(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-29
(45)【発行日】2024-03-08
(54)【発明の名称】装飾HPLパネル
(51)【国際特許分類】
E04F 13/08 20060101AFI20240301BHJP
H01L 31/048 20140101ALI20240301BHJP
B32B 7/025 20190101ALI20240301BHJP
H02S 20/26 20140101ALI20240301BHJP
【FI】
E04F13/08 Z ETD
H01L31/04 560
B32B7/025
H02S20/26
E04F13/08 A
(21)【出願番号】P 2021512529
(86)(22)【出願日】2019-08-30
(86)【国際出願番号】 NL2019050558
(87)【国際公開番号】W WO2020050713
(87)【国際公開日】2020-03-12
【審査請求日】2022-05-17
(32)【優先日】2018-09-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(73)【特許権者】
【識別番号】508212602
【氏名又は名称】トレスパ・インターナショナル・ビー.ブイ.
【氏名又は名称原語表記】Trespa International B.V.
【住所又は居所原語表記】Wetering 20, 6002 SM Weert, The Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】キエランデル、ビルギッタ カタリーナ シャルロッテ
(72)【発明者】
【氏名】コムホフ、ヘンリキュス ヒューベルテュス マリア
【審査官】河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102008062809(DE,A1)
【文献】特開2000-124341(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0051380(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0187350(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 13/00-13/30
H02S 10/00-99/00
H01L 31/04-31/06
B32B 1/00-43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
最も外側の装飾層と、
コア層と、
前記最も外側の装飾層と前記コア層との間に配置される少なくとも1つの中間層と、
光起電力効果によって光のエネルギーを電気に変換するための少なくとも1つの光起電力素子と、を備え、
前記少なくとも1つの光起電力素子は、前記最も外側の装飾層と前記少なくとも1つの中間層との間に位置し、
前記最も外側の装飾層は樹脂含浸紙を備え、前記最も外側の装飾層は、前記少なくとも1つの光起電力素子に
エネルギーを供給する入射光の波長に対して透明であり、
前記少なくとも1つの中間層は、不均一な樹脂分布を有する樹脂含浸紙を備え、前記少なくとも1つの光起電力素子の位置に対応する領域の前記樹脂含浸紙の樹脂濃度は、前記少なくとも1つの光起電力素子から離れた前記樹脂含浸紙の別の領域より高い、
ことを特徴とする装飾高圧ラミネート(HPL)パネル。
【請求項2】
前記少なくとも1つの光起電力素子を覆う前記装飾層の外観は、前記最も外側の装飾層と前記コア層との間に位置する前記少なくとも1つの光起電力素子が見えないようなものである、ことを特徴とする請求項1に記載の装飾HPLパネル。
【請求項3】
前記最も外側の装飾層の前記樹脂含浸紙は顔料を含む、ことを特徴とする請求項1から2のいずれかに記載の装飾HPLパネル。
【請求項4】
前記最も外側の装飾層の前記樹脂含浸紙の前記樹脂は、熱硬化性樹脂の群から選択される、ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の装飾HPLパネル。
【請求項5】
前記少なくとも1つの光起電力素子と前記コア層との間に接着剤層が配置される、ことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の装飾HPLパネル。
【請求項6】
前記接着剤層は、熱硬化性樹脂の群から選択される、ことを特徴とする請求項5に記載の装飾HPLパネル。
【請求項7】
前記HPLパネルは、異なる寸法のいくつかの光起電力素子を備える、ことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の装飾HPLパネル。
【請求項8】
前記光起電力素子は、薄膜光起電装置タイプの、有機および無機の光起電力源の群から選択される、ことを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の装飾HPLパネル。
【請求項9】
前記コア層は、前記少なくとも1つの光起電力素子とは反対側に配置された別の装飾層をさらに備える、ことを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の装飾HPLパネル。
【請求項10】
前記装飾HPLパネルは、少なくとも1つの電力消費源をさらに備え、前記電力消費源は、光源、温度を測定するためのセンサ、空気質を測定するためのセンサ、および、それらの組み合わせの群から選択され、前記電力消費源は、前記少なくとも1つの光起電力素子に電気的に接続可能である、ことを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の装飾HPLパネル。
【請求項11】
前記少なくとも1つの中間層は、熱伝導性材料を備える、ことを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載の装飾HPLパネル。
【請求項12】
前記少なくとも1つの中間層
の前記樹脂含浸紙は、樹脂含浸クラフト紙
であり、前記樹脂は、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイソシアネート樹脂、メラミンアクリレート、ポリウレタンアクリレートまたはそれらの組み合わせからなる群から選択される、ことを特徴とする請求項1から11のいずれかに記載の装飾HPLパネル。
【請求項13】
前記コア層は、樹脂含浸紙、プリプレグ、木材繊維、ガラス繊維、織物繊維、合成繊維、金属繊維、セラミック繊維および炭素繊維、または、これらの混合物の不織布および織布の群から選択される、ことを特徴とする請求項1から12のいずれかに記載の装飾HPLパネル。
【請求項14】
前記装飾層は、樹脂含浸紙、木材繊維、ガラス繊維、織物繊維、合成繊維、金属繊維、セラミック繊維および炭素繊維の1つ以上の不織布ならびに織布、または、これらの繊維の組み合わせ、ポリマー箔、金属箔およびセラミック箔、または、これらの箔のいずれかの組み合わせの群から選択される基板層を備えることを特徴とする、請求項1から1
3のいずれかに記載の装飾HPLパネル。
【請求項15】
前記少なくとも1つの光起電力素子は、剛性の光起電力素子もしくは可撓性の光起電力素子、または、それらの組み合わせとして提供される、ことを特徴とする請求項1から1
4のいずれかに記載の装飾HPLパネル
【請求項16】
前記少なくとも1つの光起電力素子は、前記HPLパネルを破壊せずに取り外されることができない、ことを特徴とする請求項1から1
5のいずれかに記載の装飾HPLパネル。
【請求項17】
請求項1から1
6のいずれかに記載の装飾HPLパネルを1つ以上の個別のHPLパネルセグメントに分割する方法であって、このように得られた前記HPLパネルセグメントは、1つ以上の光起電力素子を有するHPLパネルセグメントと、光起電力素子を有さないHPLパネルセグメントと、を備えてもよく、
i) 最も外側の装飾層とコア層とを備える装飾HPLパネルを提供するステップであって、前記HPLパネルは、光起電力効果によって光のエネルギーを電気に変換するためのいくつかの光起電力素子をさらに備え、前記いくつかの光起電力素子は、前記最も外側の装飾層と前記コア層との間に配置され、前記いくつかの光起電力素子は、前記HPLパネルの同じ面に配置され、前記最も外側の装飾層は、前記いくつかの光起電力素子に
エネルギーを供給する入射光に対して透明であり、前記最も外側の装飾層は、前記いくつかの光起電力素子を見えなくする、ステップと、
ii) i)の前記装飾HPLパネルの1つ以上のセグメントのサイズを決定するステップと、
iii) i)の前記装飾HPLパネルを、ステップii)に従って決定されたサイズに従って、1つ以上の光起電力素子を有するHPLパネルセグメントと、場合により光起電力素子を有さないHPLパネルセグメントとに切断するステップと、
を備えることを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項1から1
6のいずれかに記載の少なくとも1つの装飾HPLパネルからなる
、建物の外装材。
【請求項19】
請求項1から1
6のいずれかに記載の少なくとも1つの装飾HPLパネルからなる
、インテリア家具。
【請求項20】
請求項
17に記載の方法に従って得られる光起電力素子を有する建物の外装材を提供する方法であって、
a) 前記建物の前記外装材に入射する太陽光の量を決定するステップと、
b) 1つ以上の光起電力素子を備える個々のHPLパネルセグメントを、大量の入射太陽光がある領域の前記外装材上に配置するステップと、
場合により、c) 光起電力素子を備えない個々のHPLパネルセグメントを、少量の入射太陽光がある領域の前記外装材上に配置するステップと、
を備える、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、最も外側の装飾層およびコア層を含む装飾高圧ラミネート(HPL)パネルに関し、当該パネルは、光起電力効果によって光のエネルギーを電力に変換するための少なくとも1つの光起電力素子(photovoltaic element)をさらに含み、当該最も外側の装飾層と当該コア層との間に、少なくとも1つの光起電力素子が配置されている。さらに、本発明は、そのような装飾HPLパネルを、1つ以上の光起電力素子を含む個々のHPLパネルセグメントと、場合により光起電力素子を含まない個々のHPLパネルセグメントとに分割する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人によって製造された装飾高圧コンパクトラミネート(HPL)は、屋外用途で知られている。このようなラミネートは、熱硬化性樹脂が含浸された木質繊維(紙および/または木)の層と、装飾的な色またはデザインを有する片面または両面の表面層とから構成される。透明なトップコートが表面層に追加され、かつ、硬化され、耐候性と耐光性を強化する。これらの構成要素は、熱と高い面圧を同時に加えて接合され、密度が高く、かつ、装飾面が一体となった均質な非多孔質(無孔)材料を得る。これらのパネルは、とりわけ、米国特許第4,801,495号、米国特許第4,789,604号、米国特許出願第2013/0078437号に開示されている。HPLパネルの製造では、コア層と、1つまたは複数の表面層と、場合によりそれらの間に配置される紙層と、を備えるパッケージが熱プレスされて装飾パネルを作成し、熱硬化性樹脂はこのプロセスで硬化する。温度は120℃から210℃の範囲であり、圧力は10から100バールの範囲であり、反応時間は1から75分である。しかしながら、コア層が木、プラスチックまたは金属パネルを備える場合、温度および圧力は、通常、それぞれ80℃および5バールまで下げることができる。
【0003】
このようなパネルは、非インテリジェントパネルである。これは、これらのパネルの機能が建物用であり、かつ、審美的な目的のみのためであることを意味する。しかし、インタラクティブパネル、例えば光源を備えたパネルが、当技術分野で知られている。
【0004】
機能化されたパネルは、当技術分野で知られている。たとえば、ドイツ出願公開DE102012019421は、特に列状の発光ダイオードアレイの形で、一体化された光源を有する照明付きファサードパネルに関する。また、米国特許出願公開第2011/261288号は、樹脂タイプの導光板組成物、その組成物を用いて形成された導光板を含むバックライトユニット、および、バックライトユニットを含む液晶ディスプレイに関する。ドイツ出願公開DE19811076は、樹脂プリプレグから熱プレスされた照明付き層状パネルと、そのようなパネルの製造方法に関する。
【0005】
特にファサードまたは屋根要素として使用され、かつ、別のソーラーモジュールへの電気的接続のための外部接続リードを有するパネル状の光起電力ソーラーモジュールは、欧州特許出願公開EP0867946から知られている。米国特許第4,401,839号は、少なくとも1つのソーラセルと、セルの上にある堅い透明なシートと、セルの下にあり、かつ、セルおよび透明シートに結合された硬化アルミニウム箔のシートと、を備え、パネルは上面および下面を含み、箔シートは下面の一部に沿って気密シールを提供する、ソーラーパネルを教示している。
【0006】
ドイツ出願公開DE102013000135は、フロントパネルと熱交換器要素を設置方向に有する自立型のファサードまたは屋根要素に関連し、熱交換器要素はフロントパネルの内側に配置され、その結果、フロントパネルと熱交換器要素との間の熱伝達が確保され、熱交換器要素への熱伝達媒体の供給および排出のための接続が確保される。フロントプレートは、セメント接着プレート、ファイバーセメントボード、もしくは、天然石スラブ、または、HPLパネルである。光起電力アクティブ素子をフロントパネルの外面に取り付けることができ、この場合、この目的のために電気的接続ラインをファサード要素に統合できる。
【0007】
欧州特許出願公開EP2645013は、垂直面に適用するように構成された太陽エネルギー変換パネルのシステムに関し、システムは、システムが取り付けられた垂直支持面に垂直に、かつ、互いに平行に適用された1つ以上の支持ブラケットと、それぞれのアレイ支持フレームに適用された、太陽電池パネルのアレイの1つ以上の列と、当該フレームに適用された拡散要素またはパネルの支持体として機能するフレームの1つ以上の列と、太陽電池パネルのアレイの上側を垂直支持体に結合するように適合された、ヒンジタイプの1つ以上の第1の上部結合システムと、太陽電池パネルのアレイの下側を拡散要素の上側に結合するように適合された1つ以上のヒンジシステムと、拡散要素の下側を支持ブラケットにスライド可能に結合するように適合された1つ以上のキャリッジまたはスライドシステムと、を本質的に備える。拡散パネルは、例えばアルミニウム、銅、金属メッシュ、ストレッチメッシュなどで作製された、機械加工された、穴のあいた、着色された金属シートを使用することによって製造できる。拡散パネルは、自立型高圧ラミネートとして製造できる。
【0008】
今日、光起電力素子は、縞模様の、暗い、かつ、ガラスの反射パネルの特徴的な外観を持つ。このようなパネルは、特定の光起電力製造プロセスによって決定される限定された形状とサイズで利用できる。これらの制約は、建築家を厳しい設計ルールに拘束し、彼らはファサードにソーラーハーベスタを含めたい。
【0009】
世界レベルでは、CO2フットプリントの削減は、建物のエネルギー損失を削減する原動力である。1つのアプローチは、家と建物を冷暖房するときの損失を減らす断熱材を増やすことである。しかし、新しい規制は、最適化された断熱材以上のものを要求する。新しい規制は、(新しく建設された)建物が再生可能エネルギー源(RES)によってエネルギー需要の50%を生成すべきであるとアドバイスする。RESは、建物の一部であるべきである。より高いマンション(apartment blocks)の場合、たとえば、高効率の光起電力素子で屋根を覆うだけでは不十分であり、規制の目標を達成するために例えばファサード上の他のRESが必要である。
【発明の概要】
【0010】
本発明の目的は、光起電力機能がHPLパネルにシームレスに統合された、外側から見ることができない光起電力機能を備えた装飾HPLパネルを提供することである。
【0011】
本発明の別の目的は、光起電力機能を含むHPLパネルから光起電力機能を容易に取り除くことができない、光起電力機能を備えた装飾HPLパネルを提供することである。
【0012】
本発明の別の目的は、光起電力機能を含む装飾HPLパネルの機械的特性が長期間にわたって維持される、光起電力機能を備えた装飾HPLパネルを提供することである。
【0013】
本発明の別の目的は、光起電力機能を含む装飾HPLパネルの平坦性が確保される、光起電力機能を備えた装飾HPLパネルを提供することである。
【0014】
従って、本発明は、最も外側の装飾層と、コア層とを備える装飾高圧ラミネート(HPL)パネルに関し、前記パネルは、光起電力効果によって光のエネルギーを電気に変換するための少なくとも1つの光起電力素子をさらに備え、前記少なくとも1つの光起電力素子は、前記最も外側の装飾層と前記コア層との間に位置し、前記最も外側の装飾層は樹脂含浸紙を備え、前記最も外側の装飾層は、前記少なくとも1つの光起電力素子にエネルギーを供給する入射光の波長に対して透明である。
【0015】
本発明者らは、このようなパネルにより、前述の目的のうちの1つ以上が達成されることを発見した。より詳細には、コア層、例えば熱硬化性樹脂含浸紙または木材繊維と、最も外側の装飾層との間に光起電力素子をプレスすることにより、光起電力素子である太陽エネルギーハーベスタが含まれ、機能し、かつ、不可視である、HPLパネルが得られる。
【0016】
本装飾HPLパネルの実施形態では、前記少なくとも1つの光起電力素子を覆う前記装飾層の外観は、前記最も外側の装飾層と前記コア層との間に位置する前記少なくとも1つの光起電力素子が見えないようなものである。
【0017】
本装飾HPLパネルの実施形態では、樹脂含浸紙は顔料を備える。
【0018】
本装飾HPLパネルの実施形態では、前記樹脂含浸紙の前記樹脂は、熱硬化性樹脂の群から選択され、好ましくはフェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイソシアネート樹脂、メラミンアクリレート、ポリウレタンアクリレートまたはそれらの組み合わせからなる群からの樹脂に基づいている。
【0019】
本装飾HPLパネルの実施形態では、前記少なくとも1つの光起電力素子と前記コア層との間に接着剤層が配置される。
【0020】
本装飾HPLパネルの実施形態では、前記接着剤層は、熱硬化性樹脂の群から選択され、好ましくはフェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイソシアネート樹脂、メラミンアクリレート、ポリウレタンアクリレートまたはそれらの組み合わせからなる群からの樹脂に基づいている。
【0021】
本装飾HPLパネルの実施形態では、前記HPLパネルは、異なる寸法のいくつかの光起電力素子を備える。本装飾HPLパネルは、本HPLパネルに組み込まれた光起電力素子の数および/または寸法により制限されない。
【0022】
本装飾HPLパネルの実施形態では、前記光起電力素子は、特に薄膜光起電装置タイプの、有機および無機の光起電力源の群から選択される。
【0023】
本装飾HPLパネルの実施形態では、前記コアは、前記少なくとも1つの光起電力素子とは反対側に配置された別の装飾層をさらに備える。
【0024】
本装飾HPLパネルの実施形態では、前記装飾HPLパネルは、少なくとも1つの電力消費源をさらに備え、前記電力消費源は、LEDなどの光源、温度を測定するためのセンサ、および、空気を測定するためのセンサ、ならびに、それらの組み合わせの群から選択され、前記電力消費源は、前記少なくとも1つの光起電力素子に電気的に接続可能である。
【0025】
実施形態では、前記装飾HPLパネルは、少なくとも1つの中間層をさらに備え、前記少なくとも1つの中間層は、前記少なくとも1つの光起電力素子に隣接して配置される。
【0026】
本装飾HPLパネルの実施形態では、前記少なくとも1つの中間層は、前記少なくとも1つの光起電力素子と前記コア層との間に配置される。
【0027】
本装飾HPLパネルの実施形態では、少なくとも1つの中間層は、熱伝導性材料を備える。これらの熱伝導性材料、例えば金属は、放熱手段として機能し、これによりHPLパネル内の温度の望ましくない上昇を防ぐ。さらに、熱の発生は、光起電力素子の効率を低下させる。このような中間層の例は、金属部またはグラファイトを備えた熱可塑性ポリマーマトリックスである。このような中間層の別の例は、金属部またはグラファイトを備えた樹脂含浸紙である。熱の発生は、また、電気回路の抵抗を発生させうる。この熱を光起電力素子から遠ざけることにより、劣化の影響が抑制される。このことは、光起電力素子と装飾との間に、または、光起電力素子の真下に、透明または半透明の熱伝導性フィルムを配置することによって得ることができる。このようなフィルムは、グラフェン、グラファイト、鉄のマイクロサイズのフレーク、金属繊維、粒子およびフレーク、または、それらの任意の組み合わせの群から選択される化合物を含むポリエステル複合フィルムであり得るが、これらに限定されない。このようなフィルムは、例えば、GNextにより製造され、すなわちグラフェンポリエステルフィルム(PET、PP、PLA、厚さ12または100マイクロメートル)である。
【0028】
本装飾HPLパネルの実施形態では、少なくとも1つの中間層は、不均一な樹脂分布を有する樹脂含浸紙を備え、当該少なくとも1つの光起電力素子の位置に対応する領域の当該樹脂含浸紙の樹脂濃度は、当該樹脂含浸紙の別の領域より高い。樹脂含有量は、紙重量の20~300%の間、好ましくは低樹脂含有量領域で20~70%の間、かつ、高樹脂含有量領域で60~250%、好ましくは100~250%の間である。
【0029】
この不均一な樹脂分布は、光起電力素子の位置に大量の樹脂が存在するという効果を有し、より厚いおよび/またはより高密度の硬化ネットワークをもたらし、これにより光起電力素子をコア層に強固に埋め込む。さらに、その特定の位置での高濃度の樹脂は周囲の領域に浸透し、これにより、樹脂を硬化させた後、より強固なネットワークを作る。この技術分野では、硬化性樹脂をクラフト紙またはオーバーレイ紙に塗布するためのいくつかの方法が知られている。紙を樹脂浴に完全に挿入した後に乾燥させるディップアンドスクイーズ法の他に、他の含浸法も可能である。例えば、ロータリースクリーン印刷、ローラーコーティング、エングレービング、スプレーコーティング、カーテンコーティング、フレキソ印刷、真空コーティングまたはインクジェットコーティングなどによって紙に樹脂を直接塗布する。2つ以上の方法を同時に使用することもできる。樹脂を横方向および/または縦方向にパターンで塗布する追加のコーティングプロセスを利用して、樹脂の量をミリメートルからメートル、または、好ましくはミリメートルからセンチメートルのスケールで局所的に変更できる。
【0030】
局所的な余分な樹脂は、コア層、例えば熱成形可能なシートまたはプリプレグ、樹脂含浸紙の凹部に対応するように中間層でパターン化される。最終的な装飾HPLパネルまたはラミネートの製造中の加熱およびプレスサイクル中に流れ始める余分な樹脂は、凹部内の光起電力素子の周りの空洞を埋めるために使用される。このようにして、起伏は平らになり、表面は平らになる。
【0031】
本装飾HPLパネルの実施形態では、前記少なくとも1つの中間層は、樹脂含浸クラフト紙を備え、前記樹脂は、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイソシアネート樹脂、メラミンアクリレート、ポリウレタンアクリレートまたはそれらの組み合わせからなる群から選択される。好ましくは、紙は、15~200g/m2、特に70~100g/m2の重量を有する。別の実施形態では、含浸力および加工性は、オーバーレイ紙、不織布基材、ガラスウェブ、または、それらの組み合わせによって形成でき、これに関して、特にオーバーレイ紙は、10~50g/m2、好ましくは15~35g/m2の重量を有する。
【0032】
特に、少なくとも1つの光起電力素子の位置は、HPLパネルを破壊せずに光起電力素子を取り除くことができないHPLパネルの提供を可能にする。さらに、本発明によれば、光起電力素子は、パネルの製造プロセス中にHPLパネルにシームレスに統合される。したがって、PV素子をパネルに取り付けるための接着、ラミネート、空洞作成のような追加の後処理措置を実行する必要はない。さらに、パネル内の光起電力素子の完全な統合は、継ぎ目のない表面を有するパネルをもたらした。さらに、そのような光起電力素子を備えたHPLパネルの本来の美観が維持され得る。同じことが、このような光起電力素子を備えた本HPLパネルの機械的特性にも当てはまる。本明細書で使用される「装飾HPLパネル内」という用語は、装飾HPLパネルを破壊することなく、少なくとも1つの光起電力素子が装飾HPLパネルの外側から見えたり触れられたりできないことを意味する。この用語はまた、少なくとも1つの光起電力素子が装飾パネルの最も外側の表面、すなわち目に見える位置に配置されていないが、装飾HPLパネルの最も外側の表面の下の位置、すなわち目に見えない位置に配置されていることを意味する。「前記最も外側の装飾層は、前記少なくとも1つの光起電力素子にエネルギーを供給する入射光の波長に対して透明な層である」という用語は、半透明の装飾層も含む。光起電力素子とパネルの最外面との間の任意の追加の層は、当該少なくとも1つの光起電力素子にエネルギーを供給する入射光の波長に対して一定の透明性を示さなければならないことは明らかである。以下の記載では、「透明」という用語は「半透明」も含む。
【0033】
本HPLパネルに組み込まれる光起電力素子は、紙もしくは別のタイプのキャリアもしくは支持材料の上、例えばプラスチックもしくは繊維で作られた可撓性の箔の上に配置でき、または、剛性もしくは可撓性の支持材料から構成できる。
【0034】
本HPLパネルに組み込まれる光起電力素子は、この分野でよく知られているケーブル、コネクタおよび他の電気機器を必要とする。実施形態では、これらの電気素子は、(部分的に)HPLパネル自体に統合される。実施形態によれば、生成された電力のための蓄電装置は、本パネルに統合される。
【0035】
上述のように、装飾パネルの機械的特性は、長期間にわたって維持される必要がある。任意の機械的特性の劣化を防ぐ必要がある。本発明者らは、本装飾HPLパネルにおける光起電力素子の存在が、特に夏期の真昼の間に、HPLパネル内の温度の局所的な上昇をもたらし得ることを発見した。このような局所的なホットスポットは、光起電力素子の性能と寿命に悪影響を与えうる。さらに、特に光起電力素子の周囲の領域において、装飾HPLパネルの機械的特性が影響を受けうる。さらに、装飾HPLパネルの平らな表面は、HPLパネルの重要な態様である。したがって、HPLパネルの表面の任意の不規則性、例えば表面の起伏は、防ぐ必要がある。また、装飾パネルへの光起電力素子の組み込みは、装飾HPLパネルの平坦性を維持するための追加の測定を必要としうる。さらに、本発明者らは、パネルを高温かつ高圧でプレスする工程の間に、樹脂含浸紙の層に存在する樹脂が、黄ばんだ硬化化合物の形成をもたらしうることを発見した。これらの黄ばんだ硬化化合物は、これらの層の透明度に悪影響を与えうる。これらの黄ばんだ硬化化合物は、光起電力素子により受け取られるエネルギーを低下させる。
【0036】
本装飾パネルにおいて、コア層は、好ましくは、樹脂含浸紙、例えばフェノール樹脂含浸紙の熱プレスされた積層体を含む。別の実施形態によれば、プリプレグ、木質繊維、ガラス繊維、紡織繊維、合成繊維、金属繊維、セラミック繊維、炭素繊維、またはそれらの混合物の不織布および織布を使用して、樹脂含浸積層体における紙の一部または全部を置き換えることができる。さらに別の実施形態では、樹脂含浸紙をプリプレグで置き換えることができる。そのようなプリプレグは、熱硬化性合成樹脂で被覆された木質繊維またはセルロース繊維からなる繊維含有材料の固結したコアと考えることができる。プリプレグの厚さは、通常の紙よりもかなり厚くてもよく、1cm超、またはそれ以上の厚さを含み得る。
【0037】
プリプレグを製造するための方法は、本出願人の名義で米国特許第4,503,115号および米国特許第6,387,489号に開示されている。例えば、米国特許第6,387,489号によれば、乾燥後、繊維は貯蔵されるか、またはスプレッダー装置に直接渡される。樹脂処理された繊維は、顔料なしで、または、顔料ありでさらに処理されてもよい。樹脂処理された繊維と顔料から作られた混合物は、繊維と顔料をランダムな方向で連続的かつ均一に堆積させるスプレッダー装置に導入され、水平なコンベアベルトの幅全体にわたって分布したウェブ状のマットを生成し、このマットが個別に、またはこのタイプの他のウェブのようなマットと一緒にプレス成形され、コア層が形成される。スクレーパ、ブラシ、ベルト、またはローラを使用してコンベアベルト上のマットを連続的に成形した後、プリプレグはカレンダ装置で予備プレス成形され、圧縮されて厚さが減少する。
【0038】
別の実施形態では、樹脂含浸紙の熱プレスされた積層体内に光起電力素子を配置することも可能である。
【0039】
本発明者らは、本パネルの不均一な外面の形成を防止するために、樹脂含浸紙の積層体に1つ以上の凹部を設けることが可能であることを発見した。これらの凹部は、それぞれの凹部に光起電力素子を配置するために使用できる。そのような実施形態では、光起電力素子を備えた凹部は、少なくとも1つの熱プレスされた樹脂含浸紙で覆われていることが好ましい。1つ以上の凹部の形成は、上述した各タイプのコア層に対して有効である。凹部は、バッテリ、つまり電力を蓄えるための装置、ケーブル、コネクタ、およびその他の電気機器の配置にも使用できる。
【0040】
HPLパネルおよび光起電力素子の本構造は、光起電力素子がHPLパネルを破壊せずに取り外すことができないようなものである。個々の構成要素、つまりコア層、光起電力素子および装飾層を、例えば120℃以上の熱と、高い面圧(>7MPa)とを同時に加えて接合する工程において、密度が高い一体化した装飾面を有する均質な非多孔質HPLパネルが得られる。したがって、光起電力素子、オプションでケーブル、コネクタ、およびその他の電気機器も、本HPLパネルに完全に埋め込まれており、全てのこれらのデバイスは外部から見えない。装飾HPLパネルを製造するための方法は、とりわけ、米国特許第4,801,495号、米国特許第4,789,604号、米国特許出願第2013/078437号に開示されている。これらのHPLパネルを製造するためのプロセス条件に関するこれらの公報に開示された関連部分は、参照により本明細書に組み込まれるべきである。
【0041】
本発明はまた、CPL(連続プレスラミネート)およびLPL(低圧ラミネート)の製造にも適している。低圧ラミネートは、可塑剤が添加されたメラミン熱硬化性樹脂を含浸させた2または3枚の紙で形成された、表面を被覆するために使用される材料を含む。紙は、低圧でのホットプレスによって強固に接合される。これらの材料の物理的および技術的特性は、高圧ラミネートの物理的および技術的特性に劣るが、あまり応力を受けない家具構成要素を被覆するのに十分に適し、特にエッジを作り出すのに適している。CPL(連続圧力ラミネート)は低圧下で積層されるが、HPL(高圧ラミネート)は、高圧/高温積層プロセスによって製造される。その結果、特に強度と設置の容易さの点で性能にばらつきが生じる。本発明は、連続プレスラミネート(CPL)を製造するためのダブル・ベルト・プレス(DBP)も対象とする。CPLは、樹脂が含浸され、かつ、熱および高圧の下で樹脂を含浸させたバッカーと融着された装飾紙である。ラミネート特性は標準のHPLと同様であり、典型的な厚さの範囲は0.4mm~1mmである。フレキシブルCPLは、フレキシブル熱硬化性樹脂が含浸され、かつ、熱および高圧の下で樹脂を含浸させたバッカーと融着された装飾紙である。
【0042】
本発明者らは、熱硬化性樹脂で紙の間に光起電力素子をプレスする代わりに、光起電力素子を熱成形可能な材料のシートで作られた空洞に配置できることを見出した。空洞の寸法は、好ましくは、光起電力素子をシートの空洞に配置した後、シートの表面が完全に平坦になるようなものである。光起電力素子を備えたシートは、装飾と熱硬化性樹脂を有する紙との積層体内の、装飾の直下に配置されるか、または、シートと装飾との間の熱硬化性樹脂を有する少なくとも1枚の紙と共に配置される。特定の実施形態では、光起電力素子が配置されるシートの面は、装飾に最も近い。別の実施形態によれば、装飾は、光起電力素子を備えたシート上に積層され、シートはコア材料として機能する。積層の前に、シート、装飾またはその両方に接着剤を塗布することによって、接着を促進できる。
【0043】
一実施形態では、装飾層の基材層は、樹脂含浸紙、木質繊維、ガラス繊維、紡織繊維、合成繊維、金属繊維、セラミック繊維および炭素繊維、または、これらの繊維の組み合わせからなる不織布ならびに織布の群より選択される。特定の実施形態では、樹脂含浸紙は、不織布および/または織布と組み合わせることができる。別の実施形態では、装飾層の基板層は、ポリマー箔、金属箔およびセラミック箔、または、これらの箔のいずれかの組み合わせの群から選択することもできる。特定の実施形態では、樹脂含浸紙は、ここで述べたように、不織布および/または織布および/または箔と組み合わせることができる。
【0044】
熱成形可能なシートは、1つ以上の熱可塑性ポリマーを含んでもよく、熱可塑性ポリマーは、熱圧力を加えると塑性変形する。熱可塑性シートは、無機物、例えばガラス、合成、炭素、または他のタイプの強化繊維のような、フィラーを含んでもよい。フィラーの目的は、熱成形可能なシートの物理的特性を変更すること、例えばそれを強化することである。
【0045】
本発明はまた、コアが少なくとも1つの熱成形可能なシートを含む装飾HPLパネルに関する。そのような実施形態では、コアは、樹脂含浸紙の積層体をさらに含んでもよく、少なくとも1つの熱成形可能なシートは、装飾層と樹脂含浸紙の積層体との間に配置される。別の実施形態では、熱硬化性層は、好ましくは、装飾と熱成形可能なシートとの間に配置され、熱硬化性層は、好ましくは樹脂含浸紙である。
【0046】
少なくとも1つの熱成形可能なシートは、好ましくは、1つ以上の凹部を備えており、その1つ以上の凹部の中に光起電力素子が配置されている。そのような凹部は、バッテリ、すなわち電力を蓄積するための装置、ケーブル、コネクタ、および、他の電気機器のような他の装置も収容し得る。
【0047】
統合された光起電力素子はHPLパネルによって封止され、これにより統合された光起電力素子を環境から保護する。このような環境保護には、風、天候、日光、化学物質、引っかき傷、温度、水分および湿気が含まれ得るが、これらに限定されない。封止はまた、光起電力素子、および、パネルに組み込まれた場合の他の装置の意図しない取り外し(盗難)も防止する。
【0048】
本装飾HPLパネルは、外壁、天井およびファサードなどの外部環境の領域で使用できる。
【0049】
したがって、本HPLパネルの利点は、不可視、シームレスな一体化、外面の平坦性、封止、すなわち環境からの保護として特定でき、本光起電力素子なしのパネルと比べて、パネルの物理特性が変更されないままである。
【0050】
さらに、本発明は、上述の装飾HPLパネルを1つ以上の個別のHPLパネルセグメントに分割する方法であって、このように得られた前記HPLパネルセグメントは、1つ以上の光起電力素子を有するHPLパネルセグメントと、光起電力素子を有さないHPLパネルセグメントと、を備えてもよく、
i) 最も外側の装飾層とコア層とを備える装飾HPLパネルを提供するステップであって、前記HPLパネルは、光起電力効果によって光のエネルギーを電気に変換するためのいくつかの光起電力素子をさらに備え、前記いくつかの光起電力素子は、前記最も外側の装飾層と前記コア層との間に配置され、前記いくつかの光起電力素子は、前記HPLパネルの同じ面に配置され、前記最も外側の装飾層は、前記いくつかの光起電力素子にエネルギーを供給する入射光に対して透明であり、前記最も外側の装飾層は、前記いくつかの光起電力素子を見えなくする、ステップと、
ii) i)の前記装飾HPLパネルの1つ以上のセグメントのサイズを決定するステップと、
iii) i)の前記装飾HPLパネルを、ステップii)に従って決定されたサイズに従って、1つ以上の光起電力素子を有するHPLパネルセグメントと、場合により光起電力素子を有さないHPLパネルセグメントとに切断するステップと、
を備えることを特徴とする方法に関する。
【0051】
この方法によれば、いくつかの光起電力素子を有するHPLパネルを1ステップで製造することが可能になり、このように得られたHPLパネルは、1つ以上の個別のHPLパネルセグメントにさらに加工できる。このように得られたHPLパネルセグメントは、1つ以上の光起電力素子を有するHPLパネルセグメントを含んでもよく、当該光起電力素子は、異なるサイズ、寸法、および、性能品質を有してもよい。さらに、このように得られたHPLパネルセグメントは、光起電力素子を含まないHPLパネルセグメントを含んでもよい。一例として、最初のHPLパネルは、10個の個別の光起電力素子を有してもよい。ステップiii)の後、5つの別々のHPLパネルがあり、これらのうち3つは1つの光起電力素子のみを有し、これらのうち1つは5つの光起電力素子を有し、これらのうち1つは2つの光起電力素子を有する。これらの5つのHPLパネルのサイズは、同じサイズでも異なるサイズでもよい。同じことが光起電力素子にも当てはまる。したがって、本方法は、装飾HPLパネルを得るための非常に柔軟なプロセスを提供する。
【0052】
一実施形態では、建物の外装材(outer cladding)は、上述の少なくとも1つの装飾HPLパネルからなる。別の実施形態では、建物の外装材は、上述の方法に従って得られた1つ以上の光起電力素子を有する個々のHPLパネルセグメントからなる。一実施形態では、建物の外装材は、上述の方法に従って得られた光起電力素子を有さない個々のHPLパネルセグメントからさらに構成されてもよい。
【0053】
本発明はさらに、少なくとも1つの装飾HPLパネルからなる、および/または、上述の方法に従って得られる1つ以上の光起電力素子を備える個々のHPLパネルセグメントからなる、インテリア家具に関する。
【0054】
1つ以上の光起電力素子を有するHPLパネルセグメントおよび光起電力素子を有さないHPLパネルセグメントの利用可能性であって、これらのHPLパネルセグメントは同じHPLパネルに由来する、HPLパネルセグメントの利用可能性に基づいて、本発明者らは、1つ以上の光起電力素子を有するHPLパネルセグメントおよび光起電力素子を有さないHPLパネルセグメントを有する建物の外装材を提供するための方法も提案する。利点は、これらのHPLパネルが同じHPLパネルに由来するため、これらのHPLパネルが同じ外観を有することである。このような方法は、
a) 建物の外装材に入射する太陽光の量を決定するステップと、
b) 1つ以上の光起電力素子を備える個々のHPLパネルセグメントを、大量の入射太陽光がある領域の外装材上に配置するステップと、
場合により、c) 光起電力素子を備えない個々のHPLパネルセグメントを、少量の入射太陽光がある領域の外装材上に配置するステップと、
を備える。
【0055】
このような方法は、2種類のHPLパネルセグメントの利用可能性を利用する。光起電力素子のないものは、入射太陽光の量が少ない領域に配置され、光起電力素子のあるものは、入射太陽光の量が多い領域に配置される。したがって、光起電力素子の容量(capacity)の最適な使用法がある。
【0056】
目に見えない太陽エネルギーハーベスタを備えたファサード要素により、建築家は美観を制限することなくエネルギー効率のよい建物を設計できる。
【0057】
さらに、高圧ラミネート(HPL)に光起電力素子を含めることで、建築家はPVユニットのサイズの制約なしでファサードを設計できる。HPLパネルは、ソーラーハーベスタの利用可能なサイズよりも大幅に大きくなってもよい。
【0058】
特典は、PV素子がHPLパネルに完全に統合されており、環境および気象条件からも保護されていることである。PV素子が見えないだけでなく、パネルを破壊せずにPV素子を取り外すこともできない。これらの特徴は、これらの高価なハーベスタの盗難の脅威を制限する。
【0059】
本発明者らは、光起電力素子を含む本装飾高圧ラミネート(HPL)パネルは、「未加工」のPV素子よりも効率が低く、これは覆っている装飾表面のためであることを推測する。ファサードの表面は一般に大きな構造物の屋根の表面よりも広いことを思い出すと、光起電力素子を含む本装飾高圧ラミネート(HPL)パネルによって生成される電力は、ファサードに関する重要な貢献でありうる。
【0060】
さらに、モノのインターネット(IoT)時代の発祥地では、すべての「モノ」が無線で互いに接続される。センシング機能を備えた「モノ」は、その情報を他の「モノ」に伝達できる。例えば、建物の外側にある温度計は、建物のセントラルヒーティングシステムに温度を伝達でき、それは、例えば加熱を増やすこと、または、空調を開始することにより反応する。したがって、自律的な「モノ」(例えば無線アクセスを備えたセンサ)の必要性が高まる。現在、無線アクセスを備えたセンサは、マイクロワット範囲の(超)低電力で動作するよう設計されている。この不可視のソーラーハーベスタHPLパネルは、潜在的に、そのような無線アクセスを備えたセンサに電力を供給でき、そのようなスマートパネルのエネルギーを自給自足にする。
【0061】
本発明では、薄膜太陽電池がPV素子として使用されてもよい。薄膜太陽電池では、エネルギー変換材料は、薄い層であり、かつ、支持基板に堆積される。基板は、例えばガラスのように剛性であってもよく、または、例えばプラスチック箔もしくは金属箔のように柔軟であってもよい。エネルギー変換、光起電力、材料の種類は、薄膜太陽電池の種類を区別する。薄膜光起電力材料の例は、アモルファスシリコン(a-Si)、テルル化カドミウム(CdTe)、セレン化銅インジウムガリウム(CIS/CIGS)、および、有機太陽電池(OPC)である。薄膜太陽電池の製造方法は、一般に、従来の単結晶および多結晶太陽電池と比較して、大量生産へのアップスケールが容易であり、したがって製造が安価である。他方、薄膜太陽電池は一般に効率が低い。大量生産は簡単である。これにより、結晶ベースの太陽電池よりも潜在的に安価に製造できる。
【0062】
本発明の別の利点は、好ましい実施形態の詳細な説明を参照することによって明らかになるであろう。ここに示される図は1つの光起電力素子のみを示すが、本発明は特定の数の光起電力素子に限定されない。読みやすさと明確さに基づき、すべての電気的(内部および外部)接続と電源は図では省略されている。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【
図2】本発明によるHPL装飾パネルの別の実施形態を示す。
【
図3】本発明による装飾HPLパネルの別の実施形態を示す。
【
図4】本発明による装飾HPLパネルの別の実施形態を示す。
【
図5】本発明による装飾HPLパネルの使用の一実施形態を示す。
【
図6】本発明による装飾HPLパネルの別の実施形態を示す。
【
図7】本発明による装飾HPLパネルの使用の一実施形態を示す。
【
図8】本発明による装飾HPLパネルの別の実施形態を示す。
【
図9】本発明による装飾HPLパネルの使用の一実施形態を示す。
【
図10】本発明による装飾HPLパネルの実施形態を示す。
【
図11】本発明によるHPL装飾パネルの別の実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0064】
図では、同じ参照番号が同じ構成要素に使用される。
【0065】
図1は、最も外側の装飾層1およびコア層3を含む装飾高圧ラミネート(HPL)パネル10を示し、当該パネル10は、光起電力効果によって光のエネルギーを電力に変換するための光起電力素子2をさらに含む。光起電力素子2は、最も外側の装飾層1とコア層3との間に位置している。最も外側の装飾層1は、樹脂含浸紙を含み、かつ、光起電力素子2に
エネルギーを供給する入射光の波長に対して透明である。光起電力素子2は、ここでは単一のユニットとして示されているが、光起電力素子2は、例えば
図4に示されるように、いくつかの個別の光起電力素子から構成されてもよい。コア層3は、
図1では、樹脂含浸紙の層の積層体である。
【0066】
図2は、最も外側の装飾層1およびコア層3を含む装飾高圧ラミネート(HPL)パネル20を示し、当該パネル10は、光起電力効果によって光のエネルギーを電力に変換するための光起電力素子2をさらに含む。光起電力素子2は、最も外側の装飾層1とコア層4との間に位置している。最も外側の装飾層1は、樹脂含浸紙を含み、かつ、光起電力素子2に
エネルギーを供給する入射光の波長に対して透明である。光起電力素子2は、ここでは単一のユニットとして示されているが、光起電力素子2は、例えば
図4に示されるように、いくつかの個別の光起電力素子から構成されてもよい。
図2では、コア層4はプリプレグであるが、他のタイプのコア層も使用できる。
【0067】
図3は、2つの装飾層1およびコア層3を含む装飾高圧ラミネート(HPL)パネル30を示し、2つの装飾層1は、パネル10の両方の最も外側の面に配置されている。パネル10は、光起電力効果によって光のエネルギーを電力に変換するための光起電力素子2をさらに含む。光起電力素子2は、ここでは、2つの装飾層1と、コア層4、すなわちプリプレグとの間にサンドイッチ構造で位置している。最も外側の装飾層1は、樹脂含浸紙を含み、かつ、光起電力素子2に
エネルギーを供給する入射光の波長に対して透明である。内部装飾層、すなわち光起電力素子2とコア層4との間に配置された層は、入射光の波長に対して透明である必要はない。コア層の他方の表面に配置された装飾層1も、入射光の波長に対して透明である必要はない。光起電力素子2は、ここでは単一のユニットとして示されているが、光起電力素子2は、例えば
図4に示されるように、いくつかの個別の光起電力素子から構成されてもよい。
図3では、コア層4はプリプレグであるが、他のタイプのコア層も使用できる。
【0068】
図4は、個々のいくつかの個々の光起電力素子42,43,44および45を含む装飾高圧ラミネート(HPL)パネル40の上面図を示す。装飾高圧ラミネート(HPL)パネル40の層のビルドアップは、
図1~3のいずれか1つで説明されるような層のビルドアップと同様であり得る。読みやすさのために、個々の層、例えば装飾層は、ここには表示されていない。光起電力素子42,43,44および45は、ここに示されるように異なる寸法を有してもよい。光起電力素子42,43,44および45の数および寸法は、重要ではない。
【0069】
図5は、
図4に示される装飾HPLパネルの使用の実施形態を示す。屋根52およびファサード53を有する家50は、植物54の生け垣を備える。ファサード53は、光起電力素子を備えた装飾HPLパネルで覆われる。植物の生け垣の後ろの領域は太陽光51を受けないので、植物54の生け垣の陰になっているその領域に光起電力素子を配置する必要はない。この状況では、装飾高圧ラミネート(HPL)パネル40(
図4の説明を参照)をファサード53上に配置して、パネル40上の個々のいくつかの個々の光起電力素子42,43,44および45の位置を最適に利用できる。換言すれば、光起電力素子のないパネル40の領域は、植物54の生け垣の影になっている領域に配置され、光起電力素子42,43,44および45のあるパネル40の領域は、太陽光51によって照射される。
【0070】
図6は、個々のいくつかの個々の光起電力素子62,63,64および65を含む装飾高圧ラミネート(HPL)パネル60の上面図を示す。装飾高圧ラミネート(HPL)パネル60の層のビルドアップは、
図1~3のいずれか1つで説明されるような層のビルドアップと同様であり得る。読みやすさのために、個々の層、例えば装飾層は、ここには表示されていない。光起電力素子62,63,64および65は、ここに示されるように異なる寸法を有してもよい。光起電力素子62,63,64および65の数および寸法は、重要ではない。
【0071】
図7は、
図6に示される装飾HPLパネルの使用の実施形態を示す。屋根52およびファサード53を有する家70は、植物54の生け垣を備える。ファサード53は、光起電力素子を備えた装飾HPLパネルで覆われる。植物の生け垣の後ろの領域は太陽光51を受けないので、植物54の生け垣の陰になっているその領域に光起電力素子を配置する必要はない。この状況では、装飾高圧ラミネート(HPL)パネル60(
図6の説明を参照)をファサード53上に配置して、パネル60上の個々のいくつかの個々の光起電力素子62,63,64および65の位置を最適に利用できる。換言すれば、光起電力素子のないパネル60の領域は、植物54の生け垣の影になっている領域に配置され、光起電力素子62,63,64および65のあるパネル60の領域は、太陽光51によって照射される。
【0072】
図8は、本発明による装飾HPLパネル80の上面図を示す。装飾HPLパネル80の左側部分は、いくつかの個別の光起電力素子83を備える。装飾HPLパネル80の右側部分は、光起電力素子を備えない。装飾高圧ラミネート(HPL)パネル80の層のビルドアップは、
図1~3のいずれか1つで説明されるような層のビルドアップと同様であり得る。読みやすさのために、個々の層、例えば装飾層は、ここには表示されていない。複数の光起電力素子83は、異なる寸法を有し得る。光起電力素子83の数および寸法は、重要ではない。パネル80は、1つ以上の個別のHPLパネルセグメントに分割されることができ、このように得られたHPLパネルセグメントは、1つ以上の光起電力素子を有するHPLパネルセグメント(これは
図8の「左部分」にある)と、光起電力素子を含まないHPLパネルセグメント(これは
図8の「右部分」にある)とを含み得る。このような方法は、装飾HPLパネル80を提供する第1ステップと、装飾HPLパネル80内の1つ以上のセグメントのサイズを決定する第2ステップと、サイズに従って装飾HPLパネル80を1つ以上の光起電力素子83を有するHPLパネルセグメント82と光起電力素子を有さないHPLパネルセグメント81とに切断するステップと、を含む。
図9では、光起電力素子を有さないHPLパネルセグメント81が家具として、すなわち、テーブルカバー81および支持手段91からなるテーブル90において使用されている。
【0073】
図10は、最も外側の装飾層1およびコア層3を含む装飾高圧ラミネート(HPL)パネルを示し、当該パネルは、光起電力効果によって光のエネルギーを電力に変換するための光起電力素子2をさらに含む。光起電力素子2は、最も外側の装飾層1とコア層3との間に配置され、コア層3は凹部5を備える。凹部5の寸法は、光起電力素子2がその凹部5に入るようなものである。最も外側の装飾層1は、樹脂含浸紙を含み、かつ、光起電力素子2に
エネルギーを供給する入射光の波長に対して透明である。光起電力素子2は、ここでは単一のユニットとして示されているが、光起電力素子2は、例えば
図4に示されるように、いくつかの個別の光起電力素子から構成されてもよい。さらに、凹部の数は、光起電力素子の数と等しくてもよい。コア層3は、
図10では、樹脂含浸紙の層の積層体である。
【0074】
図11は、最も外側の装飾層1およびコア層3を含む装飾高圧ラミネート(HPL)パネルを示し、当該パネルは、光起電力効果によって光のエネルギーを電力に変換するための光起電力素子2をさらに含む。光起電力素子2は、最も外側の装飾層1とコア層4との間に配置され、コア層3は凹部5を備える。凹部5の寸法は、光起電力素子2がその凹部5に入るようなものである。最も外側の装飾層1は、樹脂含浸紙を含み、かつ、光起電力素子2に
エネルギーを供給する入射光の波長に対して透明である。光起電力素子2は、ここでは単一のユニットとして示されているが、光起電力素子2は、例えば
図4に示されるように、いくつかの個別の光起電力素子から構成されてもよい。さらに、凹部の数は、光起電力素子の数と等しくてもよい。
図11では、コア層4はプリプレグであるが、他のタイプのコア層も使用できる。
【0075】
したがって、本発明者らは、HPLを作製するためにPV素子がプリプレグの積層体に含められることを発見した。PV素子は、処理後に機能し続ける。パネルの美観は、プレスサイクルの前にPV素子を装飾紙で覆うことによって維持される。それが覆われた後、PV素子の性能は低下するが、その機能は残る。
【0076】
例1。
図3のビルドアップが示すように、PowerFilm Solarからのアモルファスシリコン薄膜ソーラーパネルと同様のタイプの1.5x6cmの薄膜光起電力素子が、プリプレグと装飾メラミン含浸紙の積層体に追加される。光起電力素子は、2枚のメラミン含浸装飾紙の間に配置される。PV素子のコンタクトパッドは、接続点を特定するために、装飾紙の最も外側にマークされる。また、非接着性のポリマーフィルムがパッドの上に配置され、プレス後の測定プローブとパッドとの間の良好な電気的接触を促進する。PV素子をパネルに統合する前、読み取り値(readout)は約4Vであった。
【0077】
パネルは、160℃、70バールで20分間プレスされる。パネルは、室温まで冷却される。
【0078】
パネルをプレスした後、光起電力素子はパネルの表面において見えない。マークにて装飾紙は切り開かれ、コンタクトパッドがNieaf instrumentsからのマルチメータNI72のプローブに到達する。読み取り値は3.1Vであった。光がパネル表面に到達していない場合、つまりパネル全体が覆われている場合、読み取り値は0.4Vに減少した。十分にさらされた後(覆われていないPV素子)、読み取り値は3.1Vに増加した。この手順が数回繰り返され、同じ結果が得られた。プレスの後1日で読み取り値は同じままであった。
【0079】
例2。
HPLパネル上で光起電力素子を見えなくし、かつ、PVパネルを非PVパネルと調和させるために、発明者らは、標準のHPLパネルにも使用されるVoltaic systemsによる単結晶太陽電池の6V2Wソーラーパネルを装飾層で覆った。最初のステップとして、装飾のカバーありおよびなしのPVセルによって生成された電力が分析される。PVセルは、18W 2700K 1521lmのインテリアランプで照射された。光の変換は、Nieaf instrumentsからのマルチメータNI72によって読み取られたVの電位差によって測定された。PVセルは、装飾で覆われた。光が装飾のみを通過し、かつ、エッジから通過しないようにするため、PVセルを覆う装飾は、PVセルより最小で5cm広かった。覆われていないPVセルのマルチメータ読み取り値の基準コントロールは、それぞれの2番目の装飾の間で集められ、これらの読み取り値はサイクル全体を通して安定していた。
【0080】
装飾の透明度は、覆われていないPVと覆われたPVの電位(V)の差として評価された。以下の図と表を参照されたい。黒の装飾は可視スペクトルの光吸収色であり、それは、黒の装飾が最も低い出力を有する結果で確認される。明るい装飾(ウッドプリント、白およびライトグレー)は吸収が少なく、したがってより多くの光をPVに透過させる。一方、白は可視スペクトルのすべての波長を反射し、それにもかかわらず意外にも、黒のものに比べてこれらの装飾に関して電力を生成するための光がより多くある。光のスループットが増加する理由は、PVセルが吸収している波長範囲の色の不透明度にある。後者は、可視スペクトルだけでなく、より長い波長(赤外線)にもある。半透明のオーバーレイを使用すると、PVが最も少なく覆われ、かつ、生成された電力の出力がわずかに減少する。
【表1】
【表2】
【表3】
【0081】
例2の結果は、入射光の一部がPVモジュールによって電力に変換されないことを示す。本発明者らは、入射光の一部が装飾層(装飾)によって妨げられると推測する。装飾層が薄く、かつ、光学的に透明であるほど、より多くの電力がPVによって変換される。半透明のオーバーレイは、(このテストの状況下で)電力変換にわずかに影響するだけであるが、可視スペクトルの大部分を吸収している(つまり、色が黒である)黒の装飾層は、大幅に低い電力変換を示す。
【0082】
例3。
HPLパネル上で光起電力素子を見えなくし、かつ、PVパネルを非PVパネルと調和させるために、発明者らは、標準のHPLパネルにも使用されるVoltaic systemsによる単結晶太陽電池の6V2Wおよび6V6Wソーラーパネルを装飾層で覆った。この実験の目的は、装飾で覆われた太陽電池の機能を実証することである。装飾層は、ホットメルト転写印刷された接着剤によってソーラーパネルに固定された。最初のステップとして、装飾のカバーありおよびなしのソーラーパネルによって生成された電力を測定した。PVセルは、18W 2700K 1521lmのインテリアランプで照射された。光の変換は、Nieaf instrumentsからのマルチメータNI72によって読み取られたVの電位差によって測定された。
【表4】
【0083】
例3の結果は、入射光の一部がPVモジュールによって電力に変換されないことを示す。本発明者らは、入射光の一部が装飾層(装飾)および接着剤によって妨げられると推測する。白い装飾がPVセル上に直接接着されている例に示されるように、装飾層が薄く、かつ、光学的に透明であるほど、より多くの電力がPVによって変換される。3枚のクラフト紙を含む同じ白い装飾で作られた薄いラミネートは、大幅に低い電力変換を示す。
【0084】
例4。
図3のビルドアップが示すように、Infinity OPVからの有機光起電力材料による薄膜太陽電池(ロールツーロール製造セル、スクールセット)が、プレプレグと装飾メラミン含浸紙の積層体に追加される。光起電力素子は、2枚のメラミン含浸装飾紙の間に配置される。PV素子のコンタクトパッドは、接続点を特定するために、装飾紙の最も外側にマークされる。また、非接着性のポリマーフィルムがパッドの上に配置され、プレス後の測定プローブとパッドとの間の良好な電気的接触を促進する。PV素子をパネルに統合する前、Nieaf instrumentsからのマルチメータNI72で測定された読み取り値は約5Vであった。
【0085】
パネルは、130℃、70バールで40分間プレスされる。パネルは、室温まで冷却される。
【0086】
パネルをプレスした後、光起電力素子はパネルの表面において見えない。マークにて装飾紙は切り開かれ、コンタクトパッドがNieaf instrumentsからのマルチメータNI72のプローブに到達する。エネルギー変換機能はもはや有効ではなく、光にさらされたときに電力は生成されなかった。本発明者らはコンタクトパッド間の抵抗を測定したので、本発明らはコンタクトパッドは短絡していたと推測する。本発明者らは、パネルを処理する間の処理条件によって有機光起電力材料が損傷を受けたと推測する。
【0087】
例4。
表面を平らにするためだけでなく太陽電池を所定の位置に保つための凹部が樹脂含浸紙の積層体にないことの影響を実証するために、本発明者らは、添付の図に示すように、単結晶ソーラーパネル(SUNBEAMシステム Nordic 50W フレキシブルソーラーパネル、50W)をプリプレグと装飾メラミン含浸紙の積層体に追加した。図に示されるように、ソーラーパネルの2つの側面は、凹部の壁を表すプリプレグの「壁」によって閉じ込められた。ソーラーパネルの他の2つの側面には、壁はなかった。
【0088】
パネルは、130℃、70バールで40分間プレスされる。パネルは、室温まで冷却される。
【0089】
パネルをプレスした後、パネルの表面は平らであり、PVは表面において見えない。PVが凹部の壁により保護された側面にて、パネルがプレスされた後、ソーラーパネルは元の位置に閉じ込められたままであった。一方、凹部の壁のない他の2つの側面では、プレスプロセス中にソーラーパネルの材料が流出していた。PV材料の流出のため、パネルをプレスした後の光起電力効果は測定できなかった。本発明者らは、これが、壊れたコンタクトおよび破壊されたPVセルによって引き起こされると推測する。
【0090】
多くのカラーPVパネルが市場に出ていることに留意されたい。これらのカラーPVパネルは、PVの全表面が印刷で覆われているのではなく、色が、スペースで分離されたドットで印刷され、スペースは、見られるために十分に小さく、かつ、PVに十分な光を通すために十分に大きい、選択された印刷技術を利用している。他のアプリケーションでは、1つの特定の色を反射し、かつ、下層で電力に変換されるすべての他の波長を通過させるスマートカラーフィルタが適用される。どちらの場合も、同じ原理に基づいてPVの効率は(部分的に)低下し、PVモジュールに入る光が少なくなる。上述のカラーフィルタの両方の方法は、PVモジュールの上に、主にPVセルを覆うガラスの上に適用され、これらの方法は、インクジェット印刷とナノ材料の堆積のような精密技術を含む。
【0091】
本発明は、PVモジュールの着色における完全に異なるアプローチ、すなわち、建築材料にすでに適用され、かつ、HPLのようなファサードパネルに特に適しているがこれに限定されない大量生産技術を利用することによるアプローチを有する。本発明によれば、装飾層は、太陽電池モジュールの上に配置される。装飾層、装飾は、色を与えるコーティング(顔料充填コーティング)、ならびに、例えば引っかき傷、摩耗、UV光および天候摩耗への耐性のような他の表面固有の特性有りまたは無しで、熱硬化性樹脂を含浸させた紙で構成される。装飾の光のスループット、つまり透明度は、フィラーの種類と、紙、樹脂およびコートにおける含有量とに依存する。光吸収または反射顔料の含有量が多いほど、装飾を通過してPVモジュールに届く光は少なくなる。
【0092】
したがって、本装飾高圧ラミネート(HPL)パネルでは、光起電力素子は、光起電力素子が吸収する波長の波長範囲において、透明、半透明または部分的に透明である必要がある。透明度は、装飾の不透明度、光吸収/反射顔料、および、顔料の均一性(均一なカバーまたはクラスターのように)に依存する。3種類の装飾の例は、色が透明に近いオーバーレイ、半透明の白い装飾、および、部分的に透明なウッドプリントの装飾である。