(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-29
(45)【発行日】2024-03-08
(54)【発明の名称】エンドカバー組立体、電池セル、電池パック、装置及び液体注入方法
(51)【国際特許分類】
H01M 50/645 20210101AFI20240301BHJP
H01M 50/15 20210101ALI20240301BHJP
H01M 50/103 20210101ALI20240301BHJP
【FI】
H01M50/645
H01M50/15
H01M50/103
(21)【出願番号】P 2022541653
(86)(22)【出願日】2021-04-26
(86)【国際出願番号】 CN2021089810
(87)【国際公開番号】W WO2021233080
(87)【国際公開日】2021-11-25
【審査請求日】2022-07-05
(31)【優先権主張番号】202010426530.8
(32)【優先日】2020-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】100167689
【氏名又は名称】松本 征二
(72)【発明者】
【氏名】黄守君
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼新祥
(72)【発明者】
【氏名】▲鄭▼于▲煉▼
(72)【発明者】
【氏名】王▲鵬▼
【審査官】井原 純
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-190776(JP,A)
【文献】特開2011-086622(JP,A)
【文献】特開2011-253797(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0075169(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0107653(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第107359304(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第102823027(CN,A)
【文献】中国実用新案第205645909(CN,U)
【文献】中国実用新案第206546862(CN,U)
【文献】中国実用新案第204271180(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/60-50/691
H01M 50/10-50/198
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池セル用のエンドカバー組立体であって、
電解液を注入するためのスルーホール及び前記スルーホールの周りに設置される固定部を備えるエンドカバープレートと、
前記固定部を収容するための収容部を備える釘体と、
を備え、
前記収容部が環状を呈しかつその径方向に隔離して設置されている二つの内壁を備え、
前記固定部の内壁及び外壁は前記収容部の前記二つの内壁にそれぞれ当接嵌合して前記スルーホールを密封
し、
前記釘体は、前記スルーホールを密封するための柱体と、前記柱体の一端に接続されているキャップとを備え、
前記キャップは前記柱体の周りに設置された凸部を備え、前記凸部と前記柱体が囲んで前記収容部を形成し、前記柱体が前記固定部の内壁に当接嵌合され、前記凸部が前記固定部の外壁に当接嵌合され、
前記エンドカバー組立体は、さらに密封部材を備え、
前記密封部材は、前記釘体と前記固定部との間に設置されて前記釘体と前記固定部との当接嵌合を実現する、エンドカバー組立体。
【請求項2】
前記密封部材は、前記柱体と前記固定部の内壁との間に嵌設された第1の密封部材を備え、
前記柱体及び/又は前記固定部の内壁に第1の収容溝が設置され、前記第1の密封部材が前記第1の収容溝に位置する、
請求項
1に記載のエンドカバー組立体。
【請求項3】
前記密封部材は、前記固定部の外壁と前記凸部との間に嵌設された第2の密封部材を備え、
前記固定部の外壁及び/又は前記凸部に第2の収容溝が設置され、前記第2の密封部材が前記第2の収容溝に位置する、
請求項
1又は
2に記載のエンドカバー組立体。
【請求項4】
前記密封部材(130)は環状壁部を備え、
前記環状壁部の断面は円形であり、又は、
前記環状壁部の断面は、前記密封部材が前記固定部及び/又は前記釘体と面接触して設置されるように矩形である、
請求項
1~
3のいずれか一項に記載のエンドカバー組立体。
【請求項5】
前記エンドカバー組立体は、さらにロック部材を備え、
前記ロック部材は、前記釘体が前記固定部に当接嵌合されるように、前記キャップの外に外嵌されてロックされるように構成される環状構造である、
請求項
1~
4のいずれか一項に記載のエンドカバー組立体。
【請求項6】
前記ロック部材は、壁部と、前記壁部で囲まれて形成されたサイズが調整可能な中空空間とを有する、
請求項
5に記載のエンドカバー組立体。
【請求項7】
前記壁部は弾性を有し、又は、
前記壁部に前記中空空間と連通する裂け目が開設され、前記裂け目の大きさを調整することにより前記釘体と前記固定部をロックする、
請求項
6に記載のエンドカバー組立体。
【請求項8】
前記壁部に前記中空空間と連通する裂け目が開設され、前記壁部は前記裂け目の両端に、それを貫通する貫通孔を有する接続部を有し、
前記裂け目の両端の二つの前記貫通孔は中間接続部材により互いに接続することができる、
請求項
7に記載のエンドカバー組立体。
【請求項9】
前記固定部は前記エンドカバープレートの表面から突出して設置される、又は、
前記エンドカバープレートの表面が凹んで窪溝を形成し、前記固定部は前記窪溝の底面に接続される、
請求項1~
8のいずれか一項に記載のエンドカバー組立体。
【請求項10】
開口を有するケースと、
前記開口を閉鎖する請求項1~
9のいずれか一項に記載のエンドカバー組立体と、
を備える、電池セル。
【請求項11】
請求項
10に記載の電池セルと、
前記電池セルを収容する筐体と、
を備える、電池パック。
【請求項12】
電気エネルギーを供給するための請求項
10に記載の電池セルを備える、装置。
【請求項13】
請求項10に記載の電池セルの液体注入方法であって、該電池セルの液体注入方法は、
前記電池セルのエンドカバー組立体のエンドカバープレートにおけるスルーホールから電解液を注入することと、
釘体を、固定部が前記釘体の環状の収容部に収容され、かつ前記固定部の内壁及び外壁が前記収容部の内壁に当接嵌合されるように、液体注入孔に密封することと、
を含む、電池セルの液体注入方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は2020年5月19日に提出された「エンドカバー組立体、電池セル、電池パック、装置及び液体注入方法」である中国特許出願202010426530.8の優先権を要求し、該出願の全ての内容は引用により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本願はエネルギー蓄積器械の技術分野に関し、特にエンドカバー組立体、電池セル、電池パック、装置及び液体注入方法に関する。
【背景技術】
【0003】
電気自動車技術が日増しに完備することに伴い、電気自動車は人々の生活にますます近くなる。同時に、電気自動車はそれにエネルギーを供給する電池の性能要件がますます高くなる。
【0004】
リチウムイオン電池セルは構造の密閉性に対する要求が極めて高く、使用過程に電解液の浸透を許可せず、そうでなければ周囲の空気及び環境を汚染する。同時に、水蒸気等の不純物が電池パックの内部に入り、電池セルの耐用年数を低下させることも許可しない。
【発明の概要】
【0005】
本願の実施例は、エンドカバー組立体、電池セル、電池パック、装置及び液体注入方法を提供し、エンドカバー組立体の密封性能を向上させることを目的とする。
【0006】
本願の実施例の一つの態様は、電池セル用のエンドカバー組立体であって、
電解液を注入するためのスルーホール及びスルーホールの周りに設置される固定部を含むエンドカバープレートと、
固定部を収容するための収容部を含み、収容部が環状を呈しかつその径方向に隔離して設置される二つの内壁を含む釘体と、を含み、
固定部の内壁及び外壁がそれぞれ釘体の二つの内壁に当接嵌合してスルーホールを密封する、エンドカバー組立体。
【0007】
いくつかの実施例において、釘体は、スルーホールを密封するための柱体及び柱体の一端に接続されるキャップを含む。キャップは柱体の周りに設置される凸部を含み、凸部と柱体は囲んで収容部を形成し、かつ柱体は固定部の内壁に当接嵌合され、凸部は固定部の外壁に当接嵌合される。
【0008】
いくつかの実施例において、エンドカバー組立体はさらに密封部材を含む。密封部材は、釘体と固定部との間に設置され、釘体と固定部との当接嵌合を実現する。柱体と凸部は、それぞれ収容部の二つの側壁を形成して固定部に二つの方向のリミットを提供することにより、固定部の受力がよりバランスし、エンドカバー組立体の密封性能を向上させることができる。
【0009】
いくつかの実施例において、エンドカバー組立体はさらに密封部材を含む。密封部材は、釘体と固定部との間に設置され、釘体と固定部との当接嵌合を実現する。密封部材を設置することにより釘体と固定部を締り嵌めし、エンドカバー組立体の密封性能を向上させることができる。
【0010】
いくつかの実施例において、密封部材は、柱体と固定部の内壁との間に嵌設される第1の密封部材を含む。第1の密封部材を設置することにより柱体と固定部を締り嵌めし、エンドカバー組立体の密封性能を向上させることができる。
【0011】
いくつかの実施例において、柱体及び/又は固定部の内壁に第1の収容溝が設置され、第1の密封部材が第1の収容溝に位置する。第1の密封部材は第1の収容溝に位置することができ、第1の収容溝により第1の密封部材にリミットを提供することができ、第1の密封部材の位置ずれの発生を防止して第1の密封部材と固定部及び/又は釘体の相対位置の安定性を確保する。
【0012】
いくつかの実施例において、密封部材は、固定部の外壁と凸部との間に嵌設される第2の密封部材を含む。第2の密封部材を設置することにより凸部と固定部を締り嵌めし、エンドカバー組立体の密封性能を向上させることができる。
【0013】
いくつかの実施例において、固定部の外壁及び/又は凸部に第2の収容溝が設置され、第2の密封部材が第2の収容溝に位置する。第2の密封部材は第2の収容溝に位置することができ、第2の収容溝により第2の密封部材にリミットを提供することができ、第2の密封部材の位置ずれの発生を防止して第2の密封部材と固定部及び/又は釘体の相対位置の安定性を確保する。
【0014】
いくつかの実施例において、密封部材は環状壁部を含む。
【0015】
環状壁部の断面は円形である。断面が円形である環状壁部により、釘体は、スルーホールに圧入される時に受けられる抵抗が小さく、組み立てやすい。
【0016】
又は、環状壁部の断面は矩形を呈し、密封部材が固定部及び/又は釘体と面接触して設置される。密封部材が固定部及び/又は釘体と面接触すると、密封部材と固定部及び/又は釘体との接触面積を増加させ、エンドカバー組立体の密封性能を向上させることができる。
【0017】
いくつかの実施例において、エンドカバー組立体はさらにロック部材を含む。ロック部材は環状構造であり、キャップの外に嵌設されかつロックされるように配置されて釘体と固定部を当接嵌合させる。ロック部材を設置すると、釘体の外から釘体及び固定部に作用力を印加し、釘体と固定部との相互嵌合の密着性を確保することができる。
【0018】
いくつかの実施例において、固定部はエンドカバーの表面から突出して設置される。釘体は固定部と嵌合し、固定部がエンドカバープレートの表面から突出することにより少なくとも一部の釘体がエンドカバープレートの表面から突出して設置され、釘体への取り外し又は取り付け動作がやすくなる。
【0019】
いくつかの実施例において、エンドカバープレートの表面が凹んで窪溝を形成し、固定部が窪溝の底面と接続される。そして、エンドカバープレートの外表面の平坦性を確保し、エンドカバー組立体が占める空間を減少させることができる。
【0020】
他の態様では、本願の実施例は、開口を有するケースと、開口を密封するために用いられる上記エンドカバー組立体と、を含む電池セルをさらに提供する。
【0021】
別の態様では、本願の実施例は、上記電池セルと、電池セルを収容するために用いられる筐体と、を含む電池パックをさらに提供する。
【0022】
さらに他の態様では、本願の実施例は、電気エネルギーを供給するために用いられる上記電池セルを含む装置をさらに提供する。
【0023】
さらに別の態様では、本願の実施例は、
電池セルのエンドカバー組立体におけるエンドカバープレートのスルーホールで電解液を注入することと、
釘体を液体注入孔に密封して固定部が釘体の環状を呈する収容部に収容され、かつ固定部の内壁及び外壁が収容部の内壁に当接嵌合されることと、を含む電池セルの液体注入方法をさらに提供する。
【0024】
本願の実施例のエンドカバー組立体において、エンドカバー組立体はエンドカバープレート及び釘体を含み、エンドカバープレートにスルーホールが設置され、釘体はスルーホールを密封するために用いられる。スルーホールの外周に固定部が設置され、釘体は固定部及びスルーホールの内壁と嵌合し、釘体とエンドカバープレートとの接触面積を向上させ、さらに密封効果を向上させることができる。また、釘体は環状の収容部を含み、環状の収容部の二つの内壁は固定部の内壁及び外壁に当接嵌合することができる。即ち、環状収容部は固定部に二つの方向でのリミットを提供することができ、固定部の受力をバランスさせる。このように、固定部の傾斜変形を防止することができるだけでなく、釘体と固定部との接触面積を増加させて密封効果を向上させることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
出願は本願の実施例の技術案をより明確に説明するために、以下に本願の実施例に必要な図面を簡単に紹介する。明らかに、以下に記載の図面は本願のいくつかの実施例に過ぎない。当業者であれば、創造的労働をしない前提で、さらに図面に基づいて他の図面を取得することができる。
【
図1】本願の実施例が提供する車両の構造概略図である。
【
図2】本願の実施例が提供する電池パックの構造概略図である。
【
図3】本願の実施例が提供する電池モジュールの構造概略図である。
【
図4】本願の実施例が提供する電池セルの構造概略図である。
【
図5】本願の実施例が提供するエンドカバー組立体の斜視図である。
【
図6】本願の実施例が提供するエンドカバー組立体の平面図である。
【
図8】本願の実施例における
図7中のI箇所の部分拡大構造概略図である。
【
図9】本願の他の実施例における
図7中のI箇所の部分拡大構造概略図である。
【
図10】本願の別の実施例における
図7中のI箇所の部分拡大構造概略図である。
【
図11】本願の実施例が提供するエンドカバー組立体の第1の密封部材の構造概略図である。
【
図12】本願の実施例が提供するエンドカバー組立体の第2の密封部材の構造概略図である。
【
図13】本願の他の実施例が提供するエンドカバー組立体の平面図である。
【
図15】
図14におけるII箇所の部分拡大構造概略図である。
【
図16】本願の実施例が提供するエンドカバー組立体の釘体の構造概略図である。
【
図18】本願の実施例が提供するエンドカバー組立体のロック部材の構造概略図である。
【
図20】本願の実施例が提供する電池セルの注液方法のフローチャートである。
【符号の説明】
【0026】
1 電池パック
11 電池モジュール
12 筐体
2 車両本体
10 電池セル
20 収容部
100 エンドカバー組立体
110 エンドカバープレート
111 スルーホール
112 固定部
113 窪溝
113a 底面
120 釘体
121 柱体
122 キャップ
123 凸部
130 密封部材
130a 第1の密封部材
130b 第2の密封部材
131 環状壁部
140 ロック部材
141 壁部
142 裂け目
143 接続部
200 ケース
300 電極組立体
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本願の各実施形態の特徴や実施例について詳細に説明する。以下の詳細な説明において、多くの具体的な詳細を提供することにより、本願の全面的な理解を提供する。しかしながら、当業者にとって明らかなように、本願はこれらの具体的な詳細のうちのいくつかの詳細を必要としない場合に実施することができる。以下の実施例に対する説明は本願の例を示すことにより本願をよりよく理解するために用いられる。図面及び以下の説明において、少なくとも一部の公知の構造及び技術は示されず、それにより本願に不必要なファジーをもたらすことを回避する。かつ、明確にするために、一部の構造のサイズを拡大する可能性がある。また、以下に記載の特徴、構造又は特性は任意の適切な方式で一つ以上の実施例に結合することができる。
【0028】
本願の説明において、説明すべきものとして、他の説明がない限り、「複数」は二つ以上を意味する。用語「上」、「下」、「左」、「右」、「内」、「外」等で指示した方位又は位置関係は、本願を説明しやすく且つ説明を簡略化するためのものに過ぎず、指定される装置又は素子が、特定の方位を有し、特定の方位で構成され操作されなければならないことを指示するか又は暗示するものではないため、本願を限定するものと理解すべきではない。また、用語「第1」、「第2」等は単に目的を説明するために用いられ、相対的な重要性を指示するか又は暗示すると理解することができない。
【0029】
下記説明に現れた方位語はいずれも図面に示された方向であり、本願の実施例の具体的な構造を限定するものではない。本願の説明において、さらに説明すべきものとして、他の明確な規定及び限定がない限り、用語「取り付け」、「接続」を広義に理解すべきである。例えば、固定接続されてもよく、取り外し可能に接続されてもよく、又は一体的に接続されてもよい。直接的に接続されてもよく、間接的に接続されてもよい。当業者であれば、具体的な状況に応じて上記用語の本願における具体的な意味を理解することができる。
【0030】
現在、二次液体注入を実現するために、いくつかのリチウムイオン電池において、密封部材は一般的に挿抜の方式で液体注入口に密封される。リチウムイオン電池は、使用過程にガスを生成してリチウムイオン電池のケースを変形させる可能性がある。液体注入口の部位とケースの他の部位が平らであり、液体注入口に対応するケースの部位の変形量がより大きく、密封部材がケースの変形に伴って変位して最終的に液体注入口の密封が無効になる可能性がある。
【0031】
上記技術問題を解決するために、本願を提出する。
【0032】
本願をよりよく理解するために、以下に
図1~
図20を参照して本願の実施例の電気的接続組立体及び電池モジュールを詳細に説明する。
【0033】
図1に示すとおり、
図1は本願の実施例が提供する車両の構造概略図である。
図1に示すように、車両は、電池パック1及び車両本体2を含み、電池パック1が車両本体2に設置される。
【0034】
車両は、新エネルギー自動車であり、純粋な電気自動車であってもよく、ハイブリッド自動車又は航続距離延長型自動車であってもよい。車両本体2に駆動モータが設置され、駆動モータは、電池パック1に電気的に接続され且つ電池パック1により電気エネルギーが供給され、伝動機構により車両本体2の車輪に接続され、それにより自動車の走行を駆動する。いくつかの実施例において、電池パック1は車両本体2の底部に水平に設置されてもよい。
【0035】
図2に示すとおり、
図2は本願の実施例が提供する電池パック1の構造概略図である。いくつかの実施例において、電池パック1は、筐体12と及び筐体12に設置される電池モジュール11とを含む。
【0036】
電池モジュール11の数は一つ又は複数であってもよく、電池モジュール11が複数である場合、複数の電池モジュール11は筐体12に配列して配置される。筐体12のタイプは様々であり、枠状筐体、円盤状筐体又はボックス状筐体などであってもよい。具体的に、筐体12は電池モジュールを収容するための下部筐体と、下部筐体とカバーする上筐体を含むことができる。
【0037】
図3に示すとおり、
図3は本願の実施例が提供する電池モジュール11の構造概略図である。電池モジュール11の設置方式は様々である。いくつかの実施例において、電池モジュール11は、収容部20と及び収容部20に位置する複数の電池セル10とを含み、複数の電池セル10が収容部20に並列に設置される。
【0038】
収容部20の設置方式は様々である。例えば、収容部20は、ハウジングと、ハウジングにカバーされるカバープレートとを含む。又は、収容部20は、相次いで囲んで接続される側板及び端板を含む。又は、収容部は、対向して設置される端板と、端板及び電池セルの外に囲まれる箍とを含む。又は、
図3に示すように、収容部20は、側板、端板及び箍を含む。
【0039】
電池セル10は、車両に適用することができるだけでなく、他の装置に用いることができる。本願の実施例は、さらに電源として電池セル10を使用する装置を提供する。装置は、車両、船舶又は航空機等であってもよいが、これらに限定されない。
【0040】
図4に示すとおり、
図4は本願の実施例が提供する電池セル10の構造概略図である。
【0041】
図4に示すように、いくつかの実施例において、電池セル10は、開口を有するケース200とケース200にカバーされるエンドカバー組立体100を含む。電池セル10のケース200には、さらに、電極組立体300が設けられる。
【0042】
いくつかの実施例において、ケース200に電解液が設置され、エンドカバー組立体100に液体注入口として用いられるスルーホール111と、スルーホール111を密封する釘体120とが設置される。スルーホール111によりケース200に電解液を注入することができ、釘体120によりスルーホール111を密封することができる。
【0043】
図5~
図7に示すとおり、
図5は本願の実施例が提供するエンドカバー組立体100の斜視図である。
図6は本願の実施例が提供するエンドカバー組立体100の平面図である。
図7は
図6のA-A箇所の断面図である。
【0044】
本願の実施例に係るエンドカバー組立体100によれば、エンドカバー組立体100は、電解液を注入するためのスルーホール111及びスルーホール111の周りに設置される固定部112を含むエンドカバープレート110と、固定部112を収容するための収容部を含み、収容部が環状を呈しかつその径方向に隔離して設置される二つの内壁を含む釘体120とを含み、固定部112の内壁及び外壁がそれぞれ釘体120の二つの内壁に当接嵌合してスルーホール111を密封する。
【0045】
上記エンドカバー組立体100は、電池セル10に用いられて電池セル10のケース200の開口にカバーされるだけでなく、他の装置の開口にカバーされてもよい。
【0046】
固定部112の内壁とは固定部112がスルーホール111に向かう内壁面であり、固定部112の外壁とは固定部112がスルーホール111から離れる外壁面である。収容部は固定部112を収容するための収容空間を含み、収容部の内壁とは収容部が収容空間に向かう内壁面である。
【0047】
本願の実施例のエンドカバー組立体100において、エンドカバー組立体100はエンドカバープレート110及び釘体120を含み、エンドカバープレート110にスルーホール111が設置され、釘体120がスルーホール111を密封するために用いられる。スルーホール111の外周に固定部112が設置され、釘体120は固定部112及びスルーホール111の内壁と嵌合し、釘体120とエンドカバープレート110との接触面積を向上させ、さらに密封効果を向上させることができる。同時に、固定部112はスルーホール111の周りに設置され、エンドカバープレート110の他の部分に対して突出し、エンドカバープレート110の変形から固定部112への変形が少なく、電池セル10のエンドカバープレート110の変形による密封界面への影響を低減し、さらに密封効果を向上させることができる。また、釘体120は環状の収容部を含み、環状の収容部の二つの内壁が固定部112の内壁及び外壁に当接嵌合することができる。即ち、環状収容部は固定部112に二つの方向でのリミットを提供することができ、それにより固定部112の受力をバランスさせる。このように、固定部112の傾斜変形を防止することができるだけでなく、さらに釘体120と固定部112との接触面積を増加させることができ、釘体120がエンドカバープレート110の変形に伴って変位することを回避し、密封効果を向上させる。
【0048】
本願の実施例のエンドカバー組立体100において、電池セル10は、使用過程にガスを生成する可能性があり、それによりエンドカバー組立体100は突起変形を発生する。固定部112がスルーホール111の周りに設置されるため、釘体120とエンドカバープレート110との厚さ方向での嵌合距離を増加させることができる。エンドカバー組立体100が突起して変形する場合、変形の伝達距離を増加させ、変形を固定部112に伝達しにくくし、釘体120と固定部112との嵌合の密着性を確保することができる。
【0049】
本願の実施例において、釘体120とエンドカバー組立体100のスルーホール111との嵌合が緊密であるため、釘体120は、締り嵌めの方式でスルーホール111及び固定部112と互いに嵌合してエンドカバープレート110に取り外し可能に設置される。電池セル10の使用過程において、電池セル10の充放電回数が増加して電解液が減少する場合、釘体120を取り外すことができ、電池セル10に二次液体注入を行いやすい。
【0050】
図8及び
図9に示すとおり、
図8は
図7におけるI箇所の部分拡大構造概略図であり、
図9は本願の他の実施例における
図7におけるI箇所の部分拡大構造概略図である。
【0051】
固定部112の設置方式は様々である。
図8に示すように、固定部112はエンドカバー110の表面から直接的に突出して設置されてもよい。これらの実施例において、固定部112はエンドカバープレート110の表面から突出し、釘体120は固定部112と嵌合して少なくとも一部の釘体120がエンドカバープレート110の表面から突出して設置され、釘体120への取り外し又は取り付け動作がやすくなる。
【0052】
いくつかの他の実施例において、
図9に示すように、エンドカバープレート110の表面が凹んで窪溝113を形成し、固定部112が窪溝113の底面113aに接続される。これらの実施例において、固定部112は窪溝113に位置し、エンドカバープレート110の外表面の平坦性を確保し、エンドカバー組立体100が占める空間を減少させることができる。
【0053】
いくつかの実施例において、釘体120がスルーホール111に密封される場合、釘体120は窪溝113に位置し、エンドカバー組立体100が占める空間を減少させることができる。
【0054】
釘体120の材料の設置方式は様々である。いくつかの実施例において、釘体120の材料は鋼、アルミニウム又は他の硬質金属材料のうちの一種を含み、又は、釘体120の材料はエンジニアリングプラスチック等を含む。
【0055】
釘体120の設置方式は様々である。いくつかの実施例において、釘体120は、柱体121と、柱体121の一端に接続されるキャップ122とを含む。柱体121はスルーホール111を密封するために用いられ、キャップ122は柱体121の周りに設置される凸部123を含むことにより、凸部123と柱体121との間に環状の収容部を形成する。柱体121は固定部112の内壁に当接嵌合され、凸部123は固定部112の外壁に当接嵌合される。
【0056】
これらの実施例において、柱体121と凸部123はそれぞれ収容部の二つの内壁を形成する。柱体121と凸部123は、固定部112に二つの方向でのリミットを提供することにより、固定部112の受力がよりバランスされ、エンドカバー組立体100の密封性能を向上させることができる。
【0057】
いくつかの実施例において、エンドカバー組立体100の密封性能をさらに向上させるために、エンドカバー組立体100はさらに密封部材130を含む。密封部材130は、釘体120と固定部112との間に設置され、釘体120と固定部112との当接嵌合を実現する。
【0058】
これらの実施例において、密封部材130を設置することにより、釘体120と固定部112を締り嵌めしてエンドカバー組立体100の密封性能を向上させることができる。
【0059】
密封部材130の設置位置は様々である。いくつかの実施例において、密封部材130は第1の密封部材130aを含み、第1の密封部材130aが柱体121と固定部112の内壁との間に嵌設され、柱体121と固定部112を緊密に嵌合させる。第1の密封部材130aを設置することにより、柱体121と固定部112を締り嵌めしてエンドカバー組立体100の密封性能を向上させることができる。
【0060】
いくつかの実施例において、柱体121及び/又は固定部112に第1の収容溝(図示せず)が設置され、第1の密封部材130aは第1の収容溝に位置することができる。これらの実施例において、第1の密封部材130aは第1の収容溝に位置することができ、第1の収容溝により第1の密封部材130aにリミットを提供し、第1の密封部材130aの位置ずれの発生を防止し、第1の密封部材130aと固定部112及び/又は釘体120の相対位置の安定性を確保することができる。
【0061】
いくつかの他の実施例において、密封部材130はさらに第2の密封部材130bを含む。第2の密封部材130bは、固定部112の外壁と凸部123との間に嵌設され、凸部123と固定部112を緊密に嵌合させる。第2の密封部材130bを設置することにより、凸部123と固定部112を締り嵌めしてエンドカバー組立体100の密封性能を向上させることができる。
【0062】
いくつかの実施例において、凸部123及び/又は固定部112に第2の収容溝(図示せず)が設置され、第2の密封部材130bは第2の収容溝に位置することができる。これらの実施例において、第2の密封部材130bは第2の収容溝に位置することができ、第2の収容溝により第2の密封部材130bにリミットを提供し、第2の密封部材130bの位置ずれの発生を防止し、第2の密封部材130bと固定部112及び/又は釘体120の相対位置の安定性を確保することができる。
【0063】
いくつかの別の実施例において、密封部材130は第1の密封部材130a及び第2の密封部材130bを含むことにより、柱体121と固定部112が緊密に嵌合することができ、凸部123と固定部112が緊密に嵌合することもでき、固定部112の受力バランスを確保してエンドカバー組立体100の密封性能を向上させる。
【0064】
密封部材130の形状は限定されず、いくつかの実施例において、引き続き
図9に示すとおり、密封部材130は環状壁部131を含み、環状壁部131の断面は円形である。環状壁部131の断面は、密封部材130の径方向に垂直な面である。これらの実施例において、断面が円形の環状壁部131により、釘体120は、スルーホール111に圧入される時に受けられる抵抗が小さく、組み立てやすい。
【0065】
いくつかの他の実施例において、
図10~
図12に示すとおり、環状壁部131の断面は矩形であり、それにより密封部材130は固定部112及び/又は釘体120と面接触して接続される。密封部材130が固定部112及び/又は釘体120と面接触すると、密封部材130と固定部112及び/又は釘体120との接触面積を増加させ、エンドカバー組立体100の密封性能を向上させることができる。
【0066】
密封部材130が第1の密封部材130a及び第2の密封部材130bを含む場合、第1の密封部材130aの断面は第2の密封部材130bの断面形状と同じであってもよく、即ち第1の密封部材130a及び第2の密封部材130bの断面はいずれも円形又は矩形である。又は、第1の密封部材130aと第2の密封部材130bの断面形状が異なり、即ち第1の密封部材130aと第2の密封部材130bのうちの一方の断面が円形であり、他方が矩形である。
【0067】
密封部材130の材料の設置方式は様々である。いくつかの実施例において、密封部材130の材料はゴム、フォームのうちの少なくとも一つを含むことができる。密封部材130が一定の弾性を有すると、釘体120と固定部112を密封部材130により締り嵌めすることができる。
【0068】
図13~
図19に示すとおり、いくつかの実施例において、エンドカバー組立体100はさらにロック部材140を含む。ロック部材140は、環状構造であり、エンドカバープレート110の外にロックされるように配置されて釘体120を固定部112に当接嵌合される。
【0069】
これらの実施例において、ロック部材140を設置することにより、釘体120の外から釘体120及び固定部112に作用力を印加し、釘体120と固定部112との相互嵌合の密着性を確保することができる。
【0070】
ロック部材140の設置方式は様々である。いくつかの実施例において、ロック部材140は、壁部141と、壁部141で囲まれて形成される中空空間とを有する。中空空間の寸法が調整可能であり、それによりロック部材140は釘体120と固定部112をロックすることができる。
【0071】
例えば、壁部141が弾性を有し、壁部141の弾性変形により釘体120と固定部112をロックする。
【0072】
又は、壁部141に中空空間と連通する裂け目142が設けられることにより、ロック部材140は閉環状ではない。裂け目142の大きさを調整することにより、釘体120と固定部112をロックする。
【0073】
いくつかの実施例において、壁部141は裂け目142の両端に接続部143を有する。接続部143は貫通する貫通孔を有し、裂け目142の両端の二つの貫通孔は中間接続部材により互いに接続することができる。
【0074】
いくつかの実施例において、エンドカバー組立体100は、エンドカバープレート110に設置されかつ釘体120とエンドカバープレート110を接続するために用いられる可溶性接着剤をさらに含む。可溶性接着剤は釘体120に被覆され、釘体120とエンドカバープレート110との間の相対位置の安定性をさらに確保することができる。可溶性接着剤は、例えば可融性材料から製造される。二次液体注入が必要となる場合、可溶性接着剤に対して溶解操作を行うことにより、可溶性接着剤が変形して融解すため、スルーホール111から釘体120を引き抜きやすい。
【0075】
図20に示すとおり、
図20は本願の第2の実施例が提供する電池セル10の液体注入方法であり、電池セル10がいずれかの上記実施例に係る電池セル10であってもよい。液体注入方法は、以下のステップを含み、
ステップS1、電池セルのエンドカバー組立体におけるエンドカバープレートのスルーホールで電解液を注入すること、
ステップS2、釘体をスルーホールに密封して固定部が釘体の環状を呈する収容部に収容され、かつ固定部の内壁及び外壁が収容部の内壁に当接嵌合されること。
【0076】
これらの実施例において、まずスルーホール111で電池セル10に電解液を注入し、次に釘体120をスルーホール111に密封して固定部112の内壁及び外壁を収容部の内壁に当接嵌合させる。環状収容部は、固定部112に二つの方向でのリミットを提供することができ、固定部112の受力をバランスさせ、固定部112の傾斜変形を防止することができるだけでなく、釘体120と固定部112との接触面積を増加させて密封効果を向上させることもできる。
【0077】
いくつかの他の実施例において、電池セル10の使用時間が長くて電解液の容量が低下する場合、液体注入方法は、釘体120をスルーホール111から引き抜き、スルーホール111により電解液を注入し、かつ釘体120をスルーホール111に改めて密封することをさらに含む。そして、電池セル10の二次液体注入が実現される。
【0078】
本願は、その思想及び本質的特徴から逸脱しないうちに他の具体的な形式で実現することができる。例えば、特定の実施例に記載のアルゴリズムを修正することができるが、システムアーキテクチャは本願の基本的な思想から逸脱しない。したがって、現在の実施例は全ての態様において限定的ではなく例示的なものと見なされる。本願の範囲は上記説明ではなく添付の特許請求の範囲によって定義され、かつ、特許請求の範囲の意味及び同等物の範囲内にある全ての変更はいずれも本願の範囲内に含まれる。