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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-29
(45)【発行日】2024-03-08
(54)【発明の名称】生検器具、部品のキットおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 10/02 20060101AFI20240301BHJP
   A61B 1/018 20060101ALI20240301BHJP
   A61B 10/04 20060101ALI20240301BHJP
【FI】
A61B10/02 110H
A61B1/018 515
A61B10/04
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021518087
(86)(22)【出願日】2019-10-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-11
(86)【国際出願番号】 EP2019077210
(87)【国際公開番号】W WO2020074505
(87)【国際公開日】2020-04-16
【審査請求日】2022-10-05
(31)【優先権主張番号】18199230.6
(32)【優先日】2018-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】518319908
【氏名又は名称】ビブインストゥルメンツ アーべー
【氏名又は名称原語表記】BibbInstruments AB
【住所又は居所原語表記】Scheelevagen2 223 63 LUND Sweden
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【氏名又は名称】白井 達哲
(72)【発明者】
【氏名】チャールズ ヴァルテル
(72)【発明者】
【氏名】ステファン ディムリング
(72)【発明者】
【氏名】ブルーノ ヴァルテル
【審査官】磯野 光司
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-137454(JP,A)
【文献】国際公開第2016/154170(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0130850(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00- 1/32
A61B 10/02-10/06
A61B 17/32-17/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
幾何学的中心軸(A)に沿って、近位端(10a)から遠位端(10b)に延びるベース部材(10)であって、前記ベース部材(10)の少なくとも遠位端部(10b′)は、細長い中空管(10)の形状を有し、前記遠位端(10b)は、生体組織を取得する組織(50)内に少なくとも部分的に挿入されることを意図している、ベース部材(10)を備え、
前記ベース部材(10)は、前記幾何学的中心軸(A)に沿った前記近位端(10a)の動き(LF、LB)が、前記幾何学的中心軸(A)に沿った前記遠位端(10b)の動き(LF、LB)に伝達されるように、前記幾何学的中心軸(A)に沿って力を伝達することが可能であり、前記近位端(10a)において、モータ(31)により加えられる前記幾何学的中心軸(A)周りの回転(ω)およびトルク(T)が前記近位端(10a)から前記遠位端(10b)へ伝達され、これにより、前記遠位端(10b)が前記幾何学的中心軸(A)周りに回転するように、前記幾何学的中心軸(A)周りのトルクを伝達することが可能であり、
前記中空管(10)は、前記中空管(10)の遠位端(10b)の口(10c)として定義される先端に向いた円形の刃先(11)を有し、
前記中空管(10)は、その遠位部分(10b′)において、滑らかな内面(12)を有する細長い中空管状のサンプル取得部(10b′)を有し、
参照生体組織が取得されるとき、前記中空管(10)の前記刃先(11)および前記遠位端(10b)は、前記幾何学的中心軸(A)に沿って組織(50)中に前進するように構成され、前記近位端(10a)におけるモータ駆動により回転(ω、T)し、これにより、前記中空管(10)の前進(LF)に起因して、前記口(10c)を通って相対的に前記中空管(10)のサンプル取得部分に入り、前記サンプル取得部(10b′)の前記滑らかな内面(12)に少なくとも部分的に当接する円周外面を有する前記組織(50)のコア(51)を切断し、
前記中空管(10)は、前記近位端(10a)におけるモータ駆動により、回転(ω、T)しながら前記組織(50)から引き戻され、これにより、前記中空管(10)の引き戻し(LB)に起因し、且つ、前記滑らかな内面(12)と前記コア(51)の前記円周外面との間の界面に形成され、前記滑らかな内面(12)を有する前記サンプル取得部(10b′)の内部に前記コア(51)を保持する密着力に起因した引っ張り力により、前記組織(50)から前記コア(51)が分離される程度に、前記滑らかな内面(12)が滑らかである生検器具(1)。
【請求項2】
前記滑らかな内面(12)は、ポリマーベース材により形成される請求項1記載の生検器具。
【請求項3】
前記ベース部材(10)は、その前記近位端(10a)から前記遠位端(10b)に延在する細長い中空管(10)により形成される請求項1または2に記載の生検器具。
【請求項4】
前記ベース部材(10)は、内視鏡(40)に挿入され、内視鏡(40)と共に使用されることが可能であるように、屈曲の観点から柔軟である請求項1~3のいずれか1つに記載の生検器具。
【請求項5】
前記細長い中空管(10)は、前記滑らかな内面(12)を有する細長い中空管状の内側部材(13)を含む請求項1~4のいずれか1つに記載の生検器具。
【請求項6】
前記細長い中空管状の内側部材(13)は、前記滑らかな内面(12)を提供するポリマーベース材により形成される請求項5記載の生検器具。
【請求項7】
前記ベース部材(10)は、細長い中空管状の外側部材(14)をさらに含む請求項5または6に記載の生検器具。
【請求項8】
前記細長い中空管状の内側部材(13)は、前記細長い中空管状の外側部材(14)の内部に配置され、前記細長い中空管状の外側部材(14)に対して、回転可能に取付けられ、並進可能に取付けられる請求項7記載の生検器具。
【請求項9】
前記ベース部材(10)は、中空の金属ワイヤロープを含み、
前記中空の金属ワイヤロープは、前記幾何学的中心軸(A)に沿った前記近位端(10a)の動き(LF、LB)が、前記幾何学的中心軸(A)に沿った前記遠位端(10b)の動き(LF、LB)に伝達されるように、前記幾何学的中心軸(A)に沿って力を伝達することが可能であり、前記近位端(10a)において、モータ(31)により加えられる前記幾何学的中心軸(A)周りの回転(ω)およびトルク(T)が前記近位端(10a)から遠位端(10b)に伝達され、これにより、前記遠位端(10b)を前記幾何学的中心軸(A)周りに回転させるように、前記幾何学的中心軸(A)周りのトルクを伝達することが可能である請求項1~8のいずれか1つに記載の生検器具。
【請求項10】
前記細長い中空管状の外側部材(14)は、前記中空の金属ワイヤロープを含む請求項記載の生検器具。
【請求項11】
前記細長い中空管状の内側部材(13)は、前記細長い中空管状の外側部材(14)の内側に配置され、前記細長い中空管状の外側部材(14)に対して回転可能であり、並進移動可能である請求項7記載の生検器具。
【請求項12】
前記細長い中空管状の内側部材(13)は、前記幾何学的中心軸(A)に沿った前記近位端(10a)の動き(LF、LB)が前記幾何学的中心軸(A)に沿った遠位端(10b)の動き(LF、LB)に伝達されるように、前記幾何学的中心軸(A)に沿って力を伝達することが可能であり、前記近位端(10a)において、モータ(31)により加えられる前記幾何学的中心軸(A)周りの回転(ω)およびトルク(T)が、前記近位端(10a)から前記遠位端(10b)に伝達され、これにより、前記遠位端(10b)を前記幾何学的中心軸(A)周りに回転させるように、前記幾何学的中心軸(A)周りのトルクを伝達することが可能である請求項11記載の生検器具。
【請求項13】
前記細長い中空管状の内側部材(13)は、その近位端に、モータ(31)に接続するためコネクタ(15)を有し、前記コネクタ(15)は、前記幾何学的中心軸(A)に沿った前記動き(LF、LB)および前記回転(ω)およびトルク(T)を伝達することが可能である請求項12記載の生検器具。
【請求項14】
前記細長い中空管状の内側部材(13)は、その遠位端に、前記先端に向いた円形の刃先(11)を有する請求項11~13のいずれか1つに記載の生検器具。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか1つに記載の生検器具(10)と、モータ(31)と、を含む操作ユニット(30)を備え、
前記生検器具(10)は、その近位端(10a)において、前記モータ(31)に接続可能であり、前記モータ(31)は、前記ベース部材(10)の前記近位端(10a)に回転(ω)およびトルク(T)を加え、前記ベース部材(10)の前記遠位端(10b)に伝達できるように接続される、構成部品のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生検器具に関する。本発明は、部品のキットにも関する。本発明は、生体組織を取得する方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
生体組織検査は、医師により一般的に行われる医療検査であり、検査のために細胞または組織をサンプリングすることを含む。生体組織検査は、患者の体内に内視鏡を介して挿入される生検器具を用いて頻繁に実施される。今日では、多種多様な内視鏡生検器具が市販されているが、その大部分は、組織サンプルをつまみとる生検鉗子、もしくは、減圧して細胞を吸引する細針である。
【0003】
いくつかの診断目的には、鉗子を用いて採取されるミリメートルサイズのサンプルで十分であるとしても、このような小さく表面的なサンプルは、比較的深い病変や深く成長した腫瘍など、いくつかのタイプの病変や腫瘍の診断には適しない。細針は、多くの場合、より深い腫瘍に到達することが可能であるが、分散した細胞のうちの少量しか取得できないため、診断能力を制限する。
【0004】
内視鏡生検器具で組織サンプルを採取する場合、生検器具は内視鏡の作業チャネルに挿入され、生検部位に進められる。組織サンプルを取得した後、病理医による検査のために組織サンプルを保存ユニットに入れることができるように、内視鏡生検器具は、内視鏡から引き戻される。
【0005】
今日では、生体組織検査は、腫瘍性増殖の悪性度を検査するための主要な診断ツールである。癌治療の方法が改善され、洗練されるにつれて、診断に必要な生体組織検査の回数は増加している。最適な治療法が決定される前に、悪性細胞の広がりと密度を評価する必要があり、例えば、喉頭がんや食道がんの診断には、20~30回の生体組織検査を要し、患者と医師の両方にとって、時間を消費する不便なプロセスとなっている。さらに、鉗子により患者の体から組織サンプルを分離することは強い痛みを伴い、組織サンプルを損傷し、生体組織の評価をより困難にするリスクがある。細針によれば、日常の組織学的方法では準備できない少量の細胞を得ることができるが、一般的には、より高度な超音波内視鏡装置も必要となる。
【0006】
この観点から、複数の生体組織のための保存管腔を備えた鉗子の一種を有する内視鏡生検器具を開示したWO201166470に言及できる。生体組織は、サンプルを回収する場合に用いられる吸引により、吸引側の保存管腔に送られる。
【0007】
しばしば使用される別の技術では、遠位端が閉じ、代わりに、遠位端に近い円周面に開口を有する針が用いられる。そのような針では、円周面の開口内に組織の一部を吸い込む吸引が用いられる。針の内側には、開口を前後に通過する往復切断ツールが設けられ、組織の円周面の内側に位置する部分を切断する。この技術は、例えば、US20100152756およびUS20060074343に例示されている。
【0008】
WO200197702には、外針またはカニューレが組織に挿入され、病変と接触し、カニューレの近位端における連続吸引により、病変をカニューレの遠位端に固定する生検器具が開示されている。所定位置に病変を保持する吸引力を維持しながら、生検針または凍結プローブなどの第2の医療装置を、生検器具の近位端の気密シールおよびカニューレを介して病変まで挿入する。また、US2013/0223702A1は、鉗子、オージェ、または、組織サンプルを器具内に引き込む真空を用いる様々な種類の生検器具を開示している。
【0009】
上記の開示に係る技術の問題は、また、それらが吸引に依存し、器具を複雑にしていることである。
【0010】
したがって、簡単で堅牢な設計が可能であり、診断に十分な量の組織サンプルを短時間に取得できる生検器具を有することは有益である。
【発明の概要】
【0011】
本発明の目的は、簡単で堅牢な設計を可能にし、診断に十分な量の組織サンプルを短時間で取得することが可能な生検器具を提供することである。
【0012】
この目的は、以下を備える生検器具により達成される。
ベース部材は、幾何学的中心軸に沿って、近位端から遠位端まで延在し、前記ベース部材の少なくとも遠位端部は、細長い中空管の形状を有し、前記遠位端は、生体組織が取得される組織に、少なくとも部分的に挿入されることを意図したものである。
前記ベース部材は、前記幾何学的中心軸に沿った前記近位端の動きが、前記幾何学的中心軸に沿った遠位端の動きに伝達されるように、前記幾何学的中心軸に沿って力を伝達可能であり、前記近位端においてモータにより加えられる前記幾何学的中心軸を中心とした回転およびトルクが近位端から遠位端に伝達され、前記遠位端を前記幾何学的中心軸の周りに回転させるように、前記幾何学的中心軸周りのトルクを伝達することができる。
前記中空管は、先端に向いた円形の刃先を有し、前記刃先は前記中空管の前記遠位端における口として定義される。
前記中空管の遠位部において、前記中空管は、細長い中空の管状のサンプル取得部であって、滑らかな内面を有するサンプル取得部を有する。
前記中空管の前記遠位端および前記刃先は、参照される生体組織が取得される時に、前記中空管の近位端におけるモータ駆動により回転しながら、前記幾何学的中心軸に沿って組織中に前進し、前記組織のコアを切断する。前記組織のコアは、前記中空管の前記前進により、前記口を通って前記中空管の前記サンプル取得部の中に相対的に入る。前記コアの円周外面は、前記サンプル取得部の前記滑らかな内面に少なくとも部分的に当接する。その後、前記中空管は、その近位端におけるモータ駆動により回転しながら引き戻される。前記滑らかな内面を有する前記サンプル取得部の内部に前記コアを保持するように働く力であって、前記滑らかな内面と前記コアの前記円周外面との界面に形成される密着力に起因し、且つ、前記中空管の引き戻しに起因した引張力により、前記組織から前記組織のコアが分離される程度に、前記滑らかな内面は平滑化される。前記サンプルが引き戻されるとき、前記密着力は回転と組み合わされ、最も遠い端において前記サンプルの回転を生じさせる。その結果、前記生体組織の前記回転により次第に細くねじれられた糸状の部分において、前記サンプルは前記組織から分離される。
【0013】
前記生検器具は、従来の生検器具に比べて、診断に十分な量の組織サンプルを比較的短時間で取得できる点で有利である。前記生検器具では、事前のサンプル回収を必要としないで、直接的に、複数の組織サンプルを順に取得できる。前記遠位端が2回目に組織内に前進するとき、第1のサンプルは、第2のサンプルのコアにより、制御された方法で、前記近位端に向かって、前記中空管にさらに押し込まれる。前記中空管は滑らかな内面を有し、前記滑らかな表面および前記組織内の液体の存在により、前記コア自体が密着し易く、前記中空管の内部に密着させる程度に滑らかであるという事実は、サンプルの損傷を最小限に抑えながら前記サンプルを取得し、前記刃先および遠位端を回転させながら前記組織に出し入れし、これにより、患者の不快感を軽減することを可能にしている。前記コアが前記細長い管状部材の内側に密着すると、前記コアは、前記細長い管状部材の前記口においてねじられ、前記サンプル部位から分離される。従来の生検器具に比べると、本発明に係る前記生検器具では、その内部に、フックなどを必要としない。そのようなフックは、前記組織へ回転させながら出し入れすることと組み合わせるのに難点を有し、さらに、前記サンプルの損傷を回避することが難しいという欠点を有する。本発明に係る生検器具が前記サンプルに優しいという事実は、さらに、各サンプルを、一意的に識別可能に、損傷を受けないように、制御された方法で回収することを可能にする。これにより、医師は、それぞれのサンプルの層序および/または位置によって提供される情報を保有できる。それは、また、前記生体組織検査によって提供されるデータ量を増やすために使用され、最終的に提供される前記診断の精度を高めるであろう。
【0014】
上記において、参照サンプルに言及していることが留意されるであろう。前記生検器具は、実際の生体組織サンプリングにおいて、多くの異なる方法に従って使用される可能性がある。このため、前記滑らかさの基準を定義する場合には、参照サンプルを基準とする考え方を用いる。前記生検器具は、例えば、上記に言及され、そして、図3~5に例示される1つの方法、すなわち、前記遠位端が組織内にある距離だけ前進した後、引き戻される方法に用いることができる。また、図13(a)、(b)および図14(a)~(c)に例示されているように、前記生体組織が採取される前記組織の表面に沿って前記生検器具を移動させる別の方法に使用されてもよい。図3および4に示すユーザ方式では、前記遠位端が前記組織中に完全な円周を有して挿入され、これにより、前記組織から前記コアを分離するために必要な破断力よりも大きな密着力が形成されるという意味で、前記遠位端は、前記組織に完全に挿入される。図13(a)、(b)および図14(a)~(c)に示される方法では、前記遠位端の前記全円周の一部のみが前記組織に挿入されるという意味で、前記遠位端は、前記組織に部分的にのみ挿入される。前記表面の前記滑らかさは、両方の方法において利点を有するが、前記滑らかさにより与えられる前記密着力は、上記に言及した前記参照サンプリングの実施において、前記組織の残りの部分からの前記コアの分離により、明確に表され、観察可能である。なお、参照サンプリングは、健康な組織で実施されるサンプリングに言及していることに留意できる。
【0015】
前記表面は、上記に類する生検器具により参照サンプリングを実施する時、前記遠位端が前記口の内径と同じかそれより大きい距離、前記組織に挿入され、前記中空管を引き戻す間にコアが前記組織から分離される程度に滑らかであることが好ましい。また、多くの場合、前記表面は、上記に類する生検器具により参照サンプリングを実施する時、前記遠位端が前記口の内径の1.3倍以上の距離、前記組織に挿入され、前記中空管を引き戻す間にコアが前記組織から分離される程度に滑らかであることが好ましい。また、多くの場合、前記表面は、上記に類する生検器具により参照サンプルリングを実施する時、前記遠位端が前記口の内径の少なくとも1.7倍以上の距離、前記組織に挿入され、前記中空管を引き戻す間にコアが前記組織から分離される程度に滑らかであることがより好ましい。上記は、少なくとも1~5mmの間の内径に適用される。
【0016】
前記中空管は、好ましくは延長部を有し、前記遠位端から前記近位端に向かう長さに沿って前記滑らかな表面を有し、前記延長部は、上記開示に類する参照サンプルを、少なくとも2つ、好ましくは、少なくとも3つ、順次取得することが可能な長さを少なくとも有する。
【0017】
なお、前記ベース部材は、一実施形態における曲げの観点から見て、剛性を有し、直線に沿って延びる前記幾何学的中心軸を有して延在することに留意できる。このような剛性を有する生検器具は、通常、独立した生検器具として用いられる。別の実施形態によれば、前記ベース部材は、曲げの観点から見て、柔軟である。これにより、内視鏡で使用する生検器具に、通常、必要とされる様々な形状を有する幾何学的中心軸に沿って延在することが可能である。内視鏡での使用ために、そのような柔軟性を有する生検器具は、時に、内視鏡生検器具と言及される。
【0018】
なお、前進および後退の間における回転方向は、同じであってもよいが、同じである必要はないことに留意できる。例えば、前記ベース部材が、一方向の回転におけるトルク伝達において、反対方向の回転におけるトルク伝達能力に比べて、高い強度を有すれば、同じ回転方向であることが有利である。トルク伝達能力のそのような違いは、例えば、ベース部材が、ワイヤロープや中空ワイヤロープなどのワイヤとして設計される場合に生じるであろう。前記ワイヤは、1つの回転方向において硬く締まる性質がある巻線であり、前記巻線を硬く締め付けるようにトルクを伝達する場合、前記ワイヤは、通常、より高強度になる。
【0019】
好ましい実施形態は、従属請求項および明細書に記載される。
【0020】
前記滑らかな内面は、好ましくは、ポリマーベース材料で形成される。前記ポリマーベース材料は、一般に、非粘着性ポリマーと呼ばれるグレードのものであってよい。非粘着性グレードのポリマーを用いることは、第1の組織サンプルと前記滑らかな表面との間の摩擦を低減し、前記第1の組織サンプルを前記細長い管状部材中へさらに送り込むことを容易にするため、有利である。さらに、通常、非粘着性と見なされる表面は、多くの場合、滑らかであり、前記望ましい滑らかさを提供するために十分である。前記ポリマーベース材料は、例えば、エチレン、テトラフルオロエチレン(TFE)である。他のフルオロポリマーのような他のプラスチック材料を使用することも考えられる。そのようなフルオロポリマーは、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、パーフルオロアルコキシ(PFA)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)である。
【0021】
なお、前記ポリマーベース材料は、様々な異なる物理的設計に提供できることに留意されるであろう。前記ポリマーベース材料は、細長い管状部材の形態で提供されてもよい。前記ポリマーベース材料は、外側部材の内側に付設してもよい。前記ポリマーベース材料は、外側部材の内側に設けられ、外側部材に対して可動かつ回転可能であっても良い。前記ポリマーベース材料は、外側部材の内部コーティングとして設けられてもよい。前記様々な物理設計は、以下に詳しく説明される。
【0022】
前記ベース部材は、好ましくは、前記ベース部材の前記近位端から前記遠位端まで延びる細長い中空管により形成される。前記ベース部材が前記近位端から前記遠位端までの全てにおいて細長い中空管により形成されることは、前記 ベース部材の全長を同じ態様で設計できるので、例えば、製造を容易にする。さらに、前記近位端から前記遠位端までの前記生検器具全体を通して延びる機械的ツールを使用することが可能となり、前記サンプルを確実に押し出し、回収を容易にする。また、細長い中空管は、空気のバースト、もしくは、近位端における流体の注入により、前記サンプルを前記遠位端において押し出すことを可能にする。これらの方法は、十分な量の空気のバーストが実際に前記サンプルを押し出すように、前記細長いチューブの気密が十分であることを要する。前記細長い中空管は、好ましくは、前記近位端から前記遠位端に至る均一な断面を有するように設計される。これとは別に、特定の設計態様の形状を有した局所的な不規則性を、前記近位端および/または前記遠位端がそのようになるように設けてもよい。これらの局所的な不規則性は、例えば、前記近位端において、前記中空管がコネクタを備え、および/または、前記中空管が、前記遠位端に刃先が設けられるように特別に設計されるか、または、前記刃先を提供する独立した部材を受け入れるように特別に設計されることでもよい。
【0023】
前記ベース部材は、内視鏡に挿入され、内視鏡と共に使用できように、好ましくは、曲げの観点から柔軟である。
【0024】
前記細長い中空管は、好ましくは、前記滑らかな内面を有する細長い中空管状の内側部材を含む。前記細長い中空管状の内側部材は、1つの好ましい実施形態によれば、細長い中空管状の外側部材に対して固定されても良いし、別の好ましい実施形態によれば、細長い中空管状の外側部材に対して移動可能であっても良いことに留意されるであろう。
【0025】
前記細長い中空管状の内側部材は、好ましくは、前記滑らかな内面を提供するポリマーベース材料により形成される。これは、滑らかな内面の提供に適した方法である。
【0026】
前記ベース部材は、好ましくは、細長い中空管状の外側部材をさらに含む。
前記細長い中空管状の内側部材は、好ましくは、前記細長い中空管状の外側部材の内部に配置され、第1の実施形態によれば、前記細長い中空管状の外側部材に対して、回転可能に取付られ、並進可能に取付られる。
【0027】
前記ベース部材は、好ましくは、前記幾何学的中央軸に沿った前記近位端の動きが前記幾何学的中心軸に沿った前記遠位端の動きに伝達されるように、前記幾何学的中央軸に沿って力を伝達可能であり、前記近位端においてモータにより加えられる前記幾何学的中央軸周りの回転およびトルクが前記近位端から前記遠位端に伝達され、前記遠位端を前記幾何学的中央軸周りに回転させることができる中空の金属ワイヤロープを含む。
【0028】
前記細長い中空管状の外側部材は、好ましくは、前記中空の金属ワイヤロープを含む。この設計は、排他的ではないが、前記細長い中空管状の内側部材が、前記細長い中空管状の外側部材に対して回転可能に取付られ、並進可能に取付られる設計に、特に有用である。この設計では、比較的標準化された部品である中空の金属ワイヤロープを使用でき、そして、好ましくは、滑らかな内面を有するポリマーベース材料の細長い中空管状の内側部材を追加することにより、前記生検器具の基本的な構成要素を提供する。
【0029】
前記細長い中空管状の内側部材は、好ましくは、前記細長い中空管状の外側部材の内側に配置され、第2実施形態によれば、前記細長い中空管状の外側部材に対して、回転移動可能であり、並進移動可能である。この設計の利点の1つは、前記サンプル取得過程中に、前記内視鏡に対して、前記細長い中空管状の外側部材を安定に保持できることである。前記第2実施形態では、前記細長い中空管状の外側部材を前記組織の外側に残して、前記細長い中空管状の内側部材を前記組織内に進めることを意図している。前記細長い中空管状の外側部材の遠位端を前記組織の外側に置いて、前記細長い中空管状の内側部材の前記遠位端を前記組織内に前進させることにより、前記挿入深さの制御性を良くすることが容易になる。前記サンプル取得過程の間、前記内視鏡に対して前記細長い中空管状の外側部材を安定に保持できるという事実は、前記細長い中空管状の外側部材の前記遠位端が、前記組織内に意図せずに前進することを防ぐストッパーを設けることも可能にする。さらに、前記サンプル取得過程の間に前記内視鏡に対して安定に保持できる前記細長い中空管状の外側部材を、前記細長い中空管状の外側部材に対して回転可能であり、並進移動可能な細長い中空管状の内側部材と組み合わせて有することにより、前記細長い中空管状の外側部材は、前記内視鏡の作業チャネルに比較的密接して適合するように設計できる。さらに、器具の2つの構成要素が相互に作用するように特別に設計および製造され、その間において相対的な動作が提供されるため、前記細長い中空管状の外側部材および内側部材の間に比較的密接した適合を提供し、さらに、十分な遊びを確保できる。さらに、前記細長い中空管状の内側部材および外側部材は、密接に適合させることが可能であるため、ある意味で互いに支え合い、相互に破綻を防ぐ。このため、前記細長い中空管状の外側部材および内側部材の両方に、比較的薄い材料を使用することが可能になる。これにより、所定の内径を有する所与の作業チャネルに対して、前記細長い中空管状の内側部材の前記遠位端の内径を比較的大きくすることが可能になる。前記第2実施形態によりもたらされる他の利点および特定の設計態様は、詳細な説明において、図面を参照してより詳細に論じられる。
【0030】
前記細長い中空管状の内側部材をモータにより回転し、前記回転動作とは独立して前後に動かすことができるように、好ましくは、前記細長い中空管状の内側部材の前記回転可動性は、前記並進可動性から独立している。
【0031】
この実施形態においても、前記細長い中空管状の内側部材は、前記細長い中空管状の外側部材の内部に配置され、前記細長い中空管状の外側部材に対して、回転可能であり、並進移動可能である(前記ベース部材は、一実施形態の曲げの観点から、剛性を有し、別の実施形態によれば、柔軟性を有する)ことに留意できる。前記剛性を有する実施形態では、前記ベース部材は、直線的に延びる前記幾何学的中心軸と共に延在する。このような剛性を有する生検器具は、通常、独立した生検器具として使用される。そのような実施形態では、前記ベース部材は、取り外し可能な内部探針を有する針状に形成できる。前記剛性を有する生検器具は、腫瘍への経皮的アクセスを可能にする。典型的には、そのような実施形態では、前記細長い中空管状の外側部材は固定され、前記探針を引き戻した後、前記細長い中空管状の内側部材を電動ハンドルにより回転させ、前記組織内に前進させる。前記剛性を有する内部探針が、一旦、完全に取り外されると、前記内側中空管は、腹部、胸部、副鼻腔、もしくは関節などの中空空間に回転しながら進み、カメラ、液体やガスの注入装置、もしくは、ガイドワイヤやロッドなどの他の器具を挿入するために使用できる。前記細長い中空管状の内側部材が前記細長い中空管状の外側部材の内部に配置され、前記細長い中空管状の外側部材に対して回転可能であり、並進移動可能である前記実施形態の別の実施形態によれば、前記ベース部材は、曲げの観点から柔軟であり、内視鏡に使用される生検器具に通常必要とされる幾何学的中心軸のさまざまな形状に沿って延びることができる。内視鏡に使用されるそのような柔軟性を有する生検器具は、内視鏡生検器具と呼ばれることもある。
【0032】
前記柔軟性を有する内側中空管は、柔軟性を有するガイドワイヤを挿入するために使用し、その後、ステントおよび拡張バルーンのような他の器具の挿入に使用される位置にガイドワイヤと共に移動させることができる。
【0033】
前記細長い中空管状の内側部材は、前記近位端における前記幾何学的中心軸に沿った動きが、前記幾何学的中心軸に沿った前記遠位端の動きに伝達されるように、前記幾何学的中心軸に沿って力を伝達可能であり、前記近位端においてモータにより加えられる前記幾何学的中心軸周りの回転およびトルクが、前記近位端から前記遠位端に伝達され、これにより、前記遠位端を前記幾何学的中心軸周りに回転させることが可能であることが好ましい。
【0034】
前記細長い中空管状の内側部材は、好ましくは、その近位端に、モータを接続するためのコネクタを有し、前記コネクタは、前記幾何学的中心軸に沿った前記動き、および、前記回転およびトルクを伝達することができる。
【0035】
前記細長い中空管状の内側部材は、好ましくは、その遠位端に、前記先端に向いた円形の刃先を有する。
【0036】
また、上記の目的は、その基本構成、または、好ましい実施形態のいずれかに開示された種類の生検器具と、モータを含む操作ユニットと、を備えた部品のキットにより実現される。
【0037】
前記生検器具は、前記ベース部材の前記近位端に前記モータにより回転およびトルクが加えられ、前記ベース部材の前記遠位端に伝達できるように、前記近位端において前記モータに接続可能である。
【0038】
上記目的は、生体組織を取得する以下の方法によっても達成される。
生検器具の近位端を、モータを有する操作ユニットに接続し、
前記生検器具の遠位端を組織サンプルを採取する位置に移動し、
前記生検器具の前記遠位端に回転が伝達されるようにモータを作動させ、
前記ベース部材の少なくとも遠位端部において、細長い中空管の形状であり、前記中空管の前記遠位端の口として定義される先端に向いた円形の刃先を有する前記遠位端を、前記モータにより回転させながら、組織サンプルを採取する前記組織中に前進させ、前記組織のコアを切断する。前記コアは、前記中空管の前記前進により、前記口を通って前記中空管のサンプル取得部中に相対的に入り、
前記中空管の遠位部に設けられた細長い中空管状のサンプル取得部の滑らかな内面に少なくとも部分的に当接した前記コアの円周外面を有し、前記遠位端がモータによって回転されている間に、前記遠位端を前記組織から引き戻し、
前記組織の前記コアは、前記中空管の引き戻しに起因し、且つ、前記滑らかな内面と前記コアの円周外面との界面に形成される密着力であって、前記滑らかな内面を有する前記サンプル取得部内に前記コアを保持する密着力に起因した引っ張り力により、前記組織から分離される。
【0039】
上記の目的はまた、幾何学的中心軸に沿って近位端から遠位端まで延びるベース部材を含む生検器具によって達成され、
前記ベース部材の少なくとも遠位端部は、細長い中空管の形状を有し、前記遠位端は、生体組織を採取する組織に少なくとも部分的に挿入されるように意図され、前記中空管は、その前記遠位端の口として定義される先端に向いた円形の刃先を有し、前記中空管の遠位端部において、前記中空管は、滑らかな内面を有する細長い中空管状のサンプル取得部を有する。
【0040】
いくつかのユーザシナリオでは、前記細長い中空管状の内側部材(剛性または柔軟性を有する)は、前記近位端において手動で回転させることが可能であり、その結果、先端に向いた円形の刃先においても回転することに留意できる。
【0041】
本発明は、現時点における好ましい実施形態を示す、添付の模式図を参照した例示として、より詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】患者から組織サンプルを採取するために生検器具と内視鏡を使用する医師を模式的に開示している。
図2】内視鏡の近位端および生検器具の近位端をより詳細に開示する。
図3】内視鏡の遠位端とサンプルを取得する組織に進められた生検器具の遠位端とを開示する。
図4】いくつかのサンプルを取得した後の図3に示される内視鏡および器具を開示する。
図5】いくつかのサンプルを取得した後の組織を示す。
図6】生検器具からのサンプルの回収を開示する。
図7】注射器による過圧を利用した回収を開示する。
図8】生検器具の近位端に取り付けられるように構成された操作部材の内部を開示する。
図9図8の操作部材の外側および操作ボタンを開示する。
図10】生検器具の近位端に取り付けられた操作部材を開示する。
図11】柔軟性を有する生検器具を開示する。
図12】柔軟性を有する生検器具のより詳細な断面および分解組み立て図である。
図13】(a)および(b)は、組織の表面に沿って組織サンプルを採取する間の生検器具の遠位端の第1および第2位置を開示する。
図14】(a)は、図13(a)および(b)の断面図に見られる組織の表面に沿った組織サンプルの採取の間における生検器具の遠位端を開示する。(b)は、図13(a)、(b)および図14(a)に示す生検機器により形成された表面の溝を有する組織を開示する。(c)は、図14(b)の組織および溝の上面図である。
図15】第2の実施形態に係る生検器具の断面図である。
図16図15の生検器具の別の断面図である。
図17】内視鏡で使用される図15および図16の生検器具を開示する模式図である。
図18】モータと生検器具との間の伸縮機能の変形例に接続される、図15図17と同じ種類の生検器具を開示する模式図である。
図19図18に示した伸縮機能をより詳細に開示する。
図20図18および図19の伸縮機能の断面図である。
図21図18図20の伸縮機能の分解組み立て図である。
図22】モータ、伸縮機能および生検器具を開示し、伸縮機能に接続されるように構成される生検器具のインターフェースの例を模式的に開示する。
図23】剛性を有する外側中空針と、剛性を有する外側中空針の内部に配置されるように構成された剛性を有する内側中空針を開示する。
図24】剛性を有する外側中空針に挿入される剛性を有する内側中空針を開示する。
図25】剛性を有する内側中空針の格納位置であって、サンプル取得方法の動作のために取り扱われ、ハンドルに挿入されるように構成される位置にある剛性を有する内側中空針および剛性を有する外側中空針を開示する。
図26】(a)は、ハンドルに配置され、生検サンプルを取得する準備ができた状態の針を開示する。(b)は、生検サンプルを取得するためのハンドルの模式的な動作を開示する。
【発明を実施するための形態】
【0043】
図1では、医師などのユーザUが内視鏡40を使用し、患者Pの体腔を通して生検器具1をサンプル部位50に導く方法を、一般的に開示している。生検器具1は、内視鏡40の作業チャネル41に挿入され、内視鏡40は、生検器具1と共に患者の体腔を介して挿入される。生検器具1は、内視鏡40により患者の体内に挿入され、意図されたサンプル部位50に到達する。図1に示され、図2により詳細に示されるように、内視鏡は、患者の体の外側に残る近位端にアクセス開口41aを有し、生検器具1は、アクセス開口41a介して内視鏡に挿入されることを意図している。内視鏡40は、一般的に、カメラおよび/または超音波プローブを備えており、カメラまたは超音波プローブからのデータをスクリーン44上の画像に変換することができる処理ユニット45を介してスクリーン44に接続される。
【0044】
生検器具1は、幾何学的中心軸Aに沿って、近位端10aから遠位端10bまで延びるベース部材10を備える。一実施形態に係る生検器具1の全体は、図11に示される。図11に示される実施形態では、ベース部材10は、曲げの視点において柔軟である。これにより、生検器具10は、内視鏡40で使用するために通常必要とされる様々な形状の幾何学的中心軸Aに沿って延在することができる。このような柔軟性を有する生検器具1は、内視鏡40で使用され、内視鏡生検器具1と呼ばれることがある。しかしながら、生検器具1は、内視鏡に使用されない用途でも有用であることに留意されてもよい。そのような場合には、生検器具1は、曲げの視点における剛性を有し、直線に沿って延びる幾何学的中心軸Aを伴って延在する。このような剛性を有する生検器具は、通常、独立した生検器具1として使用される。これに関連した近位端10aは、図1および図2に示され、遠位端10bは、図3および図4に例示される。
【0045】
図3および図4に例示されるように、ベース部材10の少なくとも遠位端部10b′は、細長い中空管10の形状を有する。図12図15および図16のそれぞれに詳細に示される好ましい実施形態では、ベース部材10は、その近位端10aから遠位端10bまで延びる中空管10の形状を有する。
【0046】
図3および図4に示されるように、遠位端10bは、細長い中空管10の形状を有し、生体組織を採取する組織50に少なくとも部分的に挿入されることを意図している。図3および図4に示される使用状態では、遠位端10bは、その全外円周Cが組織50に挿入されるという意味において、完全に組織内に挿入される。図13(a)、図13(b)および図14(a)~(c)に示される使用状態では、遠位端10bは、その全外円周Cの一部のみが組織50に挿入されるという意味において、部分的にのみ組織に挿入される。
【0047】
ベース部材10は、幾何学的中心軸Aに沿った近位端10aの運動LF、LBが幾何学的中心軸Aに沿った遠位端10bの運動LF、LBに伝達されるように、幾何学的中心軸Aに沿って力を伝達することができる。また、ベース部材10は、近位端10aにおいてモータ31により加えられる幾何学的中心軸A周りの回転ωおよびトルクTを近位端10aから遠位端10bに伝達し、これにより、遠位端10bを幾何学的中心軸A周りに回転させるように、幾何学的中心軸A周りのトルクを伝達することができる。このため、近位端10aを前進および後退させ、近位端10aにおいて回転ωおよびトルクTを加えることにより、ベース部材10の遠位端10bは操作される。
【0048】
生検器具1は、図1を参照して示された上記の簡便な開示にしたがって使用されることを意図している。以下、図1および図2を参照して、意図された使用方法をより詳細に開示する。ユーザUは、モータ31を有する操作ユニット30に生検器具10の近位端10aを接続する。内視鏡40を動作させ、次に、生検器具1の遠位端10bを内視鏡40に対して動かすことにより、生検器具1の遠位端10bを組織サンプルを取得する位置に移動させる。ユーザUは、この動作中に、画面44上の画像によりガイドされる。その後、ユーザUは、生検器具1の遠位端10bに回転が伝達されるように、モータ31を作動させる。その後、ユーザUは、組織サンプルを取得する組織50に遠位端10bを前進させる。ベース部材10の少なくとも遠位端部10b′は、細長い中空管10の形状を有し、中空管10の遠位端10bの口10cとして定義される先端に向いた円形の刃先11を有する。遠位端10bは、モータ31により回転しながら組織50に挿入され、組織50のコア51を切断する。コア51は、中空管10の前進LFにより、口10cを通って中空管10のサンプル取得部10b′に相対的に入る。この前進は、生検器具10を内視鏡40に対して近位端10aから遠位端10bに延びる方向に移動させると言える。図2の実施形態では、この前進は、生検器具10の自由距離Iが減少するように、内視鏡40およびアクセス開口41aに対して、操作ユニット30を矢印LFに沿って前方に移動させることにより実行される。一旦、遠位端10bが意図された深さdまで組織50に挿入されると、その後、ユーザUは、中空管10の遠位部10b′に設けられた細長い中空管状のサンプル取得部10b′の滑らかな内面12に少なくとも部分的に当接する円周外面を有するコア51と共に、遠位端10bをモータ31により回転させながら組織50の外へ引き戻す。
このため、組織50のコア51は、中空管10の引き戻しLBに起因し、且つ、滑らかな内面12とコア51の円周外面との間の界面に形成され、滑らかな内面12を有するサンプル取得部10b′の内部にコア51を保持する密着力に起因した引張力により組織50から分離される。
【0049】
図3および図4に模式的に例示され、図12および図16により詳細に示されるように、中空管10は、その遠位端10bの口10cとして定義される先端に向いた円形の刃先11を有する。好ましい実施形態では、先端に向いた円形の刃先11は、口11cの円周Cに沿って見た時、直線に構成される。口11cは、好ましくは、幾何学的中心軸Aの延長に平行な法線を有する平面を定義し、幾何学的中心軸Aは、口11cにおけるその平面を通る。すなわち、最も好ましい実施形態では、中空管10は、その長手方向の延長と直交する平面により、口11cにおいて切断される。
【0050】
中空管10は、その遠位部10b′において、滑らかな内面12を有する細長い中空管状のサンプル取得部10b′を有する。管状サンプル取得部10b'は、幾何学的中心軸Aに沿った長さを有する。その長さは、好ましくは、管状サンプル取得部10b′内に複数のサンプル51、52、53、54、55を収納し、幾何学的中心軸Aに沿って順に配置することを可能にするために十分である。その長さは、好ましくは、中空管10の内径D11ciの少なくとも10倍、より好ましくは、少なくとも20倍である。また、上記のように、ベース部材10は、好ましくは、その近位端10aから遠位端10bへ延びる細長い中空管10により形成される。このため、細長い中空管状のサンプル取得部10b′は、基本的に、遠位端10bから近位端10aまでの全てに形成されると言ってもよい。
【0051】
細長い中空管10は、好ましくは、近位端10aから遠位端10bまで均一な断面を有して延在するように設計され、これとは別に、近位端10aおよび/または遠位端10bが特定の設計態様の形状を有した局部的な不規則性を有するように設けられる。これらの局部的な不規則性は、例えば、中空管10が近位端10aにコネクタ15を備えること、および/または、中空管10が遠位端10bに刃先11を設けるように特別に設計され、もしくは、その刃先11を提供する独立した部材を受け入れるように特別に設計されることであってもよい。
【0052】
滑らかな内面12は、以下のように構成される程度に滑らかである。
図3および4に示されるように、参照生体組織を取得する場合、中空管10の刃先11および遠位端10bは、その近位端10aにおけるモータ駆動により回転(ω、T)しながら、幾何学的中心軸Aに沿って組織50内に前進し、これにより、組織50のコア51を切断する。コア51は、中空管10の前進LFにより、口10cを通ってサンプル取得部10b′に相対的に入り、サンプル取得部10b′の滑らかな内面12に少なくとも部分的に当接する円周外面を有する。その後、中空管10は、その近位端10aにおけるモータ駆動により回転(ω、T)しながら、組織50から引き戻され、組織50のコア51を組織50から分離する。コア51は、中空管10の引き戻しLBに起因し、且つ、滑らかな内面12とコア51の円周外面との間の界面に形成され、滑らかな内面12を有するサンプル取得部10b′内にコア51を保持する密着力に起因した引張力により分離される。上記に類する生検器具1を用いて参照サンプリングを実行する場合、遠位端10bは、口10cの内径D10ciと同じかそれよりも長い距離、組織50に挿入され、その表面12は、好ましくは、中空管10を引き戻す間に、コア51が組織50から分離される程度に滑らかである。また、多くの場合、上記に類する生検器具1を用いて参照サンプリングを実行する際に、遠位端10bは、口10cの内径D10ciよりも1.3倍以上の距離、組織50に挿入され、表面12は、中空管10を引き戻す間に、コア51が組織50から分離される程度に滑らかである。さらに、多くの場合、上記に類する生検器具1を用いて参照サンプリングを実行する際に、遠位端10bは、口10cの内径D10ciの1.7倍以上、もしくは、2倍以上長い距離、組織50に挿入され、表面12は、中空管10を引き戻す間に、コア51が組織50から分離される程度に滑らかである。上記は、内径D10ciが少なくとも1~5mmの場合に適用される。
【0053】
一般的に取得できる最小または最も浅薄なサンプルは、典型的には、サンプリングされる組織および腫瘍のタイプに依存することに留意できる。一般に、より硬い組織や腫瘍はサンプリングが容易であり、通常、1mmまでの生検が可能である。粘膜では、例えば、比較的柔らかい胃腸に対し比較的硬い気道など、粘度も変化するため、生体組織がどの臓器から取得されるかにも依存する。1~3mmの生体組織は、通常、ほとんどの種類の組織や腫瘍において再現性よく取得できる。
【0054】
図4に示されるように、生検器具1は、前のサンプルの回収を必要とせず、複数の組織サンプルを順次取得することが可能である。遠位端10bが組織50内に前進する時、第1のサンプル51は、第2のサンプルのコア52により、制御された方法で、近位端10aに向かって中空管10中にさらに押し込まれる。それ自身が接着性を有するコア51が中空管10の内部に密着する程度に滑らかな内表面12を有する中空管10が提供されるという事実は、サンプル51への損傷を最小限にしながらサンプルを回収することを可能にし、さらに、刃先11および遠位端10bを回転させながら組織50に進め、引き戻すことを可能とし、これにより、患者の不快感を低減する。
【0055】
中空管10は気密性を有する。ただし、この気密性は、ガスの長期保管について一般的に議論される長期的な空気またはガスの気密性に対処することを意図したものではないことに留意すべきである。中空管10を引き戻した場合、中空管10の内壁と組織サンプルのコア51との間の界面に吸引力が働くように、中空管10は気密性を有するべきである。中空管10は、少なくとも幾何学的中心軸Aに沿った管状サンプル取得部10b′の長さに沿った気密性を有する。管状サンプル取得部10b′は、好ましくは、延長部を有し、遠位端10bから近位端10aに向かう長さ10b′に沿った滑らかな表面12を有する。延長部10b′は、内径D10ciに少なくとも等しいか、少なくとも1.3倍、もしくは、少なくとも1.7倍、または、2倍程度の挿入深さをそれぞれ有する上記開示に類した、少なくとも2つ、好ましくは3つの参照サンプルを順に取得できる長さを少なくとも有する。好ましい実施形態では、中空管10は、近位端10aから遠位端10bまでの全長に沿った気密性を有する。
【0056】
図6に示すように、サンプル51、52、53、54、55は、各サンプル51、52、53、54、55が、さらに、一意的に識別可能であり、損傷を受けないように制御された方法で回収されるであろう。これにより、医師は、それぞれのサンプル51、52、53、54、55の層序および/または位置により提供される情報を保持できる。これは、生体組織検査により提供されるデータ量を増すことに用いられ、最終的に提供される診断の精度を高めることができる。
【0057】
回収は、例えば、図6中の矢印71によって模式的に示される機械的ツールを使用して実施されてもよい。機械的ツールは、サンプル51、52、53、54、55が確実に押し出されるように、近位端10aから遠位端10bに至る生検器具の全体に挿入され、延在する。図7に示すように、細長い中空管10は、サンプル51、52、53、54、55を遠位端10bの外へ押し出す、近位端10aにおける空気のバーストを用いた回収も可能にする。後者は、十分な量の空気のバースト、もしくは、他の種類の気体、または、液状の流体がサンプル51、52、53、54、55を実際に押し出すように、細長いチューブ10が十分な気密性を有することを要する。空気のバーストは、例えば、中空管10の近位端10aに接続される注射器70によって提供される。
【0058】
滑らかな内面12は、好ましくは、ポリマーベース材料12で形成される。ポリマーベースの材料は、例えば、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)であってもよい。ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、パーフルオロアルコキシ(PFA)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)などの他のフルオロポリマーなど、他のプラスチック材料を用いることも考えられる。
【0059】
ポリマーベース材料12は、様々な異なる物理的設計に提供できることに留意されてもよい。ポリマーベース材料12は、細長い管状部材の形状で提供されてもよい。ポリマーベース材料12は、外側部材の内部に取付けられるであろう。ポリマーベース材料12は、外側部材の内部に提供され、外側部材に対して移動可能かつ回転可能であってよい。ポリマーベース材料12は、外側部材の内側のコーティングとして設けられてもよい。さまざまな物理設計は、以下に詳しく説明する。
【0060】
両方の詳細な実施形態に共通して、細長い中空管10は、滑らかな内面12を有する細長い中空管状の内側部材13を含む。1つの好ましい実施形態によれば、この細長い中空管状の内側部材13は、細長い中空管状の外側部材14に対して固定され、別の好ましい実施形態によれば、細長い中空管状の外側部材14に対して移動可能である。両方の詳細な実施形態において、細長い中空管状の内側部材13は、滑らかな内表面12を提供するポリマーベース材料により形成される。
【0061】
図11に詳細に示される実施形態では、細長い中空管状の内側部材13は、細長い中空管状の外側部材14の内部に配置され、細長い中空管状の外側部材14に対して回転可能および並進可能に取付けられる。
【0062】
図12に示すように、細長い中空管状の外側部材14は、幾何学的中心軸Aに沿った近位端10aの動きLF、LBが幾何学的中心軸Aに沿った遠位端10bの動きLF、LBに伝達されるように幾何学的中心軸Aに沿って力を伝達可能であり、近位端10aにおいてモータ31によって加えられる幾何学的中心軸A周りの回転ωおよびトルクTが近位端10aから遠位端10bに伝達され、これにより、遠位端10bを幾何学的中心軸A周りに回転させようにトルクを伝達できる中空金属ワイヤロープを含む。
【0063】
図11および図12に例示されるように、中空管10は、その近位端13aに、モータ31に接続されるコネクタ15を有する。コネクタ15は、幾何学的中心軸Aに沿った運動LF、LB、回転ωおよびトルクTを伝達することができる。
【0064】
中空管10は、細長い中空管状の外側部材14の外側に配置される外側層14′をさらに備える。外側層14′は、例えば、ポリマーベースの収縮フィルムである。
【0065】
図12に示すように、第1の実施形態の中空管10は、以下のように設計され、また、任意選択的に製造される。
【0066】
中空金属ワイヤロープ14の近位端10bには、ハイポチューブ16が取り付けられ、その近位端10bは研磨される。ハイオプチューブ16には、鋭利な刃先11が設けられる。ハイポチューブ16は、中空金属ワイヤロープ14の外側にハイポチューブ16を固定するレーザー溶接プロセスで使用される開口16bも有する。ベースコネクタ17は、中空金属ワイヤロープ14の近位端10a上に圧着もしくは収縮する。ベースコネクタ17は、さらに、コネクタ15に接続されるように設計される。コネクタ15は、操作ユニット30に接続されるように設計される。すなわち、ベースコネクタ17は、コネクタ15の一部を形成すると言える。部品17は、中空金属ワイヤロープ14に実際に取り付けられるため、小さくて単純な設計であることが有利である。このため、コネクタ15、17は、2つの主要な部品15、17として製造される。そして、コネクタ15と操作ユニット30との間のユーザにとって使い易い接続性に関し、コネクタ15は望ましい機能を提供する。ベースコネクタ17およびコネクタ15の接続は、幾何学的中心軸Aに沿って力を伝達することが可能であり、且つ、回転ωおよびトルクTを伝達できるように幾何学的中心軸A周りのトルクを伝達可能である。
【0067】
細長い中空管状の内側部材13は、中空金属ワイヤロープ14の内部に配置される。細長い中空管状の内側部材13は、中空金属ワイヤロープ14に溶接される。細長い中空管状の内側部材13は、平坦に切断される前に、中空金属ワイヤロープ14の内部に配置され、その位置に溶接され固定されたとき、好ましくは、中空金属ワイヤロープ14に比べて長いことが好ましい。刃先11cも、中空管10の遠位端10aと共に平らであることが好ましいと言える。これにより、滑らかな表面12は、遠位端10aの全体に延びる。
【0068】
外側の収縮チューブ14′は、中空金属ワイヤロープ14の外面上に収縮する。
【0069】
図15および図16を参照して、細長い中空管状の内側部材13が細長い中空管状の外側部材14の内部に配置され、細長い中空管状の外側部材14に対して、回転可能および並進移動可能である実施形態を、以下に、より詳細に説明する。細長い中空管状の外側部材14は、サンプル取得過程の間、内視鏡に対して固定された状態に保たれるように意図される。細長い中空管状の内側部材13は、細長い中空管状の外側部材14を組織50の外側に残して、回転し、組織50内に前進するように意図される。図16に示すように、細長い中空管状の外側部材14の遠位端14bは、ストッパー19を伴って設けられる。ストッパー19は、遠位端14bが意図せずに組織50内に前進するのを防ぐ。ストッパー19は、細長い中空管状の外側部材14の遠位端14bと組織50との間の当接面が増えるように設計される。ストッパー19は、遠位端14bに配置され、遠位端14bの円周を増加させる1以上のボディを提供するように設計され、当接面を増す。ストッパー19は、細長い中空管状の外側部材14に取り付けられた膨張可能なリング19であってもよい。ストッパー19は、細長い中空管状の外側部材14に回転可能に接続された1以上のアーム19′でもよい。細長い中空管状の内側部材13が引き戻されるとき、ストッパー19により増大した当接面は、安定性を確保し、反対に働く力を生じさせ、これにより、サンプル部位を取り巻く組織をそれほど引っ張ることなく、サンプルをより容易に除去できる。さらに、細長い中空管状の外側部材14に対して回転可能および並進移動可能である細長い中空管状の内側部材13との組み合わせにより、サンプル取得過程の間、内視鏡に対して静止した状態を維持できるように、細長い中空管状の外側部材14は、内視鏡の作業チャネル41に比較的密接した適合性を有するように設計されるであろう。さらに、相互に作用するために特別に設計および製造された器具の2つの構成要素間に相対動作を提供するために、細長い中空管状の内側および外側部材13、14の間に比較的密接した適合を提供し、さらに、十分な遊びが確保される。さらに、密接した適合により、細長い中空管状の内側および外側部材13、14は、ある意味で互いに支持し、互いに破綻することを防ぎ、その結果、細長い中空管状の外側および内側部材13、14の両方に比較的薄い厚さの材料を使用することが可能になる。これにより、細長い中空管状の内側部材13の遠位端13bの内径D10ciを、所与の作業チャネル41の所定の内径に対して比較的大きくすることが可能になる。第2の実施形態によりもたらされる他の利点および特定の設計態様は、図面と関連した詳細な説明においてより詳細に論じられる。
【0070】
細長い中空管状の内側部材13は、幾何学的中心軸Aに沿った近位端10aの動きLF、LBが遠位端10bの幾何学的中心軸Aに沿った運動LF、LBに伝達されるように、中心幾何軸Aに沿って力を伝達可能であり、近位端10aにおいてモータ31により加えられる幾何学的中心軸A周りの回転ωおよびトルクTを近位端10aから遠位端10bに伝達し、これにより、遠位端10bを幾何学的中心軸Aの周りに回転させるように、幾何学的中心軸A周りのトルクを伝達することが可能である。
【0071】
細長い中空管状の内側部材13は、その近位端13aに、モータ31に接続するためのコネクタ15を有する。コネクタ15は、幾何学的中心軸Aに沿った動きLF、LB、回転ωおよびトルクTを伝達することができる。
【0072】
細長い中空管状の外側部材14は、その近位端13aに、操作ユニット30に接続するためのコネクタ18を有し、細長い中空管状の内側部材13をモータ31により回転させながら、細長い中空管状の内側部材13の前進LFおよび後退LBによりサンプルが取得される間、意図されたサンプル部位に移動され、静止される。
【0073】
細長い中空管状の内側部材13は、その遠位端に、先端に向いた円形の刃先11を含む。刃先11は、ハイポチューブ16に類似したハイポチューブのような独立した部材に設けられてもよい。また、細長い中空管状の内側および外側部材13、14は、互いに支持し、これにより、材料厚を薄く設計することができるので、細長い中空管状の内側部材13の切断された遠位端を刃先11などに使用することが考えられる。
【0074】
操作ユニット30は、要するに、ハウジング32、ハウジング32内の電気モータ31、および、コネクタ33を含む。コネクタ33は、モータ31からコネクタ15にトルクTおよび回転ωを伝達できるように、コネクタ15に相互接続され、モータ31に接続されるように構成される。操作ユニット30は、また、1以上の電池34aおよび34bを含む。操作ユニット30は、1以上のボタン35aおよび35bを有してもよい。ボタン35aおよび35bは、例えば、モータ31を始動および停止するために使用される。操作ユニット30は、接続部36として例示される1以上の接続部を有してもよい。接続部36は、図1に示されるペダル37とのインターフェースを提供するために用いられ、これにより、ペダル37は、モータ31を始動および停止するために使用できる。ユーザUには、例えば、ペダル37を押し下げ/離すことにより回転速度を変える選択が与えられるであろう。接続部36は、操作ユニット30内の電池34aおよび34bを充電するために使用されてもよい。図8に示すように、接続部36およびハウジング32は、電線81の端における典型的なコネクタ80として、接続部36から延びるコネクタ80を受け入れるように構成できる。接続部36およびハウジング32は、ハウジング32の拡張部32′となる形状およびサイズを有するサブハウジング82を受け入れるように構成されてもよい。図9および図10に示すように、例えば、同じ円周形状およびサイズを有し、ハウジング32の端に取り付けられる。電線81は、ハウジング32のこの部分32′から延びてもよい。ハウジング32のそのような拡張部32′は、電池34aおよび34bを収容することができる。これにより、電池34aおよび34bを迅速に交換することが可能であり、モータ31およびコネクタ33を含むハウジング部分から独立して充電することができ、1以上の電池34aおよび34bの独自のセットをそれぞれ有する1以上の拡張部32と共に、モータ31およびコネクタ33を有する単一の操作ユニット30を使用することができる。
【0075】
図10は、コネクタ33に接続されるコネクタ15により、操作ユニット30がどのように生検器具1に接続されるかを示している。
【0076】
図17は、伸縮機能90を示している。伸縮機能90は、アクセス開口41aと操作ユニット30との間の生検器具1の部品を少なくとも部分的に、好ましくは、全体的に覆うカバー91を含んでもよい。伸縮機能90は、ある長さの生検器具1が、アクセス開口部41aと遠位開口41bとの間で測定された、わずかに異なる長さの作業チャネル41を有する異なる種類の内視鏡40において使用できるように、軸Aに沿った調整可能な長さを有することができる。伸縮機能90は、細長い中空管状部材10の遠位端10bの最大延長、および/または、細長い中空管状の外側部材14の遠位端14bの最大延長に関する制限を提供してもよい。伸縮機能90は、生検器具1が意図されたサンプル部位に一度移動すると、細長い中空管状の外側部材14を内視鏡40に対して固定することが可能なロッキング部材92有してもよい。伸縮機能90は、細長い中空管状の内側部材13と細長い中空管状の外側部材14との間の最大相対動作を設定することができ、これにより、明確に定義された最大サンプリング深さが提供されるロッキング部材または当接部材93を有してもよい。図17では、内視鏡40および生検器具1の遠位端は、明確にするために、拡大して示されていることに留意できる。実際には、生検器具1は、図19に例示されるように、遠位端部分10b′は、典型的には、生検器具の長さに沿った他の部分と同じ直径を有する。
【0077】
図18図22に示される伸縮機能100は、特に、図15および図16に開示される種類の生検器具、すなわち、細長い中空管状の外側部材14が回転せず、その内部に回転可能に配置された細長い中空管状の内側部材13を有する生検器具に対して構成される。伸縮機能100の近位端はモータ30に接続され、伸縮機能100の遠位端は内視鏡40に接続される。伸縮機能100の異なる部分は、以下に、より詳細に開示されるように、生検器具1の異なる部分に接続される。
【0078】
伸縮機能100は、ベーススリーブ110を含む。ベーススリーブ110は、その遠位端に、内視鏡40の挿入開口41aに接続されるように構成されたコネクタ111を有する。モータ30は、ベーススリーブ110の近位端に接続されるように構成されている。ベーススリーブ110は、固定長を有する。
【0079】
伸縮機能100は、ベーススリーブ110の内側にスライド可能に配置された内側スリーブ120をさらに含む。内側スリーブ120は、ベーススリーブ110に対して遠位方向にスライドするその動作が、細長い中空管状の外側部材14を内視鏡に対して遠位方向に動かすように、細長い中空管状の外側部材14に接続される。伸縮機能100は、ベーススリーブ110の周りに移動可能に配置された第1のリング状部材115をさらに含む。第1のリング状部材115は、ベーススリーブ110に沿って前後にスライドでき、内視鏡40の遠位端における細長い中空管状の外側部材14の長さを制御できると言える。第1のリング状部材115は、コネクタ116を有する。第1のリング状部材115は、コネクタ116により内側スリーブ120に接続できる。開示された実施形態において、コネクタ116は、くさび状のねじである。開示された実施形態では、ねじは、第1のリング状部材115のねじ穴に配置され、第1のリング状部材115のねじ穴にねじ込まれると、くさびを内側スリーブ120と接触するように押し込む。第1のリング状部材115は、内視鏡の先端から出る細長い中空管状の外側部材14の長さを調整すると言える。コネクタ116は、ベーススリーブ110の壁に形成された長い貫通孔112を通って延びる。第1のリング状部材115を内側スリーブ120に関連した所望の位置に移動させること、および、コネクタ116が長孔112を貫通するという事実との組み合わせにおいてコネクタ116を機能させ、第1のリング状部材115を所望の位置において内側スリーブ120に接続することにより、細長い中空管状の外側部材14が、どの程度、内視鏡40の遠位開口41aから出るかを決めることができる。内側スリーブ120に接続され、長孔112を貫通するコネクタ116が長孔112の遠位端に当たると、コネクタ116は、ベーススリーブ110に対して、それ以上遠位方向に移動できなくなる。結果として、第1のリング状部材115および内側スリーブ120も、ベーススリーブ110に対して、それ以上遠位方向に移動できなくなる。
【0080】
伸縮機能100は、内側スリーブ120の内部にスライド可能に配置される中心スリーブ130をさらに含む。内側スリーブ120に対する中心スリーブ130の遠位方向へのスライド動作が、細長い中空管状の外側部材14に対して、細長い中空管状の内側部材13を遠位方向に移動させるように、中心スリーブ130は、細長い中空管状の内側部材13に接続される。細長い中空管状の内側部材13は、中心スリーブ130の内部において回転可能である。好ましい実施形態では、細長い中空管状の内側部材13は、中心スリーブ130を通る孔131中に延在し、孔131は、その内側と細長い中空管状の内側部材13と間に遊びを生じさせる直径を有する。
【0081】
伸縮機能100は、ベーススリーブ110の周りに移動可能に配置された第2のリング状部材125をさらに含む。第2のリング状部材125は、ベーススリーブ110に沿って前後にスライドできる。第2のリング状部材125は、コネクタ126を有する。第2のリング状部材125は、コネクタ126により中心スリーブ130に接続できる。開示された実施形態では、コネクタ126は、くさび状のねじである。開示された実施形態において、ねじは、第2のリング状部材125のねじ穴に配置され、第1のリング状部材115のねじ穴にねじ込まれると、中心スリーブ130と接触するようにくさびを押し込む。コネクタ116は、ベーススリーブ110の壁に形成された長い貫通孔113を貫通し、内側スリーブ120の長い貫通孔121を貫通する。中心スリーブ130に対して第2のリング状部材125を所望の位置に移動させること、および、コネクタ126が内側スリーブ120の長孔121を貫通するという事実との組み合わせにおいて、コネクタ126を機能させることにより、所望の位置において第2のリング状部材125を中心スリーブ130に接続することにより、細長い中空管状の内側部材13を、どの程度、細長い中空管状の外側部材14から出すかを決めることができる。中心スリーブ130に接続され、長孔121を通って延びるコネクタ126が、長孔121の遠位端に当たると、コネクタ126は、内側スリーブ120に対して、それ以上、遠位方向へ移動できなくなる。結果として、第2のリング状部材125および中心スリーブ130も、内側スリーブ120に対して、それ以上、遠位方向へ移動できなくなる。
【0082】
中心スリーブ130が内側スリーブ120に対してスライド可能である方向に沿って見られる所望の相対位置において、伸縮機能100は、中心スリーブ130と内側スリーブ120を相互に接続するように構成されたコネクタ135をさらに含む。開示された実施形態では、コネクタ135は、中心スリーブ130のスライド方向に沿った固定位置において、中心スリーブ130に接続される。コネクタ135は、ユーザがアクセス可能であり、中心スリーブ130が、そのスライド動作を妨げるコネクタ135なしで、内側スリーブ120に対してスライドできるように、コネクタ135は、内側スリーブ120の壁に形成された長い貫通孔122を通って延在する。コネクタ136は、その作用により、内側スリーブ120と中心スリーブ130とを相互に接続するように構成される。開示された実施形態では、コネクタ136は、ねじの頭が長孔122の両側において内側スリーブ120の壁に作用するように、中心スリーブ130のねじ穴にさらにねじ込まれる。
【0083】
伸縮機能100は、上記の開示、および、図18図21に例示される機能全体の組合せを含むことができると考えられることに留意できる。また、特定の用途では、上記の機能のうちの1つまたは2つだけが存在することが望ましいと考えられる。
【0084】
例えば、いくつかの用途では、細長い中空管状の内側部材13が細長い中空管状の外側部材14から外側に移動する最大長を調整できることと組合せて、細長い中空管状の外側部材14が内視鏡40の遠位開口部41bから延出する最大長を調整することが可能であることが好ましいと考えられる。このような設定は、通常、図3および図4に示されるような生体組織検査を実施することが望まれる場合に有用である。
【0085】
これに代わる実施形態では、1つだけの利用可能な設定、すなわち、内側スリーブ120および中心スリーブ130を相互に接続する可能性がある。このような設定は、通常、図13(a)および(b)に示すような生体組織検査を実施することが望ましい場合に有用である。ユーザは、細長い中空管状の内側部材13が細長い中空管状の外側部材14から延出する距離を固定し、その後、細長い中空管状の内側および外側部材13、14は、共に、内視鏡40の遠位開口41bに対して移動し、例えば、図13(a)、(b)および図14(a)~(c)に示すように、臓器の壁の表面から表面サンプルを採取する。
【0086】
この例において、伸縮機能90、100は、独立した部品、すなわち、内視鏡40、生検器具1およびモータ30から独立し、それらに接続可能であることにも留意できる。別の例では、生検器具1の一部を形成し、それ自体がモータ30に接続するためのインターフェースを有し、内視鏡40に接続するためのインターフェースも任意選択的に有することも可能である。
【0087】
図22は、伸縮機能100が生検器具1から独立した設計を模式的に示している。伸縮機能100は、モータ30と一体になった部品であってもよいが、モータ30に接続可能な独立した部分であってもよい。生検器具1は、伸縮機能に接続するためのインターフェースを含む。インターフェースは、細長い中空管状の内側部材13に接続され、伸縮機能100の中心スリーブ130に接続されるように構成される第1の接続部材13eを含む。インターフェースは、細長い中空管状の外側部材14に接続され、内側スリーブ120に接続されるように構成された第2の接続部材14eを含む。
【0088】
生検器具1は、実際の生検サンプリングにおいて、いくつかの異なる方法にしたがって使用できる。例えば、図3図5に示すように、生検器具が使用される1つの方法、すなわち、遠位端10bが組織50内にある距離だけ前進し、その後、引き戻される1つの方法にしたがって使用できる。また、図13(a)、(b)および図14(a)~(c)に例示されるように、生体組織が取得される組織50の表面に沿って、生検器具1を移動させる、別の方法にしたがって使用されてもよい。図3および図4に示される使用者の方法では、遠位端10bは、全円周Cを伴って組織50に挿入されるという意味で、組織50に完全に挿入され、これにより、組織からコアを切り離すために必要な分断力よりも大きい密着力が形成される。図13(a)、(b)および図14(a)~(c)に示される方法では、図14(a)に示すように、遠位端10bは、全円周Cの一部のみが組織50に挿入されるという意味で、組織50に部分的にのみ挿入される。図14(a)では、円周Cの約半分(図14(a)における下半分)が組織50に挿入される。図13(a)および(b)に示されているように、この方法における生検器具1は、組織50の表面に沿って動かされ、組織50の表面に、基本的に連続的または少なくとも半連続的な溝57を切る。
【0089】
図23および図24には、生検器具1の変形例が開示されている。ここでは、細長い中空管状の外側部材14は、剛性を有する中空針14である。細長い中空管状の内側部材13もまた、剛性を有する中空針13である。図23に示すように、剛性を有する外側中空針14の内部に、剛性を有する内側中空針13を配置するように構成される。図24に示すように、剛性を有する内側中空針13は、剛性を有する外側中空針14の遠位開口から延出するのに十分な長さを有する。剛性を有する内側中空針13および剛性を有する外側中空針14を取り扱う場合、剛性を有する内側中空針13は、好ましくは、図25に示すように、剛性を有する外側中空針14の遠位開口から延出しないように引き戻される。図25において、剛性を有する内側中空針13および剛性を有する外側中空針14は、生体組織を取得するために、操作ユニット200内に配置されようとしている。操作ユニット200は、剛性を有する内側中空針13および外側剛性中空針14を操作するために使用される。剛性を有する外側中空針14は、サンプリングされる組織への挿入を容易にするために傾斜した端部を有してもよい。
【0090】
さらに、剛性を有する内側中空針13の中に内部探針を設けることも考えられる。内部探針は、例えば、剛性を有する外側中空針14の先端に対応する斜めの硬い先端を含む。内部探針は、生検器具1をサンプリングされる組織に挿入するときに、剛性を有する内側中空針13の口を覆うために使用することができ、剛性を有する内側中空針13を回転させる前、および/または、組織中に挿入する前に、部分的または完全に除去される。
【0091】
内部探針を含むこのようなデザインは、以下のように用いることができる。
生検器具1は、皮膚を通して、または、体腔を介して組織に挿入されるなど、サンプル部位に移動され、生検器具1のこの移動中に、内部探針は、剛性を有する内側中空針の口を閉じるように配置される。その後、内部探針は、剛性を有する内側中空針13の口を開くように、近位方向に動かされる。内部探針は、剛性を有する内側中空針13の遠位部分を開き、遠位部分が剛性を有する内側中空針13中に十分な量の組織を回収するのに十分な長さを有するように、少なくとも十分な距離、近位方向に動かされる。その後、剛性を有する内側中空針13は、剛性を有する外側中空針14に対して遠位方向に前進し(同時に回転し)、サンプルを取得する。その後、剛性を有する内側中空針13は、剛性を有する外側中空針14中に引き戻され、生検器具1は、サンプル部位から引き戻される。剛性を有する内側中空針13を前進させる前に、内部探針を近位方向に動かすことが好ましいが、剛性を有する内側中空針13の内部のサンプルを、内部探針が剛性を有する内側中空針13の外側に押し出さないように、遅くとも、剛性を有する内側中空針13を、剛性を有する外側中空針14中に引き戻すと同時に、内部探針を近位方向に動かせば十分であることに留意できる。生検器具1がサンプル部位から取り外された後、剛性を有する内側中空針13からサンプルを押し出すように内部探針を遠位方向に動かすことにより、剛性を有する内側中空針13からサンプルを回収することができる。内部探針は、剛性を有しても良いし、内部探針は、柔軟であり、剛性を有する内側中空針によりガイドされてもよい。
【0092】
内部探針を使用することは、内視鏡40と共に使用するように構成された柔軟性を有する生検器具1にも適用可能であることに留意できる。そのような場合、内部探針もまた柔軟性を有し、細長い中空管状の内側部材13によりガイドされる。
【0093】
図23に示すように、剛性を有する内側中空針13は、インターフェース部13eを含み、剛性を有する外側中空針14もまたインターフェース部14eを含む。
【0094】
図26(a)および(b)には、図23および図24に開示された基本形の生検器具1の使用に適した操作ユニット200の例が模式的に示されている。
【0095】
図26(a)は、操作ユニット200内に配置され、生検サンプルを採取する準備ができた状態にある針を開示している。
【0096】
図26(b)は、生検サンプルを取得するための操作ユニット200のハンドル210の動作を模式的に開示している。
【0097】
より詳細には、操作ユニット200は、その異なる構成要素を支持するベース部材201を含む。操作ユニット200は、剛性を有する外側中空針14のインターフェース部14eと相互作用し、剛性を有する外側中空針14の位置を維持するように構成された支持体202を含む。好ましくは、剛性を有する外側中空針14は、操作ユニット200に対して固定されたままであり、すなわち、剛性を有する外側中空針14は、長手方向に移動できず、操作ユニット200に対して回転できない。
【0098】
操作ユニット200は、剛性を有する内側中空針13のインターフェース部13eと相互作用するように構成されたスレッド203をさらに備える。スレッド203は、また、モータ30を含む。モータ30は、操作ユニット200および剛性を有する外側中空針14に対して、剛性を有する内側中空針13を回転させるように構成される。スレッド203は、支持体201に対して前後に移動するように構成され、図24に同様に示すように、剛性を有する内側中空針13の遠位端を剛性を有する外側中空針14の遠位端から延出させ、剛性を有する内側中空針13の遠位端を剛性を有する外側中空針13の遠位端からそれ以上延出させないように、剛性を有する内側中空針13の遠位端は、剛性を有する外側中空針14内に引き戻され、再び、収納されるであろう。これらの挿入および/または引き戻しの操作は、手動でもよいし、自動化され、操作ユニット200の1以上のボタンにより電気的に制御されてもよい。
【0099】
スレッド203は、例えば、ハンドル205に接続された結合部204により、前後に動くように操作できる。スレッド203は、ハンドル205を支持体201に対して操作することにより、結合部204を介して操作される。好ましい実施形態では、操作ユニット200は、支持体201に対して固定される第2のハンドルを含んでもよく、図26(a)および(b)に示されるハンドル205は、そのような固定ハンドルに向かって移動することができる。分かり易くするために、そのような固定ハンドルは省略されている。
【0100】
図23および図24の生検器具1は、剛性を有する外側中空針14のインターフェース14eが支持体202と相互作用し、剛性を有する内側中空針13のインターフェース13eがスレッド203およびスレッド203のモータ30と相互作用するように、操作ユニット200の内部に配置されるように設計される。さらに、操作ユニット200は、剛性を有する内側および外側中空針13、14のインターフェース部13e、14e、および操作ユニット200の関連する構成要素202、203の上に蓋206を閉じることにより封じられるように構成される。蓋206は、ヒンジによりベース部材201に接続される。蓋206は、ベース部材201にスライド可能に接続されるか、はめ込み接続などを用いて完全に取り外し可能であるなど、他の適切な方法により、ベース部材201に接続されてもよい。
【0101】
操作ユニット200は、モータ制御部を備え、モータ制御部は、例えば、ユーザにより操作されるスイッチまたはボタンであるか、または、ユーザがスレッド203を動かし始めるとき、モータコントローラがモータ30を始動して、剛性を有する内側中空針13を回転させ、サンプル取得過程全体を通して回転させるように、スレッド203の操作部に接続された自動コントローラであってもよい。
【0102】
サンプルを取得した後、剛性を有する内側中空針13は、剛性を有する外側中空針14内に引き戻され、操作ユニット200は、剛性を有する内側および外側中空針13、14をサンプリングされた組織の外へ移動させるように動作する。
【0103】
剛性を有する内側中空針13のインターフェース部13eには、剛性を有する内側中空針13の近位端を閉じることができるプラグ等を設けることができる。このようなプラグを設けることにより、近位端のプラグと遠位端の組織との間において、剛性を有する内側中空針13の内部に空気が閉じ込められ、剛性を有する内側中空針13の内部に過剰な量の組織が蓄積されることを防ぐ、エアークッションが形成される。また、そのようなプラグは、剛性を有する内側中空針13の内側に配置される機械的なブロック材に置き換えることができる。そのような機械的なブロック材は、好ましくは、剛性を有する内側中空針13の近位端から挿入される。また、機械的なブロック材は、必然ではないが、剛性を有する内側中空針13の内部に対して気密接続される。このエアプラグまたは機械的なブロック材の提供は、図23図26(a)および(b)に示される生検器具の設計に限定されないことに留意できる。エアプラグまたは機械的なブロック材を有するという概念は、開示されたすべての生検器具に適用可能である。
【0104】
ブロック材は、剛性を有する内側中空針13もしくは細長い中空管状の内側部材13の口を遮断または閉じるように、挿入中に配置されてもよい。
【0105】
生検器具1の異なる変形例は、追加の目的のために使用できることにも留意できる。細長い中空管状の内側部材13は、それが剛性を有するか柔軟性を有するかに関係なく、ガイドワイヤを導入するための導入チャネルとして使用することができる。細長い中空管状の外側部材14は、それが剛性を有するか柔軟性を有するかに関係なく、ガイドワイヤを導入するための導入チャネルとして使用することができる。ガイドワイヤは、例えば、 ステント、バルーン、カメラ、注射管などを挿入するために使用できる。ガイドワイヤは、X線画像上で可視化されるマーカーなどのマーカーを挿入するために使用することもできる。このような場合、生検器具1は、通常、以下のように使用される。
まず、器具が組織に挿入され、任意選択的に、サンプルも取得され、その後、細長い中空管状の部材13、14のうちの1つが任意選択的に完全に除去され(サンプルが取得される場合、細長い中空管状の内側部材13がサンプルを回収するために除去される)、その後、意図した位置に挿入されたままの生検器具1の一部を介して、ガイドワイヤが挿入され、その後、意図した位置まで伸びたガイドワイヤを残して、生検器具のすべての部分を引き戻し、その後、ステント、バルーン、マーカーを挿入または動作させ、最後に、ガイドワイヤも引き戻される。
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