(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-29
(45)【発行日】2024-03-08
(54)【発明の名称】シート角度調整器及びスライダー
(51)【国際特許分類】
A47C 1/025 20060101AFI20240301BHJP
B60N 2/235 20060101ALI20240301BHJP
【FI】
A47C1/025
B60N2/235
(21)【出願番号】P 2022080961
(22)【出願日】2022-05-17
【審査請求日】2022-05-17
(31)【優先権主張番号】202210345841.0
(32)【優先日】2022-04-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521052388
【氏名又は名称】湖北中航精机科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002343
【氏名又は名称】弁理士法人 東和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ルオ、 シャンフ―
(72)【発明者】
【氏名】リー、 ミン
(72)【発明者】
【氏名】リー、 シュアンチアン
(72)【発明者】
【氏名】チェン、 リペン
【審査官】二階堂 恭弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-200470(JP,A)
【文献】特開平10-43828(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 1/025
B60N 2/235
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
弧状周壁には爪車ラチェット歯と噛合するためのスライダーラチェット歯(11a)が設けられているスライダー本体(11)と、前記スライダー本体(11)の一方側の側壁に設けられる突起(12)とを含む、シート角度調整器のためのスライダー(1)であって、
前記スライダーラチェット歯(11a)は、前記スライダー本体(11)における突起側の側壁に直角接続され、突起逆方向側の側壁にフィレット接続され、
前記弧状周壁の両側の周壁(11b)は、摺動溝板(2)の摺動溝壁に当接され、
前記周壁(11b)は、前記スライダー本体(11)における突起逆方向側の側壁に直角接続され、突起側の側壁
にフィレット接続されていることを特徴とするスライダー(1)。
【請求項2】
シートクッションに固定接続される摺動溝板(2)、シート背もたれに固定接続される爪車(3)、駆動機構、及び、請求項1に記載のスライダー(1)を含み、
前記摺動溝板(2)の内側壁には、径方向に沿って延伸する摺動溝(o)が設けられ、
前記スライダー(1)は、前記摺動溝(o)の内部に取り付けられ、
前記爪車(3)は、前記摺動溝板(2)に相対回動可能に取り付けられて周壁の内側には爪車ラチェット歯が設けられ、
前記駆動機構は、前記スライダー(1)を前記摺動溝(o)の延伸方向に沿って外側に運動させるように駆動することで前記スライダーラチェット歯(11a)を爪車ラチェット歯に噛合させ、又は、前記摺動溝(o)を内側に運動させるように駆動することで前記スライダーラチェット歯(11a)を爪車ラチェット歯から離脱させていることを特徴とするシート角度調整器。
【請求項3】
前記摺動溝板(2)に設けられた前記摺動溝(o)の数は、5つであり、
前記摺動溝(o)は、周方向に沿って均一に分布され、
前記シート角度調整器は、前記摺動溝(o)内に一々対応するように設けられる5つの前記スライダー(1)を含むことを特徴とする請求項2に記載のシート角度調整器。
【請求項4】
前記駆動機構は、周方向で位置制限されるように接続されたロックカム(4)、アンロックカム(5)及び駆動軸(6)を含み、
前記ロックカム(4)の外縁には、前記スライダー(1)に対応するロック面(4a)が設けられ、
前記アンロックカム(5)は、周方向に沿って延伸する駆動摺動溝(5a)を有し、
前記突起(12)は、前記駆動摺動溝(5a)の内部に一々対応するように挿着され、
前記駆動軸(6)が回転すると前記駆動摺動溝(5a)によって前記スライダー(1)を内側に運動させるように駆動することができ、前記駆動軸(6)が逆方向に回転すると前記ロック面(4a)によって前記スライダー(1)を外側に運動させるように駆動することを特徴とする請求項2に記載のシート角度調整器。
【請求項5】
前記ロックカム(4)と前記アンロックカム(5)とは、中間部には角形孔が設けられ、
前記駆動軸(6)は、周方向で位置制限されるように、前記角形孔に挿着される角形セグメントを有していることを特徴とする請求項4に記載のシート角度調整器。
【請求項6】
前記駆動機構は、戻しバネ(7)をさらに含み、
前記駆動軸(6)は、回転し、前記駆動摺動溝(5a)は、前記スライダー(1)を内側に運動させるように駆動する場合、前記戻しバネ(7)は、だんだんエネルギを貯蔵することを特徴とする請求項5に記載のシート角度調整器。
【請求項7】
前記摺動溝板(2)の内側壁には、ノッチ(2a)が設けられ、
前記戻しバネ(7)のインナリングは、周方向の位置制限を形成するように、前記角形セグメントに外嵌され、
前記戻しバネ(7)の延出端(71)は、周方向の位置制限を形成するように前記ノッチ(2a)に挿着されていることを特徴とする請求項6に記載のシート角度調整器。
【請求項8】
前記摺動溝板(2)の内側壁の中間部には、前記ノッチ(2a)に連通する取付溝が設けられ、
前記駆動軸(6)は、前記摺動溝板(2)を相対回動可能に貫通し、
前記戻しバネ(7)は、前記取付溝に設けられていることを特徴とする請求項7に記載のシート角度調整器。
【請求項9】
環状の接合スリーブ(8)をさらに含み、
前記接合スリーブ(8)は、前記摺動溝板(2)のアウターリングに外嵌され、その一方側の側壁が前記摺動溝板(2)に固定接続され、他方側の側壁が前記爪車(3)における前記摺動溝板(2)と反対側の側壁と隙間を有していることを特徴とする請求項2~請求項8の何れか1項に記載のシート角度調整器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートの技術分野に関し、具体的には、シート角度調整器及びスライダーに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車業界における省エネ・排出削減の発展傾向に連れて、自動車は、安全性能を確保することを前提に、部品の軽量化を継続的に行う必要があり、自動車のシートは、もっと軽くなる必要があり、シート角度調整器も軽くなる必要があり、これは、自動車業界の軽量化に対する需求である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
安全を確保するとともに、シート角度調整器の重量を低減するために、部品をより小さく、薄くする必要がある。
この目的は、高強度材料を選択することによっても達成することができるが、高強度材料は、材料及び製造のコストを高めて、角度調整器のコストを増やすので、軽量化要求を満たすとともに強度を向上させるために、如何により合理的な構造設計及び部材製造工程によって材料を十分に利用することは、当業者が解决しようとする問題である。
【0004】
本発明の目的は、スライダーのサイズを変更せず、軽量化要求を満たす前提で、通常の材料を選択し、部材構成の設計によって、重量低減、強度向上という目的を達成する、スライダーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記技術問題を解決するために、本発明は、スライダーを提供し、弧状周壁には爪車ラチェット歯と噛合するためのスライダーラチェット歯が設けられているスライダー本体と、前記スライダー本体の一方側の側壁に設けられる突起とを含む、シート角度調整器のためのスライダーであって、前記スライダーラチェット歯は、前記スライダー本体における突起側の側壁に直角接続、突起逆方向側の側壁にフィレット接続され、前記弧状周壁の両側の周壁は、摺動溝板の摺動溝壁に当接され、前記周壁は、前記スライダー本体の突起逆方向側の側壁に直角接続され、突起側の側壁にフィレット接続される。
【0006】
本発明において、スライダーラチェット歯は、スライダー本体における突起側の側壁に直角接続され、スライダー本体の突起逆方向側の側壁にフィレット接続され、即ち、スライダーラチェット歯のフィレットと爪車ラチェット歯のフィレットとは、同一側にあり、当該配置は、スライダーラチェット歯と爪車ラチェット歯との軸方向の重複度を増やし、爪車とスライダーとの噛合強度を向上させ、また、スライダーの両側の周壁は、スライダー本体の突起逆方向側の側壁に直角接続され、スライダー本体の突起側の側壁にフィレット接続され、即ち、周壁のフィレットと摺動溝壁のフィレットとは、同一側にあり、当該配置は、スライダーの両側の周壁と摺動溝との接触高さを同時に増やし、摺動溝側壁の押出面積を大きくし、摺動溝の押出強度を上げるとともに、スライダーが上に浮くことを防止し、スライダーの安定性を向上させる。
【0007】
このように、本発明は、スライダーのサイズを変更せず、軽量化要求を満たすことを前提に、スライダーの構造設計を変更するとともに、爪車とスライダーとの噛合強度及び摺動溝の押出強度を上げることで、シートバックの安定性及び確実性を向上させ、乗客の快適性を高める。
【0008】
本発明は、シート角度調整器をさらに提供し、シートクッションに固定接続される摺動溝板、シート背もたれに固定接続される爪車、駆動機構及び前記スライダーを含み、前記摺動溝板には、径方向に沿って延伸する摺動溝が設けられ、前記爪車は、前記摺動溝板に相対回動可能に取り付けられ、周壁の内側には、爪車ラチェット歯が設けられ、前記スライダーは、前記摺動溝の内部に取り付けられ、前記駆動機構は、前記スライダーを前記摺動溝の延伸方向に沿って外側に運動させるように駆動することで、前記スライダーラチェット歯を爪車ラチェット歯に噛合させ、又は、前記摺動溝を内側に運動させるように駆動することで、前記スライダーラチェット歯を爪車ラチェット歯から離脱させる。
【0009】
本発明のシート角度調整器は、上記シート角度調整器のためのスライダーを含むため、シート角度調整器のためのスライダーと同様な効果を具備し、ここで、贅言していない。
【0010】
そして、前記摺動溝板に設けられる摺動溝の数は、5つであるのが好ましく、これらの摺動溝は、周方向に沿って均一に分布され、前記シート角度調整器は、摺動溝内に一々対応するように設けられる5つのスライダーを含む。
【0011】
前記駆動機構は、周方向で位置制限されるように接続されたロックカム、アンロックカム及び駆動軸を含むが好ましい。
前記ロックカムの外縁には、スライダーに対応するロック面が設けられ、前記アンロックカムは、周方向に沿って延伸する駆動摺動溝を有し、前記突起は、駆動摺動溝の内部に一々対応するように挿着される。
そして、前記駆動軸が回転すると、駆動摺動溝は、スライダーを内部に運動させるように駆動することができ、前記駆動軸が逆方向に回転すると、前記ロック面は、スライダーを外部に運動させるように駆動することができる。
【0012】
前記ロックカムとアンロックカムとは、中間部には角形孔が設けられ、前記駆動軸は、周方向で位置制限されるように、前記角形孔に挿着される角形セグメントを有しているのが好ましい。
【0013】
さらに、前記駆動機構は、戻しバネをさらに含むのが好ましい。
前記駆動軸は、回転し、駆動摺動溝は、スライダーを内側に運動させるように駆動する場合、戻しバネは、だんだんエネルギを貯蔵する。
【0014】
そして、前記摺動溝板の内側壁には、ノッチが設けられ、前記戻しバネのインナリングは、周方向の位置制限を形成するように、前記角形セグメントに外嵌され、前記戻しバネの延出端は、周方向の位置制限を形成するように、ノッチに挿着されるのが好ましい。
【0015】
また、前記摺動溝板の内側壁の中間部には、前記ノッチに連通する取付溝が設けられ、前記駆動軸は、摺動溝板を相対回動可能に貫通し、前記戻しバネは、取付溝に設けられるが好ましい。
【0016】
環状の接合スリーブをさらに含み、この接合スリーブは、摺動溝板のアウターリングに外嵌され、一方側の側壁が、摺動溝板に固定接続され、他方側の側壁が、爪車における摺動溝板と反対側の側壁と隙間を有しているのが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明が提供するシート角度調整器の実施例の構成模式図。
【
図2】
図1のシート角度調整器においてスライダーが摺動溝板に取り付けられる構成模式図。
【
図3】
図1のシート角度調整器の爪車の構成模式図。
【
図4】本発明の実施例であるスライダーの構成模式図。
【
図5】
図4のスライダーと爪車との噛合際の断面図。
【
図6】
図5のスライダーラチェット歯と爪車ラチェット歯との噛合箇所の部分拡大図。
【
図7】
図4のスライダーが摺動溝内部にある際の断面図。
【
図8】
図7のスライダーの周壁と摺動溝壁との貼合箇所の部分拡大図。
【
図9】
図1のシート角度調整器の駆動機構の構成模式図。
【
図13】シートのアンロック過程での動力伝達の模式図。
【
図15】駆動機構の戻しバネと駆動軸との取付の模式図。
【
図16】戻しバネが摺動溝板に取り付けられる構成模式図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明をよりよく理解するために、以下は、図面及び実施例を結合し、本発明をさらに詳しく説明する。
【0019】
本明細書においてスライダー本体11の突起12が設けられる側は、突起側であり、この突起12が設けられない側は、突起逆方向側である。
【0020】
本発明のスライダー1の構成を詳しく紹介する前に、まず、スライダー1のシート角度調整器での取付位置及び作用を簡単に紹介する。
図1~
図3を参照し、摺動溝板2は、シートクッションの接続板に固定接続され、径方向に沿って延伸する摺動溝oが設けられ、スライダー1は、摺動溝板2の摺動溝o内に取り付けられ、摺動溝oの延伸方向に沿って径方向に移動することができる。
そして、スライダー1の弧状周壁には、爪車3の内周壁の爪車ラチェット歯と係合するためのスライダーラチェット歯11aが設けられ、爪車3は、シートバックの接続板に固定接続され、摺動溝板2に相対回動可能に取り付けられる。
このため、スライダーラチェット歯11aは、爪車ラチェット歯と噛合して爪車3が摺動溝板2に対して回動できなくなるまで、スライダー1は、径方向に沿って外側に移動し、シートは、ロックされ、スライダー1は、径方向に沿って内側に移動し、スライダーラチェット歯11aは、爪車ラチェット歯から離脱した場合、爪車3及びシートバックの接続板は、自由に回動することができ、シートバックの角度を調節し、シートのアンロックを実現する。
【0021】
上記から分かるように、スライダー1は、摺動溝oの延伸方向に移動する必要があるため、スライダー1の両側の周壁11bと摺動溝壁との接触高さは、直接的に摺動溝oの押出強度に影響し、周壁11bと摺動溝oとの接触面積が小さいと、摺動溝oの押出強度を低減させ、その同時、スライダー1は、摺動溝oを押出すると上向きの分力を発生させ、スライダー1を上に浮かし、このスライダー1と摺動溝oとの接触高さをさらに小さくする。
また、スライダーラチェット歯11aと爪車ラチェット歯との軸方向の重複度は、直接的にスライダーラチェット歯11aと爪車ラチェット歯との噛合強度に影響し、両者は、直接的にシート背もたれの安定性に影響する。
ただし、摺動溝oの押出強度、及びスライダーラチェット歯11aと爪車ラチェット歯との噛合強度を向上させるために、従来の考え方は、部品のサイズを大きくし、又は、高強度材料を採用するという2つを有するが、第1の考え方は、軽量化の要求には不利であり、第2の考え方のコストは高い。
【0022】
これに基づき、本発明は、従来技術の伝統の思考モードを変えて、スライダー1のサイズを変更せず、軽量化要求を満たす前提で、通常の材料を選択し、部材構成の設計によって、重量低減、強度向上という目的を達成する。
【0023】
一般的に、スライダー1は、プレス成形を採用し、プレス工程の特徴のため、必然的にフィレットが発生し、従来の技術において、スライダーラチェット歯11a及び両側の周壁11bは、同時、突起側の側壁にフィレット接続され、又は、同時、突起逆方向側の側壁にフィレット接続される。
ただし、第1の構成において、スライダーラチェット歯11aと爪車ラチェット歯との軸方向の重複度が小さく、噛合強度が悪く、第2の構成において、両側の周壁11bと摺動溝oとの接触高さが低いため、接触面積が小さく、摺動溝の押出強度が低い。
【0024】
以下は、本発明のスライダー1の構成を詳しく紹介する。
図4は、本発明の実施例であるスライダーの構成模式図である。
【0025】
本発明におけるスライダーラチェット歯11aは、スライダー本体11の突起側の側壁に直角接続され、スライダー本体11の突起逆方向側の側壁にフィレット接続される。
また、
図5、
図6に示すように、スライダーラチェット歯11aのフィレットと爪車ラチェット歯のフィレットとは、同一側にあり、当該配置は、スライダーラチェット歯11aと爪車ラチェット歯との軸方向の重複度Lを増やし、爪車3とスライダー1との噛合強度を向上させる。
また、スライダー1の両側の周壁11bは、スライダー本体11の突起逆方向側の側壁に直角接続され、スライダー本体11の突起側の側壁にフィレット接続される。
図7、
図8に示すように、周壁11bのフィレットと摺動溝壁のフィレットとは、同一側にあり、当該配置は、スライダー1の両側の周壁11bと摺動溝oとの接触高さHを増やすとともに、摺動溝oの側壁の押出面積を大きくし、摺動溝oの押出強度を上げ、スライダー1が上に浮くことを防止し、スライダー1の安定性を向上させる。
【0026】
このように、本発明は、スライダー1のサイズを変更せず、軽量化要求を満たすことを前提に、スライダー1の構造設計を変更するとともに、爪車3とスライダー1との噛合強度、及び、摺動溝oの押出強度を上げることで、シートバックの安定性及び確実性を向上させ、乗客の快適性を高める。
【0027】
本発明において、スライダー1は、プレス成形され、具体的に、スライダー1の構成をプレス形成してから、スライダーラチェット歯11aを逆方向にプレスする。
【0028】
本発明は、シート角度調整器をさらに提供し、シートクッションに固定接続される摺動溝板2、シート背もたれに固定接続される爪車3、駆動機構、及び、シート角度調整器のための上記スライダー1を含む。
そして、摺動溝板2には、径方向に沿って延伸する摺動溝oが設けられ、爪車3は、摺動溝板2に相対回動可能に取り付けられ、周壁の内側には、爪車ラチェット歯が設けられ、スライダー1は、摺動溝oの内部に取り付けられる。
さらに、駆動機構は、スライダー1を摺動溝oに沿って外側に運動させるように駆動することで、スライダーラチェット歯11aを爪車ラチェット歯に噛合させ、又は、摺動溝oに沿って内部に運動させるように駆動することで、スライダーラチェット歯11aを爪車ラチェット歯から離脱させる。
【0029】
本発明のシート角度調整器は、シート角度調整器のための上記スライダー1を含む。
このため、シート角度調整器のためのスライダー1と同様な技術効果を具備し、ここで、贅言していない。
【0030】
図1に示すように、摺動溝板2に設けられる摺動溝oの数は、5つであり、摺動溝oは周方向に沿って均一に分布される。
そして、シート角度調整器は、一々対応するように摺動溝o内に設けられる5つのスライダー1を含む。
このような配置は、シート角度調整器の内部空間を十分に利用でき、材料強度を最大化し、ラチェット歯の噛合強度と摺動溝oの押出強度とのマッチングを最適にする。
【0031】
図1、
図9~
図14を引き続いて参照し、駆動機構は、ロックカム4とアンロックカム5とを含む。
そして、ロックカム4とアンロックカム5とは、3つの位置制限ピンによって一体として固定され、即ち、両者は、同期回動することができる。
ロックカム4の外縁には、スライダー1に対応するロック面4aが設けられ、アンロックカム5は、周方向に沿って延伸する異形の駆動摺動溝5aを有し、スライダー1の突起12は、一々対応するように、駆動摺動溝5aの内部に挿着される。
図11に示すように、ロックカム4及びアンロックカム5は、矢印方向に沿って回動する場合、スライダー1が
図12の位置にあり、且つ、スライダーラチェット歯11aが爪車ラチェット歯と噛合するまで、ロックカム4の外縁ロック面4aは、スライダー1を径方向に沿って外向きに運動させるように駆動する。
また、
図13に示すように、ロックカム4及びアンロックカム5は、矢印方向に沿って回動する場合、スライダー1が
図14の位置にあり、且つ、スライダーラチェット歯11aが爪車ラチェット歯から離脱するまで、駆動摺動溝5aは、スライダー1を径方向に沿って内向きに運動させるように駆動する。
【0032】
ロックカム4及びアンロックカム5の駆動は、動力の伝達軸6によって実現される。
具体的に、ロックカム4とアンロックカム5とは、中間部には角形孔が設けられる。
そして、駆動軸6の周壁部分は、角形であり、駆動軸6の角形セグメントは、周方向の位置制限を実現するように、ロックカム4及びアンロックカム5の角形孔に挿着され、即ち、駆動軸6は回動すると、ロックカム4とアンロックカム5とを同期回動させることができる。
シートには、一般的に2つのシート角度調整器が設けられるため、本実施例の駆動軸6も中空軸の形態として配置され、その内部も角形である。
これによって、リンクバー(図示せず)が貫通して、2つの駆動軸6を一体として接続し、乗客は、アンロックグリップ(図示せず)によって、一方側の駆動軸6を回動させるように駆動する場合、両側の駆動軸6は、同期回動でき、アンロックの目的を実現する。
【0033】
無論、動力の伝達軸6と、ロックカム4及びアンロックカム5との周方向の位置制限を実現することに対して、三者を一体として溶接するなどの方式を採用してもよく、ここで、限定していない。
【0034】
図1、
図15~
図16に示すように、戻しバネ7をさらに含み、戻しバネ7のインナリングは、周方向の位置制限を実現するように、駆動軸6の角形セグメントに圧着される。
また、摺動溝板2の内側壁には、取付溝、及び、この取付溝に連通するノッチ2aが設けられ、取付溝の中間部は、駆動軸6が貫通するための貫通孔を有している。
そして、戻しバネ7は、摺動溝板2の取付溝に設けられ、その延出端71は、周方向の位置制限を実現するように、摺動溝板2のノッチ2a内に挿着される。
このような配置によって、駆動軸6は、力を受けて、アンロック方向に回転する場合、戻しバネ7は、だんだんエネルギを貯蔵し、シートバックは、アンロック状態にあるとともに、必要な位置に調節された場合、駆動軸6に付与される作用力を取り消すと、スライダーラチェット歯11aが爪車ラチェット歯と噛合してシートがロックされるまで、駆動軸6は、戻しバネ7の復帰力の作用で逆方向に回転する。
【0035】
実際応用において、戻しバネ7が、設けられなくてもよい。
この場合、乗客は、駆動軸6をロック位置に回転させるように、手動で駆動するとともに、ロック構成を追加して駆動軸6をロック位置に保持し、その構成は、複雑である。
本発明は、戻しバネ7を配置することで、シートバックは、自動にロック状態に戻れ、操作が簡単であり、安全性が高く、より好適である。
【0036】
図1を引き続いて参照し、環状の接合スリーブ8をさらに含み、この接合スリーブ8は、摺動溝板2の外縁に外嵌され、その一方側が、摺動溝板2に固定接続され、他方側と、爪車3における摺動溝板2と反対側の側壁とが隙間を有し、これによって、爪車3と摺動溝板2とを一体として固定し、爪車3と摺動溝板2との離脱を防止する。
【0037】
ここに記載の隙間は、爪車3の軸方向移動が生じないとともに、爪車3の回動に影響しないことを保証すべきである。
【0038】
また、
図17に示すように、摺動溝板2は、摺動溝oの裏側には、第1ボス21が設けられ、シートクッション接続板(図示せず)の対応する位置には、接続孔が設けられ、第1ボス21は、一々対応するように、接続孔内に挿着され、摺動溝板2とシートクッション接続板とは一体として溶接固定される。
図3に示すように、爪車3における摺動溝板2と反対側の側壁には、第2ボス31が設けられ、シート背もたれ接続板(図示せず)の対応する位置には、接続孔が設けられ、第2ボス31は、一々対応するように、接続孔内に挿着され、爪車3とシート背もたれ接続板とは、一体として溶接固定される。
【0039】
以上は、本発明が提供するシート角度調整器及びスライダーを詳しく紹介し、本明細書は、具体的な例示を利用して本発明の原理及び実施形態を記載し、以上の実施例に対する説明は、ただ本発明の方法及びその本旨を理解するためのものである。
ここで、当業者にとって、本発明の原理から逸脱しないことを前提に、本発明に対していくつかの改良及び修飾を行ってもよく、これらの改良及び修飾も本発明の請求項の保護範囲に該当する。
【符号の説明】
【0040】
1 ・・・スライダー;
11 ・・・スライダー本体;
11a・・・スライダーラチェット歯;
11b・・・周壁;
12 ・・・突起;
2 ・・・摺動溝板;
21 ・・・第1ボス;
2a ・・・ノッチ;
o ・・・摺動溝;
3 ・・・爪車;
31 ・・・第2ボス;
4 ・・・ロックカム;
4a ・・・ロック面;
5 ・・・アンロックカム;
5a ・・・駆動摺動溝;
6 ・・・駆動軸;
7 ・・・戻しバネ;
71 ・・・延出端;
8 ・・・接合スリーブ