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特許7446428放射線源コンポーネントの調節位置決め装置及び方法並びに放射走査結像機器
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  • 特許-放射線源コンポーネントの調節位置決め装置及び方法並びに放射走査結像機器 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-29
(45)【発行日】2024-03-08
(54)【発明の名称】放射線源コンポーネントの調節位置決め装置及び方法並びに放射走査結像機器
(51)【国際特許分類】
   G21K 1/06 20060101AFI20240301BHJP
   A61B 6/03 20060101ALI20240301BHJP
【FI】
G21K1/06 L
A61B6/03 520A
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2022533641
(86)(22)【出願日】2020-09-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-10
(86)【国際出願番号】 CN2020115321
(87)【国際公開番号】W WO2021114791
(87)【国際公開日】2021-06-17
【審査請求日】2022-06-03
(31)【優先権主張番号】201911272103.2
(32)【優先日】2019-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】503414751
【氏名又は名称】同方威視技術股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(72)【発明者】
【氏名】周 勇
(72)【発明者】
【氏名】滕 延偉
(72)【発明者】
【氏名】張 麗
(72)【発明者】
【氏名】黄 清萍
(72)【発明者】
【氏名】方 飛
(72)【発明者】
【氏名】丁 輝
【審査官】中尾 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-130800(JP,A)
【文献】特開平03-046797(JP,A)
【文献】特開平10-160688(JP,A)
【文献】特開2001-155895(JP,A)
【文献】特開2002-071586(JP,A)
【文献】特開2002-058664(JP,A)
【文献】特表2006-520902(JP,A)
【文献】特開2009-063387(JP,A)
【文献】特開2010-057546(JP,A)
【文献】特開2012-177688(JP,A)
【文献】特表2017-532117(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104198507(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第104535593(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第104939860(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第104939862(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第107427273(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第109490338(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第109507216(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21K 1/06
A61B 6/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射走査イメージング機器の放射線源コンポーネントの方位を調整する調節位置決め装置であって、当該放射走査イメージング機器は、機器フレームを有し、前記調節位置決め装置は、
ベース(100)であって、互いに接続された第一部材及び第二部材を含み、放射線源コンポーネント(10)を支持することにより、放射線源コンポーネントを第二部材に垂直に位置決めするように構成される前記ベース(100)と、
前記ベースの第一部材及び前記機器フレームに取り付けられ、ベース全体が前記機器フレームに対して動くように駆動することにより、前記放射線源コンポーネントを第一方向に平行移動の運動をさせ、前記放射線源コンポーネントの位置を調整するように配置される第一調節機構(200)と、
前記ベースの第二部材及び前記機器フレームに取り付けられ、前記第二部材が前記第一部材に対して動くように駆動することにより、前記放射線源コンポーネントをある角度範囲内で回転させ、前記放射線源コンポーネントのビーム出射方向を調整するように配置される第二調節機構(300)と、
前記機器フレームに取り付けられ、前記放射線源コンポーネントの運動を許容するように前記放射線源コンポーネントに接続される頂部ブラケット(400)と、を含み、
前記第一部材に第二孔(123)が設置され、
前記第二部材に長尺状の第三孔(113)が設置され、第三孔が前記第二部材を貫通しかつ前記第一方向と角度をなす方向に延伸し、
調節位置決め装置は、前記第三孔を貫通しかつ前記第二孔に係合することにより前記第二部材を前記第一部材に締結させ、かつ前記回転期間に緩められることにより、前記第三孔の内壁が第二締結部材に当接して前記第二部材を回転可能にするように構成される第二締結部材(103)をさらに含む
調節位置決め装置。
【請求項2】
前記ベースは、前記第二部材としての上板(110)及び前記第一部材としての下板(120)を含み、上板と下板とが垂直方向に互いに積層されることにより、放射線源コンポーネントが上板の上面に位置決めされ、かつ上板と下板とが互いに運動可能に接続される
請求項1に記載の調節位置決め装置。
【請求項3】
前記下板において前記上板に対向する上面に、直立する軸(121)が設置され、前記上板において前記軸に対応する位置に貫通孔(111)が設置され、前記軸は、前記貫通孔を貫通して上向きに延伸することにより、前記放射線源コンポーネントの対応的な軸孔に係合され、そのため、前記放射線源コンポーネントと前記上板とは、前記第二調節機構の駆動により前記軸の周りに回転することができる
請求項2に記載の調節位置決め装置。
【請求項4】
前記軸は、その軸線が前記放射線源コンポーネントの垂直軸線とほぼ重なるように位置決めされる
請求項3に記載の調節位置決め装置。
【請求項5】
前記上板において前記下板から離れた上面に、位置決めピン(112)が設置され、当該位置決めピンは前記放射線源コンポーネントの対応的なピン孔に係合され、前記放射線源コンポーネントが前記垂直方向に垂直する平面内で前記上板に対して動くように前記放射線源コンポーネントを位置決めすることを阻止する
請求項2に記載の調節位置決め装置。
【請求項6】
前記第一調節機構は、
前記機器フレームに固定する第一支持台(210)と、
第一支持台に螺合されかつ前記第一部材に接続されることにより、第一支持台に対する第一調節ボルトの回転が前記第一部材の平行移動を駆動し、前記第一部材に接続された前記第二部材と当該第二部材に位置決めされた放射線源コンポーネントとを前記第一方向に沿って前記機器フレームに対して平行移動させる第一調節ボルト(230)と、を含む
請求項1~5のいずれか一項に記載の調節位置決め装置。
【請求項7】
前記第一部材に長尺状の第一孔(127)が設置され、長尺状の第一孔が前記第一部材を貫通しかつ前記第一方向に延伸し、
調節位置決め装置は第一締結部材(107)をさらに含み、前記第一締結部材(107)は、前記第一孔に挿入されかつ締め付けられて前記第一部材を前記機器フレームに取り付けるとともに、前記平行移動の運動期間に緩められることにより、前記第一孔の内壁が前記第一締結部材に当接して前記第一部材を前記機器フレームに対して平行移動可能にするように配置される
請求項1~5のいずれか一項に記載の調節位置決め装置。
【請求項8】
調節位置決め装置は、前記機器フレームに固定され、かつ前記ベースの平行移動の運動をガイドするように構成される平行移動ガイド部材(500)をさらに含む
請求項1~5のいずれか一項に記載の調節位置決め装置。
【請求項9】
前記第二調節機構は、
前記機器フレームに固定する第二支持体(310)と、
第二調節ボルト(320)であって、第二支持体と螺合しかつ前記第二部材に接続されることにより、第二支持台に対する第二調節ボルトの回転が前記第二部材の回転を駆動し、当該第二部材に位置決めされた放射線源コンポーネントを回転させる第二調節ボルト(320)と、を含む
請求項1~5のいずれか一項に記載の調節位置決め装置。
【請求項10】
第二調節ボルトは、第二支持台に対する回転が、前記第二部材に、第二部材の前記回転の円周方向に接する方向に力を加えるように配置される
請求項9に記載の調節位置決め装置。
【請求項11】
長尺状の前記第三孔は前記第二部材の回転の円周方向に接する方向に延伸する
請求項に記載の調節位置決め装置。
【請求項12】
前記第一調節機構は、
前記第一部材に固定されかつ前記第一調節ボルトに接続される第三支持台(220)をさらに含む
請求項6に記載の調節位置決め装置。
【請求項13】
前記第二調節機構は、
前記第二部材に固定されかつ前記第二調節ボルトに接続される第四支持台(330)をさらに含む
請求項9に記載の調節位置決め装置。
【請求項14】
放射線源コンポーネントと請求項1~13のいずれか一項に記載の調節位置決め装置を含み、放射線源コンポーネントが前記調節位置決め装置に支持され、調節位置決め装置により放射線源コンポーネントの方位を調整する
放射走査イメージング機器。
【請求項15】
請求項1に記載の位置決め装置を用いて放射走査イメージング機器の放射線源コンポーネントの方位を調整する方法であって、
第一調節機構を介してベース全体が前記機器フレームに対して動くように駆動することにより、前記放射線源コンポーネントに第一方向に平行移動の運動をさせ、前記放射線源コンポーネントの位置を調整する平行移動調整ステップと、
第二調節機構を介して前記第二部材が前記第一部材に対して動くように駆動することにより、前記放射線源コンポーネントをある角度範囲内で回転させ、前記放射線源コンポーネントのビーム出射方向を調整する回転調整ステップと、のうちの少なくとも1つを含む
方法。
【請求項16】
前記ベースは、前記第二部材としての上板と前記第一部材としての下板とを含み、上板と下板とが垂直方向に互いに積層されることにより、放射線源コンポーネントが上板の上面に位置決めされ、かつ上板と下板とが互いに運動可能に接続され、
平行移動調整ステップは、第一調節機構により上板及び下板がともに前記機器フレームに対して動くように駆動し、前記放射線源コンポーネントに第一方向に平行移動の運動をさせることを含み、
回転調整ステップは、第二調節機構により前記上板が前記下板に対して回転するように駆動し、前記放射線源コンポーネントを回転させることを含む
請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記下板において前記上板に対向する上面に、直立する軸が設置され、前記上板において前記軸に対応する位置に貫通孔が設置され、前記軸は前記貫通孔を貫通して上向きに延伸し、前記放射線源コンポーネントの対応的な軸孔と係合し、かつ
回転調整ステップは、第二調節機構により前記上板及び前記放射線源コンポーネントが前記軸の周りに回転するように駆動することをさらに含む
請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記第一調節機構は、前記機器フレームに固定される第一支持台と、第一支持台にネジ接続されかつ前記第一部材に接続される第一調節ボルトと、を含み、
平行移動調整ステップは、第一支持台に対して第一調節ボルトを回転させて前記第一部材の平行移動を駆動し、前記第一部材に接続された前記第二部材と当該第二部材に位置決めされた放射線源コンポーネントとを前記第一方向に沿って前記機器フレームに対して平行移動させることを含む
請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記第一部材に長尺状の第一孔が設置され、長尺状の第一孔が前記第一部材を貫通しかつ前記第一方向に延伸し、
調節位置決め装置は、前記第一孔に挿入されかつ締め付けられて前記第一部材を前記機器フレームに取り付ける第一締結部材をさらに含み、かつ
平行移動調整ステップは、前記第一締結部材を緩め、かつ第一調節機構により、前記第一孔の内壁が前記第一締結部材に当接して、第一部材が前記機器フレームに対して平行移動するように駆動することをさらに含む
請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記第二調節機構は、前記機器フレームに固定される第二支持体と、第二支持体と螺合して前記第二部材に接続される第二調節ボルトと、を含み、
回転調整ステップは、第二支持ベースに対して第二調節ボルトを回転させて前記第二部材の回転を駆動し、当該第二部材に位置決めされた放射線源コンポーネントを回転させることを含む
請求項15に記載の方法。
【請求項21】
回転調整ステップは、第二支持ベースに対する第二調節ボルトの回転により、第二部材の回転の円周方向に接する方向に付勢力を前記第二部材に加えることを含む
請求項15に記載の方法。
【請求項22】
前記第一部材に第二孔が設置される、
前記第二部材に長尺状の第三孔が設置され、第三孔が前記第二部材を貫通しかつ前記第一方向と角度をなす方向に延伸し、
調節位置決め装置は、前記第三孔を貫通しかつ前記第二孔を係合することにより、前記第二部材を前記第一部材に締結させる第二締結部材をさらに含み、
回転調整ステップは、前記第二締結部材を緩めることにより、前記第二部材が第二調節機構に駆動されて前記第三孔の内壁が前記第二締結部材に当接して前記第二部材が回転可能にすることを含む
請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施例は一般的に放射検出分野に関し、特に放射線源コンポーネントの平行移動及び回転を実現することができる調節位置決め装置及び方法、及び当該調節位置決め装置を含む放射走査結像機器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばX線のような放射線は工業非破壊検出、安全検査、医学診断及び治療等の分野に広く応用され、例えばCTイメージング又は安全検査に応用され、ここで放射源コンポーネントから放出された放射線は、走査チャネルにおける検査対象物体又は人を走査する。従来の放射安全検査システムにおいて、放射線源コンポーネントを固定するための装置は構造が複雑であり、便利に調節することができず、調整精度が低く、撮像品質に影響を与える。
【発明の概要】
【0003】
従来の技術に存在する上記及び他の問題及び欠陥のうちの少なくとも一種を克服するために、本開示を提供する。
【0004】
本開示の一態様によれば、調節位置決め装置を提出する。調節位置決め装置は、放射走査結像機器の放射線源コンポーネントの方位を調整するために用いられ、当該放射走査結像機器は機器フレームを有する。当該調節位置決め装置は、
ベースであって、互いに接続された第一部材及び第二部材を含み、放射線源コンポーネントを支持することにより、放射線源コンポーネントを第二部材に垂直に位置決めするように構成されるベースと、
前記ベースの第一部材及び前記機器フレームに取り付けられ、ベース全体が前記機器フレームに対して動くように駆動することにより、前記放射線源コンポーネントを第一方向に平行移動の運動をさせ、前記放射線源コンポーネントの位置を調整するように配置される第一調節機構と、
前記ベースの第二部材及び前記機器フレームに取り付けられ、前記第二部材が前記第一部材に対して動くように駆動することにより、前記放射線源コンポーネントをある角度範囲内で回転させ、前記放射線源コンポーネントのビーム出射方向を調整するように配置される第二調節機構と、を含む。
【0005】
いくつかの実施例において、前記ベースは、前記第二部材としての上板及び前記第一部材としての下板を含み、上板と下と板が垂直方向に互いに積層されることにより、放射線源コンポーネントが上板の上面に位置決めされ、かつ上板と下板とが互いに移動可能に接続される。
【0006】
いくつかの実施例において、前記下板において前記上板に対向する上面に、直立する軸が設置され、前記上板において前記軸に対応する位置に貫通孔が設置され、前記軸は、前記貫通孔を貫通して上向きに延伸することにより、前記放射線源コンポーネントの対応的な軸孔に係合され、そのため、前記放射線源コンポーネントと前記上板とは、前記第二調節機構の駆動により前記軸の周りに回転することができる。
【0007】
いくつかの実施例において、前記軸は、その軸線が前記放射線源コンポーネントの垂直軸線とほぼ重なるように位置決めされる。
【0008】
いくつかの実施例において、前記上板において前記下板から離れた上面に、位置決めピンが設置され、当該位置決めピンは前記放射線源コンポーネントの対応的なピン孔に係合され、前記放射線源コンポーネントが前記垂直方向に垂直する平面内で前記上板に対して動くように前記放射線源コンポーネントを位置決めすることを阻止する。
【0009】
いくつかの実施例において、前記第一調節機構は、前記機器フレームに固定する第一支持台と、第一調節ボルトであって、第一支持台に螺合されかつ前記第一部材に接続されることにより、第一支持台に対する第一調節ボルトの回転が前記第一部材の平行移動を駆動し、前記第一部材に接続された前記第二部材と当該第二部材に位置決めされた放射線源コンポーネントとを前記第一方向に沿って前記機器フレームに対して平行移動させる第一調節ボルトと、を含む。
【0010】
いくつかの実施例において、前記第一部材に長尺状の第一孔が設置され、長尺状の第一孔が前記第一部材を貫通しかつ前記第一方向に延伸し、調節位置決め装置は第一締結部材(107)をさらに含み、第一締結部材(107)は、前記第一孔に挿入されかつ締め付けられて前記第一部材を前記機器フレームに取り付けるとともに、前記平行移動の運動期間に緩められることにより、前記第一孔の内壁が前記第一締結部材に当接して前記第一部材を前記機器フレームに対して平行移動可能にするように配置される。
【0011】
いくつかの実施例において、調節位置決め装置は、前記機器フレームに固定され、かつ前記ベースの平行移動の運動をガイドするように構成される平行移動ガイド部材をさらに含む。
【0012】
いくつかの実施例において、前記第二調節機構は、前記機器フレームに固定する第二支持体と、第二調節ボルトであって、第二支持体と螺合しかつ前記第二部材に接続されることにより、第二支持台に対する第二調節ボルトの回転が前記第二部材の回転を駆動し、当該第二部材に位置決めされた放射線源コンポーネントを回転させる第二調節ボルトと、を含む。
【0013】
いくつかの実施例において、第二調節ボルトは、第二支持台の回動に対して、第二部材の周りの前記回動の円周方向に接する方向に力を第二部材に付与するように配置されている。
【0014】
いくつかの実施例において、前記第一部材に第二孔が設置され、前記第二部材に長尺状の第三孔が設置され、第三孔が前記第二部材を貫通しかつ前記第一方向と角度をなす方向に延伸し、調節位置決め装置は、前記第三孔を貫通しかつ前記第二孔に係合することにより前記第二部材を前記第一部材に締結させ、かつ前記回転期間に緩められることにより、前記第三孔の内壁が前記第二締結部材に当接して前記第二部材を回転可能にするように構成される第二締結部材をさらに含む。
【0015】
いくつかの実施例において、長尺状の前記第三孔は前記第二部材の前記軸の周りの回転の円周方向に接する方向に延伸する。
【0016】
いくつかの実施例において、前記第一調節機構は、前記第一部材に固定されかつ前記第一調節ボルトに接続される第三支持台(220)をさらに含む。
【0017】
いくつかの実施例において、前記第二調節機構は、前記第二部材に固定されかつ前記第二調節ボルトに接続される第四支持台(330)をさらに含む。
【0018】
本開示の別の態様によれば、放射走査結像機器を提供する。放射走査結像機器は放射線源コンポーネント及び本開示のいずれかの実施例に記載の調節位置決め装置を含み、放射線源コンポーネントが前記調節位置決め装置に支持され、調節位置決め装置により放射線源コンポーネントの方位を調整する。
【0019】
本開示のさらなる態様によれば、本開示の実施例に記載の調節位置決め装置を用いて放射走査結像機器の放射線源コンポーネントの方位を調整する方法を提供する。当該方法は、
第一調節機構を介してベース全体が前記機器フレームに対して動くように駆動することにより前記放射線源コンポーネントに第一方向に平行移動の運動をさせ、前記放射線源コンポーネントの位置を調整する平行移動調整ステップと、
第二調節機構を介して前記第二部材が前記第一部材に対して動くように駆動することにより前記放射線源コンポーネントをある角度範囲内で回転させ、前記放射線源コンポーネントのビーム出射方向を調整する回転調整ステップと、のうちの少なくとも1つを含む。
【0020】
いくつかの実施例において、平行移動調整ステップは、第一調節機構により上板及び下板がともに前記機器フレームに対して動くように駆動し、前記放射線源コンポーネントに第一方向に平行移動の運動をさせることを含み、回転調整ステップは、第二調節機構により前記上板が前記下板に対して回転するように駆動し、前記放射線源コンポーネントを回転させることを含む。
【0021】
いくつかの実施例において、回転調整ステップは、第二調節機構により前記上板及び前記放射線源コンポーネントが前記軸の周りに回転するように駆動することをさらに含む。
【0022】
いくつかの実施例において、平行移動調整ステップは、第一支持台に対して第一調節ボルトを回転させて前記第一部材の平行移動を駆動し、前記第一部材に接続された前記第二部材と当該第二部材に位置決めされた放射線源コンポーネントとを前記第一方向に沿って前記機器フレームに対して平行移動させることを含む。
【0023】
いくつかの実施例において、平行移動調整ステップは、前記第一締結部材を緩め、かつ第一調節機構により前記第一孔の内壁が前記第一締結部材に当接して、第一部材が前記機器フレームに対して平行移動するように駆動することをさらに含む。
【0024】
いくつかの実施例において、回転調整ステップは、第二支持ベースに対して第二調節ボルトを回転させて前記第二部材の回転を駆動し、当該第二部材に位置決めされた放射線源コンポーネントを回転させることを含む。
【0025】
いくつかの実施例において、回転調整ステップは、第二支持ベースに対する第二調節ボルトの回転により、第二部材の回転の円周方向に接する方向に付勢力を前記第二部材に加えることを含む。
【0026】
いくつかの実施例において、回転調整ステップは、前記第二締結部材を緩めることにより、前記第二部材が第二調節機構の駆動により前記第三孔の内壁が前記第二締結部材に当接するように回転することを可能にすることを含む。
【0027】
以下に図面を参照して本開示に対する詳細な説明を行い、本開示の他の目的及び利点は明らかであり、かつ本開示に対して全面的な理解を助けることができる。
【0028】
図面を参照することにより本開示の特徴及び利点をより明確に理解することができ、図面は例示的なものであり、本開示を制限するものと理解すべきではなく、図面において、
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1図1は、本開示の例示的な実施例に係る放射走査結像機器の一部の構造を示す側面透視図である。
図2図2は、本開示の例示的な実施例に係る放射線源コンポーネントに用いられる調節位置決め装置の構造を示す平面透視図である。
図3A図3Aは、本開示の例示的な実施例に係る放射線源コンポーネントに用いられる調節位置決め装置の上板の構造を示す平面透視図である。
図3B図3Bは、本開示の別の例示的な実施例に係る放射線源コンポーネントに用いられる調節位置決め装置の上板の構造を示す平面透視図である。
図4図4は、本開示の例示的な実施例に係る放射線源コンポーネントに用いられる調節位置決め装置の下板の構造を示す平面透視図である。
図5図5は、本開示の例示的な実施例に係る放射走査結像機器の放射線源コンポーネントの方位を調整する方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下は本開示の実施例における図面を参照して、本開示の実施例における技術案を明確で完全に説明し、明らかに、説明された実施例は、本開示の一部の実施例だけであり、全ての実施例ではない。本開示における実施例に基づいて、当業者が創造的労働を行わずに得られた全ての他の実施例は、いずれも本開示の保護範囲に属する。
【0031】
また、以下の詳細な説明において、説明を容易にするために、多くの具体的な詳細を説明して本開示内容の実施例に対する全面的な理解を提供する。しかしながら、明らかに、一つ又は複数の実施例はこれらの具体的な詳細がない場合に実施されてもよい。他の状況で、従来の構造及び装置は図示の方式で体現されて図面を簡略化する。
【0032】
図1は、本開示の例示的な実施例に係る放射走査結像機器を概略的に示している。例示的な放射走査結像機器は安全検査システムの部品であってもよく、例えばCT結像機器である。放射走査結像機器は、放射走査ビームを生成するための放射装置を含み、例えば放射線ビームを生成するための放射線源コンポーネント10を含み、例えばX線機、同位体放射線源などの放射線源又は放射源を含むことができる。図示の実施例において、放射線源コンポーネント10は、柱状輪郭を有し、例えば略直方体であるが、本開示はこれに限定されず、実際の需要に応じて任意の適切な形式、例えば円柱体を採取することができる。
【0033】
放射走査結像機器は、さらに調節位置決め装置を含み、調節位置決め装置は、放射線源コンポーネント10の方位を調整することにより、放射線源のターゲット位置を調整し、結像品質を改善するために用いられる。図1に示すように、調節位置決め装置はベース100を含み、ベース100は、放射線源コンポーネント10が略垂直に位置決めされてベース100に保持されるように、放射線源コンポーネント10を支持する。本開示の実施例において、ベース100は、第一部材及び第二部材を含み、後述するように、第一部材及び第二部材は互いに運動可能な方式で互いに接続され、例えば第二部材は第一部材に対して回転することができ、第一部材及び第二部材は平行移動方向(第一方向とも呼ばれる)に一緒に又は一体的に移動することができる。いくつかの例示において、放射線源コンポーネントは第二部材に略垂直に位置決めされる。
【0034】
調節位置決め装置はさらに調節機構を含み、調節機構は、ベースの運動を駆動し、さらにベースに支持されかつ保持された放射線源コンポーネントが適切な運動、例えば回転、平行移動等を行うように駆動し、それにより放射線源コンポーネントの方位を調整し、放射線源のターゲット位置を調整することができる。図1及び図2に示すように、調節位置決め装置は第一調節機構200及び第二調節機構300を含み、第一調節機構200及び第二調節機構300は、ベースをそれぞれに駆動することにより、放射線源コンポーネントに異なる形式の運動、例えば回転、平行移動等を行うように駆動するために用いられる。いくつかの実施例において、本開示が提供する調節位置決め装置は、放射線源コンポーネントの平行移動及び回転の独立調節を実現することができる。
【0035】
第一調節機構200は、機器フレームに対するベース全体又はベースの一部の運動を駆動することにより、放射線源コンポーネント10を第一方向に平行移動させ(図1に二方向仮想直線矢印で示すように移動させ)、放射線源コンポーネントの位置を調整する。例示として、第一調節機構は、ベースの第一部材及び放射走査結像機器の機器フレーム(図示せず)に取り付けられてもよく、第一調節機構は第一部材の運動を駆動することにより、ベース又はベースの他の部分(例えば第一部材に接続された第二部材)の運動を駆動し、さらに機器フレームに対する、ベースに位置決めされた放射線源コンポーネントを平行移動させる。
【0036】
第二調節機構300は、ベース100又はその一部の運動を駆動して放射線源コンポーネント10を回転させ(図1に二方向破線矢印で示すように回転させ)、放射線源コンポーネント10のビーム出射方向を調整する。放射線源コンポーネントの回転角度範囲は、実際の需要に応じて設定することができ、いくつかの例において放射線源コンポーネントの回転調整は微調整であり、回転角度は小さく、範囲は例えば±5°、±3°、±1°等である。例示的には、第二調節機構はベースの第二部材及び機器フレームに取り付けられてもよく、第二部材の運動(例えば第一部材に対して回転する)を駆動することにより放射線源コンポーネントを回転させる。
【0037】
また、放射線源コンポーネントの位置決めを実現するために、ベース100に加えて、調節位置決め装置は頂部ブラケット400をさらに含むことができ、図1に示すように、頂部ブラケット400は機器フレームに取り付けられ、放射線源コンポーネント10に接続されてもよく、例えば放射線源コンポーネント10の頂部又は側部に接続される。例示的には、頂部ブラケット400はピン軸401により移動可能に(例えば水平に平行移動可能に)機器フレームに取り付けられ、かつ頂部ブラケット400は放射線源コンポーネント10の運動(例えば回転)を許容するように放射線源コンポーネント10に接続され、例えば軸402と対応的な孔との協力によりこのような接続を実現する。したがって、頂部ブラケットはベースと協力し、放射線源コンポーネントをそれらの間に保持し、放射線源コンポーネントの垂直方向への運動を阻止するが、機器フレームに対する放射線源コンポーネントの運動(例えば回転、水平平行移動)を可能にする。
【0038】
ベースは、様々な形式又は構造を採用して調節機構と協力し、調節機構の駆動に基づいて、それに支持された放射線源コンポーネントを運動させることにより、放射線源のターゲット位置に対する調節を実現し、ターゲット位置の精度を保証し、結像品質を向上させる。図示の実施例において、ベース100は略平板状の第一部材及び第二部材を含み、第一部材及び第二部材は別部品である。図1図4を参照し、ベース100は第二部材としての上板110及び第一部材としての下板120を含み、上板110と下板120は垂直方向に互いに積層され、かつ互いに動く(例えば回転)可能な方式で互いに接続される。また、以下のように、上板110と下板120とは平行移動方向に一緒に又は一体的に移動することができ、例えば下板は上板を一緒に平行移動させる。放射線源コンポーネント10は、上板110の上面に位置決めされている。
【0039】
図2及び図4に示すように、下板120において上板110に対向する上面に軸121が設置され、例えば直立しており、上板110下板120において軸121に対応する位置に貫通孔111が設置され、軸121は、貫通孔111を貫通して上向きに延伸し、放射線源コンポーネント10の対応する軸孔(例えば放射線源コンポーネントの底部に位置する軸孔)に係合され、それにより、上板110及び上板110に位置決めされた放射線源コンポーネント10は第二調節機構300の駆動によって軸121の周りに回転し、回転調節を実現することができる。いくつかの例示において、軸121はその軸線が放射線源コンポーネント10の垂直軸線とほぼ重なるように位置決めされ、それにより、より安定した回転を実現することができる。
【0040】
ベース100での放射線源コンポーネント10の位置決めを実現するために、上板110において下板120から離れた上面に位置決めピン112が設置され、位置決めピン112が放射線源コンポーネント10の対応的なピン孔(例えば放射線源コンポーネントの底部におけるピン孔)に係合され、上板110に対して放射線源コンポーネント10を位置決めすることにより、放射線源コンポーネント10が垂直方向に垂直する平面内で上板110に対して動くことを阻止し、そのため、上板110の運動が放射線源コンポーネント10を一緒に移動するように駆動することができる。例示的には、軸121の周りに複数の位置決めピン112を設置することができる。また、放射線源コンポーネント10が誤って配向されないことを確保するように、複数の位置決めピン112は不規則に配置されてもよい。理解できるように、ベースに対する放射線源コンポーネントの位置決め方式はこれに限定されず、さらに必要に応じて任意の適切な取り外し可能又は取り外し不可能な固定又は位置決め方式、例えば治具などを取ることができる。
【0041】
いくつかの実施例において、図2及び4に示すように、下板120に第一孔127が設置され、第一孔127は下板の厚さ方向(例えば垂直方向)に下板120を貫通する。第一孔127は、例えば長尺孔であり、概ね平行移動方向に沿って延伸する。機器フレームに対して下板120を位置決めするために、調節位置決め装置はさらに第一締結部材107を含み、第一締結部材は、第一孔121内に挿入されかつ機器フレームに締め付けられることにより、下板120を機器フレームに取り付け、例えば下板を機器フレームに取り外し可能に固定する。第一締結部材107は例えばボルト(例えば単一ボルト、又はボルトとナットの組み合わせ)の形式であり、それが締め付けられて下板を機器フレームに押し付けることができる。第一締結部材107は上記平行移動運動の間に緩められ得るが、依然として機器フレームに固定されかつ第一孔127内に挿入されることにより、下板120が機器フレームに対して平行移動することを可能にし、例えば第一孔127の内壁が第一締結部材127に当接する方式で下板120が機器フレームに対して平行移動する。これにより、当該平行移動運動の期間に、第一締結部材は機器フレームに対して平行移動して機器フレームに対して固定され、第一締結部材と長尺状の第一孔との協力により、下部プレートが機器フレームに対して平行移動するようにガイドすることができる。ベース及びその上に支持された放射線源コンポーネントを適切な位置に平行移動した後、第一締結部材を再び締め付けることにより、下板を機器フレームに固定的に押圧するか又は機器フレームに対して下板を固定的に位置決めし、放射線源コンポーネントが動作中に必要な運動を発生することを回避する。
【0042】
第一締結部材と長尺状の第一孔との協力により、機器フレームに対する下板の平行移動をガイドすることができる以外、いくつかの実施例において、図2及び図4に示すように、下板120にさらに追加の長尺孔128が設置されてもよく、長尺孔128は上記平行移動方向に沿って延伸し、長尺孔128に部分的に位置決めされた位置決め部材129が機器フレームに固定され、それにより、長尺孔128と位置決め部材129との協力もこのような平行移動の運動をガイドすることができ、かつ下板が正確に位置決めするか又は取り付けることを確保することができる。
【0043】
図1及び図2に示すように、上板110及び下板120は、第一締結部材107が露出するように構成されるか又は配置され、それにより取り付け及び取り外しに役立ち、そして、平行移動時の調節に役立つ。例えば、いくつかの第一締結部材107及び第一孔107は下板110の露出した角部に配置され、またいくつかの締結部材107は上板110における凹部117により露出する。
【0044】
図1及び図2に示すように、調節位置決め装置は、機器フレームに固定され、ベースの平行移動の運動をガイドする平行移動ガイド部材500をさらに含むことができる。例えば、平行移動ガイド部材500は楔形ベース又はプレートの形式であってもよく、その一側は例えば下板120の平行移動方向に平行に延びる側面に当接し、下板とベースとの平行移動中の揺動又は変位を回避する。例示的には、下板の反対両側にそれぞれ平行移動ガイド部材が設置され、これにより、このような平行移動の運動をより安定的にガイドすることができる。
【0045】
いくつかの実施例において、上板と下板との上記接続は以下の方式で実現することができる。図2図4に示すように、下板120に第二孔123が設置され、上板110において第二孔123に対応する位置に第三孔113が設置され、第三孔113は厚さ方向(又は垂直方向)に上板110を貫通する。例示的には、第三孔113は長尺状であり、かつ前記平行移動方向に対して角度をなして又は傾斜する。調節位置決め装置は、第二締結部材103をさらに含み、第二締結部材103は、第三孔113を貫通して第二孔123に係合することにより、上板110を下板120に締結させ、それにより平行移動の運動の期間に、下板120は上板110を共に平行移動するように駆動することができる。
【0046】
第二締結部材103は例えばボルト(例えば単一ボルト、又はボルトとナットの組み合わせ)を含み、第二孔123はねじ孔であってもよく、第三孔113は内壁が滑らかであるか又はねじ溝がない長尺孔であってもよく、例えば第三孔の幅は、第二締結部材の直径以上であってもよく、それにより第二締結部材は第三孔内で移動するか又はスライドすることができる。これにより、回転する期間に、第二締結部材103を緩めることができ、すなわち下板120に対する上板110の固定を緩めるとともに、第二締結部材103が依然として第三孔113に挿入されかつ第二孔123と係合して下板に対して固定されることを保持することにより、上板110が調節機構の駆動で下板120に対してある角度範囲内で回転することを可能にし、例えば第三孔113の内壁が第二締結部材103に当接する方式で、下板120に固定された軸121の周りに回転し、さらに上板110に位置決めされた放射線源コンポーネント10を適切な角度を回転させ、回転調節を実現する。回転調節が完了した後、第二締結部材103を再び締め付けることにより、上板110が下板120に対して固定され、上板110に位置決めされた放射線源コンポーネント10が動作期間に回転しないことを確保する。
【0047】
いくつかの実施例において、長尺状の第三孔113は、軸120の周りに上板110が回転する円周方向と接する方向にほぼ延伸することができ、第三孔113と第二締結部材103との協力によって、上板の回転をガイドすることができる。例示的には、複数の第三孔は上板の複数の角部に設置されてもよく、各第三孔の延伸方向は互いに異なってもよいが、いずれも上板の回転に沿った円周方向にほぼ接し、上板の回転をガイドすることに役立つ。
【0048】
図1及び図2に示す実施例において、第一調節機構200は、第一支持台210及び第一調節ボルト230を含み、第一支持台210は、機器フレームに取り付けるために用いられ、例えばボルト211により機器フレームに固定され、第一調節ボルト230は、ベースの一部、例えば第一部材又は下板120に接続され、かつ第一支持台210にネジ係合される。それにより、第一支持台210が動かないように保持するため、第一支持台210に対する第一調節ボルト230の回転によって下板120が平行移動され、平行移動方向は第一調節ボルト230の軸線方向と重なり、さらに、下板120に接続された上板110と上板110に位置決めされた放射線源コンポーネント110とが平行移動方向に沿って機器フレームに対して平行移動される。ピッチを合理的に設計することにより、このようなねじ回転は、放射線源コンポーネントの微細な平行移動調節を実現することができる。
【0049】
第一調節ボルトは、下板に直接接続されてもよく、又は図1及び2に示すように、下板120に取り付けられた別の支持台220により下板に接続されてもよい。支持台220は、例えば、下板の孔126に螺合するボルト221によって、下板120に取り外し可能に固定されている。
【0050】
図1及び図2に示すように、第二調節機構300は第二支持台310及び第二調節ボルト320を含み、第二支持台310は、機器フレームに取り付けられ、例えばボルト301により機器フレームに取り外し可能に固定され、第二調節ボルト320は、上板110に接続されかつ第二支持台310にネジ係合される。そのため、第二支持台310に対する第二調節ボルト320の回転は、上板110の回転を駆動し、上板110に位置決めされた放射線源コンポーネント10を軸121の周りに回転させる。ピッチを合理的に設計することにより、このようなねじ回転は放射線源コンポーネントの微細な回転調節を実現することができる。
【0051】
例示的には、第二調節ボルト320の軸線方向は、上板110の回転が沿う円周方向において第二調節ボルトと上板との(直接的又は間接的な)接続位置上の接線方向と重なってもよく又は、当該接線方向に対して僅かに傾斜してもよい。それにより、第二調節ボルトの回転によって、上板の回転を促進する接線方向の力を上板に加えることができ、すなわち、第二支持体に対する第二調節ボルトの回転によって、上板に前記軸の周りに回転する円周方向に接する方向に力が加えられる。いくつかの例示において、第二調節ボルトの軸線方向と下板が移動する方向とは略重なってもよい。
【0052】
第二調節ボルトは上板に直接接続されてもよく、例えば上板の突出部分(図示せず)に接続され、又は、図1及び図2に示すように、上板110に取り付けられた別の支持台330により上板110に接続される。支持台330は、例えば、上板110の側面の孔114に係合されたボルト304により上板110に取り外し可能に固定され、例えばボルト304又はその先端又はナットによって、支持台330を上板110の側面に堅固に押し付ける。支持台330は第二調節ボルト320と一体に接続されてもよく一体になっていてもよい。間隔を空けた2つの第二支持台310を含み、第二調節ボルト320はこの二つの第二支持台310と螺合して、第二支持台310に対して回転することができ、支持台330又は上板の突出部分は、この二つの第二支持台310の間に位置することができる。
【0053】
上記平行移動の運動期間に、第一調節機構200の第一調節ボルト230を回転するとともに、第二調節機構300の第二調節ボルト320を回転することにより、上板110と下板120を共に平行移動させることができる。代わりに、第二調節機構と上板との接続を分離してもよく、例えば、第二調節ボルトと上板との接続を分離し、下板の平行移動によって上板を共に平行移動させる。図3Bの実施例において、上板110の側面における孔114’は、長尺形であり、上記平行移動方向にほぼ沿って延伸する。それにより、平行移動の期間に、ボルト304を少し緩めると、すなわち、上板110の側面での支持台330に対するボルト304の押し当てを緩めると、ボルト304は孔114’内で移動するか又はスライドすることができ、これにより、上板110は、下板120の駆動で支持台330に対して、第二調節機構300に対して平行移動することができる。
【0054】
別の例示において、さらに第二調節ボルトと上板(又は上板に接続された支持台330)との接続構造を合理的に設計することにより、このような接続構造は、上板(又は上板に接続された支持台330)が第二調節ボルトに対して平行移動方向に移動可能又はスライド可能にするが、第二調節ボルトが上板(又は上板に接続された支持台330)に対して回転することを阻止し、それにより、このような接続構造によって、上記平行移動の運動が可能になるだけでなく、第二調節ボルトの回転が上板を駆動して上板を回転させることも可能になる。
【0055】
本発明の実施例は、さらに、説明された調節位置決め装置を採用して、放射走査結像機器の放射線源コンポーネントの方位を調整する方法を提供する。図5に示すように、前記調節位置決め装置を用いて放射走査結像機器の放射線源コンポーネントの方位を調整する方法は、平行移動調整ステップS1及び/又は回転調整ステップS2を含む。例示的には、平行移動調整ステップS1において、第一調節機構200を介して調節位置決め装置のベース100全体が機器フレームに対して移動するように駆動することにより、放射線源コンポーネント10を上記第一方向に平行移動させ、放射線源コンポーネントの位置を調整する。回転調整ステップS2において、第二調節機構300を介して前記第二部材が前記第一部材に対して動くように駆動し、放射線源コンポーネントをある角度範囲内で回転させ、放射線源コンポーネントのビーム出射方向を調整する。前述したように、このような調節位置決め装置を利用して、放射線源コンポーネントの平行移動の運動と回転の運動との独立調節を実現することができる。必要に応じて放射線源コンポーネントの平行移動調整及び回転調整の順序を合理的に設計するか又は配置することができる。例えば、まず平行移動調整ステップを行い、その後、回転調整ステップを行うことができ、逆も同様である。
【0056】
放射線源コンポーネントに対して平行移動調整を行った後、ステップS3において機器フレームに対して(例えば締結部材を介して)機器フレームに固定的に取り付けることができ、それにより、平行移動調整後の放射線源コンポーネントの位置が機器フレームに対して固定される。同様に、放射線源コンポーネントに対して回転調整を行った後、ステップS4において(例えば締結部材を介して)第二部材を第一部材に固定することができ、第二部材が機器フレームに対して固定されることを確保し、さらに第二部材に位置決めされた放射線源コンポーネントのビーム出射方向が機器フレームに対して固定されることを確保する。
【0057】
いくつかの実施例において、平行移動調整ステップは、第一調節機構200を介して上板110及び下板120を機器フレームに対して動くように駆動し、放射線源コンポーネント10を第一方向に平行移動させることを含むことができる。例えば、第一支持台210に対して第一調節ボルト230を回転させて第一部材(例えば、下板120)の平行移動を駆動することにより、第一部材に接続された第二部材(例えば、上板110)と当該第二部材に位置決めされた放射線源コンポーネント10とを前記第一方向に沿って機器フレームに対して平行移動させることができる。
【0058】
いくつかの例示において、第一部材が平行移動する前に、まず第一締結部材107を緩め、次に第一調節機構(例えば第一調節ボルトを回転すること)により第一部材(例えば、下板120)を駆動して、長尺状の第一孔127の内壁が第一締結部材107に当接する方式で第一部材を機器フレームに対して平行移動させ、それによりこのような当接は第一部材の平行移動の運動をガイドすることができる。
【0059】
いくつかの実施例において、回転調整ステップは、第二調節機構300を介して、上板110が下板120に対して回転するように駆動して、放射線源コンポーネント10を回転させることを含むことができる。例示的に、回転調整ステップにおいて、第二調節機構を介して上板及び放射線源コンポーネントを下板に設置された軸121の周りに回転するように駆動することができる。例えば、第二支持台310に対して第二調節ボルト320を回転することにより、第二部材(例えば、上板110)の回転を駆動し、当該第二部材に位置決めされた放射線源コンポーネント10を回転させる。例示的には、第二支持ベース310に対する第二調節ボルト320の回転により、第二部材の回転の円周方向に接する方向に付勢力を第二部材に印加し、第二部材の回転を促進することができる。
【0060】
いくつかの例示において、第二部材が回転する前に、まず、第二締結部材103を緩め、第二部材が第二調節機構300の駆動により、長尺状の第三孔113の内壁が第二締結部材103に当接するように第二部材が回転することが可能となる。例えば、長尺状の第三孔113は第二部材の回転の円周方向に接する方向に延伸し、長尺状の第三孔113の内壁への第二締結部材103の当接によって、第二部材の回転がガイドされる。
【0061】
本開示の実施例を示して説明したが、当業者にとって、本開示の原理及び精神から逸脱することなくこれらの実施例を変更することができ、本開示の範囲は添付の請求の範囲及びその均等物によって限定される。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5