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▶ スタナダイン エルエルシーの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-29
(45)【発行日】2024-03-08
(54)【発明の名称】機械的圧力調整を備えた高圧燃料ポンプ
(51)【国際特許分類】
   F02M 59/36 20060101AFI20240301BHJP
   F02M 59/46 20060101ALI20240301BHJP
【FI】
F02M59/36 F
F02M59/46 Y
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021528987
(86)(22)【出願日】2019-11-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-18
(86)【国際出願番号】 US2019063504
(87)【国際公開番号】W WO2020112933
(87)【国際公開日】2020-06-04
【審査請求日】2022-11-14
(31)【優先権主張番号】62/771,829
(32)【優先日】2018-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516312497
【氏名又は名称】スタナダイン エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110003018
【氏名又は名称】弁理士法人プロテクトスタンス
(72)【発明者】
【氏名】ペリーニ リチャード ピー
(72)【発明者】
【氏名】モレル ケネス アール
(72)【発明者】
【氏名】パレルモ デイヴィッド ジー
(72)【発明者】
【氏名】マイレン ドミニク エム
(72)【発明者】
【氏名】ノーキン エフゲニー
(72)【発明者】
【氏名】ウェグジニアク マイケル
【審査官】楠永 吉孝
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第9759174(US,B2)
【文献】特開2006-083822(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102011007182(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 59/00~59/48
F02D 41/30~41/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンピングプランジャが回転カムのプロファイルと接触するカムフォロワによって駆動し、ポンピングプランジャは、燃料がポンピングチャンバに供給される際の後退運動と、プランジャがポンピングチャンバ内の燃料を加圧する際のポンプ運動との間で、ポンピングチャンバ内で軸方向に往復運動し、前記加圧燃料は、ポンプ出口通路を通って加圧コモンレールに流れる高圧燃料ポンプであって、前記燃料ポンプは、
前記ポンピングプランジャの後退運動中に前記ポンピングチャンバに供給される燃料の量を制御するように配置された入口計量バルブであって、前記入口計量バルブは、
前記ポンピングチャンバへの燃料の流入を防止する閉位置と、燃料が前記ポンピングチャンバを満たすことを可能にする開位置との間で移動可能であり、前記閉位置から前記開位置に移動することにより、計量バルブ部材が閉位置から開位置に向かって移動するにつれて可変流量領域の増加を規定する計量バルブ部材と、
前記コモンレール内の圧力にさらされており、前記コモンレール内の低圧に対応する第1の位置に向かってバイアスされ、前記コモンレール内の最大圧力に対応する第2の位置に向かって移動可能であり、前記計量バルブ部材の計量位置を決定するバルブストップを含む、アクチュエータボア内のアクチュエータピストンと、を有し、
前記計量バルブ部材と前記アクチュエータピストンとの間で圧縮された入口計量逆止バルブスプリングによって、前記計量バルブ部材が前記閉位置に向かってバイアスされ、前記計量バルブ部材は、前記ポンピングプランジャが後退運動する間に、前記バルブストップと接触するように計量位置まで開き、前記計量位置は、アクチュエータボアに伝達されるコモンレール内の圧力の関数である可変流量領域を規定する、高圧燃料ポンプ。
【請求項2】
前記アクチュエータピストンが、前記アクチュエータボアの内部肩と前記アクチュエータピストンとの間で圧縮されたアクチュエータスプリングによって前記第1の位置に向かってバイアスされ、前記コモンレールが前記最大圧力以上であるときに前記アクチュエータピストンが前記第2の位置に移動し、前記コモンレール内の圧力と前記アクチュエータスプリングとの間の力のバランスが、第1の位置および第2の位置の間で、前記間のアクチュエータピストンの位置を決定するように、前記アクチュエータスプリングが選択される、請求項1に記載の高圧燃料ポンプ。
【請求項3】
前記アクチュエータピストンがアクチュエータバルブを含み、前記アクチュエータボアがアクチュエータバルブシートを含み、前記アクチュエータピストンが前記第1の位置にあるときに前記アクチュエータバルブが前記アクチュエータバルブシートに対して着座し、前記コモンレールから前記アクチュエータピストンを通過する燃料の流れを防止する、請求項1に記載の高圧燃料ポンプ。
【請求項4】
前記ポンプは、前記ポンピングチャンバを規定するポンプ本体と、前記ポンプ出口通路、前記ポンプ出口通路を前記アクチュエータボアに接続するアクチュエータ通路とを含む、請求項1に記載の高圧燃料ポンプ。
【請求項5】
前記計量バルブ部材は、ポンプ入口と前記ポンピングチャンバに通じる計量通路との間の燃料の流れを制御し、前記ポンプ入口内の燃料圧力が前記計量バルブ部材よりも前記ポンピングチャンバ側の前記計量通路内の燃料圧力よりも高い場合にのみ、前記計量バルブ部材が前記閉位置から離れ、それにより、ポンプ入口逆止バルブとして機能する、請求項1に記載の高圧燃料ポンプ。
【請求項6】
前記アクチュエータピストンは、前記アクチュエータボアの内部肩と前記アクチュエータピストンとの間で圧縮されたアクチュエータスプリングによって、前記第1の位置に向かってバイアスされる、請求項1に記載の高圧燃料ポンプ。
【請求項7】
ポンピングプランジャが回転カムのプロファイルと接触するカムフォロワによって駆動される高圧燃料ポンプのポンピングチャンバに供給される燃料の量を制御する方法であって、
燃料が前記ポンピングチャンバに供給される際の後退運動と前記ポンピングチャンバ内の燃料を加圧する際のポンプ運動との間で、前記ポンピングチャンバ内で前記ポンピングプランジャが軸方向に往復運動し、前記加圧燃料がポンプ出口通路を通って加圧コモンレールに流れ、
ポンピングプランジャの後退運動中にポンピングチャンバに供給される燃料の量を制御するために入口計量バルブを配置することを、備え、
前記入口計量バルブは、
前記ポンピングチャンバへの燃料の流れを防止する閉位置と燃料がポンピングチャンバを満たすことを可能にする開位置との間で計量バルブ部材を移動させることにより、ポンプ入口と前記ポンピングチャンバに接続された計量通路との間の可変流量領域を定義し、
前記計量バルブ部材の前記閉位置から前記開位置への移動は、前記可変流量領域を定義し、前記可変流量領域は、前記計量バルブ部材が前記閉位置から前記開位置に向かって移動するにつれて増加し、
前記コモンレール内の圧力にさらされたアクチュエータボア内にアクチュエータピストンを配置することにより、前記計量バルブ部材の計量位置を制御し、
前記アクチュエータピストンは、前記コモンレール内の低圧に対応する第1の位置に向かってバイアスされ、前記コモンレール内の最大圧力に対応する第2の位置に向かって移動可能であり、
前記アクチュエータピストンは、前記計量バルブ部材の計量位置を決定するバルブストップを含み、
前記計量バルブ部材と前記アクチュエータピストンとの間で圧縮された入口計量逆止バルブスプリングを用いて、前記計量バルブ部材を前記閉位置に向けてバイアスし、
前記ポンピングプランジャの後退運動中に、前記計量バルブ部材を前記バルブストップと接触するように計量位置まで開くことによって、前記ポンプ入口と前記計量通路との間の可変流量領域を定義し、前記可変流量領域は、アクチュエータボアに伝達されるコモンレール内の圧力の関数である、高圧燃料ポンプのポンピングチャンバに供給される燃料の量を制御する方法。
【請求項8】
前記ポンピングチャンバと、前記ポンピングチャンバから延びる前記ポンプ出口通路とを規定するポンプ本体を提供することと、
前記ポンプ本体内にアクチュエータボアを定義し、前記ポンプ出口通路と前記アクチュエータボアとの間に延びるアクチュエータ通路を定義することと、を備え、
前記アクチュエータ通路は、前記ポンプ出口通路内の燃料圧力を前記アクチュエータピストンの第1の端部に適用し、
前記アクチュエータピストンに加えられるバイアスに対抗する前記ポンプ出口の燃料圧力は、前記アクチュエータピストンを前記第1の位置から、ポンピングプランジャの後退運動中の前記ポンプ出口通路内の燃料圧力の関数である位置に移動させる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記アクチュエータボアの内面と前記アクチュエータピストンとの間で圧縮されたアクチュエータスプリングを用いて、前記アクチュエータピストンを前記第1の位置にバイアスすることと、
前記アクチュエータスプリングを選択して、アクチュエータピストンバイアス力を生成し、入口計量逆止バルブバイアス力を生成するため前記入口計量逆止バルブスプリングを選択することと、を備え、
前記アクチュエータスプリングバイアス力は、前記入口計量逆止バルブバイアス力よりも大きく、
前記ポンプ入口内の燃料圧力が前記計量通路内の燃料圧力よりも高い場合、前記計量バルブ部材が開き、前記アクチュエータピストンの動きは、入口計量逆止バルブスプリングのバイアス力によって実質的に影響を受けない、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記アクチュエータ通路と前記アクチュエータピストンとの間の前記アクチュエータボアにアクチュエータバルブシートを定義することと、
前記アクチュエータピストンにアクチュエータバルブを提供することと、を備え、
ここで、前記アクチュエータバルブは、前記アクチュエータバルブシートに対して着座し、前記アクチュエータピストンが前記第1の位置にあるときに、前記アクチュエータピストンを通過する燃料の流れを防止する、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記アクチュエータ通路内の燃料圧力が最小燃料圧力に低下したときに、前記アクチュエータバルブを前記アクチュエータバルブシートと接触させるように動かすバイアスを有するように、前記アクチュエータスプリングを選択すること、を備える請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記ポンプ入口内の燃料圧力が前記計量バルブ部材よりも前記ポンピングチャンバ側の前記計量通路内の燃料圧力よりも大きいとき、前記計量バルブ部材が開くように、入口計量チェックバルブスプリング選択することと、
前記計量バルブ部材がポンプ入口逆止バルブとして機能することを許可することとを備える、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記ポンピングチャンバと、前記ポンピングチャンバから延びる前記ポンプ出口通路とを規定するポンプ本体を提供することと、
前記ポンプ本体内に、前記計量通路に流体連絡するアクチュエータボアを定義することと、
前記ポンプ出口通路と前記アクチュエータボアとの間に延び、前記ポンプ出口通路内の燃料圧力を前記アクチュエータピストンの第1の端部に適用するアクチュエータ通路を定義することと、を備え、
前記アクチュエータピストンを通過する燃料の漏れは、前記計量通路に流れ込む、請求項7に記載の方法。
【請求項14】
前記アクチュエータピストンがアクチュエータ通路内の燃料圧力に応答して移動するアクチュエータボアを定義することと、
前記計量通路と前記ポンピングチャンバとの間にポンプ入口逆止バルブを提供することと、を備え、
前記ポンピングチャンバの燃料圧力が前記計量通路の燃料圧力よりも高い場合、前記ポンプ入口逆止バルブは閉じ、
前記ポンピングチャンバへの燃料の流れを停止する前記入口逆止バルブの閉鎖する、請求項7に記載の方法。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本開示は、自動車用の直接噴射高圧ポンプ、より具体的には、ポンプ入口用の圧力作動式の機械的流量制御バルブに関する。
【0002】
今日の自動車用エンジンシステムでは、低コストの直接噴射に対する需要が高まっている。コモンレール噴射システムでは、燃料は高圧ポンプによって燃料の加圧貯蔵タンクとして機能する燃料レールに送られる。燃料は燃料レール内で高圧下にあり、レールに接続された噴射器を介してシリンダーに直接噴射することができる。理想的には、燃料噴射システムは、コモンレール内の圧力を一定またはほぼ一定に維持するように設計されている。
【0003】
典型的な高圧燃料ポンプは、ポンプを通る流量を制御するための流量制御バルブとして入口に電磁バルブを有する。電磁バルブは複雑で、電源への電気接続と複雑な制御システムが必要であり、高圧ポンプにコストがかかる。電磁バルブは、高圧ポンピングプランジャのポンピングストロークの最初の部分の間に、ポンプの低圧入口に燃料を「スピル(spill)」のように構成および操作することができる。このいわゆる「フィルアンドスピル(fill-and-spill)」方式は、燃料ポンプのポンピングチャンバを完全に満たしてから、燃料の一部を低圧入口に戻し、コモンレールに供給される燃料の量を制御する。
【0004】
代替の入口バルブ構成は、燃料ポンプのポンピングチャンバへの燃料の流れの速度を制御する。比例ソレノイドを使用して、可変フロー開口部の面積を制御し、燃料がポンピングチャンバに流入する速度を変化させることができる。燃料ポンプは、ポンピングチャンバに入ることが許可されている燃料のみを加圧してポンプで送る。
【0005】
フィルアンドスピルおよび流出または入口計量構成のいずれかにおいて、コモンレールの圧力は、エンジン制御ユニット(ECU)によって監視され、ソレノイド作動式入口バルブは、コモンレール内の圧力を一定に保つための燃料ポンプによってポンプされる燃料の量を増加または減少させるように操作される。
【0006】
構造が単純であり、電子制御を排除し、一定の圧力下で燃料を燃料レールに送達する、圧力作動式の機械的流量制御バルブが必要である。
【発明の概要】
【0007】
機械的圧力調整を備えた高圧燃料ポンプは、ポンピングプランジャが、回転カムのプロファイルと接触するカムフォロワによって駆動され、ポンピングプランジャが、燃料が供給される後退運動の間、ポンプチャンバ内で軸方向に往復運動することを含む。ポンピングチャンバと、プランジャがポンピングチャンバの燃料を加圧するポンプ動作に接続する。ポンプによって加圧された燃料は、ポンプ出口通路を通って加圧されたコモンレールに流れる。燃料ポンプは、ポンピングプランジャの後退運動中にポンピングチャンバに供給される燃料の量を制御するように配置された入口計量バルブを含む。入口計量バルブは、ポンピングチャンバへの燃料の流入を防止する閉位置と、燃料がポンピングチャンバを満たすことを可能にする開位置との間で移動可能な計量バルブ部材を含み、計量バルブ部材が閉位置から開位置に移動することにより、可変流量領域が定義され、計量バルブ部材が閉位置から開位置に向かって移動するにつれて可変流量領域が増加する。ポンプはまた、前記コモンレール内の圧力にさらされるアクチュエータボア内のアクチュエータピストンを含み、アクチュエータピストンは、コモンレール内の低圧に対応する第1の位置に向かってバイアスされ、コモンレール内の最大圧力に対応する第2の位置に向かって移動可能である。アクチュエータピストンは、計量バルブ部材の計量位置を決定するバルブストップを含む。ポンピングプランジャがバルブストップと接触している計量位置に後退する際に、計量バルブ部材が開く(閉位置から離れる)。可変流量領域を定義する計量バルブ部材の計量位置は、アクチュエータボアに伝達されるコモンレール内の圧力の関数である。
【0008】
計量バルブ部材は、計量バルブ部材とアクチュエータピストンとの間で圧縮された入口計量チェックバルブスプリングによって閉位置に向かってバイアスされ得る。代替の実施形態では、入口計量逆止バルブスプリングは、計量バルブ部材とアクチュエータピストン以外の構造との間で圧縮される。入口計量逆止バルブスプリングは、ポンプ入口の燃料圧力が計量通路の燃料圧力よりも高いときに入口計量バルブ部材が開き、計量バルブ部材がポンプ入口逆止バルブとして機能することを可能にするように、軽いバイアスを有するように選択することができる。アクチュエータピストンは、アクチュエータボアの内部とアクチュエータピストンとの間で圧縮されたアクチュエータスプリングによって、アクチュエータ通路内の低圧に対応する第1の位置に向かってバイアスされ得る。いくつかの実施形態では、アクチュエータスプリングは、入口計量逆止バルブスプリングを取り囲み、同心である。アクチュエータスプリングは、コモンレール内の燃圧が最大圧力以上のときにアクチュエータピストンが第2の位置に移動するように選択されている。
コモンレール内の燃料圧力とアクチュエータスプリングのバイアスとの間の力のバランスが、第1の位置と第2の位置との間の前記アクチュエータピストンの位置を決定する。アクチュエータボア内のアクチュエータピストンの位置は、計量バルブ部材の計量位置を定義し、計量位置は、アクチュエータボアに伝達され、反対側のアクチュエータピストンの端部に適用されるコモンレール内の燃料圧力の関数である。アクチュエータスプリングによってアクチュエータピストンに加えられるバイアス力に。計量バルブ部材は、ポンプ入口とポンピングチャンバに通じる計量通路との間の燃料の流れを制御する。
【0009】
本開示の態様によれば、アクチュエータスプリングは、アクチュエータピストンバイアス力を生成するように選択され得、入口計量逆止バルブスプリングは、アクチュエータスプリングバイアス力と共に、入口計量逆止バルブバイアス力を生成するように選択され得る。入口計量バルブのバイアス力よりも大きい。アクチュエータのスプリングバイアス力は、入口計量逆止バルブバイアス力の少なくとも2倍、より好ましくは入口計量逆止バルブバイアス力の少なくとも5倍、または最も好ましくは入口計量逆止バルブバイアス力の少なくとも10倍であり得る。アクチュエータピストンと計量バルブ部材の間で圧縮された入口計量バルブスプリングによって計量バルブ部材がバイアスされる高圧燃料ポンプでは、入口計量バルブスプリングとアクチュエータスプリングのバイアス力の間に大きな力差がある。2つの目的を果たす。第一に、軽い入口計量逆止バルブスプリングは、計量バルブ部材がポンプ入口逆止バルブとして機能することを可能にし、ポンピングプランジャの後退中に低圧燃料供給ポンプによって生成される比較的低い燃料圧力にさらされると開く。第2に、これら2つのスプリング間の大きな力の差により、アクチュエータピストンの動きは、ポンプ出口通路とコモンレール内の圧力の関数であり、入口計量チェックバルブスプリングのバイアス力の影響をほとんど受けない。
【0010】
高圧燃料ポンプは、ポンピングチャンバ、ポンプ出口通路、およびポンプ出口通路をアクチュエータボアに接続するアクチュエータ通路を規定するポンプ本体を含む。開示された高圧燃料ポンプのいくつかの実施形態では、アクチュエータピストンはアクチュエータバルブを含み、アクチュエータボアはアクチュエータバルブシートを含む。アクチュエータピストンが最初の位置にあるとき、アクチュエータバルブはアクチュエータバルブシートに対して着座し、アクチュエータピストンを通過するコモンレールからの燃料の流れを防ぐ。
【0011】
本開示はまた、高圧燃料ポンプのポンピングチャンバに送達される燃料の量を制御する方法を含み、ポンピングプランジャは、回転カムのプロファイルと接触するカムフォロワによって駆動され、ポンピングプランジャは、燃料がポンピングチャンバに送られる後退運動と、プランジャがポンピングチャンバ内の燃料を加圧するポンプ運動との間で、ポンピングチャンバ内で軸方向に往復運動する。ポンピングチャンバで加圧された燃料は、ポンプ出口通路を通って加圧コモンレールに流れる。この方法は、ポンピングプランジャの後退運動中にポンピングチャンバに供給される燃料の量を制御するために入口計量バルブを配置することを含む。入口計量バルブは、ポンプ入口とポンピングチャンバに接続された計量通路との間に可変流量領域を定義し、ポンピングチャンバへの燃料の流れを防ぐ閉位置と、燃料がポンピングチャンバを満たすことを可能にする開位置との間を移動する。可変流量領域を定義する閉位置から開位置へ計量バルブ部材が移動し、これは、計量バルブ部材が閉位置から開位置に向かって移動するにつれて増加する。
【0012】
開示された方法は、コモンレール内の圧力にさらされたアクチュエータボアに配置されたアクチュエータピストンによって運ばれるバルブストップと接触することによって、計量バルブの計量位置を制御することを含む。アクチュエータピストンは、コモンレール内の低圧に対応する第1の位置に向かってバイアスされ、コモンレール内の最大圧力に対応する第2の位置に向かって移動可能である。計量バルブ部材は、ポンピングプランジャの後退運動中にバルブストップと接触する計量位置に開き、可変流量領域は、アクチュエータボアに伝達されるコモンレール内の圧力の関数である。
【0013】
ポンプ出口通路内の燃料圧力は、コモンレール内の燃料圧力に対応し、ポンピングチャンバ内の燃料圧力がポンプ出口内の燃料圧力よりも低いときに閉じるポンプ出口逆止バルブによってポンピングチャンバから隔離される。アクチュエータピストンの一端に加えられたポンプ出口通路内の燃料圧力は、アクチュエータピストンに加えられたバイアスに対抗して、アクチュエータピストンを第1の位置から引き込み動作中の前記ポンプ出口通路内の圧力の関数である位置に移動させる。アクチュエータボアは、アクチュエータバルブシートを含み得、アクチュエータピストンは、アクチュエータバルブシートに相補的なアクチュエータバルブを含み得る。アクチュエータ通路内の燃料圧力が所定の最小燃料圧力を下回ったためにアクチュエータピストンが前記第1の位置にあるときにアクチュエータピストンを通過する燃料の流れを防ぐために、アクチュエータバルブはアクチュエータバルブシートに対して着座する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本開示の態様による高圧ポンプを組み込んだ燃料噴射システムの概略図である。
図2】本開示の態様による高圧ポンプを組み込んだ燃料噴射システムの概略図である。
図3】本開示の態様による高圧ポンプを組み込んだ燃料噴射システムの概略図である。
図4】本開示の態様による高圧ポンプを組み込んだ燃料噴射システムの概略図である。
図5】本開示の態様による高圧ポンプを組み込んだ燃料噴射システムの概略図である。
図6】本開示の態様による高圧ポンプを組み込んだ燃料噴射システムの概略図である。
図7】本開示の態様による高圧ポンプを組み込んだ燃料噴射システムの概略図である。
図8】本開示の態様による高圧ポンプを組み込んだ燃料噴射システムの概略図である。
図9】本開示の態様による高圧ポンプを組み込んだ燃料噴射システムの概略図である。
図10】本開示の態様による圧力作動式入口計量バルブを示している。
図11】本開示の態様による圧力作動式入口計量バルブを示している。
図12】本開示の態様による圧力作動式入口計量バルブを示している。
図13】本開示の態様による圧力作動式入口計量バルブを示している。
図14】本開示の態様による圧力作動式入口計量バルブを示している。
図15】本開示の態様による、統合されたポンプ入口逆止バルブ、ポンプ出口逆止バルブ、および圧力リリーフバルブを示している。
図16】本開示の態様による、統合されたポンプ入口逆止バルブ、ポンプ出口逆止バルブ、および圧力リリーフバルブを示している。
図17】本開示の態様による、統合されたポンプ入口逆止バルブ、ポンプ出口逆止バルブ、および圧力リリーフバルブを示している。
図18】本開示の態様による、統合されたポンプ入口逆止バルブ、ポンプ出口逆止バルブ、および圧力リリーフバルブを示している。
図19】本開示の態様による、統合されたポンプ入口逆止バルブ、ポンプ出口逆止バルブ、および圧力リリーフバルブを示している。
図20】本開示の態様による、統合されたポンプ出口逆止バルブおよび圧力リリーフバルブを備えたポンプ出口継手を示す。
図21】本開示の態様による、統合されたポンプ出口逆止バルブおよび圧力リリーフバルブを備えたポンプ出口継手を示す。
図22】本開示の態様による、統合されたポンプ出口逆止バルブおよび圧力リリーフバルブを備えたポンプ出口継手を示す。
図23】本開示の態様による、統合されたポンプ出口逆止バルブおよび圧力リリーフバルブを備えたポンプ出口継手を示す。
図24】本開示の態様による、統合されたポンプ出口逆止バルブおよび圧力リリーフバルブを備えたポンプ出口継手を示す。
【発明の詳細な説明】
【0015】
図1は、ポンプ入口通路15に接続されたポンプ入口継手14で低圧ポンプ(LPP)12から燃料を受け取る高圧ポンプ(HPP)10を組み込んだ燃料噴射システムの概略図である。HPP10は、カム16によって駆動される単一プランジャポンプの形態で示されている。HPPポンピングプランジャ18は、ポンプボア20内で往復運動して、ポンピングチャンバ22を交互に拡張されて、燃料をポンピングチャンバに引き込み、次にポンピングチャンバ20を加圧する。カムフォロワ28は、カム16のプロファイルに向かってバイアスされ、ポンピングプランジャ18に接続されて、カムプロファイルの形状をポンピングプランジャの相互運動に変換する。カム16は、カム16の360度回転ごとにポンピングプランジャ18の4つのチャージ/ポンプサイクルを生成する4面プロファイルを有する。カムは、任意の数のローブを有し得、大半が3つまたは4つのローブを有する。充電およびポンピングサイクルの持続時間は、カムプロファイルおよびカム16の回転速度の関数である。図1のカム16は、カムプロファイルの「上死点」(TDC)に示されており、これはポンピングサイクルの終了と充電サイクルの開始とを定義する。図3は、カムプロファイルの「下死点」(BDC)にあるカム16を示しており、これは、充電サイクルの終了およびポンピングサイクルの開始を定義する。ポンピングプランジャ18の総ストロークは、カムのTDCおよびBDC位置からの半径方向の距離によって定義される。カムプロファイルの各ローブは、BDCからTDCへの角変位がTDCからBDCへと異なる可能性があるように非対称である可能性がある。カム16のすべてのローブのプロファイルは通常同じであるが、これは必須ではない。
【0016】
図1の燃料噴射システムにおいて、エンジン制御ユニット(ECU)30は、クランクシャフト位置センサ32および他の入力からの情報を使用して、コモンレール36に接続された燃料噴射装置34を操作する。ECU30は、燃料噴射装置34を操作し、エンジンの運転状態、すなわち、負荷下での加速、アイドリング、ロンググレードの下降などに応じて、燃料がその時点でエンジンが要求する量(図示せず)で各燃焼室に噴射されるようにする。噴射器34は、HPP10によって維持されるコモンレール36内で実質的に一定の圧力になるように構成される。
【0017】
図2は、カムフォロア28がカム16のプロファイルに沿って移動するときに、ポンピングプランジャ18がポンピングチャンバ22から後退するHPP10の充電サイクルを示している。LPP12からの供給圧力は、入口計量逆止バルブ38を開く。入口計量逆止バルブスプリング40のバイアスに逆らって、燃料は入口計量バルブ42を通って流れる。計量通路43は、入口計量バルブ42をポンプ入口逆止バルブ44に接続する。ポンプ入口逆止バルブ44は、供給圧力によって開かれる。LPP12から入口計量バルブ42を通過し、ポンピングチャンバ22内の圧力が入口供給圧力より低いままである限り、燃料がポンピングチャンバ22に入るのを可能にする。ポンプ出口逆止バルブ46の上流の圧力は、ポンピングプランジャ18が後退しているとき、ポンピングチャンバ22内の圧力より常に高いので、ポンプ出口逆止バルブ46は、充填サイクル中に閉じられる。
【0018】
図3は、ポンピングプランジャ18がそのストローク(BDC)の底部に到達し、ポンピングチャンバ22が完全に拡張された、充電サイクルの終わりを示している。ポンピングチャンバ22への燃料の流れが停止し、入口計量バルブスプリング40の力で入口計量バルブ38が閉じる。ポンプ入口逆止バルブ44は、ポンプ入口逆止バルブスプリング45の力の下で閉じ、ポンピングチャンバ22への燃料の流れを終了させる。
【0019】
図4は、カムフォロア28およびポンピングプランジャ18に作用するカム16によってポンピングプランジャ18がポンピングチャンバ22内に前進するポンピングサイクルを示す。ポンピングチャンバ22内の燃料は、前進するプランジャ18によって次のように圧縮される。ポンピングチャンバ22内の圧力は、ポンプ出口継手50およびコモンレール36と連絡しているポンプ出口通路48内の圧力を超える。ポンピングチャンバ22内の圧力がポンプ出口通路48内の圧力を超えるとき、ポンプ出口逆止バルブ46が開き、加圧燃料がポンプ出口通路48およびポンプ出口継手50を通ってコモンレール36に流れることを可能にする。通常の動作中、ポンプ出口逆止バルブ46は、高圧通路48内の燃料圧力によって閉じられたままである。出口逆止バルブ46の開放圧力は、ポンプ出口逆止バルブスプリング47のバイアスではなく、出口逆止バルブ46の上流(背後)の燃料の圧力によって決定される。図示のHPP10は、ポンピングプランジャ18とポンプボア20との間で漏れる燃料のために、ポンプ入口通路15に戻るポンプドレン52を規定している。
【0020】
ポンピングサイクルは、図1に示されるように、カム16がカム16のプロファイル上の4つの「上死点」(TDC)点の1つに到達したときに終了する。HPP10で移送できる燃料の最大量は、ポンピングサイクル終了時の圧力、燃料の体積弾性率(その圧力と温度で)、ポンプの閉じ込められた体積、およびポンプの損失漏れの関数である。HPP10のトラップされたボリュームは、TDCのポンピングプランジャ18、閉じたポンプ入口逆止バルブ44、閉じたポンプ出口逆止バルブ46、および圧力リリーフバルブ54によって制限されるボリュームである。ポンプのトラップされた容量は、特にポンピングプランジャによって押しのけられたボリュームがトラップされたボリュームと比較して小さい場合、ポンプの全体的なボリューム効率に重要な役割を果たす。トラップされた体積を可能な限り小さく保つことは、開示されたHPP10の体積効率を改善する。
【0021】
開示されたHPP10において、入口計量バルブ42は、各充電サイクル中にポンピングチャンバ22に供給される燃料の量を計量するように配置されている。本開示の態様によれば、入口計量バルブ42は、コモンレール36内の圧力に応答し、電子制御またはECU30への接続を必要としない。アクチュエータ通路56は、HPP10の高圧出口通路48に接続されており、HPP10は、ポンプ出口継手50およびコモンレール36と流体的に連絡している。アクチュエータ通路56は、コモンレール36の圧力を、入口計量バルブ42のアクチュエータボア58に伝達する。アクチュエータピストン60は、アクチュエータスプリング62の力に対して平衡化されたコモンレール36の圧力に応答して、アクチュエータボア58内で往復運動する。アクチュエータピストン60は、入口計量バルブ部材66の動きを制限するバルブストップ64に接続されている。以下でより詳細に論じられるように、入口計量バルブ42を通る燃料の流れは、バルブストップ64の位置によって定義される入口計量バルブ部材66の位置に従って変化する。HPP10は、アクチュエータピストン60とアクチュエータボア58との間で漏れる燃料のために、計量通路43と流体連絡するアクチュエータ漏れ経路59を定義する。
【0022】
図5は、HPP10からの加圧燃料の需要に対応する、コモンレール36の圧力が低いときの開示されたHPP10の動作を示している。コモンレール圧力は、アクチュエータ通路56によってアクチュエータボア58に伝達される。アクチュエータピストン60は、アクチュエータスプリング62によって計量バルブ部材66から離れるようにバイアスされ、アクチュエータスプリング62のバイアスは、コモンレール36からの圧力によって対抗される。コモンレール36内の低圧は、アクチュエータスプリング62の力に反して、アクチュエータピストン60の計量バルブ部材66への比較的小さな動きまたは「ストローク」68をもたらす。アクチュエータピストン60の短いストローク68は、計量バルブ部材66が、バルブストップ64からの干渉なしにそのシートから離れることができることを意味する。
計量バルブ部材66を通過する燃料流量は、計量バルブ部材66がそのシートから離れるにつれて増加し、アクチュエータピストン60およびバルブストップ64の動きに反比例する。別の言い方をすれば、コモンレール36内の低圧は、アクチュエータピストン60およびバルブストップ64の動きをほとんどもたらさず、これにより、計量バルブ部材66がそのシートから離れて移動し、充電サイクル中燃料がポンピングチャンバ22に入るより大きな流れ容量を提供する。
【0023】
ポンピングサイクル中、アクチュエータ通路56の瞬間圧力は、アクチュエータ通路がポンプ出口通路48と連絡しているので、コモンレール36での圧力よりも大きくなり得る。そのような圧力の増加は、アクチュエータピストン60を変化させる。しかし、アクチュエータ通路56におけるこの種の圧力上昇は、燃料がポンプ出口逆止バルブ46を開いてコモンレール36に供給する後のポンプサイクル中にのみ発生する可能性がある。図4は、ポンピングサイクルの間、ポンプ入口逆止バルブ44は、ポンピングチャンバ22内の高圧によって閉じられたままであり、燃料は入口計量バルブ42を通過しないので、入口計量は影響を受けない。さらに、入口計量逆止バルブ38およびポンプ入口逆止バルブ44が閉じた状態で、アクチュエータピストン60は、両側の油圧ロックによって移動するのを防止される。
【0024】
図6は、コモンレール36の圧力が高く、HPP10からの燃料の需要がほとんどまたは全くない場合の、開示されたHPP10の動作を示している。高いコモンレール圧力は、アクチュエータ通路56によってアクチュエータボア58に伝達され、そこで圧力は、アクチュエータスプリング62のバイアスに逆らってアクチュエータピストン60を動かす。アクチュエータボア58内のより高い圧力は、アクチュエータピストン60およびバルブストップ64の計量バルブ部材66へのより大きな移動または「ストローク」68をもたらす。計量バルブ部材66は、バルブストップ64によって許可される範囲内でのみ、そのバルブシートから離れることができる。高圧は、アクチュエータピストン60およびバルブストップ64の大きなストローク68を生成し、これは、計量バルブ部材66の開放運動を制限する。その結果、入口計量バルブ42を通る流れが制限される。HPP10は、前の充填サイクル中にポンピングチャンバ22に入る量の燃料のみを加圧することができるので、入口計量バルブ42を通る制限された流れは、コモンレール36への加圧燃料の供給を減少させる。コモンレール36が所望の最大圧力またはその近くにある状態では、開示された入口計量バルブ42は、追加の燃料供給を制限する。入口計量バルブ42は、所望のコモンレール圧力以上のコモンレール圧力がアクチュエータピストン60およびバルブストップ64を入口計量バルブ部材66と接触するように動かし、入口計量バルブ42を通る燃料の流れを防ぐように構成され得る。
【0025】
図7は、コモンレール36内の過剰圧力を解放するように配置された圧力リリーフバルブ54の動作を示している。コモンレール36の過圧は、エンジンおよびその温度が「ヒートソーク」状態のために発生し得る。クーラント循環の喪失および/または周囲空気への熱伝達の喪失により、エンジンが停止した後もコンポーネントは上昇し続ける。コモンレール36内の燃料の温度が上昇するにつれて、コモンレール36内の圧力は上昇する。過剰な圧力は、圧力リリーフバルブ54の作動によって解放される。図7の圧力リリーフバルブ54は、圧力リリーフバルブスプリング55によってバイアスされたボールを備えた単純な一方向逆止バルブである。圧力リリーフバルブスプリング55のバイアスは、ボールへの圧力が圧力リリーフバルブスプリング55のバイアスに逆らってボールを動かすのに十分になるまで圧力リリーフバルブ54を閉じたままにするように選択される。圧力リリーフバルブ54は、ポンプ出口通路48およびコモンレール36が所望の最大圧力を超えている。圧力リリーフバルブ54が開くと、過剰な圧力がポンピングチャンバ22に逃がされる。ヒートソークシナリオで逃げる燃料の量が少なく、流量が少ないため、長期間にわたって圧力を逃がすことができる。ポンピングチャンバ22に戻り、ポンピングプランジャ18を通過してポンプドレン52に戻るリリーフ経路は、ヒートソーク状況で過剰圧力をリリーフするのに十分である。
【0026】
HPP10が動作している間、コモンレール36の圧力を所望の最大圧力未満に維持できないために、圧力変動が発生する。これは、エンジンの動作状態が突然変化した場合に発生する可能性がある。たとえば、車両が丘の頂上に到達したときに、負荷がかかった状態で加速したり、負荷がほとんどまたはまったくない状態で惰性走行したりする。この場合、ポンプは燃料をコモンレール36に押し込み、そこから燃料が除去されないか、またはほとんど除去されないため、コモンレール36内に過剰な圧力が生じる。圧力リリーフバルブ54は、すべての燃料を受け入れるのに十分な流れ面積を有さなければならない。ポンピングサイクル中にコモンレール36に入り、次の充電サイクル中にコモンレール36から流出する。圧力リリーフバルブ54は、圧力リリーフバルブ54の背後に加えられる圧力のために、ポンプサイクル中に作動することができない。圧力リリーフバルブ54は、次の充填サイクル中に開き、加圧燃料をポンピングチャンバ22に戻す。ポンピングプランジャ18は、ポンピングチャンバ22から後退しており、コモンレール36から燃料が解放される余地を作る。ポンピングチャンバ22内の圧力は、ポンプ入口逆止バルブ44を閉じたままにし、圧力が加えられている間、追加の燃料量は追加されない。ポンプ運転中にコモンレール36から解放される。
【0027】
図8は、開示されたHPP10が、エンジンが作動していないときであっても、どのように最小レール圧力を維持するかを示している。最小レール圧力を維持すると、始動時に燃料噴射装置に最小動作圧力が提供されるため、エンジンの始動が容易になり、コモンレール36の燃料圧力を上げるために必要なクランキング時間が短縮される。開示されたHPP10では、ポンプ出口チェックを通過する漏れバルブ46およびアクチュエータピストン60を通過すると、コモンレール36内の圧力が望ましいよりも速く減衰する。開示されたHPP10において、アクチュエータピストン60を通過する漏れは、図1図9の破線59によって表される一次漏れ経路であり得る。図8は、アクチュエータスプリング62によってアクチュエータボア58の端部に押し付けられたアクチュエータピストン60を示している。以下でより詳細に説明するように、アクチュエータボア58の端部に面するアクチュエータピストン60の端部のバルブ面61は、アクチュエータ通路56の入口をアクチュエータボア58に取り囲むバルブシート63と嵌合するように構成されている。コモンレール36およびアクチュエータ通路56内の圧力が減衰すると、アクチュエータピストン60はアクチュエータボア58の端に向かって移動する。コモンレール36内の圧力が十分に減衰すると、アクチュエータピストン60のバルブ面61がアクチュエータバルブシート63に接触し、アクチュエータピストン60とアクチュエータボア58との間のクリアランスをアクチュエータ通路56、ポンプ出口通路48、出口継手50およびコモンレール36から隔離する。アクチュエータピストン60上のバルブ面61およびアクチュエータ通路56を取り囲むアクチュエータボア58内のバルブシート63は、一例である。アクチュエータの漏れ経路をコモンレール36から隔離することができる構造であるが、他のシール構造もこの機能を果たし得る。保持されるレール圧力は、アクチュエータピストン60が入口計量バルブシート63と接触しているときのアクチュエータスプリング62の力によって決定される。
【0028】
開示されたHPP10は、HPP10が動作していない状況において、LPP12からコモンレール36に最小燃料圧力を渡すように構成される。これにより、開示されたHPP10を搭載したエンジンを最小限の出力で動作させることができるため、HPPに障害が発生した場合に、運転者は車両を安全な場所に移動できる。図9に示すように、LPP12から約5バールの燃料圧力ですべてのバルブ38、44、46が開くように、および燃料噴射器34によって使用するためにコモンレール36に最小圧力を供給するために、入口計量バルブスプリング40、ポンプ入口逆止バルブスプリング45、およびポンプ出口逆止バルブスプリング47が選択されている。アクチュエータ通路56およびアクチュエータボア58内の圧力が非常に低いので、入口計量バルブ42は完全に開いている。コモンレール36およびポンプ出口通路48内の圧力が最小であるため、ポンプ出口逆止バルブ46を開くことに反対はない。
【0029】
図10図14は、本開示の態様による入口計量バルブ70の例示的な実施形態を示している。開示された入口計量バルブ70は、図1図9を参照して上記の入口逆止バルブ38および入口計量バルブ42の機能を統合している。図10を参照すると、入口計量バルブ70は、一端が燃料入口通路15と連絡し、反対端がアクチュエータ通路56と連絡するチャンバ72内に配置されている。計量通路43は、チャンバ72からポンプ入口逆止バルブ44(図1図9を参照)に通じている。アクチュエータボア74は、チャンバ72の一端から延在し、アクチュエータ通路56に流体接続され、アクチュエータボア74をポンプ出口通路48およびコモンレール36の燃料圧力にさらす。チャンバ72とアクチュエータボア74との間の移行面は、円錐形であり得るアクチュエータバルブシート76を規定する。計量バルブシート78(これも円錐形であり得る)は、燃料入口通路15とチャンバ72との間に定義される。計量バルブシート78(これも円錐形であり得る)は、燃料入口通路15とチャンバ72との間に定義される。当業者は、図示されたバルブシートおよびバルブ部材の構成が例示的であり、他のバルブシート/バルブ部材構成を使用して、入口計量バルブおよびアクチュエータピストン上に形成されたバルブについて説明した機能を達成することができる。
【0030】
アクチュエータピストン80は、アクチュエータボア74内に案内される円筒形部分82、アクチュエータバルブシート76と嵌合するように配置されたアクチュエータバルブ81、半径方向に突出する環状スプリングシート84、および入口計量バルブ部材90に向かって突出するバルブストップ86を含む。入口計量バルブ部材90は、アクチュエータピストン80上に形成されたスプリングシート84に着座した入口計量バルブスプリング92によって計量バルブシート78に向かってバイアスされる。入口計量バルブのバイアススプリング92は軽量であり、入口計量バルブ部材90が、LPPによって生成された入口燃料圧力、または約5バールで完全に開くことを可能にする。アクチュエータスプリング94は、入口計量チェックバルブスプリング92を取り囲み、図に示すように、アクチュエータピストン80のスプリングシート84とチャンバ72の端部との間で圧縮されて、アクチュエータピストン80およびアクチュエータバルブ81を閉位置に向けてバイアスする。アクチュエータスプリング94のバイアスは、アクチュエータ通路56内の共通のレール圧力によってアクチュエータピストン80に対して生成される力のバランスをとるように選択される。アクチュエータスプリング94のバイアスは、通常、入口計量逆止バルブのバイアスよりはるかに大きい。アクチュエータスプリングのバイアスは、入口計量チェックバルブスプリングのバイアスの少なくとも2倍、より好ましくは入口計量チェックバルブスプリングのバイアスの少なくとも5倍、または最も好ましくはバイアスの少なくとも10倍であり得る。軽い入口計量逆止バルブスプリング92とより重いアクチュエータスプリング94との間の力差は、入口計量逆止バルブスプリング92がアクチュエータピストン80の動作に無視できる影響を与えることを意味する。さらに、アクチュエータピストン80およびスプリングシート84の前進による入口計量逆止バルブスプリング92の圧縮は、入口計量バルブ部材90を開くのに必要な力にわずかな影響を与える。
【0031】
開示された構成では、入口計量バルブ部材90は、図10に示されるように、入口計量バルブ部材90が入口計量バルブシート78に対して着座する閉位置に向かって、入口計量逆止バルブスプリング92によってバイアスされる。入口計量バルブ部材90は、入口逆止バルブ(図1~9の参照番号38)として機能し、入口通路15の流体圧力がチャンバ72の流体圧力よりも高い場合にのみ開き、通常、ポンプの充填サイクルと一致する。計量通路43内の圧力が入口圧力よりも大きい場合、入口計量バルブ部材90は閉じる。開示された入口計量バルブ70は、図1図9を参照しつつ上記の38などの入口計量逆止バルブの機能と一致する、ポンプ入口逆止バルブ44に向かう一方向の流れを提供する。図10は、閉位置にある入口計量バルブ部材90およびアクチュエータバルブ81を示している。入口計量バルブ部材90および入口計量バルブシート78は、入口計量バルブ部材90に対する入口計量バルブ部材90の変位に応じて変化する流体の流れ領域を規定するように構成される。入口計量バルブ部材90のより大きな変位は、より大きな流れ面積を定義し、入口計量バルブ70を通る流量の増加を可能にし、一方、入口計量バルブ部材90のより小さな変位は、減少した流れ面積を定義し、入口計量バルブ70を通る流量の減少を可能にする。
【0032】
図11は、図5を参照して、上記の低いコモンレール圧力での燃料の計量に対応する位置での入口計量バルブ部材90およびアクチュエータピストン80の位置を示す。アクチュエータ通路56によってアクチュエータボア74に伝達される低いコモンレール圧力は、アクチュエータピストン80を入口計量バルブ部材90に向かってわずかな距離68移動させ、バルブストップ86に接触するまで開く。アクチュエータピストン80は、力のバランスに達するまで、入口計量バルブ部材90に向かって移動する。アクチュエータピストン80およびバルブストップ86の位置は、アクチュエータ通路56によって計量バルブ70に伝達されるコモンレールの圧力に比例する。コモンレール内の低圧は、アクチュエータピストン80およびバルブストップ86の小さな変位68をもたらし、これにより、入口計量バルブ部材90がさらに開き、入口計量バルブ70を通る流量が増加する。高圧燃料の需要に対応する低いコモンレール圧力は、ポンプの充電サイクル中に入口計量バルブ70を通る燃料流量の増加をもたらす。入口計量バルブ70を通過した燃料の量は、高圧燃料の需要を満たすためにコモンレール36にポンプで送られる。
【0033】
図12は、図6を参照して、上記の高いコモンレール圧力での燃料の計量に対応する入口計量バルブ部材90およびアクチュエータピストン80の位置を示す。アクチュエータボア74内のより大きな圧力は、アクチュエータスプリング94のバイアスに対抗して、アクチュエータピストン80およびバルブストップ86を入口計量バルブ部材90に向かって距離68だけ前進させる。入口計量バルブ部材90の動きは、バルブストップ86によって制限される。その結果、入口計量バルブ70を通る流量が減少する。コモンレールの圧力が増加すると、計量制限も増加し、その逆も同様である。したがって、開示された入口計量バルブ70の計量機能は、コモンレールの圧力に反比例する。
【0034】
図13は、コモンレールが最大圧力以上にあるときの入口計量バルブ部材90およびアクチュエータピストン80の位置を示しており、これは、アクチュエータ通路56を介してアクチュエータボア74に伝達される。アクチュエータピストン変位68(アクチュエータピストンストロークとも呼ばれる)が最大であり、バルブストップ86を入口計量バルブ部材90と接触させ、入口計量バルブ部材90を入口計量バルブシート78と接触させたままにする。計量バルブ部材90を開くことは許可されておらず、その結果、入口計量バルブ70を通る燃料の流れがなく、コモンレールにポンプで送られる燃料がない。
【0035】
図14は、図9を参照して上記のようにHPPが故障した状況における入口計量バルブ部材90およびアクチュエータピストン80の位置を示している。このいわゆる「リンプホーム」シナリオでは、入口計量バルブ70の下流に圧力が発生しないため、アクチュエータ通路56に圧力がなく、アクチュエータピストン80およびバルブストップ86が格納位置にある。入口計量逆止バルブスプリング92の力は、入口計量バルブ部材90がLPPによって提供される入口燃料圧力で開くことを可能にするように選択される。入口計量バルブ70を通過した後、燃料は計量通路43、ポンプ入口逆止バルブ44、ポンピングチャンバ22、ポンプ出口逆止バルブ46を通過し、エンジンが低減された出力で作動することを可能にするのに十分な圧力をコモンレール36に提供する。エンジンの動作は最適ではないが、安全な環境またはメンテナンス施設に向けて最小限の運転能力を提供するには十分である。
【0036】
開示された入口計量バルブ70は、図8を参照して上で説明したように、エンジンが動作していないときにコモンレール36内の最小圧力を維持するように構成される。エンジン停止後、ポンプ出口逆止バルブ46を通る漏れおよびアクチュエータピストン80とアクチュエータボア74との間のクリアランスにより、コモンレール36内の圧力は減衰し、アクチュエータピストン80とアクチュエータボア74との間の漏れが一次漏れ経路である。チャンバ72は、ポンプ入口逆止バルブ44に向かって計量通路43と連絡する漏れた燃料のための漏れ経路(図1図9の破線59)を提供することに留意されたい。コモンレール36およびアクチュエータ通路56内の圧力が低下すると、アクチュエータピストン80は、アクチュエータスプリング94の力の下でその格納位置に向かって移動する。アクチュエータボア74内の圧力がアクチュエータスプリング94との力のバランスを下回ると、アクチュエータピストン80は完全に引き込まれ、アクチュエータバルブ81は、アクチュエータバルブシート76に対して閉じられ、さらなる漏れを防ぐ。アクチュエータバルブ81/アクチュエータバルブシート76のシール領域およびアクチュエータピストン80が完全に格納されたときのアクチュエータスプリング94の力(アクチュエータバルブ81がアクチュエータバルブシート76と接触している)は、コモンレール36で保持される圧力を決定する。
【0037】
図15図19は、開示の態様によると、統合されたポンプ入口逆止バルブ(図1図9の参照番号44)、ポンプ出口逆止バルブ(図1図9の参照番号46)、および圧力リリーフバルブ(参照番号54、図1図9)を示している。これらの3つの構成要素の構造を統合することにより、それらが占めるスペースが減少し、開示されたHPP10の閉じ込められた体積も減少する。一体型バルブは、計量通路43、ポンピングチャンバ22、およびポンプ出口継手50およびコモンレール36につながる高圧ポンプ出口通路48と連絡する段付きボア100内に配置されている。ポンプ逆止バルブは、ポンプ逆止バルブスプリング104によってポンプ逆止バルブ座103に対して閉位置に向かってバイアスされた入口逆止バルブボール102によって形成される。ポンプ入口逆止バルブスプリング104は、圧力リリーフバルブシャトル106(以下、「PRVシャトル」)に形成されたボアに着座している。PRVシャトル106は、ポンプ出口逆止バルブスプリング112によって閉位置に向かってバイアスされたポンプ出口逆止バルブボール110の形態で、ポンプ出口逆止バルブ112のためのポンプ出口逆止バルブシート108を規定する。ポンプ出口逆止バルブスプリング112は、圧力リリーフバルブシート114(以下、「PRVシート」)によって規定されるボアに着座している。PRVシート114は、段付きボア100によって定義される固定位置にあり、PRVシャトル106は、圧力リリーフバルブスプリング116によってPRVシート114に対してバイアスされる。本開示の態様によれば、PRVシャトル106(ポンプ出口逆止バルブシート108を取り囲む)の環状領域107は、PRVシート114(ポンプ出口逆止バルブボール110を取り囲む)の相補的な環状表面111と嵌合する。PRVシャトル106の嵌合された環状表面107/111およびPRVシート114は、以下でより詳細に説明されるように、圧力リリーフバルブ(以下、「PRV」)を形成する。
【0038】
本開示の態様によれば、圧力リリーフバルブスプリング116(以下、「PRVスプリング」)は、円錐形皿スプリングのスタックの形態である。PRVは、コモンレール内の最大350バールの非常に高い圧力に対して閉じたままでなければならず、したがって、PRVスプリング116は、高いスプリング力を生成しなければならない。皿(円錐形ディスク)スプリングは、小さな体積を占めながら必要な高い閉鎖力を達成することができ、そのほとんどは皿スプリング自体によって占められる。開示された統合バルブの皿スプリングは、コンパクトな空間で大きな力を生成し、機能するために必要な空間のほとんどを満たすことによって、開示されたHPPの閉じ込められた体積を低減する。
【0039】
図16は、図2図5図6図11および図12を参照して上記で論じたように、ポンプの充電サイクル中の統合されたポンプ入口逆止バルブ、ポンプ出口逆止バルブおよび圧力リリーフバルブの構成要素の位置を示す。ポンプ入口逆止バルブボール102は、そのシート103から移動され、燃料が計量通路43からポンピングチャンバ22に流れることを可能にする。ポンプ出口逆止バルブボール110およびPRV107/111は閉じたままである。図17は、図4を参照して上記で論じたようなポンピングサイクル中の統合バルブの動作を示している。充填サイクルの終わりに、ポンプ入口逆止バルブを通る燃料の流れが停止し、ポンプ入口逆止バルブボール102がバイアスの下で閉じる。ポンピングプランジャは、ポンピングチャンバ22内に前進し、ポンプ入口逆止バルブボール102を閉じた状態に保持し、ポンプ出口逆止バルブボール110を開き、燃料をポンプ出口通路48およびコモンレール36に圧送する圧力を生成する。
【0040】
図18は、図7を参照して上で論じたようにHPPが動作しているときにコモンレール内の圧力を解放するためのPRV107/111の動作を示す。PRV構成要素は、出口逆止バルブボール110およびPRVシャトル106がポンプ出口通路48内の最大圧力以上の圧力にさらされたときにPRVスプリング116が圧縮して、圧力逃がし経路をポンピングチャンバ22へ開くように選択される。PRVシート114は、コモンレール36につながるポンプ出口48と連絡する出口開口部を規定する。出口逆止バルブボール110およびPRVシャトル106は、ポンプ出口通路48を介してコモンレール36の圧力にさらされる。ポンピングサイクル中、PRVシャトル106の両側に高い流体圧力が存在し、その結果、PRVシャトル106/PRVシート114全体の圧力バランスが生じ、PRVは非アクティブになる。ポンピングサイクルの終わりに、ポンピングチャンバ22内の圧力が低下し、ポンプ出口逆止バルブボール110は、ポンプ出口逆止バルブスプリング112のバイアスの下で閉じ、ポンプ出口通路48およびコモンレール36内の圧力によって閉じられたままになる。ポンピングプランジャ18がポンピングボアから後退し、ポンピングチャンバ22内の圧力を低下させる。この状態では、閉じた出口逆止バルブボール110は開くことができず、閉じたポンプ出口逆止バルブボール110およびPRVシャトル106は、コモンレールの圧力にさらされる。コモンレールの圧力が所望の最大レール圧力よりも大きい場合、PRVシャトル106および閉じられたポンプ出口逆止バルブボール110は、PRVスプリング116を圧縮し、PRVシャトル106をPRVシート114から分離してポンピングチャンバ22に戻る圧力逃がし経路を開くのに十分な力を生成する。ポンピングチャンバ22の圧力が低く、ポンピングプランジャ18が後退しているので、先のポンピングサイクル中、PRV107/111を通る圧力逃げ経路は、コモンレール36に入るすべての燃料を迅速に逃がすことができる。
【0041】
開示されたPRV107/111は、同様の方法で、ヒートソークシナリオにおいて過剰なコモンレール圧力を緩和するように機能し、HPP運用時の圧力解放と比較して、解放される流体の量が少なく、流量が遅い。開示されたPRVは、図7を参照して上記のように、ポンピングチャンバへの圧力逃がしを可能にし、ポンピングプランジャ18とポンプボア20との間のクリアランスを通過してポンプドレン52に至るのに必要な程度まで開く。
【0042】
図19は、図9および図14を参照して上記のようにHPPが作動していない「リンプホーム」シナリオにおけるバルブ要素の位置を示している。HPPの故障は、コモンレール内の圧力を急速に低下させる。その結果、ポンプ入口逆止バルブボール102およびポンプ出口逆止バルブボール110の背後に圧力がない。ポンプ入口逆止バルブスプリング104およびポンプ出口逆止バルブスプリング112は、ポンプ入口逆止バルブボール102およびポンプ出口逆止バルブボール102およびポンプ出口逆止バルブボール110は、それらを閉じたままにするための背圧がないときに、LPP12からの供給圧力で開く。燃料は、ポンプ入口逆止バルブボール102を通過して、ポンピングチャンバ22を通過して、ポンプ出口逆止バルブボール110を通過して流れることができ、コモンレールに最小圧力を提供する。
【0043】
図20図24は、ポンプ出口逆止バルブおよびポンプ出口継手120に統合されたPRVを示す。ポンプ出口継手120は、一端でポンピングチャンバ22(または流体的に接続された通路)と連絡する段付きボア122を規定する。ポンピングチャンバ)およびもう一方の端には、コモンレールへの高圧通路48がある。図20図24のポンプ出口逆止バルブおよびPRVは、構造および機能が、図15図19を参照して前述した出口逆止バルブおよびPRVと類似している。PRVシート124は、ポンプ出口継手120の軸上に配置された出口逆止バルブスプリングシート126を取り囲む出口流路を規定する。ポンプ出口逆止バルブボール128は、ポンプ出口逆止バルブスプリング130によって、PRVシャトル134上のポンプ出口逆止バルブシート132に向かってバイアスされる。PRVシート124は、PRVシャトル134上の相補的な表面138(ポンプ出口逆止バルブ128/132を取り囲む)と嵌合して圧力リリーフバルブ(以下「PRV」)を形成する環状の円錐面136を含む。PRVシート124は、段付きボア122によって定義される固定位置に保持され、PRVシャトル134は、PRVスプリング126によってPRVシート124に対してバイアスされる。本開示の態様によれば、PRVスプリング126は、圧力リリーフバルブカップ140(以下「PRVカップ」)とPRVシャトル134との間で圧縮された円錐ディスクスプリングは、PRVシャトル134を図20に示される閉位置に向けてバイアスする。PRVカップ140は、ポンプ出口継手120の段付きボア122内に締まりばめを有し、ポンプ出口継手120内の、PRVシャトル134、PRVスプリング126、ポンプ出口逆止バルブボール128、ポンプ出口逆止バルブスプリング130およびPRVシート124をトラップする。段付きボアは、PRVの開放圧力を校正するために組み立て中に設定される。PRVの開放圧力は、ポンプに組み立てる前に校正できる。
【0044】
統合されたPRVおよびポンプ出口逆止バルブを含む出口継手120は、出口継手120が取り付けられているHPPの閉じ込められた体積を最小化し、PRVを通る高い流量容量を提供し、そして、PRVシャトル134の短いストロークは、HPPが作動している間、PRVの迅速な作動および閉鎖をもたらす。前述のように、ポンプ出口逆止バルブボール128は、図21に示されるように、コモンレールにつながる高圧通路48内の圧力が、ポンピングチャンバ22またはポンピングチャンバ22からポンプ出口継手120につながる通路内の圧力よりも低い場合にのみ開く。この状態は、高圧出口通路48およびコモンレール36の圧力が最大圧力を下回るポンピングサイクル中に発生する。図22は、コモンレールの圧力が最大圧力よりも高いヒートソーク状態に応じたPRVの作動を示す。PRVシャトル134および閉じたポンプ出口逆止バルブボール128は、ポンプ出口継手120に接続された高圧通路48を介してコモンレールの圧力にさらされる。PRVシャトル134は、PRVスプリング126のバイアスに逆らってPRVシート124から離れて移動し、過剰な圧力がPRVを通ってポンピングチャンバ22に通過することを可能にする。そして、図1図9を使って上述したように、圧力はポンププランジャ18とポンプボア20との間のクリアランスを通ってポンプドレン52にゆっくりと流出することができる。ヒートソーク状態では、逃がされる流体の量が少なく、流体の流量が少ないため、PRVシャトル134は少量移動する(開く)。図23は、ポンプ動作中のPRVの作動を示しており、これは、ヒートソーク状態に応答したPRV作動とまったく同じであるが、ただし、PRVシャトル134は、解放される流体の量が多く、ポンプの充填サイクル中に圧力を解放するために必要な流体の流れが速いため、さらに開く。
【0045】
図24は、HPPが動作していない「リンプホーム」シナリオ中のポンプ出口逆止バルブボール128の動作を示している。このシナリオでは、高圧通路48とコモンレールに高圧燃料が供給されなくなる。ポンプ出口逆止バルブスプリング130は、入口計量バルブ70およびポンプ入口逆止バルブを通過し、ポンピングチャンバ22を通過するLPPによって生成される供給圧力にさらされると開く軽いバイアスで選択される。その背後に圧力がない場合、ポンプ出口逆止バルブボール128は、供給圧力にさらされると開き、低圧燃料がコモンレールを満たすことを可能にする。LPPからの供給圧力に対応するコモンレール圧力は、燃料噴射装置とエンジンを低出力で動作させるのに十分である。エンジンの動作は最適ではないが、安全な環境またはメンテナンス施設に向けて最小限の運転能力を提供するには十分である。
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