え、この上ダイベースプレート98がスライド82に固定される。また、上型保持部92が固定されたスライド82は、加圧シリンダ26によって吊られる構成とされ、ガイドシリンダ27によって横振れしないようにガイドされている。
【0017】
上型12の左右端(
図1における左右端)近傍には、下型11と同様な電極収納スペース12aが設けられ、この電極収納スペース12a内には、下型11と同じく、アクチュエータ(図示しない)で上下に進退動可能に構成された第1電極17と第2電極18を備えている。これら第1、第2電極17,18の下面には、金属パイプ材料14の上側外周面に対応した半円弧状の凹溝17a,18aが形成されていて(
図4(c)参照)、当該凹溝17a,18aに丁度金属パイプ材料14が嵌合可能とされている。また、第1,第2電極17,18の正面(金型の外側方向の面)は凹溝17a,18aに向って周囲がテーパー状に傾斜して窪んだテーパー凹面17b,18bが形成されている。よって、上型12側に位置する一対の第1,第2電極17,18もパイプ保持機構30を構成しており、上下一対の第1,第2電極17,18で金属パイプ材料14を上下方向から挟持すると、丁度金属パイプ材料14の外周を全周に渡って密着するように取り囲むことができるように構成されている。なお、可動部である第1電極17、第2電極18を上下動させる各アクチュエータの固定部は、下型保持部91、上型保持部92にそれぞれ保持・固定されている。
【0018】
駆動機構80は、上型12及び下型11同士が合わさるように上型12及び上型保持部92を移動させるスライド82と、上記スライド82を移動させるための駆動力を発生する駆動部81と、上記駆動部81に対する流体量を制御するサーボモータ83とを備えている。駆動部81は、加圧シリンダ26を駆動させる流体(加圧シリンダ26として油圧シリンダを採用する場合は動作油)を当該加圧シリンダ26へ供給する流体供給部によって構成されている。
【0019】
制御部70は、駆動部81のサーボモータ83を制御することによって、加圧シリンダ26へ供給する流体の量を制御することにより、スライド82の移動を制御することができる。なお、駆動部81は、上述のように加圧シリンダ26を介してスライド82に駆動力を付与するものに限られず、例えば、スライド82に駆動部を機械的に接続させてサーボモータ83が発生する駆動力を直接的に又は間接的にスライド82へ付与するものであってもよい。例えば、偏心軸と、偏心軸を回転させる回転力を付与する駆動源(例えば、サーボモータ及び減速機等)と、偏心軸の回転運動を直線運動に変換してスライドを移動させる変換部(例えば、コネクティングロッド又は偏心スリーブ等)と、を有する駆動機構を採用してもよい。なお、本実施形態では、駆動部81がサーボモータ83を備えていなくともよい。
【0020】
図2に示されるように、下型11の上端面及び上型12の下端面には、いずれも段差が設けられている。具体的には、下型11の上端面の中央には、断面矩形状の凹部16が形成され、上型12の下端面の中央で、下型11の凹部16に対向する位置には、断面矩形状の凹部24が形成されている。
【0021】
下型保持部91を構成し下型11を保持する下型ホルダ93は、直方体の上端面93eの中央に、断面矩形状の凹部93aを備えるものであり、この凹部93aの底面93dの中央に設けられた断面矩形状の凹部93c内に、下型11の略下半分を嵌入するようにして保持する。下型ホルダ93の凹部93aを形成する両脇の各凸部93b,93bと、下型ホルダ93の底面93dより上方に突出する下型11の略上半分の側面との間には空間S1,S2がそれぞれ設けられ、この空間S1,S2が、ブロー成形金型13を型閉じした際に、上型ホルダ96の後述する凸部96bが進入する空間とされる。
【0022】
上型保持部92を構成し上型12を保持する上型ホルダ96は、直方体の両側において上側から下側に向けて階段状の段差を2段形成することにより、下方に向けて直方体が段階的に小さくなる段付きブロック状に構成される。この上型ホルダ96の下端面96dの中央には、断面矩形状の凹部96aが形成され、この凹部96a内に、上型12を収容するようにして保持する。上型ホルダ96の凹部96aを形成する両脇の各凸部96b,96bは、上型12の下端面より下方に所定長突出し、ブロー成形金型13を型閉じした際に、下型ホルダ93の空間S1,S2にそれぞれ進入する部分とされる。また、ブロー成形金型13を型閉じした際に、上型ホルダ96の凸部96bの下端面(先端面)96dが、下型ホルダ93の凹部93aの底面93dに当接し、上型ホルダ96の凸部96bの両脇で凸部96bを形成し当該凸部96bの上方に位置する段差面96eが、下型ホルダ93の凸部93bの上端面93eに当接するようになっている。
【0023】
図1に示されるように、加熱機構50は、電源51と、この電源51からそれぞれ延びて第1電極17及び第2電極18に接続している導線52と、この導線52に介設したスイッチ53とを有してなる。制御部70は、上記加熱機構50を制御することによって、金属パイプ材料14を焼入れ温度(AC3変態点温度以上)まで加熱することができる。
【0024】
一対の気体供給機構40の各々は、シリンダユニット42と、シリンダユニット42の作動に合わせて進退動するシリンダロッド43と、シリンダロッド43におけるパイプ保持機構30側の先端に連結されたシール部材44とを有する。シリンダユニット42はブロック41を介して基台15上に載置固定されている。シール部材44の先端には先細となるようにテーパー面45が形成されており、第1,第2電極17,18のテーパー凹面17b,18bに丁度嵌合当接することができる形状に構成されている(
図3参照)。シール部材44には、シリンダユニット42側から先端に向かって延在し、詳しくは
図3(a),(b)に示されるように、気体供給部60から供給された高圧ガスが流れるガス通路46が設けられている。
【0025】
図1に示されるように、気体供給部60は、高圧ガス源61と、この高圧ガス源61によって供給されたガスを溜めるアキュムレータ62と、このアキュムレータ62から気体供給機構40のシリンダユニット42まで延びている第1チューブ63と、この第1チューブ63に介設されている圧力制御弁64及び切替弁65と、アキュムレータ62からシール部材44内に形成されたガス通路46まで延びている第2チューブ67と、この第2チューブ67に介設されている圧力制御弁68及び逆止弁69とからなる。圧力制御弁64は、シール部材44の金属パイプ材料14に対する押力に適応した作動圧力のガスをシリンダユニット42に供給する役割を果たす。逆止弁69は、第2チューブ67内で高圧ガスが逆流することを防止する役割を果たす。
【0026】
制御部70は、気体供給部60の圧力制御弁68を制御することにより、金属パイプ材料14内に所望の作動圧力のガスを供給することができる。また、制御部70は、温度検出部110から温度情報を取得し、加圧シリンダ26及びスイッチ53等を制御する。
【0027】
水循環機構72は、水を溜める水槽73と、この水槽73に溜まっている水を汲み上げ、加圧して下型11の冷却水通路19及び上型12の冷却水通路25へ送る水ポンプ74と、配管75とからなる。省略したが、水温を下げるクーリングタワーや水を浄化する濾過器を配管75に介在させることは差し支えない。
【0028】
〈温度検出について〉
温度検出部110は、加熱機構50によって加熱された金属パイプ材料14の温度を間接的に検出するものである。ここで、「金属パイプ材料14の温度を間接的に検出する」とは、金属パイプ材料14の輻射熱を温度検出部110が直接検出すること、金属パイプ材料14の輻射熱を受ける部材の温度を温度検出部110が検出すること、及び金属パイプ材料14と直接接触して熱を伝達される部材の温度を温度検出部110が検出することの少なくとも一つを指すものとする。温度検出部110によって検出された温度情報(検出結果)は、金属パイプ材料14内において気体が過度に加熱されているか否かを制御部70が判定するために用いられる。
【0029】
図2,3,5に示すように、温度検出部110としては、加熱された金属パイプ材料14の輻射熱を受けることによって、金属パイプ材料14の温度を間接的に検出する温度検出部110a~110cと、金属パイプ材料14と接触する部材を介して金属パイプ材料14の温度を間接的に検出する温度検出部110d,110eと、を採用することができる。本実施形態においては、金属パイプ材料14の温度を特に精度良く検出できる構成として温度検出部110a~110eの全てを備えた成形装置10を例示している。ただし、成形装置10は、温度検出部110a~110eのうちの少なくとも一つを備えていればよい。そして、成形装置10は、温度検出部110a~110eのうちの何れか複数を組み合わせて採用することにより、気体の温度の検出精度を向上できる。
【0030】
温度検出部110a~110eは熱電対によって構成されている。また、温度検出部110a~110eは、それぞれ導線111a~111eと接続されている。制御部70は、導線111a~111eを介して情報が伝達されることで、温度検出部110a~110eのそれぞれから温度情報を取得し、当該温度情報に基づいて加熱機構50を制御する。なお、温度検出部110を構成する熱電対は測温手段の一例に過ぎず、放射温度計等であってもよい。
【0031】
図2に示すように、温度検出部110aは、上型ホルダ96を貫通して設けられており、ブロー成形金型13の表面の温度を検出する。なお、温度検出部110aは、ブロー成形金型13のうち上型12の側面の温度を検出しているが、どの部分の表面を検出してもよい。ただし、温度検出部110aは、金属パイプ材料14により近いところの温度を検出する方が、高い検出精度で検出できる。温度検出部110aは、下型11に設けられてもよい。また、温度検出部110aは、上型12と下型11の両方に設けられていてもよい。
【0032】
温度検出部110aによって検出されたブロー成形金型13の温度情報は、導線111aを介して制御部70へ伝達される。これにより、制御部70は、金属パイプ材料14の温度を間接的に示すブロー成形金型13の表面温度の温度情報を取得する。
【0033】
図3に示すように、温度検出部110bは、上型ホルダ96を貫通すると共に上型12の内部へ入り込むことにより、上型12の内部の温度を検出する。
図3の例では、温度検出部110bは、凹部24付近の温度を検出しているが、温度を検出する位置は特に限定されない。温度検出部110bは、下型11に設けられてもよい。また、温度検出部110bは、上型12と下型11の両方に設けられていてもよい。
【0034】
温度検出部110bによって検出されたブロー成形金型13の温度情報は、導線111bを介して制御部70へ伝達される。これにより、制御部70は、金属パイプ材料14の温度を間接的に示すブロー成形金型13の内部温度の温度情報を取得する。
【0035】
図5(a)に示すように、温度検出部110cは、金属パイプ材料14の加熱時において、電極18によって保持される金属パイプ材料14の内部に位置すると共に、金属パイプ材料14の内部における気体の温度を検出する。温度検出部110cは、シール部材44の先端から突出した位置に設けられている。温度検出部110cは、金属パイプ材料14からの輻射熱を検出することができる。なお、温度検出部110cは、金属パイプ材料14の内部であればよく、特に位置は限定されない。
【0036】
温度検出部110cによって検出された温度情報は、導線111cを介して制御部70へ伝達される。これにより、制御部70は、金属パイプ材料14の温度を間接的に示す金属パイプ材料14の内部温度の温度情報を取得する。
【0037】
図5(a)に示すように、温度検出部110dは、金属パイプ材料14を保持する第2電極18の表面の温度を検出する。なお、温度検出部110dは、上側の第2電極18のうちの側面の温度を検出しているが、どの部分の表面を検出してもよい。温度検出部110dは、下側の第2電極18に設けられてもよい。また、温度検出部110dは、上側と下側の第2電極18に設けられていてもよい。また、温度検出部110dは、第1電極17に設けられてもよい。
【0038】
温度検出部110dによって検出された電極18,17の温度情報は、導線111dを介して制御部70へ伝達される。これにより、制御部70は、金属パイプ材料14を保持することで直接接触し、当該金属パイプ材料14の温度を間接的に示す電極17,18の表面温度の温度情報を取得する。
【0039】
図5(b)に示すように、温度検出部110eは、金属パイプ材料14を保持する第2電極18の内部の温度を検出する。なお、温度検出部110eは、上側の第2電極18のうちの凹溝18a付近の温度を検出しているが、どの部分の表面を検出してもよい。温度検出部110eは、下側の第2電極18に設けられてもよい。また、温度検出部110eは、上側と下側の第2電極18に設けられていてもよい。また、温度検出部110eは、第1電極17に設けられてもよい。
【0040】
温度検出部110eによって検出された電極17,18の温度情報は、導線111dを介して制御部70へ伝達される。これにより、制御部70は、金属パイプ材料14を保持することで直接接触し、当該金属パイプ材料14の温度を間接的に示す電極17,18の表面温度の温度情報を取得する。
【0041】
また、
図6に示すように、第2電極18(及び第1電極17)は、ブロー成形金型13側の側面に絶縁材101及び摺動材102を備えていてよい。絶縁材101は、電極18とブロー成形金型13との間の絶縁性を確保する部材である。摺動材102は、ブロー成形金型13に対する摺動性を確保する部材である。絶縁材101は、第1絶縁材101a及び第2絶縁材101bを有しており、これらの絶縁材101a,101bは、耐熱性及び絶縁性を有する板状部材(例えばアルミナ等のセラミックス板)から構成される。摺動材102は、それぞれ耐熱性を有する板状部材(例えば鉛青銅、砲金、黄銅、リン青銅又はホワイトメタル等の合金板)から構成される。
【0042】
図6(a)に示すように、温度検出部110f,110gは、金属パイプ材料14を保持する絶縁材101、摺動材102の表面の温度を検出する。なお、温度検出部110f,110gは、上側の絶縁材101、摺動材102のうちの上面の温度を検出しているが、どの部分の表面を検出してもよい。温度検出部110f,110gは、下側の絶縁材101、摺動材102に設けられてもよい。また、温度検出部110f,110gは、上側と下側の絶縁材101、摺動材102に設けられていてもよい。
【0043】
温度検出部110f,110gによって検出された絶縁材101、摺動材102の温度情報は、導線111f,111gを介して制御部70へ伝達される。これにより、制御部70は、金属パイプ材料14を保持することで直接接触し、当該金属パイプ材料14の温度を間接的に示す絶縁材101,摺動材102の表面温度の温度情報を取得する。
【0044】
図6(b)に示すように、温度検出部110h,110kは、金属パイプ材料14を保持する絶縁材101、摺動材102の内部の温度を検出する。なお、温度検出部110h,110kは、上側の絶縁材101、摺動材102の凹溝付近の温度を検出しているが、どの部分の表面を検出してもよい。温度検出部110h,110kは、下側の絶縁材101、摺動材102に設けられてもよい。また、温度検出部110h,110kは、上側と下側の絶縁材101、摺動材102の双方に設けられていてもよい。
【0045】
温度検出部110h,110kによって検出された絶縁材101、摺動材102の温度情報は、導線111h,111kを介して制御部70へ伝達される。これにより、制御部70は、金属パイプ材料14を保持することで直接接触し、当該金属パイプ材料14の温度を間接的に示す絶縁材101,摺動材102の内部温度の温度情報を取得する。
【0046】
制御部70は、例えば、温度検出部110の検出結果に基づいて、金属パイプ材料14が異常な高温になっていると判定した場合は、加熱機構50による加熱を停止又は抑制する。制御部70は、測定位置に係る温度変化と金属パイプ材料14の温度変化との関係を予め実測又はシミュレーションによりデータとして準備しておき、当該データと検出結果とを比較することによって、金属パイプ材料14が異常な高温になっているか否かを判定できる。
【0047】
〈成形装置を用いた金属パイプの成形方法〉
次に、成形装置10を用いた金属パイプの成形方法について説明する。
図7は、材料としての金属パイプ材料14を投入するパイプ投入工程から、金属パイプ材料14に通電して加熱する通電加熱工程までを示す。より具体的には、
図7(a)は、金型内に金属パイプ材料がセットされた状態を示す図、(b)は金属パイプ材料が電極に保持された状態を示す図である。また、
図8は、
図7に続く製造行程を示す図である。
【0048】
先ず、焼入れ可能な鋼種の金属パイプ材料14を準備する。
図7(a)に示すように、この金属パイプ材料14を、例えばロボットアーム等を用いて、下型11側に備わる第1,第2電極17,18上に載置(投入)する。第1,第2電極17,18には凹溝17a,18aが形成されているので、当該凹溝17a,18aによって金属パイプ材料14が位置決めされる。次に、制御部70(
図1参照)は、パイプ保持機構30を制御することによって、当該パイプ保持機構30に金属パイプ材料14を保持させる。具体的には、
図7(b)のように、第1電極17、第2電極18を進退動可能としているアクチュエータ(図示しない)を作動させ、各上下に位置する第1,第2電極17,18を接近・当接させる。この当接によって、金属パイプ材料14の両方の端部は、上下から第1,第2電極17,18によって挟持される。また、この挟持は、第1,第2電極17,18に形成される凹溝17a,18aの存在によって、金属パイプ材料14の全周に渡って密着するような態様で挟持されることとなる。
【0049】
続いて、
図1に示されるように、制御部70は、加熱機構50を制御することによって、金属パイプ材料14を加熱する。具体的には、制御部70は、加熱機構50のスイッチ53をONにする。そうすると、電源51から電力が金属パイプ材料14に供給され、金属パイプ材料14に存在する抵抗により、金属パイプ材料14自体が発熱する(ジュール熱)。このとき、温度検出部110の測定値が常に監視され、この結果に基づいて通電が制御され、気体供給機構40のシリンダユニット42を作動させることによって、シール部材44で金属パイプ材料14の両端をシールする(
図3も併せて参照)。また、制御部70は、温度検出部110の検出結果に基づいて、金属パイプ材料14が異常な高温になっていると判定した場合は、加熱機構50による加熱を停止又は抑制する。
【0050】
図9は、ブロー成形金型及び上型ホルダの動作と金属パイプ材料の形状の変化を示す図、
図10は、
図9に続く図、
図11は、
図10に続く図である。
【0051】
図9に示されるように、加熱後の金属パイプ材料14に対してブロー成形金型13が型閉じされていく。このとき、下型ホルダ93の空間S1,S2に上型ホルダ96の凸部96b,96bが進入し、下型11の凹部16と上型12の凹部24との間に、パイプ部100aを形成するための略断面矩形状のメインキャビティ部(キャビティ部)MCが形成されると共に、下型11の上端面と上型12の下端面との間でメインキャビティ部MCの両脇に、メインキャビティ部MCに連通しフランジ部100b,100cを形成するための隙間であるサブキャビティ部SC1,SC2がそれぞれ形成される。
【0052】
ここで、下型11の上端面と上型12の下端面との間のサブキャビティ部SC1,SC2は、型外へ開放されるように延びている一方で、このサブキャビティ部SC1,SC2は、上型ホルダ96の凸部96b,96bの内側面96fにより外側から塞がれた状態となっている。この上型ホルダ96のサブキャビティ部SC1,SC2を型外から塞ぐ凸部96b,96bは、型内で例えば金属パイプが破裂したときに生じる破片等の異物が、サブキャビティ部SC1,SC2を通り型外へ進行することを遮るように働く。従って、凸部96b,96bを有する上型ホルダ96は、シールド部材としての機能も兼ねる。
【0053】
そして、この状態、すなわちブロー成形金型が完全に型閉じする前の状態で、金属パイプ材料14が、メインキャビティ部MC内に収まり、概ね、下型11の凹部16の底面及び上型12の凹部24の底面に接触した状態から、金属パイプ材料14内に気体供給部60によって高圧ガスを供給し、ブロー成形を開始する。
【0054】
ここで、金属パイプ材料14は高温(950℃前後)に加熱されて軟化しているので、金属パイプ材料14内に供給されたガスは、熱膨張する。このため、例えば供給するガスを圧縮空気とし、950℃の金属パイプ材料14を熱膨張した圧縮空気によって容易に膨張させることができる。
【0055】
これと並行してブロー成形金型13がさらに型閉じしていき、
図10に示されるように、メインキャビティ部MC及びサブキャビティ部SC1,SC2が下型11と上型12との間でさらに狭められていく。
【0056】
従って、金属パイプ材料14は、メインキャビティ部MC内で凹部16,24に倣うように膨張すると共に、金属パイプ材料14の一部(両側部)14a,14bが、サブキャビティ部SC1,SC2内にそれぞれ入り込むように膨張する。
【0057】
そして、
図11に示されるように、ブロー成形金型13がさらに型閉じしていき、下型ホルダ93の凹部93aの底面93dに、上型ホルダ96の凸部96bの下端面96dが当接すると共に、下型ホルダ93の凸部93bの上端面93eに、上型ホルダ96の段差面96eが当接し、且つ、下型ホルダ93の凸部93bの内側面と上型ホルダ96の凸部96bの外側面が当接し、下型ホルダ93と上型ホルダ96が密着した状態で、ブロー成形金型13の型閉じが完了する。
【0058】
このとき、メインキャビティ部MC及びサブキャビティ部SC1,SC2は、
図10に示す状態よりさらに狭められた状態とされ、この状態で、前述したように、サブキャビティ部SC1,SC2は、上型ホルダ96の凸部96b,96bの内側面96fにより外側から塞がれた状態となっている。
【0059】
従って、加熱により軟化し高圧ガスが供給された金属パイプ材料14は、メインキャビティ部MCにおいて、当該メインキャビティ部MCの断面矩形状に合わせた断面矩形状のパイプ部100aとして成形されると共に、サブキャビティ部SC1,SC2において、金属パイプ材料14の一部が折り畳まれた断面長方形状のフランジ部100b,100cとして形成される。
【0060】
このブロー成形時にあっては、ブロー成形されて膨らんだ金属パイプ材料14の外周面が下型11の凹部16に接触して急冷されると同時に、上型12の凹部24に接触して急冷(上型12と下型11は熱容量が大きく且つ低温に管理されているため、金属パイプ材料14が接触すればパイプ表面の熱が一気に金型側へと奪われる。)されて焼き入れが行われる。このような冷却法は、金型接触冷却又は金型冷却と呼ばれる。急冷された直後はオーステナイトがマルテンサイトに変態する(以下、オーステナイトがマルテンサイトに変態することをマルテンサイト変態とする)。冷却の後半は冷却速度が小さくなったので、復熱によりマルテンサイトが別の組織(トルースタイト、ソルバイトなど)に変態する。従って、別途焼戻し処理を行う必要がない。また、本実施形態においては、金型冷却に代えて、あるいは金型冷却に加えて、冷却媒体を金属パイプ100に供給することによって冷却が行われてもよい。例えば、マルテンサイト変態が始まる温度までは金型(上型12及び下型11)に金属パイプ材料14を接触させて冷却を行い、その後型開きすると共に冷却媒体(冷却用気体)を金属パイプ材料14へ吹き付けることにより、マルテンサイト変態を発生させてもよい。
【0061】
そして、以上のような成形方法により、
図8に示されるように、パイプ部100a及びフランジ部100b,100cを有する金属パイプ100を成形品として得ることができる。なお、本実施形態では、メインキャビティ部MCは断面矩形状に構成されているため、金属パイプ材料14は当該形状に合わせてブロー成形されることにより、パイプ部100aは矩形筒状に成形される。ただし、メインキャビティ部MCの形状は特に限定されず、所望の形状に合わせて断面円形、断面楕円形、断面多角形等あらゆる形状を採用しても良い。
【0062】
そして、本実施形態によれば、ブロー成形金型13内のメインキャビティ部MC及び当該メインキャビティ部MCに連通する隙間であるサブキャビティ部SC1,SC2において金属パイプ材料14を膨張成形するにあたって、材料自体の強度が低く高圧ガスによりブロー成形金型13内で金属パイプが破裂し破片等の異物が生じた場合、サブキャビティ部SC1,SC2を通り外方へ向かう異物は、サブキャビティ部SC1,SC2の延長線上に設けられサブキャビティ部SC1,SC2を型外から塞ぐシールド部材である上型ホルダ96の凸部96bにより進行を遮られる。このため、異物が型外に出ることはなく、型外の周囲に飛散することを確実に防止できる。
【0063】
また、シールド部材である上型ホルダ96の凸部96bは、上型12の下端面に側方から面すると共に、上型12の移動に伴い移動しブロー成形金型13を型閉じする際に、下型11と上型12との間に形成されるサブキャビティ部SC1,SC2を型外から塞ぐ構成のため、サブキャビティ部SC1,SC2を塞いでいた上型ホルダ96の凸部96bは、離型した状態では、上型12と共に下型11から上方に離間している。従って、例えば、金属パイプ材料14を下型11へ挿入する場合や成形した金属パイプ100を下型11から取り出す場合に、上型ホルダ96の凸部96bが邪魔にならないという利点を有する。なお、このように特に効果的であるとして、凸部96bを有する上型ホルダ96をシールド部材としてるが、上型ホルダ96の凸部96bをなくし、下型ホルダ93に、サブキャビティ部SC1,SC2を塞ぐように上方に凸になる凸部を設けてシールド部材としても良い。
【0064】
次に、本実施形態に係る成形装置10の作用・効果について説明する。
【0065】
従来の成形装置の温度検出部は、金属パイプ材料と直接接触して温度を検出していた。例えば、金型内部を貫通すると共に進退可能な機構を有する温度検出部が設けられていた。温度検出時には、温度検出部が金属パイプ材料14側へ向かって延びると共に、当該金属パイプ材料14の表面に当接する。一方、成形時には、温度検出部が後退して金属パイプ材料14から離間してゆく。このような構成を採用する場合、温度検出部が金属パイプ材料と直接接触するため、接触部分に跡が付く事により外観に影響が及ぼされる可能性があった。また、温度検出部を進退させる機構が必須となっていた。
【0066】
本実施形態に係る成形装置10は、加熱機構50によって加熱される金属パイプ材料14の温度を間接的に検出する温度検出部110と、温度検出部110の検出結果に基づいて、加熱機構50を制御する制御部70とを備える。制御部70が温度検出部110の検出結果に基づいて加熱機構50を制御するため、金属パイプ材料14が異常に加熱されること等を防止できる。すなわち、金属パイプ材料が異常な高温となって溶融して溶け落ちることや、垂れ下がることによって金属パイプ材料14以外の導体との接触によって漏電する可能性を低減できる。ここで、温度検出部110は、金属パイプ材料14の温度を間接的に検出することができる。従って、温度検出部110は、加熱される金属パイプ材料14と直接接触することなく温度を検出できるため、金属パイプ材料14の表面に跡が付くこと等を防止できる。以上より、成形品の外観上の品質を向上させることができる。また、温度検出部110は金属パイプ材料14と直接接触して測定を行うものではないため、温度検出部110を進退させる機構は必須ではなく、省略することができる。従って、成形装置10の構造をシンプルにすることができる。
【0067】
本実施形態に係る成形装置10において、金属パイプ材料14を保持する保持部としての電極17,18(
図6の形態では、絶縁材101及び摺動材102も含まれる)を更に備える。温度検出部110は、電極17,18等の温度を検出することによって、金属パイプ材料14の温度を間接的に検出してよい。電極17,18等は、加熱時の金属パイプ材料14と直接接触するため、温度検出部110は、実際の金属パイプ材料14の温度をより反映した温度を検出することができる。
【0068】
本実施形態に係る成形装置10において、ブロー成形金型13の分割面を覆うシールド部材としての凸部96bを備えている。このような凸部96bが設けられる場合、例えばサーモグラフィ等のように外部から金属パイプ材料14の温度を検出することが困難となる。従って、温度検出部110によって金属パイプ材料14の温度を間接的に検出することの効果が一層顕著となる。
【0069】
本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。本発明に係る成形装置は、各請求項の要旨を変更しない範囲において、上述したものを任意に変更したものとすることができる。
【0070】
例えば、温度検出部110a~110kは、それぞれ同一の符号で示される温度検出部110a~110kが複数設けられていてもよい。例えば、電極18の内部に複数の温度検出部110eが設けられていてもよい。
【0071】
また、上述の実施形態では、金属パイプ材料14の両端から気体を供給する構成であるが、金属パイプ材料14の一端のみから気体を供給する構成としてもよい。
【0072】
また、ブロー成形金型13は無水冷金型と水冷金型の何れでもよい。ただし、無水冷金型は、ブロー成形終了後に金型を常温付近まで下げるときに、長時間を要する。この点、水冷金型であれば、短時間で冷却が完了する。したがって、生産性向上の観点からは、水冷金型が望ましい。
【0073】
また、上述の実施形態では、ブロー成形金型13を保持する上型保持部92及び下型保持部91が設けられていたが、これらの部材を省略してもよい。
【0074】
また、上記実施形態においては、上型12を移動させているが、上型12に加えて、又は、上型12に代えて、下型11が移動するものであってもよい。下型11が移動する場合、当該下型11及び下型保持部91は基台15に固定されず、駆動機構に取り付けられることになる。
【符号の説明】
【0075】
10…成形装置、11…下型、12…上型、13…ブロー成形金型、14…金属パイプ材料、40…気体供給機構、80…駆動機構、96…上型ホルダ(シールド部材)、96b…凸部、100…金属パイプ、110…温度検出部。