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特許7446269液晶表示デバイスの作製方法及び液晶表示デバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-29
(45)【発行日】2024-03-08
(54)【発明の名称】液晶表示デバイスの作製方法及び液晶表示デバイス
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1335 20060101AFI20240301BHJP
【FI】
G02F1/1335 520
G02F1/1335 510
【請求項の数】 30
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021179957
(22)【出願日】2021-11-04
(65)【公開番号】P2022098434
(43)【公開日】2022-07-01
【審査請求日】2021-11-04
(31)【優先権主張番号】20216141.0
(32)【優先日】2020-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】506425538
【氏名又は名称】ザ・スウォッチ・グループ・リサーチ・アンド・ディベロップメント・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】ミシェル・サガルドワイビュリュ
(72)【発明者】
【氏名】ジーモン・シュプリンガー
【審査官】植田 裕美子
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-258632(JP,A)
【文献】特開平11-167351(JP,A)
【文献】特開2006-098937(JP,A)
【文献】特開2003-255300(JP,A)
【文献】特開2005-031641(JP,A)
【文献】国際公開第01/037350(WO,A1)
【文献】特表2004-515817(JP,A)
【文献】特開昭52-055895(JP,A)
【文献】特開2003-066233(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1335
G02F 1/1333
G04G 9/00-9/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶分子が平坦若しくは垂直に整列する反射性又は半透過性液晶セル(2、32)を備える液晶表示デバイス(1、30)の作製方法であって、前記液晶セル(2、32)は、観察者(6)の側に位置する透過性表基体(4)、及び同様に透過性である裏基体(8)から形成し、前記裏基体(8)は、前記表基体(4)の下に、前記表基体(4)に平行に、前記表基体(4)からある距離で延在し、前記表基体(4)及び前記裏基体(8)の2つは、液晶組成物を中に閉じ込める封止筐体(12)を画定する封止枠(10)により互いに接合し、前記表基体(4)及び前記裏基体(8)は、前記表基体(4)及び前記裏基体(8)の対向面上が導電性透明電極(14)及び対電極(16)により被覆され、前記液晶組成物の光学特性は、電極(14)と対応する対電極(16)との間の交差点に電界を印加することによって修正し、前記液晶表示デバイス(1、30)は、反射偏光膜(18、34)を備え、前記反射偏光膜(18、34)は、前記表基体(4)を通じて前記液晶セル(2、32)に入る第1の光成分(20)を吸収し、前記第1の光成分の方向に直交する方向で偏光される第2の光成分(20)を反射するように構成し、前記方法は、観察者(6)が前記液晶セル(2、32)の前記表基体(4)を通じて見える、前記液晶表示デバイス(1、30)の背景の装飾及び/又は前記反射偏光膜(18、34)の反射機能に関する、着用者の肉眼で見える表示を行う形状を前記反射偏光膜(18、34)に与えるように前記反射偏光膜(18、34)をエンボス加工し、次に、前記反射偏光膜(18、34)を前記裏基体(8)の下側(22)に固着することから構成するステップを含む、方法。
【請求項2】
前記反射偏光膜(18、34)は、前記反射偏光膜(18、34)上に押印するのが望ましい形状に対応する浮彫形状を有する型に押圧することによってエンボス加工することを特徴とする、請求項1に記載の作製方法。
【請求項3】
前記反射偏光膜(18、34)は、空気真空の生成によって前記浮彫型に対して押圧することを特徴とする、請求項2に記載の作製方法。
【請求項4】
前記反射偏光膜(18、34)を前記浮彫型に対して押圧する時間の間、前記反射偏光膜(18、34)を加熱することを特徴とする、請求項2又は3に記載の作製方法。
【請求項5】
前記反射偏光膜(18、34)は、インサート射出成形によってエンボス加工することを特徴とする、請求項1に記載の作製方法。
【請求項6】
前記反射偏光膜(18、34)をエンボス加工した後、前記反射偏光膜(18、34)の上面(48)上に、透過性水平化層(42)及び接着剤層(44、52)を連続的に堆積し、前記透過性水平化層(42)及び前記接着剤層(44、52)により、前記反射偏光膜(18、34)を前記液晶セル(2、32)に固着することを特徴とする、請求項2から4のいずれか一項に記載の作製方法。
【請求項7】
前記反射偏光膜(18、34)をエンボス加工し、透過性水平化層(42)を堆積した直後、前記液晶セル(2、32)を前記透過性水平化層(42)につけ、前記透過性水平化層(42)を固化することを特徴とする、請求項2から4のいずれか一項に記載の作製方法。
【請求項8】
前記接着剤層(44、52)は、光学透明接着剤、即ち「OCA」としても公知である光透過性接着剤から形成し、前記光透過性接着剤は、前記透過性水平化層(42)に積層する感圧膜の形態を取るか、又は前記透過性水平化層(42)上に液体接着剤層として分配することを特徴とする、請求項6に記載の作製方法。
【請求項9】
前記光学透明接着剤は、部分的に拡散性であることを特徴とする、請求項8に記載の作製方法。
【請求項10】
透過性水平化層(56)は、前記反射偏光膜(18、34)の背面(46)上に堆積することを特徴とする、請求項6から9のいずれか一項に記載の作製方法。
【請求項11】
前記反射偏光膜(18、34)の上面(48)上に堆積した前記透過性水平化層(42)、又は前記反射偏光膜(18、34)の背面(46)上に堆積した前記透過性水平化層(56)は、光重合樹脂により得られることを特徴とする、請求項6から10のいずれか一項に記載の作製方法。
【請求項12】
前記反射偏光膜(18、34)の上面(48)上に堆積した前記透過性水平化層(42)、又は前記反射偏光膜(18、34)の背面(46)上に堆積した前記透過性水平化層(56)は、紫外線照射によって重合することを特徴とする、請求項11に記載の作製方法。
【請求項13】
前記反射偏光膜(18、34)の上面(48)は、エンボス加工する前、少なくとも部分的に拡散反射を生成するように、拡散層(50)を備えることを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の作製方法。
【請求項14】
前記反射偏光膜(18)は、少なくとも部分的に吸収性の背景層(26)と組み合わせた反射偏光子(24)を備え、前記背景層(26)は、前記反射偏光子(24)の背面(46)上に配置することを特徴とする、請求項1から13のいずれか一項に記載の作製方法。
【請求項15】
前記少なくとも部分的に吸収性の背景層(26)は、黒色又は着色背景層(26)であることを特徴とする、請求項14に記載の作製方法。
【請求項16】
前記黒色又は着色背景層(26)は、前記反射偏光子(24)の背面(46)に施したインク層又は積層膜であり、前記黒色又は着色背景層(26)は、前記黒色又は着色背景層(26)を前記反射偏光子(24)と同時に成形するように前記反射偏光子(24)の成形前に施すか、又は前記反射偏光子(24)の成形後に施すことを特徴とする、請求項15に記載の作製方法。
【請求項17】
前記背景層(26)が部分的に吸収性である場合、バックライト・デバイス(28)は、前記背景層(26)の下に配置することを特徴とする、請求項14から16のいずれか一項に記載の作製方法。
【請求項18】
前記反射偏光膜(18)は、吸光偏光子(54)と組み合わせた反射偏光子(24)を備え、前記吸光偏光子(54)は、前記反射偏光子(24)の背面(46)に接合し、前記反射偏光子(24)及び前記吸光偏光子(54)の2つの組立体は、同時にエンボス加工することを特徴とする、請求項1から13のいずれか一項に記載の作製方法。
【請求項19】
前記反射偏光膜(34)は、少なくとも部分的に反射性の反射器(38)と組み合わせた吸光偏光子(36)を備え、前記反射器(38)は、前記吸光偏光子(36)の下に配置することを特徴とする、請求項1から13のいずれか一項に記載の作製方法。
【請求項20】
前記反射器(38)は、金属製であることを特徴とする、請求項19に記載の作製方法。
【請求項21】
前記反射器(38)が部分的に反射性である場合、バックライト・デバイス(28)は、前記反射偏光膜(34)の下に配置することを特徴とする、請求項19又は20に記載の作製方法。
【請求項22】
液晶分子が平坦若しくは垂直に整列する反射性又は半透過性液晶セル(2、32)を備える液晶表示デバイス(1、30)であって、前記液晶セル(2、32)は、観察者(6)の側に位置する透過性表基体(4)、及び同様に透過性である裏基体(8)から形成し、前記裏基体(8)は、前記表基体(4)の下に、前記表基体(4)に平行に、前記表基体(4)からある距離で延在し、前記表基体(4)及び前記裏基体(8)の2つは、液晶組成物を中に閉じ込める封止筐体(12)を画定する封止枠(10)により互いに接合し、前記表基体(4)及び前記裏基体(8)は、前記表基体(4)及び前記裏基体(8)の対向面が導電性透明電極(14)及び対電極(16)により被覆され、前記液晶組成物の光学特性は、電極(14)と対応する対電極(16)との間の交差点に電界を印加することによって修正し、前記液晶表示デバイス(1、30)は、反射偏光膜(18、34)を備え、前記反射偏光膜(18、34)は、前記表基体(4)を通じて前記液晶セル(2、32)に入る第1の光成分を吸収し、前記第1の光成分の方向に直交する方向で偏光される第2の光成分を反射し、前記反射偏光膜(14、34)は、観察者(6)が前記液晶セル(2、32)の前記表基体(4)を通じて見える、前記液晶表示デバイス(1、30)の背景の装飾及び/又は前記反射偏光膜(18、34)の反射機能に関する、着用者の肉眼で見える表示を行う浮彫形状を有し、前記反射偏光膜(18、34)は、前記裏基体(8)の下側(22)に固着する、液晶表示デバイス(1、30)。
【請求項23】
前記反射偏光膜(18)は、少なくとも部分的に吸収性の背景層(26)と組み合わせた反射偏光子(24)を備え、前記背景層(26)は、前記反射偏光子の背面(46)上に配置することを特徴とする、請求項22に記載の液晶表示デバイス。
【請求項24】
前記少なくとも部分的に吸収性の背景層(26)は、黒色又は着色背景層(26)であることを特徴とする、請求項23に記載の液晶表示デバイス。
【請求項25】
前記黒色又は着色背景層(26)は、前記反射偏光子(24)の背面(46)に施したインク層又は積層膜であることを特徴とする、請求項24に記載の液晶表示デバイス。
【請求項26】
前記反射偏光膜(18)は、吸光偏光子(54)と組み合わせた反射偏光子(24)を備え、前記吸光偏光子(54)は、前記反射偏光子(24)の背面(46)に接合し、前記反射偏光子(24)及び前記吸光偏光子(54)の2つの組立体は、エンボス加工することを特徴とする、請求項22に記載の液晶表示デバイス。
【請求項27】
前記反射偏光膜(34)は、少なくとも部分的に反射性の反射器(38)と組み合わせた吸光偏光子(36)を備え、前記反射器(38)は、前記吸光偏光子(36)の下に配置することを特徴とする、請求項22に記載の液晶表示デバイス。
【請求項28】
前記反射器(38)は、金属製であることを特徴とする、請求項27に記載の表示デバイス。
【請求項29】
前記反射器(38)が部分的に反射性である場合、バックライト・デバイス(28)は、前記反射器の下に配置することを特徴とする、請求項27又は28に記載の表示デバイス。
【請求項30】
請求項22から29のいずれか一項に記載の表示デバイスを備える計時器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示デバイスの作製方法、及びこの方法によって得られる液晶表示デバイスに関する。本発明は、より詳細には、液晶表示デバイスに、前記液晶表示デバイスの透過性表示面を通じて見える装飾的及び/又は機能的パターンを提供する作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、デジタル型表示デバイスに関し、即ち、目盛りと関連して移動する1つ又は複数の針により情報を表示するアナログ表示デバイスとは反対に、情報を英数字形態で表示することができる表示デバイスに関する。
【0003】
周知のデジタル表示デバイス群は、液晶表示デバイスから構成される。これら液晶表示デバイスは、従来、液晶セルを備え、液晶セルは、観察者の側の透過性表基体、及び裏基体から形成され、裏基体は、透過性であっても、透過性でなくてもよく、表基体に平行に、表基体からある距離で延在する。これら表基体及び裏基体の2つは、通常、液晶組成物が中に閉じ込められる封止筐体を画定する封止枠によって互いに接合される。最後に、表基体及び裏基体は、表基体及び裏基体の対向面上が導電性透明電極及び対電極で被覆され、電極と対応する対電極との間に電界を印加することにより、電極と関係する対電極との交差点の液晶組成物の光学特性を変化させる。
【0004】
本発明の状況において、以下の種類の液晶セル:
-ねじれネマチック、即ち「TN」、
-超ねじれネマチック、即ち「STN」、
-ゲスト・ホスト、
-垂直配向、即ち「VA」、及び
-電気制御型複屈折液晶セル、即ち「ECB」
に関係する。
【0005】
反射モードで動作できるようにするため、TN、STN、ゲスト・ホスト又はVA又はECB型液晶セルは、反射偏光子を備えなければならず、反射偏光子は、通常、裏基体の下面上に積層され、反射偏光子の機能は、光を反射させることであり、この光は、液晶セルの表面を通じて液晶セルに入り、光が前記偏光子上で反射されるまで液晶セル全体を通過する。
【0006】
いくつかの種類の反射偏光子があり、場合に応じて、鏡面反射又は拡散反射をもたらす。最初の種類の反射偏光子は、吸光性/透過性偏光子から構成される。この種類の偏光子は、第1の光成分を吸収し、第1の成分の方向に直交する方向で偏光される他の光成分を透過させる。反射偏光子を形成するため、吸光性/透過性偏光子の下側に、反射器、例えば、アルミニウム又は銀の薄い金属層が取り付けられ、吸光性/透過性偏光子によって透過された光は、反射器上で反射され、液晶セルを通じて上に戻され、観察者の方に向かう。
【0007】
半透過性型液晶セル、即ち、反射性及び透過性の両方である液晶セルの場合、偏光子は、部分的に反射性で、透過性でなければならない。部分的に反射性、透過性の両方であるそのような偏光子を得るため、1つの解決策は、吸光偏光子を被覆する金属層の厚さをかなり低い値まで、即ち、数ナノメートル程に低減することにあり、この厚さは、正確に制御される。次に、この種類の半透過性液晶セルは、バックライト・デバイスに取り付けられ、バックライト・デバイスは、裏基体の下に配置され、部分反射性/透過性偏光子を通じて液晶セルの上部に向けて光を放出する。
【0008】
TN、STN、ゲスト・ホスト、VA又はECB液晶セルを反射モードで動作可能にする別の解決策は、そのような液晶セルが反射性/透過性偏光子を備えることであり、この反射性/透過性偏光子は、偏光方向の光を反射し、偏光の直交方向に対して透過性である。この種類の反射性/透過性偏光子は、Dual Brightness Enhancement Filmというブランド名で3M社によって販売されているもの等の「共押出多層複屈折干渉偏光子」型、又は「ワイヤグリッド偏光子」型とすることができる。反射性/透過性偏光子は、例えば積層によって裏基体の下側に固着され、次に、黒色又は着色背景層が、反射してはならない光を吸収するように追加される。半透過性液晶セルを得ることが望ましいケースでは、黒色又は着色背景層は、裏基体の下に配置したバックライト・デバイスが生成した光が通過可能であるように部分的にのみ吸光性である。
【0009】
金属反射器を表基体と裏基体との間に配置する一方で、表基体の上面上に単一偏光子を備える液晶セルを備える表示デバイスもある。
【0010】
したがって、TN、STN、ゲスト・ホスト、VA又はECB表示セルを含む従来技術の液晶表示デバイスは、鏡面反射又は拡散反射型の均質の平坦な背景層上で目立つ英数字又はアイコンの形態で情報を表示する。したがって、従来技術の液晶表示デバイスの間で可能な外観の変形形態はほとんどなく、このため、製造業者が互いから目立つのは困難である。同様に、特に腕時計等、そのような液晶表示デバイスを備える物体は、かなり似通った外観である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
他の問題に加えて、外観を無限に変更し得る反射性又は半透過性型液晶表示デバイスの作製を可能にする作製方法を提供することによって上述の問題を克服するのは、本発明の一目的である。独創的で美しい外観を有する反射性/半透過性型液晶表示デバイスを提供することも、本発明の一目的である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的で、本発明は、液晶分子が平坦若しくは垂直に整列する反射性又は半透過性液晶セルを備える液晶表示デバイスの作製方法に関し、前記液晶セルは、観察者の側の透過性表基体と、同様に透過性である裏基体とを備え、裏基体は、表基体の下に、表基体に平行に、表基体からある距離で延在し、これら表基体及び裏基体の2つは、液晶組成物を中に閉じ込める封止筐体を画定する封止枠により互いに接合し、表基体及び裏基体は、表基体及び裏基体の対向面上が導電性透明電極及び対電極により被覆され、液晶組成物の光学特性は、電極と対応する対電極との間の交差点に電界を印加することによって修正し、液晶表示デバイスは、反射偏光膜を備え、反射偏光膜は、表基体を通じて液晶セルに入る第1の光成分を吸収し、第1の光成分の方向に直交する方向で偏光される第2の光成分を反射するように構成し、方法は、観察者が液晶セルの表基体を通じて見える装飾的及び/又は機能的形状を反射偏光膜に与えるように反射偏光膜をエンボス加工し、次に、この反射偏光膜を裏基体の下側に固着することから構成されるステップを含む。
【0013】
本発明の特定の実施形態によれば、
-反射偏光膜は、前記反射偏光膜上に刻印するのが望ましい形状に対応する浮彫形状を有する型に対して押圧することによってエンボス加工する。
-偏光膜は、空気真空の生成によって浮彫型に対して押圧される。
-反射偏光膜を浮彫型に対して押圧する時間の間、前記反射偏光膜は加熱される。
-反射偏光膜は、インサート射出成形によってエンボス加工される。
-反射偏光膜をエンボス加工した後、反射偏光膜の上面上に、透過性水平化層及び接着剤層を連続的に堆積し、これにより、反射偏光膜が液晶セルに固着される。
-反射偏光膜をエンボス加工し、透過性水平化層を堆積した直後、液晶セルを透過性水平化層に施し、透過性水平化層を固化する。
-接着剤層は、光学透明接着剤、即ち「OCA」としても公知である光透過性接着剤から形成し、光透過性接着剤は、透過性水平化層に積層する感圧膜の形態を取るか、又は透過性水平化層上に液体接着剤層として分配する。
-光学透明接着剤は、部分的に拡散性である。
-透過性水平化層は、反射偏光膜の背面上に堆積される。
-反射偏光膜の上面上に堆積した透過性水平化層、及び適切な場合、反射偏光膜の背面上に堆積した透過性水平化層は、光重合樹脂により得られる。
-反射偏光膜の上面上に堆積した透過性水平化層、及び適切な場合、反射偏光膜の背面上に堆積した透過性水平化層は、紫外線照射によって重合される。
-反射偏光膜は、エンボス加工する前、上面上に拡散層を設け、少なくとも部分的に拡散反射を生成するようにする。
-反射偏光膜は、少なくとも部分的に吸収性の背景層と組み合わせた反射偏光子を備え、背景層は、反射偏光子の背面上に配置される。
-少なくとも部分的に吸収性の背景層は、黒色又は着色背景層である。
-黒色又は着色背景層は、反射偏光子の背面に施したインク層又は積層膜であり、黒色又は着色背景層は、黒色若しくは着色背景層を反射偏光子と同時に成形するように反射偏光子の成形前に施されるか、又は反射偏光子の成形後に施される。
-背景層が部分的に吸収性である場合、バックライト・デバイスは、前記背景層の下に配置される。
-反射偏光膜は、吸光偏光子と組み合わせた反射偏光子を備え、吸光偏光子は、反射偏光子の背面に接合し、反射偏光子及び吸光偏光子の2つの組立体は、エンボス加工する。
-反射偏光膜は、少なくとも部分的に反射性の反射器と組み合わせた吸光偏光子を備え、反射器は、吸光偏光子の下に配置される。
-反射器は金属製である。
-反射器が部分的に反射性である場合、バックライト・デバイスは、反射偏光膜の下に配置される。
【0014】
本発明は、液晶分子が平坦若しくは垂直に整列する反射性又は半透過性液晶セルを備える液晶表示デバイスにも関し、前記液晶セルは、観察者の側の透過性表基体と、同様に透過性である裏基体とを備え、裏基体は、表基体の下に、表基体に平行に、表基体からある距離で延在し、表基体及び裏基体の2つは、液晶組成物を中に閉じ込める封止筐体を画定する封止枠により互いに接合し、表基体及び裏基体は、表基体及び裏基体の対向面上が導電性透明電極及び対電極により被覆され、液晶組成物の光学特性は、電極と対応する対電極との間の交差点に電界を印加することによって修正し、液晶表示デバイスは、反射偏光膜を備え、反射偏光膜は、表基体を通じて液晶セルに入る第1の光成分を吸収し、第1の光成分の方向に直交する方向で偏光される第2の光成分を反射し、反射偏光膜は、観察者が液晶セルの表基体を通じて見える装飾的及び/又は機能的浮彫部分を有し、反射偏光膜は、裏基体の下側に固着する。
【0015】
特定の実施形態によれば、
-反射偏光膜は、少なくとも部分的に吸収性の背景層と組み合わせた反射偏光子を備え、背景層は、反射偏光子の背面上に配置される。
-少なくとも部分的に吸収性の背景層は、黒色又は着色背景層である。
-黒色又は着色背景層は、反射偏光子の背面に施したインク層又は積層膜である。
-反射偏光膜は、吸光偏光子と組み合わせた反射偏光子を備え、吸光偏光子は、反射偏光子の背面に接合し、反射偏光子及び吸光偏光子の2つの組立体は、エンボス加工される。
-反射偏光膜は、少なくとも部分的に反射性の反射器と組み合わせた吸光偏光子を備え、反射器は、吸光偏光子の下に配置される。
-反射器は金属製である。
-反射器が部分的に反射性である場合、バックライト・デバイスは、反射器の下に配置される。
【0016】
本発明は、上記種類の表示デバイスを備える計時器にも関する。
【0017】
こうした特徴の結果、本発明は、エンボス加工した背景上にアルファベット、数字又は他の情報を表示する反射性又は半透過性液晶表示デバイスの作製方法を提供し、これにより、互いにかなり異なる革新的な態様を有する。この結果は、時計着用者が液晶セルの有用表示面を見た際、時計着用者の肉眼で見える反射偏光膜上に浮彫形状を刻印するという教示によって達成される。特に、本発明による液晶表示デバイスを腕時計内に組み付けるケースでは、反射偏光膜は、従来の時計文字板:「クル・ド・パリ」、「コート・ド・ジュネーブ」、織効果、サンブラッシュ、エンジン・ターンド、又は「ギローシュ」等の外観を模したテクスチャをもたらすようにエンボス加工することができる。反射偏光膜上に単純な高さの変化を刻印し、テクスチャ付き若しくはテクスチャ無しの領域、又は表示区分がある液晶セルの有用表示面領域を強調することも可能である。最後に、本発明により、植物パターン、又はカメオ、コイン面、彫刻を想起させるパターン、又は更に浅浮彫等、象徴的パターンを反射偏光膜上に刻印することも可能である。したがって、本発明は、反射性又は半透過性液晶表示デバイスを備える時計又は他の電子製品の製造業者が、従来の液晶技術を使用しながら、外観が独創的で競合品から目立つ物体を顧客に提供することを可能にする。この従来の液晶技術は、習熟されており、したがって信頼でき、安価である。本発明により、液晶表示デバイスの背景装飾が容易に変更可能であり、製造業者が、広範囲の製品を、一般的な技術プラットフォームに基づくがそれぞれ異なった美しい外観にすることを可能にし、これにより、製品費用の共有を可能にする。例えば、表示デバイスが様々な装飾的及び/又は技術的要素を有するとはいえ、本発明による液晶セルの区分及びアイコンの形状は、いくつかの表示デバイスに共通であってもよい。
【0018】
本発明の他の特徴及び利点は、本発明による方法の実装モードの以下の詳細な説明からより明らかになるであろう。本例は、単に非限定的な例示として添付の図面を参照しながら示す。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】液晶セルを備える液晶表示デバイスの断面図であり、液晶セルは、反射偏光膜を備え、反射偏光膜は、黒色又は着色背景層と組み合わせた反射偏光子を備える。
図2】液晶セルを備える液晶表示デバイスの断面図であり、液晶セルは、反射偏光膜を備え、反射偏光膜は、金属反射器と組み合わせた吸光偏光膜を備える。
図3】反射偏光子と、浮彫形状を付与した黒色背景層とを備える反射偏光膜の概略断面図であり、反射偏光膜の空洞には、透過性水平化層が充填されている。
図4図3の図と同様の図であり、透過性水平化層自体は、光学透明接着剤層で被覆されている。
図5】光学透明接着剤層により反射偏光膜を液晶セルの裏基体の下側に接合する図である。
図6】透過性水平化層によって反射偏光膜を液晶セルの裏基体の下側に直接接合する概略断面図である。
図7】エンボス加工した反射偏光膜の概略断面図であり、反射偏光膜の上面に、少なくとも部分的に拡散反射を生じさせる拡散層を有する。
図8】光学透明接着剤層により、液晶セルの裏基体の下側に、拡散層を備える反射偏光膜を接合することを示す概略断面図である。
図9】光拡散接着剤により、黒色又は着色背景層と組み合わせた反射偏光子を備える反射偏光膜を接合することを示す概略断面図であり、反射偏光膜上に透過性水平化層が堆積されている。
図10】反射偏光子及び吸光偏光子から形成した組立体の概略断面図であり、組立体は、エンボス加工され、透過性水平化層及び接着剤層を介して液晶セルの裏基体の下側に固着されており、バックライト・デバイスは、この積層体の下に配置される。
図11】反射偏光子を備える液晶セルの概略断面図であり、反射偏光子は、エンボス加工した後、背面の空洞内に透過性水平化層を受け、透過性水平化層の平坦面に、吸光偏光子が積層され、組立体は、バックライト・デバイスを液晶セルの下に配置することによって完成する。
図12】反射偏光膜を備える液晶セルの概略断面図であり、反射偏光膜は、反射性反射器と組み合わせた吸光偏光子を備える。
図13図12の図と同様の図であり、バックライト・デバイスは、液晶セルの下に配置される。
図14】液晶セルを備える腕時計の図であり、液晶表示デバイスの下に配置される液晶セルの反射偏光膜は、液晶セルの有用表示面を通じてカメオの象徴的画像を表示するようにエンボス加工されている。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、全体として、全体参照数字1によって指定される液晶表示デバイスの断面図である。この液晶表示デバイス1は、液晶セル2を備え、液晶セル2は、観察者6の側に位置する透過性表基体4と、同様に透過性である裏基体8とを備え、裏基体8は、表基体4の下に、表基体4に平行に、表基体4からある距離で延在する。これら表基体4及び裏基体8の2つは、液晶組成物が中に閉じ込められる封止筐体12を画定する封止枠10によって互いに接合される。表基体4及び裏基体8は、表基体4及び裏基体8の対向面上が導電性透明電極14及び対電極16で被覆される。液晶組成物の光学特性は、電極14と対応する対電極16との間の交差点に電界を印加することによって修正される。液晶表示器2は、反射偏光膜18を備え、反射偏光膜18は、表基体4を通じて液晶セル2に入る第1の光成分20を吸収し、第1の光成分に直交する方向で偏光される第2の光成分を反射するように構成される。
【0021】
図1に示す液晶セル2は、反射性又は少なくとも半透過性である。この目的で、この液晶セル2は、裏基体8の下側22に固着した反射偏光膜18を備える。この反射偏光膜18は、反射偏光子24を備え、反射偏光子24は、インク層若しくは積層膜から形成し得る黒色又は着色背景層26と組み合わせられる。背景層26が部分的に吸光性であるか、完全に吸光性であるかに応じて、液晶セル2はそれぞれ、半透過性又は反射性である。液晶セル2が半透過性である場合、バックライト・デバイス28は、反射偏光膜18の下に配置される。
【0022】
反射偏光子24は、接着剤層25により裏基体8の下側22に接合され、接着剤層25は、光学透明接着剤、即ち「OCA」とも呼ばれる光透過性接着剤から形成される。同様に、背景層26は、接着剤層27により反射偏光子24の下に接合される。最後に、液晶セル2は、吸光偏光子29も備え、吸光偏光子29は、接着剤層33により表基体4の上面31に接合される。
【0023】
図2は、液晶セル32を備える液晶表示デバイス30の断面図である。この液晶表示デバイス30は、反射偏光膜34が、少なくとも部分的に反射性の反射器38と組み合わせた吸光偏光子36を備えるという点で、図1で表される液晶表示デバイス1とは異なる。排他的ではないが、好ましくは金属製であるこの反射器38が部分的のみに反射性である場合、液晶セル32は、半透過性であり、バックライト・デバイス28は、反射偏光膜34の下に配置される。
【0024】
図1を参照して説明した液晶セル2のように、液晶セル32は、接着剤層33により表基体4の上面31に接合した吸光偏光子29を備える一方で、吸光偏光子36は、接着剤層25により裏基体8の下側22に接合され、反射器38は、接着剤層27により吸光偏光子36の下に接合される。
【0025】
以下の説明は、反射偏光膜18を備える液晶セルを参照しながら行い、反射偏光膜18は、少なくとも部分的に吸光性の黒色又は着色背景層26と組み合わせた反射偏光子24を備える。言うまでもないが、本例は、単に例として示され、同じ方法を、吸光偏光子36及び少なくとも部分的に反射性の反射器38から構成した反射偏光子34を備える液晶セルに適用することができる。
【0026】
観察者が液晶セル2の有用表示面40を見た際、前記観察者6の肉眼で見える浮彫形状を反射偏光膜18上に刻印することが求められている。したがって、液晶セル2を例えば腕時計内に組み付ける場合、反射偏光膜18は、従来の時計文字板:「クル・ド・パリ」、「コート・ド・ジュネーブ」、織効果、サンブラッシュ、エンジン・ターンド、又は「ギローシュ」文字板等の外観を模したテクスチャを与えるようにエンボス加工することができる。植物パターン、又はカメオ、コイン面、彫刻若しくは更に浅浮彫を想起させるパターン等、象徴的又は技術的形状で反射偏光膜18に刻印することも可能である。
【0027】
この結果を達成するため、反射偏光子24は、反射偏光子24上に刻印するのが望ましい形状に対応する浮彫形状を有する型に押圧することによってエンボス加工する。好ましくは、反射偏光子24は、空気真空の生成によって浮彫型に対して押圧され、なお一層好ましくは、反射偏光子24は、例えば、反射偏光子24が浮彫型に対して押圧される時間の間、照射によって加熱される。したがって、反射偏光子24は、型の最小浮彫細部にさえ忠実に適合し、冷却後この位置で固化する。冷却後、透過性水平化層42(図3)は、反射偏光子24の空洞内に堆積される。最後に(図4)、透過性水平化層42は、光学透明接着剤、即ち「OCA」型光透過性接着剤から形成した接着剤層44で被覆される。この接着剤層44は、液晶セル2の側に向けた状態で透過性水平化層42に積層される感圧膜の形態を取るか、又は透過性水平化層42上に液体接着剤層として分配される。この接着剤層44は、反射偏光膜18を液晶セル2の裏基体8の下側22に最終的に接合することを可能にする(図5)。
【0028】
黒色又は着色背景層26は、反射偏光子24の背面46に施したインク層又は積層膜であり、黒色又は着色背景層26は、黒色又は着色背景層26が反射偏光子24と同時に成形されるように反射偏光子24の成形前に施されるか、又は反射偏光子24の成形後に施される。
【0029】
したがって、最初に、反射偏光子24を成形し、次に、反射偏光子24を黒色若しくは着色背景層26で被覆するか、又は反射偏光子24及び黒色若しくは着色背景層26から形成した反射偏光膜18を直ちに成形することが可能であることを理解されたい。読解を容易にするため、以下の説明では、完全な反射偏光膜18を扱うと仮定する。
【0030】
特定の実施形態によれば、完全な反射偏光膜18は、空気真空によって、熱を加えずに浮彫型に対して押圧することによってエンボス加工される。次に、例えば紫外線照射に反応する光重合接着剤から形成した透過性水平化層42を、反射偏光膜18の空洞内に堆積する。透過性水平化層42の重合前又は後、光学透明接着剤層44を透過性水平化層42上に堆積する。
【0031】
図6に示す特定の実施形態によれば、反射偏光膜18をエンボス加工し、光重合樹脂から形成した水平化層42を堆積した直後、反射偏光膜18を透過性水平化層42を介して液晶セル2に施し、透過性水平化層42を紫外線照射によって重合する。
【0032】
図示しない変形形態によれば、反射偏光膜18は、インサート射出成形として公知である方法によってエンボス加工される。この方法は、反射偏光膜18を、反射偏光子24上に刻印することが望ましい形状に対応する浮彫形状を有する型と、平坦な対の型との間に配置することにある。次に、エポキシ材料、熱可塑性ポリマー又はシリコーン材料等の透過性材料を対の型と反射偏光膜18との間に射出する。この透過性材料は、型を取り除いた際に透過性水平化層を形成する。反射偏光膜18は、直接的な加熱であっても、透過性材料の射出であっても、射出圧力の影響下、型の外形に強制的に適合する。接着剤層は、対の型と透過性材料との間に挿入するか、又は型を取り外した後、透過性水平化層の平坦面に施すことができる。
【0033】
液晶セル2によって表示される、アルファベット又は数字又はアイコンの形態の情報を同質の拡散背景層上で目立たせるため、少なくとも部分的に拡散性の光学透明接着剤を使用することが可能である。反射偏光膜18をエンボス加工する前に、反射偏光膜18の上面48に拡散層50を提供し、少なくとも部分的な拡散反射をもたらすことも可能である(図7)。拡散層50を堆積し、反射偏光膜18をエンボス加工した後、拡散層50を透過性水平化層42で被覆し、この後、光学透明接着剤44により反射偏光膜18を液晶セル2の裏基体8の下側22に接合する(図8)。
【0034】
同様に、黒色又は着色背景層26と組み合わせた反射偏光子24を備える反射偏光膜18をエンボス加工し、透過性水平化層42を反射偏光膜18の空洞内に堆積した後、反射偏光膜18は、光拡散接着剤層52により液晶セル2の裏基体8の下側22に固定することができる(図9)。
【0035】
図10に示すように、反射偏光子24の背面46に施した黒色又は着色背景層26は、反射偏光子24の背面46に接合した吸光偏光子54に取り替えられる。次に、反射偏光子24及び吸光偏光子54によって形成した組立体をエンボス加工し、次に、透過性水平化層42を反射偏光子24の空洞内に堆積する。この透過性水平化層42は、接着剤層44で被覆し、接着剤層44を介して反射偏光子24及び吸光偏光子54によって形成した組立体は、裏基体8の下側22に固着される。最後に、バックライト・デバイス28は、液晶セル2の下に配置される。
【0036】
同様に、本特許出願に添付の図11に示すように、反射偏光子24の裏側の空洞内に透過性水平化層56を堆積することも可能である。有利には、透過性水平化層56の平坦さを使用し、吸光偏光子58等の他の膜を積層することができる。組立体は、バックライト・デバイス28を液晶セル2の下に配置することによって完成する。
【0037】
図12及び図13に言及する以下の説明部分は、液晶セル32が、反射偏光膜34を備え、反射偏光膜34が、少なくとも部分的に反射性の反射器38と組み合わせた吸光偏光子36を備えるケースに関する。排他的ではないが、好ましくは金属製である反射器38が部分的にのみ反射性である場合、液晶セル32は、半透過性であり、バックライト・デバイス28は、反射偏光膜34の下に配置される。反射偏光膜34及び反射器38によって形成した組立体のエンボス加工は、反射偏光子24及び黒色又は着色背景層26によって形成した組立体を参照して上記で説明した条件と同じ条件下、反射偏光膜34に刻印することが望ましい形状に対応する浮彫形状を有する型に対して熱形成又は冷却変形によって得ることができる。反射偏光膜34を成形した後、例えば、紫外線照射に反応する光重合樹脂から構成される透過性水平化層42を吸光偏光子36の空洞内に堆積する。透過性水平化層42を重合する前又は後、反射偏光膜34を裏基体8の下側22に固定する光学透明接着剤層44を透過性水平化層42上に堆積する。
【0038】
図14は、液晶セルを備える腕時計60の図であり、液晶表示デバイスの下に配置される反射偏光膜は、液晶セルの有用表示面を通じてカメオの象徴的画像62を表示するようにエンボス加工されている。したがって、液晶表示デバイスによって表示される有用情報64が、反射偏光膜内に形成した象徴的画像62上に永続的又は要求に応じて重ねられ、これにより、腕時計60にかなり際立った、革新的な美しい外観をもたらすことがわかる。明らかに、反射偏光膜は、象徴的画像だけでなく、例えば目盛り等、液晶表示デバイスが表示する情報と協働する技術的情報も表示するように成形することができる。
【0039】
本発明は、たった今説明してきた反射性又は半透過性液晶表示デバイスの実施形態に限定されるものではなく、当業者は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲から逸脱することなく、様々な修正形態及び単純な変形形態を想定し得ることは言うまでもない。特に、「反射偏光子」とは、一方向の偏光を反射し、直交方向の偏光を透過する偏光子を意味することに留意されたい。同様に、吸光偏光子とは、1つの光成分を吸収し、吸光成分に直交する他の光成分を透過させる偏光子を意味する。本発明は、液晶分子が平坦状に整列する、即ち、長軸が液晶セル基体に平行に延在する反射性若しくは透過性液晶セル、又は液晶分子が垂直に整列する、即ち、長軸が液晶セル基体に直交して延在する反射性若しくは透過性液晶セルに適用されることにも留意されたい。そのような液晶セルの例は、ねじれネマチック液晶セル、超ねじれネマチック液晶セル、ゲスト・ホスト液晶セル、又は垂直配向液晶セル、又は電気制御型複屈折液晶セルを含む。
【符号の説明】
【0040】
1 液晶表示デバイス
2 液晶セル
4 表基体
6 観察者
8 裏基体
10 封止枠
12 封止筐体
14 電極
16 対電極
18 反射偏光膜
20 光
22 下側
24 反射偏光子
25 接着剤層
26 背景層
27 接着剤層
28 バックライト・デバイス
29 吸光偏光子
30 液晶表示デバイス
31 上面
32 液晶セル
33 接着剤層
34 反射偏光膜
36 吸光偏光子
38 反射器
40 有用表示表面
42 透過性水平化層
44 接着剤層
46 背面
48 上面
50 拡散層
52 接着剤層
54 吸光偏光子
56 透過性水平化層
58 吸光偏光子
60 腕時計
62 象徴的画像
64 有用情報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14