IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 台達電子工業股▲ふん▼有限公司の特許一覧

特許7446390モータ駆動と電池の充放電を備えた電源統合システム
<>
  • 特許-モータ駆動と電池の充放電を備えた電源統合システム 図1
  • 特許-モータ駆動と電池の充放電を備えた電源統合システム 図2
  • 特許-モータ駆動と電池の充放電を備えた電源統合システム 図3
  • 特許-モータ駆動と電池の充放電を備えた電源統合システム 図4
  • 特許-モータ駆動と電池の充放電を備えた電源統合システム 図5
  • 特許-モータ駆動と電池の充放電を備えた電源統合システム 図6
  • 特許-モータ駆動と電池の充放電を備えた電源統合システム 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-29
(45)【発行日】2024-03-08
(54)【発明の名称】モータ駆動と電池の充放電を備えた電源統合システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20240301BHJP
   H02M 7/48 20070101ALI20240301BHJP
   B60L 50/60 20190101ALN20240301BHJP
   B60L 53/14 20190101ALN20240301BHJP
   B60L 53/24 20190101ALN20240301BHJP
   B60L 58/12 20190101ALN20240301BHJP
【FI】
H02J7/00 L
H02J7/00 P
H02M7/48 E
B60L50/60
B60L53/14
B60L53/24
B60L58/12
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022178375
(22)【出願日】2022-11-07
(65)【公開番号】P2023070187
(43)【公開日】2023-05-18
【審査請求日】2022-11-07
(31)【優先権主張番号】63/276,866
(32)【優先日】2021-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】111135643
(32)【優先日】2022-09-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】521279527
【氏名又は名称】台達電子工業股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】廖志家
(72)【発明者】
【氏名】李正中
(72)【発明者】
【氏名】蔡文傑
(72)【発明者】
【氏名】鄭謝雄
【審査官】高野 誠治
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-158344(JP,A)
【文献】特開2007-037275(JP,A)
【文献】特開2023-070186(JP,A)
【文献】特開2023-070188(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00 - 7/12
H02J 7/34 - 7/36
H02M 7/42 - 7/98
B60L 1/00 - 3/12
B60L 7/00 -13/00
B60L 15/00 -58/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータと、電源統合回路と、前記電源統合回路に接続される電池とを含む電源統合システムであって、
前記電源統合回路は、
多相ブリッジアームを有し、各相のブリッジアームが上スイッチと下スイッチとを含み、前記各相のブリッジアームが前記モータの各相の巻線に接続されるインバータと、
前段直流変換回路と、前記インバータと共用する前記多相ブリッジアームの少なくとも一相のブリッジアームの前記上スイッチ及び前記下スイッチと、を含む充電器と、を備え、
前記前段直流変換回路は、前記インバータと前記充電器で共用する前記上スイッチ及び前記下スイッチに接続される前段ブリッジアームと、前記前段ブリッジアームに接続される第1エネルギー蓄積インダクタと、を備え、
前記電源統合回路は、直流電源装置から供給される直流電源を受け、前記充電器は、前記直流電源装置の前記直流電源を変換して前記電池を充電し、前記電池は、前記インバータを介して前記モータを駆動するのに必要な電力を供給する、モータ駆動機能と電池充放電機能とを有する電源統合システム。
【請求項2】
前記電池は、前記充電器を介して受電装置が必要とする電力を供給する、又は前記受電装置は、前記充電器を介して前記電池に充電する、請求項1に記載のモータ駆動機能と電池充放電機能とを有する電源統合システム。
【請求項3】
記充電器は、充電ユニットをさらに含み、前記充電ユニットは、前記インバータと前記充電器で共用する前記上スイッチ及び前記下スイッチに接続される第2エネルギー蓄積インダクタと、前記第2エネルギー蓄積インダクタに接続されるサブ回路とを含む、請求項1に記載のモータ駆動機能と電池充放電機能とを有する電源統合システム。
【請求項4】
前記前段ブリッジアームは、第1スイッチと第2スイッチとを含み、
前記第1スイッチと前記第2スイッチの共通接続点は、前記第1エネルギー蓄積インダクタの第1端に接続され、前記第1エネルギー蓄積インダクタの第2端は、前記電池に接続され、
前記サブ回路は、第3スイッチを含み、前記第3スイッチの第1端は前記上スイッチと接続しない前記下スイッチの一端に接続され、前記第3スイッチの第2端は直流電源装置に接続される、請求項3に記載のモータ駆動機能と電池充放電機能とを有する電源統合システム。
【請求項5】
前記前段ブリッジアームは、第1スイッチと第2スイッチとを含み、
前記第1スイッチと前記第2スイッチの共通接続点は、前記第1エネルギー蓄積インダクタの第1端に接続され、前記第1エネルギー蓄積インダクタの第2端は、前記電池に接続され、
前記サブ回路は、第3スイッチを含み、前記第3スイッチの第1端は前記第2エネルギー蓄積インダクタに直列に接続され、前記第3スイッチの第2端は直流電源装置に接続される、請求項3に記載のモータ駆動機能と電池充放電機能とを有する電源統合システム。
【請求項6】
前記前段ブリッジアームは、第1スイッチと第2スイッチとを含み、
前記第1スイッチと前記第2スイッチの共通接続点は、前記第1エネルギー蓄積インダクタの第1端に接続され、前記第1エネルギー蓄積インダクタの第2端は、前記電池に接続され、
前記サブ回路は、第1ダイオードを含み、前記第1ダイオードのアノード電極は前記上スイッチと接続しない前記下スイッチの一端に接続され、前記第1ダイオードのカソード電極は直流電源装置に接続される、請求項3に記載のモータ駆動機能と電池充放電機能とを有する電源統合システム。
【請求項7】
前記充電ユニットは、前記電池の電圧が基準電圧値よりも高い場合、昇圧した電圧を供給して前記電池を充電し、前記電池の電圧が前記基準電圧値よりも低い場合、降圧した電圧を供給して前記電池を充電する、請求項3に記載のモータ駆動機能と電池充放電機能とを有する電源統合システム。
【請求項8】
前記電池は、前記充電器を介して受電装置が必要とする電力を供給する、又は前記受電装置は、前記充電器を介して前記電池に充電し、
前記充電ユニットは、前記受電装置が必要とする電力に応じて、前記電池を前記受電装置に放電させるように昇圧又は降圧を供給する、請求項7に記載のモータ駆動機能と電池充放電機能とを有する電源統合システム。
【請求項9】
記充電器は、充電ユニットをさらに含み、前記充電ユニットは、前記インバータと前記充電器で共用する複数の前記上スイッチ及び複数の前記下スイッチにそれぞれ対応して接続される複数の第2エネルギー蓄積インダクタと、前記第2エネルギー蓄積インダクタに接続されるサブ回路とを含む、請求項1に記載のモータ駆動機能と電池充放電機能とを有する電源統合システム。
【請求項10】
前記充電ユニットは、前記電池の電圧が基準電圧値よりも高い場合、昇圧した電圧を供給して前記電池を充電し、前記電池の電圧が前記基準電圧値よりも低い場合、降圧した電圧を供給して前記電池を充電する、請求項9に記載のモータ駆動機能と電池充放電機能とを有する電源統合システム。
【請求項11】
前記電池は、前記充電器を介して受電装置が必要とする電力を供給する、又は前記受電装置は、前記充電器を介して前記電池に充電し、
前記充電ユニットは、前記受電装置が必要とする電力に応じて、前記電池を前記受電装置に放電させるように昇圧又は降圧を供給する、請求項9に記載のモータ駆動機能と電池充放電機能とを有する電源統合システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源統合システムに関し、特にモータ駆動機能と電池充放電機能とを有する電源統合システムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在の軽量電気車両システムにはモータドライバ及び充電器が含まれており、充電器には車載式(on-board)と非車載式(off-board)がある。充電器は電池の仕様が異なるため、各メーカーが専用の非車載式充電器を発売しているが、異なる車両で充電器を共用できず、持ち運びにくいという欠点がある。
【0003】
そこで、従来技術の問題やボトルネックを解決するためのモータ駆動機能と電池充放電機能とを有する電源統合システムをどのように設計するかが、本願発明者によって検討された重要な課題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、モータ駆動機能と電池充放電機能とを有する電源統合システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために、本発明に係るモータ駆動機能と電池充放電機能とを有する電源統合システムは、モータと、電源統合回路と、前記電源統合回路に接続される電池とを含み、前記電源統合回路は、多相ブリッジアームを有し、各相のブリッジアームが上スイッチと下スイッチとを含み、前記各相のブリッジアームが前記モータの各相の巻線に接続されるインバータと、前段直流変換回路と、前記インバータと共用する前記多相ブリッジアームの少なくとも一相のブリッジアームの前記上スイッチ及び前記下スイッチと、を含む充電器と、を備え、前記電源統合回路は、直流電源装置から供給される直流電源を受け、前記充電器は、前記直流電源装置の前記直流電源を変換して前記電池を充電し、前記電池は、前記インバータを介して前記モータを駆動するのに必要な電力を供給する。
【0006】
一実施形態において、前記電池は、前記充電器を介して受電装置が必要とする電力を供給する、又は前記受電装置は、前記充電器を介して前記電池に充電する。
【0007】
一実施形態において、前記前段直流変換回路は、前記インバータと前記充電器で共用する前記上スイッチ及び前記下スイッチに接続される前段ブリッジアームと、前記前段ブリッジアームに接続される第1エネルギー蓄積インダクタと、を備え、前記充電器は、充電ユニットをさらに含み、前記充電ユニットは、前記インバータと前記充電器で共用する前記上スイッチ及び前記下スイッチに接続される第2エネルギー蓄積インダクタと、前記第2エネルギー蓄積インダクタに接続されるサブ回路とを含む。
【0008】
一実施形態において、前記前段ブリッジアームは、第1スイッチと第2スイッチとを含み、前記第1スイッチと前記第2スイッチの共通接続点は、前記第1エネルギー蓄積インダクタの第1端に接続され、前記第1エネルギー蓄積インダクタの第2端は、前記電池に接続され、前記サブ回路は、第3スイッチを含み、前記第3スイッチの第1端は前記上スイッチと接続しない前記下スイッチの一端に接続され、前記第3スイッチの第2端は直流電源装置に接続される。
【0009】
一実施形態において、前記前段ブリッジアームは、第1スイッチと第2スイッチとを含み、前記第1スイッチと前記第2スイッチの共通接続点は、前記第1エネルギー蓄積インダクタの第1端に接続され、前記第1エネルギー蓄積インダクタの第2端は、前記電池に接続され、前記サブ回路は、第3スイッチを含み、前記第3スイッチの第1端は前記第2エネルギー蓄積インダクタに直列に接続され、前記第3スイッチの第2端は直流電源装置に接続される。
【0010】
一実施形態において、前記前段ブリッジアームは、第1スイッチと第2スイッチとを含み、前記第1スイッチと前記第2スイッチの共通接続点は、前記第1エネルギー蓄積インダクタの第1端に接続され、前記第1エネルギー蓄積インダクタの第2端は、前記電池に接続され、前記サブ回路は、第1ダイオードを含み、前記第1ダイオードのアノード電極は前記上スイッチと接続しない前記下スイッチの一端に接続され、前記第1ダイオードのカソード電極は直流電源装置に接続される。
【0011】
一実施形態において、前記充電ユニットは、前記電池の電圧が基準電圧値よりも高い場合、昇圧した電圧を供給して前記電池を充電し、前記電池の電圧が前記基準電圧値よりも低い場合、降圧した電圧を供給して前記電池を充電する。
【0012】
一実施形態において、前記電池は、前記充電器を介して受電装置が必要とする電力を供給する、又は前記受電装置は、前記充電器を介して前記電池に充電し、前記充電ユニットは、前記受電装置が必要とする電力に応じて、前記電池を前記受電装置に放電させるように昇圧又は降圧を供給する。
【0013】
一実施形態において、前記前段直流変換回路は、前記インバータと前記充電器で共用する前記上スイッチ及び前記下スイッチに接続される前段ブリッジアームと、前記前段ブリッジアームに接続される第1エネルギー蓄積インダクタと、を備え、前記充電器は、充電ユニットをさらに含み、前記充電ユニットは、前記インバータと前記充電器で共用する複数の前記上スイッチ及び複数の前記下スイッチにそれぞれ対応して接続される複数の第2エネルギー蓄積インダクタと、前記第2エネルギー蓄積インダクタに接続されるサブ回路とを含む。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るモータ駆動機能と電池充放電機能とを有する電源統合システムによれば、三相モータドライバのパワースイッチを充電器に共用することで、追加素子数を減らすことができ、その結果、小型化と高効率化を実現することができる。
【0015】
本発明の目的を達成するためになされた本発明の技術、手段、及び効果をより良く理解するために、本発明の目的及び特徴は、本発明の詳細な説明及び添付図面を参照することによってより良く理解されると考えられるが、添付図面は、参照及び説明のみを提供するものであり、本発明を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係るモータ駆動機能と電池充放電機能とを有する電源統合システムと、直流電源装置及び受電装置と組み合わせて使用するブロック図である。
図2】本発明に係るモータ駆動機能と電池充放電機能とを有する電源統合システムと、直流電源装置と組み合わせて使用するブロック図である。
図3】本発明に係るモータ駆動機能と電池充放電機能とを有する電源統合システムの第1実施形態を示すブロック図である。
図4図3の充電器の第1実施形態を示す回路ブロック図である。
図5図3の充電器の第2実施形態を示す回路ブロック図である。
図6図3の充電器の第3実施形態を示す回路ブロック図である。
図7】本発明に係るモータ駆動機能と電池充放電機能とを有する電源統合システムの第2実施形態を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の技術的内容及び詳細な説明について、図面を参照しながら以下に説明する。
【0018】
本発明は、Type-Cケーブルの汎用性とUSB-PD(USB Power Delivery)充電器の利便性から、図1に示すように、従来の三相モータドライバ及び充電器を組み合わせた統合システムである統合型(共用素子)双方向充電器構造を提供する。このシステムは、Type-Cケーブルを介して外部のUSB-PDを直接接続して充電することができる。また、充電機能に加えて、Type-Cケーブルを介して、外部設備(又は受電装置と称する)に電池エネルギーを供給することも可能である。ここで、外部設備は例えば、電動オートバイ、電動自転車、電動車椅子、電動キックボード等の軽量電気車両であってもよいが、これらに限定されない。そのため、三相モータドライバのパワースイッチを充電器に共用することで、追加素子数を減らすことができ、その結果、小型化と高効率化を実現することができる。
【0019】
図1は、本発明に係るモータ駆動機能と電池充放電機能とを有する電源統合システムと、直流電源装置及び受電装置と組み合わせて使用するブロック図である。同図に示すように、モータ駆動機能と電池充放電機能とを有する電源統合システム(以下、電源統合システム)は、モータ10と、電源統合回路20と、電池30とを含む。電源統合回路20は、インバータ21と充電器22とを備える。インバータ21は、複数相(例えば三相)のブリッジアームを有し、各相のブリッジアームは、上スイッチと下スイッチを含み、モータの各相の巻線に対応して接続される。充電器22は、前段直流変換回路22Aと、インバータと共用する多相ブリッジアームの少なくとも一相のブリッジアームの上スイッチ及び下スイッチと、を含む。言い換えれば、電源統合回路20は、インバータ21及び充電器22に共用素子を有する構造である。具体的に、上記共用素子は、少なくとも一相のブリッジアームの上スイッチ及び下スイッチと、前段直流変換回路22Aであるが、詳細は後述する。なお、本発明に係る前段直流変換回路22Aは、例えば、昇圧型直流変換器、降圧型直流変換器、昇圧-降圧型直流変換器、又は他のタイプの直流変換器であってもよく、実際の需要に応じて設定することができるが、これらに限定されない。電池30は、電源統合回路20に接続される。
【0020】
図1に示す電源統合システムは双方向構造であるため、電源統合回路20は、直流電源装置40から供給される直流電源を受け、電源統合回路20の充電器22は、直流電源を変換して電池30を充電することで、直流電源から電池30を充電することができる。本実施形態において、直流電源装置40は、USB-PDであるが、これに限定されない。例えば、軽量電気車両である電動自転車を例にとると、電動自転車の車体内部にモータ10、電源統合回路20及び電池30を設け、直流電源装置40から供給される直流電源を外部のUSB-PD直流電源とする。このため、電動自転車をUSB-PD直流電源に接続して充電すると、電源統合回路20の充電器22は、USB-PD直流電源を変換して、車体内部に設けられた電池30を充電する。
【0021】
また、電池30は、充電器22を介して受電装置50に必要な電力を供給する。上述したように、受電装置50は、携帯型モバイル機器(例えば、携帯電話、タブレット、ノートパソコン等)であるが、これらに限定されない。ユーザが屋外にいるとき、携帯電話、モバイル電源又は電動自転車(すなわち受電装置50)を、別の電動自転車に配置された電源統合回路20の充電器22に差し込んで充電すると、電池30は、充電器22を介して携帯電話、モバイル電源又は電動自転車に必要な電力を供給して携帯電話を充電する。
【0022】
また、電池30は、インバータ21を介してモータ10の駆動に必要な電力を供給する。ユーザが屋外で電動自転車に乗っている場合、モータ10を駆動するために必要な電力は、電池30から供給される。
【0023】
また、受電装置50は、充電器22を介して電池30を充電する。電動自転車が走行状態になく、電池30を充電するための直流電源装置40による直流電源(USB-PD直流電源)がない場合には、受電装置50(携帯電話、モバイル電源又は電動自転車)から供給される電力により電池30を充電することで、電動自転車が短時間走行することができる。例えば、ユーザが屋外で電動自転車に乗っているとき、電池30が電動自転車に必要な電力を供給できないことが発生した場合、受電装置50から供給される電力により電池30を充電して、フル充電が可能な直流電源装置40を備えた最寄り場所への電動自転車の短時間走行に電力を供給することができる。
【0024】
説明をまとめると、図1に示す電源統合システムは、直流電源装置40から電池30への充電又は受電装置50から電池30への充電、及び電池30から受電装置50への電力供給又は電池30からモータ10への電力供給を含む双方向の電力経路を提供する。
【0025】
図2は、本発明に係るモータ駆動機能と電池充放電機能とを有する電源統合システムと、直流電源装置と組み合わせて使用するブロック図である。図2に示す第2実施形態において、図1に示す第1実施形態との主な違いは、受電装置50を備えていないことである。言い換えれば、第2実施形態の電源統合システムは、受電装置50を備えていない状態に適用(動作)するため、図2に示す電源統合システムは、直流電源装置40から電池30への充電、及び電池30からモータ10への電力供給を含む一方向の電力経路を提供する。他の動作内容については図1に示す第1実施形態と同様であり、ここでは省略する。
【0026】
図3は、本発明に係るモータ駆動機能と電池充放電機能とを有する電源統合システムの第1実施形態を示すブロック図である。同図に示すように、前段直流変換回路22Aは、前段ブリッジアーム221と第1エネルギー蓄積インダクタLとを含む。前段ブリッジアーム221は、共用する上スイッチQ及び下スイッチQに接続される。第1エネルギー蓄積インダクタLは、前段ブリッジアーム221に接続される。充電器22は、充電ユニット22Bをさらに備える。充電ユニット22Bは、第2エネルギー蓄積インダクタLとサブ回路222とを含む。
【0027】
図4は、図3の充電器の第1実施形態を示す回路ブロック図である。同図に示すように、前段ブリッジアーム221は、第1スイッチQと第2スイッチQとを含む。第1スイッチQと第2スイッチQの共通接続点は、第1エネルギー蓄積インダクタLの第1端に接続され、第1エネルギー蓄積インダクタLの第2端は、電池30に接続される。サブ回路222は、第3スイッチQを含む。第3スイッチQの第1端は、上スイッチQと接続しない下スイッチQの一端に接続され、第3スイッチQの第2端は、直流電源装置40に接続される。
【0028】
図5は、図3の充電器の第2実施形態を示す回路ブロック図である。同図に示すように、前段ブリッジアーム221は、第1スイッチQと第2スイッチQとを含む。第1スイッチQと第2スイッチQの共通接続点は、第1エネルギー蓄積インダクタLの第1端に接続され、第1エネルギー蓄積インダクタLの第2端は、電池30に接続される。サブ回路222は、第3スイッチQを含む。第3スイッチQの第1端は、第2エネルギー蓄積インダクタLに直列接続され、第3スイッチQの第2端は、直流電源装置40に接続される。
【0029】
図6は、図3の充電器の第3実施形態を示す回路ブロック図である。同図に示すように、前段ブリッジアーム221は、第1スイッチQと第2スイッチQとを含む。第1スイッチQと第2スイッチQの共通接続点は、第1エネルギー蓄積インダクタLの第1端に接続され、第1エネルギー蓄積インダクタLの第2端は、電池30に接続される。サブ回路222は、第1ダイオードDを含む。第1ダイオードDのアノード電極は、上スイッチQと接続しない下スイッチQの一端に接続され、第1ダイオードDのカソード電極は、直流電源装置40に接続される。
【0030】
図4及び図5に示す回路構造において、充電ユニット22Bは、電池30の電圧が基準電圧値よりも高い場合、昇圧した電圧を供給して電池30を充電する。充電ユニット22Bは、電池30の電圧が基準電圧値よりも低い場合、降圧した電圧を供給して電池30を充電する。また、充電ユニット22Bは、受電装置50が必要とする電力に応じて、電池30を受電装置50に放電させるように昇圧又は降圧を供給する。さらに、図6に示す回路構成において、図4及び図5との主な違いは、充電ユニット22Bが昇圧又は降圧を供給して電池30を充電するが、電池30が受電装置50に対して放電できないことである。
【0031】
また、電池30は、充電器22を介して受電装置50に必要な電力を供給するか、或いは、受電装置50は、充電器22を介して電池30を充電する。また、充電ユニット22Bは、受電装置50が必要とする電力に応じて、電池30を受電装置50に放電させるように昇圧又は降圧を供給する。
【0032】
図7は、本発明に係るモータ駆動機能と電池充放電機能とを有する電源統合システムの第2実施形態を示すブロック図である。同図に示すように、前段直流変換回路22Aは、前段ブリッジアーム221と第1エネルギー蓄積インダクタLとを含む。前段ブリッジアーム221は、共用する上スイッチQと下スイッチQとに接続される。第1エネルギー蓄積インダクタLは、前段ブリッジアーム221に接続される。充電器22は、充電ユニット22Bをさらに備える。充電ユニット22Bは、複数の第2エネルギー蓄積インダクタLとサブ回路222とを含む。これらの第2エネルギー蓄積インダクタLは、共用する上スイッチQ、Qと下スイッチQ、Qとにそれぞれ対応して接続される。サブ回路222は、これらの第2エネルギー蓄積インダクタLに接続される。各第2エネルギー蓄積インダクタLのインダクタ値は、回路の実際の要求に応じて、同一又は異なるように設定することができる。
【0033】
図7に示す回路構造では、充電ユニット22Bは、電池30の電圧が基準電圧値よりも高い場合に昇圧した電圧を供給して電池30を充電する。充電ユニット22Bは、電池30の電圧が基準電圧値よりも低い場合に降圧した電圧を供給して電池30を充電する。
【0034】
また、電池30は、充電器22を介して受電装置50に必要な電力を供給するか、或いは、受電装置50は、充電器22を介して電池30を充電する。また、充電ユニット22Bは、受電装置50が必要とする電力に応じて、電池30を受電装置50に放電させるように昇圧又は降圧を供給する。
【0035】
以上をまとめると、本発明は、三相モータドライバのパワースイッチを充電器に共用することで、追加素子数を減らすことができ、その結果、小型化と高効率化を実現することができるという利点がある。
【0036】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもなく、本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の全ての範囲は以下の特許請求の範囲に基づくものであり、本発明の特許請求の範囲を満たす精神とその類似の変形例は、本発明の範囲に含まれるべきであり、当業者であれば、本発明の技術的範囲内において、容易に思いつくことができ、また、その変形例や修正例も、以下の特許請求の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0037】
10 モータ
20 電源統合回路
30 電池
40 直流電源装置
50 受電装置
21 インバータ
22 充電器
22A 前段直流変換回路
221 前段ブリッジアーム
第1エネルギー蓄積インダクタ
22B 充電ユニット
222 サブ回路
第2タンクインダクタ
、Q、Q 上スイッチ
、Q、Q 下スイッチ
第1スイッチ
第2スイッチ
サードスイッチ
第1タンクインダクタ
第2タンクインダクタ
第1ダイオード
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7