IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ レメット ユーケー リミテッドの特許一覧

特許7446311インベストメント鋳造シェルバインダー及び組成物
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-29
(45)【発行日】2024-03-08
(54)【発明の名称】インベストメント鋳造シェルバインダー及び組成物
(51)【国際特許分類】
   B22C 9/04 20060101AFI20240301BHJP
   C04B 35/636 20060101ALI20240301BHJP
   B28B 1/40 20060101ALI20240301BHJP
【FI】
B22C9/04 E
C04B35/636 500
B28B1/40 A
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2021536418
(86)(22)【出願日】2019-08-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-16
(86)【国際出願番号】 GB2019052376
(87)【国際公開番号】W WO2020044026
(87)【国際公開日】2020-03-05
【審査請求日】2022-08-22
(31)【優先権主張番号】1814136.6
(32)【優先日】2018-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】521085179
【氏名又は名称】レメット ユーケー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ドゥーリー,ギャビン
(72)【発明者】
【氏名】ブラッドリー,グラント
(72)【発明者】
【氏名】パラスジャック,ジョン スタンリー
(72)【発明者】
【氏名】ゲラ,マヌエル,ジュニア
【審査官】坂本 薫昭
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-534286(JP,A)
【文献】特開2010-265153(JP,A)
【文献】特表2014-500149(JP,A)
【文献】特開2018-065727(JP,A)
【文献】国際公開第2018/085560(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第103639359(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0105401(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22C 1/00,1/08,1/18,1/22,3/00,9/04
B28B 1/40
C04B 35/636
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インベストメント鋳造シェル組成物バインダーであって、平均直径が1nmより大きく且つ1μm未満の親水性フィブリルを含み、
前記親水性フィブリルは、0.1から0.3%のミクロフィブリル化セルロース(MFC)を含む、バインダー。
【請求項2】
前記親水性フィブリルが、10nmから1μm未満の間、50nmから500nmの間、又は100nmから300nmの間の平均直径を有する、請求項1に記載のバインダー。
【請求項3】
前記親水性フィブリルがセルロースフィブリルを含む、請求項1又は請求項2に記載のバインダー。
【請求項4】
前記親水性フィブリルがフィブリル化繊維を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載のバインダー。
【請求項5】
前記親水性フィブリルは、当該バインダーの総質量(total mass)に基づいて0.1重量%(wt%)から20重量%の量で存在する、請求項1からのいずれか一項に記載のバインダー。
【請求項6】
前記親水性フィブリルは、当該バインダーの総質量に基づいて0.1重量%から5重量%の量で存在する、請求項に記載のバインダー。
【請求項7】
前記親水性フィブリルは、当該バインダーの総質量に基づいて0.2重量%から4重量%の量で存在する、請求項に記載のバインダー。
【請求項8】
少なくとも1つの追加のポリマーをさらに含み、
前記少なくとも1つの追加のポリマーが、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、スチレン、ブタジエン、塩化ビニル、酢酸ビニル、及びそれらの組み合わせからなるリストから選択される1つ又は複数のモノマーを含む、請求項1からのいずれか一項に記載のバインダー。
【請求項9】
請求項1からのいずれか一項に記載のバインダー及び耐火性成分を含むインベストメント鋳造シェル組成物。
【請求項10】
請求項に記載の組成物であって、ここで、前記バインダー中の前記親水性フィブリルは、当該組成物の総質量(total mass)に基づいて0.01重量%(wt%)から1重量%、当該組成物の総質量に基づいて0.01重量%から0.5重量%、当該組成物の総質量に基づいて0.05重量%から0.2重量%、又は当該組成物の総質量に基づいて、0.05重量%から0.15重量%の量で存在する、組成物。
【請求項11】
ここで、前記耐火性成分は、リスト: 溶融シリカメッシュ120、溶融シリカメッシュ140、溶融シリカメッシュ170、溶融シリカメッシュ200、溶融シリカメッシュ270、溶融シリカメッシュ325、及びそれらの組み合わせ、から選択される溶融シリカを含む、請求項又は請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
請求項から11のいずれか一項に記載の組成物であって、ここで、前記耐火性成分は、広い分布の溶融シリカを含む、組成物。
【請求項13】
前記広い分布の溶融シリカは、85%の溶融シリカ50から80メッシュと15%の溶融シリカ120メッシュとの組み合わせを含む、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
請求項から13のいずれか一項に記載の組成物から調製されたインベストメント鋳造シェル。
【請求項15】
物品を作製するためのインベストメント鋳造方法であって、当該方法は、インベストメント鋳造シェルスラリーの少なくとも1つのコートで消耗性プリフォームをコーティングすることを含み、ここで、スラリーコートのうち少なくとも1つは、請求項から13のいずれか一項に記載のインベストメント鋳造シェル組成物を含む、インベストメント鋳造方法。
【請求項16】
第2の層以上のスラリーコートが、請求項から13のいずれか一項に記載のインベストメント鋳造シェル組成物を含む、請求項15に記載のインベストメント鋳造方法。
【請求項17】
前記少なくとも1つのスラリーコートのうちの1つ又は複数にスタッココートを塗布することをさらに含み、ここで、スラリーコート及び前記スタッココートは、シェル層を作成し、ここで、一度乾燥した各シェル層は、少なくとも1mmの厚さである、請求項15又は請求項16に記載のインベストメント鋳造方法。
【請求項18】
一度乾燥した各シェル層は、少なくとも1.1mmの厚さである、請求項17に記載のインベストメント鋳造方法。
【請求項19】
一度乾燥した各シェル層は、少なくとも1.2mmの厚さである、請求項17に記載のインベストメント鋳造方法。
【請求項20】
一度乾燥した各シェル層は、少なくとも1.3mmの厚さである、請求項17に記載のインベストメント鋳造方法。
【請求項21】
請求項1からのいずれか一項に記載のバインダー;及び
耐火性成分(component);
を含むインベストメント鋳造シェル組成物を調製するためのキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インベストメント鋳造シェル組成物バインダー、インベストメント鋳造シェル組成物、及びそれらの調製方法に関する。本発明はまた、物品を作製するためのインベストメント鋳造シェル及びインベストメント鋳造法に関する。本発明はまた、インベストメント鋳造組成物を調製するためのキットに関する。
【背景技術】
【0002】
ロストワックス、ロストパターン又は精密鋳造としても知られるインベストメント鋳造は、金属製品を製造するためのプロセスである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
当該プロセスは、典型的には、以下のステップ: (1)物品の使い捨てプリフォーム(例えば、ワックスで形成される)を準備するステップ;(2)前記プリフォームの周りにセラミック鋳造シェルを構築するステップ;(3)前記使い捨てプリフォームを取り外すステップ(例えば、脱ろうする);(4)前記鋳造シェルを焼結するステップ;(5)前記鋳造シェルに溶融金属を注ぐステップ;(6)前記鋳造シェル内で前記金属を冷却するステップ;及び(7)前記鋳造シェルを取り外すステップ;
を含む。
【0004】
ステップ(1)のプリフォームに好適な使い捨て材料には、前記鋳造シェルを無傷のままにしながら溶融、気化、又は燃焼するいずれの材料が含まれる。ポリスチレンや特定のポリマーも使用できるが、典型的にはワックスが使用される。
【0005】
ステップ(2)のセラミック鋳造シェルは、通常、プリフォームをインベストメント鋳造シェルスラリーに浸漬してプリフォーム上に1つ又は複数のシェル層を形成することにより、使い捨てプリフォームパターンの周囲に形成される。典型的には、インベストメント鋳造シェルスラリーは、耐火材料とバインダーの混合物から形成される。耐火材料は、アルミナ(Al)、シリカ(SiO)、ジルコン(ZrSiO)、アルミノケイ酸塩(AlSiO)で構成できる。バインダーは、アルコールベース又は水ベースであり得、且つ一般に、コロイド状シリカ又はケイ酸エチルを含む。典型的には、インベストメント鋳造シェル用のスラリー組成物は、75から80%の耐火材料及び20から25%のバインダーを含む。
【0006】
通常、各スラリーコーティングの後にスタッココーティングを施してシェル層を完成させる。シェル層が適用されたら、グリーンインベストメント鋳造シェルを空気乾燥させる。これらのステップを繰り返して、鋳造シェルが目的の厚さになるまで連続層を構築する。
【0007】
ステップ(3)での使い捨てプリフォームの取り外し、例えば脱ろうは、一般的に蒸気オートクレーブ又はフラッシュ焼成によって達成される。このステップの間に、使い捨てのプリフォームは、溶融、気化、又は燃え尽きて、物品のネガティブインプリントを有するグリーンシェルモールドを残す。
【0008】
ステップ(4)でのシェルの焼結(sintering)は、圧力によって又は焼成(firing)によって開始できる。ただし、従来は焼成が使用されていた。焼結はシェルをより高密度の塊(mass)に融合し、透過性を低下させ、且つシェルの強度を効果的に高める。
【0009】
次に、焼成されたシェルモールドは、ステップ(5)において溶融金属で満たされる。これは、重力充填、圧力充填、真空充填、及び/又は遠心力による充填を包含するさまざまな方法を使用して達成することができる。金属が冷却されると(ステップ(6))、鋳造シェルが分解され、鋳造された金属製品が残される(ステップ(7))。
【0010】
インベストメント鋳造シェルは弱い傾向があり、多段階インベストメント鋳造プロセス中に破損する傾向がある。例えば、シェルの故障は典型的には、使い捨て材料がシェル内に膨張するときのステップ(3)で、及び焼成されたシェルに溶融金属が注がれるときのステップ(5)で、並びにシェルが機器間で1つのステップから別のステップに移動するときに、処理中に、発生する。
【0011】
塗布するスラリーとスタッコの層数を増やすことでシェルの強度を向上させ、それにより、シェルの厚さを増やすことができる。ただし、別の層が最上部に形成される前に各層を十分に乾燥させる必要があるため、追加のスラリーコートごとにインベストメント鋳造プロセスの長さが長くなる。材料資源の
増加は、プロセスのコストも増加させる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1の態様は、インベストメント鋳造シェル組成物バインダーを提供し、ここで、前記バインダーは、約1nmから約1μmの間の平均直径を有する親水性フィブリルを含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、親水性フィブリルは、約1nmから約1μm未満の間、約10nmから約1μm未満、約20nmから約1μm未満、約10nmから約900nmの間、約20nmから約100nmの間、約50nmから約500nmの間、約50nmから約400nm、約50nmから約350nmの間、約100nmから約400nmの間、約100nmから約350nmの間、約100nmから300nmの間の平均直径、及びそのエンドポイントの組み合わせを有する。いくつかの実施形態では、親水性フィブリルは、約1μm未満、約900nm未満、約500nm未満、約400nm未満、約300nm未満の平均直径を有する。
【0014】
いくつかの実施形態では、親水性フィブリルは、約100nmから約100μmの間、約500nmから約100μmの間、約10μmから約100μmの間の平均長さを有する。親水性フィブリルは、約500nmから約4μmの間、又は約1μmから約3μmの間の平均長さを有し得る。
【0015】
いくつかの実施形態では、親水性フィブリルは、15以上、20以上、25以上、50以上のアスペクト比(長さ対幅の比)を有する。
【0016】
親水性という用語は、水への親和性を意味する。フィブリルの親水性は、フィブリルの分子構造によって決定され得る。例えば、親水性フィブリルは、水素結合供与に利用可能な-OH基を含み得る。親水性フィブリルはさらに水に不溶性であり得る。
【0017】
驚くべきことに、バインダー中に親水性フィブリルを含む組成物から調製されたインベストメント鋳造シェルは、一貫してより厚いコーティング層(例えば、最大30%厚い)及び増加した強度(例えば、シェルを破壊するために必要な最大40%多い力)を有するシェルをもたらすことが見出された。さらに、結果として得られたインベストメント鋳造シェルは、透過性が向上していることがわかった。シェルの透過性の増加は通常、シェルの強度の低下に関連しているため、強度と透過性の組み合わせは驚くべき結果であった。
【0018】
本発明の文脈における「透過性」は、ガスがシェルを通過する速度を指す。
透過性が低いと、空気がシェル内に閉じ込められ、溶融金属がシェルのキャビティを満たすのを妨げる可能性がある。また、高温でシェルに亀裂が生じる可能性もある。本発明の文脈における「多孔性(porosity)」という用語は、シェル内の空の(ボイド)スペースの割合を指す。高い多孔性のシェルは、必ずしも透過性が高いとは限らない。
【0019】
いくつかの実施形態では、親水性フィブリルは、セルロースフィブリルを含む。
【0020】
いくつかの実施形態では、親水性フィブリルは、天然源に由来、例えば、植物、動物、又は地質学的プロセスによって生成された天然繊維に由来し得る。天然繊維には、セルロース、キチン、キトサン、コラーゲン、ケラチン、皮膜(tunican)が含まれる。
【0021】
いくつかの実施形態では、親水性フィブリル、例えば、セルロースフィブリルは、樹木、野菜、テンサイ、柑橘系の果物、及びそれらの組み合わせからなるグループから選択された原材料に由来する。
【0022】
親水性繊維は、フィブリル化繊維から構成されるか、又はフィブリル化繊維として提供され得る。
【0023】
例えば、親水性フィブリルは、フィブリル化に供された1つ又は複数の繊維に由来し得る。「フィブリル化」という用語は、繊維をフィブリルに分割することを指す。天然繊維、合成繊維、又は再生繊維であり得る繊維のフィブリル化は、繊維表面の外部及び内部セグメントを主繊維構造から部分的に分離させる。フィブリルは、1つのセグメントによって主要な繊維構造に付着する可能性がある。フィブリルは、他のフィブリルに付着して、三次元ネットワークを形成し得る。フィブリル化は、いずれの既知の技術、例えば、機械的又は熱機械的、化学的、又はそれらの組み合わせを使用して達成することができる。有利には、フィブリルは、元の繊維と比較して、著しく大きな結合表面積を有する。
【0024】
代替の実施形態において、親水性フィブリルは、合成的に、又は他のいずれの既知の方法によって誘導又は形成され得る。
【0025】
いくつかの実施形態では、親水性フィブリルは、ミクロフィブリル化セルロース(MFC)を含む。セルロースナノファイバー(CNF)、ナノ結晶セルロース(NCC)、又はセルロースナノクリスタル(CNC)としても知られるミクロフィブリル化セルロース(MFC)は、アモルファス及び結晶領域を有するフィブリルの3次元ネットワークを含むセルロース材料である。フィブリル化プロセス(例えば、本明細書に記載される)を通して、セルロース繊維の外層が剥ぎ取られ、フィブリル束が露出し、それらが分離されて、大きな表面積を有する不溶性フィブリルの三次元ネットワークを形成する。絡み合ったセルロースフィブリルは、ミクロフィブリル化セルロース(MFC)として知られている。
【0026】
本発明の実施形態では、親水性フィブリルは非イオン性である。
【0027】
本発明の実施形態では、親水性フィブリルは、マツ、好ましくはトウヒからの木材パルプから作られる。
【0028】
本発明の実施形態において、親水性フィブリルは、親水性フィブリルを作製するために使用される供給原料中のセルロースと比較して修飾されていないセルロースを含む。
【0029】
本発明の実施形態において、親水性フィブリルは、酵素及び/又は機械的方法を使用して木材パルプを分解することによって作製される。
【0030】
本発明の文脈における「繊維」及び「フィブリル」という用語は、それらのサイズ及びアスペクト比によって区別される。繊維の直径はマイクロからミリスケールである一方、フィブリルの直径はナノメートルスケール、つまり1nmから1μmである。例えば、パルプ化セルロース繊維は、典型的には、2μmから80μmの範囲の直径、及び0.005mmから10mmの範囲の長さを有する。対照的に、ミクロフィブリル化セルロース(MFC)フィブリルの直径は1nmから1μmである。MFCの複雑な三次元構造のため、個々のフィブリルの長さを定義することは困難である。各フィブリルは他のフィブリルとネットワークを形成し、それらが一緒になって数マイクロメートルの長さを形成する可能性がある。
【0031】
いくつかの実施形態では、親水性フィブリルは、バインダーの総質量(mass)に基づいて約0.1重量%(wt%)から約20重量%、好ましくはバインダーの総質量に基づいて約0.1重量%から約5重量%の量、好ましくは、バインダーの総質量に基づいて約0.1重量%から約5重量%、バインダーの総質量に基づいて約0.2重量%から約4重量%、又は、バインダーの総質量に基づいて、0.2重量%から約0.4重量%の量で存在する。いくつかの実施形態では、親水性フィブリルは、バインダーの総質量に基づいて少なくとも約0.2重量%、バインダーの総質量に基づいて少なくとも約0.25重量%の量で存在する。いくつかの実施形態において、親水性フィブリルは、バインダーの総質量に基づいて最大で約0.5重量%、バインダーの総質量に基づいて最大で約0.45重量%、又はバインダーの総質量に基づいて最大で約0.4%の量で存在する。
【0032】
バインダーは、コロイド状シリカをさらに含み得る。いくつかの実施形態において、バインダーは、ケイ酸エチルを含み得る。有利には、コロイドからのシリカ粒子は、バインダー中の親水性フィブリルと水素結合を形成し得る。これは、インベストメント鋳造シェル用の堅牢なセラミックマトリックスの形成に貢献し、したがってシェルの構築と強度を向上させると考えられている。
【0033】
バインダーは、少なくとも1つの追加のポリマーをさらに含み得る。例えば、少なくとも1つの追加のポリマーは、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、スチレン、ブタジエン、塩化ビニル、酢酸ビニル、及びそれらの組み合わせからなるリストから選択される1つ又は複数のモノマーを含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの追加のポリマーはスチレンを含む。
【0034】
有利なことに、スチレンポリマーは、シェルに可撓性を与えることによって、増加したグリーン強度、すなわち耐破損性を提供することが見出された。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの追加のポリマーは、スチレンブタジエンコポリマーを含む。代替の実施形態では、少なくとも1つの追加のポリマーは、スチレンアクリレートコポリマーを含む。有利には、スチレンポリマーは、バインダー中の親水性フィブリルと水素結合を形成し得、したがって、シェルビルドの厚さ及び強度を改善し得る。
【0035】
少なくとも1つの追加のポリマーは、バインダーの総質量(mass)に基づいて、約0から約20重量%(wt%)、バインダーの総質量に基づいて約5から約15重量%、又は、バインダーの総質量に基づいて約10から約15重量%の量で存在し得る。一実施形態では、少なくとも1つの追加のポリマーは、バインダーの総質量に基づいて約12重量%の量で存在する。
【0036】
バインダーは、湿潤剤、消泡剤、pH調整剤、殺菌剤及び殺菌剤からなるリストから選択される少なくとも1つの追加の薬剤(agent)をさらに含み得る。
【0037】
界面活性剤としても知られる「湿潤剤」という用語は、表面張力を低下させることによって液体の拡散特性を高める化学物質を指す。インベストメント鋳造のシェルスラリーに湿潤剤を使用して、スラリーとワックスパターンとの間の接着性を向上させることができる。
【0038】
消泡剤(defoamer)としても知られる「消泡剤(anti-foam agent)」という用語は、液体中の泡の形成を低減又は防止する物質を指す。消泡剤は、インベストメントシェルスラリーに使用して気泡の形成を減らし、ワックスパターンへのスラリーの接着を改善し、最終製品の表面仕上げを改善することができる。
【0039】
バインダーのpHは、バインダーの特性に大きな影響を与える可能性がある。例えば、コロイダルシリカ粒子は、約10のpHで負に帯電している。9.0未満のpHレベルでは、コロイダルシリカ粒子がゲル化し始める可能性があるため、pH9.4以上のpHが好ましい。したがって、pH調整剤は、バインダーのpHを制御するのに使用することができる。
【0040】
殺生物剤とも呼ばれる「殺菌剤(bactericide)」という用語は、細菌の増殖を低減又は防止する化学物質を指す。「殺カビ剤(fungicide)」という用語は、真菌の成長を低減又は防止する化学物質を指す。インベストメント鋳造シェルスラリー中の細菌及び真菌の増殖は、pHを低下させてゲル化を引き起こす可能性があり、これによりインベストメント鋳造組成物の貯蔵寿命が短くなり、結果として生じるシェルが弱くなる。
【0041】
本発明の第2の態様は、本明細書に記載のバインダー及び耐火性成分を含むインベストメント鋳造シェル組成物を提供する。組成物は、スラリーとして提供することができる。「スラリー」という用語は、溶媒に懸濁された固体粒子を含む半液体混合物を指す。本発明の文脈において、インベストメント鋳造スラリーは、インベストメント鋳造シェルを構築するために、使い捨てプリフォームパターンをプリフォームの周りに層を形成するために浸漬する組成物を指す。
【0042】
いくつかの実施形態では、バインダーは、組成物の総質量(mass)に基づいて20重量%(wt%)から40重量%の濃度で組成物中に存在する。バインダーは、水又はアルコール中のコロイド溶液(ゾル)として提供され得る。
【0043】
いくつかの実施形態では、バインダー中の親水性フィブリルは、組成物の総質量(mass)に基づいて、約0.01重量%(wt%)から約1重量%、組成物の総質量に基づいて約0.01重量%から約0.5重量%、組成物の総質量に基づいて約0.05重量%から約0.2重量%、又は、組成物の総質量に基づいて、約0.05重量%から約0.15重量%の量で存在する。
【0044】
スラリーの粘度を作業不能と予想されるレベルまで大幅に増加させたにもかかわらず、驚くべきことに、MFCにはチキソトロピー効果があり、予想よりも高いレベルで組み込むことができることがわかった。
【0045】
耐火性成分は、以下: 溶融シリカ(SiO)、アルミノケイ酸塩(AlSiO)、アルミナ(Al)、ケイ酸ジルコニウム(ZrSiO)、マイクロシリカ、ジルコニア(ZrO)、ジルコン(ZrSiO)、イットリア(Y)、石英、炭素、及びそれらの組み合わせ、からなるリストから選択される少なくとも1つを含み得る。
【0046】
耐火性成分は、メッシュ120、メッシュサイズ140、メッシュ170、メッシュ200、メッシュ270、メッシュ325、又はそれらの組み合わせの溶融シリカを含み得る。
【0047】
いくつかの実施形態では、耐火成分は、約5μmから約15μmの範囲のd10値を含む粒子サイズ分布、、約35μmから約55μmの範囲のd50値、及び約90μmから約110μmの範囲のd90値、約10μmから約15μmの範囲のD[3,2]値及び約40μmから約60μmの範囲のD[4,3]値を有する溶融シリカを含む。
【0048】
d10値は、粒子の10%が所定の値よりも小さくなる直径を示し、d50値は、粒子の50%が所定の値よりも小さくなる直径を示し、且つd90値は、粒子の90%が指定された値よりも小さくなる直径を指す。D[3,2]は表面の平均直径を示し、D[4,3]は体積の平均直径を示す。
【0049】
代替の実施形態では、耐火性成分はアルミノケイ酸塩を含む。いくつかの実施形態では、耐火性成分は、か焼(calcined)カオリンアルミノケイ酸塩を含む。
【0050】
一実施形態では、耐火成分は、約9μmのd10、約46μmのd50及び約99μmのd90、約12μmのD[3,2]及び約57μmのD[4,3]のパラメータを含む粒子サイズ分布を含む。
【0051】
一実施形態では、耐火成分は、約5μmのd10、約31μmのd50、約99のd90、約12μmのD[3,2]及び約43μmのD[4,3]のパラメータを含む粒子サイズ分布を含む。
【0052】
代替の実施形態では、耐火成分は、広範囲に分布する溶融シリカを含む。広範囲に分布する溶融シリカ粉(flour)は、ある量の微細なシリカ粒子をある量のより大きなシリカ粒子と組み合わせることによって調製することができる。例えば、広範囲に分布するシリカ粉は、50から0メッシュのシリカ(平均サイズが約200ミクロン)の80%から90%、及び120メッシュのシリカ(平均サイズが約125ミクロン)の10から20%から構成され得る。
【0053】
シリカメッシュ200、シリカメッシュ270、及び85%50-80メッシュと15% 120メッシュ(EZ Cast(登録商標)、Remet UK Ltd)を含む広範囲に分布する粉(flour)の粒度分布も図15に示されている。
【0054】
本明細書に記載のバインダーと組み合わせて広い粒子分布を有する耐火物成分を使用すると、狭い粒子サイズ分布を有する耐火物を使用する場合と比較して、改善されたシェル構築及びより高い強度を有するインベストメント鋳造シェルがもたらされることが見出された。
【0055】
本発明の第3の態様は、本明細書に記載のインベストメント鋳造シェル組成物から調製されたインベストメント鋳造シェルを提供する。
【0056】
本発明の第4の態様は、インベストメント鋳造シェル組成物を調製する方法を提供する。当該方法は、以下:
i)親水性フィブリルを水性溶媒中で混合すること;
(ii)バインダーを形成するため、(i)における混合物を、コロイダルシリカを含む容器に添加すること;
(iii)オプションで、ポリマー、消泡剤、pH調整剤、殺菌剤及び殺カビ剤を含む1つ又は複数の追加の薬剤をバインダーに添加すること;
(iv)スラリーを形成するため、前記バインダーを耐火成分と混合すること;
を含む。
【0057】
本発明の第5の態様は、物品を作成するためのインベストメント鋳造法を提供する。当該方法は、使い捨てプリフォームをインベストメント鋳造シェルスラリーの少なくとも1つのコートでコーティングすることを含み、ここで、スラリーコートの少なくとも1つは、本明細書に記載のインベストメント鋳造シェル組成物を含む。
【0058】
いくつかの実施形態では、第2層以上(例えば、バックアップ層)のスラリーコートは、本明細書に記載のインベストメント鋳造シェル組成物を含む。例えば、スラリーコートは、本明細書に記載のインベストメント鋳造シェル組成物にプリフォームを浸漬することによって形成することができる。いくつかの実施形態では、第1のスラリーコート(例えば、プライムコート)は、本明細書に記載のインベストメント鋳造シェル組成物を含まない。すなわち、第1のスラリーコートは、異なる既知のプライムコート組成物を含む。
【0059】
いくつかの実施形態では、当該方法は、少なくとも1つのスラリーコートのうちの1つ又は複数をスタッコ加工(stuccoing)することをさらに含む。ここで、スラリーコート及びスタッコ加工によって生成されたスタッココートは、シェル層を作成し、ここで、一度乾燥された各シェル層は、少なくとも1mmの厚さ、好ましくは少なくとも1.1mmの厚さ、より好ましくは、少なくとも1.2mmの厚さ、さらにより好ましくは、少なくとも1.3mmの厚さである。いくつかの実施形態では、インベストメント鋳造シェルモールドの最終層は、スタッココートを含まない。
【0060】
いくつかの実施形態では、当該方法は、インベストメント鋳造シェル組成物の少なくとも2層、少なくとも3層、少なくとも4層、少なくとも5層、少なくとも6層を適用することを含む。いくつかの実施形態では、当該方法は、インベストメント鋳造シェル組成物の最大7層、最大6層、最大5層、最大4層、最大3層を適用することを含む。
【0061】
当該方法は、後続の層を適用する前に各層を乾燥させるステップをさらに含み得る。当該方法は、てグリーンインベストメント鋳造シェルを製造するため、コーティングされたプリフォームを乾燥させるステップをさらに含み得る。
【0062】
有利には、本発明のインベストメント鋳造シェル組成物は、従来の組成物と比較してより厚いシェル層をシェルに提供し、同じシェルビルド厚さに到達するために必要な層はより少ない。したがって、シェルの構築時間が大幅に短縮され、時間とコストを節約できる。本発明のインベストメント鋳造シェル法は、強度及び汎用性が改善されたインベストメント鋳造シェルをさらに提供する。
【0063】
当該方法は、焼成されたインベストメント鋳造シェルモールドを製造するため、グリーンインベストメント鋳造シェルモールドを加熱するステップをさらに含み得る。当該方法は、消耗可能なプリフォームパターンを溶融材料、例えば溶融金属で置き換えるステップをさらに含み得る。当該方法は、物品を製造するため、インベストメント鋳造シェルモールド内で溶融材料を固化させるステップをさらに含み得る。
【0064】
「プライムコート」又はプライム層は、使い捨てプリフォームパターンの周りに形成されるインベストメント鋳造シェルの第1の層を指す。プライムコートは、インベストメント鋳造スラリーのコートをプリフォームに塗布し、オプションでその後にスタッココートを塗布することによって形成される。プライムコートは使い捨てプリフォームへの良好な接着性を備えている必要がある。これにより、正確なパターンモールドが作成され、注入中の溶融金属との反応に抵抗である。このため、プライムコート用のスラリーは、後続のバックアップコート及びシールコート用のスラリーとは異なる組成を含み得る。
【0065】
あるいは、プライムコートは、バックアップコート又はシールコートと同じ組成物を含み得る。「パターンウォッシュ」と呼ばれることもある溶剤を使用して、第1のスラリーコートを塗布する前にワックスパターンを洗浄することができる。パターンウォッシュを使用すると、ワックスに残っている可能性のある汚れや残留離型剤を除去することで、スラリーのワックス表面への付着を促進する。パターンウォッシュは石油ベースの場合がある。
【0066】
「バックアップコート」又はバックアップ層という用語は、インベストメント鋳造シェルの構造を構築するためにプライムコートの上に塗布されるスラリーの層を指す。バックアップコートは、インベストメント鋳造スラリーのコートを下にあるプライムコート又はバックアップコートに塗布し、オプションでその後にスタッココートを塗布することによって形成される。「シールコート」又はシール層という用語は、インベストメント鋳造シェルの最終的な外層を指す。シールコートは、下にあるバックアップコートの上にインベストメント鋳造スラリーのコートを塗布することによって形成される。スタッコは通常、シールコートには塗布されない。
【0067】
「スタッコ」という用語は、骨材で作られた材料を指す。スタッコは、シリカ、アルミナ、ジルコン、アルミノケイ酸塩、ムライト及び/又はクロマイトを含み得る。
【0068】
本発明の第6の態様は、以下: 本明細書に記載のインベストメント鋳造シェル組成バインダー;及び耐火性コンポーネント;を含むインベストメント鋳造シェルを調製するためのキットを提供する。有利には、本発明のバインダーは、良好な安定性及び貯蔵寿命を有し、したがって、エンドユーザーが耐火性コンポーネントと直接組み合わせることができる形式で包装及び販売することができる。特に、MFCを含む本発明のバインダーは、良好な化学的安定性を有することが見出され、例えば、加速ゲル試験に供された場合(60℃のオーブンで密閉ボトルに入れて保持)、スラリーのバインダー成分のゲル化は、少なくとも71日後には起こらなかった。MFCを含むバインダーも、良好な物理的安定性を持ち、分離することなく良好な分布を維持することがわかった。これは、わずか数時間後に分離が観察されるマクロスケール繊維を含むバインダーとは対照的である。
【0069】
インベストメント鋳造シェルの性能試験
インベストメント鋳造プロセス中、インベストメント鋳造シェルは高い内圧と熱応力にさらされる。例えば、シェルは、ワックスの除去に耐えるのに十分なグリーン強度、鋳造金属の圧力に耐えるのに十分な焼成強度、金属注入時の割れを防止する高い耐熱衝撃性、高い化学的安定性、鋳造される金属との低い反応性、金型を介した適切な熱伝達を維持するのに十分な透過性と熱伝導率を備えている必要がある。
【0070】
グリーンシェルテストは、取り扱いに耐えるシェルの能力、及び使い捨てプリフォームを取り外すプロセス(例えば「脱ろう」)を確立するために実行される。プリフォームとして、例えばワックスは溶け始め、シェルにも膨張し、したがって、シェルは、プロセスの次の段階でその形状と強度を維持するのに十分な強度が必要である。本発明のバインダーのポリマー成分によって付与される可撓性は、ロストワックス鋳造プロセスのこの段階で特に有益である。
【0071】
ホットシェルテスト(つまり、約1000℃で焼成した後にシェルをテストする場合)は、溶融金属が空のシェルに注がれるときにロストワックスプロセス中にシェルの状態を再現するために実行される。この段階は通常、約1000℃の温度の炉で行われ、その温度でシェルに含まれる有機物はすべて燃え尽きる。シェルは、炉内の高温、並びに溶融金属がシェルに注がれるときの衝撃によって引き起こされる機械的歪みに耐えるのに十分な強度が必要である。
【0072】
コールドシェルテストは、シェルが冷却され、封入された金属が固化した後、ロストワックス鋳造プロセスの最後にシェルの状態を再現するために実行される。この段階のシェルは寿命が尽きたので、もはや高強度を必要とせず、理想的にはよりもろくなり、鋳造された金属パターンからより簡単に切り離すことができる。
【0073】
シェルの機械的試験は、インベストメント鋳造プロセス中にインベストメント鋳造シェルがどのように機能するかを確立するために特に重要であることが理解されよう。
【0074】
破壊係数(modulus of rupture)(MOR)は、曲げ強度、曲げ強度、又は破壊強度とも呼ばれ、材料が降伏(破損)する直前に曲げられたときの材料の応力として定義される。MORは通常、メガパスカル(MPa)、つまり1mの材料を破壊するのに必要な力(N)、で測定される。MORの一般式は次のとおり:
MOR=3WL/2BD
式中、Wは荷重、Lはスパン(pan)、Bは幅、且つDは厚さである。したがって、理論的には、シェル材料の強度(MOR)は厚さに依存せず、且つ関連する材料と処理の特性のみに依存する必要がある。
【0075】
破壊力は、破壊強度とも呼ばれ、材料を破壊するために必要な圧縮荷重として定義される。この測定値は、インベストメント鋳造シェルにとって特に重要である。これは、シェルが破損する前に耐えることができる負荷を示すためです。鋳造のために溶融金属がシェルに注がれるときの漏れや故障を防ぐために、高い破壊力が重要である。
【0076】
厚さが異なるため、MORは断面積あたりの測定値であるが、より厚いサンプルに欠陥が存在する傾向があるため、同じ材料のサンプルではMORが低く見える場合がある。したがって、破壊力は、鋳造シェルの強度のより正確な尺度である。
【図面の簡単な説明】
【0077】
本発明は、以下の添付の図面を参照して説明される。
図1図1は、MFCを含まないスラリーから調製された従来のシェルと比較した、2つの異なる粘度でバインダーとして0.1%及び0.2%のMFCを含むスラリーから調製されたシェルの破壊係数(MOR)の結果を示すグラフである[n=10]。 図面中の対訳: No MFC MFCなし;MFC binder MFC バインダー;Green グリーン;Hot ホット;Cold コールド;[宮崎副所長1]
図2図2は、バインダーとして0.1%及び0.2%のMFCを含むスラリーから調製されたシェルのシェルの厚さを、MFCを含まないスラリーから調製された従来のシェルと比較したグラフである[n=10]。 図面中の対訳: Thickness 厚さ;No MFC MFCなし;MFC binder MFC バインダー;Green グリーン;Hot ホット;Cold コールド;
図3図3は、バインダーとして0.1%及び0.2%のMFCを含むスラリーから調製されたシェルの、MFCを含まないスラリーから調製された従来のシェルと比較した破壊力の結果を示すグラフである[n=10]。 図面中の対訳: Load 荷重;No MFC MFCなし;MFC binder MFC バインダー;Green グリーン;Hot ホット;Cold コールド;
図4図4は、バインダーとして0.3%のMFCを含むスラリーから調製された6又は9のシェル層を含むシェルの破壊係数(MOR)の結果を、MFCを含まないスラリーから調製された従来のシェルと比較して示すグラフである[n=10]。 図面中の対訳: No MFC MFCなし;MFC binder MFC バインダー;Green グリーン;Hot ホット;Cold コールド;
図5図5は、バインダーとして0.3%のMFCを含むスラリーから調製された6又は9のシェル層を含むシェルのシェル厚さを、MFCを含まないスラリーから調製された従来のシェルと比較したグラフである[n=10]。 図面中の対訳: Thickness 厚さ;No MFC MFCなし;MFC binder MFC バインダー;Green グリーン;Hot ホット;Cold コールド;
図6図6は、バインダーとして0.3%のMFCを含むスラリーから調製された6又は9のシェル層を含むシェルの破壊力の結果を、MFCを含まないスラリーから調製された従来のシェルと比較したグラフである[n=10]。 図面中の対訳: Load 荷重;No MFC MFCなし;MFC binder MFC バインダー;Green グリーン;Hot ホット;Cold コールド;
図7図7は、MFCを含まないスラリーから調製された従来のシェルと比較して、バインダーとして0.4%のMFCを含むスラリーから調製された3又は4のシェル層を含む1000℃で焼成されたシェルのシェル厚さを比較するグラフである[n=4]。 図面中の対訳: Thickness 厚さ;No MFC MFCなし;MFC in binder バインダー中のMFC;Coats コート;
図8A図8Aは、MFCを含まないスラリーから調製された従来のシェルと比較した、1000℃でのバインダーとして0.1%、0.2%及び0.3%のMFCを含むスラリーから調製されたホットシェルの透過性を示すグラフである[n=5]。 図面中の対訳: Thickness 厚さ;No MFC MFCなし;MFC binder MFCバインダー;Coats コート;
図8B図8Bは、MFCを含まないスラリーから調製された従来のシェルと比較した、1000℃での焼成後の室温でのバインダーとして0.1%、0.2%、及び0.3%のMFCを含むスラリーから調製されたコールドシェルの透過性を示すグラフである[n=5]。 図面中の対訳: No MFC MFCなし;MFC in binder バインダー中のMFC;
図9図9は、0%MFC、0.3%MFC及び0.3%ナイロン繊維を有するバインダーシステムを有するスラリーから調製されたシェルの破壊係数(MOR)の結果を示すグラフである[n=10]。図面中の対訳: Nylon Fibre ナイロンファイバー;Green グリーン;Hot ホット;Cold コールド;
図10図10は、0%MFC、0.3%MFC及び0.3%ナイロン繊維を有するバインダーシステムを有するスラリーから調製されたシェルのシェル厚さを示すグラフである[n=10]。 図面中の対訳: Thickness 厚さ;Nylon Fibre ナイロンファイバー;Green グリーン;Hot ホット;Cold コールド;
図11図11は、0%MFC、0.3%MFC及び0.3%ナイロン繊維を有するバインダーシステムを有するスラリーから調製されたシェルの破壊力の結果を示すグラフである[n=10]。 図面中の対訳: Force 力;Nylon Fibre ナイロンファイバー;Green グリーン;Hot ホット;Cold コールド;
図12図12は、それぞれ12%、6%、3%及び0%のスチレンポリマーに加えて、0.3%のMFCを有するバインダーシステムを有するスラリーから調製されたシェルの破壊係数(MOR)の結果を示すグラフである[n=10]。 図面中の対訳: Polymer ポリマー; Green グリーン;Hot ホット;Cold コールド;
図13図13は、それぞれ12%、6%、3%及び0%のスチレンポリマーに加えて、0.3%のMFCを有するバインダーシステムを有するスラリーから調製されたシェルのシェルの厚さを比較するグラフである[n=10]。 図面中の対訳: Thickness 厚さ;Polymer ポリマー; Green グリーン;Hot ホット;Cold コールド;
図14図14は、それぞれ12%、6%、3%及び0%のスチレンポリマーに加えて、0.3%のMFCを有するバインダーシステムを有するスラリーから調製されたシェルの破壊力の結果を示すグラフである[n=10]。 図面中の対訳: Force 力;Polymer ポリマー;Green グリーン;Hot ホット;Cold コールド;
図15図15は、さまざまな溶融シリカ耐火物の粒子サイズ分布、200メッシュ、270メッシュ、及び広範囲に分布する溶融シリカ耐火物、の比較を示す 図面中の対訳: 。%Volume %体積;Size サイズ;mesh メッシュ;
図16図16は、MFCを含まないスラリーから調製された従来のシェルと比較した、バインダーとして0.3%のMFCを含むスラリーから調製されたシェルの破壊係数(MOR)の結果に対する耐火材料の影響を示す[n=10]。 図面中の対訳: No MFC MFCなし;mesh メッシュ;silica シリカ;wide distribution 広い分布の;Green グリーン;Hot ホット;Cold コールド;
図17図17は、MFCを含まないスラリーから調製された従来のシェルと比較した、バインダーとして0.3%のMFCを含むスラリーから調製されたシェルのシェル厚に対する耐火材料の影響を示す[n=10]。 図面中の対訳: Thickness 厚さ;mesh メッシュ;silica シリカ;wide distribution 広い分布の;Green グリーン;Hot ホット;Cold コールド;
図18図18は、MFCを含まないスラリーから調製された従来のシェルと比較した、バインダーとして0.3%のMFCを含むスラリーから調製されたシェルの破壊力の結果に対する耐火材料の影響を示す[n=10]。 図面中の対訳: Force 力;mesh メッシュ;silica シリカ;wide distribution 広い分布の;Green グリーン;Hot ホット;Cold コールド;
図19図19は、さまざまなバインダーシステムの粘度に対するMFCの影響を示す。 図面中の対訳: Viscosity 粘度;No MFC MFCなし;Binder System バインダーシステム;
図20図20は、さまざまなバインダーシステムのレオロジーに対するMFCの影響を示す。 図面中の対訳: Viscosity 粘度;Shear rate せん断速度;Binder バインダー;
図21図21は、異なるスチレンポリマーを含むバインダーシステムを含むスラリーから調製されたシェルのシェルの厚さを、MFCを含まないスラリーから調製された従来のシェルと比較したグラフである[n=10]。 図面中の対訳: Thickness 厚さ;No MFC MFCなし;Styrene polymer スチレンポリマー;Green グリーン;Hot ホット;Cold コールド;
図22図22は、MFCを含まないスラリーから調製された従来のシェルと比較した、異なるスチレンポリマーを含むバインダーシステムを含むスラリーから調製されたシェルの破壊力の結果を示すグラフである[n=10]。 図面中の対訳: Load 荷重;Styrene polymer スチレンポリマー;Green グリーン;Hot ホット;Cold コールド;
図23図23は、フィブリルスラリー、MFCスラリー、及びfHDPEスラリーを使用せずに作成したシェルのMOR結果を示す[n=10]。 図面中の対訳: No fibrils フィブリルなし;Green グリーン;Hot ホット;Cold コールド;
図24図24は、フィブリルスラリー、MFCスラリー、及びfHDPEスラリーを使用せずに作成したシェルの厚さの結果を示す[n=10]。 図面中の対訳: Thickness 厚さ;No fibrils フィブリルなし;Green グリーン;Hot ホット;Cold コールド;
図25図25は、フィブリルスラリー、MFCスラリー、及びfHDPEスラリーを使用せずに作成したシェルの破壊力の結果を示す[n=10]。 図面中の対訳: Load 荷重;No fibrils フィブリルなし;Green グリーン;Hot ホット;Cold コールド;
図26図26は、さまざまなバインダーシステムのせん断速度に依存する粘度に対するfHDPE又はMFCの添加の影響を示す。 図面中の対訳: Viscosity 粘度;Shear rate せん断速度;Binder system バインダーシステム;
図27図27は、さまざまなバインダーシステムのせん断応力とせん断速度との関係に対するfHDPE又はMFCの添加の影響を示す。 図面中の対訳: Viscosity 粘度;Shear rate せん断速度;Binder system バインダーシステム;
【発明を実施するための形態】
【0078】
実施例
実施例例1 インベストメント鋳造シェル組成の配合(formulations)
1.1 シェルルーム試験の配合
表1
【表1】
* Lipaton SB 5843は、同量のAdbond(登録商標)BV(Remet Corporation)と置き換えることができる。
^ Burst 100は、同量のFumexol(登録商標)(Huntsman Textile Effect)に置き換えることができる。
表中の対訳: Ingredients 構成成分;Conventional (no MFC) 従来の(MFCなし);Example formulation 実施例配合物;[宮崎副所長2]
実施例配合物;
【0079】
1.2 実験室規模の試験のための配合
1.2.1 耐火物としての200メッシュの溶融シリカ
表2
【表2】
* Lipaton SB 5843は、同量のAdbond(登録商標)BV(Remet Corporation)と置き換えることができる。
^ Burst 100は、同量のFumexol(登録商標)(Huntsman Textile Effect)に置き換えることができる。
# Wet-in(登録商標)は、同量のVictawet(登録商標)12(ILCO Chemie)と置き換えることができる。
表中の対訳: Ingredients 構成成分;Conventional (no MFC) 従来の(MFCなし);Example formulation 実施例配合物;
【0080】
1.3 耐火物としての広域分布シリカ(WDS)
表3
【表3】
* Lipaton SB 5843は、同量のAdbond(登録商標)BV(Remet Corporation)と置き換えることができる。
^ Burst 100は、同量のFumexol(登録商標)(Huntsman Textile Effect)に置き換えることができる。
# Wet-in(登録商標)は、同量のVictawet(登録商標)12(ILCO Chemie)と置き換えることができる。
表中の対訳: Ingredients 構成成分;Conventional (no MFC、WDS) 従来の(MFC、WDSなし);Example formulation 実施例配合物;Ingredients 構成成分;Conventional (no MFC) 従来の(MFCなし);Example formulation 実施例配合物;fused silica 溶融シリカ;colloidal silica コロイダルシリカ;Biocide 殺生物剤;wetting agent 湿潤材;anti-foaming agent 消泡剤;microfibrillated culluose MFC;
【0081】
1.3 倉庫規模の試験用のバインダー配合
表4
【表4】
* Lipaton SB 5843は、同量のAdbond(登録商標)BV(Remet Corporation)と置き換えることができる。
^ Burst 100は、同量のFumexol(登録商標)(Huntsman Textile Effect)に置き換えることができる。
表中の対訳: Ingredients 構成成分;Example formulation 実施例配合物;colloidal silica コロイダルシリカ;deionised water 脱イオン水;Biocide 殺生物剤;wetting agent 湿潤材;anti-foaming agent 消泡剤;microfibrillated culluose MFC;
【0082】
1.4 粘度調整
各試験スラリーの粘度は、ザーンカップを使用して測定した(#4)。カップのサンプリング端が浸漬後にサンプルの表面を破壊したときにタイミングを開始し、スラリーの流れの最初の決定的な破壊がサンプリングカップの底部で観察されたときに停止した。テストの前に、各スラリーの粘度を25秒に調整した(特に指定のない限り)。粘度調整は、(粘度を下げるため)脱イオン水を加えることによってか、(粘度を上げるため)スラリーから水を蒸発させることによって実行された。
【0083】
実施例2 破壊係数(MOR)、シェルビルドの厚さ、及び破壊力
2.1 シェルルームトライアル(0.1%及び0.2%MFCバインダー)
2.1.1 サンプル調製
実施例スラリー配合物1及び2は、表1に記載されているように調製された。各スラリーは、それぞれ25秒及び30秒の粘度で試験された。
【0084】
5本のワックスバー(25mmx150mm)をパターン洗浄液に浸し、水ですすぎ、温度制御された部屋(気流0.6m/s、湿度45%RH、温度25℃)で乾燥させた。次に、表5に記載された浸漬プロトコルに従って、各バーを試験スラリー組成物に浸漬して、シェルを形成した。合計9つのスラリーコートが各ワックスバーに塗布された。最初の8コートの後には、それぞれスタッココートが続いた。各層(スラリー+スタッコ)を約1時間乾燥させた後、さらに最上部にコーティングを施した。シェルテスト用のワックスパターンにはプライムコートは塗布されていない。
表5
【表5】
表中の対訳: Type of dip 浸漬タイプ;Backup coat バックアップコート;Seal coat シールコート;Stucco used 使用スタッコ;None なし;coats コート;
【0085】
MOR、厚さ、及び破壊力の測定は、緑色(風乾)、ホット(hot)(1000℃での焼成(firing)直後)、及びコールド(cold)(焼成後に室温に冷却された後)のときに、コーティングされた各ワックスバーで実行された。
【0086】
2.1.2 方法
テストは、BSI BS 1902-4.4:1995及びBS EN 993-6:1995に従って実施された。各ワックスバーの上部又は下部から平らな長方形のシェルサンプルを取り出し、且つMORテストに使用した。幅は2か所で測定され、平均が取られた。シェルのサンプルは、2つのサポートビーム(固定スパン)の間にシェルサンプルを配置すること、及びサンプルの上から均一に荷重を加えることにより、3点曲げ試験で破裂するかどうかをテストした。破壊時の荷重を記録し、破壊の表面積を2箇所で測定し、平均を取った。MORは、:
MOR=3x(破壊時の荷重)xスパン(span))/(2x(幅)x(厚さ)
のように計算され、結果を図1に示す。各サンプルのシェルの厚さを測定し、結果を図2に示す。
【0087】
破壊力試験は、校正済みの2500Nロードセルを備えたLloyd Instruments LRX引張試験装置(モデルTG18)で実施した。破壊力の結果を図3に示す。結果は、バインダー中に0.1%及び0.2%のMFCを含むスラリーから作られたシェルの強度が、MFCを含まない従来のスラリー配合物と比較していくらかの改善を示したことを示す。結果を考慮して、0.3%のMFCを含むスラリー配合物についてさらなる試験を実施した。
【0088】
2.2 ラボスケールトライアル(バインダー中0.3%MFC)
2.2.1 サンプル調製
実施例配合物3は、表2に記載されているように、25秒の粘度に調製された。5本のワックスバー(25mmx150mm)をパターン洗浄液に浸し、水ですすぎ、温度制御された部屋(気流0.6m/s、湿度45%RH、温度25℃)で乾燥させた。次に、各バーを、以下の表6に記載されている浸漬プロトコルに従って、0.3%MFC(表2を参照)を含む試験スラリー組成物に浸漬して、シェルを形成した。
表6
【表6】
表中の対訳: Type of dip 浸漬タイプ;Backup coat バックアップコート;Seal coat シールコート;Stucco used 使用スタッコ;None なし;coats コート;Conventional (no MFC) 従来の(MFCなし);Example formulation 実施例配合物;
【0089】
試験は、グリーン(風乾)、ホット(1000℃での焼成直後)、及びコールド(焼成後に室温に冷却された後)のときに、コーティングされた各ワックスバーで実施された。
【0090】
2.2.2 結果
MOR、厚さ、及び破壊力の結果を図4からに示す。
【0091】
結果は、従来のスラリー組成物と比較して、0.3%MFCを含むスラリー組成物の同じ数のコートのシェル厚さの有意な増加を示す。例えば、9コートでシェルの厚さが平均約30%増加し、且つ6コートでシェルの厚さが約16%増加する。
【0092】
破壊力は、従来のスラリーから作られたシェルと比較して、バインダーに0.3%のMFCを含むスラリーから作られたシェルでも大幅に改善されている。例えば、バインダー中にMFCを含まない従来のスラリーと比較して、バインダー中に0.3%のMFCを含むスラリーから調製された8つのバックアップコート及び1つのシールコートを有するグリーンシェルを破壊するために平均40%多い(40% more)力が必要である。ホットシェルの場合、シェルを破壊するには平均23%多い(23% more)力が必要である。
【0093】
2.3 バインダーに0.4%のMFCを含む組成物
バインダーに0.4%のMFCを含むことを除いて、実施例3のインベストメント鋳造シェル配合物を調製した。スラリーは、従来のスラリーと比較してシェルビルドが大幅に増加したインベストメント鋳造シェルを製造した。例えば、3コートで約68%増加し、4コートで約76%増加する(図7を参照)。しかしながら、スラリーは一貫性のない作業特性を有することが見いだされて、且つバインダー中に0.3%のMFCを含む組成物ほど効果的にワックスバーを覆っていなかった。
【0094】
実施例3 透過性テスト
3.1 サンプル調製
実施例配合物1、2及び3は、表1に従って調製された。実施例配合物1及び2のスラリーは、それぞれ25秒及び30秒の粘度で試験された。従来のスラリー及び実施例配合物3(表2)を含むスラリーもまた、25秒の粘度に調製された。
【0095】
透過性試験のためのBSI(BS 1902:セクション10.2:1994)承認の方法に従った。
【0096】
5つのプラスチック製のピンポンボールを中空のガラス棒(不浸透性のムライト)に取り付け、棒とボールの接合部をワックスで密封した。次に、ピンポンボールを以下の表7に示す浸漬プロトコルに従って試験スラリーに浸漬してシェルを形成し、温度制御された部屋(気流0.6m/s、湿度45%RH、温度25℃)で乾燥させた。
表7
【表7】
表中の対訳: Type of dip 浸漬タイプ;Backup coat バックアップコート;Seal coat シールコート;Stucco used 使用スタッコ;None なし;coats コート;Conventional (no MFC) 従来の(MFCなし);Example formulation 実施例配合物;
【0097】
コーティングされた各ボールを1000℃の温度まで焼成して、シェルからピンポンボールを焼き尽くした。焼成プロセス中のシェルの亀裂を最小限に抑えるために、表8に示す加熱傾斜率(ramp rate)を使用して温度を上げた。
【0098】
各シェルの透過性は、窒素ガス(1.05 PSI)をガラス棒とシェルサンプルに通して測定し、流量をmL/minで計算した。次に、サンプルを破壊し、平均厚さを測定した。透磁率定数(K)は次のように:
K=dV/ptA
計算された。ここで、dはシェルの厚さ(cm)、Vはガスの体積(mL)、pはシェル全体の圧力損失(cmH2O)、tはタイム(秒)、Aはボールの内部面積から挿入されたロッドの面積を引いたものである(cm)。
【0099】
1000℃で焼成した直後に透過性をテストした(ホット)。焼成後、ボールを室温で24時間冷却し、透過性を再テストした(コールド)。
表8
【表8】
表中の対訳: Temperature 温度;hold time 保持タイム;
【0100】
3.2. 結果
従来のスラリーと比較した、バインダー中に0.1%、0.2%、0.3%のMFCを含むスラリー(実施例配合物1から3)のシェルルーム試験の透過性試験の結果を図8A(ホット)及び図8B(コールド)に示す。
【0101】
結果は、MFCの濃度が増加するにつれて同じ粘度のスラリーの透過性が増加することを示す。この結果は、MFCが高温で燃え尽きる有機材料であるため、シェルマトリックスにボイドが残り、ホットシェルとコールドシェルの透過性が向上するという事実によって説明できる。
【0102】
実施例4
実施例4 ミクロンスケールの直径を持つ繊維を含むスラリーとの比較
0.3%MFCの代わりに、平均直径52μm、平均長さ0.5mmのナイロン繊維0.3%(12.4kg)を使用したことを除いて、配合物3に従ってスラリーを調製した。実施例2に記載の方法に従って、MOR、厚さ、及び破壊力の測定を行った。結果を図9から11に示す。結果は、MFCとは対照的に、ミクロン範囲の直径を持つ繊維を追加しても、シェルの構築又は破壊強度が大幅に向上しないことを示す。
【0103】
実施例5 スラリー特性の分析
実施例配合物3及びMFCを含まない従来のスラリーを表2に従って調製し、スラリーの特性を、以下に記載されるプロトコルを使用して評価した。結果を表9に示す。
【0104】
5.1. スラリー分析
%全固形分(% total solids) スラリー中のすべての有効成分、つまり水を除去したすべてのスラリー成分、の測定値。スラリー中の全固形分は、水分バランス(Mettler MJ33)を使用して決定された。安定した重量(weight)が得られるまでスラリーのサンプルを140℃で乾燥させ、固形分のパーセンテージを計算した。あるいは、この測定は、サンプルを140℃で約1時間オーブン乾燥すること、及び固形分パーセンテージを計算することによって行うことができる。
【0105】
スラリー密度(Slurry density) スラリーの比重(specific gravity)(SG)、つまり、水と比較したスラリー材料の密度の比率、として定義される。SGは、比重計を使用すること、又はスラリーのサンプルを計量して水のサンプルと比較することによって測定した。
【0106】
5.2 バインダー分析
スラリー中のバインダーの特性をテストするため、スラリーサンプルを4600rpmで約30分間遠心分離し、新しいバイアルにデカントし、4600rpmで約30分間再度遠心分離した。上澄みバインダーをバイアルの上部から取り出した。バインダーの特性は、以下に説明するプロトコルを使用して評価した。
【0107】
%バインダー固形分(% binder solids) 「%全固形分」で説明したのと同じ方法で測定するが、バインダー上清のサンプルを使用する。
【0108】
%シリカ(% silica) 強熱減量で測定。バインダー上清のサンプルを980℃で60分間焼成し、シリカ残留物の割合を直接計算した。あるいは、シリカのパーセンテージは、バインダーの上清の比重(SG)を測定することによって見つけることができる。メスフラスコと精密天びんを使用し、適切な表で変換を調べることにより、SG測定値をシリカのパーセンテージに変換できる。
【0109】
%ポリマー固形分(% polymer solids) 140℃でのバインダー固形分と強熱減量によって測定されたシリカの割合との差として計算される。「%ポリマー濃縮物(concentrate)」は、ポリマー固形分の2倍のパーセンテージである。
【0110】
細菌カウント(Bacteria count) 上清バインダーのサンプルを採取し、培養スライドにピペッティングし、30℃で48時間インキュベートすることで測定する。細菌感染が存在する場合、標準的なコントロールスライドと比較できる染色として培養スライドに表示される。
【0111】
バインダー粘度(Binder viscosity) ブルックフィールド粘度計(60rpm、23から25℃)を使用して測定。
【0112】
加速ゲル試験(Accelerated gel test) スラリーの加速老化、及びしたがってゲル化、をシミュレートする試験。バインダーの上清を気密ボトルに入れて60℃で48時間保持した(室温で約1か月に相当)。粘度に有意な変化がなかった場合、「合格(pass)」が記録された。
【0113】
5.3. 結果
表9
【表9】
表中の対訳: Test テスト;conventional slurry 従来のスラリー;Example formulation 実施例配合物;Difference 差;
【0114】
結果は、バインダー中にMFCが存在すると、スラリーの粘度が著しく増加し、実施例配合物3と従来のスラリーとの間でほぼ4秒の差があることを示している。
【0115】
バインダー粘度試験の結果は、遠心分離後にMFC材料がバインダーに存在しないことを示している。対照的に、マイクロからミリスケールの直径を有する繊維を含む鋳造シェルバインダーは、遠心分離によって除去されないため、スラリー試験に影響を与え、且つ正確な測定を妨げる。
【0116】
実施例6 倉庫規模の方法
6.1 バインダーの調製
実施例5(表4を参照)の調製に使用されるバインダーは、以下のように倉庫で調製された。
【0117】
ホモジナイザー(Silverson(登録商標)、L4RT)を使用して、7.2kgのMFCを脱イオン水(19.2kg)にブレンドした。次に、ブレンドを2つの容器にデカントした。240kgのドラムを電子はかり付きのポンプトラックに置き、192kgのコロイダルシリカ(Remasol(登録商標)SP30、Grace GMBH)をドラムにデカントした。電気攪拌機(Bosch(登録商標)Professional、GRW12E)を使用して、MFCと脱イオン水のブレンドをドラム内のコロイダルシリカにゆっくりと加え、10乃至15分間攪拌した。次に、Adbond(登録商標)BVポリマー(Remet Corporation)又はLipaton SB 5843(Synthomer plc)をドラムにゆっくりと加え、さらに15乃至20分間撹拌を続けた。1.2kgの消泡剤(Fumexol(登録商標)100、Huntsman Textile Effect、又はBurst 100、Remet Corporation)を添加し、混合物をさらに5分間撹拌した。次に、1.2kgの殺生物剤(Acticide(登録商標)MBS50:50 1,2-ベンズイソチアゾール-3(2H)-オン:2-メチル-2H-イソチアゾール-3-オン; Thor Specialities)を加え、混合物をさらに5分間撹拌した。スラリーが完全に混合されるまで、攪拌をさらに15分間続けた。バインダーのサンプルをテスト用に採取した。
【0118】
6.2バインダー分析
スラリーの特性は、実施例5に記載されたプロトコルを使用して評価され、結果は表10に示されている。
表10
【表10】
表中の対訳: Test テスト;Example formulation 実施例配合物;Pass 合格;Nil ゼロ;
【0119】
実施例7 ポリマー濃度の影響
シェルビルドの厚さに対するポリマー濃度の影響を評価するために、バインダーに6%3%及び0%のスチレンブタジエンポリマー(Adbond(登録商標)BV、RemetCorporation又はLipatonSB 5843、Synthomer plc)を含むスラリーを調製した。MOR、シェルの厚さ、及び破壊力のテストは、グリーン及びホット(1000°C)で実行された。サンプルの準備とテストプロトコルについては、実施例2を参照。結果を図12から14に示す。
【0120】
結果は、ポリマーの濃度が0%から12%に増加すると、シェルの厚さが増加することを示す。バインダー中のポリマーの濃度が0%から12%に増加すると、破壊強度のグリーンシェル力も増加する。
【0121】
実施例8 耐火材料の効果
シェルビルドの厚さに対する耐火材料の影響を評価するために、鋳造シェルスラリーは、広範囲に分布するシリカ耐火物(EZ CastTM; Remet UK Ltd)を使用して調製した。溶融シリカ200メッシュ、溶融シリカ270メッシュ、広範囲に分布する溶融シリカの粒度分布を図15に示す。粒度分布はMalvern Mastersizer3000で測定した。
【0122】
MOR、シェルの厚さ、及び破壊力のテストは、グリーン及びホット(1000°C)で実行された。サンプルの準備とテストプロトコルについては、実施例2を参照。結果を図16から18に示す。
【0123】
結果は、バインダーに0.3%MFCと組み合わせて広範囲に分布するシリカ耐火物を使用すると、従来のスラリーと比較してシェルの構築が40%以上増加することを示す。シェルを破壊するのに必要な力も、グリーンシェルでは最大30%、ホットシェルでは最大10%増加する。
【0124】
実施例9 バインダー粘度テスト
バインダー粘度試験を実施して、バインダー中にさまざまな濃度のMFC(0%、0.225%、0.25%、及び0.275%)を含むバインダーを比較した。各バインダーシステムについてテストを5回繰り返し、結果を図19に示す。結果は、バインダーの粘度がMFCの濃度の増加に比例して増加することを示す。
【0125】
実施例10 スラリーレオロジー
インベストメント鋳造シェルバインダーのレオロジーに対するMFCの影響を調査した。表11に示すように、5つの異なるバインダーシステムを準備した。
表11
【表11】
* Lipaton SB 5843は、同量のAdbond(登録商標)BV(Remet Corporation)と置き換えることができる。
^ Burst 100は、同量のFumexol(登録商標)(Huntsman Textile Effect)に置き換えることができる。
# Wet-in(登録商標)は、同量のVictawet(登録商標)12(ILCO Chemie)と置き換えることができる。
表中の対訳: Binder system バインダーシステム;Binder componentes バインダー成分;Percentage amount パーセンテージ量;colloidal silica コロイダルシリカ;wetting agent 湿潤剤;anti-foaming agent 消泡剤;
【0126】
せん断速度の関数としてのバインダーシステムの粘度は、MCR 92レオメーター(Anton-Paar GmbH)を使用してテストされた。結果を図20に示す。
【0127】
MFCを含まないすべてのバインダーシステムは、ニュートン又はほぼニュートンの挙動を示した。一方、MFCを包含したバインダーシステムは、せん断に依存した粘度の低下を示した。
【0128】
実施例11 安定性
0.3%のMFCを含む配合物3に使用されバインダーの化学的安定性を、代わりに0.3%のナイロン繊維(平均直径52μm;平均長さ0.5mm)を含む同等のバインダーと比較した。
【0129】
バインダーを加速ゲル試験にかけ、上澄みバインダーを気密ボトルに入れ、オーブン内で60℃に保持した。
【0130】
結果を以下の表12に示す。
表12
【表12】
表中の対訳: Binder バインダー
配合物3のバインダー(0.3%MFC)
配合3のバインダー(0.3%MFCを0.3%ナイロン繊維に置き換え)
Observations 観察
71日後にゲル化なし;ファイバードロップアウトなし
41日後にゲル化なし;繊維は数時間後に懸濁液からドロップアウト
【0131】
実施例12 ポリマータイプ
実施例配合物3(実施例1を参照)のキャスティングシェルスラリーは、2つの異なるスチレンポリマーを有するバインダーシステムを用いて調製された。
【0132】
厚さと破壊力の結果を図21と22に示す。ポリマー1はスチレンアクリレートポリマー(Ravasol SA-1;Ravago(登録商標)Chemicals Ltd)である。ポリマー2は、スチレンブタジエンポリマー(Adbond(登録商標)BV、Remet Corporation又はLipaton SB 5843、Synthomer plc)である。両方のバインダーシステムは、MFCを使用しない従来のスラリー配合と比較して、シェルの厚さと強度の改善を示した。
【0133】
実施例13 MFCとフィブリル化高密度ポリエチレン(fHDPE)の比較
一連の3つの鋳造シェルスラリーを比較した。テストされたスラリーは、表13に示されているものである。
表13
【表13】
表中の対訳: Ingredinets 構成成分;No fibril slurry フィブリルなしスラリー; slurry スラリー;fused silica 溶融シリカ;colloidal silica コロイダルシリカ;wetting agent 湿潤剤;anti-foaming agent 消泡剤;fibrils フィブリル;
【0134】
MFCとは、Borregaardから入手したExilva(登録商標)P01-V、10%濃度を指す。
* Lipaton SB 5843は、同量のAdbond(登録商標)BV(Remet Corporation)と置き換えることができる。
# Victawet(登録商標)12は、同量のWet-in(登録商標)(Remet Corporation)と置き換えることができる。
【0135】
fHDFPは、米国テネシー州ジョンソンシティーのMinifibers、Inc.から入手したShortStuff(登録商標)Fibrillated HDPEファイバー(#ESS50F)を指す。ShortStuff(登録商標)ファイバー(#ESS50F)の平均繊維長は約0.1mm、直径は5μmである。また、ShortStuff(登録商標)ファイバー(#ESS5F)も利用できる。これは、平均繊維長が約0.1mm、直径が5μmである。これは、低せん断水系での分散が少ないと言われている。
【0136】
MORテストは、実施例2のセクション2.1に従って実施された。MOR、厚さ、及び破壊力の結果を図23-25に示す。
【0137】
MOR試験の結果は、フィブリルなしでfHDPEをスラリーに添加した場合、MOR強度に改善がないことを示した。フィブリルを含まないスラリーと比較して、fHDPEを含むスラリーではシェルビルドの厚さのわずかな増加が見られるが、この増加はMFCを含むスラリーで見られる増加ほど重要ではない。
【0138】
実施例5に従って3つのスラリーの特性を分析した。結果を表14に示す。
表14
【表14】
表中の対訳: Test テスト;No fibril slurry フィブリルなしスラリー; slurry スラリー;
【0139】
結果は、MFCが耐火物と一緒に遠心分離されることを示唆すル。これは、フィブリルなしのスラリーとMFCスラリーとの間のバインダーの結果が一貫していたために見ることができル。MFC繊維とfHDPE繊維は両方とも粘度を増加させ、フィブリルなしのスラリーとMFCスラリートの間で約4秒、フィブリルなしのスラリーとfHDPEスラリーとの間で約2秒の差をもたらした。
【0140】
図26は、せん断速度の関数として調製されたバインダーサンプルの粘度を図示する。バインダー1から5は表11に記載されているとおりである。バインダー6から9は表15に記載されているとおりである。
表15
【表15】
表中の対訳: Binder system バインダーシステム;Binder components バインダー成分; colloidal silica コロイダルシリカ;Percentage amount パーセンテージ量;
【0141】
* Lipaton SB 5843は、同量のAdbond(登録商標)BV(Remet Corporation)と置き換えることができる。
【0142】
図26は、SP30にfHDPE繊維を追加すると、非常に低いせん断速度で粘度の増加が制限されることを示す。ただし、この効果は、バインダー混合物が明らかなずり流動化(shear thinning)挙動を示したSP30へのMFCの添加と比較した場合、ほとんど明らかではない。さらに、fHDPEを含有する混合物にスチレンブタジエン共重合体を添加すると、fHSPE繊維による粘度変更効果がなくなるようであったが、一方、MFCとスチレンブタジエン共重合体を含有するSP30混合物はずり流動化特性を維持できる。
【0143】
図27は、バインダーサンプルのせん断応力とせん断速度のプロットを示す。データは、fHSPE繊維を含むすべてのサンプルがニュートン又はほぼニュートンの挙動を示したのに対し、MFCを含むサンプルはより擬塑性又はずり流動化の挙動を示したことを示す。
【0144】
本開示は以下の付記を含む。
(付記1)
インベストメント鋳造シェル組成物バインダーであって、平均直径が約1nmより大きく且つ約1μm未満の親水性フィブリルを含むバインダー。
(付記2)
前記親水性フィブリルが、約10nmから約1μmの間、好ましくは約50nmから約500nmの間、より好ましくは約100nmから300nmの間の平均直径を有する、付記1に記載のバインダー。
(付記3)
親水性フィブリルが約100nmから約100μmの間の平均長さを有する、付記1又は付記2に記載のバインダー。
(付記4)
前記親水性フィブリルが15以上、好ましくは20以上、より好ましくは25以上のアスペクト比を有する、付記1に記載のバインダー。
(付記5)
親水性フィブリルがセルロースフィブリルを含む、付記1に記載のバインダー。
(付記6)
前記親水性フィブリルが天然源に由来する、付記1から5のいずれか一項に記載のバインダー。
(付記7)
前記親水性フィブリルが、樹木、野菜、テンサイ、柑橘類及びそれらの組み合わせからなる群から選択される原料に由来する、付記6に記載のバインダー。
(付記8)
前記親水性フィブリルがフィブリル化繊維を含む、付記1から7のいずれか一項に記載のバインダー。
(付記9)
前記親水性フィブリルがミクロフィブリル化セルロース(MFC)を含む、付記1から8のいずれか一項に記載のバインダー。
(付記10)
前記親水性フィブリルは、当該バインダーの総質量(total mass)に基づいて、約0.1重量%(wt%)から約20重量%、好ましくは、当該バインダーの総質量に基づいて約0.1重量%から約5重量%、より好ましくは、当該バインダーの総質量に基づいて約0.2重量%から約4重量%の量で存在する、付記1から9のいずれか一項に記載のバインダー。
(付記11)
コロイドダルシリカをさらに含む、付記1から10のいずれか一項に記載のバインダー。
(付記12)
少なくとも1つの追加のポリマーをさらに含む、付記1から11のいずれか一項に記載のバインダー。
(付記13)
前記少なくとも1つの追加のポリマーが、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、スチレン、ブタジエン、塩化ビニル、酢酸ビニル、及びそれらの組み合わせからなるリストから選択される1つ又は複数のモノマーを含む、付記12に記載のバインダー。
(付記14)
前記少なくとも1つの追加のポリマーがスチレンポリマーを含む、付記13に記載のバインダー。
(付記15)
付記1から14のいずれか一項に記載のバインダーよび耐火性成分を含むインベストメント鋳造シェル組成物。
(付記16)
付記15に記載の組成物であって、ここで、前記バインダー中の前記親水性フィブリルは、当該組成物の総質量(total mass)に基づいて約0.01重量%(wt%)から約1重量%、好ましくは、当該組成物の総質量に基づいて約0.01重量%から約0.5重量%、より好ましくは、当該組成物の総質量に基づいて約0.05重量%から約0.2重量%、さらにより好ましくは、当該組成物の総質量に基づいて、0.05重量%から約0.15重量%の量で存在する、組成物。
(付記17)
前記耐火性成分が、溶融シリカ、アルミノケイ酸塩、アルミナ、ケイ酸ジルコニウム、マイクロシリカ、ジルコニア、ジルコン、イットリア、石英、炭素、及びそれらの組み合わせからなるリストから選択される少なくとも1つを含む、付記15又は付記16に記載の組成物。
(付記18)
ここで、前記耐火性成分は、リスト: 溶融シリカメッシュ120、溶融シリカメッシュ140、溶融シリカメッシュ170、溶融シリカメッシュ200、溶融シリカメッシュ270、溶融シリカメッシュ325、及びそれらの組み合わせ、から選択される溶融シリカを含む、付記15から17のいずれか一項に記載の組成物。
(付記19)
付記15から18のいずれか一項に記載の組成物であって、ここで、前記耐火性成分は、広い分布の溶融シリカを含み、ここで、前記広い分布の溶融シリカは、好ましくは、85%の溶融シリカ50から80メッシュと15%の溶融シリカ120メッシュとの組み合わせを含む、組成物。
(付記20)
付記15から19のいずれか一項に記載の組成物から調製されたインベストメント鋳造シェル。
(付記21)
付記15から19のいずれか一項に記載のインベストメント鋳造シェル組成物を調製する方法であって、当該方法は以下:
(i)前記親水性フィブリルを水性溶媒中で混合すること;
(ii)バインダーを形成するため、(i)における混合物を、コロイダルシリカを含む容器に添加すること;
(iii)オプションで、ポリマー、消泡剤、pH調整剤、殺菌剤及び殺カビ剤を含む1つ又は複数の追加の薬剤を前記バインダーに添加すること;
(iv)スラリーを形成するため、前記バインダーを耐火成分と混合すること;
を含む方法。
(付記22)
物品を作製するためのインベストメント鋳造方法であって、当該方法は、インベストメント鋳造シェルスラリーの少なくとも1つのコートで消耗性プリフォームをコーティングすることを含み、ここで、前記スラリーコートのうち少なくとも1つは、付記15から19のいずれか一項に記載のインベストメント鋳造シェル組成物を含む、インベストメント鋳造方法。
(付記23)
第2の層以上のスラリーコートが、付記15から19のいずれか一項に記載のインベストメント鋳造シェル組成物を含む、付記22に記載のインベストメント鋳造方法。
(付記24)
前記少なくとも1つのスラリーコートのうちの1つ又は複数をオプションでスタッコすることをさらに含み、ここで、スラリーコート及びスタッコ加工によって生成された前記1つ(the a)のスタッココートは、シェル層を作成し、ここで、一度乾燥した各シェル層は、少なくとも1mmの厚さ、好ましくは少なくとも1.1mmの厚さ、より好ましくは少なくとも1.2mmの厚さ、さらにより好ましくは少なくとも1.3mmの厚さである、付記22又は付記23に記載のインベストメント鋳造方法。
(付記25)
付記1から14のいずれか一項に記載のバインダー;及び
耐火性成分(component);
を含むインベストメント鋳造シェル組成物を調製するためのキット。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27