(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-29
(45)【発行日】2024-03-08
(54)【発明の名称】重炭酸ナトリウムの製造
(51)【国際特許分類】
C01D 7/10 20060101AFI20240301BHJP
【FI】
C01D7/10
(21)【出願番号】P 2021536419
(86)(22)【出願日】2019-08-30
(86)【国際出願番号】 GB2019052414
(87)【国際公開番号】W WO2020044048
(87)【国際公開日】2020-03-05
【審査請求日】2022-08-25
(32)【優先日】2018-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】521083740
【氏名又は名称】タタ ケミカルズ ヨーロッパ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フォックスリー クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】イラバニアン ラダン
(72)【発明者】
【氏名】ホートン ピーター
【審査官】青木 千歌子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/015581(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01D 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
重炭酸ナトリウムの製造のための方法であって、
a.炭素質原料を処理し、最大10v/v%の二酸化炭素を含む生成物ストリームを形成するステップと、
b.前記生成物ストリームから前記二酸化炭素の少なくとも一部を捕捉し、二酸化炭素ストリームを形成するステップと、
c.前記二酸化炭素ストリームを反応容器に供給するステップと、
d.炭酸ナトリウム水溶液を前記反応容器に供給するステップと、
e.前記二酸化炭素ストリームの少なくとも一部を前記炭酸ナトリウム水溶液の少なくとも一部に接触させ、固体の重炭酸ナトリウムを含むスラリーを形成するステップと、
f.前記スラリーの固体成分を前記スラリーの液体成分から分離し、固体の重炭酸ナトリウムと水性の液とをもたらすステップと
を含み、
前記生成物ストリームから二酸化炭素を捕捉して二酸化炭素ストリームを形成するステップは、
i.前記生成物ストリームを溶媒に接触させるステップと、
ii.前記生成物ストリームから二酸化炭素を前記溶媒へと吸収し、二酸化炭素を豊富に含む溶媒を形成するステップと、
iii.前記二酸化炭素を豊富に含む溶媒から二酸化炭素を脱着し、前記二酸化炭素ストリームを形成するステップと、
を有する、方法。
【請求項2】
前記生成物ストリーム中の二酸化炭素の濃度は、1~10v/v%、2~9v/v%、3~8v/v%、4~7v/v%、または5~6v/v%の範囲内にある、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記炭素質原料を処理するステップは、熱電併給プラント(「CHP」)において、前記炭素質原料を燃焼させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記炭素質原料は、炭化水素原料である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記炭素質原料を処理するステップは、熱を生じさせ、前記熱の少なくとも一部が、第1の水ストリームを気化させて蒸気ストリームを形成するために使用される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記蒸気ストリームの少なくとも一部が、凝縮させられて第1の凝縮物ストリームをもたらし、
プロセスは、前記第1の凝縮物ストリームからの水を
a.前記第1の水ストリーム、および
b.前記炭酸ナトリウム水溶液
のうちの少なくとも1つへと供給することを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記蒸気ストリームの少なくとも一部が、電気を発生させるために使用され、
前記電気は、後続のプロセス工程のうちの1つ以上のための装置を動作させるために使用される、請求項5または6に記載の方法。
【請求項8】
前記溶媒は、アルカノールアミンを含む、
請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記アルカノールアミンは、N-メチルジエタノールアミン(MDEA)、2-アミノ-2-メチル-1-プロポナール(AMP)、2-(ジエチルアミノ)-エタノール(DEAE)、ジイソプロパノールアミン(DIPA)、メチルアミノプロピルアミン(MAPA)、3-アミノプロパノール(AP)、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジアミン(DMPDA)、3-アミノ-1-シクロヘキシルアミノプロパン(ACHP)、ジグリコールアミン(DGA)、1-アミノ-2-プロパノール(MIPA)、2-メチル-メタノールアミン(MMEA)、モノエタノールアミン、ジグリコールアミン、およびこれらの混合物から選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記二酸化炭素を豊富に含む溶媒から二酸化炭素を脱着するステップは、前記溶媒を加熱すること、および前記二酸化炭素を豊富に含む溶媒を減圧に曝すこと、のうちの少なくとも一方を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記蒸気ストリームの一部が、前記溶媒を加熱するために使用され、前記蒸気ストリームによる前記溶媒への熱の供給により、前記蒸気ストリームの少なくとも一部が凝縮し、第2の凝縮物ストリームが形成される、
請求項5を引用する請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第2の凝縮物ストリームは、
a.前記第1の水ストリーム、および
b.前記炭酸ナトリウム水溶液
の少なくとも一方のために水をもたらす、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
捕捉後に得られた前記二酸化炭素は、以下の基準、すなわち
a.二酸化炭素の含有量が少なくとも99.9v/v%である、
b.水分の含有量が最大で20ppmである、
c.アンモニアの含有量が最大で2.5ppmである、
d.酸素の含有量が最大で30ppmである、
e.酸化チッ素の含有量が最大で2.5ppmである、
f.二酸化チッ素の含有量が最大で2.5ppmである、
g.非揮発性残留物(粒子状物質)の含有量が最大で10ppmである、
h.非揮発性有機残留物(油およびグリース)の含有量が最大で5ppmである、
i.揮発性炭化水素の含有量(メタンとして計算される)が最大で50ppmである(そのうちの最大で20ppmが非メタンの炭化水素であってよい)、
j.アセトアルデヒドの含有量が最大で0.2ppmである、
k.芳香族炭化水素の含有量が最大で0.02ppmである、
l.一酸化炭素の含有量が最大で10ppmである、
m.メタノールの含有量が最大で10ppmである、
n.硫化カルボニルの含有量が最大で0.1ppmである、
o.硫化水素の含有量が最大で0.1ppmである、および
p.二酸化硫黄の含有量が最大で1ppmである
を満たす、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記反応容器へと供給される前記二酸化炭素ストリームは、20~90v/v%の範囲内の二酸化炭素濃度を有する、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記液は、水性の重炭酸ナトリウムおよび水性の炭酸ナトリウムを含み、
前記液は、前記水性の重炭酸ナトリウムの少なくとも一部を水性の炭酸ナトリウム、二酸化炭素、および水へと変換するために加熱され、あるいは前記液は、重炭酸ナトリウムを溶液から沈殿させるために冷却される、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記加熱は、前記蒸気ストリームの一部によってもたらされる、
請求項5を引用する請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記液の加熱によって生じる二酸化炭素の少なくとも一部が収集され、CO
2オフガスを形成し、前記CO
2オフガスが、第2の水ストリームを使用して冷却されることで、冷却された二酸化炭素ストリームおよび加熱された水ストリームが生じる、請求項15または16に記載の方法。
【請求項18】
前記反応容器内の前
記炭酸ナトリウム水溶液と反応していない残余の二酸化炭素の少なくとも一部が、二酸化炭素廃棄物ストリームへと形成される、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
a.前記冷却された二酸化炭素ストリーム、および
b.前記二酸化炭素廃棄物ストリーム
の少なくとも一方からの二酸化炭素が、前記反応容器へと供給されることによってリサイクルされる、
請求項17を引用する請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記冷却された二酸化炭素ストリームからの二酸化炭素が、前記反応容器へと供給されることによってリサイクルされる、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重炭酸ナトリウムの製造、とりわけ工業規模での重炭酸ナトリウムの製造のための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
重炭酸ナトリウムには、食品の用途(例えば、膨張剤)および医療の用途(例えば、血液透析)など、さまざまな使い道がある。重炭酸ナトリウムの製造は、いくつかの周知のプロセスに従って工業規模で行われている。重炭酸ナトリウムを、例えば、アンモニアソーダプロセスによって、このプロセスにおいて中間体として形成される重炭酸ナトリウム沈殿物を収集することによって製造することができる。しかしながら、このやり方で得られる重炭酸ナトリウムは、典型的には、比較的低純度である。
【0003】
別のプロセスは、式1に従って、炭酸ナトリウムを水溶液中で二酸化炭素と反応させることである。
Na2CO3+CO2+H2O→2NaHCO3(式1)
【0004】
工業的には、式1に示されるプロセスを、アンモニアソーダプロセスの拡張として実行することができる。その場合、アンモニアソーダプロセスの炭酸ナトリウム生成物は、炉ガスに存在する二酸化炭素と直接反応し、炉ガス自体は、コークスを燃焼させて炭酸カルシウムを分解し、酸化カルシウムおよびアンモニアソーダプロセスの原料として使用される二酸化炭素を生成する独立したプロセスによって生成される。重炭酸ナトリウムの製造のためのこの方法の欠点は、これがアンモニアソーダプロセスに依存していることである。炉ガスが、重炭酸ナトリウムに不純物を持ち込む可能性がある。さらに、炉で燃やされるコークスの品質がさまざまである可能性があるため、持ち込まれる不純物の性質および量もさまざまであり得る。これが、品質管理および品質保証における困難につながる可能性がある。さらに、そのような炉ガスは、通常は、二酸化炭素濃度が低く、したがって重炭酸ナトリウムを製造するための反応の効率が制限される。
【0005】
さらなる代案は、炭酸ナトリウムを、独立したプラントにおける商業的供給源から供給される二酸化炭素と反応させることである。商業的供給源は、必要な純度の二酸化炭素を供給することができ、したがってアンモニアソーダプロセスに頼らずに重炭酸ナトリウムを製造することができ、プロセスに供給される二酸化炭素の品質の変動を制限することができる。
【0006】
しかしながら、この選択肢では、原材料として使用するために大量の二酸化炭素を調達する必要がある。必要とされる二酸化炭素の輸送および保管に関するロジスティクスの課題も存在する。
【0007】
重炭酸ナトリウムの食品および医療の用途に関して、厳格な品質管理基準を順守する必要がある。さらに、重炭酸ナトリウムの製造に使用される材料のサプライチェーンは、品質保証の目的で追跡可能であることが好ましく、場合によっては、追跡可能であることが要求される。これらの要件に鑑みて、二酸化炭素のいくつかの商業的供給源は、不適切であると考えられる。食品または医療グレードの重炭酸ナトリウムの生成における使用に適すると考えられる二酸化炭素の供給源の例として、比較的高い二酸化炭素濃度を有する生成物ストリームを生成する工業プロセスからの捕捉によって生成される二酸化炭素が挙げられる。これらの二酸化炭素捕捉プロセスは、典型的には溶媒を利用して煙道ガスから酸性ガスを吸着する。その後に、酸性ガスは脱着され、二酸化炭素が将来の使用のために貯蔵される。他方で、CO2含有量の少ない生成物ストリームに含まれる二酸化炭素は、実用的に使用されるよりもむしろ、典型的には大気中に排出され、地球温暖化の一因となり得る。
【0008】
重炭酸ナトリウムを、とくには工業規模で製造するためのプロセスであって、効率的であり、環境に優しく(例えば、二酸化炭素廃棄物をあまり生じない)、高純度の重炭酸ナトリウム製品(例えば、食品グレード)を生み出す新規なプロセスについて、ニーズが存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、とりわけ工業規模での重炭酸ナトリウムの製造に関連する上述の問題のうちの1つ以上を回避または軽減することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
最も一般的には、本発明は、工業規模での使用に適し、炭素質原料の処理から得られる二酸化炭素の少ない生成物ストリームを利用することができる重炭酸ナトリウムを調製するためのプロセスを提案する。好都合なことに、本発明のプロセスは、いくつかの実施形態において、従来であればそのような工業プロセスでの使用に向けられることがなかったと考えられる二酸化炭素の少ない生成物ストリームから高純度の重炭酸ナトリウム生成物を調製することができる。低CO2含有量の生成物ストリームを原料として利用する際に、本プロセスは、これまでは利用されることがなく、大気に放出されて地球温暖化の一因となると考えられるCO2源を、重炭酸ナトリウムの工業規模の調製に利用することができる。さらに、本発明のプロセスは、いくつかの実施形態において、CO2だけでなく、炭素質原料の処理工程によって生じる熱も、1つ以上の下流のプロセス工程において使用され、したがって先行技術の工業的な重炭酸ナトリウムの製造方法と比べて、プロセスの全体的なエネルギ効率が改善される点で、好都合に用途が広い。例えば、炭素質原料の処理工程によって生じた熱を、蒸気を発生させるために使用することができ、次いで、蒸気を、他のプロセス工程への熱の供給、発電、または他のプロセス工程で使用するための凝縮物の生成に使用することができる。
【0011】
第1の態様において、本発明は、重炭酸ナトリウムの製造のための方法であって、
a.炭素質原料を処理し、最大10v/v%の二酸化炭素を含む生成物ストリームを形成するステップと、
b.前記生成物ストリームから前記二酸化炭素の少なくとも一部を捕捉し、二酸化炭素ストリームを形成するステップと、
c.前記二酸化炭素ストリームを反応容器に供給するステップと、
d.炭酸ナトリウム水溶液を前記反応容器に供給するステップと、
e.前記二酸化炭素ストリームの少なくとも一部を前記炭酸ナトリウム水溶液の少なくとも一部に接触させ、固体の重炭酸ナトリウムを含むスラリーを形成するステップと、
f.前記スラリーの固体成分を前記スラリーの液体成分から分離し、固体の重炭酸ナトリウムと水性の液とをもたらすステップと
を含む方法を提供する。
【0012】
処理ステップ「a.」は、最大で10%v/vのCO2を含む生成物ストリームを生成する。炭素質原料を処理するステップは、炭素質原料の二酸化炭素への変換をもたらすことが当業者に知られている任意の適切な反応条件(例えば、燃焼などの酸化)に炭素質原料を供することを含むことができる。いくつかの実施形態において、炭素質原料の処理は、炭素質原料を燃焼させ、あるいは部分的に燃焼させることを含む(例えば、燃焼させ、あるいは部分的に燃焼させることからなる)。
【0013】
炭素質原料の処理を、発電所において実施することができる。炭素質原料を二酸化炭素に変換するために必要な条件を可能にする任意の発電所を使用することができる。好ましくは、炭素質原料の燃焼は、熱電併給プラント(「CHP」)において行われる。そのような発電所は、電気、熱、および/または蒸気を生み出し、これらを、好都合な実施形態において、後続のプロセス工程で使用することができる(したがって、プロセスの全体的なエネルギ需要を低減できる)という利点を有する。当業者であれば、そのような発電所が蒸気および/または電気を生成するように最適化されていることを、理解できるであろう。二酸化炭素は副産物であり、したがって生成物ストリームにおいて比較的低濃度である。
【0014】
プロセスステップ「a.」~「f.」を、好都合には、単一のプラント(例えば、1つの建屋内)で実行することができ、あるいは一体的に接続された容器またはプラントを使用して実行することができる。一体的に接続とは、容器/プラントが、1つの容器またはプラントからの1つ以上の材料(原料または生成物など)が、後続のプロセスステップにおける使用のために他のそれぞれの容器/プラントに直接移動できるように構成されることを意味する。これは、例えば、炭素質処理ステップから炭素捕捉容器/プラントへのCO2生成物ストリームの輸送、および/または炭素捕捉容器/プラントから反応容器へのCO2ストリームの輸送、および/または炭素質処理プラント(例えば、CHPプラント)から1つ以上の下流のプロセスステップへの蒸気および/または電気の輸送、および/または種々のプロセスステップのいずれかの間の(例えば、凝縮物ストリームからの)水の輸送、および/または任意のプロセスステップのための任意の容器またはプラントの間の熱の(例えば、蒸気または高温水または空気などの熱伝達媒体を介する)輸送を含むことができる。この一体化を達成するために、配管などの適切な導管を利用することができる。炭素質処理ステップを重炭酸ナトリウムの合成と組み合わせることにより、本発明の実施形態は、材料およびエネルギをプロセスステップ間(例えば、容器またはプラント間)で共有できるという点で相乗的であり、CO2の商用供給の使用に依存するプロセスなどの先行技術の工業プロセスと比較して、廃棄物が少なく、二酸化炭素排出量が比較的少なく、全体として必要とするエネルギが少ない効率的な相互接続されたプロセスを提供することができる。
【0015】
いくつかの実施形態において、炭素質原料は、炭化水素原料である。炭化水素原料は、液体、固体、または気体の炭化水素(すなわち、大気条件下で気体である任意の炭化水素)を含む(または、これらから本質的になり、あるいはこれからなる)ことができる。炭化水素原料は、メタン、エタン、プロパン、ブタン、エテン、プロペン、ブテン、またはこれらの2つ以上の混合物を含み得る。炭化水素は、例えば少なくとも60w/w%、70w/w%、80w/w%、または90w/w%のメタン、エタン、プロパン、ブタン、エテン、プロペン、ブテン、またはこれらの2つ以上の混合物など、少なくとも50w/w%のメタン、エタン、プロパン、ブタン、エテン、プロペン、ブテン、またはこれらの2つ以上の混合物を含み得る。任意であるが、炭化水素原料は、天然ガスを含む(または、天然ガスから本質的になり、あるいは天然ガスからなる)。メタンが天然ガスの主成分であってよい。あるいは、炭素質原料は、石炭、石油、石油留分、炭素含有廃棄物(プラスチックなど)、合成ガス、または生物学的に誘導された原料(例えば、バイオマス、バイオディーゼル、バイオメタン、など)を含み得る。天然ガスは、調達が容易であり、サイト間およびサイト内で(例えば、パイプラインを介して)容易に移動させることができ、クリーンに燃焼する(例えば、他の炭化水素または炭素質原料と比較して灰または残留物がほとんど生じない)ため、好都合な炭化水素原料である。
【0016】
炭素質原料を処理してCO2生成物ストリームを生成するステップは、通常は、発熱反応である。これは、二酸化炭素ストリームに加えて熱が生成されることを意味する。いくつかの実施形態において、炭素質原料を処理するステップは、熱を生じさせ、熱の少なくとも一部が、第1の水ストリームを気化させて蒸気ストリームを形成するために使用される。炭素質原料の処理の熱を使用して生成された蒸気を、いくつかのやり方で使用することができる。蒸気を、例えば、発電(例えば、タービンを駆動することによる)に使用することができ、プロセス(または、他のプロセス)におけるさらなる使用のための熱源として使用することができ、さらには/あるいは凝縮させ、プロセスにおけるさらなる使用のための凝縮物としてリサイクルすることができる。好ましくは、蒸気は、プロセス(または、他のプロセス)におけるさらなる使用のための熱源として使用され、さらには/あるいは凝縮させられ、プロセスにおけるさらなる使用のための凝縮物としてリサイクルされる。
【0017】
いくつかの実施形態においては、蒸気ストリームの少なくとも一部(例えば、最大で半分、少なくとも半分、または蒸気ストリームの全体)が、電気を発生させるために使用され、任意であるが、電気は、後続のプロセスステップのうちの1つ以上のための装置を動作させるために使用される。蒸気ストリームからの電気を使用して、後続のプロセスステップのうちの1つ以上のための装置を動作させることにより、プロセスによって生じた熱エネルギが電気エネルギに変換され、この電気エネルギをプロセス機器を動作させるために利用でき、あるいは正味のエネルギ供給に貢献するようにグリッドに供給できるため、プロセスの正味のエネルギ需要が少なくなる。
【0018】
好都合な実施形態においては、蒸気ストリームの一部を使用して、液化した二酸化炭素の反応容器への供給に先立つ気化、反応容器、溶媒からの二酸化炭素の脱着、および液のうちの任意の1つ以上から選択され得るプロセスの下流のステップまたは特徴に、熱を供給することができる。これを、電気を発生させるための蒸気ストリームの少なくとも一部の使用に加え、あるいは代えて、行うことができる。
【0019】
好ましくは、この方法は、蒸気ストリームの少なくとも一部(例えば、最大で半分、少なくとも半分、または蒸気ストリームの全体)を凝縮させて、第1の凝縮物ストリームをもたらすことを含む。これを、蒸気ストリームの少なくとも一部を使用して電気を発生させることに加え、あるいは代えて行うことができ、さらには/あるいは上述のように蒸気ストリームの一部を使用してプロセスの下流のステップに熱を供給することに加え、あるいは代えて行うことができる。例えば、いくつかの実施形態において、蒸気ストリームは、プロセスの1つ以上の下流のステップ(例えば、反応容器)に熱をもたらすために使用され、残りの冷却された蒸気ストリームが、第1の凝縮物ストリームをもたらすために使用される。
【0020】
好ましい実施形態においては、蒸気ストリームの少なくとも一部が、発電、プロセスの下流のステップへの熱の供給、および第1の凝縮物ストリームの供給に使用される。
【0021】
この方法は、第1の凝縮物ストリームから第1の水ストリームおよび炭酸ナトリウム水溶液のうちの少なくとも1つに水を供給するステップをさらに含み得る。これは、第1の凝縮物ストリームの水が、通常は処理ステップからの残余の熱を保持しているため、好都合である。例えば、第1の凝縮物ストリームの水は、少なくとも40℃、少なくとも50℃、少なくとも60℃、少なくとも70℃、少なくとも80℃、少なくとも90℃、少なくとも100℃、または少なくとも110℃であり得る。第1の凝縮物ストリームの水は、例えば約95~115℃であってよく、例えば約100~110℃であってよい。これは、第1の凝縮物ストリームの水が第1の水ストリームへとリサイクルされる場合、第1の水ストリームを加熱して蒸気ストリームを形成するように沸騰させるために必要な全体的なエネルギが少なくて済み、したがってプロセスの全体的なエネルギ要件が低減されることを意味する。さらに、第1の凝縮物ストリームの水を、炭酸ナトリウム水溶液の水をもたらすために使用することによってリサイクルする場合、これも反応系の熱を保持し、したがって熱および水の両方をリサイクルする。したがって、このやり方で水をリサイクルすることで、プロセスの水および熱の要件が軽減される。これにより、重炭酸ナトリウムを製造するためのきわめて多用途かつ効率的なプロセスがもたらされる。
【0022】
いくつかの実施形態において、生成物ストリームは、最大で9v/v%、例えば最大で8v/v%、最大で7v/v%、最大で6v/v%、最大で5v/v%、最大で4v/v%、最大で3v/v%、最大で2v/v%、または最大1v/v%の二酸化炭素を含む。生成物ストリーム中の二酸化炭素の濃度は、1~10v/v%の範囲内であってよい。生成物ストリーム中の二酸化炭素の濃度は、任意であるが3~9v/v%の範囲内、任意であるが3~8v/v%の範囲内、任意であるが4~7v/v%の範囲内、任意であるが5~6v/v%の範囲内である。これを、炭素質原料の選択、ならびに/あるいは炭素質原料および他の必要な反応物の供給速度の管理(例えば、CHPプラントへの天然ガスならびに空気および/または希釈ガスの流量の制御)によって制御できることを、当業者であれば理解できるであろう。
【0023】
好ましい実施形態において、生成物ストリームから二酸化炭素を捕捉して二酸化炭素ストリームを形成するステップは、
(a)前記生成物ストリームを溶媒に接触させるステップと、
(b)前記生成物ストリームから二酸化炭素を前記溶媒へと吸収し、二酸化炭素を豊富に含む溶媒を形成するステップと、
(c)前記二酸化炭素を豊富に含む溶媒から二酸化炭素を脱着し、前記二酸化炭素ストリームを形成するステップと
を含む。
【0024】
したがって、好ましい実施形態において、この方法は、
a.炭素質原料を処理し、最大10v/v%の二酸化炭素を含む生成物ストリームを形成するステップと、
b.前記生成物ストリームから前記二酸化炭素の少なくとも一部を捕捉し、二酸化炭素ストリームを形成するステップであって、捕捉は
(a)前記生成物ストリームを溶媒に接触させるステップと、
(b)前記生成物ストリームから二酸化炭素を前記溶媒へと吸収し、二酸化炭素を豊富に含む溶媒を形成するステップと、
(c)前記二酸化炭素を豊富に含む溶媒から二酸化炭素を脱着し、前記二酸化炭素ストリームを形成するステップと
を含むステップと、
c.前記二酸化炭素ストリームを反応容器に供給するステップと、
d.炭酸ナトリウム水溶液を前記反応容器に供給するステップと、
e.前記二酸化炭素ストリームの少なくとも一部を前記炭酸ナトリウム水溶液の少なくとも一部に接触させ、固体の重炭酸ナトリウムを含むスラリーを形成するステップと、
f.前記スラリーの固体成分を前記スラリーの液体成分から分離し、固体の重炭酸ナトリウムと水性の液とをもたらすステップと
を含む。
【0025】
いくつかの実施形態においては、生成物ストリームを、溶媒との接触に先立って冷却することができる。これは、生成物ストリームから水を(例えば、凝縮によって)好都合に除去し、ガスがより低い温度にあるときに液体へのガスの吸収が改善されるのがゆえに、ステップ(b)の効率を向上させる。
【0026】
捕捉プロセスにおける使用に適した溶媒は、当業者にとって明らかであろう。好ましくは、溶媒は、アルカノールアミンを含み(あるいは、アルカノールアミンから本質的になり、もしくはアルカノールアミンからなり)、任意であるが、アルカノールアミンは、N-メチルジエタノールアミン(MDEA)、2-アミノ-2-メチル-1-プロポナール(AMP)、2-(ジエチルアミノ)-エタノール(DEAE)、ジイソプロパノールアミン(DIPA)、メチルアミノプロピルアミン(MAPA)、3-アミノプロパノール(AP)、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジアミン(DMPDA)、3-アミノ-1-シクロヘキシルアミノプロパン(ACHP)、ジグリコールアミン(DGA)、1-アミノ-2-プロパノール(MIPA)、2-メチル-メタノールアミン(MMEA)、モノエタノールアミン、ジグリコールアミン、およびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0027】
捕捉ステップにおける二酸化炭素を豊富に含む溶媒からの二酸化炭素の脱着は、溶媒を加熱すること、および溶媒の圧力を下げることの少なくとも一方を含み得る。好都合には、蒸気ストリームの一部を使用して溶媒を加熱することができる。したがって、これは、プロセス自体によって生じた熱が脱着ステップのためのエネルギをもたらすために使用されるため、重炭酸ナトリウムの製造プロセスの全体的なエネルギ需要が少なくなるという利点を有する。脱着プロセスのために熱を溶媒に伝達することにより、蒸気が冷却され、これが、典型的には、蒸気ストリームの少なくとも一部(例えば、大部分または全部)の凝縮をもたらし、第2の凝縮物ストリームを形成し得ることを、理解できるであろう。好ましい実施形態において、この方法は、第2の凝縮物ストリームを使用して、(a)第1の水ストリーム、および(b)炭酸ナトリウム水溶液の少なくとも一方のために水をもたらすことを含む。上述のように、水のリサイクルは、プロセスの水消費量を減らし、好ましくはプロセスの熱消費量を減らし、結果としてプロセスの全体的な効率を高めるため、好都合である。二酸化炭素が溶媒から脱着されると、溶媒をリサイクルする(すなわち、生成物ストリームからさらなる二酸化炭素を吸収するために使用する)ことができる。任意であるが、溶媒の加熱によって二酸化炭素を脱着する場合、リサイクルされる溶媒の潜熱を、脱着前に二酸化炭素を含む溶媒を予熱するために使用することができる。
【0028】
本発明による方法のいくつかの実施形態において、二酸化炭素ストリームは、捕捉後に液化させられる。これにより、二酸化炭素を容易に精製および/または貯蔵および/または輸送することができる。液化したCO2を、任意であるが、反応容器への供給のためのCO2ストリームを形成するために、供給前に気化させることができる。さらに、二酸化炭素は、気化可能になると、圧力の増加によって自身の原動力を自身でもたらすことができ、したがってポンプを不要にできる。あるいは、CO2ストリームは、事前に貯蔵されることなく後続の反応ステップに直接供給されてもよい。
【0029】
いくつかの実施形態において、捕捉後に得られる二酸化炭素は、以下の基準を満たす。
a.二酸化炭素の含有量が少なくとも99.9v/v%である。
b.水分の含有量が最大で20ppmである。
c.アンモニアの含有量が最大で2.5ppmである。
d.酸素の含有量が最大で30ppmである。
e.酸化チッ素の含有量が最大で2.5ppmである。
f.二酸化チッ素の含有量が最大で2.5ppmである。
g.非揮発性残留物(粒子状物質)の含有量が最大で10ppmである。
h.非揮発性有機残留物(油およびグリース)の含有量が最大で5ppmである。
i.揮発性炭化水素の含有量(メタンとして計算される)が最大で50ppmである(そのうちの最大で20ppmが非メタンの炭化水素であってよい)。
j.アセトアルデヒドの含有量が最大で0.2ppmである。
k.芳香族炭化水素の含有量が最大で0.02ppmである。
l.一酸化炭素の含有量が最大で10ppmである。
m.メタノールの含有量が最大で10ppmである。
n.硫化カルボニルの含有量が最大で0.1ppmである。
o.硫化水素の含有量が最大で0.1ppmである。
p.二酸化硫黄の含有量が最大で1ppmである。
【0030】
得られる二酸化炭素が上記の基準を満たすことを保証することは、通常の化学的およびプロセス工学的因子(例えば、機器および動作条件)を制御し、二酸化炭素を吸収するための適切な溶媒を選択することによって達成できることを、理解できるであろう。
【0031】
いくつかの実施形態において、反応容器へと供給される二酸化炭素ストリームは、20~90v/v%の範囲内、任意であるが25~80v/v%の範囲内、30~70v/v%の範囲内など、例えば35~60v/v%、任意であるが35~55v/v%の範囲内、任意であるが40~45v/v%の範囲内の二酸化炭素濃度を有する。任意であるが、二酸化炭素ストリームの残りの部分は、チッ素または空気を含む。好ましくは、二酸化炭素ストリームは、捕捉された二酸化炭素を希釈ガスで希釈することによって、反応容器への供給前に形成され、任意であるが、希釈ガスは、チッ素または空気を含む。
【0032】
「炭酸ナトリウム水溶液」という用語は、溶解した炭酸ナトリウムを含む(あるいは、いくつかの実施形態においては溶解した炭酸ナトリウムから本質的になり、もしくは、他の実施形態においては溶解した炭酸ナトリウムからなる)水溶液を指すように意図される。炭酸ナトリウム水溶液は、任意であるが、溶解した重炭酸ナトリウムをさらに含み得る。いくつかの実施形態において、炭酸塩水溶液は、溶液中の主要な溶解成分(すなわち、溶液に溶解した成分のうちで乾燥質量含有量が最大である成分)として、溶解した炭酸ナトリウムを含み、あるいは、いくつかの実施形態においては、乾燥重量基準で溶液の少なくとも80、90、または95重量%が炭酸ナトリウムである。炭酸ナトリウム水溶液の一部を、液から得ることが可能である。好ましくは、炭酸ナトリウム水溶液は、液、炭酸ナトリウム、および水を混合することによって得られる。
【0033】
反応容器は、反応材料および反応条件に対応できる任意の適切な反応容器であってよい。容器への反応物の充てんまたは容器からの生成物/副生成物の抽出のための任意の適切な数の入口および/または出口を備えることができる。容器は、バッチ容器(例えば、反応器)またはフロー容器(例えば、容器を通る(例えば容器の配管またはパイプを通る)流速によって制御される期間にわたって反応物が混合される)であってよい。容器は、複数の反応「ゾーン」を含むことができ、これら複数の反応「ゾーン」によって、プロセスの別個のステップを段階的なやり方で実行することができる。したがって、このプロセスは、バッチ式または連続式にて実行することができる。典型的には、このプロセスは連続式にて実行される。
【0034】
本明細書に記載の方法のステップ「e.」におけるCO2と炭酸ナトリウム水溶液との反応は、本明細書の導入部分において式1によって説明したように、当業者によく知られている。したがって、当業者であれば、反応を効果的に実施するための適切なプロセス条件(温度/圧力/濃度/反応物の化学量論)を特定することができるであろう。
【0035】
いくつかの実施形態において、水性の液がアルカリ性水溶液であることを、理解できるであろう。いくつかの実施形態において、液は、水性の重炭酸ナトリウムおよび水性の炭酸ナトリウムを含む。この方法は、液を加熱して、水性の重炭酸ナトリウムの少なくとも一部を水性の炭酸ナトリウム、二酸化炭素、および水に変換するステップをさらに含むことができる。液を、少なくとも50℃の温度に加熱することができる。例えば、少なくとも60℃、70℃、80℃、90℃、または95℃の温度に加熱することができる。液を、例えば、約90~105℃の温度に加熱することができる。炭酸ナトリウムは重炭酸塩よりも水に溶けやすいため、重炭酸ナトリウムの一部を炭酸ナトリウムに変換することが有利であることを、当業者であれば理解できるであろう。したがって、これにより、液がさらなる炭酸ナトリウムを溶解させることができるようになる。これは、液がリサイクルされて反応器へとフィードバックされる本発明の実施形態において、とくに有利である。液の加熱に使用される熱を、蒸気ストリームの少なくとも一部によってもたらすことができる。このプロセスにおいて、蒸気からの熱が液に伝えられ、蒸気は冷却される。したがって、いくつかの実施形態において、蒸気ストリームによる液への熱の供給は、蒸気の少なくとも一部を冷却して凝縮させ、第3の凝縮物ストリームを形成する。
【0036】
いくつかの実施形態において、この方法は、第3の凝縮物ストリームから第1の水ストリームおよび炭酸ナトリウム水溶液のうちの少なくとも1つに水を供給することを含む。上述のように、水のリサイクルは、プロセスの水消費量を減らし、好ましくはプロセスの熱消費量を減らし、結果としてプロセスの全体的な効率を高めるため、好都合である。
【0037】
上述のように、炭酸ナトリウムの少なくとも一部(例えば、すべて)は、液を加熱するステップの間、液に溶解したままであり得る。さらに、液の加熱後に形成された二酸化炭素を収集し、CO2オフガスを形成することができる。CO2オフガスが、典型的には、液を加熱するステップの後に比較的高温(例えば、周囲よりも高温であり、典型的には少なくとも50℃、少なくとも60℃、少なくとも70℃、少なくとも℃、少なくとも90℃、または少なくとも95℃)になることを、当業者であれば理解できるであろう。いくつかの実施形態において、この方法は、第2の水ストリームを使用してCO2オフガスを冷却して、冷却された二酸化炭素ストリームおよび加熱された水ストリームを生成することをさらに含む。
【0038】
加熱された水ストリームの少なくとも一部(例えば、すべて)を使用して、第1の水ストリームを形成することができる。すなわち、いくつかの実施形態において、(蒸気ストリームを生成するために使用される)第1の水ストリームは、加熱された水ストリームからの水を含み得る。加熱された水ストリームからの温水を第1の水ストリームに供給することは、蒸気ストリームを形成すべく第1の水ストリームを加熱して沸騰させるために必要な全体としてのエネルギが少なくて済み、したがってプロセスの全体的な効率がさらに向上するという利点を有する。
【0039】
反応容器に供給される二酸化炭素ストリーム中のすべてのCO2が炭酸ナトリウムと反応して重炭酸ナトリウムを形成するわけではないかもしれない。したがって、そのような未反応の二酸化炭素を、さらなる使用のために収集することができ、あるいは好ましくは反応容器へとリサイクルするために収集することができる。したがって、いくつかの実施形態においては、反応容器内の重炭酸ナトリウム水溶液と反応しない二酸化炭素ストリームの一部が、二酸化炭素廃棄物ストリームへと形成される。
【0040】
本発明による方法のいくつかの実施形態において、重炭酸ナトリウムの製造のための方法が提供され、ここで、(a)CO2オフガス、(b)冷却された二酸化炭素のストリーム、および(c)二酸化炭素廃棄物ストリームのうちの少なくとも1つ(例えば、a+bまたはa+cなどの2つ、あるいは3つすべて)からの二酸化炭素が、反応容器へと供給されることによってリサイクルされる。これは、プロセスのCO2効率を高めると同時に、大気に放出される温室効果ガスの量を減らすため、好都合である。
【0041】
また、本明細書に記載のいずれかの方法によるプロセスによって調製された固体重炭酸ナトリウムも、本開示によって提供される。
【0042】
さらに、本明細書に記載の方法のステップ「e.」に従って調製される炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、および二酸化炭素を含む水溶液中に分散した固体重炭酸ナトリウムを含むスラリーも、本開示によって提供される。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図2】本発明による方法を示す概略図であり、液ストリームおよび二酸化炭素ストリームのリサイクルを示している。
【
図3】凝縮物ストリーム、蒸気ストリーム、および水ストリームの関係を示す概略図である。
【
図4】反応容器内の例示的な反応プロセスを示す概略図である。
【
図5】本発明による液リサイクルプロセスを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
次に、本発明の特定の実施形態を、あくまでも例として、上記で簡単に説明した添付の図面を参照して説明する。
【0045】
本発明は、重炭酸ナトリウムの製造方法に関する。より具体的には、本発明は、工業規模での使用に適しており、アンモニアソーダプロセスとは無関係に稼働させることができ、外部の供給源からの二酸化炭素の供給に依存しない重炭酸ナトリウムの製造方法に関する。このプロセスは、炭素質原料の処理から得られるCO2の少ない二酸化炭素生成物ストリームを利用することができる。
【0046】
図1が、本発明による方法の概略図を示している。炭素質材料を含む炭素質原料2が、炭素質材料供給源4から供給される。炭素質材料は、最大10v/v%の二酸化炭素を含む生成物ストリーム6を生成するような反応に適した任意の炭素質材料であってよい。炭素質材料は、1つ以上の炭化水素を含むことができ、あるいは1つ以上の炭化水素で構成されてよい。炭素質材料は、石炭、石油、または天然ガスなどの化石燃料であってよい。炭素質材料は、好ましくは天然ガスである。あるいは、炭素質材料は、バイオマス、バイオディーゼル、バイオエタノール、などの再生可能物質であってよい。CO
2を生成するための炭素質材料の処理(すなわち、反応)は、通常は、熱を発生させる。炭素質材料の処理は、炭素質材料の燃焼を含むことができる。炭素質材料を、熱電併給プラントにおいて燃焼させることができる。図示の例示的な実施形態においては、生じた熱の一部が、第1の水ストリーム8を蒸気ストリーム10に変換するために使用される。
【0047】
次いで、蒸気ストリームの一部を、熱の供給に使用することができる。
図1は、蒸気ストリーム10の各部分14、22、および18を示している。蒸気ストリーム10の各部分からプロセスの他の部分への熱の伝達を、加熱されるべき物体または物質と蒸気との間の直接流体接触によって実行することができる。あるいは、熱を、熱伝導媒体を経由するなど、蒸気ストリームと加熱されるべき物体または物質との間の直接流体接触を伴わずにもたらすことができる。換言すると、蒸気ストリーム10またはその一部は、熱交換媒体として機能することができ、熱交換の働きは、当業者に知られている任意の適切な形態の熱交換器装置(例えば、プレート、プレート-フィン、またはシェルアンドチューブ熱交換器)にて行われてよい。蒸気ストリーム10の一部を、以下の任意の組み合わせへと熱を供給するために使用することができる:反応容器への供給に先立つ液化二酸化炭素の気化、溶媒からの二酸化炭素の脱着、および液へ。
【0048】
蒸気ストリームの一部を、他のプロセス(すなわち、アンモニアソーダプロセスなどの他の生産工程)あるいは商業施設または家庭に熱を供給するために使用することができる。蒸気ストリームの各部分に存在する熱エネルギを利用して有用な仕事を実行することにより、追加の熱を生成する必要性が減少し、したがって重炭酸ナトリウム製造方法の全体的な効率が改善され、この方法の実行に使用される装置のエネルギ必要量が少なくなる。
【0049】
本発明の方法における他のプロセスへの蒸気ストリーム10による熱(本来であれば消散して失われると考えられる)の供給を、バーナーまたは電気加熱装置などの従来からの熱源を補い、あるいは置き換えるために使用することができる。そのようにすることで、この方法のエネルギ効率が好都合に改善される。
【0050】
蒸気ストリームの一部によって上述のプロセスのいずれかへと熱を供給することで、結果として、蒸気ストリームのこの部分が凝縮し、凝縮物ストリームが形成される可能性がある。蒸気ストリームの複数の部分がそれぞれ凝縮して、別個の凝縮物ストリームを形成することができる。これに代え、あるいはこれに加えて、蒸気ストリーム10の一部を、例えば単に(例えば、空気凝縮器または水冷却塔において)周囲の環境へと熱を失い、あるいは無関係な手順(例えば、他の産業プラント)において熱を失うことにより、いかなる特定のプロセスにも熱を供給することなく第1の凝縮物ストリーム12をもたらすように使用することができる。
図1に示されるように、溶媒から二酸化炭素を脱着するための熱を供給するために使用される蒸気ストリーム10の一部分14が、凝縮物ストリーム16(本明細書において、第2の凝縮物ストリームと呼ばれる)を生成することができる。さらに、液に熱を供給するために使用される蒸気ストリーム10の一部分18が、凝縮物ストリーム20(本明細書において、第3の凝縮物ストリームと呼ばれる)を生成することができる。液化二酸化炭素の気化に熱を供給するために使用される蒸気ストリーム10の一部分22は、第4の凝縮物ストリーム24を生成することができる。
【0051】
水の蒸発および凝縮によって生成される凝縮物ストリームを、水を必要とする用途に使用することができる。とくに、蒸発および凝縮のステップが、典型的には、存在し得る不純物のかなりの量を除去すると考えられるため、この水を、適切に高い純度の水が必要とされる場所に使用することが可能である。
【0052】
凝縮物ストリームの任意の1つまたは組み合わせを使用し、炭酸ナトリウムを溶解させて、炭酸ナトリウム水溶液26を形成することができる。
図1は、炭酸ナトリウム水溶液26を形成するために水ストリーム38へと水を供給するために使用される第1の凝縮物ストリーム12を示している。これは、本来であれば炭酸ナトリウム水溶液の形成に必要とされると考えられる高純度の水を供給する必要性を軽減し、あるいは皆無にするため、好都合である。
【0053】
凝縮物ストリームの任意の1つまたは組み合わせを使用して、第1の水ストリーム8に水を供給することができる。さらに、河川水または井戸水などの原水を使用して、第1の水ストリーム8に水を供給することができる。
図3が、第1の水ストリーム8を供給する凝縮物ストリーム12、16、20、24、および76を示している。これは、凝縮物ストリームに存在し得る残余の熱が第1の水ストリームを暖め、したがって第1の水ストリームを沸騰させて蒸気ストリームを生成するために炭素質処理ステップによって供給されなければならない追加の熱エネルギの量が少なくて済み、すなわちプロセスの効率が向上するため、好都合である。
【0054】
蒸気ストリーム10の一部を、電気を生成するために使用することができる。蒸気ストリームの一部からの発電は、例えば高圧の蒸気ストリームをタービンに供給するなど、当業者に知られている任意の方法によって達成可能である。蒸気ストリームによって生成された電気を、重炭酸ナトリウムの製造方法において使用されるプロセスに電力を供給するために使用することができる。これに加え、あるいはこれに代えて、電気は、他の産業プロセスに電力を供給するために使用されてよく、あるいは他のユーザによる消費のために局所的な配電網に供給されてよい。電気は、以下のプロセスの任意の組み合わせに使用されてよい:重炭酸ナトリウムの製造方法を実行するために必要な補助制御およびセンサ、ポンプ、モータ、ファン、コンプレッサ、バルブ、ヒータ、およびクーラ、スラリーの分離、二酸化炭素を豊富に含む溶媒への熱の供給、二酸化炭素を豊富に含む溶媒の圧力の低下、液への熱の供給、および固体の重炭酸ナトリウム生成物の乾燥。
【0055】
炭素質原料を処理することによって生成される生成物ストリーム6は、二酸化炭素を含む。これは、二酸化炭素を本明細書においてすでに説明した量で含むことができる。CO2濃度は、最大10v/v%であってよい。あるいは、生成物ストリーム6は、二酸化炭素を最大9v/v%の量、任意であるが最大8v/v%の量、任意であるが最大7v/v%の量、任意であるが最大6v/v%の量、任意であるが最大5v/v%の量、任意であるが最大4v/v%の量で含むことができる。あるいは、生成物ストリーム6は、二酸化炭素を、1~10v/v%の範囲、任意であるが2~9v/v%の範囲、任意であるが3~8v/v%の範囲、任意であるが4~7v/v%の範囲、任意であるが5~6v/v%の範囲の濃度で含むことができる。あるいは、生成物ストリーム6は、約10v/v%の濃度で二酸化炭素を含むことができる。あるいは、生成物ストリーム6は、約9v/v%の濃度で二酸化炭素を含むことができる。あるいは、生成物ストリーム6は、約8v/v%の濃度で二酸化炭素を含むことができる。あるいは、生成物ストリーム6は、約7v/v%の濃度で二酸化炭素を含むことができる。あるいは、生成物ストリーム6は、約6v/v%の濃度で二酸化炭素を含むことができる。あるいは、生成物ストリーム6は、約5v/v%の濃度で二酸化炭素を含むことができる。あるいは、生成物ストリーム6は、約4v/v%の濃度で二酸化炭素を含むことができる。あるいは、生成物ストリーム6は、約3v/v%の濃度で二酸化炭素を含むことができる。あるいは、生成物ストリーム6は、約2v/v%の濃度で二酸化炭素を含むことができる。
【0056】
生成物ストリーム6は、他のガスをさらに含むことができる。他のガスは、チッ素、二酸化硫黄、一酸化炭素、水、または炭素質原料2の燃焼から生じ得る任意の他のガスのうちの1つ以上を含み得る。
【0057】
生成物ストリーム6中の二酸化炭素は、本発明のプロセスにて捕捉される。この文脈における「捕捉」は、二酸化炭素を他の成分から除去すること、二酸化炭素から他の成分を除去すること、またはこれらの組み合わせによって、二酸化炭素が生成物ストリーム6の他の成分から分離されることを意味するように意図される。捕捉プロセスは、必ずしも生成物ストリーム6からすべての二酸化炭素を捕捉する必要はない。捕捉プロセスは、生成物ストリーム6に存在する二酸化炭素の一部のみを捕捉することができる。捕捉プロセスは、生成物ストリーム6に存在する二酸化炭素の30~98%を捕捉することができる。捕捉プロセスは、生成物ストリーム6に存在する二酸化炭素の50~95%を捕捉することができる。捕捉プロセスは、生成物ストリーム6に存在する二酸化炭素の70~90%を捕捉することができる。
【0058】
二酸化炭素を捕捉するために、生成物ストリームは、この例示的な実施形態において、二酸化炭素が溶媒に吸収され、二酸化炭素を豊富に含む溶媒が形成されるように、溶媒に接触させられる。次に、二酸化炭素は、二酸化炭素を豊富に含む溶媒から脱着させられ、二酸化炭素ストリーム28を形成する。二酸化炭素を捕捉する好ましい方法として、アミン系溶媒などの塩基性溶媒の使用が挙げられる。とくに好ましい溶媒として、アルカノールアミンを含む溶媒などの本明細書に記載の溶媒が挙げられ、任意であるが、アルカノールアミンは、N-メチルジエタノールアミン(MDEA)、2-アミノ-2-メチル-1-プロポナール(AMP)、2-(ジエチルアミノ)-エタノール(DEAE)、ジイソプロパノールアミン(DIPA)、メチルアミノプロピルアミン(MAPA)、3-アミノプロパノール(AP)、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジアミン(DMPDA)、3-アミノ-1-シクロヘキシルアミノプロパン(ACHP)、ジグリコールアミン(DGA)、1-アミノ-2-プロパノール(MIPA)、2-メチル-メタノールアミン(MMEA)、モノエタノールアミン、ジグリコールアミン、およびこれらの2つ以上の混合物から選択される。生成物ストリーム6から二酸化炭素を吸収することができることが当業者にとって明らかである任意の他の適切な溶媒も、使用可能である。
【0059】
二酸化炭素を豊富に含む溶媒から二酸化炭素を脱着するために、二酸化炭素を豊富に含む溶媒を加熱すること、および/または二酸化炭素を豊富に含む溶媒を減圧に曝すことが必要となり得る。脱着後に、二酸化炭素は、二酸化炭素ストリーム28として抽出される。上述のように、好ましい方法においては、蒸気ストリーム10の一部分14が、溶媒の加熱に用いられる。例示的な実施形態においては、蒸気ストリーム10の一部分14からの熱が二酸化炭素を豊富に含む溶媒へと伝達されるときに、蒸気は凝縮し、第2の凝縮物ストリーム16が形成される。好ましくは、第2の凝縮物ストリーム16は、
図3に示されるように、第1の水ストリーム8および/または炭酸ナトリウム水溶液ストリーム26に水を提供する。
【0060】
捕捉された二酸化炭素の量は、重炭酸ナトリウムの製造方法をまかなうために充分である。このやり方で二酸化炭素を捕捉することにより、CO2の液化、膜分離、蒸留、などによって、二酸化炭素の純度の向上および容易な制御が可能である。したがって、より低純度(例えば、石灰炉)またはより高コスト(例えば、商業的に供給される二酸化炭素)な他の供給源からの追加の二酸化炭素を調達する必要がなくなる。
【0061】
捕捉される二酸化炭素の量は、重炭酸ナトリウムの製造方法で必要とされる量を超える可能性がある。所与の期間において生成物ストリーム6から捕捉され、脱着させられ、液化させられる二酸化炭素の量が、同等の期間において重炭酸ナトリウムの製造方法が消費する二酸化炭素の量を超える可能性がある。過剰な二酸化炭素を、液化させて貯蔵することができる。溶媒からの脱着に続いて、捕捉された二酸化炭素を液化させるための任意の適切な方法を使用することができる。二酸化炭素の液化は、好都合なことに、より小さな体積での二酸化炭素の供給をもたらし、したがって、より容易な貯蔵を促進する。貯蔵された二酸化炭素を、メンテナンスの期間中に重炭酸ナトリウムの製造方法に二酸化炭素を供給するために使用することができ、他のプロセスにおいて原料として使用することができ、二酸化炭素の他のユーザに提供することができ、あるいはこれらの任意の組み合わせが可能である。
【0062】
捕捉後に得られる二酸化炭素ストリームは、少なくとも95%の二酸化炭素、好ましくは少なくとも97.5%の二酸化炭素、最も好ましくは少なくとも99.9%の二酸化炭素を含むことができる。好ましい実施形態において、捕捉および任意による液化の後に得られる二酸化炭素は、食品または医薬品グレードの二酸化炭素の品質基準を満たすことができる。例えば、捕捉後に得られる二酸化炭素は、最大で40ppm、好ましくは最大で30ppm、最も好ましくは最大で20ppmの水をさらに含むことができる。さらに、捕捉された二酸化炭素は、最大で2.5ppmのアンモニア、最大で30ppmの酸素、最大で2.5ppmの酸化チッ素、最大で2.5ppmの二酸化炭素、最大で10ppmの非揮発性残留物(粒子状物質など)、最大で5ppmの非揮発性有機残留物(油またはグリースなど)、最大で50ppmの揮発性炭化水素(メタン、エタン、プロパン、など)、最大で0.2ppmのアセトアルデヒド、最大で0.02ppmの芳香族炭化水素、最大で10ppmの一酸化炭素、最大で10ppmのメタノール、最大で0.1ppmの硫化カルボニル、最大で0.1ppmの硫化水素、最大で1ppmの二酸化硫黄のうちの1つ以上の量を含むことができる。
【0063】
二酸化炭素は、通常は、重炭酸ナトリウムの製造方法において使用するための反応容器へと気体の形態で供給される。したがって、液体二酸化炭素ストリーム30を気化させて、気化した二酸化炭素ストリーム32を生成することができる。液体二酸化炭素ストリーム30を気化させるために、任意の適切な方法を使用することができる。
図1は、気化した二酸化炭素ストリーム32を生成するために液体二酸化炭素ストリーム30に熱源をもたらす蒸気ストリーム10の一部分22を示している。好ましくは、蒸気ストリーム10の一部分22は、低圧下にある。いくつかの実施形態において、液化二酸化炭素ストリーム30の少なくとも一部分は、上述のように捕捉され、脱着され、液化させられて貯蔵された二酸化炭素の貯蔵容器からもたらされる。
【0064】
気化した二酸化炭素ストリーム32は、20~90v/v%の範囲、任意であるが25~80v/v%の範囲、任意であるが30~70v/v%の範囲、任意であるが35~60v/v%の範囲、任意であるが35~55v/v%の範囲、任意であるが40~45v/v%の範囲の二酸化炭素濃度を有する反応容器34へと供給され、任意であるが、二酸化炭素ストリーム32の残りの部分は、チッ素または空気を含む。好ましくは、気化した二酸化炭素ストリーム32は、反応容器への供給に先立ちチッ素、空気、または他の適切なガスなどの希釈ガスで希釈される。適切には、希釈ガスは、典型的には、重炭酸ナトリウムの生成に必要な反応条件下で不活性である。
【0065】
炭酸ナトリウム水溶液ストリーム26が、反応容器34へと供給される。反応容器34において、気化した二酸化炭素ストリーム32は、炭酸ナトリウム水溶液ストリーム26と混合される。
【0066】
式1に示されるように、水溶液にて炭酸ナトリウムストリーム26を供給することにより、重炭酸ナトリウム反応の進行に必要な水がもたらされる。理論に縛られることを望むものではないが、式1による反応は平衡として存在でき、したがって反応条件に応じて順方向および逆方向の反応を有すると考えられる。反応容器34を、式1による順方向の反応を逆方向の反応よりも有利にするために適した任意の温度で動作させることができる。反応容器34を、式1による順方向の反応を逆方向の反応よりも有利にするために適した任意の圧力で動作させることができる。
【0067】
炭酸ナトリウム水溶液ストリーム26を生成するために、固体炭酸ナトリウムを供給する炭酸ナトリウム供給物36がもたらされる。いくつかの実施形態において、炭酸ナトリウム供給物36は、固体炭酸ナトリウムの供給源を含む貯蔵容器に接続されている。好ましくは、貯蔵容器は、サイロである。好ましくは、固体炭酸ナトリウムの供給源は、ソーダ灰である。固体炭酸ナトリウムは、所望の速度で炭酸ナトリウム供給物36によって貯蔵容器から引き出される。炭酸ナトリウム供給物36による固体炭酸ナトリウムの炭酸ナトリウム水溶液供給物26への供給速度を、重炭酸ナトリウムの製造方法による炭酸ナトリウムの消費の速度に応じて操作することができる。
【0068】
炭酸ナトリウム供給物36の少なくとも一部を、水ストリーム38および/または処理された液ストリーム56に接触させて、炭酸ナトリウム水溶液ストリーム26を得ることができる。炭酸ナトリウム供給物36によってもたらされる炭酸ナトリウムの少なくとも一部は、水ストリーム38の水と接触したときに実質的に溶解し、水溶液26を形成する。好ましくは、形成される炭酸ナトリウム溶液の濃度は、最大10Mである。より好ましくは、濃度は1M~5Mの間である。最も好ましくは、濃度は約2.5Mである。
【0069】
水ストリーム38を、凝縮物ストリームの任意の組み合わせによってもたらすことができる。
図1は、水ストリーム38へと水をもたらす第1の凝縮物ストリーム12および第3の凝縮物ストリーム20を示している。
図3は、水ストリーム38をもたらす第1、第2、第3、および第4の凝縮物ストリーム12、16、20、および24を示している。水ストリーム38を、第1の凝縮物ストリーム12、第2の凝縮物ストリーム16、第3の凝縮物ストリーム20、および第4の凝縮物ストリーム24のうちの1つ以上によってもたらすことができる。第1、第2、第3、および第4の凝縮物ストリーム12、16、20、および24のうちの1つ以上は、炭酸ナトリウム水溶液26に水を直接供給することができる。
【0070】
蒸気ストリーム10の一部分18が、水ストリーム38および/または炭酸ナトリウム水溶液ストリーム26に熱を提供する。理論に束縛されることを望むものではないが、水ストリーム38および/または炭酸ナトリウム水溶液ストリーム26を加熱することで、炭酸ナトリウム水溶液ストリーム26における炭酸ナトリウムの溶解の速度が加速され、溶解の効率が向上すると考えられる。部分18の冷却時に、水は凝縮し、上述のように水ストリーム38をもたらすことができる第3の凝縮物ストリーム20をもたらす。蒸気ストリーム10の他の部分も、水ストリーム38を加熱するために使用可能である。
【0071】
水溶液を形成する炭酸ナトリウムの溶解は、発熱プロセスである。したがって、炭酸ナトリウムストリーム26は、炭酸ナトリウム水溶液が形成されるにつれて加熱される。したがって、炭酸ナトリウムストリーム26は、反応容器34への進入前に温度調節を必要とする可能性がある。炭酸ナトリウムストリーム26は、冷却を必要とする可能性があり、あるいは加熱を必要とする可能性がある。冷却および/または加熱を、ストリーム26を熱交換媒体に接触させることによって達成することができ、熱交換の働きは、当業者に知られている任意の適切な形態の熱交換器装置(例えば、プレート、プレート-フィン、またはシェルアンドチューブ熱交換器)にて行われてよい。例えば、炭酸ナトリウムストリーム26が希薄であり、したがって炭酸ナトリウムの溶解によって生じる熱エネルギが、より大量の水の全体に放散される場合、炭酸ナトリウムストリームは、加熱を必要とする可能性があると考えられる。上述のように、蒸気ストリーム10の一部分18が、炭酸ナトリウム水溶液ストリーム26に熱をもたらすことができる。
【0072】
炭酸ナトリウム供給物36、水ストリーム38、液ストリーム56、および気化した二酸化炭素ストリーム32のうちの1つ以上を、反応容器34(図示せず)に直接供給することが可能であると考えられる。そのような実施形態において、水ストリーム38および/または液ストリーム56は、反応容器34内のその場で、炭酸ナトリウム供給物によってもたらされる炭酸ナトリウムを溶解させ、炭酸ナトリウム水溶液をもたらすことができる。
【0073】
また、炭酸ナトリウム供給物36および二酸化炭素水溶液を、反応容器34(図示せず)に直接供給することも可能であると考えられる。いくつかの実施形態において、二酸化炭素水溶液は、二酸化炭素で飽和した水溶液であってよい。二酸化炭素水溶液は、炭酸を含むことができる。そのような実施形態において、気化した二酸化炭素ストリーム32を水ストリーム38と接触させて、反応容器への進入前に二酸化炭素水溶液を形成することが考えられる。炭酸ナトリウムは、反応容器34内のその場で二酸化炭素水溶液と接触して、炭酸ナトリウム水溶液をもたらす。
【0074】
反応容器34において、気化した二酸化炭素ストリーム32の少なくとも一部が、炭酸ナトリウムストリーム26の少なくとも一部で処理される。炭酸ナトリウムストリーム26を形成するために使用された水ストリーム38の少なくとも一部が、重炭酸ナトリウム生成物を形成するための式1に従って、反応において消費される。
【0075】
重炭酸ナトリウムを生成するための式1による反応は、発熱反応である。したがって、反応容器34は、温度変動を被る可能性があり、したがって冷却および/または加熱を必要とし得る。いくつかの実施形態において、反応容器34で生じた過剰な熱は、水ストリーム38の少なくとも一部を加熱するために使用される。反応容器34の冷却および/または加熱を、適切な熱交換媒体によって達成することができ、熱交換の働きは、当業者に知られている任意の適切な形態の熱交換器装置(例えば、プレート、プレート-フィン、またはシェルアンドチューブ熱交換器)にて行われてよい。いくつかの実施形態においては、水ストリーム38が反応容器34に熱的に連絡し、その水がヒートシンクとして機能し、反応容器34によって加熱される。好都合なことに、反応容器34において生じた熱で水ストリーム38を加熱することで、炭酸ナトリウム36が溶解して、炭酸ナトリウム水溶液26を形成する速度が上昇する。蒸気ストリーム10の一部を、反応容器34の加熱に使用することもできる。
【0076】
図4の例示的なプロセスに示されるように、炭酸ナトリウムストリーム26を、反応容器34の上部40へと供給することができる。次いで、二酸化炭素ストリーム32を、反応容器の底部42へと供給することができる。しかしながら、これらの材料の反応容器への供給について、他の配置も考えられる。例えば、それらを同じ入口を介して同時に、または別々に供給することが可能である。しかしながら、それらは、典型的には、反応容器へと別々の入口を介してそれぞれ供給される。
図4に示される配置は、二酸化炭素ストリーム32と炭酸ナトリウムストリーム26との接触を好都合に最大化し、二酸化炭素ストリーム32の少なくとも一部が炭酸ナトリウムストリーム26に溶解して、反応溶液44を形成することを確実にする。反応容器34は、反応溶液44を収容する複数のシリンダ46を備えることができる。しかしながら、他の容器の種類および/または配置を排除するものではない。
【0077】
好ましくは、炭酸ナトリウムストリーム26中の炭酸ナトリウムの10~90重量%が、二酸化炭素32と反応して、反応溶液44中に重炭酸ナトリウムを形成する。例えば、炭酸ナトリウムストリーム26中の炭酸ナトリウムの30~60重量%が反応し得る。例示的な実施形態においては、炭酸ナトリウムストリーム26中の炭酸ナトリウムの約50重量%が、二酸化炭素32と反応する。形成された重炭酸ナトリウムは、反応溶液44から沈殿して、スラリー48を形成した。理論に束縛されることを望むものではないが、重炭酸ナトリウム生成物は、反応器の条件下で炭酸ナトリウムよりも反応溶液44に溶けにくいと考えられる。したがって、反応が進行するにつれて、水の量および溶質の濃度が制御されるならば、重炭酸ナトリウムは固体として沈殿し、重炭酸ナトリウムの水性スラリー48を形成する。溶液からの重炭酸ナトリウムの沈殿を確実にするように反応を制御することは、式1による順方向の反応の方向に、重炭酸ナトリウムに向かって反応平衡を好都合に駆動すると理解される。しかしながら、一部の重炭酸ナトリウムが、典型的には、反応溶液に溶解したままであることを、理解できるであろう。いくつかの実施形態において、例えばシステムが栓流システムとして動作するならば、反応溶液44内の溶解した重炭酸ナトリウムの濃度勾配を観察することができる。スラリー48に隣接する反応容器34の底部42に位置する反応溶液44の部分と比較して、重炭酸ナトリウムを比較的含まない反応容器34の上部40に位置する炭酸ナトリウムストリーム26に隣接する反応溶液44の部分が存在し得る。反応溶液44内の重炭酸ナトリウムの濃度は、反応溶液の底部と上部との間で最大60%変化し得る。
【0078】
反応溶液を、炭酸ナトリウムストリーム26を通して二酸化炭素ストリーム32をバブリングすることによって攪拌した。しかしながら、反応溶液を、これらに限られるわけではないがバッフル、ロータ、インペラ、およびシェーカなどの当業者に知られた任意の他の適切な方法によって攪拌することができる。
【0079】
固体重炭酸ナトリウムの反応容器34の底部への沈下を可能にして、容器の底部にスラリー48を形成することができる。次いで、例示的な実施形態において、スラリー48を、反応容器34の底部42から好都合に抽出し、スラリーストリーム50を形成した。スラリーストリーム50は、固体重炭酸ナトリウムを、水溶性の炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、および二酸化炭素を含む残余の反応水溶液(すなわち、母液)と共に含んでいた。以下では、残余の反応溶液を「液」52と称する。
【0080】
図1および
図2に示されるように、液52は、スラリーストリーム50から抽出される。スラリーストリーム50を、液52を抽出するために、遠心分離し、真空ろ過し、フィルタ処理し、液体サイクロンなどで処理し、あるいは任意の他の適切な方法に曝すことができる。例示的な実施形態においては、スラリー50から液52を分離することで、重炭酸ナトリウムのスラリーケーキ54が単離された。必要に応じて、スラリーケーキ54をさらなる抽出に曝して、より多くの液52を抽出することができる。いくつかの実施形態において、スラリーストリーム50および/またはスラリーケーキは、分離前に冷却される。これは、さらなる重炭酸ナトリウムの沈殿を促進することにより、プロセスの収率を高めるがゆえに好都合である。
【0081】
続いて、スラリーケーキ54を乾燥させて、固体の重炭酸ナトリウム生成物を得る。スラリーケーキを、熱によって乾燥させることができ、空気によって乾燥させることができ、減圧下で乾燥させることができ、あるいは任意の他の適切な方法によって乾燥させることができる。スラリーケーキ54は、オーブン、炉、または他の任意の適切な手段において、熱によって乾燥させることができる。熱による乾燥工程のための熱を、任意であるが、蒸気ストリーム10の一部によって、直接接触または熱交換器のいずれかによってもたらすことができる。好ましくは、湿った固体ケーキを、30~150℃の間、より好ましくは40~100℃の間、最も好ましくは約80℃に加熱して、固体の乾燥した重炭酸ナトリウム生成物を得る。
【0082】
スラリーストリーム50から抽出された液52は、高濃度の溶解した重炭酸ナトリウムを、同程度の炭酸ナトリウムおよび二酸化炭素と共に含んでいた。したがって、液52をCO2、炭酸ナトリウム、および重炭酸ナトリウムの供給源として反応容器34へとリサイクルすることができる。好都合には、液52の少なくとも一部をリサイクルすることで、廃棄物が減少するため、重炭酸ナトリウム反応の全体的な収率が向上する。液52が反応容器34への有用な原料であるためには、液52の重炭酸ナトリウムの濃度を下げなければならない。液52は、最大で5Mの重炭酸ナトリウムを含み得る。あるいは、液52は、最大で2.5Mの重炭酸ナトリウムを含み得る。あるいは、液52は、最大で1.3Mの重炭酸ナトリウムを含み得る。また、液52は、炭酸ナトリウムおよび溶存二酸化炭素を含み得る。
【0083】
図2および
図5に示されるように、液52の少なくとも一部を処理して、重炭酸ナトリウムの濃度を低減し、液52と比較して重炭酸ナトリウムのレベルが低い液ストリーム56を生成することができる。この工程において、液52中の重炭酸ナトリウムは、再び炭酸ナトリウム、二酸化炭素、および水に変換される。この例においては、これを、例えばか焼によって重炭酸ナトリウムを熱分解して炭酸ナトリウムを形成することによって実行した。この工程のための熱を、好都合には、炭素質原料を処理する発熱工程によって生じる蒸気ストリーム10によって供給することができる。
【0084】
炭酸ナトリウム供給物36によってもたらされる炭酸ナトリウム供給源によって持ち込まれる非反応性の不純物を除去するために、液52の少なくとも一部をパージし(図示せず)、上述のようには処理しないことが可能である。例えば、液52は、塩化ナトリウムなどの無機塩、および/または反応容器34において必要とされないが、プロセス中に蓄積し得る他の不純物を含み得る。
【0085】
好ましくは、液52は、液ストリーム56中の重炭酸ナトリウムの総量が15w/v%未満、好ましくは10w/v%未満、最も好ましくは7w/v%未満となるように処理される。重炭酸ナトリウムの熱分解に必要な熱を、蒸気ストリーム10の1つ以上の部分によってもたらすことができる。
図2に示されるように、重炭酸ナトリウムの熱分解に必要な熱は、蒸気ストリーム10の一部分18によってもたらされていたが、他の熱源も考えられる。次いで、蒸気ストリーム10の一部分18は、熱伝達によって冷えて凝縮し、第3の凝縮物ストリーム20を形成する。第3の凝縮物ストリーム20は、第1の水ストリーム8へと水をもたらすことができる。これに代え、あるいはこれに加えて、
図2に示されるように、第3の凝縮物ストリーム20を、水ストリーム38、したがって炭酸ナトリウム水溶液ストリーム26に水をもたらすために使用することができる。
【0086】
図5に示されるように、液52を、加熱されたガスストリーム62に逆らって脱炭酸塔58の上部60へと供給することができる。この例では、液52は、塔58の底部64へと塔58を下方に通過する。液52は、塔58の底部64から抽出されて加熱され、加熱された液ストリーム66を生じる。熱を、蒸気ストリーム10の一部分18によってもたらすことができる。次いで、加熱された液ストリーム66を、蒸気68および他のオフガス70を流し出すための2度目の塔の通過のために、再び塔58の上部60へと供給することができる。生じた蒸気68を、加熱されたガスストリーム62を加熱するために蒸気ストリーム10の一部分18へと送ることができ、さらには/あるいは凝縮させて、第3の凝縮物ストリーム20を補うために使用することができる。
【0087】
2度目の通過の後に塔の端部において得られる液ストリーム56は、好ましくは温度が80℃を超え、より好ましくは90℃を超え、最も好ましくは95℃を超える。2度目の通過の後に塔の端部において得られる液ストリーム56は、炭酸ナトリウムを含み、炭酸ナトリウム水溶液ストリーム26を補うために使用可能である。
【0088】
液52から追い出されたオフガス70は、二酸化炭素および水を含み得る。オフガス70中の二酸化炭素を、反応容器34への供給のためのCO2オフガスとして回収することができる。しかしながら、オフガス70は、典型的には、反応容器34に直接導入するには高温すぎるため、典型的には、冷却が必要である。
【0089】
図2に示されるように、オフガス70中の二酸化炭素を冷却し、加熱された水ストリーム76および冷却された二酸化炭素ストリーム74を得ることができる。熱交換を、当業者に知られている任意の適切な形態の熱交換器装置(例えば、プレート、プレート-フィン、またはシェルアンドチューブ熱交換器)にて行うことができる。
図2は、ガス70を冷却して冷却された二酸化炭素ストリーム74および加熱された水ストリーム76を生成するための第2の水ストリーム72の使用を示している。好ましくは、第2の水ストリーム72は、25℃未満である。第2の水ストリーム72を、河川水、海水、貯水池水、または任意の他の適切な水源によってもたらすことができる。好ましくは、第1の水ストリーム8は、加熱された水ストリーム76からの水を含み得る。次いで、冷却された二酸化炭素ストリーム74を、反応容器34に再び導入することができる。
図2は、圧縮されてストリーム78を形成する冷却された二酸化炭素ストリーム74を示しており、ストリーム78は、気化した二酸化炭素ストリーム32に供給され、再使用のために反応容器34へと供給される。
【0090】
反応容器34における未消費の二酸化炭素を、リサイクルすることが可能である。
図2は、圧縮されてストリーム78に導入される未反応のCO
2からなる二酸化炭素廃棄物ストリーム80を示している。次いで、圧縮された二酸化炭素78は、気化した二酸化炭素ストリーム32へと導入され、上述のように第1の二酸化炭素ストリーム74と同じやり方で反応容器34に再び進入することができる。
【0091】
上述の実施形態について、添付の特許請求の範囲において定義される本発明の範囲から逸脱することなく、多数の変更を行うことができることを、理解できるであろう。
【0092】
説明および図示した実施形態は、本質的に例示であって、限定ではないと見なされるべきであり、好ましい実施形態のみが図示および説明されており、添付の特許請求の範囲において定義される本発明の範囲に包含されるすべての変更および修正について、保護が求められていると理解される。
【0093】
本明細書における「好まれる」、「好ましくは」、「好ましい」、または「より好ましい」などの単語の使用が、そのように説明された特徴が望ましい特徴である可能性を示唆しているが、それでもなお、そのような特徴は必ずしも必須ではなく、そのような特徴を欠く実施形態が、添付の特許請求の範囲において定義される本発明の範囲に含まれると考えられることを、理解すべきである。請求項に関連して、「a」、「an」、「少なくとも1つ」、または「少なくとも1つの部分」などの単語が或る特徴の前書きに使用されている場合、その請求項を、その請求項中にとくに反対の記載がない限り、そのような特徴が1つだけであるように限定する意図はない。「少なくとも一部」および/または「一部」という言葉が使用される場合、そのアイテムは、とくに反対の記載がない限り、アイテムの一部および/または全体を含むことができる。本明細書の全体を通して、「・・・を備えている」または「・・・を備える」という用語は、指定されたコンポーネントを含むことを意味するが、他のコンポーネントの存在を排除するものではない。また、「・・・を備えている」という用語は、その範囲内に、「・・・から本質的になる」および「・・・からなる」という用語を包含し、したがって本発明の文脈における「・・・を備えている」の言及は、本発明の実施形態において、「・・・から本質的になる」または「・・・からなる」という用語によって置き換えられてよい。ガスの組成に関して「v/v%」が使用される場合、この測定が乾燥ガス(例えば、ガスと共に含まれる水蒸気の体積を除く)に関して行われ、すなわち乾燥基準で計算されることを、理解できるであろう。