(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-29
(45)【発行日】2024-03-08
(54)【発明の名称】FGFR4阻害剤及びその使用
(51)【国際特許分類】
C07D 471/14 20060101AFI20240301BHJP
C07D 487/14 20060101ALI20240301BHJP
A61K 31/519 20060101ALI20240301BHJP
C07D 471/20 20060101ALI20240301BHJP
A61K 31/527 20060101ALI20240301BHJP
C07D 495/14 20060101ALI20240301BHJP
C07D 491/147 20060101ALI20240301BHJP
A61K 31/5383 20060101ALI20240301BHJP
C07D 498/22 20060101ALI20240301BHJP
C07D 513/14 20060101ALI20240301BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240301BHJP
A61P 35/04 20060101ALI20240301BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240301BHJP
【FI】
C07D471/14 102
C07D487/14 CSP
A61K31/519
C07D471/20
A61K31/527
C07D495/14
C07D491/147
A61K31/5383
C07D498/22
C07D513/14
A61P35/00
A61P35/04
A61P43/00 111
(21)【出願番号】P 2021517318
(86)(22)【出願日】2019-09-26
(86)【国際出願番号】 CN2019108298
(87)【国際公開番号】W WO2020063788
(87)【国際公開日】2020-04-02
【審査請求日】2022-09-14
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2018/107902
(32)【優先日】2018-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】519223169
【氏名又は名称】貝達薬業股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】BETTA PHARMACEUTICALS CO.,LTD
【住所又は居所原語表記】355 Xingzhong Road,Yuhang,Hangzhou,Zhejiang 311100,China
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高 金恒
(72)【発明者】
【氏名】孫 中心
(72)【発明者】
【氏名】張 贇
(72)【発明者】
【氏名】徐 暁峰
(72)【発明者】
【氏名】劉 湘永
(72)【発明者】
【氏名】王 家炳
(72)【発明者】
【氏名】丁 列明
【審査官】池上 佳菜子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/004258(WO,A1)
【文献】特表2015-511245(JP,A)
【文献】特表2012-514045(JP,A)
【文献】国際公開第2018/090939(WO,A1)
【文献】特表2017-500335(JP,A)
【文献】国際公開第2005/021551(WO,A1)
【文献】REGISTRY(STN)[online],2008.06.10[検索日 2023.08.04] CAS登録番号 1027030-36-9
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】
〔式中、
【化2】
は単結合又は二重結合を表し、
L
がCであり、Q
がNであり、T
がO
、CH
2又はCR
17から選択され、
A環は、C
6-10アリール基、置換基を含むC
6-10アリール基、
5-10員ヘテロアリール基、置換基を含む
5-10員ヘテロアリール基、
5-10員ヘテロシクリル基、又は置換基を含む
5-10員ヘテロシクリル基であり、前記
5-10員ヘテロアリール基又は前記
5-10員ヘテロシクリル基は、任意にN原子、O原子又はS原子を1個、2個又は3個含有し、
R
1は、水素、ハロゲン、C
1-8アルキル基、置換基を含むC
1-8アルキル基、C
1-8アルコキシ基、置換基を含むC
1-8アルコキシ基、C
2-8アルケニル基、置換基を含むC
2-8アルケニル基、C
2-8アルキニル基又は置換基を含むC
2-8アルキ
ニル基から選択され、
R
2は、C
3-10シクロアルキル基、置換基を含むC
3-10シクロアルキル基、
3-10員ヘテロシクリル基、置換基を含む
3-10員ヘテロシクリル基、C
6-10アリール基、置換基を含むC
6-10アリール基、
6-10員ヘテロアリール基又は置換基を含む
6-10員ヘテロアリール基から選択され、前記
3-10員ヘテロシクリル基又は前記
6-10員ヘテロアリール基は、任意にN又はOから選択されるヘテロ原子を1個又は2個含有し、
R
2は、1-2個のR
13で任意に置換されてもよく、
R
13は、ヒドロキシル基、ハロゲン、C
1-8アルキル基、置換基を含むC
1-8アルキル基、C
2-8アルケニル基、置換基を含むC
2-8アルケニル基、C
2-8アルキニル基、置換基を含むC
2-8アルキニル基、C
1-8アルコキシ基、置換基を含むC
1-8アルコキシ基、C
6-10アリール基、置換基を含むC
6-10アリール基、C
3-10シクロアルキル基、置換基を含むC
3-10シクロアルキル基、
3-10員ヘテロシクリル基、置換基を含む
3-10員ヘテロシクリル基、
5-10員ヘテロアリール基、置換基を含む
5-10員ヘテロアリール基、-NR
14R
15又は-CO-R
16から選択され、前記
3-10員ヘテロシクリル基又は前記
5-10員ヘテロアリール基は、N原子又はO原子を1個、2個又は3個含有し、
R
13は、0-1個のR
18で任意に置換されてもよく、
R
18は、ヒドロキシル基、ハロゲン、C
1-8アルキル基、置換基を含むC
1-8アルキル基、C
2-8アルケニル基、置換基を含むC
2-8アルケニル基、C
2-8アルキニル基、置換基を含むC
2-8アルキニル基、C
1-8アルコキシ基、置換基を含むC
1-8アルコキシ基、C
6-10アリール基、置換基を含むC
6-10アリール基、C
3-10シクロアルキル基、置換基を含むC
3-10シクロアルキル基、
3-10員ヘテロシクリル基、置換基を含む
3-10員ヘテロシクリル基、
5-10員ヘテロアリール基又は置換基を含む
5-10員ヘテロアリール基から選択され、前記
3-10員ヘテロシクリル基又は前記
5-10員ヘテロアリール基は、N原子又はO原子を1個、2個又は3個含有し、
R
5、R
6、R
7及びR
8は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、C
1-8アルコキシ基、置換基を含むC
1-8アルコキシ基、C
1-8アルキル基、置換基を含むC
1-8アルキル基、C
2-8アルケニル基、置換基を含むC
2-8アルケニル基、C
2-8アルキニル基、置換基を含むC
2-8アルキニル基、C
3-8シクロアルキル基、置換基を含むC
3-8シクロアルキル基、C
6-10アリール基、置換基を含むC
6-10アリール基、
5-10員ヘテロアリール基、置換基を含む
5-10員ヘテロアリール基、
3-10員ヘテロシクリル基又は置換基を含む
3-10員ヘテロシクリル基から選択され、
R
9は、H、ハロゲン、アミノ基、シアノ基、C
1-8アルキル基、置換基を含むC
1-8アルキル基、C
1-8アルコキシ基、置換基を含むC
1-8アルコキシ基、C
2-8アルケニル基、置換基を含むC
2-8アルケニル基、C
2-8アルキニル基、置換基を含むC
2-8アルキニル基、C
6-10アリール基、置換基を含むC
6-10アリール基、C
3-8シクロアルキル基、置換基を含むC
3-8シクロアルキル基、
3-10員ヘテロシクリル基、置換基を含む
3-10員ヘテロシクリル基、
5-10員ヘテロアリール基又は置換基を含む
5-10員ヘテロアリール基から選択され、
R
9は、0-1個のR
10で任意に置換されてもよく、
R
10は、ヒドロキシル基、ハロゲン、C
1-8アルキル基、置換基を含むC
1-8アルキル基、C
2-8アルケニル基、置換基を含むC
2-8アルケニル基、C
2-8アルキニル基、置換基を含むC
2-8アルキニル基、C
1-8アルコキシ基、置換基を含むC
1-8アルコキシ基、C
6-10アリール基、置換基を含むC
6-10アリール基、C
3-8シクロアルキル基、置換基を含むC
3-8シクロアルキル基、
3-10員ヘテロシクリル基、置換基を含む
3-10員ヘテロシクリル基、
5-10員ヘテロアリール基、置換基を含む
5-10員ヘテロアリール基、-CO-R
16又は-(CH
2)
nNR
11R
12から選択され、
R
11又はR
12は、任意に、H、C
1-8アルキル基、置換基を含むC
1-8アルキル基、C
2-8アルケニル基、置換基を含むC
2-8アルケニル基、C
2-8アルキニル基、置換基を含むC
2-8アルキニル基、C
1-8アルコキシ基、置換基を含むC
1-8アルコキシ基、C
3-8シクロアルキル基、置換基を含むC
3-8シクロアルキル基、C
6-10アリール基、置換基を含むC
6-10アリール基、
5-10員ヘテロアリール基、置換基を含む
5-10員ヘテロアリール基、
3-10員ヘテロシクリル基又は置換基を含む
3-10員ヘテロシクリル基から選択され、
R
14又はR
15は、任意に、H、C
1-8アルキル基、置換基を含むC
1-8アルキル基、C
2-8アルケニル基、置換基を含むC
2-8アルケニル基、-CO-C
2-8アルケニル基、置換基を含む-CO-C
2-8アルケニル基、C
2-8アルキニル基、置換基を含むC
2-8アルキニル基、C
3-10シクロアルキル基、置換基を含むC
3-10シクロアルキル基、C
6-10アリール基、置換基を含むC
6-10アリール基、
5-10員ヘテロアリール基、置換基を含む
5-10員ヘテロアリール基、
3-10員ヘテロシクリル基又は置換基を含む
3-10員ヘテロシクリル基から選択され、
R
16は、任意に、C
1-8アルキル基、置換基を含むC
1-8アルキル基、C
2-8アルケニル基、置換基を含むC
2-8アルケニル基、C
2-8アルキニル基、置換基を含むC
2-8アルキニル基、C
3-10シクロアルキル基、置換基を含むC
3-10シクロアルキル基、C
6-10アリール基、置換基を含むC
6-10アリール基、
5-10員ヘテロアリール基、置換基を含む
5-10員ヘテロアリール基、
3-10員ヘテロシクリル基、置換基を含む
3-10員ヘテロシクリル基又は-NR
11R
12から選択され、
R
17は
、C
1-8アルキル基、置換基を含むC
1-8アルキル基、C
2-8アルケニル基、置換基を含むC
2-8アルケニル基、C
2-8アルキニル基、置換基を含むC
2-8アルキニル基、C
3-10シクロアルキル基、置換基を含むC
3-10シクロアルキル基、C
6-10アリール基、置換基を含むC
6-10アリール基、
5-10員ヘテロアリール基、置換基を含む
5-10員ヘテロアリール基、
3-10員ヘテロシクリル基、置換基を含む
3-10員ヘテロシクリル基から選択され、又はR
17がC
3-10シクロアルキル基であって、それに連結しているC原子と共にスピロ環となり、
mが、0又は1であり、
nが、0、1又は2であり、
AがN原子を2個又は3個含有する五員ヘテロアリール環である場合に、R
2がビニルアミド基で置換された六員酸素含有ヘテロ環であり、前記ビニルアミド基で置換された六員酸素含有ヘテロ環が0~1個のR
13で任意に置換されても
よい。〕
で示される化合物、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、キレート、
もしくは非共有結合複合
体。
【請求項2】
前記化合物が、式(II):
【化3】
で示されることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Aは、フェニル基、
5-6員ヘテロアリール基又は
10員ヘテロシクリル基であり、前
記
5-6員ヘテロアリール基は、任意にN原子又はS原子を1個、2個又は3個含有し、前記
10員ヘテロシクリル基は、縮合二環構造であり、且つ2個のN原子及び1個のO原子を含有することを特徴とする、請求項1
又は2に記載の化合物。
【請求項4】
Aが
6員ヘテロアリール基であることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記
載の化合物。
【請求項5】
R
9は、H、ハロゲン、シアノ基、C
1-6アルキル基、ハロゲン置換基を含むC
1-6アルキル基、-(CH
2)
nNR
11R
12で置換されたアミノ基、置換基を含む
6員ヘテロシクリル基で置換されたC
1-6アルコキシ基から選択され、R
11及びR
12は、任意にC
1-6アルキル基から選択されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
【化4】
が
【化5】
であることを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載の化合物。
【請求項7】
R
1は、水素であり、R
2は、C
5-6シクロアルキル基、置換基を含むC
5-6シクロアルキル基、
5-7員ヘテロシクリル基、置換基を含む
5-7員ヘテロシクリル基又はフェニル基から選択され、前記
5-7員ヘテロシクリル基は、任意にN又はOから選択されるヘテロ原子を1個又は2個含有することを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項
に記載の化合物。
【請求項8】
R
2は、1個又は2個のR
13で置換され、R
13は、
5-6員ヘテロシクリル基、置換基を含む
5-6員ヘテロシクリル基、-NR
14R
15又は-CO-R
16から選択され、R
14は、水素であり、R
15は、-CO-C
2-4アルケニル基であり、R
16は、C
1-3アルキル基又は置換基を含むC
1-3アルキル基であることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項9】
R
13は、0~1個のR
18で置換され、R
18は、C
1-6アルキル基、
5-6員ヘ
テロシクリル基又は置換基を含む
5-6員ヘテロシクリル基から選択され、前記
5-6員ヘテロシクリル基は、N原子又はO原子を1個又は2個含有することを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項10】
R
2は、
【化6】
であることを特徴とする、請求項
8に記載の化合物。
【請求項11】
R
5、R
6、R
7及びR
8は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、C
1-3アルコキシ基又は置換基を含むC
1-3アルコキシ基から選択されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項12】
R
5及びR
8は、
(i)R
5及びR
8がいずれも塩素であること、
(ii)R
5及びR
8がいずれも水素であること、
(iii)R
5が水素であり、R
8が塩素であること、又は
(iv)R
5が塩素であり、R
8が水素であることからなる群から選択されることを特徴とする、請求項1~
11のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項13】
R
6及びR
7は、
(i)R
6及びR
7がいずれもメトキシ基であること、
(ii)R
6がメトキシ基であり、R
7がHであること、又は
(iii)R
6がHであり、R
7がメトキシ基であることからなる群から選択されることを特徴とする、請求項1~
12のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項14】
mが0又は1であることを特徴とする、請求項1~
13のいずれか1項に記載の化合物
。
【請求項15】
nが2であることを特徴とする、請求項1~
14のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項16】
(1)N-(2-((6-(2,6-ジクロロ-3,5-ジメトキシフェニル)-5,6-ジヒドロピリミド[5,4-c][1,8]ナフチリジン-2-イル)アミノ)-5-(4-モルホリニルピペリジン-1-イル)フェニル)アクリルアミド、
(2)N-((3S,4S)-3-((6-(2,6-ジクロロ-3,5-ジメトキシフェニル)-5,6-ジヒドロピリミド[5,4-c][1,8]ナフチリジン-2-イル)アミノ)テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アクリルアミド、
(3)N-((3S,4S)-3-((6-(2,6-ジクロロ-3,5-ジメトキシフェニル)-5-オキソ-5,6-ジヒドロピリミド[5,4-c][1,8]ナフチリジン-2-イル)アミノ)テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アクリルアミド、
(4)N-((3S,4S)-3-((6-(2,6-ジクロロ-3,5-ジメトキシフェニル)-5-メチル-5,6-ジヒドロピリミド[5,4-c][1,8]ナフチリジン-2-イル)アミノ)テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アクリルアミド、
(5)N-((3S,4S)-3-((6-(2,6-ジクロロ-3,5-ジメトキシ
フェニル)-5,6-ジヒドロピリミド[5,4-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-2-イル)アミノ)テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アクリルアミド、
(6)N-((3S,4S)-3-((6-(2,6-ジクロロ-3,5-ジメトキシフェニル)-5,6-ジヒドロピリミド[5,4-c]キノリン-2-イル)アミノ)テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アクリルアミド、
(7)N-((3R,4S)-4-((6-(2,6-ジクロロ-3,5-ジメトキシフェニル)-5,6-ジヒドロピリミド[5,4-c][1,8]ナフチリジン-2-イル)アミノ)テトラヒドロフラン-3-イル)アクリルアミド、
(8)N-((3S,4S)-3-((6-(2,6-ジクロロ-3,5-ジメトキシフェニル)-5,6-ジヒドロピリミド[5,4-c][1,5]ナフチリジン-2-イル)アミノ)テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アクリルアミド、
(9)N-((3S,4S)-3-((6-(2,6-ジクロロ-3,5-ジメトキシフェニル)-5,6-ジヒドロピリド[2,3-d:4,5-d’]ジピリミジン-2-イル)アミノ)テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アクリルアミド、
(10)N-((3S,4S)-3-((6-(2,6-ジクロロ-3,5-ジメトキシフェニル)-5,6-ジヒドロピラジノ[2’,3’:5,6]ピリド[4,3-d]ピリミジン-2-イル)アミノ)テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アクリルアミド、
(11)N-((3S,4S)-3-((6-(2,6-ジクロロ-3,5-ジメトキシフェニル)-9-フルオロ-5,6-ジヒドロピリミド[5,4-c][1,8]ナフチリジン-2-イル)アミノ)テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アクリルアミド、
(12)N-((3S,4S)-3-((6-(2,6-ジクロロ-3,5-ジメトキシフェニル)-10-メチル-5,6-ジヒドロピリミド[5,4-c][1,8]ナフチリジン-2-イル)アミノ)テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アクリルアミド、
(13)N-((3S,4S)-3-((6-(2,6-ジクロロ-3,5-ジメトキシフェニル)-9-メチル-5,6-ジヒドロピリミド[5,4-c][1,8]ナフチリジン-2-イル)アミノ)テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アクリルアミド、
(14)N-((3S,4S)-3-((6-(2-クロロ-3,5-ジメトキシフェニル)-9-メチル-5,6-ジヒドロピリミド[5,4-c][1,8]ナフチリジン-2-イル)アミノ)テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アクリルアミド、
(15)N-((3S,4S)-3-((6-(2,6-ジクロロ-3,5-ジメトキシフェニル)-8-メチル-5,6-ジヒドロピリミド[5,4-c][1,8]ナフチリジン-2-イル)アミノ)テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アクリルアミド、
(16)N-((3S,4S)-3-((6-(2,6-ジクロロ-3,5-ジメトキシフェニル)-9-トリフルオロメチル-5,6-ジヒドロピリミド[5,4-c][1,8]ナフチリジン-2-イル)アミノ)テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アクリルアミド、
(17)N-((3S,4S)-3-((6’-(2,6-ジクロロ-3,5-ジメトキシフェニル)-6’H-スピロ[シクロプロパン-1,5’-ピリミド[5,4-c][1,8]ナフチリジン]-2’-イル)アミノ)テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アクリルアミド、
(18)N-((3S,4S)-3-((6-(2,6-ジクロロ-3,5-ジメトキシフェニル)ピリミド[4,5-f][1,7]ナフチリジン-2-イル)アミノ)テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アクリルアミド、
(19)N-((3S,4S)-3-((6-(2,6-ジクロロ-3,5-ジメトキシフェニル)-5-メチル-5,6-ジヒドロチエノ[3’,4’:5,6]ピリド[4,3-d]ピリミジン-2-イル)アミノ)テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)ア
クリルアミド、
(20)N-((3S,4S)-3-((6-(2,6-ジクロロ-3,5-ジメトキシフェニル)-6H-ピリド[3’,2’:4,5]ピラノ[3,2-d]ピリミジン-2-イル)アミノ)テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アクリルアミド、
(21)N-((3S,4S)-3-((6-(2-クロロ-5-メトキシフェニル)-5,6-ジヒドロピリミド[5,4-c][1,8]ナフチリジン-2-イル)アミノ)テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アクリルアミド、
(22)N-((3S,4S)-3-((6-(2,6-ジクロロ-3,5-ジメトキシフェニル)-6,9,10,11-テトラヒドロ-5H-[1,4]オキサジノ[2,3-b]ピリミド[4,5-f][1,8]ナフチリジン-2-イル)アミノ)テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アクリルアミド、
(23)N-((3R,4S)-4-((10-(2-(4-アクリロイルピペラジン-1-イル)エトキシ)-6-(2,6-ジクロロ-3,5-ジメトキシフェニル)-5,6-ジヒドロピリミド[5,4-c][1,8]ナフチリジン-2-イル)アミノ)テトラヒドロフラン-3-イル)アクリルアミド、
(24)N-((3R,4S)-1-アセチル-3-((6-(2,6-ジクロロ-3,5-ジメトキシフェニル)-5,6-ジヒドロピリミド[5,4-c][1,8]ナフチリジン-2-イル)アミノ)ピペリジン-4-イル)アクリルアミド、
(25)N-((3S,4S)-3-((4-(2,6-ジクロロ-3,5-ジメトキシフェニル)-5-メチル-4,5-ジヒドロチアゾロ[5’,4’:5,6]ピリド[4,3-d]ピリミジン-8-イル)アミノ)テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アクリルアミド、
(26)N-((3S,4S)-3-((6-(2,6-ジクロロ-3,5-ジメトキシフェニル)-9-((2-(ジメチルアミノ)エチル)アミノ)-5,6-ジヒドロピリミド[5,4-c][1,8]ナフチリジン-2-イル)アミノ)テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アクリルアミド、
(27)N-((3S,4R)-4-((6-(2,6-ジクロロ-3,5-ジメトキシフェニル)-5,6-ジヒドロピリミド[5,4-c][1,8]ナフチリジン-2-イル)アミノ)-1-(1-メチルピペリジン-4-イル)ピロリジン-3-イル)アクリルアミド、
(28)N-((3S,4S)-3-((9-クロロ-6-(2,6-ジクロロ-3,5-ジメトキシフェニル)-5,6-ジヒドロピリミド[5,4-c][1,8]ナフチリジン-2-イル)アミノ)テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アクリルアミド、
(29)N-((3S,4S)-3-((9-シアノ-6-(2,6-ジクロロ-3,5-ジメトキシフェニル)-5,6-ジヒドロピリミド[5,4-c][1,8]ナフチリジン-2-イル)アミノ)テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アクリルアミド、
(30)N-((3S,4S)-3-((6-(2-クロロ-5-メトキシフェニル)-9-メチル-5,6-ジヒドロピリミド[5,4-c][1,8]ナフチリジン-2-イル)アミノ)テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アクリルアミド、
(31)N-((3S,4S)-3-((6-(2-クロロ-3-メトキシフェニル)-9-メチル-5,6-ジヒドロピリミド[5,4-c][1,8]ナフチリジン-2-イル)アミノ)テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アクリルアミド、
(32)N-((3S,4S)-3-((6-(2,6-ジクロロ-3-メトキシフェニル)-9-メチル-5,6-ジヒドロピリミド[5,4-c][1,8]ナフチリジン-2-イル)アミノ)テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アクリルアミド、
(33)N-((3S,4S)-3-((6-(2,6-ジクロロ-3,5-ジメトキシフェニル)-[1,2,4]トリアゾロ[4’,3’,1,6]ピリド[2,3-d]ピリミジン-2-イル)アミノ)テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アクリルアミド、又は
(34)N-(3-((9-クロロ-6-(2,6-ジクロロ-3,5-ジメトキシフ
ェニル)-5-オキソ-5,6-ジヒドロピリミド[5,4-c][1,8]ナフチリジンピリジン-2-イル)アミノ)テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アクリルアミドから選択される化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項17】
治療有効量の少なくとも一種の請求項1~
16のいずれか1項に記載の化合物、及び少なくとも一種の薬学的に許容される補助材料を含むことを特徴とする、医薬組成物。
【請求項18】
前記化合物と前記薬学的に許容される補助材料との質量分率が0.0001:1~10であることを特徴とする、請求項
17に記載の医薬組成物。
【請求項19】
FGFR4媒介性疾患の治療及び/又は予防用である、請求項17又は18に記載の医薬組成物。
【請求項20】
前記FGFR4媒介性疾患が、がんであることを特徴とする、請求項19に記載の医薬組成物。
【請求項21】
前記がんは、乳がん、多発性骨髄腫、膀胱がん、子宮内膜がん、胃がん、子宮頸がん、横紋筋肉腫、非小細胞肺がん、小細胞肺がん、多形性肺がん、卵巣がん、食道がん、黒色腫、結腸直腸がん、肝細胞がん、頭頸部腫瘍、肝胆道細胞がん、骨髄異形成症候群、悪性神経膠腫、前立腺がん、甲状腺がん、シュワン細胞腫、肺扁平上皮がん、苔癬様角化症、滑膜肉腫、皮膚がん、膵臓がん、精巣がん又は脂肪肉腫から選択されることを特徴とする、請求項20に記載の医薬組成物。
【請求項22】
治療対象がヒトであることを特徴とする、請求項19~21のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項23】
請求項1~
16のいずれか1項に記載の化合物又は請求項
17もしくは
18に記載の医薬組成物の、医薬品調製における使用。
【請求項24】
前記医薬品は、がん又はがんの転移の発生もしくは進行を治療、予防、遅延又は抑制するために用いられることを特徴とする、請求項
23に記載の使用。
【請求項25】
請求項1~
16のいずれか1項に記載の化合物又は請求項
17もしくは
18に記載の医薬組成物の、FGFR4媒介性疾患を治療する医薬品調製における使用。
【請求項26】
前記疾患が、がんであることを特徴とする、請求項
25に記載の使用。
【請求項27】
前記がんは、乳がん、多発性骨髄腫、膀胱がん、子宮内膜がん、胃がん、子宮頸がん、横紋筋肉腫、非小細胞肺がん、小細胞肺がん、多形性肺がん、卵巣がん、食道がん、黒色腫、結腸直腸がん、肝細胞がん、頭頸部腫瘍、肝胆道細胞がん、骨髄異形成症候群、悪性神経膠腫、前立腺がん、甲状腺がん、シュワン細胞腫、肺扁平上皮がん、苔癬様角化症、滑膜肉腫、皮膚がん、膵臓がん、精巣がん又は脂肪肉腫から選択されることを特徴とする、請求項
24又は
26に記載の使用。
【請求項28】
前記医薬品は、FGFR4阻害剤として用いられることを特徴とする、請求項
23に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、線維芽細胞増殖因子受容体4(FGFR4)阻害剤である一連の化合物及びその調製方法、医薬組成物に関する。本発明は、さらに、前記化合物又はその医薬組成物の、FGFR4媒介性疾患治療における使用にも関する。
【背景技術】
【0002】
タンパク質キナーゼは、タンパク質のリン酸化反応を触媒する酵素であり、ほとんどの場合に、当該リン酸化反応はタンパク質のセリン(ser)、スレオニン(thr)、及びチロシン(tyr)残基で発生する。細胞ライフコースの多くの面(例えば細胞成長、分化、増殖、細胞周期及び生存)は、タンパク質キナーゼの活性に依存する。そして、多くの疾患(例えば、がん及び炎症)は、タンパク質キナーゼの活性の異常に関わる。
【0003】
現在、タンパク質チロシンキナーゼ(Protein Tyrosine Kinase,PTK)には100以上のファミリーメンバーが発見され、それらは細胞の分化、成長及び増殖を調節する上で重要な役割を果たしている。PTKの構造により、それらは受容体型PTKと非受容体型PTKの二種類に分類され、前者は膜貫通型PTK、後者は細胞内PTKとも称される。
【0004】
線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)は受容体型チロシンタンパク質キナーゼ(Receptor Tyrosine Kinase,RTK)スーパーファミリーのメンバーであり、FGFRは線維芽細胞増殖因子(fibroblast growth factor,FGF)と結合することで、異なる組織において複雑なシグナル伝達経路を通じて細胞の増殖、分化及び移行を調節する(Jouanneau J et al.Oncogene,1999,18:327-333)。FGFRは単鎖糖タンパク質であり、細胞外領域、単一膜貫通領域及び細胞質内のチロシンキナーゼ領域からなり、その中に、細胞外領域は、リーダーペプチド及び3個の免疫グロブリンドメインで構成される。FGFRチロシンキナーゼファミリーはFGFR1、FGFR2、FGFR3及びFGFR4を含む。その中に、FGFR4遺伝子は、染色体5q35.1に位置し、長さが約11.3kbであり、エクソンを18個有する(Kostrzewa M.Mammalian genome,1998,9(2):131-135)。FGFR4タンパク質はFGFRチロシンキナーゼファミリーの重要なメンバーに属し、その388番目のアミノ酸はRTKの構造が非常に保守的な膜貫通領域内に位置し、その構造の変化によるFGFR4タンパク質の病態生理機能の変化は、チロシンキナーゼの活性を強めることができる。FGFR4タンパク質は、自己リン酸化活性を持つ膜貫通型チロシンキナーゼ受容体の一種であり、胚発生、組織修復及び新生血管形成などのプロセスにおいて重要な役割を果たす(Eswarakumar V P et al.Cytokine Growth Factor Rev,2005,16(2):139-149)。
【0005】
FGFR4のシグナル経路:リガンドは、ヘパリン又はヘパリンによって媒介されると、FGFR4と結合し、FGFR4単量体の二量体化を発生させ、細胞質内のC末端、キナーゼ挿入領域、及び膜近傍領域のチロシンリン酸化に伴い、Aループ(activation loop,A loop)のキナーゼ領域がリン酸化され、FGFR4が活性化される(Schlessinger J et al.Mol Cell,2000,6:743-750)。活性化されたFGFR4は主にホスホリパーゼC及びFGF受容体基質2(FRS2)(Dailey L et al.Cytokine Growth
Factor Rev,2005,16:233-247)との二つの細胞内作用物がある。
【0006】
FGFR4が活性化された後、ホスホリパーゼCのSrcホモロジー2(SH2)ドメインは、その活性化されたC末端チロシンと結合し、リン酸化されたPLCをC末端チロシンサイトに結合させる。活性化されたPLCは、その基質であるホスファチジルイノシトール4,5-ビスリン酸(PIP2)を加水分解して、ジアシルグリセロール(DAG)及びイノシトールトリスリン酸(IP3)を形成する。IP3は、細胞内の特異受容体に結合し、細胞内カルシウムプールを刺激してCa2+を放出させ、Ca2+はカルモジュリンに結合し、Ca2+/カルモジュリン依存性タンパク質キナーゼを活性化させる。なお、Ca2+及びジアシルグリセロールはいずれも、タンパク質キナーゼCファミリーのメンバーを活性化させることができる。PIP2が加水分解して生成されたセカンドシグナルは、転写因子を活性化することができる以外、多種類の細胞内反応も活性化することができる。
【0007】
SOSタンパク質は、成長因子受容体結合タンパク質2(growth factor
receptor bound 2,Grb2)のSrcホモロジー領域3(SH3)ドメインと結合して、Grb2/SOS複合体に形成し、当該複合体は、FGFR4と接続し、又は、FGF受容体基質2α(FGFR substrate 2α,FRS2α)と結合することができ、その中に、FRS2αが膜貫通タンパク質-ホスホチロシン結合ドメイン(phosphotyrosine binding domain,PTB)と接続し、Rasでのグアノジンの交換を促進し、RasをRas-GTPにし、下流のMAPKシグナル経路を起動させる。
【0008】
FGFR4の自己リン酸化により、JAKファミリー因子(JAK)が活性化され、活性化されたJAKは、FGFR4における特異性シグナルタンパク質吸着部位をリン酸化させ、当該サイトは、シグナル伝達兼転写活性化タンパク質(signal transducer and activator of transcription,STAT)及び他のシグナル分子のドッキングサイトとして機能することができる。STATタンパク質がFGFR4のドッキングサイトに吸着された後、そのC末端のチロシン残基は、JAKによってリン酸化され、その後、受容体から離れて、安定なホモダイマー又はヘテロダイマーを形成し、細胞核の中に移行し、ガンマインターフェロン活性化サイト(gammainterferon activation site,GAS)エンハンサーファミリーメンバーと結合し、標的遺伝子の転写を活性化させる。
【0009】
小分子FGFR4阻害剤は、細胞外リガンド分子の受容体との結合又は細胞内キナーゼシグナルの伝達をブロックすることで、FGFR4によって媒介された増殖シグナルを阻害する。現在、開発されている標的FGFR4阻害剤が多種あり、アストラゼネカ社はFGFR4選択的阻害剤であるAZ709を開発し、その生体外実験では、FGF19又はFGFR4を高レベルで発現する細胞に対して優れた阻害効果が示したが、生体内実験では、明らかな効果はなかった。ノバルティス社のFGFR4選択的阻害剤であるFGF401は、FGFR4を特異的に標的することができ、その過剰発現による肝臓がんなどの悪性腫瘍を治療することができる。H3 Biomedicine社のFGFR4特異性阻害剤であるH3B6527は、FGF19遺伝子増幅細胞に対して強力な抗腫瘍活性を示し、しかもマウス及びサルの動物モデルでは胆汁酸に関連する有害反応はなかった。ブループリント・メディシンズ社は、FGFR4の過剰発現による肝臓がん及び胆管がんを治療するためのFGFR4特異性阻害剤であるBLU554を開発して報道した。
【0010】
研究者が、FGFR4の構造と機能の関係を深く理解し、及び他の遺伝子との相互作用を鋭意検討することに伴い、特異性が強く、治療効果に優れ、及び副作用の少ないFGFR4は開発され、FGFR4分子標的療法を採用して腫瘍を治療することは非常に意味がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0011】
【文献】Jouanneau J et al.Oncogene,1999,18:327-333
【文献】Kostrzewa M.Mammalian genome,1998,9(2):131-135
【文献】Eswarakumar V P et al.Cytokine Growth Factor Rev,2005,16(2):139-149
【文献】Schlessinger J et al.Mol Cell,2000,6:743-750
【文献】Dailey L et al.Cytokine Growth Factor Rev,2005,16:233-247
【発明の概要】
【0012】
本発明は、線維芽細胞増殖因子受容体4(FGFR4)阻害剤である化合物、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、キレート、非共有結合複合体もしくはプロドラッグに関する。本発明の前記化合物の一般式は、以下の式(I)で示される。
【化1】
式(I)中、
【化2】
は単結合又は二重結合を表し、
L、Q又はTは、任意にO、N、C、CH、CH
2又はCR
17から選択され、
A環は、C
6-10アリール基、置換基を含むC
6-10アリール基、
5-10員ヘテロアリール基、置換基を含む
5-10員ヘテロアリール基、
5-10員ヘテロシクリル基、又は置換基を含む
5-10員ヘテロシクリル基であり、前記
5-10員ヘテロアリール基又は前記
5-10員ヘテロシクリル基は、任意にN原子、O原子又はS原子を1個、2個又は3個含有し、
R
1は、水素、ハロゲン、C
1-8アルキル基、置換基を含むC
1-8アルキル基、C
1-8アルコキシ基、置換基を含むC
1-8アルコキシ基、C
2-8アルケニル基、置換基を含むC
2-8アルケニル基、C
2-8アルキニル基又は置換基を含むC
2-8アルキニル基から選択され、
R
2は、C
3-10シクロアルキル基、置換基を含むC
3-10シクロアルキル基、
3-10員ヘテロシクリル基、置換基を含む
3-10員ヘテロシクリル基、C
6-10アリール基、置換基を含むC
6-10アリール基、
6-10員ヘテロアリール基又は置換基を含む
6-10員ヘテロアリール基から選択され、前記3-10員ヘテロシクリル基又は前記6-10員ヘテロアリール基は、任意にN又はOから選択されるヘテロ原子を1個又は2個含有し、
R
2は、1-2個のR
13で任意に置換されてもよく、
R
13は、ヒドロキシル基、ハロゲン、C
1-8アルキル基、置換基を含むC
1-8アルキル基、C
2-8アルケニル基、置換基を含むC
2-8アルケニル基、C
2-8アルキニル基、置換基を含むC
2-8アルキニル基、C
1-8アルコキシ基、置換基を含むC
1-8アルコキシ基、C
6-10アリール基、置換基を含むC
6-10アリール基、C
3-10シクロアルキル基、置換基を含むC
3-10シクロアルキル基、
3-10員ヘテロシクリル基、置換基を含む
3-10員ヘテロシクリル基、
5-10員ヘテロアリール基、置
換基を含む
5-10員ヘテロアリール基、-NR
14R
15又は-CO-R
16から選択され、前記
3-10員ヘテロシクリル基又は前記
5-10員ヘテロアリール基は、N原子又はO原子を1個、2個又は3個含有し、
R
13は、0-1個のR
18で任意に置換されてもよく、
R
18は、ヒドロキシル基、ハロゲン、C
1-8アルキル基、置換基を含むC
1-8アルキル基、C
2-8アルケニル基、置換基を含むC
2-8アルケニル基、C
2-8アルキニル基、置換基を含むC
2-8アルキニル基、C
1-8アルコキシ基、置換基を含むC
1-8アルコキシ基、C
6-10アリール基、置換基を含むC
6-10アリール基、C
3-10シクロアルキル基、置換基を含むC
3-10シクロアルキル基、
3-10員ヘテロシクリル基、置換基を含む
3-10員ヘテロシクリル基、
5-10員ヘテロアリール基又は置換基を含む
5-10員ヘテロアリール基から選択され、前記
3-10員ヘテロシクリル基又は前記
5-10員ヘテロアリール基は、N原子又はO原子を1個、2個又は3個含有し、
R
5、R
6、R
7及びR
8は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、C
1-8アルコキシ基、置換基を含むC
1-8アルコキシ基、C
1-8アルキル基、置換基を含むC
1-8アルキル基、C
2-8アルケニル基、置換基を含むC
2-8アルケニル基、C
2-8アルキニル基、置換基を含むC
2-8アルキニル基、C
3-8シクロアルキル基、置換基を含むC
3-8シクロアルキル基、C
6-10アリール基、置換基を含むC
6-10アリール基、
5-10員ヘテロアリール基、置換基を含む
5-10員ヘテロアリール基、
3-10員ヘテロシクリル基又は置換基を含む
3-10員ヘテロシクリル基から選択され、
R
9は、H、ハロゲン、アミノ基、シアノ基、C
1-8アルキル基、置換基を含むC
1-8アルキル基、C
1-8アルコキシ基、置換基を含むC
1-8アルコキシ基、C
2-8アルケニル基、置換基を含むC
2-8アルケニル基、C
2-8アルキニル基、置換基を含むC
2-8アルキニル基、C
6-10アリール基、置換基を含むC
6-10アリール基、C
3-8シクロアルキル基、置換基を含むC
3-8シクロアルキル基、
3-10員ヘテロシクリル基、置換基を含む
3-10員ヘテロシクリル基、
5-10員ヘテロアリール基又は置換基を含む
5-10員ヘテロアリール基から選択され、
R
9は、0-1個のR
10で任意に置換されてもよく、
R
10は、ヒドロキシル基、ハロゲン、C
1-8アルキル基、置換基を含むC
1-8アルキル基、C
2-8アルケニル基、置換基を含むC
2-8アルケニル基、C
2-8アルキニル基、置換基を含むC
2-8アルキニル基、C
1-8アルコキシ基、置換基を含むC
1-8アルコキシ基、C
6-10アリール基、置換基を含むC
6-10アリール基、C
3-8シクロアルキル基、置換基を含むC
3-8シクロアルキル基、
3-10員ヘテロシクリル基、置換基を含む
3-10員ヘテロシクリル基、
5-10員ヘテロアリール基、置換基を含む
5-10員ヘテロアリール基、-CO-R
16又は-(CH
2)
nNR
11R
12から選択され、
R
11又はR
12は、任意に、H、C
1-8アルキル基、置換基を含むC
1-8アルキル基、C
2-8アルケニル基、置換基を含むC
2-8アルケニル基、C
2-8アルキニル基、置換基を含むC
2-8アルキニル基、C
1-8アルコキシ基、置換基を含むC
1-8アルコキシ基、C
3-8シクロアルキル基、置換基を含むC
3-8シクロアルキル基、C
6-10アリール基、置換基を含むC
6-10アリール基、
5-10員ヘテロアリール基、置換基を含む
5-10員ヘテロアリール基、
3-10員ヘテロシクリル基又は置換基を含む
3-10員ヘテロシクリル基から選択され、
R
14又はR
15は、任意に、H、C
1-8アルキル基、置換基を含むC
1-8アルキル基、C
2-8アルケニル基、置換基を含むC
2-8アルケニル基、-CO-C
2-8アルケニル基、置換基を含む-CO-C
2-8アルケニル基、C
2-8アルキニル基、置換基を含むC
2-8アルキニル基、C
3-10シクロアルキル基、置換基を含むC
3-10シクロアルキル基、C
6-10アリール基、置換基を含むC
6-10アリール基、
5-10員ヘテロアリール基、置換基を含む
5-10員ヘテロアリール基、
3-10員ヘテロシクリル基又は置換基を含む
3-10員ヘテロシクリル基から選択され、
R
16は、任意に、C
1-8アルキル基、置換基を含むC
1-8アルキル基、C
2-8アルケニル基、置換基を含むC
2-8アルケニル基、C
2-8アルキニル基、置換基を含むC
2-8アルキニル基、C
3-10シクロアルキル基、置換基を含むC
3-10シクロアルキル基、C
6-10アリール基、置換基を含むC
6-10アリール基、
5-10員ヘテロアリール基、置換基を含む
5-10員ヘテロアリール基、
3-10員ヘテロシクリル基、置換基を含む
3-10員ヘテロシクリル基又は-NR
11R
12から選択され、
R
17は、オキシ基、C
1-8アルキル基、置換基を含むC
1-8アルキル基、C
2-8アルケニル基、置換基を含むC
2-8アルケニル基、C
2-8アルキニル基、置換基を含むC
2-8アルキニル基、C
3-10シクロアルキル基、置換基を含むC
3-10シクロアルキル基、C
6-10アリール基、置換基を含むC
6-10アリール基、
5-10員ヘテロアリール基、置換基を含む
5-10員ヘテロアリール基、
3-10員ヘテロシクリル基、置換基を含む
3-10員ヘテロシクリル基から選択され、又はR
17はC
3-10シクロアルキル基であって、それに連結しているC原子と共にスピロ環となり、
mが、0又は1であり、
nが、0、1又は2であり、
AがN原子を2個又は3個含有する五員ヘテロアリール環である場合に、R
2がビニルアミド基で置換された六員酸素含有ヘテロ環であり、前記ビニルアミド基で置換された六員酸素含有ヘテロ環が0~1個のR
13で任意に置換されてもよく、
TがCR
17であって、R
17がオキシ基である場合に、Aが五員N含有ヘテロアリール環ではない。
【0013】
式(I)で示される化合物について、本発明はさらにいくつかの好ましい技術案を提供する。
【0014】
一部の実施形態において、式(I)におけるL、Q及びTは、
(i)LがCであり、QがNであり、TがCH2であること、
(ii)LがCであり、QがNであり、TがCであること、
(iii)LがCであり、QがCであり、TがNであること、
(iv)LがCであり、QがNであり、TがCHであること、
(v)LがNであり、QがNであり、TがCH2であること、又は
(vi)LがCであり、QがCHであり、TがOであることからなる群から選択される。
【0015】
一部の実施形態において、式(I)の化合物は、式(II)の化合物であり、
【化3】
R
1、R
2、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9及びmの定義は式(I)と同様である。
【0016】
一部の実施形態において、式(I)におけるAは、フェニル基、5-6員ヘテロアリール基又は10員ヘテロシクリル基であり、前記5-6員ヘテロアリール基は、任意にN原子又はS原子を1個、2個又は3個含有し、前記10員ヘテロシクリル基は、縮合二環式構造であり、且つ2個のN原子及び1個のO原子を含有する。
【0017】
一部の実施形態において、式(I)におけるR9は、H、ハロゲン、シアノ基、C1-6アルキル基、ハロゲン置換基を含むC1-6アルキル基、-(CH2)nNR11R12で置換されたアミノ基、置換基を含む6員ヘテロシクリル基で置換されたC1-6アルコキシ基から選択され、R11及びR12は、任意にC1-6アルキル基から選択される。
【0018】
一部の実施形態において、式(I)における
【化4】
は
【化5】
である。
【0019】
一部の実施形態において、式(I)におけるR1は、水素であり、R2はC5-6シクロアルキル基、置換基を含むC5-6シクロアルキル基、5-7員ヘテロシクリル基、置換基を含む5-7員ヘテロシクリル基又はフェニル基から選択され、前記5-7員ヘテロシクリル基は、任意にN又はOから選択されるヘテロ原子を1個又は2個含有する。
【0020】
一部の実施形態において、式(I)におけるR2は、1個又は2個のR13で置換され、R13は、5-6員ヘテロシクリル基、置換基を含む5-6員ヘテロシクリル基、-NR14R15又は-CO-R16から選択され、R14は、水素であり、R15は、-CO-C2-4アルケニル基であり、R16は、C1-3アルキル基又は置換基を含むC1-3アルキル基である。
【0021】
一部の実施形態において、式(I)におけるR13が0~1個のR18で置換され、R18は、C1-6アルキル基、5-6員ヘテロシクリル基又は置換基を含む5-6員ヘテロシクリル基から選択され、前記5-6員ヘテロシクリル基は、N原子又はO原子を1個又は2個含有する。
【0022】
一部の実施形態において、式(I)におけるR
2は、
【化6】
である。
【0023】
一部の実施形態において、式(I)におけるR5、R6、R7及びR8は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、C1-3アルコキシ基又は置換基を含むC1-3アルコキシ基から選択される。
【0024】
一部の実施形態において、式(I)におけるR5及びR8は、
(i)R5及びR8がいずれも塩素であること、
(ii)R5及びR8がいずれも水素であること、
(iii)R5が水素であり、R8が塩素であること、又は
(iv)R5が塩素であり、R8が水素であることからなる群から選択される。
【0025】
一部の実施形態において、式(I)におけるR6及びR7は、
(i)R6及びR7がいずれもメトキシ基であること、
(ii)R6がメトキシ基であり、R7がHであること、又は
(iii)R6がHであり、R7がメトキシ基であることからなる群から選択される。
【0026】
一部の実施形態において、式(I)におけるmが0又は1である。
【0027】
一部の実施形態において、式(I)におけるnが2である。
【0028】
本発明はさらに化合物又はその薬学的に許容される塩を提供し、前記化合物は、
(1)N-(2-((6-(2,6-ジクロロ-3,5-ジメトキシフェニル)-5,6-ジヒドロピリミド[5,4-c][1,8]ナフチリジン-2-イル)アミノ)-5-(4-モルホリニルピペリジン-1-イル)フェニル)アクリルアミド、
(2)N-((3S,4S)-3-((6-(2,6-ジクロロ-3,5-ジメトキシフェニル)-5,6-ジヒドロピリミド[5,4-c][1,8]ナフチリジン-2-イル)アミノ)テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アクリルアミド、
(3)N-((3S,4S)-3-((6-(2,6-ジクロロ-3,5-ジメトキシフェニル)-5-オキソ-5,6-ジヒドロピリミド[5,4-c][1,8]ナフチリジン-2-イル)アミノ)テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アクリルアミド、
(4)N-((3S,4S)-3-((6-(2,6-ジクロロ-3,5-ジメトキシ
フェニル)-5-メチル-5,6-ジヒドロピリミド[5,4-c][1,8]ナフチリジン-2-イル)アミノ)テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アクリルアミド、
(5)N-((3S,4S)-3-((6-(2,6-ジクロロ-3,5-ジメトキシフェニル)-5,6-ジヒドロピリミド[5,4-e][1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリミジン-2-イル)アミノ)テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アクリルアミド、
(6)N-((3S,4S)-3-((6-(2,6-ジクロロ-3,5-ジメトキシフェニル)-5,6-ジヒドロピリミド[5,4-c]キノリン-2-イル)アミノ)テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アクリルアミド、
(7)N-((3R,4S)-4-((6-(2,6-ジクロロ-3,5-ジメトキシフェニル)-5,6-ジヒドロピリミド[5,4-c][1,8]ナフチリジン-2-イル)アミノ)テトラヒドロフラン-3-イル)アクリルアミド、
(8)N-((3S,4S)-3-((6-(2,6-ジクロロ-3,5-ジメトキシフェニル)-5,6-ジヒドロピリミド[5,4-c][1,5]ナフチリジン-2-イル)アミノ)テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アクリルアミド、
(9)N-((3S,4S)-3-((6-(2,6-ジクロロ-3,5-ジメトキシフェニル)-5,6-ジヒドロピリド[2,3-d:4,5-d’]ジピリミジン-2-イル)アミノ)テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アクリルアミド、
(10)N-((3S,4S)-3-((6-(2,6-ジクロロ-3,5-ジメトキシフェニル)-5,6-ジヒドロピラジノ[2’,3’:5,6]ピリド[4,3-d]ピリミジン-2-イル)アミノ)テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アクリルアミド、
(11)N-((3S,4S)-3-((6-(2,6-ジクロロ-3,5-ジメトキシフェニル)-9-フルオロ-5,6-ジヒドロピリミド[5,4-c][1,8]ナフチリジン-2-イル)アミノ)テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アクリルアミド、
(12)N-((3S,4S)-3-((6-(2,6-ジクロロ-3,5-ジメトキシフェニル)-10-メチル-5,6-ジヒドロピリミド[5,4-c][1,8]ナフチリジン-2-イル)アミノ)テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アクリルアミド、
(13)N-((3S,4S)-3-((6-(2,6-ジクロロ-3,5-ジメトキシフェニル)-9-メチル-5,6-ジヒドロピリミド[5,4-c][1,8]ナフチリジン-2-イル)アミノ)テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アクリルアミド、
(14)N-((3S,4S)-3-((6-(2-クロロ-3,5-ジメトキシフェニル)-9-メチル-5,6-ジヒドロピリミド[5,4-c][1,8]ナフチリジン-2-イル)アミノ)テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アクリルアミド、
(15)N-((3S,4S)-3-((6-(2,6-ジクロロ-3,5-ジメトキシフェニル)-8-メチル-5,6-ジヒドロピリミド[5,4-c][1,8]ナフチリジン-2-イル)アミノ)テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アクリルアミド、
(16)N-((3S,4S)-3-((6-(2,6-ジクロロ-3,5-ジメトキシフェニル)-9-トリフルオロメチル-5,6-ジヒドロピリミド[5,4-c][1,8]ナフチリジン-2-イル)アミノ)テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アクリルアミド、
(17)N-((3S,4S)-3-((6’-(2,6-ジクロロ-3,5-ジメトキシフェニル)-6’H-スピロ[シクロプロパン-1,5’-ピリミド[5,4-c][1,8]ナフチリジン]-2’-イル)アミノ)テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アクリルアミド、
(18)N-((3S,4S)-3-((6-(2,6-ジクロロ-3,5-ジメトキシフェニル)ピリミド[4,5-f][1,7]ナフチリジン-2-イル)アミノ)テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アクリルアミド、
(19)N-((3S,4S)-3-((6-(2,6-ジクロロ-3,5-ジメトキシフェニル)-5-メチル-5,6-ジヒドロチエノ[3’,4’:5,6]ピリド[4,3-d]ピリミジン-2-イル)アミノ)テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アクリルアミド、
(20)N-((3S,4S)-3-((6-(2,6-ジクロロ-3,5-ジメトキシフェニル)-6H-ピリド[3’,2’:4,5]ピラノ[3,2-d]ピリミジン-2-イル)アミノ)テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アクリルアミド、
(21)N-((3S,4S)-3-((6-(2-クロロ-5-メトキシフェニル)-5,6-ジヒドロピリミド[5,4-c][1,8]ナフチリジン-2-イル)アミノ)テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アクリルアミド、
(22)N-((3S,4S)-3-((6-(2,6-ジクロロ-3,5-ジメトキシフェニル)-6,9,10,11-テトラヒドロ-5H-[1,4]オキサジノ[2,3-b]ピリミド[4,5-f][1,8]ナフチリジン-2-イル)アミノ)テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アクリルアミド、
(23)N-((3R,4S)-4-((10-(2-(4-アクリロイルピペラジン-1-イル)エトキシ)-6-(2,6-ジクロロ-3,5-ジメトキシフェニル)-5,6-ジヒドロピリミド[5,4-c][1,8]ナフチリジン-2-イル)アミノ)テトラヒドロフラン-3-イル)アクリルアミド、
(24)N-((3R,4S)-1-アセチル-3-((6-(2,6-ジクロロ-3,5-ジメトキシフェニル)-5,6-ジヒドロピリミド[5,4-c][1,8]ナフチリジン-2-イル)アミノ)ピペリジン-4-イル)アクリルアミド、
(25)N-((3S,4S)-3-((4-(2,6-ジクロロ-3,5-ジメトキシフェニル)-5-メチル-4,5-ジヒドロチアゾロ[5’,4’:5,6]ピリド[4,3-d]ピリミジン-8-イル)アミノ)テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アクリルアミド、
(26)N-((3S,4S)-3-((6-(2,6-ジクロロ-3,5-ジメトキシフェニル)-9-((2-(ジメチルアミノ)エチル)アミノ)-5,6-ジヒドロピリミド[5,4-c][1,8]ナフチリジン-2-イル)アミノ)テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アクリルアミド、
(27)N-((3S,4R)-4-((6-(2,6-ジクロロ-3,5-ジメトキシフェニル)-5,6-ジヒドロピリミド[5,4-c][1,8]ナフチリジン-2-イル)アミノ)-1-(1-メチルピペリジン-4-イル)ピロリジン-3-イル)アクリルアミド、
(28)N-((3S,4S)-3-((9-クロロ-6-(2,6-ジクロロ-3,5-ジメトキシフェニル)-5,6-ジヒドロピリミド[5,4-c][1,8]ナフチリジン-2-イル)アミノ)テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アクリルアミド、
(29)N-((3S,4S)-3-((9-シアノ-6-(2,6-ジクロロ-3,5-ジメトキシフェニル)-5,6-ジヒドロピリミド[5,4-c][1,8]ナフチリジン-2-イル)アミノ)テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アクリルアミド、
(30)N-((3S,4S)-3-((6-(2-クロロ-5-メトキシフェニル)-9-メチル-5,6-ジヒドロピリミド[5,4-c][1,8]ナフチリジン-2-イル)アミノ)テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アクリルアミド、
(31)N-((3S,4S)-3-((6-(2-クロロ-3-メトキシフェニル)-9-メチル-5,6-ジヒドロピリミド[5,4-c][1,8]ナフチリジン-2-イル)アミノ)テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アクリルアミド、
(32)N-((3S,4S)-3-((6-(2,6-ジクロロ-3-メトキシフェニル)-9-メチル-5,6-ジヒドロピリミド[5,4-c][1,8]ナフチリジン-2-イル)アミノ)テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アクリルアミド、
(33)N-((3S,4S)-3-((6-(2,6-ジクロロ-3,5-ジメトキシフェニル)-[1,2,4]トリアゾロ[4’,3’,1,6]ピリド[2,3-d]
ピリミジン-2-イル)アミノ)テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アクリルアミド、又は
(34)N-(3-((9-クロロ-6-(2,6-ジクロロ-3,5-ジメトキシフェニル)-5-オキソ-5,6-ジヒドロピリミド[5,4-c][1,8]ナフチリジンピリジン-2-イル)アミノ)テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アクリルアミドから選択される。
【0029】
本発明は、さらに、治療有効量の本発明の少なくともいずれか一種の構造式(I)で示される化合物、及び少なくとも一種の薬学的に許容される補助材料を含む、医薬組成物を提供する。
【0030】
本発明は、さらに、前記構造式(I)で示される化合物と前記補助材料との重量分率が0.0001~10である、医薬組成物を提供する。
【0031】
本発明は、構造式(I)で示される化合物又は医薬組成物の、医薬品調製における使用を提供する。
【0032】
本発明は、さらに、前記使用の好ましい技術案を以下に提供する。
【0033】
好ましくは、前記使用は、がん又はがんの転移の発生もしくは進行を治療、予防、遅延又は抑制するものである。
【0034】
好ましくは、前記使用は、FGFR4媒介性疾患を治療する医薬品調製における使用である。
【0035】
好ましくは、前記疾患が、がんである。
【0036】
好ましくは、前記がんは、乳がん、多発性骨髄腫、膀胱がん、子宮内膜がん、胃がん、子宮頸がん、横紋筋肉腫、非小細胞肺がん、小細胞肺がん、多形性肺がん、卵巣がん、食道がん、黒色腫、結腸直腸がん、肝細胞がん、頭頸部腫瘍、肝胆道細胞がん、骨髄異形成症候群、悪性神経膠腫、前立腺がん、甲状腺がん、シュワン細胞腫、肺扁平上皮がん、苔癬様角化症、滑膜肉腫、皮膚がん、膵臓がん、精巣がん又は脂肪肉腫から選択される。
【0037】
好ましくは、前記使用は、FGFR4阻害剤として用いられる。
【0038】
本発明は、さらに、治療対象に、治療有効量の、少なくともいずれか一種の、構造式(I)で示される化合物又は医薬組成物を投与する、FGFR4媒介性疾患を治療及び/又は予防する方法を提供する。
【0039】
好ましくは、前記方法において、前記FGFR4媒介性疾患が、がんである。
【0040】
好ましくは、前記方法において、前記がんは、乳がん、多発性骨髄腫、膀胱がん、子宮内膜がん、胃がん、子宮頸がん、横紋筋肉腫、非小細胞肺がん、小細胞肺がん、多形性肺がん、卵巣がん、食道がん、黒色腫、結腸直腸がん、肝細胞がん、頭頸部腫瘍、肝胆道細胞がん、骨髄異形成症候群、悪性神経膠腫、前立腺がん、甲状腺がん、シュワン細胞腫、肺扁平上皮がん、苔癬様角化症、滑膜肉腫、皮膚がん、膵臓がん、精巣がん又は脂肪肉腫から選択される。
【0041】
本発明は、さらに、治療対象に、治療有効量の、少なくともいずれか一種の、構造式(I)で示される化合物又は医薬組成物を投与することを含む、がんを治療する方法を提供
し、前記がんは、乳がん、多発性骨髄腫、膀胱がん、子宮内膜がん、胃がん、子宮頸がん、横紋筋肉腫、非小細胞肺がん、小細胞肺がん、多形性肺がん、卵巣がん、食道がん、黒色腫、結腸直腸がん、肝細胞がん、頭頸部腫瘍、肝胆道細胞がん、骨髄異形成症候群、悪性神経膠腫、前立腺がん、甲状腺がん、シュワン細胞腫、肺扁平上皮がん、苔癬様角化症、滑膜肉腫、皮膚がん、膵臓がん、精巣がん又は脂肪肉腫である。
【0042】
好ましくは、前記方法において、前記治療対象が、ヒトである。
【0043】
別に断らない限り、本発明で使用される用語の意味は以下の通りである。
【0044】
用語「アルキル基」は、直鎖、分岐鎖及び環状の飽和アルキル基を含む。例えば、アルキル基は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、シクロブチル基、n-ペンチル基、3-(2-メチル)ブチル基、2-ペンチル基、2-メチルブチル基、ネオペンチル基、シクロペンチル基、n-ヘキシル基、2-ヘキシル基、2-メチルペンチル基及びシクロヘキシル基等の類似な基を含むが、これらに限定されるものではない。類似的に、「C1-8アルキル基」における「C1-8」とは、1、2、3、4、5、6、7又は8個の炭素原子を含む、直鎖、分岐鎖又は環状で配列する基を指す。
【0045】
「アルケニル」及び「アルキニル」は、直鎖、分岐鎖及び環状のアルケニル及びアルキニルを含む。同様に、「C2-8アルケニル基」及び「C2-8アルキニル基」とは、2、3、4、5、6、7又は8個の炭素原子を含む、直鎖、分岐鎖又は環状で配列するアルケニル基又はアルキニル基を指す。
【0046】
用語「アルコキシ基」とは、前記直鎖、分岐鎖又は環状のアルキルのオキシエーテル形態を指す。
【0047】
用語「アリール基」とは、無置換又は置換された、炭素原子を含む単環又は多環の芳香族基であり、好ましくは、6~10員の単環又は二環の芳香族基であり、さらに好ましくは、フェニル基、ナフチル基であり、最も好ましくは、フェニル基である。
【0048】
用語「ヘテロアリール基」とは、一つの親ヘテロ芳香環系の一つの炭素原子から一つの水素原子を除いてなる一価のヘテロ原子基を指す。ヘテロアリール基は、N、O又はSから選択される少なくとも一つのヘテロ原子、例えば、1~4個のヘテロ原子、又は好ましくは1~3個のヘテロ原子を含み、かつ環上の他の原子が炭素である5~7員の芳香族単環を含む。多ヘテロアリール環は、N、O又はSから選択される少なくとも一つのヘテロ原子、例えば、1~4個のヘテロ原子、又は好ましくは1~3個のヘテロ原子を含み、環上の他の原子が炭素であり、且つ、その中の少なくとも一つのヘテロ原子が芳香環にある。特に好ましいヘテロアリール基は、3-10員のヘテロアリール基であり、ピロリル基、フラニル基、チエニル基、ピリジル基、ピラニル基、ピラゾリル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、ピラジニル基、イミダゾリル基、チアゾリル基、オキサゾリル基、イソ
オキサゾリル基、トリアゾリル基、インドール基、ベンゾフラニル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾピラゾリル基、ベンゾトリアゾリル基、カルバゾリル基、キノリニル基、イソキノリニル基、プリニル基等の類似な基を含むが、これらに限定されるものではない。
【0049】
但し、いかなる場合でも、ヘテロアリール基とアリール基は、互いに交差する又は含むことはない。従って、以上の定義により、少なくとも一つのフルカーボンアリール環と一つのヘテロシクリル基とが縮合すれば、アリール基ではなく、ヘテロアリール基である。
【0050】
「シクロアルキル基」とは、飽和又は不飽和の、芳香性を有しない環状基を指す。その飽和度の程度によって、用語「環状アルカン基」、「シクロアルケニル基」又は「シクロアルキニル基」がそれぞれ採用される。代表的なシクロアルキル基は、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン又はシクロヘキセン等の類似な基を含むが、これらに限定されるものではない。具体的に、シクロアルキル基は、C3-10のシクロアルキル基であってもよく、例えば、C3-6のシクロアルキル基であってもよい。
【0051】
「ヘテロシクリル基」とは、飽和又は不飽和の、芳香性を有しない環状基であって、その中の一つ又は複数の炭素原子(及びそれが接続している水素原子)がそれぞれ同様な又は異なるヘテロ原子及びそれが接続している水素原子で置換されたものを指す。代表的な、炭素原子を置換するヘテロ原子は、N、P、O、S及びSiを含むが、これらに限定されるものではない。特定の飽和度を述べる必要がある場合に、用語「ヘテロシクロアルキル基」又は「ヘテロシクロアルケニル基」がそれぞれ採用される。代表的なヘテロシクリル基は、エポキシ化合物、イミダゾリジン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ピラゾリジン、ピロリジン、キヌクリジン、テトラヒドロフラン又はテトラヒドロピラン等の類似な基を含むが、これらに限定されるものではない。置換基を含むヘテロシクリル基は、例えば、ピペリジン-N-オキシド、モルホリニル-N-オキシド、1-オキソ-1-チオモルホリニル及び1-ジオキソ-1-チオモルホリニルなどの、少なくとも一つの酸素含有基(=O)又はオキシド(-O-)置換基で置換された環状系も含む。
【0052】
但し、いかなる場合でも、ヘテロシクロアルキル基とシクロアルキル基は、互いに交差する又は含むことはない。従って、以上の定義により、少なくとも一つのフルカーボン環と一つのヘテロシクロアルキル基とが縮合して、一つのジ-、ポリ-又はスピロ-環に形成しても、依然としてヘテロシクロアルキル基と定義される。
【0053】
なお、一つのヘテロアリール基と一つのヘテロシクリル基とが縮合して、一つのジ-、ポリ-又はスピロ-環に形成すれば、ヘテロアリール基ではなく、ヘテロシクリル基と定義される。
【0054】
「ハロゲン」とは、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)又はヨウ素(I)を指す。好ましいハロゲンとは、フッ素、塩素及び臭素を指す。
【0055】
「ハロゲン化基」とは、フッ素、塩素、臭素、又はヨウ素で置換された基を指す。好ましいハロゲン化基とは、フッ素で置換された基及び塩素で置換された基を指す。
【0056】
「置換」とは、一つの基の中の一つ又は複数の水素原子がそれぞれ同様な又は異なる置換基で置換されたことを指す。代表的な置換基は、ハロゲン、アミノ基、ヒドロキシル基、オキソ基、カルボニル基、シアノ基、アルキル基、ハロゲンで置換されたアルキル基、アルコキシ基、アリール基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、ヘテロアリール基、アルキルアシル基、アルキルピペリジニル基、アルキルモルホリニル基、アルキルアミド基、アルケニルアミド基、モルホリニル基を含むが、これらに限定されるものではない。一部の実施例において、置換基は、F、Cl、CN、アミノ基、ヒドロキシル基、シアノ基、メチル基、トリフルオロメチル基、シクロプロピル基、フェニル基、ジメチルアミノ基、
【化7】
を含むが、これらに限定されるものではない。
【0057】
用語「アルキル基」もしくは「アリール基」又はその接頭辞語根が置換基(例えば、アリールアルキル基、又はジアルキルアミノ基)の名称に現れると、いつでも、前記の「アルキル基」及び「アリール基」の定義に従い、置換基を限定的に解釈すべきである。炭素原子の指定数量(例えばCl-6)は、独立して、一つのアルキル基部分又は一つのより大きな置換基におけるアルキル基部分(中には、アルキル基を接頭辞語根とする)における炭素原子の数量を表す。
【0058】
本発明に記載の「化合物」は、式(I)で示される化合物及びその薬学的に許容される全ての形態を含む。それらの薬学的に許容される形態は、塩、溶媒和物、非共有結合複合体、キレートもしくはそのプロドラッグ、又は上記全ての形態の任意な混合物を含む。
【0059】
前記「薬学的に許容される」とは、公知の、動物に、特にヒトに用いられることを指す。
【0060】
本発明に記載の用語「組成物」は、特定数量の特定成分を含有する製品を含み、特定数量の特定成分から直接又は間接的に得られるいかなる製品も含む。従って、活性成分として本発明における化合物を含む医薬組成物、及び当該化合物を調製する方法は、いずれも本発明の内容である。
【0061】
「治療有効量」とは、一つの化合物を治療対象に投与し、一種の疾患、病状、症状、徴候及び/又は不快感の少なくとも一種の臨床症状を治療、並びに、予防及び/又は阻害する時、その疾患、病状、症状、徴候又は不快感の治療に、一定の効果が生じる用量を指す。具体的な「治療有効量」は、化合物、投与経路、患者年齢、患者体重、治療する疾患又は不快感の種類、症状及び重症度等によって変化することができる。任意の可能な場合に、適宜な用量は、当業者にとって、自明のものであってもよく、通常の実験方法で確定されるものであってもよい。
【0062】
本発明によって提供される化合物は、「薬学的に許容される塩」の形態として存在してもよい。医薬応用において、本発明によって提供される化合物の塩とは、無毒で、薬学的に許容される塩を指す。薬学的に許容される塩の形態は、薬学的に許容される酸/アニオン性塩又は塩基/カチオン性塩を含む。薬学的に許容される酸/アニオン性塩は、一般的に、塩基性窒素が無機酸又は有機酸でプロトン化される形態として存在する。典型的な有機酸又は無機酸は、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、過塩素酸、硫酸、硝酸、リン酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、乳酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、α-ケトングルタリン酸、馬尿酸、安息香酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、シュウ酸、パモ酸、2-ナフタレンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、シクロヘキシルアミンスルホン酸、
サリチル酸、サッカリン酸又はトリフルオロ酢酸を含む。薬学的に許容される塩基/カチオン性塩は、アルミニウム塩、カルシウム塩、クロロプロカイン塩、コリン、ジエタノールアミン塩、エチレンジアミン塩、リチウム塩、マグネシウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩及び亜鉛塩を含むが、これらに限定されるものではない。
【0063】
本発明の化合物のプロドラッグは、本発明の保護範囲に含まれる。一般的に、前記プロドラッグは、生体内で必要な化合物に容易に変換する機能性誘導体である。従って、本発明によって提供される治療方法にかかる用語「投与」は、本発明によって開示された化合物を投与すること、又は、明確に公開されているものではないが、対象に投与した後、生体内で本発明によって開示された化合物に変換して、前記各種の疾患を治療するものを投与することを含む。適宜なプロドラッグ誘導体を選択及び調製するための通常の方法については、例えば「Design of Prodrugs,ed.H.Bundgaard,Elsevier,1985」のような文献に記載されている。
【0064】
明らかに、一つの分子における、いかなる置換基又は特定位置の変数の定義は、他の分子における、いかなる置換基又は特定位置の変数の定義とは無関係である。容易に理解できるように、化学上で安定且つ本分野の先行技術又は本発明で述べた方法により容易に調製及び合成するために、本発明における化合物は、本分野の先行技術により適宜な置換基又は置換形態を選択してもよい。
【0065】
式(I)で示される化合物及びその薬学的に許容される塩が溶媒和物又は多型体の形態で存在する場合に、本発明は、いかなる可能な溶媒和物及び多型体を含む。溶媒和物を形成する溶媒の種類は特に限定されないが、当該溶媒が薬学的に許容されるものであればよい。例えば、水、エタノール、プロパノール、アセトン等の類似な溶媒はいずれも採用できる。
【0066】
用語「薬学的に許容される塩」とは、薬学的に許容される無毒の塩基又は酸から調製される塩を指す。本発明によって提供される化合物が酸である場合に、対応する塩は、無機塩基及び有機塩基を含む、薬学的に許容される無毒の塩基から調製することができる。無機塩基から誘導される塩は、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅(cupric及びcuprous)、第二鉄、第一鉄、リチウム、マグネシウム、マンガン(manganic及びmanganous)、カリウム、ナトリウム、亜鉛等の塩を含む。特に、無機塩基から誘導される塩は、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、カリウム及びナトリウムの塩が好ましい。薬学的に許容される塩に誘導できる無毒の有機塩基は、第一級アミン、第二級アミン及び第三級アミンを含み、環状アミン及び、例えば、天然に存在する置換基を含むアミン及び合成された置換基を含むアミンなどの置換基を含むアミンも含み。塩を形成することができる他の薬学的に許容される無毒の有機塩基は、イオン交換樹脂、及び、アルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N’、N’-ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2-ジエチルアミノエタノール、2-ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N-エチルモルホリン、N-エチルピペリジン、還元型グルコサミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルコサミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミン等を含む。
【0067】
本発明によって提供される化合物が塩基である場合に、無機酸及び有機酸を含む、薬学的に許容される無毒の酸から、対応する塩を調製することができる。このような酸は、例えば、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、ヒドロキシエタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、α-ケトグルタル酸、
馬尿酸、メタンスルホン酸、粘液酸、硝酸、パモ酸、パントテン酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、p-トルエンスルホン酸などを含み、好ましくは、リンゴ酸、クエン酸、臭化水素酸、塩酸、メタンスルホン酸、マレイン酸、リン酸、硫酸及び酒石酸を含み、さらに好ましくは、リン酸、塩酸及びリンゴ酸を含む。式(I)又は式(II)で示される化合物は医薬品として適用するため、実質的に純粋な形態を使用することが好ましく、例えば、少なくとも60%の純度、より好適には少なくとも75%の純度、特に好適には少なくとも98%の純度である(%は重量比)。
【0068】
本発明によって提供される医薬組成物は、活性成分としての式(I)で示される化合物(又はその薬学的に許容される塩)、薬学的に許容される賦形剤及び他の任意の治療成分又は補助材料を含む。いかなる既定の場合でも、活性成分を投与する最適な方式は、投与を受ける特定の対象、対象の性質及び病状の重症度に依存するが、本発明の医薬組成物は、経口、直腸、局所及び非経口(皮下投与、筋肉内注射及び静脈内投与を含む)での投与に適した医薬組成物を含む。本発明の医薬組成物は、便宜に、本分野で公知の単位剤形として存在することができ、及び、医薬分野で公知の任意の調製方法で調製することができる。
【0069】
実際には、通常の医薬品混合技術によれば、本発明の、式(I)で示される化合物、又はプロドラッグ、代謝物、もしくは薬学的に許容される塩は、組み合わせて活性成分として使用し、医薬担体と混合して医薬組成物を形成してもよい。前記医薬担体は、様々な形態として採用してもよく、その形態は、採用しようとする投与方式、例えば経口又は注射(静脈内注射を含む)に依存する。従って、本発明の医薬組成物は、経口投与に適した、別個のユニットの形態、例えば、予め活性成分の用量が決められたカプセル剤、カシェー剤又は錠剤を採用してもよい。さらに、本発明の医薬組成物は、粉末、粒子、溶液、水性懸濁液、非水液体、水中油型エマルジョン、又は油中水型エマルジョンの形態を採用してもよい。なお、前記一般的な剤形以外、式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容される塩は、制御放出及び/又は送達デバイスによって投与してもよい。本発明の医薬組成物は、製薬学上の任意の方法で調製することができる。通常の状況で、この方法は、活性成分に、一つ又は複数の必要成分を構成する担体を結合させるステップを含む。通常の状況で、前記医薬組成物は、活性成分を、液体担体、細かく分割された固体担体又はその両方の混合物と均一で十分に混合することによって調製される。なお、当該製品は、便利に必要な形状に調製することができる。
【0070】
従って、本発明の医薬組成物は、薬学的に許容される担体、及び式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容される塩を含む。式(I)で示される化合物又はその薬学的に許容される塩と治療活性を有する一種又は多種の他の化合物とを併用するものも本発明の医薬組成物に含まれる。
【0071】
本発明で採用された医薬担体は、例えば固体担体、液体担体又はガス担体であってもよい。固体担体の例は、ラクトース、石膏粉末、スクロース、タルク、ゼラチン、寒天、ペクチン、アカシア、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、マンニトール、ソルビトール、微結晶性セルロース、無機塩類、デンプン、アルファ化デンプン、粉砂糖、デキストリン等を含む。液体担体の例は、シロップ、ピーナッツオイル、オリーブオイル及び水を含む。ガス担体の例は、二酸化炭素及び窒素ガスを含む。経口薬剤を調製する場合、任意の製薬学上に便利な媒体を使用することができる。例えば、水、エチレングリコール、オイル類、アルコール類、香味料、防腐剤、着色剤などは、懸濁剤、エリキシル剤及び溶液のような経口液体薬剤に用いられ、一方、例えば、澱粉類、糖類、微結晶性セルロース、希釈剤、造粒剤、潤滑剤、粘着剤、崩壊剤等の担体は、散剤、カプセル剤及び錠剤のような固体薬剤に用いられる。投与の容易さの観点から、経口薬剤は、錠剤及びカプセル剤が好ましい。任意に、錠剤コーティングは、標準的な水性製剤技術又は非水性製剤技術を
使用することができる。
【0072】
本発明の化合物又は医薬組成物を含む錠剤は、本発明の化合物又は医薬組成物を任意に一種又は多種の補助成分又は補助剤とともに混合して、プレス又は成形することにより調製することができる。活性成分は、粉末又は顆粒のような流動性のある形態で、潤滑剤、不活性希釈剤、界面活性剤又は分散剤と混合し、適切な機械でプレスすることによってプレス錠剤を調製することができる。粉末状の化合物又は医薬組成物を不活性液体希釈剤で濡れ、次に適切な機械で成形することによって成形錠を調製することができる。より好ましくは、錠剤あたりに約0.01mgから約5gの活性成分を含み、カシェ剤又はカプセル剤あたりに約0.1mgから約0.5gの活性成分を含む。例えば、ヒトへの経口投与に使用する製剤は、約0.1mgから約0.5gの活性成分を含み、適切で計量便利な補助材料と複合し、当該補助材料は医薬組成物の全量の約5%~約99.99%を占める。通常、単位剤形は、約0.1mg~約0.5gの有効成分を含み、典型的に、0.1mg、0.2mg、0.5mg、1mg、2mg、2.5mg、5mg、10mg、25mg、50mg、100mg、200mg、300mg、400mg又は500mgの有効成分を含む。
【0073】
本発明によって提供される非経口投与に適した医薬組成物は、活性成分を水に加えることにより、水溶液又は懸濁液として調製することができる。当該医薬組成物は、適切な界面活性剤、例えばラウリル硫酸ナトリウム、ポリソルベート-80(Tween-80)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポロキサマーを含んでもよい。分散系は、グリセロール、液体ポリエチレングリコール及びそれらの油中の混合物で調製してもよい。さらに、有害な微生物の増殖を防ぐために、防腐剤は、本発明の医薬組成物に含まれてもよい。
【0074】
本発明は、無菌水溶液又は分散系を含む、注射に適した医薬組成物を提供する。さらに、前記医薬組成物は、無菌注射液又は分散液を即時調製するための無菌粉末形態として調製されてもよい。いずれにせよ、最終的な注射形態は無菌であることが必要で、且つ注射を容易にするために、流れやすい形態が必要である。また、前記医薬組成物は、調製及び貯蔵のプロセスにおいて安定することが必要である。従って、細菌及び真菌のような微生物による汚染を防げる保管が好ましい。担体は、溶媒又は分散媒体、例えば水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコール)、植物油及びそれらの適切な混合物であってもよい。
【0075】
本発明によって提供される医薬組成物は、局所投与に適した形態、例えば、エアロゾル、クリーム、軟膏、ローション、粉剤又は他の類似な剤形であってもよい。さらに、本発明によって提供される医薬組成物は、経皮薬物投与デバイスの使用に適した形態であってもよい。これらの製剤は、本発明の式(I)で示される化合物、又はその薬学的に許容される塩を利用して、通常の加工方法によって調製される。一例として、クリーム又は軟膏は、前記化合物に、親水性材料及び水(両者の全量は化合物の約5wt%~約50wt%である)を添加することによって、所望の粘稠度を有するクリーム又は軟膏を調製する。
【0076】
本発明によって提供される医薬組成物は、固体を担体とし、直腸投与に適した形態にしてもよい。混合物が単位用量の坐剤に形成するのは最も好ましい剤形である。適切な補助材料は、本分野で一般的に使用されるココアバター及び他の材料を含む。坐剤は、まず、医薬組成物と軟化又は溶融された補助材料とを混合し、次に、冷却及び金型成形することで便利に調製される。
【0077】
前記担体成分に加えて、前記薬学製剤には、さらに、好適な、例えば、希釈剤、緩衝剤、調味剤、粘着剤、界面活性剤、増粘剤、潤滑剤及び防腐剤(抗酸化剤を含む)等の一種以上の付加の補助成分を含んでもよい。さらに、他の補助剤には、医薬品と血液との等張
圧を調節する浸透促進剤をさらに含んでもよい。式(I)で示される化合物、又はその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物は、粉剤又は濃縮溶液の形態として調製されてもよい。
【発明を実施するための形態】
【0078】
上記内容をより明瞭で明確にするために、本発明において、さらに以下の実施例で本発明の技術案を説明する。以下の実施例は、当業者が本発明を理解することができるように、本発明の具体的な実施形態を説明するためのものであり、本発明の保護範囲を限定するものではない。本発明の具体的な実施形態において、具体的に記載されていない技術的手段又は方法等は、本分野での通常の技術手段又は方法である。
【0079】
特に断りのない限り、本発明に記載された一部又は百分比はいずれも重量基準であり、温度はいずれも摂氏温度を指す。
【0080】
実施例において、次の略語を使用した。
ATP:アデノシン三リン酸;
Pd2dba3:トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム;
(Boc)2O:ジ-t-ブチルジカーボネート;
DCM:ジクロロメタン;
DIPEA:N,N-ジイソプロピルエチルアミン;
DMAP:4-ジメチルアミノピリジン;
DMF:N,N-ジメチルホルムアミド;
DMSO:ジメチルスルホキシド;
EA:酢酸エチル;
HCOOEt:ギ酸エチル;
HOAc:酢酸;
KOAc:酢酸カリウム;
LCMS又はLC-MS:液体クロマトグラフィー-質量分析;
m-CPBA又はmCPBA:m-クロロペルオキシ安息香酸;
MeMgBr:メチルマグネシウムブロミド;
MeOH:メタノール;
PdCl2(dppf)CH2Cl2:[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウムジクロリドジクロロメタン錯体;
Pd(OAc)2:酢酸パラジウム(II);
Pd(PPh3)4:テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム;
rt、r.t.又はRT:室温;
h、hr又はhrs:時間;
TEA:トリエチルアミン;
THF:テトラヒドロフラン;
TLC:薄層クロマトグラフィー分析;
Xant-phos:4,5-ビスジフェニルホスフィン-9,9-ジメチルキサンテン。
【0081】
実施例1:化合物N-(2-((6-(2,6-ジクロロ-3,5-ジメトキシフェニル)-5,6-ジヒドロピリミド[5,4-c][1,8]ナフチリジン-2-イル)アミノ)-5-(4-モルホリニルピペリジン-1-イル)フェニル)アクリルアミドの調製
【化8】
【0082】
ステップ1:化合物1-1の調製
M1 0.85g、M2 0.91g、Cs2CO3 2.49g、Pd(OAc)2
0.09g、Xant-phos 0.44gをトルエン40mLに溶解し、窒素ガス保護下、115℃で5hrs反応させた。LCMS検測で反応が完了した。減圧濃縮し、残留物を水で溶解し、DCMで抽出し、有機層を水、飽和食塩水でこの順で洗浄し、濃縮し、残留物を、溶離液がn-ヘキサン:ジクロロメタン=1:5であるカラムクロマトグラフィーにより分離、精製して、黄色の固体として化合物1-1が1.28g得られた。
LC-MS[M+H+]376.9。
【0083】
ステップ2:化合物1-2の調製
化合物1-1 1.25g、ピナコールジボレート 0.91g、KOAc 1.20g及びPdCl2(dppf)CH2Cl2 0.14gを1,4-ジオキサン40mLに溶解し、窒素ガス保護下、100℃で15hrs反応させた。LCMS検測で反応が完了した。減圧濃縮し、残留物を水で溶解し、EAで抽出し、有機層を水、飽和食塩水でこの順で洗浄し、濃縮し、残留物を、溶離液がジクロロメタン:メタノール=30:1であるカラムクロマトグラフィーにより分離、精製して、コーヒー色の固体として化合物1-2が1.07g得られた。
LC-MS[M+H+]343.0。
【0084】
ステップ3:化合物1-3の調製
化合物1-2 1.03g、M3 0.57g、K2CO3 0.83g及びPd(PPh3)4 0.35gをアセトニトリル35mL/水15mLに溶解し、窒素ガス保護下、85℃で4.5hrs反応させた。LCMS検測で反応が完了した。減圧濃縮し、残留物を水で溶解し、DCMで抽出し、有機層を水、飽和食塩水でこの順で洗浄し、濃縮し、残留物を、溶離液がジクロロメタン:メタノール=200:1であるカラムクロマトグ
ラフィーにより分離、精製して、黄色の固体として化合物1-3が0.93g得られた。
LC-MS[M+H+]451.0。
【0085】
ステップ4:化合物1-4の調製
化合物1-3 0.92g、氷酢酸0.19g及びシアノ水素化ホウ素ナトリウム0.20gをメタノール25mLに溶解し、窒素ガス保護下、室温で14hrs反応させた。LCMS検測で反応がほぼ完全であった。減圧濃縮し、残留物を水、飽和Na2CO3水溶液及びDCMで溶解し、DCMで水層を二回抽出し、有機層を合わせ、水、飽和食塩水でこの順で洗浄し、濃縮し、残留物を、溶離液がDCM:CH3OH=100:1であるカラムクロマトグラフィーにより分離、精製して、黄色の固体として化合物1-4が0.39g得られた。
LC-MS[M+H+]434.9。
【0086】
ステップ5:化合物1-5の調製
化合物1-4 0.35gをDCM 25mLに溶解し、氷浴条件下でmCPBA(含有量85%)0.36gをゆっくりと添加し、添加完了後、自然に室温まで昇温し、7hrs反応させた。LCMS検測で反応が完全であった。反応液に飽和重炭酸ナトリウム水溶液を添加し、二回洗浄し、有機層を合わせ、水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで1h乾燥し、ろ過し、減圧濃縮し、オレンジ色の固体として化合物1-5が0.39g得られた。
LC-MS[M+H+]451.0。
【0087】
ステップ6:化合物1-6の調製
M4 10.85g、DMAP 1.22g、トリエチルアミン 17.4mLをテトラヒドロフラン250mLに溶解し、撹拌下で(Boc)2O 24.01gをテトラヒドロフラン40mLに溶解したものをゆっくりと添加し、添加完了後、N2保護下で加温し、16hrs還流反応させた。TLC検測で反応がほぼ完全であった。減圧濃縮し、残留物を水で溶解し、DCMで抽出し、有機層を水、飽和食塩水でこの順で洗浄し、濃縮し、残留物を、溶離液がn-ヘキサン:酢酸エチル=5:1であるカラムクロマトグラフィーにより分離、精製して、黄色の固体として化合物1-6が20.18g得られた。
LC-MS[M+H+]417.1。
【0088】
ステップ7:化合物1-7の調製
化合物1-6 3.02g、M5 1.13g、Cs2CO3 5.36g、Pd2dba3 0.60g、Xant-phos 0.76gをトルエン50mLに溶解し、窒素ガス保護下、110℃で14hrs反応させた。LCMS検測で反応がほぼ完全であった。減圧濃縮し、残留物を水道水で溶解し、DCMで抽出し、有機層を水、飽和食塩水でこの順で洗浄し、濃縮し、残留物を、溶離液がDCM:MeOH=40:1であるカラムクロマトグラフィーにより分離、精製して、赤褐色の粘着性の物質として化合物1-7が2.20g得られた。
LC-MS[M+H+]507.1。
【0089】
ステップ8:化合物1-8の調製
化合物1-7 2.20gをDCM30mLに溶解し、トリフルオロ酢酸20mLをゆっくりと滴下し、室温で2hrs反応させた。減圧濃縮し、残留物を飽和Na2CO3水溶液でpHが8~9になるように調製し、DCMで抽出し、水洗し、飽和食塩水で洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで1h乾燥し、ろ過し、減圧濃縮し、赤褐色の固体として粗生成物が1.20g得られ、精製せずにそのまま次のステップの反応に供した。
LC-MS[M+H+]307.1。
【0090】
ステップ9:化合物1-9の調製
化合物1-8 307mg、化合物1-5 451mgを無水DMF10mLで溶解し、-10℃の条件下でカリウムt-ブトキシド169mgをゆっくりと添加し、添加完了後、自然に昇温し、2hrs反応させた。LCMS検測で反応がほぼ完全であった。反応液に水を添加してクエンチし、EAで抽出し、有機層を水、飽和食塩水でこの順で洗浄し、濃縮し、残留物を、溶離液がジクロロメタン:メタノール=40:1であるカラムクロマトグラフィーにより分離、精製して、黄色の固体として化合物1-9が200mg得られた。
LC-MS[M+H+]693.1。
【0091】
ステップ10:化合物1-10の調製
化合物1-9 0.20g、還元鉄粉0.13g、塩化アンモニウム0.13gをメタノール30mL及び水6mLに溶解し、窒素ガス保護下で3hrs還流反応させた。LCMS検測で反応がほぼ完全であった。反応液を熱いうちにろ過し、ろ液を減圧濃縮し、残留物をそのまま、溶離液がDCM:MeOH=9:1であるカラムクロマトグラフィーにより分離、精製して、オレンジ色の固体として化合物1-10が0.16g得られた。
LC-MS[M+H+]663.1。
【0092】
ステップ11:化合物1の調製
化合物1-10 100mgをDCM 8mLに溶解し、トリエチルアミン0.1mLを添加し、-10℃で、塩化アクリル46mgをゆっくりと滴下し、当該温度で1h反応させた。LCMS検測で反応がほぼ完全であった。飽和NaHCO3水溶液でクエンチし、DCM層を水、飽和食塩水でこの順で洗浄し、減圧濃縮し、残留物を、展開溶媒がDCM/MeOH=10:1である薄層クロマトグラフィー板により分離、精製して、オレンジ色の固体として化合物1が43mg得られた。
LC-MS[M+H+]717.2。
【0093】
実施例2:化合物N-((3S,4S)-3-((6-(2,6-ジクロロ-3,5-ジメトキシフェニル)-5,6-ジヒドロピリミド[5,4-c][1,8]ナフチリジン-2-イル)アミノ)テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アクリルアミドの調製
【化9】
【0094】
ステップ1:化合物2-1の調製
M6 3.57g、TEA 6.2mL及びギ酸(含有量88%)2.09gをギ酸エチル100mLに溶解し、昇温して4hrs還流反応させた。TLC検測で反応が完全であった。減圧濃縮し、残留物を酢酸エチルで溶解し、有機層を少量の水、飽和食塩水でこの順で洗浄し、濃縮し、オフホワイト色の固体として化合物2-1が3.49g得られた。精製せずにそのまま次のステップに供した。
【0095】
ステップ2:化合物2-2の調製
化合物2-1 90mgを無水DMF2mLに溶解し、氷塩浴条件下でNaH(含有量60%)42mgをゆっくりと添加し、当該温度下で40mins反応させ、化合物1-
5を239mg添加し、添加完了後、室温に移し、40mins反応させた。LCMS検測で反応がほぼ完全であった。反応液に水を添加してクエンチし、DCMで抽出し、有機層を水、飽和食塩水でこの順で洗浄し、濃縮し、残留物を、溶離液がDCM:CH3OH=40:1であるカラムクロマトグラフィーにより分離、精製して、オレンジ色の粘着性の物質として化合物2-2が139mg得られた。
LC-MS[M+H+]529.1。
【0096】
ステップ3:化合物2-3の調製
化合物2-2 135mg及び10%Pd/C 50mgをEA/CH3OHが15mL/10mLである混合溶媒に溶解し、H2雰囲気で30℃まで加熱し、2hrs反応させた。ろ過し、減圧濃縮し、オレンジ色の粘着性の物質として化合物2-3の粗生成物が132mg得られ、精製せずにそのまま次のステップの反応に供した。
LC-MS[M+H+]503.1。
【0097】
ステップ4:化合物2の調製
化合物2-3 130mgをDCM 8mLに溶解し、トリエチルアミン0.12mLを添加し、-20℃で、塩化アクリル23mgをゆっくりと滴下し、当該温度で1h反応させた。LCMS検測で反応が完全であった。飽和NaHCO3水溶液でクエンチし、DCM層を水、飽和食塩水でこの順で洗浄し、減圧濃縮し、残留物を、展開溶媒がDCM/MeOH=40:1である厚めの薄層クロマトグラフィー板により分離、精製して、淡黄色の固体として化合物2が41mg得られた。
LC-MS[M+H+]557.1。
【0098】
実施例3:化合物N-((3S,4S)-3-((6-(2,6-ジクロロ-3,5-ジメトキシフェニル)-5-オキソ-5,6-ジヒドロピリミド[5,4-c][1,8]ナフチリジン-2-イル)アミノ)テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アクリルアミドの調製
【化10】
【0099】
ステップ1:化合物3-1の調製
実施例1のステップ3に類似した方法を採用し、原料として、M3の代わりに、4-クロロ-2-メチルチオピリミジン-5-カルボン酸エチル(M7)を用い、化合物3-1を調製した。
LC-MS[M+H+]449.0。
【0100】
ステップ2:化合物3-2の調製
実施例1のステップ5に類似した方法を採用し、化合物3-2を調製した。
LC-MS[M+H+]464.9。
【0101】
ステップ3:化合物3-3の調製
化合物3-2 780mg、M6 300mg、DIPEA 1.26mL及びDMF
8mLをこの順で耐圧チューブに添加し、80℃で2hrs反応させた。水を添加してクエンチし、EAで抽出し、飽和食塩水で4回洗浄し、濃縮し、溶離液がDCM/MeOH=100:1であるカラムクロマトグラフィーにより分離、精製して、オレンジ色の固体として化合物3-3が722mg得られた。
LC-MS[M+H+]543.0。
【0102】
ステップ4:化合物3-4の調製
実施例2のステップ3に類似した方法を採用し、化合物3-4を調製した。
LC-MS[M+H+]517.1。
【0103】
ステップ5:化合物3の調製
実施例2のステップ4に類似した方法を採用し、化合物3を調製した。
LC-MS[M+H+]571.5。
【0104】
実施例4:化合物N-((3S,4S)-3-((6-(2,6-ジクロロ-3,5-ジメトキシフェニル)-5-メチル-5,6-ジヒドロピリミド[5,4-c][1,8]ナフチリジン-2-イル)アミノ)テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アクリルアミドの調製
【化11】
【0105】
ステップ1:化合物4-1の調製
化合物M3 3.77gを無水THF 100mLに溶解し、氷水浴(<5℃)の条件下でメチルマグネシウムブロミド溶液(THFに1M)1.2mLをゆっくりと添加し、添加完了後、当該温度で1h反応を続けた。LCMS検測で反応がほぼ完全であった。反応液に塩化アンモニウム水溶液を添加してクエンチし、DCMで抽出し、有機層を水、飽和食塩水でこの順で洗浄し、濃縮し、残留物を、溶離液がDCM:CH3OH=50:1であるカラムクロマトグラフィーにより分離、精製して、黄色の液体として化合物4-1が3.72g得られた。
LC-MS[M+H+]205.4。
【0106】
ステップ2:化合物4-2の調製
化合物4-1 2.05gをジクロロメタン20mLに溶解し、氷水浴(<5℃)の条件下で塩化チオニル3.63mLをゆっくりと添加し、添加完了後、当該温度で2h反応を続けた。LCMS検測で反応がほぼ完全であった。反応液を撹拌中の氷水混合物1Lに
ゆっくりと注ぎ、ジクロロメタンで二回抽出し、有機層を合わせ、水、飽和食塩水でこの順で洗浄し、濃縮し、残留物を、溶離液がn-ヘキサン:ジクロロメタン=3:1であるカラムクロマトグラフィーにより分離、精製して、淡黄色の液体として化合物4-2が1.62g得られた。
LC-MS[M+H+]223.3。
【0107】
ステップ3:化合物4-3の調製
実施例1のステップ3に類似した方法を採用し、原料として、M3の代わりに化合物4-2を用い、化合物4-3を調製した。
LC-MS[M+H+]449.0。
【0108】
ステップ4:化合物4-4の調製
実施例1のステップ5に類似した方法を採用し、化合物4-4を調製した。
LC-MS[M+H+]465.0。
【0109】
ステップ5:化合物4-5の調製
実施例2のステップ2に類似した方法を採用し、化合物4-5を調製した。
LC-MS[M+H+]543.0。
【0110】
ステップ6:化合物4-6の調製
実施例2のステップ3に類似した方法を採用し、化合物4-6を調製した。
LC-MS[M+H+]517.1。
【0111】
ステップ7:化合物4の調製
実施例2のステップ4に類似した方法を採用し、化合物4を調製した。
LC-MS[M+H+]571.1。
【0112】
異なる出発原料及び適宜な試薬に介し、前記実施例に類似した方法を採用し、表1の実施例の化合物を調製し、例えば、化合物12、13、15、16、28又は29は、それぞれ実施例1におけるM2の代わりに、
【化12】
を用い、実施例2の調製方法に参照して調製することができる。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【0113】
化合物13、14、16、28及び32の核磁気共鳴データは以下の通りであった。
1H NMR(DMSO-d6,500MHz)δ(ppm)8.14(s,1H),8.12(s,1H),7.99(d,J=7.8Hz,1H),7.78(s,1H),6.96(s,1H),6.57(d,J=7.5Hz,1H),6.19(br,1H),6.05-6.01(m,1H),5.49(br,1H),4.76(d,J=14.0Hz,1H),4.71(d,J=14.0Hz,1H),4.43(br,1H),4.27-4.20(m,1H),3.95(s,6H),3.91-3.72(m,2H),3.68-3.57(m,1H),3.56-3.44(m,1H),2.17(s,3H),2.02-1.85(m,1H),1.71-1.54(m,1H).(化合物13)
1H NMR(CDCl3,500MHz)δ(ppm)8.14(s,1H),8.03(s,1H),7.96(s,1H),7.04(d,J=5.0Hz,1H),6.53(s,1H),6.51(s,1H),6.18(d,J=17.1Hz,1H),5.90(dd,J=16.7,10.9Hz,1H),5.80(d,J=8.0Hz,1H),5.49(d,J=10.1Hz,1H),4.81(s,2H),4.45(s,1H),4.30-4.25(m,1H),4.07-4.01(m,1H),3.98(d,J=11.7Hz,1H),3.90(s,3H),3.80(s,3H),3.73(d,J=11.8Hz,1H),3.61(t,J=12.0Hz,1H),2.21(s,3H),2.08(d,J=12.4Hz,1H),1.87(tt,J=12.3,6.3Hz,1H).(化合物14)
1H NMR(CDCl3,500MHz)δ(ppm)8.51(s,1H),8.26(s,1H),8.06(s,1H),6.64(s,2H),6.17(d,J=17.0Hz,1H),5.91(t,J=10.9Hz,2H),5.51(d,J=10.1Hz,1H),4.87(d,J=15.9Hz,2H),4.49(br,1H),4.30-4.24(m,2H),4.01-3.95(m,1H),3.97(s,6H),3.73(d,J=11.7Hz,1H),3.60(t,J=11.7Hz,1H),2.14-1.96(m,1H),1.90-1.80(m,1H)(化合物16)
1H NMR(CDCl3,500MHz)δ(ppm)8.27(s,1H),8.04(s,1H),7.94(s,1H),6.72(br,1H),6.62(s,1H),5.91(dd,J=16.6Hz,10.5Hz,1H),5.11(d,J=8.5Hz,1H),5.53(d,J=10.0Hz,1H),4.87(s,2H),4.47(br,1H),4.31-4.24(m,1H),4.01-3.93(m,2H),3.96(s,6H),3.72(d,J=12.0Hz,1H),3.60(t,J=12.0Hz,1H),2.07-2.01(m,1H),1.87-1.82(m,1H)(化合物28)
1H NMR(CDCl3,500MHz)δ(ppm)9.49(s,1H),8.16(s,1H),8.06(s,1H),7.73(s,1H),7.41(d,J=9.0Hz,1H),6.95(d,J=8.9Hz,2H),6.22(d,J=17.0Hz,1H),6.06(dd,J=17.0,10.4Hz,1H),5.61(d,J=10.3Hz,1H),4.88-4.72(m,2H),4.60-4.45(m,2H),4.31(d,J=11.5Hz,1H),4.20-4.00(m,1H),3.98(s,3H),3.69(d,J=12.3Hz,1H),3.58(t,J=11.3Hz,1H),2.29(s,3H),2.26-1.95(m,1H),1.84-1.77(m,1H).(化合物32)
【0114】
薬理試験
実施例A:キナーゼ試験
生体外キナーゼ検出実験で本発明の化合物の、チロシンキナーゼFGFR4の活性への影響を評価した。試験で使用された方法は、Mobility shift assay法であり、実験に使用した基質は、蛍光標識のあるポリペプチドであり、反応系における酵素の作用により、基質が生成物に転換し、それに応じて、電荷も変化する。この方法では、基質と生成物との電荷の違いを利用し、両者を分離し、それぞれ検測することができる。
試験のステップ:
(1)化合物の調製
化合物のDMSO溶液 300μMを384ウェルプレートで100倍の終濃度のDMSO溶液に希釈し、3倍勾配希釈し、ディスペンサーであるEcho 550を使用して目的プレートであるOptiPlate-384Fに100倍の終濃度の化合物を250nL移した。化合物の終濃度が、3000nM、1000nM、333.3nM、111.1nM、37.04nM、12.35nM、4.115nM、1.372nM、0.4572nM、0.1524nMであり、化合物及び酵素のプリ培養時間が60minsであった。
(2)キナーゼ反応:
1×キナーゼバッファー(Kinase buffer)を調製し、1×キナーゼバッファーで2.5倍の終濃度のキナーゼ溶液を調製し、化合物ウェル及び陽性対照ウェルにそれぞれ2.5倍の終濃度のキナーゼ溶液を10μL添加し、陰性対照ウェルに1×キナーゼバッファーを10μL添加し、遠心した後、反応ブレードを均一まで振とうし、室温で60mins培養し、1×キナーゼバッファーで25/15倍の終濃度のアデノシン三リン酸(Adenosine Triphosphate,ATP)とキナーゼ基質(K
inase substrate)22との混合溶液を調製し、25/15倍の終濃度のATPと基質との混合溶液を15μL添加し、反応を開始させ、384ウェルプレートを遠心し、均一まで振とうした後、室温で30mins培養し、停止検測液を30μL添加し、キナーゼ反応を停止させ、遠心し、均一まで振とうした後、Caliper EZ Readerで転化率を読み取った。
(3)データ分析
【数1】
ここで、Conversion%_sampleがサンプルの転化率の読み取り値であり、Conversion%_minが陰性対照ウェルの平均値であり、酵素の活性のないウェルの転化率の読み取り値を表し、Conversion%_maxが陽性対照ウェルの平均値であり、化合物による阻害のないウェルの転化率の読み取り値を表す。
濃度のlog値をX軸にし、阻害率%をY軸にし、分析ソフトウェアであるGraphPad Prismにおけるlog(inhibitor)vs.response-Variable slope(four parameters)で用量効果曲線をフィッティングし、各化合物の酵素活性に対するIC
50値を得た。公式は下記の通りである。Y=Bottom+(Top-Bottom)/(1+10
∧((LogIC
50-X)*HillSlope))
一部の実施例及びBLU554のIC
50データを表2に示す。
【表2】
注:1 「/」は検測していないことを表す;2 BLU554は、ブループリント・メディシンズ(Blueprint Medicines Corporation)がWO2015061572で開示された40番目の化合物である。
本発明の化合物は、FGFR4キナーゼに対して阻害作用があり、且つ、FGFR4に対する阻害作用は、FGFR1に対する阻害作用よりも遥かに強く、非常に優れた選択性を有する。
【0115】
実施例B:細胞増殖試験
生体外細胞実験で本発明の化合物の、ヒト肝がん細胞Hep3Bの増殖への影響を評価した。試験で使用された検測方法は、ATPを定量することで生細胞の数を検測する、CELL TITER-GLO(CTG)発光法である。ATPは生体内の複数の酵素反応に関与し、生細胞代謝の指標であるため、その含有量は細胞の数と細胞状態を直接に反映する。実験中、細胞培養培地にCellTiter-Glo
TM試薬を添加し、発光値を
測定し、発光値はATP量と正比例し、ATPは生細胞数と正比例にするため、ATP含有量を検出することで細胞の生存率を調べることができる。
試験のステップ:
(1)細胞のプレーティング
対数増殖期のHep3B細胞のボトルを取り、細胞を消化して再懸濁し、数量を数え、細胞密度を調整して96ウェルプレートに接種し、ウェルあたり180μL(1500細胞/ウェル)を接種し、プレートを37℃、5%CO
2のインキュベーターに置き、24hrs培養した。
(2)細胞投与
DMSOに溶解した600μMの試料をDSMOで1:3の比例で200倍の終濃度の溶液に勾配希釈し、次に、細胞培養液を20倍(10×)希釈し、化合物溶液を20μL取り、細胞を含む96ウェルプレートに添加し、高から低への化合物の終濃度は、3000nM、1000nM、333.3nM、111.1nM、37.04nM、12.35nM、4.115nM、1.372nM、0.4572nMであり、ウェルプレートを37℃、5%CO
2のインキュベーターに置き、96hrs培養した。
(3)CTG検測:
96hrs培養した後、ウェルあたりCell Titer-Glo(登録商標) Luminescent Cell Viability Assay溶液を60μL添加し、2mins軽く振とうし、室温で10mins培養し続け、多機能マイクロプレートリーダーで各ウェルの発光値を読み取った。
(4)データ分析
発光値の読み取り値によって阻害率を計算した。
阻害率%=(ブランクグループ値-投与グループ値)/(ブランクグループ値-アポトーシスグループ値)*100
濃度のlog値をX軸にし、阻害率%をY軸にし、GraphPad Prismにおけるlog(inhibitor)vs.response-Variable slope(four parameters)で用量効果曲線をフィッティングし、細胞増殖を阻害する化合物のIC
50を計算した。
実験データを表3に示す。
【表3】
本発明の好ましい化合物は、Hep3B細胞の増殖に対して、良好な阻害作用を有する。
【0116】
実施例C:異種移植腫瘍モデル
BALB/c nu/nuメスマウスの右前肩甲骨のところにヒト肝がん細胞Hep3Bを5×106個皮下接種し、細胞懸濁液とマトリゲルとの体積比は1:1(0.2/mL/匹)である。腫瘍の平均体積が158mm3になると、腫瘍の大きさによって、無作為にグループ分け、治療グループに適宜な溶媒で調製された試験化合物溶液を投与し、溶媒コントロールグループにブランク溶媒を投与した。治療中に、腫瘍の体積を週ごと二回測定し、化合物の活性を決定するために、最終回投与後に腫瘍の重量を測定した。治療グループと溶媒コントロールグループとの腫瘍の体積及び重量を比較することにより、腫瘍増殖阻害率(%,TGI)を計算した。体重測定は、毒性の通常測定として、腫瘍の体積測定の頻度と同様にした。当該モデルにおいて、実施例13の化合物は、優れた抗腫瘍活性を示した。例えば、用量が50mg/kg、100mg/kg及び200mg/kg(BID×14)である時、実施例13の化合物のHep3B腫瘍に対する体積増殖阻害率がそれぞれ73.02%、86.26%及び90.26%であり、Hep3B腫瘍に対する重量増殖阻害率がそれぞれ84.76%、92.27%及び98.15%であり、実施例13の化合物は、腫瘍の体積及び重量を阻害することにおいて、用量依存的効果を発現することを示した。当該モデルにおいて、実施例16の化合物も優れた抗腫瘍活性を示した。用量が50mg/kg(BID×14)である時、腫瘍の体積増加及び重量増加を阻害する阻害率はそれぞれ78.37%及び83.85%であった。また、実験全体を通じて、実施例13及び実施例16の化合物が投与された動物はいずれも明らかな体重減少を示さなく、二つの化合物は試験用量の条件下で十分に許容されることを示した。
【0117】
本発明は実施形態により全面的に説明されていたが、注意すべきことに、本発明に対する様々な変更や補正が当該技術分野の当業者にとっては自明なことである。このような変更や補正はいずれも本発明の請求の範囲に含まれるべきである。