(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-29
(45)【発行日】2024-03-08
(54)【発明の名称】双方向DC/DCコンバータ及びその制御方法、装置、記憶媒体
(51)【国際特許分類】
H02M 3/28 20060101AFI20240301BHJP
【FI】
H02M3/28 H
(21)【出願番号】P 2022534291
(86)(22)【出願日】2021-12-20
(86)【国際出願番号】 CN2021139739
(87)【国際公開番号】W WO2022193765
(87)【国際公開日】2022-09-22
【審査請求日】2022-06-06
(31)【優先権主張番号】202110283689.3
(32)【優先日】2021-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】100159329
【氏名又は名称】三縄 隆
(72)【発明者】
【氏名】林 ▲龍▼珍
(72)【発明者】
【氏名】▲顔▼ ▲ユ▼
(72)【発明者】
【氏名】高 ▲錦▼▲鳳▼
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ ▲偉▼
【審査官】佐藤 匡
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-096519(JP,A)
【文献】特開2020-108260(JP,A)
【文献】国際公開第2017/213029(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
双方向DC/DCコンバータの制御方法であって、ソース側は順に前記双方向DC/DCコンバータの第1整流モジュール及び第2整流モジュールによってターゲット側に電気エネルギーを伝送し、
現在の制御周期で第1整流モジュールが出力する第1電圧値を取得するステップと、
現在の制御周期で第2整流モジュールが出力する第2電圧値を取得するステップと、
所定の参照電圧値及び前記第2電圧値に応じて現在の制御周期における前記双方向DC/DCコンバータの理論電圧制御量を計算するステップと、
前記理論電圧制御量及び前記第1電圧値に応じて次の制御周期における前記双方向DC/DCコンバータの実際出力電圧を設定するステップと、を含
み、
所定の参照電圧値及び前記第2電圧値に応じて前記現在の制御周期における前記双方向DC/DCコンバータの理論電圧制御量を計算する前記ステップは、
現在の制御周期と次の制御周期の電圧制御量の第1関係を取得するステップと、
前記所定の参照電圧及び次の制御周期の電圧制御量に応じて追跡誤差の評価関数を設定するステップと、
前記所定の参照電圧値、前記第2電圧値、前記第1関係及び前記評価関数に応じて現在の制御周期における前記双方向DC/DCコンバータの理論電圧制御量を計算するステップと、を含む双方向DC/DCコンバータの制御方法。
【請求項2】
前記理論電圧制御量及び前記第1電圧値に応じて次の制御周期における前記双方向DC/DCコンバータの実際出力電圧を設定する前記ステップは、
前記理論電圧制御量及び前記第1電圧値に応じてスイッチング信号を生成し、次の制御周期における前記双方向DC/DCコンバータの実際出力電圧を制御するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記理論電圧制御量及び前記第1電圧値に応じてスイッチング信号を生成する前記ステップは、
前記理論電圧制御量と前記第1電圧値とを比較してスイッチング信号を生成するステップであって、前記スイッチング信号は、前記第1整流モジュールの制御端子に送信されて前記第1整流モジュールが次の制御周期で出力する第1電圧値を調整し、さらに次の制御周期における前記双方向DC/DCコンバータの実際出力電圧を制御することに用いられるステップを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記理論電圧制御量及び前記第1電圧値に応じて次の制御周期における前記双方向DC/DCコンバータの実際出力電圧を設定する前記ステップは、
前記理論電圧制御量及び前記第1電圧値をヒステリシスコンパレータに出力して比較を行って、スイッチング信号を生成するステップであって、前記スイッチング信号は、前記第1整流モジュールの制御端子に送信されて前記第1整流モジュールが次の制御周期で出力する第1電圧値を調整し、さらに次の制御周期における前記双方向DC/DCコンバータの実際出力電圧を制御することに用いられるステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1整流モジュールは第1ブリッジアーム及び第2ブリッジアームを備え、
前記理論電圧制御量及び前記第1電圧値に応じて次の制御周期における前記双方向DC/DCコンバータの実際出力電圧を設定する前記ステップは、
前記理論電圧制御量と前記第1電圧値とを比較して次の制御周期の第1スイッチング信号及び第2スイッチング信号を得るステップを含み、前記第1スイッチング信号は前記第1ブリッジアームの上部ブリッジアームと第2ブリッジアームの下部ブリッジアームのオンとオフを制御することに用いられ、前記第2スイッチング信号は前記第1ブリッジアームの下部ブリッジアームと前記第2ブリッジアームの上部ブリッジアームのオンとオフを制御することに用いられる、請求項3又は4に記載の方法。
【請求項6】
現在の制御周期において、前記第1電圧値が第1区間にあると、次の制御周期において、前記第1ブリッジアームの上部ブリッジアームと前記第2ブリッジアームの下部ブリッジアームはオンになり、前記第1ブリッジアームの下部ブリッジアームと前記第2ブリッジアームの上部ブリッジアームはオフになり、
現在の制御周期において、前記第1電圧値が第2区間にあると、次の制御周期において、前記第1ブリッジアームの上部ブリッジアームと前記第2ブリッジアームの下部ブリッジアームはオフになり、前記第1ブリッジアームの下部ブリッジアームと前記第2ブリッジアームの上部ブリッジアームはオンになる、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1電圧値は制御周期ごとに1つの谷値V11及び1つのピーク値V22を含み、
前記第1区間は(-Uc1_off,Vl1]と[Vl1,Uc1_off)の和集合であり、
前記第2区間は[V22,Uc1_off)と(Uc1_off,V22]の和集合であり、Uc1_offは理論電圧制御量である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記所定の参照電圧値、前記第2電圧値、前記第1関係及び前記評価関数に応じて現在の制御周期における前記双方向DC/DCコンバータの理論電圧制御量を計算する前記ステップは、
前記第1関係及び前記評価関数に応じて所定の計算式を得るステップと、
前記所定の計算式、前記第2電圧値及び前記所定の参照電圧に応じて、次の制御周期における前記双方向DC/DCコンバータの電圧追跡誤差を最も小さくする理論電圧制御量を計算するステップと、を含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項9】
所定の参照電圧値及び前記第2電圧値に応じて現在の制御周期における前記双方向DC/DCコンバータの理論電圧制御量を計算する前記ステップは、
式U
c1_off(k)=[C
1U
0(k)U
ref-C
1U
0
2(k)*(1-Ts/R
LC1)-4C
ossV
in
2]/(4C
1V
in)に応じて次の制御周期における前記双方向DC/DCコンバータの電圧追跡誤差を最も小さくする理論電圧制御量を計算するステップを含み、
Uc1_off(k)は現在の制御周期の理論電圧制御量であり、C1は第1コンデンサの容量値であり、前記第1整流モジュールは順に第1コンデンサによって前記第2整流モジュールに接続され、U0(k)は現在の制御周期の第2電圧値、Urefは参照電圧値、Tsは制御周期の期間、Vinは第1電圧値であり、Cossは第1スイッチングトランジスタ、第2スイッチングトランジスタ、第3スイッチングトランジスタ及び第4スイッチングトランジスタの寄生容量値であり、RLは前記第2整流モジュールの出力負荷抵抗の抵抗値であり、前記第2スイッチングトランジスタ及び前記第3スイッチングトランジスタは前記第1ブリッジアームを構成し、前記第1スイッチングトランジスタ及び前記第4スイッチングトランジスタは第2ブリッジアームを構成する、請求項5に記載の方法。
【請求項10】
双方向DC/DCコンバータであって、
接続された第1直流電力を第1交流電力に変換して出力する第1整流モジュールと、
一次側が第1コンデンサによって前記第1整流モジュールに接続され、前記第1交流電力を受信し、二次側が第2交流電力を出力する変圧器と、
前記二次側に接続され、前記第2交流電力を整流し、整流された第2直流電力を出力する第2整流モジュールと、
前記第2整流モジュールの出力端子及び前記第1コンデンサの入力端子にそれぞれ接続され、現在の制御周期で第1整流モジュールが出力する第1電圧値及び第2直流電力の第2電圧値を取得し、
現在の制御周期と次の制御周期の電圧制御量の第1関係を取得し、
所定の参照電圧及び次の制御周期の電圧制御量に応じて追跡誤差の評価関数を設定し、前記所定の参照電圧値、前記第2電圧値、前記第1関係及び前記評価関数に応じて現在の制御周期における前記双方向DC/DCコンバータの理論電圧制御量を計算し、次の制御周期の電圧追跡誤差を低減させ、前記理論電圧制御量及び前記第1電圧値に応じて次の制御周期における前記第2整流モジュールの実際出力電圧を設定する制御モジュールと、を備える、双方向DC/DCコンバータ。
【請求項11】
前記制御モジュールは、
前記第1コンデンサ及び前記第1整流モジュールに接続され、第1電圧値を取得する第1サンプリングユニットと、
前記第2整流モジュールの出力端子に接続され、第2電圧値を取得する第2サンプリングユニットと、
前記第2サンプリングユニットに接続され、前記参照電圧値及び前記第2電圧値に応じて現在の制御周期の理論電圧制御量を計算し、次の制御周期の電圧追跡誤差を低減させることに用いられる予測コントローラと、
前記第1サンプリングユニット及び前記予測コントローラに接続され、前記理論電圧制御量と前記第1電圧値とを比較し、比較結果に基づいてスイッチング信号を生成し、前記スイッチング信号を前記第1整流モジュールの制御端子に送信することに用いられる比較ユニットと、を備える、請求項
10に記載の双方向DC/DCコンバータ。
【請求項12】
前記比較ユニットはヒステリシスコンパレータである、請求項
11に記載の双方向DC/DCコンバータ。
【請求項13】
前記第1整流モジュールは第1ブリッジアーム及び第2ブリッジアームを備え、
前記第1ブリッジアームは第1スイッチングトランジスタ及び第3スイッチングトランジスタを備え、
前記第2ブリッジアームは第2スイッチングトランジスタ及び第4スイッチングトランジスタを備え、
前記第1スイッチングトランジスタの入力端子と前記第2スイッチングトランジスタの入力端子は接続され、ソース側の正極と接続することに用いられ、前記第3スイッチングトランジスタの出力端子と前記第4スイッチングトランジスタの出力端子は接続され、ソース側の負極と接続することに用いられ、前記第1スイッチングトランジスタの出力端子は前記第3スイッチングトランジスタの入力端子に接続され、前記第1コンデンサによって前記変圧器の一次側の正端子に接続され、前記第2スイッチングトランジスタの出力端子は前記第4スイッチングトランジスタの入力端子に接続され、且つ前記変圧器の一次側の負端子に接続され、
前記制御モジュールは前記第1スイッチングトランジスタ、第2スイッチングトランジスタ、第3スイッチングトランジスタ及び第4スイッチングトランジスタの制御端子にそれぞれ接続される、請求項
10に記載の双方向DC/DCコンバータ。
【請求項14】
現在の制御周期において、前記第1電圧値が第1区間にあると、次の制御周期において、前記第1スイッチングトランジスタと第4スイッチングトラン
ジスタはオンになり、前記第2スイッチングトランジスタと第3スイッチングトランジスタはオフになり、
現在の制御周期において、前記第1電圧値が第2区間にあると、次の制御周期において、前記第1スイッチングトランジスタと第4スイッチングトランジスタはオフになり、第2スイッチングトランジスタと第3スイッチングトランジスタはオンになる、請求項
13に記載の双方向DC/DCコンバータ。
【請求項15】
前記第1電圧値は制御周期ごとに1つの谷値V11及び1つのピーク値V22を含み、前記第1区間は(-Uc1_off,Vl1]と[Vl1,Uc1_off)の和集合であり、
前記第2区間は[V22,Uc1_off)と(Uc1_off,V22]の和集合であり、Uc1_offは理論電圧制御量である、請求項
14に記載の双方向DC/DCコンバータ。
【請求項16】
前記理論電圧制御量は、関係式
U
c1_off(k)=[C
1U
0(k)U
ref-C
1U
0
2(k)*(1-Ts/
R
LC1)-4C
ossV
in
2]/(4C
1V
in)を満たし、次の制御周期における前記双方向DC/DCコンバータの電圧追跡誤差を最も小さくする現在の制御周期の理論電圧制御量を計算し、
Uc1_off(k)は現在の制御周期の理論電圧制御量であり、C1は第1コンデンサの容量値であり、前記第1整流モジュールは順に第1コンデンサによって前記第2整流モジュールに接続され、U0(k)は現在の制御周期の第2電圧値、Urefは参照電圧値、Tsは制御周期の期間、Vin
は直流電圧の電圧値であり、Cossは第1スイッチングトランジスタ、第2スイッチングトランジスタ、第3スイッチングトランジスタ及び第4スイッチングトランジスタの寄生容量値であり、RLは前記第2整流モジュールの出力負荷抵抗の抵抗値である、請求項
15に記載の双方向DC/DCコンバータ。
【請求項17】
双方向DC/DCコンバータの制御装置であって、ソース側は順に前記双方向DC/DCコンバータの第1整流モジュール及び第2整流モジュールによってターゲット側に電気エネルギーを伝送し、
現在の制御周期で第1整流モジュールが出力する第1電圧値を取得することに用いられる第1取得モジュールと、
現在の制御周期で第2整流モジュールが出力する第2電圧値を取得することに用いられる第2取得モジュールと、
次の制御周期の電圧追跡誤差を低減させるように、所定の参照電圧値及び前記第2電圧値に応じて現在の制御周期における前記双方向DC/DCコンバータの理論電圧制御量を計算することに用いられる計算モジュールと、
前記理論電圧制御量及び前記第1電圧値に応じて次の制御周期における前記双方向DC/DCコンバータの実際出力電圧を設定することに用いられる制御モジュールと、を備え、
前記計算モジュールは、現在の制御周期と次の制御周期の電圧制御量の第1関係を取得し、
前記所定の参照電圧及び次の制御周期の電圧制御量に応じて追跡誤差の評価関数を設定し、
前記所定の参照電圧値、前記第2電圧値、前記第1関係及び前記評価関数に応じて現在の制御周期における前記双方向DC/DCコンバータの理論電圧制御量を計算する、双方向DC/DCコンバータの制御装置。
【請求項18】
記憶媒体であって、コンピュータプログラムが記憶されており、前記コンピュータプログラムがプロセッサにより実行されると、請求項1-
9のいずれか一項に記載の方法を実行する、記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、2021年03月16日に提出された名称が「双方向DC/DCコンバータ及びその制御方法、装置、記憶媒体」の中国特許出願2021102836893の優先権を主張し、該出願の全内容は引用により本明細書に組み込まれている。
【0002】
本願は電池充電の技術分野に関し、具体的には、双方向DC/DCコンバータ及びその制御方法、装置、記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0003】
CLLLC絶縁型双方向DC/DCコンバータは、その優れたソフトスイッチング特性、及び高効率のために車両に広く使用されている。このタイプのトポロジーの主流の変調戦略はFM変調+PI制御である。しかしながら、このような制御戦略は様々な作業条件及び負荷条件に応じてPIパラメータを何度も調整する必要があり、且つ動的性能が低く、PIコントローラが出力する制御量であるスイッチング周波数は負荷が広範囲に切り替えられるとき、周波数ホッピング現象が生じる。また、回路のパッシブ素子の数が多すぎ、回路モードが複雑であるため、従来の制御戦略では回路のダイナミクスを記述する数学モデルを正確に確立することは困難であり、誤差が大きい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本願の実施例は、次の制御周期の電圧追跡誤差を減少させることができる双方向DC/DCコンバータ及びその制御方法、装置、記憶媒体を提供することを目的とする。且つ、PIパラメータを使用して制御を行う必要がなく、出力される理論電圧制御量は周波数ではなくスイッチング信号であるため、切り替え時における周波数ホッピング現象を回避することができる。
【0005】
第1態様によれば、本願の実施例は双方向DC/DCコンバータの制御方法を提供し、ソース側は順に前記双方向DC/DCコンバータの第1整流モジュール及び第2整流モジュールによってターゲット側に電気エネルギーを伝送し、前記方法は、現在の制御周期で第1整流モジュールが出力する第1電圧値を取得するステップと、現在の制御周期で第2整流モジュールが出力する第2電圧値を取得するステップと、所定の参照電圧値及び前記第2電圧値に応じて現在の制御周期における前記双方向DC/DCコンバータの理論電圧制御量を計算するステップと、前記理論電圧制御量及び前記第1電圧値に応じて次の制御周期における前記双方向DC/DCコンバータの実際出力電圧を設定するステップと、を含む。
【0006】
本願の実施例に係る双方向DC/DCコンバータ制御方法は、所定の参照電圧値及び前記第2電圧値に基づいて次の制御周期の電圧追跡誤差を最も小さくする又は比較的小さくする理論電圧制御量を計算し、次に、該理論電圧制御量及び第1整流モジュールが出力する第1電圧値と組み合わせて該双方向DC/DCコンバータの次の給電の実際出力電圧を調整し、それにより次の制御周期の電圧追跡誤差を減少させる有益な効果を実現し、また、PIパラメータを使用して制御を行う必要がなく、出力される理論電圧制御量は周波数ではなくスイッチング信号であるため、切り替え時における周波数ホッピング現象を回避できる。
【0007】
いくつかの実施例では、前記理論電圧制御量及び前記第1電圧値に応じて次の制御周期における前記双方向DC/DCコンバータの実際出力電圧を設定する前記ステップは、前記理論電圧制御量及び前記第1電圧値に応じてスイッチング信号を生成し、次の制御周期における前記双方向DC/DCコンバータの実際出力電圧を制御するステップを含む。
【0008】
いくつかの実施例では、前記理論電圧制御量及び前記第1電圧値に応じてスイッチング信号を生成する前記ステップは、前記理論電圧制御量と前記第1電圧値とを比較してスイッチング信号を生成するステップであって、前記スイッチング信号は、前記第1整流モジュールの制御端子に送信されて前記第1整流モジュールが次の制御周期で出力する第1電圧値を制御し、さらに次の制御周期における前記双方向DC/DCコンバータの実際出力電圧を制御することに用いられるステップを含む。本願の実施例は、スイッチング信号を生成し、次の制御周期における該第1整流モジュールの出力電圧を制御し、さらに次の制御周期における該双方向DC/DCコンバータの実際出力電圧を制御することで、次の制御周期の追跡誤差を低減させることができる。
【0009】
いくつかの実施例では、前記理論電圧制御量及び前記第1電圧値に応じて次の制御周期における前記双方向DC/DCコンバータの実際出力電圧を設定する前記ステップは、前記電圧制御量及び前記第1電圧値をヒステリシスコンパレータに出力して比較を行ってスイッチング信号を生成するステップと、前記スイッチング信号は前記第1整流モジュールの制御端子に出力されて前記第1整流モジュールが次の制御周期で出力する第1電圧値を調整し、さらに次の制御周期における前記双方向DC/DCコンバータの実際出力電圧を制御することに用いられるステップと、を含む。本願の実施例は、従来技術に比べて、スイッチング周波数情報を生成し、次に対応するスイッチング信号に変換する必要がなく、発振器の使用を減少させることができ、コストを削減させ、効率を向上させることができる。
【0010】
いくつかの実施例では、前記第1整流モジュールは第1ブリッジアーム及び第2ブリッジアームを備え、前記理論電圧制御量及び前記第1電圧値に応じて次の制御周期における前記双方向DC/DCコンバータの実際出力電圧を設定する前記ステップは、前記電圧制御量と前記第1電圧値とを比較して次の制御周期の第1スイッチング信号及び第2スイッチング信号を得るステップを含み、前記第1スイッチング信号は前記第1ブリッジアームの上部ブリッジアームと第2ブリッジアームの下部ブリッジアームのオンとオフを制御することに用いられ、前記第2スイッチング信号は前記第1ブリッジアームの下部ブリッジアームと前記第2ブリッジアームの上部ブリッジアームのオンとオフを制御することに用いられる。
【0011】
いくつかの実施例では、現在の制御周期において、前記第1電圧値が第1区間にあると、次の制御周期において、前記第1ブリッジアームの上部ブリッジアームと第2ブリッジアームの下部ブリッジアームはオンになり、前記第1ブリッジアームの下部ブリッジアームと前記第2ブリッジアームの上部ブリッジアームはオフになり、現在の制御周期において、前記第1電圧値が第2区間にあると、次の制御周期において、前記第1ブリッジアームの上部ブリッジアームと第2ブリッジアームの下部ブリッジアームはオフになり、前記第1ブリッジアームの下部ブリッジアームと前記第2ブリッジアームの上部ブリッジアームはオンになる。
【0012】
いくつかの実施例では、前記第1電圧値は制御周期ごとに1つの谷値V11及び1つのピーク値V22を含み、前記第1区間は(-Uc1_off,Vl1]と[Vl1,Uc1_off)の和集合であり、前記第2区間は[V22,Uc1_off)と(Uc1_off,V22]の和集合であり、Uc1_offは理論電圧制御量である。
【0013】
いくつかの実施例では、所定の参照電圧値及び前記第2電圧値に応じて現在の制御周期における前記双方向DC/DCコンバータの理論電圧制御量を計算する前記ステップは、現在の制御周期と次の制御周期の電圧制御量の第1関係を取得するステップと、前記所定の参照電圧及び次の周期の電圧制御量に応じて追跡誤差の評価関数を設定するステップと、所定の参照電圧値、前記第2電圧値、前記第1関係及び前記評価関数に応じて現在の制御周期における前記双方向DC/DCコンバータの理論電圧制御量を計算するステップと、を含む。
【0014】
いくつかの実施例では、所定の参照電圧値、前記第2電圧値、前記第1関係及び前記評価関数に応じて現在の制御周期における前記双方向DC/DCコンバータの理論電圧制御量を計算する前記ステップは、前記第1関係及び前記評価関数に応じて所定の計算式を得るステップと、前記所定の計算式、前記第2電圧値及び前記所定の参照電圧に応じて、次の制御周期における前記双方向DC/DCコンバータの電圧追跡誤差を最も小さくする理論電圧制御量を計算するステップと、を含む。
【0015】
いくつかの実施例では、所定の参照電圧値及び前記第2電圧値に応じて現在の制御周期における前記双方向DC/DCコンバータの理論電圧制御量を計算する前記ステップは、式Uc1_off(k)=[C1U0(k)Uref-C1U0
2(k)*(1-Ts/RLC1)-4CossVin
2]/(4C1Vin)に応じて次の制御周期における前記双方向DC/DCコンバータの電圧追跡誤差を最も小さくする理論電圧制御量を計算するステップを含み、Uc1_off(k)は現在の制御周期の理論電圧制御量であり、C1は第1コンデンサの容量値であり、前記第1整流モジュールは順に第1コンデンサによって前記第2整流モジュールに接続され、U0(k)は現在の制御周期の第2電圧値、Urefは参照電圧値、Tsは前記制御周期の期間、Vinは前記直流電圧の電圧値であり、Cossは第1スイッチングトランジスタ、第2スイッチングトランジスタ、第3スイッチングトランジスタ及び第4スイッチングトランジスタの寄生容量値であり、RLは前記第2整流モジュールの出力負荷抵抗の抵抗値であり、前記第2スイッチングトランジスタ及び前記第3スイッチングトランジスタは前記第1ブリッジアームを構成し、前記第1スイッチングトランジスタ及び前記第4スイッチングトランジスタは第2ブリッジアームを構成する。
【0016】
第2態様によれば、本願の実施例は双方向DC/DCコンバータをさらに提供し、接続された第1直流電力を第1交流電力に変換して出力する第1整流モジュールと、一次側が第1コンデンサによって前記第1整流モジュールに接続され、前記第1交流電力を受信し、二次側が第2交流電力を出力する変圧器と、前記二次側に接続され、前記第2交流電力を整流し、整流された第2直流電力を出力する第2整流モジュールと、前記第2整流モジュールの出力端子及び前記第1コンデンサの入力端子にそれぞれ接続され、現在の制御周期で第1整流モジュールが出力する第1電圧値及び第2直流電力の第2電圧値を取得し、所定の参照電圧値及び前記第2電圧値に応じて現在の制御周期における前記双方向DC/DCコンバータの理論電圧制御量を計算し、次の制御周期の電圧追跡誤差を低減させ、前記理論電圧制御量及び前記第1電圧値に応じて次の制御周期における前記第2整流モジュールの実際出力電圧を設定する制御モジュールと、を備える。
【0017】
本願の実施例に係る双方向DC/DCコンバータは、所定の参照電圧値及び前記第2電圧値に基づいて次の制御周期の電圧追跡誤差を最も小さくする又は比較的小さくする理論電圧制御量を計算し、次に、該理論電圧制御量及び第1整流モジュールが出力する第1電圧値と組み合わせて該双方向DC/DCコンバータの次の給電の実際出力電圧を調整し、それにより次の制御周期の電圧追跡誤差を減少させる有益な効果を実現し、また、PIパラメータを使用して制御を行う必要がなく、出力される理論電圧制御量は周波数ではなくスイッチング信号であるため、切り替え時における周波数ホッピング現象を回避でき、また、従来技術に比べて、スイッチング周波数情報を生成し、次に対応するスイッチング信号に変換する必要がなく、発振器の使用を減少させることができ、コストを削減させ、効率を向上させることができる。
【0018】
いくつかの実施例では、前記制御モジュールは、前記第1コンデンサ及び前記第1整流モジュールに接続され、第1電圧値を取得する第1サンプリングユニットと、前記第2整流モジュールの出力端子に接続され、第2電圧値を取得する第2サンプリングユニットと、前記第2サンプリングユニットに接続され、前記参照電圧値及び前記第2電圧値に応じて現在の制御周期の理論電圧制御量を計算し、次の制御周期の電圧追跡誤差を低減させることに用いられる予測コントローラと、前記第1サンプリングユニット及び前記予測コントローラに接続され、前記理論電圧制御量と前記第1電圧値とを比較し、比較結果に基づいてスイッチング信号を生成し、前記スイッチング信号を前記第1整流モジュールの制御端子に送信することに用いられる比較ユニットと、を備える。
【0019】
いくつかの実施例では、前記比較ユニットはヒステリシスコンパレータである。
【0020】
いくつかの実施例では、前記第1整流モジュールは第1ブリッジアーム及び第2ブリッジアームを備え、前記第1ブリッジアームは第1スイッチングトランジスタ及び第3スイッチングトランジスタを備え、前記第2ブリッジアームは第2スイッチングトランジスタ及び第4スイッチングトランジスタを備え、前記第1スイッチングトランジスタの入力端子と前記第2スイッチングトランジスタの入力端子は接続され、ソース側の正極と接続することに用いられ、前記第3スイッチングトランジスタの出力端子と前記第4スイッチングトランジスタの出力端子は接続され、ソース側の負極と接続することに用いられ、前記第1スイッチングトランジスタの出力端子は前記第3スイッチングトランジスタの入力端子に接続され、前記第1コンデンサによって前記変圧器の一次側の正端子に接続され、前記第2スイッチングトランジスタの出力端子は前記第4スイッチングトランジスタの入力端子に接続され、且つ前記変圧器の一次側の負端子に接続され、前記制御モジュールは前記第1スイッチングトランジスタ、第2スイッチングトランジスタ、第3スイッチングトランジスタ及び第4スイッチングトランジスタの制御端子にそれぞれ接続される。
【0021】
いくつかの実施例では、現在の制御周期において、前記第1電圧値が第1区間にあると、次の制御周期において、前記第1スイッチングトランジスタと第4スイッチングトランジスタはオンになり、前記第2スイッチングトランジスタと第3スイッチングトランジスタはオフになり、現在の制御周期において、前記第1電圧値が第2区間にあると、次の制御周期において、前記第1スイッチングトランジスタと第4スイッチングトランジスタはオフになり、第2スイッチングトランジスタと第3スイッチングトランジスタはオンになる。
【0022】
いくつかの実施例では、前記第1電圧値は制御周期ごとに1つの谷値V11及び1つのピーク値V22を含み、前記第1区間は(-Uc1_off,Vl1]と[Vl1,Uc1_off)の和集合であり、前記第2区間は[V22,Uc1_off)と(Uc1_off,V22]の和集合であり、Uc1_offは理論電圧制御量である。
【0023】
いくつかの実施例では、前記理論電圧制御量は関係式Uc1_off(k)=[C1U0(k)Uref-C1U0
2(k)*(1-Ts/RLC1)-4CossVin
2]/(4C1Vin)を満たし、次の制御周期における前記双方向DC/DCコンバータの電圧追跡誤差を最も小さくする現在の制御周期の理論電圧制御量を計算し、Uc1_off(k)は現在の制御周期の理論電圧制御量であり、C1は第1コンデンサの容量値であり、前記第1整流モジュールは順に第1コンデンサによって前記第2整流モジュールに接続され、U0(k)は現在の制御周期の第2電圧値、Urefは参照電圧値、Tsは前記制御周期の期間、Vinは前記直流電圧の電圧値であり、Cossは第1スイッチングトランジスタ、第2スイッチングトランジスタ、第3スイッチングトランジスタ及び第4スイッチングトランジスタの寄生容量値であり、RLは前記第2整流モジュールの出力負荷抵抗の抵抗値である。
【0024】
第3態様によれば、本願の実施例は双方向DC/DCコンバータの制御装置をさらに提供し、ソース側は順に前記双方向DC/DCコンバータの第1整流モジュール及び第2整流モジュールによってターゲット側に電気エネルギーを伝送し、前記装置は、現在の制御周期で第1整流モジュールが出力する第1電圧値を取得することに用いられる第1取得モジュールと、現在の制御周期で第2整流モジュールが出力する第2電圧値を取得することに用いられる第2取得モジュールと、次の制御周期の電圧追跡誤差を低減させるように、所定の参照電圧値及び前記第2電圧値に応じて現在の制御周期における前記双方向DC/DCコンバータの理論電圧制御量を計算することに用いられる計算モジュールと、前記理論電圧制御量及び前記第1電圧値に応じて次の制御周期における前記双方向DC/DCコンバータの実際出力電圧を設定することに用いられる制御モジュールと、を備える。
【0025】
第4態様によれば、本願の実施例は記憶媒体をさらに提供し、コンピュータプログラムが記憶されており、前記コンピュータプログラムがプロセッサによって実行されると、第1態様のいずれか一項に記載の方法を実行する。
【0026】
上記説明は単に本願の技術案の概要であり、本願の技術的手段をより明確に理解するために、明細書の内容に従って実施することができ、本願の上記及びほかの目的、特徴及び利点をより明確でわかりやすくするために、以下、本願の具体的な実施形態を例示する。
【0027】
以下の好適実施形態の詳細な説明を閲覧することによって、ほかの様々な利点及び長所は当業者にとって明らかになる。図面は好適実施形態を示すことを目的とするためのものであり、本願を限定するものではない。すべての図面において、同じ符号は同じ部材を示す。図面において、
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本願の実施例における双方向DC/DCコンバータの第1の構造模式図である。
【
図2】本願の実施例における双方向DC/DCコンバータの第2の構造模式図である。
【
図3】本願の実施例における双方向DC/DCコンバータの主制御モジュールの構造図である。
【
図4】本願の実施例における双方向DC/DCコンバータの波形図である。
【
図5】本願の実施例における双方向DC/DCコンバータの制御方法のフローチャートである。
【
図6】本願の実施例における双方向DC/DCコンバータの制御装置の構造図である。
【
図7】本願の実施例における電子機器の構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照しながら本願の技術案の実施例を詳細に説明する。以下の実施例は単に本願の技術案をより明確に説明することに用いられるため、単に例示的なものであり、本願の保護範囲を限定するものではない。
【0030】
特に定義されていない限り、本明細書で使用されるすべての技術及び科学用語は当業者が通常理解する意味と同じであり、本明細書で使用される用語は単に具体的な実施例を説明することを目的とし、本願を限定するものではない。本願の明細書、特許請求の範囲及び上記図面の簡単な説明における用語「備える」、「有する」及びそれらの任意の変形は、非排他的な包含をカバーすることを意図する。
【0031】
本願の実施例の説明では、技術用語「第1」、「第2」などは単に異なる対象を区別することに用いられ、相対的な重要性を指示又は暗示したり、指示される技術的特徴の数、特定の順序又は主従関係を暗黙的に示したりするものではないと理解すべきである。本願の実施例の説明では、特に明確に限定されていない限り、「複数」の意味は2つ以上である。
【0032】
本願における「実施例」への言及は、実施例を参照して説明される特定の特徴、構造又は特性が本願の少なくとも1つの実施例に含まれてもよいことを意味する。明細書の様々な場所で該用語が出現することは、必ずしもすべてが同じ実施例を指すわけではなく、ほかの実施例と相互に排他的に独立した又は候補の実施例でもない。当業者が明示的及び暗黙的に理解できるように、本明細書で説明された実施例はほかの実施例と組み合わせることができる。
【0033】
本願の実施例の説明では、用語「及び/又は」は、単に関連対象の関連関係を説明し、3種の関係が存在することを示し、例えば、A及び/又はBは、Aのみが存在すること、A及びBの両方が存在すること、Bのみが存在することという3種の場合を示してもよい。また、本明細書における文字「/」は、一般的に前後の関連対象が「又は」の関係であることを示す。
【0034】
本願の実施例の説明では、用語「複数」とは、2つ以上(2つを含む)を意味し、同様に、「複数組」とは、2組以上(2組を含む)を意味し、「複数枚」とは、2枚以上(2枚を含む)を意味する。
【0035】
本願の実施例の説明では、技術用語「中心」、「縦方向」、「横方向」、「長さ」、「幅」、「厚さ」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」、「時計回り」、「反時計回り」、「軸方向」、「径方向」、「周方向」などで指示される方位又は位置関係は図示に基づく方位又は位置関係であり、本願の実施例を説明しやすくし説明を簡素化するためのものに過ぎず、係る装置又は素子が必ず特定の方位を有したり、特定の方位で構成及び操作されたりすることを指示又は暗示するものではなく、従って、本願の実施例を制限しないと理解すべきである。
【0036】
本願の実施例の説明では、特に明確な規定及び限定がない限り、技術用語「取り付け」、「連結」、「接続」、「固定」などは広義に理解すべきであり、例えば、固定的接続、取り外し可能な接続、又は一体的な接続であってもよく、機械的接続、電気的接続であってもよく、直接接続、中間媒体を介する間接的接続、2つの素子の内部の連通又は2つの素子の相互作用関係であってもよい。当業者であれば、具体的な状況に応じて本願の実施例における上記用語の具体的な意味を理解することができる。
【0037】
図1に示すように、
図1は本願の実施例における双方向DC/DCコンバータの構造図である。該双方向DC/DCコンバータ100は第1整流モジュール101、第2整流モジュール102、第1コンデンサC1、変圧器104及び主制御モジュール105を備える。該第1整流モジュール101、該第1コンデンサC1、該変圧器104及び該第2整流モジュール102は順に接続される。該主制御モジュール105は該第1コンデンサ及び該第1整流モジュール101のノードに接続され、該主制御モジュール105は該第2整流モジュール102の出力端子に接続され、該主制御モジュール105はさらに該第1整流モジュール101の制御端子に接続される。ソース側200は該第1整流モジュール101の入力端子に接続され、ターゲット側300は該第2整流モジュール102の出力端子に接続される。該ソース側200は該双方向DC/DCコンバータ100によって該ターゲット側300に電気エネルギーを伝送する。
【0038】
該ソース側200は直流電源であってもよく、ターゲット側300は充電対象の電池パックであってもよい。
【0039】
該第1整流モジュール101は該ソース側200が入力する第1直流電力を受信し、該第1直流電力を第1交流電力に変換して出力することに用いられる。該第1交流電力は該第1コンデンサC1によって該変圧器104に伝送され、電圧上昇又は電圧降下変化を経た第1交流電力は該第2整流モジュール102に入力され、該第1交流電力は該第2整流モジュール102によって整流されて対応する第2直流電力を出力し、該第2直流電力は該ターゲット側に入力される。
【0040】
該主制御モジュール105は第1整流モジュールが現在の制御周期で出力する第1交流電力の第1電圧値及び第2直流電力の第2電圧値を取得することに用いられ、所定の参照電圧値及び前記第2電圧値に応じて現在の制御周期における前記双方向DC/DCコンバータの理論電圧制御量を計算し、次の制御周期の電圧追跡誤差を低減させ、理論電圧制御量及び第1電圧値に応じて次の制御周期における前記第2整流モジュール102の実際出力電圧である次の制御周期における該DC/DCコンバータの実際出力電圧を設定することに用いられる。
【0041】
以下、回路図を参照しながら該双方向DC/DCコンバータを詳細に説明する。
【0042】
図2に示すように、該第1整流モジュール101は第1ブリッジアーム及び第2ブリッジアームを備える。該第1ブリッジアームは第1スイッチングトランジスタS1及び第3スイッチングトランジスタS3を備える。該第1スイッチングトランジスタS1は該第1ブリッジアームの上部ブリッジアーム、該第3スイッチングトランジスタS3は該第1ブリッジアームの下部ブリッジアームである。該第2ブリッジアームは第2スイッチングトランジスタS2及び第4スイッチングトランジスタS4を備える。該第2スイッチングトランジスタS2は該第2ブリッジアームの上部ブリッジアーム、該第4スイッチングトランジスタS4は該第2ブリッジアームの下部ブリッジアームである。該第1スイッチングトランジスタS1の入力端子と前記第2スイッチングトランジスタS2の入力端子は接続され、ソース側の正極と接続することに用いられ、前記第3スイッチングトランジスタS3の出力端子と前記第4スイッチングトランジスタS4の出力端子は接続され、ソース側の負極と接続することに用いられ、前記第1スイッチングトランジスタS1の出力端子は前記第3スイッチングトランジスタS3の入力端子に接続され、前記第1コンデンサC1によって前記変圧器104の一次側の正端子に接続され、前記第2スイッチングトランジスタS2の出力端子は前記第4スイッチングトランジスタS4の入力端子に接続され、且つ前記変圧器104の一次側の負端子に接続される。主制御モジュール105は前記第1スイッチングトランジスタS1、第2スイッチングトランジスタS2、第3スイッチングトランジスタS3及び第4スイッチングトランジスタS4の制御端子にそれぞれ接続される。
【0043】
本実施例では、該第1スイッチングトランジスタS1、第2スイッチングトランジスタS2、第3スイッチングトランジスタS3及び第4スイッチングトランジスタS4はいずれもPMOSトランジスタであり、勿論、NMOSトランジスタ又はほかのタイプのスイッチングトランジスタを使用してもよい。該第1スイッチングトランジスタS1、第2スイッチングトランジスタS2、第3スイッチングトランジスタS3及び第4スイッチングトランジスタS4はいずれもPMOSトランジスタであり、寄生容量はいずれもCossでマークされる。該第1スイッチングトランジスタS1と該第4スイッチングトランジスタS4のスイッチング状態は同じであり、該第2スイッチングトランジスタS2と該第3スイッチングトランジスタS3のスイッチング状態は同じであり、該第1スイッチングトランジスタS1と該第2スイッチングトランジスタS2のスイッチング状態は反対である。
【0044】
いくつかの実施例では、該第2整流モジュール102は第5スイッチングトランジスタQ1、第6スイッチングトランジスタQ2、第7スイッチングトランジスタQ3及び第8スイッチングトランジスタQ4を備えてもよい。該第5スイッチングトランジスタQ1及び該第7スイッチングトランジスタQ3は該第2整流モジュール102の第3ブリッジアームを構成し、該第6スイッチングトランジスタQ2及び第8スイッチングトランジスタQ4は該第2整流モジュール102の第4ブリッジアームを構成する。
【0045】
該第5スイッチングトランジスタQ1の入力端子は該第6スイッチングトランジスタQ2の入力端子に接続され、且つターゲット側の正極に接続され、該第5スイッチングトランジスタQ1の出力端子は該第7スイッチングトランジスタQ3の入力端子に接続され、且つ該変圧器104の二次側の正端子に接続される。該第7スイッチングトランジスタQ3の出力端子は該第8スイッチングトランジスタQ4の出力端子に接続され、且つ該ターゲット側の負極に接続される。該第6スイッチングトランジスタQ2の出力端子は該第8スイッチングトランジスタQ4の入力端子に接続され、且つ該変圧器104の二次側の負端子に接続される。
【0046】
第5スイッチングトランジスタQ1、第6スイッチングトランジスタQ2、第7スイッチングトランジスタQ3及び第8スイッチングトランジスタQ4はいずれもPMOSトランジスタであり、ダイオードとして使用されることに相当する。該第5スイッチングトランジスタQ1、第6スイッチングトランジスタQ2、第7スイッチングトランジスタQ3及び第8スイッチングトランジスタQ4の寄生容量はCossである。
【0047】
いくつかの実施例では、該双方向DC/DCコンバータは第1インダクタL1、第2インダクタL2、第2コンデンサC2、フィルタリングコンデンサC0及び出力負荷抵抗RLをさらに備える。
該第1インダクタL1の一端は該第1スイッチングトランジスタ及び第3スイッチングトランジスタの共通ノードに接続され、該第1インダクタL1の他端は該第1コンデンサC1の一端に接続され、該第1コンデンサC1の他端は該変圧器104の一次側の正端子に接続される。該第1インダクタL1は該第1コンデンサC1とともにLC共振回路を構成してもよい。
【0048】
該第2インダクタL2の一端は該変圧器104の二次側の正端子に接続され、該第2インダクタL2の他端は該第2コンデンサC2の一端に接続され、該第2コンデンサC2の他端は該第5スイッチングトランジスタ及び第7スイッチングトランジスタの共通ノードに接続される。該第2インダクタL2は該第2コンデンサC2とともにLC共振回路を構成する。
【0049】
いくつかの実施例では、該主制御モジュール105の各機能は1つのチップ内に集積されてもよく、コンピュータプログラムの方式に基づいて該主制御モジュール105の各機能を実現する。例えば、電池管理システムに集積されてもよい。
【0050】
別のいくつかの実施例では、
図3に示すように、該主制御モジュール105は、第1サンプリングユニット1051、第2サンプリングユニット1052、予測コントローラ1053及び比較ユニット1054を備えてもよい。
【0051】
該第1サンプリングユニット1051は前記第1コンデンサC1及び前記第1整流モジュール101の共通ノードに接続され、第1電圧値を取得する。第2サンプリングユニット1052は前記第2整流モジュール102の出力端子に接続され、第2電圧値を取得する。予測コントローラ1053は前記第2サンプリングユニット1052に接続され、前記参照電圧値及び前記第2電圧値に応じて現在の制御周期の理論電圧制御量を計算し、次の制御周期の電圧追跡誤差を低減させることに用いられ、比較ユニット1054は前記第1サンプリングユニット1051及び前記予測コントローラ1053に接続され、前記理論電圧制御量と前記第1電圧値とを比較し、比較結果に基づいてスイッチング信号を生成し、前記スイッチング信号を前記第1整流モジュール101の制御端子に送信することに用いられる。
【0052】
該第1サンプリングユニット1051は一般的なサンプリングシングルチャネルであってもよく、例えば、分圧式サンプリング回路と対応するアナログデジタル変換器との組み合わせであり、分圧式サンプリング回路は該第1コンデンサC1の入力端子の電圧を検出し、次に該アナログデジタル変換器によってデジタル信号に変換して第1電圧値を得る。勿論、これに限定されない。
【0053】
該第2サンプリングユニット1052は一般的なサンプリングシングルチャネルであり、例えば、分圧式サンプリング回路と対応するアナログデジタル変換器との組み合わせであり、分圧式サンプリング回路は該第2整流モジュール102の出力端子の電圧を検出し、次に該アナログデジタル変換器によってデジタル信号に変換して第2電圧値を得る。
【0054】
該予測コントローラ1053はチップであってもよく、該予測コントローラの機能をコンピュータの形式で電池管理システムに集積してもよい。
【0055】
該予測コントローラ1053は以下の式によって次の制御周期における前記双方向DC/DCコンバータの電圧追跡誤差を最も小さくする又は比較的小さくする現在の制御周期の理論電圧制御量を計算してもよい。
【0056】
Uc1_off(k)=[C1U0(k)Uref-C1U0
2(k)*(1-TS/RLC1)-4CossVin
2]/(4C1Vin)
【0057】
Uc1_off(k)は現在の制御周期の理論電圧制御量であり、C1は第1コンデンサの容量値であり、前記第1整流モジュールは順に第1コンデンサ及び変圧器によって前記第2整流モジュールに接続され、U0(k)は現在の制御周期の第2電圧値、Urefは参照電圧値、TSは前記制御周期の期間、Vinは第1直流電圧の電圧値であり、Cossは第1スイッチングトランジスタS1、第2スイッチングトランジスタS2、第3スイッチングトランジスタS3及び第4スイッチングトランジスタS4の寄生容量値であり、RLは前記第2整流モジュール102の出力負荷抵抗の抵抗値であり、前記第1スイッチングトランジスタS1及び前記第3スイッチングトランジスタS3は前記第1ブリッジアームを構成し、前記第2スイッチングトランジスタS2及び前記第4スイッチングトランジスタS4は第2ブリッジアームを構成する。
【0058】
該比較ユニット1054は、例えば、ヒステリシスコンパレータなどのコンパレータを使用してもよい。該スイッチング信号は第1スイッチング信号及び第2スイッチング信号を含んでもよい。第1スイッチング信号は該第1スイッチングトランジスタ及び第4スイッチングトランジスタの制御端子に出力され、第2スイッチング信号は該第2スイッチングトランジスタ及び第3スイッチングトランジスタの制御端子に出力され、第1スイッチング信号と第2スイッチング信号は逆相信号である。
【0059】
図4に示すように、現在の制御周期において、前記第1電圧値が第1区間にあると、次の制御周期において、前記第1ブリッジアームの上部ブリッジアームと第2ブリッジアームの下部ブリッジアームはオンになり(S1とS4はオンになり)、前記第1ブリッジアームの下部ブリッジアームと第2ブリッジアームの上部ブリッジアームはオフになり(S2とS3はオフになり、)、現在の制御周期において、前記第1電圧値が第2区間にあると、次の制御周期において、前記第1ブリッジアームの上部ブリッジアームと第2ブリッジアームの下部ブリッジアームはオフになり(S1とS4はオフになり)、前記第1ブリッジアームの下部ブリッジアームと第2ブリッジアームの上部ブリッジアームはオンになる(S2とS3はオンになる)。
【0060】
第1電圧値は制御周期ごとに1つの谷値V11及び1つのピーク値V22を含み、第1区間は(-Uc1_off,Vl1]と[Vl1,Uc1_off)の和集合であり、第2区間は[V22,Uc1_off)と(Uc1_off,V22]の和集合であり、Uc1_offは理論電圧制御量である。
【0061】
1つの周期TSにおいて該双方向DC/DCコンバータに入力される平均入力電流Iinは式(1)で示されてもよい。
【0062】
Iin=(4C1Uc1_off+8CossVin)/TS=4C1Uc1_offfS+8CossVinfS…(1)
【0063】
該fS=1/TSである。
【0064】
従って、入力電力Pinは式(2)で示されてもよい。
【0065】
Pin=(4C1Uc1_offfS+8CossVinfS)Vin…(2)。
【0066】
該双方向DC/DCコンバータの伝送効率が1であり、出力PouがPin=Poutを満たすとすると、1つの制御周期における共振空洞(第1インダクタL1、第1コンデンサC1、変圧器、第2インダクタL2、及び第2コンデンサC2からなる)の平均出力電流Ioutは式(3)で示されてもよい。
【0067】
Iout=Pout/U0=(4C1Uc1_offfSVin+8CossVinfSVin)/U0…(3)。
【0068】
以上からわかるように、式(3)のUc1_offを除き、残りはいずれも既知の量であり、この場合、Uc1_offを制御することによってIoutの値を制御することができる。
【0069】
後段の第2整流モジュールの出力負荷抵抗RLとフィルタリングコンデンサC0とで構成されるRC回路に対して、式(4)のように微分モデリングを行うようにしてもよい。
【0070】
C0dU0/dt+U0/RL=Iout…(4)
【0071】
RLは出力負荷抵抗RLの抵抗値であり、U0は第2整流モジュールが出力する第2直流電力の第2電圧値である。
【0072】
フォワードオイラー法の展開式(4)を使用して、式(5)を得る。
【0073】
C0U0(k+1)-U0(k)/TS+U0(k)/RL=Iout(k)…(5)。
【0074】
kは回路が安定状態で動作する1つの制御周期であり、k+1はKに対応する制御周期の次の制御周期をマークし、展開して式(6)を得ることができる。
【0075】
U0(k+1)=(1-TS/RLC0)*U0(k)+Iout(k)*TS/C0…(6)。
【0076】
式(6)によって、k制御周期の回路パラメータに応じて次の制御周期の出力電圧をリアルタイムで予測することができ、Iout(k)は式(3)から与えられてもよい。以上の分析に基づいて、参照電圧Urefに対する出力電圧のリアルタイムな追跡を実現し、且つ追跡誤差を最も小さくするために、最適化評価関数を式(7)に設定する。
【0077】
Jopt={U0(k+1)-Uref}2…(7)。
【0078】
式(7)に応じて、次の制御周期の電圧追跡誤差Joptを最も小さくする制御量を算出することができ、すなわち、
Uc1_off(k)=[C1U0(k)Uref-C1U0
2(k)*(1-TS/RLC1)-4CossVin
2]/(4C1Vin)である。
【0079】
以上の式に応じて、次の制御周期の電圧追跡誤差を最も小さくする現在の制御周期の理論電圧制御量を算出することができる。
【0080】
以上からわかるように、本願の実施例に係る双方向DC/DCコンバータは、所定の参照電圧値及び前記第2電圧値に基づいて次の制御周期の電圧追跡誤差を最も小さくする又は比較的小さくする理論電圧制御量を計算し、次に、該理論電圧制御量及び第1整流モジュールが出力する第1電圧値と組み合わせて該双方向DC/DCコンバータの次の給電の実際出力電圧を調整し、それにより次の制御周期の電圧追跡誤差を減少させる有益な効果を実現し、また、すべての作業条件で非常に迅速な動的応答を得ることができ、予測制御はパラメータ調整をスムーズに回避でき、各制御周期に理論電圧制御量を直接計算し、出力される理論電圧制御量は周波数ではなくスイッチング信号であり、それによりパルス周波数変調器を使用して対応するスイッチング信号を生成する必要がなく、遅延を低減させ、デバイスのコストを削減させることができる。
【0081】
図5に示すように、
図5は本願のいくつかの実施例における双方向DC/DCコンバータの制御方法であり、上記いずれかの実施例における双方向DC/DCコンバータの主制御モジュールに用いられる。該双方向DC/DCコンバータの制御方法は、以下のステップS201~S204を含む。
S201、現在の制御周期で第1整流モジュールが出力する第1電圧値を取得する。
【0082】
S202、現在の制御周期で第2整流モジュールが出力する第2電圧値を取得し、ソース側は順に前記第1整流モジュール及び前記第2整流モジュールによってターゲット側に電気エネルギーを伝送する。
【0083】
S203、所定の参照電圧値及び前記第2電圧値に応じて現在の制御周期における前記双方向DC/DCコンバータの理論電圧制御量を計算する。
【0084】
S204、前記理論電圧制御量及び前記第1電圧値に応じて次の制御周期における前記双方向DC/DCコンバータの実際出力電圧を設定する。
【0085】
該ステップS201では、該第1電圧値は、第1サンプリングユニットが対応するノードの電圧に対してサンプリング及びアナログデジタル変換を行うことで得られてもよい。
【0086】
該ステップS202では、第2電圧値は、第2サンプリングユニットが該第2整流モジュールの出力ノードの電圧に対してサンプリング及びアナログデジタル変換を行うことで得られてもよい。
【0087】
該ステップS203では、上記実施例で推論された式を使用して該理論電圧制御量を計算してもよい。該式は以下の通りである。
【0088】
Uc1_off(k)=[C1U0(k)Uref-C1U0
2(k)*(1-TS/RLC1)-4CossVin
2]/(4C1Vin)
【0089】
次の制御周期における前記双方向DC/DCコンバータの電圧追跡誤差を最も小さくする又は比較的小さくする現在の制御周期の理論電圧制御量を計算する。Uc1_off(k)は現在の制御周期の理論電圧制御量であり、C1は第1コンデンサの容量値であり、前記第1整流モジュールは順に第1コンデンサ及び変圧器によって前記第2整流モジュールに接続され、U0(k)は現在の制御周期の第2電圧値、Urefは参照電圧値、TSは前記制御周期の期間、Vinは第1直流電圧の電圧値であり、Cossは第1スイッチングトランジスタS1、第2スイッチングトランジスタS2、第3スイッチングトランジスタS3及び第4スイッチングトランジスタS4の寄生容量値であり、RLは前記第2整流モジュール102の出力負荷抵抗の抵抗値であり、前記第1スイッチングトランジスタS1及び前記第3スイッチングトランジスタS3は前記第1ブリッジアームを構成し、前記第2スイッチングトランジスタS2及び前記第4スイッチングトランジスタS4は第2ブリッジアームを構成する。
【0090】
いくつかの実施例では、該ステップS203は、S1031、現在の制御周期と次の制御周期の電圧制御量の第1関係を取得するサブステップと、S1032、前記所定の参照電圧及び次の周期の電圧制御量に応じて追跡誤差の評価関数を設定するサブステップと、S1033、所定の参照電圧値、前記第2電圧値、前記第1関係及び前記評価関数に応じて現在の制御周期における前記双方向DC/DCコンバータの理論電圧制御量を計算するサブステップと、を含む。
【0091】
該ステップS1031では、該第1関係は上記実施例における式である。
【0092】
U0(k+1)=(1-TS/RLC0)*U0(k)+Iout(k)*TS/C0
【0093】
該ステップS1032では、評価関数は上記実施例におけるJopt={U0(k+1)-Uref}2であり、Joptが最も小さいと、最小追跡誤差を得る。
【0094】
該ステップS1033では、まず、前記第1関係及び前記評価関数に応じて所定の計算式を得て、次に、前記所定の計算式、前記第2電圧値及び前記所定の参照電圧に応じて、次の制御周期における前記双方向DC/DCコンバータの電圧追跡誤差を最も小さくする理論電圧制御量を計算する。該所定の式は、
Uc1_off(k)=[C1U0(k)Uref-C1U0
2(k)*(1-TS/RLC1)-4CossVin
2]/(4C1Vin)である。
【0095】
該ステップS204では、スイッチング信号を出力して該第1整流モジュールの各スイッチングトランジスタのオンとオフを調整することによって次の制御周期の実際出力電圧を調整する目的を達成する。
【0096】
いくつかの実施例では、該ステップS204は、前記理論電圧制御量及び前記第1電圧値に応じてスイッチング信号を生成し、次の制御周期における前記双方向DC/DCコンバータの実際出力電圧を制御するステップを含んでもよい。該スイッチング信号は1つの信号であってもよく、複数の信号であってもよく、それにより第1整流モジュールの各スイッチングトランジスタのスイッチング制御を実現する。
【0097】
いくつかの実施例では、前記理論電圧制御量及び前記第1電圧値に応じてスイッチング信号を生成する前記ステップは、前記理論電圧制御量と前記第1電圧値とを比較してスイッチング信号を生成するステップであって、前記スイッチング信号は、前記第1整流モジュールの制御端子に送信されて前記第1整流モジュールが次の制御周期で出力する第1電圧値を制御し、さらに次の制御周期における前記双方向DC/DCコンバータの実際出力電圧を制御することに用いられるステップを含む。
【0098】
該第1整流モジュールは第1整流ブリッジ及び第2整流ブリッジを備えるため、該制御信号は第1制御信号及び第2制御信号を含む。
【0099】
該ステップS204は具体的には、前記電圧制御量と前記第1電圧値とを比較して次の制御周期の第1スイッチング信号及び第2スイッチング信号を得て、前記第1スイッチング信号は前記第1ブリッジアームの上部ブリッジアームと第2ブリッジアームの下部ブリッジアームのオンとオフを制御することに用いられ、前記第2スイッチング信号は前記第1ブリッジアームの下部ブリッジアームと前記第2ブリッジアームの上部ブリッジアームのオンとオフを制御することに用いられる。該第1ブリッジアームの上部ブリッジアームは第1スイッチングトランジスタ、第1ブリッジアームの下部ブリッジアームは第3スイッチングトランジスタ、該第2ブリッジアームの上部ブリッジアームは第2スイッチングトランジスタ、該第2ブリッジアームの下部ブリッジアームは第4スイッチングトランジスタである。
【0100】
前記第1電圧値が第1区間にあると、次の制御周期において、前記第1ブリッジアームの上部ブリッジアームと第2ブリッジアームの下部ブリッジアームはオンになり、前記第1ブリッジアームの下部ブリッジアームと前記第2ブリッジアームの上部ブリッジアームはオフになり、現在の制御周期において、前記第1電圧値が第2区間にあると、次の制御周期において、前記第1ブリッジアームの上部ブリッジアームと第2ブリッジアームの下部ブリッジアームはオフになり、前記第1ブリッジアームの下部ブリッジアームと前記第2ブリッジアームの上部ブリッジアームはオンになる。
【0101】
該第1電圧値は制御周期ごとに1つの谷値V11及び1つのピーク値V22を含み、第1区間は(-Uc1_off,Vl1]と[Vl1,Uc1_off)の和集合であり、第2区間は[V22,Uc1_off)と(Uc1_off,V22]の和集合であり、Uc1_offは理論電圧制御量である。
【0102】
以上からわかるように、本願の実施例に係る双方向DC/DCコンバータの制御方法は、現在の制御周期で第1整流モジュールが出力する第1電圧値を取得し、現在の制御周期で第2整流モジュールが出力する第2電圧値を取得し、ソース側は順に前記第1整流モジュール及び前記第2整流モジュールによってターゲット側に電気エネルギーを伝送し、所定の参照電圧値及び前記第2電圧値に応じて現在の制御周期における前記双方向DC/DCコンバータの理論電圧制御量を計算し、前記理論電圧制御量及び前記第1電圧値に応じて次の制御周期における前記双方向DC/DCコンバータの実際出力電圧を設定し、それにより、次の制御周期の電圧追跡誤差を減少させる有益な効果を実現し、また、すべての作業条件で非常に迅速な動的応答を得ることができる。
【0103】
図6に示すように、
図6は本願のいくつかの実施例における双方向DC/DCコンバータの制御装置の構造図である。該装置は第1取得モジュール301、第2取得モジュール302、計算モジュール303及び制御モジュール304を備える。
【0104】
該第1取得モジュール301は現在の制御周期で第1整流モジュールが出力する第1電圧値を取得することに用いられ、該第1電圧値は、第1サンプリングユニットが対応するノードの電圧に対してサンプリング及びアナログデジタル変換を行うことで得られてもよい。
【0105】
該第2取得モジュール302は、現在の制御周期で第2整流モジュールが出力する第2電圧値を取得することに用いられ、ソース側は順に前記第1整流モジュール及び前記第2整流モジュールによってターゲット側に電気エネルギーを伝送し、第2電圧値は、第2サンプリングユニットが該第2整流モジュールの出力ノードの電圧に対してサンプリング及びアナログデジタル変換を行うことで得られてもよい。
【0106】
該計算モジュール303は、次の制御周期の電圧追跡誤差を低減させるように、所定の参照電圧値及び前記第2電圧値に応じて現在の制御周期における前記双方向DC/DCコンバータの理論電圧制御量を計算することに用いられ、上記実施例で推論された式を使用して該理論電圧制御量を計算してもよい。該式は以下の通りである。
【0107】
Uc1_off(k)=[C1U0(k)Uref-C1U0
2(k)*(1-TS/RLC1)-4CossVin
2]/(4C1Vin)
【0108】
次の制御周期における前記双方向DC/DCコンバータの電圧追跡誤差を最も小さくする又は比較的小さくする現在の制御周期の理論電圧制御量を計算する。Uc1_off(k)は現在の制御周期の理論電圧制御量であり、C1は第1コンデンサの容量値であり、前記第1整流モジュールは順に第1コンデンサ及び変圧器によって前記第2整流モジュールに接続され、U0(k)は現在の制御周期の第2電圧値、Urefは参照電圧値、TSは前記制御周期の期間、Vinは第1直流電圧の電圧値であり、Cossは第1スイッチングトランジスタS1、第2スイッチングトランジスタS2、第3スイッチングトランジスタS3及び第4スイッチングトランジスタS4の寄生容量値であり、RLは前記第2整流モジュール102の出力負荷抵抗の抵抗値であり、前記第1スイッチングトランジスタS1及び前記第3スイッチングトランジスタS3は前記第1ブリッジアームを構成し、前記第2スイッチングトランジスタS2及び前記第4スイッチングトランジスタS4は第2ブリッジアームを構成する。
【0109】
該制御モジュール304は、前記理論電圧制御量及び前記第1電圧値に応じて次の制御周期における前記双方向DC/DCコンバータの実際出力電圧を設定することに用いられる。スイッチング信号を出力して該第1整流モジュールの各スイッチングトランジスタのオンとオフを調整することによって次の制御周期の実際出力電圧を調整する目的を達成する。
【0110】
いくつかの実施例では、該制御モジュール304は、前記理論電圧制御量及び前記第1電圧値に応じてスイッチング信号を生成し、次の制御周期における前記双方向DC/DCコンバータの実際出力電圧を制御することに用いられる。該スイッチング信号は1つの信号であってもよく、複数の信号であってもよく、それにより第1整流モジュールの各スイッチングトランジスタのスイッチング制御を実現する。
【0111】
いくつかの実施例では、前記理論電圧制御量及び前記第1電圧値に応じてスイッチング信号を生成する前記ステップは、前記理論電圧制御量と前記第1電圧値とを比較してスイッチング信号を生成するステップであって、前記スイッチング信号は、前記第1整流モジュールの制御端子に送信されて前記第1整流モジュールが次の制御周期で出力する第1電圧値を制御し、さらに次の制御周期における前記双方向DC/DCコンバータの実際出力電圧を制御することに用いられるステップを含む。
【0112】
該第1整流モジュールは第1整流ブリッジ及び第2整流ブリッジを備えるため、該制御信号は第1制御信号及び第2制御信号を含む。
【0113】
該制御モジュール304は、前記電圧制御量と前記第1電圧値とを比較して次の制御周期の第1スイッチング信号及び第2スイッチング信号を得ることに用いられ、前記第1スイッチング信号は前記第1ブリッジアームの上部ブリッジアームと第2ブリッジアームの下部ブリッジアームのオンとオフを制御することに用いられ、前記第2スイッチング信号は前記第1ブリッジアームの下部ブリッジアームと前記第2ブリッジアームの上部ブリッジアームのオンとオフを制御することに用いられる。該第1ブリッジアームの上部ブリッジアームは第1スイッチングトランジスタ、第1ブリッジアームの下部ブリッジアームは第3スイッチングトランジスタ、該第2ブリッジアームの上部ブリッジアームは第2スイッチングトランジスタ、該第2ブリッジアームの下部ブリッジアームは第4スイッチングトランジスタである。
【0114】
前記第1電圧値が第1区間にあると、次の制御周期において、前記第1ブリッジアームの上部ブリッジアームと第2ブリッジアームの下部ブリッジアームはオンになり、前記第1ブリッジアームの下部ブリッジアームと前記第2ブリッジアームの上部ブリッジアームはオフになり、現在の制御周期において、前記第1電圧値が第2区間にあると、次の制御周期において、前記第1ブリッジアームの上部ブリッジアームと第2ブリッジアームの下部ブリッジアームはオフになり、前記第1ブリッジアームの下部ブリッジアームと前記第2ブリッジアームの上部ブリッジアームはオンになる。
【0115】
該第1電圧値は制御周期ごとに1つの谷値V11及び1つのピーク値V22を含み、第1区間は(-Uc1_off,Vl1]と[Vl1,Uc1_off)の和集合であり、第2区間は[V22,Uc1_off)と(Uc1_off,V22]の和集合であり、Uc1_offは理論電圧制御量である。
【0116】
以上からわかるように、本願の実施例に係る双方向DC/DCコンバータの制御装置は、現在の制御周期で第1整流モジュールが出力する第1電圧値を取得し、現在の制御周期で第2整流モジュールが出力する第2電圧値を取得し、ソース側は順に前記第1整流モジュール及び前記第2整流モジュールによってターゲット側に電気エネルギーを伝送し、所定の参照電圧値及び前記第2電圧値に応じて現在の制御周期における前記双方向DC/DCコンバータの理論電圧制御量を計算し、前記理論電圧制御量及び前記第1電圧値に応じて次の制御周期における前記双方向DC/DCコンバータの実際出力電圧を設定し、それにより次の制御周期の電圧追跡誤差を減少させる有益な効果を実現し、また、すべての作業条件で非常に迅速な動的応答を得ることができる。
【0117】
図7は本願の実施例に係る電子機器の構造模式図であり、本願は電子機器4を提供し、プロセッサ401とメモリ402とを備え、プロセッサ401とメモリ402は通信バス403及び/又はほかの形態の接続機構(図示せず)によって相互接続され且つ相互通信し、メモリ402はプロセッサ401に実行可能なコンピュータプログラムが記憶され、コンピューティング機器が運転すると、プロセッサ401は該コンピュータプログラムを実行し、実行時、上記実施例のいずれかの選択可能な実施形態における方法を実行する。
【0118】
本願の実施例は記憶媒体を提供し、前記コンピュータプログラムがプロセッサにより実行されると、上記実施例のいずれかの選択可能な実施形態における方法を実行する。記憶媒体は、例えば、スタティックランダムアクセスメモリ(Static Random Access Memory、SRAMと略称)、電気的消去可能なプログラマブル読み出し専用メモリ(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory、EEPROMと略称)、消去可能なプログラマブル読み出し専用メモリ(Erasable Programmable Read Only Memory、EPROMと略称)、プログラマブル読み出し専用メモリ(Programmable Read-Only Memory、PROMと略称)、読み出し専用メモリ(Read-Only Memory、ROMと略称)、磁気メモリ、フラッシュメモリ、磁気ディスク又は光ディスクなど任意のタイプの揮発性又は不揮発性記憶装置又はそれらの組み合わせによって実現されてもよい。
【0119】
最後に、説明する必要がある点として、以上の各実施例は単に本願の技術案を説明するために用いられ、それを限定するためのものではない。上記各実施例を参照して本願を詳細に説明したが、当業者が理解できるように、上記各実施例に記載の技術案を変更したり、又はその一部又はすべての技術的特徴に対して同等置換を行ったりすることができ、これらの変更や置換は、対応する技術案の趣旨を本願の各実施例の技術案の範囲から逸脱させることがなく、本願の特許請求の範囲及び明細書の範囲に含まれるべきである。特に、構造上の矛盾がない限り、各実施例で言及される各技術的特徴は任意に組み合わせることができる。本願は明細書に開示されている特定の実施例に限定されることなく、特許請求の範囲に属するすべての技術案を含む。
【符号の説明】
【0120】
101 第1整流モジュール
102 第2整流モジュール
104 変圧器
105 主制御モジュール
200 ソース側
300 ターゲット側