(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-29
(45)【発行日】2024-03-08
(54)【発明の名称】糖尿およびそれに伴う代謝疾患の予防または治療用の薬学的組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/506 20060101AFI20240301BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20240301BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240301BHJP
A61P 3/06 20060101ALI20240301BHJP
A61P 3/04 20060101ALI20240301BHJP
A61K 31/4985 20060101ALI20240301BHJP
A61K 31/495 20060101ALI20240301BHJP
A61K 31/70 20060101ALI20240301BHJP
A61K 31/192 20060101ALI20240301BHJP
A61K 31/155 20060101ALI20240301BHJP
A61K 31/7008 20060101ALI20240301BHJP
【FI】
A61K31/506
A61P3/10
A61P43/00 111
A61P43/00 121
A61P3/06
A61P3/04
A61K31/4985
A61K31/495
A61K31/70
A61K31/192
A61K31/155
A61K31/7008
(21)【出願番号】P 2022554634
(86)(22)【出願日】2021-03-10
(86)【国際出願番号】 KR2021002990
(87)【国際公開番号】W WO2021182877
(87)【国際公開日】2021-09-16
【審査請求日】2022-09-09
(31)【優先権主張番号】10-2020-0030424
(32)【優先日】2020-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】515330661
【氏名又は名称】トンア・エスティー・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Dong-A ST Co., Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム,ミギョン
(72)【発明者】
【氏名】キム,テヒョン
(72)【発明者】
【氏名】チョン,イルフン
(72)【発明者】
【氏名】チェ,ユナ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,ジェソン
【審査官】三上 晶子
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-526235(JP,A)
【文献】特表2017-533213(JP,A)
【文献】特表2017-517483(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00- 33/44
A61P 1/00- 43/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
PubMed
Science Direct
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表される化合物、その薬学的に許容可能な塩、その光学異性体、その水和物または溶媒和物、またはその混合物;および
エボグリプチン、シタグリプチン、エラフィブラノール、ダパグリフロジン、メトホルミンおよびボグリボースの中から選択される少なくとも一つ;
を含む、糖尿または
、肥満および脂質異常症の中から選択される少なくとも一つの疾患の予防または治療用の薬学的組成物:
【化1】
前記化学式1中、
Aは、オキサジアゾール基
であり、前記Aは
、直鎖もしくは分岐鎖のC1-C6アルキル基
で置換され
、
Bは
、ピリミジン基
であり、前記Bは
、直鎖もしくは分岐鎖のC1-C6アルキル基
で置換され、
Xは、
Fである。
【請求項2】
前記Aは、
または
であり、
R
2
及びR
3
は、それぞれ独立して、直鎖もしくは分岐鎖のC1-C6アルキル基
である、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項3】
前記Bは、
であり、
R
7
は直鎖もしくは分岐鎖のC1-C6アルキル基
である、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項4】
前記化学式1で表される化合物は、3-(4-(3-(1-(5-エチルピリミジン-2-イル)ピペリジン-4-イル)プロポキシ)-2,6-ジフルオロフェニル)-5-イソプロピル-1,2,4-オキサジアゾールである、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項5】
糖尿または
、肥満および脂質異常症の中から選択される少なくとも一つの疾患の予防または治療用の薬学的製剤を製造するための、請求項1に記載の化学式1で表される化合物、その薬学的に許容可能な塩、その光学異性体、その水和物または溶媒和物、またはその混合物;および
エボグリプチン、シタグリプチン、エラフィブラノール、ダパグリフロジン、メトホルミンおよびボグリボースの中から選択される少なくとも一つ;を含む薬学的組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、GPR119(G protein coupled receptor 119)リガンドおよび少なくとも一つの他メカニズムの薬物を有効成分として含有する、糖尿およびそれに伴う代謝疾患の予防または治療用の薬学的組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
糖尿は、多因子性の因子により誘発された高血糖を特徴とする慢性進行性疾患である。したがって、個々の薬剤を単独で用いる場合、症状によっては十分な糖尿の予防または治療効果が得られないことが多い。このため、既に10余種以上の他メカニズムの薬物が市販中であるにもかかわらず、依然として多様な作用メカニズムの血糖降下剤の開発が求められつつある。
一方、糖尿患者にとっては、糖尿に伴う代謝疾患が問題となっている。具体的には、糖尿に伴う肥満または脂質異常症が問題となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、投与対象に投与時に食後および空腹時血糖を改善できる薬学的組成物を提供することを一つの目的とする。
本発明は、投与対象に投与時に血中脂質濃度の改善および体脂肪の減少効果を示す薬学的組成物を提供することを一つの目的とする。
本発明は、糖尿またはそれに伴う代謝疾患の予防または治療用途として有用に使用できる薬学的組成物を提供することを一つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一実施形態に係る糖尿または前記糖尿に伴う代謝疾患の中から選択される少なくとも一つの疾患の予防または治療用の薬学的組成物は、下記化学式1で表される化合物、その薬学的に許容可能な塩、その光学異性体、その水和物または溶媒和物、またはその混合物;およびDPPIV阻害剤、PPARアゴニスト、SGLT2阻害剤、インスリン分泌促進剤、ビグアナイド系薬物およびα-グルコシダーゼ阻害剤の中から選択される少なくとも一つ;を含んでもよい。
【化1】
【0005】
前記化学式1中、Aは、オキサジアゾール基、ジヒドロオキサゾール基、チアゾール基またはチアジアゾール基であってもよい。前記Aは、置換されていないか、またはハロゲン原子、直鎖もしくは分岐鎖のC1-C6アルキル基および直鎖もしくは分岐鎖のC1-C6ヒドロキシアルキル基からなる群から選択される1種以上の置換基で置換されていて
もよい。前記アルキル基または前記ヒドロキシアルキル基は、それぞれ独立して、置換されていないか、またはハロゲン原子またはC1-C6アルコキシ基で置換されていてもよい。
【0006】
Bは、ピリジン基、ピリミジン基、ピラジン基またはオキサジアゾール基であってもよい。前記Bは、置換されていないか、またはハロゲン原子、直鎖もしくは分岐鎖のC1-C6アルキル基、直鎖もしくは分岐鎖のC1-C6ヒドロキシアルキル基、C1-C6アルコキシ基およびオキサジアゾール基からなる群から選択される1種以上の置換基で置換されていてもよい。前記直鎖もしくは分岐鎖のC1-C6アルキル基、直鎖もしくは分岐鎖のC1-C6ヒドロキシアルキル基、C1-C6アルコキシ基またはオキサジアゾール基は、それぞれ独立して、置換されていないか、またはハロゲン、C1-C6アルキル基またはC1-C6アルコキシ基で置換されていてもよい。
【0007】
X
1およびX
2は、F、Cl、BrまたはIであってもよい。X
1およびX
2は、互いに同一または異なっていてもよい。
前記Aは、
または
であってもよい。
【0008】
R1~R3、R5およびR6は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、直鎖もしくは分岐鎖のC1-C6アルキル基および直鎖もしくは分岐鎖のC1-C6ヒドロキシアルキル基からなる群から選択される1種以上の置換基であってもよい。前記アルキル基または前記ヒドロキシアルキル基は、それぞれ独立して、置換されていないか、またはハロゲン原子またはC1-C6アルコキシ基で置換されていてもよい。
【0009】
【0010】
前記R7~R11は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、直鎖もしくは分岐鎖のC1-C6アルキル基、直鎖もしくは分岐鎖のC1-C6ヒドロキシアルキル基、C1-C6アルコキシ基およびオキサジアゾール基からなる群から選択された1種以上の置換基で置換されていてもよい。前記アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基またはオキサジアゾール基は、それぞれ独立して、置換されていないか、またはハロゲン原子、C1-C6アルキル基またはC1-C6アルコキシ基で置換されていてもよい。
【0011】
Xは、Fであってもよい。
前記化学式1中、前記Aは、直鎖もしくは分岐鎖のC1-C6アルキル基で置換されたオキサジアゾール基であり、前記Bは、直鎖もしくは分岐鎖のC1-C6アルキル基で置換されたピリミジン基であり、Xは、Fであってもよい。
【0012】
本実施形態において、用語「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を意味する。
【0013】
一実施形態において、用語「アルキル」は、他に言及しない限り、直鎖状もしくは分岐状の炭化水素残基を意味する。前記C1-C6アルキルの例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ペンチル、ヘキシルなどを含む。
【0014】
一実施形態において、用語「アルコキシ」は、他に言及しない限り、上記のように定義されているアルキルを有するアルキル-酸素ラジカルを含む。前記C1-C6アルコキシの例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシなどを含む。
【0015】
一実施形態において、用語「ヘテロ環(heterocycle)」または「ヘテロ環式の(heterocyclic)」は、他に言及しない限り、N、OおよびSからなる群から選択される1~3個のヘテロ原子を含む5~13員のヘテロ芳香族または非芳香族化合物を意味する。
【0016】
一実施形態において、前記化学式1で表される化合物は、具体的に、下記化合物からなる群から選択される少なくとも一つの化合物であってもよい。
2-(4-(3-(1-(5-エチルピリミジン-2-イル)ピペリジン-4-イル)プロポキシ)-2,6-ジフルオロフェニル)-4,5-ジヒドロオキサゾール、
(R)-2-(4-(3-(1-(5-エチルピリミジン-2-イル)ピペリジン-4-イル)プロポキシ)-2,6-ジフルオロフェニル)-4-メチル-4,5-ジヒドロオキサゾール、
(S)-2-(4-(3-(1-(5-エチルピリミジン-2-イル)ピペリジン-4-イル)プロポキシ)-2,6-ジフルオロフェニル)-4-メチル-4,5-ジヒドロオキサゾール、
(S)-2-(4-(3-(1-(5-エチルピリミジン-2-イル)ピペリジン-4-イル)プロポキシ)-2,6-ジフルオロフェニル)-5-メチル-4,5-ジヒドロオキサゾール、
(R)-2-(4-(3-(1-(5-エチルピリミジン-2-イル)ピペリジン-4
-イル)プロポキシ)-2,6-ジフルオロフェニル)-5-メチル-4,5-ジヒドロオキサゾール、
2-(4-(3-(1-(5-エチルピリミジン-2-イル)ピペリジン-4-イル)プロポキシ)-2,6-ジフルオロフェニル)-5,5-ジメチル-4,5-ジヒドロオキサゾール、
(R)-(2-(4-(3-(1-(5-エチルピリミジン-2-イル)ピペリジン-4-イル)プロポキシ)-2,6-ジフルオロフェニル)-4,5-ジヒドロオキサゾール-5-イル)メタノール、
(S)-(2-(4-(3-(1-(5-エチルピリミジン-2-イル)ピペリジン-4-イル)プロポキシ)-2,6-ジフルオロフェニル)-4,5-ジヒドロオキサゾール-5-イル)メタノール、
(R)-3-(2-(4-(3-(3,5-ジフルオロ-4-(5-メチル-4,5-ジヒドロオキサゾール-2-イル)フェノキシ)プロピル)ピペリジン-1-イル)ピリミジン-5-イル)-5-イソブチル-1,2,4-オキサジアゾール、
(R)-5-(4-(3-(3,5-ジフルオロ-4-(4-メチル-4,5-ジヒドロオキサゾール-2-イル)フェノキシ)プロピル)ピペリジン-1-イル)-3-イソプロピル-1,2,4-オキサジアゾール、
(S)-5-(4-(3-(3,5-ジフルオロ-4-(5-メチル-4,5-ジヒドロオキサゾール-2-イル)フェノキシ)プロピル)ピペリジン-1-イル)-3-イソプロピル-1,2,4-オキサジアゾール、
5-(4-(3-(4-(5,5-ジメチル-4,5-ジヒドロオキサゾール-2-イル)-3,5-ジフルオロフェノキシ)プロピル)ピペリジン-1-イル)-3-イソプロピル-1,2,4-オキサジアゾール、
3-(4-(3-(1-(5-エチルピリミジン-2-イル)ピペリジン-4-イル)プロポキシ)-2,6-ジフルオロフェニル)-5-メチル-1,2,4-オキサジアゾール、
3-(4-(3-(1-(5-エチルピリミジン-2-イル)ピペリジン-4-イル)プロポキシ)-2,6-ジフルオロフェニル)-5-プロピル-1,2,4-オキサジアゾール、
3-(4-(3-(1-(5-エチルピリミジン-2-イル)ピペリジン-4-イル)プロポキシ)-2,6-ジフルオロフェニル)-5-イソプロピル-1,2,4-オキサジアゾール、
5-(tert-ブチル)-3-(4-(3-(1-(5-エチルピリミジン-2-イル)ピペリジン-4-イル)プロポキシ)-2,6-ジフルオロフェニル)-1,2,4-オキサジアゾール、
(3-(4-(3-(1-(5-エチルピリミジン-2-イル)ピペリジン-4-イル)プロポキシ)-2,6-ジフルオロフェニル)-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)メタノール、
2-(3-(4-(3-(1-(5-エチルピリミジン-2-イル)ピペリジン-4-イル)プロポキシ)-2,6-ジフルオロフェニル)-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)エタン-1-オール、
(S)-1-(3-(4-(3-(1-(5-エチルピリミジン-2-イル)ピペリジン-4-イル)プロポキシ)-2,6-ジフルオロフェニル)-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)プロパン-1-オール、
(R)-1-(3-(4-(3-(1-(5-エチルピリミジン-2-イル)ピペリジン-4-イル)プロポキシ)-2,6-ジフルオロフェニル)-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)プロパン-2-オール、
(S)-1-(3-(4-(3-(1-(5-エチルピリミジン-2-イル)ピペリジン-4-イル)プロポキシ)-2,6-ジフルオロフェニル)-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)プロパン-2-オール、
2-(3-(4-(3-(1-(5-エチルピリミジン-2-イル)ピペリジン-4-イル)プロポキシ)-2,6-ジフルオロフェニル)-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)-2-メチルプロパン-1-オール、
3-(2,6-ジフルオロ-4-(3-(1-(5-プロピルピリミジン-2-イル)ピペリジン-4-イル)プロポキシ)フェニル)-5-イソプロピル-1,2,4-オキサジアゾール、
3-(2,6-ジフルオロ-4-(3-(1-(5-ペンチルピリミジン-2-イル)ピペリジン-4-イル)プロポキシ)フェニル)-5-イソプロピル-1,2,4-オキサジアゾール、
3-(2,6-ジフルオロ-4-(3-(1-(5-(トリフルオロメチル)ピリミジン-2-イル)ピペリジン-4-イル)プロポキシ)フェニル)-5-イソプロピル-1,2,4-オキサジアゾール、
3-(2,6-ジフルオロ-4-(3-(1-(5-メトキシピリミジン-2-イル)ピペリジン-4-イル)プロポキシ)フェニル)-5-イソプロピル-1,2,4-オキサジアゾール、
3-(2,6-ジフルオロ-4-(3-(1-(5-イソプロポキシピリミジン-2-イル)ピペリジン-4-イル)プロポキシ)フェニル)-5-イソプロピル-1,2,4-オキサジアゾール、
3-(4-(3-(1-(5-クロロピリミジン-2-イル)ピペリジン-4-イル)プロポキシ)-2,6-ジフルオロフェニル)-5-イソプロピル-1,2,4-オキサジアゾール、
3-(4-(3-(1-(5-ブロモピリミジン-2-イル)ピペリジン-4-イル)プロポキシ)-2,6-ジフルオロフェニル)-5-イソプロピル-1,2,4-オキサジアゾール、
3-(2,6-ジフルオロ-4-(3-(1-(5-(5-イソブチル-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)ピリミジン-2-イル)ピペリジン-4-イル)プロポキシ)フェニル)-5-メチル-1,2,4-オキサジアゾール、
3-(2,6-ジフルオロ-4-(3-(1-(5-(5-イソブチル-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)ピリミジン-2-イル)ピペリジン-4-イル)プロポキシ)フェニル)-5-エチル-1,2,4-オキサジアゾール、
3-(2,6-ジフルオロ-4-(3-(1-(5-(5-イソブチル-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)ピリミジン-2-イル)ピペリジン-4-イル)プロポキシ)フェニル)-5-イソプロピル-1,2,4-オキサジアゾール、
5-(sec-ブチル)-3-(2,6-ジフルオロ-4-(3-(1-(5-(5-イソブチル-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)ピリミジン-2-イル)ピペリジン-4-イル)プロポキシ)フェニル)-1,2,4-オキサジアゾール、
3-(2,6-ジフルオロ-4-(3-(1-(5-(5-イソブチル-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)ピリミジン-2-イル)ピペリジン-4-イル)プロポキシ)フェニル)-5-(メトキシメチル)-1,2,4-オキサジアゾール、
(S)-1-(3-(2,6-ジフルオロ-4-(3-(1-(5-(5-イソブチル-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)ピリミジン-2-イル)ピペリジン-4-イル)プロポキシ)フェニル)-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)プロパン-1-オール、
2-(3-(2,6-ジフルオロ-4-(3-(1-(5-(5-イソブチル-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)ピリミジン-2-イル)ピペリジン-4-イル)プロポキシ)フェニル)-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)-2-メチルプロパン-1-オール、
3-(4-(3-(1-(5-クロロピラジン-2-イル)ピペリジン-4-イル)プロポキシ)-2,6-ジフルオロフェニル)-5-イソプロピル-1,2,4-オキサジアゾール、
3-(2,6-ジフルオロ-4-(3-(1-(5-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)ピペリジン-4-イル)プロポキシ)フェニル)-5-イソプロピル-1,2,4-オキサジアゾール、
3-(2,6-ジフルオロ-4-(3-(1-(3-イソプロピル-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)ピペリジン-4-イル)プロポキシ)フェニル)-5-メチル-1,2,4-オキサジアゾール、
3-(2,6-ジフルオロ-4-(3-(1-(3-イソプロピル-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)ピペリジン-4-イル)プロポキシ)フェニル)-5-イソプロピル-1,2,4-オキサジアゾール、
(3-(2,6-ジフルオロ-4-(3-(1-(3-イソプロピル-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)ピペリジン-4-イル)プロポキシ)フェニル)-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)メタノール、
2-(4-(3-(1-(5-エチルピリミジン-2-イル)ピペリジン-4-イル)プロポキシ)-2,6-ジフルオロフェニル)-5-メチル-1,3,4-オキサジアゾール、
2-エチル-5-(4-(3-(1-(5-エチルピリミジン-2-イル)ピペリジン-4-イル)プロポキシ)-2,6-ジフルオロフェニル)-1,3,4-オキサジアゾール、
2-(4-(3-(1-(5-エチルピリミジン-2-イル)ピペリジン-4-イル)プロポキシ)-2,6-ジフルオロフェニル)-5-イソプロピル-1,3,4-オキサジアゾール、
5-(4-(3-(1-(5-エチルピリミジン-2-イル)ピペリジン-4-イル)プロポキシ)-2,6-ジフルオロフェニル)-N-イソプロピル-1,3,4-オキサジアゾール-2-アミン、
2-(2,6-ジフルオロ-4-(3-(1-(5-(トリフルオロメチル)ピリミジン-2-イル)ピペリジン-4-イル)プロポキシ)フェニル)-5-メチル-1,3,4-オキサジアゾール、
2-(2,6-ジフルオロ-4-(3-(1-(5-(トリフルオロメチル)ピリミジン-2-イル)ピペリジン-4-イル)プロポキシ)フェニル)-5-エチル-1,3,4-オキサジアゾール、
2-(2,6-ジフルオロ-4-(3-(1-(5-(トリフルオロメチル)ピリミジン-2-イル)ピペリジン-4-イル)プロポキシ)フェニル)-5-イソプロピル-1,3,4-オキサジアゾール、
2-(4-(3-(1-(5-クロロピラジン-2-イル)ピペリジン-4-イル)プロポキシ)-2,6-ジフルオロフェニル)-5-メチル-1,3,4-オキサジアゾール、
2-(4-(3-(1-(5-クロロピラジン-2-イル)ピペリジン-4-イル)プロポキシ)-2,6-ジフルオロフェニル)-5-エチル-1,3,4-オキサジアゾール、
2-(4-(3-(1-(5-クロロピラジン-2-イル)ピペリジン-4-イル)プロポキシ)-2,6-ジフルオロフェニル)-5-イソプロピル-1,3,4-オキサジアゾール、
5-(4-(3-(3,5-ジフルオロ-4-(5-メチル-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)フェノキシ)プロピル)ピペリジン-1-イル)-3-プロピル-1,2,4-オキサジアゾール、
5-(4-(3-(3,5-ジフルオロ-4-(5-エチル-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)フェノキシ)プロピル)ピペリジン-1-イル)-3-プロピル-1,2,4-オキサジアゾール、
5-(4-(3-(3,5-ジフルオロ-4-(5-イソプロピル-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)フェノキシ)プロピル)ピペリジン-1-イル)-3-プロピ
ル-1,2,4-オキサジアゾール、
5-(4-(3-(3,5-ジフルオロ-4-(5-メチル-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)フェノキシ)プロピル)ピペリジン-1-イル)-3-イソプロピル-1,2,4-オキサジアゾール、
5-(4-(3-(4-(5-エチル-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)-3,5-ジフルオロフェノキシ)プロピル)ピペリジン-1-イル)-3-イソプロピル-1,2,4-オキサジアゾール、
5-(4-(3-(3,5-ジフルオロ-4-(5-イソプロピル-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)フェノキシ)プロピル)ピペリジン-1-イル)-3-イソプロピル-1,2,4-オキサジアゾール、
5-(4-(3-(3,5-ジフルオロ-4-(5-メチル-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)フェノキシ)プロピル)ピペリジン-1-イル)-3-(2,2,2-トリフルオロエチル)-1,2,4-オキサジアゾール、
3-(4-(3-(3,5-ジフルオロ-4-(5-イソプロピル-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル)フェノキシ)プロピル)ピペリジン-1-イル)-5-イソプロピル-1,2,4-オキサジアゾール、
2-(4-(3-(1-(5-エチルピリミジン-2-イル)ピペリジン-4-イル)プロポキシ)-2,6-ジフルオロフェニル)-5-イソプロピル-1,3,4-チアジアゾール、
2-(2,6-ジフルオロ-4-(3-(1-(5-プロピルピリミジン-2-イル)ピペリジン-4-イル)プロポキシ)フェニル)-5-イソプロピル-1,3,4-チアジアゾール、
2-(2,6-ジフルオロ-4-(3-(1-(5-ペンチルピリミジン-2-イル)ピペリジン-4-イル)プロポキシ)フェニル)-5-イソプロピル-1,3,4-チアジアゾール、
2-(2,6-ジフルオロ-4-(3-(1-(5-フルオロピリミジン-2-イル)ピペリジン-4-イル)プロポキシ)フェニル)-5-イソプロピル-1,3,4-チアジアゾール、
2-(2,6-ジフルオロ-4-(3-(1-(5-(トリフルオロメチル)ピリミジン-2-イル)ピペリジン-4-イル)プロポキシ)フェニル)-5-イソプロピル-1,3,4-チアジアゾール、
2-(2,6-ジフルオロ-4-(3-(1-(5-(トリフルオロメチル)ピリジン-2-イル)ピペリジン-4-イル)プロポキシ)フェニル)-5-イソプロピル-1,3,4-チアジアゾール、および
4-エチル-2-(4-(3-(1-(5-エチルピリミジン-2-イル)ピペリジン-4-イル)プロポキシ)-2,6-ジフルオロフェニル)チアゾール。
【0017】
一実施形態において、前記化学式1で表される化合物は、3-(4-(3-(1-(5-エチルピリミジン-2-イル)ピペリジン-4-イル)プロポキシ)-2,6-ジフルオロフェニル)-5-イソプロピル-1,2,4-オキサジアゾール(以下、化合物1)であってもよい。
【0018】
一実施形態において、前記薬学的組成物は、前記化学式1で表される化合物;および前記DPPIV阻害剤、前記PPARアゴニスト、前記SGLT2阻害剤、前記インスリン分泌促進剤、前記ビグアナイド系薬物および前記α-グルコシダーゼ阻害剤のうち少なくとも一つ;を含んでもよい。
【0019】
前記DPPIV阻害剤は、シタグリプチン、ビルダグリプチン、サキサグリプチン、リナグリプチン、ゲミグリプチン、アナグリプチン、テネリグリプチン、アログリプチン、トレラグリプチン、オマリグリプチン、エボグリプチン、ゴソグリプチンおよびデュトグ
リプチンのうち少なくとも一つであってもよい。
【0020】
前記PPARアゴニストは、トログリタゾン、シグリタゾン、ロシグリタゾン、ピオグリタゾン、エングリダゾン、エラフィブラノール、サログリタザールおよびロベグリタゾンのうち少なくとも一つであってもよい。
【0021】
前記SGLT2阻害剤は、カナグリフロジン、ダパグリフロジン、エンパグリフロジン、エルツグリフロジン、イプラグリフロジン、ルセオグリフロジン、レモグリフロジン、セルグリフロジン、ソタグリフロジンンおよびトホグリフロジンのうち少なくとも一つであってもよい。
【0022】
前記インスリン分泌促進剤は、グリベンクラミド、グリピジド、グリクラジド、グリメピリド、トラザミド、トルブタミド、アセトヘキサミド、カルブタミド、クロルプロパミド、グリボルヌリド、グリキドン、グリセンチド、グリソラミド、グリソキセピド、グリクロピラミド、グリシルアミド、グリペンチド、レパグリニドおよびナテグリニドのうち少なくとも一つであってもよい。
【0023】
前記ビグアナイド系薬物は、メトホルミン、ブホルミンおよびフェンホルミンのうち少なくとも一つであってもよい。前記α-グルコシダーゼ阻害剤は、アカルボース、ボグリボース、エミグリタートおよびミグリトールのうち少なくとも一つであってもよい。
【0024】
一実施形態において、前記薬学的組成物は、前記化学式1で表される化合物;およびエボグリプチン、シタグリプチン、エラフィブラノール、ダパグリフロジン、グリメピリド、メトホルミンおよびボグリボースのうち少なくとも一つ;を含んでもよい。
【0025】
一実施形態において、前記薬学的組成物は、前記化合物1;および前記DPPIV阻害剤、前記PPARアゴニスト、前記SGLT2阻害剤、前記インスリン分泌促進剤、前記ビグアナイド系薬物および前記α-グルコシダーゼ阻害剤のうち少なくとも一つ;を含んでもよい。
【0026】
一実施形態において、前記薬学的組成物は、前記化合物1;およびエボグリプチン、シタグリプチン、エラフィブラノール、ダパグリフロジン、グリメピリド、メトホルミンおよびボグリボースのうち少なくとも一つ;を含んでもよい。一実施形態において、前記代謝疾患は、肥満および脂質異常症のうち少なくとも一つであってもよい。
【0027】
本明細書において、薬学的組成物がAおよびBを含むと記載された場合、前記薬学的組成物は、AおよびBを含む組成物;AおよびBをそれぞれ分離した製剤として含む組み合わせ物;または前記組み合わせ物を含む組成物;を意味するものと解釈される。したがって、本発明において、前記組成物は、組み合わせ物と混用して用いられてもよい。
【0028】
前記薬学的組成物は、化学式1で表される化合物、その薬学的に許容可能な塩、その光学異性体、その水和物または溶媒和物、またはその混合物;およびDPPIV阻害剤、PPARアゴニスト、SGLT2阻害剤、インスリン分泌促進剤、ビグアナイド系薬物およびα-グルコシダーゼ阻害剤の中から選択される少なくとも一つ;をそれぞれ分離した製剤として含むか、または複合製剤の形態で全て含んでもよい。
【0029】
前記薬学的組成物は、分離した製剤の組み合わせ物、または複合製剤であってもよい。
【0030】
前記薬学的組成物は、第1活性成分を含む第1区画、第2活性成分を含む第2区画を含んでもよい。
【0031】
前記第1活性成分は、化学式1で表される化合物、その薬学的に許容可能な塩、その光学異性体、その水和物または溶媒和物、またはその混合物であってもよい。前記第2活性成分は、DPPIV阻害剤、PPARアゴニスト、SGLT2阻害剤、インスリン分泌促進剤、ビグアナイド系薬物およびα-グルコシダーゼ阻害剤の中から選択される少なくとも一つを含んでもよい。
【0032】
本発明の実施形態によると、前記薬学的組成物において、前記第1活性成分を含む第1区画および前記第2活性成分を含む第2区画は併用投与されるものであって、前記薬学的組成物は併用投与のための組成物であってもよい。具体的に、前記薬学的組成物は、二つの成分が個別の単位剤形に製剤化された組み合わせ物であってもよい。この場合、前記第1活性成分および第2活性成分は、個別の剤形で併用投与されてもよい。
【0033】
本発明の一実施形態においては、正常マウスモデルにおいて、1回の耐糖能の改善薬効評価により、血中の活性型GLP-1の濃度および血糖濃度の測定を介して、一実施形態の薬学的組成物が糖尿の治療および予防に効果があることを明らかにした。
本発明の一実施形態においては、特殊飼料を供給して高血糖、インスリン抵抗性または肥満を誘発したマウスモデルにおいて、血糖、中性脂肪および体重の測定を介して、一実施形態の薬学的組成物が糖尿および糖尿に伴う代謝疾患の治療および予防に効果があることを明らかにした。
【0034】
より具体的に、一実施形態に係る薬学的組成物を投与する場合、GPR119アゴニストとして化学式1で表される化合物、その薬学的に許容可能な塩、その光学異性体、その水和物または溶媒和物、またはその混合物;またはDPPIV阻害剤、PPARアゴニスト、SGLT2阻害剤、インスリン分泌促進剤、ビグアナイド系薬物およびα-グルコシダーゼ阻害剤;それぞれを併用投与した場合に比べて、血中GLP-1の濃度が上昇し、血糖が減少し、血漿中の中性脂肪濃度が減少し、体重が減少することが確認される。
【0035】
本発明において、前記化学式1で表される化合物の薬学的に許容可能な塩の非制限的な例としては、塩酸、臭素酸、リン酸または硫酸のような無機酸との塩;酢酸、トリフルオロ酢酸、クエン酸、マレイン酸、シュウ酸、コハク酸、安息香酸、酒石酸、フマル酸、マンデル酸、アスコルビン酸またはリンゴ酸のような有機カルボン酸や、メタンスルホン酸またはパラトルエンスルホン酸のようなスルホン酸との塩;ナトリウム、カリウムまたはリチウムのようなアルカリ金属との塩;またはその他の薬学的に許容可能な塩を形成できるものとして知られた多様な酸との塩などを含んでもよい。
【0036】
一実施形態の糖尿またはそれに伴う代謝疾患の中から選択される少なくとも一つの疾患の予防または治療用の薬学的組成物は、一般の医薬品製剤の形態で用いられてもよい。医薬品製剤は、投与時に経口および非経口の種々の剤形で投与されてもよく、剤形は、使用方法に応じて多様に決定されてもよい。
【0037】
一実施形態の薬学的組成物を経口および非経口の種々の剤形に製剤化する場合には、一般に用いられる充填剤、希釈剤、増量剤、結合剤、湿潤剤、崩壊剤、界面活性剤などの賦形剤を用いて製造することができる。
【0038】
経口投与のための固形製剤としては、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤などが含まれてもよく、このような固形製剤は、前記薬学的組成物に少なくとも一つ以上の賦形剤、例えば、デンプン、炭酸カルシウム(calcium carbonate)、スクロース(sucrose)またはラクトース(lactose)、ゼラチンなどを混ぜて製造することができる。また、単純な賦形剤の他に、ステアリン酸マグネシウム、タルクな
どの滑沢剤も用いられる。
【0039】
また、経口投与のための液状製剤としては、懸濁剤、内用液剤、乳剤、シロップ剤などが該当するが、多く用いられる単純希釈剤である水、リキッドパラフィンの他に、種々の賦形剤、例えば、湿潤剤、甘味剤、芳香剤、保存剤などが含まれてもよい。
【0040】
非経口投与のための製剤には、滅菌された水溶液、非水性溶剤、懸濁剤、乳剤、凍結乾燥剤、坐剤が含まれる。非水性溶剤、懸濁溶剤としては、プロピレングリコール(propylene glycol)、ポリエチレングリコール、オリーブオイルのような植物性オイル、オレイン酸エチルのような注射可能なエステルなどが用いられてもよい。坐剤の基剤としては、ウィテップゾール(witepsol)、マクロゴール、ツイン(tween)61、カカオ脂、ラウリン脂、グリセロゼラチンなどが用いられてもよい。
【0041】
また、本発明に係る糖尿またはそれに伴う代謝疾患の中から選択される少なくとも一つの疾患の予防または治療用の薬学的組成物は、約1~約1,000mgの投与範囲で有効量を示すことができる。投与量または服用量は、対象体の体重、年齢、性別、健康状態、食餌、投与時間、投与方法、排泄率および疾患の重症度に応じて1日に1回~数回に分けて投与できるなど、多様な投与用量および方法で投与可能である。
【0042】
本発明において、糖尿は、1型糖尿病および2型糖尿病のいずれを含んでもよい。1型糖尿病は、遺伝的、環境的、免疫学的原因の相互作用により現れる膵臓のβ細胞の破壊およびインスリンの絶対的欠乏を特徴とする疾患を意味する。2型糖尿病は、細胞がインスリンに適切に反応できないインスリン抵抗から始まる疾患を意味し、体重過多および低活動性に起因して発病し得る。2型糖尿病においては、病気が進行するにつれてインスリン不足が発生し得る。
【0043】
一実施形態の薬学的組成物は、化学式1で表される化合物または類似した機能を示す有効成分;およびインスリン分泌促進剤、DPPIV阻害剤、PPARアゴニスト、SGLT2阻害剤、インスリン分泌促進剤、ビグアナイド系薬物およびα-グルコシダーゼ阻害剤の中から選択される少なくとも一つ;を含んでもよい。
【0044】
また、本発明は、治療学的に有効な量の化学式1で表される化合物、その薬学的に許容可能な塩、その光学異性体、その水和物または溶媒和物、またはその混合物;およびDPPIV阻害剤、PPARアゴニスト、SGLT2阻害剤、インスリン分泌促進剤、ビグアナイド系薬物およびα-グルコシダーゼ阻害剤の中から選択される少なくとも一つ;を含む薬学的組成物を治療が必要な対象体に投与するステップを含む、糖尿またはそれに伴う代謝疾患の中から選択される少なくとも一つの疾患を予防または治療する方法を提供する。
【0045】
本明細書において、用語「糖尿に伴う代謝疾患」とは、肥満または脂質異常症のように糖尿と一部の病因を共有し、糖尿の発病とともに頻発しやすい疾患を意味する。
【0046】
本明細書において、用語「少なくとも一つ」は、複数の構成から導き出される全ての組み合わせを示すものと解釈される。例えば、「A、BおよびCのうち少なくとも一つ」は、「A、BまたはC」、「A、BおよびCの中から選択される二つ」および「A、BおよびC」から導き出される全ての組み合わせを含むものと解釈される。
【0047】
本明細書において、用語「治療が必要な対象体」は、ヒトを始めとする哺乳動物を意味し、用語「投与」は、任意の適切な方法で対象体に所定の物質を提供することを意味する。用語「治療学的に有効な量」は、研究者、獣医師、医師またはその他の臨床医により考
えられる動物またはヒトにおける生物学的または医学的反応を誘導する活性成分または薬学的組成物の量を意味するものであって、これは、治療される疾患または障害の症状の緩和を誘導する量を含む。本発明の有効成分に対する治療上の有効投与量および投与回数は、所望の効果に応じて変化できることは当業者に明らかなことである。
【0048】
一実施形態において、本発明の薬学的組成物の投与経路は、目的とする組織に到達できる限り、いかなる一般的な経路を介して投与されてもよい。
【0049】
一実施形態の薬学的組成物は、経口投与、腹腔内投与、静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、内皮投与、鼻内投与、肺内投与、直腸内投与、腔内投与、腹腔内投与、硬膜内投与されてもよく、これに制限されない。
【0050】
一実施形態の薬学的組成物は、1日に1回、または一定の時間間隔をおいて1日に2回以上投与されてもよい。
【0051】
一実施形態の薬学的組成物は、糖尿またはそれに伴う代謝疾患の中から選択される少なくとも一つの疾患の予防および治療のために、単独で、または手術、ホルモン治療、薬物治療および生物学的反応調節剤を用いる方法と併用して用いてもよい。
【0052】
また、一実施形態は、前記化学式1で表される化合物、その薬学的に許容可能な塩、その光学異性体、その水和物または溶媒和物、またはその混合物;およびDPPIV阻害剤、PPARアゴニスト、SGLT2阻害剤、インスリン分泌促進剤、ビグアナイド系薬物およびα-グルコシダーゼ阻害剤の中から選択される少なくとも一つ;を有効成分として含む、糖尿またはそれに伴う代謝疾患の中から選択される少なくとも一つの疾患の予防または改善用の食品組成物を提供する。
【0053】
一実施形態において、用語「改善」は、前記組成物の投与により、疾患が好転または有益に変更される全ての行為を意味する。
【0054】
一実施形態において、用語「食品」としては、肉類、ソーセージ、パン、チョコレート、キャンディー類、スナック類、菓子類、ピザ、ラーメン、その他の麺類、ガム類、アイスクリーム類を含む酪農製品、各種スープ、飲料、お茶、ドリンク剤、アルコール飲料、ビタミン複合剤、健康機能食品、健康食品および健康補助食品などが挙げられ、通常の意味での食品を全て含む。
【0055】
前記「健康機能(性)食品(functional food)」は、特定の保健用食品(food for special health use、FoSHU)と同一の用語であって、栄養供給の他にも効率的な生体調節機能を示すように加工された医学、医療効果の高い食品を意味する。ここで、「機能(性)」とは、人体の構造および機能に対して栄養素を調節するか、または生理学的作用などのような保健用途に有用な効果を得ることを意味する。
【0056】
前記「健康食品(health food)」は、一般食品に比べて積極的な健康維持や増進効果を有する食品を意味し、「健康補助食品(health supplement food)」は、健康補助を目的とする食品を意味する。場合によっては、健康機能食品、健康食品、健康補助食品の用語は混用されてもよい。
【0057】
本発明の食品は、当業界で通常用いられる方法により製造可能であり、前記製造時には、当業界で通常添加される原料および成分を添加して製造することができる。具体的に、タンパク質、炭水化物、脂肪、栄養素、調味剤および香味剤を含んでもよく、前記炭水化
物の例としては、ブドウ糖、果糖、マルトース、スクロース、オリゴ糖、デキストリン、シクロデキストリン、キシリトール、ソルビトール、エリトロール、サッカリンまたは合成香味剤が挙げられるが、これに制限されない。本発明の食品組成物は、食品として認められる剤形であれば制限されずに多様な形態の剤形に製造されてもよい。
【0058】
また、本発明は、前記化学式1で表される化合物、その薬学的に許容可能な塩、その光学異性体、その水和物または溶媒和物、またはその混合物;およびDPPIV阻害剤、PPARアゴニスト、SGLT2阻害剤、インスリン分泌促進剤、ビグアナイド系薬物およびα-グルコシダーゼ阻害剤の中から選択される少なくとも一つ;を有効成分として含む食品組成物を改善が必要な対象体に投与するステップを含む、糖尿またはそれに伴う代謝疾患の中から選択される少なくとも一つの疾患を予防または改善する方法を提供する。
【0059】
また、本発明は、前記化学式1で表される化合物、その薬学的に許容可能な塩、その光学異性体、その水和物または溶媒和物、またはその混合物;およびDPPIV阻害剤、PPARアゴニスト、SGLT2阻害剤、インスリン分泌促進剤、ビグアナイド系薬物およびα-グルコシダーゼ阻害剤の中から選択される少なくとも一つ;を有効成分として含む、糖尿またはそれに伴う代謝疾患の中から選択される少なくとも一つの疾患の予防または改善用の飼料組成物を提供する。
【0060】
本発明の用語、「飼料」は、家畜が摂取し、消化させるための、またはそれに適した任意の天然または人工規定食、一食などまたは前記一食の成分を意味する。前記飼料は、飼料添加剤または補助飼料を含んでもよい。
【0061】
前記飼料の種類は、特に制限されず、当該技術分野で通常用いられる飼料を用いてもよい。前記飼料の非制限的な例としては、穀物類、根菜類、食品加工副産物類、藻類、繊維質類、製薬副産物類、油脂類、デンプン類、ウリ類または穀物副産物類などのような植物性飼料;タンパク質類、無機物類、油脂類、鉱物性類、油脂類、単細胞タンパク質類、動物性プランクトン類または飲食物などのような動物性飼料が挙げられる。これらは、単独で用いられるか、または2種以上混合して用いられてもよい。
【0062】
また、本発明は、糖尿またはそれに伴う代謝疾患の中から選択される少なくとも一つの疾患の予防または治療用の、前記化学式1で表される化合物、その薬学的に許容可能な塩、その光学異性体、その水和物または溶媒和物、またはその混合物;およびDPPIV阻害剤、PPARアゴニスト、SGLT2阻害剤、インスリン分泌促進剤、ビグアナイド系薬物およびα-グルコシダーゼ阻害剤の中から選択される少なくとも一つ;を有効成分として含む薬学的組成物の用途を提供する。
【0063】
また、本発明は、糖尿またはそれに伴う代謝疾患の中から選択される少なくとも一つの疾患の予防または治療用の薬学的製剤を製造するための、前記化学式1で表される化合物、その薬学的に許容可能な塩、その光学異性体、その水和物または溶媒和物、またはその混合物;およびDPPIV阻害剤、PPARアゴニスト、SGLT2阻害剤、インスリン分泌促進剤、ビグアナイド系薬物およびα-グルコシダーゼ阻害剤の中から選択される少なくとも一つ;を有効成分として含む薬学的組成物の用途を提供する。
【0064】
また、本発明は、前記化学式1で表される化合物、その薬学的に許容可能な塩、その光学異性体、その水和物または溶媒和物、またはその混合物;およびDPPIV阻害剤、PPARアゴニスト、SGLT2阻害剤、インスリン分泌促進剤、ビグアナイド系薬物およびα-グルコシダーゼ阻害剤の中から選択される少なくとも一つ;を含む薬学的組成物の治療学的有効量を治療が必要な対象体に投与するステップを含む、糖尿またはそれに伴う代謝疾患の中から選択される少なくとも一つの疾患の予防または治療方法を提供する。
【0065】
また、本発明は、前記化学式1で表される化合物、その薬学的に許容可能な塩、その光学異性体、その水和物または溶媒和物、またはその混合物;およびDPPIV阻害剤、PPARアゴニスト、SGLT2阻害剤、インスリン分泌促進剤、ビグアナイド系薬物およびα-グルコシダーゼ阻害剤の中から選択される少なくとも一つ;の組み合わせを提供する。
【0066】
また、本発明は、DPPIV阻害剤、PPARアゴニスト、SGLT2阻害剤、インスリン分泌促進剤、ビグアナイド系薬物およびα-グルコシダーゼ阻害剤の中から選択される少なくとも一つと組み合わせて用いられる前記化学式1で表される化合物、その薬学的に許容可能な塩、その光学異性体、その水和物または溶媒和物、またはその混合物を含む、糖尿またはそれに伴う代謝疾患の中から選択される少なくとも一つの疾患の予防または治療用の薬学的組成物を提供する。
【0067】
前記治療方法、食品組成物、改善方法、飼料組成物、用途および組み合わせにおいて、前記化学式1で表される化合物は、具体的に、3-(4-(3-(1-(5-エチルピリミジン-2-イル)ピペリジン-4-イル)プロポキシ)-2,6-ジフルオロフェニル)-5-イソプロピル-1,2,4-オキサジアゾールであってもよい。
【0068】
本発明の実施形態に係る薬学的組成物、治療方法、食品組成物、改善方法、飼料組成物、用途および組み合わせのそれぞれに言及された事項は、矛盾しない限り、それぞれの実施形態に互いに同様に適用される。
【発明の効果】
【0069】
本発明に係る薬学的組成物を投与対象に投与時に食後および空腹時血糖を改善することができる。
本発明に係る薬学的組成物を投与対象に投与時に血中脂質濃度の改善および体脂肪の減少効果を示すことができる。
したがって、本発明に係る薬学的組成物は、糖尿またはそれに伴う代謝疾患の予防または治療用途として有用に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【
図1】正常マウスに1回経口投与した薬物のブドウ糖負荷5分後の活性型GLP-1の血中ピーク濃度の増加および糖負荷から2時間の間の食後血糖の降下効果を示したグラフである。
【
図2】正常マウスに1回経口投与した薬物のブドウ糖負荷から2時間の間の食後血糖に対する有効性を示したグラフである。
【
図3】HF/STZ糖尿マウスに10週間併用投与した薬物の非絶食および絶食時血糖に対する有効性を示したグラフである。
【
図4】HF/STZ糖尿マウスに10週間併用投与した薬物の血漿中の中性脂肪濃度に対する有効性を示したグラフである。
【
図5】正常マウスに1回経口投与した薬物のブドウ糖負荷から2時間の間の食後血糖に対する有効性を示したグラフである。
【
図6】DIOマウスに12週間薬物を単独および併用投与した場合の非絶食時血糖に対する数値を示したグラフである。
【
図7】HFマウスに3週間薬物を単独および併用投与した場合の血漿中の総GLP-1濃度に対する数値を示したグラフである。
【
図8】HFマウスに3週間薬物を単独および併用投与した場合の絶食時血糖に対する数値を示したグラフである。
【
図9】HFマウスに3週間薬物を単独および併用投与時の体重減少率の経時的変化および体成分の改善変化に対する数値を示したグラフである。
【
図10】正常マウスに1回投与後の単独および併用投与により蔗糖(sucrose)負荷から2時間の間の食後血糖に対する有効性を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0071】
本発明の利点および特徴、そしてそれらを達成する方法は、詳細に後述する実施形態を参照すれば明らかになるであろう。ただし、本発明は、以下に開示される実施形態に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態で実現できるものであり、単に本実施形態は、本発明の開示が完全になるようにし、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者に発明の範囲を完全に知らせるために提供されるものであり、本発明は、請求項の範囲により定義されるのみである。
【0072】
本発明に係る糖尿または前記糖尿に伴う代謝疾患の中から選択される少なくとも一つの疾患の予防または治療用の薬学的組成物は、前述した化学式1で表される化合物、その薬学的に許容可能な塩、その光学異性体、その水和物または溶媒和物、またはその混合物;およびDPPIV阻害剤、PPARアゴニスト、SGLT2阻害剤、インスリン分泌促進剤、ビグアナイド系薬物およびα-グルコシダーゼ阻害剤の中から選択される少なくとも一つ;を含んでもよい。
【0073】
化学式1で表される化合物は、GPR119リガンドであり、GPR119(G protein-coupled receptor 119)は、class Aに属するGPCR(G protein-coupled receptor)のうち一つである。
【0074】
GRP119は、GRP119リガンドにより活性化し、G protein subtypeのうちGαsを介してcAMPを生成して細胞内シグナル伝達を誘導する。
【0075】
GRP119は、膵臓のβ細胞および小腸のL細胞で発現量が高い。したがって、一実施形態の薬学的組成物を投与して膵臓のGPR119が活性化されると、膵臓のβ細胞においてインスリン分泌が増加して食後血糖を減少させることができる。したがって、GPR119が活性化されると、血糖調節の他にも血中脂質の降下および体重減少効果を図ることができ、糖尿だけでなく、それに伴う代謝疾患の改善にも寄与することができる。
【0076】
一方、小腸のGPR119が活性化されると、小腸L-細胞においてグルカゴン様ペプチド-1(glucagon-like peptide-1;GLP-1)の分泌が増加することができる。GLP-1は、小腸において食後脂肪の血中流入を抑制する局所作用を示すことができる。
【0077】
一般に、GLP-1レセプター様作用は、ペプチドリガンドのような高分子化合物により調節される。しかし、一実施形態に係る薬学的組成物は、相対的に低分子化合物であるGPR119リガンドを含むため、GLP-1レセプター様作用を経口用低分子化合物で実現することができる。
【0078】
一実施形態の化学式1で表される化合物は、4-(3-フェノキシプロピル)ピペリジンのフェニルモイエティの2、6番位置にハロゲン元素が置換される。これにより、他のGPR119リガンドを投与する場合よりもGPR119と敏感に反応することができ、GPR119の活性化程度が急激に高くなることができる。
【0079】
一実施形態の薬学的組成物は、前述した化学式1で表される化合物の他にも、DPPIV阻害剤、PPARアゴニスト、SGLT2阻害剤、インスリン分泌促進剤、ビグアナイ
ド系薬物およびα-グルコシダーゼ阻害剤の中から選択される少なくとも一つ;をさらに含んでもよい。したがって、一実施形態の薬学的組成物は、異なるメカニズムを有する2以上の薬物を併用投与し、多様なメカニズムで血糖を降下させることで、効果的に血糖を調節することができる。
【0080】
現在、糖尿患者に適用されている血糖降下剤としては、ジペプチジルペプチダーゼIV阻害剤(dipeptidyl peptidase IV inhibitor;DPPIV inhibitor)、インスリン増感剤(insulin sensitizer)、ナトリウム-グルコース共輸送体2を抑制するメカニズムにより尿中ブドウ糖の排泄を促進する薬物(Sodium glucose co-transporter 2 inhibitor;SGLT2 inhibitor)、インスリン分泌促進剤(Insulin secretagogues)、ビグアナイド系薬物(Biguanide)、α-グルコシダーゼ阻害剤(alpha-glucosidase inhibitor)などが挙げられる。
【0081】
ジペプチジルペプチダーゼIV(DPPIV)は、血中GLP-1のN-末端の二つのアミノ酸を除去し、GLP-1を不活性化させる酵素である。GPR119リガンドにより分泌が誘導されたGLP-1は、血中に移行後、数分以内にDPPIV酵素により不活性化される。したがって、GLP-1の分泌を増加させるGPR119リガンドおよびGLP-1の不活性化を防ぐDPPIV阻害剤を併用する場合、β細胞のGPR119の活性化に応じた直接的なインスリンの分泌効果を示しながらも、血中での活性型GLP-1の作用時間が延長できる。したがって、代謝疾患を改善する薬効に優れる。すなわち、DPPIV阻害剤は、内因性GLP-1の生物学的作用を延長してインスリンの分泌を促進することができ、それに応じた食後血糖の降下効果を示すことができる。
【0082】
DPPIV阻害剤は、例えば、シタグリプチン(sitagliptin)、ビルダグリプチン(vildagliptin)、サキサグリプチン(saxagliptin)、リナグリプチン(linagliptin)、ゲミグリプチン(gemigliptin)、アナグリプチン(anagliptin)、テネリグリプチン(teneligliptin)、アログリプチン(alogliptin)、トレラグリプチン(trelagliptin)、オマリグリプチン(omarigliptin)、エボグリプチン(evogliptin)、ゴソグリプチン(gosogliptin)およびデュトグリプチン(dutogliptin)のうち少なくとも一つを含んでもよい。
【0083】
インスリン増感剤は、ペルオキシソーム増殖剤活性化レセプター(Peroxisome Proliferator-activated receptor、PPAR)を活性化させる薬物である。PPARアゴニストは、例えば、トログリタゾン(troglitazone)、シグリタゾン(ciglitazone)、ロシグリタゾン(rosiglitazone)、ピオグリタゾン(pioglitazone)、エングリダゾン(englitazone)、エラフィブラノール(elafibranor)、サログリタザール(saroglitazar)およびロベグリタゾン(lobeglitazone)のうち少なくとも一つを含んでもよい。
【0084】
薬物ナトリウム-グルコース共輸送体2阻害剤(Sodium glucose co-transporter 2 inhibitor;SGLT2阻害剤)は、インスリン非依存的に腎臓でのブドウ糖の再吸収を抑制してブドウ糖の排泄を促進することができる。また、ブドウ糖の排出に応じた熱量の消失による体重減少を伴うことができる。SGLT2阻害剤は、例えば、カナグリフロジンン(canagliflozin)、ダパグリフロジン(dapagliflozin)、エンパグリフロジン(empagliflozin)、エルツグリフロジン(ertugliflozin)、イプラグリフロジン
(ipragliflozin)、ルセオグリフロジン(luseogliflozin)、レモグリフロジン(remogliflozin)、セルグリフロジン(sergliflozin)、ソタグリフロジンン(sotagliflozin)およびトホグリフロジン(tofogliflozin)のうち少なくとも一つを含んでもよい。
【0085】
インスリン分泌促進剤は、スルホニル尿素系薬物と非スルホニル尿素系薬物(Non-sulfonylurea)を含んでもよい。例えば、スルホニル尿素系インスリン分泌促進剤は、グリベンクラミド(glybenclamide、glyburide)、グリピジド(glipizide)、グリクラジド(gliclazide)、グリメピリド(glimepiride)、トラザミド(tolazamide)、トルブタミド(tolbutamide)、アセトヘキサミド(acetohexamide)、カルブタミド(carbutamide)、クロルプロパミド(chlorpropamide)、グリボルヌリド(glibornuride)、グリキドン(gliquidone)、グリセンチド(glisentide)、グリソラミド(glisolamide)、グリソキセピド(glisoxepide)、グリクロピラミド(glyclopyamide)、グリシルアミド(glycylamide)およびグリペンチド(glipentide)のうち少なくとも一つを含んでもよい。非スルホニル尿素系インスリン分泌促進剤は、レパグリニド(repaglinide)およびナテグリニド(nateglinide)のうち少なくとも一つを含んでもよい。
【0086】
ビグアナイド系薬物は、肝臓での糖新生を抑制することができる。ビグアナイド系薬物は、例えば、メトホルミン(metformin)、ブホルミン(buformin)およびフェンホルミン(phenformin)のうち少なくとも一つを含んでもよい。
【0087】
α-グルコシダーゼ阻害剤は、内臓において二炭糖が単糖類に分解する酵素活性を抑制して炭水化物の吸収を遅延させる作用を示すことができる。α-グルコシダーゼ阻害剤は、例えば、アカルボース(agarbose)、ボグリボース(voglibose)、エミグリタート(emiglitate)およびミグリトール(miglitol)のうち少なくとも一つを含んでもよい。
【0088】
一実施形態の薬学的組成物は、複合成分を含む。したがって、一実施形態の薬学的組成物を投与する場合、互いに異なる作用メカニズムを有する二つの薬物により、血糖降下効果だけでなく、血中脂質の減少および体重減少効果を示すことができる。
【0089】
したがって、個別成分を単独投与する場合に比べて、優れた糖尿および糖尿に伴う代謝疾患の治療または予防効果を示すことができる。
【0090】
以下、実施例および比較例を参照して、本発明の一実施形態に係る薬学的組成物について詳しく説明する。
【0091】
<実施例1>GPR119リガンドとDPPIV阻害剤との併用効能の確認
正常マウスでの1回投与有効性の評価
16時間以上絶食させたICR 7週齢の雄性マウスに、化合物1、DDPIV阻害剤としてシタグリプチンまたはエボグリプチンを単独投与するか、またはシタグリプチンおよびエボグリプチンのうち一つを化合物1と併用投与した。単独投与および併用投与のいずれも、化合物1は0.3mg/kg、シタグリプチンは10mg/kg、エボグリプチンは0.2mg/kgを経口で投与した。薬物投与から30分経過時点で、ブドウ糖溶液を2g/kg/10mlで経口で注入した。
【0092】
併用に応じた活性型GLP-1の血中濃度変化を測定するために、糖負荷後5分にDP
PIV阻害剤を前処理した容器から血漿を分離し、血中の活性型GLP-1濃度を、GLP-1(Active)ELISAキット(Millipore、Cat.EGLP-35K)を用いて定量した。食後血糖に対する薬物反応評価のためには、血中ブドウ糖の注入から0、15、30、60、90、120分の時点に、尾静脈から採血した全血中の血糖を、Roche社のAccuChek Active血糖測定器を用いて測定した。時間-血糖反応曲線を得、溶媒のみを投与した対照群の時間-血糖曲線下面積と薬物投与群の時間-血糖曲線下面積との変化率を比較した。その結果を
図1および
図2に示した。
【0093】
図1から確認されたように、化合物1とDPPIV阻害剤であるシタグリプチンを併用投与する場合、血中の活性型GLP-1の濃度が単独投与群に比べて有意に増加した。また、糖負荷から2時間の間の血糖も、単独投与群に比べて、併用投与群が有意に増加した。
【0094】
図2から確認されたように、また他のDPPIV阻害剤であるエボグリプチンと化合物1を併用投与した時にも食後血糖の改善効果の相乗効果を示した。
【0095】
糖尿マウスでの10週間繰り返し投与有効性の評価
ICR 7週齢の雄性マウスに、高脂肪飼料(Research Diets Inc.、D12492;60% kcal fat)を3週間供給した。3週目にストレプトゾトシン(STZ)80mg/kgを腹腔注射から3週経過した時点で、体重、血糖、血中中性脂肪濃度に応じて群を分離した。具体的には、正常マウスよりも非絶食時血糖が1SD(Standard Deviation)以上、血漿中性脂肪が2SD以上に増加した個体を選別して群を分離した。分離した群に、100mg/kg/dayの化合物1と150mg/kg/dayのシタグリプチンが混合された薬物混合飼料を投与した。飼料は、10週間供給した。その後、絶食時血糖、非絶食時血糖および血漿中の中性脂肪濃度を測定した。絶食時血糖および非絶食時血糖は、尾静脈から採血した血液で、Roche社のAccuChek Active血糖測定器を用いて測定した。非絶食下で剖検後に採血した血漿で、自動血液分析装置(Konelab 20i)を用いて血漿中の中性脂肪濃度を測定した。
【0096】
図3から確認されたように、10週間化合物1とシタグリプチンを併用して繰り返し投与時、薬物混合なしに高脂肪飼料のみを投与したHF/STZ(High fat/Streptozotocin)マウスに比べて、空腹時血糖および非絶食時血糖のいずれも、正常マウスと類似したレベルの血糖を示すことが確認された。すなわち、空腹時血糖および非絶食時血糖のいずれにも優れた血糖降下率を示した。
【0097】
図4から確認されたように、糖尿および高中性脂肪血症を伴うHF/STZマウスにおいて、化合物1とシタグリプチンとの併用投与時に、優れた血漿中の中性脂肪濃度降下率を示した。特に、血漿中の中性脂肪濃度が約200前半(mg/dl)を示したところ、化合物1とシタグリプチンとの併用投与時に、正常マウスと同等なレベルまで血漿中の中性脂肪濃度が減少することが確認される。
【0098】
<実施例2>GPR119リガンドと、SGLT2阻害剤またはインスリン分泌促進剤であるグリメピリドとの併用効能の確認
16時間以上絶食させたICR 7週齢の雄性マウスに、化合物1、SGLT阻害剤としてダパグリフロジンまたはインスリン分泌促進剤としてグリメピリドを単独投与するか、またはダパグリフロジンおよびグリメピリドのうち一つを化合物1と併用投与した。化合物1は3mg/kg、SGLT2阻害剤であるダパグリフロジンは0.3mg/kg、またはインスリン分泌促進剤であるグリメピリドは0.1mg/kgを単独または併用で経口で薬物投与から30分経過時点で、ブドウ糖溶液を2g/kg/10mlで経口で注
入した。食後血糖に対する薬物反応評価のためには、血中ブドウ糖の注入から0、15、30、60、90、120分の時点に、尾静脈から採血した全血中の血糖を、Roche社のAccuChek Active血糖測定器を用いて測定した。時間-血糖反応曲線を得、溶媒のみを投与した対照群の曲線下面積に対して、薬物投与群の時間-血糖曲線下面積の変化率を比較した。
【0099】
図5から確認されたように、二つの薬物を併用投与した場合、単独投与時よりも有意に増加した血糖降下薬効を示した。
【0100】
<実施例3>GPR119リガンドとPPARアゴニストとの併用効能の確認
インスリン抵抗性の誘発のために、6週齢の雄性のC57BL/6Jマウスに、高脂肪、高果糖、高コレステロールの特殊飼料(Research Diets Inc.、D09100301)を27週以上供給した。肥満およびインスリン抵抗性が誘発された(Diet-induced obese;DIO)マウスに、化合物1を100mg/kg/day、PPARアゴニストであるエラフィブラノールを30mg/kg/dayでそれぞれ単独または併用投与するために、薬物混合飼料を製造した。製造された薬物混合飼料をマウスに12週間供給した。薬物投与から12週の時点で剖検後に採血した血漿中の非絶食時血糖を、Roche社のAccuChek Active血糖測定器を用いて測定した。
【0101】
図6から確認されたように、重症インスリン抵抗性マウスにおいて、化合物1は、単独では有意な血糖降下効果を示さず、エラフィブラノールは、単独でインスリン抵抗性の改善に応じた血糖降下効果を示した。しかし、二つの薬物を併用した場合、各薬物の単独に比べて有意に優れた血糖降下効果を示すことを確認した。
<実施例4>GPR119リガンドとビグアナイド系薬物との併用効能の確認
4週齢の雄性のC57BL/6Jマウスに、10週間高脂肪飼料(Research Diets Inc.、D12492;60% kcal fat)を供給し、インスリン抵抗性を誘発した。2週間薬物投与に適応させた後、体重および体脂肪を基準に群分離を行った。化合物1の単独投与群には、化合物1を50mg/kgで1日に2回、メトホルミンの単独投与群には、メトホルミンを150mg/kgで1日に2回単独投与した。併用投与群には、化合物1を50mg/kg、メトホルミンを150mg/kgで併用して1日に2回ずつ3週間経口投与した。16日の投薬時点まで体重を経時的に測定した後、最後の週には、Minispec LF90II NMRスペクトロメータ(Bruker Optics、Ettlingen、Germany)を用いて体成分を順次測定した。投与から2週目に6時間絶食させた後、尾静脈から得た全血から、Roche社のAccuChek Active血糖測定器を用いて空腹時血糖を測定した。3週間の投薬後に非絶食下で剖検し、血漿中の総GLP-1濃度は、Total GLP-1 ELISA(7-36 and 9-36)アッセイキット(Alpco、43-GPTHU-E01)を用いて定量した。
【0102】
図7から確認されたように、化合物1またはメトホルミンを単独で投与したマウスは、有意なGLP-1の分泌増加が確認されなかった。しかし、二つの薬物を併用投与した場合、各薬物の単独投与に比べて有意に血中の総GLP-1濃度が増加し、薬物併用に応じたGLP-1の分泌増加の相乗効果を確認した。
【0103】
図8から確認されたように、各薬物を単独投与した場合には微々たる空腹時血糖の減少傾向を示したが、二つの薬物を併用投与した場合には有意な空腹時血糖の降下効果を示した。すなわち、併用投与に応じた相乗的な薬効増加を示した。
【0104】
図9から確認されたように、化合物1とメトホルミンを2週間単独投与した場合には、
それぞれ-4.0%、-4.4%の体重減少を示した。これに対し、二つの薬物を2週間併用投与した場合には、-16.3%の体重減少を示した。すなわち、二つの薬物を併用投与する場合、二つの薬物をそれぞれ単独投与した場合に比べて、薬物に対する反応性が有意に増加することが確認される。このことから、二つの薬物の併用投与による肥満の予防または治療に対する相乗効果を確認した。
【0105】
図9において3週間の投薬終了後に行った体成分の分析結果を参照すれば、化合物1を2週間単独投与した場合には、体脂肪の減少効果を示さなかった。メトホルミンを2週間単独投与した際には、体脂肪の減少効果が微々たるものであった。しかし、二つの薬物を併用投与した場合、約30%程度の体脂肪減少率を示すことを確認した。すなわち、二つの薬物を併用投与時に、血糖降下効果だけでなく、体脂肪の減少効果も示すことが確認された。このことから、二つの薬物の併用投与による肥満の予防または治療に対する相乗効果を確認した。
【0106】
<実施例5>GPR119リガンドとα-グルコシダーゼ阻害剤系薬物との併用効能の確認
16時間以上絶食させたICR 8週齢の雄性マウスに、化合物1は3mg/kg、α-グルコシダーゼ阻害剤であるボグリボースは0.02mg/kgを単独または併用で経口薬物投与から30分経過時点で、蔗糖(sucrose)溶液を2g/kg/10mlで経口で注入した。食後血糖に対する薬物反応評価のために、血中ブドウ糖の注入から0、15、30、60、90、120分の時点に、尾静脈から採血した全血中の血糖を、Roche社のAccuChek Active血糖測定器を用いて測定した。時間-血糖反応曲線を得、溶媒のみを投与した対照群の曲線下面積に対して、薬物投与群の時間-血糖曲線下面積の変化率を比較した。
【0107】
図10から確認されたように、ボグリボースを単独投与した場合には、血糖降下効果を示さなかったが、化合物1と併用投与した場合には、化合物1の単独投与時よりも血糖降下薬効を増加させる相乗効果を示した。