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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-29
(45)【発行日】2024-03-08
(54)【発明の名称】アルツハイマー病を治療する方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/724 20060101AFI20240301BHJP
   A61K 31/445 20060101ALI20240301BHJP
   A61K 31/27 20060101ALI20240301BHJP
   A61K 31/55 20060101ALI20240301BHJP
   A61K 31/549 20060101ALI20240301BHJP
   A61K 31/433 20060101ALI20240301BHJP
   A61K 31/427 20060101ALI20240301BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20240301BHJP
   A61K 31/13 20060101ALI20240301BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20240301BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20240301BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240301BHJP
【FI】
A61K31/724
A61K31/445
A61K31/27
A61K31/55
A61K31/549
A61K31/433
A61K31/427
A61K39/395 N
A61K31/13
A61K45/00
A61P25/28
A61P43/00 121
【請求項の数】 28
(21)【出願番号】P 2021547654
(86)(22)【出願日】2019-10-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-20
(86)【国際出願番号】 US2019057784
(87)【国際公開番号】W WO2020092107
(87)【国際公開日】2020-05-07
【審査請求日】2022-10-20
(31)【優先権主張番号】62/885,053
(32)【優先日】2019-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/752,131
(32)【優先日】2018-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521181611
【氏名又は名称】シクロ セラピューティクス インク
(74)【代理人】
【識別番号】100120145
【弁理士】
【氏名又は名称】田坂 一朗
(72)【発明者】
【氏名】フリノウ,シャロン,エイチ
(72)【発明者】
【氏名】テイト,ジェフリー,エル.
(72)【発明者】
【氏名】ファイン,エヌ.,スコット
【審査官】伊藤 幸司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/163128(WO,A1)
【文献】特表2017-500310(JP,A)
【文献】特表2017-517528(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0085392(US,A1)
【文献】特表2018-517046(JP,A)
【文献】J. Exp. Med.,2013年,209(13),pp.2501-2513
【文献】AUTOPHAGY,2018年,14(7),pp.1129-1154
【文献】Molecules,2016年,21,1748 (22 pages)
【文献】Human Molecular Genetics,2017年,26(5),pp.843-859
【文献】Phys. Chem. Chem. Phys.,2016年,18,pp.20476-20485
【文献】Free Radical Biology and Medicine,2018年,120,S79, P-114
【文献】Journal of Drug Targeting,2009年,17(2),pp.168-179
【文献】Journal of Pharmaceutical Sciences,2016年,105,pp.2372-2380
【文献】http://dx.doi.org/10.5772/intechopen.71970[検索日:2023年9月6日],2017年
【文献】IRYO,71(3),2017年,pp.132-137
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
A61P
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒト患者におけるアルツハイマー病の治療用のヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物であって、約500mg/kgから約2000mg/kgの月毎の投薬用量で前記ヒト患者に静脈内投与する、組成物。
【請求項2】
前記患者が、もう1つの治療の前の投与後にアルツハイマー病の進行を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記もう1つの治療の前の投与がアルツハイマー病の治療である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記ヒト患者は50歳以上である、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記ヒト患者は60歳以上である、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記ヒト患者は65歳以上である、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記ヒト患者は70歳以上である、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記ヒト患者は80歳以上である、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
約500mg/kgから約1500mg/kgの月毎の投薬用量で前記ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物を静脈内に投与する、請求項1~8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
前記月毎の投薬用量が約500mg/kgから約1000mg/kgである、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
約100mg/kgから約750mg/kgの月毎の投薬用量で前記ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物を静脈内に投与する、請求項1~8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項12】
前記ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物が前記ヒト患者に月に1回静脈内投与される、請求項1~11のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項13】
前記ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物が前記ヒト患者に月に2回静脈内投与される、請求項1~11のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項14】
前記ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物が前記ヒト患者に毎週静脈内投与される、請求項1~11のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項15】
前記ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物が1又は複数のヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン種の25%(重量/容積)溶液を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
最大耐量が決定されるまで月毎に上昇する投薬療法で前記ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物を前記ヒト患者に静脈内投与し、引き続き前記最大耐量を投与する、請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
12か月以上の間に毎月前記ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物を前記ヒト患者に静脈内投与する、請求項1に記載の組成物。
【請求項18】
ドネペジル、リバスチグミン、ガランタミン、メマンチン、ヴェルベセスタット、ソラネズマブ、バピニューズマブ、アドゥカヌマブ、ティデグルシブ、エポチロンD、及びABBV-8E12からなる群から選択される第2の治療剤を前記ヒト患者に投与する、請求項1に記載の組成物。
【請求項19】
コリンエステラーゼ阻害剤、NMDA受容体アンタゴニスト、タウ蛋白を標的とするヒト化抗体、アミロイドβ蛋白を標的とするヒト化抗体、及びBACE阻害剤からなる群から選択される第2の治療剤を投与する、請求項1に記載の組成物。
【請求項20】
第2の治療剤が前記ヒト患者に投与され、ここで前記第2の治療剤がABBV-8E12、AC-1204、ACI-24、ACI-35、アドゥカヌマブ(aducanumab)、 AGB101、ALZ-801、ALZT-OP1、AMG520/CNP520、ANAVEX(商標)2-73、アストロステム(AstroStem)、AUS-131、AVN-101、AVN-322、AVP-786、AXS-05、アゼリラゴン(azeliragon)、BAN2401、ベキサロテン(Bexarotene)、BI409306、BIIB076、BIIB092、BNC375、BPN14770、バイロスタチン1(byrostatin 1)、CAD106、コルプレックス・ドネペジル(Corplex Donepezil)、コルプレックス・メマンチン(Corplex Memantine)、CPC-201、CPC-212、CPC-250、クレネズマブ(Crenezumab)、CSP-1103、CSTC1、CT1812、E2027、E2609、EVT302、ガンテレヌマブ(gantenerumab)、GC021109、HSRx-888、免疫グロブリン/アルブミン、INP-102、インテピルディン(intepirdine)、IONIS-MAPTRx、JNJ-54861911、JOT106、KPAX002-2、ラナベセスタット(lanabecestat)、LM11A-31、LMTX、LY3002813、LY3202626、LY3303560、M1アゴニスト、MEDI1814、間葉系幹細胞療法、MP-101、MSDC-0160、NBXT-001+ノビリス(商標)吸入装置、ネフラマピモッド(neflamapimod)、NGP555、ニルバジピン(nilvadipine)、NPT088、ピマバンセリン(pimavanserin)、PF-05251749、PF-06648671、PF-06751979、ピオグリタゾン(pioglitazone)、ピロメラチン(piromelatine)、ポシフェン(登録商標)R-フェンセリン、レクスルティ(登録商標)ブレックスピプラゾール、RG6100、RVT-103+RVT-104、SAR228810、選択的BACE1阻害剤、ソラネズマブ、SUVN-502、SUVN-D4010、SUVN-G3031、T-817MA、T3D-959、TAK-071、TPI287、UB-311、UE-2343、及びヴェルベセスタット(verubecestat)からなるから選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項21】
前記ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物が2又は3以上のヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン種の混合物を含み、ここで当該2又は3以上のヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン種のそれぞれが前記β-シクロデキストリン環の異なるヒドロキシプロピル化度を有し、及び前記2又は3以上のヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン種の混合物が約0.59から約0.8のモル置換値を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項22】
前記ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物が2.5重量%以下のプロピレングリコールを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項23】
前記ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物が2又は3以上のヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン種の混合物を含み、ここで当該2又は3以上のヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン種のそれぞれが前記β-シクロデキストリン環の異なるヒドロキシプロピル化度を有し、及び前記ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物が0.15重量%以下の非置換β-シクロデキストリンを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項24】
前記ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物が2又は3以上のヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン種の混合物を含み、ここで当該2又は3以上のヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン種のそれぞれが前記β-シクロデキストリン環の異なるヒドロキシプロピル化度を有し、前記2又は3以上のヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン種の混合物が約0.59から約0.のモル置換値を有し、及び前記ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物が2.5重量%以下のプロピレングリコール及び0.15重量%以下の非置換β-シクロデキストリンを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項25】
ヒト患者におけるアルツハイマー病の治療用のヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物であって、ここで前記ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物が2又は3以上のヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン種の混合物を含み、及び前記2又は3以上のヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン種の混合物が約0.59から約0.のモル置換値を有する、組成物。
【請求項26】
ヒト患者におけるアルツハイマー病の治療用の組成物であって、前記ヒト患者に、
(a)ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物の静脈内投与による初期500mg/kg用量、及び
(b)最大耐量が決定されるまで月毎に上昇する投薬療法で前記ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物を
投与する、組成物。
【請求項27】
前記ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物の前記最大耐量を前記ヒト患者に静脈内投与し、3か月、4か月、5か月、6か月、7か月、8か月、9か月、10か月、11か月、又は12か月に1回投与する、請求項26の組成物。
【請求項28】
前記ヒト患者が、前記ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物の前記最大耐量を、前記ヒト患者の一生の間に月1回静脈内投与される、請求項26の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、アルツハイマー病を治療する方法に関する。
【0002】
相互参照
この出願は、2018年10月29日に出願された米国暫定出願62/752,131号、及び2019年8月9日に出願された米国暫定出願62/885,053号の利益及び優先権を主張し、これらの各出願は全体として参照により本出願に取り込まれる。
【背景技術】
【0003】
全世界で認知症を患って生活する5,000万人を超える人々がいると見積もられる。米国だけでは、アルツハイマー病(AD)を現に患う約550万人の患者が存在し、この数は2050年までに1,380万人に上ると予想される。AD及びその他の型の認知症の世界的コストは6,050億ドルと見積もられる。
【0004】
ADの治療として現在承認されている治療法(例えば、コリンエステラーゼ阻害剤及びメマンチン)は限定された効果を有し、AD発症の原因となる潜在的機序を治療しないので、疾患の進行を止めたり、疾患の過程を逆行させたりしない。
【0005】
より最近では、AD治療のための医薬開発はアミロイドベータ(Aβ)及びタウの蓄積を制限、防止及び軽減することに焦点をシフトしてきた。アミロイドに基づく治療法には、Aβ標的免疫療法の他にもAβ除去の増強、Aβ蓄積の低減を含む。現在、多くの試みにも拘わらず、これらの医薬は後期臨床試験において大規模に失敗している。タウに基づく治療は、タウリン酸化の標的化、タウのオリゴマー化の予防、微小管の安定化、及びタウ免疫療法に焦点が当てられてきている。Aβ治療と同様、現在、タウに基づく治療は一定の期待がもたれているが、これらの治療法は未だ開発早期段階にあり、数年の間有効なデータが出てこないだろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上の事情であり、ADの潜在的な機序を標的とし、当該疾患の進行停止及び/又は当該疾患過程の逆行をもたらすADの新規な治療法の開発が切迫した要請が未だ存在している。
【課題を解決するための手段】
【0007】
1つの側面において、本発明は、アルツハイマー病に罹患したヒト患者における、有効量のヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物を投与することを含むアルツハイマー病の治療方法を提供する。いくつかの態様において、アルツハイマー病に罹患したヒト患者は、50歳以上、60歳以上、65歳以上、70歳以上、又は80歳以上であり得る。
【0008】
アルツハイマー病に罹患したヒト患者における熟考されたアルツハイマー病の治療方法は、患者の安全性を確保するために選択された間隔で、非経口的な投与による500mg/kgから3000mg/kg、又は中枢神経系(CNS)を指向した投与(クモ膜下腔内又は脳室内)による100mgから750mgの用量のヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物を投与することを更に含むことができる。例えば、当該方法は、500mg/kg、1,000mg/kg、1,500mg/kg、2,000mg/kg、2,500mg/kg及び3,000mg/kgからなる群から選択される毎月の投薬用量でヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物を投与することを含むことができる。
【0009】
いくつかの態様において、本願で記載されるように、有効量のヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物をアルツハイマー病に罹患した患者に、毎週、月2回、又は月1回投与することができる。いくつかの態様において、本願に記載されるように、有効量のヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物は、静脈内に、皮下に、くも膜下腔内投与又は脳室内投与によりアルツハイマー病に罹患したヒト患者に投与することができる。
【0010】
アルツハイマー病に罹患したヒト患者におけるアルツハイマー病の熟考された治療方法は、患者の安全を確保するために選択された間隔で月毎に用量を上昇させる療法によりヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物を投与することを、さらに含む。例えば、前記方法は、1月及び2月では500mg/kg、3月及び4月では1,000mg/kg、5月及び6月では1,500mg/kg、7月及び8月では2,000mg/kg、9月及び10月では2,500mg/kgの用量で、最大耐量が決定されるまでヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物を投与して、次にその最大耐量を投与することを含むことができる。
【0011】
いくつかの態様において、アルツハイマー病に罹患したヒト患者におけるアルツハイマー病の前記治療方法は、第2の治療剤を投与することを、さらに含むことができる。いくつかの態様において、前記第2の治療剤は、べルベセスタット(verubecestat)、ソラネズマブ(solanezumab)、バピニューズマブ(bapineuzumab)、アドゥカヌマブ(aducanumab)、ティデグルシブ(tideglusib)、エポチロン(epothilone)及びABBV-8E12からなる群から選択される。いくつかの態様において、前記第2の治療剤は、コリンエステラーゼ阻害剤、NMDA受容体アンタゴニスト、タウ蛋白を標的とするヒト化抗体、アミロイドβ蛋白を標的とするヒト化抗体、及びBACE阻害剤からなる群から選択される。
【0012】
いくつかの態様において、本発明のヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物は、2以上のヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン類の混合物を含むことができ、ここで、当該2以上のヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン類のそれぞれはシクロデキストリン環の異なるヒドロキシプロピル化度を有し、また2以上のヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン類の混合物は約0.59から約0.73のモル置換値を有する。いくつかの態様において、前記ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物は2.5重量%以下のプロピレングリコールを含む。いくつかの態様において、前記ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物は0.15重量%以下の非置換β-シクロデキストリンを含む。
【0013】
もう1つの側面において、本願においてアルツハイマー病に罹患したヒト患者におけるアルツハイマー病の治療方法が提供され、当該方法は有効量のヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物を前記ヒト患者に投与することを含み、ここで、前記ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物は2以上のヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン類の混合物を含み、また2以上のヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン類の混合物は約0.59から約0.73のモル置換値を有する。
【0014】
もう1つの側面において、本願においては、アルツハイマー病に罹患したヒト患者におけるアルツハイマー病の治療方法が提供され、当該方法は、
(a)初回の500mg/kg用量のヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物を投与すること、及び
(b)前記ヒト患者に前記ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物を最大耐量が決定されるまで月毎に用量を上昇させる療法で投与すること、を含む。例えば、前記月毎に用量を上昇させる療法は、初回用量の1月後に500mg/kgを、初回用量の2月及び3月後に1,000mg/kgを、初回用量の4月及び5月後に1,500mg/kgを、初回用量の6月及び7月後に2,000mg/kgを、及び初回用量の8月及び9月後に2,500mg/kgを、前記ヒト患者に投与することを含むことができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の開示により、一部に、アルツハイマー病(AD)に罹患したヒト患者におけるアルツハイマー病の治療方法が提供され、ここで、その被検体は有効量のヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物を投与される。本開示の前記ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物は、例えば、非経口的に(例えば、皮下に又は静脈内に)、又は中枢神経系を介して(例えば、クモ膜下腔内又は脳室内に)月毎に用量を上昇させる療法により前記被検体に投与することができる。そのようなヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物の投与は、ADの進行を安定化させ、及び/又は当該疾患の重要な特徴(例えば、悪化した認知機能)を回復させることができる。
【0016】
他に定義がない限り、本発明において使用される全ての技術的・科学的用語は、本発明の属する技術分野における当業者により共通に理解されるものと同様の意義を有する。本願において使用される略称は、当該化学及び生物学の技術分野における従来の意義を有する。
【0017】
本願の記載を通して、組成物及びキットが、有する、含む、又は特定の成分を含むと記載される場合、実質的にからなる、又は、からなる、引用される成分という本発明の組成物及びキットが、さらにあることを意図している。
【0018】
本願において、ある要素又は成分が含まれる、及び/又は引用される要素又は成分のリストから選択される、という場合、当該要素又は成分は引用される要素又は成分のいずれかであり得、又は当該要素又は成分は2以上の前記引用される要素又は成分からなる群から選択され得ると理解すべきである。
【0019】
さらに、本願において記載される組成物又は方法の要素及び/又は特徴は、本願において明示的か暗示的かに拘わらず、本発明の本質及び範囲から逸脱することなしに様々な方法で組み合わせることができる。例えば、特定の化合物に言及する場合、その化合物は、文脈から別に理解されない限り、様々な態様の本発明の組成物及び/又は本発明の方法に用いることができる。言い換えれば、本願においては明確で精密な出願が記載及び図示できる方法で態様が記載及び図示されたが、本願の内容及び発明から乖離せずに態様は様々に組み合わされ、又は分離することができることが意図され、理解されるであろう。例えば、本願において記載及び図示される全ての特徴は、本願において記載及び図示される本発明の全ての側面に適用することができると理解されるであろう。
【0020】
ステップの順番又は特定のアクションがなされる順番は、本発明が実施可能である限り、本質的なものではないと理解されるべきである。さらに、2以上のステップ又はアクションは同時に実施することができる。
【0021】
本願明細書の様々な箇所において、変数又はパラメータが群又は範囲で開示される。当該記載は、そのような群及び範囲の構成要素のそれぞれ及び全ての個々のサプコンビネーションを含むということを特に意図している。例えば、0から40の範囲の整数は、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14,15、16,17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、及び40の個々を開示することを特に意図し、1から20の範囲の整数は、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14,15、16,17、18、19、及び20の個々を開示することを特に意図している。
【0022】
本願におけるいずれかの及び全ての実施例、又は典型的な用語、例えば、「そのような」又は「含む」は、本発明を単により良く表現することを意図し、クレームされずに本発明の範囲を限定するものではない。明細書に記載がないことは、本発明の実施に本質的な何かクレームされない要素を示すものと解されるべきである。
【0023】
定義
冠詞「ひとつの(“a” 及び “an”)」は、文脈が不適当でない限り、本開示においては、その冠詞の文法的な対象の1よりも1または2以上(すなわち、少なくとも1つ)のことを言うために用いられる。例えば、「1つの要素」は、1つの要素又は2以上の要素を意味する。
【0024】
「及び/又は」という用語は、他に示されない限り、この開示においては「及び」または「又は」のいずれも意味するために用いられる。
【0025】
「少なくとも1つの」という表現は、文脈及び用途から他に理解されない限り、その表現の後に引用される対象の個々のそれぞれ及び2以上の引用される対象の様々な組合せを含むと理解すべきである。3以上の引用される対象に関連する「及び/又は」という表現は、文脈から他に理解されない限り、同じ意義を有するものと理解されるべきである。
【0026】
それらの文法的な等価物を含む「含む(“include,” “includes,” “including”)、有する(“have,” “has,” “having”)、含有する(“contain,” “contains,” “containing”)」という用語の使用は、他に特に言及されず又は文脈から理解されない限り、一般的に終わりのない、非限定的なもの、例えば、追加的な非引用の要素又はステップを排除しないものと理解すべきである。
【0027】
本願において使用されるように、「約(“about”)」という用語は、およそ(approximately)、の範囲で(in the region of)、大雑把に(roughly)、辺り(around)を意味する。「約」とい用語が数字範囲と関連して用いられる場合、その用語は明記された数値の上下の境界を拡張することによりその範囲を修飾する。一般に、「約」という用語は、本願において、10%の変動で記述される値の上下の数値を修飾するために用いられる。
【0028】
「個人(“Individual”)」、「患者(“patient”)」及び「被験体(“subject”)」は、互換可能に用いられ、例えば、マウス、ラット、その他のげっ歯類、ウサギ、イヌ、ネコ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ウマ、又はヒトを含む霊長類のような哺乳類を含む如何なる動物も含む。
【0029】
「治療する(“treat”)」、「治療(“treating”)」又は「治療(“treatment”)」という用語は、健康状態(condition)、疾患(disease)、障害(disorder)などの改善、又はそれらの症状(symptom)の改善をもたらす、例えば、減らす(lessening)、低減する(reducing)、調節する(modulating)、改善する(ameliorating)、又は除去する(eliminating)如何なる効果も含む。治療(Treating)は、治癒(curing)、改善(improving)、又は少なくとも一部その障害の改善(ameliorating)であり得る。特定の態様において、治療(treating)は疾患(disease)を治癒することである。
【0030】
「製薬上許容可能な」は、動物又はヒトに適切に投与されたときに、副反応、アレルギー又はその他の有害反応を生じない分子実体及び製剤を含む。ヒト投与については、調製物はFDA生物学的製剤標準(FDA Office of Biologics standards)により要求される滅菌、発熱性、及び一般安全及び純度基準に合致すべきである。
【0031】
「製薬上許容可能な賦形剤」及び「製薬上許容可能な担体」は、被験者への活性薬剤の投与及び被験者による吸収を助け、患者に有意な有害毒性反応を発生させずに本発明の組成物に含むことができる物質のことをいう。製薬上許容可能な賦形剤の非限定的な例には、水、塩化ナトリウム、通常の生理食塩水溶液、乳酸リンゲル液、通常のショ糖、通常のグルコース、結合剤、充填剤、崩壊剤、滑沢剤、コーティング剤、甘味剤、芳香剤、塩類溶液(例えば、リンゲル液)、アルコール類、油類、ゲラチン類、ラクトースのような糖類、アミロース又はデンプン、脂肪酸エステル類、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、及び着色剤などが含まれる。そのような調製物は滅菌することができ、所望の場合、本発明の化合物と有害に反応しない、滑沢剤、保存剤、安定化剤、湿潤剤、乳化剤、浸透圧に影響する塩、緩衝剤、着色剤、及び/又は芳香物質などの補助剤と混合することができる。本技術分野の当業者は、その他の製薬上の賦形剤が本発明に有用であることを認識することができる。
【0032】
本開示の製薬製剤は、ヒトのような哺乳類に投与することができるが、例えば、家庭動物(例えば、イヌ、ネコなど)、農場動物(例えば、ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマなど)及び実験動物(例えば、ラット、マウス、モルモットなど)の獣医学的治療の必要な動物のような、その他の哺乳動物に投与することもできる。本開示の方法で治療される哺乳動物は、望ましくは、アルツハイマー病の治療が望まれる哺乳動物であることが望ましい。
【0033】
本願において用いられるように、「製薬組成物」又は「製薬製剤」は、活性薬剤と、in vivo又はex vivoでの診断的又は治療的使用に特に適した組成物を作成する不活性又は活性の担体との混合物のことをいう。
【0034】
本願において用いられるように、「有効量(“effective amount”)」又は「治療有効量(“therapeutically-effective amount”)」は、有益な効果又は望ましい結果に十分な化合物又は組成物(例えば、本発明の化合物又は組成物)のことをいう。ある有効量は、1又は複数の投与、適用又は用量で投与することができ、特定の製剤又は投与経路に制限されることを意図していない。
【0035】
本願において用いられるように、「投与(“administering”)」は、被験者に、経口投与、坐剤としての投与、局所接触(topical contact)、静脈内、非経口、腹腔内、筋肉内、病巣内、クモ膜下腔内、頭蓋内、脳室内、鼻腔内、又は皮下への投与、又は、例えば、ミニ浸透圧ポンプの徐放デバイスの移植のことをいう。投与は、非経口又は経粘膜(例えば、口腔粘膜、舌下、口蓋、歯肉、鼻腔内、膣内、直腸内、又は経皮)を含む、如何なる経路によってもできる。非経口投与には、例えば、静脈内、筋肉内、動脈内、経皮、皮下、腹腔内、脳室内、及び頭蓋内が含まれる。その他の送達様式には、リポソーム製剤の使用、静脈内潅流、経皮パッチなどが含まれるが、これらに制限されるものではない。「同時投与」(“co-administer”)により、1又は複数の追加の治療(例えば、抗癌剤、化学療法、又は神経脱落疾患の治療)の投与直前又は直後に本願に記載される組成物が同時に投与されることを意味する。本発明の化合物は、患者に単独投与又は同時投与することができる。同時投与(Coadministration)は、化合物を個々に、又は(複数の化合物又は薬剤を)組み合わせて、同時に又は連続的に投与することを含む意味である。したがって、当該調製物は、所望の場合、(例えば、代謝分解を低減させるため)他の活性物質と組合せることもできる。
【0036】
本願において用いられるように、「ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン種」、「β-シクロデキストリン種」、又は「β-シクロデキストリン類」は、特異な化学組成及び/又は化学構造をもつβ-シクロデキストリン分子について言及することができる。例えば、本発明のヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン種は、β-シクロデキストリン分子についてのヒドロキシプロピル基の平均数、モル置換値、ヒドロキシプロピル基の分布、ヒドロキシプロピル基の分布度、又はこれらの如何なる組合せを含むが、これらに制限されない、特異な性質を有することができる。
【0037】
本願において用いられるように、「ヒドロキシプロピル基による1又は複数のヒドロキシ位置が置換した」は、β-シクロデキストリン分子の1又は複数のヒドロキシ基の水素のヒドロキシプロピル基又はヒドロキシプロピル・オリゴマーによる置換のことをいう。例えば、「ヒドロキシプロピル基による1又は複数のヒドロキシ位置が置換した」は、1又は複数のエーテル結合をもたらすβ-シクロデキストリン分子上の1又は複数のO-H結合内に1又は複数のCHCH(CH)O-置換基の挿入のことをいうことができる。
【0038】
本願において用いられるように、被験者の前記「認知機能(“cognitive function”)」又は「認知機能(“cognitive functioning”)」は、知的活動又は処理と定義することができる。知的活動又は処理の例には、注意、処理速度、学習及び記憶、実行機能、発話流暢性、及び作業記憶が含まれるが、これらに制限されない。例えば、本発明のヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物は、アルツハイマー病に罹患した被験者においてヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物が1又は複数の知的活動又は処理を改善するなら、それは認知機能を改善することができる。
【0039】
ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン類
シクロデキストリン類は、デンプンの酵素変換に由来する天然に生成する環状オリゴ糖であり、合成により生産することもできる。シクロデキストリン類は、疎水性の空洞と親水性の外部からなる円環(hollow cone)様のトロイド構造(toroid structure)を形成することができる様々な数のグルコピラノース単位で構成される。前記円環様のトロイド構造は、「β-シクロデキストリン環」ということもできる。グルコピラノースの数は前記空洞の大きさ及びシクロデキストリンの名称を決定し、最も一般的には6、7、又は8つのグルコピラノース単位からなり、それぞれα-、β-、及びγ-シクロデキストリンと呼ばれる。シクロデキストリン類の特異な構造により、他の不溶性の疎水性化合物と水溶性複合体を形成することが可能になる。このシクロデキストリン類の特性は、多くの薬学的に活性な薬剤の溶解性、安定性、及び生物学的同等性を改善するための薬物送達担体としての適用されてきた。2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンとしても知られ、また本願においてそう言及される、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HPβCD)は、高い溶解性の化学的に修飾されたβ-シクロデキストリンの合成誘導体である。HPβCDは、最も一般的に使用され、毒性が最も低い薬物送達用の天然発生のシクロデキストリン誘導体である。
【0040】
1つの側面において、アルツハイマー病に罹患した被験者におけるアルツハイマー病の治療用のヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物が本願で提供される。特定の態様において、前記被験者はヒト患者である。
【0041】
特定の態様において、本発明のヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物は、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン種の混合物である。いくつかの態様において、前記ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン種の混合物は、1又は複数のヒドロキシ位置をヒドロキシプロピル基で置換したβ-シクロデキストリン分子の混合物を含む。
【0042】
特定の態様において、前記ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物は、2又は3以上のヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン種の混合物を含む。いくつかの態様において、前記ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物は、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20のヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン種の混合物を含む。いくつかの態様において、前記混合物中の2又は3以上のヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン種のそれぞれは、β-シクロデキストリン環の異なるヒドロキシプロピル化度を有する。
【0043】
特定の態様において、前記混合物中のヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン種は化1の構造のグルコース単位を含み、ここで、R、R、及びRは、各例で独立してH又はHPであり、ここでHPは1又は複数のヒドロキシプロピル基を含む。
【0044】
【化1】
【0045】
特定の態様において、HPは1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10のヒドロキシプロピル基を含む。いくつかの態様において、HPは1つのヒドロキシプロピル基を含む。特定の態様において、HPは1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10のヒドロキシプロピル基からなる。いくつかの態様において、HPは1つのヒドロキシプロピル基からなる。
【0046】
特定の態様において、β-シクロデキストリン環につきHP発生の平均数は、約3から約7、約3から約6、約3から約5、約3から約4、約4から約7、約4から約6、約4から約5、約5から約7、約5から約6、又は約6から約7である。特定の態様において、β-シクロデキストリン環につきHP発生の平均数は、約3、約4、約5、約6、又は約7である。
【0047】
特定の態様において、R=HPの全発生は、R=HP又はR=HPのいずれかの全発生よりも多い。特定の態様において、R=HPの全発生は、R=HP及びR=HPの組合せの全発生よりも多い。
【0048】
特定の態様において、R及びRの組合せの全発生が、約5%以上、約10%以上、約15%以上、約20%以上、約25%以上、約30%以上、約35%以上、約40%以上、又は約45%以上はHPである。
【0049】
いくつかの態様において、R及びRの組合せの全発生が、約50%以下、約55%以下、約60%以下、約65%以下、約70%以下、約75%以下、約80%以下、約85%以下、約90%以下、又は約95%以下はHPである。
【0050】
特定の態様において、前記R及びRの組合せの%は、約5%から約95%、約10%から約95%、約15%から約95%、約20%から約95%、約25%から約95%、約30%から約95%、約35%から約95%、約40%から約95%、約45%から約95%、約50%から約95%、約55%から約95%、約60%から約95%、約65%から約95%、約70から約95%、約75%から約95%、約80%から約95%、約85%から約95%、約90%から約95%、約5%から約90%、約10%から約90%、約15%から約90%、約20%から約90%、約25%から約90%、約30%から約90%、約35%から約90%、約40%から約90%、約45%から約90%、約50%から約90%、約55%から約90%、約60%から約90%、約65%から約90%、約70%から約90%、約75%から約90%、約80%から約90%、約85%から約90%、約5%から約85%、約10%から約85%、約15%から約85%、約20%から約85%、約25%から約85%、約30%から約85%、約35%から約85%、約40%から約85%、約45%から約85%、約50%から約85%、約55%から約85%、約60%から約85%、約65%から約85%、約70%から約85%、約75%から約85%、約80%から約85%、約5%から約80%、約10%から約80%、約15%から約80%、約20%から約80%、約25%から約80%、約30%から約80%、約35%から約80%、約40%から約80%、約45%から約80%、約50%から約80%、約55%から約80%、約60%から約80%、約65%から約80%、約70%から約80%、約75%から約80%、約5%から約75%、約10%から約75%、約15%から約75%、約20%から約75%、約25%から約75%、約30%から約75%、約35%から約75%、約40%から約75%、約45%から約75%、約50%から約75%、約55%から約75%、約60%から約75%、約65%から約75%、約70%から約75%、約5%から約70%、約10%から約70%、約15%から約70%、約20%から約70%、約25%から約70%、約30%から約70%、約35%から約70%、約40%から約70%、約45%から約70%、約50%から約70%、約55%から約70%、約60%から約70%、約65%から約70%、約5%から約65%、約10%から約65%、約15%から約65%、約20%から約65%、約25%から約65%、約30%から約65%、約35%から約65%、約40%から約65%、約45%から約65%、約50%から約65%、約55%から約65%、約60%から約65%、約5%から約60%、約10%から約60%、約15%から約60%、約20%から約60%、約25%から約60%、約30%から約60%、約35%から約60%、約40%から約60%、約45%から約60%、約50%から約60%、約55%から約60%、約5%から約55%、約10%から約55%、約15%から約55%、約20%から約55%、約25%から約55%、約30%から約55%、約35%から約55%、約40%から約55%、約45%から約55%、約50%から約55%、約5%から約50%、約10%から約50%、約15%から約50%、約20%から約50%、約25%から約50%、約30%から約50%、約35%から約50%、約40%から約50%、約45%から約50%、約5%から約45%、約10%から約45%、約15%から約45%、約20%から約45%、約25%から約45%、約30%から約45%、約35%から約45%、約40%から約45%、約5%から約40%、約10%から約40%、約15%から約40%、約20%から約40%、約25%から約40%、約30%から約40%、約35%から約40%、約5%から約35%、約10%から約35%、約15%から約35%、約20%から約35%、約25%から約35%、約30%から約35%、約5%から約30%、約10%から約30%、約15%から約30%、約20%から約30%、約25%から約30%、約5%から約25%、約10%から約25%、約15%から約25%、約20%から約25%、約5%から約20%、約10%から約20%、約15%から約20%、約5%から約15%、約10%から約15%、又は約5%から約10%のHP範囲である。
【0051】
特定の態様において、Rの約5%以上、約10%以上、約15%以上、約20%以上、約25%以上、約30%以上、約35%以上、約40%以上、約45%以上、又は約50%以上の発生はHPである。
【0052】
特定の態様において、Rの約55%以下、約60%以下、約65%以下、約70%以下、約75%以下、約80%以下、約85%以下、約90%以下、又は約95%以下の発生はHPである。
【0053】
特定の態様において、R発生のパーセンテージは、約20%から約90%、約25%から約90%、約30%から約90%、約35%から約90%、約40%から約90%、約45%から約90%、約50%から約90%、約55%から約90%、約60%から約90%、約65%から約90%、約70%から約90%、約75%から約90%、約80%から約90%、約85%から約90%、約20%から約85%、約25%から約85%、約30%から約85%、約35%から約85%、約40%から約85%、約45%から約85%、約50%から約85%、約55%から約85%、約60%から約85%、約65%から約85%、約70%から約85%、約75%から約85%、約80%から約85%、約20%から約80%、約25%から約80%、約30%から約80%、約35%から約80%、約40%から約80%、約45%から約80%、約50%から約80%、約55%から約80%、約60%から約80%、約65%から約80%、約70%から約80%、約75%から約80%、約20%から約75%、約25%から約75%、約30%から約75%、約35%から約75%、約40%から約75%、約45%から約75%、約50%から約75%、約55%から約75%、約60%から約75%、約65%から約75%、約70%から約75%、約20%から約70%、約25%から約70%、約30%から約70%、約35%から約70%、約40%から約70%、約45%から約70%、約50%から約70%、約55%から約70%、約60%から約70%、約65%から約70%、約20%から約65%、約25%から約65%、約30%から約65%、約35%から約65%、約40%から約65%、約45%から約65%、約50%から約65%、約55%から約65%、約60%から約65%、約20%から約60%、約25%から約60%、約30%から約60%、約35%から約60%、約40%から約60%、約45%から約60%、約50%から約60%、約55%から約60%、約20%から約55%、約25%から約55%、約30%から約55%、約35%から約55%、約40%から約55%、約45%から約55%、約50%から約55%、約20%から約50%、約25%から約50%、約30%から約50%、約35%から約50%、約40%から約50%、約45%から約50%、約20%から約45%、約25%から約45%、約30%から約45%、約35%から約45%、約40%から約45%、約5%から約40%、約10%から約40%、約15%から約40%、約20%から約40%、約25%から約40%、約30%から約40%、約35%から約40%、約20%から約35%、約25%から約35%、約30%から約35%、約20%から約30%、約25%から約30%、又は約20%から約25%からのHP範囲である。
【0054】
特定の態様において、約70%以上、約75%以上、約80%以上、約85%以上、約90%以上、又は約95%以上のβ-シクロデキストリン類は集合的に、約4から約7、約4から約6、約4から約5、約5から約7、約5から約6、又は約6から約7の1つのβ-シクロデキストリンあたりの平均HP発生数を有する。
【0055】
いくつかの態様において、約4から約7、約4から約6、約4から約5、約5から約7、約5から約6、又は約6から7の1つのβ-シクロデキストリンあたりの平均HP発生数を集合的に有するβ-シクロデキストリンのパーセンテージは、約50%から約99%、約55%から約99%、約60%から約99%、約65%から約99%、約70%から約99%、約75%から約99%、約80%から約99%、約85%から約99%、約90%から約99%、約95%から約99%、約50%から約97%、約55%から約97%、約60%から約97%、約65%から約97%、約70%から約97%、約75%から約97%、約80%から約97%、約85%から約97%、約90%から約97%、約95%から約97%、約50%から約95%、約55%から約95%、約60%から約95%、約65%から約95%、約70%から約95%、約75%から約95%、約80%から約95%、約85%から約95%、約90%から約95%、約50%から約90%、約55%から約90%、約60%から約90%、約65%から約90%、約70%から約90%、約75%から約90%、約80%から約90%、約85%から約90%、約50%から約85%、約55%から約85%、約60%から約85%、約65%から約85%、約70%から約85%、約75%から約85%、約80%から約85%、約50%から約80%、約55%から約80%、約60%から約80%、約65%から約80%、約70%から約80%、約75%から約80%、約50%から約75%、約55%から約75%、約60%から約75%、約65%から約75%、約70%から約75%、約50%から約70%、約55%から約70%、約60%から約70%、約65%から約70%、約50%から約65%、約55%から約65%、約60%から約65%、約50%から約60%、約55%から約60%、又は約50%から約55%からの範囲にある。
【0056】
本願において用いられるように、前記「置換度(“degree of substitution”)」又は「DS」は、β-シクロデキストリン分子に直接的又は間接的に置換したヒドロキシプロピル基の全数のことをいう。例えば、グルコース単位のそれぞれが1つのヒドロキシプロピル基で置換されたグルコース単位を含むβ-シクロデキストリン分子は、DS=7である。もう1つの例では、7つのグルコース単位の1つだけがヒドロキシプロピル基で置換されたβ-シクロデキストリンで、そのヒドロキシプロピル基それ自体がもう1つのヒドロキシプロピル基でされている(例えば、2つのヒドロキシプロピル基を含む、単一のHP発生を有するβ-シクロデキストリン)場合、DS=2である。
【0057】
本願において用いられるように、「平均置換度」、「平均DS」、又は「DS」としても知られる「1つのβ-シクロデキストリンあたりのヒドロキシプロピル基の平均数」は、全β-シクロデキストリン中のヒドロキシプロピル基の全数をβ-シクロデキストリンの分子数で除した値のことをいう。説明的な例において、1つのヒドロキシプロピル基でそれぞれが置換されたグルコース単位を含むβ-シクロデキストリンと、2つのヒドロキシプロピル基でそれぞれが置換されたグルコース単位を含むβ-シクロデキストリンとの等量部混合物は、DS=10.5である(DS=7及びDS=14のβ-シクロデキストリン等量部の平均値)。もう1つの説明的な例において、7つのグルコース単位のうち1つのみがヒドロキシプロピル基で置換されたβ-シクロデキストリン(DS=1)33.3%と、それぞれが1つのヒドロキシプロピル基で置換されたグルコース単位を含むβ-シクロデキストリン(DS=7)66.7%との混合物は、DS=5.0である。前記DSは分子置換を7で乗じることにより決定することができる。本願において用いられるように、DSは、その用語がUSPヒドロキシプロピル・ベータデックス・モノグラフ(USP Hydroxypropyl Betadex monograph)において定義される「置換度」と同義語で用いられる。
【0058】
ヒドロキシプロピル
特定の態様において、本発明のヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物は、非置換のβ-シクロデキストリン分子と、ヒドロキシプロピル基により1又は複数のヒドロキシ位置で置換されたβ-シクロデキストリン種との混合物を含み、ここで当該混合物は、約3から約7、約3から約6、約3から約5、約3から約4、約4から約7、約4から約6、約4から約5、約5から約7、約5から約6、又は約6から約7の1つのβ-シクロデキストリン分子あたりの平均ヒドロキシプロピル基数(DS)を有する。
【0059】
非置換のβ-シクロデキストリン分子と、ヒドロキシプロピル基により1又は複数のヒドロキシ位置で置換されたβ-シクロデキストリン種と、の混合物を含む、本発明のヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物内の置換度の分布は、変化し得る。例えば、1つのヒドロキシプロピル基でそれぞれが置換されたグルコース単位を含むβ-シクロデキストリンと、2つのヒドロキシプロピル基でそれぞれが置換されたグルコース単位を含むβ-シクロデキストリンとの等量部混合物は、DS=10.5である(DS=7及びDS=14のβ-シクロデキストリン等量の平均値)。この例においてDS=10.5であるが、当該混合物にはDS=10又はDS=11のβ-シクロデキストリンは存在しない。その他の例においては、β-シクロデキストリン混合物内の主なβ-シクロデキストリン種はDSに近いDSを有する。
【0060】
特定の態様において、前記混合物内のβ-シクロデキストリン類の約50%以上、約55%以上、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、又は約97%は、DS±Xσの範囲内のDSを有し、ここで、σは標準偏差で、Xは1、2、又は3である。
【0061】
特定の態様において、前記混合物内のβ-シクロデキストリン類の約50%以上はDS±1σの範囲内のDSを有する。いくつかの態様において、前記混合物内の前記β-シクロデキストリン類の約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、又は約97%がDS±1σの範囲内のDSを有する。
【0062】
特定の態様において、前記混合物内の前記β-シクロデキストリン類の約50%は、DS±2σの範囲内のDSを有する。いくつかの態様において、前記混合物内のβ-シクロデキストリン類の約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、又は約97%はDS±2σの範囲内のDSを有する。
【0063】
特定の態様において、前記混合物内のβ-シクロデキストリン類の約50%以上はDS±3σの範囲内のDSを有する。いくつかの態様において、前記混合物内のβ-シクロデキストリン類の約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、又は約97%はDS±3σの範囲内のDSを有する。
【0064】
特定の態様において、前記β-シクロデキストリン類の約50%以上はDS±1の範囲内のDSを有する。いくつかの態様において、前記β-シクロデキストリン類の約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、又は約97%はDS±1の範囲内のDSを有する。
【0065】
特定の態様において、前記β-シクロデキストリン類の約50%以上はDS±0.8の範囲内のDSを有する。いくつかの態様において、前記β-シクロデキストリン類の約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、又は約97%はDS±0.8の範囲内のDSを有する。
【0066】
特定の態様において、前記β-シクロデキストリン類の約50%はDS±0.6の範囲内のDSを有する。いくつかの態様において、前記β-シクロデキストリン類の約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約9以上5%、又は約97%はDS±0.6の範囲内のDSを有する。
【0067】
特定の態様において、前記β-シクロデキストリン類の約50%以上はDS±0.5の範囲内のDSを有する。いくつかの態様において、前記β-シクロデキストリン類の約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、又は約97%はDS±0.5の範囲内のDSを有する。
【0068】
特定の態様において、前記β-シクロデキストリン類の約50%以上はDS±0.4の範囲内のDSを有する。いくつかの態様において、前記β-シクロデキストリン類の約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、又は約97%はDS±0.4の範囲内のDSを有する。
【0069】
特定の態様において、前記β-シクロデキストリン類の約50%以上はDS±0.3の範囲内のDSを有する。いくつかの態様において、前記β-シクロデキストリン類の約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、又は約97%はDS±0.3の範囲内のDSを有する。
【0070】
特定の態様において、前記β-シクロデキストリン類の約50%以上はDS±0.2の範囲内のDSを有する。いくつかの態様において、前記β-シクロデキストリン類の約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、又は約97%はDS±0.2の範囲内のDSを有する。
【0071】
特定の態様において、前記β-シクロデキストリン類の約50%以上はDS±0.1の範囲内のDSを有する。いくつかの態様において、前記β-シクロデキストリン類の約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、又は約97%はDS±0.1の範囲内のDSを有する。
【0072】
β-シクロデキストリン類の混合物におけるアンヒドログルコース1単位あたりのヒドロキシプロピル基数は、「分子置換」又は「MS」として知られ、ヒドロキシプロピル・ベータデックスに関するUSPモノグラフ(USP NF 2015)(“USP Hydroxypropyl Betadex monograph”)で規定される手続にしたがって決定することができ、参照により全体として本願に取り込まれる。この開示において、「平均分子置換(“average molar substitution”)」又は「MS」という用語は、その用語がUSPヒドロキシプロピル・ベータデックス・モノグラフで用いられるように「MS」と同義語的に用いられ、「グルコース単位(“glucose unit”)」という用語は、その用語がUSPヒドロキシプロピル・ベータデックス・モノグラフで用いられるように「アンヒドログルコース単位(“anhydroglucose unit”)」と同義語で用いられる。
【0073】
いくつかの態様において、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン種の混合物のMSは、約0.51から約0.75、約0.51から約0.73、約0.51から約0.71、約0.51 から約0.69、約0.51から約0.67、約0.51から約0.65、約0.51から約0.63、約0.51から約0.61、約0.51から約0.59、約0.51から約0.57、約0.51から約0.55、約0.51から約0.53、0.53から約0.75、約0.53から約0.73、約0.53から約0.71、約0.53から約0.69、約0.53から約0.67、約0.53から約0.65、約0.53から約0.63、約0.53から約0.61、約0.53から約0.59、約0.53から約0.57、約0.53から約0.55、0.55から約0.75、約0.55から約0.73、約0.55から約0.71、約0.55から約0.69、約0.55から約0.67、約0.55から約0.65、約0.55から約0.63、約0.55から約0.61、約0.55から約0.59、約0.55から約0.57、0.57から約0.75、約0.57から約0.73、約0.57から約0.71、約0.57から約0.69、約0.57から約0.67、約0.57から約0.65、約0.57から約0.63、約0.57から約0.61、約0.57から約0.59、0.59から約0.75、約0.59から約0.73、約0.59から約0.71、約0.59から約0.69、約0.59から約0.67、約0.59から約0.65、約0.59から約0.63、約0.59から約0.61、0.61から約0.75、約0.61から約0.73、約0.61から約0.73、約0.61から約0.71、約0.61から約0.69、約0.61から約0.67、約0.61から約0.65、約0.61から約0.63、0.63から約0.75、約0.63から約0.73、約0.63から約0.71、約0.63から約0.69、約0.63から約0.67、約0.63から約0.65、0.65から約0.75、約0.65から約0.73、約0.65から0.71、約0.65から約0.69、約0.65から約0.67、0.67から約0.75、約0.67から約0.73、約0.67から約0.71、約0.67から約0.69、0.69から約0.75、約0.69から約0.73、約0.69から約0.71、0.71から約0.75、約0.71から約0.73、又は約0.73から約0.75である。
【0074】
特定の態様において、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン種の混合物のMSは、約0.40、約0.41、約0.42、約0.43、約0.44、約0.45、約0.46、約0.47、約0.48、約0.49、約0.50、約0.51、約0.52、約0.53、約0.54、約0.55、約0.56、約0.57、約0.58、約0.59、約0.60、約0.61、約0.62、約0.63、約0.64、約0.65、約0.66、約0.69、約0.68、約0.69、約0.70、約0.71、約0.72、約0.73、約0.74、約0.75、約0.76、約0.77、約0.78、約0.79、又は約0.80である。いくつかの態様において、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン種の混合物のMSは、約0.59、約0.60、約0.61、約0.62、約0.63、約0.64、約0.65、約0.66、約0.69、約0.68、約0.69、約0.70、約0.71、約0.72、又は約0.73である。
【0075】
ヒドロキシプロピル基は、モノマーとしてのβ-シクロデキストリンに結合することができ、又はそれ自身が1又は複数の更なるヒドロキシプロピル基に連続的に結合することができ、次にβ-シクロデキストリンと結合するヒドロキシプロピル・オリゴマー類を形成する。特定の態様において、前記ヒドロキシプロピル基は前記β-シクロデキストリン類のヒドロキシ位置で構造-[CHCH(CH)O]Hのヒドロキシプロピル鎖として置換される。ここで、n≧1であり、β-シクロデキストリン1つあたりのヒドロキシプロピル鎖の平均数は約3から約7である。いくつかの態様において、β-シクロデキストリン1つあたりのヒドロキシプロピル鎖の平均数は、約3から約6、約3から約5、約3から約4、約4から約7、約4から約6、約4から約5、約5から約7、約5から約6、又は約6から約7である。いくつかの態様において、nは1、2、3、又は4である。
【0076】
1つの説明的な例において、構造-CHCH(CH)OHのヒドロキシプロピル鎖は当該ヒドロキシプロピル鎖(n=1)に1つのヒドロキシプロピル基を含む。もう1つの説明的な例において、構造-[CHCH(CH)O]Hのヒドロキシプロピル鎖は当該ヒドロキシプロピル鎖(n=3)に3つのヒドロキシプロピル基を含む。
【0077】
特定の態様において、β-シクロデキストリン1つあたりヒドロキシプロピル鎖の平均数は、3.3±0.3、3.4±0.3、3.6±0.3、又は3.8±0.3である。特定の態様において、β-シクロデキストリン1つあたりヒドロキシプロピル鎖の平均数は、4.0±0.3、4.2±0.3、4.4±0.3、4.6±0.3、又は4.8±0.3である。特定の態様において、β-シクロデキストリン1つあたりヒドロキシプロピル鎖の平均数は、5.0±0.3、5.2±0.3、5.4±0.3、5.6±0.3、又は5.8±0.3である。特定の態様において、β-シクロデキストリン1つあたりヒドロキシプロピル鎖の平均数は、6.0±0.3、6.2±0.3、6.4±0.3、6.6±0.3、又は6.7±0.3である。
【0078】
特定の態様において、β-シクロデキストリン1つあたりヒドロキシプロピル鎖の平均数は、3.2±0.2、3.3±0.2、3.4±0.2、3.5±0.2、3.6±0.2、3.7±0.2、又は3.8±0.2である。特定の態様において、β-シクロデキストリン1つあたりヒドロキシプロピル鎖の平均数は、4.0±0.2、4.1±0.2、4.2±0.2、4.3±0.2、4.4±0.2、4.5±0.2、4.6±0.2、4.7±0.2、又は4.8±0.2である。特定の態様において、β-シクロデキストリン1つあたりヒドロキシプロピル鎖の平均数は、5.0±0.2、5.1±0.2、5.2±0.2、5.3±0.2、5.4±0.2、5.5±0.2、5.6±0.2、5.7±0.2、又は5.8±0.2である。特定の態様において、β-シクロデキストリン1つあたりヒドロキシプロピル鎖の平均数は、6.0±0.2、6.1±0.2、6.2±0.2、6.3±0.2、6.4±0.2、6.5±0.2、6.6±0.2、6.7±0.2、又は6.8±0.2である。
【0079】
特定の態様において、β-シクロデキストリン1つあたりヒドロキシプロピル鎖の平均数は、3.1±0.1、3.2±0.1、3.3±0.1、3.4±0.1、3.5±0.1、3.6±0.1、3.7±0.1、3.8±0.1、又は3.9±0.1である。特定の態様において、β-シクロデキストリン1つあたりヒドロキシプロピル鎖の平均数は、4.0±0.1、4.1±0.1、4.2±0.1、4.3±0.1、4.4±0.1、4.5±0.1、4.6±0.1、4.7±0.1、4.8±0.1、又は4.9±0.1である。特定の態様において、β-シクロデキストリン1つあたりヒドロキシプロピル鎖の平均数は、5.0±0.1、5.1±0.1、5.2±0.1、5.3±0.1、5.4±0.1、5.5±0.1、5.6±0.1、5.7±0.1、5.8±0.1、又は5.9±0.1である。特定の態様において、β-シクロデキストリン1つあたりヒドロキシプロピル鎖の平均数は、6.0±0.1、6.1±0.1、6.2±0.1、6.3±0.1、6.4±0.1、6.5±0.1、6.6±0.1、6.7±0.1、6.8±0.1、又は6.9±0.1である。
【0080】
特定の態様において、前記ヒドロキシプロピル鎖の約50%以上はn=1である。いくつかの態様において、前記ヒドロキシプロピル鎖の約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、又は約97%はn=1である。いくつかの態様において、前記ヒドロキシプロピル鎖の70%以上はn=1である。いくつかの態様において、前記ヒドロキシプロピル鎖の90%以上はn=1である。
【0081】
特定の態様において、n=1であるヒドロキシプロピル鎖のパーセンテージは、例えば、約55%から約99%、約60%から約99%、約65%から約99%、約70%から約99%、約75%から約99%、約80%から約99%、約85%から約99%、約90%から約99%、約95%から約99%のように、例えば、約50%から約97%のように、例えば、約55%から約97%、約60%から約97%、約65%から約97%、約70%から約97%、約75%から約97%、約80%から約97%、約85%から約97%、約90%から約97%、約95%から約97%のように、例えば、約50%から約95%、約55%から約95%、約60%から約95%、約65%から約95%、約70%から約95%、約75%から約95%、約80%から約95%、約85%から約95%、約90%から約95%のように、例えば、約50%から約90%、約55%から約90%、約60%から約90%、約65%から約90%、約70%から約90%、約75%から約90%、約80%から約90%、約85%から約90%のように、例えば、約50%から約85%、約55%から約85%、約60%から約85%、約65%から約85%、約70%から約85%、約75%から約85%、約80%から約85%のように、例えば、約50%から約80%、約55%から約80%、約60%から約80%、約65%から約80%、約70%から約80%、約75%から約80%のように、例えば、約50%から約75%、約55%から約75%、約60%から約75%、約65%から約75%、約70%から約75%のように、例えば、約50%から約70%、約55%から約70%、約60%から約70%、約65%から約70%のように、例えば、約50%から65%、約55%から約65%、約60%から約65%のように、例えば、約50%から約60%、約55%から約60%のように、又は例えば、約50%から約55%のように、約50%から約99%の範囲である。
【0082】
特定の態様において、ヒドロキシプロピル鎖の約3%以下、約5%以下、約10%以下、約15%以下、約20%以下、約25%以下、約30%以下、約35%以下、約40%以下、約45%以下、又は約50%以下はn=2である。いくつかの態様において、ヒドロキシプロピル鎖の約30%以下はn=2である。いくつかの態様において、ヒドロキシプロピル鎖の10%以下はn=2である。
【0083】
特定の態様において、n=2であるヒドロキシプロピル鎖のパーセンテージは、例えば、約10%から約50%、約15%から約50%、約20%から約50%、約25%から約50%、約30%から約50%、約35%から約50%、約40%から約50%、約45%から約50%のように、例えば、約5%から約45%、約10%から約45%、約15%から約45%、約20%から約45%、約25%から約45%、約30%から約45%、約35%から約45%、約40%から約45%のように、例えば、約5%から約40%、約10%から約40%、約15%から約40%、約20%から約40%、約25%から約40%、約30%から約40%、約35%から約40%のように、例えば、約5%から約35%、約10%から約35%、約15%から約35%、約20%から約35%、約25%から約35%、約30%から約35%のように、例えば、約5%から約30%、約10%から約30%、約15%から約30%、約20%から約30%、約25%から約30%のように、例えば、約5%から約25%、約10%から約25%、約15%から約25%、約20%から約25%のように、例えば、約5%から約20%、約10%から約20%、約15%から約20%のように、例えば、約5%から約15%、約10%から約15%、又は約5%から約10%のように、約5%から約50%の範囲である。
【0084】
いくつかの態様において、約3%以下、約5%以下、約10%以下、約15%以下、約20%以下、約25%以下、約30%以下、約35%以下、約40%以下、約45%以下、又は約50%以下のヒドロキシプロピル鎖はn>2である。いくつかの態様において、約10%以下のヒドロキシプロピル鎖はn>2である。
【0085】
特定の態様において、n>2のヒドロキシプロピル鎖のパーセンテージは、約5%から約50%、約10%から約50%、約15%から約50、約20%から約50%、約25%から約50%、約30%から約50%、約35%から約50%、約40%から約50%、約45%から約50%、約5%から約45%、約10%から約45%、約15%から約45%、約20%から約45%、約25%から約45%、約30%から約45%、約35%から約45%、約40%から約45%、約5%から約40%、約10%から約40%、約15%から約40%、約20%から約40%、約25%から約40%、約30%から約40%、約35%から約40%、約5%から約35%、約10%から約35%、約15%から約35%、約20%から約35%、約25%から約35%、約30%から約35%、約5%から約30%、約10%から約30%、約15%から約30%、約20%から約30%、約25%から約30%、約5%から約25%、約10%から約25%、約15%から約25%、約20%から約25%、約5%から約20%、約10%から約20%、約15%から約20%、約5%から約15%、約10%から約15%、又は約5%から約10%の範囲である。
【0086】
特定の態様において、β-シクロデキストリン1つあたりのヒドロキシプロピル鎖の平均数は、約4から約6である。いくつかの態様において、β-シクロデキストリンの約60%以上は、集合的に約4から約6のβ-シクロデキストリン1つあたりのヒドロキシプロピル鎖の平均数を有する。いくつかの態様において、約65%以上、約70%以上、約75%以上、約80%以上、約85%以上、約90%以上、約95%以上、又は約97%以上のβ-シクロデキストリンは、集合的に約4から約6のβ-シクロデキストリン1つあたりのヒドロキシプロピル鎖の平均数を有する。いくつかの態様において、集合的に約4から約6のβ-シクロデキストリン1つあたりのヒドロキシプロピル鎖の平均数を有する、β-シクロデキストリンのパーセンテージは、約60%から約97%、約65%から約97%、約70%から約97%、約75%から約97%、約80%から約97%、約85%から約97%、約90%から約97%、約60%から約95%、約65%から約95%、約70%から約95%、約75%から約95%、約80%から約95%、約85%から約95%、約90%から約95%、約60%から約90%、約65%から約90%、約70%から約90%、約75%から約90%、約80%から約90%、約85%から約90%、約60%から約85%、約65%から約85%、約70%から約85%、約75%から約85%、約80%から約85%、約60%から約80%、約65%から約80%、約70%から約80%、約75%から約80%、約60%から約75%、約65%から約75%、約70%から約75%、約60%から約70%、約65%から約70%、又は約60%から約65%の範囲である。
【0087】
特定の態様において、本願において記載されるように、前記ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物は、約0.05重量%以下、約0.06重量%以下、約0.07重量%以下、約0.08重量%以下、約0.09重量%以下、約0.1重量%以下、約0.2重量%以下、約0.3重量%以下、約0.4重量%以下、約0.5重量%以下、約0.6重量%以下、約0.7重量%以下、約0.8重量%以下、約0.9重量%以下、約1.0重量%以下、約1.1重量%以下、約1.2重量%以下、約1.3重量%以下、約1.4重量%以下、約1.5重量%以下、約1.6重量%以下、約1.7重量%以下、約1.8重量%以下、約1.9重量%以下、又は約2重量%以下の非置換β-シクロデキストリンを含む。いくつかの態様において、前記ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物は、約0.15重量%以下の非置換β-シクロデキストリンを含む。
【0088】
特定の態様において、本願において記載されるヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物における非置換β-シクロデキストリンの量は、約0.05重量%から約2重量%、約0.05重量%から約1.5重量%、約0.05重量%から約1.4重量%、約0.05重量%から約1.3重量%、約0.05重量%から約1.2重量%、約0.05重量%から約1.1重量%、約0.05重量%から約1.0重量%、約0.05重量%から約0.8重量%、約0.05重量%から約0.6重量%、約0.05重量%から約0.5重量%、約0.05重量%から約0.4重量%、約0.05重量%から約0.3重量%、約0.05重量%から約0.2重量%、約0.05重量%から約0.1重量%、約0.05重量%から約0.07重量%、約0.07重量%から約1.5重量%、約0.07重量%から約1.4重量%、約0.07重量%から約1.3重量%、約0.07重量%から約1.2重量%、約0.07重量%から約1.1重量%、約0.07重量%から約1.0重量%、約0.07重量%から約0.8重量%、約0.07重量%から0.6重量%、約0.07重量%から0.5重量%、約0.07重量%から約0.4重量%、約0.07重量%から約0.3重量%、約0.07重量%から約0.2重量%、約0.07重量%から約0.1重量%、約0.1重量%から1.5重量%、約0.1重量%から約1.4重量%、0.1重量%から1.3重量%、約0.1重量%から約1.2重量%、約0.1重量%から約1.1重量%、約0.1重量%から1.0重量%、約0.1重量%から0.8重量%、約0.1重量%から約0.6重量%、約0.1重量%から約0.5重量%、約0.1重量%から約0.4重量%、約0.1重量%から約0.3重量%、約0.1重量%から約0.2重量%、約0.2重量%から約1.5重量%、約0.2重量%から約1.4重量%、約0.2重量%から約1.3重量%、約0.2重量%から約1.2重量%、約0.2重量%から約1.1重量%、約0.2重量%から約1.0重量%、約0.2重量%から約0.8重量%、約0.2重量%から約0.6重量%、約0.2重量%から約0.5重量%、約0.2重量%から約0.4重量%、約0.2重量%から約0.3重量%、約0.3重量%から1.5重量%、約0.3重量%から約1.4重量%、約0.3重量%から約1.3重量%、約0.3重量%から約1.2重量%、約0.3から1.1重量%、約0.3重量%から約1.0重量%、約0.3重量%から約0.8重量%、約0.3重量%から約0.6重量%、約0.3重量%から約0.5重量%、約0.3重量%から約0.4重量%、約0.4重量%から約1.5重量%、約0.4重量%から約1.4重量%、約0.4重量%から約1.3重量%、約0.4重量%から約1.2重量%、約0.4重量%から約1.1重量%、約0.4重量%から約1.0重量%、約0.4重量%から約0.8重量%、約0.4重量%から約0.6重量%、約0.4重量%から約0.5重量%、約0.5重量%から約1.5重量%、約0.5重量%から約1.4重量%、約0.5重量%から約1.3重量%、約0.5重量%から約1.2重量%、約0.5重量%から約1.1重量%、約0.5重量%から約1.0重量%、約0.5重量%から約0.8重量%、約0.5重量%から約0.6重量%、約0.6重量%から約1.5重量%、約0.6重量%から約1.4重量%、約0.6重量%から約1.3重量%、約0.6重量%から約1.2重量%、約0.6重量%から約1.1重量%、約0.6重量%から約1.0重量%、約0.6重量%から約0.8重量%、約0.8から約1.5重量%、約0.8重量%から約1.4重量%、約0.8重量%から約1.3重量%、約0.8重量%から約1.2重量%、約0.8重量%から約1.1重量%、約0.8重量%から約1.0重量%、約1.0重量%から約1.5重量%、約1.0重量%から約1.4重量%、約1.0重量%から約1.3重量%、約1.0重量%から約1.2重量%、約1.0重量%から約1.1重量%、約1.1重量%から約1.5重量%、約1.1重量%から約1.4重量%、約1.1重量%から約1.3重量%、約1.1重量%から約1.2重量%、約1.2重量%から約1.5重量%、約1.2重量%から約1.4重量%、約1.2重量%から約1.3重量%、約1.3重量%から約1.5重量%、約1.3重量%から約1.4重量%、又は約1.4重量%から約1.5重量%である。いくつかの態様において、本願において記載されるヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物における非置換β-シクロデキストリンの量は、約0.05重量%から約2重量%である。いくつかの態様において、本願において記載されるヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物における非置換β-シクロデキストリンの量は、約0.1重量%から約0.2重量%である。
【0089】
特定の態様において、本発明のヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物は、前記ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン種の化学合成から生じる不純物を含み得る。いくつかの態様において、前記不純物はプロピレングリコールである。
【0090】
特定の態様において、本願において記載されるヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物は、約2.0重量%以下、約2.1重量%以下、約2.2重量%以下、約2.3重量%以下、約2.4重量%以下、約2.5重量%以下、約2.6重量%以下、約2.7重量%以下、約2.8重量%以下、約2.9重量%以下、又は約3重量%以下のプロピレングリコールを含む。いくつかの態様において、本願において記載されるヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物は約2.5重量%以下のプロピレングリコールを含む。
【0091】
特定の態様において、本願において記載されるヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物は、2.0重量%以下、2.1重量%以下、2.2重量%以下、2.3重量%以下、2.4重量%以下、2.5重量%以下、2.6重量%以下、2.7重量%以下、2.8重量%以下、2.9重量%以下、又は3重量%以下のプロピレングリコールを含む。いくつかの態様において、本願において記載されるヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物は、2.5重量%以下のプロピレングリコールを含む。
【0092】
特定の態様において、本願において記載されるヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物におけるプロピレングリコール量は、約2.0重量%から約3.0重量%、約2.0重量%から約2.9重量%、約2.0重量%から約2.8重量%、約2.0%重量%から約2.7重量%、約2.0重量%から約2.6重量%、約2.0重量%から約2.5重量%、約2.0重量%から約2.4重量%、約2.0重量%から約2.3重量%、約2.0重量%から約2.2重量%、約2.0重量%から約2.1重量%、約2.1重量%から約3.0重量%、約2.1重量%から約2.9重量%、約2.1重量%から約2.8重量%、約2.1重量%から約2.7重量%、約2.1重量%から約2.6重量%、約2.1重量%から約2.5重量%、約2.1重量%から約2.4重量%、約2.1重量%から約2.3重量%、約2.1重量%から約2.2重量%、約2.2重量%から約3.0重量%、約2.2重量%から約2.9重量%、約2.2重量%から約2.8重量%、約2.2重量%から約2.6重量%、約2.2重量%から約2.5重量%、約2.2重量%から約2.4重量%、約2.2重量%から約2.3重量%、約2.3重量%から約3.0重量%、約2.3重量%から約2.9重量%、約2.3重量%から約2.8重量%、約2.3重量%から約2.7重量%、約2.3重量%から約2.6重量%、約2.3重量%から約2.5重量%、約2.3重量%から約2.4重量%、約2.4重量%から約3.0重量%、約2.4重量%から約2.9重量%、約2.4重量%から約2.8重量%、約2.4重量%から約2.7重量%、約2.4重量%から約2.6重量%、約2.4重量%から約2.5重量%、約2.5重量%から約3.0重量%、約2.5重量%から約2.9重量%、約2.5重量%から約2.8重量%、約2.5重量%から約2.7重量%、約2.5重量%から約2.6重量%、約2.6重量%から約3.0重量%、約2.6重量%から約2.9重量%、約2.6重量%から約2.8重量%、約2.6重量%から約2.7重量%、約2.7重量%から約3.0重量%、約2.7重量%から約2.9重量%、約2.7重量%から約2.8重量%、約2.8重量%から約3.0重量%、約2.8重量%から約2.9重量%、又は約2.9重量%から約3.0重量%である。いくつかの態様において、本願において記載されるヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物におけるプロピレングリコール量は、約2.0重量%から約3.0%重量%である。
【0093】
特定の態様において、前記ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物は、2又は3以上のヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン種の混合物を含み、ここで、当該2又は3以上のヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン種のそれぞれはβ-シクロデキストリン環の異なるヒドロキシプロピル化度を有し、前記ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物は0.15重量%以下の非置換β-シクロデキストリンを含む。
【0094】
特定の態様において、前記ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物は、2又は3以上のヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン種の混合物を含み、ここで、当該2又は3以上のヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン種のそれぞれはβ-シクロデキストリン環の異なるヒドロキシプロピル化度を有し、ここで、前記2又は3以上のヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン種の混合物は約0.59から約0.73のモル置換値を有し、及び、ここで、前記ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物は、2.5重量%以下のプロピレングリコール及び0.15重量%以下の非置換β-シクロデキストリンを含む。
【0095】
特定の態様において、前記ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物は、1又は複数のヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン種の5%(w/v)、10%(w/v)、15%(w/v)、20%(w/v)、25%(w/v)、30%(w/v)、35%(w/v)又は40%(w/v)溶液を含む。いくつかの態様において、前記ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物は、1又は複数のヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン種の25%(w/v)溶液を含む。いくつかの態様において、前記1又は複数のヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン種の25%(w/v)溶液は、1又は複数のヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン種の25%(w/v)水溶液である。
【0096】
特定の態様において、前記ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物は、CTDホールディング・インクから入手可能なトラップソル(Trappsol)(登録商標)シクロ(Cyclo)(商標)のヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物を含む。
【0097】
アルツハイマー病のヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン類による治療
アルツハイマー病に対するコレステロールの効果
アルツハイマー病(AD)の神経病態は、1)アミロイドβ(Aβ)含有プラーク及び2)神経線維及び過剰燐酸化タウ蛋白からなる神経原繊維変化(neurofibrillary tangles)を特徴とすることができる。Aβプラーク及びタウタングル(tau tangles)がADで演ずる正確な役割は未知であるが、これらは神経細胞間のコミュニケーションのブロックに重要な役割を果たし、細胞が生存するために必要とする重要なプロセスを遮断すると考えられている。さらに、研究によりAβは神経毒であることが証明され、ADに関連する記憶ロスを発生させる原因と考えられることを示唆する証拠がある。
【0098】
コレステロールは、細胞の構造、機能及びシグナル伝達に重要であると考えられている。体内の全コレステロールの約23%は、最も多くの量を含む神経及びアストロサイトを有する脳に局在している。コレステロールは均一に分布していない。すなわち、同一細胞の、特定の膜のそれぞれの内側と異なる膜を超えた個所との両方に分布変動が存在する。各膜内でコレステロールは脂質ラフト(‘lipid rafts’)と呼ばれるナノ/ミクロドメインに局在する。神経において、これらのラフトは高度に動的であり、これは全人生を通した可塑性及び再構築(plasticity and re-modelling)のための高度な代謝的要請及び要求の結果と考えられる。ラフトは、又神経シナプスにおいて検出され、ここでラフトは前シナプス機能及び後シナプス機能に貢献している。単一の神経内で、コレステロールの相対的分布は、また細胞内膜を超えて変動する。大多数の(>90%)コレステロールは原形質膜内に局在する。一旦、原形質膜を超えると、ほとんどのコレステロールはエンドソーム/リソソームに、次に処理のため特定の細胞小器官に運ばれ、そこで他の細胞小器官膜(すなわち、ミトコンドリア、リソソーム、小胞体)に取り込まれ、又はエステル化されて、細胞質の脂肪滴の形態で貯蔵される。
【0099】
ADに罹患した被験者はよくコレステロール不均衡になるが、既存の研究ではこれらの不均衡はAβ及びタウ蓄積が原因することが示唆されている。さらに、神経はその高度な代謝要求により、上昇したレベルの酸化ストレスを受け得る。酸化ストレスは、異常なコレステロールの蓄積及び処理に関連づけられてきている。研究により、若い又は未熟な神経は成熟神経と比べて膜コレステロールが少ないことがわかっている。さらに、AD患者の死体の研究により、細胞コレステロール濃度は、脆弱でない脳領域ではなく脆弱な脳領域内の膜において有意に上昇していることもわかっている。これらの膜におけるコレステロール量は、軽度の機能障害の患者よりもより重度の認識症状を有する患者において増加していることもわかっている。
【0100】
血液-脳関門はコレステロールリッチ・リポプロテインの侵入を防ぐため、脳細胞は血液コレステロールの供給を大きく断たれる。ゆえに、ほとんどのCNSコレステロールは局所的になる。一方、神経特異的酵素チトクローム46A1を経由して脳からコレステロールの一定の流出がある。この酵素はコレステロールを24S-ヒドロキシコレステロール(24-OHC)にヒドロキシ化し、この24-OHCは脳血液関門を通過して循環に入る。変化したCYP46A1発現はいくつかの神経退行性疾患と認識変化に関連する。第二の流出機序はHDLであり、HDLは脳血管関門を通過することができ、コレステロールを脳から血漿に、次に肝臓に運ばれる。低い及び/又は機能不全のHDL粒子はAD発症の危険因子として知られている。最後に、LDLの1形態であり、脳のコレステロール代謝及び輸送を制御するアポリポプロテインE(APOE)アイソフォームタイプε4は、AD発症の最強の同定された遺伝的危険因子である。
【0101】
Aβの生成と除去の両方がコレステロールにより制御されているように、Aβとコレステロールとの間に確立された関係が存在する。特に原形質膜のような領域において、増加したコレステロール量によりAβの増加がもたらされ、これは培養細胞及びほとんどのAD動物モデルの両方で示されている。また、タウ毒性は細胞コレステロールレベルに依存する。高コレステロール摂取はタウ過剰燐酸化の増加を示している。研究により、コレステロール濃度が増加するほど、Aβ依存性のカルパイン活性化への神経の感受性が上昇することがわかった。カルパイン活性化はタウを切断して毒性のある断片を生成することが知られている。これらの切断されたタウの形態は、神経死、シナプス損失、及び/又は行動障害を誘導することができる。また、老化神経よりも測定上低コレステロールの幼若神経はより少ない燐酸化タウ(p-タウ)を含む。
【0102】
ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン類を用いたAD治療
HPβCDはコレステロールと複合体を形成することが知られ、培養細胞系において細胞コレステロール量を調節するために常用されてきた。いくつかの態様において、細胞コレステロール量はシクロデキストリン:コレステロールのモル比率を修飾することにより操作することができる。いくつかの態様において、シクロデキストリン:コレステロールのモル比率の修飾によりコレステロール枯渇が誘導される。いくつかの態枯渇が誘導される。高い細胞濃度(10-100mM)において、HPβCDはコレステロールのシンクとしての役割を果たし、コレステロールを抽出・トラップするために用いることができる。しかしながら、低濃度(<1-3mM)においては、HPβCDはコレステロールのシャトルとして振舞い、膜間のコレステロールを輸送することもできる。
【0103】
1つの側面において、本願において開示されるヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物の有効量を投与することを含むアルツハイマー病に罹患した被験体におけるアルツハイマー病の治療方法が本願において提供される。いくつかの態様において、前記被験体はヒトである。
【0104】
もう1つの態様において、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物の有効量を投与することを含むアルツハイマー病に罹患したヒト患者におけるアルツハイマー病の治療方法が提供される。
【0105】
特定の態様において、前記患者はもう1つの療法の先立つ投与後にアルツハイマー病の進行を示した。いくつかの態様において、前記もう1つの療法の先立つ投与はアルツハイマー病の1つの療法である。いくつかの態様において、前記アルツハイマー病の療法は、ABBV-8E12(抗タウ抗体)、AC-1204(グルコース刺激剤)、ACI-24(抗Aβワクチン)、ACI-35(抗pタウワクチン)、アドゥカヌマブ(BIIB037)(アミロイドβm抗体)、AGB101(レベティラセタム低用量)、ALZ-801(アミロイドβ蛋白阻害剤)、ALZT-OP1(アミロイドβ蛋白阻害剤/炎症メディエータ阻害剤)、AMG520/CNP520(BACE1蛋白阻害剤)、ANAVEX(商標)2-73(M1ムスカリン性受容体アゴニスト/細胞内σ1受容体アゴニスト)、アストロステム(間葉系幹細胞療法)、AUS-131(非ホルモン性エストロジェン受容体アゴニスト)、AVN-101(セロトニン6受容体アンタゴニスト)、AVN-322(セロトニン6受容体アンタゴニスト)、AVP-786(デキストロメトルファン・アナログ/超低用量キニジン)、AXS-05(ブプロピオン/デキストロメトルファン)、アゼリラゴン(TTP488)(RAGEアンタゴニスト)、BAN2401(抗アミロイドβm抗体)、ベクサロテン(RXR-選択的レチノイド・アナログ)、BI409306(PDE9A阻害剤)、BIIB076(抗タウ抗体)、BIIB092(抗-細胞外タウ抗体)、BNC375(ポジティブ・アロステリック調節剤)、BPN14770(タイプ4環状ヌクレオチド・ホスホジエステラーゼ阻害剤)、ブリオスタチン1(プロテインキナーゼC刺激剤)、CAD106(アミロモチド)(VLP免疫療法ワクチン)、コープレックス・ドネペジル(ドネペジル経皮パッチ)、コープレックス・メマンチン(メマンチン経皮パッチ)、CPC-201(ドネペジル/ソリフェナシン混合剤)、CPC-212(次世代アセチルコリンエステラーゼ阻害剤)、CPC-250(次世代アセチルコリンエステラーゼ阻害剤)、クレネズマブ(抗アミロイドβ抗体)、CSP-1103(アミロイドβ蛋白阻害剤)、CSTC1(BAC)、CT1812(アミロイドβオリゴマー受容体アンタゴニスト)、E2027(PDE9阻害剤)、E2609(BACE1蛋白阻害剤)、EVT302(MAO-B阻害剤)、ガンテネルマブ(アミロイドβ蛋白阻害剤)、GC021109(プリノセプターP2Y6アゴニスト)、HSRx-888(ドネペジル/食品ベース化合物)、免疫グロブリン/アルブミン、INP-102点鼻剤、インテピルジン(RVT-101)(セロトニン6受容体アンタゴニスト)、イオニスMAPTRx(タウ標的蛋白)、JNJ-54861911(BACE阻害剤)、JOT106(トランス-レスベラトール経口カプセル)、KPAX002-2(メチルフェニデートのプロプライエタリ・バージョン)、ラナベセスタット(BACE阻害剤)、LM11A-31(p75ニュートロフィン受容体)、LMTX(タウ蛋白凝集阻害剤/TDP-43凝集阻害剤)、LY3002813(N3pG-アミロイドβ抗体)、LY3202626(BACE阻害剤)、LY3303560(タウ抗体)、M1アゴニスト(選択的M1受容体アゴニスト)、MEDI1814(抗アミロイドβ42m抗体)、間葉系幹細胞療法、MP-101(mGluR2/mGluR3アゴニスト)、MSDC-0160(mTOT調節剤)、NBXT-001+ノビリス(商標)吸入デバイス(NMDA受容体アンタゴニスト)、ネフラマピモド(VX-745)(p38マイトジェン活性化蛋白キナーゼ阻害剤)、NGP555(γセクレターゼ複合体調節剤)、ニルバジピン(溶解性アミロイド低減/除去剤)、NPT088(GAIM Ig融合標的アミロイドβ、タウ、a-シヌクレイン)、ヌブラジド(登録商標)ピマバンセリン、PF-05251749(カゼインキナーゼ1δ/ε)、PF-06648671(γセクレターゼ複合体調節剤)、PF-06751979(酵素阻害剤)、ピオグリタゾン(低用量)(PPARγアゴニスト)、ピロメラチン(メラトニン・アゴニスト)、ポシフェン(登録商標)R-フェンセリン、レクスルティ(登録商標)ブレックスビプラゾール、RG6100(タウ蛋白阻害剤)、RVT-103+RVT-104(QAAM+コリンエステラーゼ阻害剤)、SAR228810(抗プロトフィブラーABm抗体)、選択的BACE1阻害剤、ソラネズマブ(アミロイドβ蛋白阻害剤)、SUVN-502(セロトニン6受容体アンタゴニスト)、SUVN-D4010(セロトニン4受容体アゴニスト)、SUVN-G3031(ヒスタミンH3受容体アンタゴニスト)、T-817MA(アミロイドβ蛋白阻害剤)、T3D-959(PPARδ/γアゴニスト)、TAK-071(ムスカリン性M1受容体調節剤)、TPI287(次世代タキサン)、UB-311(抗アミロイド抗体ワクチン)、UE-2343(11β-HSD1阻害剤)、ベルベセスタット(MK-8931)(BACE1蛋白阻害剤)、又はこれらの 組合せを含む群から選択される。
【0106】
特定の態様において、前記ヒト患者は40歳以上、45歳以上、50歳以上、55歳以上、60歳以上、65歳以上、70歳以上、75歳以上、80歳以上、85歳以上、又は90歳以上である。いくつかの態様において、前記ヒト患者は50歳以上である。いくつかの態様において、前記ヒト患者は60歳以上である。いくつかの態様において、前記ヒト患者は65歳以上である。いくつかの態様において、前記ヒト患者は70歳以上である。いくつかの態様において、前記ヒト患者は80歳以上である。
【0107】
特定の態様において、前記ヒト患者に投与される前記ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物は、前記患者の体重により決定される。いくつかの態様において、前記患者に投与される投薬用量はmg/kg患者体重で投与される。
【0108】
特定の態様において、前記方法は前記ヒト患者に約10mg/kg、約20mg/kg、約30mg/kg、約40mg/kg、約50mg/kg、約60mg/kg、約70mg/kg、約80mg/kg、約90mg/kg、約100mg/kg、約150mg/kg、約200mg/kg、約250mg/kg、約300mg/kg、約350mg/kg、約400mg/kg、約450mg/kg、約500mg/kg、約600mg/kg、約700mg/kg、約800mg/kg、約900mg/kg、約1000mg/kg、約1100mg/kg、約1200mg/kg、約1300mg/kg、約1400mg/kg、約1500mg/kg、約1600mg/kg、約1700mg/kg、約1800mg/kg、約1900mg/kg、約2000mg/kg、約2100mg/kg、約2200mg/kg、約2300mg/kg、約2400mg/kg、約2500mg/kg、約3000mg/kg、約3500mg/kg、約4000mg/kg、約4500mg/kg、又は約5000mg/kgの投薬用量で前記ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物を投与することを含む。いくつかの態様において、前記方法は前記ヒト患者に約500mg/kgの投薬用量で前記ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物を投与することを含む。いくつかの態様において、前記方法は前記ヒト患者に約750mg/kgの投薬用量で前記ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物を投与することを含む。いくつかの態様において、前記方法は前記ヒト患者に約1000mg/kgの投薬用量で前記ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物を投与することを含む。いくつかの態様において、前記方法は前記ヒト患者に約1500mg/kgの投薬用量で前記ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物を投与することを含む。
【0109】
いくつかの態様において、前記方法は前記ヒト患者に約100mg/kgから約3000mg/kg、約500mg/kgから約3000mg/kg、約1000mg/kgから約3000mg/kg、約1500mg/kgから約3000mg/kg、約2000mg/kgから約3000mg/kg、約2500mg/kgから約3000mg/kg、約100mg/kgから約2500mg/kg、約100mg/kgから約2000mg/kg、約100mg/kgから約1500mg/kg、約100mg/kgから約1000mg/kg、約100mg/kgから約500mg/kg、約500mg/kgから約2500mg/kg、約500mg/kgから約2000mg/kg、約500mg/kgから約1500mg/kg、約500mg/kgから約1000mg/kg、約1000mg/kgから約2500mg/kg、約1000mg/kgから約2000mg/kg、約1000mg/kgから約1500mg/kg、約1500mg/kgから約2500mg/kg、約1500mg/kgから約2000mg/kg、又は約2000mg/kgから約2500mg/kgの投薬用量で前記ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物を投与することを含む。いくつかの態様において、前記方法は前記ヒト患者に約500mg/kgから約1500mg/kgの投薬用量で前記ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物を投与することを含む。いくつかの態様において、前記方法は前記ヒト患者に約500mg/kgから約1000mg/kgの投薬用量で前記ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物を投与することを含む。いくつかの態様において、前記方法は前記ヒト患者に約750mg/kgから約1000mg/kgの投薬用量で前記ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物を投与することを含む。
【0110】
特定の態様において、前記方法は前記ヒト患者に約100mg、約150mg、約200mg、約250mg、約300mg、約350mg、約400mg、約450mg、約500mg、約550mg、約600mg、約650mg、約700mg、又は約750mgの用量で中枢神経系(CNS)に向けた投薬で前記ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンを投与することを含む。
【0111】
特定の態様において、前記方法は前記ヒト患者に約100mgから約750mg、約150mgから約750mg、約300mgから約750mg、約450mgから約750mg、約600mgから約750mg、約100mgから約600mg、約150mgから約600mg、約300mgから約600mg、約450mgから約600mg、約100mgから約450mg、約150mgから約450mg、約300mgから約450mg、約100mgから約300mg、約150mgから約300mg、又は約100mgから約150mgの用量でCNSに向けた投薬で前記ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンを投与することを含む。いくつかの態様において、前記方法は前記ヒト患者に約100mgから約750mgの用量でCNSに向けた投薬で前記ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンを投与することを含む。
【0112】
特定の態様において、前記ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物は、月1回、月2回、毎週、又は毎日投与される。いくつかの態様において、前記ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物は、月1回投与される。
【0113】
特定の態様において、前記ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物は、1月以上、2月以上、3月以上、4月以上、5月以上、6月以上、7月以上、8月以上、9月以上、10月以上、11月以上、12月以上、1年以上、2年以上、3年以上、4年以上、5年以上、6年以上、7年以上、8年以上、9年以上、10年以上、15年以上、20年以上、又は25年以上の期間に月1回投与される。いくつかの態様において、前記ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物は、12月以上の期間に月1回投与される。いくつかの態様において、前記ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物は、ヒト患者の一生の期間までの間に月1回投与される。
【0114】
特定の態様において、前記方法は50mg/kg、100mg/kg、150mg/kg、 200mg/kg、250mg/kg、300mg/kg、350mg/kg、400mg/kg、450mg/kg、500mg/kg、550mg/kg、600mg/kg、650mg/kg、700mg/kg、750mg/kg、800mg/kg、850mg/kg、900mg/kg、950mg/kg、1,000mg/kg、1,250mg/kg、1,500mg/kg、2,000mg/kg、2,500mg/kg、3,000mg/kg、3,500mg/kg、4,000mg/kg、4,500mg/kg、又は5,000mg/kgからなる群から選択される毎月の投薬用量でヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物を投与することを、さらに含む。いくつかの態様において、前記方法は500mg/kg、750mg/kg、1,000mg/kg、1,500mg/kg、2,000mg/kg、又は2,500mg/kgからなる群から選択される毎月の投薬用量でヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物を投与することを、さらに含む。いくつかの態様において、前記方法は500mg/kgの毎月の投薬用量でヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物を投与することを、さらに含む。いくつかの態様において、前記方法は750mg/kgの毎月の投薬用量でヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物を投与することを、さらに含む。いくつかの態様において、前記方法は1000mg/kgの毎月の投薬用量でヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物を投与することを、さらに含む。いくつかの態様において、前記方法は1500mg/kgの毎月の投薬用量でヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物を投与することを、さらに含む。
【0115】
特定の態様において、前記方法は、約100mg、約150mg、約200mg、約250mg、約300mg、約350mg、約400mg、約450mg、約500mg、約550mg、約600mg、約650mg、約700mg、又は約750mgから選択されるCNSに向けた毎月の投薬用量で前記ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンを投与することを、さらに含む。
【0116】
特定の態様において、前記方法は、最大耐量が決定されるまで月毎に上昇する投薬療法で前記ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物を投与することを、さらに含む。いくつかの態様において、前記最大耐量を決定して、前記ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物の最大耐量は、1月、2月、3月、4月、5月、6月、7月、8月、9月、10月、11月、12月、1年、2年、3年、4年、5年、6年、7年、8年、9年、10年、15年、20年、又は25年の期間の間で月1回前記患者に投与される。いくつかの態様において、前記最大耐量を決定して、前記ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物の最大耐量は、ヒト患者の一生の期間までの間に月1回、前記患者に投与される。
【0117】
特定の態様において、前記方法は、最大耐量が決定されるまで月毎に用量を上昇させる療法で前記ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物を投与し、引き続き前記最大耐量を投与することを、さらに含む。いくつかの態様において、前記方法は、1月及び2月に500mg/kg、3月及び4月に1,000mg/kg、5月及び6月に1,500mg/kg、7月及び8月に2,000mg/kg、及び9月及び10月に2,500mg/kgの用量で最大耐量が決定されるまで月毎に用量を上昇させる療法で前記ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物を投与し、引き続き前記最大耐量を投与することを、さらに含む。
【0118】
特定の態様において、前記方法は、6月以上、7月以上、8月以上、9月以上、10月以上、11月以上、12月以上、1年以上、2年以上、3年以上、4年以上、5年以上、6年以上、7年以上、8年以上、9年以上、10年以上、15年以上、20年以上、又は25年以上の期間に月毎に前記最大耐量のヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物を投与することを、さらに含む。いくつかの態様において、前記方法は、前記ヒト患者の一生の期間までの間で月毎に前記ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物の最大耐量を投与することを、さらに含む。いくつかの態様において、前記方法は、12月以上の期間で月毎に前記ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物の最大耐量を投与することを、さらに含む。
【0119】
特定の態様において、前記方法は、腔内、経皮、筋肉内、クモ膜下腔内、静脈内、皮下、脳室内、及びこれらの如何なる組合せからなる群から選択される投与経路により前記ヒト患者に本願において記載されるヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物を投与することを含む。
【0120】
いくつかの態様において、前記方法は、ドネペジル、リバスチグミン、ガランタミン、メマンチン、ベルベセスタット(verubecestat)、ソラネズマブ(solanezumab)、バピニューズマブ(bapineuzumab)、アドゥカヌマブ(aducanumab)、ティデグルシブ(tideglusib)、エポチロン(epothilone)D 及びABBV-8E12又は現在開発されているアルツハイマー病治療のためのその他の治療剤からなる群から選択される第二の治療剤を投与することを、さらに含む。
【0121】
特定の態様において、前記方法は、コリンエステラーゼ阻害剤、NMDA受容体アンタゴニスト、タウ蛋白を標的とするヒト抗体、アミロイドβ蛋白を標的とするヒト抗体、BACE阻害剤からなる群から選択される第二の治療剤を投与することを、さらに含む。
【0122】
特定の態様において、前記方法は、アリセプト(登録商標)、ナメンダ(登録商標)、ドネペジル、メマンチン、エクセロン、ナメンダ(登録商標)XR、ガランタミン、アリセプト(登録商標)ODT、リバスチミン、ビタミンE、ラザダイン(登録商標)ER、ドネペジル/メマンチン、ラザダイン(登録商標)、ナムザリック(登録商標)、アルファE(登録商標)、ヒデルギン(登録商標)、メシル酸エルゴロイド、アクア-E(登録商標)、アクア(登録商標)ジェム-E、エタネルセプト、レミニル(登録商標)、ビタ-プラスEナチュラル、アクアゾル(登録商標)E、アクアビット(登録商標)-E、及びE-400クリアからなる群から選択される第二の治療剤を投与することを、さらに含む。
【0123】
特定の態様において、前記方法はさらに第二の治療剤を含み、ここで第二の治療剤は、ABBV-8E12(抗タウ抗体)、AC-1204(グルコース刺激剤)、ACI-24(抗Aβワクチン)、ACI-35(抗pタウワクチン)、アドゥカヌマブ(BIIB037)(アミロイドβm抗体)、AGB101(レベティラセタム低用量)、ALZ-801(アミロイドβ蛋白阻害剤)、ALZT-OP1(アミロイドβ蛋白阻害剤/炎症メディエータ阻害剤)、AMG520/CNP520(BACE1蛋白阻害剤)、ANAVEX(商標)2-73(M1ムスカリン性受容体アゴニスト/細胞内σ1受容体アゴニスト)、アストロステム(間葉系幹細胞療法)、AUS-131(非ホルモン性エストロジェン受容体アゴニスト)、AVN-101(セロトニン6受容体アンタゴニスト)、AVN-322(セロトニン6受容体アンタゴニスト)、AVP-786(デキストロメトルファン・アナログ/超低用量キニジン)、AXS-05(ブプロピオン/デキストロメトルファン)、アゼリラゴン(TTP488)(RAGEアンタゴニスト)、BAN2401(抗アミロイドβm抗体)、ベキサロテン(RXR-選択的レチノイド・アナログ)、BI409306(PDE9A阻害剤)、BIIB076(抗タウ抗体)、BIIB092(抗-細胞外タウ抗体)、BNC375(ポジティブ・アロステリック調節剤)、BPN14770(タイプ4環状ヌクレオチド・ホスホジエステラーゼ阻害剤)、ブリオスタチンI(プロテインキナーゼC刺激剤)、CAD106(アミロモチド)(VLP免疫療法ワクチン)、コープレックス・ドネペジル(ドネペジル経皮パッチ)、コープレックス・メマンチン(メマンチン経皮パッチ)、CPC-201(ドネペジル/ソリフェナシン混合物)、CPC-212(次世代アセチルコリンエステラーゼ阻害剤)、CPC-250(次世代アセチルコリンエステラーゼ阻害剤)、クレネズマブ(抗アミロイドβ抗体)、CSP-1103(アミロイドβ蛋白阻害剤)、CSTC1(BAC)、CT1812(アミロイドβオリゴマー受容体アンタゴニスト)、E2027(PDE9阻害剤)、E2609(BACE1蛋白阻害剤)、EVT302(MAO-B阻害剤)、ガンテネルマブ(アミロイドβ蛋白阻害剤)、GC021109(プリノセプターP2Y6アゴニスト)、HSRx-888(ドネペジル/食品ベース化合物)、免疫グロブリン/アルブミン、INP-102点鼻剤、インテピルジン(RVT-101)(セロトニン6受容体アンタゴニスト)、IONIS-MAPTRx(タウ標的蛋白)、JNJ-54861911(BACE阻害剤)、JOT106(トランス-レスベラトロールの経口カプセル)、KPAX002-2(メチルファニデートのプロプライエタリー・バージョン)、ラナベセスタット(BACE阻害剤)、LM11A-31(p75ニューロフィン受容体)、LMTX(タウ蛋白凝集阻害剤/TDP-43凝集阻害剤)、LY3002813(N3pG-アミロイドβ抗体)、LY3202626(BACE阻害剤)、LY3303560(タウ抗体)、M1アゴニスト(選択的M1受容体アゴニスト)、MEDI1814(抗アミロイドβ42m抗体)、間葉系幹細胞療法、MP-101(mGluR2/mGluR3アゴニスト)、MSDC-0160(mTOT調節剤)、NBXT-001+ノビリス(商標)吸入デバイス(NMDA受容体アゴニスト)、ネフラマピモド(VX-745)(p38マイトジェン-活性化蛋白キナーゼ阻害剤)、NGP555(γセクレターゼ複合体調節剤)、ニルバジピン溶解性アミロイド低減/除去剤、 NPT088(GAIM Ig融合標的アミロイドβ、タウ、a-シヌクレイン)、ヌプラジド(登録商標)ピマバンセリン、PF-05251749(カゼインキナーゼ1δ/ε)、PF-06648671(γセクレターゼ複合体調節剤)、PF-06751979(酵素阻害剤)、ピオグリタゾン(低用量)(PPARγアゴニスト)、ピロメラチン(メラトニン・アゴニスト)、ポシフェン(登録商標)R-フェンセリン、レクスルティ(登録商標)ブレックスピプラゾール、RG6100(タウ蛋白阻害剤)、RVT-103+RVT-104(QAAM+コリンエステラーゼ阻害)、SAR228810(抗-前原繊維性Aβm抗体)、選択的BACE1阻害剤、ソラネズマブ(アミロイドβ蛋白阻害剤)、SUVN-502(セロトニン6受容体アンタゴニスト)、SUVN-D4010(セロトニン4受容体アゴニスト)、SUVN-G3031(ヒスタミンH3受容体アンタゴニスト)、T-817MA(アミロイドβ蛋白阻害剤)、T3D-959(PPARδ/γアゴニスト)、TAK-071(ムスカリン性M1受容体調節剤)、TPI287(次世代タキサン)、UB311(抗アミロイド抗体ワクチン)、UE-2343(11β-HSD1阻害剤)、ベルベセスタット(MK-8931)(BACE1蛋白阻害剤)又はこれらの組合せからなる群から選択される。
【0124】
特定の態様において、前記方法は、さらに第二の治療剤を投与することを含み、ここで当該第二の治療剤は表1に記載された如何なる治療剤からも選択される。
【0125】
【表1】
【0126】
もう1つの側面において、本願において、アルツハイマー病に罹患したヒト患者におけるアルツハイマー病の治療方法が提供され、前記方法は有効量のヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物をヒト患者に投与することを含み、ここで、前記ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物は2又は3以上のヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン種の混合物を含み、ここで、前記2又は3以上のヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン種は約0.59から約0.73のモル置換値を有する。
【0127】
特定の態様において、前記ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物は2.5重量%以下のプロピレングリコールを、さらに含む。特定の態様において、前記ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物は2又は3以上のヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン種を含み、ここで、前記2又は3以上のヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン種のそれぞれはβ-シクロデキストリン環の異なるヒドロキシプロピル化度を有し、ここで、前記ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物は0.15重量%以下の非置換β-シクロデキストリンを含む。
【0128】
もう1つの側面において、前記ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物は2又は3以上のヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン種の混合物を含み、ここで、前記2又は3以上にヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン種のそれぞれは前記β-シクロデキストリン環の異なるヒドロキシプロピル化度を有し、ここで、前記2又は3以上のヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン種の混合物は約0.59から約0.73のモル置換値を有し、及びここで、前記ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物は2.5重量%以下のプロピレングリコール及び0.15重量%以下の非置換β-シクロデキストリンを含む。
【0129】
さらなる側面において、本願において、アルツハイマー病に罹患したヒト患者におけるアルツハイマー病の治療方法が提供され、当該方法は、
(a)初期用量の1つのヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物をヒト患者に投与すること、及び
(b)最大耐量が決定されるまで月毎に上昇する投薬療法で前記ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物を前記ヒト患者に投与すること
を含む。
【0130】
特定の態様において、前記方法は、引き続き前記ヒト患者に前記最大耐量を投与することを、さらに含む。
【0131】
もう1つの側面において、本願においてアルツハイマー病に罹患したヒト患者におけるアルツハイマー病の治療方法が提供され、当該方法は、
(a)ヒト患者にヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物の、非経口的投与により初期500mg/kg用量、又はCNS投与により100mgの初期用量を投与すること、及び
(b)ヒト患者にヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物を、最大耐量が決定されるまで、月毎に用量を上昇させる療法で投与すること
を含む。
【0132】
さらなる側面において、本願においてアルツハイマー病に罹患したヒト患者におけるアルツハイマー病の治療方法が提供され、当該方法は、
(a)ヒト患者にヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物の初期500mg/kg用量を投与すること、及び
(b)ヒト患者に前記ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物を、最大耐量が決定されるまで、月毎に用量を上昇させる療法で投与すること、ここで、前記月毎に用量を上昇させる療法は、前記ヒト患者に、前記初期用量の1月後に500mg/kg用量、前記初期用量の2月及び3月後に1,000mg/kg用量、前記初期用量の4月及び5月後に1,500mg/kg用量、前記初期用量の6月及び7月後に2,000mg/kg用量、及び前記初期用量の8月及び9月後に2,500mg/kg用量を投与すること
を含む。
【0133】
特定の態様において、前記方法は、前記ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物の最大耐量を、3月、4月、5月、6月、7月、8月、9月、10月、11月、又は12月に1回投与することを、さらに含む。いくつかの態様において、前記方法は、前記ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物の最大耐量を、前記ヒト患者の一生の間に月1回投与することを、さらに含む。
【0134】
さらなる側面において、本願において、
(a)有効量のヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物を投与すること、及び
(b)有効量の第二の治療剤を投与すること、
を含む、アルツハイマー病に罹患した被験者におけるアルツハイマー病の治療方法が提供される。
【0135】
特定の態様において、前記第二の治療剤は、ドネペジル、リバスチグミン、ガランタミン、メマンチン、ベルベセスタット、ソラネズマブ、バピニューズマブ、アドゥカヌマブ、ティデグルシブ、エポチロンD、及びABBV-8E12からなる群から選択される。いくつかの態様において、前記第二の治療剤は、コリンエステラーゼ阻害剤、NMDA受容体アンタゴニスト、タウ蛋白を標的とするヒト化抗体、アミロイドβ蛋白を標的とするヒト化抗体、及びBACE阻害剤からなる群から選択される。いくつかの態様において、前記第二の治療剤は、アリセプト(登録商標)、ナメンダ(登録商標)、ドネペジル、メマンチン、エクセロン(登録商標)、ナメンダ(登録商標)XR、ガランタミン、アリセプト(登録商標)ODT、リバスチグミン、ビタミンE、ラザダイン(登録商標)ER、ドネペジル/メマンチン、ラザダイン(登録商標)、ナムザリック(登録商標)、アルファE(登録商標)、ヒデルギン(登録商標)、エルゴロイド・メシレート、アクア(登録商標)-E、アクア・ジェム-E(登録商標)、エタネルセプト、レミニル(登録商標)、ビタ-プラスEナチュラル、アクアゾルE(登録商標)、アクアビット-E(登録商標)、及びE-400クリアからなる群から選択される。
【0136】
特定の態様において、本開示は、被験者におけるAβを低減する方法を提供し、当該方法は有効量のヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物を前記被験者に投与することを含む。
【0137】
特定の態様において、前記方法は、Aβプラーク沈着を約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約40%、約45%、約50%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、又は100%減少させる有効量のヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物を必要とする被験者に投与することを含む。
【0138】
特定の態様において、前記方法は、Aβプラーク沈着を約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約40%、約45%、約50%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、又は100%減少させる有効量のヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物を必要とする患者に投与することを含む。
【0139】
特定の態様において、前記方法は、タウ蓄積を約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約40%、約45%、約50%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、又は100%低減させる有効量のヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物を必要とする被験者に投与することを含む。
【0140】
特定の態様において、前記方法は、必要とする被験者においてアルツハイマー病の進行を安定化させる有効量のヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物を必要とする被験者に投与することを含む。
【0141】
いくつかの態様において、前記方法は、前記ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物の投与前の前記被験者の認知機能に比べて、必要とする被験者における認知機能を約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約40%、約45%、約50%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、又は100%上昇させる有効量のヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物を必要とする被験者に投与することを含む。
【0142】
いくつかの態様において、前記方法は、前記ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物の投与前の前記被験者の認知機能に比べる場合、必要とする被験者における認知機能を約1倍、約2倍、約3倍、約4倍、約5倍、約6倍、約7倍、約8倍、約9倍、約10倍、約20倍、約30倍、約40倍、約50倍、約60倍、約70倍、約80倍、約90倍、約100倍、約200倍、約300倍、約400倍、約500倍、約600倍、約700倍、約800倍、約900倍、約1000倍、約10000倍、約100000倍、又は約1000000倍に上昇させる有効量のヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物を必要とする前記被験者に投与することを含む。
【0143】
製薬組成物
1つの側面において、本開示は、本願において開示される有効量のヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物を含む、アルツハイマー病に罹患した被験体におけるアルツハイマー病の治療用の製薬組成物を提供する。いくつかの態様において、前記被検体はヒト患者である。
【0144】
いくつかの態様において、前記製薬組成物は、約25mg、約50mg、約75mg、約100mg、約150mg、約200mg、約250mg、約300mg、約350mg、約400mg、約450mg、約500mg、約600mg、約700mg、約800mg、約900mg、約1000mg、約1250mg、約1500mg、約1750mg、約2000mg、約2250mg、約2500mg、約2750mg、又は3000mgの前記ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物を含む。
【0145】
いくつかの態様において、前記製薬組成物は、約25mgから約2500mg、約250mgから約2500mg、約500mgから約2500mg、約750mgから約2500mg、約1000mgから約2500mg、約1250mgから約2500mg、約1500mgから約2500mg、約1750mgから約2500mg、約2000mgから約2500mg、約2250mgから約2500mg、約25mgから約2250mg、約25mgから約2000mg、約25mgから約1750mg、約25mgから約1500mg、約25mgから約1250mg、約25mgから約1000mg、約25mgから約750mg、約25mgから約500mg、約500mgから約2250mg、約500mgから約2000mg、約500mgから約1750mg、約500mgから約1500mg、約500mgから約1250mg、約500mgから約1000mg、約500mgから約750mg、約750mgから約2250mg、約750mgから約2000mg、約750mgから約1750mg、約750mgから約1500mg、約750mgから約1250mg、約750mgから約1000mg、約1000mgから約2250mg、約1000mgから約2000mg、約1000mgから約1750mg、約1000mgから約1500mg、約1000mgから約1250mg、約1250mgから約2250mg、約1250mgから約2000mg、約1250mgから約1750mg、約1250mgから約1500mg、約1500mgから約2250mg、約1500mgから約2000mg、約1500mgから約1750mg、約1750mgから約2250mg、約1750mgから約2000mg、又は約2000mgから約2250mgの前記ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物を含む。
【0146】
特定の態様において、前記ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物は、5%(w/v)、10%(w/v)、15%(w/v)、20%(w/v)、25%(w/v)、30%(w/v)、35%(w/v)、又は40%(w/v)の1又は複数のヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン種の水溶液を含む。いくつかの態様において、前記有効量の前記ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物は、1又は複数のヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン種の25%(w/v)溶液を含む。いくつかの態様において、前記1又は複数のヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン種の25%(w/v)水溶液である。
【0147】
特定の態様において、本発明の前記製薬組成物は、1又は複数の製薬的に許容される賦形剤を、さらに含む。いくつかの態様において、前記1又は複数の製薬的に許容される賦形剤は、希釈剤、緩衝剤、保存剤、安定化剤、溶解剤、又はこれらの如何なる組合せからなる群から選択される。
【0148】
特定の態様において、前記製薬組成物は、腔内、経皮、筋肉内、クモ膜下腔内、静脈内、皮下、又は脳室内の投与に適した液体剤形としての投与のために製剤化することができる。
【0149】
特定の態様において、本願において記載される製薬組成物の液体剤形は、希釈剤をさらに含む。いくつかの態様において、前記挿入希釈剤は生理食塩水である。
【0150】
特定の態様において、本願において記載される製薬組成物の液体剤形は、緩衝剤をさらに含む。本開示で用いられる適切な緩衝剤には、例えば、クエン酸塩緩衝液(例えば、クエン酸一ナトリウム-クエン酸二ナトリウム混合液、クエン酸-クエン酸三ナトリウム混合液、クエン酸-クエン酸一ナトリウム混合液)、コハク酸塩緩衝液(例えば、コハク酸-コハク酸一ナトリウム混合液、コハク酸-水酸化ナトリウム混合液、コハク酸-コハク酸二ナトリウム混合液)、酒石酸塩緩衝液(例えば、酒石酸-酒石酸ナトリウム混合液、酒石酸-酒石酸カリウム混合液、酒石酸-水酸化ナトリウム混合液)、フマル酸塩緩衝液(例えば、フマル酸-フマル酸一ナトリウム混合液、フマル酸-フマル酸二ナトリウム混合液、フマル酸一ナトリウム-フマル酸二ナトリウム混合液)、グルコン酸塩緩衝液(例えば、グルコン酸-グルコン酸一ナトリウム混合液、グルコン酸-水酸化ナトリウム混合液、グルコン酸-グルコン酸カリウム混合液)、シュウ酸塩緩衝液(例えば、シュウ酸-シュウ酸ナトリウム混合液、シュウ酸-水酸化ナトリウム混合液、シュウ酸-シュウ酸カリウム混合液)、乳酸塩緩衝液(例えば、乳酸-乳酸ナトリウム混合液、乳酸-水酸化ナトリウム混合液、乳酸-乳酸カリウム混合液)、及び酢酸緩衝液(例えば、酢酸-酢酸ナトリウム混合液、酢酸-水酸化ナトリウム混合液など)のような有機及び無機の酸及びそれらの塩が含まれるが、これらに限定されない。さらに、リン酸緩衝液、ヒスチジン緩衝液、及びトリスのようなトリメチルアミン塩を用いることができる。
【0151】
特定の態様において、本願において記載される製薬組成物の液体剤形は、安定化剤をさらに含む。例えば、本願開示に用いられる適切な保存剤には、フェノール、ベンジルアルコール、メタクレゾール、メチルパラベン、プロピルパラベン、塩化オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム、ハロゲン化ベンザルコニウム(例えば、塩化、シュウ化、及びヨウ化)、塩化ヘキサメトニウム、及びアルキルパラベン(例えば、メチル又はプロピルパラベン、カテコール、レゾルシノール、シクロヘキサノール、及び3-ペンタノール)が含まれるが、これらに限定されない。
【0152】
特定の態様において、本願で記載される製薬組成物の液体剤形は、安定化剤をさらに含む。例えば、適切な安定化剤には、多価糖アルコール類、三価又は四価以上の糖アルコール類、アミノ酸類、有機の糖類又は糖アルコール類、ポリビニルピロリドン単糖類、三糖類、多糖類、タンパク質類、硫黄含有還元剤、アミノ酸ポリマー類、及びポリエチレングリコールが含まれるが、これらに限定されない。
【0153】
特定の態様において、本願で記載される製薬組成物の液体剤形は、溶解剤をさらに含む。いくつかの態様において、前記溶解剤はイオン性表面活性剤である。非イオン性表面活性剤には、ポリソルベート類、ポリオキサマー類、プルロニック型ポリオール類(pluronic polyols)、及びポリオキシエチレン・ソルビタン・モノエーテル類が含まれるが、これらに限定されない。
【0154】
特定の態様において、本願において開示されるヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物の製薬組成物は、前記ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物を、当該技術において典型的に採用される、任意の製薬的に許容される担体、賦形剤、又は安定化剤(例えば、緩衝剤、安定化剤、保存剤、等張剤、非イオン性界面活性剤、抗酸化剤、及びその他の添加物)と混合することにより、凍結乾燥製剤又は水溶液として貯蔵用に調製することができる。
【0155】
特定の態様において、本願において記載される前記製薬組成物は、第二の治療剤をさらに含む。いくつかの態様において、前記第二の治療剤はアルツハイマー病の治療に適用される。いくつかの態様において、前記第二の治療剤はドネペジル、リバスチグミン、ガランタミン、メマンチン、ベルベセスタット、ソラネズマブ、バピニューズマ、アドゥカヌマブ、ティデグルシブ、エポチロンD、及びABBV-8E12からなる群から選択される。いくつかの態様において、前記第二の治療剤は、コリンエステラーゼ阻害剤、NMDA受容体アンタゴニスト、タウ蛋白を標的とするヒト化抗体、アミロイドβ蛋白を標的とするヒト化抗体、及びBACE阻害剤からなる群から選択される。いくつかの態様において、前記第二の治療剤は、アリセプト(登録商標)、ナメンダ(登録商標)、ドネペジル、メマンチン、エクセロン(登録商標)、ナメンダ(登録商標)XR、ガランタミン、アリセプト(登録商標)ODT、リバスチグミン、ビタミンE、ラザダイン(登録商標)ER、ドネペジル/メマンチン、ラザダイン(登録商標)、ナムザリック(登録商標)、アルファE(登録商標)、ヒデルギン(登録商標)、エルゴロイド・メシレート、アクア-E(登録商標)、アクア・ジェム-E(登録商標)、エタネルセプト、レミニル(登録商標)、ビタ-プラスEナチュラル、アクアゾルE(登録商標)、アクアビット-E(登録商標)、及びE-400クリアからなる群から選択される。
【0156】
いくつかの態様において、前記第二の治療剤は表1に示される如何なる治療剤からも選択される。
【0157】
特定の態様において、前記第二の治療剤は、ABBV-8E12(抗タウ抗体)、AC1204(グルコース刺激剤)、ACI-24(抗Aβワクチン)、ACI-35(抗pタウワクチン)、アドゥカヌマブ(BIIB037)(アミロイドβm抗体)、AGB101(レベティラセタム低用量)、ALZ-801(アミロイドβ蛋白阻害剤)、ALZT-OP1(アミロイドβ蛋白阻害剤/炎症メディエータ阻害剤)、AMG520/CNP520(BACE1蛋白阻害剤)、ANAVEX(商標)2-73(M1ムスカリン性受容体アゴニスト/細胞内σ1受容体アゴニスト)、アストロステム(間葉系幹細胞療法)、AUS-131(非ホルモン性エストロジェン受容体アゴニスト)、AVN-101(セロトニン6受容体アンタゴニスト)、AVN-322(セロトニン6受容体アンタゴニスト)、AVP-786(デキストロメトルファン・アナログ/超低用量キニジン)、AXS-05(ブプロピオン/デキストロメトルファン)、アゼリラゴン(TTP488)(RAGEアンタゴニスト)、BAN2401(抗アミロイドβm抗体)、ベキサロテン(RXR-選択的レチノイド・アナログ)、BI409306(PDE9A阻害剤)、BIIB076(抗タウ抗体)、BIIB092(抗細胞外タウ抗体)、BNC375(ポジティブ・アロステリック調節剤)、BPN14770(タイプ4環状ヌクレオチド・ホスホジエステラーゼ阻害剤)、ブリオスタチンI(プロテインキナーゼC刺激剤)、CAD106(アミロモチド)(VLP免疫療法ワクチン)、コープレックス・ドネペジル(ドネペジル経皮パッチ)、コープレックス・メマンチン(メマンチン経皮パッチ)、CPC-201(ドネペジル/ソリフェナシン混合剤)、CPC-212(次世代アセチルコリンエステラーゼ阻害剤)、CPC-250(次世代アセチルコリンエステラーゼ阻害剤)、クレネズマブ(抗アミロイドβ抗体)、CSP-1103(アミロイドβ蛋白阻害剤)、CSTC1(BAC)、CT1812(アミロイドβオリゴマー受容体アンタゴニスト)、E2027(PDE9阻害剤)、E2609(BACE1蛋白阻害剤)、EVT302(MAO-B阻害剤)、ガンテネルマブ(アミロイドβ蛋白阻害剤)、GC021109(プリノセプターP2Y6アゴニスト)、HSRx-888(ドネペジル/食品ベース化合物)、免疫グロブリン/アルブミン、INP-102点鼻剤、インテピルジン(RVT-101)(セロトニン6受容体アンタゴニスト)、イオニスMAPTRx(タウ標的蛋白)、JNJ-54861911(BACE阻害剤)、JOT106(トランス-レスベラトロールの経口カプセル)、KPAX002-2(プロプライエタリ・バージョンのメチルフェニデート)、ラナベセスタット(BACE阻害剤)、LM11A-31(p75ニュートロフィン受容体)、LMTX(タウ蛋白凝集阻害剤/TDP-43凝集阻害剤)、LY3002813(N3pG-アミロイドβ抗体)、LY3202626(BACE阻害剤)、LY3303560(タウ抗体)、M1アゴニスト(選択的M1受容体アゴニスト)、MEDI1814(抗アミロイドβ42m抗体)、間葉系幹細胞療法、MP-101(mGluR2/mGluR3アゴニスト)、MSDC-0160(mTOT調節剤)、NBXT-001+ノビリス(商標)吸入デバイス(NMDA受容体アンタゴニスト)、ネフラマピモド(VX-745)(p38マイトジェン活性化プロテインキナーゼ阻害剤)、NGP555(γセクレターゼ複合体調節剤)、ニルバジピン溶解性アミロイド低減/除去剤、NPT088(GAIM免疫グロブリン融合標的アミロイドβ、タウ、a-シヌクレイン)、ヌプラジド(登録商標)ピマバンセリン、PF-05251749(カゼインキナーゼ1δ/ε)、PF-06648671(γセクレターゼ複合体調節剤)、PF-06751979(酵素阻害剤)、ピオグリタゾン(低用量)(PPARγアゴニスト)、ピロメラチン(メラトニン・アゴニスト)、ポシフェン(登録商標)R-フェンセリン、レクスルティ(登録商標)ブレックスピラゾール、RG6100(タウ蛋白阻害剤)、RVT-103+RVT-104(QAAM+コリンエステラーゼ阻害剤)、SAR228810(抗前原線維アミロイドβm抗体)、選択的BACE1阻害剤、ソラネズマブ(アミロイドβ蛋白阻害剤)、SUVN-502(セロトニン6受容体アンタゴニスト)、SUVN-D4010(セロトニン4受容体アゴニスト)、SUVN-G3031(ヒスタミンH3受容体アンタゴニスト)、T-817MA(アミロイドβ蛋白阻害剤)、T3D-959(PPARδ/γアゴニスト)、TAK-071(ムスカリン性M1受容体調節剤)、TPI287(次世代タキサン)、UB-311(抗アミロイド抗体ワクチン)、UE-2343(11β-HSD1阻害剤)、ベルベセスタット(MK-8931)(BACE1蛋白阻害剤)又はこれらの組合せからなる群から選択される。
【0158】
特定の態様において、本開示の製薬組成物は、腔内、経皮、筋肉内、口腔内、静脈内、皮下、又は脳室内の投与により前記被検体へ投与される。
【0159】
キット
様々な態様において、本発明はアルツハイマー病に罹患した被検体においてアルツハイマー病の治療用のキットを提供する。いくつかの態様において、前記キットは、i)アルツハイマー病に罹患した被検体に本願において記載されるヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物又は製薬組成物を投与するための指示、及びii)本願において記載されるヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物又は製薬組成物を含む。いくつかの態様において、前記キットは、被検体におけるアルツハイマー病の治療に有効である本願に記載のヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物又は製薬組成物のある量を含む1又は複数の単位投薬形態を含むことができる。いくつかの態様において、前記被検体はヒト患者である。
【0160】
いくつかの態様において、前記キットは、i)アルツハイマー病に罹患した被検体に本願において記載されるヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物又は製薬組成物を投与するための指示、及びii)本願において記載されるヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物又は製薬組成物を25%(重量/容積)含む1又は複数の100mLバイヤル、を含む。いくつかの態様において、前記ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物又は製薬組成物は、トラップゾル(登録商標)シクロ(商標)ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物を含む。
【0161】
いくつかの態様において、前記キットは、無菌シリンジ、無菌針、無菌IVバッグ、点滴静注ポンプ、又はこれらの如何なる組合せをも含む群から選択される1又は複数を、さらに含む。
【0162】
以上の記載は、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物、アルツハイマー病に罹患した被検体を治療するためにヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物の使用する方法、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物を含む製薬組成物、及びキットを含む本発明の多くの側面及び態様を記載する。本特許出願は、前記側面及び態様の全ての組合せ及び並び替えを特に意図する。
【0163】
本願において記載される開示をより完全に理解できるために、以下の実施例が示される。本願において記載される合成的及び生物学的実施例は、本願において提供される前記化合物、製薬組成物、及び方法を説明するために提供され、その範囲を限定する如何なる方法でも解釈されるものではない。
【0164】
実施例1 ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン組成物を用いた老人病患者におけるアルツハイマー病の治療
1.インフォームドコンセント及びベースライン評価
前記患者は、インフォームドコンセントを提供し、次に、このプロトコル下に治療を受けることに如何なる禁忌もないことを確認するためのベースライン評価を受ける。特に、前記患者は、日常的な臨床検査(例えば、CBC、完全な代謝パネル、PT/INR、脂質、尿検査)及び心電図(ECG)と同様に臨床的及び神経学的検査を用いてベースラインで評価される。過去3か月に回収されたMRIデータは見直され、聴覚学的ベースラインが記録される。アルツハイマー病の症状がミニメンタルステート検査(mini-mental state examination)(MMSE)を用いて評価される。
【0165】
2.製品調製及び使用操作
前記患者は、トラップゾル(登録商標)シクロ(商標)2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンを投与される。
【0166】
トラップゾル(登録商標)シクロ(商標)は、薬局マニアルにしたがって無菌的に調製される。簡単には、100mLの25%(重量/容積)トラップゾル(登録商標)シクロ(商標)を生理食塩水と混合して所望の容量とする(薬局マニアル)。
【0167】
滅菌技術を用いて、依頼された容量のトラップゾル(登録商標)シクロ(商標)HPβCDを60ccルアーロック注射器及び16G針を用いて作成する。
【0168】
前記の依頼された全用量を、次に、500mL(用量<100mg/kg)又は1000mL(例えば、バクスター又はイントラビア)の18G針を用いたIVバッグに加える。
【0169】
前記の依頼された全用量を前記IVバッグに加えた後、全空気を前記IVバッグから除去する。
【0170】
次に、前記IVバッグにラベルを貼り、薬剤師が最終チェックを行う。
【0171】
3.治療計画
トラップゾル(登録商標)シクロ(商標)を静脈注射点滴により前記患者に投与する。初期用量は500mg/kg(T=0日目)である。
【0172】
その後、最大用量レベルを決定するために用量上昇プロトコルを用いて、トラップゾル(登録商標)シクロ(商標)を前記患者に投与する。各上昇用量は、臨床検査評価、毒性のモニター、及び最初の用量上昇後とそれぞれの次の用量レベル前との利益/リスク比の引き続く検討に基づく。この新しい上昇した用量レベルは、このレベルを維持するか又は次の指定されたレベルに続くかのいずれかである。2回の同じ用量が投与された後のみに、次に引き続く用量は次の用量上昇レベルに引き上げられる。これは、最大2500mg/kgIVのHPβCDに到達するまで続き得る。用量上昇プロトコルを表2に示す。
【0173】
【表2】
【0174】
如何なる有害事象のモニター、評価、及び対応のために各点滴静注の間、少なくとも一人の内科医ともう一人の有資格者が居合わせる。前記患者は、各点滴静注の間、バイタルサインのモニタリング及びパルスオキシメトリを受け取る。心肺蘇生用の救急カートが利用可能であり、前記内科医は二次救命措置の訓練を受けている。
【0175】
前記患者は、各点滴静注の24時間後及び72時間後に身体検査を受ける。本試験の用量上昇段階の間、投与前、点滴静注の開始から4時間及び8時間後、及び引き続く点滴静注の1時間及び24時間目に、薬物動態学的及び薬力学的マーカーのために採血が行われる。
【0176】
5.安全性評価
前記患者は、治療の過程を通して定期的にモニターされる。以下の安全性評価が行われる。
-有害事象
-体重及び身長:ベースライン、6月及び12月目において取得される。
-バイタルサイン:(例えば、血圧、脈拍、体温、心拍数、呼吸数)バイタルサインは、5分の休憩後に座位の被検体で取得される。バイタルサインは、最初の2時間の点滴静注の間に15分ごと、その後点滴静注後の観察期間が完了するまで2時間ごとに測定される。
-認知機能評価を含む神経学的検査:メンタルステート試験
-臨床検査ECG中のシングルリードは、ベースライン、用量上昇期及び最大用量になるまでの間の各月毎の点滴静注の前、及び12月目に行う。
-MRI:安全性モニタリングのためガドリニウムなしで行う。臨床MRIは、安全性評価のため3月、6月、及び12月目に行う。
-聴覚検査:3月目に、聴覚損失のモニターのために臨床的に指示される通りに行う。
【0177】
6.疾患活動性モニタリング
この治療計画のリスク/利益を評価するために、前記患者は潜在的な疾患経過における何らかの変化のために定期的にモニターされる。以下のパラメータが評価される。
-ミニメンタルステート検査:MMSEは認知機能を評価するために用いられる。評価は、ベースライン、及び3、6、9、12月目及びその後6か月ごとにスケジュールされる。
-アミロイド/タウPETスキャン:前記患者はベースラインのタウ及びアミロイドのPETイメージングを完了する。アミロイドPETイメージング(フロルベタピール)を繰り返し、及びAV-1451を12月目に完了して、アミロイド及びタウ沈着の変化を測定するために治療前のアミロイド及びタウのPETイメージングと比較する。
【0178】
コレステロール代謝の前駆体が、投与前、投与後24、48、72時間に血清中で測定される。:中央検査室で検証済の測定値によるデスモステロール、ラナステロール、ラソステロール
【0179】
24-(S)-ヒドロキシコレステロール(24(S)-HC)を液体クロマトグラフィー-タンデム質量分析計(LC-MS/MS)アッセイを用いて血漿中で測定した。血液を以下の時間点における24(S)-HC分析のために回収した。:投与前、24、48、及び72時間後。また、24(S)-HCは、PK分析のために回収されたサンプルで測定できる。
【0180】
非酵素的に生成されたコレステロール酸化生成物、特に7-ケトコレステロール及びコレスタン-3β,5α,6β-トリオールの血清レベルをLC-MS/MSにより測定する。血液は、以下の時間点:投与前、投与後24、48、及び72時間、におけるオキシステロール分析のために回収される。オキシステロールのサンプル採取については、3mLの血液を各時間点用に取得する。したがって、初期点滴静注ごとの全容量は0日目回収されたサンプルにおいて測定することもできる。
【0181】
7.治療終点
この治療計画の初期の終点は、一般に身体的、神経学的、及び認知機能の1)安全性及び2)耐性である。疾患の進行の抑制は、身体検査、記憶試験(MMSE)及び臨床検査を含む治療前及び治療後の試験の比較によって評価される。アミロイド及びタウPET・CTスキャンは、SUVR変化の測定用のベースラインのアミロイド及びタウPET・CTスキャンのイメージングと比較して12月目に取得される。
【0182】
実施例2 トラップゾル(登録商標)シクロ(商標)2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HPβCD)を静脈注射された老年病患者におけるアルツハイマー病の治療
1.患者要約情報
患者は、アルツハイマー病治療用の標準的な療法で治療を受ける間に悪化し続けた、アルツハイマー病のため認知症をもつ82歳の男性である。
【0183】
2.ベースライン評価
患者は、このプロトコル下での治療を受けることへの如何なる禁忌もないことを再確認するベースライン評価を受けた。特に、前記患者は、通常の臨床検査試験(例えば、全血球計算(「CBC」)、完全な代謝パネル、プロトロンビン時間/国際標準化比(「PT/INR」)、脂質類、尿分析)及び心電図(ECG)と同様に、臨床的及び神経学的検査を用いてベースラインで評価された。先立つ3か月で回収されたMRIデータは見直され、聴覚学的ベースラインが記録された。アルツハイマー病の症状はミニメンタルステート検査(MMSE)を用いて評価された。
【0184】
3.製品調製及び使用操作
前記患者は、トラップゾル(登録商標)シクロ(商標)2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンを投与された。
【0185】
トラップゾル(登録商標)シクロ(商標)は無菌的に調製された:すなわち、100mLバイヤルの25%(重量/容積)のトラップゾル(登録商標)シクロ(商標)を生理食塩水と混合して所望の容積にした。
【0186】
滅菌技術を用いて、依頼された用量のトラップゾル(登録商標)シクロ(商標)HPβCDを60ccルア-ロックシリンジ及び16G針を用いて作成した。
【0187】
次に、全依頼用量を500mL(用量<100mg/kg)又は1000mL(例えば、バクスター又はイントラビア)18G針を用いたIVバッグに加え、及び全空気を前記IVバッグから除去した。
【0188】
4.治療計画
前記患者は、8時間の点滴静注時間をかけて静脈内投与により500mg/kgのトラップゾル(登録商標)シクロ(商標)を用いて初期投与された。
【0189】
その後、前記トラップゾル(登録商標)シクロ(商標)は、最大用量レベルを決定する用量上昇プロトコルを用いて前記患者に投与された。各用量の上昇は、臨床的及び臨床検査的な評価、毒性のモニタリング、及び初期の用量上昇後とそれぞれの引き続く用量レベル前との利益/リスク比の引き続く再検討に基づいた。この新しい上昇した用量レベルは、このレベルを維持する又は次の割り当てられたレベルに続く、のいずれかであった。同一のレベルで2用量が投与された後でのみ、次の引き続く用量は次の用量上昇レベルに増加された。前記患者の投薬スケジュールを表3に示す。
【0190】
【表3】
【0191】
前記患者は、潜在的な耐容性の問題が存在する5月に1500mg/kg用量のIVのトラップゾル(登録商標)シクロ(商標)への用量上昇に耐容性を示した。前記用量は、6月及び7月については500mg/kgへ減少し、8月については1000mg/kgへ上昇し、次に750mg/kgへ低減した。さらに、9月については500mg/kgへ低減し、次に、10月及び11月について十分に耐容性である750mg/kgに上昇した。
【0192】
5.点滴静注後のモニタリング
少なくとも一人の内科医及びもう1人の資格者が、如何なる有害事象をについてもモニター、評価、及び応答するために各点滴静注の間に居合わせた。前記患者はバイタルサインを受け取った。
【0193】
前記患者は、各点滴静注の24時間後及び72時間後に身体検査を受けた。本試験の用量上昇段階の間、投与前、前記点滴静注の開始から4時間後及び8時間後、及び1時間及び24時間の引き続く点滴静注において、薬物動態学的及び薬学的マーカーのために採血した。
【0194】
6.安全性評価
前記患者は、治療の過程を通して定期的にモニターされた。以下の安全性評価が行われた。
-有害事象
-体重及び身長:ベースライン、6月及び12月に取得した。
-バイタルサイン(例えば、血圧、脈拍、体温、心拍数、呼吸数):バイタルサインは5分の休憩後に座位の被検体で採取した。バイタルサインは、点滴静注の初めの2時間について15分ごとに、次に点滴静注の観察期間の完了までその後2時間ごとに、測定した。
-認知機能評価:メンタルステータス試験を含む神経学的試験
-臨床検査試験:すなわち、CBC、肝臓機能試験(「LFTs」)、凝集パネル、尿険阻、脂質を含む血清化学パネル
-ECG:投薬の間シングルリード。ECGは、ベースライン、及び前記用量上昇及び最大用量到達まで間の各月毎の点滴静注の前、及び12月に行った。
-MRI:安全性モニターのためガドリウムは用いず行った。臨床MRIは、安全性評価のため、ベースライン、3月及び12月において行った。
-聴覚試験:3月において、聴覚損失用のモニターのため臨床的に指示されるように行った。
-自殺念慮及び行動の評価:月毎
-血液バイオマーカーの変化
-薬力学データ:8時間の点滴静注の終了時におけるピークpK値
【0195】
【表4-1】
【表4-2】
【表4-3】
【0196】
7.疾患活動性モニタリング
前記患者を、潜在的な疾患過程における如何なる変化のためにも定期的にモニターした。以下のパラメータが評価された。
-ミニメンタルステート検査:MMSEを前記患者の認知機能を評価するために用いた。評価は、ベースライン、3月、6月、9月、12月、及びその後の6か月ごとにスケジュールされた。
【0197】
コレステロール代謝の前駆体が、投与前、投与後24、48、72時間に血清中で測定された。:中央検査室で検証済の測定値によるデスモステロール、ラナステロール、ラソステロール
【0198】
24-(S)-ヒドロキシコレステロール(24(S)-HC)を液体クロマトグラフィー-タンデム質量分析計(LC-MS/MS)アッセイを用いて血漿中で測定した。血液を以下の時間点:投与前、24、48、及び72時間後における24(S)-HC分析のために回収した。また、24(S)-HCは、PK分析のために回収されたサンプルで測定した。
【0199】
非酵素的に生成されたコレステロール酸化生成物、特に7-ケトコレステロール及びコレスタン-3β,5α,6β-トリオールの血清レベルをLC-MS/MSにより測定した。血液は、以下の時間点:投与前、投与後24、48、及び72時間、においてオキシステロール分析のために回収された。オキシステロールのサンプル採取については、3mLの血液を各時間点用に採取した。したがって、初期点滴静注ごとの全容量は0日目に≦回収されたサンプルにおいて測定された。
【0200】
8.治療終点
この治療計画の初期の終点は、一般に身体的、神経学的、及び認知機能の1)安全性及び2)耐性であった。疾患の進行の抑制は、身体検査、記憶試験(MMSE)及び臨床検査を含む治療前及び治療後の試験の比較に基づいて評価された。
【0201】
9.結果
(i)投薬
前記承認プロトコルについて、前記患者は、2回の月毎の用量について8時間の点滴静注期間をかけてIVトラップゾル(登録商標)シクロ(商標)HPβCD500mg/kgを用いて初期に投与された。薬物動態学的データ、安全性データ、バイオマーカー及び有害事象データが、前記初期2月の試験期間の間に2か月ごとの用量上昇の前に安全性審査委員会により検討された。前記患者は、前記IV投薬療法によく耐容性を示した。安全性検査、ECG、及び月毎の臨床検査により、ベースラインからの変化がないこと及び毒性の証明がないことが示された。前記患者は、潜在的な耐容性の問題(下記の有害事象要約)が存在する時間である、5月におけるIVトラップゾル(登録商標)シクロ(商標)HPβCD1500mg/kg用量への用量上昇に耐容性を示した。前記用量は、500mg/kgに低減され、750mg/kgに調整され、その後よく耐容性を示した。
【0202】
(ii)MRI安全性評価
要約:前記患者は、前記プロトコルについて安全性評価のためにベースライン及び3月の脳MRIを完了した。前記ベースラインMRIは、典型的なパターンの萎縮をともなう中程度の慢性小血管虚血性疾患を示した。前記3月のフォローアップ安全性MRIはベースラインから変化がなく、安定した中程度の慢性小血管虚血性疾患及び安定でベースラインのイメージングから無変化の2箇所の慢性梗塞を示した。放射線科医の解釈によれば、アミロイド関連のイメージングの異常(ARIA E又はH)の証拠は認められなかった。前記患者は、繰り返しイメージングが必要な新しい神経学的な欠陥の兆候はなく臨床的に安定であった。
【0203】
12月MRI
脳のサジタルT1画像(Sagittal Tl images)、軸FLAIR画像(axial FLAIR)、及びT2強調画像(T2-weighted images)、軸拡散強調画像(axial diffusion-weighted images)及び環状断面エコー勾配画像(coronal gradient-echo images)が造影剤投与なしに取得された。T1強調容積取得(Tl-weighted volumetric acquisition)が行われ、ニューロクウォント・ソフトウエアパッケージ(NeuroQuant software package)を用いて後処理された。3Dサジタル画像が、独立したワークステーションの3D構造及び共起表現組織型(tissue types)のモニタリング及び調整を含んで、一般医の監督下に取得された。
【0204】
大脳溝及び脳室はやや目立った。正中偏位(midline shift)、腫瘤効果(mass effect)、脳実質外液貯留(extra-axial fluid collection)、急性実質出血(acute parenchymal bleeding)又は急性梗塞又は虚血は存在しなかった。神経膠症(gliosis)及び脳軟化症(encephalomalacia)の小焦点領域が右中心後回(post central gyrus)及び右中心傍小葉(paracentral lobule)において認められた。脳室周囲及び散在皮質下白質の中にT2/FLAIR高信号域が存在した。左側脳室体の中の高感受性病巣の観察により、左脈絡叢(left choroid plexus)における石灰化又は古い出血が示されると考えられた。
【0205】
両方の脳球の中で術後の変化があった。保持嚢胞が右上顎洞(maxillary sinus)及び両側篩骨空気細胞(bilateral ethmoid air cells)の中で疑われた。粘膜肥厚が両側篩骨空気細胞(bilateral ethmoid air cells)及び左上顎洞の中に存在した。残存する副鼻腔及び右乳突蜂巣(mastoid air cells)は清澄であった。微量流体が左乳突蜂巣の中に存在した。可視化した鼻咽頭(nasopharynx)の中に限局性腫瘤病変(focal mass lesion)は検出されなかった。主要な隣接脳血管により、その開通性を示すフローボイドが証明された。
【0206】
前頭骨内板過骨傷(hyperostosis frontalis interna)があった。
【0207】
年齢にマッチさせた対照に基づく海馬容積パーセンタイル基準は3%であった。前記側頭ホーン容積パーセンタイル基準は98.00%であった。これらの知見はアルツハイマー病を示唆する。
【0208】
4月前及び10月前の検査から年齢にマッチさせた対照に基づく海馬容積パーセンタイル基準は、それぞれ4%及び20%である。前の2検査についての側頭角容積パーセンタイル基準は、それぞれ97%及び98%であった。
【0209】
ニューロクウォント下部構造解析:
灰白色セグメンテーション品質:良好
【0210】
全脳構造(パーセンタイル基準)
全脳 :68.00%
灰白質:87.00%
白質 :30.00%
大脳白質病変(ブラックホール):(頭蓋内容積の0.14%)-60.00%
【0211】
以下2つの正常の標準偏差(報告されたパーセンタイル基準)の皮質サブ構造
左偏桃体:4%
右海馬 :2%
【0212】
24の非皮質脳サブ領域のうち以下の2つの正常の標準偏差を示すものはなかった。
【0213】
この分析には、48の皮質及び24の非皮質脳サブ構造が含まれる。ゆえに、3.5サブ構造は、以下の2つの正常変動からの標準偏差が期待される。
【0214】
急性頭蓋内異常は観察されなかった。
【0215】
テント上白質における、軽度の脳容積減少及び軽度から中程度の慢性微小血管虚血性変化は、前の検査と同様であった。
【0216】
前の検査と同様の右頭頂葉内の古い小さな梗塞があった。
【0217】
脳サブ構造容積の定量分析により、上述のとおり、以下の平均の2つの標準偏差:皮質2及び非皮質0サブ構造の上昇した数のサブ構造が明らかになった。
【0218】
海馬容積の定量自動分析により、アルツハイマー病を示唆する知見が明らかになった。前記患者の海馬容積は、4月及び10月の検査にわたって減少した。
【0219】
(iii)聴覚の安全性評価
前記患者は、前記プロトコルについて安全性評価用のベースライン及び3月聴覚試験を完了した。ベースラインにおける前記患者には、3月の評価において安定で、12月の試験期間の間臨床的に安定した、年齢に関係する聴覚喪失(老人性難聴)があった。前記患者は、外的要因に基づく聴覚干渉を防ぐために定期的に除去されるワックス蓄積についての耳、鼻、及び喉(ENT)の医師による3月毎の検査を引き続き受けた。前記治療の投薬療法に関連した聴覚損失の証拠はなかった。
【0220】
(iv)検査室安全性評価
月毎の点滴静注前の安全性検査を回収し、投薬前に検討した(CBC、化学パネル、血液学、尿検査、脂質類、凝集)。予想通りに脂質パネルは低下し、ベースラインからの臨床的に有意な変化ではなく体系的な兆候ではない血球数の最小の変化をともなった。腎臓又は肝臓器官系に毒性は認められず、ベースラインにおいて存在したベースライン蛋白尿にいくらか軽度の変動及び改善が判明した。
【0221】
(v)ECG安全性評価
月毎のECGモニタリングにより、レート制御された既知の心房細動のベースラインECGから変化は見られなかった。QT延長、虚血性変化、又は心臓系毒性の証拠は、12月試験期間の間に観察されなかった。
【0222】
(vi)認知機能及び行動の評価、及びベースライン来院からの観察
記憶:メンタルステート試験及び時計描画試験(OCT)に基づく記憶評価により、ベースラインから認知記憶スコアに変化をともなわない安定性が示された。前記OCT採点法はMMSEスコアの安定性と相関した(表5)。前記被検者は、前記12月試験期間の間、臨床検査において認知機能で安定と思われた。ベースラインから有意な低下なしの短期記憶喪失が、12月試験期間の間に観察された。
発話:前記患者発話の流暢性の改善が観察された。直接質問に対する彼の応答についてより短い単語発見待ち時間が観察され、彼の応答は継続的に適切であった。
心的状態/行動:家庭における行動の全般的な改善、興奮及び情緒不安定の低下が認められた。前記患者について、月毎のコロンビア自殺重症度評価尺度(「C-SSRS」)評価に基づく自殺念慮は報告されず、前記12月試験期間の間に鬱状態は報告も観察もされなかった。
【0223】
【表5】
【0224】
(vii)有害事象要約
下痢症状が0月(第1回点滴静注)の完了時に軽度の重大度で発現し、医療介入は必要ではなかった。前記症状は、トラップゾル(登録商標)シクロ(商標)HPβCD及び下痢症状をともなう炎症性腸疾患(IBS)の患者病歴の悪化に関係する可能性があった。前記症状は、およそ1日後に治癒した。
【0225】
IV点滴静注の間の上昇血圧は、前記12月試験期間の過程を通して認められた。血圧上昇は無症状で、臨床的に有意ではなく、血圧は点滴静注の完了時点でベースラインに戻った。前記血圧データが、前記患者を治療する心臓内科医により検討され、前記心臓内科医の推奨により併用薬は変更されなかった。
【0226】
血管迷走神経症状(vasovagal episode)が、1500mg/kg用量への用量上昇の間の5月IV点滴静注の完了後に発症した。前記症状は中程度の重大度であった。前記患者は、症状が回復するまで安全性について医学的モニターが行われ、医学的干渉に必要とされなかった。前記有害事象は、トラップゾル(登録商標)シクロ(商標)HPβCDの点滴静注、又は潜在的なIBSの悪化に関係する可能性があった。この有害事象は、前記患者の心臓内科医により検討され、当該事象の間に心虚血の証拠が認められなかったので、血管迷走神経性と決定された。前記患者は、彼を治療する心臓内科医により定期的にフォローされ、前記研究の治療における継続的な関与がクリアされた。前記有害事象は同日自然に治癒した。前記有害事象は安全性審査委員会により検討され、耐容性プロトコルについて前記用量は低減された。
【0227】
5月のIVのHPβCD点滴静注の完了後に下痢症状が発症した。前記症状は重大度が軽度であり、医学的干渉は必要とされなかった。前記症状はIP又は現存するIBSに関連する可能性があつた。前記有害事象は医学的干渉なしに同日治癒した。
【0228】
左手首の静脈炎はケフレックスの単回用量を用いて治療された。前記有害事象は中程度の重大性であり、5月試験の操作に関連しているようであった。前記有害事象はおよそ3日後に回復した。
【0229】
(viii)バイオマーカーデータ
コレステロール合成経路へのトラップゾル(登録商標)シクロ(商標)HPβCD点滴静注の影響を決定するため、前記12月試験期間の間にオキシステロールのバイオマーカーデータを回収した(表6)。
【0230】
【表6-1】
【表6-2】
【0231】
前記患者は、前記8時間のIVラップゾル(登録商標)シクロ(商標)HPβCDの月毎の点滴静注を毒性又は安全性問題の発生なしに、よく耐容性を示した。前記患者は、前記試験の間の連続検査において認知機能及び神経学的安定性を示した。アルツハイマー病痴呆をもつヒトにおいては、12月の期間にわたって予想される測定可能な認識及び機能の低下が存在する。現患者について行動の改善が観察され、この患者について生活の質の利益に改善が示された。アルツハイマー病痴呆をもつヒトにおいて12月の期間にわたって予想される期待される認識及び記憶の低下は、この患者においては観察されなかった。
【0232】
等価物
本願開示は、その本質的な特徴から離れたその他の特定の形態においても具現化され得る。ゆえに、前記の態様は、本願において記載される開示の制限というよりもむしろ説明的に考慮されるべきである。本開示の範囲は、前記の記載によるよりもむしろ添付の特許請求の範囲により示され、特許請求の範囲の等価物の意味及び範囲から生じる全ての変化はそこに包含されることを意図している。