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特許7446439電池セル、電池、電力消費装置、電池セルの製造方法及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-29
(45)【発行日】2024-03-08
(54)【発明の名称】電池セル、電池、電力消費装置、電池セルの製造方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/593 20210101AFI20240301BHJP
   H01M 50/107 20210101ALI20240301BHJP
   H01M 50/152 20210101ALI20240301BHJP
   H01M 50/533 20210101ALI20240301BHJP
   H01M 50/586 20210101ALI20240301BHJP
【FI】
H01M50/593
H01M50/107
H01M50/152
H01M50/533
H01M50/586
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2022543113
(86)(22)【出願日】2020-09-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-14
(86)【国際出願番号】 CN2020119692
(87)【国際公開番号】W WO2022067778
(87)【国際公開日】2022-04-07
【審査請求日】2022-07-14
(73)【特許権者】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】100167689
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 征二
(72)【発明者】
【氏名】▲曽▼毓群
(72)【発明者】
【氏名】康文▲竜▼
(72)【発明者】
【氏名】▲ケイ▼承友
(72)【発明者】
【氏名】王▲鵬▼
(72)【発明者】
【氏名】李全坤
(72)【発明者】
【氏名】▲蘇▼▲華▼▲聖▼
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼文忠
【審査官】高木 康晴
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-099699(JP,A)
【文献】特開2018-006113(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/50
H01M 50/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースと、電極組立体と、エンドカバー組立体とを備える電池セルであって、
前記ケースは、開口を有し、
前記電極組立体は、主体部、タブ及び隔離部を備え、且つ、前記ケース内に設置され、
前記タブは前記主体部の端部から前記開口に向かって延伸しており、前記隔離部は前記タブの外周に設置され、
前記エンドカバー組立体は、エンドカバー及び第1の絶縁部材を備え、且つ、前記開口を閉鎖するために用いられ、
前記エンドカバーは前記開口をカバーしかつ前記ケースに接続されるように配置され、前記第1の絶縁部材は前記エンドカバーの前記ケース内部に近接する側に設置され且つ凹部を有し、少なくとも一部の前記タブは前記凹部内に収容されており、且つ、前記第1の絶縁部材は、互いに接続された本体及び延伸部を備え、前記本体は、前記エンドカバーに接続されるように配置され、前記延伸部は、前記タブと前記ケースとを隔離するように、前記本体から前記電極組立体に向かって延伸し突出して前記凹部を形成し、前記タブの外周に設置され且つ前記隔離部に押圧されており、
前記タブは、段差部を有し、前記段差部は、第1の側面、遷移面及び第2の側面を有し、前記第1の側面は前記主体部に近接し、前記遷移面は前記第1の側面及び前記第2の側面を接続させ且つ前記エンドカバーに向き、前記第1の側面の最小径方向寸法は前記第2の側面の最大径方向寸法より大きく、前記凹部の少なくとも一部の内壁は前記第2の側面を取り囲み、
前記延伸部は、前記第2の側面を取り囲み、前記隔離部は前記遷移面に設置された、
電池セル。
【請求項2】
前記延伸部は、前記隔離部の前記エンドカバーに近接する側に位置し、前記エンドカバーから離れる方向に沿って前記隔離部に押圧されている、請求項に記載の電池セル。
【請求項3】
前記延伸部は連続的に延伸する閉環構造又は切欠を有する環状構造である、請求項又はに記載の電池セル。
【請求項4】
前記隔離部は環状である、請求項1~のいずれか一項に記載の電池セル。
【請求項5】
前記電極組立体は、第1の極シート、第2の極シート及びセパレータを備え、
前記第1の極シートと前記第2の極シートは、いずれも塗布領域と未塗布領域を有し、前記電極組立体における前記第1の極シートと前記第2の極シートの塗布領域に対応する部分は前記主体部であり、前記第1の極シート又は前記第2の極シートの未塗布領域は前記タブを形成し、前記セパレータは前記第1の極シートと前記第2の極シートとを隔離するために用いられ、前記隔離部は前記セパレータが前記主体部を超えかつ前記タブの外周に位置する一部である、
請求項に記載の電池セル。
【請求項6】
前記隔離部は、前記セパレータが前記第1の側面を超えかつ前記第2の側面の外周に位置する一部である、請求項に記載の電池セル。
【請求項7】
前記電極組立体は、第2の絶縁部材をさらに備え、
前記第2の絶縁部材は、前記第1の絶縁部材と前記隔離部の押圧領域と前記ケースとを隔離するように、前記押圧領域を取り囲む、請求項1~のいずれか一項に記載の電池セル。
【請求項8】
前記第2の絶縁部材は、前記ケースに臨む前記第1の絶縁部材の外表面に押圧され、かつ前記隔離部に接触する、請求項に記載の電池セル。
【請求項9】
前記第1の絶縁部材の外表面はガイド斜面を有し、
前記ガイド斜面は、前記エンドカバーから離れる方向に沿って前記凹部に向かって傾斜している、請求項に記載の電池セル。
【請求項10】
前記第2の絶縁部材は、前記第1の絶縁部材の外表面に接着されている、請求項又はに記載の電池セル。
【請求項11】
前記第2の絶縁部材が前記第1の絶縁部材の外表面に押圧される領域は、前記タブよりも前記エンドカバーにより近い、請求項10のいずれか一項に記載の電池セル。
【請求項12】
前記エンドカバー組立体は、アダプタシートをさらに備え、
前記アダプタシートは、前記凹部内に収容されており且つ第1のアダプタ部を有し、
前記第1のアダプタ部は、前記タブを接続するように配置され、前記第1の絶縁部材及び前記電極組立体により押し出されている、
請求項1~11のいずれか一項に記載の電池セル。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の電池セルを備える電池。
【請求項14】
電気エネルギーを供給するために用いられる請求項1~12のいずれか一項に記載の電池セルを備える電力消費装置。
【請求項15】
主体部、タブ及び隔離部を備える電極組立体を開口を有するケース内に入れ、ここで、前記タブは前記主体部の端部から前記開口に向かって延伸しており、前記タブは、段差部を有し、前記段差部は、第1の側面、遷移面及び第2の側面を有し、前記第1の側面は前記主体部に近接し、前記遷移面は前記第1の側面及び前記第2の側面を接続させ、前記隔離部は前記タブの外周に設置され且つ前記遷移面に設置されたことと、
エンドカバー及び第1の絶縁部材を備えるエンドカバー組立体を前記ケースと組み立て、前記ケースに接続されるように前記エンドカバーを前記開口にカバーし、かつ、前記第1の絶縁部材を前記エンドカバーの前記ケース内部に近接する側に位置させ、ここで、前記第1の絶縁部材は凹部を有し、少なくとも一部の前記タブは前記凹部内に収容されており、前記第1の絶縁部材は互いに接続された本体及び延伸部を備え、前記本体は前記エンドカバーに接続されるように配置され、前記延伸部は、前記タブと前記ケースとを隔離するように、前記本体から前記電極組立体に向かって延伸し突出して前記凹部を形成し、前記タブの外周に設置され、第2の側面を取り囲み、且つ前記隔離部に押圧されており、前記第1の側面の最小径方向寸法が前記第2の側面の最大径方向寸法より大きく、前記凹部の少なくとも一部の内壁が前記第2の側面を取り囲むように、前記遷移面を前記エンドカバーに向かせることと、
を含む、電池セルの製造方法。
【請求項16】
主体部、タブ及び隔離部を備える電極組立体を開口を有するケース内に入れるように配置され、ここで、前記タブは前記主体部の端部から前記開口に向かって延伸しており、前記タブは、段差部を有し、前記段差部は、第1の側面、遷移面及び第2の側面を有し、前記第1の側面は前記主体部に近接し、前記遷移面は前記第1の側面及び前記第2の側面を接続させ、前記隔離部は前記タブの外周に設置され且つ前記遷移面に設置された、第1の組立装置と、
エンドカバー及び第1の絶縁部材を備えるエンドカバー組立体を前記ケースに組み立て、前記ケースに接続されるように前記エンドカバーを前記開口にカバーし、かつ、前記第1の絶縁部材を前記エンドカバーの前記ケース内部に近い側に位置させるように配置され、ここで、前記第1の絶縁部材は凹部を有し、少なくとも一部の前記タブは前記凹部内に収容されており、前記第1の絶縁部材は互いに接続された本体及び延伸部を備え、前記本体は前記エンドカバーに接続されるように配置され、前記延伸部は、前記タブと前記ケースとを隔離するように、前記本体から前記電極組立体に向かって延伸し突出して前記凹部を形成し、前記タブの外周に設置され、第2の側面を取り囲み、且つ前記隔離部に押圧されており、前記第1の側面の最小径方向寸法が前記第2の側面の最大径方向寸法より大きく、前記凹部の少なくとも一部の内壁が前記第2の側面を取り囲むように、前記遷移面を前記エンドカバーに向かせる第2の組立装置と、
を備える、電池セルの製造システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、電池の技術分野に関し、特に電池セル、電池、電力消費装置、電池セルの製造方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
充放電可能な電池は、エネルギー密度が高く、電力密度が高く、循環使用回数が多くかつ貯蔵時間が長いなどの利点を有するため、電気自動車、モバイル機器又は電動工具に一般的に応用される。電池は、電池セルを含む。しかしながら、電池セルは使用過程において、短絡の問題が存在し、電池セルの使用安全性に影響を与える。
【発明の概要】
【0003】
本願の実施例は、電池セル、電池、電力消費装置、電池セルの製造方法及びシステムであり、電池セルに短絡が存在して使用安全性に影響を与えるという問題を解決することを目的とする。
【0004】
本願の実施例は、ケース、電極組立体及びエンドカバー組立体を備える電池セルを提供する。ケースは、開口を有する。電極組立体は、ケース内に設けられている。電極組立体は、主体部と、タブと、隔離部とを備える。タブは、主体部の端部から開口に向かって延伸している。隔離部は、タブの外周に設けられている。エンドカバー組立体は開口を密封するために用いられる。エンドカバー組立体はエンドカバー及び第1の絶縁部材を備える。エンドカバーは、開口をカバーしてケースに接続されるように配置される。第1の絶縁部材は、エンドカバーのケース内部に近い側に設けられている。第1の絶縁部材は、凹部を有する。タブの少なくとも一部は、凹部内に収容されている。第1の絶縁部材は、タブとケースとを隔離するように、隔離部に押圧して配置されている。
【0005】
本願の一つの実施例において、第1の絶縁部材は互いに接続された本体及び延伸部を備える。本体はエンドカバーに接続されるように配置される。延伸部は、本体から電極組立体に向かって延伸し突出して凹部を形成し、タブの外周に設置され且つ隔離部に押圧される。第1の絶縁部材が延伸部を有するため、組立を行う時に、第1の絶縁部材の延伸部はタブとケースとの間の隙間に挿入することができ、それにより延伸部はタブを第1の絶縁部材の凹部内に正確に挿入するようにガイドすることができ、組立過程において、第1の絶縁部材がタブに押出応力を印加することによりタブが変形する可能性を低下させ、同時に延伸部が組立過程においてタブに対して保護及び制限を早めに形成することができる。
【0006】
本願の一つの実施例において、延伸部は、隔離部のエンドカバーに近接する側に位置しており、エンドカバーから離れる方向に沿って隔離部に押圧される。延伸部は、隔離部に対して制限拘束を形成することができ、隔離部がエンドカバーに接近するか又は離れる方向に移動する可能性を低減するため、隔離部がエンドカバーに接近するか又は離れる方向に移動することにより延伸部と隔離部が押圧状態から離脱する可能性を低減する。同時に、延伸部は、電極組立体に対して制限拘束を形成することができ、電極組立体がエンドカバーに接近するか又は離れる方向に移動する可能性も低減する。
【0007】
本願の一つの実施例において、延伸部は連続的に延伸する閉環構造である。延伸部のエンドカバーから離れる端面が閉環構造を呈するため、延伸部はタブの外周全体にタブに対して保護や隔離を形成することができ、隔離効果をさらに向上させることに役立つ。又は、延伸部は、切欠を有する環状構造である。延伸部の切欠は待避空間を提供することができる。
【0008】
本願の一つの実施例において、隔離部は環状である。隔離部は、タブの外周に全体的に嵌設されており、それによりタブの周方向全体にタブを保護することができる。
【0009】
本願の一つの実施例において、タブは段差部を有する。段差部は第1の側面、遷移面及び第2の側面を有する。第1の側面は主体部に近接し、遷移面は第1の側面及び第2の側面を接続しており、遷移面はエンドカバーに向き、第1の側面の最小径方向寸法は第2の側面の最大径方向寸法より大きく、凹部の少なくとも一部の内壁は第2の側面を取り囲む。タブにおける第2の側面に対応する部分は、凹部内に位置している。このように、タブの一部は第1の絶縁部材の凹部内に位置することができ、同じ容量の電池セルに対して電池セルの電極組立体の軸方向での全体寸法を低減することに役立ち、それにより電池セルのエネルギー密度を向上させることに役立つ。
【0010】
本願の一つの実施例において、延伸部は第2の側面を取り囲み、隔離部は遷移面に設置されている。延伸部の端面は、遷移面に対向し、かつ隔離部に押圧され、電極組立体がエンドカバーに接近するか又は離れる方向に移動する可能性を低減することができる。
【0011】
本願の一つの実施例において、電極組立体は、第1の極シート、第2の極シート及びセパレータを備える。第1の極シート及び第2の極シートはいずれも塗布領域及び未塗布領域を有し、電極組立体における第1の極シート及び第2の極シートの塗布領域に対応する部分は主体部であり、第1の極シート又は第2の極シートの未塗布領域はタブを形成し、セパレータは第1の極シート及び第2の極シートを隔離するために用いられる。隔離部は、セパレータが主体部を超えかつタブの外周に位置する一部であり、部品の使用数量及び組立の難しさを減少させることに役立つ。また、セパレータが一体構造であるため、形成された隔離部は脱落しにくい。
【0012】
本願の一つの実施例において、電極組立体は、第2の絶縁部材をさらに備える。第2の絶縁部材は、第1の絶縁部材と隔離部の押圧領域を取り囲むことにより、押圧領域とケースとを隔離する。延伸部と隔離部の押圧領域及び第2の絶縁部材は、タブに対して二重隔離及び保護構造を形成することができ、タブとケースが接触して短絡する可能性をさらに低減することに役立つ。
【0013】
本願の一つの実施例において、第2の絶縁部材は、第1の絶縁部材ケースに向く外表面に押圧されかつ隔離部に接触する。第2の絶縁部材と第1の絶縁部材との間及び第2の絶縁部材と隔離部との間にそれぞれ接触領域を形成することができ、それにより第2の絶縁部材は導電性不純物を遮断することができる。
【0014】
本願の一つの実施例において、外表面はガイド斜面を有する。ガイド斜面は、エンドカバーから離れる方向に沿って、凹部に向かって傾斜している。第2の絶縁部材付きの電極組立体をケースに入れた後にエンドカバー組立体を組み立てる時、ガイド斜面のガイド作用で、第1の絶縁部材におけるガイド斜面に対応する部分は、第2の絶縁部材に限定された空間内に容易に入ることができる。
【0015】
本願の一つの実施例において、第2の絶縁部材は外表面に接着されており、第2の絶縁部材と第1の絶縁部材との接続の信頼性及び安定性を向上させることに役立つ。
【0016】
本願の一つの実施例において、外表面において、第2の絶縁部材が押圧される領域はタブよりもエンドカバーに近く、組立過程において、接触しない第1の絶縁部材と第2の絶縁部材との間の隙間から導電性不純物がタブに入る可能性を低減することができる。
【0017】
本願の一つの実施例において、エンドカバー組立体は、凹部内に収容されているアダプタシートをさらに備える。アダプタシートは第1のアダプタ部を有し、第1のアダプタ部はタブに接続されるように配置され、第1の絶縁部材及び電極組立体は第1のアダプタ部を押し出す。第1のアダプタ部は、電極組立体に対して変位しにくく、第1のアダプタ部が電極組立体に対して移動することにより第1のアダプタ部とタブとが接続から離脱する可能性を低減することに役立つ。
【0018】
本発明の電池セルは、ケースと、電極組立体と、エンドカバー組立体とを備える。エンドカバー組立体の第1の絶縁部材の凹部は、電極組立体のタブを収容する。同時に、第1の絶縁部材と電極組立体の隔離部は、互いに押圧してタブの周辺に隔離構造を形成し、それによりタブとケースを隔離する。このように、一方では、電池セルの使用過程において、タブは、自身の弾性復元力を解放して変形する場合に第1の絶縁部材及び隔離部に接触すると、第1の絶縁部材及び隔離部に遮断され、それによりタブがケースにラップ接触して短絡が発生する可能性を効果的に低減する。他方では、第1の絶縁部材及び隔離部が互いに押圧するため、少なくとも一部のタブが第1の絶縁部材の凹部内に収容されているため、タブが第1の絶縁部材及び隔離部に保護され、それにより外部の導電性不純物がタブに接触しにくく、導電性不純物がタブとケースを導通して短絡する可能性を低減する。
【0019】
本願の実施例は、上記実施例に記載の電池セルを備える電池をさらに提供する。
【0020】
本願の実施例は、電気エネルギーを提供するために用いられる上記実施例に記載の電池セルを備える電力消費装置をさらに提供する。
【0021】
本願の実施例は、上記実施例に記載の電池セルの製造方法であって、
主体部、タブ及び隔離部を備える電極組立体を開口を有するケース内に入れ、ここで、タブは主体部の端部から開口に向かって延伸しており、隔離部はタブの外周に設置されたことと、
エンドカバー及び第1の絶縁部材を備えるエンドカバー組立体をケースに組み立て、ケースに接続されるようにエンドカバーを開口にカバーし、かつ、第1の絶縁部材をエンドカバーのケース内部に近接する側に位置させ、ここで、第1の絶縁部材は凹部を有し、少なくとも一部のタブは凹部内に収容されており、第1の絶縁部材はタブとケースとを隔離するように隔離部に押圧されていることと、
を含む、電池セルの製造方法をさらに提供する。
【0022】
本願の実施例は、上記実施例に記載の電池セルの製造システムであって、
主体部、タブ及び隔離部を備える電極組立体を開口を有するケース内に入れるように配置され、ここで、タブが主体部の端部から開口に向かって延伸しており、隔離部がタブの外周に設置された、第1の組立装置と、
エンドカバー及び第1の絶縁部材を備えるエンドカバー組立体をケースに組み立てるように配置され、ケースに接続されるようにエンドカバーを開口にカバーし、かつ第1の絶縁部材をエンドカバーのケース内部に近接する側に位置させ、ここで、第1の絶縁部材は凹部を有し、少なくとも一部のタブは凹部内に収容され、第1の絶縁部材はタブとケースを隔離するように隔離部に押圧される、第2の組立装置と、
を備える、電池セルの製造システムをさらに提供する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
本願の実施例の技術案をより明確に説明するために、以下に本願の実施例に必要な図面を簡単に紹介し、明らかに、以下に記載の図面は本願のいくつかの実施例に過ぎず、当業者であれば、創造的労働をしない前提で、さらに図面に基づいて他の図面を取得することができる。
図1】本願の一つの実施例に開示された車両の構造概略図である。
図2】本願の一つの実施例に開示された電池の構造概略図である。
図3】本願の一つの実施例に開示された電池モジュールの構造概略図である。
図4】本願の一つの実施例に開示された電池モジュールの分解構造概略図である。
図5】本願の一つの実施例に開示された電池セルの分解構造概略図である。
図6】本願の一つの実施例に開示された電極組立体の構造概略図である。
図7】本願の一つの実施例に開示された電池セルの平面構造概略図である。
図8図7におけるA-A箇所に沿う断面構造概略図である。
図9図8におけるB箇所の拡大図である。
図10】本願の一つの実施例に開示されたエンドカバー組立体の構造概略図である。
図11】本願の他の実施例に開示されたエンドカバー組立体の構造概略図である。
図12】本願の他の実施例に開示された電池セルの分解構造概略図である。
図13図12に示す実施例の電池セルの断面構造概略図である。
図14図13におけるC箇所の拡大図である。
図15】本願の一つの実施例に開示された電池セルの部分断面構造概略図である。
図16】本願のさらなる実施例に開示された電池セルの分解構造概略図である。
図17図16に示す実施例の電池セルの断面構造概略図である。
図18図17におけるD箇所の拡大図である。
図19】本願の一つの実施例の電池セルの製造方法のフローチャートである。
図20】本願の一つの実施例の電池セルの製造システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に図面及び実施例を参照して本願の実施形態をさらに詳細に説明する。以下の実施例の詳細な説明及び図面は本願の原理を例示的に説明するために用いられるが、本願の範囲を限定するものではなく、すなわち本願は説明された実施例に限定されるものではない。
【0025】
本願の説明において、説明すべきこととして、他に説明しない限り、「複数」の意味は二つ以上である。用語「上」、「下」、「左」、「右」、「内」、「外」等の指示された方位又は位置関係は本願を説明しやすく、説明を簡略化するためのものに過ぎない。その指定された装置又は素子が特定の方位を有し、特定の方位で構成され操作されなければならないことを指示するか又は暗示するものではないため、本願を限定するものと理解すべきではない。また、用語「第1」、「第2」、「第3」等は単に目的を説明するために用いられ、相対的な重要性を指示するか又は暗示すると理解されるべきではない。「垂直」は厳密な意味での垂直ではなく、誤差の許容範囲内にある。「平行」は厳密な意味での平行ではなく、誤差の許容範囲内にある。
【0026】
下記説明に現れた方位用語はいずれも図に示された方向であり、本願の具体的な構造を限定するものではない。本願の説明において、さらに説明すべきこととして、他の明確な規定及び限定がない限り、用語「取り付け」、「連結」、「接続」を広義に理解すべきである。例えば、固定接続であってもよく、取り外し可能に接続されてもよく、又は一体的に接続されてもよい。直接的に接続されてもよく、中間媒体を介して間接的に接続されてもよい。当業者であれば、具体的な状況に応じて上記用語の本願における具体的な意味を理解することができる。
【0027】
出願人は、従来の電池セルに短絡の問題が存在することに留意した後、電池セルの構造を研究して分析する。電池セルは、ケースと、電極組立体と、エンドカバーと、電極端子と、アダプタシートとを備える。電極組立体は、ケース内に設けられている。エンドカバーは、ケースに接続されている。電極端子は、エンドカバーに設けられている。電極組立体は、主体部およびタブを備える。タブは、主体部から主体部から離れる方向に延伸している。アダプタシートは電極端子と電極組立体のタブとを接続する。出願人は、電池セルのタブとケースとがラップ接触して電池セルが短絡することを発見した。出願人がさらに研究した結果、電極組立体のタブは、折り曲げ工程又はフラット工程を経て変形して組立要件を満たすため、タブ自体は弾性復元力を蓄積する。電池セルの組み立てを完了した時に、タブは、ケースにラップ接触して短絡する状況が発生しない。しかし、一定の使用時間後、タブは、自身に蓄積された弾性復元力を解放してスプリングバックが発生し、それによりタブとケースがラップ接触して短絡するという問題が発生する。
【0028】
出願人は、発見された上記問題に基づいて、電池セルの構造を改善し、エンドカバー組立体の絶縁部材とタブの外側の隔離部を押圧することにより、タブとケースがラップ接触する可能性を低減する。以下に本願の実施例をさらに説明する。
【0029】
本願をよりよく理解するために、以下に図1図20を参照して本願の実施例を説明する。
【0030】
本願の実施例は、電池10を電源として使用する電力消費装置を提供する。該電力消費装置は車両、船舶又は航空機等であってもよいが、これに限定されない。図1に示すように、本願の一つの実施例は車両1を提供する。車両1は、燃料自動車、ガス自動車又は新エネルギー自動車であってよい。新エネルギー自動車は純粋な電気自動車、ハイブリッド自動車又は航続距離延長型自動車等であってもよい。本願の一つの実施例において、車両1はモータ1a、コントローラ1b及び電池10を備えることができる。制御装置1bは、電池10を制御してモータ1aに電力を供給する。モータ1aは、伝動機構により車輪に接続され、それにより車両1が走行するように駆動する。電池10は、車両1の駆動電源として燃料油又は天然ガスを代替するか又は部分的に代替して車両1に駆動動力を提供することができる。一例において、車両1の底部、車頭又は車尾に電池10を設置することができる。電池10は、車両1への電力供給に用いられてもよい。一例において、電池10は、車両1の操作電源として車両1の回路システムに用いられることができる。例示的には、電池10は車両1の起動、ナビゲーション及び運転時の動作電力消費需要に用いられることができる。
【0031】
図2及び図3に示すように、電池10は筐体を備える。筐体の種類は限定されない。筐体は、枠状筐体、円盤状筐体又は箱状筐体等であってもよい。例示的には、筐体は第1の部分11及び第1の部分11にカバーされる第2の部分12を備え、第1の部分11と第2の部分12とのカバーリングによって収容部が形成される。電池10は、複数の電池セル40を有する。複数の電池セル40は、電池10を構成してもよく、まず電池モジュール20を構成してさらに電池10を構成してもよい。図3は、一つの実施例の電池モジュール20を概略的に示し、当該電池モジュール20は筐体の収容部内に設置されている。
【0032】
いくつかの実施例において、異なる電力消費需要を満たすために、電池10は複数の電池セル40を有することができる。ここで、複数の電池セル40の間は直列、並列又は混合であってもよく、混合が直列及び並列の混合を指す。すなわち、複数の電池セル40は、筐体の収容部内に直接設置されて電池10を構成することができる。電池セル40は、円筒形構造であってもよく、六面を有する方形構造であってもよく、ここで電池セル40の外形構造を限定しない。本願の実施例において、電池セル40が円筒形構造であることを例として説明するが、本願の保護範囲を限定するものではない。
【0033】
図3及び図4に示すように、電池モジュール20はハウジング30及びハウジング30内に設置された電池セル40を有する。一例において、ハウジング30は筒体31、第1のカバー32及び第2のカバー33を備える。第1の蓋体32及び第2の蓋体33は、筒体31の両端にそれぞれ設けられている。第1の蓋体32及び第2の蓋体33は、それぞれ筒体31に取り外し可能に接続される。例えば、第1の蓋体32と第2の蓋体33は、それぞれ筒体31に係止されるか又はネジで接続されることができる。筒体31、第1の蓋体32及び第2の蓋体33の組み立てから収容空間が形成される。電池セル40は、ハウジング30の収容空間内に設けられている。
【0034】
図5に示すように、本願の実施例の電池セル40はケース41及びケース41内に設置された電極組立体42を備える。本願の実施例のケース41は、筒状構造である。ケース41は、電極組立体42および電解液を収容する内部空間と、内部空間に連通する開口411とを有する。電極組立体42はケース41の開口411からケース41内に入れることができる。ケース41は、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金又はプラスチック等の材料により製造されることができる。電極組立体42は、主体部421およびタブ422を備える。主体部421は、端部421aを有する。電極組立体42はケース41内に設置され、主体部421の端部421aはケース41の開口411に向き、タブ422は主体部421の端部421aからケース41の開口411に延伸している。
【0035】
図5に示すように、本願の実施例の電池セル40はエンドカバー組立体43及びアダプタシート44をさらに備える。エンドカバー組立体43はケース41の開口411を閉鎖するために用いられる。エンドカバー組立体43はエンドカバー431、第1の絶縁部材432及び電極端子433を含む。エンドカバー431は、ケース41の開口411をカバーするように配置され且つケース41に接続されている。例えば、エンドカバー431はケース41に溶接接続されてもよい。第1の絶縁部材432および電極端子433は、いずれもエンドカバー431に設けられている。第1の絶縁部材432は、エンドカバー431のケース41の内部に近い側に設けられている。第1の絶縁部材432は、凹部432aを有する。凹部432aは、第1の絶縁部材432のエンドカバー431から離れる表面からエンドカバー431に向かって凹んで形成され、凹部の開口が電極組立体42に向く。電極端子433は、アダプタシート44により電極組立体42と電気的に接続されている。一例において、エンドカバー組立体43の数量及びアダプタシート44の数量はいずれも二つである。電極組立体42の対向する両端の各端部にエンドカバー組立体43及びアダプタシート44が対応して設置される。
【0036】
図6に示すように、本願の実施例の電極組立体42は、第1の極シート42a、第2の極シート42b及びセパレータ42cを共に巻回することにより形成されることができる。ここで、セパレータ42cは第1の極シート42aと第2の極シート42bとの間に介在する絶縁体である。セパレータ42cは、第1の極シート42aと第2の極シート42bを絶縁隔離して第1の極シート42aと第2の極シート42bの接触を回避することに用いられる。第1の極シート42a及び第2の極シート42bは、いずれも塗布領域及び未塗布領域を含む。第1の極シート42aの活物質は第1の極シート42aの塗布領域に塗布され、第2の極シート42bの活物質は第2の極シート42bの塗布領域に塗布された。活物質は、塗布領域に金属薄板で形成された集電体に塗布されており、未塗布領域に活物質が塗布されていない。電極組立体42において第1の極シート42a及び第2の極シート42bの塗布領域に対応する部分は主体部421である。第1の極シート42aの未塗布領域又は第2の極シート42bの未塗布領域は、タブ422を形成した。主体部421は、対向して設けられた二つの端部421aを有する。タブ422は、主体部421の一方の端部421aから延伸している。タブ422は多層構造である。例示的には、第1の極シート42aの未塗布領域が積層されて正極タブを形成し、第2の極シート42bの未塗布領域が積層されて負極タブを形成する。主体部421の一方の端部421aからは、正極タブおよび負極タブがそれぞれ延伸している。第1の極シート42a、第2の極シート42b及びセパレータ42cを共に巻回する時に、巻回工程の最後に、セパレータ42cを単独で所定の回数にさらに巻回し、それにより第1の極シート42a及び第2の極シート42bを超えるセパレータ42cは第1の極シート42a及び第2の極シート42bを包むことができる。電極組立体42の巻回軸線の方向に沿って、セパレータ42cの寸法は第1の極シート42aの塗布領域の寸法よりも大きく、第2の極シート42bの塗布領域の寸法よりも大きい。したがって、電極組立体42の巻回軸線の方向に沿って、電極組立体42のセパレータ42cの一部は主体部421を超え、かつ主体部421を超えるセパレータ42cの一部はタブ422の外周に位置している。
【0037】
図7及び図8に示すように、エンドカバー431は、ケース41に接続されて電極組立体42をケース41内に閉鎖させる。第1の絶縁部材432は、電極組立体42とエンドカバー431を隔離することができる。例示的には、ケース41は対向する二つの開口411を有する。二つのエンドカバー431はそれぞれ二つの開口411をカバーしかついずれもケース41に接続されている。電極組立体42は、対向する二つのタブ422を有する。二つのタブ422は、主体部421の両端部421aからそれぞれ延伸している。二つのタブ422の極性は逆である。二つの電極端子433は、それぞれ二つのタブ422に接続されている。二つの第1の絶縁部材432はそれぞれ二つのエンドカバー431に接続されている。
【0038】
図8及び図9に示すように、電極組立体42は隔離部423をさらに備える。隔離部423は、タブ422の外周に設置され、それによりタブ422は隔離部423の内側に位置している。ここで、内側とは、ケース41から離れる側を指す。隔離部423は、タブ422の周側に沿って延伸している。隔離部423は、電極組立体42の巻回軸線の方向に沿って、タブ422を超えない。本願の実施例の第1の絶縁部材432は、凹部432aを有する。タブ422は、凹部432a内に向かって延伸している。タブ422の少なくとも一部は、第1の絶縁部材432の凹部432a内に収容されている。第1の絶縁部材432は、電極組立体42に対して制限拘束の作用を果たすことができ、電池セル40が衝撃又は振動を受けることにより電極組立体42がケース41内に移動する可能性を低減する。第1の絶縁部材432は、タブ422とケース41を隔離するように隔離部423に押圧して配置される。第1の絶縁部材432と隔離部423が押圧した後に押圧領域が形成され、タブ422は、押圧領域の内側に位置している。第1の絶縁部材432及び隔離部423は共にタブ422の周辺に隔離構造を形成し、それによりタブ422とケース41とを隔離する。
【0039】
本願の実施例の電池セル40は、ケース41と、電極組立体42と、エンドカバー組立体43とを備える。エンドカバー組立体43の第1の絶縁部材432の凹部432aは、電極組立体42のタブ422を収容する。同時に、第1の絶縁部材432と電極組立体42の隔離部423は、互いに押圧してタブ422の周辺に隔離構造を形成し、それによりタブ422とケース41とを隔離する。このように、一方では、電池セル40の使用過程において、タブ422は、自身の弾性復元力を解放して変形する時に第1の絶縁部材432と隔離部423に接触すると、第1の絶縁部材432と隔離部423に遮断され、それによりタブ422がケース41にラップ接触して短絡する可能性を効果的に低減する。他方では、第1の絶縁部材432と隔離部423が互いに押圧し、タブ422の少なくとも一部が第1の絶縁部材432の凹部432a内に収容されるため、タブ422が第1の絶縁部材432と隔離部423に保護され、それにより外部の導電性不純物がタブ422に接触しにくく、導電性不純物がタブ422とケース41を導通して短絡する可能性を低減する。
【0040】
いくつかの実施例において、図9に示すように、第1の絶縁部材432は互いに接続された本体4321及び延伸部4322を備える。第1の絶縁部材432は本体4321によりエンドカバー431に接続されている。例示的には、電極端子433がエンドカバー431に接続して固定された後、電極端子433の一部が本体4321のエンドカバー431から離れる側に位置しかつ当該部分がエンドカバー431に向かって本体4321に押圧力を印加し、それにより第1の絶縁部材432とエンドカバー431との接続を実現する。延伸部4322は、本体4321から電極組立体42に向かって延伸している。本体4321と延伸部4322とは、交差して設けられている。本体4321と延伸部4322とは、凹部432aを形成する。延伸部4322は、タブ422の外周に設けられている。延伸部4322は、タブ422の周側に沿って延伸している。第1の絶縁部材432は延伸部4322により隔離部423に当接嵌合される。第1の絶縁部材432は、本体4321によりエンドカバー431に予め接続して固定され、次に第1の絶縁部材432付きのエンドカバー431とケース41を組み立てることができる。第1の絶縁部材432が延伸部4322を有するため、組立を行う時、第1の絶縁部材432の延伸部4322はタブ422とケース41との間の隙間に挿入することができる。それにより、延伸部4322はタブ422を第1の絶縁部材432の凹部432a内に正確に挿入するようにガイドすることができる。そして、組立過程において、第1の絶縁部材432がタブ422に押圧応力を印加することによりタブ422が変形する可能性を低下させ、同時に延伸部4322は組立過程においてタブ422に対して保護及び制限を早めに形成することができる。本実施例において、少なくとも一部の隔離部423は凹部432a内に位置している。延伸部4322は隔離部423の外側から隔離部423のケース41に向かう表面に押圧され、それにより延伸部4322及び隔離部423はタブ422の外周からタブ422を防護するか又は隔離することができる。ここで、外側はケース41に近接する側を指す。
【0041】
いくつかの例において、隔離部423は単独な構造部材であってもよく、隔離部423をタブ422の外周に組み立てる必要がある。又は、隔離部423はセパレータ42cが主体部421を超えかつタブ422の外周に位置する一部である。巻回工程において、セパレータ42cの一部は第1の極シート42a及び第2の極シート42bを超える。セパレータ42cは、第1の極シート42a及び第2の極シート42bの部分(すなわち、上記で説明された巻回工程の最後に、さらに単独で所定の回数に巻回されたセパレータ42c)を超え、同時に、電極組立体42の軸方向に沿って主体部421を超える。セパレータ42cは主体部421を超えかつタブ422の外周に位置する一部は隔離部423を形成するために用いることができる。それにより、隔離部423を特に設置する必要がなく、部品の使用数量及び組立の難しさを減少させることに役立つ。また、セパレータ42cが一体構造であるため、形成された隔離部423が脱落しにくい。
【0042】
いくつかの例において、隔離部423は中心孔を有する環状構造であってもよい。タブ422は、隔離部423の中心孔を通過する。隔離部423はタブ422の外周に全体的に嵌設されており、それにより隔離部423はタブ422の周方向全体にタブ422に対して保護することができる。
【0043】
いくつかの例において、第1の絶縁部材432は球形構造のカバーであってもよい。第1の絶縁部材432に凹部432aが形成された表面は球形面であり、すなわち、凹部432aの内壁は球形面である。
【0044】
いくつかの実施例において、図9及び図10に示すように、アダプタシート44は第1のアダプタ部441及び第2のアダプタ部442を備える。第1のアダプタ部441と第2のアダプタ部442とは接続されている。アダプタシート44は、第1のアダプタ部441により電極組立体42のタブ422に接続される。例えば、第1のアダプタ部441とタブ422は溶接接続される。アダプタシート44は、第2のアダプタ部442により電極端子433に接続されている。例えば、第2のアダプタ部442と電極端子433はリベットにより接続される。図9に示すように、電池セル40の組立が完了した後、第1のアダプタ部441は第2のアダプタ部442に対して折り曲げ状態にある。第1のアダプタ部441は第1の絶縁部材432と電極組立体42との間に位置しかつ凹部432a内に位置している。第1の絶縁部材432と電極組立体42は共に第1のアダプタ部441を押し出し、それにより第1のアダプタ部441は電極組立体42に対して変位しにくく、第1のアダプタ部441が電極組立体42に対して移動することにより第1のアダプタ部441とタブ422が接続から離脱する可能性を低減することに役立つ。一例において、第1の絶縁部材432の本体4321と電極組立体42は共に第1のアダプタ部441を押し出す。
【0045】
いくつかの実施例において、図10は折り曲げられない状態でアダプタシート44が電極端子433に接続されることを概略的に示す。図10に示すように、延伸部4322は切欠43221を有する環状構造であり、延伸部4322がエンドカバー431の端面から離れて開環構造を呈する。延伸部4322の切欠43221は、第2のアダプタ部442を待避することができる。アダプタシート44の第2のアダプタ部442は当該切欠43221から通過することができ、それによりアダプタシート44の加工製造過程において、アダプタシート44の第1のアダプタ部441及び第2のアダプタ部442は平坦状態を保持し、アダプタシート44の加工工程を減少させることができる。延伸部4322における切欠43221以外の部分は、いずれも隔離部423に押し出されてもよい。
【0046】
いくつかの実施例において、図11は折り曲げられない状態でアダプタシート44が電極端子433に接続されることを概略的に示す。図11に示すように、延伸部4322は連続的に延伸する閉環構造であり、延伸部4322がエンドカバー431の端面から離れて閉環構造を呈する。アダプタシート44の第1のアダプタ部441及び第2のアダプタ部442を加工製造する時に折り曲げる必要があり、それにより第2のアダプタ部442が電極端子433に接続された後、アダプタシート44は延伸部4322を回避することができる。延伸部4322は、隔離部423に押し出されることができ、かつ延伸部4322のエンドカバー431から離れる端面が閉環構造を呈するため、延伸部4322はタブ422の外周全体にタブ422に対して防護や隔離を形成することができ、隔離効果をさらに向上させることに役立つ。隔離部423も環状構造である実施例において、延伸部4322は隔離部423に押圧された後に連続的に延伸する閉環隔離領域を形成し、それによりタブ422の周方向の各位置でタブ422とケース41とを隔離する。
【0047】
いくつかの実施例において、図12図14に示すように、延伸部4322は隔離部423のエンドカバー431に近接する側に位置している。エンドカバー431から離れる方向に沿って、延伸部4322は隔離部423に押圧されている。延伸部4322のエンドカバー431から離れる一端は隔離部423に押圧されている。このように、延伸部4322は隔離部423に対して制限拘束を形成することができ、隔離部423がエンドカバー431に接近するか又は離れる方向に移動する可能性を低減し、それにより隔離部423がエンドカバー431に接近するか又は離れる方向に移動することにより延伸部4322と隔離部423が押圧状態から離脱する可能性を低減する。同時に、延伸部4322は電極組立体42に対して制限拘束を形成することができ、電極組立体42がエンドカバー431に接近するか又は離れる方向に移動する可能性も低減する。
【0048】
いくつかの実施例において、図14に示すように、タブ422は段差部422aを有する。段差部422aは、第1の側面4221と、遷移面4222と、第2の側面4223とを有する。タブ422は、第1の側面4221に対応する第1の延伸セグメントと、第2の側面4223に対応する第2の延伸セグメントとを有する。第1の側面4221は主体部421に近接し、第2の側面4223はエンドカバー431に近接する。遷移面4222は、第1の側面4221と第2の側面4223とを接続する。遷移面4222は、エンドカバー431に向かう。第1の側面4221の最小径方向寸法は第2の側面4223の最大径方向寸法よりも大きく、すなわち第1の延伸セグメントの最小径方向寸法は第2の延伸セグメントの最大径方向寸法よりも大きい。タブ422の第2の側面4223に対応する部分は凹部432a内に位置し、すなわち、タブ422の第2の延伸セグメントは凹部432a内に位置する。このように、タブ422の一部は第1の絶縁部材432の凹部432a内に位置することができ、同じ容量の電池セル40に対して電池セル40の電極組立体42の軸方向での全体寸法を短縮することに役立ち、それにより電池セル40のエネルギー密度を向上させることに役立つ。一例において、延伸部4322は第2の側面4223の周りに設置されている。凹部432aの内壁における延伸部4322に対応する部分は、第2の側面4223を取り囲んでいる。
【0049】
一例において、図14に示すように、タブ422全体はフラット工程によりフラット化されて段差部422aを形成する。隔離部423は、単独に設けられた構造体である。タブ422がフラット化された後、隔離部423を遷移面4222に配置し、かつ第1の絶縁部材432により隔離部423に押圧される。他の例では、図15に示すように、極シートが巻回されない前に、極シートにおける第2の延伸セグメントを形成しようとする部分を切断することにより、当該部分の幅は極シートの他の部分の幅よりも小さい。極シートの巻回が完了した後、第2の延伸セグメントは切断された部分に形成され、第1の延伸セグメントは切断されていない部分に形成された。セパレータ42cは、第2の延伸セグメントを軸方向に超え且つ第1の延伸セグメントの外周に位置する一部が、隔離部423を形成してもよい。
【0050】
一例において、隔離部423は遷移面4222に設置されている。延伸部4322の端面は遷移面4222に対向し、かつ隔離部423に押圧される。隔離部423がタブ422の遷移面4222に位置するため、延伸部4322が隔離部423に押圧応力を印加している時、隔離部423は作用力を遷移面4222に伝達することができ、それによりタブ422は当該押圧応力を吸収することができる。このように、一方では、電極組立体42がエンドカバー431に接近するか又は離れる方向に移動する可能性を低減する。他方では、延伸部4322の隔離部423への押圧応力が主体部421に直接作用することにより主体部421のセパレータ42cが位置ずれし、それにより第1の極シート42aと第2の極シート42bが互いに接触して短絡する可能性を低減する。
【0051】
いくつかの実施例において、図16図18に示すように、電極組立体42はさらに第2の絶縁部材424備える。第2の絶縁部材424は、第1の絶縁部材432と隔離部423の押圧領域を囲んで設置されることにより、ケース41を第1の絶縁部材432及び隔離部423の押圧領域と隔離させる。一例において、第2の絶縁部材424は、第1の絶縁部材432の延伸部4322の外側に隔離構造を形成し、それにより導電性不純物が延伸部4322及び隔離部423の押圧領域に入る可能性を低減することができる。そして、タブ422に対して隔離保護を形成することもでき、延伸部4322及び隔離部423が意外に押圧状態から離脱した時にタブ422がケース41と接触する可能性を低減する。このように、延伸部4322と隔離部423との押圧領域及び第2の絶縁部材424は、タブ422に対して二重隔離及び保護構造を形成することができ、タブ422とケース41が接触して短絡する可能性をさらに低減することに役立つ。一例において、第2の絶縁部材424は環状構造である。第2の絶縁部材424は延伸部4322の周側に沿って連続的に延伸し、それにより延伸部4322の周方向全体に保護することができる。
【0052】
いくつかの例において、第2の絶縁部材424は、単独な構造部材であってもよい。二つの第2の絶縁部材424は、それぞれ二つのタブ422に対応して設けられる。組立工程において、第2の絶縁部材424をタブ422の外周に予め組み立てる必要があり、かつ第2の絶縁部材424は主体部421を覆わない。次に、第2の絶縁部材424付きの電極組立体42をケース41内に入れる。又は、第2の絶縁部材424は、単独な構造部材であってもよい。第2の絶縁部材424は、筒状構造である。第2の絶縁部材424は、主体部421とタブ422とを包む。第2の絶縁部材424は、主体部421を超えた部分が、第1の絶縁部材432と隔離部423との押圧領域を囲んでいる。
【0053】
いくつかの実施例において、第1の絶縁部材432は、ケース41に向かう外表面432bを有する。第2の絶縁部材424は、第1の絶縁部材432に押圧されてケース41の外表面432bに向きかつ隔離部423と接触されており、それにより第2の絶縁部材424と第1の絶縁部材432との間及び第2の絶縁部材424と隔離部423との間にそれぞれ接触領域を形成することができる。そして、第2の絶縁部材424は、導電性不純物を遮断することができ、導電性不純物が第2の絶縁部材424と第1の絶縁部材432との間又は第2の絶縁部材424と隔離部423との間から第2の絶縁部材424と延伸部4322との間に入り、その後に延伸部4322と隔離部423との押圧領域に入る可能性をさらに低減することに役立つ。
【0054】
いくつかの例において、第1の絶縁部材432の外表面432bはガイド斜面を有する。エンドカバー431から離れる方向に沿って、ガイド斜面は凹部432aに向かって傾斜している。このように、第2の絶縁部材424付きの電極組立体42をケース41に取り付けた後にエンドカバー組立体43を組み立てる時に、ガイド斜面のガイド作用で、第1の絶縁部材432におけるガイド斜面に対応する部分は、第2の絶縁部材424に限定された空間内に入りやすく、第1の絶縁部材432が第2の絶縁部材424に直接押圧されることにより第2の絶縁部材424が陥没して隔離機能を失う可能性を低減することに役立つ。第1の絶縁部材432が本体4321及び延伸部4322を備える実施例において、第1の絶縁部材432に設置されたガイド斜面により、延伸部4322の外周面は円錐形を呈する。
【0055】
いくつかの例において、第2の絶縁部材424は、第1の絶縁部材432の外表面432bに接着されており、第2の絶縁部材424と第1の絶縁部材432との接続の信頼性及び安定性を向上させることに役立つ。そして、電池セル40の使用過程において、第2の絶縁部材424と第1の絶縁部材432とが衝撃、振動等の動作状況がによって接触状態から離脱する可能性を低下させる。例示的には、第2の絶縁部材424はテープ又は接着剤により第1の絶縁部材432の外表面432bに接着されることができる。
【0056】
いくつかの例において、第2の絶縁部材424が第1の絶縁部材432の外表面432bに押圧される領域はタブ422よりもエンドカバー431に近接し、それにより第2の絶縁部材424と第1の絶縁部材432との接触領域はエンドカバー431により近接する。組立過程において、第1の絶縁部材432はより速く第2の絶縁部材424に接触することができ、それにより第1の絶縁部材432は隔離部423に押圧される前に第2の絶縁部材424に接触することができる。それにより、組立過程において、接触しない第1の絶縁部材432と第2の絶縁部材424との間の隙間から導電性不純物がタブ422に入る可能性を低減することができる。
【0057】
本願の実施例の電池セル40は、タブ422及び隔離部423を備える電極組立体42と、凹部432aを有する第1の絶縁部材432とを備える。隔離部423は、タブ422の周側に沿って設けられる。電池セル40の組立が完了した後、少なくとも一部のタブ422は凹部432a内に収容されており、第1の絶縁部材432は隔離部423に押圧されおり、それにより第1の絶縁部材432と隔離部423はタブ422とケース41とを隔離することができる。このように、電池セル40の使用過程において、タブ422が自身に蓄積された弾性復元力を解放して変形する時、タブ422が第1の絶縁部材432及び隔離部423に達した場合、タブ422は、第1の絶縁部材432及び隔離部423の制限拘束を受け、それによりケース41と接触しにくく、タブ422とケース41との接触により電池セル40が短絡する可能性を低減する。
【0058】
図19に示すとおり、上記実施例の電池セル40に基づいて、本願の実施例は、
主体部421、タブ422及び隔離部423を備える電極組立体42を開口411を有するケース41内に入れ、ここで、タブ422は主体部421の端部421aから開口411に向かって延伸しており、隔離部423はタブ422の外周に設置されたことと、
エンドカバー431及び第1の絶縁部材432を備えるエンドカバー組立体43をケース41と組み立て、ケース41に接続されるようにエンドカバー431を開口411にカバーし、かつ、第1の絶縁部材432をエンドカバー431のケース41の内部に近接する側に位置させ、ここで、第1の絶縁部材432は凹部432aを有し、少なくとも一部のタブ422は凹部432a内に収容されており、第1の絶縁部材432はタブ422とケース41とを隔離するように隔離部423に押圧されていることと、
を含む、電池セル40の製造方法をさらに提供する。
【0059】
本願の実施例の電池セル40の製造方法で製造された電池セル40は、主体部421、タブ422及び隔離部423を備える電極組立体42をケース41内に入れ、かつタブ422をケース41の開口411に向ける。凹部432aを有する第1の絶縁部材432及びエンドカバー431からなるエンドカバー組立体43をケース41と組み立てる。また、少なくとも一部のタブ422を第1の絶縁部材432の凹部432a内に収容させ、第1の絶縁部材432を隔離部423に押圧させる。第1の絶縁部材432及び隔離部423によりタブ422とケース41を隔離できる構造設計によれば、電池セル40の使用過程において、タブ422は、自身に蓄積された弾性復元力を解放して変形する時に第1の絶縁部材432及び隔離部423に達した場合、第1の絶縁部材432及び隔離部423の制限拘束を受け、それによりケース41と接触しにくく、タブ422とケース41とが接触することにより電池セル40が短絡する可能性を低減する。
【0060】
図20に示すように、上記実施例の電池セル40に基づいて、本願の実施例は、
主体部421、タブ422及び隔離部423を備える電極組立体42を開口411を有するケース41内に入れるように配置され、ここで、タブ422が主体部421の端部421aから開口411に向かって延伸しており、隔離部423がタブ422の外周に設置された、第1の組立装置51と、
エンドカバー431及び第1の絶縁部材432を備えるエンドカバー組立体43をケース41と組み立て、ケース41に接続されるようにエンドカバー431を開口411にカバーし、かつ、第1の絶縁部材432をエンドカバー431のケース41の内部に近い側に位置させるように配置され、ここで、第1の絶縁部材432が凹部432aを有し、少なくとも一部のタブ422が凹部432a内に収容されており、第1の絶縁部材432がタブ422とケース41とを隔離するように隔離部423に押圧されている、第2の組立装置52と、
を備える、電池セル40の製造システム50をさらに提供する。
【0061】
好ましい実施例を参照して本願を説明したが、本願の範囲から逸脱しない場合、それに様々な改良を行うことができかつ等価物でその中の部材を置き換えることができる。特に、構造衝突が存在しない限り、各実施例に言及された各技術的特徴はいずれも任意の方式で組み合わせることができる。本願は本明細書に開示された特定の実施例に限定されるものではなく、請求項の範囲内にある全ての技術案を含む。
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