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特許7446368電気刺激又は診断機器のデータ検出のための、少なくとも1つの電極ユニットを有する装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-29
(45)【発行日】2024-03-08
(54)【発明の名称】電気刺激又は診断機器のデータ検出のための、少なくとも1つの電極ユニットを有する装置
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/04 20060101AFI20240301BHJP
【FI】
A61N1/04
【請求項の数】 14
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022114494
(22)【出願日】2022-07-19
(62)【分割の表示】P 2020203476の分割
【原出願日】2020-12-08
(65)【公開番号】P2022141817
(43)【公開日】2022-09-29
【審査請求日】2022-08-16
(31)【優先権主張番号】20152235
(32)【優先日】2020-01-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】514038144
【氏名又は名称】ピーレンケンパー・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100208258
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 友子
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】ロジャー・ピーレンケンパー
(72)【発明者】
【氏名】ヨーナス・パインツェ
【審査官】和田 将彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-136055(JP,A)
【文献】特開2018-138343(JP,A)
【文献】国際公開第2016/093194(WO,A1)
【文献】特表2010-534502(JP,A)
【文献】特表2016-529991(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 1/04
A61B 5/256
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気刺激のための、又は診断機器のデータ検出のための、少なくとも1つの電極ユニットを有する装置において、
電極ユニット(8,9,10,11,13)が、以下の層:
a)基礎層内に配置された少なくとも1つの電極(16,17)を有する基礎層(14)、
b)以下の層構造を有する層:
-基礎層(14)と接触しつつその下方に配置されたメリヤスから成る導電性の層(21)及び
-前記装置が人に装着されたときに、前記メリヤスから成る導電性の層(21)と人の間にこれらに接触するよう配置された導電性の合成樹脂層(22)
を備えていること、並びに
層a)及びb)(14,21,22)が互いに固結されていること
を特徴とする装置。
【請求項2】
電気刺激のための、又は診断機器のデータ検出のための、少なくとも1つの電極ユニットを有する装置において、
電極ユニット(8,9,10,11,13)が、以下の層:
a)基礎層内に配置された少なくとも1つの電極(16,17)を有する基礎層(14)、
b)以下の層構造を有する層:
-電極(16,17)と接触する導電性の合成樹脂層(20)、及び
-前記装置が人に装着されたときに、前記導電性の合成樹脂層(20)と人の間にこれらに接触するよう配置され、前記導電性の合成樹脂層(20)の下方に配置されたメリヤスから成る導電性の層(21)
を備えていること、並びに
層a)及びb)(14,20,21)が互いに固結されていること
を特徴とする装置。
【請求項3】
電極(16,17)が、縫い込み、プリント、縫製、接着及び/又は挿入及び固定によって、基礎層(14)内に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
電極(16,17)が、あらかじめ製造された基礎層(14)内に配置されていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
成樹脂層(20,22)が熱可塑性の材料及び/又は熱可塑性のエラストマ及び/又は導電性のシリコンで形成されていることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
成樹脂層(20,22)が導電性の粒子を有していることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
導電性の粒子が銀及び/又はグラファイトで構成されていることを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項8】
基礎層がフリースで構成されていることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
成樹脂層(20,22)がポリウレタンフィルムとして形成されていることを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
メリヤスから成る導電性の層がポリエステルで形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の装置。
【請求項11】
リヤスから成る導電性の層(21)が、
-ガーゼ及び/若しくは
-弾性的なガーゼ及び/若しくは
-格子状の材料及び/若しくは
-格子状の弾性材料
を有しているか、又は
-ガーゼ及び/若しくは
-弾性的なガーゼ及び/若しくは
-格子状の材料及び/若しくは
-格子状の弾性材料
で形成されていること
を特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載の装置。
【請求項12】
層(14,20,21,22)が、
-熱プレス方法によって互いに溶接された層(14,20,21,22)として、又は
-熱プレス方法によって固着剤に固結された層(14,20,21,22)として、又は-貼り合わせによって互いに固結された層(14,20,21,22)として、又は
-高周波溶接若しくは超音波溶接によって互いに固結された層(14,20,21,22)として
形成されていることを特徴とする請求項1~11のいずれか1項に記載の装置。
【請求項13】
装置が基礎層(14)でもって全体ボディスーツ又は部分ボディスーツ(1)又は圧迫帯(12)に配置されていることを特徴とする請求項1~12のいずれか1項に記載の装置。
【請求項14】
全体ボディスーツ又は部分ボディスーツ(1)又は圧迫帯(12)が、
-ポリエステル及びスパンデックス又は
-ポリアミド6及びスパンデックス又は
-ポリアミド6.6及びスパンデックス又は
-ポリウレタン及びスパンデックス
で構成されていることを特徴とする請求項13に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
少なくとも1つの電極ユニットを有する本発明は、電気刺激又は診断機器のデータ検出のための装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
顔用の処置装置及び処置方法が従来技術(特許文献1)に属する。当該処置において、電気刺激は、縫われた(編まれた)支持部におけるフェイスマスクに縫い込まれた(編み込まれた)電極を用いて行われる。このとき、フェイスマスクは、縫い材料又はメリヤス、例えばたて編みニット生地から製造される。電極は、フェイスマスクの製造時に直接共に縫い込まれる導電性の糸で構成されている。従来技術に属するこの装置は、電極がフェイスマスクに縫い込まれるため、製造前にフェイスマスクを完全に構想される必要があるという欠点を有している。電極の位置に関する様々な支持部への事後的な適合は不可能である。
【0003】
さらに、複雑な電気筋肉刺激のための装置が従来技術(特許文献2)に属している。従来技術に属するこの装置は、スーツ、刺激ユニット、操作ユニット並びに操作ユニット及び刺激ユニットを信号伝達のために接続する通信ユニットを含んでいる。当該スーツもたて編みニット生地で構成されている。当該スーツでは、電極ユニットがスーツに配置されている。電極は、金属化されたポリマ糸で構成されている。接触電極も導電性のポリマ混合物で構成されることが可能である。従来技術に属する当該接触電極は、ポリマ混合物が特にスーツの激しい使用時に容易に壊れやすくなるという欠点を有している。ポリマ混合物が壊れやすいと、電極はもはや機能せず、スーツはもはや電気刺激のために使用されることができない。加えて、現在市場で入手可能な材料は、この種の製品に課される高い細胞毒性(細胞障害性)要件に適合しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】独国特許出願公開第102014108315号明細書
【文献】独国実用新案第202012102393号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の基礎となる技術的な問題は、電極の高い耐久性において電極材料の良好な導電性を保証する、電気刺激のための、又は診断機器のデータ検出のための、少なくとも1つの電極ユニットを有する装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
当該技術的な問題は、請求項1による特徴を有する装置によって解決される。
【0007】
電気刺激のための、又は診断機器のデータ検出のための、少なくとも1つの電極ユニットを有する本発明による装置は、
電極ユニットが、以下の層:
a)基礎層内又は基礎層に配置された少なくとも1つの電極(16,17)を有する基礎層、
b)以下の層構造を有する層:
b1)-合成樹脂層
-メリヤスから成る層及び
-合成樹脂層
又は
b2)-メリヤスから成る層及び
-合成樹脂層
又は
b3)-合成樹脂層及び
-メリヤスから成る層
を備えていること、並びに
層a)及びb)が互いに固結されていること
を特徴としている。
【0008】
少なくとも1つの電極ユニットを有する本発明による装置は、一方では、電気刺激のための用いられることが可能である。電極ユニットの少なくとも1つの電極には電流が印加され、当該電極は、この理由から電気刺激のために用いられることが可能である。しかし、少なくとも1つの電極ユニットを有する本発明による装置によって、例えばEKG(心電図検査)、EMG(筋電図検査)又は例えば生体インピーダンスを測定するためなどのためのデータ検出を行うことも可能である。
【0009】
本発明による装置は、以下の層:
a)基礎層内又は基礎層に配置された少なくとも1つの電極を有する基礎層、
b)以下の層構造を有する層:
b1)-合成樹脂層並びに
-メリヤスから成る層及び
-合成樹脂層
又は
b2)-メリヤスから成る層及び
-合成樹脂層
又は
b3)-合成樹脂層及び
-メリヤスから成る層
を有する構造を備えている。
【0010】
本発明による電極ユニットでは、層a)及びb)が互いに固結されている。これは、層a)が層b1)と、又は層a)が層b2)と、又は層a)が層b3)と固結されることを意味している。有利には、層b1)又は層b2)又は層b3)も同様に互いに固結されている。
【0011】
本発明による構造によって、層b)がメリヤスから成る層を備えることが保証されている。これにより、別の層を有する基礎層がしばしばその基本形状において変化しても、例えば曲げられ、座屈され、延伸され、圧縮されるなどしても当該層構造は安定したままである。
【0012】
本発明による装置は、例えば、電気刺激のためのスーツに配置されることが可能である。当該スーツは、有利には少なくとも1つの電極ユニットを含んでいる。少なくとも1つの電極ユニットは、スーツにおける配置に応じて、多少強くねじられ、又は延伸され、又は圧縮され、又は他の態様で負荷を受ける。少なくとも1つの合成樹脂層を有するメリヤスから成る層での電極ユニットの構成により、電極ユニットは、大きな機械的な負荷においても、長い使用期間にわたっても安定的かつ機能可能に維持される。
【0013】
本発明の有利な一実施形態によれば、電極は基礎層へ縫い込まれている。縫い込みは、電極が所望の形態で基礎層に配置されることができるという利点を有している。当該縫い込まれた電極は、非常に長持ちする。
【0014】
本発明の有利な一実施形態によれば、電極は、導電性の糸で基礎層へ縫い込まれる。有利には、導電性の糸は、基礎層の表面においてのみ縫い込まれる。このとき、当該糸は、基礎層全体を貫通せずに縫われている。対向側(反対側)には、導電性の保持糸が配置されることはない。しかし、基本的には、導電性の糸を基礎層全体を貫通して配置することも可能である。
【0015】
別の有利な実施形態によれば、基礎層における少なくとも1つの電極は、プリント、縫製、接着及び/又は挿入及び固定によっても、基礎層内に、又は基礎層に配置されることが可能である。
【0016】
有利には、電極は、基礎層の一方側においてのみ配置される。すなわち、基礎層は、一方側で導電性の電極を備えている。他の側では、基礎層は導電性でないか、又はわずかな規模でのみ導電性を有している。
【0017】
本発明の特に好ましい実施形態によれば、少なくとも1つの電極は、あらかじめ製造された基礎層内に、又は当該基礎層に配置されるようになっている。当該実施形態は、電極が電極ユニットのあらかじめ製造された基礎層において適宜の形状で縫い合わされることが可能である。基礎層自体は、完全に製造されている。つづいて、少なくとも1つの電極は、あらかじめ製造された基礎層内に、又は当該基礎層に配置される。例えば所定の身体範囲への電極の適合が必要であれば、これを縫い過程において設定することができる。
【0018】
基礎層の製造時に初めから既に電極ユニット全体のデザインを設定する必要はない。電極ユニットの製造時に初めて基礎層における最終的な形状が設定される。このようにして、異なるデザインを有する電極ユニットを安価に製造することが可能である。
【0019】
少なくとも1つの電極は、有利には少なくとも1つの導電性の糸から形成される。複数の電極を糸又は糸ストランドで製造することが可能である。そして、当該電極は、直列に接続される。1つ又は複数の電極をそれぞれ1つの導電性の糸から製造することも可能である。この場合、1つ又は複数の電極を並列に接続することが可能である。電極は、個別に、又は共に若しくはグループで作動可能(制御可能)に形成されることが可能である。
【0020】
本発明の別の有利な一実施形態によれば、少なくとも1つの合成樹脂層が導電性に形成されるようになっている。これにより、合成樹脂層を介して電流伝達を行うことが可能である。
【0021】
本発明の別の有利な一実施形態によれば、少なくとも1つの合成樹脂層が熱可塑性の材料及び/又は熱可塑性のエラストマ及び/又は導電性のシリコンで形成されるようになっている。
【0022】
当該材料は、特にフレキシブルであるとともに、スーツ又は圧迫帯又はこれらに類するものと共に変形されることが可能である。さらに、フレキシビリティは、非常に長い期間にわたって保持される。
【0023】
本発明の別の有利な一実施形態によれば、少なくとも1つの合成樹脂層が導電性の粒子を有するようになっている。これにより、少なくとも1つの合成樹脂層も同様に導電性を有している。合成樹脂層により、本発明による装置のユーザ、例えば患者又はスポーツ選手は、より早期に発汗することとなる。汗により形成される湿気により導電性が高まる。
【0024】
層b1)、b2)又はb3)全体に配置された合成樹脂層は、導電性の粒子を有することが可能である。しかし、層b1)、b2)又はb3)に配置された合成樹脂層の一部のみが導電性の粒子を有することも可能である。
【0025】
導電性の粒子は、有利には均等に、又は少なくともほぼ均等に少なくとも1つの合成樹脂層に配置されている。
【0026】
本発明の別の有利な一実施形態によれば、導電性の粒子は銀及び/又はグラファイトで構成されるようになっている。当該粒子は、容易に合成樹脂層へ入れ込まれることができるとともに、少なくとも1つの合成樹脂層の導電性を向上させる。
【0027】
本発明の別の有利な一実施形態は、基礎層がフリースで構成されるようになっている。しかし、他の材料を基礎層に用いることも可能である。電極ユニットは例えば熱プレス方法によって製造されるため、基礎層は、耐熱性を有するべきである。基礎層は、熱プレス方法において過剰に圧縮されるべきではない。
【0028】
本発明の別の有利な一実施形態は、少なくとも1つの合成樹脂層がポリウレタンフィルムとして形成されるようになっている。ポリウレタンフィルムは、特に安価に製造可能である。さらに、ポリウレタンフィルムには導電性の粒子を良好かつ単純に配置することが可能である。
【0029】
本発明の特に好ましい一実施形態は、メリヤスから成る少なくとも1つの合成樹脂層が、
-ガーゼ及び/若しくは
-弾性的なガーゼ及び/若しくは
-格子状の材料及び/若しくは
-格子状の弾性材料
を有しており、並びに/又は
-ガーゼ及び/若しくは
-弾性的なガーゼ及び/若しくは
-格子状の材料及び/若しくは
-格子状の弾性材料
で形成されている。
【0030】
これは、層b1)、b2)又はb3)において、有利にはガーゼ及び/又は弾性的なガーゼ及び/又は格子状の材料及び/又は格子状の弾性材料から層が形成されていることを意味している。
【0031】
層b1)、b2)又はb3)は、ガーゼ及び/又は格子状の材料、好ましくは弾性的なガーゼ及び/又は格子状の弾性材料を有することも可能である。
【0032】
ガーゼ及び/又は格子状の材料は、好ましくは弾性的である。
【0033】
メリヤス、例えばガーゼ及び/又は格子状の材料、好ましくは弾性材料は、少なくとも1つの合成樹脂層が壊れやすくならないか、又はより大きな機械的な負荷に耐えることを保証する。メリヤスから成る当該層は、電極ユニットのフレキシビリティと同時に電極ユニットの高い安定性をもたらすため、電極ユニットは、患者又はスポーツ選手の身体部分に適合されることが可能である。身体部分又は患者若しくはスポーツ選手の身体への電極ユニットのできる限り最良な適合を保証するために、メリヤス、例えばガーゼ及び/又は格子状の材料は、有利には一方向に、しかしながら特に有利には二方向、例えばx方向及びy方向に弾性的に形成されている。
【0034】
有利には、メリヤス、例えばガーゼ又は格子状の材料はポリエステルから形成されている。当該材料は、安価であり、長持ちするとともに、メリヤスとして、例えば適当な弾性を有するガーゼ又は格子状の材料の形態で良好に形成されることが可能である。
【0035】
有利には、本発明による装置は、基礎層が、
-熱プレス方法によって互いに溶接された層として、又は
-熱プレス方法によって固着剤に固結された層として、又は
-貼り合わせによって互いに固結された層として、又は
-高周波溶接若しくは超音波溶接によって互いに固結された層として
形成されていることを特徴としている。
【0036】
上述の方法を用いて様々な層を互いに結合することは、方法を安価に実行可能であるとともに、それにもかかわらず、電極ユニットのフレキシビリティが保証されているという利点を有している。さらに、離脱不能な強固な結合が層の間に形成される。
【0037】
本発明の別の有利な一実施形態によれば、装置が基礎層と共に全体ボディスーツ又は部分ボディスーツに配置されるようになっている。全体ボディスーツは身体中央及び四肢を覆う一方、部分ボディスーツは、例えばTシャツ、プルオーバー又は一種のズボンの形態で形成されることが可能である。当該形成により、例えばスポーツ選手のために、全体ボディスーツに本発明による装置を設けることが可能であり、その結果、スポーツ中に例えば電気刺激を行うことが可能である。
【0038】
本発明の他の有利な一実施形態によれば、装置が基礎層でもって圧迫帯に配置されるようになっている。当該圧迫帯は、スポーツ活動においても同様に電気刺激を行うために、又は治療目的で電気刺激を行うために、又は例えばEKG若しくはEMGの形態でのデータを検出するために、例えばスポーツ選手又は患者の四肢に配置されることができる。
【0039】
本発明の別の有利な一実施形態によれば、全体ボディスーツ又は部分ボディスーツ又は圧迫帯は、
-ポリエステル及びスパンデックス又は
-ポリアミド6及びスパンデックス又は
-ポリアミド6.6及びスパンデックス又は
-ポリウレタン及びスパンデックス
で構成されている。
【0040】
全体ボディスーツ又は部分ボディスーツ又は圧迫帯のせん断運動、ねじり運動、延伸運動及び/又は圧縮運動をスポーツ選手又は患者の運動に関与させるために、全体ボディスーツ又は部分ボディスーツ又は圧迫帯がこれによりフレキシブルに構成されているため、当該材料は特に有利であり、その結果、少なくとも1つの電極を有する電極ユニットは定常的に身体と接触したままとなる。
【0041】
本発明の別の有利な一実施形態によれば、電極は、電極の10センチメートルの長さ当たり100オームより小さな、導電性についての抵抗を有している。このことは、これにより電極は大きな導電性を有しており、その結果、有効な電気刺激を行うことができるため、有利である。
【0042】
少なくとも1つの電極ユニットを有する本発明による装置の特に好ましい実施形態は、熱プレス方法において別の層と結合された、縫われた電極を用いるようになっている。
【0043】
導電性の粒子を含む合成樹脂フィルムのみが用いられれば、平坦な電極の定常的な運動により損傷が生じやすい。この理由から、例えばガーゼ又は格子状の弾性材料の形態のメリヤスを追加的に設けることが有利である。
【0044】
電極を有する基礎層も同様に有利には低オームに形成されており、これは、基礎層が有利には高い導電性及び非常にわずかな抵抗を有していることを意味している。
【0045】
有利には、メリヤス、例えばガーゼ、好ましくは弾性的なガーゼ、又は格子状の、好ましくは弾性材料は、ポリエステル又は他の材料で構成されている。有利には、ガーゼも同様に弾性的に形成されている。
【0046】
少なくとも1つの合成樹脂層は、特に有利には導電性の粒子、例えばグラファイト及び銀を含むPUフィルム(ポリウレタン)で構成されている。PUフィルムは、熱可塑性の材料又は熱可塑性のエラストマ及び導電性のシリコンで構成されることも可能である。
【0047】
スポーツ選手が全体ボディスーツ又は部分ボディスーツを装着すると、スポーツ選手は、スポーツ活動において発汗することになる。これにより、皮膚の方向に配置された基礎層には汗が混じる。湿度が高まることで、導電性も改善される。
【0048】
合成樹脂層は、有利にはメリヤス、例えばガーゼ及び/又は格子状の弾性材料に貼り合わせられる。電極ユニットを熱方法において合成樹脂フィルムに張り合わせることも可能である。
【0049】
本発明による装置が全体ボディスーツ又は部分ボディスーツに配置されれば、当該スーツは、有利には外側で導電性を有さない層、例えばポリウレタンから成る層を備えている。電極ユニットを有する本発明による装置は、例えば接着を用いた、又は熱方法を用いた、スーツへの結合部を備えることが可能である。特に有利には、合成樹脂フィルムが薄いフレキシブルな材料から形成されており、当該材料は、例えば電極の10cmの長さ当たり100オームより小さな抵抗を有する高い導電性を有している。
【0050】
例えば縫い込まれ、挿入され、又は刷り込まれる導電性の糸は、例えば特殊鋼又は銅で構成されることが可能である。
【0051】
本発明の更なる特徴及び利点は、装置の複数の実施例が図示された属する図面に基づき明らかであるが、本発明は当該実施例に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0052】
図1】電極ユニットを有する部分ボディスーツを示す図である。
図2】電極ユニットを断面において示す図である。
図3】電極ユニットの変形例を断面において示す図である。
図4】電極ユニットの変形例を断面において示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
図1には、人3の胴体2を覆う部分ボディスーツ1が示されている。四肢4~7は、部分的に部分ボディスーツ1を部分的に有さないままである。部分ボディスーツ1には電極ユニット8,9,10,11が配置されている。電極ユニット8,9は上腕範囲に配置されており、電極11は腹部範囲に配置されており、電極10は人3の心臓範囲に配置されている。さらに、人3は、四肢4において、すなわち腕において、電極ユニット13における圧迫帯12を装着している。電極ユニット8,9,11は、電気刺激のために用いられることが可能である。電極ユニット10,13は、例えばEKGのための、例えばデータ検出のために用いられることが可能である。
【0054】
図2には、スーツ1又は圧迫帯12に配置された電極ユニット8が示されている。電極ユニット8は、基礎層14で構成されている。基礎層14では、2つの電極16,17が導電性の糸15で縫い込まれている。電流回路を形成することができるように、糸15は基礎層14の両側から現れる。電極16,17間にも同様に導電性の結合部18が糸15で製造されている。糸15は、基礎層14におけるスーツとは反対側においてのみ縫い込まれている。糸15は、非導電性の保持糸19によって基礎層14に固定されている。電極16,17が2つの糸15で形成されることが基本的には可能であり、その結果、2つの電流回路が存在する。この場合、電極16,17は、個別に作動可能(制御可能)である。
【0055】
基礎層14は、フリースで構成されているとともに、接着、熱プレス方法又はこれらに類するものを用いて、スーツ1又は圧迫帯12に固結されている。基礎層におけるスーツ1又は圧迫帯12とは反対側には、合成樹脂層20が配置されている。合成樹脂層20にはメリヤス、ここではガーゼ21から成る別の層が配置されている。さらに、別の合成樹脂層20が設けられている。
【0056】
有利には、ガーゼ21は、弾性材料で構成されている。ガーゼは、ポリエステル又は他の材料で構成されることが可能である。
【0057】
有利には、合成樹脂フィルム20,22は、ポリウレタンフィルムとして形成されている。合成樹脂層20,21では、1つの層に、又は他の層に、又は両方の層に、例えばグラファイト又は銀(不図示)のような導電性の粒子を配置することが可能である。合成樹脂層20,22は、熱可塑性の材料又は熱可塑性のエラストマ、導電性のシリコンで構成されることも可能である。
【0058】
層14,20,21,22は、熱プレス方法において互いに固結されることが可能である。上述の全ての層1(12,14,20,21,22)は、互いに固結されている。
【0059】
図2には、請求項1において層構造b1)で記載されるような層の構造が示されている。
【0060】
図3では、図2と同一の部材には同一の符号が付されている。電極ユニット8は、縫い込まれた電極16,17を有する基礎層14で構成されている。基礎層14では、スーツ1あるいは圧迫帯12とは反対側にガーゼ21が配置されている。さらに、合成樹脂層22が設けられている。当該構造は、請求項1の構造b2)に対応している。材料は、図2について説明した材料である。
【0061】
図4には、別の可能な構造が示されている。図2及び図3と同様の部材には同一の符号が付されている。スーツ1あるいは圧迫帯12には、電極16,17を有する基礎層14が配置されている。基礎層14におけるスーツ1又は圧迫帯12とは反対側には、合成樹脂層20が配置されている。合成樹脂層20にはガーゼ21が配置されている。当該構造は、請求項1の構造b3)に対応している。
【0062】
基礎層14は、フリース、メリヤス、ニット又はこれらに類するもので構成されることが可能である。有利には、電極16,17が基礎層14へ縫い込まれている。しかしながら、当該電極は、プリントされ、挿入され、固着され、又はこれらに類するようにされることが可能である。
【0063】
少なくとも1つの合成樹脂層20,22及びガーゼ21を有する、スーツ又は圧迫帯とは反対へ向いた側における基礎層における層構造の配置により、フレキシブルな電極ユニット8が形成され、当該電極ユニットは、反復されるせん断力及び/又はねじり力及び/又は延伸及び/又は圧縮を伴う長い使用によっても長持ちする。
なお、本発明は、以下の態様も包含し得る:
1.電気刺激のための、又は診断機器のデータ検出のための、少なくとも1つの電極ユニットを有する装置において、
電極ユニット(8,9,10,11,13)が、以下の層:
a)基礎層内又は基礎層に配置された少なくとも1つの電極(16,17)を有する基礎層(14)、
b)以下の層構造を有する層:
b1)-合成樹脂層(20)並びに
-メリヤスから成る層(21)及び
-合成樹脂層(22)
又は
b2)-メリヤスから成る層(21)及び
-合成樹脂層(22)
又は
b3)-合成樹脂層(20)及び
-メリヤスから成る層(21)
を備えていること、並びに
層a)及びb)(14,20,21,22)が互いに固結されていること
を特徴とする装置。
2.電極(16,17)が、縫い込み、プリント、縫製、接着及び/又は挿入及び固定によって、基礎層(14)内に、又は基礎層(14)に配置されていることを特徴とする上記1.に記載の装置。
3.電極(16,17)が、あらかじめ製造された基礎層(14)内に、又は当該基礎層(14)に配置されていることを特徴とする上記1.又は2.に記載の装置。
4.少なくとも1つの合成樹脂層(20,22)が導電性に形成されていることを特徴とする上記1.~3.のいずれか1つに記載の装置。
5.少なくとも1つの合成樹脂層(20,22)が熱可塑性の材料及び/又は熱可塑性のエラストマ及び/又は導電性のシリコンで形成されていることを特徴とする上記1.~4.のいずれか1つに記載の装置。
6.少なくとも1つの合成樹脂層(20,22)が導電性の粒子を有していることを特徴とする上記1.~5.のいずれか1つに記載の装置。
7.導電性の粒子が銀及び/又はグラファイトで構成されていることを特徴とする上記6.に記載の装置。
8.基礎層がフリースで構成されていることを特徴とする上記1.~7.のいずれか1つに記載の装置。
9.少なくとも1つの合成樹脂層(20,22)がポリウレタンフィルムとして形成されていることを特徴とする上記1.~8.のいずれか1つに記載の装置。
10.層がポリエステルから成るメリヤスで形成されていることを特徴とする上記1.に記載の装置。
11.メリヤスから成る少なくとも1つの合成樹脂層(21)が、
-ガーゼ及び/若しくは
-弾性的なガーゼ及び/若しくは
-格子状の材料及び/若しくは
-格子状の弾性材料
を有しているか、又は
-ガーゼ及び/若しくは
-弾性的なガーゼ及び/若しくは
-格子状の材料及び/若しくは
-格子状の弾性材料
で形成されていること
を特徴とする上記1.~10.のいずれか1つに記載の装置。
12.層(14,20,21,22)が、
-熱プレス方法によって互いに溶接された層(14,20,21,22)として、又は
-熱プレス方法によって固着剤に固結された層(14,20,21,22)として、又は-貼り合わせによって互いに固結された層(14,20,21,22)として、又は
-高周波溶接若しくは超音波溶接によって互いに固結された層(14,20,21,22)として
形成されていることを特徴とする上記1.~11.のいずれか1つに記載の装置。
13.装置が基礎層(14)でもって全体ボディスーツ又は部分ボディスーツ(1)又は圧迫帯(12)に配置されていることを特徴とする上記1.~12.のいずれか1つに記載の装置。
14.全体ボディスーツ又は部分ボディスーツ(1)又は圧迫帯(12)が、
-ポリエステル及びスパンデックス又は
-ポリアミド6及びスパンデックス又は
-ポリアミド6.6及びスパンデックス又は
-ポリウレタン及びスパンデックス
で構成されていることを特徴とする上記13.に記載の装置。
【符号の説明】
【0064】
1 部分ボディスーツ
2 胴体
3 人
4 四肢(腕)
5 四肢(腕)
6 四肢(脚)
7 四肢(脚)
8 電極ユニット
9 電極ユニット
10 電極ユニット
11 電極ユニット
12 圧迫帯
13 電極ユニット
14 基礎層
15 導電性の糸
16 電極
17 電極
18 導電性の結合部
19 保持糸
20 合成樹脂層
21 ガーゼ
22 合成樹脂層
図1
図2
図3
図4