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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-29
(45)【発行日】2024-03-08
(54)【発明の名称】車用のホイール
(51)【国際特許分類】
   B60B 7/00 20060101AFI20240301BHJP
   B60B 15/00 20060101ALI20240301BHJP
   B63H 1/04 20060101ALI20240301BHJP
   B60F 3/00 20060101ALI20240301BHJP
【FI】
B60B7/00 N
B60B15/00 H
B63H1/04
B60F3/00 A
【請求項の数】 24
(21)【出願番号】P 2022124988
(22)【出願日】2022-08-04
(65)【公開番号】P2024021854
(43)【公開日】2024-02-16
【審査請求日】2023-01-24
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】501408628
【氏名又は名称】永岡 慎二
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100159385
【弁理士】
【氏名又は名称】甲斐 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100163407
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100166936
【弁理士】
【氏名又は名称】稲本 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100174883
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 雅己
(74)【代理人】
【識別番号】100189429
【弁理士】
【氏名又は名称】保田 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100213849
【弁理士】
【氏名又は名称】澄川 広司
(72)【発明者】
【氏名】永岡 慎二
【審査官】浅野 麻木
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-008095(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108357644(CN,A)
【文献】実開昭60-072701(JP,U)
【文献】中国実用新案第210034776(CN,U)
【文献】中国実用新案第204161016(CN,U)
【文献】中国実用新案第203844974(CN,U)
【文献】米国特許第05782480(US,A)
【文献】特表2008-517818(JP,A)
【文献】中国実用新案第204567178(CN,U)
【文献】特開平06-280842(JP,A)
【文献】実開昭57-037002(JP,U)
【文献】登録実用新案第3060378(JP,U)
【文献】実開昭49-070608(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60B 7/00
B60B 15/00
B63H 1/04
B60F 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車本体の駆動輪用の駆動軸の端部に設けられたハブに取り付けられるホイール部と、前記ホイール部に離脱可能に取り付けられるホイールカバー部と、前記ホイールカバー部を前記ホイール部に離脱可能に固定する脱着機構部とを備え、
前記ホイールカバー部は、前記ホイール部の軸心方向に厚みを有するドラム形であって、外周面部に凹状の複数の水掻き部を備え、
前記脱着機構部は、前記ホイール部に設けられた複数の嵌合凹部と、前記複数の嵌合凹部と嵌合可能なように前記ホイールカバー部に設けられた複数の嵌合凸部と、前記複数の嵌合凹部と前記複数の嵌合凸部との嵌合を離脱可能に固定する固定部とを有し、
前記固定部は、前記軸心上の前記ホイール部に設けられた中心ネジ孔部と、前記軸心上の前記ホイールカバー部に設けられた中心孔と、前記中心孔を通じて前記中心ネジ孔部に螺合する中心ボルト部材と、前記中心ネジ孔部に螺合した前記中心ボルト部材の緩み止めをするストッパネジとを有する車用のホイール。
【請求項2】
前記中心ボルト部材は、ボルト頭部に設けられたハンドル部を有し、
前記固定部は、前記ホイールカバー部における前記中心孔の近傍に設けられたネジ孔と、前記ハンドル部を前記軸心と平行な方向に貫通する挿通孔とをさらに有し、
前記ストッパネジは、前記挿通孔を挿通し前記ネジ孔に螺合可能である、請求項1に記載のホイール。
【請求項3】
前記複数の嵌合凸部のうちの1つの嵌合凸部は、径方向の内方から外方に向かって突出した突出部を有し、
前記複数の嵌合凹部のうちの1つの嵌合凹部は、前記1つの嵌合凸部の前記突出部を受け入れ可能なように径方向の内方に向かって開放するフック形の係止凹部を有する、請求項1に記載のホイール。
【請求項4】
前記複数の嵌合凹部のうちの他の嵌合凹部は、前記複数の嵌合凸部のうちの他の嵌合凸部を受け入れ可能なように前記軸心と平行な方向に開放している、請求項3に記載のホイール。
【請求項5】
前記突出部を前記係止凹部に係止した状態で前記他の嵌合凸部を前記他の嵌合凹部に嵌め込み可能である、請求項4に記載のホイール。
【請求項6】
前記固定部は、前記他の嵌合凹部と嵌合した前記他の嵌合凸部を前記ホイール部に固定するためのボルト部材と、前記他の嵌合凹部の近傍に設けられて前記ボルト部材を支持するボルト支持部と、前記ボルト支持部に設けられた前記ボルト部材を挿通させる第1挿通部と、前記他の嵌合凸部に設けられた前記ボルト部材を挿通させる第2挿通部とを有し、
前記第1挿通部と前記第2挿通部のうちの少なくとも一方が前記ボルト部材と螺合可能なネジ孔を有する、請求項4に記載のホイール。
【請求項7】
前記複数の嵌合凹部は、前記軸心へ向く前記軸心の垂直方向に開放して前記複数の嵌合凸部を受け入れ可能である、請求項1に記載のホイール。
【請求項8】
前記複数の嵌合凹部は、前記軸心方向から見てそれぞれU字形である、請求項1に記載のホイール。
【請求項9】
前記複数の嵌合凹部は、前記複数の嵌合凸部を前記軸心に対する径方向および周方向に位置決め可能である、請求項1に記載のホイール。
【請求項10】
前記水掻き部は、径方向の外方へ突出するように設けられた複数の水掻き片を有してなる、請求項1~のいずれか1つに記載のホイール。
【請求項11】
車本体の駆動輪用の駆動軸の端部に設けられたハブに取り付けられるホイール部と、前記ホイール部に離脱可能に取り付けられるホイールカバー部と、前記ホイールカバー部を前記ホイール部に離脱可能に固定する脱着機構部とを備え、
前記ホイールカバー部は、前記ホイール部の軸心方向に厚みを有するドラム形であって、外周面部に凹状の複数の水掻き部を備え、
前記脱着機構部は、前記ホイール部に設けられた複数の嵌合凹部と、前記複数の嵌合凹部と嵌合可能なように前記ホイールカバー部に設けられた複数の嵌合凸部と、前記複数の嵌合凹部と前記複数の嵌合凸部との嵌合を離脱可能に固定する固定部とを有し、
前記複数の嵌合凸部のうちの1つの嵌合凸部は、径方向の内方から外方に向かって突出した突出部を有し、
前記複数の嵌合凹部のうちの1つの嵌合凹部は、前記1つの嵌合凸部の前記突出部を受け入れ可能なように径方向の内方に向かって開放するフック形の係止凹部を有し、
前記複数の嵌合凹部のうちの他の嵌合凹部は、前記複数の嵌合凸部のうちの他の嵌合凸部を受け入れ可能なように前記軸心と平行な方向に開放している車用のホイール。
【請求項12】
前記突出部を前記係止凹部に係止した状態で前記他の嵌合凸部を前記他の嵌合凹部に嵌め込み可能である、請求項11に記載のホイール。
【請求項13】
前記固定部は、前記他の嵌合凹部と嵌合した前記他の嵌合凸部を前記ホイール部に固定するためのボルト部材と、前記他の嵌合凹部の近傍に設けられて前記ボルト部材を支持するボルト支持部と、前記ボルト支持部に設けられた前記ボルト部材を挿通させる第1挿通部と、前記他の嵌合凸部に設けられた前記ボルト部材を挿通させる第2挿通部とを有し、
前記第1挿通部と前記第2挿通部のうちの少なくとも一方が前記ボルト部材と螺合可能なネジ孔を有する、請求項11に記載のホイール。
【請求項14】
前記固定部は、前記軸心上の前記ホイール部に設けられた中心ネジ孔部と、前記軸心上の前記ホイールカバー部に設けられた中心孔と、前記中心孔を通じて前記中心ネジ孔部に螺合する中心ボルト部材と、前記中心ネジ孔部に螺合した前記中心ボルト部材の緩み止めをするストッパネジとを有し、
前記中心ボルト部材は、ボルト頭部に設けられたハンドル部を有し、
前記固定部は、前記ホイールカバー部における前記中心孔の近傍に設けられたネジ孔と、前記ハンドル部を前記軸心と平行な方向に貫通する挿通孔とをさらに有し、
前記ストッパネジは、前記挿通孔を挿通し前記ネジ孔に螺合可能である、請求項11に記載のホイール。
【請求項15】
前記複数の嵌合凹部は、前記軸心へ向く前記軸心の垂直方向に開放して前記複数の嵌合凸部を受け入れ可能である、請求項11に記載のホイール。
【請求項16】
前記複数の嵌合凹部は、前記軸心方向から見てそれぞれU字形である、請求項11に記載のホイール。
【請求項17】
前記複数の嵌合凹部は、前記複数の嵌合凸部を前記軸心に対する径方向および周方向に位置決め可能である、請求項11に記載のホイール。
【請求項18】
車本体の駆動輪用の駆動軸の端部に設けられたハブに取り付けられるホイール部と、前記ホイール部に離脱可能に取り付けられるホイールカバー部と、前記ホイールカバー部を前記ホイール部に離脱可能に固定する脱着機構部とを備え、
前記ホイールカバー部は、前記ホイール部の軸心方向に厚みを有するドラム形であって、外周面部に凹状の複数の水掻き部を備え、
前記脱着機構部は、前記ホイール部に設けられた複数の嵌合凹部と、前記複数の嵌合凹部と嵌合可能なように前記ホイールカバー部に設けられた複数の嵌合凸部と、前記複数の嵌合凹部と前記複数の嵌合凸部との嵌合を離脱可能に固定する固定部とを有し、
前記複数の嵌合凹部は、前記軸心へ向く前記軸心の垂直方向に開放して前記複数の嵌合凸部を受け入れ可能であり、
前記固定部は、前記軸心上の前記ホイール部に設けられた中心ネジ孔部と、前記軸心上の前記ホイールカバー部に設けられた中心孔と、前記中心孔を通じて前記中心ネジ孔部に螺合する中心ボルト部材と、前記中心ネジ孔部に螺合した前記中心ボルト部材の緩み止めをするストッパネジとを有し、
前記中心ボルト部材は、ボルト頭部に設けられたハンドル部を有し、
前記固定部は、前記ホイールカバー部における前記中心孔の近傍に設けられたネジ孔と、前記ハンドル部を前記軸心と平行な方向に貫通する挿通孔とをさらに有し、
前記ストッパネジは、前記挿通孔を挿通し前記ネジ孔に螺合可能である車用のホイール。
【請求項19】
前記複数の嵌合凹部は、前記軸心方向から見てそれぞれU字形である、請求項18に記載のホイール。
【請求項20】
前記複数の嵌合凹部は、前記複数の嵌合凸部を前記軸心に対する径方向および周方向に位置決め可能である、請求項18に記載のホイール。
【請求項21】
前記複数の嵌合凸部のうちの1つの嵌合凸部は、径方向の内方から外方に向かって突出した突出部を有し、
前記複数の嵌合凹部のうちの1つの嵌合凹部は、前記1つの嵌合凸部の前記突出部を受け入れ可能なように径方向の内方に向かって開放するフック形の係止凹部を有する、請求項18に記載のホイール。
【請求項22】
前記複数の嵌合凹部のうちの他の嵌合凹部は、前記複数の嵌合凸部のうちの他の嵌合凸部を受け入れ可能なように前記軸心と平行な方向に開放している、請求項21に記載のホイール。
【請求項23】
前記突出部を前記係止凹部に係止した状態で前記複数の嵌合凸部のうちの他の嵌合凸部を、前記複数の嵌合凹部のうちの他の嵌合凹部に嵌め込み可能である、請求項22に記載のホイール。
【請求項24】
前記固定部は、前記他の嵌合凹部と嵌合した前記他の嵌合凸部を前記ホイール部に固定するためのボルト部材と、前記他の嵌合凹部の近傍に設けられて前記ボルト部材を支持するボルト支持部と、前記ボルト支持部に設けられた前記ボルト部材を挿通させる第1挿通部と、前記他の嵌合凸部に設けられた前記ボルト部材を挿通させる第2挿通部とを有し、
前記第1挿通部と前記第2挿通部のうちの少なくとも一方が前記ボルト部材と螺合可能なネジ孔を有する、請求項22に記載のホイール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車用のホイールに関する。
【背景技術】
【0002】
水上移動時に車輪(駆動輪)を回転させることによって推進力を得る機構(以下、推力発生機構という)を備えた車として、例えば、特許文献1と2が挙げられる。
【0003】
特許文献1に記載の車の推力発生機構は、左右の後輪ホイール(駆動輪ホイール)に取り付けられた一対の水掻き部材からなる。この水掻き部材は、円盤形の水掻き止め板と、水掻き止め板の一面(外面)に周方向等間隔で設けられた複数の水掻き板(水掻き羽根)とを有する。複数の水掻き板は、水掻き止め板の回転中心部を中心として放射状に配置されており、水掻き部材の外径はタイヤの内径よりも大きくなっている。左右の後輪ホイールの回転中心部の周囲には複数のボルト挿通孔が設けられており、水掻き止め板の回転中心部の周囲にも同じ複数のボルト挿通孔が周方向に等間隔で設けられている。左右の後輪ハブの複数の固定用ボルトを、左右の後輪ホイールおよび左右の水掻き部材の各ボルト挿通孔に挿通させ、各固定用ボルトの先端にナットを螺着させて締め付けることにより、左右の水掻き部材が左右の後輪ホイールに固定される。
【0004】
特許文献2に記載の車の推力発生機構は、左右の駆動輪ホイールの左右の外側部に周方向等間隔で複数の水掻き羽根が一体状に設けられることにより構成されている。言い換えると、左右の駆動輪ホイールの複数のスポークの一部が左右外側に突出して複数の水掻き羽根を構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2002-211223号公報
【文献】特開2016-210261号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の推力発生機構の場合、車が前進する方向に水掻き部材が回転すると、水掻き部材の外周部では推進力を得るために水を掻くが、水掻き部材の回転中心部側では推進にほとんど寄与しない渦流を発生させるため、効率よく推進力を得ることが難しい。
特許文献2の車の推力発生機構の場合、左右の駆動輪ホイールの複数の水掻き羽根は軸心方向外側へ突出しているが、その突出量はフェンダーよりも外側に突出しない程度とされている。つまり、複数の水掻き羽根の軸心方向外側への突出量は僅かである。そのため、車が前進する方向に駆動輪ホイールが回転しても十分な推進力を得にくい。それに加え、複数の水掻き羽根の回転軸心側では推進にほとんど寄与しない渦流を発生させるため、効率よく推進力を得ることが難しい。
【0007】
本発明は、以上のような事情を考慮してなされた車用のホイールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、車用のホイールが提供される。この車用のホイールは、車本体の駆動輪用の駆動軸の端部に設けられたハブに取り付けられるホイール部と、前記ホイール部に離脱可能に取り付けられるホイールカバー部とを備え、前記ホイールカバー部は、前記ホイール部の軸心方向に厚みを有するドラム形であって、外周面部に複数の凹状の水掻き部を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明による車用のホイールは、ホイールが水に浸かった状態で車を前進させる方向にホイール部と共にドラム形のホイールカバー部を回転させることによって、ホイールカバー部に設けた水掻き部が回転し水を掻いて推進力を得ることができる。例えば、オフロード車に装着されそのオフロード車が沼や川の中を走行中にホイールがスリップした場合に、水に浸かった水掻き部の回転によって推進力が得られる。ホイールカバー部はドラム形の構造を有しているので、例えば川の中を走行中に川辺の岩石に接触しても水掻き部が壊れにくい。また、水上を進む水陸両用車に装着された場合に、水掻き部の回転で推進力を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1実施形態のホイールを備えた車の左側面図である。
図2】第1実施形態のホイール(左前輪)の斜視図である。
図3】第1実施形態のホイールを回転軸心に沿って切断した縦断面図である。
図4】ホイールを分解した図3対応図である。
図5】第1実施形態のホイールにおけるホイール部の外側面を示す外観図である。
図6】第1実施形態のホイール(左前輪)の斜視図である。
図7】第1実施形態のホイールを備えた車の一部が水中に浸かった状態で前進する様子を示す説明図である。
図8】第1実施形態のホイール部にホイールカバー部を取り付ける第1の手順を説明する縦断面図である。
図9】第1実施形態のホイール部にホイールカバー部を取り付ける第2の手順を説明する縦断面図である。
図10】第1実施形態のホイールにおけるホイールカバー部の内側面を示す外観図である。
図11】第2実施形態のホイールを回転軸心に沿って切断した縦断面図である。
図12】第2実施形態のホイール部にホイールカバー部を取り付ける手順を説明する縦断面図である。
図13】第2実施形態のホイールにおけるホイール部の外側面を示す外観図である。
図14】第2実施形態のホイールにおけるホイールカバー部の内側面を示す外観図である。
図15】第3実施形態のホイールを回転軸心に沿って切断した縦断面図である。
図16】第3実施形態のホイール部にホイールカバー部を取り付ける手順を説明する縦断面図である。
図17】第4実施形態のホイールを備えた車の一部が水中に浸かった状態で前進する様子を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を用いてこの発明をさらに詳述する。なお、以下の説明は、すべての点で例示であって、この発明を限定するものと解されるべきではない。
【0012】
(第1実施形態)
図1は本発明の第1実施形態のホイールを備えた車の左側面図である。図2は第1実施形態のホイール(左後輪)の斜視図である。図2において、矢印Aは車Cが前進するときのホイール1の回転方向を示している。
図1では、この発明に係る車の一態様として4輪駆動式(全輪駆動式)のオフロード車である車Cを例示している。なお、符号Gは地面、符号Cfは車Cのフェンダーを表している。
車Cは、前後左右合せて4つの駆動輪用の駆動軸の端部に複数の固定用ボルト91を有するハブ90を備えている。
車Cの左右の前輪と左右の後輪に図2に示すホイール1が取り付けられている。
【0013】
図2に示すように、ホイール1は、ホイール部10と、ホイールカバー部30と、脱着機構部50と、タイヤ70とを備える。
タイヤ70はホイール部10に取り付けられている。また、ホイールカバー部30は、着脱機構構部50を介してホイール部10に離脱可能に取り付けられている。ホイールカバー部は、図2にホイール1の回転軸心Pで示す駆動軸の方向に厚みDhを有する略ドラム形状を有している。
【0014】
ホイールカバー部30は、軸心P方向における一方の側が着脱機構構部50を介してホイール部10に固定される略円板状の内側面部31(図1では外周面部33に隠れている)を有し、他方の側に略円板状の外側面部32を有する。さらに、内側面部31の外周と外側面部32の外周との間に外周面部33を有する。外周面部33には、周に沿う方向に複数の水掻き部34が形成されている。図1に示すように水掻き部34は、外周面部33から凹んだ第1面34aaと第2面34abとを含んでおり、外周の方向において外周面33、水掻き部34の第1面33aaおよび第2面34abが連続して山部と谷部が繰り返す形状をしている。
以上のように、ホイールカバー部30は、内側面部31、外側面部32および外周面部33からなる略ドラム形状のものであり、外周面部33に複数の水掻き部34が形成されて軸心Pを中心に回転する水車のような形をしている。
【0015】
本実施形態のホイール1の使用に好適な車Cとして図1に示すオフロード車が挙げられるが、車種はオフロード車に限定されるものではない。また、陸上を走る車だけでなく水陸両用車のホイールにも適用できる。これらの車のパワーユニット(動力発生装置)は特に限定されず、例えば電動式であっても内燃機関式であってもよい。
【0016】
図3は第1実施形態のホイールを回転軸心に沿って切断した縦断面図である。図3において、符号Gは地面、符号Cfは車Cのフェンダーを表している。
図4はホイールを分解した図3対応図である。
図3図4に示すように、ホイール部10は、車のハブ(ホイールハブ)90に取り付けられる。ホイールカバー部30は、ホイール部10の軸心P方向におけるハブ90とは反対側の外側部に離脱可能に取り付けられる。ハブ90には、軸心Pを中心とする同一円上に4本の固定用ボルト(ハブボルト)91が等間隔で設けられている。4本の固定用ボルト91は、ハブ90の端面90aから軸心P方向に(外方に)突出している。ハブ90にホイール1のホイール部10およびホイールカバー部30が取り付けられた状態において、ハブ90の軸心Pとホイール1の軸心(ホイール部10の軸心およびホイールカバー部30の軸心)とは概ね一致する。
【0017】
〈ホイール部〉
図3図4に示すように、タイヤ70は、圧縮空気を内部に充填してホイール部10を支持する一般的なタイヤ、主としてチューブレスタイヤであるが、チューブタイヤであってもよい。
ホイール部10は、軸心Pを中心とする円盤部12と、円盤部12の外周端に沿って連設されてハブ90側に突出する短筒形の外周部13と、円盤部12のハブ90と対向する内側面12aに軸心Pを中心として設けられた円盤形の厚肉部14とを有する。
【0018】
図3に示すように、外周部13には径方向外方へ突出する一対の円環状のリム13aが設けられており、一対のリム13aの間にタイヤ70が取り付けられている。
図5は第1実施形態のホイールにおけるホイール部の外側面(ハブ90に取り付けられる内側面と反対側の面)を示す外観図である。
図3図5に示すように、円盤部12および厚肉部14には、軸心Pを中心とする同一円上に、ハブ90の4本の固定用ボルト91を挿通させる4つのボルト挿通孔16が設けられている。ホイール部10の4つのボルト挿通孔16に挿通させたハブ90の4本の固定用ボルト91には、それぞれワッシャを介してナット部材60が螺着され、これにより図3に示すようにホイール部10がハブ90に取り付けられる。さらに、円盤部12の軸心Pを貫通して厚肉部14の所定の深さにまで達する中心ネジ孔部56aが設けられている。
【0019】
図4図5に示すように、ホイール部10の円盤部12の内側面12aと反対側の外側面12bには、後述の脱着機構部50が設けられている。
ホイール部10は、金属製であり、鋳造、鍛造または削り出し加工等によって一体形成されてもよく、あるいは各部分(円盤部12、外周部13、厚肉部14を溶接一体化して形成してもよい。
【0020】
〈ホイールカバー部〉
図6は第1実施形態のホイール(左後輪)の斜視図である。
図6図3に示すように、ホイールカバー部30は、ホイール部10の外側面12bと対向する円形の内側面部31と、内側面部31と反対側の円形の外側面部32と、内側面部31の外周と外側面部32の外周との間の外周面部33と、外周面部33に設けられた複数の水掻き部34とを有し、ハブ90と共通の軸心Pを中心として回転する水車形に形成されている。ホイールカバー部30の外径は、タイヤ70の外径よりも小さく、ホイール部10の外径とほぼ等しい。本実施形態の場合、ホイールカバー部30は、樹脂成型品またはゴム成型品であり、密閉された内部空間部35を有している。ホイールカバー部30は金属製であってもよく、樹脂、ゴム、金属の複合材料から形成されてもよい。
【0021】
図7は第1実施形態のホイールを備えた車の一部が水中に浸かった状態で前進する様子を示す説明図である。
図6図7に示すように、本実施形態の場合、水掻き部34は、軸心方向Pから見て、軸心Pを中心とする放射線上に設けられた第1面34aaと、軸心Pを中心とする円の接線と概ね平行な第2面34abとを有してなる凹部であり、ホイールカバー部30の外周面部32に複数設けられている。左のホイールカバー部30の場合、水掻き部34において、第1面34aaは、前進の回転方向(矢印A方向)を前方とすると水掻き部34の後方に位置し、第2面34abは水掻き部34の前方に位置するように丸のこ刃状に並んでいる。右のホイールカバー部の場合(不図示)も、水掻き部の第1面は前進の回転方向を前方とすると水掻き部の後方に位置し、第2面は前方に位置するように丸のこ刃状に並んでいる。このように複数の水掻き部34が周方向に丸のこ刃状に並ぶことにより、ホイール1の前進時の回転(矢印A方向の回転)によって水掻き部34による車Cの前方への推進力を得やすくなる。これについて詳しくは後述する。
【0022】
本実施形態において、ホイール部10については左用と右用の区別はないが、ホイールカバー部30については左用と右用で区別される。つまり、左用のホイール部10と右用のホイール部とはそれらの水掻き部34の向き(丸のこ刃の向き)が逆となる。よって、左用のホイールカバー部30は左のホイール部10に装着し、右用のホイールカバー部は右のホイール部に装着することが適切である。
【0023】
図8は第1実施形態のホイール部にホイールカバー部を取り付ける第1の手順を説明する縦断面図である。図9は第1実施形態のホイール部にホイールカバー部を取り付ける第2の手順を説明する縦断面図である。
図8図9に示すように、ホイールカバー部30は、内側面部31から外側面部32まで貫通する中心孔56bを軸心P上に有している。さらに、ホイールカバー部30の外側面部32における中心孔56bの近傍位置には、後述するストッパネジ56e(図3参照)を螺着させる有底状のネジ孔56dが設けられている。
【0024】
〈脱着機構部〉
図10は第1実施形態のホイールにおけるホイールカバー部のホイール部に対向する内側面を示す外観図である。
脱着機構部50は、図5に示すように、ホイール部10の外側面12bに設けられた第1嵌合部51、52と、第1嵌合部51、52と嵌合可能なように図10に示すホイールカバー部30の内側面部31に設けられた第2嵌合部53、54とを含んで構成される。第1嵌合部51とそれに対応する第2嵌合部53はそれぞれ1か所、第1嵌合部52とそれに対応する第2嵌合部54はそれぞれ3か所ある。さらに、図3に示すように、脱着機構部50は、第1嵌合部51、52と第2嵌合部53、54との嵌合を離脱可能に固定する第1固定部55および第2固定部56とを含んで構成される。
【0025】
《第1嵌合部》
図5に示すように、第1嵌合部51は、嵌合凹部51aを有し、第1嵌合部52は、第2嵌合凹部52aをそれぞれ有する。ホイール部10の外側面12bの軸心Pを中心とする放射線上に、かつ、軸心Pを中心とする同一円上にそれらの嵌合凹部51a、52aが配置されている。本実施形態の場合、各第1嵌合部51、52と各ボルト挿通孔16とは、軸心Pを中心とする同じ放射線上に配置されている。
嵌合凹部51aは、軸心Pを中心とする1つの放射線上に設けられたブロック状の第1位置決め部材51aaと、第1位置決め部材51aaの周方向両側に設けられた一対のブロック状の第2位置決め部材51abとを有する。なお、第1位置決め部材51aaと一対の第2位置決め部材51abとが互いに連結一体化して1つの部材によって嵌合凹部51aが構成されてもよい。
【0026】
第1位置決め部材51aaと一対の第2位置決め部材51abとで軸心Pに向かって開放するU字形の嵌合凹部51aが形成されている。第1位置決め部材51aaは第2嵌合部53を径方向に位置決めし、一対の第2位置決め部材51abは第2嵌合部53を周方向に位置決めする。
さらに、第1位置決め部材51aaは、ホイール部10の外側面12bと平行な支持面51aaxと、径方向の内方(軸心P)に向かって開放するフック形の係止凹部51aayとを有する(図4も併せて参照のこと)。
【0027】
図5に示すように、他の3つの嵌合凹部52aも、1つの嵌合凹部51aと同様に、軸心Pを中心とする等間隔に配置された3つの放射線上に設けられたブロック状の第1位置決め部材52aaと、第1位置決め部材52aaの周方向両側に設けられた一対のブロック状の第2位置決め部材52abとをそれぞれ有する。第1位置決め部材52aaと一対の第2位置決め部材52abとで軸心Pに向かって開放するU字形の嵌合凹部52aが形成されている。第1位置決め部材52aaは第2嵌合部54を径方向に位置決めし、一対の第2位置決め部材51abは第2嵌合部53を周方向に位置決めする。
さらに、各第1位置決め部材52aaは、ホイール部10の外側面12bと平行な支持面52aaxと、支持面52aaxに対して垂直な規制面52aayとをそれぞれ有する(図4参照)。ただし、第1位置決め部材52aaは、規制面52aayの位置に、第1位置決め部材51aaの係止凹部51aayのような凹部を有していない。その点において、嵌合凹部51aの構成は他の3つの嵌合凹部52aの構成と異なっている。
1つの嵌合凹部51aに隣接する2つの嵌合凹部52aにおいて、第2位置決め部材52abの内側角部は面取りされている(図4も併せて参照のこと)。
【0028】
4つの第1嵌合部51、52は、例えば金属からなり、ホイール部10の外側面12bに溶接、ネジ止め、接着剤による接着、ネジ止めと接着の組合せ等によって固定されている。
本実施形態の場合、ホイール部10の外側面12bにおける軸心Pを中心として中心角度90°毎に4つの第1嵌合部51、52が設けられた場合を例示した。図示しないが、各第1嵌合部51、52は、円環状に繋がった1つのリング状部材から構成されてもよい。言い換えると、軸心Pを中心とする1つのリング状部材(不図示)をホイール部10の外側面12bに設け、このリング状部材に軸心Pを中心として中心角度90°毎に4つの嵌合凹部51a、52aを設けてもよい。この場合は1つのリング状部材に4つの嵌合凹部51a、52aを含む第1嵌合部が設けられていると見なすことができる。
【0029】
図4に示すように、ホイール部10の外側面12bからの各第1位置決め部材51aa、52aaおよび各第2位置決め部材51ab、52abの高さは、ホイールカバー部30の内側面部31からの各嵌合凸部53a、54aの高さよりも高くなっている。さらに、ホイールカバー部30の内側面部31からの各嵌合凸部53a、54aの高さは、各支持面51aax、52aaxからの各第1位置決め部材51aa、52aaおよび各第2位置決め部材51ab、52abの高さよりも僅かに高くなっている。そのため、ホイールカバー部30が第1嵌合部51、52に当接しない(図3参照)。
【0030】
《第2嵌合部》
図10に示すように、第2嵌合部53、54は、ホイールカバー部30の内側面部31における軸心Pを中心とする等間隔の複数の放射線上に配置された複数の嵌合凸部53a、54aを有してなる。本実施形態の場合、4つの第2嵌合部53、54が設けられている。4つの第2嵌合部53、54は、軸心Pを中心として中心角度90°毎に周方向に設けられた4つの嵌合凸部53a、54aを有してなる。具体的に本実施形態の場合、4つの第2嵌合部53、54は、軸心Pを中心とする十字形の凸部形成部材X1の4つの端部にて構成されているため実質的には一体化されており、そのため1つの十字形の第2嵌合部に4つの嵌合凸部53a、54aが設けられていると見なすことができる。あるいは、十字形の凸部形成部材X1の4つの端部のみを残して他の部分を省略してもよく、この場合は実質的に4つの第2嵌合部53、54がホイールカバー部30の内側面部31に設けられることとなる。
【0031】
図10に示すように、十字形の凸部形成部材X1は、2本の角パイプが互いに直交した形に一体形成された金属製または樹脂製の部材であり、ホイールカバー部30の内側面部31にネジ止め、接着剤による接着、ネジ止めと接着の組合せ等によって固定されている。
4つの嵌合凸部53a、54aのうちの1つの嵌合凸部53aは、径方向の内方から外方に向かって突出した突出部53axを有している(図4参照)。この突出部53axは、ホイールカバー部30をホイール部10に装着する際に第1嵌合部51の係止凹部51aayに嵌め込んで係止させる部分である。
4つの嵌合凸部53a、54aのうちの他の3つの嵌合凸部54aは、ホイールカバー部30をホイール部10に装着する際に3つの第1嵌合部52の各嵌合凹部52aに嵌合させる部分である。そのため、4つの第1嵌合部51、52と4つの第2嵌合部53、54とは、ぐらつかない程度で互いに嵌合できる形状および寸法にて形成されている。
【0032】
《第1固定部》
図3に示すように、第1固定部55は、複数の第1嵌合部51、52(図5参照)と複数の第2嵌合部53、54(図10参照)との嵌合を維持する。図3図4に示すように、第1固定部55は、係止凹部51aayを有する1つの第1嵌合部51以外の他の第1嵌合部52(図5参照)に設けられた第1挿通部55aと、他の第1嵌合部52と嵌合する第2嵌合部54(図10参照)に設けられた第2挿通部55bと、第1挿通部55aおよび第2挿通部55bに挿入されるボルト部材55cとを有する。さらに、第1挿通部55aと第2挿通部55bのうちの少なくとも一方がボルト部材55cと螺合可能なネジ孔を有している。
【0033】
本実施形態の場合、第1挿通部55aは、係止凹部51aayを有する1つの第1嵌合部51に対して中心角度180°の位置にある他の第1嵌合部52の第1位置決め部材52aaを径方向に貫通する孔である。この第1位置決め部材52aaは第1挿通部55aを有するボルト支持部としても機能する。第2挿通部55bは、第1挿通部55aを有する第1嵌合部52と嵌合する第2嵌合部54の嵌合凸部54aの径方向外方に面する端面に設けられたネジ孔である。複数の第1嵌合部51、52と複数の第2嵌合部53、54とが嵌合すると、第1挿通部55aと第2挿通部(ネジ孔)55bとが連通する。第1固定部55は、第1挿通部55aに挿入して第2挿通部55bに螺着させるボルト部材55cをさらに有する。このボルト部材55cは、指で摘んで回すことができる蝶ボルトであることが好ましい。
【0034】
《第2固定部》
図4に示すように、第2固定部56は、ホイール部10の軸心P上に設けられた中心ネジ孔部56aと、ホイールカバー部30の軸心P上に設けられた中心孔56bと、中心孔56bを通して中心ネジ孔部56aに螺合する中心ボルト部材56c(図3参照)とを有する。
図4に示すように、中心ネジ孔部56aは、ホイール部10の円盤部12の外側面12bから厚肉部14の厚さ中間までの範囲に亘って設けられている。
図10に示すように、中心孔56bは、ホイールカバー部30および第2嵌合部53、54を構成する十字形の凸部形成部材X1の中心交差部を貫通している(図4参照)。
図3に示すように、中心ボルト部材56cは、中心ネジ孔部56aと螺合するようにボルト先端部に設けられた雄ネジ部56caと、ボルト頭部(ボルト基端部)に設けられたハンドル部56cbとを有する。
【0035】
図3図4に示すように、第2固定部56は、さらに、ホイールカバー部30の外側面部32における中心孔56bの近傍位置に設けられたネジ孔56dと、中心ボルト部材56cのハンドル部56cbを軸心P方向と平行に貫通する挿通孔56fと、挿通孔56fを挿通してネジ孔56dに螺着するストッパネジ56eとを有する。ストッパネジ56eは、指で摘んで回すことができる蝶ボルトであることが好ましい。ネジ孔56dは、軸心Pを中心とする同一円上に複数設けられてもよい。
【0036】
〈ホイールカバー部のホイール部に対する着脱について〉
本実施形態のホイール1は、図8に示すように、車C(図1参照)の地上走行時は、ホイール部10からホイールカバー部30を取り外した状態の地上走行モードに切り替えることができる。この場合、複数の第1嵌合部51、52(図5に示す第1位置決め部材51aa、52aaおよび第2位置決め部材51ab、52ab)を有するホイール部10の外側面12bが外部に露出するため、外側面12bを隠す別のホイールカバー(図示しない皿状のホイールカバー)を外側面12bに取り付けてもよい。この別のホイールカバーは、回転中心に中心ボルト部材56cを挿通可能な挿通孔を有しており、中心ボルト部材56cにてホイール部に10に取り付けることができる。
【0037】
本実施形態の場合、図1図8に示すように、車CのフェンダーCfの下端がホイール部10の複数の第1嵌合部51、52よりも所定のフェンダークリアランスL1をもって外側へ張り出していることが好ましい。言い換えると、ホイール部10の複数の第1嵌合部51、52(図5参照)はフェンダーCfの下端よりも所定のフェンダークリアランスL1をもって内側に配置されることが好ましい。そのため、この点を考慮して、ハブ90の端面90aからフェンダーCfの下端までの距離L2に応じてホイール1(特に、ホイール部10)の各部の寸法を決定することが好ましい。
【0038】
ホイール1を地上走行モードから水上走行モードに切り替える際は、まず、別のホイールカバーを取り付けている場合はそれを取り外す。次に、図8に示すように、ホイール部10にホイールカバー部30を装着する。このとき、ホイール部10の係止凹部51aayを有する1つの第1嵌合部51を下に位置させておくと装着が容易となる。装着に際して、図8に示すように、下に位置する第1嵌合部51の係止凹部51aayに、ホイールカバー部30の第2嵌合部53の突出部53axを斜め上方から嵌め込んで係止する。突出部53axを係止凹部51aayに係止した状態で、図9に示すように、ホイールカバー部30を揺動させてホイール部10側へ接近させる。すると、他の3つの第2嵌合部54の各嵌合凸部54a(図10参照)が他の3つの第1嵌合部52の各嵌合凹部52a(図5参照)に嵌り込み、かつ、1つの第2嵌合部53の嵌合凸部53a(図10参照)が1つの第1嵌合部51の嵌合凹部51a(図5参照)に嵌り込む。このとき、例えば、左用のホイールカバー部30を左のホイール部10に取り付ければ、水掻き部34の最下位置の水掻き部34の第1面34aaが後方に面するようになる(図7参照)。
【0039】
図8図9に示すように、1つの係止凹部51aayに係止した突出部53axを支点としてホイールカバー部30をホイール部10側へ揺動することによって、複数の第2嵌合部53、54の複数の嵌合凸部53a、54a(図10参照)を複数の第1嵌合部51、52の複数の嵌合凹部51a、52a(図5参照)に1ステップで迅速に嵌合することができる。さらに、第2嵌合部54の第2挿通部55bが第1嵌合部52の第1挿通部55aと連通する(図9参照)。この際、各嵌合凸部53a、54aは各嵌合凹部51a、52aの支持面51aax、52aaxに当接して支持され、ホイール部10のリム13aとホイールカバー部30の内側面部31との間には手の指を入れることができる程度のスペースSが形成される(図9参照)。さらに、ホイール部10の外側面12bと凸部形成部材X1との間にスペースが形成されるため、ハブ90の各固定用ボルト91に凸部形成部材X1が接触しない(図9参照)。
【0040】
この状態では、ホイールカバー部30がホイール部10に未だ固定されていないため、次に、第1固定部55のボルト部材55cを第1挿通部55aに挿通し第2挿通部(ネジ孔)55bに螺着する(図3参照)。この際、ホイール部10のリム13aとホイールカバー部30の内側面部31との間のスペースSに指を入れてボルト部材55cを回すことができる(図3参照)。これにより、複数の第1嵌合部51、52(図5参照)と複数の第2嵌合部53、54(図10参照)とが互いに嵌合した状態に固定される。ボルト部材55cにて複数の第1嵌合部51、52と複数の第2嵌合部53、54との嵌合を固定することにより、ホイールカバー部30を手で押さえなくても次の固定動作を行うことができる。図3に示すように、第1固定部55による固定のみでも装着完了とすることができるが、本実施形態では第2固定部56によってより強固にホイールカバー部30をホイール部10に装着させることができる。
【0041】
図3に示すように、第2固定部56による固定は、中心ボルト部材56cをホイールカバー部30の中心孔56b(図4参照)に挿通しホイール部10の中心ネジ孔56aに螺着する。さらに、図3に示すように、ストッパネジ56eをハンドル部56cbの挿通孔56f(図4参照)に挿通しホイールカバー部30のネジ孔56dに螺着する。これにより、中心ボルト部材56cが緩み止めされ、ホイールカバー部30がホイール部10に強固に装着される。
このように構成された本実施形態のホイール1によれば、例えば、大雨や津波によって道路が冠水する可能性が高く対処に緊急性を伴う場合、地上走行モードのホイール部10にホイールカバー部30を装着して水上走行モードへ簡単かつ迅速に切り替えることができる。このような状況を想定して、車Cのトランクに4つのホイールカバー部30を収納しておけば、どこで冠水が生じても素早く対処することができる。
【0042】
ホイールカバー部30をホイール部10から取り外す際は、ストッパネジ56eを取り外した後に中心ボルト部材56cを取り外し、かつ、ボルト部材55cを取り外し、ホイールカバー部30を傾けて突出部53axを係止凹部51aayから離脱させる。ボルト部材55cの取り外しは、中心ボルト部材56cの取り外しより先でもよい。ストッパネジ56eおよび中心ボルト部材56cの着脱は、レンチやスパナ等の工具を用いることなく素手で容易かつ迅速に行うことができる。言い換えると、脱着機構部50によってホイール部10に対するホイールカバー部30の脱着を容易とすることができる。ホイールカバー部30をホイール部10に装着する際、突出部53axを係止凹部51aayに係止した状態でホイールカバー部30をホイール部10側へ接近させて他の嵌合凸部54aを他の嵌合凹部52aに容易かつ迅速に嵌め込んで位置決めすることができる。また、各嵌合凸部53a,54aが各嵌合凹部51a,52aに嵌合し位置決めされた状態のとき、少なくとも1つのボルト支持部の第1挿通部55aおよび第2挿通部55bにボルト部材55cを挿通させてネジ孔に螺着させることにより、ホイール部10にホイールカバー部30を固定することができる。また、各嵌合凸部53a,54aが各嵌合凹部51a,52aに嵌合し位置決めされた状態のとき、ホイールカバー部30の中心孔56bに中心ボルト部材56cを挿通させてホイール部10の中心ネジ孔部56aに螺着させることにより、ホイール部10にホイールカバー部30を固定することができる。さらに、ストッパネジ56eによって中心ネジ孔部56aに螺着した中心ボルト部材56cの緩み止めを施すことができる。
【0043】
本実施形態のホイール1がこのようにホイールカバー部30のホイール部10に対する脱着が簡単で迅速に行えるのに対して、特許文献1の水陸両用車の推力派生機構の場合、後輪用ハブの複数の固定用ボルトに螺着した複数(通常4個以上)のナットを工具を用いて一旦取り外し、複数の固定用ボルトを水掻き部材の複数のボルト挿通孔に挿通させた後、再び複数の固定用ボルトに複数のナットを工具を用いて螺着して締め付けることによって水掻き部材の後輪ホイールへの取り付けが完了する。水掻き部材の後輪ホイールへの取り付けはこの逆の手順を踏む。したがって、水掻き部材の後輪ホイールに対する脱着には手間がかかる。
【0044】
〈ホイールの水上走行モードでの作用効果について〉
図7に示すように、車Cの一部が水中に浸かった状態で前進させる際、水上走行モードに切り替えたホイール1を前進させる方向(矢印A方向)に回転させることによって、主に水掻き部34の下半部に位置する各水掻き部34の第1面34aaが水Wを後方へ押すことによって前方への推進力が発生する。この際、車Cの車両本体の浮力だけではなく、空気が充填されたタイヤ70の浮力および内部空間部35に空気を密封したホイールカバー部30の浮力が加わるため、ホイール1の上部が水面Wfよりも上方に浮き上がりやすくなっている。このとき、ホイールカバー部30の上部が水面Wfよりも上方に浮き上がっていれば、回転する水掻き部34の上部によって水Wを前方へ押さないため、回転する水掻き部34の下部によって水Wを後方へ押して前方への推進力を得やすくなる。それに加え、ホイールカバー部30の外側面部32は平坦な面であり、外側面部32には特許文献1に記載されたような羽根状の水掻き部材が設けられていないため、外側面部32の軸心P近傍には推進にほとんど寄与しない渦流が発生しにくい。そのため、ホイール1によって車Cを前進させる推進力を得やすい。
【0045】
さらに、中空のホイールカバー部30は軽量であるため回転しやすいことに加え、車Cが4輪駆動式(全輪駆動式)であれば、前後にある4つのホイール1によって推進力を得ることができるため、2輪駆動式(前輪駆動式または後輪駆動式)の場合よりも大きい推進力を得ることができる。例えば、車Cである水陸両用車が完全に水上に浮いた状態となる場所(深い川、池、湖、海等)を走行する場合、水の抵抗があるため、2輪駆動式の2つのホイール1を回転させるよりも、4輪駆動式の4つのホイール1を回転させる方がより大きな推進力が得られるため有利となる。あるいは、車Cであるオフロード車で、例えば、オフロード車で渡ることが可能な程度の深さを有する川を渡る際も、4輪駆動式であれば2輪駆動式よりも速く川を渡りきることができる。この際、ホイールカバー部30の外側面部32には水掻き部材が設けられていないため、川底の石や岩に接触した水掻き部材が破損するといった事故も生じにくい。
【0046】
本実施形態のホイール1によれば、仮にホイールカバー部30のホイール部10への取り付けを左右逆にした場合、すなわち、左用のホイールカバー部を右のホイール部に取り付け、右用のホイールカバー部を左のホイール部に取り付けた場合、最下位置の水掻き部34の第1面34aa(図7参照)が前方に面するため、ホイール1を前進させる方向(矢印A方向)に回転させても前方への推進力を得にくい。この場合、ホイール1を矢印A方向とは逆方向に回転させると後方への推進力を得ることができる。
【0047】
(第1実施形態の変形例)
第1実施形態の第1固定部55(図3図4参照)において、第2挿通部55bを雌ネジを有さない孔とし、第1挿通部55aをネジ孔としてもよく、あるいは、第1挿通部55aと第2挿通部55bの両方をネジ孔としてもよい。
さらに、第2固定部56において、ネジ孔56dを雌ネジを有さない孔とし、挿通孔56fをネジ孔としてもよく、あるいは、ネジ孔56dに加えて挿通孔56fもネジ孔としてもよい。
【0048】
(第2実施形態)
図11は第2実施形態のホイールを回転軸心に沿って切断した縦断面図である。図12は第2実施形態のホイール部にホイールカバー部を取り付ける手順を説明する縦断面図である。図13は第2実施形態のホイールにおけるホイール部の外側面を示す外観図である。図14は第2実施形態のホイールにおけるホイールカバー部の内側面を示す外観図である。なお、図11図14において、図3図10中の要素と同様の要素には同一の符号を付している。
図11に示すように、第2実施形態のホイール101は、第1実施形態のホイール1の脱着機構部50(図3図5等参照)とは構成が異なる脱着機構部150を備えており、第2実施形態におけるその他の構成は概ね第1実施形態と同様である。以下、第2実施形態における第1実施形態とは異なる点を主に説明する。
【0049】
第2実施形態の脱着機構部150は、図13に示すホイール部10の外側面12bに設けられた4つの第1嵌合部152と、4つの第1嵌合部152と嵌合可能なように図14に示すホイールカバー部30の内側面部31に設けられた4つの第2嵌合部54と、中心ネジ孔部56aと連通するように図13に示すホイール部10の外側面12b側に設けられた第3嵌合部としての多角形孔部155と、この多角形孔部155と嵌合可能にかつ中心孔56bと連通するように図14に示すホイールカバー部30の内側面部31に設けられた第4嵌合部としての多角形ボス部156と、各第1嵌合部152と各第2嵌合54との嵌合を離脱可能に固定する図11に示す固定部56とを有する。第2実施形態の場合、第1実施形態における第1固定部55(図3参照)に相当する固定部を省略している。
【0050】
《第1嵌合部》
図13に示すように、4つの第1嵌合部152は、ホイール部10の外側面12bにおける軸心Pを中心とする放射線上に、かつ、軸心Pを中心とする同一円上に配置された4つの嵌合凹部152aを有してなる。各嵌合凹部152aは、軸心Pに向かって開放するU字形の位置決めブロックにて形成されており、各嵌合凹部152aは軸心Pと平行な方向にも開放している。本実施形態の場合、軸心Pを中心とする4本の放射線上にかつ同一円上に4つのボルト挿通孔16が配置されており、これら4本の放射線の間の別の4本の放射線上にかつ別の同一円上に4つの嵌合凹部152aが等間隔(中心角度90°)で配置されている。各嵌合凹部152aは、第1実施形態の嵌合凹部52aに設けられている支持面52aax(図4参照)を有していない。
【0051】
《第2嵌合部》
図14に示すように、4つの第2嵌合部54は、ホイールカバー部30の内側面部31における軸心Pを中心とする4本の放射線上に配置された4つの嵌合凸部54aを有してなる。本実施形態の場合、軸心Pを中心とする十字形の凸部形成部材X2の4つの端部にて4つの嵌合凸部54aが構成されているため、1つの第2嵌合部に4つの嵌合凸部54aが設けられていると見なすことができる。あるいは、十字形の凸部形成部材X2の4つの端部のみを残して他の部分を省略してもよく、この場合は実質的に4つの第2嵌合部54がホイールカバー部30の内側面部31に設けられることとなる。ホイールカバー部30の内側面部31からの凸部形成部材X2の高さは、ホイール部10の外側面12bからの各第1嵌合部152の高さよりも高くなっている。各第2嵌合部54は、第1実施形態の1つの第2嵌合部53に設けられている突出部53ax(図4図10参照)を有していない。
【0052】
《第3嵌合部》
図13に示すように、第3嵌合部としての多角形孔部155は、本実施形態の場合、軸心Pと直交する方向の横断面形状が正方形の正方形孔部である。この場合、軸心Pと平行な正方形孔部の4面は各嵌合凹部152aに正対する方向に面している。
【0053】
《第4嵌合部》
図14に示すように、第4嵌合部としての多角形ボス部156は、本実施形態の場合、凸部形成部材X2の中心交差部の正方形の領域から軸心P上に突出した正方形パイプであり、多角形孔部155にがたつくことなく嵌合する形状およびサイズに形成されている。多角形ボス部156の長さは、多角形孔部155の深さと等しいかあるいは少し短くなっている(図11図12参照)。
【0054】
《固定部》
図11に示す固定部56は、第1実施形態の第2固定部56(図3参照)と同一の構成であり、ホイール部10の外側面12bの軸心P上に設けられた中心ネジ孔部56aと、ホイールカバー部30の軸心P上に設けられた中心孔56bと、中心孔56bを通して中心ネジ孔部56aに螺合する中心ボルト部材56cと、ホイールカバー部30の外側面部32における中心孔56bの近傍位置に設けられたネジ孔56dと、中心ボルト部材56cのハンドル部56cbを軸心P方向と平行に貫通する挿通孔56fと、挿通孔56fを挿通してネジ孔56dに螺着するストッパネジ56eとを有する(図12参照)。
【0055】
〈ホイールカバー部のホイール部に対する着脱について〉
第2実施形態の場合、図12に示すように、ホイールカバー部30のホイール部10への装着は、ホイールカバー部30を持って多角形ボス部(第4嵌合部)156をホイール部10の多角形孔部(第3嵌合部)155に挿入する。図11に示すように、四角形ボス部156を四角形孔部155の内部に完全に挿入することにより、4つの第2嵌合部54の嵌合凸部154a(図14参照)が4つの第1嵌合部152の嵌合凹部152a(図13参照)に嵌合する。つまり、多角形孔部155への多角形ボス部156の挿入が、各嵌合凹部152aへの各嵌合凸部154aの嵌合を誘導している。
【0056】
その後、第1実施形態と同様に、図11に示す中心ボルト部材56cをホイールカバー部30の中心孔56bに挿通しホイール部10の中心ネジ孔56aに螺着する。さらに、ストッパネジ56eをハンドル部56cbの挿通孔56fに挿通しホイールカバー部30のネジ孔56dに螺着する。これにより、中心ボルト部材56cが緩み止めされ、ホイールカバー部30がホイール部10に強固に装着される。第2実施形態の場合、凸部形成部材X2がホイール部10の外側面12bに当接するため、第1実施形態よりもホイールカバー部30をホイール部10側へ近接させることができる。
ホイールカバー部30をホイール部10から取り外す際は、ストッパネジ56eを取り外した後に中心ボルト部材56cを取り外し、ホイールカバー部30を軸心Pと平行な方向に移動させて多角形ボス部156を多角形孔部155から引き抜く。
第2実施形態のホイール101によれば、ホイールカバー部30のホイール部10への着脱をより迅速に行うことができる。
【0057】
第2実施形態の場合も、図12に示すように、車CのフェンダーCfの下端がホイール部10の複数の第1嵌合部152よりも所定のフェンダークリアランスL1をもって外側へ張り出していることが好ましい。言い換えると、ホイール部10の複数の第1嵌合部152はフェンダーCfの下端よりも所定のフェンダークリアランスL1をもって内側に配置されることが好ましい。そのため、この点を考慮して、ハブ90の端面90aからフェンダーCfの下端までの距離L2に応じてホイール101の各部の寸法を決定することが好ましい。
【0058】
(第3実施形態)
図15は第3実施形態のホイールを回転軸心に沿って切断した縦断面図である。図16は第3実施形態のホイール部にホイールカバー部を取り付ける手順を説明する縦断面図である。なお、図15図16において、図11図12中の要素と同様の要素には同一の符号を付している。
図15に示す第3実施形態のホイール201は、第2実施形態のホイール101(図11参照)と基本的に同じ構成を備えているが、次の構成のみが異なる。
図15に示す第3実施形態のホイール201において、ホイール部210の円盤部12は少し内側(ハブ90側)に配置されている。これにより、図16に示すように、ホイール部210からホイールカバー部30を取り外したときに、ホイール部210の外側面212bの複数の第1嵌合部152が外側のリム13aよりも外側へ突出しないようにすることができる。第3実施形態の場合、ホイール部210の外側面212bの複数の第1嵌合部152および外側のリム13aが、タイヤ70よりも内側に配置されている。
【0059】
第3実施形態の場合も、図16に示すように、車CのフェンダーCfの下端がタイヤ70よりも所定のフェンダークリアランスL1をもって外側へ張り出していることが好ましい。言い換えると、タイヤ70はフェンダーCfの下端よりも所定のフェンダークリアランスL1をもって内側に配置されることが好ましい。そのため、この点を考慮して、ハブ90の端面90aからフェンダーCfの下端までの距離L2に応じてホイール201の各部の寸法を決定することが好ましい。
【0060】
(第4実施形態)
図17は第4実施形態のホイールを備えた車が水上を前進する様子を示す説明図である。図17において、図7中の要素と同様の要素には同一の符号を付している。
第4実施形態のホイール301は、第1~第3実施形態に対して水掻き部の構成が異なる以外は概ね同様に構成されている。以下、第4実施形態における第1~第3実施形態とは異なる点を主に説明する。
【0061】
図17に示す第4実施形態のホイール301において、水掻き部334は、第1実施形態と同様の複数の水掻き部34a有することに加えて、ホイールカバー部30の外周面部に沿って設けられた径方向外方へ突出する複数の水掻き片34cを有する。複数の水掻き片34cは、ホイールカバー部30の外周面部の複数の山部の位置(互いに隣接する谷部と谷部の間)に設けられている。言い換えると、各水掻き片34cは、各水掻き部34の第1面34aaの延長線上に設けられている。
【0062】
第4実施形態の水掻き部334によれば、ホイール301が前進する方向(矢印A方向)に回転したときの水掻き部334の下半部の水掻き部34および水掻き片34cによる水を後方へ押す面積が増加するため、より大きい推進力を得やすくなる。さらに、この水掻き部334は複数の水掻き片34cを有しているため、ホイール301を後進する方向(矢印A方向とは逆方向)に回転させても後方への推進力を得ることができる。
【0063】
(第4実施形態の変形例)
図17に示す水掻き部334において、複数の水掻き部34の第1面34aaは平面ではなく、軸心P方向から見てU字状またはV字状に窪んだ面であってもよい。これにより、水掻き部34によって水を掻く量が増加して後方への推進力をより得やすくなる。
【0064】
(他の実施形態)
第1実施形態の第2固定部56(図3参照)と、第2および第3実施形態の固定部56(図11図15参照)はストッパネジ56eを有する構成であるが、ストッパネジの代わりに、スプリングワッシャと回り止めワッシャを用いてもよい。この場合、ホイールカバー部30の外側面部32と中心ボルト部材56cのハンドル部56cbとの間に図示しないスプリングワッシャと回り止めワッシャを配置し、回り止めワッシャの複数の突起部をスプリングワッシャによってハンドル部56cbへ押し付けるようにする。
【0065】
本発明の好ましい態様には、上述した複数の態様のうちの何れかを組み合わせたものも含まれる。
前述した実施の形態の他にも、この発明について種々の変形例があり得る。それらの変形例は、この発明の範囲に属さないと解されるべきものではない。本発明には、請求の範囲と均等の意味および前記範囲内でのすべての変形とが含まれるべきである。
【符号の説明】
【0066】
1,101,201,301:ホイール、 10:ホイール部、 12:円盤部、 12a:内側面、 12b:外側面、 13:外周部、 13a:リム、 14:厚肉部、 15:リブ、 16:ボルト挿通孔、 30:ホイールカバー部、 31:内側面部、 32:外側面部、 33:外周面部、 34,234,334:水掻き部、 34aa:第1面、 34ab:第2面、 34c:水掻き片、 35:内部空間部、 50,150:脱着機構部、 51,52,152:第1嵌合部、 51a,52a,152a:嵌合凹部、 51aa,52aa:第1位置決め部材、 51aax,52aax:支持面、 51aay:係止凹部、 51ab、52ab:第2位置決め部材、 52aay:規制面、 53,54:第2嵌合部、 53a、54a:嵌合凸部、 53ax:突出部、 55:第1固定部、 55a:第1挿通部、 55b:第2挿通部(ネジ孔)、 55c:ボルト部材、 56:第2固定部(固定部)、 56a:中心ネジ孔部、 56ax:四角形孔部、 56b:中心孔、 56bx:四角形ボス部、 56c:中心ボルト部材、 56ca:雄ネジ部、 56cb:ハンドル部、 56d:ネジ孔、 56e:ストッパネジ、 56f:挿通孔、 60:ナット部材、 70:タイヤ、 90:ハブ(ホイールハブ)、 90a:端面、 91:固定用ボルト(ハブボルト)、 155:多角形孔部(第3嵌合部)、 156:多角形ボス部(第4嵌合部)、 A:矢印、 C:車、 Cf:フェンダー、 L1:フェンダークリアランス、 L2:距離、 P:回転軸心、 S:スペース、 W:水、 Wf:水面、 X1,X2:凸部形成部材
図1
図2
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図5
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図11
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図17