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特許7446306適応ラウドスピーカーイコライゼーション
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-29
(45)【発行日】2024-03-08
(54)【発明の名称】適応ラウドスピーカーイコライゼーション
(51)【国際特許分類】
   H04S 7/00 20060101AFI20240301BHJP
   H04R 3/04 20060101ALI20240301BHJP
【FI】
H04S7/00 310
H04R3/04
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2021532270
(86)(22)【出願日】2019-08-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-09
(86)【国際出願番号】 US2019046505
(87)【国際公開番号】W WO2020037044
(87)【国際公開日】2020-02-20
【審査請求日】2022-07-28
(31)【優先権主張番号】62/719,520
(32)【優先日】2018-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503206684
【氏名又は名称】ディーティーエス・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】DTS,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】ノー テギョン
【審査官】金子 秀彦
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-513832(JP,A)
【文献】特表2017-514182(JP,A)
【文献】特開2011-172268(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0062398(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0003613(US,A1)
【文献】米国特許第09992595(US,B1)
【文献】特開2003-324788(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0224812(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04S 7/00
H04R 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラウドスピーカーシステムの音響応答をイコライズするための方法であって、前記ラウドスピーカーシステムはマイクロフォンに対して実質的に固定された空間的な関係で提供される第一のラウドスピーカードライバを含み、前記方法は、
前記第一のラウドスピーカードライバおよび前記マイクロフォンに関する伝達関数基準情報を受信することと、
前記ラウドスピーカーシステムの望ましい音響応答に関する情報を受信することと、
第一の入力信号および前記伝達関数基準情報を使用して前記ラウドスピーカーシステムのシミュレーションされた応答を決定することと、
前記第一のラウドスピーカードライバに前記第一の入力信号を提供することと、それに応答して、前記ラウドスピーカーシステムが第一の環境にあるときに前記マイクロフォンから実際の応答を受信することと、
前記ラウドスピーカーシステムの前記決定されたシミュレーションされた応答および前記受信した実際の応答に基づいて、前記望ましい音響応答を達成するために前記第一の環境において前記ラウドスピーカーシステムと共に使用するための補償フィルタを決定することと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記第一の入力信号は正弦波掃引信号、インパルス信号、およびノイズ信号のうち一または二以上を含むテスト信号を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第一の入力信号はユーザ固有の音響プログラム情報を備えるオーディオ信号を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第一の入力信号は複数のチャネルまたは複数の帯域のオーディオ信号を含み、
前記シミュレーションされた応答を決定することはダウンミキシングされたバージョンの前記オーディオ信号を使用することを含み、
前記第一の入力信号を前記第一のラウドスピーカードライバに提供することは前記ダウンミキシングされたバージョンの前記オーディオ信号を提供することを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項5】
ラウドスピーカー駆動信号を提供するために前記補償フィルタを後続の第二の入力信号に適用することと、
前記ラウドスピーカー駆動信号を第一のラウドスピーカーに提供することと、
をさらに含み、
前記第一の入力信号および前記後続の第二の入力信号はオーディオプログラムの異なる部分を備える、
請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第一の入力信号はオーディオプログラムの第一の期間を含み、前記第二の入力信号は同じオーディオプログラムの異なる第二の期間を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記ラウドスピーカー駆動信号を使用して前記ラウドスピーカーシステムの後続の応答を受信することと、
前記望ましい音響応答を達成するために前記補償フィルタを更新することと、
をさらに含み、
前記更新された補償フィルタは前記ラウドスピーカーシステムの前記受信した後続の応答に基づく、
請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記伝達関数基準情報は前記第一のラウドスピーカードライバ、前記マイクロフォン、およびラウドスピーカーイコライゼーションフィルタに関する情報を受信することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記ラウドスピーカーシステムの前記望ましい音響応答に関する前記情報を受信することは前記ラウドスピーカーシステムの好適なイコライゼーションを示すユーザ入力を受信することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記ラウドスピーカーシステムの前記シミュレーションされた応答を決定することは少なくとも一つのオーディオ信号フィルタを使用することを含み、前記オーディオ信号フィルタは空間的な強調、仮想化、イコライゼーション、音量の制御、会話の強調、圧縮、および限定のうち一または二以上を提供するように構成され、
前記第一の入力信号を提供することは前記オーディオ信号フィルタを使用して処理される前記第一の入力信号を提供することを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記補償フィルタを決定することは前記第一の環境の空間効果を修正するために少なくとも低周波数補償フィルタを決定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記ラウドスピーカーシステムの向きの変化または前記第一の環境の変化を決定することと、それに応答して、
前記第一の入力信号を使用して前記ラウドスピーカーシステムの後続の応答を受信することと、
前記ラウドスピーカーシステムの前記決定されたシミュレーションされた応答および前記受信した後続の応答に基づいて前記補償フィルタを更新するかどうかを決定することと、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記ラウドスピーカーシステムの向きの変化または前記第一の環境の変化を決定することと、それに応答して、
前記第一の入力信号を使用して前記ラウドスピーカーシステムの後続の応答を受信することと、
前記ラウドスピーカーシステムの前記決定されたシミュレーションされた応答および前記受信した後続の応答に基づいて前記補償フィルタを更新することと、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
ラウドスピーカーの前記向きの前記変化または前記第一の環境の前記変化を決定することは前記ラウドスピーカーシステムに結合された加速度計からの情報を使用することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記伝達関数基準情報を受信することは基準環境における前記ラウドスピーカーシステムのラウドスピーカー伝達関数およびマイクロフォン伝達関数を決定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記決定された補償フィルタを以前のフィルタと比較することと、前記補償フィルタが前記以前のフィルタとは指定された閾値量よりも大きく異なる場合に前記補償フィルタを後続の入力信号に適用することと、をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記シミュレーションされた応答を決定することはアップミキシングされたバージョンの前記第一の入力信号を使用することを含み、前記第一の入力信号を前記第一のラウドスピーカードライバに提供することは前記アップミキシングされたバージョンの前記第一の入力信号を提供することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
ラウドスピーカーシステムの音響応答をイコライズするための方法であって、前記ラウドスピーカーシステムは第一のラウドスピーカーおよび少なくとも一つの内蔵マイクロフォンを含み、前記方法は、
設計段階において、
前記第一のラウドスピーカーおよび前記マイクロフォンの基準伝達関数を決定することと、
基準結果を提供するために前記基準伝達関数を使用してオーディオ入力信号を処理することと、
を含み、
再生段階において、前記ラウドスピーカーシステムは第一の環境に提供され、
前記オーディオ入力信号を前記第一のラウドスピーカーに提供することと、それに応答して、前記マイクロフォンを使用して前記ラウドスピーカーシステムから応答信号をキャプチャすることと、
前記基準結果および前記ラウドスピーカーシステムからの前記キャプチャされた応答信号に基づいて、前記第一の環境において前記ラウドスピーカーシステムの望ましい音響応答を達成するために前記第一の環境において前記ラウドスピーカーシステムと共に使用するための補償フィルタを決定するすることと、
を含む、方法。
【請求項19】
前記再生段階において、後続のオーディオ入力信号を処理するために決定される前記補償フィルタを使用することと、前記処理された信号を前記第一のラウドスピーカーに提供することと、をさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記ラウドスピーカーシステムの向きの変化または前記第一の環境の変化を決定することと、それに応答して、前記ラウドスピーカーシステムと共に使用するための更新された補償フィルタを決定することと、をさらに含む、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本特許出願は、2018年8月17日に出願された米国仮特許出願第62/719,520号の優先権の利益を主張するものであり、その全体が本明細書に参照により組み入れられる。
【背景技術】
【0002】
オーディオ再生システムの実際のまたは知覚される音響応答を調整するために音響システムの較正およびラウドスピーカーのイコライゼーションを使用することができる。一例では、ラウドスピーカーのイコライゼーションは、ラウドスピーカーに提供される音響信号の周波数応答を手動でまたは自動で調整することを含み、それによりラウドスピーカーが音響信号により駆動されたときに望ましい音響応答を得ることができる。イコライゼーションフィルタは、予めチューニングされたシステムを提供する等、ラウドスピーカーデバイスの製造前または製造中等の設計段階で決定することができる。しかしながら、例えば環境やリスニングエリアが異なれば物理的に異なる特性を有する可能性があるため、このような予めチューニングされたシステムは状況や環境によっては不十分な場合がある。環境の様々な異なる物理特性は音波の正または負の干渉を引き起こし、様々な周波数または音響情報の強調または非強調につながる可能性がある。
【0003】
環境特性または他の要因により引き起こされるこのようなエラーを解決するために、空間イコライゼーション技術を使用することができる。空間イコライゼーションは、所与の環境において望ましい応答を得るためにオーディオ再生システムの周波数応答または位相を修正することを含むことができる。従来の空間イコライゼーションは、例えば一または二以上のマイクロフォンを使用して環境において取得することのできる、測定されたラウドスピーカー周波数応答情報または位相応答情報を含むかまたは使用することができる。一または二以上のマイクロフォンは典型的にラウドスピーカーの外側に提供される。このようなチューニングまたはイコライゼーション手順はユーザにとって不十分であり、例えばラウドスピーカーが同じ環境に再配置された場合またはラウドスピーカーが異なる環境に再配置された場合に不適切または不完全なチューニングにつながる可能性がある。
【発明の概要】
【0004】
本発明者は、解決されるべき問題が音響システムのチューニングを含むことを認識している。問題は、チューニング手順を自動化すること、または実行する手順をエンドユーザまたは消費者にとって単純にすることを含む場合がある。一例では、問題は、音響システムを、音響チューニングを実行するために使用することのできるラウドスピーカー、マイクロフォン、および/または信号処理回路等の十分かつ適切なハードウェアに提供することを含む場合がある。
【0005】
一例では、本主題は、これらおよび他の問題に対する解決策を提供することができる。この解決策は、特定の環境で、例えば実質的にリアルタイムで、またはユーザ入力なしでラウドスピーカーの応答を自動的に調整するためのシステムまたは方法を含むことができる。一例では、解決策は、統合されたかまたは組み合わせられたオーディオ再生ユニットにおいて共に提供することのできるようなラウドスピーカーまたはマイクロフォンを含むかまたは使用することができる。
【0006】
一例では、解決策はマイクロフォンを使用してラウドスピーカーの応答を測定することを含むことができる。ラウドスピーカー、チューニングされたイコライザ、およびマイクロフォンの組み合わせられた伝達関数が作成され、設計段階または製造時点等でユニットに関連付けられたメモリに格納することができる。実行時または使用段階において、オーディオ再生ユニットは格納された伝達関数を使用してユニットより再生されるオーディオ信号を処理するように構成することができる。処理された信号はマイクロフォンによりキャプチャされたオーディオ信号を比較することができる。環境により変化したかまたは影響を受けた周波数応答を特定するために信号情報の差を計算することができ、補償フィルタを決定することができる。補償フィルタは後続のオーディオ信号に適用し、ユニットの応答を修正またはチューニングするために使用することができる。一例では、後続のオーディオ信号は信号差情報を生成するために使用される同じプログラムまたは材料の後の部分を含むことができる。
【0007】
本要約は本特許出願の主題の概要を提供することを意図している。本発明の排他的または網羅的な説明を提供することを意図するものではない。詳細な説明は本特許出願に関するさらなる情報を提供するために含まれている。
【0008】
特定の要素または行為の議論を容易に特定するために、参照番号の最上位桁はその要素が最初に導入された図の番号を指す。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】基準環境およびラウドスピーカーシステムの一例を一般的に示す。
図2】再生環境およびラウドスピーカーシステムの一例を一般的に示す。
図3】一実施形態による駆動信号チャートの一例を一般的に示す。
図4】一実施形態による基準チャートの一例を一般的に示す。
図5】一実施形態による第一の再生チャートの一例を一般的に示す。
図6】一実施形態による第二の再生チャートの一例を一般的に示す。
図7】一実施形態による補償フィルタチャートの一例を一般的に示す。
図8】一実施形態によるミキサ回路を含むことのできるシステム部分を一般的に示す。
図9】補償フィルタを決定することを含むことのできる第一の方法の一例を一般的に示す。
図10】補償フィルタを適用することおよび更新することを含むことのできる第二の方法の一例を一般的に示す。
図11】ラウドスピーカーシステムにおける変化を決定することを含むことのできる第三の方法の一例を一般的に示す。
図12】再生環境において望ましい応答を達成するためにラウドスピーカーシステムと共に使用される補償フィルタを決定することを含むことのできる第四の方法の一例を一般的に示す。
図13】コンピュータシステムの形態のマシンの図を一般的に示しており、その中でマシンに本明細書で論じられる方法のうち一または二以上を実行させるための一連の命令が実行され得る。
【発明を実施するための形態】
【0010】
例えば音響システムチューニングを提供するために、オーディオ信号処理を実行するためのシステム、方法、装置、およびデバイスの例を含む以下の説明では、詳細な説明の一部を形成する添付図面が参照される。図面は、例として、本明細書に開示された発明を実施することのできる形態を示している。これらの実施形態は本明細書では一般に「例」と呼ばれる。このような例は示されているかまたは記載されているものに加えて要素を含むことができる。しかしながら、本発明者はまた、示されるかまたは説明される要素のみが提供される例を企図している。本発明者は、特定の例に関して、または本明細書に示されるかまたは記載される他の例に関して、示されるかまたは記載されるこれらの要素の任意の組合せまたは順列を使用する例を企図している。
【0011】
本明細書で使用されるように、「オーディオ信号」という句は物理的な音を表す信号である。本明細書に記載のオーディオ処理システムおよび方法は様々なフィルタを使用する等オーディオ信号を使用または処理するように構成されたハードウェア回路および/またはソフトウェアを含むことができる。いくつかの例では、システムおよび方法は、複数のオーディオチャネルからの信号、または複数のオーディオチャネルに対応する信号を使用することができる。一例では、オーディオ信号は、複数のオーディオチャネルに対応する情報を含み、他の情報またはメタデータを含むことのできるデジタル信号を含むことができる。一例では、オーディオ信号はオーディオプログラムの一または二以上のコンポーネントを含むことができる。オーディオプログラムは、例えば歌、サウンドトラック、またはオーディオもしくは音響情報の他の連続的または不連続的なストリームを含むことができる。
【0012】
一例では、環境またはリスニングルームにおけるラウドスピーカーの従来のチューニングは、様々なユーザ入力に依存するマルチステッププロセスである場合がある。例えば、従来のチューニングプロセスは、チューニングされるスピーカーのある環境においてユーザにより配置される基準マイクロフォンを使用してラウドスピーカー応答をキャプチャすること、次にマイクロフォンにより受信した応答に基づいてイコライゼーションフィルタを作成すること、次にフィルタを実装することを含むことができる。一例では、チューニングプロセスは本明細書で論じられるシステムおよび方法を使用して単純化または容易化することができる。
【0013】
一例では、ラウドスピーカーチューニングプロセスはラウドスピーカードライバまたはマイクロフォンを含むことのできるようなラウドスピーカーシステムを含むかまたは使用することができる。ラウドスピーカードライバまたはマイクロフォンは、実質的に固定されるか、そうでなければ既知の物理的または空間的な関係で提供することができる。本システムおよび方法は、マイクロフォンを使用してラウドスピーカードライバに関する応答情報をキャプチャすることができ、例えば設計段階において、または基準チューニング環境を使用して、同じマイクロフォンを使用してラウドスピーカードライバからイコライズされた応答情報をキャプチャすることができる。応答情報は、ラウドスピーカードライバまたはマイクロフォンまたはラウドスピーカーシステムを表す伝達関数に変換することができる。これらの伝達関数は空間または環境の音響情報に対する応答または効果を計算するために使用することができる。一例では、伝達関数に関する情報は、例えばラウドスピーカーシステムに関連付けられたメモリに格納することができる。
【0014】
再生環境において、または再生段階もしくは使用段階中に、ラウドスピーカーシステムにより再生されるオーディオ信号はマイクロフォンを使用してキャプチャすることができる。オーディオ信号は様々なオーディオプログラム材料を含むことができる。オーディオ信号は、掃引信号もしくはノイズ信号等のテスト信号とすることができ、または別の信号とすることができる。すなわち、一例では、スピーカーにより再生されるオーディオ信号は任意の信号とすることができる。一例では、シミュレーションされた出力信号に望ましい応答を提供するために伝達関数を使用してオーディオ信号を処理することができる。シミュレーションされた出力信号は、例えば、ラウドスピーカーシステムが基準チューニング環境において使用される場合にユーザが知覚または体験するものであり得る。シミュレーションされた出力信号は、環境に起因する可能性のある周波数応答の変化を特定するためにマイクロフォンを使用して受信した実際の出力信号を比較することができる。それに応じて、補償フィルタを生成することができ、例えば実質的にリアルタイムで後続の入力信号に適用することができる。一例では、本システムおよび方法は、ラウドスピーカーシステムからの出力信号を実質的に継続して監視することができ、環境の変化または他の変化に応答して補償フィルタを調整することができるように、動的かつ適応可能であることができる。一例では、補償フィルタ係数は、ユーザ入力または他のセンサ入力に応答して更新することができる。
【0015】
図1は、基準環境112およびラウドスピーカーシステム102を含む例110を一般的に示している。ラウドスピーカーシステム102は、例えばデジタル信号プロセッサ回路もしくは他のオーディオ信号処理回路を含むことのできるようなプロセッサ回路108を含むか、またはそれに結合することができる。プロセッサ回路108は、メモリ回路110から命令または他の情報を受信するように構成することができる。
【0016】
一例では、ラウドスピーカーシステム102は基準環境112内に提供することができる。ラウドスピーカーシステム102は筐体に取り付けることのできるような第一のラウドスピーカードライバ104を含むことができる。第一のラウドスピーカードライバ104はラウドスピーカー伝達関数Hspkを有することができるか、またはそれにより特徴付けることができる。本明細書で使用される「伝達関数」という用語は、一般に入力と出力との間の関係を指す。ラウドスピーカードライバの文脈において、伝達関数は様々な異なる入力信号または信号周波数に対するラウドスピーカードライバの応答を参照することができる。例えば、ラウドスピーカー伝達関数Hspkは、インパルス刺激、ホワイトノイズ刺激、または異なる入力信号に対する第一のラウドスピーカードライバ104の時間-周波数応答に関する情報を含むことができる。一例では、第一のラウドスピーカードライバ104は、オーディオプログラム116の一部を含むことのできるような入力信号S_inを受信することができる。一例では、入力信号S_inは、増幅器回路から、プロセッサ回路108等のデジタル信号処理回路から、または別の発生源から、第一のラウドスピーカードライバ104により受信される。
【0017】
ラウドスピーカーシステム102はマイクロフォン106を含むことができる。マイクロフォン106は第一のラウドスピーカードライバ104に対して既知の、または実質的に固定された空間関係で提供することができる。一例では、マイクロフォン106および第一のラウドスピーカードライバ104は、マイクロフォン106および第一のラウドスピーカードライバ104の位置が経時的に変化しないように共有の筐体に取り付けることができる。マイクロフォン106は基準環境112から音響情報を受信するように提供または配置することができる。すなわち、マイクロフォン106は、第一のラウドスピーカードライバ104により提供される音響信号に応答して基準環境112から少なくともいくつかの音響情報を受信するように、第一のラウドスピーカードライバ104の筐体に結合させることができる。
【0018】
マイクロフォン106はマイクロフォン伝達関数Hmを有することができるか、またはそれにより特徴付けることができる。一例では、マイクロフォン106の伝達関数Hmは特定の入力刺激に対するマイクロフォン106の時間-周波数応答に関する情報を含むことができる。一例では、マイクロフォン106は、動的移動コイルマイクロフォン、コンデンサマイクロフォン、圧電マイクロフォン、MEMSマイクロフォン、または音響情報を受信し、それに応答して対応する電気信号を提供するように構成された他の変換器を含む。
【0019】
一例では、ラウドスピーカーシステム102はセンサ114を含むことができる。センサ114は、ラウドスピーカーシステム102の場所もしくは位置に関して、または環境の変化に関して、例えば自動でもしくはユーザ入力に基づいて、情報を受信するように構成することができる。一例では、センサ114はラウドスピーカーシステム102の場所または位置の変化を検出するように構成される。センサ114は、中でも、GPS受信機、加速度計、ジャイロスコープ、またはラウドスピーカーシステム102の場所または向きに関する情報を感知または提供するように構成された他のセンサ等の位置または場所センサを含むことができる。一例では、センサ114はユーザまたはコントローラデバイスによりアクセスされ得るハードウェアまたはソフトウェア入力を含む。
【0020】
一例では、プロセッサ回路108は、オーディオ情報の一または二以上のオーディオ信号またはチャネルを受信し、受信した信号または情報を処理し、次に処置された信号を例えば増幅器回路または他の信号処理または信号整形フィルタまたは回路を介してラウドスピーカーシステム102に送るように構成されたオーディオプロセッサを含む。一例では、プロセッサ回路108は、一または二以上の入力信号から仮想化または3Dオーディオ信号を生成するために仮想化回路を含むかまたは使用する。プロセッサ回路108は一または二以上のHRTFフィルタ、遅延フィルタ、周波数フィルタ、または他のオーディオフィルタを使用して仮想化されたオーディオ信号を生成することができる。
【0021】
図1の例は、ラウドスピーカーシステム102がオーディオ入力信号S_inを受信することができることを一般的に示している。第一のラウドスピーカードライバ104は基準環境112の音響出力信号S_spkを生成するために入力信号S_inを受信および再生することができる。一例では、音響出力信号S_spkは第一のラウドスピーカードライバ104の伝達関数Hspkに従って処理された入力信号S_inにより表すことができ、すなわち、S_spk=S_in*Hspkである。
【0022】
一例では、ラウドスピーカーシステム102に関する伝達関数または他の音響挙動情報は、例えば基準音響情報を取得するために使用される無響室または他の空間を使用して、設計環境または基準環境112において決定することができる。例えば、基準環境112において、第一のラウドスピーカードライバ104は入力信号S_inを受信することができ、マイクロフォン106は音響応答信号S_cを受信またはキャプチャすることができる。一例では、基準環境112の空間効果伝達関数Hr_refは、例えば基準環境112が認められているかまたは既知の音響空間効果を有するか、または実質的に透過させる場合は無視することができ、また基準環境の音響応答信号S_cは入力信号S_in、第一のラウドスピーカードライバ104の伝達関数Hspk、およびマイクロフォン106の伝達関数Hmの関数として表すことができ、すなわち、S_c=S_in*Hspk*Hmである。伝達関数HspkおよびHmは、事前に知ることができるか、または基準環境112においてラウドスピーカーシステム102を使用して決定することができる。
【0023】
図2は、再生環境204およびラウドスピーカーシステム102を含む例200を一般的に示している。再生環境204は、図1の例から基準環境112とは物理的に異なる環境であり得る。
【0024】
一例では、再生環境204は音響信号を送るためにラウドスピーカーシステム102を使用することのできる物理的な空間を含むことができる。一例では、再生環境204は屋外スペースを含むことができ、または、例えば壁、床、および天井を有することのできる空間を含むことができる。一例では、再生環境204はその中に様々な家具または他の物理的な物体を有することができる。再生環境204内の異なる表面または物体は音波を反射または吸収することができ、再生環境204の音響応答に寄与することができる。再生環境204の音響応答は、例えば再生環境204内の物体および表面に対するラウドスピーカー等の音響信号源の向きまたは位置の効果に起因する様々な音響情報の強調または非強調を含むか、または参照することができ、図1の基準環境112の音響応答とは異なる場合がある。
【0025】
一例では、再生環境204においてラウドスピーカーシステム102の望ましい応答を達成するために他の入力信号に適用する補償フィルタを決定するため、ラウドスピーカーシステム102のシミュレーションされたかまたは計算された応答を使用することができる。一例では、ラウドスピーカーシステム102のシミュレーションされたかまたは計算された応答は、第一のラウドスピーカードライバ104の伝達関数Hspkおよびマイクロフォン106の伝達関数Hmに部分的に基づくことができる。ラウドスピーカーシステム102のシミュレーションされたかまたは計算された応答は任意の入力信号S_in_playbackの使用中または再生中に再生環境204内のラウドスピーカーシステム102の実際の応答に関するマイクロフォン106からキャプチャされた情報と共に使用することができ、任意の入力信号S_in_playbackは図1の例において伝達関数HspkおよびHmを決定するために使用される入力信号S_inとは異なることができるが、そうである必要はない。一例では、入力信号S_in_playbackはユーザが選択したオーディオプログラムの一部を含む。
【0026】
一例では、再生環境204内で、例えば第一のラウドスピーカードライバ104を使用して音響出力信号S_spk_playbackを提供することができる。再生環境204は関連付けられた環境伝達関数または空間効果伝達関数Hr_playbackを有することができる。空間効果伝達関数Hr_playbackは、中でも、環境または再生環境204内の物体の形状の関数とすることができ、また再生環境204内のマイクロフォン等の受信機の特定の場所または向きに固有のものとすることができる。図2の例では、空間効果伝達関数Hr_playbackはマイクロフォン106の場所における再生環境204の伝達関数である。したがって、一例では、マイクロフォン106の入力においてキャプチャされた音響信号S_c_playbackは第一のラウドスピーカードライバ104の伝達関数Hspkに従って処理された入力信号S_in_playbackおよび空間効果伝達関数Hr_playbackにより表すことができ、すなわち、S_c_playback = S_in_playback * Hspk * Hm * Hr_playbackである。
【0027】
一例では、他の信号処理または信号整形フィルタは信号チェーンの様々なところに適用することができる。例えば、イコライゼーションフィルタは入力信号S_in_playbackに適用することができる。このような他の処理またはイコライゼーションは一般に、わかりやすくするために、図1および図2、ならびにこの議論から省略されている。
【0028】
図3は、一実施形態による駆動信号チャート300の一例を一般的に示している。駆動信号チャート300は理論的な駆動信号302を有する振幅-周波数チャートを示している。図3の例では、駆動信号302は全ての周波数で実質的に等しい振幅を有するオーディオ信号であり得る。x軸上に固有の周波数は列挙されていないが、駆動信号302は例えば約20Hzから20kHzの可聴音響スペクトルの少なくとも一部にコンテンツを有すると理解することができる。より狭い周波数帯域または他の周波数を使用することもできる。一例では、に図1の例からの入力信号S_inまたは入力信号S_in_playbackは、図3の駆動信号302を含むかまたはそれに対応することができる。
【0029】
図4は、一実施形態による基準チャート400の一例を一般的に示している。基準チャート400は振幅-周波数チャートを示しており、またラウドスピーカー伝達関数402、マイクロフォン伝達関数404、およびキャプチャされた基準信号406を示している。
【0030】
図4の例では、ラウドスピーカー伝達関数402はラウドスピーカーシステム102からの第一のラウドスピーカードライバ104の伝達関数Hspkを含むかまたはそれに対応することができる。マイクロフォン伝達関数404はラウドスピーカーシステム102からのマイクロフォン106の伝達関数Hmを含むかまたはそれに対応することができる。図4における伝達関数の表現および本明細書の他の箇所は説明を目的として単純化されたグラフィック表現である。
【0031】
一例では、マイクロフォン伝達関数404はマイクロフォン伝達関数Hmに対応する。図4の例は、マイクロフォン伝達関数404が音響スペクトルの少なくとも一部にわたって実質的に平坦な応答を有することができるが、比較的低い周波数および高い周波数で減衰された応答を有することができることを示している。他のマイクロフォン伝達関数も同様に使用することができ、中でも、使用するマイクロフォンのタイプ、使用するマイクロフォンの向き、またはマイクロフォンに適用されるフィルタもしくはイコライゼーションに依存する。
【0032】
図4はキャプチャされた基準信号406の表現を含む。一例では、キャプチャされた基準信号406は、ラウドスピーカーシステム102が基準環境112において使用されるときにマイクロフォン106を使用して受信することのできるような音響応答信号S_cを含むかまたはそれに対応することができる。キャプチャされた基準信号406は少なくとも(1)Hspk等のラウドスピーカー伝達関数402、(2)Hm等のマイクロフォン伝達関数404、および(3)例えば駆動信号302を含むことのできる入力信号の関数とすることができる。一例では、基準信号406は他の関数またはフィルタにより整形されるかまたは影響を受けることができるが、そのようなフィルタは本明細書の議論から省略されている。キャプチャされた基準信号406は基準環境112に固有のものとすることができ、これは、入力信号が同じであっても異なる環境ではキャプチャされる信号は異なる可能性があることを意味する。
【0033】
図5は、一実施形態による第一の再生チャート500の一例を一般的に示している。第一の再生チャート500は振幅-周波数チャートを示しており、またラウドスピーカーシステム102の望ましい応答502、再生環境伝達関数504、およびマイクロフォン伝達関数404を示している。
【0034】
図5の例では、望ましい応答502はラウドスピーカーシステム102からの第一のラウドスピーカードライバ104の目標周波数応答または望ましい周波数応答を表す。換言すると、望ましい応答502は、再生環境204における第一のラウドスピーカードライバ104の応答が実質的に平坦であること、および第一のラウドスピーカードライバ104は減衰された低周波数応答で音響スペクトルのある部分の全体にわたって周波数情報に本質的に等しく応答することを示すことができる。一例では、望ましい応答502はユーザにより設定または定義することができ、プログラマによりまたは製造時点で確立されるプリセットパラメータとすることができ、または例えばハードウェアもしくはソフトウェアインタフェースを使用する他の方法で望ましい応答502を指定することができる。
【0035】
一例では、再生環境伝達関数504はラウドスピーカーが使用される環境または空間または他のリスニングスペースに関連付けられた伝達関数を表すことができる。図5の例では、再生環境伝達関数504は再生環境204に関連付けられた伝達関数を示している。図5の再生環境伝達関数504の例は関数が例えば環境内の音波の正および負の干渉の積である様々な山と谷を有することができることを示している。一例では、再生環境伝達関数504は図2の例からの空間効果伝達関数Hr_playbackに対応する。再生環境伝達関数504は音響インパルス信号または他の基準信号等の基準刺激に基づく伝達関数を表すことができる。
【0036】
図6は、一実施形態による第二の再生チャート600の一例を一般的に示している。第二の再生チャート600は振幅-周波数チャートを示しており、また図5の例からの望ましい応答502およびキャプチャされた再生信号602を示している。キャプチャされた再生信号602は再生環境204において入力信号S_in_playbackに応答して例えばマイクロフォン106を使用して受信されたオーディオ信号を表すことができる。換言すると、キャプチャされた再生信号602はマイクロフォン106により受信された信号を表すことができ、再生環境204の空間効果伝達関数Hr_playback等の任意の空間効果を含むことができる。したがってキャプチャされた再生信号602は少なくとも(1)入力信号S_in_playback(駆動信号302等)、(2)第一のラウドスピーカードライバ104のラウドスピーカー伝達関数Hspk、(3)再生環境204の空間効果伝達関数Hr_playback、および(4)マイクロフォン伝達関数Hmの関数とすることができる。
【0037】
一例では、キャプチャされた再生信号602はマイクロフォン106の入力において受信またはキャプチャすることのできる、図2の議論において上記で説明されたような音響信号S_c_playbackを含むことができる。音響信号S_c_playbackは第一のラウドスピーカードライバ104の伝達関数Hspkに従って処理された入力信号S_in_playback、マイクロフォン106の伝達関数Hm、および空間効果伝達関数Hr_playbackの関数として表すことができ、すなわち、S_c_playback=S_in_playback*Hspk*Hm*Hr_playbackである。
【0038】
一例では、第一のラウドスピーカードライバ104の伝達関数Hspkは既知であり、マイクロフォン106の伝達関数Hmは例えば設計段階から知ることができる(例えば、図1および図4の例を参照)。音響信号S_c_playbackおよび入力信号S_in_playbackもまた既知のものとすることができる。したがって空間効果伝達関数Hr_playbackは計算することができ、例えば、Hr_playback=S_c_playback/(S_in_playback*Hspk*Hm)である。
【0039】
一例では、ラウドスピーカーシステム102を使用して望ましい応答を達成するために、第一のラウドスピーカードライバ104への入力信号は再生環境204のために設計または選択される補償フィルタに従って処理することができる。すなわち、補償フィルタは、入力信号に応答して再生環境204においてリスナーが経験する第一のラウドスピーカードライバ104の応答が望ましい応答502に実質的に対応するように第一のラウドスピーカードライバ104の入力信号を処理するように選択することができる。一例では、補償フィルタを決定することはキャプチャされた再生信号602からの情報およびキャプチャされた再生信号602を取得するために使用される同じ入力信号に対する計算された応答からの情報を含むかまたは使用することができる。
【0040】
図7は、一実施形態による補償フィルタチャート700の一例を一般的に示している。補償フィルタチャート700は振幅-周波数チャートを示しており、また望ましい応答502、キャプチャされた再生信号602、および補償フィルタ伝達関数702を示している。一例では、補償フィルタ伝達関数702は処理された駆動信号が特定の環境においてラウドスピーカーにより音として再生されるときにラウドスピーカー駆動信号を処理するために使用することのできる伝達関数を表すことができ、環境内の音または環境内の特定の場所における音が望ましい応答502に実質的に対応する。例えば、補償フィルタ伝達関数702はフィルタリングされた入力信号S_in_playbackが再生環境204において第一のラウドスピーカードライバ104を駆動するために使用するときに再生環境204内の音が望ましい応答502に対応するように入力信号S_in_playbackに適用することのできる伝達関数を表すことができる。
【0041】
一例では、メモリ回路110は補償フィルタ伝達関数702に関する情報、または補償フィルタ伝達関数702に対応するフィルタもしくはフィルタ係数を処理するオーディオ信号に関する情報を格納することができる。一例では、プロセッサ回路108はメモリ回路110からフィルタパラメータまたは係数を検索し、それらを第一のラウドスピーカードライバ104の任意の入力信号に適用するように構成することができる。フィルタリングまたは処理されたオーディオ信号は第一のラウドスピーカードライバ104に提供することができ、それに応答して、フィルタリングされた音響出力信号を再生環境204において提供することができる。一例では、フィルタリングされた音響出力信号は再生環境204において望ましい応答502に対応するかまたはそれを有することができる。補償フィルタ伝達関数702を決定または計算するための様々な方法および手法は本明細書の方法の例においてさらに論じられている。
【0042】
図8は、一実施形態によるミキサ回路802を含むことのできるシステム部分800を一般的に示している。一例では、ミキサ回路802は、例えば別個の信号またはオーディオ情報のチャネルを含むことのできる複数のオーディオ入力信号を受信するように構成することができる。
【0043】
一例では、複数の入力信号は入力信号S_in、S_in_playback、駆動信号302のうち一または二以上を含むかまたは備え、または入力信号は一または二以上の他の信号もしくはオーディオ情報もしくはメタデータのチャネルを含むことができる。図8の例に示されるように、ミキサ回路802はM個の別個の信号を受信するように構成される。ミキサ回路802はアップミキシングまたはダウンミキシング用に構成することができ、またそれにより受信したM個の別個の信号をさらなる信号またはより少ない信号に変換することができる。
【0044】
一例では、例えば情報の8つまたはそれよりも多くの別個のチャネルを含むマルチチャネルサラウンドサウンドフォーマットから例えば情報の2つのチャネルを有するステレオペアに変換する等、オーディオ信号フォーマット間で変換するためにミキサ回路802を使用することができる。ミキサ回路802を使用して他の変換を同様に実行することができる。一例では、ミキサ回路802はN個の中間信号を出力または提供し、MとNは等しくなくてもよい。
【0045】
一例では、ラウドスピーカーシステム102はN個の中間信号を受信することができ、例えば一または二以上のラウドスピーカードライバを使用して再生環境204において音を再生するためにN個の中間信号のうち一または二以上を使用することができる。マイクロフォン106を使用して受信する等、再生環境204から受信した音響情報はしたがって再生環境204において再生されるN個の中間信号からの情報を含むことができる。一例では、ラウドスピーカーシステム102の計算された応答はN個の中間信号を使用して決定することができる。計算された応答は、一または二以上の補償フィルタを生成するために再生環境204からキャプチャされた実際の応答に関する情報と共に使用することができる。いくつかの例では、補償フィルタはN個の中間信号の各々が各フィルタに従って異なって処理されるように信号に固有のものとすることができる。
【0046】
図9は、補償フィルタを決定することを含むことのできる第一の方法の一例を一般的に示している。第一の方法900の一または二以上の部分はプロセッサ回路108または別の信号プロセッサを使用することができる。
【0047】
ブロック902において、第一の方法900は第一のラウドスピーカードライバ104およびマイクロフォン106に関する伝達関数基準情報を受信することを含むことができる。一例では、ブロック902は、例えば基準環境112において第一のラウドスピーカードライバ104の伝達関数Hspkを決定することまたは計算すること、およびマイクロフォン106の伝達関数Hmを決定することまたは計算することを含むことができる。一例では、伝達関数HspkまたはHmを決定することは基準環境112からの音響応答信号S_cに関する情報を使用すること、およびS_c/S_in=Hspk*Hmであるような入力信号S_inに関する情報を使用することを含むことができる。
【0048】
ブロック904において、第一の方法900はラウドスピーカーシステムの望ましい音響応答に関する情報を受信することを含むことができる。一例では、望ましい音響応答はユーザにより指定することができ、特定の場所または環境に固有のものとすることができる。例えば、望ましい音響応答は、例えば周波数固有または周波数帯域固有の音響エネルギーの増大または減衰を含むユーザが定義するラウドスピーカー応答を含むことができる。一例では、望ましい音響応答は上記で論じられた望ましい応答502を含むことができる。
【0049】
ブロック906において、第一の方法900は第一の入力信号、S_in_playback、および伝達関数基準情報を使用してラウドスピーカーシステムのシミュレーションされた応答を決定することを含むことができる。一例では、ブロック906はシミュレーションされた応答を決定するためにプロセッサ回路108を含むかまたは使用することができる。一例では、ラウドスピーカーシステム102のシミュレーションされた応答を表す計算された応答信号S_calcはしたがって任意の入力信号S_in_playback、ラウドスピーカー伝達関数Hspk、およびマイクロフォン伝達関数Hmの関数とすることができる。
【0050】
ブロック908において、第一の方法900は第一の入力信号S_in_playbackを第一のラウドスピーカードライバ104に提供すること、およびそれに応答してラウドスピーカーシステムが第一の環境にあるときにマイクロフォンから実際の応答を受信することを含むことができる。実際の応答は、例えば、ラウドスピーカーシステム102が再生環境204にあるときにマイクロフォン106を使用して受信された音響応答信号S_c_playbackを含むことができる。
【0051】
ブロック910において、第一の方法900は例えば望ましい音響応答を達成するかまたは提供するために再生環境204においてラウドスピーカーシステム102と共に使用するための補償フィルタHcompを決定することを含むことができる。一例では、補償フィルタは音響応答信号S_c_playbackおよびシミュレーションされた応答信号S_calcに関する情報を処理するためにプロセッサ回路108を使用して決定することができる。換言すると、補償フィルタはラウドスピーカーシステム102の決定されたシミュレーションされた応答およびラウドスピーカーシステム102の実際の応答に基づくことができる。シミュレーションされた応答および実際の応答は第一のラウドスピーカードライバ104に提供された同じ入力信号または刺激に基づくことができる。
【0052】
図10は、補償フィルタを適用することおよび更新することを含むことのできる第二の方法1000の一例を一般的に示している。一例では、第二の方法1000は例えばブロック910の後に第一の方法900に続くことができ、補償フィルタHcompを含むかまたは使用することができる。第二の方法1000の一または二以上の部分はプロセッサ回路108または別の信号プロセッサを使用することができる。
【0053】
ブロック1002において、第二の方法1000はラウドスピーカー駆動信号を生成するために補償フィルタHcompを後続の第二の入力信号S_in_subseqに適用することを含むことができる。一例では、後続の第二の入力信号S_in_subseqおよび第一の入力信号S_in_playback(例えば、ブロック906を参照)は同じオーディオプログラムの部分を含むことができ、異なるプログラムまたは異なるソースからの信号または情報を含むことができる。一例では、第一および後続の第二の入力信号は実質的に連続した信号の時間が隣接する部分を含む。ブロック1004において、第二の方法1000はラウドスピーカー駆動信号を第一のラウドスピーカードライバ104に提供することを含むことができる。すなわち、ブロック1004は補償フィルタHcompに従って処理またはフィルタリングされた後続の第二の入力信号S_in_subseqを含む第一のラウドスピーカードライバ104に駆動信号を提供することを含むことができる。
【0054】
ブロック1006において、第二の方法1000は例えばブロック1004において提供されたラウドスピーカー駆動信号に応答してラウドスピーカーシステムの後続の応答信号S_c_subseqを受信することを含むことができる。ブロック1006において受信された後続の応答信号はマイクロフォン106の入力において受信またはキャプチャすることのできる信号を含むことができる。後続の応答信号S_c_subseqは第一のラウドスピーカードライバ104に従って処理された後続の第二の入力信号S_in_subseq、マイクロフォン106の伝達関数Hm、および空間効果伝達関数Hr_playbackの関数として表すことができ、すなわち、S_c_subseq=S_in_subseq*Hspk*Hm*Hr_playbackである。
【0055】
ブロック1008において、第二の方法1000は望ましい音響応答を達成うるために補償フィルタHcompを更新することを含むことができる。更新された補償フィルタは、例えば第一の方法900の例によれば、例えば受信した後続の応答信号S_c_subseqに基づくことができる。補償フィルタHcompは定期的に、または一例では、ラウドスピーカーシステム102の再較正または調整が所望されるというユーザ入力または他の指示に応答して更新することができる。一例では、ブロック1008における補償フィルタの更新は例えば、イコライゼーションフィルタの値を調整すること、またはフィルタ係数を変更することあるいはフィルタを修正もしくは調整することを含むことができる。
【0056】
図11は、ラウドスピーカーシステム102の変化を決定することを含むことのできる第三の方法1100の一例を一般的に示している。一例では、第三の方法1100は例えばブロック910の例の後に第一の方法900に続くことができ、または第二の方法1000に続くことができ、補償フィルタHcompを含むかまたは使用することができる。第三の方法1100の一または二以上の部分はプロセッサ回路108または別の信号プロセッサを使用することができる。
【0057】
ブロック1102において、第三の方法1100はラウドスピーカーシステム102の向きの変化または環境の変化を決定することを含むことができる。一例では、ブロック1102はラウドスピーカーシステム102が移動し、したがって再生環境204等の環境に対してその位置が変化したかどうかを決定するため、またはラウドスピーカーシステム102が異なる環境にいつ再配置されるのか、もしくは再配置されるかどうかを決定するためにセンサ114から情報を含むかまたは使用することができる。一例では、センサ114からの情報は加速度計からの情報または別の位置もしくは場所センサからの情報を含むことができる。
【0058】
一例では、ブロック1102はラウドスピーカーシステム102の向きまたは位置の変化の大きさまたは量が指定されたシステム移動の閾値またはシステムの向き変化量閾値を満たすかまたは超えるかどうかを決定することを含むことができる。例えば、ラウドスピーカーシステム102の検出された回転または角度が指定された閾値回転限界を超えて変化する場合、第三の方法1100は第三の方法1100の後続のステップに従って進めることができる。しかしながら、ラウドスピーカーシステム102の検出された回転または角度が十分な量だけ変化しない場合、第三の方法1100は終了することができ、Hcomp等の以前に確立された補償フィルタは有効なままとすることができる。同様に、ラウドスピーカーシステム102の場所が指定された閾値距離よりも大きく変化する場合、第三の方法1100を進めることができる。
【0059】
一例では、第三の方法1100がブロック1102を超えて進むことのできる他の条件を確立することができる。例えば、向きの変化に関する情報はユーザにより提供することができ、またはラウドスピーカーシステム102はルーチンまたは予定されたシステム性能更新の一部として第三の方法1100を定期的に実行するように構成することができる。
【0060】
ブロック1104において、第三の方法1100は例えば図9の例において論じられたものと同じ第一の入力信号を使用してラウドスピーカーシステム102の後続の応答に関する情報を受信することを含むことができる。すなわち、ブロック1104は同じ第一の入力信号S_in_playbackを使用すること、それに応答してマイクロフォン106を使用して応答情報または信号をキャプチャすることを含むことができる。一例では、将来の補償フィルタHcomp_proを生成するために基準情報と共に後続の応答情報を使用することができる。
【0061】
ブロック1106において、第三の方法1100は以前に確立された補償フィルタ、例えばHcompを更新するかどうかを決定することを含むことができる。一例では、以前に確立された補償フィルタHcompを将来の補償フィルタHcomp_proと比較することができる。将来の補償フィルタHcomp_proが指定された閾値差量よりも大きいなど以前に確立されたフィルタとは異なる場合、例えば一または二以上の周波数帯域において第三の方法1100はブロック1108を継続することができる。
【0062】
ブロック1108において、将来の補償フィルタHcomp_proを含むかまたは使用するために使用中またはラウドスピーカーシステム102と共に使用するための補償フィルタを更新することができる。一例では、将来の補償フィルタHcomp_proは全ての音響スペクトルよりも少ないフィルタを表すことができる。例えば、Hcomp_proは比較的狭い周波数帯域に適用されるフィルタを表すことができ、または低周波数情報もしくは高周波数情報または別の指定された音響情報帯域を表すことができる。一例では、Hcomp等の使用中またはラウドスピーカーシステム102と共に使用するための補償フィルタの一部は将来の補償フィルタHcomp_proからの情報を使用して更新することができる。すなわち、以前に確立された補償フィルタHcompは将来の補償フィルタHcomp_proからの情報を使用して全体的または部分的に更新することができる。
【0063】
図12は、再生環境における望ましい応答を達成するためにラウドスピーカーシステム102と共に使用するための補償フィルタを決定することを含むことのできる第四の方法1200の一例を一般的に示している。一例では、第四の方法1200の一または二以上の部分はプロセッサ回路108または別の信号プロセッサを使用することができる。
【0064】
第四の方法1200の例は設計段階1214および再生段階1216を含むことができる。設計段階1214において、第四の方法1200は少なくともブロック1202を含むことができ、任意選択的にブロック1204をさらに含むことができる。ブロック1202において、第四の方法1200は第一のラウドスピーカードライバ104およびラウドスピーカーシステム102のマイクロフォン106の基準伝達関数を決定することを含むことができる。一例では、ブロック1202は第一のラウドスピーカードライバ104の伝達関数Hspkおよびマイクロフォン106の伝達関数Hmのうち一方または両方に関する情報を取得するために基準入力信号と共に基準環境112においてラウドスピーカーシステム102を使用することを含むことができる。
【0065】
ブロック1204において、第四の方法1200は基準結果を提供するために基準伝達関数を使用してオーディオ入力信号を処理することを含むことができる。一例では、ブロック1204におけるオーディオ入力信号はオーディオプログラムの一部を含むことができ、部分スペクトル信号または完全スペクトル信号を含むことができる。一例では、ブロック1204において処理されるオーディオ入力信号は入力信号S_in_playbackを含むことができ、基準結果は入力信号S_in_playbackならびに第一のラウドスピーカードライバ104およびマイクロフォン106のそれぞれの伝達関数HspkおよびHmの関数とすることができる。
【0066】
一例では、ブロック1206から1212は再生段階1216の一部を含むことができる。ブロック1206において、第四の方法1200は再生環境204にラウドスピーカーシステム102を提供することを含むことができる。ブロック1208において、第四の方法1200はオーディオ入力信号S_in_playbackを第一のラウドスピーカーに提供すること、それに応答してマイクロフォン106を使用してラウドスピーカーシステム102から応答信号S_c_playbackをキャプチャすることを含むことができる。
【0067】
ブロック1210において、第四の方法1200は再生環境204においてラウドスピーカーシステム102の望ましい音響応答を達成するために再生環境204においてラウドスピーカーシステム102と共に使用するための補償フィルタHcompを決定することを含むことができる。一例では、補償フィルタHcompはブロック1204において提供される基準結果に基づいて、および再生環境204におけるラウドスピーカーシステム102からのキャプチャされた応答信号S_c_playbackに基づいて計算または決定することができる。
【0068】
ブロック1212において、第四の方法1200は処理された信号を生成するために後続のオーディオ入力信号を処理するための補償フィルタHcompを使用すること、および処理された信号を第一のラウドスピーカードライバ104に提供することを含むことができる。一例では、後続のオーディオ信号は入力信号S_in_playbackと同じオーディオプログラムの一部を含む。すなわち、入力信号S_in_playbackおよび後続のオーディオ入力信号は連続したオーディオ信号の異なる部分とすることができる。
【0069】
図13は、マシン1300に本明細書で開示される方法論のうち任意の一または二以上を実行させるための命令1308(例えば、ソフトウェア、プログラム、アプリケーション、アプレット、アプリ、または他の実行可能なコード)を実行することのできるマシン1300の概略図である。例えば、命令1308はマシン1300に本明細書に開示される方法論のうち任意の一または二以上を実行させることができる。命令1308は一般的なプログラムされてないマシン1300を説明された方法で説明および図示された関数を実行するようにプログラムされた特定のマシン1300に変換することができる。
【0070】
一例では、マシン1300はスタンドアロンデバイスとして動作することができ、または他のマシンまたはデバイスまたはプロセッサに結合(例えば、ネットワーク化)することができる。ネットワーク展開において、マシン1300はサーバマシンもしくはクライアントマシンの能力で動作することができ、またはピアツーピア(または分散)ネットワーク環境においてはピアマシンとして動作することができる。マシン1300はサーバコンピュータ、クライアントコンピュータ、パーソナルコンピュータ(PC)、タブレットコンピュータ、ラップトップコンピュータ、ネットブック、セットトップボックス(STB)、PDA、エンタテイメントメディアシステム、携帯電話、スマートフォン、モバイルデバイス、ウェアラブルデバイス(例えば、スマートウォッチ)、スマートホームデバイス(例えば、スマート家電)、他のスマートデバイス、ウェブ家電、ネットワークルータ、ネットワークスイッチ、ネットワークブリッジ、またはマシン1300によりとられるアクションを特定する命令1308を順次または他の方法で実行することのできるマシンを備えることができる。さらに、単一のマシン1300のみが示されているが、「マシン」という用語は本明細書に開示される方法論のうち一または二以上を実行するために命令1308を個別にまたは共同で実施するマシンの集合を含むと解釈することができる。一例では、命令1308はメモリ回路110を使用して格納された命令を含むことができ、マシン1300はラウドスピーカーシステム102の例からのプロセッサ回路108を含むかまたは使用することができる。
【0071】
マシン1300はプロセッサ1302、メモリ1304、およびI/Oコンポーネント1342として図13の例に表されるような様々なプロセッサおよびプロセッサ回路を含むことができ、これらはバス1344を介して互いに通信するように構成することができる。一例では、プロセッサ1302(例えば、中央演算処理装置(CPU)、縮小命令セットコンピューティング(RISC)プロセッサ、複合命令セットコンピューティング(CISC)プロセッサ、グラフィックプロセッシングユニット(GPU)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、ASIC、無線周波数集積回路(RFIC)、別のプロセッサ、またはそれらの任意の好適な組合せ)は、例えば、命令1308を実行するプロセッサ1306およびプロセッサ1310を含むことができる。「プロセッサ」という用語は命令を同時に実行することのできる二またはそれよりも多くの独立したプロセッサ(「コア」と呼ばれることもある)を備えることのできるマルチコアプロセッサを含むことを意図している。図13は複数のプロセッサを示しているが、例えばプロセッサ回路108を提供するために、マシン1300は単一のコアを備える単一のプロセッサ、複数のコアを備える単一のプロセッサ(例えば、マルチコアプロセッサ)、単一のコアを備える複数のプロセッサ、複数のコアを備える複数のプロセッサ、またはそれらの任意の組合せを含むことができる。
【0072】
メモリ1304は例えばバス1344を介してプロセッサ1302にアクセス可能なメインメモリ1312、静的メモリ1314、またはストレージユニット1316を含むことができる。メモリ1304、静的メモリ1314、およびストレージユニット1316は本明細書に記載の方法または関数または処理のうち一または二以上を具現化する命令1308を格納することができる。命令1308はまた、完全にまたは部分的に、メインメモリ1312内、静的メモリ1314内、ストレージユニット1316内のマシン可読媒体1318内、少なくとも一つのプロセッサ内(例えば、プロセッサのキャッシュメモリ内)、またはマシン1300によるそれらの実行中のそれらの任意の好適な組合せに存在することができる。
【0073】
I/Oコンポーネント1342は入力を受信する、出力を提供する、出力を生成する、情報を送信する、情報を交換する、測定値をキャプチャする、等のための幅広い様々なコンポーネントを含むことができる。特定のマシンに含まれる固有のI/Oコンポーネント1342はマシンのタイプに依存し得る。例えば、携帯電話等のポータブルマシンはタッチ入力デバイスまたは他のそのような入力機構を含むことができるが、ヘッドレスサーバマシンはそのようなタッチ入力マシンを含まない可能性が高い。I/Oコンポーネント1342は図13に示されていない他の多くのコンポーネントを含むことができることを理解されたい。様々な例示の実施形態では、I/Oコンポーネント1342は出力コンポーネント1328および入力コンポーネント1330を含むことができる。出力コンポーネント1328は視覚コンポーネント(例えば、プラズマディスプレイパネル(PDP)発光ダイオード(LED)ディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、プロジェクタ、またはブラウン管等のディスプレイ)、音響コンポーネント(例えば、スピーカー)、触覚コンポーネント(例えば、振動モータ、抵抗機構)、他の信号発生器等を含むことができる。入力コンポーネント1330は英数字入力コンポーネント(例えば、キーボード、英数字入力を受信するように構成されたタッチスクリーン、光学キーボード、または他の英数字入力コンポーネント)、ポイントベース入力コンポーネント(例えば、マウス、タッチパッド、トラックボール、ジョイスティック、モーションセンサ、または別のポインティング機器)、触覚入力コンポーネント(例えば、物理的なボタン、タッチまたはタッチジェスチャの場所および/または力を提供するタッチスクリーン、または他の触覚入力コンポーネント)、オーディオ入力コンポーネント(例えば、マイクロフォン)等を含むことができる。
【0074】
一例では、I/Oコンポーネント1342は他の幅広い他のコンポーネントの中で、生体認証コンポーネント1322、動作コンポーネント1334、環境コンポーネント1336、または位置コンポーネント1338を含むことができる。例えば、生体認証コンポーネント1332は人間、ペット、または他の個人または物体の存在または不在を検出するように構成されたコンポーネント、表情(例えば、手の表情、顔の表情、声の表情、体のジェスチャ、または視線追跡)の検出、生体信号(例えば、血圧、心拍数、体温、発汗または脳波)の測定、人の識別(例えば、音声識別、網膜識別、顔識別、指紋識別、または脳波ベースの識別)等をするように構成されたコンポーネントを含む。動作コンポーネント1334は加速センサコンポーネント(例えば、加速度計)、重力センサコンポーネント、回転センサコンポーネント(例えば、ジャイロスコープ)等を含むことができ、センサ114を備えることができる。
【0075】
環境コンポーネント1336は例えば照明センサコンポーネント(例えば、光度計)、温度センサコンポーネント(例えば、周囲温度を検出する一または二以上の温度計)、湿度センサコンポーネント、圧力センサコンポーネント(例えば、気圧計)、音響センサコンポーネント(例えば、バックグラウンドノイズを検出する一または二以上のマイクロフォン)、近接センサコンポーネント(例えば、付近の物体を検出する赤外線センサ)、ガスセンサ(例えば、安全のため、または空気中の汚染物質を測定するために有害ガスの濃度を検出するためのガス検出センサ)、または周囲の物理環境に対応する表示、測定または信号を提供することのできる他のコンポーネントを含むことができる。位置コンポーネント1338は場所センサコンポーネント(例えば、GPS受信機コンポーネント、RFIDタグ等)、高度センサコンポーネント(例えば、高度を得ることのできる気圧を検出する高度計または気圧計)、方向センサコンポーネント(例えば、磁力計)等を含む。
【0076】
I/Oコンポーネント1342はマシン1300をカップリング1324およびカップリング1326を介してネットワーク1320またはデバイス1322にそれぞれ結合するように動作可能な通信コンポーネント1340を含むことができる。例えば、通信コンポーネント1340はネットワークインタフェースコンポーネントまたはネットワーク1320とインタフェースをとるための別の好適なデバイスを含むことができる。さらなる例では、通信コンポーネント1340は有線通信コンポーネント、無線通信コンポーネント、セルラー通信コンポーネント、ニアフィールド通信(NFC)コンポーネント、Bluetooth(登録商標)コンポーネント(例えば、Bluetooth低エネルギー)、Wi-Fi(登録商標)コンポーネント、および他のモダリティを介した通信を提供するための他の通信コンポーネントを含むことができる。デバイス1322は別のマシンまたは幅広い様々な周辺デバイス(例えば、USBを介して結合される周辺デバイス)のいずれかとすることができる。
【0077】
さらに、通信コンポーネント1340は識別子を検出することができるかまたは識別子を検出するように動作可能なコンポーネントを含むことができる。例えば、通信コンポーネント1340は無線周波数識別(RFID)タグリーダコンポーネント、NFCスマートタグ検出コンポーネント、光学リーダコンポーネント(例えば、統一商品コード(UPC)バーコード等の一次元バーコード、クイックレスポンス(QR)コード、Aztecコード、Data Matrix、Dataglyph、MaxiCode、PDF417、Ultra Code、UCC RSS-2D bar code、および他の光学コード等の多次元バーコード)または音響検出コンポーネント(例えば、タグ付けされたオーディオ信号を識別するためのマイクロフォン)を含むことができる。加えて、インターネットプロトコル(IP)ジオロケーションを介した場所、Wi-Fi信号三角測量を介した場所、または特定の場所を示すNFCビーコン信号の検出を介した場所等の、通信コンポーネント1340を介して様々な情報を得ることができる。
【0078】
様々なメモリ(例えば、メモリ1304、メインメモリ1312、静的メモリ1314、および/またはプロセッサ1302のメモリ)および/またはストレージユニット1316は本明細書に記載の方法論または関数のうち任意の一または二以上を具現化するかまたはそれにより使用される一または二以上の命令またはデータ構造(例えば、ソフトウェア)を格納することができる。これらの命令(例えば、命令1308)は、プロセッサまたはプロセッサ回路により実行されると本明細書で論じられる実施形態を実施するために様々な動作を引き起こす。
【0079】
命令1308はネットワーク1320を介して、伝送媒体を使用して、ネットワークインタフェースデバイス(例えば、通信コンポーネント1340に含まれるネットワークインタフェースコンポーネント)を介して、およびいくつかの周知の転送プロトコル(例えば、ハイパーテキスト転送プロトコル(HTTP))のうち任意の一つを使用して、送信または受信することができる。同様に、命令1308はカップリング1326(例えば、ピアツーピアカップリング)を介した伝送媒体を使用してデバイス1322に送信するか、またはそこから受信することができる。
【0080】
この文書において、「a」または「an」という用語は、特許文書において一般的であるように、「少なくとも一つ」または「一または二以上」の他の例または用法にかかわらず、一または一よりも多くを含むために使用される。この文書において、「または(or)」という用語は、特に明記されない限り、非排他的であることを指すため、または「AまたはB(A or B)」に「AであるがBではない(A but not B)」、「BであるがAではない(B but not A)」、および「AおよびB(A and B)」が含まれるように使用される。この文書において、「含む(including)」および「その中に(in which)」という用語は、それぞれ「備える(comprising)」および「ここで(wherein)」という用語の平易な英語と同等のものとして使用される。
【0081】
中でも、「できる(can)」、「してもよい(might)」、「し得る(may)」、「例えば(e.g.,)」等の本明細書で使用される条件付き言語は、特に明記されない限り、または使用される文脈において他の方法で理解されない限り、一般に、所定の実施形態が所定の特徴、要素および/または状態を含むが他の実施形態は含まないことを伝えることを意図している。したがって、そのような条件付き言語は一般に、特徴、要素および/または状態が一または二以上の実施形態に何らかの方法で必要であること、または一または二以上の実施形態が筆者の入力または催促の有無にかかわらずこれらの特徴、要素および/または状態が含まれるかまたは任意の特定の実施形態において実行されるか決定するための論理を必然的に含むことを示唆することを意図するものではない。
【0082】
上記の詳細な説明は様々な実施形態に適用される新規な特徴を示し、説明し、および指摘しているが、図示されたデバイスまたはアルゴリズムの形態および詳細の様々な省略、置換、および変更を行うことができることを理解されたい。認識されるように、本明細書に記載の発明の所定の実施形態はいくつかの特徴が他の特徴とは別に使用または実施することができるため本明細書に記載の特徴および利点の全てを提供しない形態の範囲内で具現化することができる。
【0083】
さらに、主題は構造上の特徴または方法または行為に固有の言語で説明されてきたが、添付の特許請求の範囲において定義される主題は必ずしも上記の特定の特徴または行為に限定されないことを理解されたい。むしろ、上記の特定の特徴および行為は特許請求の範囲を実施する例示的な形態として開示されている。
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