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特許7446463呼吸療法装置の意図的なリーク特性曲線を検出するシステムおよび方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-29
(45)【発行日】2024-03-08
(54)【発明の名称】呼吸療法装置の意図的なリーク特性曲線を検出するシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 16/00 20060101AFI20240301BHJP
【FI】
A61M16/00 305A
【請求項の数】 58
(21)【出願番号】P 2022553698
(86)(22)【出願日】2021-03-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-21
(86)【国際出願番号】 IB2021051884
(87)【国際公開番号】W WO2021176426
(87)【国際公開日】2021-09-10
【審査請求日】2022-12-21
(31)【優先権主張番号】62/986,431
(32)【優先日】2020-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/072,768
(32)【優先日】2020-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/108,837
(32)【優先日】2020-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】522102697
【氏名又は名称】レズメド センサー テクノロジーズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マクマホン、スティーヴン
(72)【発明者】
【氏名】ライス、アナ
(72)【発明者】
【氏名】リオン、グレイム、アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ショルディス、レドモンド
【審査官】小野田 達志
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-506833(JP,A)
【文献】特表2018-507748(JP,A)
【文献】特表2013-532565(JP,A)
【文献】特表2004-506499(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 16/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
呼吸療法装置の意図的リーク特性曲線を決定する方法であって、
コンピュータが、
前記呼吸療法装置のユーザーの気道に向けられる加圧空気に関連する複数の流量値を受信することと、
ユーザーの気道に向けられる加圧空気に関連する、前記複数の流量値のそれぞれに対応する複数の圧力値を受け取ることと、
ユーザーの第1の呼吸に関連する第1の時間を識別し、ユーザーの第2の呼吸に関連し前記第1の時間と呼吸サイクル内の位置が対応する第2の時間を識別することと、
識別された前記第1の時間および識別された前記第2の時間に少なくともある程度基づいて前記複数の流量値をフィルタリングし、フィルタリングにより、前記複数の流量値のサブセットを生成することと、
前記複数の流量値のサブセットの少なくとも2つと、前記流量値のサブセットの少なくとも2つに対応する圧力値とを使用して、前記呼吸療法装置の意図的リーク特性曲線を決定することであって、ユーザーが前記第1の呼吸中に口漏れを経験しているという決定に応答して前記第1の呼吸を除外する、前記呼吸療法装置の意図的リーク特性曲線を決定することと、
を含む、方法
【請求項2】
前記呼吸療法装置の前記意図的リーク特性曲線を決定することが、
前記第1の時間に対応する第1の流量値である第1のX値、および前記第1の時間に対応する第1の圧力値である第1のY値を有する第1のデカルト座標を生成することと、
前記第2の時間に対応する第2の流量値である第2のX値、および前記第2の時間に対応する第2の圧力値である第2のY値を有する第2のデカルト座標を生成することと、
生成された前記第1のデカルト座標および生成された前記第2のデカルト座標に少なくともある程度基づいて、意図的リーク特性曲線を決定することと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
以下の式を使って前記意図的リーク特性曲線を計算する、請求項1または請求項2に記載の方法:
Z=P/Q=kQ+k
ここでZは意図的なリーク特性曲線、Pは複数ある圧力値のうちの圧力値、Qは複数ある流量値のうちの流量値、kは第1の定数、kは第2の定数である。
【請求項4】
前記複数の流量値、およびそれに対応する複数の流容量値の少なくとも一部について決定することをさらに含む、
請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
ユーザーの前記第1の呼吸に関連する前記第1の時間、およびユーザーの前記第2の呼吸に関連する前記第2の時間が、決定した複数の対応する流容量値の分析に少なくとも部分的に基づいて識別される請求項4に記載の方法。
【請求項6】
複数の前記流量値の少なくとも一部の時間積分をとることによって、それに対応する複数の流容量値が決定する請求項4または請求項5に記載の方法。
【請求項7】
ユーザーの各呼吸が、息を吸う部分と息を吐く部分とを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の時間が前記第1の呼吸の息を吸う部分内にあり、前記第2の時間が前記第2の呼吸の息を吸う部分内にある、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の時間が前記第1の呼吸の息を吸う部分の開始辺りであり、前記第2の時間が前記第2の呼吸の息を吸う部分の開始辺りである、請求項7または請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の時間が前記第1の呼吸の最小流容量値に対応し、前記第2の時間が前記第2の呼吸の最小流容量値に対応する、請求項3~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の時間が前記第1の呼吸の息を吐く部分内にあり、前記第2の時間が前記第2の呼吸の息を吐く部分内にある、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の時間は前記第1の呼吸の息を吐く部分の開始辺りであり、前記第2の時間は前記第2の呼吸の息を吐く部分の開始辺りである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の時間に対応する第1の流量値が、第1の呼吸の開始時の初期流量値に等しく、前記第2の時間に対応する第2の流量値は、第2の呼吸の開始時の初期流量値に等しい、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の呼吸の開始時の初期流量値と前記第2の呼吸の開始時の初期流量値とが同じである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の時間は第1の呼吸の最大流容量値に対応し、前記第2の時間は第2の呼吸の最大流容量値に対応する、請求項4~7、または12~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記第1の呼吸の最後に関連する最後流容量値を、前記第1の呼吸の開始に関連する開始流容量値と比較すること、および、
前記比較に少なくともある程度基づいて、第1の呼吸中に、ユーザーの口からの空気漏れを示唆する口漏れを、ユーザーが経験しているかを判断すること、
をさらに含む、請求項4~15にいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記開始流容量値が、前記第1の呼吸の最小流容量値である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記最後流容量値が前記開始流容量値よりも大きいことが、ユーザーが第1の呼吸中に口漏れを経験していることを示す、請求項16または請求項17に記載の方法。
【請求項19】
第1の呼吸中の口漏れの量を決定するステップをさらに含む、請求項4~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記第1の呼吸中の口漏れの量を決する方法が、
前記第1の呼吸の流容量値のサブセットの第1の時間積分を見つけること、及び、
前記第1の呼吸の最大流容量値と最後流容量値との間の直線の第2の時間積分から第1の時間積分を差し引くこと、
を含む、請求項19の方法。
【請求項21】
前記第1の呼吸の流容量値のサブセットが、前記第1の呼吸の息を吸う部分に関連付けられる、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記第1の呼吸の息を吐く部分の開始が、前記第1の呼吸の最大流容量値に関連付けられる、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記複数の流量値のフィルタリングに、(i)前記ユーザーの呼吸によって影響を受ける流量値、(ii)前記ユーザーの口漏れを示す流量値、(iii)不規則な呼吸に関連する流量値、または(iv)これらの任意の組み合わせを除去することが含まれる、請求項1~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記決定された意図的リーク特性曲線に少なくともある程度基づいて、ディフューザ損失を決定するステップをさらに含む、請求項1~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記決定されたディフューザ損失に少なくとも部分的に基づいて、(i)前記呼吸療法装置に関連するユーザーインターフェースの特定、(ii)前記ユーザーインターフェースに関連する1つまたは複数の設定の調整、(iii)呼吸療法装置のユーザーに関連する口漏れの決定、または(iv)それらの任意の組み合わせを決定することをさらに含む請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記複数の流量値のサブセットが、複数の前記流量値の1%またはそれ以下を含む、請求項1~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
複数の前記流量値のサブセットが、(i)第1の呼吸についての1つ、2つ、3つ、4つ、または5つの流量値、および(ii)2番目の呼吸の1つ、2つ、3つ、4つ、または5つの流量値を含む、請求項1~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
呼吸療法装置の意図的リーク特性曲線を決定する方法であって、
コンピュータが、
前記呼吸療法装置のユーザーの気道に向けられた加圧空気に関連付けられた複数の流量値を受信することであって、前記複数の流量値のそれぞれは、ユーザーの複数の呼吸のそれぞれにおける第1の時間に関連付けられる、複数の流量値を受信することと、
ユーザーの気道に向けられた加圧空気に関連する複数の圧力値を受け取ることであって、前記複数の圧力値のそれぞれは、複数の流量値のそれぞれ1つに対応する、複数の圧力値を受け取ることと、
前記複数の流量値のサブセットの少なくとも2つと、前記複数の流量値のサブセットの少なくとも2つに対応する圧力値とを使用して、前記呼吸療法装置の意図的リーク特性曲線を決定することであって、ユーザーが前記複数の呼吸のうちの第1の呼吸中に口漏れを経験しているという決定に応答して前記第1の呼吸を除外する、前記呼吸療法装置の意図的リーク特性曲線を決定することと、
を含む、方法。
【請求項29】
前記呼吸療法装置の意図的リーク特性曲線を決定する方法が、
第1の呼吸に関連する第1の時間に対応する第1の流量値である第1のX値、および前記第1の呼吸に関連する前記第1の時間に対応する第1の圧力値である第1のY値を持つ、第1のデカルト座標を生成することと、
第2の呼吸に関連する第1の時間に対応する第2の流量値である第2のX値、および前記第2の呼吸に関連する前記第1の時間に対応する第2の圧力値である第2のY値を持つ第2のデカルト座標を生成することと、
少なくともある程度、生成された前記第1のデカルト座標および生成された前記第2のデカルト座標に基づいて、意図的リーク特性曲線を決定することと、
を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
以下の式を用いて、前記意図的リーク特性曲線を計算する、請求項28または請求項29に記載の方法:
Z=P/Q=kQ+k
ここで、Zは意図的なリーク特性曲線、Pは複数の圧力値のうちの圧力値、Qは複数の流量値のうちの流量値、kは第1の定数、kは第2の定数とする。
【請求項31】
前記複数の流量値の少なくとも一部について、複数の対応する流容量値を決定すること、
をさらに含む、請求項28~30のいずれか一項に記載に方法。
【請求項32】
前記ユーザーの第1の呼吸に関連する前記第1の時間、および前記ユーザーの第2の呼吸に関連する前記第1の時間が、前記決定された複数の対応する流容量値を分析することに少なくとも部分的に基づいて識別される、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記複数の対応する流容量値が、前記複数の流量値の少なくとも一部の時間積分を見つけることによって決定される、請求項31または請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記ユーザーの各呼吸に、息を吸う部分および息を吐く部分を含む、請求項28~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記第1の時間が、各呼吸の息を吸う部分内にある、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記第1の時間が、各呼吸の息を吸う部分の始まり頃である、請求項34または請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記第1の時間が、各呼吸における最小流容量値に対応する、請求項30~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記第1の時間が、各呼吸の息を吐く部分内にある、請求項34に記載の方法。
【請求項39】
前記第1の時間が、各呼吸の息を吐く部分の始まり頃である、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記第1の時間に対応する第1の流量値が、各呼吸の開始時の初期流量値に等しい、請求項28~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
第1の呼吸の開始時の初期流量値と第2の呼吸の開始時の初期流量値とが同じである、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記第1の時間が、各呼吸における最大流容量値に対応する、請求項31~34、または、請求項39~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
第1の呼吸の終わりに関連する最後流容量値を、前記第1の呼吸の開始に関連する開始流容量値と比較し、また、
当該比較に少なくともある程度基づいて、ユーザーがユーザーの口から空気が漏れていることを示唆する第1の呼吸中の口漏れを経験しているかを決定すること、
をさらに含む、請求項31~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記開始流容量値が、前記第1の呼吸の最小流容量値である、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記開始流容量値よりも終了流容量値の大きいことが、ユーザーが第1の呼吸中に口漏れを経験していることを示す、請求項43または請求項44に記載の方法。
【請求項46】
第1の呼吸中の口漏れの量を決定すること、を含む、請求項31~45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記第1の呼吸中の口漏れの量を決定する方法は、
前記第1の呼吸の流容量値のサブセットの第1の時間積分を見つけ、
前記第1の呼吸の最大流容量値と終了流容量値との間の直線の第2の時間積分から前記第1の時間積分を差し引くこと、
を含む、請求項46の記載の方法。
【請求項48】
前記第1の呼吸の流容量値のサブセットが、前記第1の呼吸の息を吐く部分に関連付けられる、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記第1の呼吸の息を吐く部分の開始が、前記第1の呼吸の最大流容量値に関連付けられる、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記複数の流量値をフィルタリングすることに、(i)前記ユーザーの呼吸によって影響を受ける流量値、(ii)前記ユーザーの口漏れを示す流量値、(iii)不規則な呼吸に関連する流量値、または(iv)これらの任意の組み合わせの除去を含む、請求項28~49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
前記決定された意図的リーク特性曲線に少なくとも部分的に基づいて、ディフューザ損失を決定するステップをさらに含む、請求項28~50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
少なくともある程度、前記決定されたディフューザ損失に基づいて、(i)前記呼吸療法装置に関連するユーザーインターフェースを識別すること、(ii)前記ユーザーインターフェースに関連する1つまたは複数の設定を調整すること、(iii)呼吸療法装置のユーザーに関連する口漏れを決定すること、または(iv)それらの任意の組み合わせ、をさらに含む、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記複数の流量値のサブセットが、前記複数の流量値の1%またはそれ以下を含む、請求項28~52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
前記複数の流量値のサブセットに、(i)第1の呼吸についての1つ、2つ、3つ、4つ、または5つの流量値、および(ii)第2の呼吸についての1つ、2つ、3つ、4つ、または5つの流量値が含まれる、請求項28~53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
1つまたは複数のプロセッサを含む制御システム、および
機械可読命令を保存したメモリ、
を含むシステムであって、
前記制御システムは前記メモリに結合され、請求項1~54のいずれか一項に記載の方法は、前記メモリ内の前記機械可読命令が制御システムの1つまたは複数のプロセッサのうちの少なくとも1つによって実行されるときに、実施される、
システム。
【請求項56】
呼吸療法装置の意図的リーク特性曲線を決定するためのシステムであって、請求項1~54のいずれか一項に記載の方法を実施するように構成された制御システムを含む、システム。
【請求項57】
コンピュータによって実行されると、コンピュータに請求項1~54のいずれか一項に記載の方法を実行させる命令を含むコンピュータプログラム製品。
【請求項58】
前記コンピュータプログラム製品が、非一時的なコンピュータ可読媒体である、請求項57に記載のコンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
【0002】
本出願は、2020年3月6日に出願された米国仮特許出願第62/986,431号、2020年8月31日に出願された米国仮特許出願第63/072,768号、および2020年11月2日に出願された米国仮特許出願第63/108,837号の利点と優先権を主張するものであり、引用によりその全体を本明細書に包含する。
【0003】
本開示は、全体的には呼吸療法装置に関連し、より具体的には、呼吸療法装置の意図的な特性曲線を検出するシステムおよび方法に関連する。
【背景技術】
【0004】
現在、マスク内のリーク量は、マスクの種類ごとの一般的な曲線に基づいて推定されている。マスクの種類は、フルフェイス、鼻用、枕の3つの一般的なカテゴリに分類できる。マスクの製作公差のため、一般的な曲線は常に希望どおりに正確であるとは限らない。これは、意図的なリークの推定が不正確になる可能性がある。したがって、ユーザーごと、マスクごとにカスタマイズされた、より正確な曲線が望まれる。本開示は、これらおよびその他の問題を解決することに向けられる。
【発明の概要】
【0005】
本開示の一部の実装によると、呼吸療法装置の意図的なリーク特性曲線を決定する方法は以下のように開示される。流量データを受信する。流量データを、呼吸療法装置のユーザーの気道に向けられる加圧空気の複数の流量値に関連付ける。圧力データを受信する。圧力データを、加圧空気の複数の圧力値に関連付ける。最初のデカルト座標が生成される。第1のデカルト座標は、複数の流量値の少なくとも最初の部分に基づく最初のX値を有し、複数の圧力値の少なくとも最初の部分に基づく最初のY値を有する。2番目のデカルト座標が生成される。2番目のデカルト座標は、複数の流量値の少なくとも2番目の部分に基づく2番目のX値を有し、複数の圧力値の少なくとも2番目の部分に基づく2番目のY値を有する。呼吸療法装置の意図的リーク特性曲線は、生成された第1のデカルト座標および生成された第2のデカルト座標に少なくともある程度基づいて決定される。
【0006】
本開示の一部の実装によると、方法は以下のように開示される。呼吸療法装置の圧力発生器を使用して、加圧空気流が最初の期間、ユーザーの気道に供給される。加圧空気の流れは、第1の公称圧力値を有する。呼吸療法装置内にある流量センサーを使用して、最初の期間における第1の複数の流量値が生成される。呼吸療法装置内にある圧力センサーを使用して、最初の期間における第1の複数の圧力値が生成される。第1デカルト座標が決定する。第1のデカルト座標は、第1の複数の流量値のうちの少なくとも第1の流量値に基づく第1のX値を有する。第1のデカルト座標は、第1の複数圧力値のうちの少なくとも第1の圧力値に基づく第1のY値を有する。第2の期間では、加圧空気の供給流は、第2の公称圧力値に調整される。第2公称圧力値は、第1公称圧力値とは異なる。呼吸療法装置内にある流量センサーを使用して、第2の期間の第2の複数の流量値が生成される。呼吸療法装置内にある圧力センサーを使用して、第2の期間における第2の複数の圧力値が生成される。2番目のデカルト座標が生成される。第2のデカルト座標は、第2の複数の流量値のうちの少なくとも第2の流量値に基づく第2のX値を有する。第2のデカルト座標は、第2の複数の圧力値のうちの少なくとも第2の圧力値に基づく第2のY値を有する。生成された第1のデカルト座標および生成された第2のデカルト座標に少なくともある程度は基づいて、呼吸療法装置に関連する意図的リーク特性曲線が決定される。
【0007】
本開示の一部の実装によると、方法は以下のように開示される。呼吸療法装置の圧力発生器を使用して、加圧空気流が最初の期間、ユーザーの気道に供給される。加圧空気の流れは、第1の公称圧力値を有する。呼吸療法装置内にある流量センサーを使用して、第1の期間の第1の複数の流量値が生成される。第1のデカルト座標は、第1の複数の流量値のうちの少なくとも第1の流量値に基づく第1のX値を有する。第1のデカルト座標は、少なくとも第1の公称圧力値に基づく第1のY値を有する。加圧空気の供給流は、第2の期間、第2の公称圧力値に調整される。第2公称圧力値は、第1公称圧力値とは異なる。呼吸療法装置内にある流量センサーを使用して、第2の期間における第2の複数の流量値が生成される。2番目のデカルト座標が生成される。第2のデカルト座標は、第2の複数の流量値のうちの少なくとも第2の流量値に基づく第2のX値を有する。第2のデカルト座標は、少なくとも第2の公称圧力値に基づく第2のY値を有する。呼吸療法装置に関連する意図的リーク特性曲線は、生成された第1のデカルト座標および生成された第2のデカルト座標に少なくともある程度は基づいて決定される。
【0008】
本開示の一部の実装によると、呼吸療法装置の意図的なリーク特性曲線を決定する方法は以下のように開示される。呼吸療法装置のユーザーの気道に向けられた加圧空気に関連する複数の流量値が受信される。ユーザーの気道に向けられた加圧空気に関連する複数の圧力値が受信される。複数の圧力値のそれぞれは、複数の流量値のうちそれぞれに対応する。ユーザーの最初の呼吸への第1の関連と、ユーザーの第2の呼吸への第2の関連が識別される。複数の流量値は、第1の識別および第2の識別に少なくともある程度基づいてフィルタリングされる。フィルタリングは、複数の流量値のサブセットを生成する。呼吸療法装置の意図的リーク特性曲線は、複数の流量値のサブセットのうち少なくとも2セットと、複数の流量値のサブセットのうち少なくとも前記2セットに対応する圧力値とを使用して決定される。
【0009】
本開示の一部の実装によると、装置には、制御システムおよびメモリが含まれる。制御システムは、1つまたは複数のプロセッサを含む。メモリには機械可読命令が保存されている。制御システムはメモリに結合されている。上に開示した方法のいずれも、メモリ内の機械実行可能命令が制御システムの単数または複数のプロセッサの少なくとも1つによって実行されるときに実施される。
【0010】
本開示の一部の実装によると、呼吸療法装置の意図的なリーク特性曲線を決定するシステムは以下のように開示される。システムは、上で開示された方法のいずれか1つを実施するように構成された制御システムを含む。
【0011】
本開示の一部の実装によると、コンピュータによって実行されると、コンピュータに上記で開示された方法のいずれか1つを実行させる命令を含むコンピュータプログラム製品。いくつかの実装形態では、コンピュータプログラム製品は、非一時的なコンピュータ可読媒体である。
【0012】
本開示における、前述および追加の態様および実装は、様々な実施形態および/または実施の詳述を図面や簡単な説明を参照しながら考慮すれば、当業者にとっては明らかである。これについては以下に記述する。
【0013】
本開示の上記および他の利点は、以下の詳細な説明を読み、図面を参照すると明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本開示の一部の実装による、睡眠セッションの睡眠に関連する1つまたは複数のパラメータを決定するシステムの機能ブロック図である。
図2図2は、本開示の一部の実装による、図1のシステムの少なくとも一部の斜視図、ユーザー、およびベッドパートナーである。
図3A図3Aは、本開示の一部の実装による、睡眠中の個人の呼吸波形を示す。
図3B図3Bは、本開示の一部の実装による、約90秒間にわたって正常に呼吸している非レム睡眠中の個人の選定睡眠ポリグラフチャネル(パルスオキシメトリ、流量、胸郭運動、および腹部運動)を示す。
図3C図3Cは,本開示の一部の実装による、呼吸治療前の個人の睡眠ポリグラフを示す。
図3D図3Dは、本開示の一部の実装による、個人が一連の完全閉塞性無呼吸を経験している時の流量データを示す。
図4A図4Aは、本開示の一部の実装による、呼吸療法装置のユーザーに関連する流量データを示す。
図4B図4Bは、本開示の一部の実装による、呼吸療法装置のユーザーに関連する圧力データを示す。
図4C図4Cは、本開示の一部の実装による、呼気圧力軽減モジュールを有する呼吸療法装置のユーザーに関連する圧力データを示す。
図5A図5Aは、本開示の一部の実装による、平均デバイス圧力およびリットル/分で表される平均総流量をプロットしたデカルト座標を示す。
図5B図5Bは、本開示の一部の実装による、図5Aのプロットされたデカルト座標上に当てはめられた特性曲線を示す。
図6図6は、本開示の一部の実装による、ユーザーに関連する呼吸療法装置の意図的リーク特性曲線を示す。
図7図7は、本開示の一部の実装による、呼吸療法装置の意図的リーク特性曲線を検出する方法の流れ図である。
図8図8は、本開示の一部の実装による、呼吸療法装置の意図的リーク特性曲線を決定する方法の流れ図を示している。
図9図9は、本開示の一部の実装による、呼吸療法下の呼吸中の流量(「Q」)データおよび流容量(「V」)データを示す。
図10図10は、本開示の一部の実装による、呼吸療法下での2回の呼吸中の流量(レート)データおよび流容量データを示す。
図11図11は、開示の一部の実装による、圧力値(「P」;cmHO)対流量値(「Q」;10秒当たりのリットル)の散布図に当てはめられた意図的リーク特性曲線を示す。
図12図12は、本開示の一部の実装による、意図的リーク特性アルゴリズムに影響を与える4つのタイプのインピーダンス(Z1、Z2、Z3、およびZ4)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本開示は、様々な修正および形態の変更の可能性はあるが、具体的な実施および実施形態は、図面に例として示され、本明細書で詳細に説明される。しかしながら、本開示は開示された特定の形態に限定することを意図するものではなく、逆に、本開示は、添付の特許請求の範囲に定義する本開示の精神および範囲内にあるすべての修正、均等物、および代替物を網羅するものであることを理解されたい。
【0016】
本開示は、添付の図面を参照して説明され、類似の参照番号を図面全体で使用し、類似または同等の要素を示している。図は縮尺通りに描かれておらず、単に本開示を説明するために提供されている。本開示のいくつかの態様は、説明のため適用例に言及しながら以下に説明する。
【0017】
呼吸療法装置の意図的リーク推定の従来の方法は、マスク圧力に対するマスク通気流の特徴付けに基づいている。各マスクタイプ(フルフェイス、鼻、または枕)には、特定の圧力に対するマスクベントを通る流量など、一般化されたベント-フロー曲線が割り当てられる。これは、意図的なリークまたは予想されるリークと呼ばれる。たとえば、マスク圧力が30cmHOの場合、フルフェイスマスクの通気流量は約70L/分である。鼻マスクの通気流量は約60L/分である。ピローマスクの通気流量は約56L/分である。
【0018】
これらの一般化された通気流量曲線は、多くの場合、事前に計算されてルックアップテーブルにプログラムされ、マスクタイプについてのユーザー入力に基づいてシステムによって選択される。したがって、正しいマスク設定を選択する必要があるが、常にそうであるとは限らない。さらに、製作公差によって、リーク推定値が不正確になる可能性がある。したがって、呼吸療法装置に関連する意図しないリークのレポートを改善する必要があるが、これには測定されたマスク圧力と測定された流量に基づいて計算されたマスクベントフロー曲線のカスタムモデルを使用する必要がある。
【0019】
図1を参照すると、本開示の一部の実装によるシステム100が示されている。システム100は、制御システム110、メモリデバイス114、電子インターフェース119、1つまたは複数のセンサー130、および1つまたは複数のユーザーデバイス170を含む。一部の実装では、システム100は、さらに任意で、呼吸療法装置120およびアクティビティトラッカー180を含む。
【0020】
制御システム110は、1つまたはそれ以上のプロセッサ112(以下、「プロセッサ112」)を含む。制御システム110は、一般に、システム100の様々な構成要素を制御(例えば、作動)し、および/またはシステム100の構成要素によって取得および/または生成されたデータを分析するために使用される。プロセッサ112は、汎用または専用のプロセッサまたはマイクロプロセッサとすることができる。図1には1つのプロセッサ112が示されているが、制御システム110(またはその他の制御システム)またはプロセッサ112(またはその他のプロセッサまたはその他の制御システムの部分)などの制御システム110の一部を使用して、本明細書で記載および/または特許請求する方法のいずれか1つまたは複数のステップを実行することもできる。制御システム110は、単一のハウジング内に配置できる、または互いに離れて配置できる適切な数のプロセッサ(たとえば、1つのプロセッサ、2つのプロセッサ、5つのプロセッサ、10のプロセッサなど)を含むことができる。制御システム110は、例えば、ユーザーのデバイス170のハウジング、呼吸療法装置120の一部(例えば、ハウジング)、および/または1つのセンサー130のハウジング内等に結合および/または配置することができる。制御システム110は、集中化(1つのそのようなハウジング内)または分散化(物理的に別個の2つ以上のそのようなハウジング内)することができる。制御システム110を含む2つ以上のハウジングを含むそのような実装では、そのようなハウジングは、互いに近接および/または離して配置することができる。
【0021】
メモリデバイス114は、制御システム110のプロセッサ112によって実行可能な機械可読命令を格納する。メモリデバイス114は、例えば、ランダムまたはシリアルアクセスメモリデバイス、ハードドライブ、ソリッドステートドライブ、フラッシュメモリデバイスなど、適切なコンピュータ可読記憶デバイスまたは媒体であり得る。メモリデバイス114の1つが図1に示されているが、システム100は、適切な数のメモリデバイス114(例えば、1つのメモリデバイス、2つのメモリデバイス、5つのメモリデバイス、10のメモリデバイスなど)を含むことができる。メモリデバイス114は、呼吸療法装置120の呼吸療法デバイス122のハウジング内、ユーザーデバイス170のハウジング内、センサー130のうちの1つ以上のハウジング内、またはそれらの任意の組み合わせに結合および/または配置することができる。制御システム110と同様に、メモリデバイス114は、(そのようなハウジングの1つ内で)集中化または分散化(物理的に異なる2つ以上のそのようなハウジング内で)することができる。
【0022】
いくつかの実装形態では、メモリデバイス114は、ユーザーに関連付けられたユーザープロファイルを格納する。ユーザプロファイルは、例えば、ユーザーに関連付けられた人口統計情報、ユーザーに関連付けられたバイオメトリック情報、ユーザーに関連付けられた医療情報、自己報告されたユーザーフィードバック、ユーザーに関連付けられた睡眠パラメータ(例えば、これまでの1回またはそれ以上の睡眠セッションで記録された睡眠関連パラメータ)またはその組み合わせを含むことができる。人口統計学的情報は、例えば、ユーザーの年齢、ユーザーの性別、ユーザーの人種、ユーザーの地理的位置、関係性、不眠症または睡眠時無呼吸の家族歴、ユーザーの雇用状況、ユーザーの学歴、ユーザーの社会経済的状況、またはそれらの組み合わせを示唆する情報を含めることができる。医療情報は、例えば、ユーザーに関連する1つまたは複数の病状、ユーザーによる薬剤の使用、またはその両方を示す情報を含むことができる。医療情報データはさらに、多睡眠潜伏検査(MSLT)の結果またはスコアおよび/またはピッツバーグ睡眠品質指数(PSQI)のスコアまたは値を含むことができる。自己報告ユーザーフィードバックは、自己報告された主観的睡眠スコア(例えば、悪い、平均、優れている)、自己報告されたユーザーの主観的ストレスレベル、自己報告されたユーザーの主観的疲労レベル、ユーザーの自己申告による主観的な健康状態、ユーザーが最近経験したライフイベント、またはそれらの組み合わせを含めることができる。
【0023】
電子インターフェース119は、1つまたは複数のセンサー130からデータ(例えば、生理学的データおよび/またはオーディオデータ)を受信するように構成されており、データをメモリデバイス114に格納し、および/または制御システム110のプロセッサ112によって分析することができる。電子インターフェース119は、有線接続または無線接続を使用して(例えば、RF通信プロトコル、Wi-Fi通信プロトコル、Bluetooth(登録商標)通信プロトコルを使用して、セルラーネットワークなどを介して)1つまたは複数のセンサー130と通信することができる。電子インターフェース119は、アンテナ、受信機(例えば、RF受信機)、送信機(例えば、RF送信機)、トランシーバ、またはそれらの組み合わせを含むことができる。電子インターフェース119はまた、本明細書に記載のプロセッサ112およびメモリデバイス114と同一または類似の1つ以上のプロセッサおよび/または1つ以上のメモリデバイスを含むことができる。一部の実装では、電子インターフェース119は、ユーザーデバイス170に結合されるか、または統合される。その他の実装形態では、電子インターフェース119は、制御システム110および/またはメモリデバイス114に結合されるか、または統合される(例えば、ハウジング内に)。
【0024】
上述のように、一部の実装では、システム100は、オプションとして呼吸療法装置120(呼吸療法装置とも呼ばれる)を含む。呼吸療法装置120は、呼吸圧療法(RPT)装置122(本明細書では呼吸療法デバイス122と呼ぶ)、ユーザーインターフェース124、導管126(チューブまたは空気回路とも呼ぶ)、ディスプレイデバイス128、加湿タンク129、またはそれらの組み合わせを含めることができる。一部の実装では、制御システム110、メモリデバイス114、ディスプレイデバイス128、センサー130のうちの1つまたは複数、および加湿タンク129は、呼吸療法デバイス122の一部である。呼吸圧療法とは、ユーザーの呼吸サイクル全体の空気に関する名目上正数である制御された目標圧力で、ユーザーの気道入口に空気を供給することを指す(たとえば、タンクまたは胸甲呼吸器などの陰圧療法とは対照的)。呼吸療法装置120は、一般に、1つまたは複数の睡眠関連呼吸障害(例えば、閉塞性睡眠時無呼吸、中枢性睡眠時無呼吸症、または混合型睡眠時無呼吸)を患う個人を治療するために使用される。
【0025】
呼吸治療デバイス122は、一般に、(例えば、1つまたは複数の圧縮機を駆動する1つまたは複数のモータを使用して)ユーザーに送達される加圧空気を生成するために使用される。一部の実装では、呼吸治療デバイス122は、ユーザーに送達される連続的な一定の空気圧を生成する。その他の実装形態では、呼吸治療デバイス122は、2つ以上の所定の圧力(例えば、第1の所定の空気圧および第2の所定の空気圧)を生成する。さらに他の実装では、呼吸治療デバイス122は、所定の範囲内で様々に異なる空気圧を生成するように構成される。例えば、呼吸療法デバイス122は、少なくとも約6cmHO、少なくとも約10cmHO、少なくとも約20cmHO、約6cmHOと約10cmHOの間、約7cmHOと約12cmHOの間を送達することができる。呼吸療法デバイス122はまた、(周囲圧力に対して)陽圧を維持しながら、例えば約-20L/分~約150L/分の所定の流量で加圧空気を送達することができる。
【0026】
ユーザーインターフェース124は、ユーザーの顔の一部にかみ合わせ、呼吸療法デバイス122からユーザーの気道に加圧空気を送って、睡眠中の気道の狭窄および/または虚脱を防止するのを助ける。これにより、睡眠中のユーザーの酸素摂取量も増加する可能性がある。一般に、ユーザーインターフェース124はユーザーの顔にかみ合わせ、加圧空気がユーザーの口、ユーザーの鼻、またはユーザーの口と鼻の両方を介してユーザーの気道に送達されるようにする。呼吸療法デバイス122、ユーザーインターフェース124、および導管126は、共に、ユーザーの気道と流体的に結合された空気経路を形成する。加圧空気は、睡眠中のユーザーの酸素摂取量も増加させる。
【0027】
適用される治療によっては、ユーザーインターフェース124は、例えば、ユーザーの顔の領域または部分とシールを形成して、効果を発するため、例えば、周囲圧力に対して約10cmHOの陽圧でなど、周囲圧力と十分に異なる圧力でガスの送達ができるようにする。酸素供給などの他の形態の治療の場合、ユーザーインターフェースは、約10cmHOの陽圧で気道へガスを十分供給できるようにするシールを含まない場合がある。
【0028】
図2に示すように、一部の実装では、ユーザーインターフェース124は、ユーザーの鼻と口を覆う顔面マスク(例えば、フルフェイスマスク)である。あるいは、ユーザーインターフェース124は、ユーザーの鼻に空気を供給する鼻マスク、またはユーザーの鼻孔に空気を直接供給する鼻ピローマスクである。ユーザーインターフェース124は、例えば、ユーザーの一部(例えば、顔)上でインターフェースを位置決めおよび/または安定化しやすくするヘッドギアを形成する複数のストラップ(例えば、面ファスナーを含む)、およびユーザーインターフェース124とユーザーとの間の気密シールを提供するのを助けるコンフォーマルクッション(例えば、シリコーン、プラスチック、発泡体など)を含む場合がある。ユーザーインターフェース124はまた、ユーザー210によって吐き出された二酸化炭素および他のガスの逃避を可能にするための1つまたは複数のベントを含む場合がある。その他の実装形態では、ユーザーインターフェース124は、マウスピース(例えば、ユーザーの歯に適合するように成形されたナイトガードマウスピース、下顎骨再配置装置など)を含む。
【0029】
導管126(空気回路またはチューブとも呼ばれる)は、呼吸療法デバイス122およびユーザーインターフェース124などの呼吸療法装置120の2つの構成要素の間の空気の流れを可能にする。一部の実装では、吸気および呼気用の導管の別個のリムが存在する場合もある。その他の実装形態では、吸気と呼気の両方に単一の肢導管が使用される。
【0030】
呼吸療法デバイス122、ユーザーインターフェース124、導管126、ディスプレイデバイス128、および加湿タンク129のうちの1つまたは複数は、1つまたは複数のセンサー(例えば、圧力センサー、流量センサー、またはより一般的には本明細書に記載の他のセンサー130のいずれか)を含む場合がある。これらの1つまたは複数のセンサーは、例えば、呼吸療法デバイス122によって供給される加圧空気の空気圧および/または流量を測定するために使用することができる。
【0031】
ディスプレイデバイス128は、一般に、静止画像、ビデオ画像、または両方を含む画像、および/または呼吸療法デバイス122に関する情報を表示するために使用される。例えば、ディスプレイデバイス128は、呼吸治療デバイス122の状態に関する情報(例えば、呼吸治療デバイス122がオン/オフしているかどうか、呼吸治療デバイス122によって送達されている空気の圧力、呼吸治療デバイス122が送る空気の温度)、呼吸治療デバイス122によって送達される空気など)および/または他の情報(例えば、WO2016/061629に記載されているような、myAir(登録商標)スコアとも呼ばれる睡眠スコアおよび/または治療スコアで、その全体が参照により本明細書に組み込まれるもの、および現在の日付/時刻、およびユーザー210の個人情報など)を提供することができる。一部の実装では、ディスプレイデバイス128は、画像を入力インターフェースとして表示するように構成されたグラフィックユーザインターフェース(GUI)を含むヒューマンマシンインターフェース(HMI)として機能する。ディスプレイデバイス128は、LEDディスプレイ、OLEDディスプレイ、LCDディスプレイなどとすることができる。入力インターフェースは、例えば、タッチスクリーンまたはタッチセンシティブ基板、マウス、キーボード、または呼吸療法デバイス122と対話する人間のユーザーによって行われた入力を感知するように構成されたセンサーシステムであり得る。
【0032】
加湿タンク129は、呼吸治療デバイス122に結合、または統合され、呼吸治療デバイス122から送達される加圧空気を加湿するために使用することができる水のリザーバを含む。呼吸療法デバイス122は、ユーザーに提供される加圧空気を加湿するための、加湿タンク129内の水を加熱するヒーターを含む場合がある。さらに、一部の実装では、導管126は、ユーザーに送達される加圧空気を加熱する(例えば、導管126に結合および/または埋め込まれた)加熱要素も含む場合がある。加湿タンク129は、気道の水蒸気入口に流体結合され、水蒸気入口を介して気道に水蒸気を送達することができるか、または気道自体の一部として気道と一列に形成することができる。
【0033】
一部の実装では、システム100を使用して、生理学的データ、睡眠関連パラメータ、他のデータまたは情報、またはそれらの任意の組み合わせに少なくとも部分的に基づいて、物質の少なくとも一部をレセプタクル180から気道に送達することができます。一般に、気道への物質の一部の送達を変更することには、(i)気道への物質の送達を開始すること、(ii)気道への物質の一部の送達を終了すること、(iii)気道に送達される物質の量を変更すること、(iv)物質の一部の気道への送達の時間的特性を変更すること、(v)物質の一部の気道への送達の定量的特性を変更すること(vi)気道への物質の送達に関連する任意のパラメータを変更すること、または(vii)(i)~(vi)の組み合わせが含まれる。
【0034】
一部の物質の気道への送達の時間的特性の変更には、物質の送達速度の変更、異なる時間での開始および/または終了、異なる期間における継続、時間配分または特性の変更、時間配分とは別に配分量の変更などがある。個別の時間と量の変動により、物質の放出頻度を変えることとは別に、毎回放出される物質の量を変えることができる。このようにして、放出頻度および放出量の多数の異なる組み合わせ(例えば、より高い頻度であるがより低い放出量、より高い頻度およびより高い量、より低い頻度およびより高い量、より低い頻度およびより低い量など)を達成することができる。気道への物質の一部の送達に対するその他の変更も利用することができる。
【0035】
呼吸療法装置120は、例えば、人工呼吸器として、または持続陽圧気道圧(CPAP)システム、自動陽圧気道圧システム(APAP)、二相性陽圧呼吸システム、または可変起動陽圧システム(BPAPまたはVPAP)などの気道陽圧(PAP)システムとして、またはそれらの組み合わせで使用することができる。CPAPシステムは、所定の空気圧(例えば、睡眠医によって決定される)をユーザーに送達する。APAPシステムは、例えば、ユーザーに関連する呼吸データに基づいて、ユーザーに送達される空気圧を自動的に変化させる。BPAPまたはVPAPシステムは、第1の所定の圧力(例えば、吸気陽圧気道圧、IPAP)および第1の所定の圧力よりも低い第2の所定の圧力(例えば、呼気の陽圧気道圧、EPAP)を送達するように構成される。
【0036】
図2を参照すると、一部の実装によるシステム100(図1)の一部が示されている。呼吸療法装置120のユーザー210およびベッドパートナー220は、ベッド230に位置し、マットレス232に横たわっている。ユーザーインターフェース124(本明細書ではマスク、例えばフルフェイスマスク、鼻マスク、鼻ピローマスクなどとも呼ばれる)は、睡眠セッション中にユーザ210が着用することができる。ユーザーインターフェース124は、導管126を介して呼吸療法デバイス122に流体結合および/または接続される。次に、呼吸療法デバイス122は、導管126およびユーザーインターフェース124を介して加圧空気をユーザー210に送達し、ユーザー210の喉の空気圧を上昇させて、睡眠中に気道が閉鎖および/または狭窄するのを防止するのを助ける。呼吸療法デバイス122は、図2に示すように、ベッド230に直接隣接するナイトスタンド240上に配置することができる。またはより一般的には、ベッド230および/またはユーザー210に通常隣接する表面または構造上に配置することができる。
【0037】
先ほどの図1に示すように、システム100の1つまたはそれ以上のセンサー130は、圧力センサー132、流量センサー134、温度センサー136、運動センサー138、マイクロフォン140、スピーカ142、無線周波数(RF)受信機146、RFトランスミッタ148、カメラ150、赤外線センサー152、フォトプレチスモグラム(PPG)センサー154、心電図(ECG)センサー156、脳波記録(EEG)センサー158、静電容量センサー160、力センサー162、ひずみゲージセンサー164、筋電図(EMG)センサー166、酸素センサー168、検体センサー174、水分センサー176、LiDARセンサー178、またはそれらの任意の組み合わせを含む。一般に、1つまたは複数のセンサー130のそれぞれは、メモリデバイス114または1つまたは複数の他のメモリデバイスに受信および格納されるセンサーデータを出力するように構成される。
【0038】
1つまたは複数のセンサー130が、圧力センサー132、流量センサー134、温度センサー136、運動センサー138、マイクロフォン140、スピーカ142、RFレシーバ146、RFトランスミッタ148、カメラ150、赤外線センサー152、フォトプレチスモグラム(PPG)センサー154、心電図(ECG)センサー156、脳波計(EEG)センサー158、静電容量センサー160、力センサー162、歪みゲージセンサー164、筋電図(EMG)センサー166、酸素センサー168、検体センサー174、水分センサー176、およびLiDARセンサー178のそれぞれを含むことが示され、そのように説明されている一方で、より一般的に説明すると、1つまたは複数のセンサー130は、本明細書に記載および/または示されるセンサーそれぞれの任意の組み合わせおよび任意の数を含むことができる。
【0039】
本明細書で説明するように、システム100は一般に、睡眠セッション中にユーザー(例えば、図2に示す呼吸療法装置120のユーザー)に関連する生理学的データを生成するために使用できる。生理学的データを分析して、1つかそれ以上の睡眠に関連するパラメータを生成することができるが、それには睡眠セッション中のユーザーに関連する任意のパラメータ、測定値などを含むことができる。睡眠セッション中にユーザー210について決定することができる1つまたは複数の睡眠関連パラメータには、たとえば、無呼吸低呼吸指数(AHI)スコア、睡眠スコア、フロー信号、呼吸信号、呼吸数、吸気振幅、呼気振幅、吸気-呼気比、1時間当たりのイベント数、イベントのパターン、段階、呼吸療法デバイス122の圧力設定、心拍数、心拍変動、ユーザー210の運動、体温、EEG活動、EMG活動、覚醒、いびき、窒息、咳、口笛、喘鳴、またはそれらの任意の組み合わせが含まれる。
【0040】
1つまたは複数のセンサー130を使用して、たとえば、生理学的データ、音声データ、またはその両方を生成することができる。センサー1つまたは複数のセンサー130によって生成された生理学的データは、制御システム110によって使用されて、睡眠セッション中のユーザー210(図2)に関連付けられた睡眠覚醒信号、および1つまたは複数の睡眠関連パラメータを決定することができる。睡眠覚醒信号は、覚醒状態、リラックスした覚醒状態、微小覚醒、または例えば急速眼球運動(REM)段階、最初の非REM段階(しばしば「N1」と呼ばれる)、第2の非REM段階(しばしば「N2」と呼ばれる)、第3の非REM段階(しばしば「N3」と呼ばれる)、またはそれらの任意の組み合わせなど、1つまたは複数の睡眠状態を示唆することができる。1つまたは複数のセンサー130などの1つまたは複数のセンサーによって生成された生理学的データから睡眠状態および/または睡眠段階を決定する方法は、例えば、WO2014/047310、US2014/0088373、WO2017/132726、WO2019/122413、およびWO2019/122414に記載されており、これらのそれぞれは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0041】
一部の実装では、本明細書で説明される睡眠覚醒信号は、ユーザーがベッドに入る時間、ユーザーがベッドを出る時間、ユーザーが入眠しようとする時間などを示すためにタイムスタンプを付けることができる。睡眠覚醒信号は、睡眠セッション中に、例えば、毎秒1サンプル、30秒毎に1サンプル、毎分1サンプルなどの所定のサンプリングレートで、1つまたは複数のセンサー130によって測定することができる。一部の実装では、睡眠覚醒信号は、睡眠セッション中の呼吸信号、呼吸数、吸気振幅、呼気振幅、吸気呼気比、1時間あたりのイベント数、イベントのパターン、呼吸療法デバイス122の圧力設定、またはそれらの任意の組み合わせを示すこともできる。イベントには、いびき、無呼吸、中枢性無呼吸、閉塞性無呼吸、混合性無呼吸、呼吸低下、(例えば、ユーザーインターフェース124からの)マスク漏れ、むずむずする脚、睡眠障害、窒息、心拍数の増加、呼吸困難、喘息発作、てんかんエピソード、発作、またはそれらの任意の組み合わせが含まれる。睡眠-覚醒信号に基づいて睡眠セッション中のユーザーに対して決められることのできる1つまたは複数の睡眠関連パラメータには、たとえば、ベッドにいる合計時間、合計睡眠時間、入眠待ち時間、中途覚醒パラメータ、睡眠効率、崩壊指数、またはそれらの任意の組み合わせがある。本明細書でさらに詳細に説明するように、生理学的データおよび/または睡眠関連パラメータを分析して、1つまたは複数の睡眠関連スコアを決定することができる。
【0042】
1つまたは複数のセンサー130によって生成された生理学的データおよび/または音声データを使用して、睡眠セッション中のユーザーに関連する呼吸信号を決定することもできる。呼吸信号は一般に、睡眠セッション中のユーザーの呼吸を示す。呼吸信号は、(例えば、制御システム110を使用して)例えば、呼吸数、呼吸数の変動性、吸気振幅、呼気振幅、吸気呼気比、1つまたは複数のイベントの発生、1時間あたりのイベント数、イベントのパターン、睡眠状態、みぞれ段階、無呼吸低呼吸指数(AHI)、呼吸療法デバイス122の圧力設定、またはそれらの任意の組み合わせなどの1つまたは複数の睡眠関連パラメータを示唆するもの、および/または分析してそれを決定できる。1つまたは複数のイベントには、いびき、無呼吸、中枢性無呼吸、閉塞性無呼吸、混合性無呼吸、呼吸低下、(例えば、ユーザーインターフェース124からの)マスク漏れ、咳、むずむず脚、睡眠障害、窒息、心拍数の増加、呼吸困難、喘息発作、てんかんエピソード、発作、血圧上昇、またはそれらの任意の組み合わせがある。ここで説明する睡眠関連パラメータの多くは生理学的パラメータだが、一部の睡眠関連パラメータは非生理学的パラメータと見なすことができる。1つまたは複数のセンサー130からのデータ、または他のタイプのデータから、他のタイプの生理学的および/または非生理学的パラメータを決定することもできる。
【0043】
本明細書で使用されるように、睡眠セッションは、複数の方法で定義することができる。たとえば、スリープセッションは、最初の開始時刻と終了時刻によって定義できる。一部の実装では、睡眠セッションは、ユーザーが眠っている期間としている。つまり、睡眠セッションには開始時刻と終了時刻があり、睡眠セッション中、ユーザーは終了時刻まで目覚めない。すなわち、ユーザーが覚醒している期間は睡眠セッションに含まれない。睡眠セッションのこの最初の定義では、ユーザーが同じ夜に何度も起きて眠りにつく場合、覚醒間隔で区切られた睡眠間隔のそれぞれを睡眠セッションとする。
【0044】
代替として、一部の実装では、睡眠セッションは開始時間と終了時間を有し、睡眠セッション中に、ユーザーが覚醒している継続時間が覚醒持続時間の閾値を下回る限り、ユーザーが目覚めても睡眠セッションが終了することはない。覚醒持続時間の閾値は、睡眠セッションのパーセンテージとして定義できる。覚醒持続時間閾値は、例えば、睡眠セッションの約20パーセント、睡眠セッション持続時間の約15パーセント、睡眠セッション持続時間の約10パーセント、睡眠セッション持続時間の約5パーセント、睡眠セッション持続時間の約2パーセント等、どのような閾値パーセンテージでもよい。一部の実装では、覚醒持続時間閾値を、例えば、約1時間、約30分、約15分、約10分、約5分、約2分など一定量の時間として定義している。
【0045】
一部の実装では、睡眠セッションは、ユーザーが最初にベッドに入った夜の時刻と、ユーザーが最後にベッドを離れた翌朝の時刻との間の全時間として定義している。別の言い方をすれば、睡眠セッションは、ユーザーが最初に寝るつもりでベッドに入った(たとえば、ユーザーが寝る前にまずテレビを見たり、スマートフォンで遊んだりするつもりがない場合など)直近の夜とも言及できる、最初の日付(例:2020年1月6日月曜日)の最初の時間(例:午後10:00)から始まり、二度寝しないつもりで最初にベッドから出る翌朝としても言及できる、2番目の日付(例:2020年1月7日火曜日)の2番目の時刻(例:午前7:00)に終わる期間として定義できる。
【0046】
一部の実装では、ユーザーは、睡眠セッションの開始を手動で定義し、および/または睡眠セッションを手動で終了することができる。例えば、ユーザーは、ユーザーデバイス170(図1)のディスプレイ172上に表示される1つかそれ以上のユーザー選択可能要素を(例えば、クリックまたはタップすることによって)選択して、睡眠セッションを手動で開始または終了することができる。
【0047】
一般に、睡眠セッションは、ユーザー210がベッド230(または、ユーザーが眠ろうとする別の領域または物体)に横たわるまたは座り、呼吸療法デバイス122の電源を入れ、インターフェース124を装着した後のいずれかの時点を含む。したがって、睡眠セッションは、(i)ユーザー210がCPAPシステムを使用しているが、ユーザー210が入眠しようとする前(例えば、ユーザー210が本を読みながらベッド230に横たわっている場合)、(ii)ユーザー210が眠りに落ちようとし始めたが、まだ起きているとき、(iii)ユーザー210が浅い睡眠(非急速眼球運動(NREM)睡眠のステージ1およびステージ2とも呼ばれる)にあるとき、(iv)ユーザー210が深い睡眠(徐波睡眠、SWS、またはノンレム睡眠のステージ3とも呼ばれる)にあるとき、(v)ユーザー210が急速眼球運動(REM)睡眠にあるとき、(vi)ユーザー210が、浅い睡眠、深い睡眠、またはREM睡眠の間で定期的に起きているとき、または(vii)ユーザー210が目を覚まし、再び眠りに落ちないときの期間を含めることができる。
【0048】
睡眠セッションは、一般に、ユーザー210がユーザーインターフェース124を取り外し、呼吸療法デバイス122をオフにし、ベッド230から出ると終了するものとして定義される。一部の実装では、睡眠セッションは、追加の期間を含むことができたり、または上で開示した期間の一部のみに限定することができる。例えば、睡眠セッションは、呼吸治療デバイス122が加圧空気を気道またはユーザー210に供給し始めるときに始まり、呼吸治療デバイス122が加圧空気を気道に供給するのを停止するときに終わる期間を網羅し、ユーザー210が眠っているか起きているときの一部のまたは全てのその間の時点を含めるように定義することができる。
【0049】
圧力センサー132は、メモリデバイス114に保存することができる、および/または制御システム110のプロセッサ112によって分析することができる圧力データを出力する。一部の実装では、圧力センサー132は、呼吸療法装置120のユーザーの呼吸(息を吸うおよび/または息を吐く)および/または環境気圧を示すセンサーデータを生成する空気圧センサー(例:気圧センサー)である。そのような実装では、圧力センサー132は、呼吸療法デバイス122に結合または統合することができる。圧力センサー132は、例えば、静電容量センサー、電磁気センサー、圧電センサー、歪みゲージセンサー、光センサー、電位差センサー、またはそれらの任意の組み合わせとすることができる。
【0050】
流量センサー134は、メモリ装置114に保存することができ、かつ/または制御システム110のプロセッサ112によって分析することができる流量データを出力する。流量センサー(例えば、流量センサー134など)の例は、国際公開WO2012/012835に記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。一部の実装形態では、流量センサー134は、呼吸治療デバイス122からの空気流量、導管126を通る空気流量、ユーザーインターフェース124を通る空気流量、またはそれらの任意の組み合わせを決定するために使用される。そのような実装では、流量センサー134は、呼吸療法デバイス122、ユーザーインターフェース124、または導管126に結合または統合することができる。流量センサー134は、例えば、回転流量計(例えば、ホール効果流量計)、タービン流量計、オリフィス流量計、超音波流量計、熱線センサー、渦センサー、膜センサーなどの質量流量センサー、またはそれらの任意の組み合わせであり得る。一部の実装形態では、流量センサー134は、通気流量(例えば、意図的な「リーク」)、意図しないリーク(例えば、口漏れおよび/またはマスク漏れ)、患者の流れ(例えば、肺へのおよび/または肺からの空気の流出入)、またはこれらの組合せを測定するように構成される。一部の実装形態では、流量データを分析して、ユーザーの心原性振動を判断することができる。一例では、圧力センサー132を使用して、ユーザーの血圧を判断することができる。
【0051】
温度センサー136は、メモリデバイス114に保存することができる、および/または制御システム110のプロセッサ112によって分析することができる温度データを出力する。一部の実装では、温度センサー136は、ユーザー210(図2)の深部体温、ユーザー210の皮膚温度、呼吸療法デバイス122および/または導管126から流れる空気の温度、ユーザーインターフェース124内の温度、周囲温度、またはそれらの任意の組み合わせを示す温度データを生成する。温度センサー136は、例えば、熱電対センサー、サーミスタセンサー、シリコンバンドギャップ温度センサーまたは半導体ベースのセンサー、抵抗温度検出器、またはそれらの任意の組み合わせとすることができる。
【0052】
モーションセンサー138は、メモリデバイス114に保存することができる、および/または制御システム110のプロセッサ112によって分析することができるモーションデータを出力する。運動センサー138は、睡眠セッション中のユーザー210の動きを検出したり、および/または呼吸療法デバイス122、ユーザーインターフェース124、または導管126など呼吸療法装置120のいずれかのコンポーネントの動作を検出したりするのに利用する。運動センサー138は、加速度計、ジャイロスコープ、および磁力計など1つまたは複数の慣性センサーを含むことができる。一部の実装形態では、運動センサー138は、その代替または追加として、ユーザーの身体の動きを表す1つまたは複数の信号を生成し、そこから例えば、ユーザーの呼吸運動を介してユーザーの睡眠状態を表す信号を取得することができる。一部の実装形態では、運動センサー138からの運動データを、別のセンサー130からの追加データと併せて使用して、ユーザーの睡眠状態を決定することができる。
【0053】
マイクロフォン140は、メモリデバイス114に保存することができる、および/または制御システム110のプロセッサ112によって分析することができる音声データを出力する。マイクロフォン140によって生成された音声データは、睡眠セッション中に1つまたは複数の音(例えば、ユーザー210からの音)として再生可能である。本明細書でさらに詳細に説明するように、マイクロフォン140からの音声データを使用して、睡眠セッション中にユーザーが体験したイベントを(例えば、制御システム110を使用して)識別することもできる。マイクロフォン140は、呼吸療法デバイス122、ユーザーインターフェース124、導管126、またはユーザーデバイス170に結合または統合することができる。一部の実装形態では、システム100は、複数のマイクロフォン(たとえば、2つまたはそれ以上のマイクロフォンおよび/またはビーム形成を備えた多くのマイクロフォン)を含むため、複数のマイクロフォンそれぞれが生成した音声データを使用して、複数のマイクロフォンのうち他のマイクロフォンが生成した音声データと区別することができる。
【0054】
スピーカ142は、システム100のユーザー(例えば、図2のユーザー210)に聞こえる音波を出力する。スピーカ142は、例えば、目覚まし時計として、またはユーザー210への警告またはメッセージを再生するなどに(例えば、イベントに応答して)使用することができる。一部の実装形態では、スピーカ142を使用して、マイクロフォン140によって生成された音声データをユーザーに伝えることができる。スピーカ142は、呼吸療法デバイス122、ユーザーインターフェース124、導管126、またはユーザー装置170に結合または統合することができる。
【0055】
マイクロフォン140とスピーカ142は、別個のデバイスとして使用することができる。一部の実装形態では、マイクロフォン140およびスピーカ142は、音響センサー141(例えば、SONARセンサー)に組み合わせることができ、これは例えばWO2018/050913およびWO2020/104465に記載されているとおりで、これらはそれぞれ参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる。そのような実装では、スピーカ142は、所定の間隔で音波を生成または放出し、マイクロフォン140は、スピーカ142から放出された音波の反射を検出する。スピーカ142によって生成または放出される音波は、ユーザー210またはベッドパートナー220の睡眠を妨げないように、人間の耳には聞こえない周波数(例えば、20Hz未満または約18kHz超)を有する(図2)。マイクロフォン140および/またはスピーカ142からのデータに少なくともある程度基づき、制御システム110は、ユーザー210(図2)の位置および/または本書で説明する睡眠関連パラメータの1つまたは複数を決定することができる。その例として、呼吸信号、呼吸速度、吸気振幅、呼気振幅、吸気呼気比、1時間あたりのイベント数、イベントのパターン、睡眠状態、睡眠段階、呼吸療法デバイス122の圧力設定、またはそれらの任意の組み合わせがある。そのような文脈では、ソナーセンサーは、超音波および/または低周波超音波感知信号(例えば、約17~23kHz、18~22kHz、または17-18kHzの周波数範囲)を生成および/または空気を伝って送信することによるなど、能動的音響センシングに関係すると理解することができる。そのようなシステムは、上述の国際公開第2018/050913号および国際公開第2020/104465号に関連して考えることができ、これらのそれぞれは、参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0056】
一部の実装形態では、センサー130は、(i)マイクロフォン140と同一または同様であり、音響センサー141に統合された第1のマイクロフォン、および(ii)マイクロフォン140と同一または類似であるが、音響センサー141に統合された第1のマイクロフォンとは別個の第2のマイクロフォンを含む。
【0057】
RF送信機148は、所定の周波数および/または所定の振幅(例えば、高周波数帯域内、低周波数帯域内、長波信号、短波信号など)を有する電波を生成および/または放射する。RF受信機146は、RF送信機148から放出された電波の反射を検出し、このデータを制御システム110によって分析して、ユーザー210(図2)の位置および/または本明細書で説明する1つまたは複数の睡眠関連パラメータを決定することができる。RF受信機(RF受信機146とRF送信機148、または他のRFペアのいずれか)も制御システム110、呼吸療法デバイス122、1つまたは複数のセンサー130、ユーザーデバイス170、またはそれらの任意の組み合わせ同士のワイヤレス通信に利用できる。図1にRF受信機146およびRF送信機148は、別個の区別された要素として示されているが、一部の実装ではRF受信機146およびRF送信機148は、RFセンサー147(例えば、RADARセンサー)の一部として組み合わされる。そのような一部の実装では、RFセンサー147は制御回路を含む。RF通信の特定のフォーマットは、Wi-Fi、Bluetooth(登録商標)などが利用できる。
【0058】
一部の実装では、RFセンサー147はメッシュシステムの一部である。メッシュシステムの1例としてWi-Fiメッシュシステムがあるが、それにはメッシュノード、メッシュルーター、およびメッシュゲートウェイが含まれ、それぞれモバイル/可動または固定式である。そのような実装では、Wi-Fiメッシュシステムは、Wi-Fiルーターおよび/またはWi-Fiコントローラと、1つまたは複数のサテライト(例えば、アクセスポイント)を含み、そのそれぞれには、RFセンサー147と同じまたは類似のRFセンサーが含まれる。Wi-Fiルーターとサテライトは、Wi-Fi信号を使用して継続的に相互に通信する。Wi-Fiメッシュシステムを使用して、ルーターとサテライト間のWi-Fi信号の変化(受信信号強度の違いなど)に基づいて運動データを生成できる。これは、物体または人が動いて信号を部分的に妨害することによる。運動データは、運動、呼吸、心拍数、歩行、転倒、行動など、またはそれらの任意の組み合わせを示すことができる。
【0059】
カメラ150は、メモリデバイス114に保存することができる1つまたは複数の画像(例えば、静止画像、ビデオ画像、熱画像、またはそれらの任意の組み合わせ)として再生可能な画像データを出力する。カメラ150からの画像データは、制御システム110によって使用し、本明細書で説明される睡眠関連パラメータの1つまたは複数を決定することができる。パラメータの例として、例えば、1つまたは複数のイベント(例えば、周期的な肢の動きまたはむずむず脚症候群)、呼吸信号、呼吸数、吸気振幅、呼気振幅、吸気呼気比、1時間あたりのイベント数、イベントのパターン、睡眠状態、睡眠段階、またはそれらの任意の組み合わせがある。さらに、カメラ150からの画像データを使用して、例えば、ユーザーの位置を識別、ユーザー210(図2)の胸の動きを決定、ユーザー(図2)の口および/または鼻の気流を決定ユーザー210がベッド230(図2)に入る時間を決定、ユーザー210がベッド230を出る時間を決定などもすることができる。一部の実装形態では、カメラ150は、広角レンズまたは魚眼レンズを含む。
【0060】
赤外線(IR)センサー152は、メモリ装置114に保存することができる1つまたは複数の赤外線画像(例えば、静止画像、ビデオ画像、または両方)として再生可能な赤外線画像データを出力する。IRセンサー152からの赤外線データを使用して、ユーザー210の体温および/またはユーザー210の動きなど、睡眠セッション中の1つまたは複数の睡眠関連パラメータを決定することができる。IRセンサー152はまた、ユーザー210の存在、位置、および/または動きを測定するときに、カメラ150と共に使用することができる。IRセンサー152は、例えば、約700nmから約1mmの間の波長を有する赤外光を検出することができる一方で、カメラ150は、約380nmから約740nmの間の波長を有する可視光を検出することができる。
【0061】
PPGセンサー154は、ユーザー210(図2)に関連する生理学的データを出力する。このデータを使用して、例えば、心拍数、心拍変動、心周期、呼吸数、吸気振幅、呼気振幅、吸気呼気比、推定血圧パラメータ、またはそれらの任意の組み合わせなどの1つまたは複数の睡眠関連パラメータを決定することができる。PPGセンサー154は、ユーザー210が着用したり、ユーザー210が着用する衣服および/または織物に埋め込んだり、ユーザーインターフェース124および/またはそれに関連するヘッドギア(例えば、ストラップなど)に埋め込むおよび/または結合することができる。
【0062】
ECGセンサー156は、ユーザー210の心臓の電気的活動に関連する生理学的データを出力する。一部の実装形態では、ECGセンサー156は、睡眠セッション中のユーザー210の部分の上またはその周りに配置される1つまたは複数の電極を含む。ECGセンサー156からの生理学的データは、例えば、本明細書に記載の睡眠関連パラメータの1つまたは複数を決定するために使用することができる。
【0063】
EEGセンサー158は、ユーザー210の脳の電気的活動に関連する生理学的データを出力する。一部の実装形態では、EEGセンサー158は、睡眠セッション中のユーザー210の頭皮上または頭皮の周りに配置される1つまたは複数の電極を含む。EEGセンサー158からの生理学的データは、例えば、睡眠セッション中の任意の時点におけるユーザー210の睡眠状態および/または睡眠段階を決定するために使用することができる。一部の実装形態では、EEGセンサー158は、ユーザーインターフェース124および/または関連するヘッドギア(例えば、ストラップなど)に組み込むことができる。
【0064】
静電容量センサー160、力センサー162、および歪みゲージセンサー164は、メモリデバイス114に保存、および制御システム110による使用が可能なデータを出力し、本明細書で説明される睡眠関連パラメータの1つまたは複数を決定する。EMGセンサー166は、1つまたは複数の筋肉によって生み出される電気活動に関連する生理学的データを出力する。酸素センサー168は、ガスの酸素濃度(例えば、導管126内またはユーザーインターフェース124の)を示す酸素データを出力する。酸素センサー168は、例えば、超音波酸素センサー、電気酸素センサー、化学酸素センサー、光学酸素センサー、パルス酸素濃度計(例えば、SpOセンサー)、またはそれらの任意の組み合わせとすることができる。一部の実装形態では、1つまたは複数のセンサー130は、電気皮膚反応(GSR)センサー、血流センサー、呼吸センサー、脈拍センサー、血圧計センサー、オキシメトリセンサー、またはそれらの任意の組み合わせも含む。
【0065】
検体センサー174は、ユーザー210の呼気中の検体の存在を検出するために使用することができる。検体センサー174によって出力されたデータは、メモリデバイス114に保存され、制御システム110によって使用されて、ユーザー210の呼気中の任意の検体の正体および濃度を決定することができる。一部の実装形態では、検体センサー174は、ユーザー210の口の近くに配置してユーザー210の口から吐き出された呼気中の検体を検出する。例えば、ユーザーインターフェース124がユーザー210の鼻と口を覆う顔面マスクである場合、検体センサー174を顔面マスク内に配置して、ユーザー210の口呼吸を監視することができる。ユーザーインターフェース124が鼻マスクまたは鼻ピローマスクであるなど、他の実装形態では、検体センサー174をユーザー210の鼻の近くに配置して、ユーザーの鼻から吐き出された呼気中の検体を検出することができる。さらに他の実装形態として、ユーザーインターフェース124が鼻マスクまたは鼻ピローマスクである場合、検体センサー174はユーザー210の口の近くに配置することができる。この実装では、検体センサー174を使用して、ユーザー210の口から空気がうっかり漏れているかどうかを検出することができる。一部の実装形態では、検体センサー174は、炭素系化学物質または化合物を検出するために使用できる揮発性有機化合物(VOC)センサーである。さらに一部の実装形態では、検体センサー174を使用して、ユーザー210が鼻で呼吸しているか口で呼吸しているかを検出することもできる。例えば、ユーザー210の口の近くまたは顔面マスク内(ユーザーインターフェース124が顔面マスクである実装形態の場合)に配置された検体センサー174が出力したデータが検体の存在を検出する場合、制御システム110は、ユーザー210が口で呼吸していることを示すものとしてこのデータを使用する。
【0066】
水分センサー176は、メモリデバイス114に保存され、制御システム110によって使用されることができるデータを出力する。水分センサー176を使用して、ユーザーを取り囲む様々な領域(例えば、導管126内部またはユーザーインターフェース124、ユーザー210の顔の近く、導管126とユーザーインターフェース124の間の接続の近く、導管126と呼吸治療デバイス122との間の接続の近くなど)の水分を検出する。したがって、一部の実装形態では、水分センサー176は、ユーザーインターフェース124または導管126内に結合または統合して、呼吸療法デバイス122からの加圧空気の湿度を監視することができる。他の実施形態では、水分センサー176は、水分レベルを監視する必要がある領域の近くに配置される。水分センサー176は、例えば寝室内の空気など、ユーザー210を取り囲む周囲環境の湿度を監視するためにも使用することができる。
【0067】
光検出および測距(LiDAR)センサー178は、深さ感知のために使用することができる。このタイプの光学センサー(レーザーセンサーなど)は、生活空間などのオブジェクトを検出し、周囲の3次元(3D)マップを構築するために使用できる。LiDARは通常、パルスレーザーを利用して飛行計測の速度を上げることができる。LiDARは、3Dレーザースキャンとも呼ばれる。このようなセンサーの使用例では、LiDARセンサー166を有する固定またはモバイルデバイス(スマートフォンなど)は、センサーから5メートル以上離れた領域を測定およびマッピングすることができる。LiDARデータは、たとえば、電磁RADARセンサーによって推定された点群データ等と融合できる。LiDARセンサー178はまた、人工知能(AI)を使用して、ガラス窓(レーダーに対して高度に反射する可能性がある)などのレーダーシステムに問題を引き起こす可能性のある空間内の知物を検出および分類することにより、レーダーシステムを自動的にジオフェンスすることができる。また、LiDARを使用して、人の身長を推定したり、座ったり倒れたりしたときの身長の変化を推定したりすることもできる。LiDARは、環境の3Dメッシュ表示を形成するために使用できる。さらなる活用として、電波が通過する固体表面(例えば、電波透過性材料)では、LiDARはそのような表面で反射することができるため、さまざまなタイプの障害物の分類が可能になる。
【0068】
一部の実装形態では、1つまたは複数のセンサー130には、電気皮膚反応(GSR)センサー、血流センサー、呼吸センサー、脈拍センサー、血圧計センサー、酸素測定センサー、ソナーセンサー、RADARセンサー、血糖センサー、色センサー、pHセンサー、空気質センサー、傾斜センサー、雨センサー、土壌水分センサー、水流センサー、アルコールセンサー、またはそれらの任意の組み合わせも含まれる。
【0069】
図1では別個に示されているが、1つまたは複数のセンサー130の任意の組み合わせは、呼吸治療デバイス122、ユーザーインターフェース124、導管126、加湿器タンク129、制御システム110、ユーザーデバイス170、アクティビティトラッカー180、またはそれらの任意の組み合わせを含むシステム100の構成要素の1つまたは複数に統合および/または結合することができる。例えば、マイクロフォン140およびスピーカ142は、ユーザーデバイス170に統合および/または結合することができ、圧力センサー130および/または流量センサー132は、呼吸療法デバイス122に組み込まれ、および/または結合することができる。一部の実装形態では、1つまたは複数のセンサー130のうちの少なくとも1つは、呼吸療法デバイス122、制御システム110、またはユーザーデバイス170、制御システム110、またはユーザーデバイス170に結合されておらず、睡眠セッション中は通常ユーザー210に隣接して配置される(たとえば、ユーザー210の一部に配置または接触させる、ユーザー210が着用する、ナイトスタンドに結合または配置される、マットレスに結合される、天井に結合されるなど)。
【0070】
1つまたは複数のセンサー130からのデータを分析して、呼吸信号、呼吸速度、呼吸パターン、吸気振幅、呼気振幅、吸気呼気比、1つまたは複数のイベントの発生、1時間あたりのイベント数、イベントのパターン、睡眠状態、無呼吸低呼吸指数(AHI)、またはそれらの任意の組み合わせを含む1つまたは複数の睡眠関連パラメータを決定することができる。1つまたは複数のイベントには、いびき、無呼吸、中枢性無呼吸、閉塞性無呼吸、混合性無呼吸、呼吸低下、マスク漏れ、咳、むずむず脚、睡眠障害、窒息、心拍数の増加、呼吸困難、喘息発作、てんかんエピソード、発作、血圧上昇、またはそれらの任意の組み合わせが含まれる。これらの睡眠関連パラメータの多くは生理学的パラメータだが、一部の睡眠関連パラメータは非生理学的パラメータと見なすことができる。1つまたは複数のセンサー130からのデータ、または他のタイプのデータのいずれかから、他のタイプの生理学的パラメータおよび非生理学的パラメータを決定することもできる。
【0071】
ユーザーデバイス170(図1)は、ディスプレイデバイス172を含む。ユーザーデバイス170は、例えば、スマートフォン、タブレット、ゲーム機、スマートウォッチ、ラップトップなどのモバイルデバイスとすることができる。代替として、ユーザーデバイス170は、外部感知システム、テレビ(例えば、スマートテレビ)または別のスマートホームデバイス(例えば、Google Home、Amazone Echo、Alexaなどのスマートスピーカ)とすることもできる。いくつか一部の実装形態では、ユーザーデバイスはウェアラブルデバイス(たとえば、スマートウォッチ)である。ディスプレイデバイス172は、一般に、静止画像、ビデオ画像、またはその両方を含む画像を表示するために使用される。一部の実装形態では、ディスプレイデバイス172は、画像を表示するように構成されたグラフィックユーザーインターフェース(GUI)および入力インターフェースなどのヒューマンマシンインターフェース(HMI)として機能する。ディスプレイデバイス172は、LEDディスプレイ、OLEDディスプレイ、LCDディスプレイなどとすることができる。入力インターフェースは、例えば、タッチスクリーンまたはタッチセンシティブ基板、マウス、キーボード、またはユーザーデバイス170と対話する人間のユーザーによる入力を感知するように構成されたセンサーシステムであり得る。一部の実装では、1つまたは複数のユーザーデバイスは、システム100によって使用される、および/またはシステム100に含まれることができる。
【0072】
一部の実装形態では、システム100はアクティビティトラッカー180も含む。アクティビティトラッカー180は、一般に、ユーザーに関連する生理学的データの生成を支援するために使用される。アクティビティトラッカー180は、例えば、モーションセンサー138(例えば、1つまたはそれ以上の加速度計および/またはジャイロスコープ)、PPGセンサー154、および/またはECGセンサー156など、本明細書で説明されるセンサー130のうちの1つまたはそれ以上を含むことができる。アクティビティトラッカー180からの生理学的データを使用して、例えば、歩数、移動距離、登った段数、身体活動の持続時間、身体活動のタイプ、身体活動の強度、立っている時間、呼吸数、平均呼吸数、安静時の呼吸数、最大呼吸速度、呼吸数の変動性、心拍数、平均心拍数、安静時の心拍数、最大心拍数、心拍変動、消費カロリー数、血中酸素飽和度、皮膚電気活動(皮膚コンダクタンスまたは電気皮膚反応としても知られる)、またはそれらの任意の組み合わせを決めることができる。一部の実装形態では、アクティビティトラッカー180は、ユーザーデバイス170に(たとえば、電子的にまたは物理的に)結合される。
【0073】
一部の実装形態では、アクティビティトラッカー180は、スマートウォッチ、リストバンド、リング、またはパッチなど、ユーザーが着用できるウェアラブルデバイスである。例えば、図2に示されるように、アクティビティトラッカー180は、ユーザー210の手首に装着される。また、アクティビティトラッカー180は、ユーザーが着用する衣類または衣服に結合または統合することができる。代替として、アクティビティトラッカー180は、(例えば、同じハウジング内の)ユーザーデバイス170に結合または統合することもできる。より一般的には、アクティビティトラッカー180は、制御システム110、メモリ114、呼吸器システム120、および/またはユーザーデバイス170と通信により結合されるか、物理的に(例えばハウジング内に)統合することができる。
【0074】
図1では、制御システム110およびメモリデバイス114はシステム100の別個の区別された構成要素として示されているが、一部の実装形態では、制御システム110および/またはメモリデバイス114は、ユーザーデバイス170および/または呼吸療法デバイス122に統合されている。代替として、一部の実装では、制御システム110またはその一部(例えば、プロセッサ112)は、クラウドに配置したり(例えば、サーバーに統合される、モノのインターネット(IoT)デバイスに統合される、クラウドに接続される、エッジクラウド処理などの対象となる)、1つまたは複数のサーバー(たとえば、リモートサーバー、ローカルサーバーなど)に配置したり、またはそれらを組み合わせたりすることができる。
【0075】
システム100は、上述の構成要素のすべてを含むかのように示されているが、本開示の実装によっては、含められる構成要素はこれより多かったり少なかったりする。例えば、第1の代替システムは、制御システム110、メモリデバイス114、および1つまたは複数のセンサー130のうちの少なくとも1つを含み、呼吸療法装置120を含まない。別の例として、第2の代替システムは、制御システム110、メモリデバイス114、1つまたは複数のセンサー130のうちの少なくとも1つ、およびユーザーデバイス170を含む。さらに別の例として、第3の代替システムは、制御システム110、メモリデバイス114、呼吸療法装置120、1つまたは複数のセンサー130のうちの少なくとも1つ、およびユーザーデバイス170を含む。このように、本明細書に示され、説明されるコンポーネントの任意の部分を使用したり、および/または1つまたは複数の他のコンポーネントと組み合わせたりして、さまざまなシステムを形成することができる。
【0076】
図3Aは、本開示の一部の実装による、睡眠中の人の呼吸波形を示す。横軸は時間、縦軸は呼吸流量である。パラメータ値は変化するが、この例の呼吸サイクルは次の近似値を持つ。一回の呼吸量V0.5L、吸気時間T1.6秒、最大吸気流量Qピーク0.4L/秒、呼気時間T2.4秒、ピーク呼気流量Qピーク-0.5L/秒。呼吸サイクルの合計持続時間Ttotは、約4秒である。人は通常、毎分約15回の呼吸(BPM)の速度で呼吸し、分時換気量は約7.5L/分である。呼吸サイクルの例では、TのTtotに対する比は約40%である。
【0077】
図3Bは、非レム睡眠中の個人の、選定睡眠ポリグラフチャネル(パルスオキシメトリ、流量、胸郭運動、および腹部運動)を示す。この個人は、約90秒間にわたって正常に呼吸しており、呼吸数は34回、自動PAP療法で治療され、いる。界面圧は約11cmHOである。一番上のチャネルは、パルスオキシメトリ(酸素飽和度、SpO)を示し、飽和の目盛りの範囲は垂直方向に90~99%である。この個体は、示された期間を通じて約95%の飽和状態を維持した。2番目のチャネルは定量的な呼吸気流を示し、目盛りは垂直方向に-1~+1LPSの範囲で、吸気はポジティブである。胸部と腹部の動きは、3番目と4番目のチャネルに表示される。
【0078】
図3Cは、本開示の一部の実装による、治療前の個体の睡眠ポリグラフを示す。上から下まで11の信号チャネルがあり、時間の水平スパンは6分間である。上の2つのチャネルは、頭皮の異なる位置からの脳波図(EEG)である。2番目のEEGの周期的なスパイクは、皮質の覚醒と関連する活動を表している。下の3番目のチャネルは、オトガイ下筋電図(EMG)である。覚醒前後の活動の増加は、オトガイ舌筋の漸増を表している。4番目と5番目のチャネルは、眼電図(EOG)である。6番目のチャネルは心電図(ECG)である。7番目のチャネルは、約90%から70%未満までの反復脱飽和を伴うパルスオキシメトリ(SpO)を示している。8番目のチャネルは、差圧変換器に接続された鼻カニューレを使用した呼吸気流である。25秒から35秒の反復無呼吸が、EEG覚醒およびEMG活動の増加と同時に起こる10秒から15秒の回復呼吸バーストと交互に起こる。9番目のチャンネルは胸部の動きを示し、10番目のチャンネルは腹部の動きを示す。腹部は、無呼吸の長さにわたる動きの漸増を示し、これが覚醒につながる。両方とも、回復過呼吸中の全体的な体の動きにより、覚醒中乱される。したがって、無呼吸は閉塞性であり、状態は深刻である。一番下のチャンネルは姿勢で、この例では変化を示していない。
【0079】
図3Dは、本開示の一部の実装による、個人が一連の完全閉塞性無呼吸を経験している時の流量データを示す。収録時間は約160秒。流量は、約+1L/sから約-1.5L/sの範囲である。各無呼吸は約10~15秒間続く。
【0080】
一部の実装形態では、本開示の装置は、流量センサー(例えば、図1の流量センサー134)および圧力センサー(例えば、図1の圧力センサー132)を含む。流量センサーは、治療期間にわたって流量データを生成するように構成されている。例えば、図4Aは、本発明の一部の実装による、呼吸療法装置(例えば、図1の呼吸療法装置120)のユーザー(例えば、図2のユーザー210)に関連する当該流量データの一部を示す。図4Aに示すように、約7回の全呼吸サイクル(401~407)にわたって測定された複数の流量値が、連続曲線410としてプロットされている。
【0081】
一部の実装形態では、圧力センサーは、治療期間にわたって圧力データを生成するように構成される。例えば、図4Bは、本開示の一部の実装による、CPAPシステムのユーザーに関連する圧力データを示す。図4Bに示す圧力データは、図4Aと同じ治療期間にわたって生成された。図4Bに示すように、約7回の全呼吸サイクル(401~407)にわたって測定された複数の圧力値が、連続曲線420としてプロットされている。CPAPシステムが使用されるため、図4Bの連続圧力曲線は、比較的小さい振幅を有するほぼ正弦波パターンを示す。というのも、7回の全呼吸サイクル中、CPAPシステムはあらかじめ定められた一定の空気圧を維持しようとするからである。
【0082】
図4Cを参照すると、本開示の一部の実装による、呼気圧力除去(EPR)モジュールを備えた呼吸療法装置のユーザーに関連する圧力データが示されている。図4Cに示される圧力データは、図4Aと同じ治療期間にわたって生成された。図4Cに示す通り、約7回の全呼吸サイクル(401~407)にわたって測定された複数の圧力値が、連続曲線430としてプロットされている。図4Cの連続曲線は、図4Bのものとは異なっている。なぜなら、EPRモジュール(図4Cの圧力データに使用される)は、EPRレベルに対して異なる設定を有することができるからであり、この設定は、息を吸う間の圧力レベルと息を吐く間の減圧レベルとの間の差に関係している。
【0083】
ある期間にわたる複数の流量値(例えば、図4A)およびその期間にわたる、それに対応する複数の圧力値(例えば、図4Bまたは図4C)を入力として受け取るため、本開示の、意図的リーク特性曲線はユーザーに関連する呼吸療法装置の意図的リーク特性曲線を出力することができる。本明細書で説明するように、一部の実装では、経路は、呼吸治療デバイス(例えば、呼吸治療デバイス122)、マスク(例えば、ユーザーインターフェース124)、および導管(例えば、導管126)によって形成される。導管は、第1のインピーダンスZ1(図12に示される、加湿器タブ、チューブ、およびマスクのインピーダンス)を生成し、これが次に総流量の関数Qtである圧力降下ΔPを引き起こす。ユーザーインターフェース(マスクなど)の圧力Pmはデバイスの圧力Pdから導管の圧力降下ΔPを差し引いたものである。
Pm=Pd-ΔP (1)
ΔPが圧力降下のときの導管の特性。圧力降下ΔPは総流量Qtの関数:
ΔP=Z1・Qt (2)
一部の実装形態では、マスクのベントは、第2のインピーダンスZ2(図12に示すベントインピーダンス)を生成する。マスク界面圧力Pmは、ベントインピーダンス特性Z2によりベント流量Qvに直接関連している:
Pm=Z2・Qv (3)
同様に、ベント流量Qvは、ベントアドミタンス特性Y2によりマスク界面圧力Pmに直接関連している:
Y2=1/Z2 (4)
Qv=Y2・Pm (5)
式(1)と式(5)を組み合わせると、ベント流量Qvは次のように決定できる。
Qv=Y2・(Pd-ΔP) (6)
未知であり、予測不能に変化する意図しないリークは、第3のインピーダンスZ3(図12に示されるようなリークインピーダンス)を生成する。さらに、一部の実装形態では、第4のインピーダンス(図12に示される気道抵抗および肺コンプライアンス)に、(i)患者の気道抵抗Z4、(ii)患者の肺コンプライアンスClung、および/または(iii)変数圧力源Plungが含まれ、それぞれユーザーの呼吸回路の特性を表す。したがって、総流量Qtは、ベント流量Qv、漏れ流量Qleak、および呼吸流量Qrの合計に等しい:
Qt=Qv+Qleak+Qr (7)
一部の実装では、肺に出入りする平均呼吸流量はゼロでなければならないので、複数の呼吸サイクル(例えば、呼吸サイクル)にわたって呼吸流量Qrは平均してゼロになる。波型ダッシュ(~)を使用して、複数の呼吸サイクルの平均値を示す。
r=0 (8)
このように、複数の呼吸サイクル(例えば、呼吸)にわたって各流量の平均を取ると、平均漏れ流量は次のように概算することができる。
leak=Q-Qv (9)
平均化のプロセスは、複数の呼吸サイクルを十分含められる長さの時定数を持つローパスフィルタリングによって実装することができる。時定数は、5秒、10秒、30秒、1分など、任意の適切な期間にすることができる。しかし、それ以外の時間間隔も熟慮する。
【0084】
式(1)、(2)、および(3)を組み合わせると、デバイスの平均圧力Pdを次のように記述できる。
d=Z1・Qt+Z2・Qv (10)
リークフローがない場合(例:Qleak=0)、平均総流量Qtは平均ベント流量Qvに等しい。
そこで、式(10)は、呼吸療法用空気回路を特徴づける、平均総流量Qtと平均デバイス圧力Pdの関係を反映させるように記述することができる。
d=Z1・Qt+Z2・Qt (11)
d=(Z1+Z2)・Qt (12)
d=(Z1+Z2)・Qv (13)
システムの意図的リーク特性曲線を定義する関係は、ベントインピーダンス特性Z2および導管の圧力降下インピーダンス特性Z1によって決定される。リークの存在下では、Qt>Qvとなる。リークがなければ、Qt=Qvとなる。
【0085】
ここで図5Aを参照すると、平均総流量Qt(リットル/分)対平均デバイス圧力Pd(cmHO)が描かれている。図5Aは、平均デバイス圧力および平均総流量を表すプロットされたデカルト座標を示す。毎分リットル(「LPM」、L/sの60倍に等しい)として表示されている。各デカルト座標には、X値とY値が含まれる。ここに示す通り、5つのデカルト座標510、512、514、516、および518が、治療期間にわたって散布図500aにプロットされる。各デカルト座標は、(Qt,Pd)として表すこともできる。
【0086】
例えば、第1のデカルト座標512は、毎分約20リットルである第1のX値と、約6cmHOである第1のY値とを有する。したがって、第1のデカルト座標512は(20,6)として表すことができる。第1のX値は、少なくとも第1の期間にわたって生成された第1の複数の流量値に基づいて見積および/または計算することができる。一部の実装形態では、第1のX値は、第1の期間にわたって生成された第1の複数の流量値の平均流量値である。
【0087】
一部の実装形態では、第1の期間は、5秒、10秒、30秒、1分、2分などのあらかじめ決められた時間間隔である。一部の実装形態では、第1の期間は、1回の呼吸サイクル、2回の呼吸サイクル、5回の呼吸サイクル、10回の呼吸サイクルなど、1つまたは複数の完全な呼吸サイクルを含む。したがって、一部の実装形態では、第1のX値は、7回の呼吸サイクルなどの1回または複数の呼吸サイクルにわたって生成された第1の複数の流量値の平均流量値である(図4A)。
【0088】
同様に、第1のY値は、少なくとも第1の期間にわたって生成された第1の複数の圧力値に少なくとも基づいて、を見積および/または計算することができる。第1の複数の圧力値のそれぞれは、第1の複数の流量値のそれぞれに対応する。例えば、一部の実装では、第1の複数の流量値のそれぞれは、各自対応するタイムスタンプを有する(例えば、図4A)。対応するタイムスタンプを使用して、第1の複数の圧力値のそれぞれを識別することができる(例えば、図4Bまたは図4C)。したがって、一部の実装形態では、第1のY値は、7回の呼吸サイクルなどの1つまたは複数の呼吸サイクルにわたって生成された第1の複数の圧力値の平均圧力値である(たとえば、図4Bまたは図4C)。
【0089】
第2のデカルト座標516は、約28リットル/分である第2のX値と、約10cmHOである第2のY値とを有する。したがって、第2デカルト座標516は、(28,10)として表すことができる。第2のデカルト座標516の第2のX値および第2のY値は、第1のデカルト座標512の第1のX値および第1のY値と同じ方法または類似の方法で見積および/または計算することができる。
【0090】
図5Bを参照すると、第1のデカルト座標512および第2のデカルト座標516に少なくともある程度基づいて、意図的リーク特性曲線550をプロット500bに適合させることができる。たとえば、一部の実装では、意図的リーク特性曲線550は、二次方程式などの多項式を利用して概算することができる。
=K・Q +k・Q (14)
この二次方程式、2つの非ゼロ定数(または係数)kとkの意図的リーク特性曲線のパラメータは、ベントインピーダンス特性Z1および空気回路の圧力降下インピーダンス特性Z2の直列連結を特徴付ける。一部の実装形態では、多項式は、所与の圧力に対する意図的なリークの対応する流量を提供することによって、システムの意図的なリーク(例えば、システムの通気流量)を定義する。
【0091】
少なくとも2つのデカルト座標がわかっている場合、非ゼロ定数kとkを解くことができます。たとえば、最初のデカルト座標512(20,6)と2番目のデカルト座標516(28,10)を使用して、方程式(8)を解き、ざっと次のように書き直すことができます。
=1/140・Q +11/70・Q (15)
つまり、第1のデカルト座標512と第2のデカルト座標516を通過する2次曲線では、非ゼロ定数kは1/140(約0.00714)、非ゼロ定数kは11/70(約0.157)である。したがって、一部の実装形態では、意図的リーク特性曲線550は、式(15)のように見積および/または定義することができる。
【0092】
一部の実装形態では、非ゼロ定数は、(i)圧力値の単位、(ii)流量値の単位、(iii)呼吸療法装置のベント、(iv)呼吸療法装置のマスク、(v)呼吸療法装置用の加湿器タブ、(vi)呼吸療法装置用の導管、(vii)計算倍率、または(viii)それらの任意の組み合わせに依存する。非ゼロ定数は、マスクの種類、マスクの製造元、および/またはマスクのバッチによっても異なる場合がある。たとえば、cmHOで測定された圧力値とL/minで測定された流量値では、呼吸療法装置の特定のベントに関して、非ゼロ定数kおよびkはそれぞれ約1/154、約1/7となる。
【0093】
一部の実装形態では、多項式は、3つの非ゼロ定数、4つの非ゼロ定数、5つの非ゼロ定数など、3つ以上の非ゼロ定数を有する場合がある。たとえば、多項式は次のように表すことがある。
=K・Q +k・Q +k (16)
一部の実装では、多項式は、3、4、5などの累乗を含む場合がある。たとえば、多項式は次のように表すことがある。
=K・Q +k・Q +k・Q +k (17)
一部の実装では、圧力値が高いシステムで意図しないリークが発生する可能性が高い傾向がある。より適合した意図的リーク特性曲線を得るために、比較的低い値のデカルト座標のみを使用して多項方程式を解く。例えば、一部の実装では、Y値が所定の圧力閾値を超えないデカルト座標が使用される。所定の圧力閾値は、約10cmHO未満、約9cmHO未満、約8cmHO未満、約7cmHO未満、約6cmHO未満、約5cmHO未満、約4cmHO未満、約3cmHO未満、または約2cmHO未満など、意図しないリークの可能性が低いことに関連する場合がある。
【0094】
一例として、本開示の一部の実装によれば、呼吸療法装置の意図的リーク特性曲線を検出する方法(700)の流れ図が図7に示されている。方法700は、本明細書で開示されるシステムのいずれかを使用して実施することができる。方法700のステップ702で、呼吸治療デバイスの圧力発生器が加圧空気の流れを発生させ、次いで、第1の期間(例えば、最初の1つまたは複数の睡眠サイクル)の間、ユーザーの気道に供給される。加圧空気の流れは、第1の公称圧力値を有する。一部の実装形態では、第1の公称圧力値は、少なくともユーザーの呼吸を考慮するために1つまたは複数の動作パラメータを変更することによって、圧力発生器の動作中に圧力発生器が維持しようとする圧力である。そのような実装形態の一部では、1つまたは複数の動作パラメータは、圧力発生器のモータの毎分回転数、モータに供給される電力、またはそれらの組み合わせを含む。
【0095】
本明細書で説明するように、より適合した意図的リーク特性曲線を得るために、第1の公称圧力値は、所定の圧力閾値を超えない値とすることができる。例えば、第1公称圧力値は、1.5cmHO、2cmHO、2.5cmHO、3cmHO、3.5cmHO、4cmHO、4.5cmHO、5cmHO、5.5cmHO、6cmHO、6.5cmHO、7cmHO、7.5cmHOなど、約1cmHOから約8cmHOの間であることができる。
【0096】
圧力発生器が第1の公称圧力値を維持しようとする一方で、方法700のステップ704では、第1の期間の第1の複数の流量値が、例えば流量センサー134を使用して生成される。さらに、方法700のステップ706では、例えば圧力センサー132を使用して、第1の期間の第1の複数の圧力値が生成される。方法700のステップ708で、本明細書で説明するように、第1の複数の流量値の少なくとも1つと第1の複数の圧力値の少なくとも1つとに基づいて、第1のデカルト座標が決定される。例えば、一部の実装形態では、第1のデカルト座標は、第1の流量値および第1の圧力値に少なくとある程度基づいて決定される。一部の実装形態では、第1のデカルト座標は、第1の複数の流量値の平均および第1の複数の圧力値の平均に少なくともある程度基づいて決定される。代替として、一部の実装形態では、第1の複数の圧力値を使用して第1のY値を見積および/または計算する代わりに、第1の公称圧力値が第1のY値として使用される。
【0097】
第1のデカルト座標が決定されると、方法700のステップ710で、圧力発生器は加圧空気の流れを第2の期間(例えば、第2の1回またはそれ以上の呼吸サイクル)の間、第2の公称圧力値に調整する。一部の実装形態では、加圧空気の供給流量は、第1の公称圧力値よりも大きい第2の公称圧力値まで増加される。例えば、第2の公称圧力値は、0.1cmHO、0.2cmHO、0.25cmHO、0.5cmH、O、0.75cmHO、または1cmHOなど、第1の公称圧力値よりも大きい約0.1cmHOから約1cmHOの間の値とすることができる。さらに、または代替として、第2の公称圧力値は、第1の公称圧力値よりも大きい約0.1%から約5%で、例として、0.1%、0.15%、0.2%、0.25%、0.3%、0.35%、0.4%、0.45%または0.5%などで、最初の公称圧力値より大きい。
【0098】
一部の実装形態では、第1の公称圧力値と第2の公称圧力値との間の変化は、第1の公称圧力値と第2の公称圧力値の両方が、ユーザーの意図しないリークをほとんど引き起こさないほど十分低い限り、任意の適切な値とすることができる。一部の実装では、第1公称圧力値と第2公称圧力値との間の変化は小さい(例えば、約0.05cmHOから約0.1cmHOの間)。しかしながら、そのような実装の一部では、変化が小さすぎる(例えば、<0.05cmHO)と、結果として得られるパラメータ計算(例えば、意図的リーク特性曲線に対する非ゼロ定数の見積)が不正確になる可能性がある。
【0099】
圧力発生器が第2の公称圧力値を維持しようとする一方で、方法700のステップ712で、第2の期間の第2の複数の流量値が生成される。さらに、方法700のステップ714では、第2の期間の第2の複数の圧力値が生成される。方法700のステップ716では、本明細書で説明するように、第2の複数の流量値の少なくとも1つと第2の複数の圧力値の少なくとも1つとに基づいて、第2のデカルト座標が決定される。代替として、一部の実装では、第2の複数の圧力値を使用して第2のY値を見積および/または計算する代わりに、第2の公称圧力値が第2のY値として使用される。
【0100】
同様に、一部の実装形態では、圧力発生器が加圧空気の流れを調整している間に、第3、第4、第5、またはそれ以上のデカルト座標を決定することができる。2つ以上のデカルト座標がわかるため、方法700のステップ718で、本明細書に開示する方法を使用して、呼吸療法装置に関連する意図的リーク特性曲線を決定することができる。
【0101】
ここで図6を参照すると、ユーザーに関連する呼吸療法装置の意図的リーク特性曲線650がプロット600上に示されている。意図的リーク特性曲線650は、平均デバイス圧力Pdの各値を平均総流量Qvにデバイス圧力のその値で関連付ける。例えばデカルト座標622など、意図的リーク特性曲線650の右側への偏位は、意図しないリークを示唆しており、所与のデバイス圧力における流量の増加として示している。
【0102】
呼吸療法の期間中、デバイスの平均圧力Pdが変化し、意図しない漏れがない場合、ポイント(Qt,Pd)は意図的リーク特性曲線650に従って上下に移動する。ただし、意図しない漏れがあると、ポイント(Qt,Pd)が一定期間、意図的リーク特性曲線650の右側に移動する原因となる。意図しないリークが解決すると、ポイント(Qt,Pd)は意図的リーク特性曲線650に戻る。したがって、意図しない漏れは、意図的リーク特性曲線650の右側への偏位としてプロット600に現れることがある。
【0103】
たとえば、ユーザーが意図しないリークを経験するポイント(デカルト座標622として表示)では、Qtは平均デバイス圧力Pdのその値において、平均ベントフローQvより大きい。所与の平均デバイス圧力Pdにおける実際Qtと平均ベント流量Qvの違いは流量オフセットdであり、図6に示すように毎分約9リットルである。一方、Qtが平均ベント流量Qvより少ないポイント(Qt,Pd)など、意図的リーク特性曲線650の左への偏位は、通気口の閉塞を示している可能性がある(たとえば、ユーザーが寝ている枕への相対的な頭の動きの結果として、枕による通気口の閉塞を引き起こす)。
【0104】
本明細書で説明するように、呼吸療法装置は通常、呼吸療法デバイス、導管、およびユーザーインターフェースなどの構成要素を含む。様々な異なる形態のユーザーインターフェースは、鼻ピロー、鼻プロング、鼻マスク、鼻および口(口鼻)マスク、またはフルフェイスマスクなど、所与の呼吸療法デバイスと共に使用することができる。さらに、異なる長さおよび直径の導管を使用することができる。ユーザーインターフェースに提供する治療をより制御されたものにするために、ユーザーインターフェース内の圧力、ベント流量、および意図しない流量などの治療パラメータを見積もることが有利である。治療パラメータの見積りを使用する装置では、ユーザーが使用するコンポーネントのタイプを知ることで、治療パラメータの見積の精度を高め、したがって治療の有効性を高めることができる。
【0105】
コンポーネントの種類を知るために、一部の呼吸療法デバイスにはメニューシステムが含まれており、ユーザーは、使用するユーザーインターフェース(ブランド、メーカー、フォーム、モデル、シリアル番号、マスク種類、サイズなど)などシステムコンポーネントの種類を入力および/または選択することができる。コンポーネントの種類がユーザーによって入力および/または選択されると、呼吸治療デバイスは、選択したコンポーネントと最もよく調和する流れ発生器の適切な動作パラメータを選択することができ、治療中に治療パラメータをより正確に監視することができる。しかし、場合によっては、ユーザーがコンポーネントの種類を正しく選択しないか、またはまったく選択せず、呼吸療法デバイスをエラーのまま、または使用中のコンポーネントの種類について知らないままにすることがある。
【0106】
したがって、一部の実装では、本明細書で説明する意図的なリーク特性アルゴリズムを使用して、ユーザーインターフェースを識別することができる。例えば、導管の圧力降下特性ΔPがわかっていると(例えば、導管を構成する導管のタイプがわかるため、または事前の較正操作により)、意図的リーク特性曲線のパラメータは、ベントを効果的に特徴付けることができ、それによりユーザーインターフェースのタイプを示唆することができる。
【0107】
一部の実装形態では、既知の導管と一緒に使用する場合、ユーザーインターフェースの識別は、計算されたパラメータkおよびkをわかっているユーザーインターフェースのタイプに関連する、ペア(k、k)を持つ配列またはデータベースなどのデータ構造と比較することによって行うことがある。計算されたパラメータkおよびkに最もよく一致する、保存されたペア(k、k)に関連するユーザーインターフェースのタイプが、ユーザーインターフェースのタイプとして採用されることがある。
【0108】
代替として、結果として得られるマスクの意図的リーク特性曲線に二次方程式を当てはめる前に、圧力損失ΔP=Z1・Qtを平均デバイス圧力Pdの各値から差し引くことができます。次いで、得られたパラメータkおよびkを、既知のユーザーインターフェースタイプに関連するペア(k、k)のデータ構造と比較して、ユーザーインターフェースを識別したり、または特定のユーザーインターフェースの使用に関連する呼吸療法デバイスの運転のためのデータにアクセスする。
【0109】
したがって、検出されたパラメータは、一定期間にわたって予想されるパラメータと比較し、縦方向のデータと断面データを収集することができます。一部の実装では、システムは、マスクのバッチを理解することによって生産変動を決定し、これを生産品質の改善に活用できる場合があります。
【0110】
一部の実装では、システムは経時変化をチェックし、マスクシール自体が経時的に劣化しているかどうかを把握し(システムは、RFIDタグおよび/またはユーザー入力に基づいて特定のマスクが使用されている期間を判断できるため)、また意図しない漏れを引き起こしている条件は何かを把握することができる(例:位置に依存しているか、ヘッドギアを締めたり緩めたりする推奨に基づいて変更されたか、シールは予測劣化サイクルに従っているか(定期的な洗浄が前提)、摩耗の加速を表しているかなど)。
【0111】
一部の実装形態では、使用するユーザーインターフェースは、ユーザー入力、ユーザーインターフェースの光学的検出、RFIDによるユーザーインターフェースの検出、電子機器(例えば、ユーザーインターフェース検出コンポーネント)を使用したユーザーインターフェースの検出、電子機器(例えば、呼吸療法デバイスの制御システムに接続する電子接続、電子チップ、その他)を有する加熱チューブのコネクタを介した導管の検出、またはそれらの任意の組み合わせにより決定することができる。したがって、このタイプの正しく機能する新しいマスクを説明する初期曲線を選択することができる。初期曲線は、呼吸療法デバイス、動作モード、動作パラメータ、EPRやバイレベルなどのその他の設定、ユーザーインターフェース(ブランド、メーカー、フォーム、モデル、シリアル番号、マスク種類、サイズなど)、またはそれらの任意の組み合わせに固有である。
【0112】
一部の実装では、時間の経過とともに、システムは、ルックアップテーブルやクラウドシステムなどから、このタイプの部分的に摩耗した、または完全に摩耗したマスクの予想される動作のモデルを初期曲線として選択することもできる。これらの予想されるモデルは、さまざまなレベルの通気口の閉塞、導管の閉塞(頭の周りの柔らかいチューブを通って空気が流れるマスクなど)、およびさまざまなレベルのシールの摩耗、ヘッドギアの伸びなどを表す。したがって、適切な初期モデルを選択することにより、システムは、睡眠セッションを通じて、および/または複数の睡眠セッションにわたって、意図的な漏れおよび意図しない漏れを検出できる。
【0113】
一部の実装形態では、システムは、少ない意図的な漏れ(たとえば、予想される意図的な漏れよりも低い)、ベント閉塞の早期兆候(たとえば、過剰な湿気、老化など)、および/またはユーザーの不適切な睡眠位置(ベントの閉塞など)を検出できる場合がある。一部のそのような実装では、プロンプトをユーザーに送信して、(i)これらの問題をユーザーに警告する、(ii)マスクおよび/またはベントの交換を推奨する、または(iii)その両方を行うことができる。
【0114】
一部の実装では、システムはベッドの枕が呼気ポートをふさいでいるのを検出できる場合がある。そのような実装の一部では、寝具の変更、マスク構成の変更、マスクタイプの変更、またはそれらの任意の組み合わせを提案するプロンプトをユーザーに送信することができる。
【0115】
さらに、一部の実装では、意図しない漏れが加湿器のタブ/シールの周りにも発生する可能性がある。これは、甲高い音(聞こえるもので、ユーザーのベッドパートナーなど、比較的高い周波数の聴力を持つ一部の人々にとっては不快になる可能性がある)として現れる場合があり、ベントフローに関連しない「意図的な漏れ」の別の原因となる可能性もある。シールの意図しない漏れとの混同を避けるために、システムは音響音を処理して、そのような加湿器タブの漏れの兆候が存在するかどうかを確認することもある。システムは、ユーザーにタブの再設置を推奨する場合がある。この漏れの原因を分離することにより、漏れのタイプ(および推奨される解決策)のより正確な区別をユーザーおよび/または医療専門家に提供できる。
【0116】
リーク報告のモデルがより堅固で正確であることにより、より多くのユーザーがユーザーとして残ることになる。つまり、リーク報告が矛盾している、および/または不正確であると、ユーザーは使用を停止するかもしれない。一部の実装形態では、本開示は、口漏れが発生しているかどうかを判断するためのシステムおよび方法を提供することができ、これにより、ユーザーが鼻マスクおよびその結果生じる口漏れの問題から治療をやめる前に、フルフェイスマスクをユーザーに推奨することが可能になる。
【0117】
一般に、呼吸装置の使用を処方されたユーザーは、睡眠中に呼吸装置120を使用しない場合と比較して、呼吸装置120を使用した後、より質の高い睡眠を経験し、日中の疲労が少ない傾向がある(特に、ユーザーが睡眠時無呼吸またはその他の睡眠関連障害に苦しんでいる場合)。しかしながら、多くのユーザーは、ユーザーインターフェース124が不快または扱いにくいため、または他の副作用(例えば、口渇、唇乾燥、喉乾燥、不快感など)のために、処方された使用法に従わない。ユーザーは、利点(例えば、日中の疲労が少ない)を感じていない場合、処方どおりに呼吸器系120を使用しない(または使用を完全に中止する)傾向が高くなる。
【0118】
ただし、副作用および/または睡眠の質の改善の欠如は、治療に対する有効性の欠如よりむしろ、口の漏れによるものである可能性がある。したがって、ユーザーの口漏れ状態を判定し、口漏れ状態についてユーザーと話し合い、ユーザーがより質の高い睡眠を得るのを支援し、ユーザーが呼吸装置120の使用をメリットがないとして中止または削減しないようにすることが有益である。
【0119】
一部の実装形態では、呼吸療法デバイスのマスクタイプ設定を選択する必要はない。本開示は、意図的リーク特性曲線を推定し、推定された意図的リーク特性曲線を特定のマスクタイプの既存のデータと比較することによって(例えば、ルックアップテーブルから、同じタイプのマスクを使う他のユーザーから、同じユーザーに関連する以前のデータから、またはこれらの組合せ)、マスクタイプを検出する自動システムを提供する。
【0120】
本開示の一部の実装によれば、代替または追加の方法(たとえば、図8の方法800)を使用して、呼吸療法装置(たとえば、図1の呼吸療法装置120)の意図的リーク特性曲線を決定することができる。これらの方法は、マスク(例えば、ユーザーインターフェース124)のインピーダンス決定および/またはチューブ(例えば、導管126)のインピーダンス決定を改善し、これは、一部の実装において、意図的リーク特性曲線によって特徴付けることができる。改善されたインピーダンス決定の利点には、(i)リーク見積精度の改善、(ii)マスクリークの過小報告の解決、(iii)マスクの識別を支援するためのインピーダンス地物についての入力の提供、(iv)口漏れの推定および/または決定を支援する拡散損失機能入力の提供、(v)空気回路信号および/またはインピーダンスの活用がある。
【0121】
一部の実装形態では、本明細書で開示される方法は、CPAP気流回路モデルを利用する。一部の実装形態では、本明細書で開示される方法は、呼吸同期に少なくともある程度基づいている。これは、意図的リーク特性曲線を決定するときに、ユーザーの呼吸の交絡因子を低減および/または除去する。そのような実装の一部では、本明細書で開示されるインピーダンス決定方法は交絡呼吸信号を除去し、より精密および/または正確なインピーダンス決定をもたらす。
【0122】
図8を参照すると、本開示の一部の実装による、呼吸療法装置の意図的リーク特性曲線を決定するための方法800が開示されている。一部の実装形態では、方法800の1つまたは複数のステップは、方法700の1つまたは複数のステップの一部に類似している、または代替であると言える。他の一部の実装では、方法800の1つまたは複数のステップは、方法700の1つまたは複数のステップを含無ことがある。
【0123】
本明細書で開示されるとおり、一部の実装では、連続時間フィルタ(またはサンプリング)は、「息を吸う、および/または息を吐く、の開始」の息ごとのサンプリングに置き換えられている。インピーダンスの決定および/または測定に対するこのアプローチのいくつかの利点として、(i)周波数成分とは別の、呼吸信号がデフォルトで正確に除去される、(ii)意図的な漏れ成分が正確に保持される、(iii)インピーダンスフローおよび圧力信号がダウンサンプリングされ、計算の複雑さが軽減される、(iv)呼吸信号シグネチャが、(a)漏れのしきい値、ブレスバイブレスの計算のサポート、(b)交絡する漏れの問題への対処(たとえば、口漏れ等意図しない漏れ)の目的で使用できる、(v)既存の呼吸(例えば、CPAP)システムパラメータを利用することができる、(vi)ブレスバイブレス法は、バイレベルフローフィルタリングにさらに有利である。
【0124】
ステップ810において、呼吸療法装置(例えば、呼吸療法装置120)のユーザー(例えば、図2のユーザー210)の気道に向けられた加圧空気に関連する複数の流量値が受信される。ステップ812で、ユーザーの気道に向けられた加圧空気に関連する複数の圧力値が受信される。一部の実装形態では、複数の圧力値の1つが、複数の流量値の1つに対応する。
【0125】
ステップ820で、ユーザーの最初の呼吸に関連する第1の時間と、ユーザーの第2の呼吸に関連する第2の時間が識別される。一部の実装形態では、第1の時間および第2の時間は、複数の流量値の少なくとも一部の複数の流量値に対応する複数の流容量値を分析することによって識別することができる。一部の実装形態では、複数の対応する流容量値は、複数の流量値の少なくとも一部の時間積分をとることによって決定される。ユーザーの最初の呼吸に関連する最初の時間を識別する例示的な方法が、図9に示されている。2回目も同じまたは類似の方法で識別できる。
【0126】
ステップ830において、複数の流量値は、識別された第1の時間および識別された第2の時間に少なくともある程度基づいてフィルタリングされる。次いで、フィルタリングは、複数の流量値のサブセットを生成する。一部の実装形態では、複数の流量値のサブセットは、受信した複数の流量値の1%以下を含む場合がある。加えて、または代替として、一部の実装形態では、複数の流量値のサブセットは、(i)最初の呼吸の1、2、3、4、または5つの流量値、および(ii)2回目の呼吸の1、2、3、4、または5つの流量値を含む。例えば、複数の流量値のサブセットは、(i)最初の呼吸の吸入の開始付近での1つ、2つ、3つ、4つ、または5つの流量値、および(ii)2番目の呼吸の吸入の開始付近での1つ、2つ、3つ、4つまたは5つの流量値を含む。
【0127】
一部の実装形態では、複数の流量値がローパスフィルタでフィルタリングされ、純粋にDCである(たとえば、ユーザーの呼吸を含まない、および/またはその影響を受けない)複数の流量値のサブセットが生成される。DC値は平均値であり得る。ローパスフィルタは高い周波数を除去し、低い周波数を残すため、平均値となる。例えば、一部の実装形態では、ローパスフィルタでは、最初に流容量値を分析して、ユーザーの最初の呼吸に関連する最初の時間を特定し、次にユーザーの2番目の呼吸に関連する2番目の時間を特定する(ステップ820)。しかしながら、開示された方法では、ユーザーの最初の呼吸に関連する第1の時間と、ユーザーの第2の呼吸に関連する第2の時間を特定するための任意の適切なフィルタリングを使用することがある。
【0128】
一部の実装形態では、複数の流量値のフィルタリング(ステップ830)は、(i)ユーザーの呼吸によって影響を受ける流量値、(ii)ユーザーの口漏れを示唆する流量値、(iii)不規則な呼吸に関連する流量値(たとえば、息を吸う、息を吐く、または呼吸全体の時間が長すぎる、または短すぎる)、または(iv)これらの任意の組み合わせを除去することを含むか、追加的または代替的に含む。
【0129】
ステップ840では、呼吸療法装置の意図的リーク特性曲線が、複数の流量値およびそれらに対応する圧力値の少なくとも2つのサブセットを使用して決定される。一部の実装形態では、ステップ840は、842、844、および846の1つまたは複数のステップを含む。ステップ842で、第1のX値および第1のY値を有する第1のデカルト座標が生成される。第1のX値は、第1の時間(ステップ820で識別される)に対応する第1の流量値である。第1のY値は、1回目第1の時間に対応する第1の圧力値である。ステップ844で、第2のX値および第2のY値を有する第2のデカルト座標が生成される。第2のX値は、第2の時間(ステップ820で識別される)に対応する第2の流量値である。第2のY値は、第2の時間に対応する第2の圧力値である。ステップ846で、生成された第1デカルト座標および生成された第2デカルト座標に少なくとも部分的に基づいて、意図的リーク特性曲線が決定される。例えば、一部の実装形態では、図5A~5Bおよび/または図6に参照して提示および説明するシステムおよび方法は、ステップ840で利用することができる。
【0130】
一部の実装では、意図的なリーク特性曲線は次の式を使用して計算される。
【0131】
Z=P/Q=kQ+k (12)
【0132】
この時、Zは意図的なリーク特性曲線(例えば、インピーダンスを示す)Pは複数の圧力値のうちの圧力値、Qは複数の流量値のうちの流量値、kは最初の定数、kは2番目の定数とする。そのような実装の一部では、最初の定数kは乱流に、2番目の定数kは層流が関係している可能性がある。式(12)は、線形方程式を使用してインピーダンスを計算できるので好都合である。
【0133】
一部の実施形態では、方法800はさらに、ディフューザ損失(ステップ850)および意図しない漏れ(ステップ860)の出力を含む。ディフューザ損失出力(ステップ850)は、マスク特定(例えば、呼吸療法装置に関連するユーザーインターフェースを特定する)、マスク自動設定(例えば、ユーザーインターフェースに関連する1つまたは複数の設定を調整する)、および/または口漏れ検出(例えば、呼吸療法装置のユーザーに関連する口漏れを決定する)等の特徴を含むことがある。意図しない漏れ出力(ステップ860)は、口漏れ検出および/またはユーザー漏れ補正などの特徴を含むことがある。
【0134】
図9を参照すると、本開示の一部の実装による、呼吸療法下の最初の呼吸中の流量データ(「Q」)および流容量データ(「V」)が示されている。プロット900は、呼吸療法装置のユーザーの最初の呼吸980を示している。一部の実装形態では、ユーザーの各呼吸は、息を吸う部分と息を吐く部分を含む。示されるように、第1の呼吸980は、息を吸う部分982および息を吐く部分984を含む。プロット900の上部セクション902は、最初の呼吸980におけるユーザーに関連する流量データ910(破線)を示す。プロット900の下部セクション904は、対応する流容量データ950(破線)を示す。一部の実施形態では、対応する流容量データ950は、流量データ910の時間積分をとることによって決定することができる。
【0135】
流容量データを使用して、ユーザーの最初の呼吸に関連する最初の時間と、ユーザーの2番目の呼吸に関連する2番目の時間を特定することができる(たとえば、方法800のステップ820)。そしてこれを意図的リーク特性曲線の決定のために利用できる(例えば、方法800のステップ840)。一部の実施形態では、第1の時間は第1の呼吸の息を吸う部分内にあり、第2の時間は第2の呼吸の息を吸う部分内にある。
【0136】
一部の実装形態では、第1の時間はユーザーの最初の呼吸が始まったときであり、第2の時間はユーザーの2回目の呼吸が始まったときとする。追加または代替として、一部の実装形態では、第1の時間は、最初の呼吸の息を吸い始める辺り、第2の時間は、2番目の呼吸の息を吸い始める辺りである。図9に示すこの例では、第1の時間は、流量データ910の流量912および流容量データ950の流容量952に対応している。流容量952は、最初の呼吸980中の最小流容量値である。
【0137】
そのような実装形態の一部では、第1の呼吸980の最小流容量値(例えば、流容量952)は、第1の呼吸980の開始時および/または第1の呼吸980の息を吸う部分982の開始時に対応する。したがって、第1の時間は、流容量データ950を分析して最小流容量値を見つけることによって特定することができる。第1の呼吸980の最小流容量値(例えば、流容量952)は流量912にも対応するが、これは吸気の開始時の流量である(Q=「ゼロ」流量が図9に水平線906として示されている)。
【0138】
一部の実装形態では、第1の時間は第1の呼吸の息を吐く部分内にあり、第2の時間は第2の呼吸の息を吐く部分内にある。追加または代替として、一部の実装形態では、第1の時間は最初の呼吸の息を吐く部分の開始時辺りであり、第2の時間は2回目の呼吸の息を吐く部分の開始時辺りである。図9に示すこの例では、第1の時間は、流量データ910の流量914および流容量データ950の流容量954に対応している。流容量954は、最初の呼吸980中の最大流容量値である。
【0139】
そのような実装形態の一部では、第1の呼吸980の最大流容量値(例えば、流容量954)は、第1の呼吸980の息を吐く部分984の開始時に対応する。したがって、第1の
時間は、流容量データ950を分析して最大流容量値を見つけることによって特定することができる。第1の呼吸980の最大流容量値(例えば、流容量954)は、流量914にも対応し、これは「ゼロ」流量(すなわち、ユーザーの呼吸サイクルにおける息を吸って息を吐く間のある時点での流量)である。
【0140】
流量がゼロの時間を特定することは、交絡呼吸信号が除外されるため(つまり、流量がゼロではない場合)、好都合な場合がある。しかしながら、ユーザーが意図しない漏れ(例えば、口からの漏れ)を経験している例では、呼吸の終わりに流量がゼロに戻らないことがある。この図9の例では、最初の呼吸980の終わりに、流量916は「ゼロ」流量に戻っていない。対照的に、ユーザーが意図しない漏れを経験していない場合、流量データ930は、最終流容量が「ゼロ」に戻ることを示す。
【0141】
第1の呼吸980の意図しない漏れの存在および/または量を決定するために、第1の呼吸980の終了時に関連する最終流容量956を、第1の呼吸980の開始時に関連する流容量952と比較することによって、流容量データを分析することができる。この比較に少なくともある程度基づいて、ユーザーが最初の呼吸980中に意図しない漏れ(例えば、ユーザーの口からの空気漏れを示す口漏れ)を経験しているかどうかを決定することができる。終了流容量956が開始流容量952よりも大きければ、ユーザーが最初の呼吸980中に意図しない漏れを経験していることを示している。ユーザーが最初の呼吸980中に意図しない漏れを経験しているという決定に対し、呼吸療法装置の意図的リーク特性曲線を決定する際に最初の呼吸980を除外することができる(図8のステップ840)。
【0142】
追加または代替として、一部の実装形態では、流容量データを分析することによって、最初の呼吸980中の意図しない漏れの量を決定することができる。この図の例では、図9の例では、流容量データ950と参照データ970との間の面積差972は、最初の呼吸980中の意図しない漏れの量を示している。息を吸う部分982に関しては、参照データ970は流容量データ950と一致するため、ユーザーは息を吸う部分982中に意図しない漏れを経験しない可能性が高い。息を吐く部分984については、参照データ970は、最大流容量954から最終流容量956までの直線としてプロットする。面積差972は、参照データ970における流容量値の第2の時間積分から流容量データ950における流容量値の第1の時間積分を差し引くことによって計算することができる。
【0143】
方法800(図8)の1つまたは複数のステップを実施する別の例として、図10に、本開示の一部の実装による、呼吸療法下での2回の呼吸中の流量データおよび流容量データを示す。プロット1000の上部は、流量対時間を示す。プロット1000の下部は、対応する流容量対時間を示している。流容量データ1050は、流量データ1010の時間積分をとることによって計算することができる。流量データ1010および流容量データ1050は、2回の呼吸にわたってプロットされる。第1の呼吸は、第1の息を吸う部分1082および第1の息を吐く部分1084を含む。第2の呼吸は、第2の息を吸う部分1086および第2の息を吐く部分1088を含む。
【0144】
図10のこの例では、流量1012と流容量1052は第1の時間に相当する。流量1016と流容量1056は第2の時間に相当する。したがって、第1の時間は、ユーザーの最初の呼吸が始まったときであり、第2の時間は、ユーザーの第2の呼吸が始まったときである。加えて、または代替として、第1の時間は第1の呼吸の息を吸う部分1082の開始時辺りであり、第2の時間は第2の呼吸の息を吸う部分1086の開始時辺りである。さらに追加的または代替的に、第1の時間は第1呼吸の最小流容量値に対応し、第2の時間は第2呼吸の最小流容量値に対応する。
【0145】
図11を参照すると、散布図1100(圧力対流量)に当てはめられた意図的リーク特
性曲線が示されており、本書で開示する方法の1つまたは複数のステップ、方法800のステップ840などを実装することがある。X軸は流量値(「Q」、10秒あたりのリットル)を表し、Y軸は圧力値(「P」、cmHO)を表す。呼吸ごとに、第1のX値と第1のY値を持つデカルト座標が、散布点1100内の点としてプロットされる。第1デカルト座標の第1のX値は、第1時間(方法800のステップ820で識別される)に対応する第1流量値である。第1のデカルト座標の第1のY値は、第1の時間(方法800のステップ820で識別される)に対応する第1の圧力値である。後続のデカルト座標は、最初のデカルト座標と同じまたは同様の方法でプロットされる。次に、意図的なリーク特性曲線1020を散布点1100に当てはめる。
【0146】
一部の実装形態では、散乱点1100のいくつかのデカルト座標は、意図的リーク特性曲線1020のフィッティング中に除外される。例えば、上で詳しく開示したように、ユーザーが意図しない漏れを経験する呼吸に対応するデカルト座標を除外することができる。
【0147】
一部の実装形態では、PAP空気回路インピーダンスがわかると、患者インピーダンスを決定することができる。回路モデリングは、患者のインピーダンス決定方法を実装できることを示唆している。一部の実装形態では、患者のインピーダンス決定方法により、フルフェイスマスクをつけたとき口呼吸と鼻呼吸と区別できるかどうかを決定することができる。そのような実装の一部では、漏れ段階に関連する追加情報により、口呼吸と鼻呼吸との差別化を改善することができます。
【0148】
以下の請求の範囲の項1~127のいずれか1つまたは複数からの、1つまたは複数の要素または態様またはステップ、またはそれらの任意の一部は、それ以外の請求の範囲の項1~127のいずれかの1つまたは複数からの、1つまたは複数の要素または態様またはステップまたはそれらの任意の部分と組み合わせ、本開示の1つまたは複数の追加の実装および/または請求の範囲の項を形成することができる。
【0149】
本開示について、1つまたは複数の特定の実施形態または実装を参照しながら説明してきたが、当業者は、本開示の精神および範囲から逸脱することなく多くの変更を行うことができることを認識するであろう。これらの実装およびその明らかな変形はそれぞれ、本開示の精神および範囲内に収まると考えられる。また、本開示の態様による追加の実装は、本明細書に記載された実装のいずれかからの任意の数の特徴を組み合わせてよいとも考えられる。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12