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特許7446438信号伝送端子、サンプリング装置、電池モジュール及び装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-29
(45)【発行日】2024-03-08
(54)【発明の名称】信号伝送端子、サンプリング装置、電池モジュール及び装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/204 20210101AFI20240301BHJP
   H01M 50/569 20210101ALI20240301BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20240301BHJP
   H01M 50/284 20210101ALN20240301BHJP
【FI】
H01M50/204 401D
H01M50/569
H01M10/48 301
H01M10/48 P
H01M50/284
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2022542429
(86)(22)【出願日】2021-04-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-23
(86)【国際出願番号】 CN2021087547
(87)【国際公開番号】W WO2021238491
(87)【国際公開日】2021-12-02
【審査請求日】2022-07-11
(31)【優先権主張番号】202020912296.5
(32)【優先日】2020-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】100159329
【弁理士】
【氏名又は名称】三縄 隆
(72)【発明者】
【氏名】李 ▲龍▼
(72)【発明者】
【氏名】王 冲
(72)【発明者】
【氏名】▲許▼ 文才
(72)【発明者】
【氏名】▲呉▼ ▲興▼▲遠▼
【審査官】山下 裕久
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2019-0092065(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0025661(US,A1)
【文献】特開平04-008372(JP,A)
【文献】中国実用新案第207426196(CN,U)
【文献】特開2003-022858(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/204
H01M 50/569
H01M 10/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性シートを含むサンプリング装置に用いられる信号伝送端子であって、
前記導電性シートと接続するのに用いられ、隆起部を有する第1接続部と、
前記第1接続部に接続され、サンプリング対象と接続するのに用いられる第2接続部と、
前記第1接続部と接続するのに用いられ、折り曲げ後に前記導電性シートを前記第1接続部と前記折り曲げ可能部との間に押し締めするように構成される折り曲げ可能部と、を含み、
前記隆起部は前記折り曲げ可能部の一側に位置し、前記折り曲げ可能部は前記隆起部へ折り曲げ可能であり、前記隆起部とともに前記導電性シートをクランプし、前記第1接続部は2つ以上の支脚を含み、前記折り曲げ可能部は前記支脚に接続され、前記隆起部は前記支脚に設けられる、信号伝送端子。
【請求項2】
前記隆起部は凹部を有し、前記折り曲げ可能部を折り曲げた後、前記折り曲げ可能部の先端部は前記凹部に対応して設けられる、請求項1に記載の信号伝送端子。
【請求項3】
少なくとも一部の前記先端部は前記凹部内に位置し、及び/又は、前記隆起部の先端面及び前記凹部の底面はいずれも弧状面である、請求項2に記載の信号伝送端子。
【請求項4】
前記隆起部に設けられる前記凹部の数及び位置は2列の前記折り曲げ可能部の総数及び位置に1対1で対応して設けられる、請求項2又は3に記載の信号伝送端子。
【請求項5】
前記折り曲げ可能部の根元部の幅は前記折り曲げ可能部の先端部の幅よりも大きく、前記折り曲げ可能部の前記先端部は弧状である、請求項2~4のいずれか一項に記載の信号伝送端子。
【請求項6】
2列の前記折り曲げ可能部は前記第1接続部に間隔をおいて設けられ、1列の前記折り曲げ可能部ともう1列の前記折り曲げ可能部はずれて設けられ、前記隆起部は2列の前記折り曲げ可能部の間に位置する、請求項1~5のいずれか一項に記載の信号伝送端子。
【請求項7】
前記第1接続部の幅は前記第2接続部の幅未満である、請求項1~のいずれか一項に記載の信号伝送端子。
【請求項8】
前記第1接続部の弾性変形能力は前記第2接続部の弾性変形能力よりも大きい、請求項1~のいずれか一項に記載の信号伝送端子。
【請求項9】
前記信号伝送端子は取り付け位置決め部をさらに含み、前記取り付け位置決め部は前記第1接続部の前記第2接続部から離れた端部に接続され、前記取り付け位置決め部は前記信号伝送端子と前記導電性シートとの接続過程で前記信号伝送端子を事前位置決めするのに用いられる、請求項1~のいずれか一項に記載の信号伝送端子。
【請求項10】
前記取り付け位置決め部はシート状本体、及び前記シート状本体に設けられる位置決め孔を有する、請求項に記載の信号伝送端子。
【請求項11】
前記第1接続部、前記第2接続部及び前記折り曲げ可能部は一体成形構造である、請求項1~10のいずれか一項に記載の信号伝送端子。
【請求項12】
電池モジュールに用いられるサンプリング装置であって、
電気接続領域を有する導電性シートと、
請求項1~11のいずれか一項に記載の信号伝送端子と、を含み、
前記折り曲げ可能部は前記電気接続領域を貫通し、前記折り曲げ可能部は折り曲げられて前記第1接続部とともに前記導電性シートを押し締めすることで、前記導電性シートと前記信号伝送端子とを接続する、サンプリング装置。
【請求項13】
前記サンプリング装置は上絶縁膜及び下絶縁膜をさらに含み、前記上絶縁膜と前記下絶縁膜はそれぞれ前記導電性シートの対向する両側に設けられ、前記電気接続領域は前記下絶縁膜及び/又は前記上絶縁膜によって被覆されていない、請求項12に記載のサンプリング装置。
【請求項14】
前記導電性シートに貫通孔が設けられ、前記折り曲げ可能部は前記貫通孔を貫通する、請求項12又は13に記載のサンプリング装置。
【請求項15】
前記導電性シートは多層構造であり、及び/又は、前記導電性シートの材料は銅又は銅合金であり得る、請求項1214のいずれか一項に記載のサンプリング装置。
【請求項16】
電池モジュールであって、
2つ以上の二次電池と、
請求項1215のいずれか一項に記載のサンプリング装置と、を含み、
前記信号伝送端子の前記第2接続部は前記二次電池に接続されて前記二次電池の電圧又は温度信号を収集する、電池モジュール。
【請求項17】
電池モジュールを電源として使用する装置であって、
前記装置に電力を供給するのに用いられる請求項16に記載の電池モジュールを含む、電池モジュールを電源として使用する装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2020年05月26日に提出された名称が「信号伝送端子、サンプリング装置、電池モジュール及び装置」の中国特許出願202020912296.5の優先権を主張し、該出願の全内容が引用により本明細書に組み込まれている。
【0002】
本願は電池の技術分野に関し、特に信号伝送端子、サンプリング装置、電池モジュール及び装置に関する。
【背景技術】
【0003】
科学技術の発展に伴って、電池モジュールの応用分野はますます広くなり、例えば、新エネルギー自動車、宇宙機、航空機、船舶、モバイルコンピューティング機器又は電動工具などに適用できる。電池モジュールは複数の二次電池及びバスバー部材を含む。複数の異なる二次電池はバスバー部材によって互いに直列接続又は並列接続される。二次電池の正常で安全な動作を確保するために、サンプリング装置を使用して二次電池の動作状態を監視する必要がある。
【0004】
サンプリング装置はサンプリング回路基板及び信号伝送端子を含む。サンプリング回路基板は導電性シートを有する。信号伝送端子はバスバー部材と導電性シートを接続するのに用いられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術では、導電性シートと信号伝送端子を接続した後、導電性シートと信号伝送端子のサンプリング精度が悪く、二次電池の使用安全性を損なってしまう。
【0006】
本願は信号伝送端子、サンプリング装置、電池モジュール及び装置を提供する。信号伝送端子は、導電性シートとの接続安定性を向上させ、サンプリング精度の信頼性を確保することができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様によれば、本願は信号伝送端子を提供し、導電性シートを含むサンプリング装置に用いられ、信号伝送端子は、
第1接続部、第2接続部及び折り曲げ可能部を含む。第1接続部は導電性シートと接続するのに用いられる。第1接続部は隆起部を有する。第2接続部は第1接続部に接続され、サンプリング対象と接続するのに用いられる。折り曲げ可能部は第1接続部と接続するのに用いられる。折り曲げ可能部は折り曲げ後に導電性シートを第1接続部と折り曲げ可能部との間に押し締めするように構成される。隆起部は折り曲げ可能部の一側に位置する。折り曲げ可能部は、隆起部へ折り曲げ可能であり、隆起部とともに導電性シートをクランプする。
【0008】
本願の実施例に係る信号伝送端子は第1接続部、第2接続部及び折り曲げ可能部を含む。第1接続部は隆起部を有する。信号伝送端子は導電性シートを割ることができ、且つ折り曲げ可能部を折り曲げることによって折り曲げ可能部と隆起部で導電性シートを押し締めすることができ、それにより信号伝送端子と導電性シートとの直接接続が実現される。このように、信号伝送端子と導電性シートとの接続過程が簡単で操作しやすいとともに、信号伝送端子と導電性シートとの接続の信頼性及び安定性を確保でき、緩みや分離が発生し難く、それによりサンプリング精度の信頼性及び安定性を確保し、電池モジュールの使用安全性を向上させることに有利である。
【0009】
本願の一実施例では、隆起部は凹部を有し、折り曲げ可能部を折り曲げた後、折り曲げ可能部の先端部は凹部に対応して設けられる。
【0010】
本願の一実施例では、少なくとも一部の先端部は凹部内に位置し、及び/又は、隆起部の先端面及び凹部の底面はいずれも弧状面である。
【0011】
本願の一実施例では、隆起部に設けられる凹部の数及び位置は2列の折り曲げ可能部の総数及び位置に1対1で対応して設定される。
【0012】
本願の一実施例では、折り曲げ可能部の根元部の幅は折り曲げ可能部の先端部の幅よりも大きく、折り曲げ可能部の先端部は弧状である。
【0013】
本願の一実施例では、2列の折り曲げ可能部は第1接続部に間隔をおいて設けられ、1列の折り曲げ可能部ともう1列の折り曲げ可能部はずれて設けられ、隆起部は2列の折り曲げ可能部の間に位置する。
【0014】
本願の一実施例では、第1接続部は2つ以上の支脚を含み、折り曲げ可能部は支脚に接続され、隆起部は支脚に設けられる。
【0015】
本願の一実施例では、第1接続部の幅は第2接続部の幅未満である。
【0016】
本願の一実施例では、第1接続部の弾性変形能力は第2接続部の弾性変形能力よりも大きい。
【0017】
本願の一実施例では、信号伝送端子は取り付け位置決め部をさらに含み、取り付け位置決め部は第1接続部の第2接続部から離れる端部に接続され、取り付け位置決め部は信号伝送端子と導電性シートとの接続過程で信号伝送端子を事前位置決めするのに用いられる。
【0018】
本願の一実施例では、取り付け位置決め部はシート状本体、及びシート状本体に設けられる位置決め孔を有する。
【0019】
本願の一実施例では、第1接続部、第2接続部及び折り曲げ可能部は一体成形構造である。
【0020】
別の態様によれば、本願は、サンプリング装置を提供し、電池モジュールに用いられ、サンプリング装置は導電性シート及び前記信号伝送端子を含む。導電性シートは電気接続領域を有する。信号伝送端子の折り曲げ可能部は電気接続領域を貫通する。折り曲げ可能部は折り曲げられて第1接続部とともに導電性シートを押し締めすることで、導電性シートと信号伝送端子とを接続する。
【0021】
本願の一実施例では、サンプリング装置は上絶縁膜及び下絶縁膜をさらに含み、上絶縁膜と下絶縁膜はそれぞれ導電性シートの対向する両側に設けられ、電気接続領域は下絶縁膜及び/又は上絶縁膜によって被覆されていない。
【0022】
本願の一実施例では、導電性シートに貫通孔が設けられ、折り曲げ可能部は貫通孔を貫通する。
【0023】
本願の一実施例では、導電性シートは多層構造であり、及び/又は、導電性シートの材料は銅又は銅合金であり得る。
【0024】
さらに別の態様によれば、本願は電池モジュールを提供し、2つ以上の二次電池及び前記サンプリング装置を含む。信号伝送端子の第2接続部は二次電池に接続されて二次電池の電圧又は温度信号を収集する。
【0025】
またさらに別の態様によれば、本願は電池モジュールを電源として使用する装置を提供し、前記電池モジュールを含み、電池モジュールは装置に電力を供給するのに用いられる。
【0026】
本願の実施例の技術的解決手段をより明確に説明するために、以下、本願の実施例に使用される必要がある図面を簡単に説明し、明らかなように、以下説明される図面は単に本願のいくつかの実施例であり、当業者であれば、創造的な労働をせずに、図面に基づきほかの図面を想到し得る。
【0027】
図面では、図面は実際の縮尺で描かれていない。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本願の一実施例に開示されている車両の構造模式図である。
図2】本願の一実施例に開示されている電池モジュールの構造模式図である。
図3】本願の一実施例に開示されているサンプリング装置の構造模式図である。
図4図3に示す実施例におけるサンプリング装置の分解構造模式図である。
図5】本願の一実施例に開示されている信号伝送端子の構造模式図である。
図6図5中のA部の拡大図である。
図7】本願の一実施例に開示されている信号伝送端子及び導電性シートの部分断面構造模式図である。
図8】本願の別の実施例に開示されている信号伝送端子の構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面及び実施例を参照しながら本願の実施形態をさらに詳細に説明する。以下の実施例についての詳細説明及び図面は本願の原理を例示的に説明するのに用いられるが、本願の範囲を限定するものではなく、すなわち、本願は説明される実施例に限定されない。
【0030】
本願の説明では、説明する必要がある点として、特に断らない限り、「複数」の意味は2つ以上(2つを含む)であり、「上」、「下」、「左」、「右」、「内」、「外」などの用語で指示される方位又は位置関係は本願を説明しやすくし説明を簡素化するためのものに過ぎず、係る装置又は素子が必ずしも特定の方位を有したり、特定の方位で構成及び操作されたりすることを指示又は暗示するものではなく、従って、本願を制限しないと理解すべきである。また、「第1」、「第2」、「第3」などの用語は、相対的な重要性を指示又は暗示するものではなく、説明するためのものに過ぎない。「垂直」は厳密には垂直ではなく、誤差許容範囲内のものである。「平行」は厳密には平行ではなく、誤差許容範囲内のものである。
【0031】
以下の説明に出現する方位語はいずれも図示されている方向であり、本願の具体的な構造を限定するものではない。本願の説明において、さらに説明する必要がある点として、特に明確な規定及び限定がない限り、「取り付け」、「連結」、及び「接続」のような用語は広義に理解すべきであり、例えば、固定して接続されてもよく、取り外し可能に接続されるか、又は一体的に接続されてもよく、直接連結されてもよく、中間媒体を介して間接的に連結されてもよい。当業者であれば、具体的な状況に応じて上記用語の本願での具体的な意味を理解することができる。
【0032】
従来技術では電池モジュールの導電性シートと信号伝送端子のサンプリング精度が悪いという問題を解決する際に、出願人は導電性シートと信号伝送端子との接続プロセスを最適化する。出願人は半田付け、リベット締め又は接着剤分注プロセスを使用して導電性シートと信号伝送端子とを接続する。しかしながら、使用過程ではサンプリング精度が悪いという問題がある。従って、出願人は導電性シートと信号伝送端子との接続プロセスをさらに研究や分析を行ったところ、以下のことを見出した。半田付けプロセスを使用する場合、溶接過程の高温環境は電子部品の損傷につながる。リベット締めプロセスを使用する場合、導電性シートと信号伝送端子との接続部に緩みが発生することがある。接着剤分注プロセスを使用する場合、導電性シートと信号伝送端子との間に接着剤が侵入して、導電性シートと信号伝送端子間の接続抵抗が大きくなる。このように、導電性シートと信号伝送端子とが上記接続プロセスによって接続された後、サンプリング精度が悪い問題が生じやすく、二次電池の使用安全性を損なってしまう。
【0033】
出願人が見出した上記問題に鑑みて、出願人は電池モジュールの構造を改良し、以下、本願の実施例をさらに説明する。
【0034】
本願をよりよく理解するために、以下、図1図8を参照しながら本願を説明する。
【0035】
図1に示すように、本願の実施例は電池モジュール2を電源として使用する装置を提供する。該装置は車両、船舶、航空機又は電動工具などであり得るが、これらに限定されない。本願の一実施例は車両1を提供し、車両本体及び電池モジュール2を含む。電池モジュール2は車両本体に設けられる。車両1は純電気自動車であってもよく、ハイブリッド自動車又はエクステンデッド・レンジ電気自動車であってもよい。車両本体には、電池モジュール2に電気的に接続される駆動モータが設けられる。電池モジュール2は駆動モータに電力を供給する。駆動モータは伝動機構を介して車両本体の車輪に接続されることによって自動車の走行を駆動する。選択可能に、電池モジュール2は車両本体の底部に水平に設けられてもよい。
【0036】
図2に示すように、電池モジュール2は2つ以上の二次電池21、バスバー部材22及びサンプリング装置23を含む。バスバー部材22は異なる二次電池21を直列接続又は並列接続するのに用いられる。二次電池21はサンプリング対象となる。サンプリング装置23はバスバー部材22に接続されて二次電池21の電圧又は温度信号を収集するのに用いられる。電池モジュール2の設置形態は様々である。一実施例では、電池モジュール2は収容部材、及び収容部材内に位置する2つ以上の二次電池21を含む。2つ以上の二次電池21は収容部材内に並列に設けられる。収容部材の設置形態は様々であり、例えば、収容部材はケーシング、及びケーシングをカバーして設けられるカバープレートを含むか、又は収容部材は順に囲んで接続される側板及び端板を含むか、又は収容部材は対向して設けられる2つの端板、及び端板と二次電池21外に巻き付けられるバンドを含む。
【0037】
一実施例では、図2図4に示すように、サンプリング装置23は信号伝送端子3、導電性シート4、上絶縁膜5、下絶縁膜6及び接続ポート7を含む。接続ポート7はセントラルコントローラ(図示せず)と接続するのに用いられる。上絶縁膜5、導電性シート4及び下絶縁膜6は積層して設けられる。信号伝送端子3は導電性シート4を介して接続ポート7に接続される。サンプリング装置23は信号伝送端子3を介してバスバー部材22に接続される。信号伝送端子3の数はバスバー部材22の数に1対1で対応して設けられる。一例では、信号伝送端子3はバスバー部材22に溶接接続される。選択可能に、導電性シート4は多層構造であり、すなわち、2つ以上の層構造を積層することによって形成される。導電性シート4の材料は銅又は銅合金などであってもよい。導電性シート4は多層の銅又は銅合金製の箔材を積層することによって形成される。選択可能に、信号伝送端子3は二次電池21に直接接続されてもよい。
【0038】
一実施例では、図5に示すように、信号伝送端子3は第1接続部31、第2接続部32及び折り曲げ可能部33を含む。第1接続部31は導電性シート4と接続するのに用いられる。第1接続部31は隆起部311を有する。第2接続部32は第1接続部31に接続され、バスバー部材22と接続するのに用いられる。折り曲げ可能部33は第1接続部31と接続するのに用いられる。折り曲げ可能部33は折り曲げ後に導電性シート4を第1接続部31と折り曲げ可能部33との間に押し締めするように構成される。隆起部311は折り曲げ可能部33の一側に位置する。隆起部311と折り曲げ可能部33は幅方向Xに沿って間隔をおいて設けられる。折り曲げ可能部33は隆起部311へ折り曲げ可能であり、隆起部311とともに導電性シート4をクランプすることができる。一例では、信号伝送端子3と導電性シート4との接続過程では、折り曲げ可能部33は、導電性シート4を予め割り、次に折り曲げられる。又は、導電性シート4に貫通孔が予め設けられ、折り曲げ可能部33は貫通孔を貫通し、次に折り曲げられる。一例では、第1接続部31、第2接続部32及び折り曲げ可能部33は一体成形構造である。
【0039】
本願の実施例に係る信号伝送端子3は、第1接続部31、第2接続部32及び折り曲げ可能部33を含む。第1接続部31は隆起部311を有する。折り曲げ可能部33が導電性シート4を貫通した後、折り曲げ可能部33に対して隆起部311への折り曲げ操作を行うことができる。折り曲げ可能部33の折り曲げ後、折り曲げ可能部33は隆起部311とともに導電性シート4をクランプすることができ、それにより導電性シート4と信号伝送端子3との接続安定性が向上し、導電性シート4と信号伝送端子3との間に緩みが発生する可能性が低減される。第1接続部31に設けられる隆起部311は折り曲げ可能部33を支持することができる。第1接続部31に隆起部311がない場合、折り曲げ後の折り曲げ可能部33と第1接続部31との間に隙間が存在する可能性があるため、折り曲げ可能部33と第1接続部31は導電性シート4を効果的に押し締めすることができず、導電性シート4の緩みを引き起こしてしまう。折り曲げ可能部33が折り曲げられて導電性シート4を押し締めする過程では、第1接続部31に設けられる隆起部311は導電性シート4に当接して導電性シート4を制限することができ、折り曲げ可能部33が折り曲げ時に導電性シート4に摩擦力を加えて導電性シート4を動かすことによって導電性シート4の位置ずれ、位置決め偏差が大きいことを引き起こす可能性を低減させる。このように、信号伝送端子3は折り曲げ可能部33を介して直接導電性シート4に接続して固定することができ、且つ折り曲げ可能部33と第1接続部31は導電性シート4を効果的に押し締めする必要でき、溶接、リベット締め又は接着剤分注などの接続プロセスを必要とせずに信号伝送端子3と導電性シート4との接続安定性を確保することができ、それにより折り曲げ可能部33と導電性シート4との接続過程が簡単であるとともに、サンプリング精度の信頼性及び安定性を確保し、電池モジュール2の使用安全性を向上させることに有利である。
【0040】
一実施例では、図6及び図7に示すように、隆起部311は凹部3111を有する。折り曲げ可能部33は対向して設けられる先端部331及び根元部332を有する。折り曲げ可能部33の根元部332は第1接続部31と接続するのに用いられる。折り曲げ可能部33の折り曲げ後、折り曲げ可能部33の先端部331は凹部3111に対応することで、導電性シート4の凹部3111に対応する部分を凹部3111内に押し込むことができる。このように、折り曲げ可能部33によって押し締めされる導電性シート4はさらに隆起部311によって制限され、導電性シート4と信号伝送端子3との接続信頼性及び安定性を向上させ、それによって導電性シート4は外力作用を受けるとしても隆起部311及び折り曲げ可能部33に対して移動し難い。一例では、折り曲げ後の折り曲げ可能部33の少なくとも一部の先端部331は凹部3111内に位置する。折り曲げ可能部33の先端部331は導電性シート4の凹部3111に対応する領域を凹部3111のより深い位置に押し込むことができるとともに、凹部3111の側壁は折り曲げ可能部33の先端部331を制限することができる。このように、導電性シート4又は信号伝送端子3が外力作用を受けるとしても、導電性シート4は隆起部311及び折り曲げ可能部33に対して移動し難く、導電性シート4と信号伝送端子3との接続信頼性及び安定性をさらに向上させることに有利である。一例では、隆起部311の先端面及び凹部3111の底面はいずれも弧状面であり、それによって、折り曲げ可能部33が導電性シート4を押し締めする時、導電性シート4の先端面及び底面に対応する領域に応力が集中して該領域に亀裂などの構造的損傷が発生する可能性を低減させる。一例では、折り曲げ可能部33の根元部332の幅は折り曲げ可能部33の先端部331の幅よりも大きく、それによって、折り曲げ可能部33全体は上部が狭く下部が広い円錐形又は台形構造である。折り曲げ可能部33を使用して直接導電性シート4を割る場合、折り曲げ可能部33は導電性シート4をより割りやすいとともに、導電性シート4を割る面積を制御しやすい。折り曲げ可能部33の先端部331は弧状であることで、折り曲げ可能部33の折り曲げ後、先端部331の導電性シート4に接触する領域が導電性シート4に大きすぎる応力を加えることによって導電性シート4の局所に応力が集中して構造的な損傷が発生する可能性を低減させることに有利であるとともに、折り曲げ可能部33の使用過程で操作者を傷付ける可能性を低減させることにも有利である。
【0041】
一実施例では、図6に示すように、2列の折り曲げ可能部33は第1接続部31に間隔をおいて設けられる。1列の折り曲げ可能部33ともう1列の折り曲げ可能部33はずれて設けられ、それにより各折り曲げ可能部33の折り曲げ後、各折り曲げ可能部33間に位置干渉が発生しない。一例では、2列の折り曲げ可能部33は幅方向Xに沿って間隔をおいて設けられる。隆起部311は2列の折り曲げ可能部33の間に位置する。1列の折り曲げ可能部33の数は1つ又は2つ以上であってもよい。隆起部311に設けられる凹部3111の数及び位置は2列の折り曲げ可能部33の総数及び位置に1対1で対応して設定される。各折り曲げ可能部33は折り曲げられた後、異なる位置で導電性シート4を押し締めし、導電性シート4と隆起部311との接触面積を増加させ、導電性シート4と信号伝送端子3との接続信頼性及び安定性を向上させることができる。また、各折り曲げ可能部33間は互いに冗長設計を構成することができ、その一部の折り曲げ可能部33が損傷する場合としても、残りの折り曲げ可能部33は導電性シート4を押し締めし、導電性シート4と信号伝送端子3との接続状態を維持することができる。また、折り曲げ可能部33の先端部331と導電性シート4との接触面積が小さいため、各折り曲げ可能部33が互いにずれて設けられるのではない場合、2列の折り曲げ可能部33の折り曲げ後、隆起部311の両側における折り曲げ可能部33の先端部331が部分的に重なり、重なり部分によって圧接力が制御不能になり、導電性シート4の緩みが発生しやすい。
【0042】
一実施例では、図8に示すように、第1接続部31は2つの支脚31aを含む。2つの支脚31aは幅方向Xに沿って間隔をおいて設けられる。2つの支脚31a間にそれぞれ隙間が形成される。折り曲げ可能部33は支脚31aに接続される。隆起部311は支脚31aに設けられる。2つの支脚31aが設けられることで、各支脚31aの折り曲げ可能部33を介して導電性シート4と接続することができ、それによって信号伝送端子3と導電性シート4とを圧接した後の引抜き力を高め、信号伝送端子3と導電性シート4とが引抜き力を受ける時に分離しやすく導電性シート4を引き裂く可能性を低減させることに有利である。各支脚31aに2列の折り曲げ可能部33が設けられ、各支脚31aについて、1列の折り曲げ可能部33ともう1列の折り曲げ可能部33はずれて設けられる。選択可能に、支脚31aの数は上記2つに限定されず、3つ以上であってもよい。
【0043】
一実施例では、図5又は図8に示すように、第1接続部31及び第2接続部32はいずれもシート状構造である。第1接続部31の幅は第2接続部32の幅未満であり、それにより第1接続部31の弾性変形能力は第2接続部32の弾性変形能力よりも大きい。このように、第2接続部32が外力を受けて幅方向X又はその厚さ方向に沿って外力による引張り作用を受ける場合、第1接続部31は該外力を効果的に緩衝でき、それによって第2接続部32に伴う第1接続部31のずれ位置が大きすぎて導電性シート4を引き裂く可能性を低減させる。
【0044】
一実施例では、図5又は図8に示すように、信号伝送端子3は取り付け位置決め部34をさらに含む。取り付け位置決め部34は第1接続部31の第2接続部32から離れる端部に接続される。取り付け位置決め部34は信号伝送端子3と導電性シート4との接続過程で信号伝送端子3を事前位置決めするのに用いられ、それによって折り曲げ機器は簡単に折り曲げ可能部33を正確に折り曲げて隆起部311に圧接することができ、信号伝送端子3の位置ずれによって導電性シート4との接続位置が所定の位置にない可能性を低減させる。一例では、取り付け位置決め部34はシート状本体、及びシート状本体に設けられる位置決め孔を有する。取り付け位置決め部34は位置決め孔を介して位置決め工具に位置決めされる。
【0045】
一実施例では、図4に示すように、導電性シート4は電気接続領域41を有する。導電性シート4は長尺状構造である。導電性シート4の接続ポート7から離れる自由端部に電気接続領域41が形成される。折り曲げ可能部33は電気接続領域41を通過する。一例では、上絶縁膜5は電気接続領域41を被覆する。折り曲げ可能部33は導電性シート4及び上絶縁膜5を貫通して折り曲げられるようにしてもよく、導電性シート4のみを貫通して折り曲げられるが、上絶縁膜5は折り曲げ可能部33の外部から折り曲げ可能部33の導電性シート4を貫通する部分及び導電性シート4の電気接続領域41を被覆するようにしてもよい。一例では、下絶縁膜6は電気接続領域41を被覆する。折り曲げ可能部33は下絶縁膜6及び導電性シート4の両方を貫通して折り曲げられるようにしてもよく、導電性シート4のみを貫通して折り曲げられるが、下絶縁膜6は第1接続部31の外部から第1接続部31及び導電性シート4の電気接続領域41を被覆するようにしてもよい。一例では、上絶縁膜5及び下絶縁膜6はいずれも電気接続領域41を被覆する。折り曲げ可能部33は導電性シート4及び上絶縁膜5の両方を貫通して折り曲げられるが、下絶縁膜6は第1接続部31を被覆するようにしてもよい。又は、折り曲げ可能部33は下絶縁膜6及び導電性シート4の両方を貫通して折り曲げられるが、上絶縁膜5は折り曲げ可能部33の導電性シート4を貫通する部分を被覆するようにしてもよい。
【0046】
本願の実施例に係る信号伝送端子3は第1接続部31、第2接続部32及び折り曲げ可能部33を含む。第1接続部31は隆起部311を有する。信号伝送端子3がサンプリング装置23に適用される場合、信号伝送端子3は導電性シート4を割ることができ、折り曲げ可能部33を折り曲げることで折り曲げ可能部33と隆起部311で導電性シート4を押し締めし、それにより信号伝送端子3と導電性シート4との直接接続が実現される。このように、信号伝送端子3と導電性シート4との接続過程が簡単であり操作しやすいだけでなく、信号伝送端子3と導電性シート4との接続信頼性及び安定性を確保することができ、緩みや分離が発生し難く、それによってサンプリング精度の信頼性及び安定性を確保し、電池モジュール2の使用安全性を向上させることに有利である。
【0047】
好適実施例を参照しながら本願を説明するが、本願の範囲を逸脱せずに種々の改良を行ったり、その中の部材を同等物で置換したりすることができる。特に、構造上の矛盾がない限り、各実施例に係る各技術的特徴を任意に組み合わせることができる。本願は本明細書に開示されている特定実施例に限定されず、特許請求の範囲に属するすべての技術的解決手段を含む。
【符号の説明】
【0048】
1 車両
2 電池モジュール
21 二次電池
22 バスバー部材
23 サンプリング装置
3 信号伝送端子
31 第1接続部
31a 支脚
311 隆起部
3111 凹部
32 第2接続部
33 折り曲げ可能部
331 先端部
332 根元部
34 取り付け位置決め部
4 導電性シート
41 電気接続領域
5 上絶縁膜
6 下絶縁膜
7 接続ポート
X 幅方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8